平成二十三年東京都議会会議録第二号

〇副議長(鈴木貫太郎君) 百五番大山とも子さん。
   〔百五番大山とも子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇百五番(大山とも子君) 日本共産党都議団を代表して質問いたします。
 都民の暮らしの困難が増しています。雇用は破壊され、広がるワーキングプア、働きたいのに保育園は入れない、低い年金、重い医療や介護の負担に都民は苦しんでいます。都民をこんな状況に追い込んだ自民党政権ですが、政権交代してもなお続く国政での自民党型政治に国民、都民の批判が広がっています。同時に、十二年間の石原都政の重大な責任は免れません。
 知事、あなたが、住民の福祉を増進するという地方自治体の魂を投げ捨て、福祉、暮らしの施策に大なたを振るったことが、今日の都民の困難を大きくさせてきたのです。知事は、財政をよみがえらせたなどといっていますが、果たして誇れるようなものでしょうか。
 財政が改善したのは、何よりも税収増に助けられたのです。都税収入を石原知事が就任した一九九九年度と比べてみると一目瞭然です。毎年度の都税収入を九九年度と比べると、年平均五千億円、合計五兆一千五百億円以上もふえています。違いますか。
 これだけ税収がふえたのに、知事は都民の施策を削りに削りました。同じように知事就任時からの増減を積み上げると、老人福祉費は約二千億円のマイナス、商工費は約七千億円マイナス、教育費、住宅費も含めると、その削減額は二兆六千億円にもなります。その上、コスト削減を第一に、行政の仕事を次々民間に投げ出し、住民サービスを低下させるとともに、官製ワーキングプアを生み出してきたのです。これが誇れることですか。知事、お答えください。
 知事は、来年度についても、次期知事の手を縛る本格予算を組んで自画自賛しています。にもかかわらず、都知事選挙が二カ月後に迫ったのに、みずからの去就をいまだに明らかにしません。本当に無責任です。都知事選挙は、どのような候補者、組み合わせになろうとも、石原都政の転換を図るのかどうかが問われています。十二年間の石原都政は、都民にとっては最悪の都政といわざるを得ません。
 石原知事が福祉や暮らしの施策を切り捨ててきたことに、都民の批判が渦巻いています。このため知事は施政方針で、高齢者の暮らしを確かに支えるとか、若者の挑戦を支えるなどと、福祉、暮らしに言及せざるを得ませんでした。しかし、魂が入っていません。具体策は不十分きわまりないものです。
 都の財政力は、韓国にほぼ匹敵する巨大なものであり、都政のあり方を転換すれば、都民の福祉、暮らしを大きく充実できます。私は、都民施策を真に充実していく方向を示し、幾つかの具体的提案を行う立場で、以下、質問いたします。
 第一に、福祉、暮らしの問題です。この問題で知事が都政に持ち込んだのは、ほんの一部を除いては、基本的に国の基準以上の施策はやらないということです。知事は、何がぜいたくかといえばまず福祉だといって、東京都単独の事業をことごとく切り捨てました。国の基準どおりしかやらないということなら、自治体の存在意義はないではありませんか。
 高齢者福祉は破壊されました。都民にとってなくてはならない老人福祉手当や老人医療費助成を廃止、シルバーパスは全面有料化されました。特別養護老人ホームへの用地費助成をなくし、整備費は四割にまで減らしました。利用者の処遇改善のために国基準以上に職員を増配置することや、中堅やベテランも働き続けられるための人件費補助も廃止しました。そのため、高齢者一人当たりの老人福祉費は九九年度の十三万円台から八万円台に激減し、歳出総額に占める老人福祉費の割合は全国二位から四十七位、最下位に転落したではありませんか。
 知事は、むだな福祉は削ったとまでいいました。これらの福祉のどこがむだだというのですか。
 とりわけ特養ホームは、都独自の補助があったからこそ増設が進み、二〇〇〇年度の整備率は全国二十七位でした。ところが、知事のもとで、特養ホームの整備率も全国四十三位へと大後退し、待機者は知事就任当時と比べて約三倍にふえ、四万三千人を超えました。特養ホーム関連の都独自の補助のどこがむだだったというのですか。
 高齢者福祉の立て直しは待ったなしです。特養ホームの増設が進まない大きな理由は、土地と人件費の問題であることは明白です。廃止した用地費助成を復活するとともに、積極的に東京都の土地を提供すべきです。また、二十三区内には約六百万平方メートル、東京ドーム百三十個分の未利用国有地があります。国が国有地を区市町村や社会福祉法人に安く提供するよう求めるべきです。
 介護人材不足が深刻な社会問題になっていますが、都独自の人件費補助、都加算補助を続けていれば、少なくとも東京の特別養護老人ホームでは、このような人材不足にはならなかったのです。そもそも人件費などの高い東京の施設は、介護報酬だけでは運営が成り立ちません。質の高い利用者サービスを提供するには、安定的な労働条件による優秀な人材の確保、定着がどうしても必要です。そのことは都も認め、国に改善を提言したではありませんか。都として、深刻な介護人材不足をどう打開するのですか。
 私は、特別養護老人ホームなどの職員の待遇改善や定着促進のための新たな人件費補助に踏み出す必要があると考えますが、見解を伺います。
 通えて泊まれて訪問サービスも行う小規模多機能施設を、思い切って増設することが必要です。東京都は、小規模多機能施設の整備が進まない理由として、土地価格の上昇、人材不足と制度内容そのものに課題があるとして、実態調査を実施しました。都は、この問題についてどう認識し、どう対応するのですか。
 宿泊料は一日六千円程度と高く、利用が困難です。宿泊料軽減のための支援を検討すべきと思いますが、どうですか。介護基盤整備の深刻なおくれが、デイサービス事業所での自主事業としての宿泊サービスを広げ、プライバシーもなく、人員配置も不十分で、防災上も問題がある事業所が急速にふえていることが社会問題にもなっています。
 宿泊デイサービスについて、昨年十二月、我が党は独自調査の結果を踏まえて、都に対し調査点検と指導是正を求めました。その後、都も調査を実施し、厚労省に緊急提案を行ったことは一歩前進です。しかし、関係者から、都の提案は厚労省にげたを預けたものとの声が上がっています。
 都自身が独自のガイドラインを定めること、継続的に実態を把握すること、都への届け出制度をつくることなどが必要です。どうですか。
 老人医療費助成の廃止は、高齢者を必要な医療から引き離しました。糖尿病、高血圧など、治療を中断すると命にもかかわる患者が、経済的理由で治療を中断しており、命さえも危険にさらされているのです。
 日の出町では、七十五歳以上の医療費無料化とがん医療費の無料化に踏み出しました。知事、医療費窓口負担の軽減は、世界の常識です。都としても、七十五歳以上の医療費無料化、六十五歳以上の医療費負担の軽減、がん医療費助成に踏み出すことを求めます。
 知事は、子どもたちの教育条件の整備もないがしろにしてきました。二〇〇九年度の普通会計決算における教育費は、石原知事就任の年と比較すると八百六億円も減っています。日本の教育への公的支出は、OECD加盟国の中でも最低水準で、子どもたちの教育にもっとお金をかけてほしいという声が渦巻いているにもかかわらず、教育費を減らす。知事は、世界に恥ずかしくないのですか。
 東京都は、八〇年代前半、歳出の二〇%以上を教育費に充てていました。それが今では一三・八%です。このままでよいはずはありません。
 知事、教育は子どもたちの未来への投資です。教育予算を大幅にふやすべきと考えますが、どうですか。
 この十二年間、石原都政は、教育にとって最も重要な役割を果たす教職員を削減してきました。来年度も、都立高校の図書館司書や肢体不自由特別支援学校の教員を削減する計画です。
 都は、都民から切望されている三十人学級も拒み続けてきました。その根底には、教職員の定数を減らすという知事の方針があるのです。
