平成二十三年東京都議会会議録第十二号

   午後五時五十七分開議

〇副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 八十三番小磯善彦君。
   〔八十三番小磯善彦君登壇〕

〇八十三番(小磯善彦君) 都議会公明党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。
 初めに、都心部を中心とした都市構造の再構築について質問します。
 東京都は、このたびの大震災を受け、地震対策、非常時の電力の確保、都市間競争に打ち勝つ経済の活性化など、日本再生にも直結する幅広い取り組みを行う必要があります。大規模な取り組みなだけに、都民の共感を得られるコンセプトが重要であります。
 都議会公明党は、「十年後の東京」で打ち出された、水と緑の回廊都市を改めて強調すべきと考えます。
 かつての江戸の美しいまち並みは、元をたどれば、関東台地を流れる河川が織りなす砂州や沼地、入り江でした。それを埋め立て、世界に冠たる八百八町につくり上げたのが、中世日本の土木、建築技術であります。
 今後は、例えば堅牢な埋立地、すなわち、液状化や水害の危険も克服できる人工地盤を広く形成するなど、現代日本の技術を駆使して、新しい東京を築くべきと考えます。建物の高層化を有効に活用すれば、空地の少ない都心部においても、人工地盤の地表に、世界に比類なき水と緑の公開空地を創出することができます。日本が誇る最先端の技術を活用して今後の東京の都市づくりを進めることについて、石原知事の所見を伺います。
 次に、総合特区を活用した東京の経済再生について質問します。
 東日本大震災に伴う原発被害と国政の混迷によって、外国資本だけでなく国内企業までもが日本脱出を図り始めています。日本離れを防ぐためには、世界の中から東京を選び取らせるインセンティブを高めなければなりません。
 国はこのたび、大幅な規制緩和に、税制、財政、金融上の支援策を組み合わせた国際戦略総合特区を新設し、十二月にも第一回の選定を行う予定です。国内最大の消費力と技術力、世界でもまれな首都密接の港湾と空港に恵まれた東京こそ、総合特区の機を生かして、アジア経済の中心たる地位を高め、日本再生に大きく寄与すべきと考えます。総合特区の活用の効果について、都の見解を求めます。
 この総合特区の効果を高めるためには、アジアでも一段と秀でたまち並みの再編が必要です。そこで、都は今後、国の新たな特定都市再生緊急整備地域制度を活用し、高さや容積率などの既成概念にとらわれることのない、斬新な都市構想を練る必要があります。
 かつて、霞が関ビルや世界貿易センタービルの建設は、アジアにおける高層建築の夜明けを告げました。今後は高度防災都市、低炭素・環境先進都市としてアジアの模範となるべきです。
 そこで、都心部などについては、都市計画に関して大胆な措置を講じていくとともに、新たなまちづくりを進めていくための方針を明確に示すことで、都市再生を推進していくべきです。見解を求めます。
 次に、産業の空洞化対策について質問します。
 金融や観光に重きを置く欧米都市と異なり、東京には、国内有数のものづくり拠点としての役割があります。都内中小企業にとって産業の空洞化とは、取引先が海外に移転することにほかならず、事態は深刻です。産業の空洞化について知事の所見を伺います。
 こうした中、都は、産業面でのシティーセールスなどにより、都内中小企業の技術力やビジネス拠点としての東京の魅力を発信するとともに、都内中小企業が国内で将来にわたり事業を継続できるようなサポートにも取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 知事が所信表明で触れられたナノレベルの微細加工器などと並び、ロボット産業は都内の有望な成長産業です。しかし、その具体的な活用の姿が見えないため、本格的な開発や投資が進みません。多摩地域に集積する精密機械産業の技術力を生かし、多摩シリコンバレーの整備を視野に入れ、研究開発を実用化に結びつけるため、ロボット産業の育成に向けて、中小企業へのサポートを充実させるべきと考えますが、見解を求めます。
 なお、多摩シリコンバレーについては、総合特区の活用による効果も大いに期待できるものであります。今後の検討を要望します。
 次に、電力エネルギー対策について質問します。
 この夏は、都民や都内事業者は、さまざまな創意工夫によって節電した結果、七月から八月にかけての最大使用電力の推移は、国が示した一五%の削減目標を大幅に超え、二〇%から三〇%の削減を達成しました。今後は、この夏の経験を生かし、省エネ効果の高い節電手法を集約するなどして、電力多消費社会からの転換を図る必要があると考えます。
 一方、電力の供給面では、大規模災害への備えを固めるために、多様で自立分散型のエネルギー源を確保していくことが重要です。しかし、小規模な発電設備は、CO2排出や発電効率等の面で課題があるとの指摘もあります。
 そこで、自立分散型発電設備の導入に当たっては、環境性能と効率的なエネルギー利用の両立を図る視点から、設置者の立地条件等に適したアドバイスを提供できる体制を整えるべきと考えます。あわせて、電気事業に対する規制緩和も含め見解を求めます。
 自立分散型エネルギーの普及拡大を図るためには、再生可能エネルギーの着実な導入促進も必要であります。
 都はこれまで、太陽エネルギーの補助制度を導入し、それが国の補助制度の復活へと結びつくなど、着実な成果を上げてきております。
 一方、再生可能エネルギーの導入促進策として、長野県飯田市では、初期費用が高いというハードルを乗り越え、太陽光発電をファンドの活用で、初期費用なしの月々一万九千八百円で設置できるようにし、米国では、太陽光発電の大規模共同購入やリース手法の活用による導入を促進しています。また、欧州では、大型ショッピングセンターなどの特定建築物の新築などの機に、太陽光発電の設置を義務づけ、普及拡大につなげている事例も見られます。
 都は、再生可能エネルギーの全量買い取り法の成立を機に、国内外の動向を調査し、工夫を凝らして、再生可能エネルギーの導入拡大を促進すべきであります。今後の取り組みの方向性について見解を求めます。
 また、新たな再生可能エネルギーの開発も重要です。我が党は、昨年の第二回定例会で波力発電の促進を訴えました。波力発電の面積当たりのエネルギーは、太陽光の約二十倍以上です。海外では、波力発電の豊かなポテンシャルに着目した商業規模のプロジェクトが既に開始されています。
 都は、平成二十一年七月、大学や民間事業者に波力発電検討会の設置を呼びかけ、検証が行われました。検討会では我が国における可能性も示され、波の状況や係留技術の実証事業が伊豆諸島海域で行われ、地元関係者の意見も踏まえ、具体的な海域検討や課題調整等が実施されました。この取り組みを本格的に稼働すべきであります。見解を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 東日本大震災は想定されていなかった甚大な被害となり、国とともに都は防災力の抜本的強化が求められております。
 都は今後、十一月に予定されている都の防災対応指針の策定や、地域防災計画の見直しに取り組むことになりますが、都民の安全確保を何よりも重視する視点から、今後の防災力強化について、石原知事の認識と決意を伺います。
 都がこのほどまとめた東日本大震災の対応と教訓によると、主に地域防災力、住民の避難誘導体制、水防、津波対策、液状化対策などの強化が重要と指摘しております。
 このうち、地域防災力の向上については、知事は本年の本会議で重ねて防災隣組に触れ、住民同士による共助の必要性を強調しております。しかし、高齢化の進展に伴い、共助の担い手のいない地域がふえているというのが実態です。
 こうした状況下における防災隣組の具体化として、比較的若い人のいる事業所、商店、コンビニなどとの連携を検討すべきです。町会や自治会と地域内の事業所等が災害協定を結び、発災時に倒壊家屋の下敷きになったり負傷した住民を救助する仕組みは極めて有効であります。こうした形態の事業を、防災隣組の一つのモデルとして都が率先して取り上げ、区市町村の展開につなげていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、住民の避難誘導対策について質問します。
 東京は、都心部に大規模地下街や、区部東部にゼロメートル地帯が広がっており、巨大台風や想定を超える津波対策など、ハード対策だけでなく、都民の命を守る避難誘導対策が極めて重要であります。
 そこで、大震災に加え大規模水害も想定し、自治体や学識経験者などを交えた避難誘導対策の検討組織を設置し、総合的に検討すべきと考えます。見解を求めます。
 また、避難経路となる道路が寸断される場合などに備えた補完的避難ルートとして、河川が考えられます。都内を流れる河川の六十一カ所に設置されている防災船着き場の活用に着目すべきです。東京都地域防災計画には、震災時の物資の輸送拠点として防災船着き場を位置づけておりますが、住民の避難経路としての活用も検討すべきです。防災船着き場を避難住民や傷病者の避難誘導ルートとしても活用できるよう、明確に位置づけるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、災害時におけるユビキタス技術の活用について質問します。
 震災時にはターミナル駅周辺など、都市の各所で大きな混乱が生じることが改めて問題になっています。特に、大都市の地下街は複雑な構造をしており、非常時の避難対策が不可欠です。
 都はこれまで、ユビキタス技術の実証実験として、観光案内や視覚障害者への移動支援などに取り組んできました。大阪の梅田周辺では、実写の写真と地図を組み合わせたパノラマビューを作成し、普及しているスマートフォンなどで、地下街の店舗やトイレの位置情報を提供したり、目的地までの最短ルートを案内するなど、バリアフリー案内に努めています。
 今後、高度防災都市づくりの一環として、災害時の誘導と安全を期すため、映像や音声を取り込んだユビキタス技術の活用を、地下街を含めて検討すべきと考えます。
 そこで、防災への活用を視野に入れた東京ユビキタス計画の今後の取り組みについて、見解を求めます。
 次に、地震、津波対策について質問します。
