平成二十三年東京都議会会議録第九号

〇議長(和田宗春君) 六番山崎一輝君。
   〔六番山崎一輝君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇六番(山崎一輝君) 小笠原諸島の世界遺産登録について伺います。
 現在、パリ、ユネスコの本部において、第三十五回世界遺産委員会が開催をされております。恐らく、あと数時間数十分で小笠原諸島の登録が決定をすると思います。世界遺産登録は、世界で唯一の価値があることはもちろんのこと、それを将来にわたり保全していく具体策を有することが重要です。
 都は、国に先駆け、平成十四年には小笠原村との間で東京都版エコツーリズムの協定を締結し、観光客に認定ガイドの同行を義務づけるなど、利用制限を実施してきました。
 また、貴重な植物の盗掘を防ぎ、観光客のマナーを向上させるため、平成十六年からは東京都レンジャーを配置しております。
 そして、都は、ノヤギの駆除を積極的に進め、これまでに無人島での根絶を達成してまいりました。知事のリーダーシップのもと、これらの取り組みを進め、小笠原の貴重な自然を守ってきたことが世界にも評価をされたものだと思います。
 今後も小笠原のかけがえのない自然を守りながら、その魅力を国内外に発信するなど、取り組みをさらに進めるべきと考えますが、これまで先頭に立って牽引をしてきた知事の決意、思いをお聞かせいただきたいと思います。
 小笠原諸島のような原生的な自然環境を守るとともに、都市の緑の拠点となる都立公園の整備、街路樹の充実のほか、民間の緑についても、その保全、創出を進めるなど、都は、自然環境から都市の緑化に至るまで、多角的な緑の施策推進により、緑あふれる都市東京の実現に向け、緑のネットワークを東京全体に広げてきました。
 平成二十四年秋に開催する全国都市緑化フェアTOKYOでは、これまで都が進めてきた多様な取り組みの成果を発信するとともに、都民や民間事業者と連携した緑のムーブメントをさらに発展させていただきたいと大いに期待していますが、現在の取り組み状況について伺います。
 次に、今回の東日本大震災により、都内の中小企業はさまざまな形でダメージを受けています。これまで、景気の低迷、昨年の夏からの円高も進行し、回復が見出すことのできないところに、地震による経済危機の直撃を受けた中小企業は数知れないものと考えます。
 中小企業は、何とか手探りで活路を見出そうとしていますが、独自の努力だけで経営上の問題を解決するには限界もあります。行政として的確なアドバイスを行うような相談体制の充実は不可欠であると考えます。
 都は、円高対策を進める中小企業に対して経営の専門家を派遣して、相談事業をスタートしておりますが、この取り組みを震災対応の面にも広げて、サポート体制を速やかに充実させていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、水道施設の震災対策について伺います。
 今回の震災では、東京に隣接する浦安市で、液状化により水道管が抜け出すなど、深刻な断水被害が発生しましたが、抜け出し防止機能のある耐震継ぎ手管の被害はなかったと聞いております。
 東京では、水道局が水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を進めていますが、今後も江東区など液状化が予想される地域を優先して、水道管の耐震継ぎ手化をより一層推進すべきと考えます。
 また、今回の震災では、電力供給不足による停電に伴い、送水ポンプ等が運転できず、被災地では長期の断水が発生いたしました。都内においても、計画停電により多摩地区の一部で、断水、濁水が発生をいたしました。電力不足が取りざたされる中、水道水を供給するために、どのように電力を確保していくのかは重大な課題であると考えます。
 そこで、震災時などにおける停電対策について伺います。
 次に、下水道管の液状化対策について伺います。
 私の地元江東区では、震度五強の強い揺れを観測し、新木場などの埋立地を中心に土砂が道路上に噴き出したり、建物が傾いたほか、下水道管も液状化による被害に見舞われました。
 具体的には、新木場地区の下水道管約十二キロメートルで詰まりや破損の被害が発生し、その後の迅速な応急対応により、下水道の使用には支障がなかったとのことですが、本復旧にはまだ時間がかかるとのことです。
 そこで、今回の震災における江東区内の下水道管の復旧状況及び今後の液状化対策の取り組みについて伺います。
 次に、下水処理施設における放射性物質の測定について伺います。
