平成二十三年東京都議会会議録第十二号

   午後一時開議

〇議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(和田宗春君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(鈴木省五君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、平成二十二年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
(別冊参照)

〇議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、平成二十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加をいたします。

〇議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
 百十九番増子博樹君。
   〔百十九番増子博樹君登壇〕

〇百十九番(増子博樹君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 八月末から九月にかけて、四国、中国地方を縦断した台風十二号による豪雨は、紀伊半島などで、死者、行方不明者が百人を超えるなど、平成に入って最悪ともいえる被害をもたらしました。さらに、列島を縦断したさきの台風十五号も、多くの被害をもたらしました。
 亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様、ご家族の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 さて、我が国は、グローバル化した経済、多極化した国際政治の中で、難しいかじ取りが求められていますが、このほど国会は、そのかじ取りを若き野田政権にゆだねました。この道は決して平たんなものではなく、これまでに失った信頼を取り戻し、新たに信頼を獲得しつつ進まなければならない、後のない道であります。私たちは、この野田政権を支えるとともに、福田政権において導入された法人事業税暫定措置の即時撤廃、防災対策の強化や外環道の建設促進など、東京の重要課題については、積極的に働きかけていくことを表明させていただきます。
 また、知事は、さきの所信表明で、建設的で質の高い議論とも述べられていましたが、その一方で、民主党を、何でも反対、是々非々ではなく非々非々だと誹謗中傷しておられるようでは、とても建設的で質の高い議論などできないのではないでしょうか。建設的で質の高い議論を求められるのであれば、まず知事ご自身が範を示すべきであると申し上げておきます。
 まず、東京の防災対策について伺います。
 現在、国の地震調査研究推進本部は、さきの超巨大地震を分析する中で、海溝型大規模地震にかかわる長期評価の見直しを順次実施しています。防災科学技術研究所の藤原氏によると、江戸元禄期に起きた関東地震は、マグニチュード八・一の大きさで、東京湾内に二メートル、大島に十メートルの津波を起こしたと述べています。そして、こうした過去の経験を、今後に生かすことが重要とも語っています。産業技術総合研究所においても、房総半島南東沖の海溝型地震が繰り返し発生してきた可能性があると研究結果を発表しています。
 都は、防災対策において、マグニチュード八級の元禄型関東地震の再来、相模トラフ沿いの地震も想定していくべきと考えます。そして、国の長期評価の見直しに先駆けて暫定想定を行い、都民に対し、防災への確固とした姿勢を示していくべきと考えますが、所見を伺います。
 大震災によって、千葉県の京葉臨海中部地区の液化石油ガスタンクが倒壊、引火し、十日間にわたり燃え続け、また、東京湾に液体アスファルトが流出するなどして、周辺住民約千三百名が避難する事態となりました。
 東京湾沿岸には、石油コンビナート等特別防災区域が広がり、多くが建設後約三十年を経過しており、早急な屋外貯蔵タンク等の耐震性向上と長周期地震動対策が求められています。また、新技術基準として、地盤は液状化しない堅固なものでなければならないとされており、護岸の耐震化、海上流出対策を含め、防災対策も急がれます。
 首都直下地震の際に、東京湾は、緊急物資の輸送や人員の搬送等を行う重要な海路となります。被災に伴い、石油など大量の危険物が東京湾に流出した場合、それらの活動を大きく阻害する要因となります。
 こうした東京湾内の危険物除去や、近県の石油コンビナート火災の消火及び冷却活動への支援など、今後起こると想定される首都直下地震や三連動地震時の都の対応について伺います。
 また、広域防災の視点から、都は、石油コンビナート等の防災対策を、国や関係県市、事業者などとともに、強化して取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、帰宅困難者対策について伺います。
 震災時、東京都心部では、多くの帰宅困難者が発生し、首都直下地震の被害想定においても、東京では四百四十八万人が帰宅できなくなるとされています。都は、帰宅困難者を一時待機施設に受け入れる考えで、官民施設を幅広く確保していく方針です。
 震災後の被災した建築物については、応急危険度判定を行い、必要な措置を講じる必要があります。民間では、震災時の建物倒壊の危険性をはかる建物被災度判定システムを導入する事業者が出始めています。これは、超高層ビル内に設置した地震計のデータから、構造物が致命的なダメージを受けたかどうかを判定するもので、大手ディベロッパーも導入しています。実際、東日本大震災後に、世界貿易センタービルでは、これらに基づき被害がないことを確認し、浜松町駅に滞留していた帰宅困難者を七百人受け入れました。
 都は、帰宅困難者の一時待機施設の安全性に配慮しながら、都内各所に多くの施設を確保していくべきと考えますが、所見を伺います。
 東日本大震災発災から二日後、関西広域連合は、現地連絡所を岩手県、宮城県に設置し、また、十六日には福島県に設置して、被災地支援に取り組み始めました。二十三日には太平洋沿岸市町の大被害を確認して、気仙沼市などにも支援本部を設置し、市町レベルでも連携して支援に当たりました。
 全国の都道府県間では、災害時の広域応援に関する協定を締結していますが、今回、十分に機能したとはいえませんでした。そのため、広域大災害への備えとして、都は、知事会や各ブロック知事会、広域連合などと首都圏を超えた広域応援体制を検証、再構築していくべきと考えますが、所見を伺います。
 今回の東日本大震災で今までの想定を超える津波被害などが発生し、防災対策の再検討が、国や各自治体で進められています。この東京においても、複合災害の最悪想定の一つとして懸念するのは、これから政府が検討を始める三連動地震などのような大規模地震が発生し、満潮時に台風による高潮が重なって従来の規模を超える高潮が東京に達し、東京東部のゼロメートル地帯で溢水、冠水することです。
 東京の江東内部河川を初めとしたゼロメートル地帯を中心とする低地帯では、満潮面以下の地域に約百五十万の人々が生活しています。従来のように、まちに水が入らないように取り組んでいくことは当然ですが、想定外の事態により、万々が一、海水などが浸入してしまった際に、被害を最小限に抑え込んでいく減災のために、都は早急に想定と対策を検討し始めるべきです。所見を伺います。
 東日本大震災後、初めての防災の日となった九月一日には、多くの自治体などで防災訓練が行われました。地域においては、関係機関が連携して訓練を行いましたが、多くの都民が参加し、防災意識を向上させる取り組みとするには、いまだ十分ではありません。
 災害に強い持続可能な都市東京をつくるためには、より多くの都民一人一人が防災意識を高め、平時の訓練に参加すること、地域コミュニティの維持強化によるネットワークづくりを進めること、そして、行政とともに地域の防災体制の確立に取り組むことが重要です。
 地域の自主防災活動を活性化する事業として、愛知県や横浜市などでは、防災科学技術研究所と協力し、パソコンによるe防災マップづくりを推進しています。地域オリジナルの防災地図を作成し、地域の防災力や問題解決能力の向上に資するオープンソースのウエブシステムは、被災自治体の災害対応業務支援や災害ボランティアセンターの活動支援などにも使用されています。こうした災害リスク情報システムの積極活用を区市町村に促すことも必要だと考えます。
 これらも踏まえ、都は、都民の防災意識を向上させ、その意識を風化させないよう、地域防災力の向上に一層取り組むべきだと考えますが、所見を伺います。
 現在、福島県から県外への避難者は五万六千二百八十一人で、東京都には六千八百二十三人が避難しています。原発事故の収束の見通しが立たない中、長期化する避難生活に、特に母と幼い子どもだけの母子避難者の生活には不安感が募っています。都においては、引き続き避難者の皆さんへのきめ細かな支援を求めるものです。
 今回の大震災では、都内の災害時要援護者も帰宅困難者となり、大きく体調を崩す事例や、計画停電の影響を受けた事例など、さまざまな問題があったことから、医療や障害者、PTA団体からは、高齢者や在宅療養者への医療の確保や各団体と連携した防災訓練の実施、学校による通学途上も含めた対策の構築といった災害時における支援の要望が多く出されました。
 区市町村に、災害時要援護者対策を働きかける都において、大震災で災害時要援護者が受けたさまざまな事例から、支援策が実際機能するのかといった把握、検証が必要と考えますが、所見を伺います。
 現在、福島県においては、順次、県民の被曝検査を行っております。また、全国各地の原発立地自治体には、原発事故対応のための医療が確保されていますが、原発事故、放射能災害が現実のものとなった今、原発立地道府県のみならず、東京都としても災害対策として、ホールボディーカウンターの購入、技師、医師の確保による放射能医療体制の確保について、積極的に検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 石巻市の日赤病院では、今回の震災時、災害時用の簡易なオーダリングシステムを急遽構築し、迅速、円滑な処方に努めました。また、気仙沼市立病院では、NCOといわれる方法で広域医療搬送の情報管理を行い、地理的に離れた組織間で横断的にネットワークを経由した情報共有、受け入れや遠隔地への搬送調整が行われたとのことです。
 遠隔バックアップなどでデータ損失を防ぐ、災害にも耐え得るネットワーク整備など、今回の震災時に機能した事例を参考として、さまざまな課題に対処していかなければなりません。
 災害時において医療機関の情報を他の医療機関、消防、行政が共有するシステムについても、積極的に検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、放射能対策について伺います。
 大震災によって誘発された福島第一原発事故により飛散した放射性物質は、遠く離れた東京にまで到達しました。この放射性物質の問題は、事例が少なく、その影響がよくわかっていないため、正確な情報を提供するとともに、都民の被曝量、都内の放射性物質を可能な限り低減する対策を講じ、都民の不安払拭につなげていかなければなりません。
