平成二十三年東京都議会会議録第三号

   午後五時三十一分開議

〇議長(和田宗春君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十三番鈴木勝博君。
   〔五十三番鈴木勝博君登壇〕

〇五十三番(鈴木勝博君) 昨年、私は第一定例会で、東京都の喫緊の最重要課題は雇用政策であり、都独自の雇用対策の必要性を訴えました。
 雇用不安を抱える都民に対して、十万人規模のキャリアカウンセリングを実現できる体制を整えること、三十七万人を超える失業者に対して、あらゆる仕事に対応できる都独自の職業訓練システムが必要であること、その一環として職業能力開発センターの訓練内容を就業しやすい内容に見直し、さらに年間訓練生の定数も四百八十名から八百名にふやすことなどについて所見をお伺いしました。
 また、大学新卒者や高校新卒者の内定率を上げるために、中小企業とのマッチングの機会をふやすための合同企業説明会の継続実施などを要望いたしました。国内の景気低迷が続く中、相変わらず失業率は改善せず、新卒者の内定率は過去最低を記録している状況です。
 都は、昨年の私の質問に対して、二十二年度の緊急雇用関連予算は力不足ではないとしていますが、これまでの緊急雇用対策はどのような実績を上げられたのか、本当に力不足でない雇用対策であったと認識しているのか、都の見解をお伺いします。
 また、ますます悪化する東京の雇用状況に対して、今後どのような対応策をとられようとしているのか、あわせて所見をお伺いします。
 さて、私は、同僚議員らとともに昨年、アジアの主要な大都市を精力的に視察訪問してまいりました。ソウル、上海、シンガポール、台北、どの都市も活力に満ちあふれ、成長を謳歌し、市民のやる気を実感しました。
 東京に戻るたびに、東京が活力を失っている、都民が元気を失っていると実感し、首都東京でさえ閉塞感を打ち破れないことに、まさにこれは政治の責任と、焦燥感に駆られる一年でした。
 果たして、この今の日本の閉塞感を打ち破ることができるのか、どうしたら東京をもっと元気にできるのか、このことに答えを出すことこそ、今の政治の役割だと改めて自戒をした一年でもありました。その思いを込めて質問に入ります。
 東京を元気にするためには、東京の経済成長戦略を描き切らなければなりません。東京は日本の産業が集積している大都市であるため、東京の成長戦略は日本の成長戦略そのものであるといっても過言ではありません。つまり、国と東京が成長戦略でベストパートナーとして機能していく必要があります。
 ソウルは、国家戦略として東京をキャッチアップすることを戦略としていました。その一つであるDMC構想は、明らかに東京を意識したクリエーティブ都市の実現を目指しています。
 五十七万平方メートルの広大な敷地に、世界じゅうからデジタルメディアの先端技術を有する企業や大学などを三百社誘致し、海外からの優秀な人材を呼び込み、既に二万三千名が働く都市に成長しています。
 二〇一五年には、アジアナンバーワンとなる地上百三十三階建てのランドマークの竣工が予定され、三兆五千億円の売り上げを計画しているとのことです。
 また、シンガポールでは、観光都市としての機能を高めるために、昨年五月にカジノを解禁し、ラスベガスからホテル、カジノ、コンベンションを誘致し、戦略的にアジアナンバーワンの観光都市になろうとしています。
 事実、シンガポールは、アジアの中でも、中国とインドという巨大市場をターゲットに、昨年上半期はGDP成長率一八%という驚異的な成長を遂げています。この国の成長戦略が見事にアジアパワーを取り込んでいる証左です。
 上海は、ご存じのように国策として、経済特区としてアジア第一の都市となりました。今や東京をはるかに超える一千九百万人の人口と、二兆円を超える投資マネーが集まる経済都市です。
 台北は、中国との地域経済連携協定を締結したことにより、EMSやファンドリーという独自の受託生産で圧倒的なシェアをとるまでに成長したIT産業都市です。
 訪れたアジアのどの都市も、国家の威信をかけて、国家とともに驚くべき成長を遂げていました。果たして東京は、国に働きかけ、国とともに成長戦略が描けているのでしょうか。
 昨年提出されました「十年後の東京」実行プログラム二○一一では、八つの目標とそれを実現するための二十六の施策を掲げました。一方、政府は、昨年六月に新成長戦略をまとめ、七つの成長戦略を発表しました。都は、国の成長戦略もうまく取り入れながら、閉塞感を打ち破る都独自の成長戦略を描く必要があると思います。
