平成二十三年東京都議会会議録第九号

   午後三時五十一分開議

〇議長(和田宗春君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十三番西沢けいた君。
   〔十三番西沢けいた君登壇〕

〇十三番(西沢けいた君) さきの石原知事の所信表明の中で、海外企業のアジア本社や研究機関を誘致するため、総合特区制度を起爆剤として活用し、東京ならではの魅力を高め、都市政策や産業政策などを展開、アジアのヘッドクオーターとして東京を進化させていく、こういった趣旨の発言をされました。
 総合特区法案は、平成十五年に始まった構造改革特区制度と違い、規制、制度の緩和だけでなく、財政上の支援や金融上の支援、法人税の軽減などの税制上の支援などもある内容で、この制度を活用しない手はありません。
 法案は、おととい国会で成立しました。具体的な動きが展開されることになります。まだ特区指定に向けたスケジュールが定まっているわけではありませんが、八月くらいには指定に向けた手続が進んでいくのではないかといわれているようであります。総合特区の指定は、地方公共団体が地域協議会をつくり、ここで協議等を経て申請をするということになっています。他の自治体では指定に向け、既に地域協議会の立ち上げの準備をするなど、素早い対応をしていると聞きます。というのも総合特区指定には、先駆的な取り組みを行うという項目があり、自治体同士が競い合うようになっているからであります。
 また、総合特区制度の国際戦略総合特区指定は、国に話を聞くと、まだ正式には決まっているわけではないが、五件ぐらいの指定になるのではないかということであります。自治体に対する調査では、既に全国で六十七件の取り組み件数があり、指定を受けるには大変厳しい競争があるということがわかります。
 東京都は、国際コンテナ戦略港湾特区の設置や、アニメコンテンツ等、産業拠点構想などを提案しているわけですが、総合特区制度の指定に向けた都の取り組みを伺います。
 また、都市計画の規制などを緩和し、税制上の支援を受けられる仕組み、平成十四年に始まった政令で指定する都市再生緊急整備地域に対する支援制度があります。東京都内では現在八地域指定されており、民間の活力を生かした都市づくりを後押ししています。
 本年四月に改正され公布された都市再生特別措置法は、より支援制度を充実させた特定都市再生緊急整備地域を指定し、規制緩和や金融支援、財政支援を行っていくことが盛り込まれております。税制支援はもちろん、予算での支援、道路の上空利用のための規制緩和や下水の未利用エネルギーを民間利用するための規制緩和など、都市機能を高めるための国の支援を得られることになるわけであります。
 現在、全国の都市再生緊急整備地域は、東京の八地域を含め六十五地域があります。国土交通省に話を聞くと、今回の特定地域の指定は十地域ほどの指定になるのではないかとのことです。六十五地域のうち十地域程度に絞られるうち、ほかの自治体も手を挙げる中で、東京都内の八地域が特定地域となるのは、これも難しい状況であります。
 こうした中、例えば大阪市では都心部最後の一等地といわれる大阪駅周辺の開発のために特定地域はマストの課題であるとして、指定に向けた取り組みを日々努力されているということであります。また、横浜市では横浜駅周辺、みなとみらい地区の指定に向けて、指定されればすぐに動き出せる協議会の準備会のようなものをつくるなど、積極的に活動されていると聞きます。
 日本を牽引する首都東京を抜きにして、特定都市再生緊急整備地域の指定は考えられません。まだ詳細な指定基準が示されていない状況ですが、都市の国際競争力の強化のための法律です。東京の持つポテンシャルの高さを最大限に生かし、都市再生に向けた取り組みを進めるため、積極的な活用を図っていくべきと考えます。都の見解を伺います。
 特定都市再生緊急整備地域の指定は、先ほどの総合特区制度と同様に、知事が所信でいっていたように、東京が日本経済を牽引していくためのツールとして大いに活用し、相乗効果を高めていくべきです。その際、総合特区の指定に関して、地域の本気度を示す公共団体の責任ある関与の見込みが参酌されるように、地方公共団体の本気度、つまり、私は首長の本気度、思いというものが重要であり、知事の発言力や人脈を生かしていく機会であると考えます。
