平成二十三年東京都議会会議録第十一号

平成二十三年九月二十一日(水曜日)
 出席議員 百二十五名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番三宅 正彦君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番相川  博君
十番山内れい子君
十一番関口 太一君
十二番くりした善行君
十三番西沢けいた君
十四番田中  健君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番松葉多美子君
十九番伊藤 興一君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番早坂 義弘君
二十四番高木 けい君
二十五番星 ひろ子君
二十六番小山くにひこ君
二十七番柳ヶ瀬裕文君
二十八番淺野 克彦君
二十九番新井ともはる君
三十番佐藤 由美君
三十一番中村ひろし君
三十二番たきぐち学君
三十三番田の上いくこ君
三十四番島田 幸成君
三十五番大島よしえ君
三十六番高倉 良生君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番遠藤  守君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番中屋 文孝君
四十三番村上 英子君
四十四番矢島 千秋君
四十五番高橋かずみ君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番しのづか元君
四十九番滝沢 景一君
五十番中谷 祐二君
五十一番笹本ひさし君
五十二番山下ようこ君
五十三番神野 吉弘君
五十四番鈴木 勝博君
五十五番興津 秀憲君
五十六番岡田眞理子君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番大松あきら君
六十番中山 信行君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番山田 忠昭君
六十五番林田  武君
六十六番小宮あんり君
六十七番吉住 健一君
六十八番神林  茂君
六十九番野島 善司君
七十番服部ゆくお君
七十一番伊藤 ゆう君
七十二番原田  大君
七十三番佐藤 広典君
七十四番西岡真一郎君
七十五番尾崎 大介君
七十六番山口  拓君
七十七番伊藤まさき君
七十八番松下 玲子君
七十九番野上ゆきえ君
八十番今村 るか君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番吉田 信夫君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番こいそ 明君
八十八番遠藤  衛君
八十九番田中たけし君
九十番宇田川聡史君
九十一番鈴木 隆道君
九十二番三原まさつぐ君
九十三番田島 和明君
九十五番吉田康一郎君
九十六番斉藤あつし君
九十七番泉谷つよし君
九十八番くまき美奈子君
九十九番大西さとる君
百番いのつめまさみ君
百一番小沢 昌也君
百二番石毛しげる君
百三番大津 浩子君
百五番清水ひで子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番古賀 俊昭君
百十一番吉原  修君
百十二番鈴木あきまさ君
百十三番宮崎  章君
百十四番川井しげお君
百十五番三宅 茂樹君
百十六番吉野 利明君
百十七番比留間敏夫君
百十八番門脇ふみよし君
百十九番増子 博樹君
百二十番大塚たかあき君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番山下 太郎君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番大山とも子君

 欠席議員 なし
 欠員
    九十四番 百四番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務村尾 公一君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長笠井 謙一君
財務局長安藤 立美君
警視総監樋口 建史君
主税局長新田 洋平君
生活文化局長井澤 勇治君
スポーツ振興局長細井  優君
都市整備局長飯尾  豊君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長松田 芳和君
消防総監北村 吉男君
交通局長野澤 美博君
水道局長増子  敦君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長樋口 眞人君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長中西  充君
選挙管理委員会事務局長影山 竹夫君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長加藤 英夫君
監査事務局長塚本 直之君
収用委員会事務局長細野 友希君

九月二十一日議事日程第一号
第一 第百三十号議案
災害時において応急措置の業務に従事した者の損害補償に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百三十一号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第三 第百三十二号議案
東京都スポーツ振興審議会に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百三十三号議案
東京都高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例の一部を改正する条例
第五 第百三十四号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第六 第百三十五号議案
東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百三十六号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百三十七号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百三十八号議案
警視庁志村警察署庁舎(二十三)改築工事請負契約
第十 第百三十九号議案
警視庁有家族待機宿舎東大和住宅(仮称)(二十三)新築工事請負契約
第十一 第百四十号議案
中央環状品川線中目黒換気所建築工事請負契約
第十二 第百四十一号議案
都立第五商業高等学校(二十三)校舎棟改築工事請負契約
第十三 第百四十二号議案
東京消防庁日野消防署庁舎(二十三)新築工事請負契約
第十四 第百四十三号議案
黒目川黒目橋調節池工事(その十)請負契約
第十五 第百四十四号議案
国分寺陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(二十三北北─国分寺三・二・八)請負契約
第十六 第百四十五号議案
都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その三請負契約
第十七 第百四十六号議案
都庁舎(二十三)昇降機設備改修工事その四請負契約
第十八 第百四十七号議案
首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
第十九 第百四十八号議案
防護服セット外一種の買入れについて
第二十 第百四十九号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百五十号議案
東京都立学校における誤えん事故に伴う損害賠償の額の決定について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(二三財主議第二八三号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(二三財主議第二八四号)

   午後一時開会・開議

〇議長(和田宗春君) ただいまから平成二十三年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

〇議長(和田宗春君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

〇議長(和田宗春君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   九番   相川  博君 及び
   六十五番 林田  武君
を指名いたします。

〇議長(和田宗春君) 次に、議会局の局長に異動がありましたので、ご紹介いたします。
 議会局長三橋昇君。
   〔局長あいさつ〕

〇議長(和田宗春君) 以上で紹介を終わります。

〇議長(和田宗春君) 謹んで申し上げます。
 先般の本会議におきましてご逝去の報告をいたしました葛飾区選出樺山たかし議員の葬儀に際しましては、議会を代表して議長より深甚なる弔意を表しておきました。
 ここで、故樺山たかし君に弔意を表するため、野上純子さんより発言の申し出がありますので、これを許します。
 六十二番野上純子さん。
   〔六十二番野上純子君登壇〕

〇六十二番(野上純子君) 追悼の辞。
 前東京都議会議員樺山たかし先生におかれましては、去る七月一日、ご逝去されました。
 享年六十三歳、政治家としての円熟味も増し、これからのなお一層のご活躍が期待されていただけに、その突然の訃報に接し、私ども議員一同、ただただ驚愕いたしますとともに、その早過ぎるご逝去は、幾ら惜しみても余りあるものであり、まことに痛惜の念にたえません。
 ここに私は、皆様のご同意によりまして、東京都議会を代表し、謹んで樺山たかし先生への哀悼の言葉を述べさせていただきます。
 樺山先生は、気さくで明るいご性格で、物まね上手で、周囲の人たちを常に和やかな雰囲気にすることを忘れず、地域の方々のことや、広く都政のことを真剣に考えて行動される方でした。
 本日、本議場に、そのようなありし日の樺山先生のお姿が見られず、議員一同、惜別の情を禁じ得ません。
 顧みますと、樺山先生は、昭和四十八年より、衆議院議員、田島衛先生の秘書として政治の世界へ臨まれ、昭和五十八年に、地域の方々の熱い期待を受けて葛飾区議に立候補し、見事ご当選され、平成五年までの十年間の長きにわたり、葛飾区議を務められました。
 さらに、樺山先生は、区議時代の実績と豊富な経験を生かすべく、地元の方々の熱い期待に支えられ、平成五年に東京都議会議員にご当選され、以後、五期十八年の間ご活躍されました。
 この間、都議会自民党にあっては政務調査会長を、また都議会では、総務生活文化委員会委員長、経済・港湾委員会委員長、予算特別委員会委員長、東京都監査委員、全都道府県監査委員協議会連合会会長などの数々の要職を歴任され、都政のとらえる重要課題の解決に向け、全力を尽くされました。
 また、東京都芸術文化振興議員連盟の会長を長年務められ、文化団体と都議会の橋渡しとなり、東京都の文化、芸術の発展に寄与されました。今日の東京の文化、芸術の繁栄は、樺山先生のご努力があったからといっても過言ではありません。
 また、東京都議会日韓議員連盟の会長として、東京都議会とソウル特別市議会との太いパイプ役としてもご活躍され、NGOオイスカ東京議員連合会会長としてモンゴルの緑の再生を支援してまいりました。強い責任感と実行力を兼ね備え、優しいお人柄でしたので、多くの方々が先生に大いなる信頼を置き、その徳を慕っておりました。
 私は、都議会議員の初当選のときに、先輩であります樺山先生、同じくことし逝去された鈴木一光先生のお二人にはさまざまな会合でお会いする機会が多く、親しくさせていただきました。宴席ではお酒が進むほど楽しくにぎやかに振る舞わられ、皆さんを楽しませることが何よりお好きだった先生の人柄をしのばせる光景が今でも目に浮かびます。
 葛飾区は、寅さん、両さんでおなじみの人情味の厚い下町情緒の残っている地域です。情の厚い樺山先生にぴったりの葛飾区のために、都市づくり、福祉、文化施策の充実などにご尽力をされましたが、活力ある東京のまちづくりはまだまだ多くの課題が残り、先生の志も道半ばであったかと思われます。私たちは、そのご遺志を受け継ぎ、首都東京の発展に一層邁進していくことで、そのご遺徳にこたえてまいりたいと思います。
 樺山先生、どうか安らかにお眠りください。そして、私たち後輩議員を見守ってください。
 最後になりましたが、ご遺族の方々がこの悲しみを乗り越えて力強く歩まれていかれますようお願い申し上げ、樺山先生のご冥福を心からお祈り申し上げまして、追悼の言葉とさせていただきます。
  平成二十三年九月二十一日
東京都議会議員 野上 純子

〇議長(和田宗春君) 以上をもって野上純子さんの発言は終わりました。

〇議長(和田宗春君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

〇議事部長(鈴木省五君) 平成二十三年九月十四日付東京都告示第千三百二十七号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二十一件の送付がありました。
 次に、平成二十三年第二回定例会の会議において同意を得た公安委員会委員、人事委員会委員、固定資産評価員及び固定資産評価審査委員会委員の任命について発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び監査委員外四行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
 また、東京都債権管理条例に基づく私債権放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、教育委員会委員長より、平成二十三年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、平成二十二年度分について報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
(別冊参照)

〇議長(和田宗春君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一一ページ)に掲載〕

〇議長(和田宗春君) 次に、警視総監池田克彦君の退任に伴い、新たに樋口建史君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 警視総監樋口建史君。
   〔警視総監樋口建史君登壇〕

〇警視総監(樋口建史君) 去る八月五日付で警視総監を拝命いたしました樋口でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 東京都議会の皆様方には、平素より警視庁の運営万般につきまして格別のご理解とご高配を賜っているところでございます。厚く御礼を申し上げます。
 さて、都内の治安情勢でございますが、平成八年ころから犯罪がふえ始めまして、ピークの平成十四年には戦後最多を記録したところでございました。そういったことから、治安の再生を期しまして、平成十五年から犯罪抑止総合対策に取り組んでまいったところでございます。その結果、昨年まで八年連続で犯罪の発生件数が減少し続けているところでございます。件数と数字の上では、治安は一歩一歩着実に改善をしてきていると見ておるところでございます。
 しかしながら、治安の中身を見てみますと、重要未解決事件の捜査が重い課題となっておりますほか、振り込め詐欺対策、暴力団排除対策、そして重大交通事故の防止対策、さらには、東日本大震災に伴う支援活動の継続など、重要な課題が山積しているところでもございます。
 警視庁といたしましては、取り締まり機関でございますから、こうした当面の重要課題に全力で取り組んでまいりますとともに、事件や事故の発生にはそれぞれ原因や背景があるわけでございますので、そういったことを踏まえまして、事件や事故の起きにくい社会づくりに、そういったところを目指して、官民を問わず、社会を挙げた幅広い取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
 安全で安心して暮らせるまち東京を実現するには、東京都を初め関係機関との緊密な連携が不可欠だと考えております。
 都議会の皆様方には、一層のご指導、ご支援を賜りますようお願いを申し上げまして、あいさつとさせていただきます。

〇議長(和田宗春君) 以上をもって紹介は終わりました。

〇議長(和田宗春君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 東京都技監建設局長兼務村尾公一君、総務局長笠井謙一君、主税局長新田洋平君、生活文化局長井澤勇治君、スポーツ振興局長細井優君、都市整備局長飯尾豊君、会計管理局長松田芳和君、消防総監北村吉男君、交通局長野澤美博君、水道局長増子敦君、青少年・治安対策本部長樋口眞人君、中央卸売市場長中西充君、選挙管理委員会事務局長影山竹夫君、労働委員会事務局長加藤英夫君、監査事務局長塚本直之君、収用委員会事務局長細野友希君。
   〔理事者あいさつ〕

〇議長(和田宗春君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

〇議長(和田宗春君) 次に、閉会中の議会運営委員、株式会社新銀行東京に関する特別委員並びに東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。

   議会運営委員辞任・選任名簿

〇辞任
 大沢  昇君(民主) 泉谷つよし君(民主)
 斉藤あつし君(民主) 山口  拓君(民主)
 伊藤まさき君(民主) 三宅 茂樹君(自民)
 野島 善司君(自民) 高橋かずみ君(自民)
 林田  武君(自民) 村上 英子君(自民)
 中屋 文孝君(自民) 高橋 信博君(自民)
 吉田 信夫君(共産)
〔以上 平成二十三年八月一日付〕

 藤井  一君(公明)
〔以上 平成二十三年八月十七日付〕
 いのつめまさみ君(民主)
〔以上 平成二十三年九月一日付〕

〇選任
 大塚たかあき君(民主) 小沢 昌也君(民主)
 大西さとる君(民主) 西岡真一郎君(民主)
 いのつめまさみ君(民主) 宮崎  章君(自民)
 川井しげお君(自民) 高木 けい君(自民)
 鈴木あきまさ君(自民) 吉原  修君(自民)
 鈴木 隆道君(自民) 宇田川聡史君(自民)
 清水ひで子君(共産)
〔以上 平成二十三年八月一日付〕
 小磯 善彦君(公明)
〔以上 平成二十三年八月十七日付〕
 尾崎 大介君(民主)
〔以上 平成二十三年九月一日付〕

株式会社新銀行東京に関する特別委員辞任・選任名簿

〇辞任
 山下 太郎君(民主)
〔以上 平成二十三年九月十二日付〕
 東村 邦浩君(公明)
〔以上 平成二十三年九月十六日付〕

〇選任
 原田  大君(民主)
〔以上 平成二十三年九月十二日付〕
 斉藤やすひろ君(公明)
〔以上 平成二十三年九月十六日付〕

東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員辞任・選任名簿

〇辞任
 野島 善司君(自民)
〔以上 平成二十三年九月七日付〕
 上野 和彦君(公明)
〔以上 平成二十三年九月十六日付〕

〇選任
 山崎 一輝君(自民)
〔以上 平成二十三年九月七日付〕
 加藤 雅之君(公明)
〔以上 平成二十三年九月十六日付〕

〇議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意について二件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

〇議長(和田宗春君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月七日までの十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十七日間と決定いたしました。