 まず、新たな成長産業として、環境分野をしっかりと育て上げることです。国の新成長戦略はグリーンイノベーションを掲げましたが、「十年後の東京」でも、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するとしています。
 気候変動がもたらす地球の危機を回避するには、先進国が率先して行動を起こす必要があります。都は、二〇二〇年までに二○○○年度比二五%の温室効果ガス削減目標を掲げ、今年度から大規模事業所に対して排出量総量の削減を義務づけ、さらには来年度から排出量取引制度をスタートさせ、国に先駆けてさまざまな施策を実行しています。
 今後も都は、世界一エネルギー効率の高い都市を目指して、スマートグリッドや電気自動車の普及などに積極的に取り組む必要があります。
 また、成長著しいアジアの国々では、日本が経験した環境汚染や環境破壊に直面をしています。アジアの新興国に対して、持続可能な社会を実現するよう、環境インフラ整備のグランドデザインを提供し、協力していくことが重要です。
 昨年、私の一般質問でも知事から答弁をいただきましたが、鉄道事業、水道事業、上下水道事業、廃棄物処理事業など、東京の持つ高度な環境インフラをアジアの大都市に提供することで、ウイン・ウインの関係を築くことこそ、現場を持つ東京の最重要成長戦略とすべきです。
 一方で、高い技術力、開発力を持つ中小企業が数多く集積する東京では、中小企業に対する環境ビジネスへのイニシアチブをとるべきだと思いますが、都の見解をお伺いします。
 東京は、世界でも最速で高齢化していく大都市です。東京こそ成長戦略としてライフイノベーションを掲げ、医療、介護、健康産業を育てることが重要です。
 不足している高齢者住宅への新たな東京モデルの取り組みは、バリアフリーなどのリフォームビジネスや新たな高齢者専用住宅の需要を創出し、大きな経済効果、雇用効果が期待できます。
 ただ、問題なのは、医療、介護分野の人材不足です。ホームヘルパーの月額給与は平均二十一万円で、全産業の三十二万円を大きく下回っており、なおかつ東京と青森の都道府県別賃金を比較すると、東京三十六万円に対し青森二十二万円と、東京は介護人材を採用するには大変厳しい待遇環境にあるということです。
 都は、国に働きかけ、東京の実態に見合った介護報酬に改める必要があると思いますが、見解をお伺いします。
 また、看護師、介護士不足に対しては、インドネシア、フィリピンから、EPAに基づき、それぞれ千五百名、千名を上限として受け入れることとしました。しかし、言葉の壁で、看護師の国家資格はわずか三名しか合格していないのが現状です。これでは、幾ら政府が海外からの専門人材を受け入れようとEPA、FTAを締結しても、成果が上がりません。
 都は、優秀な専門人材が看護師、介護士として働けるよう支援を行うべきと考えますが、見解をお伺いします。
 さらに、東京の成長のためには、アジアの巨大な成長パワーとエネルギーを何としても取り込む特区制度が必要になります。グローバル企業が集中する東京は、民間企業の国際競争力を後押しする政策が必要であり、法人税特区として政府が掲げる五%以上の減税が必要かもしれません。
 また、アジアから多くの企業や優秀な人材が集まるように、投資優遇税制や高度人材優遇措置などの研究開発特区を実現することも重要であり、都は、政府の総合経済特区制度を利用して、東京のビジネス競争力を高める政策を強く国に働きかけるべきです。
 東京がアジアの成長を取り込むには、当然、東京がアジアのハブである必要があります。東京がアジア域内でのゲートウエーであるためには、羽田空港の国際化をさらに進めること、京浜港を国際港湾として強化することです。
 アジア域内の国際線旅客数は、この十年間でも四千三百八十三万人から九千七百四十五万人と二倍になっており、日米航空自由化協定が締結され、オープンスカイ構想がスタートし、これからアジア域内では大都市空港の国際競争が激しく展開されるでしょう。
 人、物、金が自由に出入りできる国際都市として、アジアの中で東京は勝たねばなりません。都は、昨年の国際化後の利用動向も踏まえ、どのように羽田のさらなる国際化を推進するのか、見解をお伺いします。
