平成二十二年東京都議会会議録第十七号

   午後三時四十六分開議

○議長(和田宗春君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十九番今村るか君。
   〔七十九番今村るか君登壇〕

○七十九番(今村るか君) 今回の一般質問では、交通政策、福祉政策、そして観光政策の三項目について質問を行います。
 これからの交通政策は、目指すべき将来像があり、持続可能な、だれもが快適に交通結節点で容易に移動できる利便性の高いものでなければならないと考えます。
 高度経済成長期は、自家用車、バス、鉄道、海上輸送や航空機などをどう使い分けるべきかなどの視点が追いついていませんでした。さらに、無秩序に広がる都市構造では、集積のメリットが失われてしまいます。結果、利用者の利便性が低下し、それらを向上させるため行政のコストがかかるという悪循環になっていました。
 欧米を初めソウル市など、公共交通利用者からの視点において利便性にすぐれた都市と比較すると、東京の交通はまだ多くの課題を抱えているのではないかと考えます。
 そこで、まずは、現在協議中の地下鉄一元化の目指すべきものについて、先頭に立って取り組んでいる猪瀬副知事の見解を伺います。
 さきに述べたソウル市は、地下鉄網とバス交通網が市内に張りめぐらされ、バスは幹線、支線、循環線、地方線に分かれています。さらに、それぞれが色分けされて、外国人観光客にもわかりやすく、日本にいても地下鉄の案内図が携帯電話で簡単に日本語で見られるようになっています。さらに、料金は統一距離制になっており、バスも地下鉄も乗りかえに基本的に費用がかからず、利用者の利便性が向上しています。
 そんなソウル市も、つい十年ほど前まではこのようにはなっておりませんでした。ソウルだけでなく、交通先進市はどこも明確な目指すべき将来像を持って政策実行がされています。日本では、首都東京の鉄道など、交通網の整備について国に権限が集中しており、都が考える、あるべき姿の整備がしにくくなっているのではないでしょうか。
 しかし、国は一方で、地域交通活性化法などにより、地域の実情に応じ交通政策を推進する施策を自治体に与えています。この中で都道府県は広域自治体として取り組みを行うよう求められていますが、都の所見を伺います。
 さて、これからの交通政策には新しい技術革新なども必要です。その中の一つがITS、高度道路交通システムです。現在、VICS、ETC、バスロケーションシステムなどが実用化されています。
 二○一三年にはITS世界会議が東京で開催されますが、開催の意義について伺います。
 東京都交通局は、バスロケーションシステムで利用者の利便性向上に努めております。携帯電話で使えるナビタイムなどでも利用ができ、鉄道との乗りかえなども案内されています。今後、PTPS、公共車両優先システムやDRT、デマンド交通、バスや鉄道他社とのさまざまなサービスの相互利用など、利便性の向上に努めるよう求めます。
 そこで、東京都交通局は、利用者の利便性向上のために、今後、都営バスの新たな情報提供サービスの導入についてどのように予定されているのか伺います。
 これらのさまざまな技術を含め、先ほど述べた目指すべき目標を都庁全体で共有すれば、首都の交通は必ず世界に誇れる交通都市になれると確信しています。
 こうした中、国では新しい交通基本法の策定の準備が進められています。国は、交通基本法のポイントを三つあらわしています。
 一、移動権の保障と支援措置の充実、成熟社会にふさわしい持続可能な新しい交通体系の構築。二、交通体系、まちづくり及び乗り物、三位一体の低炭素化の推進。三、地域の活力を引き出す交通網の充実、にぎわいのあるまち並みと幹線交通網の連携。以上です。
 東京にとって大きな影響を与えることと思いますので、現時点での都のこの法律案に対する所見を伺います。
 次に、多摩地域の交通政策についてです。
 多摩地域と都内を結ぶ路線は重要な幹線として機能しています。東京都は鉄道事業者とともに、複々線化に合わせ連続立体交差事業を行っています。三多摩地域住民からはさらなる延伸も期待されています。また、立川、多摩センター、町田を結ぶ多摩都市モノレールは、南北交通の利便性向上に期待がされています。
 そこで、まず、小田急線の複々線化についての進捗と効果、今後の延伸についての都の所見を伺います。
 同時に、多摩都市モノレールも箱根ヶ崎方面や八王子方面などの計画もあり、国の運政審十八号答申に箱根ヶ崎と町田、八王子が位置づけられたままになっています。都はこうした中で、三多摩のTDM、交通需要マネジメントをすべきと考えます。
