平成二十三年東京都議会会議録第十二号

   午後三時十分開議

〇副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十二番鈴木あきまさ君。
   〔百十二番鈴木あきまさ君登壇〕

〇百十二番(鈴木あきまさ君) 平成二十三年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 東日本大震災から半年が経過いたしました。被災地には、未曾有の大災害のつめ跡が依然として残り、被災された方々の苦難が続いております。東京にも、約八千人の方が避難を余儀なくされております。
 今ほど政治の存在価値が問われるときはありません。夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。吉田松陰が、次の世代を担う若者たちに教えた言葉ですが、私は野田新首相に贈ります。新内閣には、国家、国民のために頑張ってもらわなければいけません。日本は、まさにがけっ縁に立ち、正念場を迎えているからです。
 今月九日、石原知事が突きつけた新内閣への建言は、新政権にとって、我が身を振り返り、みずからを正すきっかけになることを期待します。この建言の中でも、とりわけ重要なのは、一度は都議会自民党と知事とのタッグマッチで消し去ったはずの首都機能移転が再燃しないようにくぎを刺し、法人事業税の暫定措置を即時撤廃し、日本の頭脳、心臓である東京の防災力強化に充てることを宣言されたことであります。
 民主党政権には、国家を成長させ、国を富ませるという視点が決定的に欠けていると思います。日本がじり貧になる中で、事業仕分けなるパフォーマンスよりも、将来の発展の芽をはぐくむことこそ不可欠です。
 そうした新たな可能性の宝庫が東京であり、東京の機能を弱めることが日本の衰退につながるという極めて重要なことを改めて国には肝に銘じてもらわなければなりません。地震が起きたから東京の機能を分散させるというのは余りに短絡的で、大都市が国家を引っ張っていくという二十一世紀の常識を無視した暴論であります。
 常に国家を憂い、日本の将来を見据えて発言し、行動されてきた知事に建言に込めた思いを伺います。
 これまで、都では「十年後の東京」計画を未来図に、さまざまな先進的な政策を着実に展開してきましたが、先般、この「十年後の東京」計画を改定することを明らかにしました。
 「十年後の東京」計画では、水と緑の回廊で包まれた都市、世界で最も環境負荷の少ない都市といった夢のある将来像を描き、その実現を目指し施策を推進してきましたが、今回の改定においても、発生が危惧されている大地震に備え、東京を高度防災都市へ生まれ変わらせるとともに、震災を乗り越え発展していく東京の新たな都市像を示し、東京から日本を牽引していく力強い将来像、将来展望を示すべきと考えます。
 こうした東京の将来を描く上では、地元区市町村の声を十分に反映することも必要です。都でも今回の計画の改定に向けて、区市町村に意向調査を実施したとのことですが、どのような要望が寄せられているのか、また、計画策定に向けてこうした要望をどう生かしていくのか伺います。
 次に、力強い将来展望を支える財政についてです。
 都財政は、これまでの堅実な財政運営により健全性を保っているものの、我が国の景気の先行きは、円高や海外景気の減速、国の復興対策のおくれなどにより、不透明となっており、景気の影響を受けやすい都財政は決して安泰といえる状況にはありません。
 とりわけ、リーマンショックの影響で前年度から一兆円も減収となった都税収入が、平成二十二年度決算においても回復することなく三年連続の減収となる中、法人事業税の暫定措置については、首都東京の防災力強化に向けた取り組みを加速させていく上でも大きな足かせとなっております。
 国、地方ともに巨額の長期債務残高を抱え、財源不足が深刻化している状況において、税制の抜本改革の先送りが許されないことは明らかです。今こそ国は真剣に税制の抜本的改革に取り組むべきであり、その議論の前提として、法人事業税の暫定措置は直ちに撤廃するべきであります。
 今後、暫定措置の撤廃に向けた取り組みを一層強化していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 東日本大震災の復旧、復興と防災対策について伺います。
 我が党は、東日本大震災復旧・復興対策推進本部のもとに二つのワーキングチームを設置し、ハード、ソフト両面からの多面的な議論を積み重ねているところであり、今後、高度防災都市づくりに向けて積極的な提言をしてまいります。
 とりわけ、高度防災都市づくりに取り組むに当たっては、これまでの取り組みのスピードアップやブラッシュアップに加え、新しい都市のモデルを具現化するという視点も不可欠です。
 例えば、電力供給が制約される新しい局面に対応し、多様なエネルギーの確保に加え、最新技術により電力需給をコントロールし、省エネルギーで活動できる都市、また、水や食料等の備蓄倉庫、発電や通信の設備を備えた防災拠点を整備し、企業や住民が安心して過ごせる都市など、未来型の防災都市を構想していくことです。
 こうした都市は、一朝一夕には築き上げられませんが、こうした時代の先を見据えた大局的な観点を持ちながら取り組んでいただきたいと思います。
 都は今般、東日本大震災における東京都の対応と教訓を取りまとめ、今後取り組むべき課題を整理し、十一月に取りまとめる東京都防災対応指針で、その取り組みの方向性が明らかにされますが、まず、インフラ整備など都がやるべきものはしっかりと盛り込み、精力的に進める必要があります。
 次に、東京の防災力の強化には、国や区市町村、民間企業、都民、あらゆる関係者の総力を結集する必要があります。
 まず、首都東京の防災対策の目指す方向を明確に示すためには、国と連携して、あるいは国をリードして、全体の枠組みを提言していくことが求められます。また、避難誘導などの担い手である区市町村の取り組みを支援するため、都が広域自治体として、コーディネーターの役割を果たすことも必要です。さらに、防災対策の基本は自助、共助であり、都民や事業者の多様な取り組みを応援し、活性化していくことも重要です。
 指針では、こうした総合的、重層的な視点に立って、それぞれの対策を打ち出すべきです。こうした観点から、東京の防災対策について具体的に伺っていきます。
 まず、都が行うべきインフラ整備等のハード対策についてです。
 木造住宅密集地域の改善は、東京を高度防災都市とする上で最重要課題の一つです。大地震が発生し、この地域が延焼した場合、首都東京の都市機能に多大な影響を及ぼすだけではなく、我が国全体の危機にもつながりかねず、今の状態を放置しておくわけにはいきません。
 知事は所信表明で、今後十カ年で木造住宅密集地域の不燃化の取り組みを加速させることを明らかにしました。これまで都と区が取り組んできた経験をもとに、地域の状況に応じた有効な施策を組み合わせることにより、木造住宅密集地域の改善をより一層促進させることが必要です。
 東日本大震災が発生した今こそ都がリーダーシップを発揮して、木造住宅密集地域の改善に取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 木造住宅密集地域を改善するためには、延焼遮断帯となる道路の整備や、街区の中の建物の不燃化を一体的に進めることが重要です。都市計画道路の整備は、焼けどまりの空間を確保するとともに、それを契機に土地利用の転換が図られ、沿道建物などの不燃化促進も期待される重要な事業です。
 そこで、都市計画道路の整備による木造住宅密集地域の延焼遮断帯の形成について伺います。
 また、地域内における建物の不燃化を進めるため、今後、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、建築物における液状化対策についてお伺いをいたします。
 東日本大震災により、都内では埋立地だけではなく、内陸部においても、液状化が発生し、木造住宅を中心として、建築物が傾くなどの被害が生じました。いつ起きてもおかしくない首都直下地震や、連動の可能性が指摘されている東海、東南海、南海地震の発生に備え、今回の大震災による被害や地盤の状況を調査し、その実態を明らかにして、都民の不安を解消していく必要があります。
 我が党は、さきの定例会において、液状化対策を的確に講じていくことが重要であると指摘し、都は早速専門家を含めた検討委員会を立ち上げました。今後、木造住宅などの建築物の液状化対策について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 東京港と島しょ港湾での津波対策についてお伺いをいたします。
 都民の生命と財産を守る上で、東京港の防潮堤の役割は極めて重要です。こうした中で、水門、陸閘については、災害時に停電、交通渋滞、一般の通信手段の不調などがあっても滞りなく本来の機能を果たせることが求められています。また、島しょについても、東海地震や東南海、南海地震の対策が必要な地域に指定され、津波による浸水被害が現実に想定されています。
 今回の大震災の経験を踏まえ、こうした課題に対して、見直すべきところは直ちに見直し、必要な改善、拡充等をしっかりと行うべきと考えますが、見解を伺います。
 東日本大震災では、都内でも四百五十カ所の水道管に被害が発生しました。このうち、大多数がお客様に給水するための給水管からの漏水であり、耐震性が十分といえない塩化ビニール管からの漏水が多かったと聞いています。
 都内には、生活道路として利用されている私道が多数あり、そこには給水管として、多くの塩化ビニール管が使用されています。我が党ではこれまで、出水不良の解消や、漏水防止に加え、耐震性の向上の観点から、私道内給水管の整備に取り組むよう提言してきました。
 これに対し、都では一定規模以上のものについては、配水管を敷設し、配水管のステンレス化を行う私道内給水管整備工事を実施しています。首都直下地震の切迫性も懸念される中、私道内給水管の耐震性強化が求められますが、整備工事の対象とならない多数の給水管が存在しています。
 そこで、私道内給水管の耐震化についての今後の取り組みを伺います。
 大震災でも見られたように、首都東京を地下から支えるライフラインである下水道の機能が失われた場合、汚水の滞留や未処理下水の流出による公衆衛生被害や雨水排除機能の喪失による浸水被害の拡大のほか、企業活動の停滞など、社会経済活動や都民生活に与える影響は、はかり知れないものがあります。
 阪神・淡路大震災で過去に甚大な被害を受けた神戸市では、下水処理場が被災し、約百日間も水処理機能が停止したことを教訓として、五つの処理場をネットワーク化する取り組みを進め、ようやくことしの五月に完成したとのことです。
 これまで区部においては、水再生センター間を結ぶ送泥管を整備するとともに、バックアップルートの確保を行っていると聞いています。今回の大地震を受け、新たな視点に立ち、下水処理も含めたさらなるネットワーク化が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、多様な関係機関と連携して行うソフト対策について伺います。
 まず、帰宅困難者対策については、さきの第二回定例会でも議論し、一斉帰宅の抑制、一時待機施設の確保、情報を確実に知らせる手段の確保、安全に帰宅できるための支援、以上の四点がポイントであることが明らかになりました。都は、国や民間事業者を含めた協議会を立ち上げ、具体的な議論を進めていると聞いております。
 こうした取り組みを実効性あるものとするためには、国との連携はもとより、民間事業者の協力を得て進めていくことが不可欠です。鉄道事業者を初めとして、大規模な商業施設、オフィスビルなどにおいて、従業員や顧客をしっかりと保護するために、一定の備蓄なども必要になります。
 また、大震災当日に大きな課題となった携帯電話など通信の確保については、ぜひともこの協議会の中で、通信事業者の協力を得ていかなければなりません。まさにこの協議会は、国や民間事業者を巻き込んで、官民挙げての防災対策をつくり上げていく上での試金石ともいえるものであります。
 そこで、都は、帰宅困難者対策の推進に向けて、国、民間事業者を含めた協議会にどのように取り組み、その成果をどのように生かしていくのか伺います。
 次に、都民に不可欠な物資の確保についてです。
 第二回定例会で、我が党は備蓄対策を再構築することを求めました。災害時に必要となる物資は、都みずからが備蓄するものと、民間事業者との協定等を通じて調達するものなどがあります。
 このうち、都みずからが備蓄するものについては、今回の対応と教訓でも、実際のニーズを踏まえた備蓄物資の種類の整理や、発災時に迅速的確に物資を輸送するための備蓄拠点の配置などについて検証の必要性を明らかにしており、しっかりとした計画のもと、確実に確保するよう求めておきます。
 一方、燃料については、都みずからが備蓄することが適当でないことから、業界団体との協定に基づいて、必要に応じて調達することとなっています。しかしながら、大震災の直後に物資不足が生じたことを踏まえれば、必要なところに確実に行き渡る何らかの方策が必要です。こうしたことから、今後、燃料をどのように確保していくのか伺います。
 次に、避難対策について伺います。
 都民の生命を守るためには、いかに迅速かつ的確に避難を行うかが重要です。今回の東日本大震災のように、想像を超える災害が起きることを考慮すると、ハード面の対策に加え、ソフト面、つまり効果的な避難の体制を確立していくことが求められます。
 対応と教訓においても、大規模水害等に備え、住民の避難対策を着実に進めていく必要性が述べられていますが、今回の震災の教訓も踏まえ、従来の避難対策を再検証することが必要であると考えます。
