平成二十三年東京都議会会議録第八号

   午後一時開議

〇議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

〇議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

〇議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
 百二十一番山下太郎君。
   〔百二十一番山下太郎君登壇〕

〇百二十一番(山下太郎君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 東日本大震災より三カ月余りが過ぎました。ここで改めて、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様、ご家族の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 同時に、放射線の被曝と闘いながら、福島第一原子力発電所事故の収束に向けた作業に懸命に取り組まれている皆様、警察官、消防士、自衛隊員、海上保安官、都職員そして市民ボランティアの皆様など、被災地支援活動を行うすべての皆様に敬意を表するものであります。
 私たちも、被災地の皆様と心を一つにし、東日本の復興に向けて、東京都がその役割を十全に果たせるよう、全力を尽くす決意を表明させていただきます。
 さて、東京都知事選挙を経て、四期目となる石原都政が始まりました。今回の東京都知事選挙は、日々刻々伝えられる東日本大震災の甚大なる被害に驚愕と悲しみが深まり、これからの生活に多くの都民が不安を募らせる中で実施されました。
 こうした中で都民は、強い関心を持って東京都知事選挙を注視し、結果、多くの都民が石原知事に信任票を投じました。選挙期間中、公務を盾に政策討論を行わず、一部不適切な発言があったことは遺憾であるといわなければなりません。
 しかし、私たちは、この結果を尊重するとともに、もう一方の公選によって私たちに付託された都民の期待を踏まえ、今後も都民の生活を第一とする都政の実現に取り組むことを表明させていただきます。
 まず、東日本大震災における被災地支援と東京の防災対策について伺います。
 三月十一日、マグニチュード九・〇、最高震度七の強く長い揺れが東日本一帯を襲うとともに、大津波、海砂を巻き込んだ黒く重い海水の塊が太平洋沿岸の防波堤を軒並み破壊し、海水や瓦れきが市街地に流れ込み、甚大な被害を引き起こしました。福島第一原子力発電所にも大津波が押し寄せ、冷却電源を失った原子炉建屋は爆発、格納容器が損傷して、放射性物質が広範に拡散しました。
 原発周辺の住民の皆さんは、自宅があるのに帰れない深刻な状況が続いています。私たちは、この未曾有の複合災害に対していち早く被災地支援と都内の震災対策を充実させること、そして補正予算の編成を知事に申し入れいたしました。また、各議員は、党の被災地支援活動やNPOと連携した取り組みを行うなど、被災地支援に取り組んでまいりました。
 そこで伺います。
 都は、児童生徒への心のケアや、災害時要援護者の救護など、医療人材の継続的な派遣や、地元雇用を推進する自治体事業、キャッシュ・フォー・ワークといった取り組みへの支援をするなど、被災者の皆さんが希望を見出し、一歩踏み出すことのできるよう、生活再建をともにサポートしていくことが重要です。
 また、各県が創造的復興、もしくは再生を目指し、独自復興計画を策定、実現させていくことを都が後押しし、安全な地域社会の再建に寄与していく必要があります。
 このように被災地が取り組むべき課題は山積し、日々刻々地域ごとに状況が変化しております。被災地のニーズを的確に把握し、被災地、被災者が真に必要とする支援に今後とも継続して取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 現在、都内には福島県などから自主避難してきた約五千名の避難者の皆さんが都営住宅などに仮住まいをしていらっしゃいます。故郷から遠く離れ、いつ帰れるのかという思いを持って生活している皆さんに、都は寄り添う形でその生活を支えていくべきと考えます。
 避難者は、見知らぬ東京での生活が不安であり、特に高齢者の方々については、引きこもりがちになるなど、孤立化も懸念されます。
 先日、特別区の都営住宅で、自治会の皆さんが避難者と懇談会を開き、福島での共通の話題で盛り上がりました。こうしたかかわり合いをふやす場でもあるミニ懇談会を開催し、避難者同士や地域との交流機会を創造することを求められております。
 また、福祉も含めた総合的な相談を区市町村や災害復興まちづくり支援機構、NPOなどと連携して開催するなど、広い協働の形で避難者の暮らしを支えることも重要と考えます。
 都は、コミュニティにも配慮した避難者に対する支援の取り組みを行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東日本大震災を教訓に、東京においても発災時における社会対応力の強化や防災リーダーなど、地域人材の育成などに一層取り組み、東京を災害に強い持続可能な都市としていかなければなりません。
 現在、各道府県や市町村で地域防災計画などを見直す動きが出ています。今回の震災による大津波は、近年研究が進みつつあった平安期の貞観地震に類似したものといわれています。
 高知県や茨城県では、既に江戸期の地震の実例を盛り込み、地域防災計画の策定や浸水想定を行っています。
 東京においても、江戸期に三連動地震による大津波、これに続く暴風雨や富士山噴火による複合災害が起きており、過去の災害分析からも改めて被害想定を研究すべきと考えます。
 実践的訓練やライフラインの耐震化、減災化のさらなる推進も必要です。福島原発事故を踏まえるのであれば、近い将来必ず起きるといわれている東海地震による静岡県浜岡原発事故リスクをも想定した放射能対策も行わなければなりません。
 地震、津波の被害想定の検討や防災対策の総点検、そして東京の総合防災力をさらに高める取り組みが必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、原子力発電所の安全性について伺います。
 平成十九年に発生した新潟県中越沖地震でも柏崎刈羽原発が被災し、放射性物質を含む水が漏れ、一部が海に放出されていたことが確認されました。
 私たちは、当時の第三回定例会の代表質問において、福島第一、第二原発など、すべての原発の海域を含めた立地調査や周辺施設を含めた耐震安全性の確保、防災対応の強化、情報の迅速な提供など、危機管理体制の強化を国や電力会社などに求めていくべきと主張してきました。
 これに対して石原知事は、都は直ちに東京電力に対し、原因究明や安全対策の実施、電力の安定供給を要求してきた、今後とも国及び東京電力に対して今回の地震を踏まえた原発の危機管理体制の強化を求めていくと答えていらっしゃいますが、その後の具体的な行動は不明なまま、今回の福島第一原発事故が起きてしまいました。
 石原知事は過去、東京湾にも原発をと発言されておりましたが、東日本大震災後、福島第一原発の事故が深刻化した三月二十五日にも、私は原発推進論者です、今でもと発言されております。ところが、せんだっての所信表明では、原発事故によって日本の安全神話は消えたと言及されました。
 私たちは、福島原発事故以降の現下の状況では、原発はもはや、東京湾はおろか、他の自治体においても新たに建設することは不可能であると考えております。
 そこで改めて、原発の安全性に対する石原知事の基本認識について伺います。
 次に、首都圏の防災対策について伺います。
 関西広域連合は、関西が経験した災害の教訓を生かして、新たに関西全体の対応方針である関西広域防災計画の策定に取り組んでいます。
 九都県市においても、首都圏全体の大震災への具体的な行動指針である九都県市防災プランを作成していますが、今回の大震災を踏まえ、防災プランについても必要な見直しを協議していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 次に、出火防止対策について伺います。
 東日本大震災発生後、東北電力は停電復旧時に通電火災を防ぐため、職員が各戸を訪問して安全確認をしてから通電を行いました。
 首都直下地震における都の地震火災想定は、最高三十四万棟が焼失し、三千五百人の死者が出ることとなっています。建物が密集する首都東京においては、火災による被害が最も大きく、出火防止対策は最重要課題の一つです。
 特に、環状七号線周辺に木造住宅密集地域が広範囲に分布していることから、同時多発的に火災が発生した場合、消防による消火が極めて困難となることが予想されています。
 また、東京消防庁が出火危険性を調査した結果、電気関係からの出火が約七割を占めることから、その対策が急がれます。
 一方、地震時においては、電気ブレーカーの切り忘れや家屋の倒壊によりブレーカーに近づけないこともあるため、地震時に都民がブレーカーを切る指導を強化することに加えて、東京電力がきめ細やかな電力復旧活動に努めること、感震出火防止システムや感震コンセントなど、出火防止器具のさらなる普及の手だてを講じることが必要であります。
 木造住宅密集地域における出火防止対策をより強化して、東京の減災に努めるべきと考えますが、東京消防庁の見解を伺います。
 次に、都内建築物の震災対策について伺います。
 私たちは、東日本大震災を目の当たりにして、改めて都内建築物の耐震化の必要性を痛感いたしました。特に、木造住宅の耐震化については、一刻も早く促進すべきと考えています。
 都は、都内の木造住宅密集地域のうち、防災都市づくり推進計画で指定した整備地域内における木造住宅の耐震化に対して助成を行っていますが、私たちはこれまで、都内全域で制度を適用するよう、あるいは対象の拡大に向けた第一段階として、建物倒壊危険度五の地域すべて、もしくは建物倒壊危険度と火災危険度がともに五である地域をすべて制度の適用対象地域として取り扱うよう再三求めてまいりました。
 昨年の防災都市づくり推進計画の見直しによって、建物倒壊度と火災危険度がいずれも五である二十五地域のうち、整備地域に指定されなかった地域は一地域だけとなりました。この点については一定の評価をしておりますが、一方で、建物倒壊危険度五に該当する地域が八十四地域ある中で、二十三地域が整備地域になっておりません。
 私たちは、本来は都内全域を対象にすべきと考えていますが、せめてこれらの地域も木造住宅の耐震診断、耐震改修助成制度の適用対象地域として取り扱うよう、対象地域を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 東日本大震災では、地震の揺れによって、都内でも外装材の脱落のほか、天井パネルの落下による死傷者も発生しました。外壁や天井パネルなど、都内建築物の非構造部材の崩落対策が改めて必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、液状化対策について伺います。
