平成二十三年東京都議会会議録第三号

〇議長(和田宗春君) 六十八番高橋信博君。
   〔六十八番高橋信博君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇六十八番(高橋信博君) まず初めに、緑の確保と都市農地の保全について伺います。
 知事は、我が国の発展を牽引してきた東京都をより高い次元に導くため、「十年後の東京」計画を策定いたしました。その中で、まず第一に、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを掲げております。
 東京都は、「十年後の東京」を実現するため、広がりと厚みのある緑を創出し、都市に暮らし集う人々に快適な空間をもたらすことを目指し、これまで街路樹の倍増、校庭の芝生化、屋上や壁面の緑化などの取り組みを進め、緑のネットワークを東京全体に広げるなど、一定の成果を上げております。
 平成二十四年には、こうした取り組みにより形成された緑あふれる東京のたたずまいを全国に発信する一大イベントである全国都市緑化フェアを開催いたします。
 一方、都は、これまで森林再生や保全地域の指定、都市農地の保全などの取り組みを進めてきましたが、宅地開発による市街化が進み、農地や屋敷林など、貴重な緑が失われているのも事実でございます。
 東京は、緑豊かな自然を抱いてこそ、世界に冠たる魅力ある都市になると考えます。東京の緑をより豊かにしていくための取り組みについて、知事の所見を伺います。
 次に、農の風景育成地区制度について伺います。
 東京において、農地は食料生産の場としてだけではなく、良好な住環境の形成に資するなど、さまざまな役割を担っています。
 私の地元小平市でも、青梅街道沿いに短冊状に広がる農地が武蔵野ならではの風景をつくっております。こうした特色ある風景を後世に引き継いでいくためには、農業者が営農を続け、農地が保全されることが必要です。
 我が党は、これまで都市農業、都市農地の重要性について主張し、農地保全の取り組みについて都に積極的に働きかけてきました。これを受け、都からは、昨年の第四回定例都議会において、農地を中心とした景観の保全を図る農の風景育成地区制度を創設するとの答弁がありましたが、現在、どのように取り組んでいるのかを伺います。
 次に、子どもの体力向上に関連して質問いたします。
 東京都が活力ある社会を実現していくためには、未来を担う有為な人材を育成していくことが極めて重要な課題でございます。人材育成の基本は、何事にもへこたれない精神と、元気に社会生活を送る体力にあることはいうまでもありません。
 しかし、平成二十二年度の全国体力テストの結果、全国的にも子どもの体力低下が問題視されている中にあって、東京都の子どもたちの体力が全国平均を大きく下回り、中学校二年生の男子に至っては、四十七都道府県中四十六番目に位置していることは極めて憂慮すべき事態です。
 都教育委員会は、子供の体力向上推進本部を設置し、昨年、総合的な子供の基礎体力向上方策第一次推進計画を策定しました。社会総がかりで、あらゆる角度から子どもの体力を向上させていくという基本方針には、もろ手を挙げて賛成していきたいと考えます。
 その具体的方策にも示されておりますが、昨年度から区市町村対抗による中学生東京駅伝大会が始まりました。第一回大会は、中央区晴海ふ頭のオリンピックスタジアム予定地で開催されました。前夜から朝方にかけ、東京では爆弾低気圧と呼ばれる春のあらしが吹きすさび、荒川市民マラソンを初め、各地のスポーツイベントが中止になる中、よく開催に踏み切ったものと感心をいたします。
 子どもの体力向上は一朝一夕に実現できるものではありません。保護者や地域の関係者の意識に訴え、小さいころから遊びやスポーツを活発に行うことを積み重ねていくことが大切です。そういう意味で、こうした全都の中学生を巻き込んで行う東京駅伝大会の開催は極めて有益なムーブメントだと考えます。
 昨年度は、この大会が中央区晴海ふ頭で行われましたが、多摩地域のスポーツ振興の立場から、ぜひとも多摩地域で大会を開催することを期待します。そして、多くの中学生が切磋琢磨する中から、将来、オリンピックに出場するアスリートが多数生まれてくることを期待しています。
 そこで、中学生の東京駅伝大会の意義と今年度の開催について、都教育委員会の所見を伺います。
 また、平成二十五年に東京で行われる国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会、すなわちスポーツ祭東京二○一三開催まで、既に一千日を切りました。子どもの体力向上を牽引していくためには、地元東京都の選手たちの活躍が大いに期待されます。
 現在、少年の部では、都内私立学校の生徒の活躍が目立ちますが、都立高校の生徒たちにも国民体育大会で大いに活躍してもらいたいと思います。
 かつては、旧制の府立中学校や都立高校からも傑出したアスリートを輩出してきました。これまで以上に、スポーツの名門校といわれるような都立高校が育ってもらいたいと思います。
 そこで、都立高校における競技力向上について、都教育委員会の所見を伺います。
 次に、ビジネスジェット、ビジネス航空の受け入れ促進について伺います。
 ビジネス航空は、グローバルな企業活動に不可欠なツールとなっており、海外から首都圏への乗り入れの要望が高くなっております。