 多摩都市モノレールについては、今後、延伸のために、需要を把握しつつ検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 低炭素社会への交通シフトのために、BRTは車との比較でCO2排出量が十分の三、インフラ整備も新交通やLRTより安価にでき、地域の需要に応じて路線の変更も安価で比較的容易にできるなど、三多摩地域の交通利便性向上に適していると考えます。
 そこで、当面、モノレールの延伸の可能性が低いと考えられる中、町田ではBRTの導入を検討していますが、BRTなどで当面の需要を満たすようにすることも考えられます。都の所見を伺います。
 さらに、モノレールでつながる予定の町田、立川は、ともに国から都市・地域総合交通戦略都市に認定されています。町田ではモノレール導入路線とは別にBRTの導入、立川では立川都市圏として近隣市も含めた広域的な視点の交通まちづくりを行います。都には広域的視点から支援が期待されています。
 こうした各自治体の取り組みを都は積極的に支援すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 多摩地域の交通アクセスに大きな影響を与えると考えられるものが二つあります。
 一つは、横田基地の軍民共用化です。共用化が行われれば、この地域の交通のあり方も大きく変わらなければなりません。こうしたことを念頭にきちんとした検討を行うべきと考えますが、軍民共用化に向けた交通政策の検討について伺います。
 二つ目は、リニアです。知事は、品川駅を始発の予定で計画されているリニア新幹線が三多摩地域を通過するのをご存じでしょうか。以前、町田にある施設に来たときに、町田はこんなに遠いのかといわれたそうでありますけれども、覚えていらっしゃるでしょうか。それは、東京都はこんなにも広いのかという意味だったのではないかと想像いたしますが、三多摩にリニアという超高速機関と航空機、空港のような機能ができ、交通結節点が重ならないまでも近づけられれば、東京の交通力、三多摩の交通力は飛躍的に向上します。
 こうしたことから、JR東海や国のリニア小委員会の動きなど含め、どのように東京都がとらえているのかを伺います。
 ここで改めて石原知事に、東京の総合的な交通政策、三多摩地域の交通政策も含めたグランドデザインへの思いを伺います。
 交通政策の最後に、これまで述べてきた中にある交通基本法の新しい考え方の一つ、移動権の保障について、シルバーパスを例にお聞きします。
 東京都のシルバーパス事業は多くの高齢者の方に利用していただいています。私たち都議会民主党は、シルバーパスの充実策として、平日昼間十時から十六時に高齢者の鉄道運賃を半額にするよう提案をしております。ところが、シルバーパスはIC化さえされておらず、パス保持者の利用状況などの把握ができません。利用実態を把握することで高齢者のニーズもわかり、利便性の向上にもつなげられます。また、低所得者の移動の権利保障にもなると考えます。
 そこで、改めてシルバーパスの意義、利便性向上のために利用者のニーズや要望をどのように把握しているのか伺います。
 移動権の保障で気になることに、特別支援学校においての送迎があります。
 特に三多摩地域の特別支援学校は駅からもバス停からも離れた立地にあることが多く、就学の保障は通学の保障でもあります。教育庁には、交通基本法が策定される、されないにかかわらず、しっかりと必要な保障をされるよう要望しておきます。
 次に、福祉政策について、子ども、女性、若年非正規雇用者について都の所見を伺います。
 私はこの間、改めて、児童相談所とその一時保護所、女性相談センターとその一時保護所、さらに、都と区で行っている路上生活者支援施設の自立支援センターの視察を行いました。
 命の危機にさらされる児童を虐待から守るためにはさまざまな施策の充実が必要ですが、まず何よりも、緊急に安全な場所に避難するための一時保護所がなければなりません。しかし、ここ数年、児童相談所の一時保護所の入所率は一○○%で満床状態です。私が視察した一時保護所も、三年前と比べると一部施設の更新がされていましたが、十分とはいえない広さの中で子どもたちが生活をしていました。
 そこで、幼い命を守るために、児童相談所の一時保護所の拡充を早急に行うべきと考えますが、所見を伺います。
 もともと東京都女性相談センターは売春防止法に基づく婦人相談所として設置され、配偶者暴力防止法が二○○二年施行されてからは、配偶者暴力相談支援センターとして、その保護に重要な役割を担ってきました。近年、配偶者暴力被害者がふえたことで同伴の児童の保護もふえ、一時保護所の入所率は一○○%を超えている状況が今も続いています。