 今回の大震災による長い揺れは、広範囲にわたって地盤の液状化を引き起こし、千葉県浦安市では上下水道が寸断され、多くの住宅で不同沈下被害を生じました。液状化により家が〇・八六度傾くと体調を崩すといった健康被害も報告されています。
 東京においても、実際に調査したところ、新木場駅前でマンホールの浮き上がりや道路のひび割れ、噴砂を確認し、潮風公園でも崩れた階段や噴砂を見かけました。これらは、都の液状化予測図で液状化の発生が少ないとされていた地域であります。
 港湾施設の背後においても、新木場地区や十号地その二など、そして江東区、江戸川区など湾岸地域の七区で液状化被害が報告されています。
 都はこれまで、臨海副都心地区や公共施設への液状化対策を行ってきましたが、大震災による液状化被害に対する都民の関心は強く、被害の実態や調査を検証して、改めて液状化予測図を見直し、都民に示していくべきと考えます。都の見解を伺います。
 震度五強を記録した東京都心部は、交通機関の運休によりターミナル駅に多くの人が滞留、九万四千人が公共機関に一時避難しました。すべての幹線道路は、首都高の通行どめや自家用車両の都心への流入、車道を歩く徒歩帰宅者などのため大渋滞を起こしました。
 この日の混乱に関して、徒歩帰宅者がコンビニエンスストアでトイレ使用を断られた例があり、避難所での備蓄物資を地元住民と帰宅困難者でどう分け合うのかといったさまざまな苦情や問い合わせもありました。
 このため、事業者に、従業員の一斉帰宅を控えるための食料などの備蓄や、正確な交通情報の入手方法、家族の安否確認方法を示す啓発事業がさらに重要と考えます。事業者防災計画の策定推進や駅前滞留者対策訓練の浸透も課題です。
 また、より大規模な地震が発生した場合、公共機関は救助、救急対策や交通規制などに追われるため、都は、被災時に安全確認された大型商業施設、事業所での来訪者、従業員の一時待機や公共交通機関による避難誘導や輸送協力ネットワークの構築、来訪者などの避難も含めた避難所の運営など、被災者の安全確保に向けたエリアマネジメントを考えていくべきです。
 そのため、東京災害ボランティアネットワークや連合東京などが実施してきた帰宅困難者対応訓練と連携し、多様な主体による協働の取り組みを支援していくべきであります。今回浮かび上がった諸課題への対策を事業者や関係団体、都民とともに共有し、帰宅困難者対策を実効性あるものとしていかなければなりません。都の見解を伺います。
 三年前、都は、石油連盟や東京都石油商業組合との間で、大規模災害時において重要施設や緊急通行車両、給油取扱所などに石油燃料の安定供給を要請する包括的協定を締結しました。
 しかし、東日本大震災により六カ所の国内製油所が被災、東北地方や首都圏は燃料の供給不足に陥りました。被災地への救援物資輸送車や医療機関などでも燃料確保が困難となり、混乱が起きました。
 そこで国は、民間の法定備蓄分を二回にわたり、計二十五日分取り崩すことで対応しました。燃料の生産拠点が被災したこともありましたが、包括的な協定だけでは、優先度の高い事業者などへの供給が難しいと思われることから、災害発生時の対応について、より具体的な対応策が求められております。
 そこで、大規模災害時において、優先車両、施設に燃料の安定供給を行うための実践的な仕組みを検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、伊豆・小笠原諸島の離島での災害対策について伺います。
 先般、東日本大震災を踏まえ、地震、津波、台風、噴火などさまざまな災害が想定される地域でもある島しょ地域の災害対策について、現地の町村長や住民の皆様からご要望やご意見を伺ってきました。
 災害発生時には、港は島民の生命を守る緊急避難及び応急物資や復旧用資材の輸送等に重要な役割を担っています。東日本大震災においても、離島ではほとんどの船舶が被害を受け、しばらくの間孤立を余儀なくされ、厳しい状況も続いたとの報道もあります。
 東京の島しょにあっては、港湾施設として利用頻度の高い漁港を災害時に避難や輸送の拠点としての役割が果たせるようなものに整備するということが必要なのではないでしょうか。
 今回の現地での視察からも、大きな予算を必要とせずとも、島によっては小規模な改修などで災害に強い港の整備が可能ではないのかと考えられます。
 さて、今回の補正予算でも、離島の港湾、漁港、海岸における災害対策が計上されておりますが、島しょ地域の災害時に重要な役割を果たす港の整備をどのように進めていくのかお伺いいたします。
 次に、省エネルギー対策及び大都市エネルギーの活用対策について伺います。
 東日本大震災の影響による電力不足を考えれば、早急な節電対策が必要です。特に震災直後に実施されてさまざまな問題点が明らかになった計画停電と、電力消費量が供給量を上回ってしまった場合の突発的な大規模停電は、あらゆる手だてを講じて回避する必要があります。
 そこで、私たちは、四月十一日にエネルギー抑制対策プロジェクトチームを設置し、対策を検討した結果を省エネルギー型都市づくり・アクションプランとして取りまとめ、五月二十四日、東京都に対して緊急提言いたしました。
 都は五月二十七日、東京都電力対策緊急プログラムを公表しました。この中には私たちの提言の内容が幅広く取り入れられており、一定の評価をしております。
 私たちは、東日本大震災の経験を踏まえつつ、今後東京は、平常時は環境に配慮しながらも、非常時の自立型エネルギー源の確保を進めることにより、自立型の高度な環境防災都市づくりを進めていく必要があると考えます。
 今後の環境に配慮した都市づくりに向け、知事の基本認識を伺います。
 都は、東京都環境確保条例に基づき、熱、燃料、電気の使用量が原油換算で年間合計一千五百キロリットル以上となった約千三百の大規模事業所に対して、二〇一〇年から二〇一四年の五カ年の温室効果ガスの削減目標を定め、これを義務化しています。
 一方で、スーパーやコンビニなど複数の事業所の原油換算使用量の合計が三千キロリットルを超える事業者を含む約三万の中小模事業所に対しては、削減目標などを掲げず、省エネへの取り組みに関する地球温暖化対策報告書の提出を求めています。
 そこで今後、これら約三万の中小規模事業所に対しては、報告書の提出を求めることに加えて、事業規模などに応じた都としての削減目標の目安を提示し、事業所としての削減目標の数値を報告書に明記すること、また事業所に対し、省エネに向けた効果的な先進事例を提示し、一層の普及啓発に努めるなど、環境確保条例を超える取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 都では、平成二十二年度から中小規模事業所が省エネ診断等に基づき高効率な省エネ設備を導入する場合に、これによるCO2削減量をクレジット化する権利を東京都へ無償譲渡することを条件に、その費用について助成を行っています。
 また、省エネ診断に基づき設備投資を行う場合などに、最優遇金利で資金を提供する産業力強化融資や、地球温暖化防止に有効な設備を低廉な価格でリースする中小企業設備リース事業、特定の省エネ設備等を取得した場合に、事業税の減免を行う中小企業者向け省エネ促進税制を実施しています。
 ところが、現状では、それぞれの施策が各所管部署ごとで情報提供されているため、中小企業の方々は東京都には省エネ設備の導入のために、全体としてどのような制度があって、どのような条件で、どのような組み合わせで利用できるのかなど、よくわからないという声を伺います。
 中小事業所の省エネ設備導入促進制度の情報提供及び相談の窓口の一本化と、制度の周知徹底に向けた取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
 都は未曾有の事態を受け、民間事業者に先駆けて一層の省エネに努めることが求められております。都は、既に二〇〇七年より都関連施設の改修の際に用いる建築仕様を省エネ仕様に改めており、今後大規模改修を予定されている施設などについては、この省エネ仕様が適用されます。
 私たちは、既に省エネ仕様で改修された施設と今後改修が予定されている施設以外の都関連施設の省エネ化も必要と考えています。当面改修予定のない都関連施設の省エネ化について見解を伺います。
 都立高校は、高校百九十校、特別支援学校五十六校などの校舎、さらに各校の校舎以外の実験棟や体育館なども含めると、一校一校が節電に取り組むことで大きな効果をもたらします。
 都議会民主党が、省エネルギー型都市づくり・アクションプランでも幾つか提案させていただきましたように、近年では省エネ効果の高い設備や機具が開発されており、このような設備や機具を学校施設に導入することで、節電に大きく貢献していけるものと考えます。
 そこで、都立高校の施設の省エネ化に向けた今後の取り組みについて見解を伺います。
 家庭での節電は、都民がまとまって取り組めば高い効果が期待できます。そのためにも、参加意識を高める仕組みづくりと、なるべく早く取り組むことが必要と考えます。
 中でも、子どもの節電意識が高まれば、それにつられて親も取り組むといわれています。都は、電力対策緊急プログラムにおいて、都内の公立小中高、特別支援学校で節電アクション月間を実施するということで、既に省エネ教育を通じた家庭での省エネ意識の啓発に取り組むことを打ち出しています。
 私たちはこのほかに、例えば学校予算や生徒会予算を増額するなど、学校エコポイント制度の導入を提案しましたが、都立学校施設での児童生徒の省エネ意識を高め、実践につなげるために、都が省エネ優秀校に対して、部活動などを初めとした学校活動に生かせる具体的な省エネのインセンティブが働くような取り組みも有効と考えますが、見解を伺います。
 石原知事は、再生可能エネルギーの導入について、例えば五月二十七日の定例会見では、そんなものだめだ、コストがかかって、出力がなくて、コストパフォーマンスがだめだと述べられているように、原子力にかわる産業用の代替エネルギーとしては否定的な見解を繰り返し述べておられます。
 また、石原知事は所信表明の中で、首都圏の電力自給率を高めるために、天然ガス発電所の新規建設に向け行動を開始すると述べていらっしゃいますが、天然ガスも石油と同じ化石燃料であるため、資源に限りがあり、燃料費もかさむという難点もあります。環境への負荷も、石油や石炭に比べれば総体的に低いというだけで、全く影響がないということではありません。
 しかし、再生可能エネルギーの導入促進は世界的な潮流であり、東京都も、二〇〇六年三月に策定した再生可能エネルギー戦略において、二〇二〇年までに東京のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%程度に高めるとしています。
 こうしたことから、私たちは、中長期的にはできるだけ再生可能エネルギーにシフトすべきであり、採算ベースに乗りにくい再生可能エネルギーの導入こそ、都が行政として支援すべきと考えます。
 そこで、今後の再生可能エネルギーの導入促進に対する都の基本認識について見解を伺います。