 都内施設における放射性物質対策については、都内の下水処理施設で採取された下水汚泥、また、その焼却灰から高濃度の放射性物質が検出され続けており、都は現在、この高濃度の焼却灰を中央防波堤処分場に埋めています。都の調査によれば、埋め立て以来、高い線量を記録し続けており、処分場の安全管理の徹底が求められています。
 そのような中、東京都は、震災瓦れきを三年間で五十万トン受け入れると表明しました。震災復興に向けて、できることはやるという姿勢は大事です。しかし、それはあくまでも都民の健康が守られるということが前提でなければなりません。現地の状況としては、岩手県、宮城県の中でも、放射性物質によって高濃度に汚染されている地域、そうでない地域があると聞いています。
 この震災瓦れきの取り扱いを決めるに当たっては、慎重な検討と、都民に対する丁寧な説明が必要だと考えますが、所見を伺います。
 放射性物質の環境中への降下、その影響による農林水産物の放射能汚染は、食品中の放射性物質に対する不安を都民に抱かせました。また、この数年、新型インフルエンザ、中国産冷凍ギョーザへのメタミドホス混入など、感染症や食品衛生にかかわる検査機器、それに携わる専門職の重要性を知らしめる事態を経験しました。
 東京都には、この放射能汚染の検査に関して実績があります。今から二十四年前、チェルノブイリ原発事故の際には、ヨーロッパの食材を中心に放射能濃度の検査を実施しました。以来、この検査を続け、都民の食の安全を守ってきました。このような努力の積み重ねで、東京都は都民の安全を守ってきたのです。
 PCR検査だけ、冷凍食品だけ、その時々に単品で騒ぐのではなく、平常時から総じて専門職の確保、育成等について留意することは、健康と安全を下支えする営みなのだということを、改めて確認し実行すべきです。
 食品の安全に対する信頼が揺らぐ中で、安全な食品がしっかりと流通、消費されるようにするためにも、食品検査体制の強化が必要と考えますが、所見を伺います。
 食の安全の中でも、子どもについては特に気を使う必要があります。先般、放射性物質に汚染された稲わらを給与したために、暫定規制値を超える牛肉が学校給食に使用されていたことが判明しました。こうした事態を受けて私たちは、八月三十日に石原知事に対し、子どもの内部被曝ゼロを目指すための緊急要望を行いました。
 その内容は、学校、幼稚園、保育所等の給食において、食材の放射能検査の実施や放射能濃度が低い食材の利用、食材産地の公開、各区市町村との連携と情報提供、費用補助の支援、栄養士等への必要な研修の実施などであります。
 また、都が価格及び納入業者を決定している牛乳に関しては、品質確保のため、納入メーカーや学校給食会に対し、検査の実施など適切な対応を求めること、そして、食品の放射能汚染については、リスクコミュニケーションの場を設けることや、都民に対し、わかりやすく正確な情報を提供することなどを求めました。
 児童生徒の保護者からは、本当に給食が安全なのかといった不安の声も多く聞き、また、各区市町村においては、独自に給食食材の放射能検査を行っている地域もあります。
 そこで、福島第一原発事故後、学校給食の安全確保と保護者の不安解消のための取り組みに関し、都教育委員会は、これまでどのような対応を行い、今後どう対応していくのかを伺います。
 次に、八ッ場ダムについて伺います。
 九月十三日に開かれた八ッ場ダム建設事業関係地方公共団体から成る検討の場で、関東地方整備局から検証結果の案が示されました。その内容は、治水、利水の両面で、八ッ場ダム案が代替案に比べてコストが圧倒的に安く、最有力案であるというものでした。
 しかし、検証の中身を見ると、予断を持たずに客観的、科学的に八ッ場ダムの是非を検証するはずであったものが、事業継続の結論が先にありきの検証になっているように感じられます。
 まず、利水について検証しなければならないことは、各利水予定者が八ッ場ダムに求めている水量が本当に必要なのか、その根拠となっている水需要の予測が、実績や実態を踏まえたものになっているかどうかです。ところが今回の検証では、各利水予定者が八ッ場ダムに求める水量がそのまま積み上げられ、その要求水量を前提にその水量を確保するため、それも非現実的とも思える四つの利水代替案との比較で八ッ場ダムが最適だという判断がされています。
 その一つは、静岡県の富士川河口部から導水することを中心とする代替案です。
 富士川から東京まで導水するという壮大なこの代替案の場合、費用は一兆三千億円にもなっています。このような案と比較すること自体に対する疑問の声があります。関東地方整備局が、水需要予測の妥当性について全く検証していないとする指摘もあり、その要求水量を満たす代替案なるものとの比較のみを行ったことについて、都の見解を伺います。
 東京都全体の水道の一日の最大配水量は平成四年度の六百十七万立方メートルからほぼ減少の一途をたどり、二十二年度には四百九十万立方メートルと、この十八年間で二割も減っています。
 これは節水型機器の普及などにより、一人当たりの使用水量が減少してきたからであり、今後も続くであろう人口減少や節水型機器の普及などを踏まえれば、今後の水需要が増加傾向に転ずることは、考えがたいのではないでしょうか。
 東京都水道局は、平成二十五年度に必要となる一日最大配水量は六百万立方メートルと予測しています。ところがこの予測は、今から八年も前の平成十五年に、それも昭和六十一年度から平成十二年度までの十五年間の実績値を用いて行ったものであり、今、直近の水使用実績データに基づいて予測のやり直しを行えば、予測値が大きく低下することも予想され、その場合には、八ッ場ダムに新規水源を求める必要はなくなることも考えられます。
 したがって、都は、直ちに最新の水需要予測の結果を採用すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、八ッ場ダムが大渇水のときに必要だという意見がありますが、八ッ場ダムは、渇水が起こることがある夏季は、利水容量が二千五百万立方メートルしかなく、完成しても利根川水系ダム全体の夏季利水容量は五%程度しかふえません。渇水時の状況は、八ッ場ダムがあってもそれほど変わらないのです。
 また、今回の八ッ場ダムの検証において、治水面でも八ッ場ダム案が代替案より費用が格段に安く最適案だとされていますが、これは、八ッ場ダムの治水効果を従来の数字より大幅に大きくしたことによるものとの意見も聞きます。
 最後に、電力供給に関して、八ッ場ダムに群馬県営の発電所が併設されるため、電力事情を改善するためにも八ッ場ダムが必要だとの意見がありますが、これは、重要な前提を見落とした間違った認識ではないかという疑念の声もあります。
 ダム建設予定の吾妻川には、流れ込み式の水力発電所が古くから数多くあって、かなりの発電が行われています。八ッ場ダムが完成すると、ダムに水をためるために、現在水力発電所に送られている水の大半を吾妻川に戻さなければならず、その発電量が大幅に減少するともいわれています。八ッ場ダム併設の発電所によって生み出される発電量は、失われる発電量の約五分の一にすぎないという試算結果も発表されています。
 そこで、八ッ場ダムの建設により吾妻川流域の発電量が大幅に減少するということについて、都の見解を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 私たちは、豊洲の安全性の確認と関係者の合意なくしてこの問題の解決はないと何度も述べてきました。このような中、東京都はこの八月三十日に、豊洲の土壌汚染対策工事として、ゼネコン系の三つのJVと合計約五百四十二億円の契約を交わしています。
 しかし、そもそも土壌汚染の実態調査が不十分だとの指摘もあり、また、結果として環境基準を超える砒素や鉛が残ることについては安全性を疑問視する声もあります。今回の土壌汚染対策工事でも、工事全体の監理はだれの責任で行われるかなど、懸念がないわけではありません。
 一方、土壌汚染対策工事を通じて、例えば工事の途中の状況を議会に報告する、あるいはその検証作業を市場関係者や学識経験者等で構成する協議会とともに行う、あるいは汚染の有無を確認する指定調査機関の公正さを確保することなどの取り組みも考えられます。
 今回の土壌汚染対策工事を進めるに当たって、都民や市場関係者が安全・安心だと実感できるようになるのか、所見を伺います。
 関係者との合意では、地元中央区との課題も残されています。石原知事がかつて、豊洲も築地もともにブランドとして並び立つような妙案をと述べていましたが、まさに知恵を絞り、東京都、地元自治体、業界団体の意見の一致を見ることが重要です。
 このようなことから、私は都議会民主党を代表して、ことし三月七日の予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、築地のまちづくりについて質問しました。
 東京都が、場内、場外とが一体となってはぐくんできた食文化の拠点としての活気とにぎわいを引き継ぐという観点から、中央区など関係者と協議を行うと答弁したのに対し、私は、一歩前進だが、合意にはまだ時間がかかりそうだと指摘をしておきました。
 そこで、現時点における中央区との検討状況と合意に向けた課題について、東京都はどのように認識しているのか伺います。
 次に、環境、エネルギー政策について伺います。
 私たちは、さきの東日本大震災の経験も踏まえつつ、これからの東京は、低炭素型でかつ高度な防災都市づくりを目指すべきと考えています。そのために、地域分散型エネルギーシステムの導入促進、再生可能エネルギーや未利用エネルギーも含めた電気及び熱エネルギーのベストミックス、全体最適利用を推進することが求められます。
 石原知事はさきの所信表明で、新政権があらゆるエネルギーの最適な組み合わせを追求した現実的かつ複合的なエネルギー戦略を構築すべきと述べられました。同様に、都としても、東日本大震災の経験を踏まえたエネルギー戦略の再構築が求められており、さきの第二回定例会で可決された都議会民主党が提案した条例にも、都に対して省エネルギーの推進と、エネルギーの安定的な供給の確保に関する長期的な総合計画の策定を義務づけています。
 東京都として独自のエネルギー総合計画の策定が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 先月、都庁内部に東京天然ガス発電所プロジェクトチームが設置され、発電効率が高く、他の化石燃料と比べて格段に環境負荷が少ない天然ガスを燃料とする、百万キロワット級の発電所の整備に向けた検討が開始され、既に用地の一次スクリーニングまで行われています。
 第二回定例会でも申し上げましたが、天然ガス発電所の新規建設に当たっては、民間事業者にゆだねるべきであると改めて申し上げておきます。
 また、私たちは、災害時のリスク分散のため、省エネルギーや低炭素化にも配慮しながら、六本木ヒルズの自家発電設備クラスの地域分散型の発電機導入を積極的に推進すべきと考えますが、今後の課題も含め所見を伺います。
 また、このような地域分散型の発電機導入のための手法の一つとして、既存の地域冷暖房施設に発電機能を導入することが考えられます。熱供給にあわせて電気も供給することで、災害時は業務継続、平常時は省エネルギーや低炭素化、電力負荷の平準化等に貢献することが可能となります。
