平成二十三年東京都議会会議録第四号

〇議長(和田宗春君) 九十九番小沢昌也君。
   〔九十九番小沢昌也君登壇〕

〇九十九番(小沢昌也君) 初めに、住宅省エネ化について伺います。
 都は平成三十二年までに、平成十二年比二五%の二酸化炭素排出量削減を目標としていますが、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一一では、住宅の省エネ化の推進として、冷暖房用途に起因するエネルギー使用量を減らし、二酸化炭素排出量を削減するため、専門家を家庭に派遣し、住宅の断熱化等の改修を支援するとともに、講習会等による普及と改修業者の育成をうたっています。
 一方、平成十九年三月に改定された第四次となる東京都住宅マスタープランでは、新築住宅について、次世代省エネ基準達成率を平成二十七年度までに六五%とすること、また、既存住宅を含む全住宅ストックについては、一定の省エネ基準対策を講じた住宅ストックの比率を平成二十七年度までに四〇%とすることを、それぞれ政策指標として定めています。
 しかし、これらはあくまで住宅の供給量に関する指標にすぎず、これらの目標を達成することによってどれだけの省エネルギー化や二酸化炭素削減が図られるのか、具体的に示されていないのが現状です。
 これに対し欧州では、一九八七年より建築物に関する省エネ化の取り組みが始まり、EU加盟国が野心的な目標を作成して、各国で規制を設置するよう努めてきています。
 フランスの取り組みを例に挙げますと、二〇〇九年及び二〇一〇年に新たな法律が制定され、新築、既存を問わず、建物のエネルギー消費削減に関して、まず建築許可や工事の申告など、総合的な規制を制定、続いて具体的な個別規制が制定され、建築業界に義務が課せられました。
 RT二〇一二基準と呼ばれるこの基準は、フランス国内に新築されるすべての建物に、二〇一三年一月一日から適用が開始されます。具体的には、住宅の単位一次エネルギーを二〇二〇年までに一九九〇年比三八%削減、二〇五〇年までに七五%削減するというものであります。この目標を達成するためには、既存建築物に対する規制が不可欠なことから、フランス政府は二〇二〇年までに、環境性能が悪い公共住宅を八十万戸、その他の住宅を四十万戸改修することを政府の公約としています。
 日本とフランスでは、気候風土や既存建築物の状況、習慣の違いもあり、一概に比較できるものではありませんが、フランスが掲げている省エネ目標の高さと実現に向けて取り組んでいる現実に、我が国と比較して、環境に対する取り組み姿勢の違いを強く感じます。
 我が国は、空調設備や給湯設備、家電など、機器類の省エネ化は年々進歩しておりますが、住宅自体に対する断熱を初めとするエネルギーを逃がさないという対策については、大きくおくれをとっているものといえるでしょう。また、都内の二酸化炭素排出量は、全体としては平成十二年比で減少してはいますが、家庭部門では増加しているという現実があります。
 都は、住宅省エネ化政策として、断熱性能、機密性能、換気性能、日射遮へい性能などの性能が高い住宅供給をさらに積極的に推し進めると同時に、既存住宅の省エネ改修を図っていくべきであると考えます。
 また、住宅マスタープランにおける政策指標を達成することによって、どれだけの省エネ化、二酸化炭素削減が図れるのかを、せめて所管局が把握できるように努めていただきたいと強く要望をいたします。
 その上でまず、第四次東京都住宅マスタープランを設定してから五年が経過し、見直しの節目に当たりますが、新築住宅及び全住宅ストックにおける住宅の省エネ化目標に対する達成状況と今後の取り組みについて伺います。
 住宅の省エネ化を推進するためには、民間の取り組みとともに、公共住宅から率先して省エネ対策に取り組むことが重要であります。
 都内には二十六万戸の都営住宅があり、毎年三千戸を超える建てかえが行われています。この都営住宅の省エネ対策を促進していくことは、都が推し進めていく環境対策の上で意義あることと考えます。
