平成二十三年東京都議会会議録第九号

〇副議長(鈴木貫太郎君) 二十三番きたしろ勝彦君。
   〔二十三番きたしろ勝彦君登壇〕

〇二十三番(きたしろ勝彦君) 福島原子力発電所事故対策のために出動したハイパーレスキュー隊に対し、感涙をもって感謝をした知事の気持ちは痛いほどわかります。指揮官は覚悟を持って命令を出すものです。隊員は、その命令に対して、命をかけて果たそうとするのです。それは、警視庁にあっても同じです。命をかけている仕事、消防庁、警視庁の皆様に心からの感謝を申し上げます。
 そして、忘れてならないのは、自衛隊の活動です。発災以来の活動です。この活動は、本来的な任務ではありません。しかるに、内閣には、その組織を暴力装置と憶面もなく発言する閣僚がいるわけです。昔、左翼暴力学生だったのでしょう。その後、彼は、自衛隊員に対して感謝の意をあらわしたのでしょうか。感謝の気持ちがあらわせないのは、日本人として許されるものではないと私は思っております。
 そして、さらに許されないのは、原発事故での菅総理の対応です。それが今も尾を引き、国民の不安を増幅させているのです。このように、政府の混迷、ていたらくを現場の頑張りが何とか支える形で三カ月が経過しました。
 日本全体を見渡せば、今なお自粛ムードの中にあります。震災直後に、石原知事は、花見を自粛すべきという発言をされましたが、その趣旨が正確に伝わらなかったがゆえに、都民の間で後ろめたさによる過度の自粛ムードが起こり、東京の経済が少し冷え込んでしまったように思います。まだ多くの住民が避難所生活を余儀なくされ、原発事故も現場での苦闘が続いています。同胞たちが苦しむ姿を前にして、東京はもとより、全国が悲しみを共有する気持ちも当然であります。
 しかし、自粛すべきは浪費であって、日常生活に必要な消費や伝統行事ではないはずであります。百カ日法要も営まれています。涙を終えるといわれる卒哭忌の法要です。被災地と被災者の方々のことは忘れてはなりません。しかし、今、復旧、復興に弾みをつけるときだと思います。
 こうした中、隅田川花火大会の開催が決まりました。八代将軍徳川吉宗時代、享保の大飢饉の犠牲者追悼行事が発祥とされる由緒ある花火大会でもあります。八月十一日には、被災地の市町村が一斉に復興花火大会を開催する予定です。東京都もこの大会を後援すると聞いております。ぜひ日本全体に勇気を与えてほしいと思います。被災地の一日も早い復旧、復興のためにも経済を回していく必要があります。
 そこで、知事の発言の真意を含め、改めて東京を元気にする、そして、東北の被災地を元気にする力強いメッセージをお願いいたします。
 被災地はもちろん、日本全体に元気を出させるために、東京が経済活性化の先頭に立たなければなりません。それには災害やエネルギー不足への懸念を早期に払拭し、都市としての信頼を得られるような戦略的まちづくりが必要です。
 知事は所信表明で、アジアのヘッドクオーターを目指すため、総合特区制度を活用するとされましたが、その際にはもちろんのこと、知事が力を入れてこられた都市再生などでも、エネルギー政策や防災の視点を加えることが重要です。国の省庁の縦割りを排し、あらゆる手段を総動員して、現場の創意工夫を引き出していかなければなりません。
 今後、アジアのヘッドクオーターを目指して、どのようなまちづくりを進めるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 電力不足が予想されています。都民、企業の具体的な節電行動の実践を促していくためには、これまでの過度に電力に依存した生活スタイルを見直し、省エネ型の生活へと変革させていくためには、家庭や職場における具体的な節電行動を促す広報を継続して行うとともに、三つ子の魂百までではありませんが、子どもたちが日ごろから省エネ、節電の意義に関する理解を深め、行動に移せるような取り組みも重要と考えます。
 そこで、都として、どのようにして都民や事業者に対して節電への呼びかけを行い、節電行動を促していくつもりなのかお伺いをいたします。
 次に、今般の東日本大震災を踏まえた東京の防災対策について伺います。
