平成二十三年東京都議会会議録第三号

〇議長(和田宗春君) 六十一番上野和彦君。
   〔六十一番上野和彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇六十一番(上野和彦君) 初めに、地球温暖化の影響と都市インフラの強化について質問いたします。
 世界気象機関の発表によれば、昨年二〇一〇年の世界の年間平均気温は、観測以来、過去最高を記録し、地球温暖化の進行が疑い得ないものであることをデータで物語っております。海面の上昇は、南太平洋のツバルなど、海抜の低い国家の存続を脅かし、世界各所で頻発する大規模な異常気象は、とうとい多くの命を奪うなど、ますます被害が甚大化しております。
 こうした地球温暖化の影響は、決して対岸の火事ではなく、世界に類を見ない大都市として繁栄を誇る東京にも、ひたひたと、そして確実に忍び寄っているのであります。政の基本は、治水など民の貴重な生命と財産を守ることにあると心得るものでありますが、地球温暖化によりもたらされる影響について、まず、知事の基本的な認識をお伺いします。
 昨年末から年頭にかけて、オーストラリア、スリランカ、ブラジル、フィリピンなどで、大規模な風水害が発生し、多くのとうとい命が失われました。
 また、一昨年の台湾南部を襲った台風八号は、わずか二日間で、東京の二年分の年間雨量に相当する二八〇〇ミリもの雨をもたらしました。世界的な異常気象の波は、東京にも押し寄せ、昨年夏の猛暑や、かつて経験したことのないほどの猛烈なゲリラ豪雨が頻発し、都民のだれもが気象の異変を肌で感じ、不安を抱いております。
 こうした中、既に環境局は、昨年度から気候変動における適応状況調査を開始しており、温暖化の進行が大都市東京に与えるさまざまな影響を明らかにし、評価するべく事業を行っています。
 そこで、調査に当たっては、研究機関の知見を活用した専門的な評価を行い、気候変動が東京に与える影響、中でも、高潮や河川のはんらんによる甚大な被害が危惧される区部東部のゼロメートル地帯一帯への影響を把握すべきであります。都の見解を求めます。
 また、影響把握の調査結果に基づき、ハード対策を備えるのは当然でありますが、気候変動による台風の巨大化などが予測される中、住民避難などのソフト対策を強化することが極めて重要であります。
 そこで、都は、避難対策など大規模水害対策について、専門的に検討する組織を立ち上げ、具体的な対策を検討すべきであります。都の見解を求めます。
 昨年、政府の行政刷新会議は事業仕分けで、スーパー堤防事業を一たん廃止と判定しました。スーパー堤防にかわる新たな治水対策を提案することもなく、廃止するということは、国民の命を軽視しているといわざるを得ません。本来、治水対策とは危機管理であり、国の責任において、国民の命を守る安全保障であるべきであります。単にコストのみに左右されて判断されるべきものではありません。
 東部低地帯には、約三百万の都民が生活し、このうち約百五十万人は、東京湾の満潮面より低い土地に暮らしており、一たび堤防が壊れると、多くの都民の命と財産を奪う甚大な被害が発生します。そこで、都は、スーパー堤防事業の着実な推進を国に強く要請すべきであります。
 また、江戸川区を流れる荒川は、中川と並行して流れており、国が直轄事業として、スーパー堤防を計画している荒川の左岸堤は、都が管理する中川の左岸堤も兼ねております。
 そこで、都は、国に先行して都型のスーパー堤防を導入し、水害に対する地域の安全性を向上させるべきであります。あわせて見解を求めます。
 次に、依存症対策について質問いたします。アルコールや薬物への依存についてはよく知られておりますが、ギャンブルへの依存が病気であることは余り認識されておりません。世界保健機関、WHOが定めている国際疾病分類には、病的賭博として掲載されており、世界共通の病気であります。アメリカでは、一九六〇年代から、社会問題として対策を講じており、最近は、シンガポールや韓国でも患者がふえ、国家的課題として対策に乗り出したと聞いております。
 健全な範疇では、庶民の娯楽としてのギャンブルも、依存症になると、病気であることを自覚しないまま借金までして行い続けることが問題視されております。
 日本でも患者数は増加しており、推測で二百万人を超えているといわれております。家庭内の不和により離婚に至ったり、多重債務や犯罪、自殺など、重大な社会的問題に結びつくことも少なくありません。ギャンブルで身を持ち崩すのは、単に本人の意識の問題ととらえがちでありますが、その基礎には依存症という病気があることをしっかり認識して対応することが必要です。
