平成二十二年東京都議会会議録第十七号

○議長(和田宗春君) 六番野田かずさ君。
   〔六番野田かずさ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○六番(野田かずさ君) 初めに、首都東京の危機管理について質問いたします。
 昨今の国政を見ますと、我が国は周辺諸国による極めて重大な脅威にさらされ、政府は、これら圧力、恫喝に屈し、我が国の危機管理体制の脆弱さを露呈し、日本国民のみならずアジアの中でも、平和を希求する人々に大きな不安と失望を与えております。
 中国は、我が国の領土である尖閣諸島を脅かし、我が国最南端の東京都沖ノ鳥島の、その島としての存在を否定し、ついには沖縄県すら日本の領土ではないと主張を始め、その領土拡張の野心を露骨にひけらかしております。
 また、ロシアは、依然として我が国の北方領土を不法占拠し、先月には、大統領が旧ソ連時代を含めて初めて国家指導者として国後島に上陸しました。これは、北方領土に対しての実効支配を強く誇示し、領土返還拒絶の見せしめでありましょう。
 そして北朝鮮は、十一月十二日に核兵器製造をほのめかすウラン濃縮施設を公開し、十一月二十三日には韓国延坪島への砲撃を行い、朝鮮戦争以来となる民間人への攻撃を行いました。いまだに危険な軍事独裁国家であることが世界じゅうに明らかにされたわけであります。
 今日、我が国は極めて深刻な危機的状況にさらされております。我々の子どもの代、孫の代には、一体日本はどのようになってしまうのか、このまま手を打たなければ日本は消滅してしまうのではないかとの危機感を強く感じるのであります。
 石原知事は、就任以来、東京から日本を変えるをスローガンに、さまざまな先駆的な施策を打ち出し、国をリードしてこられました。知事は、これまで危機管理を重視し、防災訓練では、自衛隊や米軍と協力関係を築くなど、都民、国民の生命と財産を守る姿勢を貫いてこられました。
 アジア大都市ネットワーク21では、毎年アジアの専門家が集まって危機管理会議を開催し、災害発生時の相互支援体制を築くなど、危機に対してあらゆる手だてで対処する取り組みを進められております。まさに、政治が持つべき都民、国民の安全を断固守ろうとする力強い意志を感じます。
 一千三百万都民が生活し、日本の頭脳と心臓である首都東京の危機管理を預かる知事に、国政の現状についての所見と危機管理への覚悟を伺います。
 次に、日本の将来を担う子どもたちへの教育について質問いたします。
 ことしは、明治二十三年に教育勅語が発布されてちょうど百二十年の記念すべき節目に当たります。また、あわせて議会開設百二十周年でもありますが、この節目の年に参議院議場において、秋篠宮殿下ご夫妻に対し、早く座れよなどとやじを飛ばした国会議員がいたことは、まことに遺憾であり、我が国の政治家の品格が疑われるものであります。
 教育勅語を改めて読み直しますと、そこには、日本人のしんとなる価値が存在しております。しかしながら、戦後教育の中で、そういった価値が失われるとともに、我が国では、いわゆる自虐史観が幅をきかせ、世界情勢を偏った物の見方で見ているとしか思えないような主張、行動が繰り返されてきました。
 現政権は、日韓併合百年ということで謝罪の談話を発表し、多くの批判、非難を浴びました。過去にも、時の政権によって謝罪談話や謝罪外交が行われておりますが、それが国際社会の好意を得ているなどと思うのは大間違いであり、現に、尖閣諸島の問題でも中国に足元を見られ、日本の固有の領土である歴史を一方的にゆがめられたばかりか、謝罪と賠償を求められました。
 厳しい現実の中で、このままでは、日本人は単なる笑い物でしかありません。政治家自身が正しい歴史を知らない恐ろしい現状であり、次世代にこれを繰り返してはなりません。最近の国政を見るにつけ、日本人としてのしんをしっかり持っていなくては、国際社会でいいようにやられてしまうということを痛切に感じます。
 石原知事は、都立高校において、江戸からの日本の近代化の歴史を必修化することに取り組んでおられますが、今後、将来を担う子どもたちに対して、日本の近代化の過程で、先人が厳しい現実の中、他国と渡り合い道を切り開いてきた歴史をしっかりと教えることが重要であると思います。
 さらに、日本人としてのしんをつくっていくのは、歴史教育だけではなく、日本人として継承されるべき価値を確実に伝えていかなくてはなりません。ことし七月に東京都で発覚し次々と明らかになった高齢者不在問題などは、家族あるいは親子関係の分裂を意味するものであり、年金不正受給の問題と相まって、日本人の倫理観や正義感といった価値の崩壊を象徴する一つの事件であったと思います。
