平成二十二年東京都議会会議録第十六号

   午後三時二十分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十一番高橋かずみ君。
   〔百十一番高橋かずみ君登壇〕

○百十一番(高橋かずみ君) 平成二十二年第四回都議会定例会に当たり、都議会自民党を代表して質問をいたします。
 政治の責任、役割は、国民の生命、財産を守り、安全で安心な生活を確保することであります。しかし、民主党政権はどうでしょうか。何よりも尖閣諸島や北方領土をめぐる対応から、国を守る意思も能力もないばかりか、国民の誇りまでも傷つけております。
 また、国家財政が危機的な状況の中、ばらまき四K、すなわち子ども手当、高校無償化、個別農家所得補償、高速道路無償化が子どもたちに多大なツケを残すことを国民は大変心配しております。
 民主党は野党時代、後期高齢者医療制度を現代のうば捨て山と批判し、廃止を主張しました。確かに現行制度は、導入の際の説明不足もあり、誤解を招き、批判も受けました。しかし、民主党が示した新制度案は、七十五歳以上の高齢者の医療費を切り離して別勘定にするなど、現行制度と本質的に何ら変わりません。
 公約との整合性を図るためだけに制度をいじることは、朝日新聞の社説で、こんな改革は要らないと酷評されたように、現場に無用の混乱や、むだを引き起こすだけであります。
 政治に求められているのは、既に社会保障給付費が九十四兆円に達し、今後も増加する現実に対し、医療、年金、介護を、税制の抜本改革や、むだ排除ともあわせて幅広く議論し、持続可能なものにすることであります。
 国政の停滞を乗り越えるには、都民、国民の期待に真にこたえる現場発の政策を石原知事とともに東京から実現するしかありません。
 都議会民主党の皆さんも、首都東京の政治家として、都民、国民のために、ともに頑張っていこうではありませんか。
 さきの所信表明で知事は、政治の責任と役割を説かれ、少子高齢施策や次代を担う若者の育成への意気込みを語るとともに、治安対策、耐震化、治水対策について新たな施策を示されました。我々も全く同感であります。
 そして、平成二十三年度予算は、混迷する日本に活路を示す予算でなければなりません。知事には、政治が今果たすべき責任と役割を踏まえて、どのように「十年後の東京」への実行プログラムを改定し、それを盛り込んだ予算を編成して、都民、国民の将来への不安を払拭していくのか、所見をお伺いいたします。
 景気低迷の出口が見えず、失業率も高い水準にある中、都民、国民の不安を払拭するためにも、ただ立ちすくんでいてはなりません。資源の乏しい日本が何を武器にして世界と渡り合い、社会の課題を解決し、豊かさを増していくのか、今こそ自分たちの力を見詰め直すことが必要であります。
 知事は常々、技術の重要性を説かれ、「十年後の東京」でも各分野で先端技術の活用を示されました。我々も、ベンチャー技術大賞を見るにつけ、日本はまだまだやれるとの思いを強くしております。
 環境、医療、上下水道など、東京という大都市が培ってきた技術の力を最大限に活用するならば、日本の活路は開かれると思います。技術をてこにした日本再生について、知事の所見を伺います。
 都は、東京という現場を踏まえて、日本の未来を切り開く気概で政策を推進すべきであります。一方、国の動向も懸念されます。
 都は先般、さきの定例会での我が党の主張を踏まえ、リーフレットを発表し、地方財政をめぐる国の動きに問題提起を行いました。内容は、地方の真の自立に向けた建設的な議論を発信するもので、まさに時宜を得たものであります。
 これらの取り組みを通じ、法人事業税の暫定措置の即時撤廃はもちろん、国の施策により都の財源が不合理に奪われないよう、さらには地方税財源の拡充の早期実現を、都と議会が一体となり国に強く主張していくべきであります。
 こうした中、現在、来年度の予算編成作業が進行しています。来年度予算は、税収の大きな好転が期待できませんが、めり張りをつけ、必要な事業は積極的に進めるものでなければなりません。それには、東京が持つポテンシャルを実質的に高め、都民が将来にわたり安心を実感できる施策を構築し、こうした事業に財源を重点的に投入することが重要であります。
 一方で、中長期的な視点に立ち、将来にわたり都政の役割を果たすべく、いわば筋肉質な都財政を維持することも重要であります。多くの重要課題に対し、都はこの二年、大幅な税収減の中でも基金や都債の発行余力を適切に活用し、必要な事業を着実に実施しました。しかし、こうした対応力も限度があり、あるだけ使うような財政運営はあり得ません。
 こうしたことを踏まえ、今後も厳しい財政環境が続く中、財政の健全性を維持しつつ、東京の将来を見据えた施策を着実に進めていくという観点から来年度予算を編成する必要があると考えますが、都の所見を伺います。
 次に、監理団体についてお伺いいたします。
 我が党は、監理団体が都政の一翼を担う重要なパートナーであるとの認識のもと、これまで議会での議論を深め、昨年六月には党のPT報告書として提言を取りまとめました。その中で、監理団体は、公益性を最優先する行政と経済効率性を最優先する民間の間に立つ一・五セクターであり、双方の力を発揮し、都民福祉の向上に寄与していくべきであることを提言いたしました。
 加えて、行政サービスの提供と効率性の確保が求められる公の施設の管理運営については、都の政策との連動性の高い施設を都と一体となって担っていくことで、都民サービスをより安定的に提供することが可能となると主張してきたところであります。
 本定例会に提出された指定管理者の指定議案は、こうした我が党の主張が政策へと反映され、評価できる内容となっております。
 そもそも都は、これまで多くの現場をアウトソーシングしてきましたが、安定的で質の高い行政サービスを都民に提供していくためには、監理団体を都政の重要な現場として活用し、技術、ノウハウの継承や人材育成を進めていくことが必要であります。
 監理団体に求められることは、情報公開など経営の透明性確保は当然でありますが、最も重要なのは、都のコントロール責任のもと、不断の改革を進める中で、行政支援、補完機能を発揮させていくことであり、この点が国の外郭団体と大きく異なるところであります。
 そこで、今回の指定管理者選定も含め、これからの監理団体の活用について、知事の所見をお伺いいたします。
 知事が所信表明で述べたように、都民の安全・安心の確保は何よりも優先する課題であります。そこでまず、東京の治安対策についてお伺いいたします。
 警視庁では現在、暴力団排除条例を検討しており、先般、条例の骨子案に対する都民からの意見募集がありました。
 全国の暴力団勢力は減少傾向にあるものの、都内においては逆に増加しており、東京に利権を求める暴力団が集まってきていると聞いております。既に福岡県を初め他府県においては暴力団排除条例が制定されておりますが、経済の中心地である東京が他県よりもおくれをとるようなこととなれば、東京への暴力団の進出が一層加速することが懸念されます。
 こうした情勢にかんがみ、現在の暴力団情勢及び今後の暴力団対策のあり方について、警視総監の所見を伺います。
 また、条例の骨子案によれば、事業者が暴力団等に対し、暴力団の威力を利用する目的、または暴力団の活動を助長、運営に協力する目的で利益を供与することを禁止するとあります。
 確かに、暴力団といわば持ちつ持たれつで、その威力を利用し、経済活動を不当に有利に進めている事業者もおります。暴力団の資金源を断ち、健全な経済活動を促進するとの観点に立てば、この考え方には賛成でありますが、実際には、暴力団とは知りながら報復を恐れ仕方なく取引を続けたり、そもそも暴力団と知らずに交際している事業者が多数を占めると思われます。こうした一般の事業者に対して何らかの制裁をかけることは厳し過ぎるのではないかと感じるのも事実であります。
 事業者の暴力団に対する利益供与に係る規制のあり方について、所見を伺います。
 次に、犯罪被害者等への支援についてお伺いいたします。
 都は先月、東京都犯罪被害者等支援計画の素案を公表しました。警視庁の発表による都内の刑法犯の認知件数は平成十四年をピークに減少傾向にありますが、依然、年間二十万件を超え、全国最多であり、都民のだれもが犯罪被害者となる可能性は否定できません。だれもが安心して暮らせる社会を実現するためには、犯罪を予防することはもちろんのことでありますが、犯罪被害者やそのご家族が一日も早く平穏な生活に戻ることができるよう支援していくことが重要であります。
 都は今後、どのように支援に取り組んでいくのか、伺います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いいたします。
 平成七年の阪神・淡路大震災では、建物の倒壊により幹線道路が寸断されたことで、救急車や消防車が目的地に到着できず、救急活動のおくれから被害が拡大しました。
 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、その建物を利用する人々の命を守るだけではなく、広範囲な都民の安全や首都東京の機能の確保にかかわる重要な課題であります。
 先般、都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた新たな規制誘導策に関する基本的な考え方を公表いたしました。この中で、現行法令では耐震化は建物所有者の意思にゆだねられていることから、取り組みの進展には限界があり、こうした状況を打開するためには、条例化も視野に入れた耐震診断の義務化等が必要であるとしています。
 我が党は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、一刻も早く思い切った施策を講じるべきと主張してまいりました。知事はこれにこたえ、今議会の冒頭で条例化に取り組むことを表明されましたが、現在、都が考えている施策のねらいについて伺います。