 昨年、私は一般質問で、中国からの旅行客をふやすことで外需を取り込むことが重要な産業政策であると提言をいたしました。アジアの成長は数千万人の富裕層を生み出しました。特にシンガポール、中国などからの旅行者は急増しています。これらの国の富裕層を取り込むための観光戦略は、外需を取り込む東京の成長戦略の柱とすべきです。
 シンガポールもソウルも、アジアの旅行需要を取り込むために国を挙げて取り組んでいます。カジノの解禁もその一つのあらわれでしょう。アジアの観光客を取り込むために、都は具体的にどのような施策を実現するのか、見解をお伺いします。
 内需主導の経済成長を実現するためには、関連産業が多様で、産業のすそ野が広い経済効果を持つ住宅市場への投資の促進、拡大が重要です。
 特に、少子高齢化の進展や地球温暖化など、社会が大きく変化していく中にあって、住宅をつくっては壊す社会から、よいものをつくって手入れをし、長く大切に使う時代へと住宅に対する考え方が変わり、新築住宅の供給から既存住宅の流通へと重心を移す戦略が必要です。
 いわゆるストック重視の社会へと大きく転換し、一千兆円ともいわれる住宅、土地などの実物資産を、今後有効にむだなく使う戦略が必要であるべきです。
 しかし、日本の住宅の平均寿命は米国の半分にも満たないなど、住宅を短期間で取り壊してしまいます。
 また、既存住宅の流通も、欧米諸国では全住宅取引の七割程度を占めているのに対して、日本では一割強であるなど、極めて低調です。
 これは、新築住宅を好む我が国の国民性のほかにも、既存住宅の質に消費者が不安を抱いていることや、建物価値の評価、査定システムの不備など、さまざまな課題があると考えられます。
 そこで、日本最大の住宅市場を抱える東京から、内需拡大を牽引する成長産業の育成という観点に立って、既存住宅流通の課題解決に取り組み、消費者の安心を確保できる既存住宅流通市場の育成や活性化に都として積極的に取り組むべきと思いますが、都の見解をお伺いします。
 最後に、これらの成長戦略を実現するためには、国際感覚のある専門性の高い優秀な人材が必要です。国家は人なり、まさに都も人なりです。
 日本人留学生は、年間五万四千人とピーク時の半数に激減しており、若者の留学離れに歯どめがかかりません。それに反し、韓国では十万五千人、中国は四十五万五千人と大幅に海外留学する若者がふえております。
 東京は、全国から優秀な大学生が集まり、特色ある多くの大学を有する大都市です。アジアの留学生にとっても魅力ある大学が多数あるはずです。アジアの成長とパワーを取り込むためには、東京をアジアの知の交流拠点とする必要があります。
 知事も今定例会の施政方針表明で、留学に出る者が減り、海外勤務を希望しない新入社員がふえており、安定、安全志向になり、若者が未知を恐れ、その特権である情熱やエネルギーまでも失っている、それでは日本は二度と立ち直れないということを述べられ、今の日本の若者の姿に警鐘を鳴らされております。
 アジアの発展のために、そして東京の成長のために、国際人として通用する多くの優秀な人材を輩出することが今ほど求められている時代はないと思いますが、知事の所見を最後にお伺いしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 鈴木勝博議員の一般質問にお答えいたします。
 国際社会で活躍する人材の育成についてでありますが、これはいうに易しいですけれども、非常に行うに難しい問題だと思うんです。
 これは、日本人の民族的な、非常に閉鎖的な、パッシブなDNAにもかかわりがあると思うんですが、私も世の中に割と早く出られたものですから、今じゃ伝説的になった人たちに実際に会って話をすることができました。白洲次郎というなかなか個性的な人物にも、ゴルフをしたりしながらいろんな話をしましたけれども、まさに日本では珍しい典型的なコスモポリタンだった白洲さんが慨嘆していっていたことは、日本人はとにかく語学が下手だと。下手なら仕方がないが、それをもっとうまくしようとする努力もないし、その上、日本人は体質的に非常に社交ができない、社交のできない人間に、本当に大事な国際的な交渉もできないし、まして外交なんかできるわけがないということで、特に日本の外務省の役人をぼろくそにいっておりましたが、私、いろいろ、今になってみて共感するところがあります。