 都営住宅においては、平成二十年に断熱対策の見直しを行っている旨お聞きしておりますが、都は、都営住宅の建てかえに際し、省エネ化対策を初めとする環境対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 私は、住宅を初めとする建築物の省エネ化政策に実効性を与えるためには、法的規制と経済的インセンティブを付与することが有効であると考えております。一方、自治体においては、公共建築物に対しての省エネ化を、法的規制の有無にかかわらず積極的に展開すべきと思います。
 都営住宅は、一度建設すると五十年から七十年使い続けることになります。例えば、現行の断熱基準を次世代省エネ基準にレベルアップした場合、初期の投資コストは高くなりますが、耐用年数を分母に置いて長期的な環境対策という視点で考察すれば、それが決して過剰な投資にはならないことが導き出されると考えます。
 住宅省エネ基準のさらなるレベルアップを積極的に展開することを要望し、次の質問に入ります。
 伝統工芸など伝統技術、伝統文化の振興について伺います。
 私の地元墨田区は、繊維や機械金属、ガラス加工など、製造業が集積する都内でも有数のものづくり産業の拠点となっていますが、それに加えて、江戸時代から歴史と伝統を誇る工芸品の生産地域としても知られています。
 墨田区の伝統工芸品は、ガラス工芸の江戸切り子や、みこしの金具などの飾り彫刻金具、べっこう工芸を初め、季節の節目を飾る縁起物として有名な江戸押し絵羽子板のようなものまで、幅広い製品がつくられています。特に、押し絵羽子板は各地の羽子板市に出品されて、その制作を長年にわたり続けてこられた西山鴻月さんは名誉都民にもなられています。
 こうした伝統工芸は、長い歴史の中で受け継がれた技術を使って、手づくりによる工程を経て商品が生産される方式が主流であることから、売り上げを大幅に伸ばすことは難しく、新たな後継者を確保するのも大変で、技能の伝承をどのように実現していくかが課題にもなっています。
 墨田区では、区内の産業の活性化に向けて、昭和六十年からすみだ3M運動を展開し、すぐれた商品を生み出す方をすみだマイスターとして認定をしたり、製造業の貴重なコレクションを展示する小さな博物館や、製造現場と販売店舗を兼ねた工房ショップなど、伝統や技術を後世に残す運動を行い、区として伝統工芸品の振興に力を入れていますが、施策の充実に向けた工夫の余地がまだあるのではないかと感じています。
 東京都でも、伝統工芸品産業の支援に向けて、観光情報センターで工芸品の実演や販売を行ったり、功労者の表彰などを行っているようですが、この産業が次世代につながるよう、振興施策のレベルアップに積極的に取り組んでいくことが重要と考えます。
 そこで、伝統工芸品の振興に向けた、都としての今後の対応策について所見を伺います。
 次に、都教育委員会では、全国に先駆けて、平成十七年度から都内の公立学校を対象に、日本の伝統文化理解教育を推進していると伺っていますが、我が国ならではのすぐれた伝統文化を学校教育に取り入れ、日本人として誇りをはぐくむことは大変重要であります。都立高等学校における、これまでの日本の伝統文化理解教育の取り組みと今後の展開についてお伺いいたします。
 また、熟練したものづくり技能者が減少している現状では、伝統文化とともに、ものづくりの熟練した技能を継承することが求められています。伝統技術を初めとする日本が誇るものづくりの技術を、熟練技能者から次世代を担う若者に継承していくことが必要と考えますが、都教育委員会としてどのような取り組みを行っているか、お伺いいたします。
 伝統文化は、一方で貴重な観光資源になると思われます。国内外からの観光客において、伝統工芸は非常に関心の高い分野になっています。国際観光都市としてさらなる観光の振興を目指す東京都において、観光資源としての伝統工芸をどのようにとらえ、今後どのようにPRしていくのかを伺います。
 最後に、万引き対策についてお伺いいたします。
 今定例会初日の警視総監治安状況報告にあるように、昨年の都内における刑法犯認知件数は八年連続して減少しています。しかしながら、万引きで検挙、補導された少年は一昨年比八%増加しており、さらなる対策が求められるところです。