 今年度からやっと、小一、中一対策として、一学級三十九人の少人数学級も可能としましたが、全国では少人数学級を次々と拡大しています。今年度も、茨城県では、小学校一、二年生のみ三十五人学級にしていたのを一気に四年生まで、そして中学一年生に広げるなど、県独自の努力で実施を拡大しているのです。
 国もようやく来年度から、三十五人学級に踏み出す予定です。ところが都教委は、学級集団には一定の規模が必要などという、もはや通用しない口実を盾に消極的な姿勢をとり続けています。こうした態度は改めるべきではありませんか。
 世界はもとより、日本でも少人数学級が流れとなりました。都として計画を立て、三十人学級などの少人数学級に踏み出すことを求めます。来年度は、国の状況にかかわらず、小学校一年生の三十五人学級を実施することを明確にすべきです。
 特別支援学校も深刻です。今ですら大変な教室不足の上、今後、二千七百人も子どもたちがふえるにもかかわらず、今の計画では、学校数を一校もふやさないのです。しかも、一つの教室をカーテンで仕切って二クラスで使うという劣悪な教室の解消は、十年も先です。
 知事が障害児教育への支出まで出し惜しんでいるために、こうした事態が生まれているのです。心が痛まないのですか。特別支援学校の教室不足は、学校の新設で早急に解消することを求めます。
 私立高校に通う生徒への支援も重要です。今年度から公立高校の授業料が無償になり、公私格差が無限大に広がったといわれています。このため、全国では既に四十一道府県で、年収二百五十万円未満の世帯の私立高校生の授業料を無償化しています。十三府県は年収三百五十万円未満まで。年収五百万円未満まで無償化する府県もあります。私立高校生の学費負担軽減の充実は重要な課題だと思いますが、いかがですか。
 都でも、年収二百五十万円未満の世帯の無償化にはあと五億円、三百五十万円未満なら十億円でできます。どうしてやらないのですか。少なくとも年収二百五十万円未満の世帯の私立高校生の授業料無償化を直ちに行い、さらに拡大していくことを求めます。
 次に、中小企業支援と雇用対策についてです。
 知事は、就任直後に、これからの産業政策は、中小企業を一様に保護育成するような政策から転換するといって、きめ細かな業種別の支援策や、区や市からも使いやすいと歓迎されていた工業集積地域活性化事業を廃止しました。
 同じく廃止された商工指導所には、企業の現場を回り、要望や経営相談にきめ細かく応じ、現場の実態を都の施策に反映することに責任を負った経営指導職が五十人以上もいたのです。このため、業者からは、経営に行き詰まったとき、いつでも相談できる人がいなくなった、遠く離れた退職した職員のところに今も電話をして相談しているという声が出されています。東京の中小企業振興にとって重要な施策と人材、施設が失われ、中小業者は深刻な打撃を受けたのです。
 その結果、石原知事のもとで、歳出総額に占める東京の商工費の割合は五・四%に低下してしまいました。全国平均の八・五%と比べても、異常な低さになっているのです。
 知事、このような実態についてどう認識しているのですか。しかも、来年度予算で、中小企業対策費は約四百億円も減らされます。せめて商工費の割合を全国平均まで計画的に引き上げることを目指すべきです。
 都内のものづくりなどを支える中小業者は、どこでも今、大変厳しい経営状況を抱えながらも、必死の思いで取り組んでいます。知事は、こうした現状についてどのように認識していますか。
 具体的な支援策について提案します。
 まず、資金繰りの支援です。東京の制度融資の金利は、多くが二%以上です。しかし、愛知、兵庫、福岡などの各県では、すべてのメニューが二%以下となっています。京都府では、国が終了する景気対応緊急保証に対応して、長期、低利の融資を新設します。東京でも、多くの業者が要求している長期、低利の融資の創設を求めるものですが、どうですか。
 かつて都が実施していた工業集積地域活性化支援事業の二十一世紀版として、工業だけでなく、一次、二次、三次産業の集積地域を活性化させるための事業を新たに立ち上げることを提案します。
 我が党は、これまで中小企業支援と雇用確保、福祉や住環境の改善を一体で進めるよう提案してきましたが、とりわけ大きく全国に広がっているのが、住宅リフォーム助成です。
 我が党は、全国で県として初めて住宅リフォーム助成を実施した秋田県を調査しました。秋田県は、五十万円以上の工事に工事費の一〇%、最大二十万円を利用者に助成するもので、当初七千戸の目標でしたが、あっという間に利用者がふえ、一万五千戸に引き上げました。一月現在、一万三千五百戸で利用され、経済波及効果は二十四倍と試算しています。県内の八割の市が実施中の同様の制度の併用で、一層の波及効果が上がっています。
 建設業者や業界の皆さんは、これで何とか生き残れていると話し、県の担当者は、自殺者が減少していると話していました。都内でも既に九自治体が実施しており、来年度も広がる動きです。都は、こうした広がりと、その効果をどう評価しているのですか。
 我が党は、単なる住宅改善としてだけでなく、倒産が相次いでいる建設業などの仕事確保、そして雇用確保策と、一石三鳥の効果があるからこそ提案しているのです。都として住宅リフォーム助成の創設を求めるものです。答弁を求めます。
 同様に、公契約条例の制定が求められています。公共事業の質の向上とともに、業者と労働者の処遇の改善のために必要だとして、各自治体でも公契約条例を制定する動きが広がっています。建設労働者は低賃金だからという理由で若い人の希望が減り、世代交代ができない危機的状況に直面しています。存続にかかわる事態といっても過言ではありません。
 公共事業の落札が予定価格を大幅に下回る場合、業者の利益がなくなり、とりわけ労働者の賃金が減らされるというしわ寄せが生まれます。七割台で落札した都の工事に携わった労働者は、労賃が低く、不払いもあるといっています。都の契約工事でワーキングプア状態の労働者が続出することは、許されるものではありません。
 都の契約工事の実態を調査すべきではありませんか。さらに、賃金実態を調査することを求めるものです。
 千葉県の野田市に続き、政令市で初めて川崎市が公契約条例の実施に踏み切りました。世田谷区でも検討委員会を立ち上げました。都として、このような動きをどう受けとめていますか。公契約条例制定に向けて、検討委員会の設置を提案するものですが、見解を求めます。
 投資的経費は、この七年間、連続増額しています。こんな例は全国にありません。全国平均では、この七年間に七一%に減っているのに、東京都は一四二%にふえているのです。これに高速道路や空港、港湾施設の出資や貸し付けなどを加えると、バブル前の八〇年代の二、三倍、一兆円規模の投資が毎年行われており、石原都政十二年では、総額十二兆一千億円にもなります。都が出す必要のないお金を支出していることが、この最大の原因です。
 中央環状品川線は、一部区間をわざわざ都が三百三十億円もかけて直接施行しています。高速道路建設の貸し付けは、八〇年代には百八十億円台でしたが、石原都政では平均三百五十億円台になりました。自治体が本来負担する必要のない国直轄の大型公共事業負担金も、この間、五千六百億円以上出しています。こんなことも、全国に例がないことです。
 国民健康保険料や老人医療費の負担軽減のための助成は、国の問題だといって冷たく拒否する一方、高速道路や港湾建設は、国の事業であっても莫大なお金を負担する。おかしいではありませんか。国の大型開発事業の肩がわりはきっぱりやめるべきです。知事、どうですか。
 国直轄事業負担金について、知事は二〇〇一年の予算特別委員会で、考え直してもらいたい、国の国事として考えてもらいたい、そう述べていたではありませんか。なぜ、国に廃止を求めないのですか。直轄事業負担金の支出を中止すべきです。