〇議長(和田宗春君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 平成二十三年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 去る七月一日、樺山たかし議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 このたび、名誉都民の候補者として、小野喬さん、水木しげるさんの二名の方々を選定させていただきました。
 小野喬さんは、体操選手としてオリンピックで五個の金メダルを含む日本人最多の十三個のメダルを獲得し、体操選手の育成や高齢者などを対象にした地域におけるスポーツの普及にも尽力してこられました。
 水木しげるさんは、戦争で左腕を失いながらも、漫画家として五十年以上にもわたり活躍し、独特の感性で「ゲゲゲの鬼太郎」を初め、だれもが魅了される作品を生み出し続け、文化の興隆に尽力してこられました。
 お二方は多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 先般、自然の宝庫である小笠原諸島が世界遺産に登録されました。都が国に先駆けて進めてきた外来種対策や都独自のエコツーリズム、都レンジャーの配置など、長年の取り組みが評価された結果であると思います。
 世界遺産登録とは、小笠原を永遠に保全することを世界に宣言したにほかなりません。この美しい島を次世代に確実に引き継いでまいります。
 さて、日本は、戦後長きにわたって僥幸ともいうべき平和を享受してきました。国家の存亡に係る緊張に遭遇することもない中で他人任せの平和におぼれ、政治は大局観や戦略を持たないまま場当たり、その場しのぎに陥っております。国民も心のたがが緩み、物欲、金銭欲が第一となって、政治も保身ゆえにそれにこびるばかりであります。我が国は、平和の毒とも呼ぶべきものにむしばまれていると思います。
 今日、国際情勢は厳しさを増し、戦後の唯一の勲章ともいうべき経済大国の地位は新興国から猛追を受け、脅かされております。国益を顧みない政治は足元を見透かされ、近隣の国々が我が国の領土を虎視たんたんとねらい、手を伸ばしております。その上、東日本大震災により痛烈な打撃を受け、歴史的水準にある円高も追い打ちをかけております。
 まさに、日本は沈没寸前であります。残された猶予はほとんどありません。ならばこそ、復興への道のりを平和の毒から脱却して、日本を根底から再生していく契機としなければならないわけであります。
 そのためにも、政治は、毀誉褒貶にとらわれて現実から目を背けるようなことがあってはなりません。国家として確かな座標軸を構えて、国民の力を結集し、なすべきことを果断に実行すべきであります。
 そうした強い危機感に立って、首都の知事として、今、緊急になすべきことを先日、新政権に強く建言いたしました。
 まずもって必要なことは、政治が正当な歴史観、文明認識に立った大計を打ち立てて実行することであります。
 原発事故とそれがもたらした電力不足をきっかけに、我が国のエネルギー供給のあり方が問われております。前首相は唐突に脱原発を叫びましたが、これは国家の安危にかかわる問題を我がこととして考えていない戦後のあしき習い性の典型であります。
 歴史をひもとくまでもなく、エネルギーは国家発展のかなめであり、その確保をめぐっては、時として国同士が争う原因ともなる国益そのものであります。エネルギーの議論をいたずらにもてあそぶならば、その先には国家の衰退しかありません。
 今、政治に求められていることは、高度に発達した社会を支える我が国の経済を発展させるため、いかなるエネルギーを、どれだけ確保するかを複合的に冷静に見きわめることであります。同時に、地球温暖化への影響、資源の多くを海外に依存せざるを得ない日本の実情も踏まえ、戦略を組み立て、責任ある決断を下していかなければなりません。
 新政権は、歴史と文明の大きな流れを見きわめ、あらゆるエネルギーの最適な組み合わせを追求する現実的かつ複合的なエネルギー戦略を構築すべきであります。
 現在、首都のバックアップ論がかまびすしく叫ばれておりますが、これもまた日本をだめにしてきた議論の繰り返しといわざるを得ません。
 我が国は、長年にわたり、政治家たちが我田引水のごとくに費用対効果を無視して道路や橋をつくり続けてきました。近年、これへの批判として、コンクリートから人へなる必要な公共事業までも否定する極端な動きも生まれましたが、どちらも文明工学的な視点を欠いていることに変わりありません。こうした国の態度が羽田空港の国際化や三環状道路の整備をおくらせ、国家をも支える政策を実行するための財源を東京から奪い、日本全体に多大な損失を与えてきたのです。
 今後、震災リスクの分散を口実にむだな箱物づくりが行われれば、実質的に破綻した国家財政をさらに傷つけるばかりでなく、日本の盛衰を左右する存在である首都東京の機能強化もないがしろにされかねません。
 もとより、首都のバックアップを否定はしません。しかし、既にある首都圏の体制を生かしながら、東京に財源を投下し、最大の弱点の一つである木造住宅密集地域を徹底して耐震化、不燃化するなど、高度に防災力を備えた都市へ進化させることが先決であります。
 これを進めるためにも、国は、約束どおり法人事業税の暫定措置を即時撤廃すべきであります。事の成り行きによっては、訴訟も辞さない覚悟で国に迫ってまいります。
 官僚という行政を運用する手段に支配されてきた政治にも、その反動として生まれた政治主導なる官僚の経験と専門性を使いこなせない素人政治にも決別しなければなりません。
 とりわけ放射性物質への対応では、誤った政治主導によって縦割り行政がかえって助長され、国民の安心のよりどころとなる安全基準も省庁ごとに泥縄に設定されるありさまであります。生産者、事業者は国に振り回され、風評被害にも苦しめられております。このままでは国民の不安がますます増幅し、経済にも大きな影響が及ぶだけではなく、日本は世界からの信用を失いかねません。
 都は、都民、国民の不安を払拭するため、自前の検査機器を総動員し、放射性物質の測定を行い、被災県にも最大限協力しております。今後、区部と多摩にモニタリングポストを増設するなどの取り組みも進めてまいります。しかし、いかに地方が現場で局地的に奔走しても、汚染物質の最終処分は困難をきわめるなど限界があります。
 放射性物質への対策の第一義的な責任を負う国が、統一的な安全基準の設定、国を挙げた検査体制の確立、最終的な処分方法の確立という三位一体の対策を早急に講じることを求めます。
 国政の低迷を前に座して待つことで、日本のダイナモである東京をとめるわけにはいきません。東京が最先端の現場から具体的な策を着実に実行することで、日本再生の端緒を開いてまいります。
 まず、電力の安定供給について申し上げます。
 この夏、電力需給の逼迫が想定されましたが、都民、国民、企業がそれぞれ懸命な努力により節電に取り組んだ結果、計画停電なしに乗り切ることができました。
 しかし、これで終わったわけではありません。現代社会に不可欠な電力に関し、今回の震災が我々に突きつけた問題に対して、本格的な答えを出していくこれからが正念場であります。とりわけ、独占的に供給している電力会社や遠隔地からの電力に頼り切ってきたことのもろさは、だれの目から見ても明らかであります。
 また、電力会社は、老朽化して効率の悪い火力発電所を再び稼働させましたが、CO2の排出量が多く、故障のリスクがつきまとい、地球温暖化の面からも、安定供給の面からも望ましい姿とは決していえません。
 肝心の国は、眼前の事態への対処に手いっぱいとなり、震災の教訓を踏まえた現実的なエネルギー戦略を全く描けておりません。そこで、都民、国民、企業の活動を守るためにも、東京はエネルギー問題に果敢に取り組んでまいります。
 先月にはプロジェクトチームを設置し、発電効率が高く、他の化石燃料と比べて格段に環境負荷が少ない天然ガスを燃料とする百万キロワット級の発電所の整備に向けて検討を行っております。一定の条件を満たす都有地を数カ所選定いたしましたが、今後、詳細な調査を行うとともに、電力事業への参入障壁の突破についても検討してまいります。
 あわせて、震災時のリスクを分散するため、電力会社だけに頼らない地域分散型発電の導入を進めます。災害時にも都市機能を維持するため、民間の都市開発とも連携し、発電施設の設置を後押しする仕組みを具体的に構築いたします。
 首都圏全体も巻き込みながら、東京が具体の手だてを講じることで、この国の電力供給体制を変える突破口にしてまいります。
 東日本大震災は、ともすれば災害はみずからには降りかからないと考えがちな我々の安易な危機意識を呼び覚ましました。同時に、行政による公助の限界、多量の帰宅困難者、物流ネットワークの混乱など、極めて多くの課題を浮き彫りにいたしました。これを先般、東日本大震災における東京都の対応と教訓として取りまとめました。
 今回の震災が残した貴重な教訓を十一月に策定する東京都防災対応指針に盛り込み、首都直下地震や東海、東南海、南海三連動地震への備えに万全を期してまいります。
 東日本大震災や阪神・淡路大震災の経験からもわかるように、一分一秒を争う災害発生時には、まずみずからの身を守り、隣近所で助け合うことが一人でも多くの生命を救うことになります。
 そこで、防災隣組の構築に着手いたしました。地域のきずなが希薄となった東京では一朝一夕には進みませんが、まず手始めに、震災に直面した方の生の声や、これまで実際に行われた共助の効果的な取り組みを集め、身近な支え合いの大切さを説いてまいります。また、区市町村と連携して、実際に活動している共助の取り組みを後押しし、共助の仕組みこそ、これが命を救うというムーブメントを巻き起こしてまいります。
 東京には、戦前からそのまま残された古い木造のまちに加え、戦後の急速な復興の中で無秩序に開発が進んだことにより、多くの木造住宅密集地域が形成されてきました。いわば二十世紀の負の遺産でありまして、震災発生時には火災により甚大な被害を引き起こすことが懸念されます。
 そこで、先ほど申し上げた法人事業税の暫定措置の撤廃により、国から取り戻した財源も投じて、木密地域不燃化十年プロジェクトを新たに立ち上げ、従来からの取り組みを一段と加速させます。
 阪神・淡路大震災で起きた大火災の事実をありのままに伝え、地元自治体も巻き込みながら都民に訴えてまいります。同時に、延焼を遮断する道路の整備、移転先の確保などの施策も複合的に講じ、壊れず燃え広がらないまちづくりを推進してまいります。
 災害時に救援物資を輸送し、迅速な復旧、復興活動に資する道路ネットワークづくりにも力を注がなくてはなりません。本年の第一回定例会で制定した条例を活用して、緊急輸送道路の沿道建物の耐震化を進めるとともに、区部環状道路や多摩南北道路など、東京の骨格となる道路整備を推し進めます。また、外環道、圏央道が未整備の状態で、東京が被災し首都高速道路が使えなくなれば、我が国は事実上、東西に分断されてしまいます。新しい政権には、首都東京の道路の国家的な役割を認識し、必要な財源を措置するよう強く求めます。
 現下の我が国経済は、円高や株価の低迷に見舞われ、企業を取り巻く環境は厳しさを増しております。国は、本来責任を有するこれらの問題に実効性ある手だてを講じ、新たな成長戦略も早急に構築すべきであります。
 一方、現場を持つ東京が手をこまねいているわけにはまいりません。都は円高対策として、既に制度融資の特別枠を設けております。これを活用し資金繰りに万全を期すとともに、専門家を派遣し経営に関する具体的な助言を行うなど、中小企業を確かに支えてまいります。
 雇用面でも、大学卒業者の就職率が過去最低となっております。そこで、就職先が決まらないまま卒業した若者を都内中小企業で就労体験させ、正社員への道を開くべく支援しております。既に五百人以上が参加しており、一人でも多くの若者が活躍の場を得られるよう応援してまいります。
 さらに、日本が再び立ち上がるため、円高などの経済環境に左右されない確固とした力を養うことが必要であります。先日、東京のまち工場の技術も取り入れた小惑星探査機「はやぶさ」の開発者から直接話を聞く機会がありました。非常に強い感銘を受けました。我が国のものづくり技術は、日本人の希有なる感性が結実したものでありまして、国力の源であることを改めて実感いたしました。
 東京は、これを磨き育てるべく中小企業の開発、研究を応援してまいります。都立産業技術研究センターの新本部を来月開設する運びとなりました。これを機に、超小型電子部品や航空機部品の開発を支援するため、ナノレベルでのより微細な加工を可能とする機器を初め、最高水準の装置をそろえます。新製品開発のためのスペースも大幅に拡充するとともに、個々の中小企業の要望に沿った支援メニューも充実させるなど、中小企業の技術向上を強力に後押ししてまいります。
 あわせて、我が国が経済全体の底上げを図るため、その牽引役である東京ならではの成長戦略を果敢に実行いたします。
 そのためには、日本を開き、東京に外資を積極的に呼び込んでまいります。国に規制緩和や税制優遇を求める総合特区制度では、東京の呼びかけにこたえ、民間から有力な提案が幾つも寄せられております。こうした民間の知恵を取り入れながら、国際競争力を強化する具体的な道筋を示し、国に特区を認めさせてまいります。羽田空港とリニア中央新幹線の結節点として成長の可能性の高まる品川駅周辺については、特定都市再生緊急整備地域に新たに指定するよう国に申し入れます。
 総合特区と特定都市再生緊急整備地域の指定を合わせて、税財政や都市計画上の優遇措置を重層的に講じ、外国企業にとって魅力的な環境を整え、東京をアジアのヘッドクオーターへと発展させてまいりたいと思います。
 いつの時代、いかなる国家社会においても最も重要な社会資本は人材であります。
 近代以降の我が国の教育は、強大な産業国家を急速につくり上げるために、あるレベルの画一的な人材の育成を主眼としてまいりました。しかし、目標が成就した段階でも、次なる目標や育てるべき日本人像を描けずにおります。その上、権利ばかりを主張し、結果の平等をいたずらに重視する戦後のあしき風潮が教育の混乱に拍車をかけております。
 戦後教育の宿痾を打破するとともに、あるべき日本人像を描き、知力、体力、人間力を備えた次代を担う人材の育成に本気で乗り出さなくてはなりません。このままでは、日本は二十一世紀の国際社会をただ漂流するしかないと思います。
 そこで、教育再生・東京円卓会議を新たに設置し、制度や仕組みにとらわれない議論を開始いたします。まずは、こうした危機を肌で感じている各界を代表する方々と順次対談してまいります。その内容を発信することで、社会全体にも論議を巻き起こし、現状を憂う声なき声にもこたえてまいりたいと思います。意見やアイデアはできることから教育の現場で実行し、国には制度改正を建言いたします。
 次に、東日本大震災の被災地支援について申し上げます。
 都は、現在、被災三県に事務所を構え、現地の切実なニーズを酌み取り、復旧、復興を応援してまいりました。今も、多くの警察官が治安を守りながら、かけがえのない肉親のご遺体を遺族に引き渡すための地道な努力を続けるなど、日々六百人の都の職員が東京を離れ、被災地で活動しております。施設やインフラの復旧はもとより、学校教育を支え、被災者の心のケアにも力を尽くしております。
 都内で避難生活を送る方々は、先月の時点で八千人を超えています。都営住宅など受け入れを継続するとともに、上下水道料金の減免期間も延長するなど、引き続き強力に支えてまいります。
 被災地企業との商談会も開催しております。先日、宮城県で現地の企業百五十社と都内企業等約八十社の参加を得て商談会を行いましたが、今後、岩手県、福島県でも順次開催いたします。また、来月の産業交流展二〇一一では、被災地企業のブースを設置するなど、復興を経済面からも後押ししてまいります。
 さらに、スポーツを通じた支援も行っております。先月、原発事故の影響で離れ離れを余儀なくされた福島県の高校生が、もとの高校ごとにチームを組み、都から派遣されたオリンピアンの指導のもとに、バレーボールやサッカーなどの試合を楽しみました。久しぶりの友人との交流は、子どもたちに力を与えることができたと思います。
 今後も全力の支援で被災地を元気づけ、我が国に連帯の心を呼び起こすよすがともしてまいります。
 被災地の子どもたちがスポーツで一体感と友情を深める姿は、勝利という目的に向かった肉体や精神の営みを介して、人に夢や希望、感動を与え、人々を結びつけるスポーツの持つ力を象徴しております。
 先般、宮城県知事が、日本でオリンピックをやるということになれば国民こぞって盛り上がると述べておりましたが、我が国の復興と再生のために今必要なものは、国民が一つになれる夢であります。
 スポーツの力で人々を結び、オリンピック・パラリンピック開催という共通の夢に向けて、九年後の日本の姿を思い浮かべながら進む国民の意思を、日本再生の原動力にしたいと思います。同時に、被災地での競技なども通じて、日本が立ち直った姿を世界に披瀝し、支援に対する感謝の気持ちを示す機会ともしてまいります。
 オリンピック・パラリンピックの招致を是が非でも実現しなければなりません。そのためには、外交力と政治力を駆使した国家間の熾烈な戦いを勝ち抜かねばならず、国、スポーツ界、経済界などを束ねた国家を挙げての総力戦が絶対に不可欠であります。新政権には、そのかなめとなる担当大臣を設けるよう強く求めております。東京も前回の経験を糧にして、なすべきことを確実に実行してまいります。
 都議会の皆様、都民、国民の皆様の力を招致に結集していただきますよう改めてお願いいたします。
 先日、サッカー女子ワールドカップにおいて、なでしこジャパンがアメリカを打ち破り、優勝をなし遂げました。過日、その功績をたたえ、東京ゆかりの選手四人の方々に東京都栄誉賞と都民スポーツ大賞を贈呈いたしました。ロンドン・オリンピックでの活躍も期待しております。
 なでしこジャパンは、恵まれない環境の中でも決してあきらめることなく、目標に向かって努力を重ねてきました。今回の快挙は、ひたむきな心を持ち続けた選手たちが、監督や主将の強いリーダーシップのもと、持てる力を存分に発揮したからこそなし得たものであります。
 日本人のひたむきさは、被災者同士が支え合い秩序正しく行動する姿、復興を支える無償のボランティアといった形でもあらわれております。今回の震災は、我が国に甚大な被害をもたらしましたが、戦後、多くの日本人が忘れてきた美質を呼び覚ましてもおります。そのきっかけになりました。今こそ、政治が大局的な戦略を持ち、リーダーシップを発揮し、そうした美質が生み出す可能性を引き出し束ねたならば、日本は必ず震災を乗り越え、再びその先に雄飛できるに違いありません。
 国政が停滞する今、多彩な人材や志のある企業などが高度に集積し、それゆえにはかり知れない可能性を持つこの東京という現場から、日本再生の活路を切り開いていかなければなりません。
 同じ首都東京の政治家である都議会の皆様とともに、建設的で質の高い議論を交わしながら、その使命を十全に果たしてまいりたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案九件、契約案九件など、合わせて二十一件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