 今回の大震災後、岩手県釜石市にて被災され、津波の中で死を覚悟なされた天津由理香さんからお話をお聞きしました。みずから体験しただけに、その言葉の一つ一つの重みは身につまされました。その内容の一部についてご紹介をさせていただきます。
 津波の中で死を覚悟し、一晩のうちになすすべもなく燃え盛る炎を見詰めるしかできない無力感。太陽が連れてきた朝、想像を絶する地獄絵図の中、歩いて避難するとき、防災に対する危機感や対応すべきシステムが余りにも足りな過ぎるこの国を憂いました。無念にも押し流され、引き裂かれた無数の命のために記憶していただきたい。伝えていただきたい。今こそ地震国である認識を、防災への危機管理を私は全身で伝えていきたいと思っております。私のために流された涙を血に変えて活動していく決意でありますといった内容でありました。
 その後、私たち都議会自民党は、三班に分けて被災地を視察し、改めて自然災害の脅威を痛感いたしました。東京もいつ首都直下地震が来るかもわかりません。今回の震災から多くを学び、対処していく必要があります。この震災関連については、我が党の代表質問でも質疑していますので、私からは、東京の特色ともいえる東京湾臨海部の超高層住宅などへの防災対策について、陸の孤島になるのではないかといった問題意識のもと、質問させていただきます。
 今回の大地震で、東京湾では中央区晴海で約一・五メートルの津波が観測されましたが、今回の津波でも被害はなかったとのことで、都の行ってきた防災対策に一定の評価ができると考えます。
 しかしながら、首都直下地震で想定されるマグニチュード七規模の地震に対して、事前の防災対策を複合的に講じておくことが必要と考えます。超高層住宅では、震災直後、生活に欠かせない食料や飲料を手に入れることが特に困難になると予想されます。そのため、震災後の一定期間、住宅内で自活するためには、住民個々の防災備蓄だけでなく、管理組合等で居住者用の防災備蓄倉庫を設けることが有効と考えます。居住者用の防災備蓄倉庫については、区市で条例や要綱等の制定の動きが進んでいると聞いております。
 都としても、こうした動きをとらえ、超高層住宅での設置を促すべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、震災時の超高層住宅の燃料確保について伺います。
 東京が首都直下地震に見舞われると、区部を中心に停電が発生すると聞いております。停電した場合、超高層住宅の上層階の住民は非常用エレベーターを使用して地上におりることになります。非常用エレベーターを稼働させるには、非常用発電機を運転して電力を供給することが必要ですが、給油後数時間程度で燃料切れを起こしてしまうといわれております。非常用エレベーターが停止すると、上層階の住民は地上との行き来に支障を来し、建物自体に被害がなくても避難所に行かざるを得ない状況に追い込まれることが懸念されます。
 そこで、こうした超高層住宅では、非常用エレベーターの発電機用燃料の確保が重要となりますが、都の見解を伺います。
 聞くところでは、緊急時において安全な方法で取り扱えれば、海からの燃料の輸送も可能とのことです。緊急対応の種類をふやすことも重要ではないかと、意見として加えさせていただきます。
 次に、震災時において、緊急物資の輸送はもとより、救急、救援活動のためには、緊急輸送道路の確保が極めて重要であります。そこで、緊急輸送道路上の障害物除去による早期の通行確保について、都の取り組みを伺います。
 また、その路線上の橋梁の耐震化も不可欠と考えます。緊急輸送道路の橋梁の耐震化について、都はどのように取り組んでいるのか伺います。
 さらに、震災時の代替ルートの確保の観点から、道路ネットワークの強化も重要です。臨海部と都心部を結ぶ新たなルートとして整備が進められている環状二号線の整備状況と今後の取り組みについて伺います。
 さらに、緊急時の物資輸送については、可能な限り複数かつ多様なルートの確保が重要です。特に臨海部では、海上交通を有用な手段として活用すべきと考えます。海上から緊急物資輸送を行うためには、震災時にも港湾機能を確保することが重要であります。
 そこで、大地震にも耐え得るような耐震強化岸壁の整備について、都の取り組みを伺います。