 今後、長期にわたって都財政の大きな負担になると予想される浪費的投資が、港湾整備と関連道路等の建設です。東京港の整備計画は、中央防波堤外側や新海面処分場での外貿コンテナターミナル、臨港道路南北線の建設を含め、総事業費は莫大なものにならざるを得ません。昨年、東京都、川崎市、横浜市が作成した国際コンテナ戦略港湾計画の目論見書では、二〇一五年度までに施設整備に必要な事業費が約二千四百億円と見込まれていましたが、議会への説明はありません。
 しかも、その財源を国がどこまで支援するのかが不透明です。もともと京浜港の国際コンテナ戦略港湾計画は、国が京浜港を、規制緩和、税制優遇、国費の重点配分を行う総合特区にすることを前提としています。総合特区制度は、昨年十一月の事業仕分けで調整費の予算計上が見送られ、港湾整備事業の予算も圧縮されました。こうしたもとで計画を進めたら、なおさら都民へのしわ寄せははかり知れません。
 京浜港国際コンテナ戦略港湾計画で、東京港の整備に一体どれぐらいの総事業費がかかるのか、都の財政負担はどうするのか、明らかにすべきです。答弁を求めます。
 そもそもアジア諸港との競争に勝つために、京浜港にコンテナ貨物をかき集めることを至上命題とし、港湾施設の巨大化を進める発想自体が、時代錯誤です。国際コンテナ戦略港湾政策に対しては、日本港運協会会長が、日本港湾の物量などを勘案すると、十八メートル岸壁の必要性は全くない。この基本認識は、国内外の船会社とも共有できるはずだと発言するなど、港湾関係者から疑問と批判の声が上がっています。
 東アジアには、貨物の中継を中心に発展した釜山港や、巨大な生産地と消費地をバックに急成長を遂げる上海港など、それぞれに特徴を持つ港があり、日本にとって、これら各国の港との協力と役割分担を図ることこそ、現実的で発展性のある道なのです。
 知事、都が進める国際コンテナ戦略港湾計画は、浪費的巨大公共事業であり、見通しも危ういものです。中止すべきです。
 その一方、同じ投資的経費でも、十二年間の予算で見ると、都市公園整備は、骨格幹線道路予算の三五%にすぎません。しかも、二十三区内の公園の一人当たりの面積は、石原都政のもとで減り、わずか四・四五平方メートル、ロンドンの一六%にすぎないのです。公園予算を抜本的にふやし、整備を進めるべきですが、どうですか。
 石原都政十二年を振り返るとき、知事のトップダウンで進めたオリンピック招致で都民の血税を浪費したことも、見過ごせない汚点として残ります。知事は、オリンピック招致のためとして金に糸目をつけず、一回一億円もの費用でイベントを乱発するなど、招致推進活動経費だけで百億円もの税金を投入したあげく、招致に失敗したのです。
 重大なことは、四年前の知事選挙では豪華海外出張を反省し、経費削減をいわざるを得なかったのに、オリンピック招致の名で海外出張の浪費を削減どころか拡大したことです。知事は、前回知事選前の八年間で十五回の海外出張を行い、二億四千万円の税金を使いました。ところが、今期の四年間では実に十三回で総額二億二千万円もの税金を使ったのです。それまでの八年間とほぼ同額を四年間で使ったことになります。
 その浪費ぶりは目に余るものです。ホテルは、北京では夫婦で一泊二十四万円、ローザンヌでは一人十二万円の超デラックスルームを利用するなど、オリンピック招致関係の五回の出張では、二十三泊中二十一泊で都みずからが定めた基準を数倍も超えた宿泊料を使いました。航空機も、埼玉県や京都府など他県知事はファーストクラスが可能でもビジネスクラスに変更して節約をしているにもかかわらず、石原知事はファーストクラスに固執し、ベルリン往復だけで二百四十万円も使っています。
 この四年間の知事の海外出張で一日当たりに使った税金は三百二十八万円、それ以前の八年間の一・四倍になります。しかも、二〇〇九年の知事の海外出張は六回で約一億五千万円が使われましたが、もともと計上されていた知事の海外出張予算は三千五百四十万円にすぎません。何と予算の三倍、一億一千万円以上は他の費目から流用しています。
 知事は、経費を削減するという約束も、ホテルは一定の条件を備えた中で最も価格の低いものを選ぶという約束も守りませんでした。このことをどう反省しているのですか。今後ともこのような税金のむだ遣いを続けるのですか。お答えください。
 石原都政の正すべき重大問題は、自治体として乗り出してはならない事業に手を出していることです。
 その一つが新銀行東京です。三年で一千億円を超える累積赤字を出し、都が出資した一千億円の大半が消滅したため、前回知事選で知事は二年で立て直すと言明したにもかかわらず、その公約を翻して四百億円を追加出資したことは、都民の強い批判を受けました。その後の経過を見ても、既に新銀行は小零細企業を支援するという存在意義を失っており、清算するしかありません。
 重大なことは、石原知事が新銀行の清算を拒むだけでなく、新たなビジネスに乗り出そうとしていることです。それは、国際貢献の名による国際水ビジネスです。
 既に水道局は、都の監理団体の東京水道サービスを前面に立てて、水ビジネスを進めるための海外調査団派遣を行っています。昨年、三菱商事などの企業連合が、オーストラリアの水道事業会社を買収し、現地で水道事業を行うことになりましたが、ここに東京水道サービスが参加することで、都が海外水ビジネスに乗り出す一歩が踏み出されているのです。
 そもそも水道事業は、住民に対して最低限の公衆衛生と生活権の維持向上のために、自治体として責任を持って運営してきたものです。ところが、水道運営のノウハウを持たない財界は、政府を動かし、自治体が資金管理にまで参加する枠組みをつくろうとしているのです。
 水道局は、国際水ビジネスを行う上でどのようなことを検討し、実行しているのですか。公営企業法との関係や資金についてはどう考えているのですか。
 欧米系の水メジャーが水道事業に進出したボリビアでは、住民の激しい反発に直面して、政権が崩壊し、撤退するという大きなリスクが現実になりました。こうした例は各地で生まれています。昨年三月、都が打ち出した国際貢献の新たな取り組みという文書では、わざわざリスクの分析を行い、海外での為替変動や水質基準の変更などによる支出の拡大、施設建設コストの増大、共同事業者の経営破綻、現地政府の一方的な契約解除、現地の反対運動などの例を挙げざるを得ませんでした。このようなリスクとその対策についてどう検討しているのですか。
 そもそも水をもうけの道具にすることなど行うべきではありません。ましてや自治体が水ビジネスに乗り出すことなど、あってはならないことです。
 今、水メジャーは、世界各地で企業利益を生み出すために上下水道事業に進出していますが、途上国では貧困層がこうした水ビジネスでつくられた水を買えず、生命に欠かせない貴重な水が行き渡らないなど、さまざまな問題が生じていることが指摘されているではありませんか。しかも、都の監理団体である東京水道サービスが加わった民間企業が撤退したり提訴されることなどで、莫大な損失をこうむる危険が強いのです。この場合、水道料金など公的資金を投入することで、第二の新銀行東京となりかねません。知事、東京都と監理団体がビジネスに乗り出すことは直ちに中止すべきです。
 最後に、築地市場の豊洲移転問題は、知事の予算執行宣言に基づいて豊洲移転手続が進んでいますが、深刻な土壌汚染対策について、専門家や都民から、まともな調査も実験も行われていないと強い批判が寄せられています。専門家から要求されている公開討論の開催にも応じようとしていません。さらに、現在地再整備などについて議会で継続審議中なのです。これを無視して進めるということも許されません。
 今年度の豊洲移転用地の買い取り予算執行は中止し、来年度の豊洲移転関連予算は撤回すべきです。都が拒否するなら、我が党は豊洲移転関連予算案は削除の修正案を提案することを表明し、再質問を留保し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