 都の水門、排水機場や防潮堤等の多くは、関東大震災級の地震に耐える整備を進めているものの、阪神大震災級の直下地震に耐える強度は十分とはいえない状況にあります。また、地震や津波等により、東部低地帯の水再生センターやポンプ所等の施設が排水機能を失った場合、区部面積の二割を占める海抜ゼロメートル地帯は、水が滞留し、ライフラインの復旧を阻むことは明らかであります。したがって、水門、排水機場や防潮堤等のさらなる耐震性の強化及び東部低地帯の水再生センター、ポンプ所や排水機場等に対する耐水性の一層の強化に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。
 また、先日の読売新聞には、国の一部の水門が、津波の第一波に対して閉鎖が間に合わなかったとの報道がありました。都の水門については、地震発生後速やかに対応したことは承知しておりますが、ゼロメートル地帯において万が一水門が閉鎖できないと、甚大な被害が発生することも考えられます。施設整備に加え、水門の迅速かつ的確な運用、関係機関との連絡体制をより強化すべきであります。見解を求めます。
 次に、伊豆諸島の津波対策について質問します。
 東日本大震災では、津波によって東北地方に甚大な被害が生じました。東京においても、特に伊豆諸島の島しょ部について、大規模な津波が襲ってきた際の対策を講じておくことが重要であります。今回の対応と教訓でも島しょ部の津波対策について検討されていますが、今後の具体的な取り組みについて見解を求めます。
 また、三宅島の大久保海岸の海沿いに東京電力の火力発電所があります。この島内唯一の発電所が、津波や高潮によって機能を失うことが懸念されています。三宅島の発電所機能を守るため、早急に津波対策を講ずるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、液状化対策について質問します。
 国は、液状化の発生を見据えた有効な対策として、道路、下水道等の公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策を講じる検討に入りました。都では、本年七月に建築物液状化対策検討委員会を設置し、木造住宅などの液状化対策を検討しております。
 そこで、本検討委員会においても、公共施設と隣接宅地との一体的な液状化対策を新たな検討課題とするべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、災害救急医療対策について質問します。
 初めに、ドクターヘリの拡充についてであります。
 東日本大震災の翌日、岩手県に全国から十六機のドクターヘリが派遣され、一日で四十九名の救出活動に当たるなど、貢献しました。
 公明党は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、ドクターヘリの導入を強力に推進してきております。現在では既に二十三道府県で実現しています。東京においては、我が党の推進により、東京型ドクターヘリが東京消防庁に七機配備されていますが、首都直下地震に備えるためにはまだ足りません。
 そこで、都は、現在ある他県等との相互応援協定に基づき、他県から参集するドクターヘリによる人命救助を拡充すべきと考えます。そのための具体策について見解を求めます。
 また、緊急の際、学校のグラウンドや広場など、臨時に離着陸できる場所を確保すべきであります。さらに、災害拠点病院のヘリポートでも夜間照明を備えていない施設もあるため、早急に整備すべきであります。それぞれ見解を求めます。
 次に、ドクターシップについて質問します。
 ドクターシップとは、負傷者などを船や港で治療したり、搬送したりする船をいいます。
 我が国でもドクターシップを新たに建造する動きも見られましたが、平常時の活用などが課題となり、進んでいません。しかしながら、被災地に向かう船に医療機材を積み、港でおろした上で治療を行ったり、医療機材を積んだ船を港に停留させて、被災者に治療を行いながら船を避難所とすることは可能と考えます。
 そこで、都は、東京港に寄港する旅客船を初めとする船舶を、災害時の医療対策における船舶として活用することを検討すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、被曝医療体制について質問します。
 我が国の緊急被曝医療の体制は、原子力施設が立地、隣接する十九道府県が指定する初期、二次の被曝医療機関と、全国二カ所の国指定の三次被曝医療機関により構築されています。
 国は、被曝医療体制を確保するため、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金をこの十九道府県に交付していますが、東京都は対象外です。そのため、現在は都指定の初期、二次の被曝医療機関はありません。
 こうした中でも、都は現在まで、都内病院の協力を得て、東京に避難された方々に対する放射線量検査に努めてきました。本来は、国の緊急被曝医療体制の対象が原発立地県や隣接県に限定されてきたという危機管理上の不備ではありますが、今後、都民の不安を払拭するためには、放射能汚染の検査や除染、診療を行える緊急被曝医療機関を、都が指定、整備する必要があると考えます。見解を求めます。
 次に、災害拠点病院の機能強化について質問します。
 今回の災害では、被災地の多くの病院で建物、ライフライン等の被害が発生し、医療機能に支障を来しました。
 病院建物の耐震化や非常時の自家発電の整備は、補助金等の活用もあり、着実に進んでおりますが、対策の盲点となっているのが、災害時の手術や治療等に大量に必要となる医療用の水の確保であります。
 都は、災害拠点病院に対し受水槽の整備、飲料水の備蓄等を促しているとのことですが、いずれも安定した確保策とはいえません。浄水装置を使った災害用井戸の整備や河川水等の利用など、多元的な水の確保策を支援すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、被災地支援について質問します。
 震災から六カ月が過ぎてなお、八万人以上の方が避難生活を強いられています。甚大な被害が復興を目指す被災地と多くの被災者の前に立ちはだかっています。このようなときこそ、どこまでも被災者に寄り添い、被災地の目線から復興対策を迅速に進めなければなりません。
 三宅島の全島避難の際に、コミュニティを大事にしながら、島の地場産業の継続にも配慮し、スムーズな帰島と島民生活の支援に取り組んだ都であるからこそ、この経験を生かし、被災地、被災者が真に必要とする支援を行うべきであります。
 そこで、被災地支援及び被災者の生活再建に向けた知事の決意を伺います。
 我が党は、第二回定例会代表質問において、被災地の子どもたちを東京に招待し、スポーツ観戦や交流試合等、スポーツに接する機会を提供すべきと提案しました。
 そしてことし八月、墨田区と八王子市で野球とサッカーの交流試合が開催されました。我が党も会場に足を運び、子どもたちの声を聞いたところ、久々に思う存分プレーができた喜びを語っていました。夜はホームステイで東京の子どもたちと交流し、受け入れた側の保護者からも、助け合いの心がはぐくまれましたとの喜びの声が多数寄せられました。
 こうした取り組みは、今後も会場と種目をふやして行うべきと考えますが、都の見解を求めます。
 現在、都内の経済団体が、会員企業の持つ遊休機械設備を被災地の希望する中小企業に無償譲渡しようとする取り組みが行われています。現地では、生産を再開できるのであれば、旧式の機械であっても使用したいとの被災地の経営者の声も数多く上がっています。そうした要望にこたえるために、設備の運送等に必要となる費用を、公共部門で一定程度まで助成するような思い切った取り組みも必要です。見解を求めます。
 次に、食の安全について質問します。
 原発事故に伴う放射性物質の拡散と内部被曝への不安から、食の安全・安心が揺らいでいます。特に子どもの健康への影響を懸念する声が高まっています。また、事故に対する国の対応のおくれは、内部被曝への不安を招き、子どもの健康や食の安全・安心に深刻な影響を与えています。
 とりわけ、いわゆる汚染稲わら肉牛の問題は、消費者の信頼を大きく損ねるものとなりました。加えて、取扱量が全国一多く、その取引価格が全国相場の目安となっている都の中央卸売市場食肉市場では、入荷頭数の激減や相場の低迷など、被災地などの畜産業者に大きな打撃を与えています。
 こうした事態を打開するために、被災地などでは出荷牛の全頭検査に取り組み始めていますが、検査機器の確保や検査体制の確立が大きな課題となっています。畜産業者からは、首都圏の消費者に一番近く、全国に影響力を持つ都の食肉市場において放射能検査を行ってほしいと強い要望が寄せられています。
 現在、都の中央卸売市場食肉市場では、関係業界が自主的に民間機関に委託して検査を開始しましたが、一頭当たり九千円程度かかる検査料は生産者が負担する現状にあります。都は、検査機材や人員を増強するなど、肉牛の全頭検査へ向けた体制を早急に整備すべきと考えます。あわせて、公的検査の結果を記した安全証明書を発行するなど、消費者への食の安心に努めるべきであります。見解を求めます。
 次に、住宅政策について質問します。
 昨年六月、知事は、東京都住宅政策審議会に対し、社会経済情勢の変化に対応した新たな住宅政策の展開について諮問しました。
 都内では、高齢化の進展と非正規雇用の増大によって、都営住宅の増設を望む声が上がっており、総管理戸数の弾力的運用を図る必要性が高まっていると考えます。このほかにも、介護と医療の連携拠点としての住宅、無縁社会や単身者の増加に対応した家族近居や多子、多人数、多世代同居が可能な住宅、婚姻を望む中低所得単身者向けの住宅のほか、職住の接近化とバリアフリーの進展など、課題が山積しています。
 都は、来年度予算の編成に向け、住宅政策の拡充を図るとともに、国際的都市間競争や都民の不安軽減に資する住宅政策の未来像を発信するべきであります。
 そこで、明年三月をめどとする住宅マスタープランの改定においても、課題解決に的確に対応すべきと考えます。見解を求めます。
 さらに、バリアフリーの模範を示すべき都営住宅で、制度上の要因からエレベーターの設置が進まない事例があります。例えば、エレベーターに乗らないという理由で設置に反対する声がある場合、今は入居者全員の賛同が得られていないとして設置できません。