〇議長(和田宗春君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議されることを望みます。

〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議することに決定いたしました。

〇議長(和田宗春君) 追加日程第一及び第二、東京都名誉都民の選定の同意について二件を一括して議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について二件

二三財主議第二八三号
平成二十三年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     小野  喬

      略歴
現住所 東京都大田区
小野  喬
昭和六年七月二十六日生
昭和六年   秋田県能代市生まれ
昭和二十七年 全日本体操競技選手権で優勝
同年     ヘルシンキオリンピック競技大会出場、跳馬で銅メダルを獲得
昭和二十九年 東京教育大学(現筑波大学)体育学部卒業
昭和三十一年 メルボルンオリンピック競技大会出場、鉄棒で日本体操界初の金メダルを獲得したほか、団体総合等で銀メダル三個、銅メダル一個を獲得
昭和三十五年 ローマオリンピック競技大会出場、鉄棒等で金メダル三個を獲得したほか、個人総合等で銀メダル一個、銅メダル二個を獲得
昭和三十九年 東京オリンピック競技大会出場、団体総合で金メダル獲得
昭和四十年  池上スポーツ普及クラブ設立、代表就任
昭和四十二年 財団法人日本体操協会理事就任
昭和五十二年 財団法人スポーツクラブ協会(現公益財団法人日本スポーツクラブ協会)設立、理事長就任
昭和六十三年 紫綬褒章受章
平成七年   財団法人日本体操協会副会長就任
平成九年   財団法人日本体操協会顧問就任
平成十年   国際体操殿堂入り
平成十七年  旭日中綬章受章
平成二十一年 一般財団法人日本マレットゴルフ協会代表理事就任
平成二十三年 公益財団法人日本スポーツクラブ協会相談役就任

      事績
小野  喬
昭和六年七月二十六日生
 昭和六年七月二十六日、秋田県能代市に生まれる。
 昭和二十七年、全日本体操競技選手権大会で優勝する。同年、ヘルシンキオリンピック競技大会に出場し、跳馬で銅メダルを獲得する。
 昭和二十九年、東京教育大学(現筑波大学)体育学部を卒業する。
 昭和三十一年、全日本体操競技選手権大会で優勝し、この年から連続五年間タイトルを保持する。同年、メルボルンオリンピック競技大会に出場し、鉄棒で日本体操界初の金メダル、そのほか団体総合、個人総合及びあん馬で銀メダル、平行棒で銅メダルを獲得する。
 昭和三十五年、ローマオリンピック競技大会に出場し、鉄棒で金メダルを獲得、オリンピック二連覇を達成する。さらに団体総合及び跳馬でも金メダル、そのほか個人総合で銀メダル、平行棒及びつり輪で銅メダルを獲得する。
 昭和三十九年、東京オリンピック競技大会日本代表選手団主将に指名され、開会式において選手宣誓を行う。
 また、団体総合で金メダルを獲得する。
 昭和四十年、池上スポーツ普及クラブを設立し、代表に就任する。
 昭和四十二年、財団法人日本体操協会理事に就任する。
 昭和五十二年、財団法人スポーツクラブ協会(現公益財団法人日本スポーツクラブ協会)を設立し、理事長に就任する。
 昭和六十三年、紫綬褒章を受章する。
 平成七年、財団法人日本体操協会副会長に就任する。
 平成九年、財団法人日本体操協会顧問に就任する。
 平成十年、国際体操殿堂入りとなる。
 平成十七年、旭日中綬章を受章する。
 平成二十一年、一般財団法人日本マレットゴルフ協会代表理事に就任する。
 平成二十三年、公益財団法人日本スポーツクラブ協会相談役に就任する。
 氏は、体操選手として優れた才能を発揮し、メルボルンオリンピック競技大会では鉄棒で日本体操界初の金メダルをもたらした。昭和二十七年のヘルシンキ大会から昭和三十九年の東京大会までオリンピック四大会に連続出場して五個の金メダルを含む十三個のメダルを獲得した。「鬼に金棒、小野に鉄棒」と称され、体操ニッポンの黄金期を支えた。
 現役引退後はスポーツクラブを設立し、体操競技選手の育成に加え、子供から大人まで多世代にわたる健康づくりに資するため、地域におけるスポーツの普及に尽力している。
 日本のスポーツ界で今なお、スポーツ人口の裾野を広げるため力を注いでいる姿勢は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二三財主議第二八四号
平成二十三年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     水木しげる
     (本名 武良  茂)

      略歴
現住所 東京都調布市
水木しげる
(本名 武良  茂)
大正十一年三月八日生
大正 十一年 大阪府西成郡粉浜村(現大阪府大阪市住吉区)に生まれる。生後すぐに鳥取県西伯郡境町(現鳥取県境港市)に移り住む。
昭和十八年  召集されラバウルに出征。翌年爆撃により左腕を失う。
昭和二十一年 ラバウルから復員
昭和二十六年 紙芝居作家となる。
昭和三十二年 貸本漫画家に転身
昭和三十三年 デビュー作「ロケットマン」刊行
昭和三十五年 「幽霊一家・墓場鬼太郎」刊行
昭和三十六年 「河童の三平」刊行
昭和三十八年 「悪魔くん」刊行
昭和四十年  講談社児童まんが賞受賞
昭和四十一年 株式会社水木プロダクション設立
昭和四十三年 「ゲゲゲの鬼太郎」テレビアニメ放映開始
平成三年   紫綬褒章受章
平成八年   日本漫画家協会賞文部大臣賞受賞
平成十五年  旭日小綬章受章
平成十九年  「のんのんばあとオレ」でアングレーム国際漫画祭最優秀作品賞受賞
平成二十年  調布市名誉市民
平成二十二年 文化功労者

      事績
水木しげる
(本名 武良  茂)
大正十一年三月八日生
 大正十一年三月八日、大阪府西成郡粉浜村(現大阪府大阪市住吉区)に生まれる。生後すぐに鳥取県西伯郡境町(現鳥取県境港市)に移り住む。
 昭和十八年、召集されラバウルへ出征し、翌年爆撃により左腕を失う。
 昭和二十一年、ラバウルから復員する。
 昭和二十六年、紙芝居作家となる。
 昭和三十二年、貸本漫画家に転身する。
 昭和三十三年、デビュー作「ロケットマン」を刊行する。
 昭和三十五年、「幽霊一家・墓場鬼太郎」を刊行する。
 昭和三十六年、「河童の三平」を刊行する。
 昭和三十八年、「悪魔くん」を刊行する。
 昭和四十年、「テレビくん」で講談社児童まんが賞を受賞する。
 昭和四十一年、株式会社水木プロダクションを設立する。
 昭和四十三年、「ゲゲゲの鬼太郎」のテレビアニメーションの放映が開始される。
 平成三年、紫綬褒章を受章する。
 平成八年、「ゲゲゲの鬼太郎」ほか一連の妖怪漫画で日本漫画家協会賞文部大臣賞を受賞する。
 平成十五年、旭日小綬章を受章する。
 平成十九年、「のんのんばあとオレ」で第三十四回アングレーム国際漫画祭最優秀作品賞を受賞する。
 平成二十年、調布市名誉市民に選定される。
 平成二十二年、文化功労者に選定される。
 氏は、漫画家として五十年以上の経歴を持ち、「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」など数多くの作品を世に出し、特に妖怪漫画では第一人者といわれている。
 また、その作品のキャラクターは、子供から大人までを魅了し、今でも愛され続けている。
 先の大戦で左腕を失いながらも、「戦争で片腕を失っても絶望なんてしなかった。だって生きてるんだから。」と語り、現在もなお創作活動に取り組んでいる。
 独特の感性で独自の作風を確立し、多くの人に漫画の魅力を伝えるとともに、漫画を通して文化の興隆に尽力する姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

〇七十四番(西岡真一郎君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十二日から二十七日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十二日から二十七日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十八日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

23財主議第277号
平成23年9月13日
東京都知事 石原慎太郎
東京都議会議長 和田宗春殿
文書質問に対する答弁書の送付について
 平成23年第二回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
畔上三和子議員
星ひろ子議員
大島よしえ議員
石毛しげる議員
斉藤あつし議員