 また、企業は、トップのビジネス時間を有効活用でき、フェース・ツー・フェースの商談をふやせるビジネス航空の導入による経済効果は明らかであります。ある分析によれば、米国では、ビジネス航空の利用企業の売上成長率はビジネス航空非利用企業の二・二倍に及ぶというデータもあります。
 ビジネス航空の受け入れ促進には産業界も大いに期待しており、また、国際会議の開催やアフターコンベンションの観光も期待できることから、東京、首都圏、ひいては我が国の国際競争力の強化につながるものであると考えます。
 昨年十一月、都は、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取り組み方針を公表しましたが、こうした国に先駆けた取り組みは、まさに時宜を得たものであります。ビジネス航空の受け入れの必要性について、改めて都の考えを伺います。
 また、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ促進を確実に実施していくには、国と連携していくことが大事であると考えますが、取り組み方針公表後の取り組み状況と今後の対応について伺います。
 最後に、私の地元であります小平三・三・八号府中所沢線の整備について伺います。
 多摩南北道路は、多摩地域における機能的な都市活動と快適な都市生活を支える上で必要不可欠な骨格幹線道路であります。中でも、南北道路の一つである府中所沢線は地域の核をなすものであり、特に重要な路線と考えております。
 しかしながら、本路線は、いまだ半分程度しか完成しておらず、整備がおくれております。府中所沢線の未整備区間は、国分寺、小平、東村山の北多摩三市に集中しております。
 とりわけ、私の地元である小平市の区間では、本路線の計画地周辺における南北方向の既存の道路が府中街道に限られていることから、交通が集中しており、交通渋滞や沿道環境の悪化を招いております。一日でも早く本路線の整備が必要であり、私は、議会を初め、あらゆる機会を通じて要望してまいりました。
 このような状況を改善するために、東京都では、踏切により交通のボトルネックとなっている西武拝島線との交差箇所付近において、小平三・三・八号府中所沢線の整備と、これに合わせた鉄道の立体交差化を進めています。
 この区間のうち、西武拝島線南側の小川駅付近では、最近、道路が拡幅されました。拡幅される前は、歩道と車道ともに狭く、絶え間なくすれ違う車の中で、地元の方々は安全に安心して通行できる状況ではありませんでした。今では、歩道も広くなり、安全性や快適性が飛躍的に向上し、地元の方々は大変喜んでおります。
 また、西武拝島線の立体交差化についても、高架構造物が日に日に建ち上がり、地元の方々は、いつ踏切がなくなるかと心待ちにしております。一日も早く鉄道が立体化されるとともに、鉄道と交差する小平三・三・八号線が完成し、交通渋滞の解消や地域の安全性が向上されることを待ち望んでおります。
 そこで、小平三・三・八号府中所沢線について、西武拝島線と交差する事業中箇所の進捗状況と今後の取り組みについて伺います。
 整備が進むこの区間のほかにも、小平三・三・八号府中所沢線は、五日市街道から青梅街道までの区間が現道もなく、いまだ整備がされておりません。この区間は、平成二十二年二月、都市計画変更素案説明会が開催され、現在、都市計画変更手続と環境影響評価手続が進められていると聞いております。
 引き続き、早期に着手されるよう全力で取り組んでいかれることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 高橋信博議員の一般質問にお答えいたします。
 東京の緑を豊かにしていく取り組みについてでありますが、大都市における緑の存在は、景観など都市のたたずまいを大きく左右しまして、風格のあるまちを醸成するためには豊かな緑が不可欠であります。
 江戸から引き継がれた皇居の森や、名所として庶民に親しまれた上野の山や、あるいは飛鳥山など、歴史と文化に裏打ちされた東京の緑は近代的なまち並みと融合し、都市としての魅力を高めております。
 今では都心の豊穣な緑である明治神宮の森も、先人たちが木を持ち寄って植林し、百年の時を経て今の森となるまでにはぐくまれたものであるように、後世に伝え得る新しい美しい緑を創出するためには、長い時間と多くの志が必要であると思います。
 多くの都民の参画や企業の協力を得て、皇居に匹敵する広さの海の森の整備などを進め、世界に誇れる緑豊かな都市東京を創出し、次代へ引き継いでいきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、技監及び建設局長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、中学生東京駅伝大会の意義と今年度の開催についてでございます。
 中学生東京駅伝大会は、中学生がより高い記録や大きな目標に挑戦することを通して、健康を増進し、基礎体力を向上することを目的としており、東京の子どもの体力向上に都民の関心を向けるムーブメントとして極めて有意義な大会でございます。
 さらに、学校や部活動の垣根を超えて選手が選抜される過程を通して、中学生に夢や希望をはぐくむこと、区市町村単位のチーム編成により地域への郷土愛やふるさと意識が醸成されることなど、こういったことにも十分な効果が期待できるものでございます。
 第二回中学生東京駅伝大会は、スポーツ祭東京二○一三のメーン会場となります味の素スタジアムにおいて、本年三月二十一日に開催されます。競技は、男子は四十二・一九五キロメートルを十七人で、女子は三十キロメートルを十六人でたすきをつなぎ、平成二十一年度同様、合計五十一の区市町村の参加を得て、区市町村対抗形式において実施されます。
