平成二十三年東京都議会会議録第九号

〇議長(和田宗春君) 三十七番高倉良生君。
   〔三十七番高倉良生君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三十七番(高倉良生君) 初めに、被災者の生活再建を支援する仕組みづくりについて質問いたします。
 大災害から住民の命を守るために、ハードな防災対策が重要であることはいうまでもありません。しかし、今回の大震災では、避難のあり方や生活再建を迅速に進める仕組みなど、ソフト面からの取り組みの大切さが改めて浮き彫りになりました。
 東京においても、直下地震への対策が急務となっており、都は、緊急対策を明らかにしましたが、現在大きな課題となっている被災者の生活再建について、あらかじめ準備しておくことが重要と考えます。知事の所見を伺います。
 発災から三カ月以上が経過しました。罹災証明書の発行がいまだに滞り、生活再建の資金や義援金が十分に被災者のもとに届いていない現状があります。被災自治体で職員の手が足りないことも原因でありますが、被災情報や行政情報を一元化し、迅速に事務処理する仕組みが構築されていなかったことも影響していると考えます。
 阪神・淡路大震災の被災地である兵庫県西宮市は、被災者の被害状況や避難先などの基本情報を一元化した被災者支援システムを開発し、地方自治情報センターを通じて自治体に配布されています。罹災証明書の迅速な発行のほか、緊急物資、倒壊家屋の管理など、災害時に必要な行政事務の処理に力を発揮しています。義援金支給の申請手続も一括して処理できるなど、手続の簡素化に効果があります。
 昨年、都議会公明党は、電子地図を活用して、被害状況を的確に把握し、迅速に罹災証明を発行するシステムについて質問しましたが、今回の大震災で被災者支援システムの重要性が明らかになりました。人口やあらゆる機能が、集中、集積する大都市東京において、被災者の被害状況を一元化した東京版被災者支援システムを構築する意義を明らかにし、早急に開発することが必要であります。
 また、この東京版被災者支援システムについては、都内の各区市町村がすぐに活用できるよう支援していくべきと考えますが、あわせて見解を求めます。
 次に、保管されているPCB廃棄物の災害対策について質問します。
 昭和四十三年のカネミ油症事件で毒性が社会問題化したPCBは、高圧トランス、高圧コンデンサー、安定器の絶縁油などに使われてきましたが、昭和四十七年以降、日本では製造されておりません。PCBについては、さまざまな中毒症状が報告されていますが、分解されにくいため、海などで長い距離を移動して、地球規模で汚染を引き起こすとされています。
 日本で、昭和四十七年までに使用された量は約五万四千トン、処理が進まないまま長期にわたって各事業所などで保管されてきましたが、平成十三年から毎年、都道府県知事への保管等の届け出や、政令で定める期間内での処理が義務づけられました。
 そうしたやさき、今回の大地震による巨大津波によって、被災地沿岸で保管されていたPCB廃棄物が流される事態が発生をいたしました。PCB廃棄物と認識されずに、瓦れきと一緒に処分されますと、健康被害や生活環境に影響を及ぼすことが懸念されます。
 都は、ことし三月、都内の事業者や処理業者から届け出のあった平成二十一年度末の保管、処理状況を取りまとめました。届け出事業者数は七千七百九十七、保管されているのは、高濃度PCBを含む、高圧トランス千五十七台、高圧コンデンサー一万八千八百十一台、照明用安定器百三十三万個など多岐にわたっております。
 PCB廃棄物が瓦れきに混入するケースとしては、保管していた建物が倒壊し、その下敷きになる場合や、津波などでPCB廃棄物が流出し、別の場所で瓦れきに混入するケースが考えられます。保管していた建物が倒壊し、瓦れきの下敷きになる場合は、あらかじめ保管場所や保管状態が把握されていれば比較的対処しやすいと考えます。平時からPCB廃棄物を適切に管理することが重要と考えますが、都の見解を求めます。
 今回の大震災のように、想定を超える津波や河川のはんらんなどの大災害が東京で発生しないとはいい切れません。都内では高濃度のPCBを含む多くのPCB廃棄物が保管をされております。このため、PCB廃棄物が流出することも想定した対策を講じておく必要があると考えますが、都の見解を求めます。
 次に、震災孤児、遺児について質問します。