 かつての日本は修身として、父母を大切にし、夫婦、兄弟で助け合い、世のために尽くせと繰り返し教えてきました。こうした教育は、日本の将来を担う子どもたちに日本人としてのしんを形づくり、厳しい現実に向き合う際の確かな価値観を育てる上で極めて重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、横田基地の軍民共用化について質問いたします。
 軍民共用化については、知事みずからが先頭に立ち、これまで取り組んできている都政の重要課題であります。横田空域については、一里塚ともなる一部返還が既に実現しましたが、いまだ広大な米軍管制空域が残っており、民間航空機の飛行にも影響を与えております。
 また、知事は、有事の際の兵たん基地として位置づけられている横田基地は、平時においては十分な余裕があり民間との共用が無理な要求であるはずがない、日本の空は日本人のものにしようではないかとよく発言をされておりますが、私もまさに同感するものであります。
 先般、私は、日台友好議員連盟の一員として、羽田空港から台北に向けた一番機に乗る機会を得ました。羽田空港の国際化の実現については、知事の尽力によるところが極めて大きいですが、実際に羽田を利用してみて、アクセス時間の大幅な短縮など、初めてその便利さを痛感したところであります。
 もし横田基地の軍民共用化が実現すれば、多摩地域を初めとする首都圏西部地域の住民にとって、航空利便性は向上することになり、航空需要や利用者が増加、周辺地域の経済活性化や雇用促進につながるなど、共用化に伴う経済効果は非常に大きいものであると考えます。共用化の早期実現に向け、今後も着実に一歩一歩進展させていくことが必要であり、その進捗を図っていく意味においても、横田基地の問題を都民や関係者にもっと認識してもらうことが重要であります。
 こうした観点から、共用化の意義を理解してもらうような啓発を積極的に行うべきであると考えますが、東京都として、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、水道水源林について質問いたします。
 最近、中国を初めとする外国資本が水資源をねらい、我が国の森林を買収しているとの報道を耳にします。このことは、国家の安全保障にもかかわる重大な問題であり、単なる不動産売買と見逃すわけにはいきません。
 幸い、多摩川上流の水源地域については、現在のところそのような報道は聞こえてきませんが、荒廃した民有林が存在しているという現実もあり、真剣に森林を守ることを考えなければなりません。このような状況を的確にとらえ、水源地域を将来にわたり、いかにして良好な状態に維持保全していくかが、今、我々の世代に課せられた課題といえます。
 こうした中、水道局は、我が党からの提案を受け、荒廃した民有林対策に乗り出しました。この取り組みは、水資源をねらう中国資本、外国資本対策にも通じるものと考えます。まず、水道局として、将来にわたり東京都の貴重な水源地域を守り続けるための基本的な認識について伺います。
 多摩川のみならず、利根川、荒川などの水源についても、流域県と連携をとりながら、外国資本についての情報収集や防止策に取り組まれますよう要望いたします。
 新たな取り組みである民有林のモデル購入では、本年度の公募に対して、多くの問い合わせに加え複数の申し込みがあったと聞いており、関心の高さがうかがえます。しかし、申請に当たっては、山林の所有権移転に伴い必要となる書類が多く、所有者の負担が大きいと聞いております。こうした課題を解決し、事業が少しでも早く着実に推進されることを期待しております。
 そこで、申請に当たっての水道局の積極的なサポートと、早期本格実施に向けた取り組みについて見解を伺います。
 次に、多摩地域の道路整備について質問いたします。
 多摩地域は、広域的な都市間のネットワークを強める自立と連携の都市づくりを進め、首都圏の中核となることが期待されており、そのためには、一層の道路整備が必要であります。
 しかしながら、多摩地域の都市計画道路の整備率は、いまだ五割を超えた程度であり、まだまだ道路整備が不可欠な状況です。そこでまず、多摩地域、特に私の地元である北多摩地域における道路整備の取り組みについて見解を伺います。
 次に、多摩地域の歩道の整備について伺います。
 都市間のネットワークを強める道路整備も重要でありますが、あわせて安全で快適な歩道の整備も極めて重要と考えております。
 都では、これまでも計画的に歩道を整備してきたところですが、区部に比べておくれている感があり、現に歩道の幅員が狭く、ベビーカーや車いすがすれ違えない箇所や歩道のない箇所が残されています。多摩地域において、子どもや高齢者などが安心して歩ける歩道を整備すべきと考えますが、都の基本的な考え方を伺います。