 配偶者暴力被害などにより保護が必要な女性に対しても確実に保護が行える体制が不可欠と考えますが、都の対応を伺います。
 また、二○○七年の配偶者暴力防止法改正に伴い、市区町村における配偶者暴力対策基本計画の策定が努力義務とされました。しかし、都下ではいまだ七市六区しか策定されておりません。身近な市区町村と連携し、配偶者暴力対策を進めることが重要です。
 そこで、市区町村における基本計画の策定を積極的に支援していくことが必要と考えますが、都の所見を伺います。
 都議会民主党は代表質問でも雇用対策の拡充を求めましたが、先ごろ、大学生の就職内定率が五七・六%、前年同期を四・九ポイント下回り、就職内定率は一九九六年の調査開始以来、過去最低の水準との報道が厚労省、文科省からされました。
 こうした厳しい雇用環境と高どまりの失業率が続く中で、視察をした自立支援センターの話では、ここ数年、二十代、三十代の若年層がふえている傾向があるとのことでした。
 このように、非正規雇用者の若年層でもホームレスになるおそれがあることが明らかになりました。こうした方に対する支援が必要です。都の所見を伺います。
 観光産業支援に移ります。
 交通政策でも触れましたが、三多摩地域の交通はもちろん、観光にとっても大きな可能性を持つ横田基地は、周辺自治体や商工業者の皆さんが国の補助で街路樹をヤシの木にしたり、都の支援でドルの使える横田基地前の商店街の取り組みなどが行われています。
 一方、羽田の国際化に合わせ、大田区、品川区は、都の広域観光まちづくり事業で、観光マップづくりやPR活動を行っています。
 高尾山や緑だけではない三多摩の魅力を発信するためにも、都は、広域的な視点から神奈川や埼玉とも協力し、観光支援を行うべきです。
 横田基地周辺の国道一六号線は、横浜から町田、八王子を通り埼玉方面へと向かっています。沿線には自動車産業、中古屋からチューニングショップなど、パリ・ダカールラリーに参戦している日野自動車や、消防自動車製造で有名な日本機械工業などもあります。車やバイク、米軍基地と、まだまだ観光としてのポテンシャルを持っていると考えます。
 例えば、これらを活用することにより観光振興が図られると思いますけれども、改めて三多摩における観光振興に対する都の所見を伺います。
 最後に、東京都の自動車税について一言申し上げます。
 ことしの夏終了した国のエコカー補助金は、十三年超の車にはスクラップインセンティブを与えて新車への乗りかえを促進させました。環境の視点と経済対策の視点それぞれがあったことは承知しておりますが、三つのRは、リデュース、リユース、リサイクルの順といわれています。
 リユースは、古いものを長く使うことも大切です。車も製造後三十年もたてば、登録台数も少なく、年間走行距離も少なく、排出されるCO2を考えれば、タクシーなど、年間二十万キロ、三十万キロも走るといわれている新車のエコカータクシーの方がCO2の排出量が多いと考えられます。
 都税である自動車税の重課がもとの標準課税に戻るのは一九四五年以前の車両で、東京都にわずか一台から二台のみです。自動車文化が進んだ海外の例などを参考にしながら再考されることを要望し、小零細の自動車産業への支援となることを求めて、一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 今村るか議員の一般質問にお答えします。
 東京の総合的な交通政策についてでありますが、鉄道や道路等の交通インフラは、都市の機能や利便性を向上させるだけではなく、経済を活性化させ国際競争力を高めるなど、首都東京を一層発展させる重要な社会資本でもあります。
 しかし、東京並びに東京周辺の交通政策を論じるときに、ごくごく基本条件についてもやっぱり考えるべきだと思います。それは前も申し上げましたが、日本という国土の中での可住面積、インハビタブルスペースと英語でいうそうですけれども、これはどういうことかというと、傾斜度十二度以下の土地であると。これは日本は非常に少ない。イギリスは日本よりも国土面積が少ないですけれども、イギリスは何と日本の八倍、ドイツに至っては十五倍、フランスは二十三倍という可住面積を持っている。
 こういう国土の中で新しい道路、新しい鉄道というものを考えるとき、私たちはそのための工事の工費というものも考えなくちゃいけませんし、とにかく、日本における交通インフラの整備をするにしては、国土の条件が恵まれていないということを熟知した上で事を論ずるべきだと思います。