 厚労省の掌握によりますと、震災で両親がともに死亡、または行方不明になった児童は、岩手、宮城、福島の三県で二百人以上に上っています。津波にさらわれた保護者は、最後の最後まで子どものことを思い続けたに違いありません。それを思うと、総力を挙げて、孤児、遺児を支援していかねばならないと感じます。
 孤児、遺児の多くは、親族の自宅や避難所で親族とともに生活を続けていると聞いております。都は、孤児、遺児を初め、子どもたちの支援のため、児童福祉司などを派遣してきましたが、避難生活が長期化する中で、子どもたちの不安は一層強まっております。
 派遣する都の専門職も短期で交代していては、心に不安を抱える子どもたちにとって影響は大きいと思われます。より長い期間にわたって、児童福祉司や心理士、養護施設の職員などを派遣すべきと考えますが、これまでの取り組みと今後の支援について答弁を求めます。
 震災後、孤児を育てたいという希望を持つ人がふえており、全国里親会も積極的に孤児の養育を引き受ける方針と聞いております。子どもは、できる限り家庭的な環境で育つことが大切であり、都は、この機会に、養育家庭制度の積極的な普及啓発に努めるべきと考えますが、見解を求めます。
 東京が被災地になったときには、孤児、遺児になってしまう子どもたちが生じることも想定されます。両親を失った子どもたちが、児童養護施設や養育家庭など、社会的養護のもとで育ち、自立できるよう、持続的で幅広い支援を行うことが必要であります。
 福島県相馬市は、条例をつくり、独自の生活支援金を支給することにしたと聞いております。さらに、大学進学まで資金援助をする方向で制度設計を図るようであります。
 災害時には、行政の積極的な取り組みも必要と私は思います。都は、児童養護施設などを退所した子どもたちの状況を調査し、現在分析中と聞いております。今後そうした内容も踏まえ、社会全体で子どもの自立を支える仕組みをつくってほしいと思います。社会的養護のもとに育つ子どもたちの自立について、都の取り組みを伺います。
 次に、ボランティア活動について質問します。
 都は、震災後、東京ボランティア・市民活動センターと連携し、既に十四回に及ぶ都民ボランティアを派遣しました。被災地に負担をかけないこの取り組みは、被災者、被災地のみならず、他府県からの評価も高く、同様の取り組みの模範となっております。
 津波で全壊した仙台市の障害者施設まどか荒浜の施設長が語っておりました。東北には、すごい数のボランティアが来てくださっており、健全で奉仕精神にあふれた若者がたくさんいます。支え合い、きずなづくりの先達を務めたのがこの方々です。今後、第二、第三の災害があっても、こうした方々の存在は大きな救いですと。そして、その業績をぜひ顕彰すべきと強調していました。
 ボランティアの皆さんの姿を多くの人に伝えることは、それに続こうとする人を勇気づけ、後世への貴重な記録にもなります。都民ボランティア派遣に参加した人を初め、被災地で汗を流す都民の苦労や、現地でなければわからないノウハウを積極的に広めていくことが大切と考えます。都の見解を伺います。
 ゴールデンウイークには、多数の都民がボランティア活動で被災地に入りました。その後も、土日などを利用し、活動が続けられております。そうした中で、社員のボランティア参加を支援するボランティア休暇制度を新たに導入する企業が出てきています。
 しかし、中小企業では、その制度を設けることは難しいという面もあるようであります。都は、企業が被災地支援に取り組むことの一つとして、社員がボランティア活動のために被災地に行きやすくするため、ボランティア休暇制度の推進を具体的に支援すべきと考えますが、答弁を求めます。
 次に、愛護動物の保護について質問をいたします。
 家族の一員としてペットと暮らす人がふえております。被災地では、飼い主が亡くなったり、原発事故で避難して取り残された愛護動物の保護が課題になりました。東京に避難してきた方々の中には、愛護動物を同行してきた人もおり、都の避難所でも、愛護動物への対応が必要になりました。
 都の避難所にいた避難者の方々は、既にさまざまな住宅に転居しております。一緒に避難してきた動物は、知り合いなどに預けているケースもあると聞いておりますが、避難が長期化する中で、愛護動物への対応を明確にする必要があると考えます。都の対応を伺います。
 東京が被災地になった場合、飼い犬の野犬化や、繁殖による衛生管理上の問題など、さまざまな課題が出てきます。また、避難所や仮設住宅における愛護動物との同居を要望する声もあります。これらの課題に対応するため、今回の震災における愛護動物への経験を生かしつつ、初動段階からの対応などについて、地域防災計画の見直しや具体的な取り組みを推進すべきと考えますが、答弁を求めます。