 また、私の地元である東村山市内の都道二二六号東村山清瀬線、通称恩多街道の恩多町五丁目付近では、いまだ歩道のない状況であり、東村山市からも私のところへ歩道整備の要望が出されております。私どもがかねてより早期実現を要望しております、この未整備箇所における今後の歩道整備の取り組みについて、あわせて伺います。
 次に、道路整備における用地取得について伺います。
 道路事業推進のためには、まず土地取得が必要であります。現在の道路整備における用地取得の課題と、その解決に向けた取り組みについて伺います。
 また、公正な補償をもって土地を取得できる仕組みとして、収用制度があります。収用委員会においては、この収用制度の理解に向けどのような取り組みをしているのか伺い、以上で私の質問を終了いたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野田かずさ議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、危機管理についてでありますが、危機、クライシスという言葉は、多分ラテン語が原点だと思いますけれども、物事が突然に一変するという――ギリシャ語ですか、来ているようでありまして、地震にしろテロにせよ、これは突然あらわれてくるものでありまして、私も例の九・一一のときにたまたまワシントンにおりまして、前日訪れて国防長官と話したペンタゴンが、起きてみたら目の前で炎上していて愕然としました。
 いずれにせよ、事前に、想像力を超えて物事が起こる、それに対する対処を可能な限り知恵を尽くし、力を尽くし、被害の軽減を図らなきゃならないと思います。このような考えに立って、これまで東京の危機管理に取り組んできました。治安の確保、維持に全力を挙げるほか、ビッグレスキューやテロ対策訓練の実施、東京DMATの発足など、危機発生時を具体的に想定した取り組みを重ねてきました。
 一方、国は、小泉内閣のときでもありましたが、私は九・一一の体験で、FEMAが非常に有効に働いているのを見て、小泉総理にも建言して、国でもつくったらどうかといったんですが、その必要はないということで、それならばと首都圏だけで、首都圏だけのFEMA、つまり災害のときに県同士が連絡して力を出し合う、そういう組織をつくりました。
 現内閣になっても、もっと大きな問題が起こっていますが、政府がその危機に対処していないばかりか、つまり、この国そのものをどうやって守るかという戦略も戦術も気概も感じられないということに、国民は非常に危機感を感じていると思います。当たり前のことですけれども、天はみずから助くる者を助くという当然の原理に従って政治も動かなければならぬと思います。
 よく引用するんですけど、かつて有名な哲学者の田中美知太郎さんが、ある種の理念、センチメントに沿って物事を決め出したらかなうものではないと。そして、非常に皮肉にも、憲法に日本は平和を守ると書いてうたえば平和がそのまま達成されるなら、毎年日本に大きな被害をもたらす台風も、憲法で日本に来てはならないとうたえば台風は来なくなるのかと、非常に皮肉な名言を述べておられました。
 いずれにしろ、私たち、理念といいましょうか、観念といいましょうか、しかしセンチメントとしかいいようのない衝動で物事を安易に見送っては、他国の侮べつ、収奪にさらされるまま、結局この国は沈没していくんじゃないかという気がいたします。国には統治の基本というのが何かということをきちっと考えてもらいたいと思います。ということでしょうかね。
 三木武夫という愚かな政治家がいい出した武器の輸出三原則なるものを、今度は、非輸出三原則なるもの、ようやく現政府が変えるんで、少しはまともになったかなと思ったら、わけのわからぬ社会党なるものと、社民党ですか、手を結ぶためにこれをまた引っ込めるという、実にこそくな、政権維持のための場当たりな施策で、実は本質的日本の危機というものを、要するに増幅しているという感じが否めません。
 次いで、日本の将来を担う子どもたちの教育についてでありますが、かつての日本には、節度、謙虚、潔さ、あるいは自己犠牲、責任感、真の勇気、あるいは人間同士の連帯といった世界に誇り得る美徳がありました。明治時代にやってきた外国人が、この国は貧しくもあるけど、しかし貧困はない、何と高貴な民族だろうかという、そういう記述をあちこちに残しておりますが、どうもそれが必ずしも継続されずに、大きく狂ってきたという感じが否めません。
 太平洋戦争で敗戦の後に、アメリカさんのために、アメリカからあてがいぶちでいただいた平和の中で培われてきた日本人の新しい価値観というんでしょうか、これはいささか他の健全な先進国とは違うものがあるような気がします。