 都として、全員同意の要件を緩和し、既存の都営住宅へのエレベーターの設置を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、福祉施策について質問します。
 まず、高齢者の住まいについて伺います。
 通常国会で成立した介護保険法の改正では、地域包括ケアシステムの推進が明確に示されました。
 地域包括ケアシステムとは、高齢者が地域で自立した生活ができるよう、一、介護と医療との連携強化、二、介護サービスの充実強化、三、予防の促進、四、見守り、配食、買い物など生活支援サービスの促進、そして、五、高齢期になっても住み続けることのできる住まいの整備という五つの取り組みが、包括的かつ継続的に行われる体制のことであります。
 都議会公明党は、介護と居住の連携を重視しています。理由は明快で、安心して住み続けられる居住空間があって初めて、さきに述べた各種サービス提供の土台が整うからであります。
 この点、都の医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅のモデル事業は、有効な取り組みと評価します。しかし、これらの住宅の賃料は、厚生年金受給者で初めて支払いが可能な水準であり、より低所得な高齢者も利用可能な医療、介護つき住まいの供給を促進すべきです。見解を求めます。
 次に、社会的養護のもとで生活する児童の支援について質問します。
 親が抱える経済的問題や疾病、虐待等の事情により、親元で生活することができず、養育家庭や施設で生活する児童が近年増加しています。都は、こうした児童が家庭的な雰囲気の中で愛情に包まれ、養育が行われる養育家庭制度を推進してきており、我が党としても評価し、積極的に進めることを主張してきました。
 しかし、先月、杉並区の養育家庭の母親が、養育していた里子に対する傷害致死の疑いで逮捕されるという極めて残念な事件が起こりました。今回の事件について、養育家庭の方々は、いろいろな不安を感じながらも、引き続き里親としての養育に努力していきたいとの心情を語っております。
 こうした事件を二度と繰り返さないため、また、養育家庭の努力を支えるためにも、児童相談所の支援とあわせて養育家庭の悩みを的確に把握し、地域で孤立しないよう支援することが必要です。
 この点、都が民間団体などに委託して実施している里親支援機関事業は、養育家庭が気軽に相談できる場として利用しやすいと聞いています。現在三カ所で実施されている本事業を、すべての児童相談所の管轄区域において、夜間を含めて実施すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、児童の自立支援について質問します。
 施設や養育家庭で育つ子どもの多くは、施設などを出て社会に出た後、経済的にも精神的にも非常に大きな困難を抱えていると聞いております。
 都は昨年度、全国的にも例のない、施設退所者に対するアンケート調査を実施しました。その結果を見ても、施設退所者の雇用形態が不安定な状況や、施設を退所した直後に孤独感、孤立感を感じた、生活費などに困ったなどの切実な声が寄せられています。また、施設退所後の困ったときに、親や家族に頼ることができず、施設職員に支えを求めている人が多いことも明らかになりました。
 社会的養護のもとで育つ子どもが、施設を出た後に確実に自立できるよう、新たな支援策を検討していく必要があると考えます。都の見解を求めます。
 次に、障害者施策について質問します。
 このたび障害者基本法が改正され、八月に施行されました。その改正法における障害者の定義に発達障害が初めて明記されるとともに、共生社会の実現など、目的規定の見直しがなされました。
 都は「十年後の東京」の中で、平成十九年から十年間で障害者の一般就労三万人増加の目標を掲げ、平成二十二年までに約二万人にまで達成しています。今回の法改正を受け、都は目標の三万人に向け、就労の場の拡大について企業等への働きかけをさらに強め、早期に達成すべきです。見解を求めます。
 次に、障害者の就労拡大のためには教育が重要です。都教育委員会は、発達障害児の増加に伴い、全小中学校に特別支援教室を設置し、通級指導ではなく在籍校における教育の充実を目指しています。
 しかし、教員の中には、発達障害がどういう障害なのか、教育支援の方法や配慮の内容についても、必ずしも理解は広がっていません。これらに関する研究を進め、すべての学校の教員の指導力の向上を図るべきです。また、高校における発達障害のある生徒への配慮や教育の充実とあわせて見解を求めます。
 ところで、発達障害のある子どもの教育には、デイジー図書などICTの活用が有用とされています。スマートフォンやタブレット端末にもデイジー図書を再生できる機能が備えられるなど、障害者を支援するICT機器がふえてきています。また、音声の聞き分けなどで障害を抱える子ども向けに、集音器や周囲の騒音を低減するノイズキャンセリングヘッドホンなどは、既に特別支援学校で活用されています。
 しかし、現在、小中学校ではこうしたテクノロジーがほとんど活用されていません。小中学校で障害児教育のためのテクノロジーが活用できるよう、研究を推進していくべきであります。見解を求めます。
 また、入学前後に受けられるさまざまな配慮や支援は、入学選考時にも受けられるようにすべきです。都立高校の入試においては、ICT機器の使用などテクノロジーの活用を可能にするよう検討していくべきです。見解を求めます。
 教科書バリアフリー法の制定や著作権法改正で、デイジー版の図書が制作されるようになりました。しかし、その制作はボランティアの力に支えられているのが実情で、認定教科書以外の副教材や子ども向けの書籍は入手しにくいのが現状です。
 本が読めないことで自信をなくしていた、読み書きに障害のある子どもが、デイジー図書に出会い、お母さん、本が読めるよと喜んで読書に挑戦するようになったとの体験も数多く紹介されています。
 都立図書館においても、発達障害のある子どもたちが本に親しめるよう、子ども向けのデイジー図書をふやすとともに、地域の図書館と連携して、デイジー図書を利用しやすくしていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、警視庁による減災対策と自転車政策について質問します。
 東京は、さきの東日本大震災の直後から、たび重なる計画停電を経験しました。そうした中、警視庁は非常用電源つき信号機を増設したほか、震災後に発生した大渋滞を踏まえ、九月一日には、主要交差点、幹線道路を十分間とめる大規模な交通規制訓練を初めて実施し、マスコミでも大きく取り上げられました。
 そこで、今回の訓練で判明した課題やその改善策について、現時点での認識を伺います。
 次に、都内交通事故件数は年々減少しているとの報告を受けていますが、自転車が関与する事故の割合は一向に減っていません。特に、ことし上半期の全事故件数の実に三八%に自転車が関与していると聞いていますが、とりわけ危険なのは、ブレーキ装置のない、いわゆるピスト自転車であり、都議会公明党は、これまでも自転車事故の防止策を含めた自転車条例の制定を提案してきましたが、改めて今後の強化策を伺います。
 また、先日の道路交通法に基づく、いわゆる標識標示令の一部改正等により、自転車の一方通行規制標識が新設されたとのことですが、本改正の効果と今後の活用の方針について見解を求めます。
 次に、東京消防庁の体制強化について質問します。
 東日本大震災は、地震、津波、原発事故に人災も重なる複合災害となりました。こうした中、火災の消火、ヘリによる救助活動、原発事故でのハイパーレスキュー隊の放水活動等において、日ごろの訓練の成果を遺憾なく発揮されました。今後は、首都直下地震に備えた消防の体制を整え、都民の期待にこたえるべきであります。人的、物的両面における東京消防庁の体制強化について、所見を伺います。
 被災地では、津波による浸水や瓦れきの堆積などが広範囲だったことから、航空機とバイクが役に立ったと聞いています。災害時に発生するさまざまな事象に即応性を持って対応するためには、例えば、救助隊と航空隊との連携や、機動性の高いバイク隊をほかの部隊などと相互運用させ、効果的な活動につなげていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、消防団への支援について質問します。
 消防団の献身的な日ごろの活動に深く敬意を表します。
 消防団の震災時の活動拠点は分団本部であり、各種資機材は活動に不可欠です。そこで、東日本大震災を踏まえた消防団の資機材及び分団本部施設の整備について、まず、所見を求めます。
 ところで、消防隊員は生業の傍ら、常に地域の災害対応に心を配っています。こうした消防団員に対して、火災指令や災害の情報などについて、携帯メール等を活用して伝達することは、災害への迅速な対応が図れるとともに、消防団員の負担の軽減につながると考えますが、見解を求めます。
 一方、消防団員の退団理由の中には、家庭の事情などによるものがあります。消防団員を継続する意思がありながら、育児、介護などの諸事情により、やむなく一定期間活動できない団員が一時的に活動を休止できるよう制度を見直すべきと考えますが、見解を求めます。
 以上、述べた点については、多摩の各市町村に対しても、都から適切な対応がなされるよう要望しておきます。
 最後に、外郭団体改革について質問します。
 都議会公明党は、これまで都政改革の重要課題である外郭団体改革に一貫して取り組み、監理団体数の半減や役員退職金の全廃を実現するなど、大きな成果を上げてまいりました。
 こうした流れを受けて、都は昨年、監理団体を重要なパートナーとする東京都監理団体活用方針を策定し、その位置づけを明らかにしました。この取り組みについては一定の評価をするものであります。しかし、その一方で、もう一つの外郭団体である報告団体については、位置づけが不明確なままとなっております。
 都議会公明党は、昨年、外郭団体改革推進プロジェクトチームを立ち上げ、公益法人制度改革や指定管理者制度なども視野に入れた検討を行ってまいりました。