〇知事(石原慎太郎君) 大山とも子議員の代表質問にお答えいたします。
 施策の見直しについてでありますが、改めて申し上げるまでもなく、私はこれまで社会状況が激しく変化する中で、都民ニーズに的確にこたえるために、見直すべきものは柔軟かつ大胆に見直し、必要なものには財源を重点的に振り向け、都政の改革を進めてまいりました。こうした一連の取り組みは、行政サービスを着実に向上させていくためにも必要不可欠であります。福祉を初め各分野で大きな成果を上げていると自負しております。
 今後、厳しい財政環境が続く中にあって、都政が積極的に役割を果たしていくためには、都民が必要とする施策をいかに効率よく提供するかという視点に立ち、行政サービスのあり方やその質についても不断に検証することが重要であります。減っている部分だけをとらえてその削減額を殊さら強調するのは、全く的外れな議論であると思います。複合的な思考のできない共産党の単細胞的体質というものが露呈している論だと思います。他の質問も含めてあなた方のいうことを総じて聞いていますと、どうも共産党のいうことを聞いていると、この国を、この日本を滅亡に導きたいような気がしてならない。
 次いで、高齢福祉予算についてでありますが、少子高齢化が急速に進む中では、福祉サービスの利用者の増加に比べ、社会全体の負担力は伸びません。旧態依然とした福祉施策を続けていたのでは、早晩、財政的に行き詰まることは明らかであります。だからこそ、将来にわたって安心できる社会を実現するため、時代にそぐわない事業は見直し、真に必要とする人への効果的な福祉サービスが行き渡るように改革を進めてまいりました。
 昨年十二月の予算原案発表の際の発言は、こうしたことについて改めて言及したものでありまして、その意味合いを正確にとらえていただきたいと思います。
 平成二十三年度予算案では、一般歳出における福祉保健費は九千八十六億円、福祉と保健の予算の割合も二〇・八%と、いずれも過去最高となっております。自分たちに都合のいい数値のみを取り上げて批判を繰り返すばかりでなく、福祉施策を論じるには負担と給付のバランスの議論を避けて通ることはできないことをどうか理解していただきたいと思います。
 ものづくりを支える中小企業の現況についてでありますが、東京には、高度で多様な技術を有する中小企業が数多く集積しておりまして、東京のみならず、日本の経済を牽引していく原動力となっております。しかし、長引く景気の低迷や急激な円高により、中小企業は、苦しい資金繰りや受注の減少など、厳しい経営環境に置かれております。このまま放置すれば、東京の活力は失われかねません。
 いわれるまでもなく、東京都はこうした状況を踏まえ、これまで制度融資を初め、中小企業の資金繰りに万全を期するとともに、経営支援などの円高対策や販路開拓の支援などの手だてを速やかに講じてまいりました。今後とも、企業現場の実情に即した施策をさまざまに展開し、ものづくりを担う中小企業を支援してまいります。
 ちなみに、私が最初の選挙戦のときから提唱し、実現いたしましたローン担保証券、社債担保証券、今では一兆近い市場になりましたが、これを最初から最後まで反対したのは共産党でありましたな。
 次いで、都市インフラの整備についてでありますが、いまだにご理解いただけないようでありますが、東京の都市機能を向上させることは、都民の利便性だけではなく、国際競争力を高め、東京の活力を維持する上で不可欠な取り組みであります。
 中でも、道路、空港、港湾などの都市の根幹となる施設の建設は、立ちおくれた社会資本を整備し、将来への道筋をつける重要な事業であります。東京にとって必要性、緊急性が高いものであれば、都として一定の負担を行うことは当然であります。
 次いで、これは驚くべき質問でありましたが、水道事業の国際貢献ビジネスについてでありますけれども、四大文明が大河のほとりに生まれた歴史をひもとくまでもなく、人類の進歩、文明発展にとって、水は致命的な意味合いを持ちます。今日にあっても、清潔で健康な暮らし、産業、農業の振興など、すべからく水が我々の生活にかかわっております。
 しかし、世界を眺めますと、日本と違い、九億人にも及ぶ多くの人々が安全な水に接することができないでおります。このため、全世界で一日約四千人の子どもが、下痢や伝染病で命を落としている。さらに途上国では、経済成長に伴う都市への人口集中などにより、水源の汚染や水不足が深刻な問題となっております。
 こうした現実に対して、東京は、どのような水質にも対応できる浄水処理技術や、漏水率三%を達成した漏水防止技術など、これまでに蓄えてきた知識、経験に裏打ちされた総合力があり、これで世界を救う力もありますし、責任もあります。だから、国は縦割りであり、なかなか重い腰を上げないために、東京は率先して行動を開始したわけであります。
 すぐれた技術力を最大限活用するとともに、企業連合形成の触媒となるなどして、途上国の水事情改善のために努力することは、国際都市東京の当然の使命であります。要するによい水を飲むこと、それがよい人生を送る、そして寿命の延長につながるわけです。後進国の寿命の短さというのは、ほとんどが水が原因となっています。これを放置することは、それをよしとする共産党の考え方は本当に恐ろしいですな、人類にとっても。途上国の人々の命を救い、その発展に貢献しながら、日本経済の活性化につなげることを否定するのは、まことに恐ろしい発想というか、愚かな発想というか、私には理解できません。
 他の質問については、教育長、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、教育予算についてでございます。
 予算は、事業の精査を経て所要経費を積み上げることにより作成されるものであり、教育への公的支出に関して、OECD加盟国の対GDP比率などの水準によって優劣を論ずるという考え方は適切ではございません。
 次に、都の教育費については、その大部分が教職員人件費であり、基本的には児童生徒数に連動して増減する構造となっております。したがって、年度ごとの教育費の金額の大小や歳出全体に占める構成比の大小のみを比較して論じても意味はございません。
 平成二十一年度の東京都普通会計決算における教育費は九千二十一億円であり、平成十一年度と比較すると八百六億円減少しております。これは、平成二十一年度の給料や期末勤勉手当等の職員給が、平成十一年度と比べて八百五十億円減少しているためでありまして、教育水準が低下したものではございません。
 また、平成二十一年度の普通会計決算における教育費の構成比は一三・八%であり、昭和五十年代後半と比較すると約七ポイント程度減少しております。これは、この間、普通会計決算の歳出総額が倍増する一方で、教育費は基本的に児童生徒数に連動するものであり、昭和五十年代後半の七千億円前後の水準から、平成二十一年度は約九千億円へと増加しているものの、単純に倍増するといった構造ではないことから、結果的に構成比が減少したものにすぎず、教育水準が低下したものではございません。
 平成二十三年度予算においても、必要な教育予算は十分に確保しており、全くご指摘は当たりません。
 次に、公立小中学校の学級編制に関する都教育委員会の考え方についてでございます。
 都教育委員会は、児童生徒に望ましい人間関係や豊かな人間性を培うため、生活集団としての学級には一定の規模が必要であると考えております。多くの自治体が国の少人数指導加配定数を転用して少人数学級を実施している中で、都教育委員会は、基礎学力の向上に配慮してきめ細かい指導を行うため、少人数指導加配定数を他に転用することなく、一貫して少人数指導の充実に努めてきております。
 また、都教育委員会は、小一問題、中一ギャップの予防、解決のため、都独自の加配を行っているところでございます。必要な手だては講じております。都教育委員会として、学級編制に関する考え方を変えるつもりはございません。
 次に、三十人学級などの少人数学級の実施についてでございます。
 都教育委員会として、生活集団としての学級に一定の規模が必要であるとの考えは変わりません。
 今年度から、都教育委員会は、小一問題及び中一ギャップを予防、解決するために、教員を加配し、学級規模の縮小や少人数指導、チームティーチングの導入など、各学校の実情に即した最適策を選択できる弾力的な制度を実施しております。都教育委員会は、画一的に学級規模を小さくするような少人数学級の実施は考えておりません。
 次に、来年度の学級編制についてでございます。
 国が示した小学校第一学年の三十五人編制の実施については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に定める学級編制標準の改正が必要でございます。同法の改正案については、先般、通常国会に上程され、今後審議される予定であり、都教育委員会としては、国会審議を含め、国の動向を見守ってまいります。
 次に、特別支援学校の教室不足についてでございます。
 昨年十一月に公表した東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、今後の在籍者数の増加に対応できる教室数を確保するため、特別支援学校の再編整備計画を決定いたしましたが、この計画では新たに二校の新設校を設置することとしており、学校数を一校もふやさないという指摘は事実に反します。
 特別支援学校の施設整備は計画的に進めていく必要があり、一定の時間を要することから、その間、カーテン等で間仕切りした教室も利用することとなりますが、児童生徒の教育活動に支障がないよう、十分な配慮を行ってまいります。
 なお、特別支援学校の施設整備費につきましては、計画策定前の平成十三年度から平成十五年度の三カ年の平均予算額約三十億円から、第三次実施計画策定時の平成二十一年度から平成二十三年度までの三カ年の平均予算額約百億円と三倍強に増加しており、障害児教育への支出を出し惜しんでいるというご指摘は当たりません。
 次に、特別支援学校の新設についてでございます。
 昨年の十一月に策定した第三次実施計画において、今後も増加していくことが見込まれる知的障害特別支援学校在籍者に対応できる教室数を確保するため、新設二校、改築十校、増築三校、併置化三校の知的障害特別支援学校の再編整備計画を決定いたしました。
 この結果、特別支援学校の設置校数は、平成十六年度の計画策定時の五十五校一分校が、平成三十二年度の整備終了時には五十八校となります。また、知的障害のある児童生徒を受け入れる特別支援学校は、平成十六年度の三十校一分校から、平成三十二年度は学校の新設や併置化を進めることにより四十四校となります。
 今後も、計画を着実に推進することにより、特別支援学校における教室数を確保してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自治体における住宅リフォームの助成制度についてでございますが、各自治体の助成制度は、その目的と内容がさまざまであることから、それぞれが地域の実情に応じて取り組んでいるものと考えております。都としては、従来より、まちづくりの観点から耐震改修やマンション共用部分を対象とした改良工事への助成を行うなど、適切に支援を実施しております。
 次に、住宅リフォームの助成制度の創設についてでございますが、都は、良質な住宅ストックの形成のため、消費者向けには住宅リフォーム相談窓口の設置やガイドブックの作成、事業者向けには事業者行動基準の作成や講習会の支援などを行っております。また、ただいま申し上げましたとおり、耐震改修やマンション共用部分を対象とした改良工事への助成を行うなど、既にまちづくりの観点から必要な対策を適切に実施していると考えております。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