 なお、売電を目的とする大規模な天然ガス発電所の新規建設に当たっては、東京都や都の関連団体が電気事業者として発電所を建設するのではなく、民間事業者に事業をゆだね、都は土地の提供程度にとどめておくべきであると、この場で申し上げておきます。
 ところで、電力を安定的に供給し、むだなく消費する仕組みづくりのための手法として、地域冷暖房施設に発電機能をつけ加えることが考えられます。現在、都内に地域冷暖房施設は七十七カ所ありますが、発電と冷暖房機能を備えた施設は一カ所しかありません。
 発電機能を備えた地域冷暖房施設整備が進まない背景には、初期投資額の大きさがあります。
 そこで、地域冷暖房施設整備で認められている対象建築物の容積の緩和をさらに拡大することを検討してみる価値はあると思いますが、見解を伺います。
 民間企業においては、この夏の電力不足に対応するため、サマータイムの導入や休日の平日へのシフトなど、新たな勤務体系を導入するなどさまざまな工夫を行っていますが、その結果生じる生活上の空白に、子どもを持つ保護者の懸念もふえています。
 特に懸念されるのは、早朝、土日に対応した保育サービスの確保であり、東京都においては、休日、延長保育特別事業の活用等を含め、各区市町村の保育ニーズを適切に把握しながら迅速な対応を要望するものであります。
 また、早番、輪番休業に際しては、保育サービスだけでなく、小学校低学年の子どもの早朝、土日での対応を初め、多摩地域など郊外では、駅への早朝バスなど、生活時間帯がずれることによるさまざまな課題が生じています。
 そこで私は、早朝、土日出勤という今後変化する新しい勤務体系によって、働く人たちから寄せられる要望を踏まえ、都として、働きやすい職場環境の整備に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 初めに、学校防災機能強化と教職員の役割について伺います。
 文科省は、ことし五月、公立小中高校の防災機能を強化する方針を決めました。これにより、耐震化のみならず、貯水槽、備蓄倉庫、トイレ、自家発電装置等の整備強化が図られることが期待されています。
 都立学校は災害時の帰宅支援ステーションに指定されていますが、三月十一日の震災当日、多くの学校では食料、毛布等の備蓄が生徒の分しか用意されておらず、十分な対応が困難な状況にありました。
 首都直下地震が起きた際には、都内の帰宅困難者は三百九十万人に上ると予想される中、都立学校における防災機能強化が早急に求められますが、都の見解を伺います。
 また、今回の東日本大震災の際は、多くの教職員が不眠不休で帰宅困難者の世話に当たり、疲弊していた状況がありました。緊急時に教職員がどこまで責任を持って行うのか、校内の役割分担や地元自治体との分担の明確化が必要と考えています。
 帰宅支援ステーションになった際の計画や対応マニュアルを作成し、各都立学校での周知徹底を図り、運営における適切な体制づくりを整えていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、防災教育について質問いたします。
 このたびの震災によって、千三百人以上の死者、行方不明者を出した岩手県釜石市では、津波襲来時に学校管理下にあった小中学校の児童生徒から一人の犠牲者も出さなかったという奇跡が起きました。
 今回の奇跡は、平成二十年度に文科省のモデル事業に釜石市が採択されて以来、市内の全小中学校で津波防災教育の推進を図り、地域住民や保護者参加型の合同避難訓練など、綿密な指導内容の防災教育を実施してきたことが結果にあらわれたといわれております。
 そこで、都内においても、首都直下地震に備え、防災教育の質を一層向上させ、徹底を図る必要があると考え、以下四点質問いたします。
 初めに、実践型防災教育の取り組みについて伺います。
 小中学生の新学習指導要領において、体験活動の重要性がうたわれています。また、昨年は、規範意識や共生感などの資質、能力が体験を通じて得られることが調査によってわかり、不登校やひきこもりなどの原因の一つに直接体験の不足があると指摘されています。
 こうした中で、防災教育においても、ライフラインの断絶状態を想定した防災サバイバルキャンプなど実践型の防災教育を実施することで、生き残るための知恵を身につけ、実際に震災に遭った際、真に対応できる冷静さと柔軟な判断力を身につけることが必要と考えます。
 都内の公立小中高校において、今後さまざまな場面を想定した実践型教育を普及徹底していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都内小中高校における防災チェック表の実施について伺います。
 震災前のことし一月に実施された岩手県の県民意識調査では、災害の備えについて特に準備していない割合が七二・九%という過去二番目に高い結果でありました。一方、準備している割合が最も高かったのは、平成十五年の三陸南地震発生後であり、このように時間とともに防災意識が低下することに対しては対策が必要であります。
 そこで、児童生徒にチェック表の活用を通じて、現状の家庭において実際に何が対策として整っていて、何が不十分かを家庭とともに明確にしてもらい、日ごろから家庭における防災、備えに向けた行動を促すことが必要と考えています。それにより、児童生徒から保護者に防災の備えに関する情報が伝わることで、家庭全体の防災意識向上につながり、また家庭から地域への波及効果も期待できます。
 以上のことから、家庭での防災に備えるチェック表等を活用し、児童生徒への防災意識や家庭での備えに関する取り組みを学校教育の中で実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都立高校における防災教育の展開について伺います。
 全国で唯一、環境防災科を置いている兵庫県舞子高校では、大学や関係機関等と連携しながら、体験型や課題発見、解決型学習を通じて、自然環境や社会環境とのかかわりを視点に据えた先進的な防災教育に取り組んでいます。
 今後、首都直下地震が予測され、エネルギー問題も重要な課題となっている中、防災について総合的かつ専門的に学べる学科があることで、その学校が中心となって防災の先進的取り組みが行われ、またその情報が都内の各学校に波及することで、都内全体の防災教育強化につながっていくと考えます。
 そこで今後、先進的に防災教育に取り組んでいる都立高校に、防災の専門学科開設を検討することなどを通じて、都立学校における防災教育を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、地域との連携を通じた防災教育について伺います。
 中学生や高校生が地域との連携を通じた防災訓練に参加することを通じて、被災時に彼らが積極的に救助に入り、要援護者の命を守ることが期待されています。
 しかしながら、地域の防災訓練では、災害時要援護者である高齢者を中心に行われており、児童生徒や保護者等の参加はほとんどない状況にあります。地域住民に最も身近な小学校でさえ、地域住民の参加は四割を切る状況にあります。
 中には、目黒区立五本木小学校など、地域行事を学校の教育課程に位置づけ、地域住民と連携した防災教育を実施している学校や、生徒会が防災を考慮したまちづくりに関する提案をして、十分に連携をとっている学校もあります。
 こうした取り組みを普及させることで、災害時に児童生徒が行動し、要援護者が助かる、児童生徒の地域との触れ合いが深まり、脱無縁社会につながる、児童生徒のコミュニケーション力、生きる力の育成にもつながるといった多くの効果が考えられると思います。
 実際にこのたびの震災で、宮城県では学校支援地域本部等を設置していて、日ごろから地域住民と交流している学校では、交流が少ない学校に比べ、避難所開設などが混乱なくスムーズにいったということがアンケート調査で明らかになっています。
 このたび、都教育委員会において、地域連携による防災教育のモデル事業が検討されておりますが、ぜひこのモデル事業を機に、地域と連携した参加型防災教育を普及すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、地域で支え合うシステムの構築について伺います。
 都内でも、東日本大震災の被害を目の当たりにして、たくさんの都民が現地にボランティアに行きたい、物資を送りたい、募金したい、支援イベントをやりたい、避難所支援をしたいといった気持ちを持ち、多くの方が行動に移していらっしゃいました。
 この熱い思いが今後も継続し、被災地への息の長い支援につながるとともに、東京の日ごろからの地域支え合い、ひいては地域防災力の向上につなげていくことが必要であります。
 しかし、サラリーマン化の進んだ東京では、多くの人が長い時間を住所地と離れたまちで過ごしており、住宅地には日中、災害時に要援護者となる方が多く、逆に支援者が少なくなっています。
 こうした中で、防災力向上を進めなければなりませんが、地域でまずぶつかる課題は、要援護者の把握であります。要援護者情報の把握と共有については、区市町村によって取り組みにばらつきがあります。
 例えば、申し出方式で要援護者名簿登録を行い、あわせて災害発生時の支援について説明したり、さらに踏み込んで避難支援を希望しない方についても未登録要援護者台帳を作成し、災害発生時に自主防災組織等の責任者へ情報を提供するなど、地域の実情に応じたさまざまな方法があると思います。
 都としても、都内全区市町村で取り組みが行われるよう、こうした先進的事例を積極的に紹介するとともに、区市町村の取り組みを支援する必要があると考えますが、見解を伺います。
 一方、支援する人の確保については、各種調査結果によると、地域防災活動や災害援助活動への参加意欲が高い一方で、実際にボランティア活動を経験した人は三人に一人です。また、ボランティアは他人から強制されないことが大切と考える人が八二%にも上っており、参加意欲と実際の行動とのギャップを埋めるための新たな方策の必要性がわかります。東日本大震災の街頭募金活動では、若者、子どもたちが積極的に寄附に応じ、まちを歩けばみずから募金活動に立つ中学生、高校生を見かけます。
 また、被災したまちでも、いわゆる今どきの若者たちがともに泥をかき、瓦れきの片づけなどしています。ネガティブな評価をされがちな世代でありますが、テント生活で頑張っていながら、特に力むでもなく、淡々と作業にいそしむ姿に、高い社会貢献意欲があることを改めて認識させられました。
 また、発災当日、いち早く情報を発信したのもインターネットや携帯の情報通信であり、インターネットなどでつながった多くの若者たちが物資を持ち寄って現地に入っていたことは報道されているとおりであります。
 これからの地域活動は、このようにみずから発見し、情報を発信し連携できる、声高には主張しないけれども、人のために積極的に動ける若い世代の価値感、行動様式を取り入れていくことが不可欠であると認識しています。
 こうした私たちの認識からいわせていただくのであれば、石原知事のいういわゆる隣組は、全く的外れに思えてなりません。