 先日、ギャンブル依存症の克服支援に取り組まれているNPO法人JAGO代表の大崎大地氏に話を伺ってきました。ギャンブルなどの依存症については、まず本人や周囲の人が依存であることに気づき、状況が悪化し、自殺などに至る前に、回復に向けた適切な支援につなげることが大事であるとのお話でありました。
 ギャンブル依存症に苦しむ人々を救うには、少しでも早く専門的な支援を受けるようにすることが重要であります。
 そこで、都は、本人、家族や周囲の人が、依存症であることに気づき、速やかに専門的な支援につながるよう、広く都民への普及啓発を図るべきであります。見解を求めます。
 次に、都立墨東病院の医療機能強化について質問します。
 地域におけるがん医療の充実を推進するためには、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院が中心となって、地域連携クリティカルパス、東京都医療連携手帳を活用することにより、地域のがん医療のネットワークを構築していく必要があります。
 一方、墨田区、江東区及び江戸川区の三区から成る区東部二次保健医療圏には、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院がありません。地域医師会や多くの住民から、墨東病院におけるさらなるがん医療の充実を求める声が上がっております。
 そこで墨東病院は、区東部地域におけるがん医療の中心的役割を担えるよう、一刻も早く東京都認定がん診療病院の認定を取得し、がん医療の充実に取り組むべきであります。都の見解を求めます。
 感染症医療や、難治性がん医療といった行政的医療は、多くの人員や経費を要するなど、現在の診療報酬制度においては、不採算性の高い医療分野であります。しかし、そういった医療への対応を充実させ、都民が安心して生活できる医療体制を構築することこそ、都立病院の果たすべき使命であると考えます。
 そこで、地域の医療機関では対応困難な合併症などを患った重症患者の命を守るために、墨東病院は、医療機能を拡充するなど、診療基盤の整備を図るべきであります。見解を求めます。
 次に、江戸川都県境の橋梁整備について質問いたします。
 都においては、千葉県境との橋梁整備に関し、放射第一六号線と補助第一四三号線を、第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。このうち補助第一四三号線については、東京都側の取りつけ道路整備が、住民の協力によって推進されており、今後は、千葉県側とを結ぶ橋梁の整備に地元は大きな期待を寄せております。
 そこで、都は、交通アクセスの向上と、災害時の避難路確保のために、補助第一四三号線の橋梁部の事業化に取り組むべきであります。見解を求めます。
 また、地域の防災拠点に位置づけられている篠崎公園と、対岸の市川市の大洲防災公園を連絡する補助第二八六号線の橋梁については、地元江戸川区において、災害時の避難路や緊急輸送物資の輸送路を早期に確保するよう、暫定的に整備する案の検討が進められております。
 そこで、区民の命を守る補助第二八六号線の暫定橋梁が一刻も早く実現できるよう、都は積極的に支援すべきであります。見解を求めます。
 次に、既設橋梁のバリアフリー化について質問いたします。
 荒川にかかる船堀橋は、江戸川区側は急勾配の斜路つき階段となっており、高齢者や障害者などの利用に支障を来しているだけでなく、災害時に、対岸の大島小松川公園への避難も困難となっております。
 これまで私は、本会議の場で何度もバリアフリー化の推進を訴えてきました。これを受け、都は、このたびスロープとエレベーターの設置を実施するとしたことは高く評価するものであります。
 そこで、都はスロープの設置工事を既に発注しておりますが、エレベーター設置工事についても、一刻も早く着手すべきであります。見解を求めます。
 また、船堀橋と同様に、ほかの既設橋梁についても、高齢者や障害者などすべての人が安心・安全に利用できるバリアフリー化に取り組むべきであります。都の見解を求めます。
 最後に、水環境の改善について質問いたします。
 東京は、下水道の整備により浸水被害は軽減され、河川の水質も大幅に改善されるなど、水の都、東京の再生に下水道が果たした役割は非常に大きく、評価するところであります。
 そうした中、合流式下水道からの雨天時の放流や東京湾の赤潮の発生など、さらなる水質改善が求められております。
 そこで、都は、河川や東京湾などの水質向上に向け、高度処理などの改善対策にさらに積極的に取り組むべきであります。見解を求めます。
 合流式下水道からの雨天時の放流の影響は、閉鎖的な水域において特に大きく、そこに重点的な対策を進めていく必要があります。例えば、私の地元である江戸川区平井・小松川地区を流れる旧中川では、建設局による河川整備が進み、水辺で多くの人々が憩うことができるようになりました。しかし、残念ながら降雨の後、一時的に水の汚れが見受けられます。旧中川の水質改善は、区民からも要望があり、喫緊の課題となっております。