〇財務局長(安藤立美君) 四点にお答えを申し上げます。
 まず、財政再建の取り組みについてでありますが、石原知事就任以来、二度にわたる財政再建推進プランを策定し、職員定数の削減を初めとした内部努力を徹底して行うとともに、時代状況等に応じた施策の見直しや再構築を進め、歳入の確保などにも着実に取り組んだことにより、八千億円にも上る財源を確保することができました。今日の強固な財政基盤を構築することができたのは、こうした身を切るような努力があったからであり、税収の増加によって財政再建が達成されたかのような指摘は全く当たりません。
 次に、都の契約工事の実態調査についてでありますが、我が国における賃金や労働条件は、各企業の労使間の交渉により自主的に決定される法制度となっており、国はこれを下支えするため、最低賃金法や労働基準法などで基準を定めております。都の入札契約制度は、契約に当たって最低賃金法や労働基準法などの法令遵守を義務づけることにより、労働環境の確保を図っております。こうした観点から、都の実態調査を行うことは考えておりません。
 次に、公契約条例に向けた検討委員会の設置についてでありますが、公契約条例については、労働政策や産業政策の観点から、整理検討すべき課題が指摘をされております。これは、国が立法措置上の問題として判断すべき問題であり、今後とも、国の検討状況を注意深く見守ってまいります。
 最後に、直轄事業負担金についてでありますが、外環道などの国直轄事業は、東京の活力を維持し、都市活動や都民生活を支える上で、いずれも欠かすことのできない重要性の高い事業であり、国と連携しながら、都として必要な措置を講ずることは当然であります。
 一方、実施に当たりましては、自治体の意見を反映する仕組みが不十分といった問題が依然として残されていることから、引き続き、国に対してその改善を強く働きかけてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、特別養護老人ホームの整備についてでございますが、都は、保険者でございます区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づきまして、計画的な基盤整備に努めております。整備に当たりましては、高齢者人口に比べて整備状況が十分でない地域の補助単価を最高で一・五倍に加算するなど、多様な手法を活用しながら着実な整備に努めております。
 次に、用地費助成の復活などについてでございますが、特別養護老人ホームの用地取得費助成につきましては、国の規制緩和により、民有地の貸し付けや定期借地権制度の活用による整備が可能となるとともに、用地取得費に対する融資制度が充実されるなど、状況が大きく変化したことから、平成二十年度着工分をもって終了したものであり、復活することは考えておりません。
 都有地の活用につきましては、都は、福祉インフラ整備事業により、介護保険事業者等に対し、未利用の都有地を減額して貸し付けております。
 また、国有地につきましても、定期借地権に基づく貸付制度が開始されましたが、事業者が介護保険施設などの整備に利用しやすくなるよう、貸付料の減額について、既に国に対し提案要求を行っております。
 次に、介護人材の確保についてでございますが、介護保険制度は、社会全体で高齢者を支える仕組みとして、全国統一の社会保険方式で運営されており、その財源は保険料と公費から成っております。また、事業者が得る報酬は介護報酬として定められており、人材の確保も含め、事業に必要な経費はその中で賄うことが基本でございます。
 介護報酬の設定は、制度の設計者である国の責任で行うものであり、都は国に対し、介護報酬を大都市の実態に合わせて抜本的に見直すことを再三提案要求をいたしております。
 次に、介護職員への人件費補助についてでございますが、先ほど申し上げたとおり、介護報酬の設定は国の責任で行うものでございます。都は国に対し、抜本的な見直しを再三提案要求しており、独自に人件費補助を行う考えはございません。
 次に、小規模多機能型居宅介護についてでございますが、登録定員の上限が二十五名であることや、宿泊室にあきがあった場合でも、登録者以外は利用できないなど制約が多く、運営が安定しないことから、小規模多機能型居宅介護の整備が十分に進まない状況にございます。このため、都は、登録定員の上限撤廃や登録者以外の者の宿泊利用について、国に対し提言を行っております。
 次に、小規模多機能型居宅介護における宿泊料軽減についてでございますが、都は既に、国制度であります社会福祉法人等による利用者負担額軽減の仕組みを、都独自に事業主体を拡大して実施をしており、新たな負担軽減策を行う考えはございません。
 次に、宿泊サービスを提供する通所介護事業所についてでございますが、先ほどもお答えしたとおり、国において法整備が行われるまでの間、都としては独自の届け出基準等を早急に策定し、利用者の安全確保を図ってまいります。
 最後に、医療費助成についてでございますが、高齢者医療やがん医療も含め、医療費負担のあり方につきましては、社会保障制度全体の中で、国の責任で対応すべきものでありまして、都として新たな医療費助成を実施する考えはございません。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