 昨年の万引き犯罪の実態は、認知件数で二万九百余件、検挙件数一万五千三百余件、検挙人員は一万六千百余人となっており、年齢別では、十四歳の八百五十九人を筆頭に、十三歳から十八歳の少年が突出しているとともに、相対的に高齢者が多い傾向にあります。
 万引きは刑法上窃盗に当たりますが、警察庁では窃盗をその手口の内容によって分類し、万引きを、店員のすきを見て商品を窃取するものと定義づけています。
 一方、万引きという言葉は、軽微な犯罪というイメージが世間に定着してしまっているように思えてなりません。一向に減少しない万引きについて、万引きは窃盗犯罪であるという認識を広め、万引きを許さない社会の機運を醸成していく必要を強く感じます。この際、万引きという言葉、表現を撤廃して、例えば店舗内窃盗と改名するとか、新たな名称を公募するなど、軽微な犯罪というイメージを払拭するための方策を検討してもよいかと思っているところです。
 そこで、万引き犯罪を減少するためには、万引き犯罪の発生状況を的確に調査分析して、原因と社会的背景をもとに対策を講ずるべきと思いますが、警視総監の所見を伺います。
 また、万引き犯罪は、特徴として再犯率が高いことです。これも万引きは窃盗犯罪であるという認識が薄いことが要因の一つであると考えます。そこで、初犯者に対する再犯防止指導や、再犯者に対する徹底指導が必要と考えますが、その対策について所見を伺います。
 万引き犯罪を防止するためには、小売店の商品陳列の改善や、防犯アナウンスの実施、また、地域での万引き情報の共有や広報活動など、犯罪を行いづらい環境を整えることが重要であります。小売業界や地域社会との連携も必要であり、万引きは窃盗犯罪であるという認識を、業界はもとより地域に啓発していかなければならないと考えますが、所見を伺います。
 また、少年の万引き犯罪を防止するためには、家庭や地域での指導はもとより、やはり学校教育の場で指導が重要と考えます。
 犯罪を行い補導された少年の多くは、心に深い傷を負います。ゲーム感覚で安易に犯罪に手を染めないよう、犯罪予防の指導が必要と考えます。都教育委員会は、警視庁や青少年・治安対策本部と連携を図った上で、万引き防止の指導に一層取り組む必要があると考えますが、所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

〇警視総監(池田克彦君) 小沢昌也議員の一般質問にお答えいたします。
 初めに、調査分析に基づいた万引き対策についてであります。
 警視庁におきましては、万引きの実態を詳細に把握するため、平成二十一年四月から六月までの間、万引きの発生状況、その原因、背景等について調査を実施するとともに、同年七月には、外部の有識者で構成する調査研究委員会を設置し、同年八月に同委員会から調査結果の分析、検証を踏まえた、万引き防止対策に関する総合的な提言をいただいております。
 提言では、少年はゲーム感覚で万引きに及ぶ者が多く、成人や高齢者による万引きの背景には、孤独ないし生きがいのなさなどがあることを指摘の上、規範意識の醸成と社会環境づくりが重要であると述べられております。
 そこで、この提言に基づき、平成二十一年九月に、万引き防止のためのアクションプログラムを策定し、万引きをしない、させない環境を構築するため、官民一体となった諸対策を継続的に推進しているところであります。
 次に、再犯防止に向けた指導についてであります。
 再犯を防止するためには、まず何よりも、犯行を行った本人に対して万引きの重大性を実感させ、強い感銘力を与えることが肝要であると考えております。
 そのために、万引きを行った者が少年であれば、本人に保護者ともども、二度と万引きしてはならないということを訴えるDVDを視聴させた上、本人に対しては、万引きは犯罪であり、自分や周りの人すべてを傷つける行為であるということを認識させ、保護者に対しては、少年が再非行に走ることがないよう、家庭での教育のあり方について指導助言を行っているところであります。
 また、成人や高齢者に対しても同様に、万引きが重大な犯罪であることを強調し、二度と万引きに手を染めることのないよう指導助言を行っているところであります。
 最後に、小売業界や地域社会との連携についてであります。