 最後に、被災地の産業支援について質問します。
 私は先月、都議会公明党の被災地調査メンバーとして福島県に行きました。原発事故によって、漁の自粛を強いられた相馬漁港では、早急に水産物の放射能サンプリング調査を行って安全確認し、一刻も早く漁を再開できるよう、都として応援をしてほしい、こうした要望を受けてまいりました。
 このほど改めて、漁協関係者から強い要望があり、サンプリング調査は、水産庁から福島県に依頼されているが、限られた品目しか行われておらず、一層の拡充が必要とのことでありました。
 都は、こうした現地の状況をさらに調査し、積極的に支援の検討を進めるべきであります。見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 高倉良生議員の一般質問にお答えいたします。
 被災者の生活再建のための備えについてでありますが、今回の震災で多くの被災者は、大切な家族や生活基盤を失い、非常につらく困難な状況に置かれておられます。とにもかくにも、生活再建へ向けた具体的な道筋を速やかに示し、苦悩する被災者の前途を開かなければならないと思います。
 しかし、国の対応はどうも場当たり、後手に回っておりまして、被災者の日々を支えるはずの義援金すら、一向に行き渡ってない現況であります。
 都は、都民や職員から集まりました義援金、七億円を超すものでありますが、これはもう、国や赤十字に預けたら、らちが明きませんので、直接被災三県にお渡しして、それぞれの県の判断で配ってくれということを申しました。
 そうした中で、都は、現地に、既に延べ千人を超える職員を派遣し、行政機能の再建に協力し、瓦れきの撤去や仮設住宅の建設など、生活再建に不可避な焦眉の課題に取り組んでおります。さらに、都は既に、阪神・淡路大震災などの実例を研究して、逐次ブラッシュアップしながら作成してきました被災住民の生活再建のロードマップを岩手県に提供しました。私も、初めてそれを今回、目にしましたが、非常によくできたもので、きっとその被災県にとっては大きな役に立つと思っております。
 これを提供を機に、ロードマップに詳しい職員も派遣しました。県に協力しつつ生きたノウハウを吸収させて、都における生活再建策拡充にも還元していきたいと思っております。
 また、現地事務所や派遣した職員からの報告では、生活再建にとって、行政機能が低下し、住民の被災状況を十分に把握、管理できていないことが、また大きな障害になっておりまして、東京での震災にも備えて、被災した住民の情報を一元化するITシステムをあらかじめ備えていくことが必要だと認識しております。既に、開発に着手しておりますが、これを全速力で進めていくつもりであります。
 いずれにしても、被災地、被災者支援に全力を尽くしながら、東京の場合にも、いざというときに備えていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

〇総務局長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 被災者支援システムについてでございます。
 首都直下地震が発災した場合、膨大な数の被災者から一斉に罹災証明の申請が出されるため、区市町村の発給業務の効率化は重要な課題でございます。国は現在、全国の市町村用に被災者支援システムの開発を進めておりますが、このシステムでは、罹災証明発給に必要な消防の火災情報や、固定資産税情報を都内区市町村の多くが所有していないという東京特有の課題に対応ができません。このため、都は国と協力して、東京版被災者支援システムの開発を進めており、来年度中には実用化できる見込みでございます。
 次に、システム活用に向けての区市町村支援でございます。
 都内区市町村が、東京都版被災者支援システムを導入することにより、被災者支援に関する事務の共通化が図られ、発災時において相互の応援や協力が容易になるなど、大きな効果が期待できます。このため、都としては、本システムの導入を積極的に区市町村に働きかけてまいります。
 具体的には、本年秋に豊島区と調布市においてシステムの実証実験を行い、その有効性を広く区市町村に周知いたします。さらに、システム完成後には、区市町村に対して説明会や研修会を開催するなどし、早期にシステムが活用されるよう、きめ細かに支援をしてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) PCB廃棄物に関する二点のご質問でございます。