 現在五十一ある報告団体は非常に多様であり、時代の変遷とともに事業内容、都施策との関連の度合い等も大きく変わってきており、より一層の透明性を高めていく必要があります。また、名称だけを見ても、都の報告団体であること自体に誤解を招きかねないものもあります。加えて、現在は、所管局の指導、関与だけで終わらせております。
 我が党は、外郭団体改革の総仕上げとして、昨年より報告団体改革に取り組んでまいりました。昨年の第三回定例会での我が党の代表質問に対し、都は、事業内容や都との関連性などから位置づけを明確にし、類型化に取り組んでいくと答弁しております。報告団体改革に対する都の検討内容と類型化の結果を明らかにし、また、都の関与のあり方についてもさらに見直すべきであります。
 以上、二点について答弁を求め、代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 小磯善彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、日本が誇る技術を活用した都市づくりについてでありますが、過去の歴史を眺めましても、いかなる時代の文明も人間が新しい技術体系を増設し、それを体得し、その活用をめぐってさらに新しい発想が生まれて進歩してきました。日本の技術は最高水準のものでありまして、世界に誇り得る見事なものだと思います。
 東京はこれまでも、日本の抱える問題が最も先鋭的にあらわれる大都市という現場で、最先端の技術を大いに活用してまいりました。東京の致命的な弱点でありました渋滞を解消するために、外環道の整備では大深度地下方式を採用し、とまっていた時計を動かすことができました。国家発展のために不可欠な羽田空港の再拡張でも、従来の埋立方式に加えて、桟橋方式も採用させて早期な完成ができました。都市を襲う集中豪雨についても、環七を初め、東京の地下に巨大な貯水池をつくり対策を進めております。これは見た人が本当にびっくりするぐらい巨大な貯水池でありますが、こういったものがかろうじてこの東京を守っている大きなよすがになっていると思います。限られた空間の中に高度な都市機能を備え、快適な生活空間も確保されていることが必要だと思います。
 ただいまのご質問にありました、人工地盤を活用して水と緑の回廊で囲まれた都市に再生するというのも、アイデアの一つだと思います。
 この大深度に人工地盤をつくるというのは、今日では可能になりましたけど、私、運輸大臣をしているときに、ある私鉄会社が、走っている線路の下ではなくて、できれば直線で地下鉄をつくって複々線にしたいという申し出があったんですけれども、四十メートル以上の大深度の地下権というのは放棄させたらどうだといったんですが、これは不思議なことに、建設省は自動車がそんなところ走らないということで賛成したんですが、通産省がなぜか、その地下にウエアハウス、倉庫をつくるという、わけのわからぬ理由で反対しましてとんざしましたが、やっと最近になって、これの活用の道が開けてまいりました。
 おっしゃることはこの現代でようやく可能になったと思いますが、いずれにしろ、この人工地盤を活用するというのも、東京ならではの大事な大事な一つの施策になり得ると思います。首都東京の都市づくりにも、我が国が誇る最高水準の技術をどう活用していくかの、今後もいろんな知恵を出していただきたいと思います。
 次いで、産業の空洞化についてでありますが、現在、歴史的な円高水準にありまして、円高については、多面的、複合的な見方が必要だと思います。
 円高は、海外貿易の、海外企業の買収によって世界シェアを大幅に拡大することや、資源を先物買いするとか、国際的に熾烈な資源の獲得競争を有利に展開することなどのチャンスでもあると思います。しかし、現在の円高が続きますと、大企業の多くが生産拠点の海外移転を検討すると報じられてもおりました。そうした中で、下請けとしてものづくりを土台の部分で支えてきた中小零細企業には、とりわけ深刻な影響が出ます。
 この円高にどう対処するかということでありますが、調べてみますと、ヨーロッパの抱えている問題は非常に深刻でありまして、これは前のギリシャの政府はうそついていましたが、実際に調べると、あの国の抱えている負債というのはGDPの一五〇%近い。これは日本がGDPに比べて二〇〇%の、国が借金持っているというのは論外の話ですが、ただ、ギリシャにしろ、スペインにしろ、イタリアにしろ、彼らの抱えている国の借財というのは、結局、外国の銀行や外国がその国債を買ったりしているんで、なかなか身動きがとれないけれども、日本の場合には二〇〇%というべらぼうな比率でありますけれども、これを貸している人間が、つまり日本の国債を買っているのは日本の国民であったり国内の銀行ですから、そういう意味で、まあ外国はそれをどういうふうに評価しているかわかりませんが、そういう現況を踏まえて、円高というのが彼らの意図によって維持されているという、非常に厄介な現況だと思います。
 しかし、現在の円高が続けば、大企業の多くが生産拠点の海外移転を検討するといっておりますし、そうした中で、下請けとしてものづくりを土台で支えてきた中小零細企業には、非常に深刻な影響が出ます。このように、円高はメリット、デメリットの両面がありますので、その両方をにらみながら、日本経済を強くしていく戦略が求められますけれども、残念ながら今の国には、日銀を含めて肝心な戦略が感じられない。この際、やっぱり国が責任持って速やかに、戦略的かつ総合的な手だてを講じるように、都としても強く求めていくつもりでおります。
 こうした状況においてこそ、東京には世界最高水準の技術を持ち、新たな技術の創造にも挑戦するすぐれた中小企業が数多く存在していることから、先端技術を磨き上げ、円高などの経済環境に左右されない、確固とした力を養っていくことが、これまでにも増して重要であると思います。このためにも、都はベンチャー技術大賞による先進的で高度な技術の発掘や、産業技術研究センターにおける中小企業の技術力向上への支援など、重層的に施策を展開し、東京の産業を維持発展させていきたいと思っております。
 次いで、今後の防災力強化についてでありますが、今回の東日本大震災によって、東京の都市としての脆弱性や、従来の直下型地震対策だけではなく、近い将来、非常に高いパーセンテージで到来するでありましょう東海、東南海あるいは南海三連動地震への備えが必要なことが明らかになってまいりました。
 今回の大震災を重要な教訓として、都民の安全の確保に向け、災害に強い都市づくりを進めて、都民一人一人の心の備えを固めるためにも、これまでに増して総合的に取り組むことが求められていると思います。
 先ほど申しましたが、東京に幾つかある木造住宅密集地域において、私自身もかつて阪神・淡路地震で、直後に視察に参りましたが、最大の被災地でありました東灘区、あるいは長田区を見ますと、住宅が壊滅しておりましたけれども、残っているのは、古い建物でも、鉄骨とか鉄筋の建物は全部残っておりましたが、木造住宅は完全にすべて倒壊しておりました。
 東日本大震災の直後の今こそ、防災の専門家によって必ずやってくる地震の怖さを伝えるなど、都民の意識に強く訴える取り組みを開始するとともに、延焼遮断帯となる道路の整備や建物の不燃化、耐震性を加速させたいと思います。
 また、大規模開発において地域エネルギー供給システムの導入を促進するなど、東京の隅々に発電装置を分散して配置して、発災地においても都市機能の維持に万全を期していきたいと思っています。
 さらに、東京の防災上の弱点を克服しながら、いざというときに一人でも多くの命が救われるように、まず都民の自助、共助を強く求めてまいりますし、そのためにも、防災隣組の構築に取り組んでいきたいと思います。
 こうした手だての一つ一つをたゆみなく講じて、都民の安全を守り、一刻たりとも日本の頭脳、心臓がとまらないように、東京の防災力を強化していきたいと思っております。
 次いで、被災地支援及び被災者の生活再建についてでありますが、大震災発生直後、福島、仙台、盛岡に設置した現地事務所からの報告によりますと、いわゆる散乱瓦れきの一次仮置場への集積は進んできましたが、一方で、解体を必要とする家屋等はほとんど震災直後の状態のままに放置されておりまして、そういう状態です。
 国の動きは残念ながら非常に鈍く、半年たったものの、インフラの本格復旧、被災地の産業再生や被災者の生活再建はとても進んでいるとはいいがたいものがあります。今こそ、現地の実情に即した手だてを果断に講じることが何よりも求められておりますが、ゆえにも都は、一日も早い復興に資するために、大きな現場を持っている東京でありますから、その強みを生かして、港湾施設、道路、河川等の災害復旧に当たる技術職員や、被災した学校の教育活動支援のための教員等を長期に派遣しております。
 また、売り上げ減少が深刻な被災地の中小企業の受注回復につなげるための商談会を開催しておりますし、観光の再生にもなる被災地応援のツアーなどを通じ、現地の経済再建を支援しております。
 都内に避難を余儀なくされた方々に対しては、かつての三宅島全島避難の経験からも、孤立化を防ぐための個別訪問や、生活の再建に不可欠な就業支援、若者たちに未来への希望を与えるための就学支援などが極めて重要だと思います。引き続き、生活全般にわたり目配りをきかせて、これらの方々を支援していきたいと思っております。
 都は、今後とも復興に向けみずから踏み出し、困難を乗り越えんとする被災地、被災者を支援していくつもりでございます。現に、先ほど岩手の知事から、向こうの廃棄物を、瓦れきを、他県で初めて東京が引き受けて、東京の運搬手段でこれを運び込んで処理するということを決めまして、非常に丁重な感謝の言葉をいただきました。そういう努力をこれからも重ねてしていきます。
 他の質問については、警視総監、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 交通の関係、三つご質問をいただきました。
 まず、最初のご質問でございますが、九月一日に実施いたしました交通規制訓練によって判明した課題とその改善策ということでございます。
 判明した課題は、いろいろあるのですけれども、主なものは三つでございます。
 一つは、大震災が発生した際には、かなりな規模の交通規制を実施することになるわけでございますけれども、都民の方々がこの交通規制が実施されることについて、十分に知っているとはいえない現状にあるということが一つであります。