 いずれにしろ、東京の鉄道は、現時点では世界に類を見ない高密度で正確、安全なネットワークを構築しておりまして、ターミナル駅の再整備により一層の機能強化を図っていきたいと思っています。
 あわせて、駅のバリアフリー化を推進し、すべての人に使いやすい鉄道を実現していきます。
 また、交通渋滞は東京の最大の弱点となっておりまして、これを解消するために三環状道路を初めとした道路整備や、連続立体交差事業を強力に進めていかなきゃなりませんが、何よりも、既存の道路計画のプラン、つまり途中まででき上がっているのに棚上げになっている外環もそうでありますけど、そういった道路を一刻も早く、まず完成させることが必要でありまして、新しいインフラというものを論じる前に、今の政府の資質にも問題があるわけですけれども、コンクリートより人間というのは非常に美しいセンチメントでありますが、しかし、つくるべきものをつくらず棚上げしておいたら、この国の、この都市の渋滞というのは進むばかりで、経済効果も非常に低減して、ろくなことにならない。
 それを私たちは考えた上で、何も東京だけのためじゃなしに、国家のために、既存の計画、しかも途中までできているものを一刻も早く完成する、その努力は肝要だと思います。
 さらに、多摩地域においては横田基地の軍民共用化を早期に実現して、首都圏全体の航空需要を満たさなくてはならぬと思いますが、これはやはり航空管制の問題一つをとって見ても、羽田に新しいDランができました。これによって非常に管制の業務は複雑化して、ある意味で危険な要素もはらむようになった。
 そのためにも、やっぱり与党、野党、とにかく一致して努力して、アメリカ相手に使っていない空港の管制空域だけでも取り戻しませんと、下手をすると羽田にそのうちとんでもない事故が起こりかねない。
 こういったものを勘案して、重層的に、東京を快適で利便性の高い都市としていく努力を、交通インフラに関しても努力を遂げていきたいと思っております。
 他の質問については副知事、技監及び関係局長から答弁します。
   〔副知事猪瀬直樹君登壇〕

○副知事(猪瀬直樹君) 地下鉄一元化の目指すものについてですが、ことし四月以降、八百六十六万人も都営地下鉄と東京メトロを使っているわけですけれども、この四月以降、都民や、まさに利用者の目線で一元化に向けた具体的な取り組みを進展させてきました。
 六月二十九日に開催された東京メトロの株主総会において、二元的な運営が利用者に不便を強いている事例として、浅草駅や日本橋駅の東京メトロと都営地下鉄を結ぶ通路にシャッターがあるんですが、それが始発時に閉じている問題を指摘しました。
 都営浅草線の浅草駅で朝一番電車があるんですが、銀座線から来るお客さんがメトロのシャッターが閉まっているので乗りかえられない。あるいは、日本橋駅で東西線から都営線に乗りかえようとするんですが、やはりメトロのシャッターが閉まっている。もう十五分、あければ乗りかえられる。こういう問題を株主総会で指摘したわけです。そういうことを指摘されても、経営者はそういう事実があることを知らなかった。それはあと一カ月後、七月にシャッターはあくようになりましたが、こういう形で、東京都は四六・六%の株主ですから、きちっというべきことはいっていかなければいけない。
 バリアフリー率という言葉があるんですが、車いすの方がエレベーターとかエスカレーターで移動できるようにしなければいけないわけですが、都営地下鉄の場合は八一%バリアフリー率があるんですが、東京メトロは六六%で、かなり低い。にもかかわらず、高層ビルをつくったりアパートを経営したりしている。そういうお金があったら、きちんとお客さんに還元しなければいけないと。
 こういうことを申し上げなければいけないわけであって、したがって、国と東京都と、そして東京メトロにも加わっていただいて、地下鉄一元化を議論する場を設置するように提起しました。
 八月から地下鉄一元化についての協議会が、国土交通省、財務省、それから東京都は副知事と技監と交通局長、それから東京メトロは社長に出ていただいて、そこで議論を重ねるということで三回やりました。まだやりますけれどもね。東京の地下鉄のいろんな課題、改善策について考えなければいけないので――ただ、その協議会に出るだけじゃなくて、東京都側にも、会計や経営の専門家や都市交通政策の専門家、そういう方々に集まっていただいて、有識者会議を開いて、これは東京の地下鉄を考える懇談会という名前なんですが、九月以降、そこで話し合ったことを国との協議会に提起していく。こういうことをやっているわけです。