 私は、既存の組織、すなわち町会や自治会、あるいは消防団などをもとに、地域活動の若返りを図っていくことの方が重要かつ効果的であると考えます。
 日ごろの地域防災力向上のためにも、既存組織に参加していない若者たちの参加が進むような取り組みを検討していく必要があると考えますが、あえて今、新しい共助の仕組みをつくり出す必要があるのでしょうか。隣組復活の真意を含めた石原知事の見解を伺います。
 地域で支え合うシステムの構築に向けて、私は、商店街の活用を提案したいと思います。
 人気漫画の「サザエさん」では、三河屋さんがそれぞれの家庭をご用聞きして回り、世間話に花を咲かす一方で、それが純然たる商行為として成り立っていました。
 しかし、昨今、ご用聞きを見かけることは少なくなりました。その結果、買い物に出かけることが困難な高齢者や身体の不自由な障害者の方々が日常の買い物に不便を感じるようになりました。これがいわゆる買い物弱者の問題となっているのではないかと考えています。
 そこで私は、昔ながらのご用聞きのような個店単位の取り組みではなく、商店街を単位として買い物弱者への対応を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、医療の震災対策について伺います。
 医療機関については、従来、救命救急センターや二次救急などのごく限られた部分のみ耐震化助成がありましたが、今定例会では補助対象の拡大を図る補正予算が計上されており、一歩前進と評価いたします。
 東日本大震災による拠点的、中核的病院、また地域の診療所建物や医療機能の維持回復等については、いまだその途についたばかりで、被災前から医療過疎の問題と相まって困難が予想されます。
 少なくとも、災害拠点病院や救急病院がその役割を果たし、同時に地域の医師がプライマリーケアを提供し続け、避難所等での保健や予防活動も迅速に行わなければならないことははっきりしています。
 そこで、今回の補正予算における対象拡大による効果と、今後都が目指す災害時の医療提供体制について伺います。
 また、医療機能を維持するためには、もちろんライフラインの確保が必要なことはだれもが認めており、都においても従来から三日分の備蓄を前提とした災害対策が推奨されてきました。
 医療機関には非常用電源も確保されており、いざというときにも当面は大丈夫といわれてきました。
 しかし、ふたをあけてみると、施設、設備の上でやむを得ない制約から、数十分から数時間のバックアップしかできないところも多数あり、長時間、長期にわたる電力供給の途絶に対する発電機の燃料供給、あるいは数時間の計画停電時においても、非常用電源にスムーズに切りかえるには、医療機器への無停電電源装置接続が必要であることなど、さまざまな課題が明らかになりました。
 今回の補正予算において、発電機、非常用電源装置等のハード確保への支援が盛り込まれ、一層の配備が進むことを期待するものですが、実際の医療提供に支障を来さないためには、あらかじめ非常時にも電力を供給継続し続けるべきもの、一たん停止しても構わないもの等を把握するなど、今回計画停電を経験した多摩と二十三区の一部の経験も生かし、夏場の電力不足時も含めた非常時に、各医療機関においていっときも医療が滞ることのないよう、ハードの確保にあわせて細部にわたり総点検していくことも必要と考えますが、都の取り組みを伺います。
 皆様ご承知のとおり、三月十一日、東京では震度三から五強を観測、建物や道路に大きな被害はなかったわけでありますが、公共交通機関や道路網が麻痺しました。直下地震であったなら、当日や翌日の復旧は困難であり、建物や建物内においても被害が発生することが予想されます。
 非常時の参集、連絡方法、また当面の間、各医療機関が機能を維持するための職員や物資をどう確保するのか、通勤圏が広域にまたがる東京の医療機関BCPの策定と実効性を担保するための取り組みが大変大きな課題です。この点についてどのように取り組むのか、見解を伺います。
 次に、東京の産業再生について伺います。
 今回の補正予算では、総額一千三百七十四億円のうち三百九十一億円が東日本大震災により被害を受けた中小企業への金融支援が占めています。その内訳は、融資目標額を過去最高レベルの二兆二千億円にまで引き上げ、最優遇金利の適用や都内すべての事業者に対する信用保証料の二分の一補助を実施すること、また、直接被害を受けた都内中小事業者に対する災害復旧資金融資では、利子の一部を補助することも打ち出しています。
 この間、私たちは、融資目標額の拡大や利子軽減制度の創設などを求めてまいりましたが、今回わずかではあるとはいえ、利子の一部補助に踏み込んだことなどは評価したいと思います。
 また、私たちは、震災発生後の三月十四日に、新たな融資制度の創設を含めた、万全の中小企業対策を講じることなどを求める要望書を石原知事に提出してきたところであり、石原知事も東京都知事選挙における選挙公約において、その第一に安心・安全な制度融資、東京セーフを創設しますと掲げていらっしゃいました。
 そこで、今回の補正予算の内容が石原知事の考えていた東京セーフと考えていいのか、融資目標額の設定なども含め、今回の補正予算による中小企業の金融支援について、石原知事の見解を伺います。
 次に、中小企業に対する自家発電設備などの導入について伺います。
 今回の補正予算で百二億円が計上されている中小企業等向け電力自給型経営促進支援事業は、今後想定される電力不足によって企業活動が停滞することのないよう、都内中小企業が自家発電設備などを導入する際の費用を助成することが主な内容となっています。
 しかし、非常時とはいえ、ディーゼルなどの自家発電設備が都内に次々と導入されることは、環境上好ましいことではなく、また敷地的な制約などから、工場単位では導入が難しい事態も想定されます。
 このようなことから、私はむしろ工業団地に見られるようにまとまったグループや地域などに対して、その導入を優先することで、効率的かつ環境にも配慮した産業力の強化につなげていくべきだと考えるものであります。
 中小企業等向け電力自給型経営促進支援事業における制度創設の基本的な考え方について、東京都の見解を伺います。
 次に、中小企業に対するBCP策定支援事業について伺います。
 BCPとは、地震やパンデミックなど、さまざまなリスクから企業を守るため、企業の事業継続や早期復旧に必要な対応策をあらかじめ定めたもので、ビジネスコミュニティプラン、事業継続計画と訳されています。
 国の中央防災会議が平成十八年に決定した地震防災戦略では、今後十年間でBCPを策定している企業の割合を、中堅企業において過半を目指す旨の目標を掲げています。しかし、平成二十二年三月の内閣府の調査では、BCP策定済みが一三%である一方、策定予定なしが一〇%、BCPを知らないが四五%に及んでいるなど、BCPそのものが認知さえされていない状況にあります。
 今回の震災を受けて、中小企業の団体からは、BCP策定にかかわる費用助成の措置やデータのバックアップ体制構築のための費用助成を含めた支援などの要望が寄せられています。
 また、新聞などによると、今回の震災で被災地で工場が被災したものの、BCPを策定していたおかげで短期間で復旧できたとの事例も報じられています。
 今後、首都直下型地震の危機を考えれば、私はBCPについてはまだまだ施策展開の余地は大きいのではないかと感じています。都は、中小企業のBCP策定に向け、今後より積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、風評被害に苦しむ中小企業への支援について伺います。
 外国における日本製品の風評被害に対応するため、中小企業からの申し出に速やかに応じて、放射能の測定試験や証明書の発行を行うことが望まれています。実際に中小企業団体などからは、民間検査機関の公募や検査費用の助成など、支援対策の強化を求める要望も出ており、東京都としてもこうした要望に積極的にこたえていく必要があります。
 今回の補正予算案では、中小企業団体などがみずから放射線測定器を購入し、自主検査を行う取り組みなどに対して、その費用を助成することや、都立産業技術研究センターが出張試験を実施し、検査証明書を迅速に発行することなどが盛り込まれていますが、さらに都としてしっかりと支援していくべきと考えています。
 風評被害に苦しむ中小企業に対して、東京都としてどのように支援していくのか、見解を伺います。
 次に、行事やイベント活動の促進についてであります。
 大震災の影響による自粛ムードによって、経済活動に対する停滞感はいまだ続いております。このような中、私は東京都が率先して自粛ムードを解消し、復興に向けた機運を高める取り組みを進めていくべきだと考えます。
 例えば、東京都は、ことし九月ごろに、全国都市緑化フェアのプレイベントを開催する予定ですが、被災地支援というテーマを前面に出して、こうしたイベントを大々的かつ積極的に展開すべきです。
 また、花火大会や各種の復興イベントの開催では、警視庁などによる警備体制の確保が欠かせませんが、関係者の協力を強く要望するものであります。
 そして、活力向上に向けたイベントを地域でも開催していくために、私は被災地を支援する商店街でのイベントなどについても積極的に展開していくべきと考えますが、商店街での積極的なイベント開催について見解を伺います。
 次に、小笠原諸島の世界自然遺産登録後の対策について伺います。
 小笠原諸島の世界自然遺産リストへの登録は、世界遺産委員会の諮問機関、IUCNより記載が適当との勧告を受けており、その可能性は非常に高いものとなっています。最終的な決定は、今月十九日から二十九日にかけ、フランスで開催されている第三十五回世界遺産委員会パリ会議で行われますので、この定例会の開会中に朗報を待つことになります。
 今回は、大震災の被災地である岩手県の平泉が文化遺産としての登録の可否が決定されることもあり、両地域が登録されることで、被災地で懸命に復興に取り組んでおられる皆様を初め、日本の多くの方々に明るい話題が提供できるものと期待しているところです。
 さて、IUCNの勧告では、世界遺産としての価値を構成するために必要な要素のすべてが推薦区域内に入っており、それらがなるべく人為的な影響を受けないことを求める完全性に関して、侵略的外来種の影響等が既に諸島の多くに見られることや、新たな外来種の侵入に対して継続的な注意や管理をすることが述べられています。
 また、世界遺産としての価値を長期に維持するための法的な措置や包括的な仕組みを求める保全管理については、外来種対策への努力が要請されています。ほかにも、気候変動の影響の評価と適応のための研究モニタリング計画の策定を促されております。
 世界遺産委員会での正式な決定でも、IUCNの勧告と同様に、外来種対策の努力などは勧告として出される可能性は高いと思います。ついては、登録後の外来種対策など、勧告事項に対し都としてどのような対策を講じていくのか、見解を伺います。
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 三月十一日に発生した東日本大震災によって、新市場予定地である豊洲地区でも液状化現象が見られました。そもそも液状化を予想していた地域ですので、起こって当たり前といえば当たり前なのですが、懸念されるのは、既に明らかになっていた汚染が移動したり、拡散したりしたことはないのかということであります。