 今こそ知事がリーダーシップをとり、二つの制度を利用するなど、東京の国際競争力を高める取り組みを推進していくべきだと考えます。知事の見解を伺います。
 東京都の行政改革について伺います。
 東日本大震災は甚大な被害を日本にもたらしました。今後、東京都の政策が、防災という新たな軸にシフトしていくということは明らかであります。石原知事のいうように、東京から日本を再生するというのであれば、それを支える東京都という組織がどうあるべきなのかということも、あわせて考えていかなければなりません。こうしたときだからこそ、限られたマンパワーなどをフルに活用し、最大の効果を上げる組織として、東京都自身も変わっていかなければならない、行政改革を進めていかなければならないんだと私は思います。
 知事はかねがね、都庁には国と違って現場があると発言しています。防災や復興支援という新たな課題にも全庁を挙げて立ち向かわなければならない今こそ、知事がリーダーシップをとり、東京都という組織をさらに進化させていく必要があると思います。
 そこで、まず知事に、四期目最初の議会でもありますので、都の組織のありようについて、どうあるべきと考えるのか伺います。
 石原都政では、これまで、平成十二年に都庁改革アクションプランを策定したのを皮切りに、十五年には第二次都庁改革アクションプラン、十七年には行財政改革の新たな指針を、十八年には行財政改革実行プログラムを策定し、財政再建や経費削減、監理団体改革などに取り組んできました。
 例えば、平成十一年から比較して二万人以上の職員削減を行ったという結果はあります。ただ、本当に人員の削減で経費削減につながったのでしょうか。税金のむだは即刻省いていかなければならないと強く思いますが、ただやみくもに減らせばいいということではなく、その効果についても、十分な検証が必要です。また、監理団体の団体数は、平成十一年から比較して半減、職員数も削減したとしています。こうした団体数の削減によって逆に非効率になるということはなかったんでしょうか、経費削減につながったのでしょうか。
 これからの行政改革の方向性を議論し、定めていくためにも、これまでの行政改革の効果や反省点について、しっかり検証することが必要であると考えますが、見解を伺います。
 平成十八年度に策定した行財政改革実行プログラムは、平成二十年度までの三カ年計画であり、これを最後に東京都庁の大きな行政改革の計画はありません。本年二月の第一回定例会での行政改革の方向性についての我が党の代表質問で、総務局長は不断の行政改革をしていきますと答弁をしました。
 都は、今後、東京都防災対応指針や「二〇二〇年の東京」を策定し、東京から日本を再生させていくとしています。今後の取り組みを、絵にかいたもちではなく、より実効性を上げるものへと高めていくためには、それを支える都の組織のあり方、そして、その役割について、しっかり検討することが前提なのではないでしょうか。早急に、都が目指す新たな行政改革の指針を策定し、その方向性を明確に示す必要があると考えますが、見解を伺います。
 さて、都は昨年、監理団体のより積極的な活用を目指す新たな方針を策定しました。しかし、都のOB幹部職員の再就職先、いわゆる天下り先になっていることから、都民の団体を見る目が厳しいのが現状であり、さらなる改善が必要であります。
 こうしたことを踏まえ、都議会民主党は昨年、監理団体検証ワーキンググループを立ち上げ、不断の監理団体改革を進める立場から、経営の透明性の一層の向上を求めるなど、各監理団体の検証と、改善に向けた提案を行いました。その結果、都は、監理団体が特命で受託した事業等については情報公開を進めるなど一定の成果が得られたところであります。