 緊急輸送道路の沿道には、民間のオフィスビルやマンションが数多く存在しております。耐震診断の義務づけ導入に当たっては、建物所有者に対する相談体制の整備や情報提供の充実が重要であります。また、診断費用も相当額になることから、費用負担の軽減を初めとする支援策の充実強化が不可欠であります。沿道の建物所有者の理解と協力を得るためにも、支援策を充実していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 近年、東京において局地的な集中豪雨が頻発しております。また、市街化の進展、人口や資産の集積、地下鉄や地下街など土地利用の高度化等により、浸水リスクが増大しております。本年七月には石神井川があふれ、約四百六十世帯に及ぶ浸水被害が発生いたしました。
 このような状況を踏まえ、知事は本定例会の所信表明において、浸水の危険性が高い地域への緊急豪雨対策を講じると表明しました。このことは、我が党の主張と合致するとともに、時宜を得た施策と高く評価いたします。知事はかねてより、治水は政の根幹と発言されており、中でも河川事業は治水対策のかなめとなる重要な施策であります。
 そこで、緊急的な豪雨対策とはどのようなものなのか、とりわけ河川事業の具体的な対策についてお伺いいたします。
 河川整備とともに豪雨対策で重要なのは、東京の全域に網の目のように張りめぐらされた下水道の整備であります。政治経済の中枢であり、都市機能が高度に発達した首都東京において、汚水の処理はもとより、雨水の排除という重要な役割を下水道は担っております。
 これまでも、都市の発展に合わせ下水道幹線やポンプ所などの施設整備を進め、浸水被害の軽減を図るとともに、浸水の危険性の高い地区に重点化し、効果的に整備を進めてまいりました。しかし、さらなる都市化の進展や地下街の発達など、浸水被害のリスクが高まっております。
 今回の緊急対策においては、貯留管などの対策を増強していくとのことでありますが、下水道事業における緊急豪雨対策の具体的な内容はどのようなものか、伺います。
 次に、都営地下鉄へのホームさく設置についてお伺いいたします。
 都内ではいち早く導入した都営三田線に続き、東京メトロの丸ノ内線やJR山手線の恵比寿駅などにも設置されており、現在、大江戸線においても全駅設置に向けた準備が進んでいると聞いております。
 一方、相互直通運転を行っている路線では、鉄道各社の車両のドア位置が異なる等の課題があり、進展が見られないのが現状であります。都営地下鉄でも、新宿線や浅草線は、京王電鉄や京浜急行などの車両が乗り入れているため、ホームさくの設置にはさまざまな課題があることは承知しております。
 利用者の安全を守るためにも、交通局は、これまでの経験やノウハウを生かし、ホームさくの設置拡大に向け、次のステップに踏み出すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、青少年健全育成条例の改正についてお伺いいたします。
 本改正案は、インターネット上の有害情報の蔓延や、子どもへの強姦などを描いた漫画などを子どもでも容易に手にとることができる現状から子どもを守るため、本年第一回定例会において提案されたものであります。
 我が党は、子どもを取り巻く環境を改善することを目的とした本改正を全面的に支持しましたが、残念ながら継続審査となり、さらに、その目的を実現すべく公明党とともに提出した修正案も第二回定例会において否決されることとなりました。
 しかし、その後もインターネットに関連する子どもの被害が頻発するなど、子どもを取り巻く環境に依然として大きな問題があり、一刻も早い改善が望まれる状況にあります。
 こうした中、改めて青少年健全育成条例改正案が提出されたところでありますが、幾つかの団体から、表現の自由を侵害するといった反対の声が上がっています。
 そもそも、子どもに見せたくないとだれもが思うような漫画等を成人コーナーに区分陳列して販売することは、最高裁判決でも合憲とされており、決して表現の自由を侵害するものではありません。尊重すべきは次代を担う子どもたちの育成であります。改めてこのことを肝に銘じ、都議会として結論を出さなければなりません。
 そこで、改正案提出に当たって、知事の基本的な考え方について伺います。
 次に、中小企業対策についてお伺いいたします。
 十月末には十五年ぶりの円高水準を記録するなど、夏以降の急激な円高により、ものづくり産業を初めとする都内中小企業は、さらなる危機に直面しております。
 そもそも為替政策は、明確な国家戦略のもと、国が責任を持ってかじを取るべきものであります。こうした戦略を示し得ない現政権のもとでは、為替に対する有効な対策を期待すべくもありません。
 国の経済失政によってしわ寄せを受けるのは中小企業であります。今回の円高は、これまでと違って短期間で回復しないといわれています。このままでは、東京の産業を支える中小企業はさらに体力をすり減らし、経営を維持できなくなる企業がふえるなど、東京の産業活力の低下が懸念されます。
 こうした厳しい経済状況を踏まえ、我が党は先月二十六日、都に対して緊急要望を実施しました。知事は、かねてより日本のダイナモである東京の経済を支えているのは中小企業であるという認識のもと、これまでも中小企業の振興策を強力に推進してきました。
 しかし、円高が長引けば産業の空洞化が一層進み、日本のものづくり産業の集積が失われるおそれがあるなど、東京、そして日本の中小企業の将来が問われかねません。こうした中小企業を取り巻く現状に対する知事の見解を伺います。
 我が党の要望の内容は、中小企業に対する相談体制の強化、下請対策の拡充、資金繰り対策など、現場の声を反映させた切実なものであります。こうした現場の声を真摯に受けとめ、どのような支援策を講じるのか、具体的な取り組み内容についても伺います。
 次に、中小企業の新製品や新技術の開発から販売に至る支援のあり方についてお伺いいたします。
 都内の中小企業は、みずからの技術を高めて、すぐれた新製品を生み出していくため、日々懸命に努力しております。そうした中小企業の意欲的な活動をサポートするため、都では新技術や製品開発に向けた企業のすぐれた計画を選び、国の優遇措置を受けられるようにしたり、開発経費に助成を行うなどの対応を進めてきたと聞いております。
 都によるこうした支援は着実に成果が出ていると仄聞していますが、その一方、新製品の販売に当たってのマーケティング体制や、営業に精通した人材不足などで販売活動をしっかりと進めることができないという実情があるとも聞いております。
 また、取引の前提になる国内外の各種の規制をクリアしていることの証明や、公的機関からの性能評価の取得などの対応が十分にできない企業も多いと思います。新技術や製品によって中小企業が事業を立ち上げ、軌道に乗せるのは並大抵のことではなく、販売活動をも含めた一連のプロセスを総合的に下支えする取り組みこそ重要になるものと考えます。
 そこで、こうした新製品や技術開発に取り組む中小企業をより効果的に支援するために、どのような考え方で施策展開を図るのか伺います。
 国内市場が成熟し、縮小に向かうといわれる状況にあって、東京の中小企業は、国内ばかりでなく海外にも目を向けて販路を開拓していくことがより一層求められております。特に成長著しいアジア等の地域は、中小企業にとっても魅力的な市場だと思います。
 日本とは文化も商慣行も異なる外国で販路を開拓するためには、都の支援とあわせて、取引相手の企業を一層深く理解するとともに、企業自身のセールスポイントもしっかりと説明していくことが重要になると考えます。
 そのためには、国内外の企業がそれぞれの持つすぐれた技術や製品について理解を深めることのできる交流の機会や場を幅広く確保していくことが不可欠であります。
 都は、毎年秋に、中小企業による国内最大級の展示会である産業交流展を開催しております。先月行われた産業交流展には、八百を超える企業、団体が出展し、数多くの方々が来場するなど、企業の交流の場として揺るぎない評価が確立していると考えます。
 この産業交流展に、今年度は初めてアジア諸都市の企業を集めたアジアゾーンを設け、規模や内容の充実を図ったと聞いております。
 今後とも、都内中小企業が将来に向けて発展していけるよう、産業交流展の機会を活用し、都内企業と海外企業との交流を促進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 雇用を取り巻く環境は厳しさを増していますが、特に深刻なのは新卒者の就職状況であります。先ごろ国が発表した、ことし十月一日時点の大学卒業予定者の就職内定率は、五七・六%にとどまっております。
 政府が有効な対策を打てないまま景気が足踏み状態となっていることが新卒者向け求人の減少に拍車をかけています。このままでは学生の卒業時の就職率が過去最低となるおそれもあるといわれており、強い危機感を感じております。現下の厳しい状況の中でも活動を継続している学生の就職を実現するために、全力を挙げた取り組みが急務であります。
 都は、学生が卒業を迎える三月までの間に、さらに新卒者への就職支援を強化すべきですが、都の見解を伺います。
 次に、年末年始対策についてお伺いいたします。
 昨年、都は、国の強い要請を受け、年末年始の生活総合相談、いわゆる公設派遣村を設置いたしました。この事業は、政府の場当たり的発想で急ごしらえに実施したもので、利用者の多くが住宅手当など第二のセーフティーネット施策による支援や、就職決定に結びつくに至らず、単にベッドと食事の提供の場になってしまいました。
 結果として、利用者のうち多くの方が生活保護を申請したわけでありますが、生活保護はあくまで最後のセーフティーネットであります。いわゆるモラルハザードを防止するという観点からも、働ける人にはその意欲を喚起し、できるだけ早く就労に結びつけるような支援を、年末年始に限らず年間を通じて実施していくことが重要であると考えます。