 石原知事は、私たちの代表質問に対して、日本人が日本の技術を信じないでどうするんだと発言されておりますが、技術に対する過信、盲信こそが今、戒められるべきではないでしょうか。
 また、石原知事は、三月二十二日の自由報道協会での記者会見で、液状化に対する対処法をどうするのかというためにも、オープンな形で調査する旨発言されていますが、現在、東京都が行っているとされる液状化の調査がオープンな形で行われているとは思えません。
 今回の調査はどのような方法で、何を観察するのか、いつからいつまで実施し、いつごろ調査結果を発表するのかさえ、あらかじめオープンとなっておらず、ましてや、技術会議も開かれず、リスクコミュニケーションという観点からも極めて疑問であります。
 私は、液状化の状況について、内部での流動化による汚染拡散の有無なども含めて、詳細かつオープンな形で調査し、その結果を速やかに公表するとともに、第三者も含めて、そのメカニズムや対策などについて検証するといった姿勢こそが必要であると思いますが、見解を伺います。
 平成二十三年度一般会計予算には、築地地区を中心とした将来のまちづくりの検討として三千万円が計上されていました。私たちは、予算特別委員会の締めくくり総括質疑において、地元自治体である中央区の意見をただ単に聞きおくだけでなく、中央区の要望も踏まえ、築地も豊洲も並び立つ、築地の将来像が早期に示されるべきだと述べてきました。
 私たちの質問に対して東京都は、地元中央区など関係者とも協議を行いながら、速やかに検討を進めていくとした上で、検討に当たっては築地の歴史、文化を尊重し、これまで築地市場と場外市場が一体となってはぐくんできた食文化の拠点としての活気とにぎわいをどのように引き継いでいくかという観点からも行っていくと答弁しています。
 そこで、中央区との検討状況はどうなっているのか、見解を伺います。
 最後に、オリンピックについて伺います。
 石原知事は、都議会の所信表明において、日本全体とスクラムを組んで、東京に二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致を考えていただきたいと述べられました。二〇一六年招致は、知事が提案して始まりましたが、他の招致都市との競争で国内の盛り上がりに欠け、四都市で最も低い支持率となり、IOC委員の多くの賛同に結びつかずに、残念な結果に終わりました。
 復興を旗頭に、日本全体での二〇二〇年の招致を考えていくのであれば、前回の失敗を踏まえて、推進するスポーツ界がまず積極的に取り組むとともに、都民や国民の広範な賛同を得られる、当然のことながら復興に取り組む被災地も理解する、国とともに推進する招致としていかなければならないと考えています。
 知事は、日本全体で招致する、東京への再招致とはどうあるべきだと考えているのでしょうか、見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 山下太郎議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、被災地支援についてでありますが、震災発生から三カ月たちましたが、依然として被災地には大地震がもたらした惨状が広がっており、被災者の生活再建も遅々として進んでおりません。
 電力、農林水産物等の供給の多くを被災地に依存してきた首都東京が、全国の先頭に立って刻苦する被災地を支援していくことは当然であります。眼前に立ちはだかる瓦れきの撤去や仮設住宅の建設、被災地域の経済再生など、山積する現地の課題を解決へと導くには、日々変化する現地の実情に即した手だてを具体的に、果断に講じることこそが何よりも重要だと思います。
 都は、震災後早期に被災地に現地事務所を開設して、被災地が真に必要とするニーズを的確にとらえ、現場を持つ都の強みを最大限に生かして、必要な物資の搬送や医療、福祉のスタッフの派遣など、機を逸することなく支援をしてまいりました。
 国の対応は、厳しい被災地の現状に対して後手後手に回っておりますが、東京は、今後とも復興に向けみずから踏み出す被災地、被災者を強力に後押ししていきたいと思っております。
 次いで、東京の総合防災力の向上についてでありますが、東日本大震災は、東北地方に甚大な被害をもたらしただけではなく、東京にも帰宅困難者の発生といった直接的な被害を生じさせました。さらには、遠隔地の災害にもかかわらず、計画停電による都民生活の混乱などの連鎖的な被害をもたらしました。
 こうした被害の発生によりまして、交通ネットワーク、電力の供給網など、ふだんは当たり前と思っている都市機能の脆弱性が明らかになったことから、防災対策を抜本的に見直す必要があります。
 地震の専門家によりますと、世界で発生するマグニチュード六以上の地震のうち、約二割はこの日本で発生しております。いずれにしろ、この日本はご承知のように世界最大のファイアリング、火山脈の上に存在する国土でありまして、また、東京では、体に感じないものも含めて、十分に一度は地震が起きているということであります。地震大国日本の中で、高度に集中、集積が進んだ東京において、防災力の向上は待ったなしの課題であります。
 このため、今回の震災以上の被害が懸念される首都直下型地震に備えた防災対策の一層の強化と、東海、東南海、南海連動地震も視野に入れた新たな視点からの対応を加えた、東京都防災対応指針を本年十一月に策定いたします。指針の内容は、地域防災計画の修正に反映させて、東京の防災力向上への道筋を早期に示していきたいと思っております。
 次いで、原子力発電の安全性についてでありますが、今回の福島原発の事故は、ただいまの質問にあった四年前、柏崎原発が被災した際、東京都が国に安全性確保を要求した云々の話とは全く次元の違う問題であります。
 先日、海江田経済産業大臣は、原発の短期的な安全については確認されたと表明しております。みずからの民主党政権が原発を管轄し、検査もしているのですから、安全性については国家に聞いたらいかがですか。
 改めて申し上げることもなく、原子力の利用に当たっても、安全の確保は当然であります。なぜフランスでできている安全管理が日本にできないのか。インシデントすら隠して信頼性を失ってきたこれまでの姿勢を反省し、再考すべきであると思います。
 同時に、エネルギー確保は、国家、社会の存立に直結するがゆえに、エネルギー戦略も速やかに構え直す必要があります。豊富な電力が安定的に供給されるからこそ、我が国を支えるものづくりがここまで発展できたわけでありまして、新しいITの技術が急速に進歩してまいりました。
 かつて、完全な管理技術を前提とすれば、東京湾に立派な原子力発電をつくってもいいと発言したことがございますが、当然のことであります。日本の頭脳、心臓部の将来を、一段の発展を考えたとき、その裏づけとなる電力をほかに依存し続けることは不合理だと考えます。
 ゆえにも、今回の電力不足に当たって、日本のダイナモが麻痺してとまらぬように、東京の電力自給能力を向上させるためにも、原発の事故によって電気料金の高騰が予期もされるわけでありますが、こういう際、あわせてコスト的に見合う天然ガスの発電所の建設に向けて取り組み、節電も徹底するなど、東京発の環境エネルギー戦略を展開していきたいものだと思っております。
 他方で、菅総理は、実現の方策も示せずに、国内での議論もなく、あまつさえ担当大臣も知らないままに、太陽光充電パネルを一千万世帯に普及するなどということをサミットで打ち上げました。
 今後のエネルギーの源として、太陽光も選択肢の一つではありましょうが、原子力発電にかわる膨大な電力を一足飛びに賄うことはとてもできる話ではありません。
 また、菅総理は、再生可能エネルギー法案について、自分の顔を見たくないなら法案を早く通せと発言したように仄聞しておりますが、これまた一体どういう独善でありましょうか。思いつきや保身ではなく、現実的なエネルギーに関する議論をしないと、国を結果として滅ぼすことになります。
 きのう、私が取材を受けましたあるテレビ局の原発に関する質問も、要するに是か非か、黒白という、そういう問い詰め方でありまして、人をばかにした物のいい方をするなと追い返しましたが、いずれにしろ、都議会民主党の諸君は、みずからの代表といただいておる菅総理にまずは諫言をしていただきたいものだと思います。
 環境に配慮した都市づくりについてでありますが、今般の大震災によってもたらされた電力不足により、遠隔地の大規模発電所からの送電に頼ってきた都市の脆弱さが明らかになりました。
 これからの都市づくりは、電力対策緊急プログラムで既に明らかにしたとおり、気候変動対策など環境配慮の視点に加え、自立分散型エネルギー源の確保など、低炭素で高度な防災都市の実現を目指していく必要があります。
 そのための効率的な天然ガス発電は、首都圏の直面する電力不足への対応として最も有力なものの一つであると思います。日本のダイナモであります東京の産業活動が停電によって停滞し、空洞化することのないよう、首都圏の電力自給能力を向上させていきたいものだと思っております。
 次いで、防災隣組についてでありますが、今回の震災で被害者の方々は、大切な家族や生活基盤を失った直後のつらくて困難な状況にもかかわらず、互いに気遣い、支え合って行動するなど、日本人の誇るべき人と人とのきずなのすばらしさを我々に示してくれました。住民の紐帯に根差した助け合いが、発災直後の混乱の中で大きな力を発揮することを改めて認識いたしました。
 しかしながら、東京における人々のきずなは、核家族化や価値観の多様化も相まって、家族の間においてすら希薄となっております。
 昔、こんな句がありましたな。ちょっと詳しく覚えていませんが、秋の気配を感じながら、隣は何をする人ぞという俳句があったのを覚えていますけれども、秋深しですか、隣は何をする──いずれにしろ、私たち東京に住んでいますと、マンションならずとも、一戸住宅の連なっている私の住んでいるまちでも、隣の人が何をしているかさっぱりわからない、こういう状況は震災にとっては非常に脆弱な状況でありまして、それをとにかく超克するためにも、この大震災を機に人間のきずなの価値を再認識し、大都市にふさわしい連携の形をつくり上げていかなきゃならないと思っております。
 このため、区市町村とも連携しまして、防災隣組ともいうべき、せいぜい二、三軒両隣の人たちの、要するに安否を気遣うような、そういう習慣というものを培っていきたいと思っているわけであります。
 災害時に機能する新たな共助の仕組みを構築するというと大げさでありますが、日ごろそういう声をかけ合うことで、いざというときにそのきずなが大きく生きてくるんではないかという気がいたします。いってみますと、向こう三軒両隣が肩を組んで、若者や企業なども巻き込んで、発災時における共助の力を再生していきたいものだと思っております。