 一方で、依然として課題も残っています。契約先に都庁OB職員が在職しているかといった情報については、現在、監理団体が契約する一億円以上の特定契約の場合は公表されております。しかし、驚くことに東京都本体が契約する場合はそうした情報は明らかにされていません。せめて、少なくとも監理団体が取り組んでいる内容と同じレベルまでは、特定の契約先に都庁OB職員が在職しているのか、都としても明らかにすべきと考えます。確かに、都庁版人材バンクの中で幹部職員の退職時における再就職先は公表されていますが、その内容は限定的です。人材バンク制度を透明性向上の観点から今後も見直すべきと考えるが、見解を伺います。
 帰宅困難者対策について伺います。
 東日本大震災当日、震度五強の揺れであったにもかかわらず、鉄道などの交通機関がストップし、都心部は帰宅困難者であふれパニック状態に陥りました。これまでの計画の中で想定していない事態が多くあり、これを教訓としなければなりません。
 新宿駅や品川駅など都心部の八つの駅には、市区町村が中心となり防災訓練などを行う駅前協議会があります。この協議会のメンバーでもあるJRは早々にシャッターを閉め、帰宅困難者を締め出してしまいました。例えばJR新宿駅が閉まったことで、震災当日は都庁舎に約五千人もの方が帰宅困難者として受け入れられたわけでありますが、これも想定していなかったと聞いております。
 駅前協議会は、市区町村が中心ですが、もともとは都が中心となり立ち上げたものです。首都直下地震が発生した場合、現場での直接の帰宅困難者対策は市区町村がとることで、都の役割はほかにもさまざまあるということだと思われますが、私は広域な問題でもあると考えています。駅前協議会には、都はより一層積極的に関与していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 いざ災害があった場合、自宅に帰るべきなのか、それとも勤務先や学校などにとどまるべきなのか、震災当日、対応はさまざまでした。専門家の意見も多種多様ありますが、帰宅することによって建物の倒壊や火災に遭うなど二次被害を防ぐために、基本的には帰宅しないようにするべきという意見が大勢にあるようです。
 東京都は、基本方針の中では、むやみに行動を開始しないとしつつも、都が定めた帰宅困難者心得十か条では、歩いて帰る訓練を奨励し、帰宅支援ステーションとして協力いただいているコンビニエンスストアやファミリーレストランなどに、徒歩帰宅をする皆様を支援します、とステッカーを配っております。これではどのように行動すればいいのか、悩んでしまいます。今回、混乱状況の中で家族の安否が心配で、とにかく帰宅をしたという方が多くいらっしゃいました。こうした方々に対し、より正確な情報を素早く発信することが大切です。
 さらに今回、帰ることができたという経験があり、さらに深刻な震災があった際にも、同様にすぐに帰宅しようとする方が多く出てしまうのではないかということも懸念されます。
 これまでの都の政策は、震災時に帰宅をする場合の支援を行うことを進めているように考えられるわけであります。帰宅困難者をとどまらせるための対策がおくれているように感じるわけでございますが、こうした状況を踏まえて、今後の都の方針はどのようにするのか、見解を伺います。
 帰宅困難者の受け入れは、行政だけでの対応には限界があり、民間の事業者などにも積極的に協力を呼びかけるべきであります。都心部のビル、百貨店などの建物では、帰宅困難者の受け入れが可能な施設が多々あり、受け入れの協力を進めることが必要だと感じます。ある事業所では常に備蓄を備え、いざというときには社員が自身の安全を守ることに加えて、周辺地域の災害対策に貢献する仕組みまで整えています。
 また、ある場所では、お客様が一時的に帰宅困難になった場合に受け入れる場所を決めるなど、先進的に取り組んでいる企業も多くあります。
 今回の震災の教訓として、帰宅困難者がまちじゅうにあふれ出た場合、現状の受け入れ施設では不十分であるということが明らかになりましたが、民間の事業所などを含めて、どのくらいの人数の受け入れが可能かということはわかっておりません。条例で民間企業に協力の努力義務を課すべきだという意見もあります。
 今後は、民間事業者の協力を最大限に求める必要がある。民間事業者を含めた受け入れ収容人数がどのくらいあるのかを調査するなど、一時受け入れ施設の確保に努めるべきですが、見解を伺います。