 二つ目でありますが、交通規制を訓練してみたわけでございますが、交通規制に従事する側も規制されるドライバーの側も、手信号による指示や、防災型信号機というのがあるのですけれども、見なれないこの信号が出ますと、そういったものになれておりませんで、かなり戸惑いが見られたということが二点目。
 三点目でありますけれども、この本番では、いわゆる緊急交通路の確保が不可欠になるわけでありますが、そのためには、やはり相当の人員体制を、警察の側も迅速に確立する必要があるなというところが三点目でございました。
 これらの課題に対する改善策ですけれども、警視庁といたしましては、当然のことなのですが、今後あらゆる機会を通じて、大震災発生時に実施されることになる交通規制の内容、中身につきまして、さらなる周知徹底を図りたいと考えております。また、訓練も非常に重要でございまして、時間や場所などいろんな状況を想定いたしました上で、この緊急交通路を確保するための実践的な訓練を継続的に実施させていただきたいと考えております。
 また、警視庁には震災警備実施計画がございますが、これにつきましても、今後、国そして東京都と連携の上で、きめ細かな見直しを、実際的な見直しを検討していくこととしたいと考えております。
 それから、二点目でございますが、自転車事故防止の強化策についてお尋ねでございました。
 この自転車利用のあり方につきましては、老若男女を問わず、都民の多くの方々が高い関心を持っておられるところでございまして、自転車の安全マナーの向上は、治安対策的な観点からいたしましても、社会における規範意識の向上にもつながる非常に重要なテーマであると考えております。警視庁も全庁挙げて総合的に取り組んでいく所存であります。
 これまでも、各種メディアを活用した広報啓発活動でありますとか、自転車教室の開催、それからイベントの開催等を通じまして、自転車安全利用五則というのがあるのですけれども、この安全利用五則の周知に努めているところであります。
 やや具体的に申しますと、自転車教室やイベントにおきましては、スタントマンを使いまして実際にあった交通事故を再現する、いわゆるスケアードストレート方式によりまして、事故の怖さと危険性を実感していただけるような工夫もしているところであります。
 ことしの状況ですが、二十歳代と三十歳代の自転車事故が非常に多発しております。これを踏まえまして、各事業者や安全運転管理者に対しまして、通勤に自転車を利用している社員の通行ルールの遵守、そして安全マナーの向上のための指導を徹底していただくように働きかけもしているところでございます。
 一方、違反に対しましては、的確な指導警告を警察官がきちんとやるということ、それから、悪質な違反に対しましては積極的に取り締まりをやる必要があると考えております。
 ご質問の中にございましたけれども、ピスト自転車、これは制御装置のないものでございますが、このピスト自転車絡みのものを含めまして、昨年中は千四百三十八件の取り締まりを実施したところでございました。やや繰り返しになりますが、いずれにいたしましても、この自転車事故の防止は最も重要な課題でありますので、安全確保のための環境整備と指導取り締まりの両面から、積極的に対策を進めていきたいと考えております。
 最後でございますが、自転車の一方通行規制についてでございますけれども、この規制は、自転車の交通量が多いところで、相互通行をする自転車が交錯することによって事故が発生する危険性が高いと認められる自転車道につきまして、相互通行から一方通行に改めたものでございます。この規制によりまして、自転車通行の整序化が図られますとともに、事故の減少を期待しているところであります。
 今後でありますけれども、私どもといたしましては、自転車の通行実態等をよく見きわめました上で、道路管理者とも連携をして、今回導入したこの一方通行規制も含めまして、交通秩序のさらなる整序化について、検討をさらに進めていきたいと考えておるところでございます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、発達障害に対する教員の指導力向上についてでございます。
 発達障害のある児童生徒は、すべての学校に在籍していると考えられるため、すべての教員が発達障害の特性を理解し、指導方法等を身につけていくことが大切でございます。
 これまで都教育委員会は、発達障害のある児童生徒が学校生活や社会生活に適応し、自立と社会参加ができるようにするための研究や研修を行いますとともに、都内全公立学校の教員に対して、発達障害の特性や配慮事項等をまとめた資料を配布し、啓発に努めてまいりました。
 さらに、発達障害のある多くの児童生徒に、読み書きに関する障害が共通して見られることから、こうした学習上の困難に対する指導方法の研究に取り組み、今後、その成果を広く小中学校に普及して、教員の指導力の向上を図ってまいります。
 次に、発達障害のある高校生への配慮等についてでございます。
 発達障害のある高校生は、学習面や生活面でのさまざまな困難に加え、自己の障害に対する悩みや将来への不安がより深くなるため、このような課題への配慮が必要でございます。
 これまで都教育委員会は、すべての都立高校において、特別支援教育コーディネーターを指名して、障害の理解や校内の支援体制の構築、関係機関との連携のあり方等に関する研修を実施してまいりました。
 今後、都立高校の特別支援教育コーディネーターの資質向上研修をさらに充実させるとともに、都立高校と都立特別支援学校との連携を強化し、都立特別支援学校が有する発達障害のある生徒への配慮や指導方法に関する知見を都立高校に広め、発達障害のある高校生への教育の充実を図ってまいります。
 次に、テクノロジーの活用と研究についてでございます。
 近年、障害のある児童生徒の意思の疎通を容易にし、学習に対する関心や意欲を高めるために、ICT機器等のテクノロジーが活用されてきております。
 都教育委員会は、視覚障害や知的障害等の児童生徒の特性に応じたICT機器の活用が学習に有効であることから、これまで、都立特別支援学校にICT機器を配備するとともに、小中学校の特別支援学級でのICT機器の活用について啓発してまいりました。
 現在、発達障害に関する指導方法の開発のため、二つのモデル地域を指定して研究を進めておりますが、この中でICT機器の活用についても研究に取り組み、区市町村教育委員会と連携して、今後設置を進めていく予定の小中学校の特別支援教室における指導に生かしてまいります。
 次に、都立高校の入学者選抜におけるICT機器の使用についてでございます。
 障害のある生徒が都立高校を受検する場合には、中学校におけるふだんの授業と同様の状態で受検できるようにすることが望ましいと考えております。
 このため、現在、障害のある生徒に対して、保護者や中学校長の申請に基づき、検査時間の延長、問題用紙の拡大、補聴器やルーペ等の持ち込みなどの特別な措置を認めております。
 今後、中学校の授業において、障害のある生徒に対するICT機器の利用が一層進み、都立高校の受検においてもICT機器を活用することで、生徒が中学校で培ってきた能力をより一層発揮できる場合には、その導入について検討してまいります。
 次に、子ども向けデイジー図書についてでございます。
 デイジー図書は、視覚障害者に加え、その他の理由で読書が困難な方を対象とする音声や画像データを活用した図書のことであり、市販品が十分に普及していない状況にございます。
 このため、都立図書館では、子ども向けも含めたデイジー図書の増加に向けて、利用者のニーズに応じてみずから作成するとともに、都内公立図書館に対する作成研修会を実施しております。また、デイジー図書の協力貸出事業も本年四月から開始いたしました。
 今後とも、都立図書館においてデイジー図書の作成や購入に努め、都内の公立図書館や公立学校を通じ、子ども向けデイジー図書の利用サービスの周知を行い、より一層の利用促進を図ってまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水門や防潮堤などのさらなる耐震性の強化……(「聞こえない」と呼ぶ者あり)済みません、及び東部低地帯の水再生センターや排水機場等の耐水性の一層の強化についてでございますが、多くの人口や資産が集積している東部低地帯を守るためには、地震などに対する対策が極めて重要であります。
 このため、都はこれまで、水門、排水機場の耐震補強を行うなど、耐震性の向上を図るとともに、水再生センターなどについて耐水性の確保に努めてまいりました。
 今般の大震災を踏まえ、今後の防災対策のあり方について提言を行うことを目的に設置しました技術検証委員会の中で、施設の耐震性や耐水性のさらなる強化について検証を進めてまいります。ここでの提言を受け、国や関係局との連携を図り、年度内を目途に、都としての基本方針をまとめてまいります。
 今後とも、安全で安心な東京の実現を目指し、新たに必要となる施策を速やかに実施してまいります。
 次に、水門の運用及び関係機関との連絡体制についてでございますが、水門の操作は、国や都などの管理者が、各施設の設置位置などを踏まえた操作規則に基づき、それぞれが行っております。
 国が管理する水門については、洪水や高潮を対象に、河川の水位が上昇した場合に閉鎖することとしており、津波に関する明確な定めはありません。今般の大震災の際には、河川水位が基準に到達していなかったものの、現場の判断により閉鎖されました。国においては、津波を加味した操作ルールの整備などの対応を開始したと聞いております。
 都が操作する二十九カ所の水門については、地震発生に合わせて速やかに閉鎖を実施いたしました。このうち河川の水門においては、本年四月より一元的に遠隔監視制御できる水門管理センターを開設し、より迅速かつ効率的な運用を行っております。東京港においては、高潮対策センターのバックアップ機能の強化など、さらなる改善に取り組んでおります。
 また、関係機関との連絡体制については、これまでも東京都水防計画などにより、管理者間の情報の共有化を進めてきたところでございますが、より一層の連絡強化を図ってまいります。