 次いで、都内中小企業への金融融資についてでありますが、今回の大震災は、サプライチェーンの寸断や風評被害など、被災地のみならず、都内の中小企業にも広範な影響を及ぼしております。
 私も公約で申し上げましたが、こうした事態に速やかに対応するため、都は新たな制度融資を創設するなど、東京の活力の源泉である中小企業の資金繰りに最大限の手だてを講じてきました。
 こうした取り組みによりまして、直接間接の災害被害を受けた都内中小企業への金融支援に万全を期していきたいと思っております。
 次いで、オリンピック招致についてでありますが、大震災から復興した姿を世界に披瀝するならば、世界じゅうから寄せられた友情や励ましへの何よりの返礼になるんではないかと思います。次代を担う若者に夢と希望を贈るために、招致に再挑戦をすることは大きな意義があると思っております。
 いずれにしても、九年先のことですから、私も生きているかどうかわかりませんし、議会の皆さんも果たして議員でいるかどうかわかりませんが、要するにこの国難を踏まえて、私たちがやっぱり次代に希望という星を光らせるためにも、オリンピックに、九月一日がタイムリミットでありますから、とにかく一度掲げたたいまつの火は消さずに、要するにともし続けていきたいものだと思っております。
 オリンピック招致は、もはや都市同士ではなく、国家間の熾烈な戦いであります。各界が総力を結集し、国としての一体感を持って取り組むことが必要であり、そのためにも都民、国民の支援が不可欠であります。
 国やスポーツ界、経済界が主体的に活動し、幅広く招致機運を醸成し、日本全体が一つになってオリンピック招致に取り組むことを望んでおります。
 この本会議が始まります直前に、実はJOCの会長以下、日本の代表的なアスリート、メダリストたちがたくさんやってきまして、ぜひオリンピックを招致してもらいたいという要望がありました。
 だが、私は、それは約束しましたけれども、逆に彼らに頼んだんです。国民の総意をもって、政党を超えた、要するに、議会でもみんながとにかくオリンピックをやろうという気になるためには、まず君らが次のロンドンで、あるいはその次のリオでたくさんメダルをとってこいと。今のような結果では、国民の気持ちは盛り上がらんぞという注文を出しました。彼も大きくこたえてくれました。まあ結果を見ようじゃありませんか。
 他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 八点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立学校施設における今後の省エネ化の取り組みについてでございます。
 改築や大規模改修を行う都立学校については、都の施設を最高水準の省エネ仕様に転換するため策定した省エネ東京仕様二〇〇七を適用し、整備しております。
 具体的には、エネルギー効率の高い照明器具やエアコン、むだな電力使用をなくす人感センサーや照度調整システム、さらに節水効果の高い給水設備などを導入し、省エネ化を図っております。
 また、その他の学校についても、改修や設備更新の機会に、施設の状況に応じて省エネ東京仕様の機器を設置しております。
 今後、省エネ東京仕様での整備のほかに、LEDなど新たな技術による設備機器についてもモデル校に導入してまいります。
 次に、都立学校における節電の取り組みについてでございます。
 今般の大規模な電力供給不足に当たり、都立学校においても、教育活動を維持しつつ、節電に取り組まなければなりません。その際、児童生徒に対し節電の必要性をしっかりと伝え、理解させ、自発的な実践に結びつけることが重要でございます。
 既に、都教育委員会は、CO2削減の取り組みにおいて、児童生徒の地球温暖化防止への意識と環境に配慮した行動を実践する意欲を高めることで、実績を上げてまいりました。この経験を生かしながら、教職員、児童生徒が一丸となった取り組みにより、節電への意識と意欲を高め、具体的な行動につなげて節電目標の達成に努めてまいります。
 また、効果的で創意工夫に満ちた節電の取り組みに対する顕彰を通しまして、児童生徒の意識を高めてまいります。
 次に、都立学校における防災機能強化についてでございます。
 震災時、都立学校は、在籍する児童生徒の安全確保に加えまして、帰宅支援ステーションの役割を担っており、東日本大震災では多くの帰宅困難者が都内で発生し、都立学校全体では五千九百五十三人を受け入れました。
 帰宅支援ステーションの機能は、トイレの提供など短時間の滞在を想定したものでございましたが、実際には、翌日まで学校にとどまらざるを得ない人々が多数生じましたことから、急遽、児童生徒用の飲料水、食料、毛布等を提供いたしましたが、不足が生じた学校もございました。
 このため、今後、各都立学校に、児童生徒用に加えまして帰宅困難者のための備蓄品の拡充を図りますとともに、首都直下型地震などにも対応できるよう、電源確保のための自家用発電機等を設置してまいります。
 次に、帰宅支援ステーションにおける教職員の役割分担についてでございます。
 都教育委員会は、平成十九年に策定いたしました学校危機管理マニュアルの学校危機管理計画の中で、避難所支援班など教職員の帰宅支援ステーションにおける役割分担を定めております。
 今般の東日本大震災における帰宅支援ステーションの経験を踏まえまして、教職員の当日の対応や行動を調査分析する等、都立学校が取り組むべき課題を検証するとともに、運営のあり方について取りまとめ、さらに実効性の高いマニュアルとするため、現在、改定作業を行っております。
 今後、地元自治体等と連携し、都立学校の帰宅支援ステーションとしての役割強化や、教職員の対応など運営体制の整備を図ってまいります。
 次に、実践型防災教育の取り組みについてでございます。
 これまでも各学校では、地震や火災などを想定して、授業時間内における避難訓練を定期的に実施するとともに、小中学校においては保護者への引き渡し訓練等を実施してまいりました。
 しかしながら、東日本大震災当日、校外学習で他県に行っておりまして、その日のうちに帰宅できなかった例や、保護者が帰宅困難となったために児童生徒を保護者に引き渡すことができず、深夜まで学校で保護した例などがございました。
 今後は、こうしたことを踏まえまして、災害時における児童生徒の保護体制を見直し、授業時間はもとより、登下校中や放課後、校外学習中等、さまざまな場面や状況を想定した体験的、実践的な防災訓練を実施するよう、各学校を指導してまいります。
 次に、児童生徒の防災意識に関する取り組みについてでございます。
 児童生徒が家族とともに必要な防災用品を確認するなど、家庭における地震発生時の初期対応や避難する際の注意事項等について、日ごろから把握しておくよう指導することは極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会は、副読本「地震と安全」に、避難袋に入れておくべき非常用品のリストや、家具の転倒防止等の対策を含む安全チェック表、地震発生直後の対応や避難時の注意等に関するワークシートなどを掲載いたしまして、これらに児童生徒が実際に記入することで危険を予測し、回避する能力と態度を育成してまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを充実し、児童生徒が家族と話し合いながら、家庭における防災意識を高めていく教育を推進してまいります。
 次に、都立高校における防災教育の充実についてでございます。
 すべての都立高校生に災害発生の仕組みや災害への対応策を理解させ、防災意識を醸成することが重要でございます。
 そのため、各教科のうち防災の視点が欠かせない内容、例えば、地球の科学や災害の歴史、建築物の耐震構造などについて、各高校や学科の特色に応じて学習が一層深められるよう、各高校を指導してまいります。
 さらに、現在、一部の都立高校で教科「奉仕」や特別活動の時間などに行っております救命救助体験など、体験的な防災教育を他の高校にも拡大してまいります。
 こうした取り組みにより、生徒一人一人が社会の一員としてのみずからの役割を自覚し、災害時に適切に行動する能力と態度に身につけ、地域社会の安全確保に積極的に貢献できる人間となるよう育成してまいります。
 最後に、地域連携による防災教育についてでございます。
 発災時において、学校が児童生徒の安全を十分確保するためには、地域と連携した防災体制の構築が不可欠でございます。また、特に中高校生については、日ごろから地域の一員としての自覚を高めさせ、地域の防災に貢献できる資質、能力を育てることが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、防災教育や救援活動の実績がある専門団体と連携し、発災時の対応等について、児童生徒が地域住民とともに学ぶ参加型防災教育や、救援活動の模擬体験等の実践的な防災教育を推進しますモデル事業を検討しております。本モデル事業の成果を教員研修や教育支援コーディネーターの研修に取り入れまして、地域と連携した防災教育を普及させてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅の耐震化助成についてでございます。
 都は、防災都市づくり推進計画に定める、特に老朽化した木造建築物が集積した区域が連担するなど、震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象といたしまして、重点的に施策を展開しております。
 このような地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるため、区と連携し、耐震診断や改修に対する公的助成を行っております。
 東日本大震災を受け、都民の生命と首都機能を守るためには、木造住宅密集地域を早急かつ確実に整備することがますます重要となっていることから、都としては、引き続き、整備地域に的を絞り重点的に木造住宅の耐震化助成を行うとともに、まちづくり施策やさまざまな支援策を総動員した新たな実効性のある整備促進策を検討してまいります。
 次に、建築物の非構造部材の落下対策についてでございます。
 都はこれまでも、特定行政庁である区市と連携し、外壁や天井などの落下防止対策を講じてまいりました。
 具体的には、建築基準法の定期報告制度に基づき、建築物の所有者に対して、外壁や床面積が五百平方メートル以上の大規模空間の天井などにつきまして、建築士等による調査の報告を求め、必要に応じて是正を指導しております。
 また、年二回の建築物防災週間におきましても、通行者の多い道路沿いの外壁、大規模空間の天井等につきまして、劣化や損傷などの状況を所有者からの報告や現地調査により把握し、落下のおそれのあるものについて改善を求めております。
 しかし、今回の地震では、都内において、五百平方メートルの基準に満たない天井が落下して、死傷者の出る事故が発生しました。このため、建築物の所有者等に対し、ホテルや店舗などの業界団体を通じて、対象規模を広げて天井を点検するよう促すとともに、区市や指定確認検査機関に対しましても、建築確認における指導徹底を要請いたしました。