 加えて、ライフラインの確保が重要です。大地震等で下水道が壊れると、マンションの住民の方々はトイレやふろが使用できなくなり、生活に大きな影響を与えるだけでなく、下水の滞留や道路への流出など公衆衛生被害の発生や、降雨時の雨水を排除できないことによる浸水の発生等のおそれがあります。
 そこで、下水道管の耐震化の取り組みについて伺います。
 続けて、震災時における給水の確保について伺います。
 被災地では水道の被害も大きく、東北から関東にわたり二百万件を超える断水被害が発生しました。特に宮城県では、仙台市の一部など、三市六町の地域に送水する大口径管路が外れ、代替のルートがなかったため、断水などの影響が数十万人に及びました。
 都ではこれまで、広域的な送配水管網を整備してきましたが、代替となるルートがまだ確保できない重要な管路があると聞いています。もしこのような管路で今回のような被害が起これば、その影響ははかり知れません。
 そこで、震災時の給水確保に向けた今後の送配水管路の整備について伺います。
 次に、風評被害に対する事業者支援について伺います。
 今回の福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故の影響で、都内の中小企業が製造した機械が海外で輸入規制を受けるなど、工業製品に関する風評被害は中小企業の経営を脅かす重大なテーマとなっています。そのため、信頼性の高い公的な機関が商品の検査や証明をしっかりと行う体制を整備するとともに、中小企業などが風評被害の払拭に向けて行うさまざまな取り組みを支援することが必要であると考えますが、所見をお伺いします。
 今回の東日本大震災に際し、被災者の方々が復興に向けて互いに助け合う中で、多くの中学生や高校生も率先してボランティア活動を行っている姿に、未来を担う若者のたくましさをかいま見ることができました。
 しかし一方で、平穏な日常生活に目を転じると、ルールやマナーを逸脱した行為や自己中心的な行動をとる若者が目立つのも事実であります。その大きな原因として、戦後教育に問題があったと私は考えています。他人を尊重する、目上の人を敬うといった日本人の精神が受け継がれず、道徳が軽んじられてきた結果、自由と権利が履き違えられ、物欲、金銭欲、性欲、あるいは我慢を知らないといった利己主義の傾向が強まっているのが現状です。このままで日本は本当に大丈夫かと心配です。
 私は、今回の大震災を契機として、いま一度、日本人が二千六百有余年にわたり培ってきた知恵や経験、自然に対しての感謝、精神的価値を軽んじてきた戦後教育に警鐘を鳴らし、規範意識を大切にする教育を、特に小中学校の段階から行うことが重要であると考えています。
 そこで、東京都教育委員会が子どもたちの道徳性や規範意識をはぐくむために、今後、義務教育でどのような取り組みを行っていくのかお伺いをいたし、以上で私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えいたします。
 東京を元気にし、被災地を元気にすることについてでありますが、昨今の日本を眺めますと、金銭欲、物欲といった我欲がはびこり、しかも政治がそれに左右され、かつてあった連帯の心が影を潜めてしまっております。こうした風潮は、我が国を質的な破綻へと進ませているのではないかと思われます。
 被災地の復興に取り組み、日本を再生するためにも、希薄化してしまった人と人とのつながりを回復させ、節度、自己犠牲、責任感といったものが当たり前であった日本人本来の姿に立ち戻ることが肝要だと思います。
 万も超える方々が一瞬にして亡くなった直後に、花見と称して周囲の迷惑も顧みずらんちき騒ぎをするのは、日本人として同胞への思いやりに欠ける行為だと思って、花見を自粛するように発言はいたしました。しかし、以来、時は過ぎ、一応、被災地は別にしても、日本全体が平静を取り戻していきつつある今、伝統のある文化を表象するお祭りというものは、私たちの心のしんにあるものを活性化させてくれると思います。