 今後とも、こうした取り組みをを通じて、利用者の利便性の向上を図って、世界に誇る地下鉄ネットワークにふさわしい姿、我々利用者の最も利便性を図ったもの、地下鉄として、乗りかえの苦労とか、あるいは料金体系が違っていろいろつまずくとか、そういうことで観光客も困るんですが、シームレスな地下鉄にしたい。そうなっていければいいなということで、国に対してもっと強い形でこれからも提起していきたいと思っております。
 都議会民主党の皆さんも、政権が民主党政権なんで、ぜひご協力ください。よろしくどうも。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 交通政策に関する八点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域公共交通活性化法についてでございますが、この法律は、地域の公共交通への多様なニーズにこたえるため、主体的に創意工夫して取り組む地域を総合的に支援し、地域公共交通の活性化や再生を図ることを目的とするものでございます。
 地元自治体はこの法律に基づき、地域公共交通活性化協議会を設置し、国は財政面も含めて、その取り組みを総合的に支援することとなっております。
 現在、都内におきましては、一区四市一村がそれぞれ協議会を設置し、コミュニティバス等の導入にかかわる計画の策定等に取り組んでおり、都も協議会に参加するなど広域的、専門的な立場から助言を行っております。都としては、今後とも地元自治体の取り組みに対して必要な技術的支援を行ってまいります。
 次に、いわゆる交通基本法案についてでございますが、この法案は、移動権の保障による活力のある社会の実現や、地域公共交通の維持、再生、活性化、環境負荷の少ない交通体系の実現等を目的とするものと聞いております。
 国におきましては、この法案の立案に当たり、有識者の意見を求めるため、先月より交通政策審議会に設置した交通基本法案検討小委員会で議論を行っております。都としては、こうした国の動向を見きわめながら適切に対応してまいります。
 次に、小田急線の複々線化についてでございますが、現在、東北沢駅から梅ヶ丘駅間におきまして、連続立体交差事業にあわせて複々線化事業が進められております。この区間の整備により、代々木上原駅から登戸駅の手前までの複々線化が完成いたします。
 登戸駅から新百合ヶ丘駅間は、運輸政策審議会答申第十八号において、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線に位置づけられており、このうち登戸駅から向ヶ丘遊園駅間につきましては、上り二線、下り一線の三線化まで現在完成しております。
 新百合ヶ丘駅より先の町田駅方面につきましては、運輸政策審議会答申には位置づけられておりません。
 今後の小田急線の複々線化は、輸送動向等を踏まえながら鉄道事業者が検討していくものと考えております。
 なお、小田急線の複々線化の効果についてでございますが、現在事業中の東北沢駅から梅ヶ丘駅間の複々線化が完成することにより、朝のラッシュ時間帯における向ヶ丘遊園駅から新宿駅間の所要時間が最大で十二分短縮されます。
 また、小田急線の最混雑区間における混雑率が現在の一八七%から一六○%台にまで緩和される見込みでございます。このような効果は町田市を含む沿線全体の利用者に広く及ぶものと考えております。
 次に、多摩都市モノレールの延伸についてでございますが、現在、多摩都市モノレールは上北台から多摩センター間、十六キロの区間で営業しております。
 また、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、箱根ヶ崎方面が平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として、また、町田及び八王子方面が今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。
 多摩都市モノレール株式会社は、平成二十年度、沿線自治体や都による財政支援を含む経営健全化対策を講じたばかりでございまして、まだ多くの長期債務を抱えるとともに、開業十年を経過し、更新投資の増加が今後見込まれることなどから、まずは営業区間の経営安定化を図ることが最重要であると考えております。
 今後、延伸の検討に当たっては、お話のあった需要動向はもとより、事業採算性、投資効果など、さまざまな角度からそのあり方を十分に検討することが必要であると考えております。