 一部の週刊誌やテレビで、江東区の民間団体が放射能を測定し、この中で、荒川や旧中川沿いで放射能の汚染レベルが高く、江東区にある東部スラッジプラント周辺で最も高い汚染を確認したという情報により、区民や、そして近隣の住民は、まさしく風評被害を受けている状態であります。住民が抱いている放射能の不安を一刻も早く取り除くためにも、都は適切な放射能測定を素早く行い、丁寧に説明をしていくべきであると考えます。
 そこで、東部スラッジプラントにおける放射性物質を含む下水汚泥の放射能測定などの取り組みについて伺います。
 次に、浸水対策について伺います。
 近年、一時間五〇ミリを大幅に超えるゲリラ豪雨が頻発している状況を考えると、いまだ首都東京の浸水への備えは脆弱な面があります。江東区内にはゼロメートル地帯が広がっており、浸水が発生すれば大規模な被害にもなりかねないと危惧しております。
 昨年策定された経営計画二〇一〇において、木場・東雲地区が対策促進地区として重点化され、昨年度着手した江東幹線及び江東ポンプ所が整備されることとなりましたが、現在の進捗状況について伺います。
 次に、島しょの津波対策について伺います。
 東海地震や東南海・南海地震が発生した場合には、東京の島しょに大きな影響があるとされており、津波に対する十分な備えが必要です。
 都が作成した島しょ地域の津波浸水予測図によれば、港湾や漁港の背後地などで浸水被害が発生する地区があると予測されております。島しょの町村では、ハザードマップの作成や防災訓練など、ソフト面の対策を行っていますが、防潮堤や避難施設の整備など、ハード面の対策もあわせて行っていくことで、災害対応力は大きく高まると考えます。
 島しょの港湾、漁港は、島民の安全・安心な生活を支える重要な基盤であり、その津波対策を重点的に進めるべきです。見解を伺います。
 続いて、豊洲新市場整備についてお聞きします。
 都は、先般、東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社との間で、土壌汚染対策費用の負担について合意をし、あわせて用地の土地売買契約を締結いたしました。その後、市場施設の設計や土壌汚染対策工事など、平成二十六年度中の豊洲新市場の開場に向け、本格的な取り組みを始めるに至りました。
 これまで、土壌汚染の問題がたびたび大きく取り上げられ、新市場予定地の汚染があたかも豊洲のまち全体の汚染であるかのような印象を都民や国民に与えた感は否定できず、江東区に住む私としても残念でなりません。
 そもそも豊洲地区は都心と臨海副都心の中間にあり、周辺には水域や親水緑地があるなど、二十三区内でも豊かな自然環境に恵まれた特性を持っております。
 また、平成二十一年二月に、首都高速一〇号晴海線、豊洲ランプが開通をし、羽田空港や東京港などの広域インフラとの接続もますますよくなるなど、人、物の集まる新たなまちづくりとして可能性が高まっております。
 豊洲新市場が首都圏の生鮮食料品流通の中核となる先進的な市場として整備されることはもちろんですが、豊かな水辺環境や緑などの特性を踏まえ、豊洲のまちづくりにどのように貢献していくのか、伺います。
 また、市場移転により、多数の買い出し人や産地及び小売のトラックが集まることに加え、市場に隣接するにぎわい施設にも多くの観光客の来場が予想されますが、豊洲のまちづくりと調和するためには、周辺道路の路上駐車や渋滞を引き起こさないよう対策に最大限配慮をしていく必要がありますが、交通渋滞、駐車場対策にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 一方、今回の大震災の経験を踏まえて、豊洲新市場の整備に当たっては、災害時においても、中央卸売市場として生鮮食料品等の確保や輸送などを着実に行えるよう施設の安全性の強化を図るべきです。災害時の安全性をどのように確保しながら施設の整備を進めていくのか、伺います。
 二十一世紀の生鮮食料品流通の中核を担う豊洲新市場がまちづくりと調和した魅力的な施設として整備され、災害時においても必要な役割を十分に発揮する市場となるよう期待をしております。
 加えて、本年三月に改定された江東区の都市計画マスタープランなども十分に踏まえ、豊洲新市場の開場に向け、着実に取り組むことを強く要望いたします。
 次に、地下鉄八号線、有楽町線、豊洲─住吉間の延伸は、国の答申において、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられておりますが、いまだ着手されていません。