 現在、都内に地域冷暖房施設は七十七カ所ありますが、発電と冷暖房機能を備えた施設は十二カ所しかありません。都内の地域冷暖房施設への発電機能の導入に対する後押しが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、東京の国際競争力の向上について伺います。
 東京都では、平成十八年に策定した「十年後の東京」計画を改定するとしており、その改定方針の第一に、都市の活力を取り戻し、アジアのヘッドクオーターとしての地位を確立することを掲げており、私たちも、こうした施策について積極的に取り組んでいきたいと考えています。既に東京都は、昨年九月の政府の提案募集に応じて、アジア域内ヘッドクオーター特区の創設を初め、国際コンテナ戦略港湾などの特区の提案をしていますが、総合特区の創設は、東京の国際競争力の向上を図る上でも、その起爆剤となる重要な課題です。
 現在、総合特区の指定は九月三十日に申請が締め切られ、その後の検討会を踏まえ、十二月にも指定が行われる見込みですが、国の方針では、国際戦略特区は指定数は五カ所程度とされ、かつ初年度においては絞り込んで指定を行うとされていることから、厳しい競争も予想されます。
 東京がアジアのヘッドクオーターになるべく、国際戦略特区の指定に向けた取り組みも含めた東京都の今後の取り組みについて伺います。
 次に、MICEの推進についてです。
 六月六日、IMF、国際通貨基金が、来年十月のIMFと世界銀行の総会を東京で開くと発表しました。これは、当時の野田財務大臣が関係各国に申し入れて実現したもので、加盟百八十七カ国の財務大臣を初め、関係者二万人近くが訪れるともいわれています。
 私は、IMF、世界銀行総会などを契機に、積極的にMICEを推進すべきだと考えますが、そのためには、東京のコンベンション機能の強化という視点も欠かせません。
 既に報じられているように、大田区が羽田空港移転跡地において計画している床面積四万六千平米の国際展示場が実現しても、東京での国際展示場の床面積は、ビッグサイトの八万平米と合わせても十二万平米程度です。
 一方、国際的には、例えば、ドイツ・ハノーバーの四十六万六千平米を筆頭に、中国では広州の三十四万平米など、東京の展示場規模は十分とはいえません。MICEそのものが、一般的な旅行者と違って経済的な波及効果も大きく、単に施設の稼働率だけをもって評価できないとの指摘もあります。
 私は、MICE推進のためには、ビッグサイトなどの機能拡張を視野に入れた、東京のコンベンション機能の充実などに積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 東日本大震災と急激な円高などによる影響で、雇用情勢は依然として厳しく、八月三十日に総務省が発表した岩手、宮城、福島の三県を除く全国完全失業率は、七月で四・七%と、二カ月連続で悪化しています。
 国の第三次補正予算では、全国都道府県に置かれている雇用対策基金が二千億円積み増されるといわれていますが、国の補正予算案が成立するのを待っていては、年末あるいは年度末の厳しい雇用状況に的確かつ迅速に対策を打ち出せない事態も想定されます。
 ことしの予算議会でも、私たちは、既に平成二十四年度まで延長された緊急雇用創出事業の基金を使って、成長分野において切れ目のない、かつ厚みのある雇用創出事業を実施することを求めてきましたが、例えば国の補正予算を見据えるならば、平成二十四年度までの分として積み置かれている基金を前倒しして執行するような意気込みを持って事業に当たる必要があります。
 そこで、これから区市町村とも十分に連携しつつ、年末、年度末に向けて緊急雇用創出事業を的確かつ迅速に実施していくべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、ワークライフバランスに配慮した労働環境の整備についてです。
 東京都は、平成十九年より中小企業両立支援推進助成金事業を実施しており、平成二十三年度までに二千社を目標に、仕事と家庭生活との両立支援に取り組む中小企業に対して支援を行っているところです。
 ことし四月一日以降、次世代育成支援対策推進法の改正を受けて、次世代育成支援に向けた行動計画の策定が、従業員百一人以上の企業にまで義務づけられました。さらには、東日本大震災後、多くの企業で、省エネや節電などへの対応に伴い、業務のあり方が見直しされているこの機会を生かし、平成二十四年度の事業終了が見込まれる両立支援推進助成金事業を再構築するなどして、より一層のワークライフバランスの推進を図っていく必要があるのではないでしょうか。
 東京都は、今後とも、中小企業における仕事と家庭生活の両立支援について積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、公契約条例について伺います。
 現在、厳しい経済状況が続く国内において、公共調達の投資額は減少の傾向にあり、契約受注競争は激しさを増しています。そして、この低価格競争の影響が、公共調達に従事する労働者の賃金低下、官製ワーキングプアに結びつかないよう、賃金水準の確保に向けた動きが進んでいます。
 昨年十二月、川崎市は、契約条例改正案を市議会で全会一致により成立させました。阿部市長は、改正の目的は、市が発注する事業の品質の確保と労働者の就労環境の維持を目指したものだと述べており、自治体発注の公共事業が低価格で落札される結果が、労働者の賃金低下につながるとしたら本末転倒であり、受注業者が採算割れで倒産することがあってはならないとも語っています。
 平成十七年、都議会においては、公共工事における建設労働者の労働条件確保等に関する意見書を国に提出しており、都においても、その実現に向け取り組む必要があると考えます。
 これまで都も、入札契約制度改革に取り組んできましたが、公共工事などの質を確保し、公共サービスに従事する労働者の適切な労働条件を確保するために、改めて公契約条例の策定を検討していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、医療政策について伺います。
 国民の死因の三割を占める病気ががんです。都民が自分や家族のがんと向き合ったときには、適切な選択に基づき医療が受けられ、がんを克服するために、あるいはよりよい最期を迎えられるようにするためには何が必要か、都民、都議会、都庁、医療者とともに考え、すべての人が納得できるがん医療、サポート体制づくりを目指していかなければなりません。私たちが繰り返し求めてきたがんの部位別医療連携手帳、いわゆる東京都がん手帳の策定、発行は、東京の地の利を生かし、がん医療を牽引するような医師が参加して作成し、試行されました。
 一方で、都は、認定、拠点病院の指定拡大を図ってきており、現在三十四病院が指定されています。これら拠点病院等と地域医療機関の双方が、治療経過等きめ細かい情報を共有し、シームレスながん医療を提供するために、この手帳が大きな役割を果たします。
 東京都がん手帳は、医療機関同士、医師同士の緊密な連携に加え、患者自身が治療を理解したり、自分らしいがんとの向き合い方を考えることにも役立つものであり、すべての地域でこの手帳が活用され、より多くの地域医療機関における参画を確保していくよう取り組む必要があると考えますが、所見を伺います。
 がんになったら、痛み苦しみは避けられない、緩和ケアは積極的治療を断念した後のものなど、がんや緩和ケアに都民が抱くイメージは非常にネガティブです。しかし、多くのがんでは、疼痛や副作用の管理もかなり可能となっております。また、治療初期から痛みを適切にコントロールすることが、療養上重要であるということも知られておらず、痛み軽減対策が十分でないのにもかかわらず、ひたすら我慢する方もまだまだいらっしゃると聞きます。
 がん医療の均てん化の中では、患者のQOLに加えて、がんそのものの予後にも影響のある痛み、苦痛のコントロールが重要であり、緩和ケアの実施に当たっては、医師、看護師を初めとした医療スタッフが一体となって患者を支える体制が必要であります。がん医療に携わるどの病院、どの医師にかかっても緩和ケアが受けられるよう、緩和ケアへの取り組みを強化することが必要と考えますが、所見を伺います。
 東京都のがん検診受診率は、職域を含めると高いものの、区市町村における受診率は低迷しています。がん検診受診率は、区市町村ごとに八割から一割まで非常にばらつきがあります。より多くの方が検診を受けやすいような、平日夜間や土日休日の実施、保育つき検診などにより、一層の受診率向上支援策が必要と考えますが、所見を伺います。
 また、がん医療の発展には欠かせない基礎データである地域がん登録についても、日本は先進国の中で非常におくれをとっています。他府県では、既に地域がん登録が実施されておりますが、都においても、がん基本法制定から五年を経て、ようやく地域がん登録が実現しようとしています。地域がん登録については、情報を蓄積し、長期、十年スパンで研究、政策に生かしていくという側面もありますが、短期的には都内のがん実態を把握し、二次医療圏ごとの特性や課題に応じたがん医療向上方策を立てることも活用法であります。
 しかし、情報として活用するには、より多くの患者情報を登録することが必要です。患者の生死にかかわる情報は最もナイーブな個人情報の一つであるため、がん登録の意義、目的を明確に広報するなど、都民や関係者の信頼性を担保し、実施、発展させていくことが重要と考えますが、都としての取り組みを伺います。
 五大がん以外のさまざまながんについても、もっと早く発見できていればというケースが多くあり、機会をとらえて、普及啓発に取り組むことが必要です。
 例えば、口の中にできる口腔がんは、年間約三千人が死亡されているとされますが、余り耳にすることはありません。口内炎だと思って放置したり、歯科医師にかかった場合でも、自己判断で通院を中止したために診断、治療がおくれることもあり、定期的に検診を受けたり、きちんと治り切るまで診てもらうこと、歯科医師の研修も重要です。当然、発見が早ければ生存率もよく、特に、社会生活上重要な発話や飲食機能、顔への外見的ダメージも低く抑えられます。口腔がんの社会的認知と早期発見に向けた取り組みについて所見を伺います。
 現在の東京都がん対策推進計画は、平成二十年に策定された都のがん対策を総合的に推進するためのものであり、検診受診率の五〇%以上、七十五歳未満のがん死亡率二〇%減少など、具体的な数値目標を盛り込んだ意欲的なものとなっております。この計画も折り返しに来ていますが、現在までの進捗状況について、またその進捗状況に照らして、計画、施策の見直し、強化拡充が必要ではないか伺います。
 次に、虐待対策について伺います。
 先日、杉並区内で里親が虐待により死亡させた疑いで逮捕されるという、大変ショッキングな事件が発覚しました。この事件の全容は不明ですが、幼い命が失われることを防げなかったのは事実であり、里親の孤立化防止、支援体制づくりを進めることが必要です。
 近年、社会的養護を必要とする子どもたちの中には、虐待を受けた経験があったり、発達障害のある子どもの割合が増加しております。東京都養育家庭制度による、養子縁組を前提としない里親に委託される子どもたちにおいても、さまざまな専門的知識が必要となることから、里親認定研修の日数をふやす、委託後も研修や家庭訪問、面談などを充実強化することが必要と考えますが、所見を伺います。