 ちなみに、アメリカはあくまでも平和、いや自由。フランスは自由と平等と博愛。これに比べて日本は何があるかというと、我欲でしかないですね。我欲も金銭欲、物欲、性欲。ある人がうまいこといいましたが、それをさらにパラフレーズすると、日本人にとっての今のアイデンティティーは温泉とグルメとお笑いでしかないというけれども、実にその実感が強くいたします。
 やはり私たちが立場、物の考え方を変えて継承していかなくちゃいけない、人間としての価値の基軸そのものが要するに失われつつという感じは否めないと思います。
 アメリカでは、仄聞しますと、小学校一年生に上がりますと、先生が必ず同じことをいうそうです。それは三つでして、一つは、先生のいうこととお父さん、お母さんのいうことが違っていたら、あくまでもお父さん、お母さんのいうとおりにしなさい。もう一つは、みんなで決めたことは、自分は少し嫌でも、みんなと同じようにやろうと。もう一つは、まちでお巡りさんが困っていたら、子どもなりにも手助けをしようということだそうです。
 かつて教育勅語という日本の価値観の規範がありました。今さらそれをあの言葉で復活するのはこっけいでありますが、しかし、やはり小学校とかそういう幼い教育の場から一種の刷り込みとして、少し重たい言葉でも、理解ということじゃなしに暗唱して、人間の規律、規範というものを子どもたちにとにかく刷り込んでいく、プリントしていくことが私は必要だと思います。
 いずれにしろ、私たちはここら辺で本気で子どもに対する教育の政策を考え直しませんと、単に子ども手当をばらまくだけでは、私は、子どもはろくに育ってこないし、健全な社会にはなり得ないという気がいたします。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔知事本局長秋山俊行君登壇〕

○知事本局長(秋山俊行君) 横田基地軍民共用化の啓発についてのご質問にお答えをいたします。
 多摩の振興はもとより、将来の国力の充実に資する軍民共用化を推進するためには、日米協議の促進に向けた具体的な議論を通じて、都民の皆様を初め、日米の関係者の理解を深めていくことは重要であるというふうに認識をしております。
 その取り組みの一つといたしまして、今月十七日に日米の有識者を招き、横田基地軍民共用化推進セミナーを開催いたします。このセミナーでは、軍民共用化に関する検討委員会の杉山委員長を初め、在日米軍司令官を務めた米国の専門家などが軍民共用化の早期実現に向けた課題や今後の展開について具体的に議論し、その内容を国内外に広く発信することで、世論のさらなる喚起を図るとともに、米国に改めてメッセージを伝える機会にしたいというふうに考えております。
 今後とも、日米協議を促進させるため、日米両政府に粘り強く働きかけるとともに、地元五市一町を初め、広く都民や関係機関に向けて積極的に啓発を図り、軍民共用化に対する一層の理解を得ていくよう努めてまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、水源地域を保全するための基本的な認識についてでございますが、将来にわたり水源地域を良好な状態に保ち、小河内貯水池を守り続けることは、水道事業の根幹ととらえております。
 このため、明治時代からおおむね十年を計画期間とする水道水源林の管理計画等を十次にわたって策定するなど、百年以上もの間、局の保有する水道水源林を適切に管理してきました。
 一方、長期にわたる林業不振の影響などにより、水源地域では荒廃の進んだ民有林が増加しております。こうした状況を受け、水道局では、平成十四年度に多摩川水源森林隊を設立し、ボランティアと一体となって一部の民有林の保全活動を行っております。
 しかし、長期的な視点に立てば、山林所有者が手放す意向を持つ荒廃した民有林は、水道局みずからが所有し、水道水源林として再生していくことが、安全でおいしい水の安定供給に資するものと考えております。
 次に、申請に当たっての局のサポートと早期本格実施に向けた取り組みについてでございますが、小河内貯水池上流域の荒廃が進んだ民有林対策として、本年度から民有林購入モデル事業に着手しました。本年度は、六月末から九月末までの公募に対して、本事業に関心を持つ山林所有者から三十件程度の問い合わせがあり、うち五件について申し込みがありました。
 これまでの対応結果から、申し込みに当たり、山林所有者が公的書類の取得や隣接地所有者の把握等に多くの時間と労力を費やしているなどの課題が明らかになりました。