 という意味で、私は、夏の風物詩の象徴であります三社祭をやったらいいんじゃないかと発言しましたら、実は、うかつに、お祭りがもう既に終わっていたってことを改めて知りまして、いささか面映ゆい思いをいたしましたが、いずれにしろ、花見やお祭りは、江戸の庶民の連帯感の醸成と経済の刺激を両立させてきた先人の知恵でありまして、江戸東京の文化の表象でもあります。こうしたものが寂れてしまっては、国全体が非常に沈うつになってしまいまして、復興へのエネルギーも阻害されるんではないかと思います。
 ゆえにも、夏から秋へかけて、伝統のある祭りというものが、その地域、地域に新しいエネルギーを与えるために整然と行われることを私は期待しております。
 いずれにしても、長い歴史の中で幾多の試練を肩を組んで乗り越えてきた日本人の底力を引き出し、知恵を絞り、工夫を凝らし、気概を持って活力のある日本を取り戻していかなければならないと思っております。そのためにも、エネルギー問題を克服し、経済を活性化させ、防災力を強化して、人間のきずなも復活させるなど、東京の総力を挙げた具体的な取り組みを通じて、試練に耐えて、我らなお力ありということを、都民の努力を通じて世界に発信していきたいと思っております。
 次いで、アジアのヘッドクオーターを目指せということでありますが、東京は我が国にとって、日ごろ申しておりますように心臓部であり、頭脳部であり、金の卵を産む鶏でもあります。それゆえに、無能な政府は、かつて東京の財布に手を突っ込んできて、勝手に法律を変えまして、税制を変えまして、暫定と称しながら、この二年間、東京の税収というのを横取りしてきたわけであります。
 いずれにしろ、今日、世界規模で都市間の競争が激化しておりますが、東京がこれに勝ち抜くことは、日本が国家として生きていくことにもつながってまいります。それゆえ東京は、一段の発展と成熟を遂げまして、アジアのヘッドクオーターへと進化しなければならないと思います。
 そのためにも、現行の法律の枠組みを超えた税制の優遇や大胆な規制緩和策を講じるなど、外国企業のアジア本社や研究機関を呼び込む仕組みを構築すべく、総合特区制度の活用を検討してまいりました。
 今回の震災によって、日本に対する信頼がいささか揺らいでおりますが、これからの東京の都市づくりには、防災力を徹底して高め、エネルギーを多様化、分散化させ、都内の電力自給率も向上させる視点が不可欠であると思います。
 今後、これまで進めてきた都市再生の取り組みと総合特区制度を一体的に活用し、大震災から得た教訓を踏まえたエネルギー政策や、災害に対しても十全の備えを持った戦略的な都市づくりを展開していきたいと思っております。これによって、民間の知恵や資金も活用しながら、世界じゅうから人、物、金融、情報を引き寄せ、東京の国際競争力を高めていきたいと思います。
 いずれにしろ、アメリカの国力が衰退し、中国は力をつけながら、覇権主義というものを強大な軍事力で遂げようとしておりますけれども、一方、一体感を持って発足したはずのEUは、参加している幾つかの国の怠慢で破綻に瀕している感が否めません。
 そういう中で、恐らく世界の金融は新しいピンチを迎えると思いますし、日本と違って州知事が非常に権限を持っているアメリカでは、これは仄聞でありますが、しかし確かな情報筋だと思いますが、ジョージア州は、みずからの通貨のドルを信用せずに、納税は金を買って行えというふうな議決をしたという、これはもう大変な方向転換といいましょうか、大きな、これからやってくる困難のイニシアルだと思います。
 そういう大きな大きな動きの中で、私たち、まず災害を復旧、復興させ、かつ日本の経済を根本的に立て直していくと、そういう気構えで進まなければ、日本は本当に、傲慢なサマーズが断言したように、このままではいちずに貧乏国への転落を免れないと思います。
 しかし、私たちはそれに甘んじるわけにいかない。それを防ぐためにも、東京はみんなで立場を超え、党派を超えて力出し合って、東京の活力というものを涵養していかなければならないと思っております。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 道徳性や規範意識をはぐくむ教育についてでございます。
 子どもたちを社会の責任ある一員に育てるためには、小中学校の段階から規範意識や公共心、思いやりの心などを育成していくことが必要でございます。