 本路線の実現に対する沿線自治体の期待は非常に大きく、江東区などで構成する協議会では、第一段階として豊洲─住吉間を事業化するなど、取り組みの方向性を確認しています。
 江東区は、昨年度に引き続き今年度も五億円の建設基金を積み立てるとともに、事業化検討会を設置し検討を進めております。こうした地元区における熱心な取り組みを踏まえ、都も本路線の早期実現に努めていく必要があると考えます。
 また、新たな観光拠点となる豊洲新市場の千客万来施設を初め、豊洲で進むまちづくりを牽引し、スカイツリー周辺との連携を支えるためにも、整備の必要性は高まっていると考えます。
 都は、本区間の整備に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、被災した児童生徒の受け入れについて伺います。
 私の地元江東区には、都内で最も多い百名を超える児童生徒が避難をし、区内の学校に通っております。また、被災し通学が困難になった子どもを受け入れ、就学を支援している都教育委員会のBumB東京スポーツ文化館が夢の島にあります。受け入れ時の説明では、支援は一学期末までと聞いております。子どもたちのすべてが福島からの避難者であり、福島第一原発事故の収束の見込みが不透明な中、引き続き支援すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
 最後に、東京マラソンは、三万人を超えるランナーとともに、多くのボランティアや応援する人たちが一体となってスポーツの感動を分かち合えるすばらしいイベントであります。
 東京マラソン二〇一二では、巨大な災害によって、ふるさとそのものを喪失するといった未曾有の体験をしながらも、被災地の将来を担う高校生をぜひ十キロメートルレースに招待し、この機会が復興に向けた活力、そして希望となるようにしていくべきと考えますが、所見を伺い私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 山崎一輝議員の一般質問にお答えいたします。
 小笠原諸島の世界遺産登録についてでありますが、東京の島々は、いわば真珠の首飾りにも例えられる非常に美しい列島であります。その一番南にある小笠原諸島は、美しい自然に恵まれ、独自に進化した動植物が多く見られます。
 そのゆえんは、小笠原は日本の国土の中で唯一、いかなるプレートにも属さずに隆起した島だということでありますが、いずれしろ、小笠原を象徴する南島が、実は私の選挙区の一部でありました。私が議員をやめて、四年後に知事に就任して、久しぶりに小笠原を訪れましたときに、国の無為無策で非常に荒れ果てておりまして、見るも無惨なていたらくでありました。
 それで、認定ガイドの同行を義務づけることにしまして、観光客が歩くルートや人数を制限することで、再びあの宝石のような南島を取り戻すことができました。こうした取り組みによって小笠原の自然を守ってこなければ、世界遺産の登録はあり得なかったと思います。
 世界遺産登録は、人類共通の財産として将来にわたり保全していくことを世界に宣言することにほかなりません。ですから、同じ努力、それ以上の努力を今後とも島も新たに続けなければならぬと思っています。
 今後とも、都独自のエコツーリズムや都のレンジャー制度などによりまして、小笠原の美しい自然を次の世代に引き継いでいくとともに、東京の魅力として世界に発していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 被災児童生徒受け入れの継続についてのお尋ねでございます。
 都教育委員会は、通学困難となった被災地の児童生徒を三月十九日から東京スポーツ文化館で受け入れております。
 現在、二十一名が保護者のもとを離れ、衣食住に加えまして、心のケアやボランティアによる学習活動などの支援を受けながら、規則正しい共同生活を送っております。
 また、議員ご紹介の大鵬道場大嶽部屋力士によるちゃんこの炊き出しや熱気球の搭乗を初め、さまざまな人々からの温かい支援により、多様な体験をしております。
 当初、お話のとおり、一学期末までの受け入れを予定していたところでございますけれども、福島第一原発事故の収束の見込みが不透明であり、通いなれた学校を年度途中で転校させないようにするためにも、関係者との調整を図りながら、引き続き年度末まで受け入れを進めていきたいと考えております。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 地下鉄八号線の豊洲─住吉間の延伸についてでございます。