 また、受け入れをするとき、だれがどのように受け入れるのか、マニュアルのようなものが必要です。例えば、都庁舎で帰宅困難者を受け入れる際には、庁舎内の職員の方々が臨機応変に対応されたと聞きましたが、受け入れ場所をどうするのか、ローテーションはどのようにするのか、現場リーダーはどうするのかといったことなどを決めておく必要があります。
 庁舎だけではなく、学校現場では児童をとどまらせるべきか、帰すべきかといったことや、事業所では、お客様にどういった対応をするべきかといったことなど、都内各地で判断に迷うような状況が生まれたわけであります。
 局ごとに管理が分かれた都立施設や、市区町村の施設、民間の事業所など、運営する主体はばらばらでも、現場が混乱しない仕組みが必要といえます。確保した一時受け入れ施設は、発災時に円滑に帰宅困難者を受け入れることが重要になります。
 そのため、都はもちろん、関係する主体が発災時のマニュアルをつくれるような体制を、都が音頭をとって整えることが必要と考えますが、見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 西沢けいた議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東京の国際競争力についてでありますが、都はこれまでも、羽田空港の国際化や三環状道路の整備などで国を動かし、国際的な都市間競争を勝ち抜くための条件整備に力を注いできました。国も遅まきながら、都市の国際競争力を高めるため、都市再生基本方針の改定や総合特区制度の創設を行いました。
 しかし、国際競争力強化の名のもとに幾つもの制度を創設しても、国としての基本的な戦略性が何もないまま、省庁ごとばらばらに運用されようとしているのが実態であります。このままでは、仏つくって魂入れずということになりかねません。
 民主党の皆さんにも、国の縦割り行政の弊害を東京都の現場に落とすことのないように、国に強く物を申してもらいたいと思います。
 いずれにしても、都は重要な現場を有する強みを生かし、制度を一体的に活用することで相乗効果を高め、戦略性をもって、東京をアジアのヘッドクオーターへと進化させていきたいと思っております。
 次いで、都の組織のありようについてでありますが、今日、複雑さを増して変化の絶えない時代にあって、国の官僚のように、継続性、一貫性というものにとらわれていては、全くこれは行政が現実に通用しないと思います。
 中でも、日本の心臓部、頭脳部であります首都東京には、我が国が直面する課題が最も先鋭的にあらわれているわけでありまして、都の組織は、現場に根差した発想で、環境問題や少子化対策などの課題の本質をとらえ、あらゆる分野に横ぐしを通して複合的に対処することが不可欠であります。
 現民主党の内閣のように、やたらに審議会をつくっても、本当にそれを、横ぐしを通して行政に反映させる指導力がないために、同じ与党の亀井静香議員のように、非常に辛らつな批判を浴びざるを得ない。
 それに、このたびの東日本大震災においても、国の対応が後手後手に回る中、被災地、被災者への支援や都内の防災対策に、警察、消防、福祉、医療などすべての部署が、現場で培ってきた人材、経験、手段を結集して、まさに一丸となって取り組んできたわけであります。
 また、被災地に派遣した職員の生の経験を、今後の東京の防災対策に生かしていきたいと思っております。
 今後、大震災を乗り越え、我が国の発展を牽引し続けるためにも、震災後の都民生活と首都経済の再生、発展、高度防災都市の実現、東京発の環境エネルギー戦略の展開など、今までにない課題に果敢に挑まなければなりません。
 そのためにも、東京という現場ゆえに気がつく急所、着想を押さえて、つかさ、つかさが最大限の力を発揮しながら、同時に、重層的に横の連携をとって、日本の隘路を打破できる組織に一段と鍛え上げていきたいと思います。
 現実に、制度の改革としては、従来ありました知事本部を本局にかえまして、この局長が政府における官房長官と同じように、各省の行政に横ぐしを通して、とにかく力を結集するという組織を今運営しているわけです。