 このため、これまでに山林所有者から寄せられた質問とそれに対する回答をホームページ等で公表することに加え、山林ごとの個別の事情に対応するための相談窓口を設置し、例えば隣接地所有者の把握に関する助言を行うなど、さらなるサポート体制の充実を図ってまいります。こうした取り組みにより課題の解決を図り、モデル事業期間をできる限り短縮し、早期の本格実施に向けて検討を進めてまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域における道路整備の取り組みについてでございますが、多摩地域においては、交通の円滑化や都市間連携の強化を図る上で、効率的、効果的な幹線道路ネットワークの形成が重要でございます。
 このため、都は、多摩南北主要五路線を初めとする骨格幹線道路や多摩川中流部橋梁の整備、連続立体交差事業などを重点的に実施しております。
 このうち北多摩地域においては、南北主要五路線の一つである府中所沢線のうち七・六キロメートルについて、また、東西主要四路線である新青梅街道の立川東大和線から西側区間六・七キロメートルについて、それぞれ事業の推進や新たに事業着手するなど、渋滞緩和に極めて効果の高い骨格幹線道路の整備を着実に進めてまいります。
 さらに、まちづくりにも寄与する西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差の事業化に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、多摩地域における歩道の整備についてでございますが、歩道は、安全で快適な歩行空間の確保はもとより、ガス、水道などのライフラインの収容空間など多様な機能を有しており、その整備は極めて重要であります。
 多摩地域では、都道における歩道の整備率がいまだ約七割であり、その整備に当たっては、重点的、効率的な取り組みが求められております。このため、自動車交通量や歩行者通行量、学校、病院など公共施設の立地条件等を総合的に勘案し、事業箇所を選定し、計画的に歩道整備を進めております。
 お尋ねの東村山市内の都道二二六号東村山清瀬線については、全生園前交差点から野火止小入り口交差点付近までの約一・四キロメートルの区間で、順次、歩道整備を進めており、残る恩多町五丁目付近の四百二十メートルにおいても早期の事業着手に向けて測量、設計を行ってまいります。
 今後とも地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、だれもが安心して歩ける歩道の整備を積極的に推進してまいります。
 最後に、道路整備における用地取得の課題とその解決に向けた取り組みについてでございますが、東京では住宅や店舗が密集しているとともに、用途地域により移転先が制限される工場や、関係権利者が多数のマンションが立地しているなど、大都市ならではの特性が存在いたします。
 加えて、多摩地域に多く見られる納税猶予農地や生産緑地では、用地取得に協力することにより過去にさかのぼって相続税の納税が必要となるなど、税制上、多大な負担を生じる場合がございます。
 このため、事業着手に先立ち事前調査を実施し、工場などの移転候補地や多数の権利者との同時契約の方法など、検討、工夫を行うとともに、農協や農業委員会の協力のもと、代替農地へのつけかえを図るなど、さまざまな課題の早期解決に取り組んでおります。
 さらに、関係権利者の方々を対象に個別相談会を実施するとともに、個々の折衝では、生活再建への助言、助力などを行うなど、きめ細かな対応に努めております。
 今後とも、事業効果の早期発現を目指し用地取得を着実に進めるとともに、必要な財源の確保に努めながら、多摩地域の道路整備に積極的に取り組んでまいります。
   〔収用委員会事務局長藤井芳弘君登壇〕

○収用委員会事務局長(藤井芳弘君) 収用制度の理解促進に向けた取り組みについてお答えいたします。
 道路等公共事業の着実な推進のためには、状況に応じて収用制度を適切に活用いたしまして、計画的に事業用地等を確保していくことが必要でございます。また、制度を活用することで権利者の早期生活再建を可能とする効果もございます。
 このため、区市職員に対する研修や出張相談など事業者に対します制度の活用促進のための取り組みを進めますとともに、相談支援センターを開設いたしまして、広く一般の都民の方々も対象といたしました収用手続に関する相談にも応じてまいりました。
 今後とも、これらの取り組みをさらに充実いたしますとともに、本年度改定いたします収用制度活用プランやホームページなどを活用することによりまして、一層、収用制度の理解促進が図られるよう取り組んでまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、暫時休憩をいたします。
   午後五時十八分休憩