 都は先般、より幅広い雇用機会を創出するため、民間企業等を対象に緊急雇用創出事業の公募を実施していますが、こうした現状を踏まえた迅速な対応を評価しております。昨年のいわゆる派遣村のような事態にならないよう、こうした取り組みにより生まれた雇用に一人でも多くの求職者を確実につなげていくことが重要であります。
 都は、働く意欲のある人を支援するため、民間企業等を対象にした緊急雇用創出事業とあわせ、十一月から再就職や住居確保に向け支援を強化しているとのことでありますが、具体的な取り組みについて伺います。
 次に、都市農業の振興についてお伺いいたします。
 都は、ことしの十月、都内産の食材を使用する飲食店を、とうきょう特産食材使用店として九十九店舗を登録しました。この登録店を核として、都内産の農林水産物の魅力を広く消費者に発信していくとのことであり、都市農業の振興のために大変意義のある取り組みと考えます。
 これまでも我が党は、東京の都市農業が生活に密着した重要な産業であるという観点から、都議会において、農業経営対策や都内産農産物の生産流通対策、学校給食への供給拡大など、幅広い提案を行ってきました。
 特に学校給食への供給についてでありますが、私の地元練馬区では、都市化が進む中でも、まだ農地が広がり、農家の協力のもと、区内で生産された農産物が学校給食に提供されており、子どもたちからも好評と聞いております。
 しかし、多くの区部の子どもたちは、新鮮で安全・安心な都内産農産物を学校給食で食べる機会が少ないことから、多摩地域から区部への農産物の提供が大切であると考えます。都内産農産物の区部の学校給食への供給の取り組み状況について伺います。
 次に、生産緑地の買い取りのための制度の創設についてお伺いいたします。
 東京の農地は年々減少を続けており、都市計画に定めた生産緑地でさえ、この十年間で四百ヘクタールも減少しています。相続に伴い買い取り申し出が出されても、区市が買い取ったり、他の農業者へあっせんされることは少なく、宅地開発される場合がほとんどであります。
 買い取り申し出のあった生産緑地が農地として存続できることが最善でありますが、基金の創設などにより、都や区市の買い取りを促進し、公園緑地や市民農園として整備することが望まれます。
 都は、生産緑地の買い取りを積極的に進めることができるよう、新たな制度の創設を検討する必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、水事業の国際展開についてお伺いいたします。
 衛生的な水を利用できない人口が世界で十億人近く存在していると国連は報告しております。
 我が党は、発展途上国を中心とする水問題への貢献はもとより、日本経済を活性化するためにも、水ビジネスの重要性を指摘してきました。現在、都では、東京水道サービス株式会社を活用した国際貢献ビジネスに取り組んでいます。
 こうした中で、国際展開に意欲的な民間企業も数多くなってきたと思いますが、企業が個別に活動していては、その力を十分に発揮することができません。今後は、東京水道が接着剤となり、企業連合を後押しする新たな官民連携の仕組みづくりが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、下水道事業における国際展開についてお伺いいたします。
 ことしに入ってマレーシアやサウジアラビアの大臣が相次ぎ訪問するなど、諸外国から都の下水道施設への視察が増加しているとのことであり、また、昨年度の視察や研修生の受け入れは延べ六十九カ国、二千五百人以上にも上っていると聞いています。これは、東京の先進的な下水道技術に対する海外からの大きな期待のあらわれであると思います。
 東京の下水道は、首都東京の都市機能が高度に集積し、しかも人口が稠密であるという困難な状況の中で、下水道の整備を比較的短期間でなし遂げるとともに、世界的に見ても大規模かつ膨大な下水道施設を効率的に運営しております。
 また、老朽化した下水道管を更生するためのSPR工法や、合流式下水道の改善を図る水面制御装置など、既に世界に展開している技術を有しています。
 これらの経験や技術を生かし、さらに積極的な国際展開を進め、海外の国や地域からの期待にこたえることが日本の国際社会におけるプレゼンスを高めることになると考えます。
 そこで、下水道事業における国際展開の基本的な考え方と今後の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、多摩地区の水道についてお伺いいたします。
 本定例会において事務委託廃止の関連議案が提案されていますが、これをもって二十五市町への事務委託解消の手続が完了します。長年にわたる市町での業務運営が継続したため、課題も多いことと思います。
 我が党は、本会議において再三にわたり、水道施設のレベルアップと地元事業者の活用を求めてきました。これに対し、施設整備の充実とともに、工事契約等の見直しについて段階的な見直しを行うという答弁をいただいており、今後は具体的な取り組みが求められます。
 また、水道局では、震災対策の強化に向けて取りかえ事業の倍増を計画しています。この対応も含め、地元事業者の活用について、いつ、どのような取り組みを行っていくのか、具体的に伺います。
 次に、豊洲新市場の整備についてお伺いいたします。
 知事は、築地市場を取り巻く情勢は政治の不決断を全く許していない、行政の主体者としての責任で大きく歯車を回すしかないとして、豊洲移転を進める決断をされました。
 知事の決断以降、都は即座に環境影響評価手続に着手するとともに、土壌汚染対策工事や市場施設の設計手続も開始していますが、平成二十六年度中の新市場開場を確実なものとするためには、今後、移転整備のあらゆる面において、スピード感、スケジュール感を持って、この一大事業を着実に進めていく必要があります。
 豊洲新市場の整備は、単に市場施設を建設することにとどまらず、円滑な移転に向けては、市場業者が抱える課題、心配、不安に耳を傾けると同時に、効果的な支援策を打ち出すことが重要となってきております。
 そのためには、豊洲新市場整備について、一市場の問題としてとらえるのではなく、知事が常々述べているとおり、横くしを刺して、都全体としての取り組みをさらに強化することが必要であると考えます。
 こうしたことを踏まえ、二十六年度中の豊洲新市場の開場に向けた知事の決意を改めて伺います。我が党も、豊洲新市場の整備を待ち望んでいる業界団体とともに、これまで以上に全力を挙げて本事業に取り組んでいく決意であることを改めて表明しておきます。
 次に、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
 メキシコ・カンクンで開催されているCOP16では、新たな気候変動対策の枠組みづくりについて交渉が行われていますが、包括的な国際合意をまとめることは困難な状況にあります。
 一方、国内でも、国家政府による実効性の高い排出削減に向けた取り組みは遅々として進んでおりません。こうした中では、準国家政府として自治体の役割が極めて重要であります。
 都は、八年間に及ぶ地球温暖化対策計画書制度の運営のノウハウを生かし、四月から世界初となる都市型キャップ・アンド・トレードの運用を開始しました。
 歩みの遅い国にかわり、国内の地球温暖化対策を牽引していくためには、都のこれまでの取り組みにより、大規模事業所対策が円滑に進んでいることを実例をもって示すとともに、都の制度運営上のノウハウを他の自治体に積極的に提供していくことが重要だと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、微量PCBの処理についてお伺いいたします。
 トランス等の絶縁油をリサイクルする過程で、PCB絶縁油が誤って混入されてしまい、汚染された電気機器は全国に百二十万台、都内でも十万台程度といわれています。社会問題ともなった高濃度PCB廃棄物については、国が全国五カ所に処理施設を整備しました。
 一方、微量PCBについては、これまで処理スキームが定められず、汚染が判明しても保管し続けるしかありませんでした。ようやく昨年、微量PCBを無害化できる焼却施設に対する認定制度が国により創設され、都内の民間施設でも認定の申請が本年十月に出されたとのことであります。
 微量PCBの処理工程は、PCB濃度の分析から始まり、油の抜き取り、収集運搬を経て処理となります。処理を委託する中小事業者にとっては、作業ごとに契約し、経費を支払うのでは手間もコストもかかると思い、処理をちゅうちょしてしまうと危惧されます。
 微量PCBの処理を適切かつ計画的に進めるため、都としても中小事業者の処理が円滑に進むような後押しが必要と思いますが、所見を伺います。
 次に、外かく環状道路についてお伺いいたします。
 本年十一月に国土交通省は、地元地権者の生活再建や事業促進の観点から、緊急性の高い案件の用地取得に対応するため、大泉、中央、東名の三つのジャンクション地区の道路区域を決定しました。
 これにより地元では、用地の買い取りを求める声や外環の早期整備への期待がこれまで以上に高まっており、我が党は、こうした地元の要望に迅速かつ的確にこたえるために積極的に行動してきました。
 国は、外環の重要性、地元地権者の生活再建にこたえ、その責任において整備を進めるべきであり、都においても、外環の早期完成に向け、引き続き積極的に対応すべきと考えますが、改めて今後の事業推進に向けた知事の決意を伺います。
 外環を初めとする首都圏三環状道路の整備の進捗により、周辺の地域では、高速道路へのアクセス性の向上、交通渋滞の解消、まちづくりの促進などに対する地元の期待は大きく高まっております。このような地元の期待にこたえていくためには、三環状道路とともに、周辺の幹線道路の整備を進めることにより、その整備効果を最大限に発揮していくことが重要であります。