 本区間を含む地下鉄八号線の延伸は、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに整備に着手することが適当である路線として位置づけられております。
 地元江東区では、平成十九年度より独自調査を進め、昨年度、事業化検討会を設置いたしまして、国や都、東京メトロもオブザーバーとして参加して、事業採算性等の検討を進めております。
 また、早期実現に向けて、昨年度より建設基金を積み立てるなど、大変意欲的に取り組んでいると承知しております。
 これまでの区の検討結果によれば、本路線の実現には多額の事業費の確保や事業主体の確立、事業スキームの検討など、解決すべき課題はあるものの、整備により地下鉄東西線などの混雑緩和、鉄道不便地域の解消などの面で大きな効果が期待されるとしております。
 今後とも、本路線の検討につきましては、都も参画し、関係者とともに、さまざまな課題の解決を図っていくことが必要であると考えております。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 全国都市緑化フェアTOKYOについてでございますが、五月に、知事を会長とし、国や地元自治体、観光、経済など各種団体で構成する実行委員会を開催し、テーマ、メーン会場、基本方針などを内容とする基本計画を策定いたしました。
 テーマとしましては、緑の風がふきぬける東京とし、メーン会場として、上野恩賜公園、井の頭恩賜公園、日比谷公園、浜離宮恩賜庭園、海の森、国営昭和記念公園の六会場を定めました。
 開催に当たっての主な基本方針は、第一に、緑のつながり、広がりを体感、発信するフェアとして、メーン会場となる公園だけではなく、都や国が管理する道路、河川などの緑や、さらには民有地の緑も含め、幅広い事業展開を図ってまいります。
 第二に、新しい緑や都市観光の創造につながり、技術にこだわるフェアとし、江戸園芸や庭園の技術の保存、継承、最新の緑化技術による展示、これらに加えてユビキタス等のICTを活用し、国内外の来場者に情報を発信してまいります。
 さらに、東日本大震災で被災された方々に力強い支援の輪を広げるフェアを目指し、被災地の野菜や果樹を植栽する大規模展示を行うなど、緑と花を通じて連帯を深め、被災地との強いきずなを形成してまいります。
 今後は、年度内に具体的な実施内容を確定するとともに、平成二十四年秋の開催に向け、フェアの事前周知を図るため、被災地支援を兼ねたプレイベントを実施いたします。
 このフェアの開催を契機に、これまで都が進めてきた緑のムーブメントをさらに加速させ、国、自治体、民間事業者及び関係各局と連携し、緑あふれる環境先進都市東京を全国に発信してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 震災対応を行う中小企業へのサポート体制についてであります。
 都内の中小企業は、引き続く景気低迷や昨年からの円高に加え、今回の震災により、工場の被災による操業へのダメージのほか、販売や仕入れを含めた営業活動に幅広く影響を受けており、これまで経験のない、ふくそう的な課題への対応に迫られております。このため、こうした課題に取り組むそれぞれの中小企業に対する支援の充実は不可欠となっております。
 都は、まず、震災により生じた経営課題の速やかな解決を目指す中小企業を対象に、一社当たり三回まで無料で専門家を派遣する震災対応緊急エキスパート派遣事業を開始し、百五十の会社に緊急支援を行うことを予定しております。
 次に、経営のあり方を根本から見直す場合には、今年度から実施している円高対応・企業変革アシストプログラムの対象に、震災により経営面の影響を受けた企業を加えまして、経営の専門家を最大十回まで無料で派遣する支援を行います。
 こうした企業経営の専門家が会社に出向きまして、きめ細かなサポートを行う取り組みにより、中小企業が震災の影響を乗り越え、経営状況の改善を実現できますよう支援してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

〇水道局長(尾崎勝君) 震災時などにおける水道の停電対策についてでございますが、水道水の供給には電力が不可欠であり、震災時等において電力供給が途絶えた場合に備えて、主要浄水場などに自家用発電設備を計画的に導入しております。
 しかし、東日本大震災に伴う東京電力の計画停電により、多摩地区の一部で断水、濁水が発生し、その影響は延べ約二十六万件に及びました。
 このため、当局では、こうした状況並びに被災地における広域的な停電などを踏まえ、従来の施設整備計画の見直しを行い、自家用発電設備の新設や増強、さらには発電機の燃料タンクの増設等を前倒しして実施いたします。