〇生活文化局長(並木一夫君) 二点のご質問にお答えします。
 初めに、私立高校生の学費負担軽減についてでございますが、都内の高校生の約六割が私立高校に通うなど、私立高校が東京の公教育に果たす役割は重要でございます。このため、都では、私立高校に対する基幹的補助であります経常費補助を行うとともに、所得に応じて私立高校生の保護者の負担の軽減を図るという考え方から、国の就学支援金に加えて、都独自に年収約七百六十万円以下の保護者を対象として授業料の一部を補助する特別奨学金制度を実施しております。
 次に、私立高校生の授業料の無償化についてでございますが、ただいまご答弁申し上げたとおり、都においては、所得に応じて私立高校生の保護者負担の軽減を図るという考え方から、国の就学支援金に加えて、都独自に年収七百六十万円以下の保護者を対象として授業料の一部を補助する特別奨学金制度を実施しております。
 これら二つの補助金に育英資金を合わせると、年収三百五十万円に満たない世帯の私立高校生については、都内私立高校の平均学校納付金額相当を超える補助制度となっており、経済的理由で修学困難な世帯への必要な支援は既に実施しております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

〇産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業対策に係る予算についてでありますが、都内中小企業を取り巻く環境は依然として厳しいことから、来年度、円高対策を拡充するとともに、海外販路開拓支援の充実などに取り組むこととしております。
 また、都と中小企業振興公社や東京商工会議所などの支援機関が連携し、経営指導員などが中小企業を直接訪問して経営改善を助言するなど、引き続き個々の中小企業の経営課題にもきめ細かく対応してまいります。
 なお、予算額は、中小企業の借入動向に応じた制度融資の預託金や施設整備の進捗状況等により毎年度増減するものでございます。来年度予算におきましても、中小企業対策について必要額を計上したところであり、単なる予算額の推移、歳出総額に占める割合による他県との比較をもって評価することは適当ではありません。
 今後とも、都は、先進的かつ独自性を持った効果的な施策を講じ、中小企業の振興に努めてまいります。
 次に、中小企業に対する資金繰り支援についてでありますが、都制度融資の中心的なメニューである経営支援融資などには最優遇金利を適用しており、その多くが金利二%以内で利用されております。加えて、小規模企業者に対しては保証料の二分の一を補助するなど、他の道府県と比べても手厚い措置を既に講じております。
 さらに、来年度は、この間の円高の進行に対応するため、円高対応融資メニューを創設するとともに、国の緊急保証制度終了後の円滑な資金繰り支援のため、既存融資メニューについて、融資条件の拡充や保証料補助の継続などを行うこととしております。
 都としては、引き続きこうした措置を講じていくこととしており、お話のありました新たな融資メニューをつくることは考えておりません。
 最後に、産業集積に対する支援についてでありますが、東京の産業発展のためには、今後成長が期待される産業の育成に向けて、都が広域的な視点に立った施策を実施するとともに、区市町村が地域の産業特性等を生かして主体的に取り組むことが重要であります。
 このため、都は既に、創造的都市型産業集積創出助成事業により区市町村の産業集積の活性化に向けた取り組みを支援しております。したがって、ご提案のような事業を新たに立ち上げる考えはございません。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