 都では、これまでにも圏央道アクセス道路等の整備を進めてきましたが、今後、より一層、三環状道路周辺の幹線道路整備を推進していくことが必要と考えます。
 そこで、三環状道路を生かす幹線道路整備の今後の取り組みについて伺います。
 次に、首都圏におけるビジネス航空についてお伺いいたします。
 羽田空港は本年十月、新滑走路と国際線ターミナルがオープンし、国際定期便が就航する本格的な国際空港として、まさに歴史的な一歩を踏み出しました。
 一方、小型ジェット機を用いたビジネス航空は、世界で急速に利用が拡大していますが、首都圏での受け入れは極めて限定的なものにとどまっています。
 ビジネス航空は、時間価値を重んじる国際的な企業活動にとって、今や不可欠なものとなっており、米国を初め諸外国から日本への乗り入れ要望も大変強いと聞いています。今後、世界の企業のトップ層が国際的なビジネスの場として我が国を選択せず通り過ぎてしまう、いわゆる日本パッシングを回避しなければなりません。
 先日、都は、首都圏におけるビジネス航空の受け入れ体制強化に向けた取り組み方針を公表し、国への働きかけを行ったと聞いています。まさに時宜を得たものであり、ぜひこの取り組みを進めて、首都圏の空港においてビジネス航空をもっと受け入れやすくする環境整備を図る必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、八ッ場ダム事業についてお伺いいたします。
 知事は、十月に他県知事とともに八ッ場ダムの現場を訪れ、事態打開に向けて、現地の状況を確認するとともに、地元と意見交換を行いました。
 我が党からも八ッ場ダム推進議員連盟の三原会長と宇田川都議が出席しましたが、既に全体の八割方の事業が進んでいる一方で、民主党マニフェストによるダムの中止方針のため、住民が先行きに全く見通しを持てず、その窮状を訴える姿を見て、政治家としてとても見過ごせないとの報告がありました。
 その後、石原知事の発言に応じる形で国土交通大臣も現地を視察し、来年の秋までに検証結果を出すと発言しましたが、ダム本体の建設については、いまだ何ら明らかになっておりません。
 万が一、残りわずかで完成するダム事業が中止になれば、莫大な投資がむだになり、治水、利水の効果は当然発揮されません。地元住民にとっても、長年の苦労が報われる最後の段階ではしごを外されることは、まさに生存権のじゅうりんであり、暴挙といえます。
 政治がなすべきことは、八ッ場ダムを予定どおり完成させることであります。改めて八ッ場ダム建設事業の推進に向けた知事の決意を伺います。
 次に、周産期医療についてお伺いいたします。
 近年の晩婚、晩産化等を背景としたハイリスク分娩や低出生体重児の増加等により、周産期医療へのニーズはさらに高まっています。都民が安心して出産できる環境をつくるよう、我が党はこれまで周産期医療体制の充実を強く主張してきました。
 これを受けて、都は、母体救命が必要な妊産婦を必ず受け入れるスーパー総合周産期センターの創設や、妊産婦や新生児の搬送先の選定を円滑に行うための周産期搬送コーディネーターの設置に取り組んできました。
 これらの取り組みにより、都全域における搬送が円滑に行われるなど、大きな効果があらわれていることは大いに評価するものであります。しかしながら、分娩取扱施設の減少や、産科や新生児を専門に診療する医師不足等は深刻な状況にあります。
 都は今般、周産期医療体制の充実に向け、東京都周産期医療体制整備計画を策定しましたが、この計画に基づき、今後どのように体制を強化していくのか伺います。
 次に、児童虐待防止についてお伺いいたします。
 全国各地で児童の虐待事故が依然として後を絶たない中、我が党は今般、児童虐待ゼロを目指し、子育て中の親が孤立しないよう地域全体で支えていく活動を全国で展開していくこととしました。
 児童虐待の早期発見のためには、こうした地域のきずなの強化はもとより、児童相談所と区市町村が今まで以上に連携を図っていくことが急務であります。児童虐待を防止するために、今後どのように取り組んでいくのか、都の所見を伺います。
 また、昨今の児童虐待をめぐる情勢にかんがみて、児童相談所のあり方そのものについても、今後十分に検討していくよう強く要望しておきます。
 次に、地域がん登録についてお伺いいたします。
 我が国では、現在、二人に一人ががんにかかるといわれ、東京都でも年間約三万人ががんで死亡するなど、都民の健康への重大な脅威となっています。
 都のがん対策推進計画では、がんの死亡率の減少を全体目標として掲げ、その達成に向けて、検診の受診促進や高度医療の提供など、さまざまな対策が講じられています。
 がん対策推進には、データに基づく施策の有効性の評価が重要で、そのため、罹患率や生存率を把握する地域がん登録の実施が求められます。全国の人口の一割を占め、高度ながん治療を行う医療機関の多い東京都で地域がん登録が開始されれば、国全体のがん登録の精度向上に大いに資することが期待されます。
 都では、がん診療拠点病院等で院内がん登録が行われていますが、都道府県が地域内のすべてのがん患者の情報を登録する地域がん登録はこれまで実施されていません。計画では、院内がん登録を拡大した上で地域がん登録につなげていくとしており、地域がん登録を早急に実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、高齢者を地域で支える体制の整備についてお伺いいたします。
都市化や核家族化による地縁、血縁関係の希薄化が進む東京は、巨大な無縁社会といえます。このような状況下では、高齢者はますます地域内で孤立していくことが懸念されます。
 これまで都は、ワンストップの相談窓口であるシルバー交番の設置を進めるほか、ひとり暮らし高齢者の安否確認や見守りなど、区市町村が行うさまざまな事業を支援してきました。
 今後、単身や夫婦だけの高齢者世帯の増加が見込まれる中、地域における支え合いの仕組みづくりを行うことが重要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、子どもの体力向上についてお伺いいたします。
 首都東京では、約九十四万人の児童生徒が公立学校で日々勉学に励んでいます。この児童生徒一人一人が二十一世紀を力強く生き抜いていく力を備え、将来の日本を支えるたくましい人材として育っていくことは、都民共通の願いであります。しかし、現代の若者たちは草食系といわれるなど、厳しい国際社会の中で生き抜くことができるのか、不安でなりません。
 戦後六十年ぶりに改正された教育基本法では、これまでの普遍的な理念を大切にしつつ、新しい時代の教育の基本理念が明示されました。その中においても、知、徳、体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した人間の育成が掲げられています。知事もお話しされているように、子どもたちに日本人としての誇りを持たせるとともに、耐えることや脳幹を鍛えることが重要であると考えます。
 とりわけ、体力は子どもたちが成長していく上で、知力や気力の源として必要不可欠なものであり、道徳心や規範意識を根底で支え、たくましく生き抜くための基盤であると考えます。
 そこで、知事は、これからの時代を担う子どもの体力の重要性についてどのようにお考えなのか、所見を伺います。
 これまでも都教育委員会は、知、徳、体のバランスがとれた人材の育成について、さまざまな施策を積極的に推進してまいりました。
 例えば、東京都のスポーツ教育推進校に指定されたある中学校では、朝の体力づくりに取り組んだところ、小学生、保護者や高齢者の方々まで集まり、中学生の生活習慣も規則正しくなり、学力向上にもよい効果が出ていると地域で大変な評判になっております。このように、学校での取り組みが地域に広がり、小中学校で培われた人としての基礎が社会に出てからの支えになっていくことが大切であります。
 児童生徒の体力向上のためには、学校だけでなく、家庭や地域と連携を図るとともに、総合的に対策を講じていく必要があると考えますが、教育長の所見を伺います。
 次に、優秀な小学校教員の確保についてお伺いいたします。
 これまで我が党は、教員の大量退職に伴う大量採用が続く中、一定の力量のある学生を採用し、職として安定させた上で、みずからの資質を一層向上させる教員免許の更新制を初め、優秀な教員を育成していくための施策を提案し、実現してきました。
 しかし、現政権の民主党は、このシステムを全く逆転させようとする教員養成課程の六年制を昨年のマニフェストに掲げました。その後、民主党では、六年制とはいわなくなり、修士課程を前提とした四年制プラスアルファの政策提案を行っていますが、修士課程卒業生数からいって、全く現実性のない計画であることが明らかになっております。
 平成二十二年第一回定例会代表質問で、我が党の川井議員から教員の資質向上について質問したところ、教育長は、都教育委員会として、小学校教諭教職課程カリキュラムを作成し、それを各大学に提示していくと答弁され、先般、これが公表されました。
 そこで、この小学校教諭教職課程カリキュラムの内容について伺います。
 都教育委員会が全国をリードしてカリキュラムを作成したことは大いに評価したいと思います。しかし、そもそも大学の教員養成課程は、教育職員免許法に基づいて行われており、大学が課題意識を持って主体的に取り組まなければ改善は到底進むものとは思えません。今回公表されたカリキュラムの内容を実現していくためには、カリキュラムを大学に示し、大学と連携して教員を目指す学生にメッセージを送っていくことが重要だと考えます。
 そこで、今後、都教育委員会は、この小学校教諭教職課程カリキュラムをもとに、各大学に対してどのように働きかけていくのか伺います。
 次に、小中学校の冷房化についてお伺いいたします。