 今後とも、震災時における給水を可能な限り確保するため、電力確保対策に全力で取り組んでまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、江東区内の下水道管の復旧状況及び今後の液状化対策の取り組みについてでございます。
 地盤の液状化により下水道管が詰まった箇所については、直ちに土砂を取り除いたため、下水道の使用に支障はございませんでした。
 現在、下水道管の本格的な復旧に向けた工事に着手しており、損傷した管の取りかえに当たっては、液状化防止のために石灰などをまぜて改良し、強度を増した土を埋め戻しに使用するなどの対策を講じておりまして、平成二十四年度中にはすべての箇所の液状化対策を完了させます。
 このほかの液状化対策などについては、下水道管とマンホールの接続部の耐震化を促進することとしておりまして、総合区民センターや江東病院など、避難所や災害拠点病院からの排水を受け入れる箇所の約六割で対策を完了いたしました。
 今後は、対策が未実施の箇所の完成予定を二年前倒ししまして、平成二十五年度の完成を目指してまいります。
 また、マンホールの浮上抑制対策といたしましては、湾岸道路や晴海通りなどの緊急輸送道路約七十キロメートルについて昨年度までに対策を完了しており、今年度から木場公園などの避難所へのアクセス道路に対象を拡大し、実施をしてまいります。
 次に、東部スラッジプラントにおける放射性物質の取り扱いについてでございます。
 東部スラッジプラントでは、下水汚泥を焼却しておりますが、焼却によって生じる排ガスは、細かいちりなどを除去できる高性能フィルターなどに通し、その後、さらにアルカリ性の水によって洗うことで固形物を九九・九%以上回収し、灰が施設外へ飛散することのないよう適正に管理をしております。
 東部スラッジプラントの敷地境界での空間放射線量は、一時間当たり〇・一一から〇・一三マイクロシーベルトで、江東区周辺の他の地域と変わらない数値となっております。
 また、煙突から排出されるガスの成分を専門機関に委託して測定した結果、放射性物質は検出されませんでした。
 今後とも、学識経験者の意見も踏まえながら、お客様や地元区などに対して正確な測定結果の公表などの情報提供を充実させ、お客様の安心につなげてまいります。
 次に、江東幹線、江東ポンプ所の進捗状況についてでございますが、浸水の危険性が高い二十地区を対策促進地区として重点化し、一時間五〇ミリの降雨に対応できる幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を計画的に進めております。
 江東幹線は、木場・東雲地区等の約五百ヘクタールに降った雨水を速やかに排除するため、地下約四十メートルの深さに設置する最大口径約六メートル、延長約五キロメートルの下水道幹線でございます。お話のとおり、昨年度末に工事契約を行いまして、現在、木場公園内において資機材等を搬出入するための立て穴を築造する工事に着手をしております。
 江東ポンプ所は、江東幹線で集めた雨水を辰巳運河に毎秒約五十立方メートル放流する雨水ポンプ所で、江東幹線と一体となって浸水被害を軽減する機能を果たすものでございます。現在、今年度中に工事着手すべく、地元区や関係機関との調整を精力的に進めております。
 今後とも、江東地区の浸水被害の早期軽減に向けて、着実かつ積極的に取り組んでまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 島しょの港湾等における津波対策についてでありますが、島しょの港湾、漁港では、関東地震の再来や、東海、東南海・南海地震が連動する場合など、各島に最も影響を与える地震を想定し、計画的に津波対策を行ってきております。
 具体的には、波浪だけではなく、津波軽減効果をあわせ持つ港湾、漁港の防波堤や護岸の着実な整備を推進するとともに、防潮堤等の海岸保全施設の整備を進め、津波による浸水の防止、軽減に努めてまいりました。
 また、災害後に直ちに港湾、漁港の利用が可能となるよう、津波に対する施設の強度を高める改良も行っております。
 今後は、今回の震災後、局内に設置した地震・津波対策会議において、これらの取り組みを検証していくとともに、国の中央防災会議での検討結果等を踏まえ、必要な見直しを行ってまいります。
 また、地元町村が行う避難誘導などのソフト対策と連携し、港湾における避難施設の整備を検討するなど、島しょの津波対策を一層推進してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