 さらに、本年十月二十九日の東京都総合防災訓練において、国や区、警視庁、東京消防庁などと合同し、地震時の停電を想定した初めての水門操作訓練などを実施し、関係機関との連携を徹底してまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 総合特区制度の活用の効果についてでございますが、昨日、国に対しまして外国企業や研究機関の誘致を目的としたアジアヘッドクオーター特区の指定申請を行ったところでございますが、外国企業による直接投資は、すぐれた経済資源を呼び込み、高い生産性をもたらすということなど、東京の経済を活性化させることにつながるものというふうに認識をしております。
 特に、東京が誇る高い技術を有する中小企業やベンチャー企業にありましては、外国企業とのビジネス交流を通じて、新たな技術、新たなサービスの開発や販路拡大が期待できるものというふうに考えております。
 このため、総合特区の取り組みといたしまして、ビジネスコンシェルジュを活用いたしまして、誘致した外国企業と都内中小企業のマッチングを行いますとともに、新製品、新技術の研究開発にかかわる経費への助成なども活用しながら、都内中小企業を支援してまいります。
 今後、総合特区制度を活用して、東京の産業の活性化を促し、東京の国際競争力を高め、日本の成長を牽引してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市再生の推進でございますが、都はこれまでも都市再生緊急整備地域において、事業者からの優良な提案に対して、自由度の高い計画を可能とする都市再生特別地区を活用し、経済力を高める拠点の形成を進めてまいりました。
 本年四月の法改正により、都市の国際競争力の強化を図ることを目的として、税制の特例などが拡充された特定都市再生緊急整備地域の制度が導入されました。これを受け、都は国に対し、昨日、国際競争力や防災力を強化する観点から、地域指定及び当該地域の整備方針案の申し入れを行い、国際的なビジネス機能の導入や自立分散型エネルギーの確保などに取り組んでまいります。
 今後とも、総合特区と連携しながら、都市再生特別地区などを積極的に活用し、東京の都市再生を強力に推進してまいります。
 次に、東京ユビキタス計画の今後の取り組みでございますが、これまで銀座地区などを対象に、まちの情報提供や移動支援に取り組んできており、今年度からは普及の進んできたスマートフォンを活用し、汎用性を高める取り組みを行う予定でございます。
 一方、東日本大震災では携帯電話が利用不能となるなど、災害時における情報提供の難しさが明らかになりました。ユビキタス技術は、移動を支援する技術として有用性を確認しており、外国人、そのまちを初めて訪れる人、障害のある人など、いわゆる移動制約者に対する災害時の情報提供手段としても有効であると考えております。
 今後、新たに地下街を含めた避難経路案内など、災害時における位置特定技術の活用について検討し、防災にも寄与するシステムの構築につなげてまいります。
 次に、液状化対策の検討でございますが、東日本大震災では都内の内陸部においても液状化が発生し、建物被害が生じたことから、都は本年七月、建築物液状化対策検討委員会を設置いたしました。今後、検討委員会での検討を踏まえ、建物の所有者や設計者に対して、液状化の可能性や具体的な対策について情報を提供してまいります。
 また、国においては、本年八月、液状化対策技術検討会議の検討成果を公表した際に、公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策についても、今後検討していくことといたしました。
 都の検討委員会においては、国の検討状況も勘案しながら、液状化対策の検討を進めてまいります。
 次に、住宅マスタープランの改定でございますが、東京を今後とも国際都市として発展させていくためには、高度防災都市へと再構築することが求められており、住宅政策においては、木造住宅密集地域の不燃化やマンションの耐震化、建てかえなど、ストックを再生することにより、防災上の弱点を克服することが喫緊の課題でございます。また、少子高齢化が進む中で、高齢者世帯や子育て世帯が安心して暮らせる住まいや居住環境の整備が求められております。
 こうした課題など、社会経済状況の変化にかかわる諸課題への対応について、現在、住宅政策審議会で議論いただいており、これを踏まえ、年度内に策定する新たな住宅マスタープランにおいて、今後の住宅政策の展開を示してまいります。
 次に、既存の都営住宅へのエレベーター設置でございますが、都営住宅では、自治会からの要望がある団地を対象としてエレベーターを設置しておりますが、設置後に使用料が上がること、保守の費用や電気代の負担が生じることなどから、現在は居住者全員の同意を求めております。
 しかしながら、居住者の高齢化がますます進行するなど、都営住宅のバリアフリー化の推進が急務となっており、既存住棟へのエレベーター設置の必要が一層高まっていると認識しております。
 このため、今後は、全員同意を原則としつつ、エレベーターの使用や維持管理が円滑に行われていくと見込まれる場合などには、全員同意の要件について弾力的な運用を図ってまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問についてお答えいたします。
 まず、東京のビジネス拠点としての魅力発信についてであります。
 東京のすぐれたビジネス環境を外国に紹介して、海外企業の誘致を行い、都内中小企業の新たな事業展開に結びつけていくことは重要であります。
 こうした観点から、都は海外企業誘致セミナーを欧州で開催いたしまして、都内中小企業のすぐれた技術を現地で直接PRするなど、東京の魅力を発信しております。あわせて、東京進出に関心のある海外企業に産業交流展への出展を働きかけ、都内中小企業との商談の機会を提供しております。
 また、東京ビジネスエントリーポイントを通じまして、海外企業の東京進出に必要な情報提供や都内で営業を行うためのサポートをきめ細かく行っております。
 さらに、昨日、アジアヘッドクオーター特区の申請を行ったところでありますが、こうした取り組みも含めまして、東京のビジネス環境の魅力の向上や発信を着実に進めてまいります。
 次に、産業空洞化への対応についてでありますが、現在の円高がこのまま継続いたしますと、中小企業に与える影響が懸念されます。都内の各地域には、ものづくりの工程に不可欠な技術を持つすぐれた中小企業が数多く集積しておりまして、そうした会社、企業が、今後も東京で生産活動を続けることのできる環境の整備を検討してまいります。
 次に、ロボット産業に対する支援についてであります。
 ロボット産業は、多摩地域の中小企業のすぐれた技術力を生かして、高い成長性と経済波及効果が期待できるため、都として戦略的に育成することとしております。
 都は、多摩シリコンバレー形成の核となる産業分野の振興を目指します都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業の中で、一昨年からロボット産業推進機構を立ち上げ、ロボット産業の育成を支援しております。
 この推進組織では、多摩地域の大手企業、中小企業、首都大学東京などが参加いたしまして、交流や連携を促進するセミナーを行うとともに、ロボットを組み込んだ製品の開発やビジネスモデルの検討を進めてまいりました。現在は、健康福祉の分野でロボット技術を一部に活用した試作機をつくり、実証実験を行っております。
 今後は、開発中のロボット技術の実用化に向けて、産業技術研究センターの研究員によるアドバイスや、新製品・新技術開発助成事業などを活用した資金面などでのサポートを行ってまいります。こうした取り組みを総合的に実施して、ロボット産業の育成を着実に支援してまいります。
 次に、被災地への遊休設備等の提供についてであります。
 全国各地の会社から使用していない設備を被災地の中小企業に提供し、事業の早期の復旧を図ることは効果的であります。
 ご指摘の遊休設備等を被災地に提供する取り組みにつきましては承知をしております。全国からさまざまな設備を被災した企業に届け設置する仕組みが円滑に機能するためには、国が責任を持ち、サポートすることが必要であると考えます。
 都は、被災した企業の復旧が確実に進むよう、遊休設備を輸送する経費等の負担軽減について、今後、国に働きかけを行ってまいります。
 最後に、障害者の雇用拡大に向けた企業等への働きかけについてであります。
 都はこれまでも、雇用の受け皿となる企業に対しまして、発達障害者を含めた障害者の特性や雇用に当たっての留意点などをまとめたハンドブックの作成配布のほか、関係局と連携した企業向けのセミナー等の実施など、障害者雇用について理解を促してまいりました。
 また、東京しごと財団において、障害者の職場実習に対する支援や企業説明会を行うなど、マッチングを支援しているほか、障害者と企業の実情に応じて、職場環境の調整や作業能力の向上に関する助言を行う東京ジョブコーチ支援事業の拡充を通じて、障害者の適性に合った採用拡大を図っております。
 これらに加えまして、今年度から、中小企業における障害者雇用拡大の機運を醸成するため、意欲のある中小企業を対象として、採用前の準備から採用後の定着まで一貫して支援するモデル事業を開始いたしました。
 なお、就職に必要な技能、知識を習得するための職業訓練を、東京障害者職業能力開発校及び職業能力開発センターで展開するとともに、民間教育訓練機関等を活用して、個々の障害者の特性に配慮した訓練を実施しております。
 こうした施策によりまして、都が掲げる障害者雇用の目標の早期達成に向け、関係機関と連携して企業での雇用促進を図ってまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問でございます。
 まず、自立分散型発電の導入に向けた取り組みについてでございますが、自立分散型発電設備の導入に際しましては、電気と発電とともに発生する排熱の両方を上手に活用してエネルギー効率を高め、CO2の削減とエネルギーの有効利用を図ることが重要でございます。
 都はこれまで、地域におけるエネルギー有効利用計画制度を活用し、開発時における効率的なエネルギーの利用を促してまいりましたが、今後、この制度の活用によって、より効率的な分散型発電の導入を促してまいります。