 学力向上のため、夏季期間にも教育活動の充実を図る区市町村もある中、ことしの異常な猛暑により、冷房設備のない教室においては、もはや子どもたちが学習に集中できる限界を超える状況となりました。
 都教育委員会の行った最新の調査結果では、都内公立小中学校の冷房化率は、区部で九六%、市町村部では二二・五%となっています。冷房未導入の多くの市町村から、その理由は財政上の問題であると聞いております。
 公立小中学校の施設は、各区市町村が地域の実情、特性等を踏まえ、計画的に整備を行ってきましたが、ことしの夏の異常な暑さのため、冷房化という新たな課題に直面することとなりました。
 公立小中学校の冷房化については、国がその導入経費の三分の一を補助する制度はあるものの、残りは設置者である各区市町村の負担となります。また、補助単価と実勢単価との乖離もあり、多額の設置者負担が生じております。
 このため、我が党は、去る十一月四日、小中学校の冷房化を進めるための財政支援策の実施について、知事に要望したところであります。子どもたちにとって学習しやすい快適な学校の環境づくりを進めていくために、都として、市町村への財政支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、高等学校授業料の無償化についてお伺いいたします。
 国は、本年度から、公立高等学校を無償化するとともに、私立高校生には就学支援金を支給することとしましたが、この制度により、公私格差はある意味でさらに広がったといわざるを得ません。
 公立に通う生徒は、授業料が無償になる一方、私立に通う生徒には授業料と支援金との差額の負担が残り、私立の生徒、保護者は、これまで以上に不公平感を感じるようになりました。公立と私立には制度上の差異があるのはやむを得ないとはいえ、こうした格差はとりわけ所得が低い世帯には深刻な問題となっております。
 このため、都は、我が党の要望にこたえて、二十二年度の国の就学支援金制度新設を踏まえ、従来から独自で行っていた特別奨学金について、所得階層ごとにめり張りをつけて、より低所得者世帯の負担感を和らげるように制度を見直しました。
 その後、国は就学支援金の所得区分等に変更を加えたと聞いていますが、厳しい経済環境が続く中、都は国の制度変更を踏まえ、保護者の負担の実情を考慮しながら、より都民生活の実態に即した力強い支援を講じていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、文化財の保存についてお伺いいたします。
 森記念財団の都市戦略研究所が毎年発表している世界の都市総合ランキングで、東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリに次いで第四位にランクされていますが、その評価の中でも文化交流は重要な要素になっています。今後とも、文化都市東京として、最先端の文化だけでなく、我が国固有の文化にも光を当て、世界に発信していく必要があります。
 中でも、東京には、大名庭園を初めとする九つの都立庭園がありますが、いずれも我が国を代表する重要な文化財であり、東京の貴重な観光資源ともなっております。都立庭園においても、かつての庭園の姿を保存、復元して、文化財としての価値をさらに高めるとともに、その価値を将来に確実に伝え、残していくことが重要と考えます。
 都は、都立庭園の保存、復元にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 最後に、スポーツ振興についてお伺いいたします。
 本年七月、国に先駆け、スポーツ行政を一元的に所管するスポーツ振興局が発足しました。スポーツ振興局では、区市町村などと密接に連携して、三年後のスポーツ祭東京二〇一三の準備はもとより、ジュニアの競技力向上や地域スポーツクラブへの支援、ウオーキングなどの都民参加型イベントの実施、さらに障害者スポーツの充実など、だれもが生涯を通じてスポーツを楽しめる社会の実現に向けた施策を総合的に推進しています。
 この取り組みは、我が党が推進してきた地域からのスポーツ振興、子どもの健全育成や高齢者の生きがいづくり等の面からも大変すばらしいことであり、大いに期待しています。
 ところで、都には、スポーツ祭東京二〇一三のメーン会場となる味の素スタジアムを初め、競技大会の会場として日常的に親しまれている施設が多くあります。都道府県では初となる、スポーツの名を冠する局が設立されたわけでありますから、組織一元化のメリットを生かして、利用者にとってのわかりやすさなど、サービス向上策を講じることができるのではないでしょうか。
 都民のさらなるスポーツ振興を推進する観点から、今後の取り組みについて、都の所見をお伺いいたします。
 以上で私の代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高橋かずみ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、政治の責任、役割についてでありますが、治安、医療、福祉、教育、環境、あるいはさらに震災対策など、あらゆる手だてを講じて、各分野で都民の生命と財産を守りながら、将来への確たる展望を示すことが政治の責任であり、役割だと思います。
 しかし、国政の現況を見ますと、これまでは官僚の独善により省益が国益に優先され、厄介なことは先送りにされ、政治の多くはその走狗に成り下がってきました。
 私が国政を、あえて決別したのもそれが理由でありますが、昨今は、政治主導のかけ声は大変勇ましいんですが、尖閣諸島をめぐるあの事件を眺めましても、政治主導どころか地方検事、次席検事に責任転嫁して、犯人を釈放するなどという荒唐無稽なことをあえて行うていたらくで、果たして政府が国土を守り、国民を守ることについて本当に厳しい認識を持っているのかと疑わざるを得ません。
 内政でも、日本をどこに導きたいのかさっぱりわからないというのが現況でありまして、最優先のはずでした地方分権も遅々としておりまして、この高齢社会に直面して、例えば年金制度なども破綻したきりでありまして、まさに混沌としたままで、財政も待ったなしの状況にありながらなお、大きなてこになるはずの消費税についての議論も一向に進んでおりません。
 場当たりで過ごしてきた自民党時代から、先送りから一向に決別できていない国政に、果たして国民が希望を負託できる政治と呼べる本物の営みがあるのかどうか非常に疑わしい感じがいたします。
 一方、都政におきましては、いろいろ立場が違いましても、やはり理事者と、かつ議会の皆さんが協力して、厳しい現場を踏まえながら、東京だからこそできる知恵と工夫においても、焦眉の問題に対して果断に対処し、国がやらない人員の整理も、あるいは給料の減給もあえて行いまして、財政を再建することができました。
 現場を踏まえた独自の具体的な政策を構えて、政策低迷や少子化を東京からこそ何とか乗り越えていきたいと思っております。首都の治安を守り、地震や集中豪雨などの自然災害に対しても十分な備えをしていきたいと思っております。
 今後、政治のあるべき姿を東京から体現し、都民、国民の不安を何とか払拭していきたいものだと思っております。
 次いで、技術の力をてこにして日本の再生をしようということでありますが、文明の進展は必ず新しい技術によってもたらされるものでありまして、技術力こそ国力そのものであります。
 現在の日本は、少子高齢化や長引く景気の後退などによりまして、国民の心がいささかなえておりますが、例えば「はやぶさ」という、あの六十億キロを回遊して、本当は四年のつもりが七年かかってようやく日本に戻ってきた。国土に戻ってきた。あの快挙を眺めますと、まだまだこの日本は世界に比類のない技術を持っておりますし、その可能性も秘めております。
 あの「はやぶさ」のチームリーダーの川口さんと先日長いこと対談させてもらいましたが、実にさわやかな人物で、ただ、彼がやっぱり一番苦労したのは、一時期、あの宇宙船が行方不明になって、返事がなくなったときに、行方不明になりましたということを正直に報告したら予算がもらえないんじゃないかという、そういうほかの外国では余りない低次元な心配も彼らはうまく乗り越えたわけでありますが、いずれにしろ、当の日本人自身がみずからの技術、ひいてはそれを生み出すみずからの能力や独自な民族的感性といいましょうか、情念といいましょうか、そういったものを正当に認識し切れていないという感じがいたします。
 これはいささか宝の持ち腐れでありまして、かつてもそういう例がありまして、近世において比類のない成熟を示した、江戸時代の成熟がもたらした浮世絵なども、西洋文明が押し寄せてきますと、非常に自分を卑下して、これを非常に安価で売り払うような、そういうばかなこともしました。
 日本人というのは、某新聞もそうでありますけれども、卑下をすることが何かインテリのエクスタシーのような、マゾヒスティックなところがありまして、私はこれは体質的に全く嫌いという、受け入れられないんですけれども、どうもその傾向があります。
 そういうことが、例えば東京の中小企業が開発している技術と国とのかかわりでも、幾ら口酸くいっても、昔の通産省、今の経産省は、これを国を代表する一つの可能性として外国に喧伝して商売をする、商品にする、これで要するに、まあとにかく国がもうけると、そういう意欲はないですね。
 いずれにしろ、ようやく日本の東京の水道技術が認識されまして、先般も日本航空の社長が来まして、羽田から正式に最初のヨーロッパへのフライトを飛ぶときに、飛行機にぜひ「東京水」を乗せさせていただきたいというんで、数百本寄贈いたしました。それやこれやは、こういった技術がやっぱり、「東京水」が表象するあの東京の水道の技術というものがようやく認められまして、今、外国でいろいろ引き合いがありますけれども、いずれにしろ、こういったものを支えている我々の同胞である無名の技術者というものの英知というものを、私たちはもっともっととにかく評価しなくちゃいかぬと思います。