 国においては、東日本大震災による被害を踏まえて、天井に関する基準のあり方を検討中でございまして、都としては、こうした国の動向を注視しながら、今後とも建築物の安全性の確保に取り組んでまいります。
 最後に、地域冷暖房施設を備えた建築物の容積緩和についてでございます。
 都はこれまでも、建築基準法や都市開発諸制度の適用に当たり、地域冷暖房やコージェネレーション施設などの導入を公共貢献として評価し、整備に必要な床面積を容積率緩和の対象としております。
 今後、こうした施設のさらなる普及拡大を図っていくためには、初期の設備投資に加え、その後の維持管理に要する多大なコストの負担軽減や、関係法令の規制緩和などについて総合的に検討していく必要がございます。
 また、地区や街区単位でエネルギーの有効利用を進めていくためには、行政による支援措置とあわせて、地域の民間事業者相互の協力が不可欠でございます。
 都は、こうした課題を踏まえ、引き続き関係機関と連携しながら、都市開発にかかわる民間事業者の取り組みを促進することなどによりまして、環境負荷の少ない省エネルギー型都市の実現を目指してまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

〇総務局長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、コミュニティにも配慮した避難者支援でございます。
 いまだ原発事故収束の見通しが不透明であり、避難の長期化等による避難者の孤立も懸念されることから、避難者支援においてコミュニティへの配慮は重要でございます。
 都はこれまで、随時、被災地の行政情報を提供するとともに、同じ県や市町村からの避難者をできるだけ同じ都営住宅などに受け入れ、地元区市や自治会へ紹介するなど、地域とのつながりや避難者間の交流を図ってまいりました。
 今後とも、避難者のニーズを踏まえ、都内避難者に被災地に関する必要な情報を周知できるよう、被災自治体との連携をより一層強化するとともに、避難者の孤立化を防止する事業を実施するなど、関係機関や各種団体とも協力しながら、コミュニティにも配慮した支援を行ってまいります。
 次に、九都県市広域防災プランの見直しについてでございます。
 九都県市では、被害が広範囲に及ぶ大規模地震に備え、自治体間で物資の支援や職員の派遣を行う手順を定めた広域防災プラン震災編を平成十六年に策定し、これまでも必要に応じプランの改定を行ってまいりました。
 本年五月に開催された九都県市首脳会議では、都県境を越えて移動する帰宅困難者対策や、災害時における効果的な情報収集、提供のあり方など、広域的な課題について検討することが合意をされました。
 今後は、首脳会議のもとに設置されている防災・危機管理対策委員会において、今回合意された広域的な課題と具体的な対策について実務レベルで検討を進め、その内容を広域防災プランの改定に反映してまいります。
 次に、震災時の帰宅困難者対策についてでございます。
 今回の震災では、首都圏の鉄道がすべて停止した中、多くの人が一斉に帰宅をしようとしたため、駅前に多くの人が滞留するとともに、道路が大渋滞となるなど、都内は大きく混乱をいたしました。
 首都直下地震発災時には、建物倒壊や火災などにより道路も危険な状態となり、さらなる混乱の発生が想定されるため、安全な帰宅手段が確保されるまでの帰宅の抑制や一時待機施設の確保、都民に対する迅速で正確な情報提供など、対策を強化する必要があります。
 また、道路等の状況が落ちついた段階では、徒歩帰宅に加え、陸上、海上輸送の実施により、帰宅困難者の早期の帰宅に向けて取り組む必要があります。
 これらを踏まえ、都は、国を含めた官民で構成する協議の場を設置し、駅周辺における地域ぐるみの取り組みなどを含め、社会全体で取り組む帰宅困難者対策を策定いたします。
 今後、この協議会での検討を踏まえた帰宅困難者訓練を実施し、その際には、都民やボランティアなど多様な主体に参加を呼びかけてまいります。
 最後に、災害時における燃料の安定供給についてでございます。
 今回の震災では、東日本地域の製油所の稼働停止や物流ネットワークの断絶に伴い、被災地のみならず、都内においても燃料の供給不足による混乱や事業活動の停滞などが発生をいたしました。
 こうした状況を踏まえ、今回以上の燃料不足の発生が懸念される首都直下地震や東海、東南海、南海連動地震に備えて、救命救急など迅速な応急対応の生命線である燃料の安定確保に向けた取り組みを強化する必要がございます。
 このため、発災時における燃料の調達のあり方について、災害拠点病院等の機能維持や物資の緊急輸送の円滑な実施などの観点に立って、国、自治体、事業者の役割分担も含め幅広く検討し、本年十一月に策定する東京都防災対応指針において今後の方向性を示してまいります。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

〇消防総監(新井雄治君) 木造住宅密集地域における出火防止対策についてでありますが、これまで、都民の地震時の行動をまとめた「地震 その時十のポイント」において、避難時には電気、ガスを遮断するなどの出火防止対策について広く普及啓発するとともに、震災時の電力供給に伴う火災の予防を関係業界に指導してまいりました。
 また、防火防災診断などを通じまして、火気器具周辺の整理や家具類の転倒、落下防止措置、住宅用火災警報器の設置促進、感震ブレーカー等の設置を進めますとともに、地震後の出火防止対策として、避難時のブレーカー遮断や電源復旧時における電気器具の安全確認についての周知を図ってまいりました。
 今後は、停電復旧時の出火防止に係る電気保安器具の普及促進の強化を初め、防火水槽や消火栓を防災市民組織等が容易に活用できるようにすることや、消火、生活用水などの確保を可能とする深井戸の整備などにより初期消火体制の充実強化を図るとともに、実践的な防災訓練を行い、東京の減災に向けて総合的に推進してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 液状化予測図についてでございますが、現在の液状化予測図は、関東大震災規模の地震を想定し、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示したものであります。
 予測に当たっては、地質調査データに基づき、地表から深さ六メートルまでの浅い部分と地表から深さ二十メートルまでの地層全体のそれぞれについて、液状化の可能性について地盤工学的な判定を行い、さらに液状化の履歴や沼地や田んぼなどの土地利用の変遷を加味した上で、液状化が発生しやすい地域、発生が少ない地域、ほとんど発生しない地域の三つに分類したものでございます。
 ご指摘の潮風公園などの地点は、地表から深さ六メートルまでの浅い部分では液状化しやすいが、深さ二十メートルまでの地層全体では液状化しにくいとされている、いわゆる液状化の発生が少ない地域であり、おおむね浅い層で液状化が発生したものと認識しております。
 今回の震災を受け、新たに実施する地質調査などの結果を用い、地盤の専門家などの意見も聞きながら、液状化予測図の見直しを平成二十四年度末を目途に完了させます。
 また、新たな予測図についても、これまでと同様、都のホームページや窓口での閲覧により、広く都民へ情報を提供してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 島しょ地域の災害に強い港の整備についてでありますが、島しょの港湾、漁港は、津波、台風、噴火などの災害の際、避難や復旧、復興のために不可欠な基盤であります。
 このため、都では、漁港漁場整備長期計画等に基づき、噴火時の島民の速やかな避難を可能にする避難岸壁の整備や、台風時における漁船の安全性を向上させた漁港の整備、さらには、津波に対しても港の機能を維持し復旧、復興に役立てるための施設改良など、災害に強い港の整備を着実に進めてまいりました。
 今後は、今回の震災後、局内に設置した地震・津波対策会議においてこれらの取り組みを検証していくとともに、国の中央防災会議での検討結果等を踏まえ、必要な見直しを行いながら、災害時に重要な役割を果たす島しょの港の整備に努めてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 四点のご質問でございます。
 まず、中小規模事業所に対する一層の省エネ促進についてでございますが、都は、昨年度から地球温暖化対策報告書制度を導入し、三万を超える中小規模事業所からCO2排出量や省エネ対策の実施状況に関する報告書を提出いただいております。
 ことしの夏の節電対策では、本制度を活用しまして、昨年比一五%の電力の削減に向け、数値目標や具体的な取り組みについての計画づくりと公表を既に求めております。加えて、地球温暖化対策セミナーや業種別研修会等を開催し、先進事例の紹介を行うなど、中小規模事業所の省エネ対策の促進を図っております。
 次に、中小規模事業所に対する情報提供等についてでございますが、省エネ設備の導入を促進するさまざまな支援制度の情報提供に関しましては、利用者の利便性に配慮する必要があると考えております。
 このため、東京都地球温暖化防止活動推進センターでは、環境局の所管する助成制度のみならず、産業労働局や主税局が所管する制度等も含めた説明資料やパンフレットを作成し、このセンターにおいて、都の支援策について全体的に情報提供ができるよう努めております。
 今後とも、各局と連携いたしまして、東京都地球温暖化防止活動推進センターを都の地球温暖化対策の拠点として、さまざまな支援策を実施してまいります。
 次に、今後の再生可能エネルギーの導入促進についてでございますが、今回の震災に伴う電力危機を受けまして、高効率な天然ガス発電による電力供給の拡大や、住宅用太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの導入促進など、首都圏の電力自給能力を向上するための多様な電源確保の重要性がこれまで以上に高まっております。
 今後、再生可能エネルギーの飛躍的な導入拡大を実現するには、何よりもまず国の全量買い取り制度が速やかに開始されるとともに、その買い取り価格や期間について採算がとれる水準を担保する必要がございます。先月の九都県市首脳会議でもこの認識で合意いたしまして、国に対し要請を実施いたしました。
 都は、今後とも、国に強く働きかけながら、さらなる再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組みを進めてまいります。
 最後に、小笠原諸島の世界遺産登録後の保全への取り組みに関してでございますが、諮問機関の勧告は、世界遺産の価値を守る上で、固有の動植物に影響を及ぼす侵略的外来種の排除が最も重要であるとしております。
 都はこれまで、固有の植物に影響を与えるノヤギの排除を進め、多くの島で根絶してまいりました。また、小笠原固有のカタツムリであるカタマイマイなどを食べるプラナリアの侵入防止策や、旺盛な成長力で固有植物の生育を阻害するギンネムの伐採などを進めております。