 次に、BRTについてでございますが、バス高速輸送システム、いわゆるBRTは、連節バスなどを活用した都市交通システムでございまして、地域交通を担う公共交通機関であることから、基本的には地元自治体が主体的に取り組むべきものと考えております。
 BRTの導入に当たっては、導入空間の確保や自動車交通に与える影響、事業採算性などさまざまな課題がございますが、町田市では既存道路の活用やバス優先レーンの導入などにより、BRTの計画を段階的に進めることとしております。
 このような地元市の主体的な取り組みに対しましては、都は必要な技術的支援や情報提供などを行ってまいります。
 次に、都市・地域総合交通戦略が認定された市への支援についてでございますが、都市・地域総合交通戦略は、地方公共団体を中心として関係機関等が相互に協力し、交通事業とまちづくりが連携した総合的かつ戦略的な交通施策の推進を図るために作成するものでございまして、国の認定を受けると、関連する施策に対し国が支援を行う仕組みとなっております。
 多摩地域では、町田市や立川市が設置した協議会に都も参画いたしまして、関係機関等と連携して戦略の作成に取り組んだ結果、本年八月には両市の戦略が国の認定を受けました。この中で、町田市ではBRTなどの導入を、立川市では立川駅の自由通路の整備などの施策を推進することが位置づけられております。
 都は、この戦略の実現に向け、引き続き市の取り組みに対し広域的な立場からの助言や技術的支援を行ってまいります。
 次に、横田基地の軍民共用化に向けた交通政策についてでございますが、横田基地は都心から約三十八キロメートルと成田空港の半分程度の距離に位置しておりまして、周辺には既に鉄道や幹線道路が整備されております。
 軍民共用化に当たっては、既存の交通インフラを生かしながら、空港までの到達時間を可能な限り短縮して、いかに利用者に便利な空港とするかが重要であると考えております。
 現在、横田基地周辺におきましては、圏央道が平成十九年に中央道まで接続されるとともに、国道一六号につきましても、ボトルネックとなっておりますJR青梅線との立体部の拡幅が進められております。
 今後もこうした横田基地へのアクセス改善にも資する事業を促進するとともに、国とも連携しながら、軍民共用化の日米協議の進捗に合わせて、必要なインフラの整備について検討してまいります。
 最後に、いわゆるリニア中央新幹線についてでございますが、リニア中央新幹線は、東京都から名古屋市付近を経由し大阪市まで超高速で結ぶもので、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画に位置づけられております。
 平成十九年にJR東海が自費で整備を行うことを表明しており、現在、交通政策審議会中央新幹線小委員会におきまして、営業、建設主体や整備計画について検討が進められております。
 都としては、高速移動手段としての機能を最大限発揮することにより、三大都市圏の連携が一層緊密化し、我が国の国際競争力の強化に寄与するものと認識しておりまして、七月の中央新幹線小委員会において、大阪までの早期開業や始発駅の位置決定に当たっては、都と十分な協議を行うこと、他の大深度地下利用との調整を図ることなど、意見を述べてまいりました。
 今後とも、国の動向を見きわめながら適切に対応してまいります。
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) ITS世界会議を開催する意義についてであります。
 東京への開催地決定に際しましては、選定委員会において、次世代ITSの方向性を示唆する社会実験が実施できること、産業界を初めとする多くの参加者を得られることなどが評価されたところであります。
 二〇一三年の世界会議は、インフラ協調による安全運転支援システムや環境に優しいITS、いわゆるグリーンITSの取り組みなど、日本の最先端の情報技術を活用したITSの成果を広く世界に発信する場として意義あるものと考えています。
 都といたしましては、会議の運営はもとより、ITS技術を活用した安全で快適な都市の姿を見せるという点においても、開催地の自治体としての責務を果たしてまいります。
   〔交通局長金子正一郎君登壇〕

○交通局長(金子正一郎君) 都営バスにおける新たな情報提供サービスの導入についてお答えいたします。
 都営バスを便利で身近な交通機関として利用していただくためには、運行に関する情報を利用者の方々に適切に提供していくことが重要であります。