〇港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国際コンテナ戦略港湾にかかわる東京港整備の総事業費及び都の財政負担についてでありますが、国際コンテナ戦略港湾の応募に当たり、昨年三月、都が横浜港及び川崎港とともに国へ提出した目論見書においては、平成二十七年度までに京浜港の施設整備に必要な事業費として約二千四百億円を示したところでありますが、これは、国費の集中的な確保を目指し、その時点で想定し得る国費を含めた費用を見込んだものであり、実際の事業費とは性格が異なるものでございます。
 お尋ねの東京港整備のための事業費及び都の財政負担につきましては、個別の事業の具体化や国の負担割合の状況等を踏まえ、適宜明らかにしてまいります。
 次に、国際コンテナ戦略港湾の取り組みについてでありますが、アジア諸港の躍進が著しい中で、我が国港湾の国際的な地位は相対的に低下し、コンテナ貨物取扱量で日本最大の京浜港でさえ、国際基幹航路が減少傾向にあります。このままの状況を放置すれば、京浜港の国際基幹航路がさらに減少し、貨物の輸出入に当たり、海外の主要港での積みかえが一層増大することになります。これにより、輸送日数の増加や輸送コストの上昇などを招き、国内産業の競争力の低下や、首都圏四千万人の生活に種々の悪影響を及ぼすことになります。
 都としては、こうしたことがないよう、今後とも川崎港、横浜港とともに、国際コンテナ戦略港湾として、京浜港への貨物集荷策や港湾機能の充実強化など、国際競争力の強化に向けた取り組みを積極果敢に展開してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

〇建設局長(村尾公一君) 骨格幹線道路予算と比較して少ない公園予算を抜本的にふやすべきとのことでありますが、東京の都市基盤整備は、最大の弱点である交通渋滞を解消し、国際競争力や経済活力を強化するとともに、良好な都市環境と魅力ある都市空間を形成し、安心で安全な都市を実現することにより、首都東京を二十一世紀の範となる都市へと進化させるものであります。
 このため、首都圏三環状道路を初めとする幹線道路ネットワークの形成、都民の生命と財産を守る河川整備、都市の貴重な潤い空間や防災拠点となる公園整備など、未来への財産となるストックを着実に築き上げてまいりました。これら事業の推進に当たっては、地域や都民のニーズに的確にこたえることはもちろん、日本を牽引する首都東京としての事業の必要性や優先度、効果などを総合的に勘案して計画的に進めております。
 お尋ねの公園整備につきましては、事業の推進により、都立公園の開園面積が、平成十一年から平成二十二年の間に約三百二十ヘクタール、東京ドーム六十八個分も増加しております。区部の一人当たり公園の面積は、分母である人口が約八十万人も増加しており、このため、ふえ方が緩やかとなったもので、東京の魅力、活力がそれだけ高まった結果であると認識しております。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 知事の海外出張の経費についてでございますが、海外出張はいずれも都市外交を初め都政の重要課題に対応するものや、政策実現のために必要な出張であることに加え、適正な手続も経ていることから、支出は妥当なものであり、むだ遣いとの指摘は当たらないものというふうに考えております。
 また、ご質問の中で、経費総額や一日当たりの経費などのお話がございましたが、これらの海外出張は、知事の海外出張と申しましても、知事一人で出かけたわけではございませんで、十九年度以降の十三回の出張で見ましても、最低で六人、アジア大都市ネットワーク21などでは十七から十八人、平均いたしますとおおむね十二人分の経費を合計したものでございます。さらに、宿泊ホテルに関しましては、もとより経費低減に努めつつも、セキュリティーの確保や要人との会談等の際にも、礼を失しない格式と設備が求められることなどを考慮して選定しているところでもございます。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