 住民の避難対策は、基本的にそれぞれの区市町村が担うものですが、膨大な人口を抱える大都市東京においては、避難誘導の方法や避難所の運営などについて、各区市町村単独の取り組みだけでは対応が困難であり、都が区市町村のコーディネーターの役割としての力を発揮するべきです。
 こうしたことから、都は、大規模災害発災時の避難のあり方や具体の方策について、区市町村を支援する立場から、取り組みの充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 震災から半年が過ぎ、被災地では、業務の立て直しに数多くの中小企業が必死に取り組んでいます。こうした中、事業の継続に必要な手順をあらかじめ定めた事業継続計画、いわゆるBCP作成に取り組んだ中小企業では、いち早く活動を再開し、地域経済の復興をリードするような会社も出ていると報じられております。
 この東京にも、直下型地震の危険にとどまらず、新型インフルエンザの流行やゲリラ豪雨の発生など、企業活動を困難とする数多くのリスクがあります。都内の中小企業がBCPを策定することの大切さと行政による支援の必要性については、さきの都議会第二回定例会の代表質問において強調したところです。BCPの導入は、中小企業では容易ではない実態もあり、経営者の方の話を伺うにつけ、その意義を正確に理解するための機会がいまだ十分でなく、その導入成果の実例に身近に触れることがないことが、策定が幅広く進まない原因の一つであるとも私は感じております。
 都として、BCP策定支援の拡充に合わせて、BCPの重要性などについての普及啓発にも力を入れていくべきものと考えますが、所見を伺います。
 防災対策の最後に、都民の自助、共助の取り組みの推進について伺います。
 首都直下地震が東京を襲ったとき、行政機関は全力を挙げて都民の皆さんの救援、救護に取り組みますが、すべての被災現場に同時に駆けつけることは現実的には不可能です。発災時には、やはり住民一人一人がみずからの命をみずから守る心構えを持ち、相互の連帯に基づいて助け合うことが必要です。
 都内でも、昔から自治会や町内会を基礎とした自主防災組織が存在し、地域の特性に応じたさまざまな活動をしています。住民の高齢化などのさまざまな課題に直面しながらも、共助の取り組みは今なお息づいており、また企業による隣組など、新たな共助も芽生えています。
 知事は、こうした自助、共助の取り組みの必要性を説き、防災隣組として新たな切り口から光を当てようとされておりますが、人と人とのつながりが希薄になっている現代の東京においては、非常に有意義なことだと考えます。
 一千三百万都民が暮らす大都市東京において、自助、共助を推進することは容易ではありませんが、一方で、人口が集積する東京であればこそ、一人一人の防災力の向上が、東京全体の防災力を大きく高めることにもつながります。
 そこで、大都市東京において、都民を巻き込んだ自助、共助の取り組みをどのように推進していくのか、知事の見解を伺います。
 次に、東日本大震災の避難者への支援について伺います。
 大震災の発災後、まず、緊急的に避難所が必要となりました。都では、我が党の要望により、都内の物価水準を踏まえ、国の基準に加算した事業構築を行い、都内のホテル、旅館を活用して、多くの避難者の方の受け入れを行ってまいりました。協力いただいたホテル、旅館は、被災され住むところを失った方々の避難先として大きな役割を果たしてまいりました。
 しかし、震災から半年が経過して、被災地でも緊急的な取り組みから復旧、復興に向けた取り組みが進んでおります。都内でも避難所としてのホテル、旅館での受け入れは終了の時期に来ています。今後は、避難者の自立した生活に向けた支援が必要と考えます。
 そこで、都内でのホテル、旅館における避難者受け入れの実績と今後の生活再建の基礎となる雇用の確保に向けた支援について伺います。
 次に、放射性物質による汚染拡大の問題があります。
 国は、福島原子力発電所事故の対応において、縦割り行政の弊害もあり、後手に回り続けました。発電所そのものへの事故対応を初め、牛肉汚染問題や汚泥汚染の問題、また、大気測定への対応など、数え上げれば切りがありません。国においては、今般やっと放射性物質汚染対処特別措置法が成立するなど、対策の枠組みができたところです。
 しかし、その具体的な中身はこれからであり、早急な対応を望む都民、国民の不安は一向に解消されていません。放射能対策は第一義的に国が責任を負うべき問題であります。国は、都の建言にもあるとおり、放射能対策の抜本強化に速やかに取り組むべきであります。
 また、放射能による影響は、今後長期にわたることが想定されることから、都は、国がいかに歩みが遅くとも、現場ならではの方策で、都民不安の解消のため、一丸となって対応していくべきであります。今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、暫定規制値以上の放射性セシウムを含む牛肉が全国的に流通した問題もあり、放射能対策の中でも、食に対する信頼の回復は急務であります。農産物等の安全確認は、生産地において出荷前に検査を行うことが最も確実でありますが、都として、食の安全・安心の確保に今後どのように取り組んでいくか伺います。
 次に、学校での安全についてであります。
 放射性物質に関する情報は、毎日のように報道され、保護者の間に不安の声があります。放射線に対する感受性が高い子どもたちが長時間にわたり過ごす学校においては、高い安全性が求められます。都教育委員会はどのように取り組んでいるのか伺います。
 ことしの夏の電力危機を踏まえた今後のエネルギー政策のあり方について伺います。
 節電の夏が終わりました。東電管内におけることしの夏の最大電力使用量は、昨年、ピークを記録した日よりも暑かったにもかかわらず、約一千万キロワット低くなりました。これは企業や家庭による節電のたまものであり、電力需要をコントロールすることの重要性を極めて実感する夏であったといえます。
 一方、ことしの夏は、電気事業者による大規模かつ一極集中型の電力供給に頼るのではなく、六本木地域のように、特定の地域内の電力を全量自前で賄う事例が注目を集めました。このように、ことしの夏の経験を踏まえ、今後は電力の需要と供給の両面から最適化を図るとともに、災害発生時にも対応できるエネルギー源を確保することが重要です。
 そこで、節電の夏を教訓とした、今後、東京に求められるエネルギー政策のあり方について、知事の基本認識を伺います。
 ことしの夏の電力危機に対応するため、都は、五月に策定した電力対策緊急プログラムに基づき、都民や事業者に対し具体的な行動を促してきました。また、都庁自身も率先行動として、徹底した節電に取り組んでおります。
 また、事業者の取り組みとして、テナントビルで入居テナントごとのエネルギー消費量を見える化した事例や照明のLED化、省エネ型空調等の導入を集中的に実施する事例など先進的な取り組みが多数行われました。
 しかし、一方で、電力の一律の使用制限による中小企業の生産活動への影響や、エアコンの過度な使用抑制による健康影響などの報道があったのも事実であります。
 そこで、ことしの夏の企業、家庭等の取り組みを総括し、ことしの冬以降に向けて、都はどのようなスタンスで省エネ、節電を促していくのか、お伺いをいたします。
 電力問題を取り上げるとき忘れてはならないのは、都市としての防災、危機管理機能をどのように確保していくのかという視点です。災害時に送電網に影響が及んだ場合においても、都民の生命と経済活動を支えるライフライン施設等が確実に事業を継続するためには、一定の電源を確保することが必要です。今後、都として、どのようにして災害時の電源確保に取り組んでいくのか伺います。
 さらに、電力の需要と供給のバランスを安定化し、都市におけるエネルギー利用効率を高めるためには、スマートメーターといった、ICT技術を駆使した電力使用量の見える化と、需要調整機能を持つスマートグリッドシステムを東京において導入することが重要と考えます。都は今後、どのような取り組みにより、電力の需要と供給の両面から最適化に取り組んでいくのか伺います。
 また、都内の電力の一%を消費する事業者である下水道局の節電、電力確保に向けた取り組みが重要であると考えますが、ことしの夏における取り組みと今後の対応について、あわせてお伺いをいたします。
 知事は所信表明で、我が国の経済全体の底上げを図るため、東京ならではの成長戦略を実行し、そのために、外国企業にとって魅力的な環境を整え、東京をアジアのヘッドクオーターへと発展させると述べられました。
 まさに今の日本は、外国企業にとって魅力に乏しい国に映っており、再び力強い成長軌道に乗せることが必要であります。そのためには、すぐれた都市インフラの整備とともに、海外から優秀な企業や人材を呼び込み、日本の強みである高度な技術力とかけ合わせることが不可欠であります。
 都は昨日、特定都市再生緊急整備地域と連動させた総合特区の指定申請を行ったと聞いております。この特区では、外国企業を誘致するという観点から求められているさまざまな都や民間の取り組みを示し、そのために必要な国の規制緩和策を打ち出しており、東京をアジアのヘッドクオーターへと発展させる道筋が示されております。
 そこで、アジアのヘッドクオーターの実現に向けた知事の決意を伺います。
 次に、特定都市再生緊急整備地域について伺います。
 都内では、知事のリーダーシップのもと、平成十四年以来、都市再生緊急整備地域の制度を活用し、これまでも東京駅周辺を初め、民間の創意工夫を生かしたさまざまなプロジェクトを実施してまいりました。その結果、首都東京の再生に大きな成果を上げてきました。
 知事が所信表明で述べられていたとおり、今回法改正で導入された制度による申請を昨日行ったと聞いております。我が党としても、この制度を活用し、羽田空港の玄関口であり、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅の周辺を含め、都市再生をさらに推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 今回の大震災では、被災地への救援活動や救援物資輸送を可能とし、迅速な復旧、復興に資する道路ネットワークの重要性が再認識されました。このため、首都直下地震が懸念される東京においては、道路ネットワークの整備を推進することが重要であり、財源確保は不可欠であります。
 しかし、今年度の国土交通省所管の地方に対する公共事業費の当初配分額は、昨年度と比較して約九割であり、さらに政府は来年度、一割削減する方針を示しています。
 また、一括交付金については、昨年度、都議会が国に対して制度内容の検討を求めた意見書を提出しましたが、その動向次第では、都への配分額がさらに削減されることが懸念されます。
 そこで、道路整備の推進に向けた財源確保の取り組みについて伺います。
 次に、連続立体交差事業についてでありますが、都内には、いまだ約一千百三十カ所もの踏切が残されており、首都東京の最大の弱点である交通渋滞や市街地の分断といった都市の活力の低下を招く要因となっております。
 特に、震災時には、踏切による道路の遮断が緊急救急活動の支障となり、深刻な影響を及ぼすことも懸念されております。
 都民の生命、財産を守るためには、道路ネットワーク整備を推進するとともに、震災時に支障となる数多くの踏切を一挙に解消する連続立体交差事業の推進が必要不可欠であります。我が党は、これまでも幾度となく、本事業の推進を訴えてきたところであります。
 そこで、連続立体交差事業の推進に向けた都の今後の取り組みについて伺います。
 三月十一日に発生した東日本大震災では、発災直後から全国各地からの救援隊や物資輸送に、とりわけ首都圏の高速道路が極めて重要な役割を果たしました。このことからも、事業中の東京外かく環状道路は、平時のみならず、首都直下型地震などに備えた防災力強化のかぎとなることが改めて明らかになりました。
 このため、我が党は先般、超党派の都議会外かく環状道路建設促進議員連盟と連携し、国に対して、いざというときのためにも外環を早期に完成するよう、緊急の要請活動を行いました。
 都も、今回の大震災を教訓として、外環の整備を一層促進するためどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、多摩地域の交通インフラについて伺います。
 これまで、関係市町村による促進協議会などの熱い期待を受けて、都議会自民党として基盤整備の充実に取り組み、その結果、南北道路の整備とともに、多摩川中流部橋梁や鉄道の立体交差化、多摩都市モノレールなど、基盤整備が着々と進められてきました。
 昨年十一月には、JR中央線の三鷹─立川間の全線高架化が完了し、今年度、圏央道が高尾山インターまで開通する予定となっています。これにより、拠点相互の結びつきが強まるとともに、世界に誇るべき先端技術産業や大学、研究機関が集積する多摩地域の自立性向上に大いに寄与することが期待されます。
 一方、依然として道路交通渋滞や深刻な鉄道混雑が発生しているなど、課題が多く残されていることも事実です。こうした中、多摩地域の骨格を形成する基盤整備をさらに進め、都心や他県との連携を強化することが地域のさらなる発展のために必要と考えます。
 都は、多摩地域の交通インフラの充実強化にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 今月の台風十二号とそれに続く台風十五号は、大雨により日本各地に甚大な被害を及ぼしました。特に十二号による大雨では、和歌山県や奈良県などで土石流やがけ崩れなどの土砂災害が発生し、多数の死者、行方不明者が出ております。
 また、土砂が川をせきとめてできた土砂ダムが何カ所もあり、住民を不安に陥れています。都内においても、土砂災害が発生するおそれのある危険な箇所が多く存在することから、都民の生命、財産を土砂災害から守るため、備えを講ずるべきであります。
 そこで、土砂災害に対する東京都の取り組みについて伺います。