平成23年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  畔上三和子

質問事項
一 津波対策について
二 液状化対策について
三 都内に避難している東日本大震災の被災者への支援について

一 津波対策について
1 津波が湾岸の工業施設や湾内の船舶を襲った場合について
 三月十一日に東北地方を襲った大津波は、政府の想定を大きく超える規模のものでした。この日、東京湾でも、都の想定である最大一・二メートルを超える一・五メートルの津波が観測されました。今後、東京湾における津波の高さをどの程度に想定すべきかは、専門家を含む集団的検討を始めているとのことですが、東京において私たちが直視しなければならない問題の一つは、東京湾の津波が、首都圏全域に、想像を絶する深刻な被害と影響を及ぼす大災害を引き起こす危険性です。
 仮に数メートルの高さの津波が東京湾を襲った場合、津波が湾岸のさまざまな施設を破壊したり、燃料タンクを破損させたりして大規模火災を発生させる危険性があることが、研究者によって指摘されています。
 東京湾には巨大な臨海コンビナートがあり、燃料備蓄施設、石油精製施設、化学物質合成施設や、それにつながるパイプ群が密集しています。一万キロリットル以上の石油タンクが、神奈川県に二百三十基、千葉県に二百六十八基あり、東京都には東京電力大井火力発電所に三万キロリットルの石油タンクが二基あります。この発電所にはタンカーが週に二、三回来て給油していると聞いています。また、化学物質の中には、致死性の有毒ガスを漏出させるものもあるでしょう。羽田空港の滑走路のすぐ近くには、川崎市内ではありますが、民間企業の研究用原子炉もあります。
 東京湾には、常時、多数の船舶が航行または停泊しています。これらの船舶が津波に押し流され、港湾施設、燃料施設等に衝突したり、乗り上げたり、互いに衝突したりして重大な事故を引き起こす危険もあります。津波と一緒に陸に向かい、防潮堤、水門、陸閘(りくこう)などの海岸保全施設を破壊して(地震の強い揺れでこれらの施設はすでに破損していることも考えられる)、ここから津波氾濫が始まる危険もあります。津波は江戸川、荒川、隅田川、多摩川などに河口から進入するので、これに伴って小型船舶も一緒に遡上し、橋などが破壊されます。
ア 知事はすでに、東京湾にも大きな津波が襲う可能性があることを繰り返し指摘していますが、大津波による甚大な災害から東京を守るためには、東京湾に化学工業施設、石油関連施設等や船舶が、過度に集中している現状を踏まえて、対策を講じることが急がれるのではないでしょうか。
イ 三月十一日の地震では、千葉県市原市の湾岸部で、コスモ石油千葉製油所のLPGガスタンクの火災事故が発生しました。東京消防庁が、これに12隊101名を派遣し、消火及び冷却活動を実施していますので、都として、事故の原因と被害状況を含む全容を説明し、地震や津波との関係でどのような教訓を導き出すべきか、お示しください。
ウ 東京都として、東電大井火力発電所をはじめとする都内の巨大燃料貯蔵施設等の総点検を行なうこと、さらに、千葉県、神奈川県、千葉市、横浜市、川崎市などと共同で、または連携して、湾岸部全域の危険施設にたいする総点検を行なうとともに、当該企業にたいし、地震、津波対策、火災防止策を抜本的に強化させることを求めますが、いかがですか。
エ これらの緊急対策と同時に、ゆとりと防災を優先させた港づくりに転換する必要があるのではないでしょうか。
2 津波による水害が都心およびゼロメートル地帯を襲った場合について
 東京湾での津波がもたらす災害の問題として、二つめに直視しなければならないのは、都心部およびゼロメートル地帯が、津波や水害に対して脆弱な構造になっているという問題です。
 東京湾を「想定外」の高さの津波が襲えば、ゼロメートル地帯は一面の海原になる可能性があります。船舶、壊れた住宅や家具、倒れた街路樹、自動車などが一緒に移動すれば、きわめて大きな破壊力を持ちます。
 また、ゼロメートル地帯あるいは江戸時代に湿地帯や海中に位置していたことになる地下鉄の駅は、東京メトロと都営地下鉄あわせて約七十あるといわれています。これらのどこか一つの駅から、地上の津波氾濫水が地下空間に侵入すれば、その駅だけでなく、他の駅まで水没する危険があります。
 ゼロメートル地帯では、氾濫水が二週間以上、たまったままでいる危険性が指摘されています。これにより、ライフラインの途絶で避難生活が不可能になるなど、個人・家庭・地域の生活環境の維持が極めて困難になります。学校・企業・自治体・病院・福祉施設などの活動の停止や、施設内での孤立が生じます。東京・首都圏のゼロメートル地帯は、面積が約百二十平方キロメートル、人口が約百八十万人に達します。この広大な地域に人が住めなくなり、百万人を超える避難者を他の地域・自治体が受け入れなければならなくなります。
ア 津波による氾濫水が、ゼロメートル地帯に及ぼす影響について、どのような認識をもっているのか、伺います。
イ 津波による氾濫水にさらされる可能性の高い場所にある地下鉄、地下街等の総点検を実施し、緊急対策をとることを求めます。いかがですか。
ウ このように水害に弱い構造が指摘されている東京で、どのような津波・水害対策を講じていくのか、取り組みの状況と方針を伺います。
エ 江東区は高層マンションの入り口を避難時には開放し、周辺住民が高いところに避難できるように各マンションに要請するとしています。都としても、高層マンションやオフィスビルに協力を要請し、マンション住民や管理者の意見も聞いて、必要な援助を行なうことを求めます。いかがですか。
3 津波に備える防災教育について
 津波をはじめとする防災・減災対策においては、ハード面とともにソフト面が重要です。東日本大震災では、指定避難所に避難した多くの方が津波にのまれました。強固な防潮堤や湾口防波堤も壊され、歯止めにはなりませんでした。他方、「想定に縛られず、自分ができる最大限のことを尽くす」という観点から、系統的で実践的な津波防災教育を行なってきた釜石市では、市内の小中学校生徒の主体的な判断による避難を促し、犠牲を最小限に留めることができました。
 国と自治体は、地震や津波に対する的確な被害想定を行ない、堤防などのハード面を十分に備える責任があります。同時に、想定を超える災害に対しても住民および滞在者が的確に行動できるように、平時から系統的に支援することもまた、行政の重要な役割です。
 この見地から、子どもたちへの防災教育や都民への周知徹底が重要です。その際、その内容が、実際に役立つものであるためには、科学的知見に裏付けられ、誰もが納得でき、自主的・自発的な行動力を生み出すものでなければなりません。
ア 防災教育をすすめるにあたっては、副読本「地震と安全」の内容を、専門家、研究者、教育者等の英知を結集し、都民参加のもとに具体化することを求めます。
イ とりわけ湾岸地域、ゼロメートル地帯での防災教育では津波対策の教育も重要です。幼いころから身体で覚える防災教育が大切である点も踏まえた内容にするよう求めます。
ウ 今回の補正予算で、東京消防庁が「津波等に対する都民の防災意識を高めるため、啓発用のビデオなどを作成する」とのことですが、その内容についても、上記のような研究や教育実践が十分に活かされるよう要望します。あわせて伺います。
二 液状化対策について
 今回の東日本大地震では、東京でも、砂混じりの水の噴出、道路などの陥没、住宅の傾斜や沈下など、いわゆる液状化現象が、予想を超える広がりで発生しました。日本共産党都議団の調査では七区におよび、新聞記事によれば地盤工学会の調査では、東京湾岸部の被害面積は約四十二平方キロメートルで、山手線の内側の面積の半分以上に相当し、世界最大ということです。
 最も多かった江東区では、臨海部を中心に二十一箇所で被害があり、都営辰巳団地では、土砂の噴出、建物のひび割れなどがいたるところで発生し、下水道管の破損により水洗トイレが使えなくなったところもありました。新木場の埋め立て地では、歩道ブロックが浮き上がり、電柱が傾きました。有明テニスの森の人工芝コートの一部で液状化が認められました。臨海副都心に建設中の都立産業技術研究センターの新本部の建物は、地盤対策をほどこした施設とされていたにもかかわらず、外構舗装の沈下や建物本体と共同溝との接続部分の損傷などの被害を受け、修復工事に最低でも三カ月必要な状況になりました。豊洲の新市場予定地では108箇所で液状化が発生し、築地市場の移転先としてふさわしくないことが重ねて証明されました。
 江戸川区では、盛り土の高台である清新町一、二丁目で、大量の水と土砂が激しく噴出し、地盤が陥没しました。巨大な高層住宅の足元に「ぬけあがり」が生じ、戸建て住宅が不同沈下を起こして傾き、十二棟が大規模半壊や半壊等と認定されました。
 住宅の液状化被害は、ただちに人命を奪ったり、家屋を一挙に破壊したりすることがなくても、たとえわずかな被害によっても、家屋の傾きが住人の健康に有害な影響を及ぼすことから、実際には住むことができなくなり、財産にも深刻な損害を与えます。社団法人・日本建築構造技術者協会の調査によれば、家屋の傾き〇・三四度で人は「傾きを認識」し、〇・五七度で「苦痛を感じ」、〇・八六度で「気分が悪くなるなど健康に被害」が及ぶとのことです。
 こうした中、都が住宅再建、地盤強化に対する支援を決めたことは重要です。
1 支援の内容は具体的にどのようなものですか。
2 液状化で被害を受けた都営辰巳団地の建て替え計画は前倒しで実施し、宅地の地盤強化を図ることを求めますが、伺います。
 先に紹介したNHKの番組は、平成九年度作成の「東京の液状化予測図」を示し、東京湾北部を震源にした首都直下地震が起きると、首都圏で液状化で被害を受ける住宅は、全壊だけでも三万三千棟にのぼるとの想定を紹介しました。今回被害を受けた一万七千棟のうち、全壊したのはごく一部であり、三万三千棟が全壊した場合は、半壊などの住宅を合わせると、被害はより甚大になって、対策が急がれていると警告しました。この警告を正面から受けとめる必要があります。
 この点で、都が「東京緊急対策二〇一一」の中で、液状化予測図の修正を行なうとしているのは、当然必要なことです。たとえば、先に紹介した江戸川区清新町は、現行の液状化予測図では「液状化が発生しやすい地域」とは予測されていない地域でした。
 先に津波対策のところで指摘した、臨海コンビナートなど工業施設や燃料貯蔵施設が密集している東京湾の対策は、液状化問題でも重要課題です。大井火力発電所では、三月十一日の地震で石油タンクに損傷はありませんでしたが、配管に不具合や損傷が生じ、停止して修理し、稼働を再開したのは三月十七日だったとのことです。タンクの支柱は「N値五十」の「強固な地層」まで達していますが、配管には支柱がありません。地盤の液状化対策としては、現行法の基準にもとづく「締め固め」や側方流動対策はしていますが、今回の教訓を踏まえて見直す必要があります。タンクが浮き屋根式であることも心配な点です。
 なお、先にも触れた市原市のコスモ石油千葉製油所のLPGガスタンク火災の原因についても、余震の際のガス配管の破損によるものとの指摘があります。原因を徹底的に検証し、民間企業であっても情報を全面的に公開して、教訓を共有する必要があります。
3 今後見直しが進められる東京都の地域防災計画をはじめとする防災対策においては、液状化被害を重視することが不可欠と考えますが、いかがですか。
4 新たな液状化予想図の作成と、液状化対策の策定にあたっては、実際の液状化発生状況の綿密な調査、地盤の科学的・歴史的分析、建築物への影響の総点検が必要と考えますが、いかがですか。
5 液状化の起こりやすい地域での建築工法と地盤改良の方途、側方流動の防止策等について、専門家の英知を結集することを求めます。いかがですか。
6 液状化の危険が浮き彫りになった臨海部では、高層マンション等の新たな建設は行わないなど、安全最優先でまちづくりのルールを確立する必要があると考えますが、いかがですか。
三 都内に避難している東日本大地震の被災者への支援について
 3.11から三カ月以上がたっていますが、今なお避難生活を余儀なくされている方々が八万人を超え、都内にも多くの被災者が避難生活を送っています。
 とりわけ福島第一原発事故からの避難者は、着の身着のままでの避難をし、自宅があるのに家を見に戻ることさえ禁止され、いつになったら戻れるのか全く分からないという状況になっています。
 被災児童生徒も都内には、約1200人(6月7日現在)が、都内の幼稚園、小中高校に通っていますが「いつまで、この学校に通えるのか」と不安の声をあげています。
 江東区東雲にある公務員住宅には、5月19日現在262世帯803人もの避難者の方々が入居されています。慣れない東京での生活、これまでと全く違った環境の中で、疲労もかなり蓄積されている状況です。
 いま都がやるべきは、どの被災地からの避難であろうが原発事故による避難指示・勧告を受けた人であろうが自主避難の人であろうが区別せず「先の見通しがつくまでは安心して東京で避難生活してください」というメッセージと対応です。その対応も被災状況や仕事の有無、家族構成など様々であり、抱えている問題も異なるために、きめ細かい対応が必要です。
 東雲住宅に限っていえば、これまで避難所としての扱いだったにもかかわらず、光熱水費もカーテンの設置も食費も自己負担で行なってきました。また日本赤十字の家電6品の寄贈も遅れているために自己負担で家電を購入せざるを得ない等の状況が生まれ、そのことが被災者にとっては大きな経済的負担となっています。
1 避難所であれば支給されるべき光熱費や食費を見舞金という形で支援することを求めますが、いかがですか。
2 交通費負担の軽減のために都内被災者には、都営交通の無料パスを支給することを求めますが、伺います。
3 駐車場は有明にある駐車場を利用することとなっていますが、遠くて大変という声が上がっています。東雲住宅の駐車場を利用できるようにすべきです。
4 被災者の方々は、どのような支援があるのか、いま被災地がどうなっているのか正確な情報を求めています。都の支援内容など丁寧に情報提供するとともに、福島第一原発の現況、被災県の情報等も的確に周知できるよう連携を図るべきです。あわせて伺います。

平成23年第二回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 津波対策について
1 津波が湾岸の工業施設や湾内の船舶を襲った場合について
ア 大津波による甚大な災害から東京を守るためには、東京湾に化学工業施設、石油関連施設等や船舶が、過度に集中している現状を踏まえて、対策を講じることが急がれると考えるが、所見を伺う。

回答
 東京湾の津波について、都は既に、東日本大震災を踏まえ、津波の専門家の参加を得て、従来の想定について、最新の分析手法やデータを用い、再検証を行うこととしています。
 なお、国は、東日本大震災で被災した危険物施設や石油コンビナート施設の実態調査と対策の検討を開始しました。

質問事項
一の1のイ 三月十一日の地震では、千葉県市原市の湾岸部で、コスモ石油千葉製油所のLPGガスタンクの火災事故が発生した。都として、事故の原因と被害状況を含む全容を説明し、地震や津波との関係でどのような教訓を導き出すべきか伺う。

回答
 危険物施設を含めた火災原因調査については、消防法に基づき、当該火災の発生した地域を管轄する消防本部や国が実施することになっています。
 国は、地震や津波で被災した危険物施設や地盤の液状化の実態調査と対策の検討を開始しました。
 今後とも、都は、災害時に相互応援を行う九都県市と連携して、必要な情報を収集していきます。

質問事項
一の1のウ 東京都として都内の巨大燃料貯蔵施設等の総点検を行なうこと、さらに、千葉県、神奈川県、千葉市、横浜市、川崎市などと共同で、または連携して、湾岸部全域の危険施設に対する総点検を行なうとともに、当該企業に対し、地震、津波対策、火災防止策を抜本的に強化させることを求めるが、所見を伺う。

回答
 危険物施設を設置する地盤や構造については、国が厳格な技術基準等を定めており、施設を設置する事業者は、この基準等に従い安全対策を講じる責務があります。
 今回の東日本大震災においては、東北地方に加え、東京湾沿岸など広範囲で石油タンク等に被害が発生したことなどから、国は、地震や津波で被災した危険物施設や地盤の液状化の実態調査と対策の検討を開始したところです。
 東京湾内における石油タンクの安全対策については、これまでも九都県市で連携して国へ要望してきましたが、今般の国の検討状況を踏まえ、改めて国へ要望しました。

質問事項
一の1のエ これらの緊急対策と同時に、ゆとりと防災を優先させた港づくりに転換する必要があるのではないかと考えるが、所見を伺う。

回答
 東京港では、平成17年に改訂した第7次改訂港湾計画に基づき、物流・交流・環境・安全の4つの機能が融合した魅力あるみなとの実現に向け、取組を進めており、物流機能に加え、海上公園等のオープンスペースも計画的に配置しています。
 また、防災面では、高潮や大規模地震による浸水被害から、都民の生命、財産を守るため、海岸保全施設を引き続き整備していくとともに、首都圏が被災した場合には、緊急物資の迅速な輸送を確保し、大都市としての経済活動が停止しないよう、耐震強化岸壁や、ふ頭と背後地とを結ぶ緊急輸送道路の整備を着実に進めています。

質問事項
一の2 津波による水害が都心およびゼロメートル地帯を襲った場合について
ア 津波による氾濫水が、ゼロメートル地帯に及ぼす影響について、どのような認識を持っているのか伺う。

回答
 今回の大震災では、これまでの予測した規模を超えるマグニチュード9.0の地震が発生したことから、東京における大津波の発生の可能性について、国の中央防災会議の動向等を注視するとともに、大地震の際に堤防等の防災施設が安全に機能するか早急に検証することが必要と考えています。

質問事項
一の2のイ 津波による氾濫水にさらされる可能性が高い場所にある地下鉄、地下街等の総点検を実施し、緊急対策をとることを求めるが、所見を伺う。

回答
 都における防潮施設は、国内最大級の伊勢湾台風や、想定される津波高が最も大きい関東地震に対応できるよう、整備してきました。
 東京の地下鉄、地下街等では、東北地方太平洋沖地震により発生した津波による被害は発生していません。
 国においては、震災後に、首都圏における地下トンネルを有する鉄道について現行の対策を検証し、必要に応じて改善を図ることを目的とした「首都圏の地下鉄道の浸水防止対策協議会」を設置し、検討を進めています。
 今後は、地下鉄や地下街等、都市施設について、平成23年6月に庁内関係局で設置した「地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会」や国の中央防災会議、「首都圏の地下鉄道の浸水防止対策協議会」などの動向を踏まえ、適切に対処していきます。