 そこで、都は、貯留池を併設したポンプ所の構築など、具体的な対策に取り組むべきであります。見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 上野和彦議員の一般質問にお答えいたします。
 地球温暖化の影響についてでありますが、三年前、NASAの主任教授ハンセンが、このままでいくと十七年たったら北極海の氷は全部消滅するといいました。その傾向はどんどん進んでおりまして、このままでいくと、あと十四年たつと北極海の氷がなくなるわけですが、人によっては、大西洋から太平洋を結ぶ航路が開けて結構じゃないかという人もいますけど、これは到底そんな便利の許容だけで済むものじゃないと思います。
 それに並行して、ロシアの大干ばつやパキスタンの大洪水など、あるいはオーストラリアの内部における干ばつなど、世界各地で頻発する地球規模の環境異変は、深刻の度を増しております。
 人間は、死が不可避であるというのを知っていながら、自分の死を信じないように、地球環境問題を随分遠いものと考えがちですが、自然からの警鐘を正面からこれを受けとめ、子どもや孫たちへの責任を、今から果たさなければならないと思います。
 国際的な気候変動対策の新たな枠組みを決める交渉は、もう全然進んでおりません。地球温暖化による壊滅的な危機を回避するために残された時間は、ごくごくわずかであると思います。
 現在と未来の都民の生命と財産を守るため、都政に課せられた責務を考えれば、国家の交渉を座して待つわけにも、とてもいかない気がいたします。世界最大の経済都市である東京は、国内外を問わず同じ志を持つ地方政府とともに、できる限りの気候変動対策を、全力で講じていかなきゃならぬと思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 補助第二八六号線の橋梁整備についてでございますが、本路線は千葉県との都県境を超えた道路ネットワークを形成するとともに、対岸の市川市との連携を図ることにより、防災機能の強化にも資する路線でございます。
 このうち、江戸川を渡る橋梁部につきましては、整備手法や整備主体などの課題があることから、都は、対岸の千葉県と調整を行ってまいりました。
 その中で、昨年度、地元の江戸川区から、災害時の避難路や救援物資の輸送路を早期に確保するため、みずからが整備主体となって、計画幅員の半分を先行的に整備するという新たな提案がなされました。
 都としては、この提案が、懸案となっている地域の防災性の向上等に寄与することから、江戸川区、千葉県、市川市とともに検討会を設置いたしまして、事業化に向けた検討を進めてまいりました。都は今後とも、関係機関との協議、調整を進めるとともに、計画の具体化にかかわる技術的な助言を行うなど、橋梁整備に向けた取り組みを支援してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 気候変動がもたらす東京への影響の調査についてでございますが、都は、気候変動が東京に与える影響を評価するため、都内の降水量の変化などを予測するとともに、それらが東京にもたらす影響を、水資源や防災などの分野ごとに予測できるよう、現在、シミュレーションモデルの構築を進めております。
 防災分野につきましては、降水量の予測データを活用しまして、東京全体の主要河川の洪水予測を行い、この中で、区部東部のゼロメートル地帯についても把握をしてまいります。
 あわせて、既存の研究成果も活用し、海面上昇を踏まえた高潮の都湾岸エリアに与える影響についても把握をしてまいります。調査結果は、関係局に情報提供を行い、長期的な適応策の検討に役立ててまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

〇総務局長(比留間英人君) 大規模水害対策についてでございます。気候変動により大型化した台風で大河川がはんらんした場合、広大な地域で浸水することが懸念をされます。こうした大規模な水害により生じる膨大な数の住民の避難に備え、あらかじめ必要な対策を講じておくことは大変重要でございます。
 このため、東京都防災会議のもとに、国や防災機関、学識経験者などから成る検討組織を新たに設置し、国が策定する首都圏における大規模水害対策大綱や、現在、都が行っている気候変動予測とその影響に関する調査を踏まえ、都県境を超えた広域的な住民避難の方策などについて、具体的な検討を行ってまいります。