 昨年秋、政府の行政刷新会議で、国のスーパー堤防事業が、コストや四百年かかる等の理由で一たん廃止と判定されました。これを受け、抜本的な見直しを行ってきた国が設けた検討会は、対象をゼロメートル地帯等に大幅に絞り込む内容の取りまとめを行ったと聞いています。
 このような中、今般の大震災により被災地では、地震や大津波により河川の堤防や水門等が壊滅的な被害を受けました。都はこれまで、耐震性にすぐれた独自のスーパー堤防事業などを進めていますが、東部低地帯には約三百万人が、そのうちゼロメートル地帯と呼ばれる満潮面以下の土地には約百五十万人もの人々が生活をしています。
 過去にたびたび甚大な水害を受けてきた東部低地帯に住む人々の命と暮らしを守るためには、国と都のスーパー堤防事業を進めることが不可欠であります。
 そこで、スーパー堤防事業への取り組みについて、知事の所見を伺います。
 八ッ場ダム事業についてお聞きします。
 今月の台風十二号と十五号による各地の水害を目の当たりにし、自然の脅威に対する備えの必要性を再確認したことはさきにも述べました。
 一方、国は、今月十三日、八ッ場ダム建設が代替案と比較して最も有利であるとの評価案を示しました。これは、我が党が繰り返し主張してきたことを認めたことにほかならず、今さらながら当然の結果です。民主党政権がいまだに何の根拠も示さず、一都五県との共同事業であることさえも理解せず、一方的に八ッ場ダムの中止をマニフェストに掲げたことが全くの誤りであったことが明らかになりました。
 こうした評価が明らかになった以上、国は直ちにダム本体工事に着手すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 京浜港は、昨年八月に国際コンテナ戦略港湾に選定され、国際競争力強化に取り組んできましたが、東日本大震災によりその状況が一変しました。東北地方太平洋側の港湾については、仙台塩釜港を初めとする港湾施設が想定を超えた津波による被害を受け、物流機能が麻痺し、現在もその機能の完全な回復には至っていません。
 また、京浜港への集荷の対象としている東日本の貨物が釜山港等へ流出している動きも見えることから、国際コンテナ戦略港湾の実現のため、早急な対応が求められているところです。
 こうした状況を踏まえ、今後、京浜三港でどのような取り組みを進めていくのか、所見を伺います。
 次に、景気対策について伺います。
 震災から半年余りがたち、ようやく企業活動が回復に向かいつつある中、今度は円高が我が国を襲っています。これは、震災後の血のにじむような企業の努力を水の泡にもしかねない大きな問題であります。私の地元大田区でも、円高に困惑する中小企業の声が多く聞かれています。
 こうした状況に対し、政府は八月四日に為替の単独介入などを行うとともに、同二十四日には円高対応緊急パッケージを公表していますが、全く十分とはいえません。今月九日に開かれたG7でも、為替市場の鎮静化に向けた具体的な協調策が打ち出されず、首相が交代しても、相変わらずの政府の無策ぶりには目を覆うばかりで、まさに川底に潜っているドジョウのようであります。
 円高対策は、本来、国が責任を持ってしっかり打ち出していくべきものであります。しかし、円高によってとりわけ大きな痛手を受けるものづくりの中小企業が多く集積する東京としては、見過ごすことができないものと考えます。
 そこでまず、今回の円高とそれが経済に与える影響について、知事の基本的な所見を伺います。
 円高によって強く懸念されるのは、ものづくり企業が廃業に追い込まれたり、海外に出ていくことで、都内の製造業が空洞化することであります。中小企業に仕事を発注する大手の製造業では、現在の円高水準が続けば、その半数が生産拠点を海外に移すとの衝撃的な報道すら出ています。実際に、海外に生産工場を移すしか生き残りの道がないとする中小企業の経営者の切実な声を耳にする機会もふえております。
 工場の海外移転による製造業の空洞化が進むことで、これまでの東京のものづくりを支えてきた基盤技術が失われて、そうした力のある中小企業の集積が守れるかどうかの事態に直面しているものと考えています。
 産業の空洞化は先進国共通の課題ですが、都としても、無秩序な空洞化を防ぎ、地域社会への影響が生ずることのないよう、地元の区市町村とも協力しながら、速やかに対応策を検討すべきです。都の所見を伺います。
 次に、商店街支援のあり方について伺います。
 地域の商業活動の拠点であり、コミュニティの中心である商店街は、住民の便利で快適な生活を支える重要な役割を担っています。
 こうした中、全国的に身近な場所に商店がなくなり、交通手段も確保できず、日常の買い物が困難となる事例、いわゆる買い物弱者の問題が生じているとされています。買い物弱者については、さきの第二回定例会の我が党の質問に対し、都は、必要な調査を行い、商店街の活用方策の検討をするとの方針を示しました。
 最近の報道においても、買い物弱者に対応する商店街の事例として、空き店舗に拠点を設け、買い物の代行や配送を行ったり、ボランティアが付き添いをする取り組みも紹介されています。こうした商店街の工夫と努力を検証し、今後広げていくためのモデルとなる事業に都として支援を行うべきです。
 また、将来、商店街がさまざまな取り組みを行う上で、その担い手となる後継者を着実に育成することは重要なテーマです。かつては、徒弟制度のような仕組みで、経営のノウハウを身につけながら、地道にのれん分けに必要なお金を蓄えていく方法もありましたが、現在では困難です。今の時代に合った後継者育成の方法を、行政として新たに生み出していくことも重要と考えます。
 商店街の新しい担い手を育成するため、商売に必要な知識を身につけたり、開業時の支援について、都として取り組むべきと考えます。商店街における買い物弱者への対応や人材育成への支援のあり方について所見を伺います。
 次に、高齢者など、都民の足として期待されている都営バス事業について伺います。
 今回の震災の影響を受け、東京電力の株式配当が見込めないことにより、配当収入を充当していた都営バス事業の経営は非常に厳しいものになっているのではないかと懸念されています。
 都営バス事業については、さまざまな経営努力を重ねながらしっかりと運営をしていただきたいと思っています。
 そこで、今後の都営バス事業の経営について伺います。
 次に、若者の雇用対策について伺います。
 この春に大学を卒業した若者の就職率は過去最低となり、就職できない若者は数万人にも上るといわれています。さらに、民間の調査によれば、来春の大学卒業予定者に対する求人倍率はさらに低下しており、このままでは多くの若者が就職できず、就職氷河期の再来ともいうべき事態が強く危惧されるところです。
 こうした問題を解決するため、本質的な処方せんは、国が明確な成長戦略を示した上で、実効性のある経済対策を進め、雇用創出を図ることが不可欠だと考えます。しかし、これまでの民主党内閣は、有効な経済対策を打ち出せず、景気を回復させ、雇用創出に向けた本格的な取り組みとしては不十分といわざるを得ません。
 これまで都は、大震災以降、平成二十三年度予算や補正予算を通じて、被災者の方も含め適切な若年者の雇用対策を講じてきました。
 しかしながら、厳しい雇用情勢が今後も続く状況にあっては、都として社会に出ようとする意欲ある若者を強力に支援し続ける必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、福祉医療の諸課題について伺います。
 まず、地域がん登録について伺います。
 我が国では現在、二人に一人ががんにかかるといわれ、都では年間約三万人が死亡するなど、都民の健康に重大な脅威となっています。
 平成十八年に我が党の政権下で成立したがん対策基本法では、がんの克服を目指し、総合的な研究を推進するとともに、予防、治療等にかかわる技術の向上や研究の成果を活用し、適切な医療を受けられるようにすることも基本理念として掲げています。
 都は、この法に基づき、がんの死亡率減少を全体目標とするがん対策推進計画を策定し、検診の受診促進や高度医療の提供など、目標達成に向けてさまざまな対策を講じています。
 こうしたがん対策を進める上では、がん登録により罹患率や生存率を把握して、施策の有効性を評価することが重要です。全国の人口の十分の一を占め、高度ながん治療を行う医療機関も多い首都東京において、地域がん登録が開始されれば、国全体のがん登録の精度向上に資することも期待されます。
 我が党は、昨年の第四回定例会で、地域がん登録を早急に実施すべきと強く主張しました。都は、平成二十四年度から地域がん登録の開始を予定していますが、実施に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。
 次に、介護保険制度について伺います。
 介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みとして定着してきましたが、高齢者が可能な限り住みなれた地域で自立した生活を送るためには、引き続き介護サービス基盤を強化するとともに、包括的な支援を進めていくことが必要です。
 こうした観点から、国においては、来年四月に二十四時間対応の定期巡回、随時対応型サービスの創設や、いわゆる高齢者住まい法の改正により創設されるサービスつき高齢者住宅と介護サービスを組み合わせた仕組みの普及などの制度改正とあわせて、介護報酬についても改定を予定しています。
 このような動きを踏まえ、東京都においても、現在、第五期の高齢者保健福祉計画の策定を進めていますが、ここで改めて、介護保険制度改正に向けた都の基本的な考え方と取り組み内容について伺います。
 また、都道府県が設置する財政安定化基金について、今回に限り介護保険料軽減などのためにも取り崩せる旨の法改正がなされました。こうした財源は、中長期的な視点に立って活用すべきと考えますが、法改正の概要と都の所見をあわせて伺います。
 なお、基金を取り崩した場合には、その三分の一を国に納付することとされていますが、国においても、介護保険制度の趣旨を踏まえ、将来を見通した施策に活用すべきであると申し添えておきます。
 次に、子育て支援について伺います。
 昨年八月、杉並の養育家庭で、東京都が委託した児童が死亡するという痛ましい事件が発生し、先月二十日には里親が傷害致死の容疑で逮捕されました。
 さまざまな事情で親と一緒に暮らすことができない子どもが、家庭的な雰囲気の中、里親との密接な関係を築きながら、信頼や愛着をはぐくむことができる養育家庭は、子どもの成長にとって非常に重要なものです。
 多くの養育家庭の熱意と努力を今回のことで無にしてはなりません。都は、養育家庭において子どもたちが健やかに成長できるよう、状況把握に努めるとともに、手厚くサポートする必要があります。
 東京都として、今回の事件を受けて、養育家庭の支援に今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 次に、災害時の障害者支援に関し伺います。
 さきの第二回定例会において、我が党は、災害時における障害者団体との協力体制について質問し、都は、連携の方策について積極的に検討していくとの答弁をいたしました。
 今回の東日本大震災では、都内を拠点に活動する複数の障害者団体等が、被災地へ人材を迅速に派遣し、相談業務を行うなど、積極的に被災地支援を行っています。
 また、東京都知的障害者育成会では、会が運営する事業に対して、震災時の状況、課題についてアンケートを実施しています。障害者の置かれている状況やその程度はさまざまであり、一人一人の特性に応じた支援を行うためには、こうした関係団体の経験や意見を参考にすることも重要と考えます。
 今後、首都東京での災害における障害者への支援に向け、どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、暴力団対策について伺います。
 本年第一回定例会において、東京都暴力団排除条例が可決され、来月から施行されます。都内の事業活動から暴力団を締め出すために、この条例を実効性あるものとすることが重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 都立高校改革について伺います。
 行き過ぎた個人の権利尊重など、戦後教育のゆがみを正し、新しい時代に必要な教育理念を明確にするため、平成十八年、自民党政権下において教育基本法が改正されました。平成二十五年度から、教育基本法の改正を踏まえた新しい学習指導要領がすべての高等学校で実施されます。都立高校においても道徳性や自律心、公共の精神を持ち、社会の要請に的確にこたえる人材の育成が求められています。
 都教育委員会はこれまで、都立高校改革推進計画に基づき、学区の撤廃や新しいタイプの高校設置などを行ってきたところですが、今後、教育基本法改正を踏まえ、真に社会人として自立した人間を育成するため、新たな取り組みなどにより着実に改革を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、子どもの体力向上について伺います。
 体力はあらゆる活動の基盤です。しかし、東京の子どもの体力が全国的に低水準にあることは極めて遺憾であります。これまで都教育委員会は、抽出による体力調査、中学生東京駅伝大会や一校一取り組み運動等、子どもの体力低下に対する問題提起や意識啓発に重点を置く施策を展開してきました。
 しかし、これからは全体平均値の底上げという発想から、子どもたち一人一人の体力向上を重視するという発想へと転換していくべきと考えます。平成二十三年度からは、すべての子どもを対象とした統一的な体力調査を実施したと聞いています。
 そこで、この結果を活用し、一人一人の子どもが体力向上をみずからの課題として努力していくことができるようにすることが必要と考えますが、都教育委員会はどのような施策を講じていくのか伺います。