質問事項
一の2のウ このように水害に弱い構造が指摘されている東京で、どのような津波・水害対策を講じていくのか、取組の状況と方針を伺う。

回答
 都では、日本最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風を想定し、これに対応できるよう防潮堤の高さを決定の上、高潮対策を実施してきました。
 今回の大震災では、これまで予測してきた規模を超える地震が発生したことから、既に、関係局が連携して緊急に取り組むべき対策について、検討を開始しており、国の中央防災会議の動向等を注視しつつ、従来の施設の整備水準を上回る予測がなされた場合は、必要な対策を検討していきます。

質問事項
一の2のエ 江東区は高層マンションの入り口を避難時には解放し、周辺住民が高いところに避難できるように各マンションに要請するとしている。都としても、高層マンションやオフィスビルに協力を要請し、マンション住民や管理者の意見も聞いて、必要な援助を行うことを求めるが、所見を伺う。

回答
 災害対策基本法では、災害発生時等における住民への避難勧告等については、一義的には区市町村長の権限とされており、区市町村が、地域住民の安全確保の観点から、発災時の避難場所の充実を図ることは、重要であると考えます。
 江東区における津波発生時の高層マンション等への避難誘導については、現在区において検討を進めている過程であり、都としては、引き続き、区の検討状況を把握していきます。
 今後とも、訓練の実施等を通じて区市町村と連携し、都民の安全確保に努めていきます。

質問事項
一の3 津波に備える防災教育について
ア 防災教育をすすめるにあたっては、副読本「地震と安全」の内容を、専門家、研究者、教育者等の英知を結集し、都民参加のもとに具体化することを求めるが、所見を伺う。

回答
 都教育委員会は、副読本「地震と安全」を、従来から地震学を専門とする監修者の下に、都内公立学校の校長・教員による作成委員会を設置して発行してきており、「安全チェック表」、「地震発生時の安全行動」、「災害ボランティア活動」等を掲載することで、家庭や地域と連携した防災訓練にも活用できるよう工夫してあります。
 今後ともこうした取組を継続していきます。

質問事項
一の3のイ とりわけ湾岸地域、ゼロメートル地帯での防災教育では津波対策の教育も重要である。幼いころから身体で覚える防災教育が大切である点も踏まえた内容にするよう求めるが、所見を伺う。

回答
 副読本「地震と安全」では、従来から、津波の危険について取り扱ってきており、引き続き、地域や学校の実態に応じて、様々な災害や状況を想定した防災訓練を実施するよう、各学校を指導していきます。

質問事項
一の3のウ 今回の補正予算で、東京消防庁が「津波等に対する都民の防災意識を高めるため、啓発用のビデオなどを作成する」とのことだが、その内容についても、研究や教育実践が十分に活かされるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 東日本大震災においては、東北地方を中心とした太平洋沿岸地域に、想定を超えた津波による甚大な被害が発生し、都民の地震や津波への関心が高まっています。
 このことから、東京湾で津波や高潮等が発生した場合の危険性や、取るべき行動を働きかける啓発用ビデオを作成し、都民の防災意識の高揚を図っていきます。
 作成に当たっては、専門家や識者などの意見を伺うとともに、津波による被害映像等を活用するなど、啓発効果の高い作品にしていきます。
 また、作成したビデオは、各消防署が幼児期からの発達段階に応じた内容で実施している「総合防災教育」の教材として、小・中・高校などで活用するとともに、防火防災訓練や防火座談会などで放映し、広く都民に周知することとしています。

質問事項
二 液状化対策について
1 今回の東日本大震災で発生した液状化現象に対して都が住宅再建、地盤強化に対する支援を決めたことは重要である。支援の内容は具体的にどのようなものか伺う。

回答
 東日本大震災は、広域にわたり甚大な被害を及ぼしており、自治体ごとの対応ではなく、国が統一的な対応を行うべきものであることから、都は、同一の災害で被災した全ての地域が支援の対象となるよう、平成23年6月に国に提案要求しています。
 提案要求が実現するまでの間については、特例措置として、区市町村が行う住宅被災世帯への支援に対する補助を実施しています。

質問事項
二の2 液状化で被害を受けた都営辰巳団地の建替計画は前倒しで実施し、宅地の地盤強化を図ることを求めるが、所見を伺う。

回答
 辰巳一丁目団地では、液状化により、断水、排水管の破損などがありましたが、建物本体の被害はありませんでした。
 建替えについては、居住者の移転のための期間を確保することが必要であり、また環境アセスメントなどの法手続を経て、建設工事に着手することから、前倒しする考えはありません。
 建替えに際しては、既に必要に応じ建物の液状化対策を実施することとしています。

質問事項
二の3 今後見直しが進められる東京都の地域防災計画をはじめとする防災対策においては、液状化被害を重視することが不可欠と考えるが、所見を伺う。

回答
 東京緊急対策2011では、東日本大震災の教訓を踏まえ、東海・東南海・南海三連動地震も視野に入れた地域防災計画の修正を掲げており、その中で、液状化対策についても検討すべき項目の一つとしています。

質問事項
二の4 新たな液状化予測図の作成と、液状化対策の策定にあたっては、実際の液状化発生状況の綿密な調査、地盤の科学的・歴史的分析、建築物への影響の総点検が必要と考えるが、所見を伺う。

回答
 液状化対策については、都は、橋梁や護岸など主要構造物の整備にあたり、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示した「液状化予測図」や地質調査、道路橋示方書などの技術的基準に基づき、必要があると認められた場合には、地盤改良や基礎部分の強化などの対策を実施してきました。このため、今回の地震においては、都が管理する都市施設の主要な構造物について大きな被害は認められませんでした。
 現在の液状化予測図は、地質調査データに基づき、地表面から深さ6メートルまでの浅い部分と、地表面から深さ20メートルまでの地層全体のそれぞれについて、地盤工学的な判定を行い、更に液状化の履歴や土地利用の変遷を加味し、「液状化が発生しやすい地域」「発生が少ない地域」「ほとんど発生しない地域」の3つに分類したものです。
 江戸川区清新町は、予測図の分類では、地表面から深さ6メートルまでの浅い部分で発生しやすいが、深さ20メートルまでの地層全体では液状化しにくい、いわゆる「発生が少ない地域」であり、おおむね浅い層で液状化が発生したものと認識しています。
 今後、東日本大震災による新たな知見について、地盤の専門家などから意見を聞きながら、液状化対策検討の基本となる「液状化予測図」の見直しを行い、公共施設管理者などに提供していくこととしています。
 一方、一部の木造住宅については、液状化による被害が生じたため、建築物を対象とした対策の指針などを作成し広く都民に情報提供していくこととしています。

質問事項
二の5 液状化の起こりやすい地域での建築工法と地盤改良の方途、側方流動の防止策等について、専門家の英知を結集することを求めるが、所見を伺う。

回答
 都は、建築物を対象とした液状化対策を検討するために、平成23年7月27日に専門家を含めた検討委員会を設置し、既に、今回の地震で生じた被害や地盤の状況についての調査や、地域の地盤特性に応じた対策の検討を始めています。

質問事項
二の6 液状化の危険が浮き彫りになった臨海部では、高層マンション等の新たな建設は行わないなど、安全最優先でまちづくりのルールを確立する必要があると考えるが、所見を伺う。

回答
 マンションなどの高層建築物については、建築基準法において、建設する際に地盤調査を行い、地震時に液状化するおそれのある場合には、液状化による地盤の変形等に対して、建築物等に有害な損傷や変形、沈下が生じないことを確かめることになっています。
 こうした規定により、液状化に対する高層マンションの構造上の安全性については、十分に確保されています。

質問事項
三 都内に避難している東日本大震災の被災者への支援について
 1 避難所であれば支給されるべき光熱費や食費を見舞金という形で支援することを求めるが、所見を伺う。

回答
 都が震災発生直後に開設した東京武道館や東京ビッグサイト等の避難者受入施設は、震災に伴い緊急的に避難されてきた方を一時的に受け入れることを目的としており、都は、当該施設において、災害救助法の趣旨に基づき、光熱水費の負担はもとより、避難者の方に対し、各自で炊事ができない状況などに鑑み、食事の提供等を行ってきたところです。
 一方で、都営住宅や国家公務員宿舎である東雲住宅等の受入施設は、個々人の生活再建に向けて一時的な居住の安定を図ることを目的としており、上記施設とは性格の異なるものです。
 都は、東雲住宅等の施設について、生活を始める上で不可欠となる、照明器具、ガステーブル、冷蔵庫、テレビ及び布団を備え付けるとともに、応急仮設住宅に求められるエアコン、カーテン及び網戸についても設置を進めています。また、日本赤十字社は、洗濯機、電子レンジ、電気ポット、炊飯器等を避難者に対して寄贈することとしており、一定の炊事環境も整っています。
 このように、東雲住宅等の施設においては、災害救助法の趣旨に基づき、一時的な居住の安定に必要な環境整備を行ってきましたが、光熱費や食費に相当する金額を見舞金という形で支援することは考えていません。

質問事項
三の2 交通費負担の軽減のために都内被災者には、都営交通の無料パスを支給することを求めるが、所見を伺う。

回答
 都内に避難されている被災者で、70歳以上の高齢者や障害者のうち、保険証などにより年齢や避難する前の住所を確認できる方に対して、都営交通の運賃負担を軽減するための検討を進め、平成23年8月より無料乗車券を発行しております。

質問事項
三の3 東雲住宅では、駐車場は有明にある駐車場を利用することとなっているが、遠くて大変という声が上がっている。東雲住宅の駐車場を利用できるようにすべきであるが、所見を伺う。

回答
 国家公務員宿舎東雲住宅に入居されている被災者には、東雲住宅内の駐車場を車の保管場所として利用いただいています。この保管場所で全ての車を収容できないことから、民間事業者の御厚意により都が無償で東雲住宅に近い有明北地区の用地を借り受け、車の保管場所を設置した上で、被災者に利用いただいています。

質問事項
三の4 都の支援内容など丁寧に情報提供するとともに、福島第一原発の現況、被災県の情報等も的確に周知できるよう連携を図るべきだが、所見を伺う。

回答
 都は福島県からの避難者を多く受け入れていますが、原発事故収束の見通しも不透明な中、いつ故郷に帰れるか分からない方が多数いらっしゃいます。
 都はこれまで、随時、被災地の行政情報等を提供することで避難者と被災地をつなぐ取組を行ってきました。今後とも、被災自治体との連携を図りながら、都内避難者に被災地に関する必要な情報や避難者支援の取組などを周知していきます。

平成23年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  星 ひろ子

質問事項
一 (仮称)立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業環境影響評価について

一 (仮称)立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業環境影響評価について
 昭和記念公園に隣接する立川基地跡地昭島地区は、1977年に米軍から返還された後、当時の国の方針を受けて長期間未利用の国有地でした。長年人の手が入らない状態だったため、緑に覆われた空間となり、オオタカをはじめ貴重な動植物の生息地になっています。この場所の土地利用に関してはさまざまな経過があり、今回、土地区画整理事業で土地の区画形質の変更を行い、都市計画道路の整備、公園や民間利用地区等の造成を予定しています。独立行政法人都市再生機構が施工する予定のこの事業に対して、現在環境影響評価の手続きが東京都都市整備局と立川市によって行われています。
 今年4月に環境影響評価法が改正され、戦略アセスメント(SEA)が位置づけられました。これまでの事業アセスメントよりも早い政策段階や計画・プログラム段階でアセスメントを行い、評価結果を意思決定に反映させようというものです。東京都はこれに先立ち2002年環境影響評価条例を改正し、計画段階アセスメント手続きを導入しました。これは複数案を提示し、環境に与える影響を評価するものです。戦略アセスメントも計画アセスメントも、ゼロ・エミッション(事業を行わないこと)があり得るとしています。しかし、国の環境影響評価法を見ても東京都環境影響評価条例を見ても、アセスメントの目的は事業を進めるために実施するものになっています。都の計画アセスメントが実施されたのはこれまでに3つしか例がなく、その際でも事業計画の是非も含めた議論になったことはありません。
 本来、開発計画や道路計画など近隣住民の生活に影響が大きい事業に関しては、計画策定の段階で市民参加の議論や住民合意を得る努力が欠かせません。その上で環境アセスメント手続きに入るというのが事業を進める際の手順となるべきです。
 開発事業の手順や環境興影響評価の制度には課題があり改善が必要ですが、今回は現在行われている環境アセスメントついて、どのように環境配慮を実効性のあるものにしていくのかという観点で質問します。
1 この事業は計画区域の面積が70haにおよぶ広大な土地区画整理事業ですが、計画アセスメントの対象とはならず事業アセスメントが実施され、すでに環境影響評価書案の縦覧が行われています。緑に覆われた広大な土地が開発されることから、計画アセスメントを行うべき事業だと思います。なぜ、計画段階アセスメントを実施しなくていいのか、見解を伺います。
2 この事業の計画地は、長年にわたり保留地であったため、一帯が樹林地となっています。また、隣接する国営昭和記念公園の緑地と連続しており、都内に残された貴重な緑地です。緑が多いこの土地には貴重な動植物が生息しているため、この場所をフィールドとして自然保護活動を行う都民が多く、これまで緑に覆われていた土地が開発されることで周辺環境の悪化を招くのではないかと心配する声が上がっています。実際、環境影響評価書案によれば区画整理事業の工事の進行によって約32.3%の緑地が消失します。緑被率は86%から54%に、緑の体積は70%に減少すると試算されています。環境アセスメント手続きの中で、自然保護活動をしている都民の意見をきちんと聞くべきだと思いますが、いかがでしょう。
3 一般に、環境アセスメントで評価する際の基準はどのようなものでしょうか。この事業のように、これまで緑で覆われていたところが開発されれば、新しく道路もできるので大気汚染などの環境悪化を招くのは当然です。たとえば、現状の値が2で環境基準が6、事業後2から4に悪化すると予測される場合の判断は、どのようになるのでしょうか。また、生物・生態系に関しては、数値で表すことが難しいですが、どのように線引きするのでしょうか。
 この区画整理事業では、特に生物・生態系の保全という問題について心配する声が多く出されています。事業によって樹林地が大幅に減少することから、オオタカをはじめ希少な動物や植物への影響が大きいからです。数値で表すことが難しい生物・生態系の保全についてどのように判断し、アセスメント手続きの中で事業者に対して配慮を求めていくのか伺います。
4 この事業の計画地が基地の跡地であることから、広範囲に土壌汚染が存在することが確認されています。今後対策を行うとされていますが、周辺の環境に影響を及ぼすことが懸念され、周辺住民から対策工事による影響を心配する声も聞かれます。環境アセスメント手続きにおいて、事業者が行う土壌汚染対策が周辺環境へ適切に配慮されるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
5 今回の土地区画整理事業については、区画整理事業は基盤整備だけなので、その後建物が建つなど街並みが完成したときに影響がどう変わるのか、今の時点ではわかりません。区画整理事業によって緑地が減少しますが、工事終了後の土地利用による変化もあるはずです。建物に関するアセスメント対象事業は高さ100m超かつのべ面積10万平方メートル超なので、対象となる建物が建てられる可能性は低いと思います。つまり、この土地について再び環境アセスメントが行われることはないということです。それほど大きくなくても建物を建てることで、緑地がさらに減少する可能性が高いと予想されます。区画整理事業完了後今回のアセスメントで予測したレベルを維持し配慮事項を継続させるための方法はどのようなものがあるか伺います。