 これらの内容、成果については、大規模水害対策として、東京都地域防災計画に反映をさせてまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、国へのスーパー堤防事業の推進要請についてでございますが、国のスーパー堤防事業は、直轄河川において、計画を超える洪水に対しても、堤防本体が壊れることがないよう、河川の背後に奥行き最大三百メートル程度の堤防を整備するものでございます。
 一方、都型のスーパー堤防事業は、耐震対策や景観形成を目的として、民間開発などまちづくりと一体的に、奥行き最大六十メートル程度の幅で盛り土し、堤防を整備するものでございます。
 このうち、先般の事業仕分けにおいて、一たん廃止との判定を受けたのは、国のスーパー堤防事業でございます。都としては、極めて重要な事業であると認識しており、事業仕分けの後、直ちに国土交通省に対し、事業の継続を申し入れたところでございます。
 今後とも、水害から都民を守り、東京の都市づくりを進めていくため、スーパー堤防事業の推進を国に強く求めてまいります。
 次に、中川における都型のスーパー堤防の整備についてでございますが、お話の中川は、荒川に接し並行して流れており、荒川で計画を超える洪水が発生した場合、中川の堤防を超えてはんらんすることも予想されるため、国はスーパー堤防を計画しております。
 一方、中川は、都の管理河川であることから、堤防に隣接して、民間開発などまちづくりが行われる際は、都型のスーパー堤防を先行的に整備することも可能であると考えております。今後とも、水害に対する安全性を向上させるため、地域のまちづくりに合わせ、地元区や関係者等と調整を図りながら、都型のスーパー堤防整備に取り組んでまいります。
 次に、補助第一四三号線の整備についてでございますが、本路線は、葛飾区金町二丁目から、千葉県境の江戸川区東篠崎二丁目に至る都市計画道路であり、都市間連携の強化や防災性の向上に資する重要な地域幹線道路でございます。本路線のうち、篠崎街道から旧江戸川までの五百三十メートルの区間が事業中であり、現在、九割を超える用地を取得し、今年度から工事に着手しております。
 また、第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけた旧江戸川の橋梁部については、整備時期や事業手法など、千葉県との調整課題があり、県と設置した道路橋梁整備調整会議において協議を行っております。
 今後とも、事業中区間の早期完成を目指すとともに、橋梁部の事業化に向けて、千葉県との協議を積極的に進めながら、課題解決に取り組んでまいります。
 次に、船堀橋のバリアフリー化についてでございますが、新大橋通りの船堀橋は、荒川や中川などをまたいで、江戸川区と江東区を結ぶ延長約一・五キロメートルの道路橋でございます。
 本橋は、周辺に代替ルートがなく、自転車通行量が多いという特徴を有しており、橋の西側にはスロープが設置されておりますが、東側は勾配の急な斜路つき階段となっているため、バリアフリーの観点から、対策を講じることといたしました。
 今年度はまず、自転車の通行に対応したスロープを設置してまいります。さらに、限られた空間において、高齢者や障害者などのためのエレベーターを設置することといたしました。現在、交通管理者や地元区との調整を踏まえ、詳細設計を進めており、平成二十三年度には、エレベーター設置工事に着手する予定でございます。
 最後に、橋梁のバリアフリー化についてでございますが、高齢者や障害者なども含めたすべての人々が、快適に住み、働き、楽しむことのできる、移動しやすいユニバーサルデザインの都市東京とすることは重要でございます。
 とりわけ橋梁は、川や鉄道などで分断された地域と地域を結ぶ動線を確保する上で必要不可欠な都市施設であります。
 都は、東京都福祉のまちづくり条例に基づく基準に適合していない既設橋梁について、これまで、かけかえや改修にあわせて、スロープの設置などのバリアフリー化に取り組んでまいりました。
 今後は、自転車、歩行者交通量や、周辺の病院、福祉施設などの立地、代替ルートの有無など利用状況や地域特性を踏まえ、優先度を勘案した上で、これら既設橋梁のバリアフリー化に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) ギャンブル依存症につきましてお答え申し上げます。
 いわゆるギャンブル依存症といわれておりますのは、お話のとおり、病的賭博という精神疾患の一種でございます。その回復には、相談機関等の助言に基づきまして、精神科医療など適切な支援を受けることが重要でございます。
 都は、保健所や精神保健福祉センターなどにおいて、精神疾患に関する専門相談を実施しており、ギャンブル依存の問題を抱える方やその家族を、こうした相談機関につなげていくため、今後、都のホームページに解説コーナーを新設し、疾患の特性や依存が疑われる場合の対応などについて、広く都民に周知してまいります。