 オリンピック招致のときにも、この縦割り行政の弊害があちこちに出まして、幾つかの局が同じことをやるようなざまがありましたが、これは反省の大きな素因として、あくまでも知事本局を中心に各局に横ぐしを通すという形で、これからも都政を運営してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 特定都市再生緊急整備地域の活用についてでございます。
 都はこれまでも、都市再生緊急整備地域において、都市再生特別地区を活用した優良な民間プロジェクトを積極的に誘導し、東京の都市再生に大きな成果を上げてまいりました。
 このたび、都市の国際競争力の強化を図ることを目的として、税制の特例などが手厚く受けられる特定都市再生緊急整備地域の制度が創設されました。本地域は、都市再生緊急整備地域のうち、国内外の主要都市との交通の利便性や都市機能の集積度が高く、経済活動が活発に行われている地域等を指定することとなっております。
 都内の都市再生緊急整備地域は、我が国の国際競争力を発揮する上で、それぞれ重要な役割を担っておりまして、この指定要件に該当していると考えられます。このため、都としては、お話にあったような全国的な枠を前提として、地域を絞り込むことは適当ではないと考えておりまして、その旨を国に対して申し入れております。
 引き続き、都としての主体性を持って国との協議を進め、本制度も活用しながら、東京の都市再生の一層の推進と国際競争力の強化を図ってまいります。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 総合特区制度についてでございますけれども、総合特別区域法が先日成立をいたしまして、今後、法に基づく基本方針のパブリックコメントを経まして、国による対象特区の提案募集等の具体的な手続が始まろうという段階にございます。
 総合特区に指定されるためには、内容に先駆性があることや、有効な国への規制、制度改革の提案があるなど、国の指定基準に合致する制度設計が必要でございます。
 昨年九月に、国が総合特区に関するアイデア募集を行った際に、民間事業者等から、都内を対象エリアとする提案が、大規模な開発を伴うものから大胆な規制緩和等を求めるものまで、約四十件寄せられていることは都としても承知をしており、現在、対象エリアの設定の考え方や、先駆性の具体的内容など、さまざまな観点から国と意見交換を進めております。
 この特区の申請主体が地方公共団体とされておりますことから、今後都には、民間事業者から多数の提案が寄せられることが予想されるところでございます。
 全国からも多数の申請が見込まれる中で、都が確実に特区指定を勝ち取るためには、こうした民間事業者等からの提案を踏まえた上で、先駆的な取り組みや、規制の特例措置などを盛り込んでいく必要がありまして、申請の具体化に向けた取り組みを推進してまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

〇総務局長(比留間英人君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、これまでの行政改革の効果の検証についてでございます。
 都はこれまで、監理団体や民間など多様な主体との連携を図りつつ、徹底したむだの排除による執行体制の再編など、既存の行政システムを抜本的に見直す改革に取り組んでまいりました。
 これらの取り組みの成果については、包括外部監査や新たな公会計制度、事業評価制度などの仕組みを活用し、専門的かつ客観的な観点から評価を実施してきました。
 今後とも、こうした仕組みを活用するとともに、昨年度実施した監理団体活用方針策定などの監理団体改革や、指定管理者制度の見直しについて、団体の性格や施設特性を踏まえた評価を実施するなど、多様な手法を用いて行政改革の実効性を不断に検証してまいります。
 次に、これからの行政改革の方向性についてでございます。