 また、生涯にわたって運動に親しむ習慣を身につけるためには、小さいころから体を動かすことの楽しさを実感させることが大切です。特に小学校は、その後の運動やスポーツとのかかわりに重要な時期であり、教員の指導力が大きく影響します。
 しかしながら、現在、小学校においては新規採用教員がふえ、教員の若返りが進んでいると聞いていますが、若くて元気で体力があるからといって、運動好きで体育の指導力が高いとは限りません。
 そこで、都教育委員会は、小学校教員の指導力の向上についてどのように取り組むのか伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 我が党は、さきの第二回定例会の代表質問で、二〇二〇年の復興オリンピック・パラリンピックを強く訴えたところです。次世代の子どもたちや、障害を持ちながらスポーツに取り組む人たちに夢と希望をもたらす大会の日本開催は、都議会はもとより、スポーツ界、経済界、そして何より国が中心となって、必ずやかち取らなければなりません。
 そこで、今後の招致活動を進めるに当たっての知事の基本的な考えを伺います。
 スポーツが人々を元気づける力を持っていることは、さきのなでしこジャパンの活躍が日本じゅうに感動を呼んだことからも明らかです。二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催は、スポーツの力で東日本大震災からの日本の復興を後押しすると同時に、支援いただいた世界じゅうの人々に九年後の復興した日本の姿を見ていただくことになり、極めて大きな意味を持つことになります。
 そのため、オリンピック・パラリンピック実現に向けて、被災地の復興促進につなげるため、具体的にどのような取り組みを行う考えなのか、お伺いをいたします。
 最後に、平成二十五年の冬の国体について伺います。
 日本体育協会と文部科学省から、都に対し開催要請があったと聞いています。要請に基づき、東京で大会を開催するばかりでなく、一部競技を東日本大震災で被害を受けた地域の施設で実施すれば、スポーツの力で東北の人々を勇気づけることができるのではないでしょうか。
 平成二十五年は、スポーツ祭東京二〇一三の開催年であり、被災地の復興を支援する取り組みを交えて、都が冬の国体を開催することは大変意義のあるものと考えますが、所見を伺います。
 「みほとけの うつらまなこに いにしへの やまとくにはら かすみてあるらし」、歌人、會津八一の歌です。この歌は、過去を顧みることによってインスピレーションを受け、過去からもたらされ、現在もなお保持しているものを大切にせよと示しています。
 東日本大震災は、私たちからとうとい多くのものを奪いました。しかし、今ここにある大きな危機を乗り越える力を日本は携えていると私は信じます。
 都議会自民党は、石原知事を支えて、引き続き日本を牽引する原動力となることをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 鈴木あきまさ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新内閣への建言に込めた思いについてでありますが、原発事故への対応など、国の政がかつてなく混迷し、国民は先が見えない不安を募らせております。
 それゆえ、新内閣は、まず何よりも速やかな東日本大震災からの復旧、復興、原発事故の収束と放射性物質対策に全力で取り組むことが求められております。
 同時に、日本の頭脳部であり心臓部である東京の機能のあり方を論ずることは、日本の国の行く末をも左右するものだと思います。
 新内閣は、国家を牽引する東京の果たす重要な役割を十分認識して、この国のかじ取りを行わなければならないと思います。
 しかるに、東京の機能を見誤り、首都の防災をどうすべきかを熟慮もせずに、バックアップと称して副首都の建設や、あたかも首都移転と結びつけたかのような器の議論に終始すれば、むだな箱づくりにつながりかねず、国力はますます衰退をすることでありましょう。
 また、国は、地方財政のありようをどうするかという本筋の議論をかつても避け、その場しのぎのこそくな手段で東京の財源を一方的に吸い上げてきました。ゆえにも、法人事業税の暫定措置を即時撤廃して、日本の盛衰を左右する首都東京の防災力強化に、東京みずからの金を東京がみずから使えるように正すべきだと提案をしました。
 今回、首都の知事として、強い危機感に立って、現場を踏まえて緊急になすべきことを幾つか建言をいたしました。近々、総理にも直接会うつもりでありますが、今後、日本再生に向けて速やかに行動して、都民、国民の不安を振り払ってもらいたいものだと思います。
 次いで、木造住宅密集地域の改善についてでありますが、日本のダイナモであります東京を、高度な防災力を備えた都市へと進化させていくために、最大の弱点である木造住宅密集地域の改善を一段と加速させることといたしました。
 先日、現場を見てきましたが、何度見てもなかなか厄介な存在で、よくいえば、モロッコのカスバのごときものでありますけれども、これが石じゃなしに木でできているために、非常に危険なまちだと思います。人情は細やかなまちでありますが、しかし、震災時に一たん火がついたら、これはとんでもない被害が頻発すると確信いたします。
 震災対策の基本は、いつも申しているように、自助、共助、公助の原則によって進めるべきものでありまして、都は、近く防災の専門家により、阪神・淡路大震災の惨状をありのままに伝えるなど、これは映像として伝えるなど、都民の意識に訴える取り組みを開始いたします。
 私も、あの震災、地震の直後に現地に視察に参りましたが、被害の多かった長田区、東灘区を見ましたところ、鉄骨鉄筋の家は全部残っておりましたけど、木造の住宅は完全につぶれて焼けてしまっておりました。
 こういった情報をてこに、地元区も巻き込みながら、都が先導する十年プロジェクトを立ち上げていきたいと思います。法人事業税の暫定措置も撤廃させまして、東京の金を東京が東京自身の防災力強化に使えるようにしたいと思っております。
 まちづくりの施策や税制、建てかえの時期の生活支援など、さまざまな施策を総動員した新たな手法も編み出して、延焼の遮断帯となる道路整備や建物の不燃化を重点的に進め、東京を壊れず燃え広がらないというまちに変えていきたいものだと思っております。
 次いで、都民の自助、共助の推進についてでありますが、日本の国土は、ご存じのように、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピンプレートという三つの大きなプレートがひしめき合ってぶつかっている、そういう地政学的な条件でありまして、先日、東大の地震研究所の平田教授に幹部で詳しく話を聞きましたが、この東京湾にも、実はその三つのプレートがぶつかっている地点があって、これは優に何かのはずみに震源になり得るということでありましたが、いずれにしろ、日本は世界最大のファイアリング、火山脈の上にある地震国でありまして、国民もそれを意識して、常にその準備を怠ってはならないと思います。
 大津波に襲われた岩手県の釜石では、中学生が年下の子どもたちを助けながら、みずからの判断で高台へ駆け上がってみんなを助けたという釜石の奇跡がありました。まさしく一分一秒を争う大災害では、まず、みずからの身を守り、次に、身近な同士で助け合うことが一人でも多くの命を救うことになると思います。
 しかし、その人々のきずなが希薄になっているこの大都市では、発災時に自助、共助がなかなか有効に機能しにくい。ゆえに、助かるはずの命が失われてしまうという懸念があります。そのために、大震災により防災への関心が高まっている今、このときを逃すことなく、防災隣組の構築に着手をいたしました。
 まずは、被災者などの震災に直面した方の生のお声や、共助の効果的な取り組みの事例を集めて、専門家の知見や映像も用いながら、都民にわかりやすくこれを伝えて、危機意識を喚起する必要があると思います。
 また、区市町村とも連携して、地域ではぐくまれたさまざまな共助の取り組みを掘り起こし、それを後押しすることで、新たな活動を誘発していきたいと思っております。
 さらに、企業に対しても、自助、共助の取り組みを求めていくとともに、備蓄を推進する条例の制定など、実効ある手だてを講じていきたいと思っております。こうした都民や企業の自助、共助に加えて、公助の取り組みにも万全を期すことで、東京全体の防災力を高めていきたいと思っております。
 次いで、今後、東京に求められるエネルギー政策のあり方についてでありますが、電力の安定化は国家発展のかなめでありまして、我が国が厳しい国際競争に勝ち抜いていくために、電力の需要と供給の両面から現実に即した具体的な取り組みを進めることが不可欠であります。
 原発の是非について議論がかまびすしいようでありますが、その前提に、我々はこれから先、どれぐらいのタイムスパンで、どれだけの容量の、どれだけの大きさの経済を持ちたいか、持つべきかということを踏まえませんと、これはそれをかなえるための現実的なエネルギー論にはならないと思います。
 いずれにしろ、どうも国の対応はまことに場当たりでありまして、この夏の電力危機に際しても、抽象的なというか、ただ節電のパーセンテージの数字を示しただけで、より具体的な手段による需要の抑制を一向に行いませんでした。
 担当の大臣が来ましたが、前例もあることだから、政令を出したらいかがですかと申しましたけど、政令の存在について、どうもご存じないようなことでありまして、また、いささかお粗末な感じがいたしました。
 例えば、私にとってみると、いささかぜいたく、むだに過ぎると思う、夜間でもこうこうとついているあの数の多い自動販売機、あるいは日中から多大な電力を使ってネオンもともしてやっているパチンコ屋の電力の消費というのは、これはこういう時期に当然制限されてしかるべきだと思いましたが、一向に政府がいわないもんですから、隣県の首都圏の他の知事とも話して、この申し入れをしましたが、する前に、既にそれを仄聞した業界は自粛をして、実際にパチンコ業界も自動販売機も節電をやってくれました。
 いずれにしろ、この需要の抑制をただ抽象的に求めるだけではなくして、また加えて、供給面でも、電力会社にこれを任せるだけではなくて、何ら実効性ある具体的な対策を示してこなかったこの責任は政府に明らかにあると思います。
 こうした中、この夏、都は、都庁舎において二五%を超える削減を達成したほか、経済界や区市町村等とも連携しまして実践的な対策を進め、大幅な節電を実現いたしました。
 また、供給面においては、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームを設置しまして、環境負荷の少ない百万キロワット級の、今日、あちこちにガス田が開発されて、多量な供給が可能になった、非常に高率な天然ガスの発電所の整備について、既に都内では数カ所の適地を選定しておりまして、今後、アセスもかけまして詳細な調査を行っていきたいと思っております。
 さらに、災害時にも都市機能を維持するために民間の都市開発とも連携して、例えば六本木ヒルズの事例もありますが、自立分散型のエネルギー源の導入を進め、高度防災都市の実現に向けた取り組みを推進していきたいと思っております。
 東京は、こうした具体的な行動によって、都市におけるエネルギー政策のあるべき姿を国に提示し、我が国の電力供給体制を変える突破口としていきたいと思っております。
 次いで、アジアヘッドクオーターについてでありますが、国際社会における我が国のプレゼンスは、今や残念ながら風前のともしびでありまして、このまま手をこまねいていては停滞、衰微するばかりであります。
 世界が時間的、空間的に狭くなって、企業が活動拠点とする国家を世界規模で選択するようになった現在、日本が国家として生き残るためには、東京が激化する都市間競争を勝ち抜いて、アジアのトップランナーの座を守り、我が国を牽引していかなければならないと思います。
 大胆な規制緩和と税制優遇を可能にする総合特区制度と、高い防災対応力やエネルギー自立分散型の都市づくりに対する都市計画上の優遇措置が可能な都市再生制度を活用し、重層的に講じることは、そのための重要な手法であると思います。
 総合特区制度に対しては、民間からも既に多くのアイデアが寄せられておりまして、こうした知恵と現場を持つ東京都の強みを融合させた東京ならではの特区申請を行いました。
 今後、高度な経済集積や、発達した都市インフラといった東京が有する高いポテンシャル、可能性を背景に、これらの制度を一体的に活用しまして、世界じゅうから、人、物、金融、情報を引き寄せて、東京をアジアのヘッドクオーターへと発展させていきたいと思っております。
 次いで、スーパー堤防事業についてでありますが、急峻な、狭隘な我が国の国土において、水害への備えはまさに政の根幹となってきました。かつての古い時代においては、政は直截に水をいかに抑えるか、治水ということでありましたが、これが、その当時のリーダーたちの宿命でもありました。
 国の事業仕分けで担当大臣が、蓮舫さんですか、二百年に一回の大洪水に備えるために、今後四百年かけなきゃならない、そんな現実的でない事業は認めないということでしたが、千年に一度といわれる大震災を経験した今です。自然の脅威に備え、万全を期さなければならないことはもう明らかでありまして、政治をつかさどる者はその責任を全うすべきであります。
 私も現場に出向いて直接確認しましたが、東京には区部のゼロメートル地帯という防災上の大きな弱点があります。スーパー堤防は、想定を超えるような大洪水からも都民の生命と財産を守り、首都東京の機能を維持する上で極めて重要な事業であります。これは決して彼女がいったように、スーパーなむだではありません。こういったものを、歴史というものを踏まえながら短兵急に認めないというのは、非常に軽率な、危険な判断だと思います。