 都教育委員会は、平成十四年度から、都内すべての公立小中学校において道徳授業地区公開講座を実施しておりまして、平成二十二年度には、保護者の方々など四十三万六千人の参加をいただいております。
 さらに、郷土を愛する心を育てるための道徳教材の開発や奉仕体験活動の推進に取り組んでまいりました。
 今後は、これらの取り組みとともに、世代を超えて垂直に継承させたい道徳的価値、例えば、礼儀、節度、思いやり、人間のきずな、真の勇気などを子どもの心に浸透させていくために、先人の格調高い言葉や崇高な行動などをまとめた教材を新たに開発して、その活用を図り、人間としてよりよく生きていくための道徳性を涵養する教育を一層強く推進してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 超高層住宅における居住者用の防災備蓄倉庫の設置についてでございます。
 都はこれまでも、地域のための防災備蓄倉庫など、地元区市からの要請に基づいて設置する防災施設について、都市開発諸制度を活用した容積率の緩和等により整備を促進してまいりました。
 居住者用の防災備蓄倉庫につきましても、平成二十二年四月に東京都総合設計許可要綱を改正いたしまして、地元区市の条例等に基づき設置する場合、その床面積を容積率の緩和対象といたしました。
 また、再開発等促進区におきましても、同様の条件に基づいて設置する場合、容積率の緩和対象としておりまして、今後、他の都市開発諸制度においてもこうした取り扱いを行ってまいります。
 今後とも、区市と連携を図りながら、居住者用の防災備蓄倉庫の設置を促し、超高層住宅の防災対策に取り組んでまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 都民や事業者への節電の呼びかけについてでございますが、家庭や企業における節電行動を周知するに当たりましては、一過性ではなく、浪費をなくす継続的な実践行動につながるように促していくことが重要でございます。
 こうした観点を踏まえた節電行動の具体的な事例を広く周知するため、都は、都内の業界団体、区市町村とともに、事業者を対象とする節電セミナーを、先月から繰り返し集中的に開催しております。
 また、家庭の省エネ診断員制度を活用し、百万世帯への節電アドバイスを行うなどの取り組みも進めております。
 加えまして、公立小中高、特別支援学校で、児童生徒約百万人を対象に節電アクション月間を実施し、実践的な節電行動を促すチェックシートを配布するなど、児童生徒が節電への意識と意欲を高め、家庭における節電行動につなげる取り組みを実施してまいります。
 さらに、こうした取り組みを都内区市町村と連携して普及させるため、今月三日には、島しょを除く都内全自治体の参加で電力需給対策自治体会議を開催し、先駆的な取り組みの事例の経験交流を行いました。
 今後とも、区市町村、都内事業者と協力し、継続性のある具体的な節電行動を促してまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

〇総務局長(比留間英人君) 震災時の超高層住宅の燃料確保についてでございます。
 超高層住宅において、エレベーターは居住者の生活に不可欠な移動手段でございます。震災時の停電によるエレベーターの稼働停止により、とりわけ上層階の居住者の生活に大きな支障が生じることになります。
 こうしたことから、発災時における非常用エレベーターの稼働に必要な燃料の確保は重要な課題でございまして、備蓄のみならず、停電時の調達手段もあらかじめ確保しておくことが不可欠でございます。
 今回の震災を踏まえ、都は、石油業界団体に対して、超高層住宅の管理組合が石油販売事業者と災害時の燃料供給協定を締結できるよう申し入れをいたしました。
 今後、区市とも連携し、この協定の締結が円滑に進むよう取り組んでまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急輸送道路の早期通行確保についてでございますが、今回の東日本大震災で、国と各県は、あらかじめ協定を結んだ建設業者と協力して、迅速な道路障害物除去作業を行い、震災翌日には、東北地方の内陸部を南北に走る国道四号と、それから沿岸部の主要都市へつながる一般道十五ルートのうち十一ルートの通行を確保いたしました。