 まず、犯罪は犯行の機会が与えられることによって誘発されるという側面がありますので、このような機会をなくすような対策をとる必要があると考えております。
 そのため、警視庁におきましては、平成二十一年十二月、行政、各業界団体、関係機関、団体等を構成員とする東京万引き防止官民合同会議を設置し、万引きの発生状況等に係る情報の共有や、万引き防止ガイドラインの作成、活用、小売店舗等における万引きしにくい店舗づくりの促進等、業界や店舗側の総合的な対策を推進しているところであります。
 また、万引きは、たかが万引きとする社会全体の意識の低さや、万引きに手を染めた者に対する対応の甘さが、さらなる犯行を助長しているという状況も見受けられます。
 したがいまして、万引きは窃盗である、窃盗という犯罪であり悪性が高いものであることを広く社会に認識させる必要があります。そのため、地域ごとに警察、行政、事業者、学校関係者、地域住民等を構成員とする万引き防止連絡会を設置し、毎月二十日を万引きゼロの日と定め、それぞれの地域において各種キャンペーンを行うなど、地域と一体となった万引き防止対策を推進しているところであります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立学校における日本の伝統文化理解教育の取り組みと今後の展開についてでございます。
 都教育委員会は、平成十八年度に、和の心や未来に伝える日本の伝統文化などの指導事例を示した都独自のカリキュラムや教材等を開発し、全都立学校に配布して、日本の伝統文化理解教育に取り組むよう指導してまいりました。
 平成二十二年度には、五十校の都立学校が、日本の伝統文化を学校設定教科・科目として教育課程に位置づけまして、都独自のカリキュラムに基づいた特色ある教育指導を展開しており、また、このうちの十校を世界に発信する日本の伝統文化推進校として指定し、外国人との交流の機会を通して、日本の伝統文化を紹介する取り組みを推進しております。
 今後とも、都教育委員会はこうした取り組みを一層充実して、その成果を全都に普及するなどして、郷土や国に対する愛着や誇りを持つとともに、他国の伝統や文化を尊重して、互いに文化交流のできる人材の育成を推進してまいります。
 次に、若者への伝統技術の継承についてでございます。
 団塊世代の退職により、日本のものづくりを支える若者の育成が喫緊の課題となっております。とりわけ我が国の貴重な財産である伝統技術の次世代への継承は重要でありまして、そのためにも都立工業高校の果たすべき役割は大きいと認識しております。
 都教育委員会では、高度な実践的技術力を持った人材の育成や技術の継承といった産業界のニーズにこたえるために、平成二十一年に策定したものづくり人材育成プログラムの一環として、都立工業高校六校にものづくり企業の技術者等を講師として招聘する取り組みを行っております。
 この取り組みにより、伝統技術については、大工技能者から、木造建築の屋根や壁の骨組みをくぎなどを使わずにつくり上げる組み物の専門的知識、技術を、そして機械切削加工の技能者からは、千分の一ミリ単位の高い精度の平面を手作業で削り出すきさげの技術を直接学ぶといった、これまで工業高校においては教えることが難しかった高度な技術を生徒に身につけさせる指導が可能となりました。
 今後とも、都教育委員会は、工業高校において、伝統技術を初めとするものづくり技術を継承できる人材を育成してまいります。
 次に、学校における万引き防止の指導についてでございます。
 都教育委員会では、児童生徒の万引きを含めた問題行動を防止するため、具体的な指導事例を示した非行防止に関する指導資料を各学校に配布するとともに、警視庁等と連携し、すべての公立学校において犯罪防止教育を推進してまいりました。また、万引き、自転車盗や暴力行為などの犯罪を児童生徒にみずからの問題としてとらえさせるため、都教育委員会は警視庁と連携して、平成二十二年三月に、児童生徒がみずから考える活動を取り入れた参加型のDVD教材を全国で初めて作成し、すべての公立小中学校等に配布いたしました。
 現在、各小中学校においては、この教材を小学校五年から中学校三年までの道徳の授業や学級活動のほか、保護者会や地域懇談会の場においても活用しております。