 また、ご指摘のとおり、立地条件等に適した設備の導入を誘導するなど、民間の都市開発とも連携した高効率な分散型発電の整備を後押しする仕組みを構築してまいります。
 加えまして、自立分散型発電の普及の支障となっております電気事業や熱供給事業に関する法律上の諸制度の見直しを国に対して求めてまいります。
 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてございますが、まず、来年度施行予定の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度につきましては、今後、具体化される買い取り価格及び買い取り期間が普及拡大の速度を大きく左右しますため、都は、適正な価格及び期間の設定を引き続き国に強く要望してまいります。
 一方、都における今後の再生可能エネルギーの導入促進策につきましては、先日、開催いたしました東京都環境審議会におきまして、太陽エネルギー機器の設置をする際の初期費用の軽減方策や、特定の建築物に対する設置義務づけ制度、いわゆるソーラーオブリゲーション制度など、導入促進に資する国内外の先進事例について、活発な議論が行われました。
 都は、このような先進事例も参考に、太陽エネルギーを中心とした再生可能エネルギーの一層の導入促進策の構築に向けて検討を進めてまいります。
 最後に、波力発電についてございますが、ご指摘のとおり、都の呼びかけにより設置されました波力発電検討会における検討を踏まえまして、民間事業者によって、伊豆諸島の海域における波況の調査が既に実施されております。今後の実証実験の実施が可能な海域が把握されております。
 一方、国におきましては、本年度から波力も含む海洋エネルギー技術の研究開発支援が開始される予定となっておりまして、現在、この制度を活用した海域への発電装置の設置による実証実験の実施が目指されております。
 都は、波力発電に取り組む民間事業者と引き続き連携し、実験の進捗状況を的確に把握するとともに、必要な協力を行いながら、我が国における海洋エネルギー活用の実現に貢献してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域と事業者との連携による防災力の向上でございますが、都内には住宅と事業所が混在する地域も多く、自助、共助の実現に向け、住民と事業者の連携を図ることが重要でございます。これまでも町会、自治会、事業者など地域の関係者が連携して、防災訓練の実施や消防水利の確保、近隣の福祉施設との災害時応援協定の締結など、さまざまな取り組みが各地域で行われております。
 都は区市町村と連携して、ご指摘のようなこうした事業者と住民が協働した支え合いの取り組みについても発掘、後押しし、広く波及させることにより、地域における共助の取り組みである防災隣組の構築につなげてまいります。
 次いで、避難対策にかかわる検討組織の設置についてでございます。
 首都直下地震等の大震災や台風等の大規模水害が起こりますと、膨大な数の避難者が発生するとともに、災害により避難経路が寸断されるおそれがあります。このような大規模災害の発生に備え、ハード対策に加えて、避難誘導などのソフト対策を講じておくことが重要でございます。
 都はこれまでも、国や関係自治体とともに、大規模水害時の広域的な避難のあり方について検討を進めてまいりました。
 今後、避難の実効性をさらに高めるため、東京都防災会議に区市町村や防災機関、学識経験者などから成る検討組織を設置し、大震災や大規模水害を想定した総合的な避難対策を検討してまいります。
 次いで、防災船着き場についてでございます。
 大規模災害時における負傷者の後方医療施設への搬送や緊急支援物資の輸送につきましては、道路ネットワークだけでなく、都内の河川を活用していくことも重要であります。
 都はこれまで、防災船着き場を主に物資の輸送経路として位置づけてまいりましたが、今後は、避難者や傷病者の避難経路としても活用することも可能と考えております。
 しかしながら、発災時における防災船着き場の運用主体は区であり、実際の避難誘導も行うことから、区との調整を十分に図りつつ、防災船着き場の避難経路としての活用方策について検討してまいります。
 次いで、島しょ部の津波対策についてでございます。
 東日本大震災では、想定を上回る津波が発生し、甚大な被害をもたらしたことから、東京においても、島しょ部の津波対策を適切に講じていくことが必要であります。
 都はこれまで、東海地震や東南海、南海地震に関する国の中央防災会議における被害想定に基づき、島しょ地域の津波浸水予測調査を行い、海岸保全施設等の整備を推進するとともに、島しょ町村のハザードマップ作成を支援してまいりました。
 現在、国において、東海、東南海、南海三連動地震等に関する被害想定の見直しが検討されており、その内容も踏まえながら必要な対策を講じてまいります。
 次いで、ヘリコプターの緊急時の離着陸場所の確保でございます。
 都はこれまで、発災時におけるヘリコプターの有効活用を図るため、陸上輸送との連携等を考慮しながら、緊急時に離着陸できる場所を、都内におおむね二百カ所確保してまいりました。
 今回の東日本大震災では、浸水地域からの住民の救助活動等を通じて、ヘリコプターによる活動の有効性が再確認されております。こうした経験を踏まえて、発災時におけるヘリコプターの機動性を十分に発揮できるよう、緊急時の離着陸場所の確保に向けた取り組みを進める必要があります。
 今後、国、区市町村、関係機関と連携しながら、緊急時の離着陸場所の拡充に向けて取り組んでまいります。
 次いで、報告団体の類型化についてでございます。
 報告団体を個別に見ますと、団体の性格や事業内容などはさまざまであり、団体を取り巻く状況の変化や都との関連性に応じ、適切に関与していくことが重要であります。このため、類型化の検討に当たりましては、出資比率や都財政支出の割合などの定量面とともに、団体の成り立ちや経営の自律性などの定性面の両面から評価を行いました。
 この結果、今後、監理団体として指導監督することが適切な団体として、財団法人東京都人材支援事業団を抽出し、引き続き報告団体とする中においても、都との関連性が高い団体及び低い団体を類型化いたしました。
 なお、類型化の検討過程におきまして、社団法人東京労働者共同保証協会につきましては、関係団体への事業譲渡を決定し、本年六月に団体の清算に至っております。
 最後に、報告団体に対する関与のあり方についてでありますが、今回の類型化を踏まえ、都との関連性が高い団体に対しましては、これまでの報告に財務状況や個別事業の内容が確認できる事項をさらに追加することで、事業の執行状況を詳細に把握していくとともに、関連性が低い団体につきましては、報告団体としての位置づけについて不断に見直しを行ってまいります。
 また、都の財政支出を受け事業執行をしている団体につきましては、事業評価により、当該事業の必要性や効果、手法などに関して的確に検証してまいります。
 今後も、報告団体みずからの経営責任による自主的な経営を踏まえつつ、都として事業執行の状況など団体の実態把握に努め、団体に対して適切に関与してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 三宅島における津波対策についてでございますが、お話の大久保港海岸の護岸は、現在想定されている最大の津波が満潮時に襲来した場合でも、干潮面からの高さは約四・三メートルと推算されており、現地の最小護岸高が十・二メートルであることや、地盤高も八・五メートルあることから、現在の想定を前提とすれば安全性は確保されていると考えております。さらに、前面には消波ブロックも設置し、万全を図っているところであります。
 しかしながら、今回の東日本大震災を踏まえ、国の中央防災会議においては、新たな津波想定が検討されております。その結果などを踏まえながら、今後、都として適切に対応してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 九点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、ドクターヘリによる相互応援についてでございますが、都では、大規模災害発生に備えまして、全国都道府県や九都県市などと、広域応援や相互応援に関する協定を締結しており、この中で災害時における救助等のための人員派遣や救援、救助活動に必要な車両、ヘリコプターなどの提供について規定いたしております。
 東日本大震災では、全国から派遣されたドクターヘリが被災地の病院からの患者搬送等において活躍いたしました。
 今後、都は、今回のドクターヘリの活動実績を踏まえまして、東京で災害が起きた場合に他県からのドクターヘリを円滑に運用できるよう、都内に集結する際の拠点、活動区域、指揮命令系統などにつきまして関係機関と調整をしながら、具体的な運用計画を検討してまいります。
 次に、災害拠点病院のヘリポートへの夜間照明の整備についてでございますが、現在、都内では、緊急離発着場としてのヘリポートを設置いたしております災害拠点病院は二十施設ございまして、このうち十六施設には既に夜間照明が整備されております。
 お話のように、災害時の医療活動につきましては、夜間運用も想定して対応することが必要でございます。
 都としては、国と都が整備基準額の三分の一ずつを負担いたします緊急離発着場整備のための補助制度も活用しながら、今後、夜間照明のない災害拠点病院に対してその整備を働きかけますとともに、新たにヘリポートを設置する病院に対しても、夜間照明を含めた整備を支援してまいります。
 次に、災害時医療における船舶の活用についてでございますが、船舶は陸路が寸断された場合でも、いっときに大量の搬送が可能であるという利点がございます。
 こうしたことから、都では、災害時に被災者や救援者等の輸送や臨時宿泊施設として船舶を活用できるよう、関係団体と協定を締結しております。
 また、ドクターシップについて、国におきまして、災害応急対策を実施する際に必要となりますさまざまな機能を有した災害時多目的船について調査検討すると聞いております。
 今後、都では、国の動向も注視しつつ、首都直下地震に備え、宿泊施設となった船舶への医療救護班の派遣など、災害時における船舶を活用した効果的な医療救護活動について、関係機関とも連携をいたしまして、積極的に検討してまいります。