 また、三日後には残り四ルートを、さらに震災後一週間で太平洋沿岸を南北に走る国道四五号についても通行可能とし、復旧、復興に大きく寄与しております。
 このように、震災時に迅速な対応を図るためには、地元建設業者との協力体制を構築するなど、官民連携による日ごろからの備えが極めて重要であります。
 都では、阪神・淡路大震災を契機とし、既に建設業団体等と災害時における資機材や労力の提供等に関する具体的な行動を定めた協定を結び、速やかに緊急輸送道路の障害物除去を行う体制を整えております。
 これを確実に実施するため、毎年、総合防災訓練で、障害物除去作業を地元建設業者と共同して行うとともに、平成二十二年度には、東京消防庁などとも連携を深め、一都九県の消防機関による合同訓練に道路管理者として初めて参加するなど、防災対応力の一層の向上を図っております。
 次に、緊急輸送道路の橋梁の耐震化についてでございますが、震災時において救援、救助活動など初動対応を迅速に行うためには、橋梁の耐震性向上が重要であります。阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、耐震対策上重要な位置づけにある緊急輸送道路等の局管理橋梁四百一橋を対象として、橋脚補強や落橋防止装置の設置など、必要な耐震化に重点的に取り組んできております。
 現在、「十年後の東京」計画に基づき耐震化を進めており、平成二十二年度末までに二百六十七橋、このうち緊急輸送道路については、約七割の対策を完了しております。
 引き続き、緊急輸送道路における全橋梁耐震化の平成二十七年度完了に向け、効果的に事業実施できるよう、各年度の事業計画を見直すなど、国や関係局とも連携して橋梁の耐震対策を進めてまいります。
 最後に、環状第二号線の整備状況と今後の取り組みについてでございますが、本路線のうち豊洲から虎ノ門までの区間の整備は、臨海部と都心部の連絡を強化し、地域交通の円滑化や、避難経路の複線化による防災性向上を図る上で極めて重要であります。
 このうち、豊洲から汐留までの区間では、朝潮運河及び隅田川にかかる橋梁工事などを進めており、本年秋には、築地市場内において橋梁の下部工事に着手いたします。
 また、汐留から虎ノ門までの区間では、区画整理事業や再開発事業により、地上部道路の整備を進めるとともに、これと一体的に本線トンネル区間全線で工事を行っております。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、必要な財源を確保し、環状第二号線の平成二十七年度開通を目指してまいります。
 今後とも、橋梁の耐震化など緊急輸送道路の機能確保や、幹線道路ネットワークの強化など、高度防災都市の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 東京港の耐震強化岸壁の整備についてでありますが、ご指摘のとおり、震災時には陸路のみならず、海上からの緊急物資輸送路を確保することが重要であり、海上輸送を担う港湾の果たす役割は極めて大きいものがあります。
 このため、大地震においても機能を維持できるよう、岸壁を耐震強化するとともに、免震型のコンテナクレーンを採用するなど、地震に強い港湾施設の整備を行ってきております。
 具体的には、平成十七年の第七次改訂港湾計画において、三十一バースを耐震強化岸壁に位置づけ、これまでに芝浦ふ頭や大井ふ頭など十三バースの整備を完了し、現在、品川ふ頭など六バースの整備を進めております。
 引き続き、中央防波堤外側地区の新たな国際コンテナふ頭などの耐震強化岸壁の早期事業化を図り、震災時の輸送拠点となる東京港の防災力強化に全力で取り組んでまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 下水道管の耐震化の取り組みについてでございますが、下水道は、お客様の安心で快適な生活を支え、良好な水環境を創出するための重要な役割を担っており、いっときたりともその機能を停止することはできません。
 老朽化した下水道管を更新するとともに、機能を向上させる再構築に合わせ、今後も耐震化を着実に実施をしてまいります。