 また、温暖化によって、NASAのハンセン教授が指摘しているように、北極海の氷がどんどん解けている。彼の計算だと、あと十二、三年しかもたない。海面の水位の上昇もどんどん進んでおりますし、それによって、日本に限らず世界じゅうに異常気象が頻発して、この日本は、ことしも昨年も集中豪雨に悩まされました。こうした地球規模の異常な環境変化というものを踏まえて、東京の安全を考えなければならないと思います。
 都は、独自に隅田川などでスーパー堤防事業に取り組んでおりますが、国の責任で整備すべき荒川の堤防が決壊すれば、区部のゼロメートル地帯は水没を免れずに、東京を大洪水から守ることはできません。
 高度な防災力を備えた東京の実現を目指し、都独自の事業を着実に進めるとともに、国に対しても、この首都が実はいかにもろい形のものであるか、それを認識させて、当初の計画どおり事業を推進することを強く求めてまいります。
 次いで、八ッ場ダム事業についてでありますが、八ッ場ダム建設の是非を検証してきた国は、ようやく一都五県に対して、治水、利水の両面においてダム建設が最も有利であるとの評価を示しましたが、これは極めて当然の結論が出たにすぎません。
 これを受けて、民主党の前原政調会長は、この検証結果に不快感を示しているようでありますが、国土交通省の検証に基づき大臣がこれを判断するといったのは、当時、国交大臣の前原君じゃないんですか。自分でいっておいて、立場が変わったら結論が気に食わないというのは、これはわがままというか、うぬぼれというか、国民にとってみたらこんなに不愉快な話はないんだ。
 思いつきによるダムの中止宣言から今日までの二年間は、関係都県や地元住民を生殺しにして、全くむだな時間が費やされただけじゃなくて、この間、国は……(発言する者あり)うるさいな、黙って聞け。君らの頭を冷やすためにいっているんだから。この間、国は、国民の生命、財産を守る責任を放棄してきました。国家の大計に立って、真に必要な社会資本を整備することこそ、政治の責任であります。
 一昨日、関係知事らとともに新しい国交大臣に会いまして、八ッ場ダムの早期完成を強く申し入れましたが、どうもよくわからぬことをいいましたね。三・一一の問題もありますかというか、これは三・一一が起こる前の、もっと長きにわたる大問題でありまして、三・一一に対する対処も国家としての責任で大きなものでしょうけど、しかし、それ以前から存在する、ちぐはぐになったこの問題を早期に解決することが、これまた新しい、決して新規の問題じゃなしに、国にとっての古い古い責任の問題だと思います。
 いずれにしろ、検証結果が出た以上、今、国がすべきことは、一刻も早くダム本体工事の着工を決断し、直ちに実行することであると思いますが、新任早々の大臣でありますから、かつての前々任者の馬淵君にもいいましたけれども、まず、大臣が人間としての目で現場を見て、人間としての耳で現場の人たちの声を聞くということとともに、物を判断する前に必ず現場に行ってこいと。行かないで話をしないでくれということを申しました。
 都は、引き続き関係五県と一致団結して、国に対し、八ッ場ダムを予定どおり平成二十七年度までに完成するように強く求めてまいります。
 今回の円高と経済に与える影響でありますが、一ドル七十六円台という為替水準は、欧米の政府債務危機の再燃などによるものでありまして、我が国の経済実態を一向に反映しておりません。
 円高が長引けば、製造業を初めとして影響を受ける中小企業も非常に数多いと思います。中小企業は、日本経済の屋台骨を支えております。これが失われれば、日本の経済の再生はありません。それを防ぐためにも、まずは政府による為替政策や新たな成長戦略の構築などのマクロ的な政策が必要だと思います。
 一方では、円高のデメリットだけではなしにメリットもあるわけでありまして、例えば円高による購買力を活用すれば、海外での企業買収の促進など、さまざまな構想が成立します。問題は、国として多面的、複合的な見方で為替に関する戦略を構えることができずにいるということが情けない。
 こうした中で、現場を預かる都は、既に円高による深刻な影響を受けております中小企業に向けて、制度融資の特別枠による金融支援や専門家の派遣による助言など、現実に即した取り組みを展開しております。
 また、世界と伍して戦おうという企業には、新製品、新技術開発、海外販路開拓に対する支援や、独自のノウハウを守るために、知財戦略の策定支援などによって後押しをしてまいります。
 今回の円高に対して、国には、世界経済を的確に俯瞰し、一刻も早く総合的な手だてを講じることを強く求めます。
 都としても、為替水準や経済状況を注意深く見守って、これに対応した重層的な施策を講じることによって、懸命に努力をしている中小企業を全力で支え、東京の産業を維持発展させていきたいと思っております。
 最後にオリンピック招致活動についてでありますが、招致は、もはや都市同士の戦いではなくて国家間の熾烈な競争であります。外交力と政治力を駆使して勝ち抜かなければなりませんし、国やスポーツ界、経済界などを束ねた国家を挙げての総力戦が不可欠であります。
 そのため、新政権には、招致担当大臣の新設や、関係省庁の招致委員会への参画を強く求めております。
 かつて、東京にオリンピックが実現したときの池田内閣は、自分の後継者となった、内閣の中でも非常に重要な存在であった佐藤栄作氏を、当時は何大臣でしたのかな、通産ですか、とにかく彼を兼務してオリンピック担当大臣にしましたが、そういう措置が、私はこれから必要だと思います。
 とにかく、日本全体が一つとなってオリンピック招致に取り組むことを期待しております。
 二〇二〇年大会の開催は、東日本大震災からの復興にとっても大きな意味を持つと思いますし、我が国の復興と再生のために今必要なものは、まず国民が一つになれる夢を持つということだと思います。
 今後、招致活動や計画策定などにおいて被災各県とも連携し、九年後、復興を遂げた日本の姿を──遂げるでありましょう、遂げなくてはなりませんが、それを世界に披瀝するために、招致を何とかかち取っていきたいものだと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 暴力団対策についてお尋ねでございました。警視庁におきましては、この制定していただきました暴力団排除条例を真に実効性のあるものにするために、主として次の四点の施策を進めていきたいと考えております。
 一点目でございますが、都民や事業者への周知徹底でございます。
 警視庁では、条例が制定されまして以降、金融業、不動産業、小売業等の各業界団体に対しまして説明会を実施いたしましたほか、チラシやリーフレットを多数配布するなど、条例に対する理解を深めていただくための取り組みを鋭意進めてまいりました。
 また、現在は、放送事業者や音楽事業者等が所属する業界団体に対しまして、条例に対する理解を深めていただき、所要の措置をとっていただくべく、意見交換等を進めているところでございます。
 条例は十月一日から施行されますけれども、その後も引き続き、より積極的に、粘り強く、各業界団体等に対する周知徹底と暴排活動を推進してまいりたいと考えております。
 二点目でございますけれども、青少年に対する指導、教育であります。
 青少年が暴力団に加入したり、暴力団員による被害に遭うことのないようにするために、これまでも学校警察連絡協議会等の機会を用いまして、教育委員会や学校関係者に対して条例の趣旨等について説明をしてまいったところでございます。
 現在は、この青少年向けのビデオ等の教材も作成しているところでございまして、引き続き青少年の健全育成に資する取り組みに力を入れていかなければならないと考えております。
 三点目でございますが、重要な対策でありますが、保護対策であります。
 暴力団排除活動を進めていくための、いわば環境整備という位置づけでございますけれども、例えばドアスコープカメラ等、保護対策に資する資機材の充実、そういったことを図りますとともに、より重要でありますが、保護対策に従事する警察官の体制を強化することといたしております。保護対策に万全を期してまいりたいと存じます。
 最後、四点目でございますけれども、違反行為に対する条例の積極的な適用であります。
 本条例には、その中心規定として、暴力団員等に対する利益供与の禁止等の規定がございます。違反行為者に対しましては、勧告、公表等の措置を講ずることと定められているところでございます。
 警視庁といたしましては、条例施行後は、事業活動の健全性を阻害するような、こういった条例の違反行為に対して厳格に対処することは、これはもとよりのことといたしまして、条例の厳正かつ適正な運用に努めてまいる所存でございます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、放射線に関する学校の安全対策についてでございます。
 未来を担う子どもたちへの教育活動が安全な環境において実施されることは、学校教育の基本でございます。
 都教育委員会は、公的機関が計測している空間放射線量、降下物や水道水の放射能の測定結果を注視し、校庭やプールの水等が安全であることを日々確認しております。
 また、学校給食については、都立学校及び区市町村教育委員会に対し、食品の放射性物質検査情報の確認や産地の記録など、安全な食材を調達するよう指導しております。
 さらに、関係機関との緊密な連携を図り、教職員に放射線に関する知識を付与する研修会を開催するとともに、適宜適切な情報提供を行っております。
 今後とも、これらの対策を継続的に実施することにより、児童生徒の安全・安心な学校生活を確保してまいります。
 次に、新たな都立高校の改革についてでございます。
 都教育委員会は、平成九年度に策定いたしました都立高校改革推進計画に基づき、高校の再編整備などの改革を進めてまいりましたが、この間、改正された教育基本法の理念の実現や新しい学習指導要領への確実な対応が求められております。
 また、今般公表した都立高校白書で明らかにいたしましたように、現在も都立高校には、基礎的、基本的学力や規範意識を初め、社会の形成者として必要な資質、能力が十分身につかないまま卒業するなど、個々の生徒を見たときには解決すべき課題がございます。
 そのため、都教育委員会は、広く都民の声を聞きながら、新しい都立高校改革推進計画を策定し、学校の設置目的に応じた育成すべき生徒像を明確にして、教育内容の充実に全力で取り組んでまいります。
 次に、一人一人の子どもの体力向上についてでございます。
 体力向上のためには、児童生徒一人一人が自己の体力の現状を認識し、みずからの課題を意識して運動やスポーツに取り組めるようにすることが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、都内全公立学校に在籍するすべての児童生徒約九十万人を対象に、東京都統一体力テストを実施いたしました。現在、全国平均や東京都平均等との比較や今後の取り組みポイント等を示した体力診断カードを児童生徒一人一人に配布いたしまして、児童生徒及び保護者が個々の課題を認識し、学校や家庭においても目標を持って体力向上に取り組めるようにいたしました。
 今後、調査結果の詳細な分析をもとに、さらに一人一人に着目した体力向上のプログラム開発や体力、気力を鍛錬する実効性ある方策等を実施してまいります。
 次に、小学校教員の指導力の向上についてでございます。
 児童に運動の楽しさを実感させ、積極的に運動に取り組む意欲や態度を育てていく指導力が小学校教員に求められております。
 そのため、都教育委員会では、体育大学と連携して、児童が楽しく学び、体力が向上する指導のあり方をねらいとした実技研修会等を実施しております。
 さらに今年度は、このような研修の一環として、来年四月採用予定者約千六百人を対象に、児童とともに体を動かす楽しさを実感し、児童を運動好きにさせていくための指導に関する講習会を全国で初めて実施いたします。
 今後とも、こうした取り組みを通して、みずから楽しく運動する児童の育成に向けまして、小学校教員の指導力の向上に努めてまいります。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 五点のご質問にお答えします。
 初めに、都市計画道路の整備による木造密集地域の延焼遮断帯の形成についてでございますが、都市計画道路は、都市の骨格を形成し、機能的な都市活動や安全で快適な都市生活を実現する上で極めて重要な都市基盤施設であり、これまで都では、三次にわたる事業化計画を策定し、計画的に整備を進めてまいりました。
 阪神・淡路大震災では、老朽化した木造住宅の割合が高く、狭小な敷地が多い住宅地においても、幅員十二メートル以上の道路で延焼が阻止され、道路による延焼遮断効果が改めて確認されました。
 このため、都は、木造住宅密集地域の特性を踏まえ、都市計画道路整備を加速する新たな生活再建の方策などの検討を進め、延焼遮断帯の形成を図ることで、東京の弱点の一つである木造密集地域の改善に努め、高度防災都市の実現を目指してまいります。
 次に、道路整備の推進に向けた財源確保の取り組みについてでございますが、我が国の経済の活性化、国際競争力の強化とともに、震災時に救援活動や緊急物資輸送を支え、首都の中枢機能を守るためにも、三環状道路の整備に加え、骨格幹線道路ネットワークの形成や連続立体交差事業などを重点的に推進する必要がございます。
 しかし、国からの交付金などが大幅に削減されたため、今年度の都の道路整備への充当額は、昨年に比較して約七割となっております。
 また、国の社会資本整備総合交付金などの一部が地域自主戦略交付金として一括交付金化されましたが、例えば道路については、既存の道路延長などを配分指標としているなど、将来の都市の発展に寄与する新規の事業計画が考慮されていない算定となっております。