 次に、緊急被曝医療体制についてでございますが、現在、我が国の緊急被曝医療体制は、国の防災基本計画に基づきまして、原子力発電所の所在地等の十九道府県にのみ構築されており、必要な診療資器材の整備等に要する経費として国から交付金が交付されておりますが、都は対象となっておりません。
 そのため、都は、今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、国に対し、国の責任において緊急被曝医療体制の見直しを行うとともに、すべての都道府県に必要な診療器材を整備するよう提案要求を行いました。
 また、今回の事故に伴い、東京に避難してきた地域住民等の放射能への不安を払拭するため、保健所において健康相談に応じますとともに、医療機関が輪番で外部被曝した放射線量の検査を行ってまいりました。さらに、高線量被曝の可能性が高く、専門的な治療が必要な場合には、対応が可能な都内の医療機関に受け入れを要請いたしております。
 緊急被曝医療体制の構築は国の責任で行うべきであることから、引き続き国に対し、体制整備について提案要求をいたしますとともに、専門的な治療が必要な場合に備え、医療機関との連携に努めてまいります。
 次に、災害拠点病院における水の確保についてでございますが、災害拠点病院が災害時においても医療機能を維持し、傷病者の治療を継続するためには、ライフラインの確保に向けた事前の備えが重要でございます。水の確保につきましては、病院の規模や立地条件を踏まえ、使用量を最小限に抑える節減対策と必要な使用量の確保対策の両面から取り組む必要があると考えております。
 都は、現在、災害拠点病院に対しまして、災害時のBCP策定を働きかけており、透析などの医療用水や飲料水など、用途別に通常時の使用量と災害時の最小使用量を把握するよう促しております。
 また、国の災害医療等のあり方検討委員会では、災害拠点病院における水の確保が論点の一つに挙げられており、井戸水の活用についても議論されております。
 都は、今後、災害拠点病院の水の確保につきまして、国の検討会での議論を踏まえながら、地域防災計画の修正にあわせ、検討を進めてまいります。
 次に、牛肉の放射性物質の検査体制についてでございますが、現在、牛の出荷制限の対象となっていた福島県等の四県では、個々の農家の飼育環境を綿密に調査した上で、汚染稲わらを与えた可能性のある農家の牛については全頭、それ以外の農家に対しては一頭以上について、と畜した牛肉を検査し、安全を確認いたしております。
 また、都の食肉市場では、産地にかかわらず、卸売業者が民間検査機関による自主的な検査を開始しており、安全性が疑われる測定結果が出た場合には、都が確定検査を行う体制を整えております。
 今後、都は、牛肉に対する都民の不安を払拭するために、新たに短時間で多数の検査が可能な機器を導入するなど、食肉市場における全頭検査の実施に向けて検査体制の充実を図ってまいります。また、検査結果の都民への提供につきましても、中央卸売市場、市場の関係団体、芝浦食肉衛生検査所が連携しながら体制づくりを進めております。
 次に、高齢者の医療、介護サービスつき住まいについてでございますが、高齢者の多くは、要介護状態になっても、可能な限り住みなれた地域や自宅で生活し続けることを望んでおります。
 都はこうしたニーズにこたえるため、施設サービス、在宅サービス、ケアつき住まいなどのサービス基盤の整備を進めており、その中で医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業や、利用者の所得水準にも配慮して、居室面積や職員配置基準を緩和した都市型軽費老人ホームの設置に取り組んでおります。
 現在、医療福祉サービスでは、低所得者対策として、保険料やサービス利用料の軽減策が実施されており、都営住宅においては、住宅施策として、所得に応じた家賃設定が行われております。
 今回、高齢者住まい法が改正され、国土交通省と厚生労働省が連携をするサービスつき高齢者向け住宅制度が創設されましたが、都としても、福祉部門と住宅部門が連携し、高齢者が必要な医療、介護サービスを受けながら地域で暮らし続けることができる方策につきまして、十分な検討を行ってまいります。
 次に、里親支援機関事業についてでございますが、都は、養育家庭が地域において孤立することがなく生活できるよう、児童養育のノウハウを持つ民間団体などを活用して、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業を平成二十年度より実施いたしております。
 この事業では、児童の心理に係る内容には臨床心理士が、里親特有の悩みには里親経験者が、訪問や電話で対応しておりまして、養育家庭からは、相談しやすく安心感を得られるとの評価を得ております。
 しかしながら、今回、養育家庭で発生いたしました事件の重大性を考えますと、児童相談所と関係機関が連携し、養育家庭が抱えるさまざまな悩みを、これまで以上に確実に受けとめることが重要であると認識をいたしております。
 今後、児童相談所の支援を一層充実いたしますとともに、里親支援機関事業につきましても、その事業実績や養育家庭のニーズを踏まえながら、支援のさらなる充実に向けて検討してまいります。
 最後に、児童の自立支援についてでございますが、児童養護施設等を退所した児童が社会で自立し、安定した生活を送るためには、入所中の指導はもとより、退所後についても必要な支援を継続していく必要がございます。
 そのため、都はこれまで、退所した児童に生活、就労に関する相談や指導などの支援を行う施設に対し、独自の補助を行うほか、児童同士の交流を支援するなどの取り組みを進めてまいりました。
 今回行った児童養護施設等で育った児童への調査では、退所直後に困ったこととして、孤独感や孤立感、金銭管理や職場での人間関係の悩みなどが多いこと、その相談相手として施設職員に寄せる期待が大きいことなどが改めて明らかになりました。
 今後、社会的養護のもとで育つ児童の自立に向けて、こうした調査結果も踏まえ、児童養護施設等の入所中から退所後に至るまでの支援の充実を検討してまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) スポーツを通じた被災地復興支援についてでございますが、都は、岩手、宮城、福島、茨城の四県から合計百二十五名の子どもたちを招待し、お話の野球とサッカーによるスポーツ交流事業や、海外十三都市が参加してバドミントンと柔道で競い合うジュニアスポーツアジア交流大会に参加してもらうなど、被災地の子どもたちがスポーツに接する機会を提供してきました。招待された子どもたちは、思い切り汗を流すとともに、地域のお祭りや花火大会に参加することでさまざまなストレスを発散し、明るい笑顔を取り戻しておりました。
 来月行われます世界体操選手権や、十一月に開催されます競泳ワールドカップなど、東京で開催される国際大会への招待事業などにも取り組み、被災地の子どもたちに勇気と希望を与えられるよう、これら事業を今後も積極的に推進してまいります。
   〔消防総監北村吉男君登壇〕

〇消防総監(北村吉男君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、震災に備えた体制の強化についてでありますが、東日本大震災を踏まえ、大規模かつ複合的な災害に対処するため、ハイパーレスキュー隊や航空隊などの特殊部隊はもとより、個々の部隊及び隊員の活動能力の向上など、より一層消防活動体制を強化することは極めて重要であると認識しております。
 このため、早急に整備が必要な装備資機材について、東京緊急対策二〇一一に反映いたしました。
 今後は、震災を初め、NBC災害、局所的集中豪雨や土砂災害など、さまざまな災害により機動的に対応できるよう、人的、組織的な体制について幅広く検討するとともに、引き続き、部隊、車両、資機材等の消防活動体制の充実強化に努めてまいります。
 次に、大規模な災害における効果的な消防活動体制についてでありますが、東日本大震災において、消防ヘリコプターは、情報収集に加え、津波等により消防車両が進入できない孤立した地域での人命救助などに極めて高い効果が認められました。
 東京においては、首都直下地震などが発生した場合、消防ヘリコプターと救助隊や救急隊などの連携、機動性の高い消防活動二輪車の活用など、部隊の特性を相互に補完し合うことで、さらに多角的な消防活動が展開できると考えております。
 今後、震災などの大規模複合災害に対処するため、部隊をより効果的に連携させるなど、総合的な運用方策について検討してまいります。
 次に、東日本大震災を踏まえた消防団の資機材及び分団本部施設整備についてでありますが、これまでもチェーンソー、油圧式の救助資機材や分団本部施設を計画的に整備してまいりました。このたび東京緊急対策二〇一一により、消防団の震災活動資機材として、携帯無線機、電光標示器、新型防火衣などを拡充整備することにいたしました。
 また、分団本部施設については、消防団の活動拠点として重要な施設であると再認識したところであり、分団本部の機能を維持するため、専用の非常用発電機を備えるとともに、今後も一層の耐震性等を考慮し、整備を進めてまいります。
 次に、消防団員の携帯メールを活用した情報伝達による負担軽減についてでありますが、携帯メールによる情報伝達は、震災時等の情報伝達手段の二ルート化を図るため、従来の電話によるものに加えて、平成十九年十二月から導入しております。
 今後も引き続き、災害出場の伝達のほか、管内の災害情報についても適宜情報提供するなど、携帯メールを活用した情報伝達の充実に努めてまいります。
 最後に、消防団員の活動を休止する制度の見直しについてでありますが、現在、消防団員は、長期的な病気入院や海外出張などにより一定期間活動できない場合は、消防団活動を休止できることになっています。しかしながら、お話のとおり、近年、核家族化や高齢化など社会環境の変化により、介護、子育てなどの理由でやむなく退団に至るケースがあると認識しております。
 今後、このような特別の事情がある場合においても、一時的に消防団活動を休止できるよう、制度を見直してまいります。

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