平成23年第二回都議会定例会
星ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 (仮称)立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業環境影響評価について
1 この事業は、計画アセスメントの対象とはならず事業アセスメントが実施され、すでに環境影響評価書案の縦覧が行われている。緑に覆われた広大な土地が開発されることから、計画アセスメントを行うべき事業だと思う。なぜ、計画段階アセスメントを実施しなくていいのか、見解を伺う。

回答
 環境影響評価条例では、計画段階環境影響評価手続の対象について、事業者が東京都のみであり、事業規模が一定以上の場合と規定しています。
 当該事業の事業段階環境影響評価手続を東京都と立川市が行っているのは、環境影響評価条例において都市計画決定する事業は、都市計画決定権者が事業者に代わり事業段階環境影響評価手続を行うと規定していることによるものです。
 当該事業の事業者は、独立行政法人都市再生機構であるため、計画段階環境影響評価手続の対象とはなりません。

質問事項
一の2 緑が多いこの土地には貴重な動植物が生息しているため自然保護活動を行う都民が多く、これまで緑に覆われていた土地が開発されることで周辺環境の悪化を招くのではないかと心配する声が上がっている。環境アセスメント手続きの中で、自然保護活動をしている都民の意見をきちんと聞くべきと思うが、見解を伺う。

回答
 環境影響評価条例では、事業段階環境影響評価手続において、都民が環境影響評価書案等に対して意見書を提出する機会のほか、「都民の意見を聴く会」を開催することを規定しています。
 当該事業の環境影響評価書案については、平成23年5月2日に公示し、公示日から同月31日まで30日間縦覧し、既に都民から意見書の提出を受けています。
 今後は、公述人を募集し、東京都職員と環境影響評価審議会委員が公述人から直接意見を聴く「都民の意見を聴く会」を開催する予定です。
 なお、提出された都民の意見書の内容や都民の意見を聴く会における公述内容については、環境影響評価審議会における審議の参考資料とします。

質問事項
一の3 一般に、環境アセスメントで評価する際の基準はどのようなものか。また、生物・生態系に関しては、数値で表すことが難しいが、どのように線引きするのか。数値で表すことが難しい生物・生態系の保全についてどのように判断し、アセスメント手続きの中で事業者に対して配慮を求めていくのか伺う。

回答
 当該事業地には多くの緑地があり、事業の実施に当たっては生物・生態系に及ぼす影響を可能な限り回避し、低減することが重要です。
 当該事業の環境影響評価書案では、一団の緑地を、隣接する国営昭和記念公園の緑地と連続する形で確保するほか、希少な植物を移植するなどの環境保全措置を実施するとしています。
 当該事業の実施に伴う生物・生態系への影響については、今後の環境影響評価審議会において、事業地及び事業地周辺の地域特性や事業の規模・内容等を踏まえて環境への影響の予測・評価及び環境保全措置が適切であるか、慎重に審議していきます。

質問事項
一の4 環境アセスメント手続きにおいて、事業者が行う土壌汚染対策が周辺環境へ適切に配慮されるようにすべきと思うが、見解を伺う。

回答
 当該事業地では土壌汚染が確認されており、土壌汚染対策の実施に当たっては、汚染土壌の飛散・流出の防止が重要です。
 当該事業の土壌汚染対策については、今後の環境影響評価審議会において、環境への影響の予測・評価及び環境保全措置が適切であるか慎重に審議していきます。
 なお、事業者は、事業段階環境影響評価手続とは別に、工事着手前に土壌汚染対策法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づき、土地の形質の変更をしようとするときは、施行方法、汚染土壌の運搬方法等について東京都へ届出を行う必要があります。

質問事項
一の5 建物を建てることで、緑地が更に減少する可能性が高いと予想されるが、区画整理事業完了後今回のアセスメントで予測したレベルを維持し配慮事項を継続させるための方法はどのようなものがあるか伺う。

回答
 当該事業における緑地については、環境影響評価書案において、可能な限りの保全を図るとともに、国営昭和記念公園や残堀川沿いの緑道等の周辺の緑との連続性に配慮した配置とし、可能な限り広い面積を確保することとしています。
 また、評価書に記載された環境への影響の予測・評価及び環境保全措置の項目について、工事の施行中及び完了後に事後調査を実施し、その結果を確認することとしています。
 なお、土地区画整理事業完了後は、地元自治体が地区計画を定めることなどにより、敷地内の緑を確保することが考えられ、昭島市は、環境や景観に配慮した質の高い生活空間の形成を目指し、緑化率の最低限度を含めた地区計画の策定に取り組んでいます。

平成23年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  大島よしえ

質問事項
一 東日本大震災・福島原発事故による都内への避難者の方々への民間賃貸住宅借り上げについて
二 マンションの地震対策について
三 住宅の液状化対策について

一 東日本大震災・福島原発事故による都内への避難者の方々への民間賃貸住宅借り上げについて
 未曽有の被害を出した東日本大震災、そしていまだに収束の見通しすらつかない福島第1原子力発電所事故により、多くの方々が都内に避難しています。そのなかに、民間賃貸住宅を借りて生活している方々がおられます。
 厚労省は、4月30日に被災3県の知事に対し、応急仮設住宅として民間賃貸住宅の借り上げの取り扱いは県外への避難者についても同様とするという通知を出し、5月8日には福島県知事から、11日には宮城県知事から、都知事あてにもこの制度活用についての依頼書が出されていました。都は、6月20日になって、ようやく民間賃貸住宅を応急仮設住宅として借り上げることを発表しました。同時に、都営住宅については、受け入れた4月1日にさかのぼって、応急借り上げ住宅と位置付けました。
1 各区市町村でも、都内に避難された方々に対して、区民住宅や区立住宅、区営住宅等を提供してきましたが、こうした住宅も、都営住宅と同様に、応急仮設住宅と位置付けるよう徹底すべきではないでしょうか。
2 都は、応急仮設住宅として借り上げる民間賃貸住宅の家賃の上限を、東京都の家賃相場の1平方メートル当たりの金額に、応急仮設住宅の基準面積1戸当たり29.7平方メートル(9坪)をかけ、7万5000円としています。しかし、この家賃は、足立、葛飾などの一部をのぞく23区の1LDK・2K・2DK以上の間取りの部屋の家賃相場を大きく下回っています。これでは、すでに都内で民間住宅を借りて生活している方は、その家賃を上回り、今住んでいる民間賃貸住宅をそのまま応急仮設住宅に指定することは困難になるのではないでしょうか。そもそも現在民間賃貸住宅に住んでいる方は、家族の通院や子どもの学校の通学の都合から、適切な都営住宅が見つからなかったため、民間賃貸住宅への居住を継続している人が少なくありません。再び引っ越しとなればその費用も含めて大きな負担になります。都は民間賃貸住宅の家賃上限額を設定する際、すでに都内で民間賃貸住宅に生活している避難者の家賃額について調査したのでしょうか。その家賃額は、都の決めた上限額と比較し、どのような実態だったのでしょうか。
3 国は、応急仮設住宅の基準面積は絶対的なものではなく、世帯人数に応じて多様なタイプを提供できるとしています。また、厚労省は、5月24日、民間賃貸住宅借り上げによる応急仮設住宅の家賃について、柔軟な対応をもとめる要請を被災3県知事に通知しています。実際、宮城県仙台市では、民間の借り上げの上限を、2、3人世帯でも2LDK8万8000円までの部屋、4人以上の世帯では3LDK8万9000円までの部屋としており、人数に応じた広い間取りで家賃相場を上回る上限金額に設定しています。都でも、民間賃貸住宅を借り上げる際の家賃上限額を引き上げて、被災者の実情に応じて、生活再建しやすい場所に、居住できるようにすべきではないでしょうか。
4 厚労省は、「契約が個人から県に切り替わった時点で、災害救助法の適用対象となる。その時期は自治体の判断」との考え方を示したと報道されています(河北新報6月18日付)。すでに民間賃貸住宅に入居している方々については、入居時にさかのぼって契約を切り替え、家賃を公費負担すべきではないでしょうか。岩手県は、賃貸借契約日の遡及適用を実施し、福島県は、国の動きを待たず、入居日にさかのぼって家賃を公費負担とする独自措置を設けています。福島県の例にも学び、独自措置で入居時にさかのぼって家賃を公費負担することも検討すべきだと思いますがいかがですか。それぞれおこたえください。
二 マンションの地震対策について
 都内のマンションは140万戸を超え、4世帯に1世帯はマンションに居住しています。また、マンションの高経年化が進み、10年後には築40年以上のマンションが4.5倍になるとされています。マンションの耐震化は非常に重要であり、そのための都の支援が求められています。
1 都のマンションの耐震改修助成制度の利用は、08年度1件、09年度3件で予算に対する執行率も1~2%に過ぎません。居住者の合意形成と、高い負担がネックとなっているからです。東日本大震災を受けて横浜市では、今年4月から緊急措置として、マンションの耐震診断に対する補助率もこれまでの2分の1で一戸当たりの上限3万円から、3分の2補助、上限なしに引き上げています。都民の防災に対する意識が高揚している今だからこそ、マンションの耐震診断、耐震改修助成率を引き上げるべきではありませんか。
2 震災により、高層マンションの居住者が避難所生活をよぎなくされれば、行政や都民の負担は大きくなります。中央区や渋谷区などは、新築高層マンションを建設する際、一定の階数に応じて防災備蓄倉庫を設置するよう義務づける制度をつくっています。都として、新築高層マンションには防災備蓄倉庫を設置するよう義務付ける制度を創設すべきではありませんか。また、既設高層マンションに防災備蓄倉庫を設置する際の補助制度をつくるべきと考えますが、いかがですか。それぞれおこたえください。
3 補正予算で、既存マンションの全棟調査をおこなうとされたことは重要です。その際、大規模修繕のための積立金の金額や積み立て状況の実態についても調査すべきと思いますが、いかがですか。
三 住宅の液状化対策について
 東日本大震災による地盤の液状化は、最大規模となりました。我が党の調査では、都内7区38箇所で液状化が発生したことが確認されています。
1 液状化による建物被害は、6月23日現在で56棟と報告されています。都として、都内の液状化を始め、地盤沈下等の発生と被害状況及び地質の調査を全面的に実施し、公表する考えはありませんか。
2 千葉県や横浜市などいくつかの自治体では独自の制度を作って液状化被害住宅への支援に乗り出しています。江戸川区では、液状化で被災した住宅で地盤改良が必要な戸建て住宅には修復費用の3分の2、分譲マンションのライフライン復旧費用の3分の1を区独自で支援する制度を創設しました。液状化被害の生じた地域では、都として、住宅再建への支援とともに、宅地の地盤強化に対する支援策も実施する考えはありませんか。また、液状化の被害を受けた戸建て住宅や、アパート、マンション等の住民に対して被害者を救済すると独自制度を創設すべきではないかうかがいます。

平成23年第二回都議会定例会
大島よしえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東日本大震災・福島原発事故による都内への避難者の方々への民間賃貸住宅借り上げについて
1 各区市町村でも、都内に避難された方々に対して、区民住宅や区立住宅、区営住宅等を提供してきたが、こうした住宅も、都営住宅と同様に、応急仮設住宅と位置付けるよう徹底すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 厚生労働省通知、平成23年3月25日付社援総発0325第1号「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に係る災害救助法の弾力的運用について(その3)」により、東日本大震災による都内への避難者に対して、各区市町村の公営住宅等を応急仮設住宅として提供できることとなり、その旨、各区市町村に周知しています。

質問事項
一の2 都は民間賃貸住宅の家賃上限額を設定する際、すでに都内で民間賃貸住宅に生活している避難者の家賃額について調査したのか。その家賃額は、都の決めた上限額と比較し、どのような実態だったのか伺う。

回答
 民間賃貸住宅の借上げの条件等については、被災県からの依頼に基づき、被災県及び厚生労働省と協議を行って設定したものです。
 家賃上限額の根拠ですが、福島県は、県内で応急仮設住宅として借り上げる民間賃貸住宅の月額家賃について60,000円を上限とし、5人以上の世帯については90,000円を限度としています。
 既に都内で民間賃貸住宅に生活している避難者についての調査資料はなく、東京都では、民間賃貸住宅の家賃相場の実態を考慮し、民間賃貸住宅1平方メートル当たりの平均家賃が2,500円弱であること、応急仮設住宅の標準面積が約30平方メートルであることを踏まえ、75,000円を月額家賃の上限額とし、都内の5人家族の平均家賃が約96,000円であることから、世帯構成員数が5名以上の場合は100,000円としました。
 なお、都内の民間賃貸住宅の半分以上が、月額家賃75,000円以下であり、平成23年7月22日まで国が被災者に対して提供可能な民間賃貸住宅を案内していた「あんしん賃貸ネット」でも、都内で約12,000件の情報が掲載されていましたが、その6割以上が家賃月額75,000円以下となっていました。

質問事項
一の3 都でも、民間賃貸住宅を借り上げる際の家賃上限額を引き上げて、被災者の実情に応じて、生活再建しやすい場所に、居住できるようにすべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 前問で答弁したとおりであり、家賃上限額を引き上げることは考えていません。

質問事項
一の4 独自措置で入居時にさかのぼって家賃を公費負担することも検討すべきと思うが、所見を伺う。

回答
 平成23年6月の被災県との協議に基づき、契約日以降の費用について負担することとしたもので、東京都が借り上げる前の費用について、福島県は、直接、都内に避難された方々に支払うこととしています。

質問事項
二 マンションの地震対策について
1 都民の防災に対する意識が高揚している今だからこそ、マンションの耐震診断、耐震改修助成率を引き上げるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 マンションの耐震化促進に向けた取組については、「東京緊急対策2011」で表明したとおり、実態調査などを踏まえ、新たな実効性ある方策を検討していくこととしています。