 子育ては二十四時間、土日も祭日もありません。児童相談所においては、非常時の連絡体制がしかれているとはいえ、夜間や休日に困ったときでも、よほどの緊急事態でなければ、日ごろ多忙にしている職員を呼び出すことはためらわれると聞きます。
 国では、将来的に社会的養護を、里親、グループホーム、施設の三分の一ずつにしていくべきとの提言がまとめられております。一方、都においては、里親委託が約一割という現状の中、家庭的養護について重点的に取り組むこととされています。社会的養護の必要な子どもたちを家庭的な環境で養育、ケアしていくためにも、里親の新規開拓や相談支援を充実させ、支える基盤をしっかりとしたものにしなければなりません。
 都は、都内三カ所において、里親支援機関事業による里親のサポートや新規開拓などを試行しておりますが、こうした取り組みを含め、里親がきめ細やかな支援を受けられるようなサポート体制を全都に構築するよう、あらゆる資源を活用した取り組みを実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 犯罪被害者等基本法が制定されて以来、国及び自治体において支援施策が展開され、少しずつ犯罪被害者にも光が当てられるようになりました。
 しかし、いまだに被害者の人権にかかわるような報道が行われたり、心ない言葉で二次被害を受ける被害者も少なくありません。都が犯罪被害者等支援計画を改定し実行に移していることは評価しておりますが、施策の取り組みについて、実施スケジュール、すなわちロードマップが示されておらず、数値目標なども示されていないことから、スローガンのみにとどまっていることは残念です。
 都内での被害者支援施策の周知が十分に進まない状況で、都民に対して都の犯罪被害者支援の姿勢を示すためにも、改めて条例制定を求めるものです。
 条例制定については、平成十五年第四回定例会で知事は、犯罪被害者支援は、経済的給付を初め、本来は国が対応すべき問題ですが、都としても、ご提案の条例も含めて、国や区市、民間団体などとも相談、協力しまして、そういうものを考慮し、考え、支援活動を推進していきたいと思っておりますと答弁されています。それから八年、山形県や神奈川県など、他県では被害者支援に特化した条例制定が進んでいます。
 現在、民主党では条例提案を視野に準備を進めておりますが、ぜひ知事の手によって先進的な条例を制定し、この東京から被害者支援の充実を格調高く推し進めていただきたいと考えます。所見を伺います。
 都における性犯罪の認知件数は、平成二十二年に強姦が百六十件、強制わいせつが八百九十一件となっています。内閣府の調査によると、この種の経験をした女性のうち、警察に連絡、相談した被害者は四・一%となっており、認知件数は氷山の一角にすぎないことが推測されます。性暴力への誤解、偏見から、二次被害を受けることも少なくありません。そして被害者は、自力で支援を探してたどり着かねばならないなど、十分な支援を受けている人はほとんどいないと思われます。
 また、平成二十二年における全国の強姦認知件数のうち、二十歳未満の被害者の割合は四二・四%であり、被害者への適切なケアは非常に重要な課題であります。
 国連の女性に対する暴力を規制する法律制定のためのハンドブックでは、女性二十万人に一カ所の割合で、レイプクライシスセンターの設立を求めています。国の第二次犯罪被害者等基本計画においても、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの設置促進がうたわれており、大阪の民間運営による性暴力救援センターや、警察庁のモデル事業である愛知県内のハートフルステーション・あいちの取り組みも進められています。
 そこで、都においても、性犯罪被害者ワンストップ支援センターを都内に設置し、性犯罪被害者に総合的支援を行う必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 先月の新聞記事で、都教職員が心の病で休職した割合が全国平均よりも高いことが取り上げられていました。学級崩壊、集団のルールに従わない、友達がいない、学級の中で居場所がないなどの多様な課題があり、学校現場への要求がふえ、教職員はストレスで疲弊しています。
 そうした状況で、スクールカウンセラーに求められる役割と期待は非常に大きく、例えば、前定例会の本会議において、大原教育長は、都内のエンカレッジスクールやチャレンジスクールにおける中途退学者の原因を、学習に対する興味、関心の欠如や規則正しい生活習慣が身についていないことなどと指摘されましたが、まさにそのような学習や生活面も含めた予防対応のできるスクールカウンセラーが学校現場で求められているのです。
 また、カウンセリングは週に一回程度の予約制で、相談したいときに対応してもらえないことから、勤務日数や人員をふやしてほしいという要望も聞きます。ただ人員や勤務日数を増加させるのではなく、あわせてカウンセリング方法の改善を図るべきと考えます。
 そこで、スクールカウンセラーによる教育現場の相談体制が、一部の子どもたちを対象とした事後対策型の心理臨床的な問題のみに対応するのではなく、アメリカにおけるスクールカウンセラーのような学業的発達、キャリア的発達、個人的・社会的発達の三つの領域において、子どもたち全員を対象とする総合的、開発的なカウンセリングを取り入れ、学習や生徒指導の問題が起きる前に予防し、より全体的な教育の効果を高めるようなスクールカウンセリングを行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 都留文科大学での、全国一万四千人の現職教師を対象に実施した調査によれば、小、中、高校と教師がカウンセラーに期待する活動内容が学校種別で異なる結果が出ており、また、各学校によっても違いがあると結論づけられています。現在、都教育委員会は、都内の公立学校に派遣する約七百名のスクールカウンセラーの採用を行っています。
 そこで、採用時、学校側がどのようなスクールカウンセラーを採りたいか、各学校の具体的な要望を取り入れた形で採用を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、数多くの調査や来客対応、電話対応などに追われている小中学校の副校長の多くは、依然として多忙感を抱いており、また、それをふだんから見ている若手教員は、その役職に魅力を感じず、なり手が減っている状況が続いています。
 東京都は、全国に比べて精神疾患で休職する教職員の割合が高い中、抜本的な校務改善による円滑な組織運営を実現させ、教職員一人一人が能力を最大限に発揮できる環境、児童生徒がよりよい教育を受けられる環境を整備することが早期に求められます。
 現在、校務改善の取り組みはモデル校において実施されていますが、来年度本格実施となった際に、真に実効性のあるものとするためにも、今後行われる検証が大変重要です。
 そこで、校務改善の取り組み状況と今後の対応について伺います。
 副校長の多忙に関連して、副校長の役割として、産休、育休、病欠等で一時期休職する職員の任用業務がありますが、これに多くの時間をとられ多忙の一因になっていると、多くの学校管理職の方々から聞いています。
 現在、都では、その時間講師等の任用業務の効率化に向けた非常勤職員情報提供システムの開発を行っており、来年度に本格稼働を予定しています。
 そのシステムの内容は、時間講師等を募集する学校側と応募する講師側とのマッチングが、サイト上で行われる双方向型のものと聞いていますが、そのサイトによって本当に作業の効率化が果たせるのか、所見を伺います。
 また、あわせて、サイトの提供だけでなく、僻地においてなかなか人手を見つけるのに厳しい状況にある学校に対しては、都教育委員会が細かなフォローを行っていくべきではないかと考えますが、所見を伺います。
 次に、特別支援学校併置校の課題について伺います。
 都内の知的障害児生徒が年々ふえる中で、異なる障害種別を併置する学校が来年度一校開校し、第三次実施計画で六校が設置される予定となっています。
 併置化における特有の課題として、障害種別が複数になることに対応した教員の専門性向上や、障害の異なる児童生徒がかかわる際のお互いの安全確保などがあります。加えて、来年度開校予定の府中の肢体不自由と知的障害の併置校においては、知的障害教育部門における児童生徒数の増加による大規模校化が、保護者の間で不安視されています。
 府中地区特別支援学校は、知的障害教育部門における児童生徒数が、計画時の推定より約百名増の約四百五十名の大規模になり、保護者からは、十分な教室等の確保がなされるのか、教職員不足にならないのかといった懸念の声を聞きます。教職員の配置に関しては、仮に栄養士の数が生徒児童数に見合っていないと、食事のケアがうまく施されず、重度障害児生徒が誤嚥等の事故を起こしやすい環境が生じてしまう可能性も考えられます。このような命にかかわることは最優先で対応しなければなりません。
 特別支援学校の併置による大規模化に伴い、教育の質の低下を招くことのないよう、副校長、養護教諭、栄養士等の正規の教職員の増員や配置、不足する施設の増築、改築など、適切な対応が必要と考えますが、所見を伺います。
 最後に、二〇二〇年東京オリンピック招致について伺います。
 東京都は、去る九月一日、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補申請をIOCに行いました。
 二〇一六年招致においては、百五十億円もの巨額な招致費用を投じ、計画自体は高い評価を得たものの、国内全体の招致機運が盛り上がることはありませんでした。これは、スポーツ界や都民の声を受けた招致ではなく、トップダウン、かつ政治色をまとった招致であったことと無縁ではありません。
 こうした政治色を払拭し、都民一人一人のオリンピック招致につなげていくためには、今、なぜ二〇二〇年東京オリンピック招致なのか、この招致の意義を明確にし、都民、国民の皆様にしっかりとお示ししなければなりません。そして、計画策定段階から都民、スポーツ界の参加を求め、大勢の賛同を得つつ進めていくことが、真に人の心を動かし、国内世論を盛り上げ、招致成功に近づける道だと考えます。
 そこでまず、都民、国民に示す二〇二〇年東京オリンピック招致の意義とは何か、知事の所見を伺います。
 また、世界に向けて東京オリンピック招致の意義を示すには、知事が所信表明で述べた、オリンピックを通じて日本が立ち直った姿を世界に披瀝し、支援に対する感謝の気持ちを示す機会ということも重要なポイントではあります。
 しかし、これにとどまらず、韓国が、平昌冬季オリンピックの招致活動で、雪が降らない熱帯や新興国のアジアの青少年を招待し、ウインタースポーツを体験できるドリームプロジェクトを実施したように、世界に向けて訴え、そして共感を呼ぶ発信力のある理念を柱とした招致活動が必要です。
 国際世論を動かし、結果として、IOC委員の投票につながる理念を掲げなければならないとともに、招致の意義や理念を国内外に浸透させていかなければならないと考えますが、所見を伺います。
 二〇一六年オリンピック招致においては、プレゼン費用やスポーツタレントの出演料を初めとした招致経費に多額のコストがかかりました。今回は、基本方針の一つとして、大幅な招致経費の圧縮が示されていますが、私たちは、ただ経費圧縮するのではなく、本当に成功するために必要な招致活動に対しては十分な予算を充て、余り効果の期待できない活動に対してはできる限り予算を削るという、めり張りのある効率的な予算の使い方をすべきと考えます。