 このため、国に対し、真に必要な事業に対する財源を安定的、継続的に確保するとともに、日本の再生を担う東京の道路整備の重要性を適切に評価し、確実に財源を配分するよう強く求めてまいります。
 次に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することで道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消して地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であります。
 また、震災時には、列車の緊急停止などに伴い、長時間にわたって幹線道路の踏切が閉鎖され、緊急、救急活動の妨げとなるおそれがあることから、踏切を除却する本事業は都市の防災性の向上にも大きく寄与いたします。
 現在、七路線八カ所で事業を進めており、平成二十四年度には、京浜急行本線・空港線京急蒲田駅付近及び京王線・相模原線調布駅付近で、第一京浜などに残された踏切四十二カ所すべてを除却いたします。
 また、JR南武線では、矢野口駅付近から府中本町駅間の下り線を年内に高架してまいります。
 一方、新規箇所につきましては、二路線四カ所で事業化に向けて諸手続を進めており、このうち、西武新宿線東村山駅付近については、平成三十六年度の完了を目指し、来月に都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を開催いたします。
 また、西武新宿線中井駅から野方駅間については、年内に用地測量説明会を開催し、平成二十四年度に事業認可を取得して、平成三十二年度の完了に向けて取り組んでまいります。
 今後とも、必要な財源の確保に努め、区市や鉄道事業者と連携しながら、連続立体交差事業をより一層推進してまいります。
 次に、外環整備に対する今後の都の取り組みについてでございますが、国難ともいうべき東日本大震災では、発災後二十時間で復旧した東北道と被災が軽微であった首都圏の高速道路を利用して、首都圏のみならず、西日本からも救援隊や救援物資が被災地に向けて迅速に搬送されました。
 危惧されている首都直下型地震などの発災時においても、首都機能を堅持し、日本の東西交通の分断を防ぐターミナル機能を担う三環状道路の整備は急務でございます。そのかなめとなる外環は、高度防災都市形成のために、まさに命綱であると認識しております。
 大深度地下方式へと構造変更した外環は、既に確保されている立て坑用地を利用してトンネル本体工事に着手し、整備を推進することが物理的に可能となっております。
 このため、都は、国に対し、今年度補正予算への用地費の計上と、来年度予算におけるトンネル立て坑の工事国債の措置など、必要な事業費の確保を強く求め、外環の早期完成を図ってまいります。
 最後に、土砂災害に対する取り組みについてでございますが、近年、局地的な集中豪雨や台風に起因する土砂災害が多発しており、都民の生命や財産を守るためには、ハード、ソフト両面から対策を推進することが喫緊の課題であります。
 これまで都は、ハード対策として、土石流やがけ崩れの危険性が高い箇所、過去に災害が発生した箇所において、砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業などを実施してまいりました。
 また、ソフト対策として、土砂災害の危険箇所を明らかにし、都民が安全な避難行動をとれるよう、土砂災害警戒区域などの指定を平成十七年度より西多摩地域から順次進めております。今年度は千三百五十カ所を指定し、年度末には指定箇所が四千を超える予定でございます。
 さらに、気象庁と共同で土砂災害警戒情報を発表し、土砂災害の危険性が高まった場合には、区市町村による避難勧告や住民の自主避難などに役立てております。
 今後とも、関係自治体と連携し、土砂災害対策を推進し、都民の安全確保に全力で取り組んでまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、「十年後の東京」計画の改定についてでございますが、都では、平成十八年に策定いたしました「十年後の東京」計画を都政運営の基本方針として、都市インフラの整備を初め、環境、産業、福祉など、幅広い分野におきまして成果を上げてまいりましたが、今回、計画期間の半ばを迎え、また、東日本大震災により新たな課題が浮き彫りになったことを踏まえまして、現在、計画の改定作業を進めているところでございます。
 改定に当たりましては、「十年後の東京」計画に掲げていたこれまでの取り組み、これはもとよりといたしまして、特に高度防災都市の構築、自立分散型のエネルギー政策の推進、東京の国際競争力の向上の三点を強化していくこととしております。
 また、こうした取り組みを進める上では区市町村との連携が不可欠でございますから、先般、計画策定に向けて、すべての区市町村に意向調査を実施いたしました。
 基礎自治体として、日ごろから地域住民や地元企業の声を受けている区市町村からは、少子高齢社会への取り組みや中小企業振興などの要望が寄せられておりますが、これに加えまして、今般の震災を踏まえた建築物の耐震化や液状化対策等の防災力の強化、今回新たに問題となりました帰宅困難者対策、また、住宅への太陽光発電導入などの再生可能エネルギーの普及拡大に対する支援など、都が今後、特に推進するとしている事項にかかわる要望を数多くいただいているところでございます。
 こうした要望につきましても、十分に検討しました上で計画に反映するなど、さらに機能的で成熟した都市へと東京が進化する道筋を描いてまいります。
 次に、放射性物質への対応についてでございますが、都といたしましては、都民の健康と安全を守るために、原発事故後、総力を挙げて放射性物質対策に取り組んできたところでございます。
 これまで都内百カ所で、直接、空間放射線量を測定したということを初めといたしまして、水道水、食品、工業製品など幅広く検査をし、また、都内の区市町村が、経常的に放射線を計測できるよう測定機器を貸し出しております。
 測定検査の結果につきましては、街頭ビジョンやホームページで速やかに公開しますとともに、放射能について都民にわかりやすく解説したQアンドAを掲載しております健康安全研究センターのホームページには、この三月以降、八千万を超えるアクセスがあるなど、不安解消を望む都民、国民にこたえてきたものというふうに考えております。
 さらに、都内にとどまらず、被災地における工業製品や食肉の検査にも協力をしてきております。
 ご指摘ございましたように、原発事故後の国の対処が省庁縦割りでありましたことが、都民、国民の不安がいまだ去らない大きな原因だろうというふうに考えられることから、先般、統一的な安全基準の設定、国を挙げた検査体制の確立、最終的な処分方法の確立、これらがまさに三位一体として機能するように、放射性物質対策を抜本的に強化するよう国に求めたところでございます。
 昨今、国は、ようやく原子力規制や除染などの対策を環境省に集約すべく動き出し、また、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく取り組みにも着手したと聞き及んでおりますが、都といたしましては、今後も、第一義的に責任を負うべき国に対して、東京の実情を踏まえた要求を強く行ってまいります。
 また、モニタリングポストや検査機器を増設するなど、具体的な施策を拡充してまいりますとともに、こうした国の動きや、放射性物質の長期にわたる影響が想定されることを踏まえまして、庁内の組織横断的な連携体制を一層強化してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 法人事業税の暫定措置についてお答えをいたします。
 都の財源を一方的に奪いますこの措置は、受益と負担という税の原則に反し、憲法の定める地方自治を侵害するものでございまして、都は国に対し、これまでも一貫して即時撤廃を訴えてまいりました。
 そもそも法律では、平成二十三年度末までに消費税を含む税制の抜本改革を行うことを義務づけておりまして、同時に、この暫定措置についても、二十三年度末までのものと位置づけております。にもかかわらず、この間、国において、撤廃に向けた議論が全くといってよいほど進んでいないということは極めて遺憾といわざるを得ない状況でございます。
 また、大震災を受けて、建築物の耐震化や木造住宅密集地域の改善など、防災力の強化に向けた取り組みを加速させる財源を確保するためにも、暫定措置の撤廃は不可欠であると認識をしております。
 平成二十四年度税制改正の議論が年末に向けていよいよ山場になりますが、国に対しましては、消費税を含む税制の抜本改革、そして暫定措置の撤廃について約束どおり確実に実行するよう、引き続き都議会のご協力をいただきながら、あらゆる機会をとらえて一層強く働きかけてまいる所存であります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅密集地域の建物の不燃化でございますが、東京で大地震が発生した場合、木密地域の延焼により都市機能が大きく阻害されることは明らかでございます。今回の東日本大震災も踏まえ、不燃化の取り組みを強化するとともに、一層加速させる必要がございます。
 そこでまず、防災の専門家による講演会や、阪神・淡路大震災の被災体験者らを招いた車座集会を実施し、木密地域の住民に、震災の怖さ、自助、共助の重要性を伝えてまいります。
 また、建物の不燃化に有効な、条例に基づく防火規制の区域拡大を図るとともに、都有地等を活用した効果的な生活再建支援や、建てかえを促進するための建築規制の緩和など、新たな誘導施策の検討を進めてまいります。
 これらを地域の実情に応じて組み合わせ、関係局や地元区と連携しながら重点的に実施することにより、高度防災都市の実現を目指してまいります。
 次に、建築物における液状化対策でございますが、さきの東日本大震災では、震源から遠く離れた都内の内陸部においても液状化による建物被害が発生したことから、都は本年七月、地盤工学の専門家などから成る建築物液状化対策検討委員会を設置いたしました。
 第一回検討委員会では、液状化被害の実態を把握することや、建築物の建て主や設計者に対して、液状化の可能性や具体的な対策などについて情報提供することが重要であるとの意見が出されました。
 このため、建物に被害が発生した地区を対象に、地元区と連携してボーリング調査などを実施し、地盤の特性と建物被害との関係を把握いたします。さらに、都や区市、関係機関等が蓄積している地盤調査データを活用した新たな情報提供について検討してまいります。
 今後、検討委員会において専門家の知見を踏まえながら検討を進め、液状化による建築物の被害の防止に鋭意取り組んでまいります。
 次に、都市再生の推進でございますが、都はこれまで、質の高い民間の都市再生プロジェクトを積極的に誘導し、我が国の経済を牽引する国際ビジネス拠点の形成を進めてまいりました。
 本年四月の法改正により、都市の国際競争力の強化を図ることを目的として、税制の特例などが手厚く受けられる特定都市再生緊急整備地域の制度が導入されました。これを受け、都は、都市再生緊急整備地域のうち、今後も多くの開発が見込まれる東京都心臨海地域などに加え、新たに品川駅、田町駅周辺地域などを特定都市再生緊急整備地域に指定するよう、昨日、国に申し入れたところでございます。
 このうち、品川駅、田町駅周辺地域については、駅周辺に大規模な低未利用地が残されていることから、今後、この制度も活用して、基盤施設の整備と一体的に優良な民間開発を誘導することにより、国際化された羽田空港とリニア中央新幹線の結節点にふさわしい拠点の形成を図ってまいります。
 引き続き国際競争力の一層の強化に向け、総合特区の施策とも連携しながら、東京の都市再生をさらに推進してまいります。
 次に、多摩地域の交通インフラでございますが、多摩地域が活力と魅力にあふれ、自立して一層の発展を遂げるためには、拠点相互の結びつきなどを重視し、これまで充実させてきた基盤を生かしつつ、多摩地域を核とした首都圏の交通ネットワークを強化することが不可欠でございます。
 このため、道路については、渋滞の効果的な解消や防災性の向上に向けた幹線道路ネットワークの計画的な形成、区部や隣接県とのさらなる連携強化を図ってまいります。
 鉄道については、中央線三鷹─立川間の複々線化の実施に向けた検討を進めるなど、輸送需要の動向等を見据えながら、混雑緩和や都心へのアクセス向上などに取り組むとともに、調布や拝島等で駅前広場の整備などを促進し、駅の利便性を高めてまいります。
 さらに、多摩地域の産業振興や首都圏の航空需要にこたえるためにも、ビジネス航空の受け入れを含めた横田基地の軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
 今後とも、多摩地域の自立した都市圏の形成に向け、さまざまな交通施策を重層的、複合的に展開し、交通ネットワークの充実強化に取り組んでまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京港と島しょ港湾の津波対策についてでございますが、東京港においては、今回の津波による浸水等の被害はありませんでしたが、ご指摘のとおり、津波に対する備えは非常に重要であり、水門、陸閘等の一層の機能強化が必要と認識しております。
 水門につきましては、高潮対策センターからの遠隔操作などにより、震災当日も支障なく全水門の閉鎖を完了しましたが、一層のバックアップ機能の強化など、さらなる改善に取り組んでいるところでございます。
 また、陸閘については、一定の地盤高があることなどから、従来、水門ほどの即応体制にはしておりませんでしたが、想定を超える今回の津波の状況を踏まえ、即時閉鎖を可能とする人員体制の強化を図るとともに、停電時でも迅速に閉鎖可能な機器の導入、通信手段の不通時にも対応できる衛星携帯電話の配備などの対策を講じております。