質問事項
二の2 都として、新築高層マンションには防災備蓄倉庫を設置するよう義務付ける制度を創設すべきではないか。また、既設高層マンションに防災備蓄倉庫を設置する際の補助制度をつくるべきと考えるが、いかがか。それぞれ伺う。

回答
 高層住宅などにおける居住者用の防災備蓄倉庫については、区市が地域の状況に応じて条例や要綱を制定し、その設置を促進しています。
 都は、総合設計制度や再開発等促進区において、地元区市の条例等に基づき設置する場合、既に、その床面積を容積率の緩和対象としており、今後、他の都市開発諸制度においても、同様に取り扱っていくことを明らかにしています。
 こうした取組により、区市と連携しながら、居住者用防災備蓄倉庫の設置を促していく方針であり、設置義務化や補助制度の創設の考えはありません。

質問事項
二の3 補正予算で、既存マンションの全棟調査をおこなうとされたが、その際、大規模修繕のための積立金の金額や積立て状況の実態についても調査すべきと思うが、所見を伺う。

回答
 今回の実態調査では、耐震化促進のための方策を検討していく上で必要な事項について調査していくこととしています。

質問事項
三 住宅の液状化対策について
 1 都として、都内の液状化を始め、地盤沈下等の発生と被害状況及び地質の調査を全面的に実施し、公表する考えはないか伺う。

回答
 東日本大震災による液状化被害については、各区市町村及び各局から、平成23年6月13日現在で、7区において、公園や住宅地での噴砂や歩道部沈下、住宅の傾きなどの被害が生じたとの報告を受けており、これについては、既に同月28日の総務委員会に資料として提出しています。
 なお、都が管理する都市施設の主要な構造物については、今回の地震において大きな被害は認められませんでした。
 また、液状化が発生した箇所の近隣で、新たに地質調査を行うなどにより液状化した地盤構造を把握したうえで「液状化予測図」の見直しを行い、新たな予測図についても、これまでと同様、都のホームページや窓口での閲覧により、広く都民へ情報提供していきます。

質問事項
三の2 液状化被害の生じた地域で、住宅再建への支援とともに宅地の地盤強化に対する支援策も実施する考えはないか。また、液状化の被害を受けた戸建て住宅や、アパート、マンション等の住民に対して被害者を救済する都独自制度を創設すべきではないか伺う。

回答
 東日本大震災は、広域にわたり甚大な被害を及ぼしており、自治体ごとの対応ではなく、国が統一的な対応を行うべきものであることから、都は、同一の災害で被災した全ての地域が支援の対象となるよう、平成23年6月に国に提案要求しています。
 提案要求が実現するまでの間については、特例措置として、区市町村が行う住宅被災世帯への支援に対する補助を実施しています。

平成23年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  石毛しげる

質問事項
一 特定非営利活動法人(以下NPO法人という)について

一 特定非営利活動法人(以下NPO法人という)について
 今年の3月11日に東日本をおそった未曾有の大震災は、2万数千人の死者と多くの負傷者がでた。
 また、家屋が流され被災した方々、原発事故により余儀なく他の地へ移り住んでいる人、こうした被災者の方々に対してお見舞いを申し上げます。
 被災地では、行政をはじめとするボランティアが現在まで支援をしているが、各種のNPOを抜きにしては成り立たない状態が続いている。
 昨年の内閣府の調査では、20代の56%が「NPO活動に参加したい」と答えている。「人とのつながりを作りたい」「自分の能力や可能性を試したい」という理由が多いようである。
 第一生命経済研究所のNPOの調査では、NPO専従者の大学・大学院卒の割合は49%と、圧倒的に高学歴であり、海外救援の「国際協力」も約8000団体あり、中にはTOEIC850点以上が募集条件というのもある。
 しかし、有給でNPO専従者の平均年収は186万円。全体の56%が200万円以下と低い収入の数字が出ている。
 寄付金については、東日本大震災で関心が高い分支援金が被災地で活動するNPOへ中央共同募金会を通じて20億円以上集まってきている。一方、路上生活者らの自立支援をしているNPOは「昨年一年間で月、40万円くらいカンパがあったが、今年の4月以降は10万円と極端にカンパが落ち込んでいる」今は、災害に視線が集中している、活動の種類や時期によって違いがあるようだ。
 さて、この度の法整備は寄付文化を日本に根付かせる画期的なチャンスとなると見る人もいる。
 日本は欧米に比べて寄付が少ないと言われてきた、白書によると(寄付白書2010)NPO法人以外への寄付も含めた個人の寄付金は総額5455億円。2009年に寄付をした人の平均寄付額は約1万4千円だった。日本は国内総生産GNP比でみても0.12%。アメリカは1.60%。イギリスは0.68%と日本よりどこも大きい。
 さて、NPO法人は正式には「特定非営利活動促進法」という名称の法律で、NPO法人も正式には「特定非営利活動法人」である。ボランティア活動などを行う民間の非営利団体(Non Profit Organization,NPO)に法人格を与え、活動を支援するため、特定非営利活動促進法(NPO法)が1998年3月19日衆議院本会議において全会一致で可決成立した。
 NPO法は、1998年6月18日に閉幕した通常国会で成立し、施行日を1998年12月1日とする政令を決めた。(附則1によると、交付の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する)
 また、附則2には、施行の日から起算して3年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとある。
 法案は、阪神大震災のボランティア活動の成果を受けて我が国でも法制化しようと、1997年6月、衆議院で通過し、参議院で修正され、98年3月4日に参議院本会議で可決、衆議院内閣委員会で98年3月14日に全会一致で可決された。
 収益事業を行うことが認められているが、現行法人税法は「公益法人」の取扱いとされ、収益事業には課税されていた。
 また、法人及び個人がNPOに寄付した場合、法人及び個人に非課税措置は盛り込まれていなかった。
 しかし、鳩山内閣以来「新しい公共」の政策として改正案が提出されていて、今回やっと衆議院、参議院を通過して、6月22日に超党派で可決される運びとなった。
 改正案には二つの柱があり、一つは寄付優遇税制の適用対象とするか否かの「認定」権限を国税庁から都道府県と政令指定都市に移すこと。現場に近いレベルでNPOの活動ぶりを判断し認定手続きの迅速化につなげる。二つに「事業収入のうち寄付が5分の1以上」という現行の認定基準に「三千円以上の寄付をした人が100人以上」「条例指定」を加えて選べるようにし、認定NPO法人になりやすくすることである。「認定NPO法人」制度は2001年にできていたが、認定基準が厳しいと指摘されてきた。全国約4万3千のNPO法人のうち認定は215(6月1日現在)にすぎない。今回の改正は、国が認定したNPOに対して個人が寄付した金額のうち、約半分が所得税や住民税から減額される。寄付額から2千円を差し引いた分の40%を所得税額から10%を住民税額から差し引くというものである。(今年1月からの寄付が対象、寄付額の税額控除を受けるには会社員は年末調整ではなく確定申告が必要)
 官でも企業でも無い「民」(NPO)に子育て、介護、引きこもり、自殺対策などは、柔軟な対応や機動性が欠かせないし、行政や企業では担えない領域も多い、こうした分野の団体に市民活動を資金面から支援していくという狙いもある、また行政のスリム化にもなる。
 実行力があって公共の仕事を担う人たちに活動しやすい環境を整えることを切望する。
 さて、
1 現在、東京都はNPO法人の認証はどのような団体に与えているのか、また、東京都が所管しているNPO法人数、その数の全国に占める割合、今後の推移について伺う
2 時折、新聞などでの報道で、NPO法人を隠れ蓑にして違法行為を行う団体の記事を見る。内閣府が2004年に法人認証を取り消した団体は10法人だったのに対して2010年は184法人であった。都の指導・監督について、具体的にどのような権限があり、現在までどのように行っているのか、昨年までの実績について伺う。
3 認定NPO法人の制度改正によって、来年度から、認定NPO法人制度が税法から移行され、NPO法に組み入れられる。それに伴い、認定事務が国税庁から都道府県へ移管されることになるが、前回の予算特別委員会にて、認定NPO法人に対する都道府県の立入調査権や報告徴収権、会計に対する税理士等の関与の義務づけ、国税庁からの滞納情報等の提供といったことが、法案の骨子案に盛りこまれておらず、認定・監督が十分にできないことが課題として取り上げられていた。
  この件は、全国知事会が政府に対して申し入れを行っていたが、今回可決された法案には、どれくらいその要望が反映されているのか。また、その反映状況を踏まえ、都としてどのような対応を行っていくのか伺う。
4 また、上記質問に関連して、今年5月、全国知事会の政府に対する申し入れの中に、事務移管に見合う財源措置の要望があったが、人件費やNPO法人の活動に関するデータベース等の財源について、都は今後どのような対応を行っていくのか伺う。
5 今回のNPO法改正により、NPO法人の活動内容に新たな3分野が追加された。その中の一つに、法第2条別表の「前各号に揚げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動」があるが、今後、都としてどのように対応していくのか、伺う。

平成23年第二回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 特定非営利活動法人について
1 現在、東京都はNPO法人の認証はどのような団体に与えているのか、また、東京都が所管しているNPO法人数、その数の全国に占める割合、今後の推移について伺う。

回答
 都は、都内にのみ事務所を置き、ボランティア活動などを行うNPO等の団体から申請があった場合、設立の手続並びに申請書及び定款の内容が法令の規定に適合していること、10人以上の社員を有することなどの、特定非営利活動促進法(以下、「NPO法」という。)に定められた認証基準に適合する場合に、その団体をNPO法人として認証しています。
 平成22年度末現在、都が所管するNPO法人数は約6,900法人であり、全国に占める割合は約16パーセントで、平成10年度のNPO法施行以降、法人数は毎年度増加しています。

質問事項
一の2 新聞などでの報道で、NPO法人を隠れ蓑にして違法行為を行う団体の記事を見る。都の指導・監督について、具体的にどのような権限があり、現在までどのように行っているのか、昨年までの実績について伺う。

回答
 都は、NPO法に基づいて、NPO法人の監督として、〔1〕報告及び検査、〔2〕改善命令、〔3〕設立認証の取消しを行うことができます。
 平成10年度から平成22年度までの13年間に、報告及び検査を16法人、改善命令を19法人に対して行いました。
 また、事業報告書を3年以上提出しておらず活動実績がないなどの213法人に対して設立認証の取消しを行いました。

質問事項
一の3 認定NPO法人の制度改正によって、来年度から認定事務が国税庁から都道府県へ移管されることになるが、認定・監督が十分にできないことが課題として上げられている。この件は、今年5月に全国知事会が政府に対して申し入れを行っていたが、今回可決された法案には、どれくらいその要望が反映されているのか。また、その反映状況を踏まえ、都としてどのような対応を行っていくのか伺う。

回答
 都と全国知事会は、認定事務の都道府県への移管に当たり、都道府県が認定・監督権限を適切に行使できるよう、国に対して自治事務としての裁量権の付与、国税庁との連携、会計基準の整備などの項目を申し入れてきました。
 そのうち、国税庁との連携に関しては、認定を申請するNPO法人が国税の滞納処分を執行されているか等について、国税庁長官に意見を聴くことができる旨の規定がNPO法に盛り込まれました。
 都としては、今後も全国知事会とともに、平成24年4月の改正NPO法施行に向けて、今後策定される政省令や、ガイドラインなどにおいて、適切な認定事務の執行に必要な措置をとるよう国に対して求めていきます。

質問事項
一の4 全国知事会の政府に対する申し入れの中に、事務移管に見合う財源措置の要望があったが、人件費やNPO法人の活動に関するデータベース等の財源について、都は今後どのような対応を行っていくのか伺う。

回答
 NPO法の改正により、国税庁が所管している認定事務が移管されるとともに、内閣府が所管するNPO法人の認証に関する事務についても都に移管されます。
 そもそも都は、他の自治体に比べて、全国のNPO法人数に占める所管法人数の割合が突出して高く、さらに今回の制度改正により、平成24年度以降非常に大きな事務量及び財政負担の増加が見込まれます。
 都は全国知事会とともに、適切な財政措置を国に対して求めてきましたが、現段階では明確な回答が示されていません。今後も引き続き、事務移管に見合う適切な額を措置すべきことを国に対して求めていきます。

質問事項
一の5 今回のNPO法改正により追加された分野の中に、法第2条別表の「前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動」があるが、今後、都としてどのように対応していくのか、伺う。

回答
 NPO法で定められた特定非営利活動は、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」、「子どもの健全育成を図る活動」など、17分野となっています。
 今回の法改正では、これらの活動分野に〔1〕観光の振興を図る活動、〔2〕農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動の2分野と、〔3〕法第2条別表の前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動を追加するものです。
 都としては、NPO法人の活動分野として、今回改正の2分野を含む19分野で必要なものは満たされており、現時点では、条例に新しい活動分野を指定する必要はないと考えています。
 このため、条例による活動分野の指定に関しては、今後、NPO法人の活動実態や他の道府県の指定状況などを踏まえ、その必要性について検討していきます。

平成23年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  斉藤あつし

質問事項
一 今後の都内の経済状況予測について
二 東京都内の民間事業者による汚泥処理について
三 震災避難者が認証保育所を利用する場合の対応について
四 子ども家庭支援センターの育児(産後)支援ヘルパーについて
五 震災支援物資(義援物資)について
六 地デジ化について
七 東京電力株主としての東京都の所見について