 また、都民、国民の盛り上がりの中での招致という観点からも、招致活動もその経費も民間が主体となり、東京都はこれを支援し、コーディネートしていくべきと考えます。都が負担する費用も、都民の税金ではなく、既に積み立てられたオリンピック基金の果実を充て、その負担割合も公費が民間資金を上回ることのないようにすべきと考えます。
 そこで、招致活動経費及び財源区分について所見を伺います。
 私たちは、二〇一六年招致の際も、メーンスタジアムを晴海とする東京都案に疑義を唱え、国立競技場の活用を訴えてきました。
 国立霞ヶ丘競技場は、オリンピックのメーン会場としては、収容人数を五万四千二百人から八万人に広げなければならないキャパシティー面だけではなく、要人を迎える接客スペースが足りないといったホスピタリティー面での改修も必要です。一方で、政府は、二〇一九年ラグビーワールドカップに向けた改修を検討しているため、このタイミングで、オリンピックのメーンスタジアムとしても利用できるように改修すれば、新たな会場をつくらずに済みます。
 私たちはこれまでにも、オリンピック招致を理由とした過大な社会資本整備は行わないことを求めてきました。メーンスタジアムについても、極力既存施設を活用すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、二〇一六年招致活動の際、私たちは、五輪招致レースに勝ち抜いた実績を持つ国際的な広告代理店やコンサルティング会社は複数存在するにもかかわらず、特定の一社に限定した事実上の広告代理店一社体制は問題ではないかと指摘してきました。
 そこで、二〇二〇年の招致活動において、契約の改善をどう図るのか、所見を伺います。
 繰り返しになりますが、知事は、さきの所信表明において、被災地での競技なども通じて、日本が立ち直った姿を世界に披瀝すると述べられました。一方、地元地域や世論調査などでは、オリンピックの招致予算を復興支援に回すべきだという都民、国民からの声も多く聞かれます。
 そこで、被災地への配慮もしっかり行っていかなければならないという点で、オリンピック招致活動時や開催時には、被災地の経済的支援を含めた復興につながるような対応をとるべきだと考えます。
 例えば、招致、開催事業の一部を被災した企業へ優先発注することや、競技の一部を復興後の被災地で開催することなどを検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、六・九億円の借入金について伺います。
 二〇一六年招致活動の際、NPO法人オリンピック・パラリンピック招致委員会は、収入不足の六・九億円を広告代理店からの借入金という形で処理しました。その返済に当たっては、招致委員会がスポーツ振興活動に賛同する企業、団体からの寄附金、そういった収入や事業収入を充てて返済し、東京都の公金の投入は行わないとされています。
 今後、新たにオリンピック招致を展開していくのに際し、この借入金をどうするのか、改めてはっきりさせなければなりません。そして、今後、招致予算の協賛企業を募る際、それぞれの企業に対し、この借入金について説明責任を果たす必要があると考えます。
 この借入金について、現状そのままであると思いますが、今後はどう対応していくのか伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁によっては再質問を留保します。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 増子博樹議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都のエネルギー施策についてでありますが、エネルギーの確保は国家の発展のかなめでありまして、日本経済の再生に向け現実的なエネルギー戦略を構築すべきことを、先日、新内閣に対しても求めました。
 東日本大震災後の電力危機を経験した今、大きな現場を持つ東京都に求められることは、新たな計画づくりに時間を費やすことではなくて、エネルギーの需要と供給の両面から実効性のある具体策を早急に実行することにあると思います。
 都は、この夏の電力危機に際しては、実践的な対策を示すことにより、大幅な節電を達成しました。
 また、電力の供給面においても、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームを設置して、環境負荷の少ない百万キロワット級の高効率の天然ガス発電所の整備に向けて検討を進めております。さらに、六本木ヒルズにおいて新しい範を示した、地域分散型の発電の導入に向けた具体的な検討を新たに開始しております。
 こうした実践的な行動により、電力の安定的確保に向けた都独自の取り組みを進め、我が国における環境エネルギー政策を牽引していくつもりであります。
 次いで、犯罪被害者に対する支援でありますが、中世までは正当とされていたあだ討ち、復讐を、ルネッサンス以後、ヒューマニズムがこれを否定しまして、法律が裁いて刑を下すことになり、近代刑法なるものが確立したわけであります。
 しかし、人権というものを過剰にとらえて、加害者の人権ばかりが尊重され、被害者の人権がないがしろにされるということは、これは決して好ましいものじゃありません。
 犯罪被害者やその遺族が、犯罪により生命、身体を直接的に脅かされるだけでなく、その後も身体的、精神的あるいは経済的に過酷な状況に置かれることは極めて理不尽であります。
 そうした理不尽さを正し、犯罪被害者に対して必要な支援をすることは、当然これは国の責任であります。しかしながら、国は、犯罪被害者給付制度の拡充を初めとする経済的支援の充実などについても、いまだに具体的な内容を定めておらずに、その歩みは極めて遅い感が否めません。
 一方、都は、被害者の声を受けて、平成十九年度に支援計画を策定し、カウンセリングや裁判所への付き添いなどの支援を行う総合相談窓口を設置するなど、具体的施策を展開してきました。今年度からは、第二期の計画として、被害者に身近な区市町村での相談体制を強化し、社会全体で犯罪被害者を支えるべく、被害者の置かれた立場を多くの都民に伝える機会を拡充するなど、都ならではの取り組みを強化してまいります。
 犯罪被害者の支援に当たっては、被害者の切実な思いにこたえて、確かに届く具体的な支援を迅速に行うことが何よりも必要で、重要であります。
 今後とも、被害者の人権、本当の意味での人権を守っていくために、支援計画に基づき、体系的で実効のある施策を現場で着実にくみ上げて、積み上げてまいります。
 次いで、オリンピック・パラリンピック招致の意義についてでありますが、スポーツには人に夢や希望、感動を与え、人々を結びつける無限の力があります。中でもオリンピックは、国際交流と相互理解により平和を希求する世界最大のスポーツの祭典でありまして、また、近年の大会では、開催を契機に都市環境問題の解決を強力に推進するという側面も有しております。
 加えて、東日本大震災を経験した我が国にとって、二〇二〇年の大会招致は、これが実現できれば、スポーツの力で傷ついた国民の心もいやし、勇気を改めて与えるとともに、日本のダイナモである東京で大会を開催することが、復興を目指す沈滞した日本経済を牽引することにもなると思います。
 今、この国に必要なものは、復興と再生に向けて国民が一つになれる夢にほかならないと思います。オリンピック・パラリンピック開催という共通の夢に向かって進む国民の意思が、必ず日本の再生の原動力になると信じております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、安全・安心な学校給食への取り組みについてでございます。
 安全な学校給食を実施し、保護者の不安を解消するためには、食材の安全確保と、必要な情報の正確かつ迅速な提供が重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、都立学校及び区市町村教育委員会に対して、学校給食衛生管理基準にのっとり、食材の産地等を確認、記録し、それを保存するよう指導しております。
 また、教職員に対して、保護者等からの質問に適切に対応できるよう、放射能に関する正しい知識を付与する研修を行っております。
 今後も、関係機関との緊密な連携を図り、教職員の放射線に関する知識と認識をさらに高めつつ、適切な情報提供に努め、安全・安心な学校給食を提供してまいります。
 次に、スクールカウンセラーの活動内容についてでございます。
 現在、東京都が配置しているスクールカウンセラーは、児童生徒の問題行動の背景になっている不安や悩みへのカウンセリング、保護者や教職員への助言、援助など心の問題に関して、深く広範囲な活動を職務としております。
 スクールカウンセラーは、校内での事後対策型の心理臨床的な対応はもとより、教員と連携して、学習や生活指導の問題が起きる前の予防的な対応など、さまざまな教育相談活動を日ごろから行っており、児童生徒の問題行動等の未然防止にも効果を上げております。
 今後とも、スクールカウンセラーと教員が連携し、予防から実際の課題への対応、その後のケアまでの総合的な取り組みにより教育効果を高めていけるよう、スクールカウンセラー活用事業を推進してまいります。
 次に、スクールカウンセラーの採用についてでございます。
 学校で起きる問題は多種多様でありますために、学校は、特定の分野に特化したスクールカウンセラーを求めているのではなく、あらゆる課題に対応できる人材の配置を望むとともに、教員とは異なる立場にある心理の専門家からの助言、援助を求めております。
 このため、東京都では、高度に専門的な知識と経験を持つ臨床心理士を採用し、これまでのスクールカウンセラーとしての経験年数や実績などを考慮しながら、各学校に配置しております。
 今後とも、学校における教育相談の質の維持を図るため、学校のニーズに的確にこたえられる人材を安定的に確保し、配置してまいります。
 次に、小中学校の校務改善への取り組みについてでございます。
 都教育委員会は、本年二月、今後の校務改善の方向性をまとめ、現在、小学校十校、中学校十校の計二十校のモデル校において、副校長直轄の分掌組織である経営支援部の設置や学校経営を分掌する専任の主幹教諭の配置など組織的な校務運営に向けた改善に取り組んでおります。
 また、八月には、副校長の多忙感の一因である調査事務の縮減、効率化のための指針を定め、都及び区市町村教育委員会が一体となって学校の業務負担の軽減に努めているところでございます。
 今後、モデル校における効果を検証するため、その業務実態を実地に調査し、年度内に実効性のある校務改善策をまとめた上で、組織的かつ効率的な校務運営を目指す取り組みを全公立小中学校に広めてまいります。
 次に、時間講師等の任用業務についてでございます。
 一時的に教員に欠員が生じた場合には、時間講師等を確保するため、副校長が紙ベースの名簿をもとに、土日、夜間も含めて適任者が見つかるまで電話をかけ続けるなど負担の大きい業務となっております。
 そのため、現在、都教育委員会は、任用業務を効率化するため、非常勤職員情報提供システムを開発しております。