 都はこれまで、事務事業の抜本的な見直しによる職員定数の削減や監理団体改革など、国や他の自治体を上回る徹底した改革に取り組み、スリムで効率的な執行体制を確立しつつ、都民サービスの向上を図るなど、着実な成果を上げてまいりました。今回の東日本大震災の発生に伴い、都は高度防災都市の実現や、被災地への支援、東京の経済の再生など、新たな課題に直面をしております。
 現在重要なのは、こうした課題に一つ一つ的確に対応していくことであり、そのためには、これまでの行政改革の成果を生かしつつ、組織の枠を超え、都の総力を挙げて取り組むことが必要でございます。こうした取り組みを推進するため、今後とも手を緩めることなく不断の改革を実行してまいります。
 次に、都庁版人材バンクについてでございます。
 都では、人材の有効活用と透明性の向上を図るため、再就職情報を一元管理する人材バンクを昨年整備をいたしました。都民から、公正な都政運営に疑念を持たれないよう、部課長級以上の幹部職員全員の再就職状況を公表するとともに、民間企業などへの再就職の際には、新たに求人票の徴取や、営業活動の自粛について書面で確認を求めるなど、企業等との関係を一層厳正に保つことといたしました。
 この制度を毎年適切に運用し実績を積み重ねることで、再就職に関して都民に公表する情報が蓄積され、より一層透明性の確保が図られると認識をしております。
 今後とも、透明性のさらなる向上を図る観点から、運用状況について検証をしてまいります。
 次に、駅前滞留者対策推進協議会についてでございます。
 都は、新宿駅、品川駅など八カ所のターミナル駅において、区市と共同で、大型商業施設などの周辺事業者で構成する協議会を設置し、発災時における混乱防止に向けた地域の行動ルールを策定するなど、駅前滞留者対策を実施してまいりました。
 しかしながら、発災当日、駅周辺に多くの滞留者が発生し、大きな混乱が生じたところです。こうした状況を踏まえ、都は発災当日の八つの協議会の活動、駅周辺事業者の動向や滞留者の状況などを調査するとともに、行動ルールの有効性などを検証してまいります。これをもとに、都と八つの協議会で構成する連絡会において、課題解決に向けた実効ある対策を検討してまいります。
 次に、帰宅困難者に対する今後の方針についてでございます。
 首都直下地震が発生し、交通機関や道路に被害が生じた場合には、今回の震災以上に大きな混乱が起きると想定がされます。このため、安全な帰宅手段が確保されるまでの帰宅の抑制、帰宅困難者の一時待機施設の確保、速やかな安否確認と情報提供など、対策を強化する必要があります。
 また、道路等の状況が落ちついた段階では、徒歩帰宅に加え、陸上、海上輸送の実施により、帰宅困難者の早期の帰宅に向けて取り組む必要があります。
 これらを踏まえ、都は、国、経済団体、鉄道事業者などで構成する協議の場を設け、行政や事業者の役割と責任を明確にするとともに、社会全体で取り組む帰宅困難者対策を策定してまいります。
 次に、一時待機施設の確保等についてでございます。
 首都直下地震が発生した場合には、今回の地震と異なり、被災した多くの住民を避難所に受け入れる必要があることから、帰宅困難者のための一時待機施設の確保は大きな課題でございます。このため、公的施設はもとより、民間事業者の協力を得て、駅周辺のビルや施設などにおける一時受け入れ施設の設置を推進する必要があります。
 今後、帰宅困難者対策について検討する協議会において、民間事業者に対し、一時待機施設の実態把握と確保について協力を要請してまいります。
 最後に、帰宅困難者の円滑な受け入れについてでございます。
 発災時に想定される膨大な数の帰宅困難者を一時待機施設に円滑に受け入れるためには、受け入れ側への正確な情報伝達や、施設職員の迅速な行動が不可欠でございます。
 このため、帰宅困難者対策について検討する協議会において、一時待機施設の情報連絡体制や運営方法について検討を行ってまいります。この検討を踏まえ、都は、帰宅困難者対策訓練を、一時待機施設を含む関係機関と連携して実施し、発災時の対応手順の策定に生かしてまいります。

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