 まず、災害の発生を視野に入れたPCB廃棄物の適正管理についてでございますが、都は、PCBを使用した高圧トランスや高圧コンデンサー等のPCB廃棄物の保管管理を徹底するため、PCB特別措置法等によりまして、毎年、PCB廃棄物の保管場所、数量、保管状況等を保管者から都に届け出させ、データベース化し管理をしております。
 災害時に、瓦れき処理を直接担う点では、区市町村の役割が大きいことから、PCB廃棄物の管理について、平時から区市町村との連携や情報共有を密にすることが重要と考えております。
 区市町村に対しましては、従来から、PCB廃棄物の適正保管等についての説明会を毎年実施してまいりましたが、今年度からは、PCB廃棄物の保管場所等の最新の情報を提供するとともに、瓦れき処理に伴うPCB廃棄物の分別や、仮置き等の取り扱いについても説明をいたします。今年度は、来月中にも説明会を実施する予定でございます。
 このようにいたしまして、区市町村との連携を深め、災害発生時に適切なPCB廃棄物の取り扱いができるようにしてまいります。
 次に、PCB廃棄物の流出を想定した対策についてでございますが、津波などで流出したPCB廃棄物を、瓦れきの中から選別し、専門の処理施設で無害化処理をするためには、あらかじめPCB廃棄物であることが容易に判別できるようにしておく必要がございます。従来より、都や電気保安協会では、PCB廃棄物の紛失等の防止のため、PCB廃棄物であることを示すラベルなどの貼付を求めてまいりました。
 今後、都は、津波などによる流出も想定し、とれにくく目立ちやすいタグやステッカーに大きな文字でPCB入りである旨や保管者氏名を記載するなど、表示方法を明確にし、PCB廃棄物の保管者に対し、表示の徹底を指導してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 五点の質問にお答え申し上げます。
 まず、児童福祉司などの派遣についてでございますが、都では震災直後より、児童福祉司及び児童心理司を被災地へ派遣し、現地の児童相談所職員と連携をして、避難所などで生活する子どもの現況把握などを行ってまいりました。
 震災発生から三カ月が経過し、被災地の子どもは、これまで内面に抑えていた精神的な不安が表出し、さまざまな問題が生じてくることが考えられます。こうした子どもの心のケアを行っていくためには、子どもとの信頼関係を構築した上で、一定期間にわたるカウンセリングを行うなど、継続的な支援が必要でございます。そのため、今後、被災県から心理職員など専門職員の長期にわたる派遣の要請があった場合には、具体的に検討を行ってまいります。
 次に、養育家庭制度の普及啓発についてでございますが、子どもは、できるだけ家庭的な環境のもとで健やかにはぐくまれることが望ましく、都はこれまでも、さまざまな事情により親元で生活することのできない子どもを、より家庭に近い環境で育てる養育家庭の拡充に努めてまいりました。
 今回の震災を契機に、孤児や遺児が家庭で安心して生活することのできる養育家庭制度の重要性が改めて認識されておりまして、都としても、制度の意義や内容を十分ご理解いただくために、ホームページや雑誌などにより周知を図っております。
 今後も、ことし作成をいたしましたPR用のDVDを活用するほか、テレビなどのメディアに働きかけるなど、多様な広報媒体を通じまして、一層の普及啓発を行ってまいります。
 次に、社会的養護のもとに育つ子どもの自立に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまで、児童養護施設などを退所した子どもに、相談指導や就職先への訪問などを実施する施設に対しまして、都独自の補助を行うなど支援を行ってまいりました。また、昨年度から、NPOや企業のノウハウを活用いたしまして、施設入所児童の就業を支援するほか、子どもたちの進学支援を行う企業に対しまして、専門的な立場から助言を行っております。
 本年一月には、自立に向けた支援の課題を把握するため、施設などの退所者に対しますアンケート調査を行いまして、約七百人から回答を得て、現在、調査結果の分析を進めております。
 今後、その結果も踏まえまして、NPOや企業などとも連携し、社会全体で子どもの自立を支える取り組みを検討してまいります。