 このシステムは、学校が必要とする人材に関する情報をインターネット上で時間講師等に公開し、条件に合った時間講師等がこれに応募するという二十四時間稼働のシステムでありまして、その後の連絡も電子メールで行いますために、副校長の業務は時間的にも量的にも確実に軽減されると考えております。
 次に、僻地の学校における時間講師等の任用業務についてでございます。
 僻地における時間講師等の確保に当たりましては、地理的条件等さまざまな困難があると認識しております。これまでも都教育委員会は、町村教育委員会から講師任用の相談を受けた場合、最新の任用状況や本人の僻地勤務の希望等の情報を積極的に提供してきたところでございます。
 今回開発する非常勤職員情報提供システムでは、僻地にある学校の募集状況も公開されることから、応募がふえることが期待されますが、システム導入後も、僻地の学校における時間講師等の任用についてはきめ細かく対応してまいります。
 次に、特別支援学校の併置による大規模化についてでございます。
 都教育委員会は、障害の重複化への対応と知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を図るため、複数の障害教育部門を併置する学校の設置を進めております。
 教職員定数については、法律に基づき定めた都の基準により算定しております。具体的には、教諭は障害種別ごとの児童生徒数に応じた学級数に基づき算定し、教諭以外の教職員は学校単位で算定しておりますが、併置の場合や児童生徒数が一定規模を超える場合等には、増配置しております。
 施設につきましては、増築、改築を含め、適切に整備を進めまして、児童生徒数に応じた教室の確保に努めているところでございます。
 今後とも、大規模校における教育の質の充実のため、適切に対応してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京の防災対策における被害想定についてでございますが、都は、平成三年に関東地震を対象とした被害想定を、平成十八年に東京湾北部地震及び多摩直下地震を対象とした被害想定を行い、これらの想定に基づき防災対策を講じてまいりました。
 東日本大震災の発災により、その被害実態等を踏まえて、現行の被害想定の再検証を行う必要があることから、都は、専門的知見を有する委員から成る東京都防災会議の地震部会を去る九月二十一日に開催し、被害想定の見直しに着手したところでございます。
 被害想定の対象とする地震につきましては、関東地震も含め、地震部会における専門家のご意見に基づき適切に決定してまいります。
 次いで、東京湾岸の石油コンビナート対策についてでございますが、今回の震災において、都は、国の要請に基づき、緊急消防援助隊として消防隊や無人走行放水車を出動させ、迅速に消火活動及び冷却活動を行っております。
 石油コンビナートなどの危険物施設等の安全対策は、本来、国と事業者に適切に対応すべき責務があり、九都県市ではこれまでも、石油タンクなどに被害を及ぼす長周期地震動対策等の一層の推進について、国に要望を行ってまいりました。
 今回の震災による石油タンク等の火災被害を受け、国は、全国の被災した施設の実態調査を行い、本年十二月を目途に対策の取りまとめを行うこととしております。
 都といたしましては、国の検討結果を踏まえ、九都県市で緊密な意見交換を行い、対策のさらなる充実を国に働きかけてまいります。
 次いで、帰宅困難者の一時待機施設の確保についてでございます。
 帰宅困難者対策におきましては、一斉帰宅の抑制や正確な情報提供に加え、一時待機施設の確保も重要であり、行政だけでなく、広く民間にも協力を求めていく必要がございます。
 このため、都は国とともに、去る九月二十日、猪瀬副知事と内閣府政策統括官を共同座長とし、近隣自治体や経済団体等を含めた帰宅困難者等対策協議会を発足させました。
 一時待機施設については、施設の安全性の観点から、耐震性などを十分考慮しつつ、官民の協力のもと、その確保策について検討を進めてまいります。
 次いで、首都圏を超えた広域応援体制についてでありますが、首都直下地震の発生など広範囲に及ぶ被害が発生した場合には、都県域を超えた自治体同士の相互連携が重要であり、これまで九都県市では、物資支援や職員派遣など、発災時の情報連絡体制や相互連携の強化に努めてまいりました。
 先日公表いたしました東日本大震災における東京都の対応と教訓においては、今回の震災を踏まえ、九都県市に加え、全国知事会等との連携の重要性を明らかにいたしました。
 今後は、首都圏内では対応し切れない応急救護やライフラインの復旧支援などについて、九都県市にとどまらず、首都圏を超えた自治体との多様な連携策を講じてまいります。
 次いで、複合対策についてでありますが、大地震と重なって台風による高潮などが発生する可能性もあることから、想定外の事態が生じた場合にも、被害を最小限に抑止するための対策を講じておくことは必要でございます。
 都はこれまでも、減災の考えにのっとり、水門、防潮堤の整備などにより高潮、津波対策を講じてまいりました。
 今後は、東日本大震災の教訓を踏まえ、万が一浸水が起きた場合の迅速かつ的確な情報提供や避難誘導体制の整備など、対策を一層充実させることにより、減災に取り組んでまいります。
 次いで、地域防災力の向上についてであります。
 都はこれまでも、地域の防災力の向上に向け、総合防災訓練等を通じ、町会、自治会、事業者など関係者間の災害時における連携を進めてきましたが、今回の大震災において、住民等による自助、共助の取り組みの有効性が再確認されたことを踏まえ、地域の防災力をより一層向上していく必要があります。
 このため、地域における特色ある取り組みを発掘、後押しし、新たな取り組みを誘発する防災隣組の構築に着手いたしました。
 都民の防災への意識が高まっているこの時期を逸することなく、区市町村と連携して、自助、共助による取り組みを活性化させ、東京全体の防災力向上を図ってまいります。
 最後に、性犯罪被害者に対する支援であります。
 性犯罪被害者への支援を迅速に行うことは大変重要であり、都は、東京都総合相談窓口を拠点に、相談員による自宅訪問や裁判所への付き添い、宿泊場所の提供、精神科医のカウンセリングなど、さまざまな支援を提供しております。
 昨年度の性犯罪被害者に対する支援件数は、事業を開始した平成二十年度の四倍を超えるなど、総合相談窓口の利用が進んでおります。
 お話のワンストップ支援センターにつきましては、さまざまな課題があると見込まれる中で、国は、昨年度に愛知県内で実施したモデル事業の検証及び開設、運営に関する検討を行うこととしております。
 今後、国の検討状況なども見据えながら、被害者のニーズにこたえる支援について必要な検討を行ってまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 十二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、災害時要援護者対策についてでございますが、都は、高齢者や障害者など支援を必要とする人が災害時に迅速かつ円滑に安全な場所に避難できるよう、避難支援プランの策定や要援護者名簿の整備等を行う区市町村を包括補助事業等により支援をいたしております。
 また、区市町村が日ごろから備えるべき事項を盛り込んだ災害時要援護者への災害対策推進のための指針などを策定し、要援護者の所在把握、地域住民による支援体制づくり、ボランティアやNPO等との連携、防災訓練、教育の実施、福祉避難所等の整備など、地域の実情に応じた要援護者対策を実施できるよう支援をしてきました。
 今後、東日本大震災の教訓も踏まえまして、高齢者や障害者等への対応について、区市町村の現状や取り組みを改めて把握し、災害時要援護者対策の推進を働きかけてまいります。
 次に、放射能医療体制の確保についてでございます。
 現在、我が国の原子力発電所の事故等に係る緊急被曝医療体制は、国の防災基本計画に基づきまして、原子力施設の立地または隣接をする十九道府県において、各道府県が指定をいたします初期及び二次被曝医療機関と、国が指定をいたします高度専門的な医療を担う三次被曝医療機関により構成をされております。
 この十九の道府県には、医療体制の確保に必要な診療資器材の整備等に要する費用として、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金が交付されておりますが、都は対象となっておりません。
 このため、都は、今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、国に対し、緊急被曝医療体制の見直しを行うとともに、すべての都道府県にホールボディカウンター等必要な診療資器材を整備するよう提案要求をしており、今後とも国に働きかけてまいります。
 次に、災害時に医療機関の情報を共有するシステムについてでございますが、災害時に被災をした医療機関の情報は、国が整備運営し、バックアップ機能も有する広域災害救急医療情報システム、EMIS──イーミスと呼んでおりますけれども──によりまして、全国共通で収集、共有する仕組みが構築されており、都も参加をいたしております。
 しかしながら、今回の震災では、電話回線やインターネット回線の断裂によりまして接続が一時不能となったことなどにより、システムが十分な機能を果たせませんでした。
 このため、国は、震災後に設置をいたしました災害医療等のあり方に関する検討会におきまして、イーミスの今後の課題等についても検討を行っており、都は、この会議での議論等を見守りながら、イーミスの活用方法について検討してまいります。
 次に、食品の検査体制の強化についてでございますが、都は、健康安全研究センターを中心に、ノロウイルスや腸管出血性大腸菌などの大規模食中毒、中国産冷凍ギョーザの問題など、都民の健康を脅かす幾多の緊急事態に持てる能力を最大限に発揮し、的確に対処してまいりました。また、最新鋭の高度分析機器を導入するとともに、迅速かつ精度の高い検査法を独自に開発するなど、検査能力や体制を不断に強化してまいりました。
 今回の食品の放射能汚染に当たっても、都内産農産物等の検査を初め他の生産県における検査にも協力を行うなど、最大限の検査を実施しており、検査体制については、今月、ゲルマニウム半導体核種分析装置を二台増設したほか、今後、シンチレーションスペクトロメーターを四台更新するなど、一層の強化を図ってまいります。
 次に、がん対策に関しまして六点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、東京都医療連携手帳についてでございますが、都では平成二十二年二月から、肺や胃などがんの部位ごとに作成をいたしました東京都医療連携手帳の運用を開始し、患者、かかりつけ医、専門医の情報の共有化を図ってまいりました。現在、三十五の専門医療機関と、二千を超える地域の医療機関におきまして、手帳を活用した医療連携が行われております。この手帳を有効に活用するため、これまでがん診療連携拠点病院等において、地域の医療機関を対象とした説明会を開催いたしますとともに、現在、患者、医療機関それぞれに対する活用マニュアルを作成いたしております。
 今後とも、東京都医療連携手帳の一層の普及を進め、がん診療の連携体制の強化を図ってまいります。