 就任以来、衆議院議員のときも随分苦労しましたが、一向に報いられませんでしたので、アメリカのジャンクボンドのマーケットをまねしまして、ハイリスク・ハイリターンではありますが、CLO、CBOという社債担保証券、ローン担保証券を設けまして、これによって大体このマーケットが八千億ぐらいのマーケットになりました。
 今、延べ一万六千二百八十八社が活用しておりますが、そのうち七十四社が株式を上場いたしました。また、東京が設けておりますベンチャー技術大賞でも受賞者、受賞の企業が九十二社。これはもう全部、受賞の会社は売り上げを上げておりますが、そのうち五社が上場にこぎつけるという、そういうポテンシャルというものを東京の技術は持っているということを、やっぱり私たちはもうちょっと周知して、これを育てる努力を国と争ってでもしていかなくちゃいかぬと思っております。
 次いで、監理団体の活用についてでありますが、都の強みは、何といっても、間近に生々しい現場を持っていることでありまして、監理団体もまた、その現場の一翼を担う重要な役割を果たしていかなければなりません。
 このため、知事就任以来、国が法律で決めました外部監査の実施、これもただ実施するだけじゃなくて、対象にした案件について、一年後に果たしてそれがどこまで改良されているかという、そういうリチェックもしてもらえていまして、非常にみんな真摯にそれに従って改良が行われておりますが、どうしてこれを国がやらないんでしょうかね。国はやりませんな。民主党政権もやりませんな。
 外部監査、入れたらいいんじゃないですか。組合なんか、でたらめなことをしているんだから。日教組、見てごらんなさい。あんなもの、外部監査を入れたら、一遍にひっかかりますよ。役人の給料も下げない。議員の給料も下げない。やってもらいたいね、民主党政権に、自民党がやらなかったことを。
 現在、監理団体は……(発言する者あり)大いに結構だ、民主党もそうだという声が聞こえたから。お互い日本の政治家なんだから。現在、監理団体は、蓄積された技術、ノウハウを生かして都市づくりや産業振興、福祉医療など幅広い分野で、まさに都政運営には不可欠なパートナーとなっております。
 今回の指定管理者選定においては、こうした監理団体の役割を踏まえて、防災やまちづくりといった都の重要な政策と密接に関連する施設については、監理団体を特命で選定する見直しを行いました。
 今後とも不断の改革に取り組みつつ、監理団体を政策推進のパートナーとして一段と機能させるよう、都政のさまざまな領域で積極的に活用していきたいと思っております。
 次いで、青少年健全育成条例改正案提出に当たっての基本的な考え方についてでありますが、子どもたちを取り巻く状況を一刻も早く改善することが必要であるということは、ご指摘のとおりであります。今回の条例改正案も、さきの改正案について議会の議論を聞きまして、わかりやすく明確になるようにしたものであります。
 子どもを守ることは、私たち大人の、ひいては社会の責任でありまして、子どもを取り巻く現況の改善にこれ以上猶予の余地はないと思います。改めて、ゆえにも、条例改正を提案したものであります。
 私の体験を踏まえて申し上げますと、先般、オリンピックの問題で何度かドイツを含めての北欧に参りました。北欧というのは趣味が少ないせいか非常に性的な開放が進んでいますが、こういった性風俗に関する商品を売っている雑誌、本も含めて、あるいは映像も含めて、これはかなり日本に比べると進んでいるというか、驚くほど開放的でありますが、子どもを対象とした変質的な製品は全然ないですな。これはやっぱり、ある意味で向こうの宗教がしっかりしているから、宗教に基づいた倫理観がはっきりしているというか、私はさっきも総監に申し上げましたけど、日本とヨーロッパの対比というものを、向こうの担当者に意見を聞いて、向こうがどういう原理原則、どういう信念で子どもに関するこういう出版物、映像というものを禁止しているかということを対比的に説明することで、わけのわからぬ反対をしている、わけのわからぬやからにも説得が及ぶんじゃないかと思っております。
 次いで、中小企業を取り巻く現況についてでありますが、ことしの夏以降の急速な円高は、これまでの円高と異なりまして、通貨安競争と呼ばれる世界各国の戦略的な為替政策の所産でもありまして、今後もかなり長引くことが懸念されております。
 こうした円高が続けば、東京の活力の源泉である中小企業に極めて深刻な影響を及ぼすだけではなく、ものづくりを初めとする我が国の産業基盤を揺るがしかねません。
 国はこうした危機を正面から受けとめて、将来を見据えた為替政策に取り組むべきでありますし、それを強く求めますが、どうもこの国は、世界の流れが変質してきた、その大きな流れの質がどう変わったかということを見定めながら、それを踏まえて国の戦略を立てる、その能力が欠けていますね。
 政治家は本当にないし、役人もそれが欠けて、企業は企業なりにこれは悪戦苦闘しています。ですから、企業から見れば本当に、かつての自民党政権も含めて、今回の政権は最もですけれども、もう歯がゆくてしようがないというのがみんなの本音ですよ。
 都は、現下の事態に対応するために、既存の中小企業施策の着実な実施に加えて、金融支援や経営支援を内容とする緊急円高対策を速やかに実行することとしております。来年度予算においても、今後の景気動向を見きわめながら実効性のある対策を講じ、日本の宝ともいうべき東京の中小企業の支援に万全を尽くしてまいりたいと思っております。
 次いで、豊洲新市場の整備についてでありますけれども、築地市場は施設の老朽化がきわまりまして、市場業者の経営環境も厳しさを増しております。こうした現実を直視し、この問題の二十五年以上にわたる経緯、都民、国民生活への影響、財政面などもあわせて総合的に判断し、豊洲への移転を決断いたしました。
 今後、豊洲移転に全力を挙げ、平成二十六年度中の開場を目指してまいります。そのためには、都市計画決定手続を初め、アクセス道路などのインフラ整備や、土壌汚染対策工事、市場施設の建設を短期間のうちに計画的に実施していく必要があります。
 また、移転に向けては、経営や後継者などさまざまな問題に直面しておりまして、市場業者に対して効果的な支援を講じていくことも重要であります。
 こうしたことから、担当部局だけでなく、都の各部局が組織の垣根を超えて、これまで以上に緊密に連携し、知恵を出し合い、一丸となった取り組みを推進していきます。
 首都圏三千三百万人の食生活を支える、新たな時代の拠点市場の整備を遅滞なく着実に前へ進めていくために、都の総力を結集していきたいと思っております。
 今、政局がいろいろ混乱しつつありますが、政界は再編成されますよ。そのときに、反対、反対、反対といって挙げた手が引っ込まなくなったら、余り体裁のいいものじゃない。もうちょっとこの問題は都民の側に立って冷静に考えて、ひとつみんなで力を合わせて進めようじゃないですか。
 次いで、外環道についてでありますが、私は就任以来一貫して、外環道の早期整備を都政の――共産党は政界編成に関係ないよ。私は就任以来一貫して、外環道の早期整備を都政の最重要施策として、国も動かし、これまで四十年間凍結状態でありました外環道を事業化させました。
 外環は、社会工学的に最も優先事項の高い案件でありまして、これは決して都のためじゃないんです、むしろ、国全体のため、首都圏のため、国全体のためのものでありまして、そういう認識をぜひ政府も、担当している役所も、まあ役所はわかっているんですが、認識してもらいたい。
 しかし、外環道は国政の混乱のあおりを受け、将来的な財源確保の枠組みがいまだに定まっていません。
 我が国の国際競争力を高め、経済を再び成長軌道に乗せていくためには、首都圏の陸海空の交通、物流の強化が不可欠であります。羽田空港の国際化や京浜港の機能強化におくれることなく、高速道路ネットワークのかなめである外環道の整備を可及的速やかに進めていかなければならないと思います。
 都では、現場を持つ強みを生かしまして、用地取得などの精鋭を現地につぎ込み、積極的に事業の展開を図っております。国に対しても、一刻も早く工事に着手して、早期完成をさらに強く求めてまいります。
 次いで、首都圏におけるビジネス航空についてでありますが、ビジネスジェット機は欧米はもとより、中東、アジアでも利用が非常に拡大しておりまして、スピード感を持って世界的な活動を展開する企業の上部の経営層などにとっても欠かせないビジネスの道具であります。
 にもかかわらず、利用ニーズの高い首都圏の羽田、成田両空港では、専用の発着枠や施設などの受け入れ体制が不十分でありまして、使い勝手が悪く、日本が素通りされる、まさにジャパンパッシングを、これはだんだんディッシングになりつつありますが、誘発する原因にもなっております。
 現在のままでは、我が国は世界の中で取り残されて、多くのビジネスチャンスを失いかねない。このため、都は過日、国を動かすべく受け入れ体制強化に向けた提案を行い、これを受けて国土交通大臣も積極的に取り組んでいく旨を表明しました。
 都心に近い羽田空港では、その利便性を生かして、ビジネスジェット機専用の施設整備を行うとともに、何より横田基地において、平時は余裕のある滑走路などを――余裕といいますか、ほとんど使っていない滑走路を活用して、受け入れを図ることは極めて合理的であります。
 米国企業もビジネスジェット機の首都圏の利用を強く求めておりますが、横田基地の活用は日米のウィン・ウィン関係の構築に資するものでありまして、軍民共用化を実現する上での一つの突破口になるんではないかと思います。
 ただ、これは、単に限られた数のビジネスジェットのために横田をあけたって、これに付随して道路の整備とか新しい線路を引き込めということになれば、取引としては余り得ではないね、こんなものは。
 ですから、やっぱりやるならあそこも普通の旅客機もおりるようにできる、そういう空港に当然すべきでありますが、これはもう本当に政府がどこまでそれを認識して日本の利益を守るか、その心がけ一つだと思います。