〇中央卸売市場長(岡田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲新市場整備による豊洲のまちづくりへの貢献についてです。
 東京の都市づくりビジョンにおきましては、豊洲地区は水辺空間や広域交通インフラに恵まれた東京の交通、物流の拠点に位置づけられており、こうした特性を十分に踏まえ、市場施設を整備していく必要があります。
 このため、水際や水上からの眺望に配慮し、東京の玄関口としてふさわしい景観形成を図るほか、護岸と一体となった緑道や、幹線道路沿いに周辺の緑と連続させる植栽や歩道状空地などを整備し、開放感と潤いのある都市空間の創出に努めてまいります。
 また、食を中心とする東京の新たな観光拠点として千客万来施設を整備することで、豊洲地区のにぎわい創出にも貢献できると考えております。
 今後、地域特性を踏まえた施設整備を進めることにより、豊洲地区が「ゆりかもめ」や幹線道路を通じて臨海副都心などとのにぎわいの連担性を確保するとともに、来訪者の回遊性を一層高めるなど、臨海地域のまちづくりにも貢献してまいります。
 次に、豊洲新市場における路上駐車及び渋滞対策についてです。
 豊洲新市場が周辺のまちづくりと調和していくには、市場関連車両の交通量を十分に加味し、周辺道路における交通渋滞対策と一体となった市場施設の整備を進めることも重要であります。
 このため、都は、広域幹線道路を計画し、晴海通りや環状二号線、補助三一五号線などの交通基盤の整備を進めており、新市場までのアクセスを十分確保するとともに、周辺の主要道路における円滑な交通の流れを実現してまいります。
 また、駐車場計画につきましては、築地市場の現況調査に基づき、必要駐車台数のシミュレーションを行い、ピークとなる時間帯でも十分に車両をさばけるよう、各街区に搬出入バースや待機駐車場、通勤駐車場などについて必要な量を確保してまいります。
 この結果、築地市場の四千五百台に対しまして、にぎわい施設用の一千二百台を含め、計六千三百台を整備することにより、路上駐車は発生しないものと考えてございます。
 さらに、自動車交通量自体を減少させるために、共同配送などの検討や、需要の動向を見きわめながら、バス路線の新設などの公共交通機関の充実、主要駅とのシャトルバスの運行などにつきましても、関係機関との検討を進めてまいります。
 最後に、豊洲新市場における災害時の施設の安全性強化についてです。
 新市場が災害時におきまして、生鮮食料品などの供給拠点として、その公共的な役割を十分に発揮するには、施設の耐震性や必要な電力などを確保することが不可欠でございます。
 このため、卸売り場等の耐震設計では、大地震の発生に際し、人命の安全確保を図ることはもとより、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できるよう、建築基準法に定める必要な強度を一・二五倍に割り増し、安全性を高めてまいります。
 また、停電に際しましても、耐震性にすぐれた中圧管を介したガスによる非常用発電機やコージェネレーションプラントからの電力供給を確保し、冷蔵庫棟や低温売り場の空調、売り場、荷さばきスペースの照明など、物資の保管や輸送に必要となる設備の機能維持を検討しております。
 さらに、桟橋を利用した船舶輸送の活用など、災害時にも生鮮食料品などの調達や輸送が可能となるよう、災害対応力の観点からも先進的な市場を目指し、整備を進めてまいります。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

〇スポーツ振興局長(笠井謙一君) 東京マラソンについてでございますが、東京マラソンは、三万六千人の参加する喜び、一万人の支える誇り、そして、百六十万人の応援する楽しみが一つになり、多くの人々に高揚感をもたらす日本を代表するスポーツの祭典でございます。
 この東京マラソンにおきまして、被災された高校生が国内外のランナーとともに都心を駆け抜け、沿道から多くの声援を受けることで傷ついた心がいやされ、逆境に立ち向かう勇気を奮い立たせる一つの契機になればと考えております。
 都といたしましては、主催者である東京マラソン財団と協力し、被災地の高校生を東京マラソンに招き、移動や滞在などにかかわる必要な支援を行うなど、将来への希望を持ち、復興への意欲が高まるような取り組みを進めてまいります。

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