 次に、都立高校における競技力向上についてでございます。
 スポーツを志す生徒にとって、全国大会に出場することは夢であり、目標でございます。都立駒場高校サッカー部のように全国大会に出場している都立高校もございますが、さらに多くの都立高校が全国大会に出場できるよう競技力を高めていくことは、都民や中学生の期待するところでございます。
 これまで都教育委員会は、スポーツ祭東京二○一三開催に向けて高校生の強化練習会を開催するとともに、ボートやセーリングなどマイナー種目の育成強化を図るために、都立高校に国体強化部活動候補を指定し、競技力向上に努めてまいりました。
 今後は、平成二十六年のインターハイ開催や、その後も見据えて、都立高校のスポーツを一層隆盛させ、スポーツの名門校づくりを推進していくために、平成二十三年度から都立高校にスポーツの強化拠点を定め、より一層の競技力向上に努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、農の風景育成地区についてでございますが、都市内の農地には、現行制度上、農地の規模が小さいため、生産緑地の指定ができず、保全が困難となっているものがございます。
 都は、都市内に幾つかの小さな農地が近接している場合、それらを一体の都市計画緑地などに指定することにより農地を保全するとともに、地域の景観を維持する農の風景育成地区制度の創設に取り組んでおります。
 先月末には、市民農園としての利用はもとより、災害時の避難や、食への理解を深める場としての活用など、都市農地の保全策について農業団体と意見交換を行っております。
 引き続き、関係局や区市と連携して制度の構築に取り組むとともに、具体的な地区指定に向けた調整を進め、来年度には新たな制度を活用した農のある風景の保全、育成を推進してまいります。
 次に、ビジネス航空の受け入れの必要性についてでございますが、ビジネス航空は、欧米はもとより、近年は中東やアジアにおいても急速に利用が拡大しております。
 我が国においては、世界有数の大企業が集積する首都圏に海外からの乗り入れ要望が強いものの、羽田、成田両空港での受け入れ体制が立ちおくれておりまして、乗り入れは極めて限定的なものとなっております。
 例えば、ある世界的な企業が東京での国際会議を開催しようとしたところ、ビジネス航空の乗り入れができなかったために、他国での開催に変更した事例もあるとのことでございます。
 このままの状態が続けば、貴重なビジネスチャンスを他国に奪われることになり、東京、ひいては我が国の国際的なビジネス活動における地位が大きく低下しかねません。このため、都は、昨年十一月に、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取り組み方針を策定いたしました。
 最後に、この取り組み方針を公表した後の取り組み状況等についてでございますが、都は、この方針を公表して国に提案したところ、国土交通大臣から、課題の解決に向けて関係者と検討を行っていく旨の発言がございました。
 国はその後、委員会を設立し、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ推進に向けた検討を始めており、成田空港における専用の施設整備の動きも出てきております。
 また、都は、出入国などの所管省庁にこの方針を説明し、協力を求めるとともに、経済団体とも意見交換を行っており、この中で羽田への乗り入れ要望が強いことなど、都の考え方に賛同する意見が出されております。
 こうした経済団体の意向などを踏まえ、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制の整備を早急に図っていくことが重要であります。
 そこで、成田空港の活用のほか、羽田空港において、都心に至近で二十四時間利用可能な羽田の特徴を生かすため、国際線ターミナルの拡張などに合わせたビジネス航空のための施設整備を国に求めてまいります。
 また、何より横田基地において、平時は余裕のある滑走路などを活用して受け入れを進めることを国に強く働きかけてまいります。
 今後とも、我が国の経済の活性化や国際競争力の強化に向け、羽田、横田におけるビジネス航空の受け入れ体制の強化に取り組んでまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 小平三・三・八号府中所沢線の整備についてでございますが、府中所沢線は、多摩地域の自立性を高め、地域の活性化などに寄与する南北方向の重要な骨格幹線道路でございます。
 このうち、小平市内の西武線小川駅前から東村山市境までの延長九百メートルの区間では、平成十六年度から事業に着手し、踏切を除却するため、西武拝島線を高架化するとともに、道路の拡幅整備を行っており、平成二十一年度には踏切の南側五百メートルが完成しております。
 また、西武拝島線については、今月二十七日に下り線を高架化し、踏切の遮断時間が約五割減少することで交通渋滞の緩和が図られます。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、早期完成に向け、西武拝島線の上り線高架化を進めるとともに、残る四百メートルの区間の道路整備を積極的に推進してまいります。

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