 いずれにしろ、時間的、空間的に世界が狭くなっているわけでありますから、若い人たちが今こそ海外で生活し、あるいは積極的に海外のものを受け入れて、異文化に触れることは重要だと思います。
 若者には、留学であれ、海外勤務であれ、積極的に国際的な舞台でチャレンジしてもらいたいと思いますが、もう一つ大事なことは、若者に日本人としてのバックボーンをしっかりと持ってもらいたいとも思います。
 かつて司馬遼太郎さんは、外国に行って自分よりも背の高い外国人の中にあっても、自分は一向に卑屈に感じることはないと。それは、やっぱり自分が日本人として日本の歴史や文化に誇りを持っているせいだといっておりましたが、この言葉を裏打ちするためには、自分の国の歴史なり文化というものを本当に知らなければ、外国と違って日本は明らかに違う、こういうところがすぐれている、そういう認識を持つことはできないし、それがまた自信の裏打ちになるわけであります。
 今日の国の弱腰の外交を見ても明らかなように、しっかりとした背骨を自分の中に持ってこそ、自分と他者、日本と他国を相対的に冷静に比較することができますし、それを踏まえて強い、的確な自己主張もできるようになると思います。
 戦後、我が国は、先人の足跡を教えることをおろそかにしてきた。つまり、若い人は近代史、現代史というのを知りませんから、大学生の中にも六十五年前に日本が敗れたあの戦争があったということすら知らない若者もいるわけでありまして、東京は我が国の近代史の歴史を高校で教えることを今度始めましたが、それが、自分のじいさん、ばあさん、ひいじいさん、ひいばあさんがどうやってこの国をつくってきたかということを知ることのよすがになると思います。
 いずれにしろ、世界標準の論理的思考力、言語能力の養成というものは肝要でありますが、そのためには、まずはやっぱり自分自身を知らなきゃいけないと私は思います。
 異なる価値観、文化、風土にあっても、たくましく生きていくような気力のあふれる若者をできれば本当にたくさんこの東京から育てていきたいと思いますが、これはやっぱり施設の問題だけじゃなしに、そのノウハウその他、いかに先輩である私たちが気を配り、彼らをある意味で唆すか、導いていくかという問題だと思います。
 これは大事な問題でありまして、これから日本の命運を左右する問題でありますから、ぜひ東京という舞台でみんなで、議会でも通じて知恵を出し合って、この目的を達成していきたいものだと思います。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港のさらなる国際化の推進についてでございますが、羽田空港は、国際定期便の就航が始まってから二カ月で利用者が約百二十万人に上っておりまして、近々、ニューヨークやデトロイト、ロンドンへの就航が開始されるなど、本格的な国際空港として利便性が一層向上してまいります。
 今後、羽田の発着枠は、管制など空港運用の習熟を踏まえて段階的に増加することとなっておりまして、平成二十五年度中には、昼間の国際線発着枠が現在の二倍の年間六万回となる予定でございます。このため、国際線旅客ターミナルの拡張を早期に実施するよう国に求めてまいります。
 また、現時点でいまだ国内、国際の割り振りが決まっていない二万七千回の発着枠につきましても、極力国際線に振り向けるとともに、欧米も含めた長距離路線への就航を昼間の時間帯にも可能とするなど、羽田のさらなる機能強化を国に働きかけてまいります。
 次に、既存住宅流通の活性化についてでございます。
 地球環境問題がますます深刻化する中で、住宅が量的に充足し、人口の減少を目前に控えた東京においては、短期間で住宅をスクラップ・アンド・ビルドするのではなく、社会全体で長期にわたって住み継いでいくことが求められておりまして、良質な既存住宅の流通を促進することはますます重要となっております。
 このため、都は、既存住宅流通の活性化を目的といたしまして、売買に当たり確認すべき品質や事項等を取りまとめた、安心して住宅を売買するためのガイドブックを作成するなど、取引における安心確保に取り組んでまいりました。
 現在、住宅政策審議会において、既存住宅流通のあり方を含めた今後の住宅政策についてご議論をいただいておりまして、今後、この結果を踏まえ、既存住宅流通の活性化に向けた取り組みをさらに進めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の雇用就業対策の取り組みについてであります。