 世界遺産登録実現後も引き続きこうした外来種対策を進めるとともに、国や村と連携し、勧告を踏まえた総合的な保全策を実施してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 当面改修予定のない都有施設の省エネ化についてでございますが、都有施設への省エネ設備の導入につきましては、施設の新築や改築、改修等の機会をとらえて行うことを基本としておりまして、平成二十一年に策定いたしました都有施設省エネ・再エネ等導入指針に基づき積極的に推進をしております。
 また、この指針では、空調や照明設備等について、運転方法の改善などの運用対策も定めておりまして、当面改修予定のない施設におきましても、その対策の徹底を図ることとし、都有施設の省エネ化に取り組んでおります。
 さらに、今般の電力危機に対して、東京都電力対策緊急プログラムに基づき、今年度、三百施設に需要電力監視装置を設置するなど、省エネ機器の導入のほか、技術革新の動向等を考慮した照明のLED化の推進を行うことといたしました。
 今後とも、関係各局と連携し、必要な技術的支援を行うなど、都有施設の省エネ化を円滑かつ効果的に進めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、節電対策に伴う企業の職場環境の整備についてでありますが、夏季の電力需要のピークを抑制し、事業を継続するため、企業において勤務時間の早朝、夜間への変更や休日、休暇の見直しが進められております。
 こうした取り組みは、労働関係法令に基づき、就業規則の変更などの必要な手続を経て行われるものと認識しておりますが、労働者にとりましては生活時間帯の変更など大きな影響が生じることから、労使で十分に話し合いながら取り組むことが重要であります。
 このため、都は、節電対策に伴う勤務条件の変更等に必要な法律上の手続や知識等の普及啓発を図るため、労働相談情報センターにおいて、震災対応の雇用管理や家族的責任を有する従業員への配慮の必要性などに関するセミナーを実施いたします。
 また、震災関連特別労働相談窓口の開設期間を九月末まで延長し、節電による労働条件の見直しに関する相談や指導にも対応しております。
 こうした施策を通じて、企業の節電対策が労使の協力により円滑に実施されるよう引き続き支援してまいります。
 次に、商店街を単位としたいわゆる買い物弱者への対応についてでありますが、買い物弱者の問題につきましては、地域の実情に応じた区市町村の取り組みが基本であると考えております。
 ご用聞きのお話がございましたが、都はこれまでも、新・元気を出せ商店街事業において、商店街が実施いたします宅配サービスなどの事業に対して支援を行ってまいりました。
 今後とも、同事業を活用して、商店街の振興と買い物客の利便性の向上を的確に実現してまいります。
 次に、中小企業への自家発電設備の導入についてであります。
 震災により電力不足が懸念される中、都内中小企業の事業活動の継続に向けた都の支援が必要となっております。そこで、都は、まず節電セミナーや専門家の派遣を通じて、電力需要の抑制に取り組む中小企業を支援してまいります。
 しかしながら、生産活動に多くの電力を必要とし、節電の努力に限界がある中小企業では自家発電設備が必要となりますため、設備に関する法令等のアドバイスを行った上で、導入経費の一定割合を助成することといたしました。また、企業がグループを組み共同で自家発電設備を導入する場合には、単独で設置するよりも効果的であるため、助成割合を高めることとしております。こうした取り組みを通じて都内中小企業の事業継続を支援してまいります。
 次に、中小企業のBCP策定への支援についてであります。
 中小企業が震災などの緊急事態の際に事業の継続と早期の復旧を図るために、あらかじめ計画を策定しておくことは重要であります。このため、都は、昨年度から都内の中小企業のBCPの策定を三十五社を対象に支援しております。
 また、今回の震災を踏まえ、首都直下型地震への備えとして、BCP策定の一層の推進が必要であることから、今年度は支援の対象を七十社にふやすとともに、普及啓発を図るセミナーも実施してまいります。
 これらの取り組みにより、中小企業の事業継続力を強化し、災害からの速やかな経済復興を図ってまいります。
 次に、放射能の風評被害に苦しむ中小企業への支援についてでありますが、日本の工業製品に対する海外での風評被害に対応するため、公的機関が製品の安全性について正確な検査や証明を行うことが重要であります。
 このため、都立産業技術研究センターでは、都内中小企業の製品を対象に、放射線量の測定と証明書の発行を無料で既に行っております。今後、同センターでは、都からの支援のもとで、港湾等への出張試験を行うとともに、検査機器をふやすなど測定体制の拡充を図ることを予定しております。
 こうした取り組みにより、工業製品の風評被害を抑え、中小企業の経営環境を向上させてまいります。
 最後に、被災地支援に向けた商店街でのイベント開催についてでありますが、商店街のイベントの中で、被災地を支援する取り組みを行うことは震災からの復興に役立つものと考えております。
 既に商店街の中には、被災地の支援に向けたイベントを独自で実施したり、地元自治体と協力して開催する動きも始まっております。
 都は、商店街の創意工夫により被災地を応援しようとするイベントにつきまして、新・元気を出せ商店街事業を通じて支援してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、災害時要援護者に関する区市町村の取り組みへの支援についてでございます。
 都はこれまで、要援護者の情報の把握や支援体制づくりなどの手法を示した指針を策定いたしますとともに、要援護者名簿の整備や避難支援プランの作成など、区市町村における災害時要援護者の安全対策への支援に取り組んでまいりました。
 また、区市町村の防災担当者や福祉担当者向けの研修会におきまして、先駆的な取り組みを行っている自治体の事例を紹介いたしますほか、個人情報保護法に関する専門家を招き、情報の共有化について講演を行っております。
 今後とも、災害時要援護者対策の促進を区市町村に働きかけてまいります。
 次に、災害時の医療提供体制についてでございますが、都内で震災など大規模災害が発生した場合、区市町村が設置した医療救護所で応急処置やトリアージを行うとともに、被災を免れた病院が後方医療施設として重症者等の治療を行うことといたしております。
 そのため、都は、これまで災害時医療の中核となります災害拠点病院の耐震化を進めるとともに、施設整備や医療資器材の整備など機能の充実に努めてまいりました。
 さらに、今回の補正予算では、災害時に診療機能を継続できる後方医療施設をできるだけ多く確保できるよう、耐震化の補助対象をすべての病院に拡大いたします。
 今後、災害拠点病院と地域の病院の連携を一層強化し、災害時に都民に迅速かつ的確に医療を提供できる体制を整備してまいります。
 次に、医療機関における電力確保についてでございますが、都は、今回の大震災に伴います計画停電に先立ち、すべての病院を対象に、自家発電設備の有無と、その稼働時間について緊急調査を実施いたしました。調査結果では、自家発電設備を整備している病院は約八割であり、また、稼働時間は電力供給範囲や燃料備蓄の状況などによりさまざまでございました。
 こうしたことから、都では、今回の補正予算におきまして、病院の自家発電設備の新規整備や増設について緊急に支援することとしております。
 あわせて、全病院を対象といたしました説明会などの場を活用いたしまして、非常時におきましても継続的な医療提供が行えますよう、電力供給範囲や発電容量などについて再点検するよう働きかけてまいります。
 最後に、医療機関におけるBCPについてでございますが、大規模災害発生時において、医療機関が診療機能を維持し、傷病者の治療を継続するためには、各医療機関がそれぞれの機能や特性を踏まえ、BCPの策定など準備を進めておくことが重要でございます。
 昨年十月に都が実施をした調査では、検討中を含め、災害拠点病院の約七割がBCPの策定に取り組んでおります。
 今後、都では、災害拠点病院に対して具体的事例を紹介するなど、災害時に実効性のあるBCPを早期に策定するよう強く働きかけてまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

〇中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲新市場予定地における噴砂の状況についてです。
 都は、技術会議の専門家から噴砂に関しての調査方法などの助言を受け、新市場予定地全体を対象に噴砂の位置や発生状況など詳細な調査を進めるとともに、風や雨による飛散防止のため、応急措置を講じました。
 今回の噴砂に関しては、専門家に現地踏査をしていただき、噴砂が予定地の一部のみに発生していること、規模が極めて小さいことなど、状況の確認とあわせて、五、六街区は地表から浅い位置に地下水があること、噴砂が見られない七街区は地下水位が深いこと、噴砂は上部と下部との圧力差によって垂直方向に生じ、水平方向への水や土壌等の移動は通常考えにくいこと、砕けた貝殻が多数混入しており、基本的にしゅんせつ埋め土層から垂直方向への砂の動きであることなどの見解をいただいており、既に市場のホームページ等で公表してございます。
 噴砂への対応につきましては、現在手続中の環境影響評価審議会からの答申や、引き続きこうした技術会議の専門家の意見を聞きながら取りまとめ、それに従って土壌汚染対策工事の中で確実に実施してまいります。
 なお、この間、噴砂の状況等につきましては、所管である農林水産省に説明するとともに、都議会の皆様を初め、業界団体や市場めぐりバスツアーに参加した都民の方々、さらに、テレビや新聞などメディアの取材につきましても、現地の状況を見ていただき、都が技術会議の提言に基づき液状化対策を確実に行い、市場用地の安全性を確保することなどを丁寧に説明してきております。
 次に、築地のまちづくりに関する検討に当たっての中央区との協議についてでございます。
 築地というまちは、都心や銀座に隣接し、都市機能が集積しているなど、極めて高いポテンシャルを有してございます。また、このまちは、築地市場を中心として、場外市場など周辺とのかかわりの中でにぎわいを生み出し、独特の伝統文化を継承してきたという特質を持っております。
 こうしたまちの特質などを十分に考慮しながら、豊洲に市場を移転した後の築地地区のまちづくりを検討していくことが極めて重要であると考えてございます。
 現在、このような観点から、築地のまちづくりに当たっての課題を整理するなど、中央区と実務的な話し合いを進めてございます。

〇議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

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