 次に、緩和ケアの取り組み強化についてでございますが、都はこれまでも、がん診療連携拠点病院等による地域の医療機関への診療支援や、医師を対象とした緩和ケア研修などに取り組んでまいりました。また、今年度は、緩和ケア等に関するさらなる理解促進を図るため、がん医療に携わる医師、看護師等の医療従事者や都民を対象としたシンポジウムを開催いたします。
 今後とも、都民が身近な地域で緩和ケアを受けられるよう、これら研修等の充実に努めてまいります。
 次に、区市町村が実施するがん検診の受診率向上への支援についてでございますが、都は平成十九年度から、受診率向上に取り組みます区市町村に対しまして、包括補助事業を活用して支援をしてまいりました。また、平成二十一年度からは、検診対象者や未受診者への個別の働きかけなどを行う受診率向上事業を、包括補助事業のメニューとして新たに加えまして、二十二年度までの二カ年で九区市町がモデル的な取り組みを行っております。
 さらに、受診率向上の効果が確認された取り組みにつきましては、具体的な事例といたしまして、全区市町村を対象とした報告会で紹介をいたしますとともに、実施方法や手順を記載した手引きを作成し、他の区市町村での取り組みを支援いたしております。
 今後とも、より多くの区市町村で受診率向上の取り組みが進むよう支援してまいります。
 次に、地域がん登録の普及啓発についてでありますが、都は、地域がん登録が円滑に実施できるよう、適正かつ安全な情報の収集管理の手法や、都民に対する普及啓発の内容につきまして、医療機関や区市町村などの関係機関と検討を進めております。
 今後、来年度からの実施に向けまして、医療機関や区市町村に対して説明会を実施し、登録制度の意義を改めて周知するとともに、情報の適切な管理を促していきます。また、都民の理解を促進するため、リーフレット等により、地域がん登録で得られたデータが、地域ごとのがん対策の企画立案に資することや、個人情報の保護が徹底されることにつきまして周知してまいります。
 次に、口腔がんへの取り組みについてでございますが、がんは、お話の口腔がんを含めまして、患者の生命予後や生活の質の向上の観点から、早期に発見することが重要でございます。口腔がんのほとんどは、目で確認ができる口腔粘膜に発生するため、かかりつけ医、かかりつけ歯科医によって発見されることが多くなります。
 このため、引き続き医師、歯科医師に対しまして、がんに関する研修への参加を促すとともに、都民に対し、口腔がんを含めたがんの早期発見の重要性について普及啓発を行ってまいります。
 次に、がん対策推進計画についてでございますが、都では平成十九年度、東京都がん対策推進計画を策定し、全体目標といたしまして、七十五歳未満のがんの年齢調整死亡率の二〇%減少、そして、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の向上を定めております。
 目的の達成状況は、東京都がん対策推進協議会におきまして評価、検証を行っておりますが、全体目標につきましては、計画策定時に比べまして着実に改善をいたしております。
 引き続き、目標達成に向けて計画に基づく施策を実施していくとともに、現在、国で行われておりますがん対策推進基本計画の見直しを踏まえまして、都のがん対策の推進について検討をしてまいります。
 次に、養育家庭制度の充実強化についてでございますが、都はこれまで、養育家庭を希望する方に対して、児童の心理や発達など、必要な知識全般に関する研修を行うとともに、児童委託後は、児童の状況に合わせた専門的知識を付与する研修を実施してきました。また、児童を委託している家庭に対しては、児童福祉司が定期的に家庭を訪問し、児童の発達状況や養育の状況などに応じて助言を行うほか、必要な場合には、心理司や医師による面談を行っております。
 今回、養育家庭で起きた事件の重大性や、近年、虐待や発達障害など、さまざまな課題を抱える児童が増加していることを踏まえまして、今後、研修や家庭訪問の実施方法や内容について点検を行った上で、必要な方策を検討してまいります。
 最後に、里親に対する支援体制についてでございますが、都はこれまで、養育家庭に対する相談や見守りの充実を図るため、養育家庭専門員を配置するなど、児童相談所における体制整備を進めますとともに、児童養育のノウハウを持つ民間団体などを活用して、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業を実施してきました。
 養育家庭において、里親と児童が安心して生活していくためには、これまでの支援を強化いたしますとともに、地域における見守りの充実も必要でございます。こうした考え方に立ちまして、今後、都は、里親支援機関事業も含めた児童相談所による支援の充実を検討するとともに、養育家庭が日常的にかかわりのある学校や保育所など関係機関との連携を強化してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、災害廃棄物の受け入れについてでございますが、災害廃棄物の処理につきましては、被災地でも最大限の取り組みが進められておりますが、早期復興を可能とするため、全国の自治体に支援が要請されております。
 都は、こうした要請に積極的にこたえるため、岩手県及び宮城県からの災害廃棄物の受け入れの準備を進めております。災害廃棄物の受け入れに当たりましては、国が本年八月に策定しました災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドラインを踏まえまして、搬出側での放射性物質濃度の再確認や受入施設におけるモニタリングを行い、その測定結果等をわかりやすく公表してまいります。
 次に、地域分散型発電の導入推進についてでございますが、大震災に伴う計画停電では、病院などライフライン施設の機能が麻痺し、都民生活に大きな影響を及ぼしました。都市機能の維持に不可欠なライフライン施設等に必要な電力を電力会社だけに頼ることの危うさが、改めて明らかになったと考えております。
 こうした教訓を踏まえまして、本年七月、庁内に分散型発電ワーキンググループを設置し、既に具体的な検討を開始しております。
 今後は、いかに環境負荷が少なく、効率の高い発電機を導入するかが課題でございますが、都有施設のみならず、民間の都市開発とも連携しながら、地域分散型発電の設置を進め、災害時のリスクの分散を図ってまいります。
 最後に、地域冷暖房への発電機能の導入についてでございますが、地域冷暖房は、大規模な都市開発等におきまして、地域内のプラントで冷水や温水、蒸気などをつくり、複数の建物に供給し、エネルギーを効率的に利用するシステムでございます。
 地域冷暖房に発電機能を導入する場合におきましても、エネルギーを効率的に利用することが必要でございますが、このためには、地域内に発電で生じる大量の排熱を有効に活用できるホテルや病院など、熱需要の大きい施設が立地していることが要件となります。
 都はこれまで、エネルギー有効利用計画制度を活用し、地域における効率的なエネルギーの利用を促進してまいりましたが、地域冷暖房に発電機能を導入する場合におきましても、この制度を活用し、事業者との調整を進め、地域のエネルギー特性に応じた施設整備を進めてまいります。
   〔水道局長増子敦君登壇〕

〇水道局長(増子敦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、八ッ場ダム建設事業の検証についてでございますが、今月十三日に国が示した評価では、これまで一都五県が主張してきたとおり、ダム案が最も有利との結果でありました。この検証は、国がみずから作成したダム事業の検証にかかわる検討に関する再評価実施要領細目に基づきまして実施したものであり、水需要予測の妥当性についても、この細目に従って確認されております。
 八ッ場ダムは、首都東京の将来にわたる安定給水に必要不可欠であり、直ちにダム本体工事に着手し、基本計画どおり完成させるよう、引き続き国に強く求めてまいります。
 次に、水需要予測についてでございますが、これまでも都の長期構想により、将来の人口や経済成長率等の基礎指標が示された場合など、水道需要予測の見直しを適宜適切に実施してきております。
 都では、間もなく浄水場等の大規模施設が一斉に更新時期を迎えることから、施設の耐用年数である五十年から百年先を見据え、気候変動による積雪の減少や大規模災害の発生など、さまざまなリスクに対応できるよう、現在、水道施設の再構築に向けた基本構想について検討を進めております。この検討に当たっては、水道システム全体の安全度を考慮する上で、渇水を踏まえた水源確保、事故等に備えた施設整備、水道需要等が密接に関連するため、将来の水道需要の見通しにつきましては、今年度内に策定する基本構想の中で示してまいります。
   〔都市整備局長飯尾豊君登壇〕

〇都市整備局長(飯尾豊君) 八ッ場ダム建設に伴う吾妻川流域の発電量でございますが、国は、一切の予断を持たずに検証するとして決めた手続に従い、検証作業を続けております。
 流量算定につきましては、日本学術会議の検証も受けながら作業を進めておりますが、国は、その手続の一環として、去る十三日、八斗島地点の流量一万七千立方メートル毎秒を確保することを基本とすれば、コストについて最も有利な案はダム案であると関係自治体に伝えたもので、都としても当然の結果であると受けとめております。
 国からは、この検証を進めているため、東京電力との交渉を中断しており、八ッ場ダムの建設による吾妻川の水力発電に及ぼす影響については、現時点で確定していないと聞いております。
   〔中央卸売市場長中西充君登壇〕

〇中央卸売市場長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲新市場の土壌汚染対策工事についてでございます。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策は、我が国を代表する専門家が、人が生涯この地に住み続けても健康への影響がないことを目指し、敷地全域にわたり十メートル区画で四千百二十二地点に及ぶ綿密な調査に基づき、自然由来の物質の存在も考慮に入れた上で、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安全・安心を確保する万全なものとして提言しており、法の求める対策をはるかに上回っております。
 さらに、ここで採用した技術、工法は、実際に現地の汚染土壌や汚染地下水を用いた実験を行い、技術会議によりその有効性について既に実証されています。
 今回発注した工事の内容は、こうした提言に基づくとともに、三月十一日に発生した東日本大震災に伴う噴砂への対応も含んでいます。
 今後は、この土壌汚染対策工事を確実に実施していくことが何よりも重要です。
 都としては、工事や汚染物質の処理が適切に行われるよう、綿密な施行計画を策定し、技術会議の確認を得た上で、直接、工事を監督するとともに、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の公正さの確保を求めてまいります。工事の最終段階には、処理結果についても技術会議に報告していく予定です。