 次いで、八ッ場ダムの建設事業の推進についてでありますが、先日、八ッ場ダムの早期完成を求めるために、関係する五県の知事とともに馬淵国交大臣と会食いたしました。馬淵さんには、まず現場を自分の目で見るべきだから、それからじゃなきゃ会わないよといって別れましたが、その後、本当は五県の知事と一緒に行くはずが、向こうの都合がありまして、彼はその後一人だけ現地に行きましたが、大変結構なことと思います。
 その後、とにかく改めて会おうということで、国会や都県の議会が開催されている最中でありましたけれども、関係者全員がそろう時間を調整して集まりました。
 この場で一都五県の知事は、八ッ場ダムの予定どおりの完成を強く求めました。また、ダムの検証は来年秋よりも最大限早く、かつ我々が納得できる結論を出すように強く申し入れました。
 これに対して大臣は、中止の方向には言及せず、一切の予断を待たずに検証を進めると繰り返して申しました。これは、あのとき会話の内容からいって、前任者に対する心配りだとありますが、実質的に中止の言明を撤回したと私は思います。解釈しています。まさにそのとおりです、どう解釈しても。
 八ッ場ダムは何としても建設しなければならない施設でありまして、直ちに本体工事を着工すべきであります。
 絶対にあってはならないのが、万が一、あとわずかで完成するダムを中止する場合には、これらの関係県は訴訟をして、国の責任を徹底的に追及しますし、当然弁護士とも相談しておりますが、必ず勝ちます。
 引き続き関係県の知事と一致団結して、予定どおり、平成二十七年度までに八ッ場ダムを完成されるように……(発言する者あり)何だ、聞こえないよ。八ッ場ダムを完成されるように国に強く求めてまいります。
 次いで、子どもの体力の重要性についてでありますが、子どもが人生を強い人間として生き抜いていく、その力の土台は体力にあります。健全な肉体を育て、脳幹を鍛えることで、みずからを律する強い心や、どのような事態にも対応できる柔軟で強靭な精神、つまりこらえ性が培われるわけであります。
 子どもにとってスポーツは、健全な肉体をつくるだけではなく、そこに健全な精神を涵養していく点で非常に大事な人間鍛錬の方法であると思います。
 ゆえにも、日本の将来を託せる人間、強靱な肉体とこらえ性のある子どもを育てることが教育に課せられた最大の課題であり、都教育委員会にはあらゆる方策を駆使して、引き続き子どもの体力向上に邁進してもらいたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長並びに技監、関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、現在の暴力団情勢及び今後の暴力団対策についてであります。
 暴力団情勢を見ますと、全国の暴力団勢力は約八万九百人となっており、都内ではその二〇%に当たる約一万六千八百五十人を把握しております。
 また、昨年中における暴力団によると見られますけん銃発砲件数は、全国では二十二件、都内ではその二七%に当たる六件が発生しています。
 暴力団員等の検挙人員でございますが、全国は二万六千五百三人、都内ではその一七%に当たる四千七百四人を検挙しています。
 それから暴力団対策法に基づく中止命令の発出件数でございますが、全国では二千百十九件、都内ではその約二五%に当たる五百三十二件を発出しています。
 これらの暴力団の活動を示す指標は、いずれも全国に占める東京都の人口の割合であります約一〇%を大きく上回っており、極めて深刻な状況だと受けとめております。
 このような都内における暴力団の状況は、東京が極めて大きい経済力を持っているということによるものでありまして、具体的な活動実態を見ると、いわゆる暴力団関係企業、あるいは共生者を利用するなどして、金融、証券、建設等、あらゆる業界に進出し、巧妙な資金獲得活動を行っております。
 警視庁では、組織を挙げて暴力団の壊滅に向け徹底した取り締まりを行っておりますけれども、こうした現下の厳しい暴力団情勢に的確に対応するためには、社会全体で暴力団を排除することが必要不可欠であると考えて、暴力団排除活動を盛り上げるための条例を早期に制定すべきであると考えております。
 次に、事業者の暴力団員等に対する利益供与に対する規制のあり方についてであります。
 警視庁では、暴力団対策法などの法令に基づき暴力団排除に取り組んでおりますけれども、例えばマンション建設に当たり、事業者が暴力団を利用し、周辺住民の反対活動を抑え込むなど、いわば暴力団と持ちつ持たれつの関係にある事業者がいる現状にかんがみますと、このような事業者に規制をかけないと、実効のある暴力団排除はできないと考えております。
 そこで、このような事業者に対しましては、勧告、公表、命令といった行政手続を通じ、改善できる機会を与えた上でなお改善されない場合には、罰則を適用するということを検討しております。
 しかしながら、事業者の多くはそのような関係にあるわけではなく、一律に規制を科すということは適当でないと考えられますので、例えば、つき合いたくないのにやむなく暴力団と取引をしているという事業者には、公安委員会にその旨を報告などしていただいて、以後、同種の違反行為は行わない旨を誓約していただくということで、その後の制裁に向けた手続を行わないとする適用除外を設けることを検討しております。
 この規定により、大半の事業者は自主的に暴力団との関係を遮断することができ、これを契機として、警察による情報提供や保護を必要に応じて受けられることとなります。
 このように、条例は事業者を規制することを主眼とするものではなく、事業者による自主的な関係遮断を促進し、事業活動から暴力団を排除するものであるということをご理解いただければと思います。
 警視庁といたしましては、都民の皆様の平穏な生活と健全な事業活動の発展が確保されるように、実効のある条例の制定に向けて努力してまいる所存でございます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、子どもの体力向上に向けた対策についてでございます。
 体力は、子どもたちが成長していく上で知力や気力の源であり、規範意識を根底で支え、子どもたちがたくましく生き抜くための基盤でございます。
 東京都の子どもの体力は長期的な低下傾向にあり、さらに全国平均よりもはるかに低いという憂慮すべき状況に陥っております。このため、都教育委員会は、東京都の子どもの体力を、平成二十四年度には全国平均にまで、そして平成三十一年度には、戦後、子どもたちの体力がピークであったとされる昭和五十年代の水準にまで向上させることを目標に、平成二十一年度に子供の体力向上推進本部を立ち上げ、ことし七月に総合的な子供の基礎体力向上方策第一次推進計画を策定したところでございます。
 推進計画における具体的な取り組みにつきましては、既に昨年度から中学生東京駅伝大会を開催いたしますとともに、今年度からは一校一取り組み運動を開始し、十月を東京都体力向上努力月間と定めまして、大規模な体力テストを行うなどして、本推進計画の着実な実現に着手したところでございます。
 しかし、子どもの体力向上は教育委員会や学校のみで達成することが難しいことから、本推進計画には都民への啓発、家庭、地域との連携、関係団体や民間企業からの協力に係る取り組みの推進を位置づけておりまして、引き続き社会総がかりで取り組むための仕組みづくりや環境整備に努めてまいります。
 次に、小学校教諭教職課程カリキュラムの内容についてでございます。
 昨年五月に、都教育委員会が採用後間もない教員とその管理職を対象に行いましたヒアリングで、板書の仕方や子どもへの話しかけ方など、大学で本来身につけておくべきことを教えてもらえていないなどの現場からの声があり、任命権者である東京都教育委員会が大学と協働し、すぐれた教員の養成に取り組むことが必要であると認識いたしました。
 このため、都教育委員会では、ことし二月に大学の教員養成に係る検討委員会を立ち上げ、実際に三十の大学を訪問し、授業観察と学生及び大学関係者へのヒアリングなどにより得られました知見をもとに、小学校教諭教職課程カリキュラムをことし十月に作成し、公表いたしました。
 このカリキュラムでは、小学校教員として学部段階で身につけるべき最小限必要な資質、能力を、教師のあり方、各教科等における実践的な指導力、学級経営の三つの領域、十七の項目に整理いたしますとともに、各大学における四年制の教員養成課程を通して到達すべき目標を具体的に提示いたしました。
 また、教育実習は、学校現場における実践を通して、学生自身の適性や大学での学習の成果を検証する貴重な機会であるにもかかわらず、学生の到達度が評価できないことや、教育実習への大学側のかかわり方が十分ではないという現場の校長先生からの声がありました。
 こうしたことから、都教育委員会は、統一様式として評価票の様式を全国に先駆けてお示しし、大学と一体となって教育実習の改善充実を図ることとしたものでございます。
 次に、各大学へのカリキュラム活用の働きかけについてでございます。
 大学が教員養成課程の改善充実を図るためには、大学と都教育委員会が一層の連携を図り、都教育委員会が作成した小学校教諭教職課程カリキュラムの趣旨と内容を大学に理解していただき、積極的に活用してもらうことが重要であると考えております。
 こうしたことから、既に十月には、都近郊の小学校教員養成課程を持つ大学に対しまして説明会を実施し、趣旨の周知を図ったところでございます。
 また、東京都は全国から教員を採用しておりますために、全国の小学校教員養成課程を持つ大学や道府県教育委員会にこのカリキュラムをお送りいたしまして、広く活用を促したところでございます。
 今後とも、大学に対して一層の周知と理解を求めますとともに、都内の小学校で教育実習を希望する大学に対しては、都教育委員会で作成した教育実習に関する評価票を必ず使用していただくよう働きかけてまいります。