 交通局では、これまでも停留所に接近表示装置の設置を進めるとともに、携帯電話及びパソコンからバスの位置情報や時刻表などの情報にアクセスできるサービスを提供してまいりました。
 今後は、交通局経営計画ステップアップ二○一○に基づき、利用者の方の携帯電話のGPS機能を使って最寄りの停留所の位置を案内するサービスや、他の都営交通との乗りかえ経路を検索できるシステムなどを導入し、さらなる利便性の向上を図ってまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、シルバーパスについてでありますが、シルバーパスは高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図ることを目的としております。現在、多くの高齢者がシルバーパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されていると認識をいたしております。
 また、利用者からのご意見、ご要望につきましては、事業実施主体であります社団法人東京バス協会などを通じて適切に把握いたしております。
 次に、児童相談所の一時保護所の拡充についてでありますが、都では、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を平成十七年度から二十一年度までの四年間で四十名増員し、百六十八名に拡大をしてまいりました。
 また、保護すべき児童が一時的に集中した際には、緊急対応用の居室での保護や児童養護施設等への保護委託を行うなど、児童の速やかな安全確保に努めております。
 今後も、仮称でございますが、子ども家庭総合センターの開設や、墨田児童相談所の移転改築にあわせ、計画的に一時保護所の定員拡充を進めてまいります。
 次に、配偶者暴力被害者等の保護についてでありますが、配偶者の暴力から逃れて保護を求める女性に対しましては、身体や生命の安全を確保するため、迅速に保護を行うことが必要でございます。
 このため、都は、女性相談センターにおいて一時保護を行うほか、被害者の状況に応じて五カ所の婦人保護施設、四カ所のシェルターへの保護委託を行うなど、被害者の保護に万全を期しております。
 今後とも、配偶者暴力被害者等の適切な受け入れ体制の確保に努めてまいります。
 最後に、住居、生活困窮者への支援についてでありますが、都はこれまで、TOKYOチャレンジネットにおいて、非正規雇用など不安定な就労形態にあり、住居、生活に困窮している方が安定した生活を送れるよう、生活、住居、就労支援を一体的に行っております。
 さらに、先月八日から、こうした方々が安心して年末を迎えられるよう、都内十七カ所の全ハローワークにNPO法人等による相談体制を整備し、国や区市等とも連携しながら、生活、住宅相談を実施いたしております。
 また、ホームレスに対しましては、都区共同事業で実施しております自立支援システムの中で、職業経験の乏しい若年層も含め、個々の状況に応じたきめ細かいカウンセリングやアセスメントを行い、早期に自立できるよう支援をいたしております。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 区市町村における配偶者暴力対策基本計画の策定支援についてでございますが、区市町村の基本計画につきましては、平成二十二年十一月末現在には策定済みの区市は十三でございますが、二十二年度中に新たに十二の区市が、二十三年度中には四つの区市が策定予定であるなど、着実に取り組みが進んでございます。
 都は区市町村に対し、配偶者暴力対策の担当課長会などのさまざまな機会をとらえ、基本計画の策定について働きかけを行うとともに、計画の策定に当たりましては、検討段階から計画に盛り込むべき事項などについて具体的な助言を行っております。
 今後とも、より多くの区市町村で基本計画が策定されるよう支援を行ってまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 多摩における観光振興についてのご質問にお答えいたします。
 観光振興のためには、それぞれの地域が特色ある観光資源を生かした取り組みを主体的に展開していくことが重要であります。都では、こうした取り組みを支援するという考え方に基づき、多摩地域の市町村、団体に対して、地域の活性化に向けた方策などについて専門的な立場から助言を行う観光アドバイザーを派遣するとともに、観光案内標識の設置への支援などを行ってまいりました。
 今後とも、観光資源の新たな開発や活用などにより、積極的に観光振興に取り組む多摩地域の市町村、団体に対しまして支援を実施してまいります。