 景気は、一部に持ち直しの動きが見られるものの、失業率が高水準にあるなど、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いております。
 雇用問題の本質的解決のためには、国が明確な成長戦略のもと、実効性ある経済対策を進め、雇用の創出につなげていくことが不可欠でありますが、都としても可能な限りの対応をする必要があります。
 このことから、都はこれまでも国に先駆けまして、生活費給付つき職業訓練や雇用創出への取り組み、さらには就業支援の強化などを実施してまいりました。
 平成二十二年度は、新卒者が置かれている厳しい就職環境に対応するため、合同就職面接会の参加企業の規模拡大や、東京しごとセンターにおける新卒特別応援窓口の設置など、都独自の取り組みを強化しております。
 緊急雇用創出事業につきましても、規模を平成二十一年度の約一万人から約一万七千人に大きく拡大して雇用の創出に努めております。
 また、離職者に対する職業訓練では、介護、保育など人材需要の高い分野の定員を増加し、全体で約一万五千人規模の職業訓練を実施するなど、都は現下の雇用情勢に対応して最大限の努力をしているところでございます。
 さらに、来年度からは、就職先が決まらないまま大学等を卒業した方などと中小企業とを結びつける未就職卒業者緊急就職サポート事業を新たに開始するとともに、雇用創出事業も本年度を上回る約一万九千人規模で実施してまいります。
 今後も、引き続き雇用就業対策の一層の充実強化を図ってまいります。
 次に、中小企業の環境関連技術の開発等についてでありますが、世界的な規模で環境対応が大きな課題となっている中、都内の中小企業がその高い技術力や開発力を発揮して、CO2削減等に役立つ技術や製品を生み出し、新たなビジネスチャンスにつなげることは東京の産業を活性化する上で重要であります。
 このため、都は今年度から、都市課題解決のための技術戦略プログラム事業を開始いたしまして、環境分野の課題解決に役立つ開発に向けたテーマを示したロードマップを作成いたしました。現在、これに沿った中小企業の新製品開発、技術開発及び事業化を庁内各局とも連携しながら重点的に支援しております。
 こうした取り組みにより、環境問題の解決を図る中小企業の技術開発を新たな事業の創出に結びつけてまいります。
 最後に、アジアからの旅行者誘致についてであります。
 経済成長が続くアジアからの旅行者を誘致することは重要です。都は、従来より、中国、台湾、韓国などの訪日旅行者数の多い東アジア地域を対象に、旅行博覧会や旅行事業者訪問の機会などを活用いたしまして、旅行商品の造成を積極的に働きかけてまいりました。
 今年度は、新たにシンガポールなどの訪日旅行者数の伸びが期待できる東南アジア地域も対象地域として取り組みを拡大しております。
 今後も、羽田空港等への新たな便の就航や各国の成長動向などを勘案しながら、アジア市場でのさらなる旅行者誘致を進めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、介護報酬についてでございますが、都は昨年九月、平成二十四年四月に予定されております介護保険制度改正に向けて、大都市の実態に即した介護保険制度のあり方について国に緊急提言を行いました。
 提言では、東京の地価や人件費等の地域差を具体的に指摘いたしまして、大都市の実情を反映した介護報酬とするよう、地域区分の見直しや上乗せ割合の引き上げなど、抜本的な見直しを求めております。
 今後とも、次期介護報酬改定に向けまして、あらゆる機会を通じて国に働きかけてまいります。
 次に、外国人の看護師、介護福祉士候補者への支援についてでございますが、都は、国際協力の観点に立ちまして、都内の民間施設が候補者を受け入れた場合に、国家試験対策に要する経費の支援などを行いますとともに、都立の病院や福祉施設への受け入れを行っております。
 また、昨年六月には、候補者の国家試験の合否状況を踏まえまして、国に対して、試験における専門用語のいいかえや在留資格等の見直しを緊急要望いたしまして、国家試験の見直しにつきましては、本年の試験から反映されております。
 今後とも、来日した候補者が在留期間内に合格し、看護師や介護福祉士として引き続き就労できるように支援を行ってまいります。

ページ先頭に戻る