〇水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、国際貢献ビジネスの検討状況などについてでございますが、これまで海外事業調査研究会を設置し、アジア各国の関係情報の収集やビジネスモデルの検討、インドなど五カ国へのミッション団の派遣など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 地方公営企業法との関係につきましては、昨年五月、国の検討会において、実施主体が第三セクターであるならば現行法上特段の問題はないなどの見解が示されており、当局の進める新たな国際貢献ビジネスに当たっては東京水道サービス株式会社を活用しているところであります。また、同社及び企業連合が事業に参画する際の資金につきましては、政府系機関からの投融資の活用や民間事業者からの出資などによることを想定しております。
 次に、国際貢献ビジネスのリスクとその対策についてでございますが、先ほど、わざわざリスク分析を行い、さまざまなリスクの例を挙げざるを得なかったとのお話がございましたが、当局では、国際貢献ビジネスを展開していくに当たり、昨年三月、金利変動など十八項目にも及ぶあらゆるリスクを想定し、分析し、リスクヘッジへの検討を行ったところであります。こうした検討は海外での事業リスクを回避及び最小化する上で極めて重要な取り組みであり、当然のことであります。
   〔百五番大山とも子君登壇〕

〇百五番(大山とも子君) 知事に再質問をいたします。
 まず福祉です。
 知事は、むだな福祉は削りましたという発言について、真に必要とする人へ効果的な福祉サービスが行き渡るよう改革を進めてきたことに言及してきたものといいわけしました。しかし、知事は、改革の名で真に必要とする人への真に必要な福祉を切り捨ててきたのです。自分に都合のよい数字だけ持ち出すという話は、そっくりそのままお返しいたします。
 特別養護老人ホームの整備予算は、石原都政で四割に激減したんです。このため、特養整備率は全国二十七位から四十三位まで転落し、待機者は一万五千人から四万三千人へと急増したのです。知事として、責任そして痛みを感じないのですか。ご自身で答えてください。
 次は、教育予算について。
 知事に聞いたのに、教育長に答えさせました。児童生徒数に連動して増減するから、教育費が八百六億円減っても当然だという趣旨の答弁でした。教育費がこんなに減った最大の原因は、給与を減らしたことです。それで優秀な人材を確保できるのですか。教職員定数も七百七十人減らしました。東京都の児童生徒数は十二年前とほぼ同じです。おかしいじゃないですか。先進諸国の多くは、少子化傾向でも教育支出を伸ばしているのです。この事実をどう認識しているのですか。こんなことでは都民は納得しません。定数削減も給与削減も知事の方針なのですから、知事が答えてください。
 知事の海外出張についてです。
 前回知事選で、豪華海外出張への都民の批判に対し、知事は反省と経費削減を打ち出しました。ところが、今期も、同じ条件でもっと安いホテルに泊まれたのに夫婦で一泊二十四万円ものホテルに泊まるなど、ぜいたく三昧です。反省も経費削減にも努力していません。この約束違反をどう考えているのか、政治家たる知事に聞いたのです。なぜ知事が答弁しないのですか。前回知事選での反省ポーズは偽りだったといわざるを得ません。知事自身の問題です。知事がはっきり答えてください。
 住宅リフォーム助成について。
 私は、住宅改善と同時に中小建設業者の仕事確保、さらには雇用確保の一石三鳥の効果があり、大きな経済波及効果があることを示して実施に踏み出すよう求めたのです。にもかかわらず、技監の答弁は、まちづくりの観点から必要な対策を既に実施しているなどという硬直した縦割り行政そのものではありませんか。知事がリーダーシップをとって、まちづくり、住宅、中小建設業支援、雇用確保の各部門を束ねなくてどうするのですか。知事の責任で前に進めるべきです。知事、どうですか。
 以上四点について、知事、答えてください。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

〇教育長(大原正行君) 繰り返しになりますが、平成十一年度から二十一年度にかけて職員の給与費が八百五十億円減っております。これによって、全体の教育費が減ったというにすぎない。教育水準が低下したわけではございません。ちなみに、職員の給与水準については人事委員会の勧告に従って、議会の議決を経て適正に対処しているところでございます。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

〇東京都技監(河島均君) 再質問の住宅リフォームの助成制度創設ということでのお尋ねでございます。
 今のお話で、住宅リフォームをやれば中小企業対策とか雇用確保にもつながるんじゃないか、だから住宅リフォームをやるべきだというお尋ねだということでございますが、やはり住宅リフォーム自体を助成制度としてやるべきかどうかということは、政策選択の場合に十分考えて判断しなきゃいけないことだと、そういうふうに考えております。
 先ほどもお答えしましたとおり、住宅リフォームで現在東京都でやるべきことは、これは消費者に対する適切な住宅リフォームができるような支援をすることと、それから事業者に対して住宅リフォームを消費者に対して適切に実施していけるように、いろいろな形での指導基準をつくったりすることの、そういう応援であろうと。今、東京都で住宅リフォームでやるべきことはそういうことだと判断しておりますので、お説のような住宅リフォーム助成を行う考えは全くございません。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

〇福祉保健局長(杉村栄一君) お答えいたします。
 ただいま特別養護老人ホームの整備費の件でお尋ねがございました。また、先ほどは、平成十一年度と二十年度の決算の比較の話もございましたが、この間、介護保険制度の導入ですとか、あるいは三位一体改革、そして定期借地権制度の導入といった、非常に比較の前提となる制度が大変大きく変わっております。
 こうした制度の変更ですとか、あるいは長期的視野に立った政策を総合的に考慮することなく、単純に高齢者の予算額ということで比較するというのは意味がないというふうに考えております。
 特別養護老人ホームについていえば、先ほど答弁申し上げましたように、保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて算定をしたサービス見込み量に基づきまして、東京都は計画的な基盤整備に努めているところでございます。
 また、先ほど国の基準額の範囲内で事業を行っているという話もございましたが、高齢者分野の施策だけを見ても、都独自の補助制度による認知症グループホームの大幅増設、あるいは新しい高齢者の住まいの整備、シルバー交番設置事業といったさまざまな都独自の施策も展開しておりまして、国基準の範囲内という主張は全く当たらないというふうに考えております。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

〇知事本局長(秋山俊行君) 知事の海外出張の経費についての再度のお尋ねでございますが、出張の目的及び支出の手続とも適正でございまして、さらに宿泊ホテルに関しましては経費低減に努めるということはもとよりといたしまして、それ以外にもセキュリティーの確保、要人との会談等に必要な格式と設備が求められるということなども考慮して選定をしているところでございます。

〇七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

〇議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(和田宗春君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時二十三分散会

ページ先頭に戻る