一 今後の都内の経済状況予測について
 東日本大震災の直接・間接の被害を受けて多くの東京の中小企業の営業も打撃を受けました。どの程度の被害や減収となるのか大変気になるところです。
1 補正予算では、中小企業支援として融資において様々な支援策が用意されましたが、この支援規模はどのような推計によって算出されたものでしょうか?
2 復興に伴って建設業の東北地方での受注件数などは上向きになると思いますが、どのように東京都は推測していますか?
3 今後都内の中小企業の経営を中心とした経済の動向については、都としてはどのように予想していますか?
二 東京都内の民間事業者による汚泥処理について
 東京都水道局の浄水場及び東京都下水道局の下水道処理に於いては降雨による大気中の放射性物質が河川や下水に混じり、集約されていることに対して調査および除去することについて注意を払っているとのことである。
1 都内には道路側溝汚泥や建設汚泥の中間処理を行う民間業者も多い。浄水場や下水道処理施設ほどの集約は無いかと思うが、地表面の放射能も話題になっている中で、民間事業者の処理施設などは東京都の処理施設に較べて設備が必ずしも十分な施設ばかりとは限らないし、増してや放射能測定の用意も難しいと思う。震災後の放射性物質不安を受けて民間事業者からの放射性物質調査について東京都のアドバイスを求めるような事例はあったのか?
2 民間事業者で、土や汚泥を一時的に溜めている施設などがあれば、周辺住民に対して不安を与えないように、溜めている汚泥の放射能汚染の有無について説明する必要が出てくることもあると考える。依頼があれば、東京都が調査に協力をすることがあるのか?
3 本会議での東京都の答弁ではバグフィルターなどの除去設備の良さも放射性物質対策事例として紹介されていた。民間事業者の場合、事業者によっては設備も様々であり、除去能力にも差があると思う。東京都としては、設備の差で放射性物質残渣量に差が出ると思うか、それともそもそも検出されるような放射性物質混入がないまたは微量と考えるか?
三 震災避難者が認証保育所を利用する場合の対応について
 3月14日に文部科学省より「公立幼稚園,高等学校及び特別支援学校等における入学料の取扱い等について公立幼稚園,高等学校及び特別支援学校等において,今回の地震により,生徒又は幼児の学資を負担している者が災害を受け,授業料(保育料),入学料(入園料),受講料,寄宿舎使用料等の納付が困難な者(被災に伴う転入学者等を含む。)に対しては,各地方公共団体における入学料等の免除及び減額に関する制度等も踏まえて,配慮すること。」とある。
 幼稚園についてはこのように、被災者の負担軽減についての配慮がなされる仕組みとなっている。
 一方、被災地の中には幼稚園ではなく保育を必要とする場合もあると考えられる。
 認可保育所の場合、市区町村が入所決定を行うものであり、保育料も国基準の中で決定されているが、東京都が誇り、東京都にしかない認証保育所の保育料は、上限額の設定はあるものの、基本的には幼稚園と同様に、直接契約で決まる。
 しかし、県外からの避難者には認可保育所が既に満員で、認証保育所利用する方もおられると思う。住民票を取得している人ならばその居住自治体の減免制度や補助制度によって保育料が軽減することがあるが、住民票を移すに至らない避難世帯の場合はどのような対応となるのか?
四 子ども家庭支援センターの育児(産後)支援ヘルパーについて
 福祉保健局少子社会対策部家庭支援課が担当する子ども家庭支援センターでは、産じょく期における母子支援の一つとして育児支援ヘルパー事業を実施しているところであるが、都内における事業の実施状況について伺う。
五 震災支援物資(義援物資)について
 私も初日の3月18日に支援物資をお願いした第2庁舎の一般都民からの物資受付は目に見える形の都民参加支援としても良かったと思う。一方で、多摩地域や区東部の住民は新宿まで持っていくのにガソリンが不足する中で車が使えず、鉄道で運ぶために多くの物資を運べない都民もいるのではと心配したが、各自治体で個別に受け付け場所を作り、集約して東京都の支援物資輸送に合流させたのは良かったと思う。
1 義援物資を指定して募集するという都民への広報はしっかりしていたと思うが、知らずに指定外の物資を持参・送付した都民もいたと思う。都民への周知結果はどうだったのか。所見を伺う。
2 今回「未開封」「物資種類指定」は「莫大な義援物資の整理の手間」を考えると良い判断であったと考える。その一方で指定された物資は一定期間を過ぎると支援先に十分な量が確保されてしまうこともあったのではないか?といって、臨機応変に種類を変えると都民への周知が徹底せず、混乱してしまうので難しいであろう。今回の義援物資の募集の総括としてどのような課題が残ったのか伺う。
3 今後都民からの義援物資の受け付け・搬送という災害支援をするとしたらどのような工夫を新たに加えるべきかなど、検討していくべきと考えるが、所見を伺う。
六 地デジ化について
 いよいよ7月24日のアナログ放送中止、全面地上デジタル放送スタートです。
1 奥多摩や島しょ部の地デジ化は完了したのでしょうか?
2 むしろ都市部の高齢者の方が地デジ化が浸透していないのかもしれません。どの程度の都民がまだ地デジ化していないと推計されますか?また、それは地域環境ゆえの遅れではなく個人の判断による遅れなのでしょうか?
七 東京電力株主としての東京都の所見について
 東京都は株式会社東京電力の株4267万6000株を有する5番目の大株主である。6月28日の株主総会でも多くの株主から様々な質疑と提案、意見が出されたのは報道の通りである。原子力発電所の推進や撤退などの長期的な課題については賛否もあるかと思うが、今回の福島第1原発については震災・津波対策の不備や作業員の安全確保の不備など、会長が株主総会で謝罪をするような不手際が企業としてあったのは事実と考える。株主としてどう考えるのか何点か伺う。因みに、私としては、いきなり全ての原発急停止は難しいと思うが、再生可能エネルギーや代替エネルギー、自然エネルギーの比率を高める脱原発路線は進むべき道と考える。
1 東京都は株主として東京電力株式会社の経営に責任がある。会社に対して意見を述べるべきと考えるが所見を伺う。
2 東京都は、脱原発を求める株主提案に反対した。賛成するよう都民から電話など意見もあったようだが、東京都が、今回、議案の賛否を決めるにあたって、こうした都民の声をどのように反映したのか。

平成23年第二回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 今後の都内の経済状況予測について
1 補正予算では、中小企業支援として融資において様々な支援策が用意されたが、この支援規模はどのような推計によって算出されたものか伺う。

回答
 都は、今回の補正予算における制度融資の融資目標額の設定にあたり、利用実績はもとより、各種の景況調査や、信用保証協会及び金融機関等との意見交換、国の一次補正予算などを踏まえて、都内中小企業の資金需要について的確な把握に努めました。
 補正予算においては、震災により直接又は間接被害を受けた中小企業を対象とする「災害緊急」を新設するなど、制度融資の融資目標額を1,500億円上積みし、過去最高レベルの2兆2,000億円に引き上げました。

質問事項
一の2 復興に伴って建設業の東北地方での受注件数などは上向きになると思われるが、どのように東京都は推測しているのか伺う。

回答
 国土交通省が平成23年6月に発表した「平成23年度建設投資見通し」によりますと、東日本大震災からの復旧等のための政府建設投資額は、約2兆4,100億円、うち東北での投資額は約1兆7,700億円と推計されています。
 また、民間建設投資についても、同省は「今後、住宅、非住宅や民間土木については、復興需要が大量に生ずることが想定される」としています。
 都内建設業への受注の可能性についてですが、実際の受注獲得は企業間の競争の結果によるものであり、都内建設業の受注増がどの程度となるかは予測できない状況です。

質問事項
一の3 今後都内の中小企業の経営を中心とした経済の動向については、都としてはどのように予想しているのか伺う。

回答
 平成23年8月中旬における都内の経済状況でありますが、内閣府や日銀は、景気に持ち直しの動きがみられるとの判断を示しており、また、先行きについても、サプライチェーンの立て直し等を背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されています。特に、日銀短観における「大企業・製造業」の景況見通しでは、いわゆる「V字回復」を示しています。
 その一方で、都内中小企業の業況の回復はまだ本格化しておらず、また、国内の電力制約や海外景気の下振れ懸念に加え、為替レート・株価の変動等によっては、景気が下振れするリスクが存在しており、こうした動向を引き続き注視していく必要があると考えています。

質問事項
二 東京都内の民間事業者による汚泥処理について
1 汚泥の中間処理を行う民間業者の処理施設などは東京都の処理施設に較べて設備が必ずしも十分な施設ばかりとは限らない。震災後の放射性物質不安を受けて民間事業者からの放射性物質調査について東京都のアドバイスを求めるような事例はあったのか伺う。

回答
 道路側溝汚泥や建設汚泥の中間処理を行う民間の産業廃棄物処理業者から、放射性物質調査のアドバイスを求められた事例はありません。

質問事項
二の2 民間事業者で、土や汚泥を一時的に溜めている施設などがあれば、周辺住民に対して不安を与えないように、溜めている汚泥の放射能汚染の有無について説明する必要が出てくることもあると考える。依頼があれば、東京都が調査に協力することがあるのか伺う。

回答
 民間の産業廃棄物処理業者が行う放射性物質調査に対して、都が技術的助言を行うことはあります。

質問事項
二の3 民間事業者の場合、事業者によっては設備も様々であり、除去能力にも差があると思う。東京都としては、設備の差で放射性物質残渣量に差が出ると思うか、それともそもそも検出されるような放射性物質混入がないまたは微量と考えるか、所見を伺う。

回答
 降下した放射性物質が、土壌に付着することにより、道路側溝汚泥から放射性物質が検出されることはあり得ます。
 ただし、道路側溝汚泥は、通常、焼却せずに脱水処理されており、焼却灰ほど高濃度に濃縮されることは考えにくく、設備能力による差も少ないと考えられます。
 また、建設汚泥は、地中の土砂を掘削して生ずるものであり、降下した放射性物質が混入することは、極めて少ないと考えられます。

質問事項
三 震災避難者が認証保育所を利用する場合の対応について
 避難者が認証保育所を利用する場合、住民票を取得している人ならばその居住自治体の減免制度や補助制度によって保育料が軽減することがあるが、住民票を移すに至らない避難世帯の場合はどのような対応となるのか伺う。

回答
 震災避難者で保育の利用を希望される方については、受入れを行っている各区市町村において、個々の相談に応じ、そのニーズに基づき、適切に対応しています。
 また、保育料の軽減については、保育の実施主体である区市町村が、利用者の状況等を勘案して、それぞれの判断に基づき行うものです。
 なお、現在までのところ、都に震災避難者の認証保育所の利用についての問合せは寄せられていません。

質問事項
四 子ども家庭支援センターの育児(産後)支援ヘルパーについて
 福祉保健局家庭支援課で担当している子供家庭支援センターでは、産じょく期における母子支援の一つとして、育児支援ヘルパー事業を実施しているところであるが、都内における事業の実施状況について伺う。

回答
 育児支援ヘルパーは、体調不良等により家事や育児に困難を伴う妊産婦等に、日常生活の世話や必要な支援を行うものです。
 都内においてこうしたヘルパー派遣を実施している区市町村は、平成23年6月1日現在、23区26市の区市全てと、大島町です。

質問事項
五 震災の支援物資(義援物資)について
 1 義援物資を指定して募集するという都民への広報はしっかりしていたと思うが、知らずに指定外の物資を持参・送付した都民もいたと思う。都民への周知結果はどうだったのか。所見を伺う。

回答
 都は、義援物資の募集に当たり、福島、宮城、岩手の3県から要請された生活物資の中で、避難後すぐに必要となる物資や、乳幼児や高齢者など生活弱者が常時必要とする物品を指定しました。
 都民への周知については、都のホームページのほか、テレビやラジオ、新聞を通じて行うとともに、コールセンターを設置し、約14,600件の各種の問い合わせに対応しました。その結果、多くの都民から義援物資が集まり、その数は、約35,500件に上りました。
 物資の指定を知らずに、指定以外の品目が持ち込まれたケースや、是非送りたいとして、指定以外の物資が持参・宅配されたケースもありましたが、これらについても送付可能なものは受け付けました。

質問事項
五の2 今回の義援物資の募集の総括として、どのような課題が残ったか伺う。

回答
 各避難所において必要とされている物資を正確に把握することは困難です。また、被災地で必要とされている物資の品目と必要量は、避難期間の経過とともに変化します。このため、義援物資と必要な物資とをマッチングさせること、また、義援物資の必要量を適宜把握していくことが、募集における課題と認識しています。

質問事項
五の3 今後、都民からの義援物資の受付・搬送という災害支援をするとしたら、どのような工夫を新たに加えるべきかなど、検討していくべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 都では、平成23年11月を目途に、防災対応指針を策定することとしており、その中で、震災時の物資の備蓄と調達のあり方について、国、自治体、事業者、都民の役割分担や、広域的な相互補完などの観点から広く検討を行うこととしています。
 この指針も踏まえ、来年に予定している地域防災計画の修正の中で、義援物資の受付・搬送のあり方についても検討していきます。

質問事項
六 地デジ化について
 1 7月24日にアナログ放送中止、全面地上デジタル放送スタートするが、奥多摩や島しょ部の地デジ化は完了したのか伺う。

回答
 西多摩郡部及び島しょ部の13町村における地上デジタル放送への対応については、これまで、放送事業者によるデジタル中継局の整備や、共聴施設の改修等により準備を進めてきましたが、それでもなお、地形の影響や電波の混信等により、アナログ放送が停止する平成23年7月24日までに恒久的な地上デジタル放送の受信対策が完了しない世帯が約3,000世帯あります。
 これらの世帯では、共聴施設の新設やデジタル中継局の出力変更等の必要な対策が完了するまでの間、総務省が実施する「暫定的難視聴対策事業」により、衛星放送を利用して、地上デジタル放送の番組を視聴することができます。
 なお、衛星放送を視聴するためのBSチューナー及びBSアンテナは、対象世帯に対して無償貸与されます。

質問事項
六の2 どの程度の都民がまだ地デジ化していないと推計されるか。また、それは地域環境ゆえの遅れではなく個人の判断による遅れなのか伺う。

回答
 総務省が実施したアナログ放送停止の約半年前に当たる平成22年12月における「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」によると、地上デジタルテレビ放送対応受信機の世帯普及率は、普及目標である96パーセントに対して、全国平均では94.9パーセント、東京都では95.4パーセントであり、おおむね総務省が設定した目標どおりに推移しています。
 一方、総務省公表の平成23年6月30日現在における「地デジ視聴に必要な受信環境整備の状況」によると、都内では、集合住宅や、ビル陰による受信障害地区等において、地上デジタル放送を受信するために共同アンテナの改修等が必要な世帯は、約74,000世帯(1.2パーセント)と推計されていますが、それぞれ個別に対応する予定となっています。
 なお、総務省では、共同アンテナの改修経費の一部を助成する支援等を実施しており、都としても、国や区市町村と連携し、こうした各種支援策の周知広報に努めています。

質問事項
七 東京電力株主としての東京都の所見について
 1 東京都は株主として東京電力株式会社の経営に責任がある。会社に対して意見を述べるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
 都は、平成23年3月末現在、東京電力株式会社の株式を42,676,791株保有しており、その出資比率は2.66パーセントとなっています。株式会社制度の下においては、株主は所有と経営の分離の原則に基づき、その出資の範囲内で有限責任を負うものです。
 都は、これまでも、東京電力株式会社に対して、鉄道事業者に対する電力の優先供給について要請を行うなど、都の考え方を主張してきたところであり、今後とも、必要に応じて、意見を述べてまいります。

質問事項
七の2 東京都は、脱原発を求める株主提案に反対した。賛成するよう都民から電話など意見もあったようだが、東京都が、今回、議案の賛否を決めるにあたって、こうした都民の声をどのように反映したのか伺う。

回答
 都政は、代表民主制の下で運営されており、都民から選ばれた知事と議会における議論により意思決定されることが基本となっています。
 都政の執行過程においては、当然のことながら、様々な形で寄せられる都民からの御意見や御要望などを吸収し、参考にしているところです。
 今般の東京電力株式会社の定時株主総会において一部株主から提案のあった原子力発電からの撤退を求める議案については、原子力発電のあり方は、一会社の株主総会で決めるべき事柄ではなく、広く国民的な議論の上で決めるべきことと判断し、反対しました。

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