 次に、避難者が同行してきた動物への対応についてでございますが、都はこれまで、都が開設をいたしました避難所を退所する飼い主が、転居先で犬や猫を飼い続けることができなくなった場合、財団法人日本動物愛護協会など四団体で構成をいたします緊急災害時動物救援本部などを通じまして、動物病院やボランティアなどの一時預かり先を確保してまいりました。
 今後、避難期間がさらに長期化すると、こうした預かり先で保護し続けることも困難となることが想定されます。このため、都は、これらの犬や猫を収容し、保護するための施設を、本年十月を目途に設置をいたしまして、関係団体と連携をして運営してまいります。
 最後に、災害時における動物への対応についてでございますが、現在の地域防災計画では、災害が発生した場合、都は、被災動物への医療提供や飼い主不明の動物の保護、避難所の運営主体である区市町村と連携をした避難動物の状況把握などを実施することとしております。
 今回の震災では、都が避難所を開設しましたが、その運営を通して災害時の動物の取り扱いに関する飼い主の知識のあり方、動物の飼育場所やケージなどの資材の確保、一時預かりを行う団体との連携などの課題が改めて確認をされました。
 こうしたことを踏まえまして、今後、改めて、飼い主に対し、同行避難を周知徹底するとともに、避難所における動物の取り扱いについて、具体的に定めたマニュアルを作成するよう、区市町村に働きかけてまいります。また、動物の円滑な保護、収容を行えるよう、関係団体との協力体制も強化いたします。こうした取り組みを来年度の地域防災計画の見直しに反映させてまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

〇生活文化局長(並木一夫君) 被災地でのボランティアの活動やノウハウを積極的に広めていくことについてでございますが、被災地におけるボランティアの活動内容や実体験に基づく情報などを都民に広めていくことは、ご指摘のとおり、これから被災地に向かおうとする人の意欲を高めるとともに、今回の大震災におけるボランティア活動の記録を残し、今後に役立てるため極めて重要でございます。
 このため、都は、これまで派遣してまいりました都民ボランティアなどの活動に関する報告会を開催し、現地の活動から得られた体験やノウハウなどを広く都民に伝えてまいります。
 さらに、報告会の内容や被災地での活動を記録した写真等をホームページで公開するほか、ボランティア活動を呼びかけるリーフレットを作成し、そこに掲載するなどさまざまな手法で、より多くの人々にその内容を知らせてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、企業のボランティア休暇の推進についてでありますが、東日本大震災の復旧、復興には多くのボランティアが活動しており、大きな力となっております。しかし、週末や大型連休に集中する場合が多くなっております。
 企業におけるボランティア休暇制度は、被災地のニーズに継続的に対応するための有効な手段の一つであり、社員の意欲にもこたえるものと認識しております。
 平成十九年に厚生労働省が実施した調査では、ボランティア休暇制度を設けている企業の割合は、従業員一千人以上の企業で一七・七%となっておりますが、九十九人以下の企業では一・八%にとどまっております。
 今回の震災では、多くの企業が復旧、復興支援に取り組んでおり、ご指摘のように、ボランティア休暇制度を新設、拡充する動きも広がってきております。
 都は、労働相談情報センターにおいて、毎年約一万人を対象に、労働に関するセミナーを実施しておりますが、東日本大震災を踏まえ、新たに実施する震災関連の労働セミナーにおきまして、企業の人事担当者等を対象に、ボランティア休暇制度に関する知識の普及を積極的に行うことによりまして、企業における同制度の導入を促してまいります。
 次に、福島県への支援についてでありますが、国の水産物の放射性物質検査に関する基本方針によりまして、沿岸性魚種につきましては各都道府県が、広域回遊性魚種につきましては国及び関係業界団体等が主体となり検査を行うこととなっております。
 したがいまして、福島における沿岸性魚種の検査は、福島県が実施するものでありますが、今後、福島県から現地の東京都事務所を通じて都に協力依頼があった場合には検討してまいります。

〇副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後五時四十四分休憩

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