 一方、島しょについても、今回の震災での被害はほとんどありませんでしたが、引き続き津波軽減効果をあわせ持つ港湾、漁港施設の整備を進めるとともに、整備済みの施設の防護効果の再検証や避難施設の整備の検討に着手しております。
 今後も、防災訓練などを通じてこうした取り組みにさらに磨きをかけ、災害から都民の生命と財産を守るという使命をしっかりと果たしていくとともに、国に対しても、首都東京の防災力を一層強化し、被災リスクの低減に向けた取り組みを促進するよう要求してまいります。
 次に、京浜三港における今後の取り組みについてでありますが、東日本大震災発生後、京浜港は、被災地の代替港としての役割を果たすとともに、被災港との間を航行する船舶の入港料の免除など、被災地支援を実施してまいりました。
 こうした中で、改めて災害時における港湾機能の重要性を認識し、今般策定した京浜港の総合的な計画の中にも、災害対応を含めた港湾機能の充実強化を盛り込んだところでございます。
 具体的には、港湾の三港の役割分担のもと、東京港においては、耐震強化岸壁を有する中央防波堤外側コンテナターミナルの整備にあわせ、既存コンテナふ頭の機能強化、再編を進めてまいります。また、災害時に三港が相互補完を円滑に行うため、港湾BCPの策定などにも取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、今後とも首都圏の生活と産業を支えるとともに、アジア諸港に伍していく我が国の基幹港湾として、その役割を全力で果たしてまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 私道内の給水管の耐震化についてでございますが、さきの東日本大震災において、都内の水道管の被害は、お客様の財産である給水管が四分の三を占め、主に塩化ビニール管における被害でありました。
 現在、水道局では、一定規模以上の私道、具体的には、給水管が三本以上ある場合、または二本以下であっても、お客様が十世帯以上ある場合、配水管を布設して、塩化ビニール管などの給水管をステンレス化して耐震化を図る私道内給水管整備工事を展開しており、私道延長約千四百キロメートルを対象に事業を実施しております。
 しかし、本事業の対象とならない小規模な私道に布設される給水管は、本事業に匹敵する規模が見込まれます。
 このため、ご指摘を踏まえ、私道内の塩化ビニール管をステンレス鋼管に取りかえる新たな取り組みについて、新設する場合を含め、整備手法などにかかわる検討を進め、早期に事業化することにより、震災時における水道水の確保に努めてまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 水再生センター間のネットワーク化の推進についてでございますが、これまで区部においては、水再生センター間を結ぶ送泥管を整備し、汚泥処理の効率化を図り、信頼性を高めるため、送泥管のバックアップルートの確保を行ってまいりました。
 また、多摩地域におきましては、多摩川を挟んで対面に位置する水再生センター間を結ぶ連絡管の整備を行い、施設整備や維持管理の効率化を図ってまいりました。
 今後は、ご指摘のとおり、災害時においても下水道機能を確実に維持し、水再生センターの再構築を効率的に行うため、水再生センター間で汚泥や汚水、再生水などを相互に送ることができるネットワークを整備し、総合的なバックアップ機能を確保してまいります。
 まずは、首都機能が集積をしている地区の排水を受ける芝浦水再生センターと、処理区域の面積が最も大きい森ヶ崎水再生センター間について、ネットワーク化に向けた連絡管を整備することとし、今年度、設計に着手をいたします。
 続いて、荒川を挟んで対面に位置し、汚泥処理の集約施設があります砂町水再生センターと葛西水再生センター間について、今年度から調査検討を行います。
 災害時においても水処理や汚泥処理をより安定的に行うため、ネットワークを拡充し、これまで以上に震災に強い東京の下水道の構築を進めてまいります。
 次に、ことしの夏の電力不足への取り組みと今後の対応についてでございますが、この夏の取り組みとして、都の削減目標であります一五%に相当する四万二千キロワットのうち、下水道局では二万九千キロワットの電力使用量を削減しまして、都における受電電力の抑制に大きく貢献をいたしました。
 引き続き下水道機能を確保し、厳しい電力需給の状況に対して積極的に貢献していくことも視野に入れ、非常用発電設備やナトリウム硫黄蓄電池などを増強してまいります。
 非常用発電設備につきましては、燃料について、これまでの重油や灯油に加えまして、さらに都市ガスもあわせて利用できる方式の採用など、燃料の多様化を図ってまいります。
 この夏の節電に大きな役割を果たしましたナトリウム硫黄蓄電池につきましては、これは夜間に電力を蓄電いたしまして、昼間のピーク時に活用するものでございますが、現在保有する設備能力二万キロワットから四万キロワットに倍増いたします。
 さらに、電源の多様化を図るため、太陽光発電を葛西水再生センターに続き、他の水再生センターなどへの導入を進めてまいります。
 今後とも、これまで培ってきた運転管理のノウハウを駆使し、さらなる節電に努め、設備の増強による電力確保や電源の多様化に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、帰宅困難者対策についてでございますが、今回の大震災で顕在化した課題を解決するためには、都民や事業者を含め、社会全体で対応を図る必要がございます。
 このため、都は、国とともに、去る九月二十日、猪瀬副知事と内閣府政策統括官を共同座長として、近隣自治体を初め、経済団体、鉄道、通信事業者等を含めた帰宅困難者等対策協議会を発足させました。
 この協議会において、一斉帰宅の抑制の徹底に向け、企業等の施設内待機や備蓄の推進、駅や商業施設等における利用者保護などの基本的なルールを取り決めるとともに、官民の協力により、帰宅困難者を受け入れる一時待機施設の確保を検討してまいります。
 また、専門的な検討が必要となる通信手段の確保や広域的な体制が必要となる帰宅支援につきましては、協議会のもとにワーキンググループを設置し、集中的に検討してまいります。
 今後、これらの検討結果につきましては、本年十一月策定予定の防災対応指針や地域防災計画に反映することで実効ある対策へとつなげてまいります。
 次いで、燃料の確保についてでございますが、都はこれまで、災害時の応急活動等に必要な燃料を確保するため、業界団体との間で発災時に燃料の供給を受ける協定を締結しております。
 しかしながら、東日本大震災では、製油所の操業停止や物流の停滞により一時的に燃料の大幅な不足が生じ、協定に基づく燃料の供給を受けることが困難な状況となったことから、災害時における燃料確保のあり方について改めて検討する必要が生じました。
 今後、災害拠点病院の非常用発電機や緊急通行車両の燃料など、都民の生命を守るために必要不可欠な燃料について、業界団体と協議を行い、燃料の確保に向け、新たな仕組みを構築してまいります。
 最後に、住民の避難対策における区市町村支援の充実についてでございます。
 発災時の住民の避難につきましては、法令により、基礎的自治体である区市町村が主たる役割を担うこととされており、区市町村ごとに避難所の確保、運営、避難誘導などの対策を講じております。
 しかしながら、人口が密集する大都市東京において、首都直下型地震のような大規模災害が発生した場合には、区市町村の区域を大きく超えた避難も想定されることから、都は広域行政の立場から、避難のあり方や具体の方策を講じていく必要がございます。
 このため、東京都防災会議に区市町村や防災機関、学識経験者などから成る検討組織を設置し、都全域を視野に入れた効率的、効果的な避難の実現という観点から、避難誘導や避難者の受け入れ調整など、広域的な避難対策の検討を進め、区市町村への支援の充実に努めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業のBCP策定の支援についてであります。
 都内の中小企業が災害などの影響を受けても事業を確実に継続することができるよう、事業継続計画、BCPとして策定していくことは極めて重要であります。
 都は、昨年度から、中小企業のBCP策定を支援する取り組みを開始いたしましたが、東日本大震災の発災を踏まえ、今年度は支援する企業の数を四十社から七十社にふやすなど、施策の充実を図っております。
 また、ご指摘のように、中小企業がBCPの必要性を理解するとともに、計画どおり事業継続に成功した事例を知ることができる工夫に取り組むことも重要でございます。このため、BCP策定について事例集を作成したり、ホームページを通じ取り組み内容を公表し、その重要性を幅広く発信することにも力を入れております。
 今後は、より多くの中小企業がBCPを理解するきっかけや機会をふやすため、BCPの基本的内容を一日で学べるセミナーや、被災時の事業継続に成功した事例を紹介する発表会の開催を予定しております。さらには、企業の立地する周辺地域の実情に合ったBCPを策定できるよう、地元の区市町村と連携したセミナーの開催にも取り組んでまいります。
 こうした施策により、BCP策定への理解を広め、中小企業の災害等への対応の力を高めてまいります。
 次に、都内でのホテル、旅館における避難者受け入れの実績についてでありますが、都では、災害救助法に基づき、岩手、宮城、福島の被災三県からの要請によりまして、都内のホテル、旅館を活用して避難者の受け入れを行ってまいりました。
 昨日、九月二十七日現在の受け入れ実績は、延べ四百二十六世帯、九百四十八人となっておりまして、開始以来の宿泊数としては延べ四万六千泊と、震災初期の対応として重要な役割を果たしてまいりました。
 今般、より安定した生活を支援する観点から、被災県では避難所の運営を終了し、応急仮設住宅への入居を進めております。都におきましても、各県の意向を踏まえ、避難所として実施してまいりましたホテル、旅館での受け入れにつきまして、十月末日に終了する予定でございます。
 なお、現在入居されている方につきましては、応急仮設住宅に順次お移りいただくこととしております。
 次に、避難者の雇用の確保支援についてでありますが、避難者の生活の安定を図るためには、早期の就職実現が重要であると考えております。
 このため、都は、主に都内での就職を希望する避難者向けに、八月から東京しごとセンター及び東京しごとセンター多摩におきまして支援窓口を開設し、専門のカウンセラーを配置するなど、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行っております。
 一方、企業側に採用を促す仕組みとして、避難者を六カ月以上雇用した企業に原則六十万円の助成金を支給する制度を設けました。さらに、職業能力開発センターでは、十月入校生の募集から二百四十名規模の避難者優先入校枠を設けまして、多様な職業訓練の受講機会を提供しております。
 また、被災地での就職を希望する方を主な対象として、復興事業に役立つ建設機械操作や、建築の基礎技術を習得する職業訓練を百八十名定員で実施しており、第一期募集定員四十名のところ、五十名の応募がございました。
 こうした取り組みにより、避難者が早期に就職することで生活が再建できるよう、全力で支援を行ってまいります。
 次いで、製造業の空洞化への対応についてでありますが、円高による採算の悪化などにより製造業が生産の拠点を海外に移す動きが出ている中、無秩序な空洞化を防止し、ものづくりの工程で不可欠な基盤技術の担い手である中小企業の集積を、地域社会の中でしっかりと確保し続けることは重要でございます。
 都はこれまでも、創造的都市型産業集積創出助成事業によりまして、地域ごとの特性を生かした中小企業の集積支援に取り組んでまいりました。そうした施策に加え、今後は、基盤技術の面ですぐれた力を持つ会社の集まるエリアを対象に、その集積の維持や発展に役立つ支援を検討し、さまざまな基盤技術を活用するものづくり産業が都内で生産活動を続けることのできる環境の整備につなげてまいります。
 具体的な支援に当たりましては、地域ごとの産業の実情を正確に把握している区市町村との連携を十分に確保してまいります。都内の各地域の産業集積を維持強化し、基盤技術の発展を実現することで、製造業の空洞化への対応を効果的に進めてまいります。
 次に、買い物弱者に対する対応についてであります。
 商店街は商業活動の拠点でありますとともに、地域コミュニティの中心となっており、買い物に制約や支障のある、いわゆる買い物弱者に対しまして、日常品を効果的に提供することが期待できます。
 都では現在、東京における買い物弱者の実態を把握する調査を行っております。その結果を踏まえ、商店街が注文を受けた商品を届けたり、買い物を本人のかわりに行うような取り組みを対象に、地元の区市町村と協力して支援する事業を、モデルとして行うことを検討しております。
 次に、商店街の後継者の育成についてでありますが、商店街の将来の担い手を確保するためには、商店街での開業に意欲のある人材をしっかりと育成していくための仕組みづくりを行うことが重要であります。
 そのため、商売や商店の運営に必要な知識やノウハウを学びました上で、商店街での開業を実現するまでの過程で生じる負担を軽減するなど、後継者の育成と確保を効果的に行う具体的な支援のあり方について検討してまいります。
 最後に、若年者の就業支援についてであります。
 お話のとおり、平成二十三年三月の大学卒業者の就職率は過去最低の九一%となるなど、若者を取り巻く雇用情勢は依然として厳しい状況であると認識しております。また、都内には意欲あるすぐれた人材を求める中小企業が多くあるものの、若者の大企業志向などからミスマッチが生じておりまして、その解消も重要であります。