 また、工事の進捗状況や汚染物質の処理状況などを都民や市場関係者に十分理解していただくため、工事現場見学会の開催やホームページへの掲載など、積極的な情報提供に努めてまいります。さらに対策後の二年間の地下水モニタリングや開場後の地下水管理を対象とし、市場関係者や学識経験者等で構成する協議会を設置し、情報の共有化や意見交換を図っていきます。こうした取り組みにより、都民や市場関係者のさらなる理解と信頼を得るよう努めてまいります。
 次に、築地のまちづくりに関する中央区との検討状況等についてでございます。
 築地のまちは銀座に隣接する極めて高いポテンシャルを有しており、築地市場を中心として、場外市場など周辺とのかかわりの中でにぎわいを生み出し、独特の伝統文化を継承してまいりました。築地市場移転後も、こうしたまちの特徴を引き継いでいくためには、まちづくりの検討に当たり、地元中央区との話し合いが重要であると認識しております。
 既に都と中央区では、部長級による実務的な検討を開始しており、その中で区は、食文化継承の核となる施設の必要性を主張しています。現在、市場移転後も、どのようにしたら、まちのにぎわいが途絶えることなく築地の伝統文化を継承していくことができるか、中央区と検討を進めております。
 こうした中、中央区長は、区議会の第三回定例会で、移転が明確となったことは重く受けとめている、これまで本区は、現在地再整備に向けてさまざまな活動を行ってきたが、今後は、現在地再整備ではなく、移転という現実に即し、市場移転後も築地の活気とにぎわいを確実に継承し、さらなる発展につなげられるよう区の総力を挙げる、新市場を支える基幹道路は既に工事が進められており、本区としてもこの動きに即して周辺のまちづくりを進めていく必要があると答弁されています。
 今後とも、中央区と鋭意協議を進めてまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) アジアヘッドクオーターへの取り組みについてでございますが、世界規模で都市間競争が激化する中で、東京がアジアのリーダーとしての地位を持続するためには、国際競争力の向上が不可欠であるというふうに認識しております。
 そのための効果的な方策といたしまして、今回、海外企業を積極的に誘致するための大胆な規制緩和や税制優遇を可能にする国際戦略総合特区の指定申請を行ったところでございまして、申請に当たりましては、民間の創意工夫を生かした内容となるよう、民間事業者に広く提案募集を行い、その結果、七事業者から八つの提案が寄せられ、グローバル企業のアジア拠点誘致に向けた戦略的取り組みや入国審査など、規制緩和に関する具体的なアイデアをいただいているところでございます。
 あわせて、外国企業等に対しまして、日本で事業を行い、また生活する際の課題等についてもヒアリングを実施いたしまして、特区の制度設計の参考にいたしました。
 今後、こうした民間の知恵と外国企業からの声などを生かし、そうした取り組みを実現するために、国に強力に働きかけて、確実に特区指定をかち取り、東京をアジアのヘッドクオーターへと進化させてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、MICE誘致の推進についてであります。
 MICEは、東京の魅力を国内外にPRする機会となり、大きな経済波及効果が期待できるとともに、観光振興を図る上でも極めて重要であります。
 都はこれまで、国際コンベンションの誘致や開催資金の助成に加え、MICE人材育成など積極的に誘致のための施策に取り組んでまいりました。また、東日本大震災の影響により、訪日外国人旅行者が大幅に減少している中、東京の魅力に加え、安全性をPRするため、東京で開催される国際会議の機会を積極的に活用してきております。来年秋に東京で開催されますIMFと世界銀行の総会も、東日本大震災後の東京及び日本にとって意義のあるものと考えております。
 引き続き東京ビッグサイトなどの効率的な利用を図りながら、MICE誘致に向けた施策を積極的に行ってまいります。
 次に、緊急雇用創出事業についてであります。
 今年度は、昨年度の事業計画を一千人以上上回る約一万八千人の規模で雇用創出に取り組んでおり、このうち今後成長が見込まれる分野に関しては、介護、環境など七分野に都独自の安全・安心など三分野を加え拡大実施しております。一方、四月から六月期の都の完全失業率は四・九%と、全国平均を上回るなど、依然として深刻な状況にありますことから、今後、年末、年度末に向け、区市町村とも緊密に連携し、地域の実情に即した事業を追加実施することとしております。
 都としては、今後も、さらなる雇用創出が可能となるよう、国に対して交付金の必要額を要求するなど、厳しい雇用情勢に的確に対応してまいります。
 次に、中小企業における仕事と家庭生活の両立支援についてであります。
 労働者が生き生きと働きながら子育てや介護など、家庭における役割を果たすためには、仕事と家庭生活の両立が可能となる雇用環境を整備することが重要であります。このため、都は平成十九年度から、中小企業両立支援推進助成金事業によりまして、社内体制の整備など、仕事と家庭生活の両立を図るための経費の一部を助成することで、中小企業の雇用環境の整備を支援してまいりました。この事業を利用した企業は、本年度末には二千社を超える見込みでございます。
 また、ワークライフバランスの推進に向けた社会的機運の醸成を図るため、平成二十年度から、両立支援に関するすぐれた取り組みを進める中小企業を認定し、広く社会に紹介してきております。
 さらに昨年度からは、ワークライフバランスについて考え実践するきっかけとなるよう、東京しごとの日を設け、ことし八月の実施に当たりましては、大震災後の電力不足に伴う対応が企業に求められる中、働き方を見直すことの大切さについても発信いたしました。
 今後とも、こうした事業を着実に実施することで、仕事と家庭生活の両立に配慮した雇用環境の整備を支援してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 公契約条例の策定の検討についてお答えを申し上げます。
 都はこれまでも、我が国の法制度にのっとり、契約に当たって最低賃金法や労働基準法などの法令遵守を義務づけることにより、労働環境の確保を図ってきたところであります。加えて公共調達の品質確保に向け、入札契約制度改革に積極的に取り組む中で、低入札価格調査制度を導入し、調査対象者から、安全管理、材料の仕様、労務単価等について詳細に確認をするほか、必要に応じ、現場点検を実施し、下請人との契約状況等を確認しております。また、関係部署と連携し、契約約款により法令遵守を求めているところでございます。
 いわゆる公契約条例は、受注した各企業に対し、労使交渉で合意し、決定した賃金とは異なる水準の賃金の支払いを、契約により義務づけようとするものと理解をされます。こうした考え方をめぐりましては、労働政策や産業政策の観点から、整理検討すべき課題が指摘をされております。
 さらに、経営余力が十分でないことなどにより、賃金水準を高くできない中小企業が、結果的に入札から排除されてしまうおそれがございます。したがいまして、このような公共調達制度は、国の立法措置上の問題であり、都は今後とも国の検討状況を注意深く見守ってまいります。
 都は、現行法令のもと、よりよい公共調達制度の構築に向けまして、引き続き、入札契約制度改革に取り組んでまいります。
   〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕

〇スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピック招致関係六点の質問にお答えいたします。
 まず、国際世論を動かす理念とその浸透についてでございますが、国際世論を動かすには、まず困難に直面した世界じゅうの人々に対して、スポーツがいかに大きな力を持っているかを、震災から復興した日本でオリンピック・パラリンピックを開催することで、感謝の念を持って世界に示していくこと、また、二〇二〇年東京大会は、国際交流の進展と世界平和の促進に加えて、震災後に日本人が示した助け合いの精神や礼節、震災を契機に開発される環境技術などと相まって、アスリートに最高の舞台を提供するもので、IOCからの共感を得られるものと考えます。
 先ほど知事が申し上げた招致の意義や、こうした理念について、国やスポーツ界、経済界が一体となり、あらゆる機会をとらえて国内外に浸透を図ってまいります。
 次に、招致活動経費についてでございます。
 今回の招致活動においては、前回の招致活動で得られた有形無形の財産を最大限活用するとともに、めり張りのある効率的な予算の使い方とすることで、前回の招致活動経費から半減させることも可能と考えております。
 招致活動経費の財源については、都費と民間資金の費用負担を明確化し、招致委員会への都費負担は行いません。経済情勢が厳しい中においても、協賛企業等の獲得に努め、都費を上回る民間資金が集まるよう、JOCなどとも協力し、最大限の努力を行います。
 次に、オリンピックスタジアム計画についてでございます。
 本年制定されたスポーツ基本法では、スポーツに関する基本理念を定め、国の責務として、スポーツ推進のためのスポーツ施設の整備や、国際競技大会の招致がうたわれております。こうした中、国立霞ヶ丘競技場について、二〇一九年に開催されるラグビーワールドカップなど、国際大会での活用を視野に、八万人収容のスタジアムに建てかえていく方針であると報道されているところでございます。
 今後、国が国立霞ヶ丘競技場の建てかえ方針を決定した場合には、都としても、オリンピックスタジアムとして活用していくことを考えてまいります。
 次に、契約の改善についてでございます。
 今回の招致活動は、都としては二度目の招致挑戦でございまして、前回招致の経験やノウハウを十分に蓄積しております。そのため、前回、実績や専門性から特命随意契約をしていた部分についても、分野ごとの分割発注や広く競争を行うことを検討し、より一層の効率化や透明性の確保を図ってまいります。
 次に、被災地への復興支援についてでございます。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、東日本大震災で傷ついた被災地にとって、九年後に復興した姿を支援していただいた世界じゅうの方々にお見せできるまたとない機会でございます。このため、現在、サッカー予選の開催や、聖火リレーなどを被災地で実施することを考えております。また、招致期間中においても、被災地と連携してアスリートを派遣し、子どもたちの心をケアするなど、精神的な支援のほか、経済的な視点も含め、具体的な支援策を検討してまいります。
 最後に、借入金についてでございます。
 前回の招致で生じた借入金は、平成二十年秋の世界的な金融危機、いわゆるリーマンショックを契機とした日本の経済社会状況の急激な変化により、予定していた資金調達が不足し、それが借入金となったものでございます。
 今後、企業に対し、理解を求めながら、前回培ったノウハウや経験を有効に活用することにより、効率的、効果的な執行に努め、必要な招致経費を確保しつつも、同時に借入金を返済できるものと考えております。

〇議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

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