 今後とも、都教育委員会は、各学校で家庭、地域と一体となった指導が行われるよう、警視庁や区市町村教育委員会等と連携して、万引きを初めとする犯罪防止教育の充実を図ってまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅の省エネルギー化についてでございますが、都内における住宅の省エネルギー化率は、住宅マスタープランで目標を定め取り組んでおります。新築住宅における次世代省エネ基準達成率は、平成二十七年度目標六五%に対して、新設住宅着工統計等によりますと、平成二十年度時点で二八%となっており、ほぼ順調な増加を示しております。
 また、全住宅ストックにおける一定の省エネ対策を講じた住宅の比率は、平成二十七年目標四〇%に対して、住宅・土地統計調査によりますと、平成二十年時点で一四%であり、目標に対する伸びが低くなっております。
 都はこれまでも、住宅の省エネルギー化に向けた取り組みとして、省エネリフォームガイドブックの作成、長期優良住宅の認定、エネルギー使用の合理化に関する法律に基づく指導などを行ってまいりました。今年度はこれらの施策に加え、既存住宅の省エネルギー化をより一層促進するため、専門家を一般家庭に派遣し省エネ改修の提案等を行う省エネ改修支援事業を実施しております。
 今後とも、引き続き住宅の省エネルギー化に向けた施策を推進してまいります。
 次に、都営住宅の建てかえにおける環境対策への取り組みについてでございます。
 都営住宅の管理戸数は約二十六万戸であり、建築物のCO2排出量の削減や緑の充実などに取り組んでいくことは重要と認識しております。都営住宅の建てかえに際しては、従来、屋上や外壁に断熱材を設置し、一般的なレベルの省エネ対策を実施しておりましたが、平成二十年に、「十年後の東京」への実行プログラムに基づく都庁の率先行動の一環として仕様の見直しを行い、断熱材を厚くすることにより、例えば最上階の角の住戸の場合、冷暖房負荷を二割程度低減するなど、省エネ性能の向上を図っております。
 このほかにも、建てかえ後のすべての住棟の屋上への太陽光発電設備の設置や団地内の一層の緑化、通路や駐車場等における透水性舗装の導入などを進めております。
 今後とも、断熱や省エネ技術等の開発動向やコストなどを勘案しながら、環境対策に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
 伝統工芸品産業の振興についてでありますが、伝統工芸品は、江戸時代から続くものづくりのすぐれた蓄積を現代に伝えるものであり、こうした地域に根差した特色ある産業を将来に引き継ぐことは重要であります。
 都はこれまで、伝統工芸品の魅力を広く伝えるため、毎年度、東京都伝統工芸品展を開催し、多くの来場者を集めるとともに、都庁舎の観光情報センターでのPR活動や、伝統工芸品産業の振興に貢献された方への表彰などを行ってまいりました。これに加え、来年度から、伝統工芸の後継者を対象として、商品の開発や販売戦略の知識などを学ぶための支援を実施する予定であります。
 今後とも、都内の伝統工芸品産業の活性化に向け、着実に取り組んでいく考えでございます。
 次に、伝統工芸を活用した観光振興についてであります。
 江戸切り子や江戸押し絵羽子板など伝統工芸品は、長い歴史や文化を脈々と受け継ぎながら、今日もその価値を輝かせているものであり、これらを東京の観光振興に活用していくことが重要と考えます。海外においても、ベネチアングラスやインドネシアのバティックなど、各地の伝統工芸がその地域における重要な観光資源となっております。
 こうした認識のもと、ウエブサイトなどの情報提供に加え、観光プロモーションの機会を通じて、伝統工芸を初めとする東京の伝統文化を海外にPRし、外国人旅行者の誘致に向けた取り組みを展開しております。
 今後も、東京が世界に誇る伝統文化を貴重な観光資源と位置づけ、さまざまな機会をとらえ、積極的に国内外に発信し、東京の観光振興を推進してまいります。

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