 このため、都は今年度から、研修と中小企業での就労体験を組み合わせた未就職卒業者緊急就職サポート事業を新たに開始し、就職先が決まらないまま大学などを卒業した若者の就職を支援しております。現在、五百人を超える若者が本事業に参加し、正規雇用を目指して企業で就労体験中であります。
 また、新規大卒者等合同就職面接会を、今年度は開催回数を年二回から三回にふやして実施いたします。第一回目として七月に開催した面接会には、百四十四の企業と一千四百七十八名の若者が参加いたしました。今後は、十一月と来年の二月に、規模を拡大した面接会を開催する予定であります。
 加えて、ものづくりなど地域産業の実態にマッチした人材を供給するという観点から、新たに多摩職業能力開発センターと東京しごとセンター多摩が、自治体や経済団体等と連携して、訓練生や若者を対象とした合同就職面接会を十一月に開催いたします。
 なお、大震災により被災地では就職が難しく、都内で就職を希望されます若者に対しましても、東京しごとセンター等でさまざまな支援を行っております。
 今後とも、こうしたさまざまな対策を講じることにより、厳しい雇用環境に置かれた若者の就職を強力に後押ししてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、食の安全・安心の確保に向けた対応についてでございますが、都はこれまで、食の安全・安心を確保するため、生産地として都内農産物等の検査を計画的に実施いたしますとともに、他の生産県の検査にも最大限協力をしてまいりました。
 また、電話相談窓口の設置やホームページによる情報発信、放射性物質と食品の安全性についてをテーマにした、食の安全都民フォーラムの開催など、都民に対する情報提供を積極的に行ってまいりました。
 今後、食に対する信頼をより確かなものとするためには、検査体制を一層充実いたしますとともに、都民に正しい情報を適時適切に提供していくことが重要でございます。
 そのため、今月、放射性物質を精密に測定いたしますゲルマニウム半導体核種分析装置を東京都健康安全研究センターに二台増設し、四台体制としたほか、十月の上旬には、簡易測定のためのシンチレーションスペクトロメーター四台を更新し、検査体制の一層の強化を図ってまいります。
 また、牛肉につきましては、都の食肉市場における全頭検査の実施に向け、新たな検査機器を導入することとしており、中央卸売市場、市場の関係団体、芝浦食肉衛生検査所が連携をしながら、検査結果の速やかな通知も含めた体制づくりを進めております。
 さらに、放射能に関します教員向け研修会や都民向けシンポジウムを開催するなど、情報提供の充実も図り、食の安全・安心の確保に努めてまいります。
 次に、地域がん登録の取り組み状況についてでございますが、都は、予防から治療に至る総合的ながん対策の評価、企画立案に資するため、平成二十四年七月から地域がん登録を開始いたします。
 そのため、医療機関等から収集する情報を登録、分析いたします地域がん登録室を、都のがん診療連携の拠点でございます都立駒込病院内に設置することとしており、現在、整備を進めているところでございます。
 また、有識者やがん診療連携拠点病院、区市町村などの関係機関で構成をいたします東京都地域がん登録検討会におきまして、各医療機関が実施しております院内がん登録との連携や、区市町村からの患者情報の収集方法などについて、実務的な調整を行っております。
 今後は、医療機関や区市町村の担当者を対象としたテキストを作成し、研修会を行うなど、地域がん登録を円滑に実施するための準備を着実に進めてまいります。
 次に、介護保険制度改正に向けた都の基本的な考え方と取り組みについてでございますが、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活できるようにするためには、高齢者の住まいを整備するとともに、医療や介護、生活支援サービス等を日常生活の場で切れ目なく提供していくという地域包括ケアの考え方に立った施策を推進していくことが重要でございます。今回の介護保険制度の改正も、こうした観点から実施されるものと認識をいたしております。
 都は、現在、NPOや株式会社等、多様なサービス提供主体が存在するという東京の特性を生かしまして、施設サービス、在宅サービス、ケアつき住まいなどのサービス基盤をバランスよく整備するための方策を検討しており、今年度末に策定予定の第五期高齢者保健福祉計画の中に盛り込んでいく考えでございます。
 また、今回の制度改正では、介護報酬の地域区分についても見直しが予定されておりまして、都は既に、七月と八月の二度にわたりまして、大都市における地価や人件費等の実態を踏まえた抜本的な見直しを求める緊急提言を行ったところでございます。
 来年度は、介護報酬と診療報酬の同時改定の年にも当たることから、今後とも必要な医療や介護サービスが確保できるよう、国に強く働きかけてまいります。
 次に、介護保険制度の財政安定化基金についてでございますが、この基金は、保険者であります区市町村に財源不足が生じた場合、資金の貸し付け、または交付を行い、介護保険財政の安定を図ることを目的といたしまして、都、国及び区市町村の三者が均等に拠出するものでございまして、法に基づき都が設置をいたしております。
 今回の法改正によりまして、平成二十四年度に限り、この基金の一部を貸し付けなどの目的以外に取り崩すことができることとされました。取り崩した基金は、都、国及び区市町村に三分の一ずつ配分し、区市町村は保険料率の増加の抑制のために活用し、都及び国は介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう努めるものとされております。
 現在、区市町村の意見も聞きながら、基金の取り崩し額等について検討いたしておりますが、都としては、今後ますます高齢化が進行する中で増大する介護ニーズに対応するため、サービス基盤の整備などに有効に活用していきたいというふうに考えております。
 次に、養育家庭への支援についてでございますが、都はこれまで、児童相談所への専任職員の配置や、児童の養育や心理に関する専門機関等の活用などにより、養育家庭に対する相談支援体制の充実に取り組んでまいりました。
 しかしながら、このたび東京都が委託をいたしました児童の死亡事件が起きたことは、まことに残念であり、重く受けとめております。
 都は、昨年八月の事故発生後、直ちに子どもを委託しているすべての養育家庭を訪問いたしまして、養育状況の確認を行っております。また、里親の逮捕を受けて、各児童相談所において、養育家庭の方々に対し、この間の状況を説明いたしますとともに、改めて相談支援の現状に関する意見や要望を伺いました。
 これらの意見等も踏まえ、里親と児童が安心して生活できますよう、相談体制の一層の充実、地域の関係機関との連携による見守りの強化、養育家庭相互の交流の場のさらなる活用などに早急に取り組んでまいります。
 また、現在、児童福祉審議会におきまして、専門的見地から事件の検証と改善策の検討を行っておりまして、今後、認定から委託後までのあらゆる段階における支援のあり方などを総点検いたしまして、必要な方策を講じてまいります。
 最後に、災害時における障害者への支援についてでございますが、お話のように、今回の震災では、多くの障害者団体や支援団体が被災地への職員の派遣や物資の提供など、さまざまな支援活動を行ってまいりました。
 これらの団体からは、これまで都に対しまして、被災地での支援内容の報告にあわせ、今回の活動経験を踏まえた災害時の情報提供、安否確認などについての要望が数多く寄せられております。
 災害時における障害者支援には、こうした声を反映させていくことが重要でありますことから、都は来月、災害時要援護者対策を行う区市町村に対しまして、団体との連携についての調査を実施いたしますとともに、障害者団体とのヒアリングを改めて行うことといたしております。
 今後、障害者施策推進協議会などの意見も踏まえながら、障害者団体等との協力体制のあり方を取りまとめ、来年度の地域防災計画の修正に反映させてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、この夏の電力対策の総括とこの冬以降に向けた取り組みの方向性についてでございますが、この夏、都内では、企業、家庭での創意工夫により、昨年に比べ二割から三割程度の電力を削減する大きな成果を上げることができました。
 しかし、今回の国の電力使用制限は、一律に一五%削減を求めるという個々の事業所の特性への配慮を欠いたものであるとともに、節電に関する情報の提供も不十分なものでありました。このため、一部には、いわゆる我慢の節電を強いられた面があったことも事実でございます。
 現在、都におきましては、この夏の節電の取り組みにつきまして、企業、業界団体、区市町村等からすぐれた取り組み事例を収集し、分析を進めております。
 今後、無理のない効果的な節電手法を明らかにし、これらの知見を活用して、この冬以降は企業の事業活動や都民生活に大きな支障が生じないような、いわば賢い節電の促進により、需給バランスの最適化に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、ライフライン施設等における電源確保についてございますが、病院や社会福祉施設など、災害弱者を守る施設やライフライン施設、さらには災害時の避難拠点となる施設などは、都民の生命を守り、経済活動を支える大都市の生命線でございます。
 こうした施設が災害時にも確実に活動を継続し、都市機能を維持していくためには、系統電力だけに依存しない自立分散型電源の確保を進め、災害時のリスクを分散することが必要でございます。
 今後、これらの分散型電源の確保に当たりましては、コージェネレーション発電など、高効率で環境性能の高い設備の導入が促進されるよう努めてまいります。
 また、民間の都市開発に合わせまして、分散型電源の整備などを後押しする仕組みを構築するなど、災害時における都市機能の維持を図ってまいります。
 最後に、電力の需給両面からの最適化に向けた取り組みについてでございますが、いわゆるスマートグリッドは、電力需給データをリアルタイムで集約し、供給の逼迫時には需要を自動制御できる仕組みでございまして、地域における電力需給の最適化と需要者間での電力の融通を可能とするシステムでございます。
 首都圏におきましては、大規模マンションにスマートメーターを設置し、昼間の電力消費を抑制した家庭に電力料金の支払いに利用できるポイントを付与することで、ピーク時の使用抑制を誘導するなど、先進的な取り組みが始まっております。
 都は、この秋、都心部の業務集積地域を対象としまして、電力使用量のリアルタイムでの見える化と需給制御などを行うエネルギーマネジメントの事業化に向けました調査を、民間事業者の協力を得まして新たに実施する予定でございます。
 こうした取り組みを通じ、都市における新たなエネルギーマネジメントシステムの導入を誘導してまいります。
   〔交通局長野澤美博君登壇〕

〇交通局長(野澤美博君) 今後の都営バス事業の経営についてお答えいたします。
 東京電力の株式配当収入を充当していた都営バス事業は、このたびの震災の影響を受け、配当が見込めないことから、当面、経常黒字を確保することが難しい状況にあります。
 これまでも都営バス事業は、地下鉄等の開業による乗客数の減少や新規バス事業者との競争の激化など、幾度となく困難な状況に直面してまいりましたが、その都度、局を挙げた経営改善により乗り越えてまいりました。
 配当が見込めないことによる減収額は大きなものでございますが、今回のことで運賃を値上げすることなく、乗客需要に応じた路線再編による収入増や一層の経費削減など、数年にわたる地道な取り組みにより収支改善に努め、引き続き都民の足としての役割を果たしてまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) 二点の質問についてお答えいたします。
 まず、オリンピック・パラリンピックにおける復興支援についてでございます。
 議員お話しのとおり、オリンピック・パラリンピックの開催は、震災で傷ついた被災地の復興を大きく後押しするものでございます。このため、大会開催計画の策定等を行う招致計画委員会の中に被災県の関係者を加えた復興委員会を設け、被災地の支援案として、サッカー等の競技や聖火リレーに加え、大会開催期間中とその前後を通じて行われるさまざまな文化プログラムを東北地方で開催することを検討してまいります。
 また、招致活動期間中においても、アスリートとのスポーツ交流などを通じて被災者を元気づける取り組みを行っていくほか、スポーツ界を挙げて被災地の経済的復興にもつながる取り組みも検討してまいります。
 次に、平成二十五年の冬季国体についてでございます。
 去る九月二十二日、公益財団法人日本体育協会と文部科学省から、スケート競技及びアイスホッケー競技の開催についての要請を受けたところでございます。
 冬の国体を東京で開催することで、平成二十五年を、一月の冬季国体に始まり、東京マラソン、秋のスポーツ祭東京二〇一三と続く、まさにスポーツイヤーとすることにより、スポーツの感動や華やかさを多くの都民、国民に体感してもらい、スポーツを都民に普及させる絶好の機会とすることができます。
 また、東京での開催が難しい一部競技を被災された県で開催することは、スポーツの力で人々を元気づけるとともに、被災地に活力を取り戻す有効な取り組みと考えます。
 こうしたことから、平成二十五年の冬季国体については、都のスポーツ振興はもとより、被災地の復興支援という観点も踏まえまして、開催に向けた検討を進めてまいります。

〇副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十六分休憩

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