 さらに、来年度から新たに実施いたします一般診療科医師を対象とした精神疾患等に関する研修の中で、依存症の問題についても取り上げ、かかりつけ医から精神科など、専門的支援につなげるよう取り組んでまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

〇病院経営本部長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、墨東病院におけるがん医療の充実についてでございますが、墨東病院が、区東部二次保健医療圏におけるがん医療の中心的な役割を担う必要があるとの認識に立ち、医療人材の育成や、外来化学療法、院内がん登録、セカンドオピニオンなどの取り組みを積極的に実施しているところでございます。
 平成二十二年九月からは、がん相談支援センターを開設し、院内外の患者からの相談に対応するなど、がん医療の充実を図り、現在、東京都認定がん診療病院の認定を目指しているところでございます。
 こうした取り組みや、地域連携クリティカルパス、東京都医療連携手帳を活用した地域医療機関とのネットワークを強化することにより、墨東病院は、区東部二次保健医療圏のがん医療水準の向上を推進してまいります。
 次に、墨東病院における診療基盤の整備についてでございますが、都が昨年度策定した東京都地域医療再生計画において、独立した感染症外来、感染症指定病床及び感染症緊急対応病床を整備するほか、重症化した感染患者に対応するため、腎センターや救命救急センターにも陰圧室を整備してまいります。
 新たに整備する腎センターでは、がん、心臓血管疾患などの合併症を有し、地域の医療機関では対応困難な患者の人工透析を行ってまいります。さらに、外来化学療法室や手術室の機能拡充など、診療基盤の整備を予定しており、地域医療機関との連携のもと、墨東病院の医療機能を最大限に発揮してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

〇下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 河川や東京湾などの水質改善に向けた下水道局の取り組みについてでございますが、水再生センターから放流する処理水の水質をさらに改善するために、窒素と燐をより多く除去する高度処理施設の整備と雨天時に公共用水域へ放流される汚濁負荷量を削減する合流式下水道の改善対策に取り組んでおります。
 まず、高度処理は、区部では五カ所の水再生センターにおいて、一日当たり約三十五万立方メートルの高度処理施設が稼働しております。現在、浮間、砂町の両水再生センターで、施設の増設を進めておりまして、平成二十四年度末までに、新たに一日当たり十二万立方メートルを処理できる施設が完成する予定でございます。
 また、既存施設の改造と運転管理の工夫を組み合わせて、窒素または燐のどちらかを削減する準高度処理を六カ所の水再生センターに、今年度から順次導入しております。
 次に、合流式下水道の改善対策でございますが、雨水はけ口におけるごみなどの流出抑制対策として、当局が民間企業と開発した水面制御装置は、今年度中に設置を完了いたします。
 また、降雨初期の特に汚れた雨水を一時的にためる貯留池は、現在、約八十三万立方メートルが稼働しており、これに加えて、さらに平成二十四年度末までに、十九万立方メートルを整備する予定でございます。
 今後も、河川や東京湾などの水質改善のため、高度処理や合流式下水道の改善対策に鋭意取り組んでまいります。
 次に、旧中川における水質改善の取り組みについてでございますが、旧中川は、経営計画二〇一〇におきまして、重点的に合流式下水道の改善を進めていく水域として選定しております。
 旧中川に雨水を放流するポンプ所は四カ所ございます。このうち、吾嬬第二ポンプ所と小松川ポンプ所については、あわせて二万八千立方メートルの貯留池が整備済みであり、降雨初期の特に汚れた雨水を貯留し、旧中川に放流することなく水再生センターで処理をしております。
 吾嬬ポンプ所につきましては、現在、貯留池を併設したポンプ所として再構築工事を進めております。また、大島ポンプ所については、放流先を旧中川から荒川へ切りかえるため、小松川地区に貯留池を併設した新たな代替ポンプ所の建設を行っておりまして、将来このポンプ所が稼働することで、旧中川へ放流している雨水量が四割程度削減できます。
 今後も、旧中川など、流れの少ない閉鎖的な水域において重点的に対策を進めまして、良好な水環境の創出に積極的に貢献をしてまいります。

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