 再構築を進めるに当たっては、可能な限り既存の下水道管を有効活用することとし、道路を掘らずに、下水道管の内側から補強する更生工法などの採用拡大により、工期短縮やコスト縮減を図りながら、計画的かつ効率的に進めているところでございます。
 また、避難所などからの排水を受ける箇所を対象に進めております下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更し、耐震性の向上を図る取り組みは、完了予定を二年前倒しし、平成二十五年度までに完成させるよう事業のスピードアップを図ってまいります。
 さらに、お客様の家庭などからの排水を受ける取りつけ管については、塩化ビニール管に取りかえ、下水道管との接続部に柔軟性を持たせることで耐震性の向上を図っております。
 このほか、マンホールの浮上を抑制する対策につきましては、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路での対策は昨年度完了しており、今年度から対策エリアを拡大し、実施をしております。
 これらの取り組みを迅速かつ着実に進めることにより、安全・安心な東京のまちづくりに貢献をしてまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

〇水道局長(尾崎勝君) 震災時の給水確保に向けた今後の送配水管路の整備についてお答えします。
 水道局ではこれまで、震災時等においても可能な限り給水を確保するため、送配水管ネットワークの構築や施設の耐震化などの取り組みを進めてまいりました。しかし、都内には、ご指摘のとおり、重要な路線でありながら、代替ルートがなく、断水ができないため、いまだ耐震継ぎ手管への取りかえが困難なものが存在しております。
 こうした課題を解決するため、代替ルートの確保の有効な手段である管路の二重化を重要な路線から優先して進めていくことといたしました。
 具体的には、まず、都内最大の送水能力を有する朝霞上井草線と、東村山浄水場から多摩地区への基幹送水管路である東大和線の二重化整備に取り組んでまいります。
 今後とも、一千三百万人の都民生活と首都東京を支えるライフラインとして、より震災に強い水道システムの構築に向け、全力で取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 風評被害の払拭に向けた取り組みについてであります。
 海外における日本の工業製品に対する放射能汚染の風評被害に対応するため、公的な機関が製品を正確に検査、証明し、その安全性を速やかに発信するとともに、事業者に対し、放射能についての正しい知識を持てるようにすることが重要であります。
 このため、都立産業技術研究センターにおきまして、都内中小企業の製品を対象に、四月中旬から無料で放射線の測定を行い証明書を発行するとともに、福島県の公的試験研究機関に研究員を派遣して測定のサポートに取り組むなど、工業製品の安全性を検証する仕組みの充実を図っております。
 また、同センターでは、放射線の量を調べる六台の測定機器と、放射性物質の種類などを分析する二台の分析装置を使って、工業製品のほか、浄水場で採取した水道水などについての放射能測定も実施しております。
 今後は、放射性物質の分析装置をふやすとともに、工業製品が輸出される都内の港湾や空港にも出向いて検査を行うなど、測定体制の一層の充実を図ってまいります。
 これに加えて、中小企業の事業協同組合が放射線の測定機器を導入したり、風評解消のキャンペーンを実施する取り組みを都として支援するとともに、放射能の安全証明の手続に関する情報を同センターが組合にDVD等を使って紹介するなど、きめ細かい対応を進めてまいります。
 こうした施策を着実に展開することにより、工業製品の風評被害を防止し、中小企業の経営環境の向上を実現してまいります。

〇副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十二分休憩

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