 また、こうした取り組みに加えまして、学生が積極的に教員としての資質向上に取り組むことができるよう、本カリキュラムの内容を踏まえました学生向けハンドブックを今年度末までに作成し、東京都の小学校教員を目指す学生に配布してまいります。
 さらに、小学校教諭教職課程カリキュラムの内容を反映できるよう、東京都の教員採用選考の見直しを図り、優秀な小学校教員の確保に努めてまいります。
 次に、公立小中学校の冷房化についてでございます。
 学校の施設設備の整備は学校の設置者が行うこととなっており、公立小中学校の普通教室の冷房化については、設置者である区市町村の権限と責任において行うことが原則でございます。
 各市町村は、学校の施設設備の整備に関し、耐震化や老朽化対策といった重要な課題を抱える中、冷房化という新たな課題も加わり、限られた財源の中でその対応に苦慮しておられます。
 公立小中学校の冷房化に対しては、国の補助がございますものの、内容が十分とはいえず、多額の設置者負担が生じている現状にあり、都教育委員会では国に対し、補助率及び補助単価の引き上げについて提案要求を行ったところでございます。
 ことしの夏が記録的猛暑となった状況を受けまして、市長会、町村会等からも要望があったところでございまして、良好な教育環境の確保のために、学校設置者にとって実効性のある財政支援策を新たに検討してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな建築物の耐震化施策のねらいについてでございますが、高度に都市化した東京では、建物の所有者はみずからの生命と財産を守るだけではなく、周囲へ被害を与えないよう、その耐震性能を確保する社会的責務がございます。
 とりわけ緊急輸送道路において沿道建築物が震災により倒壊した場合、広域的な救援活動や復旧、復興の大動脈としての機能を大きく低下させることから、その耐震化は極めて重要であります。
 しかし、現行法では、耐震診断、改修とも努力義務にとどまり、その実施を所有者の意思にゆだねていることが大きな壁となっております。
 都としては、震災時において広域的な道路ネットワークを確保するため、緊急輸送道路のうち特に重要な道路沿道の建物所有者に対して、耐震診断を義務づけることが必要であると考えております。
 建物の耐震性能が明確になることで、耐震改修に向けた所有者の自覚と行動が促されるとともに、行政としても個々の所有者に対して具体的な指導や助言等を行うことが可能となります。
 また、不動産取引における重要事項説明において、診断結果に関する説明義務が法律上規定されていることから、耐震性が不足する場合には、改修等の措置が講じられていくものと考えられます。
 これらのことから、耐震診断の義務づけは、耐震化を推進するための効果的な施策であると考えておりまして、現在実施しておりますパブリックコメントなどの機会を通じ、社会的な合意形成に努めながら、条例化に向け検討を進めてまいります。
 次に、建物所有者への支援策の充実についてでございますが、耐震診断を早期に着実に進めていくためには、診断の義務づけにあわせ、必要な支援を的確に行っていくことが重要であると認識しております。
 このため、建物所有者が安心して診断に取り組めるよう、診断方法に関する情報提供や相談への対応、診断技術者の紹介など、技術的な支援を実施してまいります。
 また、費用負担につきましても、耐震診断の義務づけの対象となる緊急輸送道路におきましては、その機能を確保することの公共性や緊急性が特に大きいことから、耐震化に向けた所有者の取り組みがより一層促進されるよう、支援策の充実について検討してまいります。
 こうした支援策と耐震診断の義務づけが相まって、沿道建築物の耐震化を着実に推進できる実効性のある制度を構築し、災害に強い首都東京を実現してまいります。
 最後に、生産緑地に関する制度の創設についてでございますが、東京に残る農地は、都民に新鮮な野菜などを供給する場であるとともに、潤いのある景観や良好な住環境の形成にも資する貴重なオープンスペースとなっております。都は、こうした農地の多様な機能を積極的に評価し、区市による生産緑地の追加指定を促進してまいりました。
 しかし、相続等を契機として農地の減少が続いていることから、現在、本年五月に策定した緑確保の総合的な方針の施策の一つとして位置づけた農の風景育成地区制度の創設に取り組んでおります。
 この制度は、農地が比較的まとまって残された地区におきまして、区市と連携して、散在する農地を一体の都市計画緑地等として指定し、農地を中心とした潤いのある地域景観の維持を図るものでございます。
 これにより、将来、営農継続が困難となった場合には、区市が既存の補助制度を活用して、公園等への整備のために農地を取得することが可能となります。
 今後、関係局などとも連携し、年度内の具体化に向け検討を進めてまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 来年度の予算編成についてお答え申し上げます。
 二十一年度に大きく減少いたしました都税収入は、来年度におきましても大きな好転は期待できずに、厳しい財政環境は今後も続くものと見込まれるところでございます。
 こうした中におきましても、雇用確保や中小企業への支援など、都民が直面する喫緊の課題に迅速に対応するとともに、東京の将来を切り開く施策を積極的に進めていかなければなりません。
 そのためには、現在、予算編成のさなかにございますが、五年目となる事業評価の取り組みなどを通じ、効率性や実効性の面で施策の質を一層高め、その上で都民に真に必要な事業へ、経済効果なども考慮しつつ、限りある財源を重点的に振り向けていくことが重要であると認識をしてございます。
 これらの取り組みにより、財政の健全性を堅持しながら、都政の諸課題に着実に対処し、将来にわたって都民の期待にこたえ得る予算を編成してまいりたいと存じます。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 犯罪被害者等支援の取り組みについてでございます。
 都は、平成二十年に東京都犯罪被害者等支援推進計画を策定し、被害者の支援に取り組んできました。本年実施した実態調査によれば、支援の取り組みが進んだとの評価が寄せられている一方、相談事業等の充実と被害者に対する理解を深める啓発が求められております。
 今回改定する支援計画の素案では、こうした意見を踏まえ、全区市町村で相談窓口の開設を進めるほか、被害者が治療先の病院でも相談窓口の情報を得られるようにするとともに、被害直後の一時的な居住場所の提供対象者の拡大を検討いたします。また、区市町村や町会などの民間団体と一体となって、被害者が置かれている状況や支援の重要性について啓発に努めることとしております。
 今後、この素案をもとに、都民の声を幅広く聞きながら、来年一月を目途に新たな計画を策定いたします。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急豪雨対策についてでございますが、今回の対策は、近年の局地的な集中豪雨の増加を踏まえ、浸水の危険性が高い地域を中心に、迅速かつ集中的に実施すべき施策を取りまとめたものでございます。
 このうち河川事業については、新たな取り組みとして、二つの異なる流域の河川から取水し、一つの調節池に貯留することで治水安全度を高めることといたしました。具体的には、白子川と石神井川に取水口を設け、両河川から白子川地下調節池に洪水を流入させることにより、それぞれの流域で発生した局地的な集中豪雨に対処してまいります。
 この調整池の整備に当たっては、最新のシールド技術を導入するなど、さまざまな工夫を行うことにより、約一年の工期短縮を目指します。
 さらに、水位計や監視カメラを増設し、監視体制を強化して、水位上昇が極めて速い都市河川のはんらん警戒情報などをいち早く周知する新たな仕組みをつくり、地元区市と連携して、都民の迅速な避難に結びつけてまいります。
 一方、その他の豪雨対策としましては、下水道施設の整備を前倒しするほか、大規模地下街において、止水板の設置や避難経路への誘導方法など、具体的な浸水対策計画の策定を支援いたします。
 また、学校、公園などの公共施設の用地を活用して、一時貯留施設などの設置を促進してまいります。
 今後とも、関係局や地元区市などと連携し、緊急豪雨対策に全力で取り組み、安全で安心な東京の実現を目指して取り組んでまいります。
 次に、三環状道路を生かす幹線道路の整備についてでございますが、高速道路全体のネットワークを効果的に機能させ、東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、我が国の国際競争力向上や首都圏の環境改善などを実現するためには、三環状道路の整備が不可欠でございます。
 あわせて、その整備効果を最大限発揮させる骨格幹線道路や地域幹線道路のネットワークを充実させ、アクセス機能の強化や周辺交通の円滑化などを図ることが極めて重要でございます。
 このため、都は、圏央道アクセス道路の新滝山街道や外環のアクセス道路である放射第七号線などについて、地元の理解と協力を得ながら、早期完成に向け事業推進に取り組んでおります。
 また、主な路線として、中央環状線周辺では、放射第三六号線などについて来年度に事業着手するとともに、外環の中央ジャンクション付近では、新たに三鷹三・四・一二号線などの事業化を図ってまいります。
 今後とも、必要な財源確保に努め、三環状道路の整備を促進するとともに、周辺の幹線道路の整備を積極的に推進してまいります。
 最後に、都立庭園の保存、復元の取り組みについてでございますが、都立庭園は、江戸から続く歴史と文化が蓄積した貴重な都民共有の財産で、いずれも名勝や史跡の指定を受けており、都の責務として、次世代へこれらを継承することが重要であります。
 都立庭園は、長い歴史の中で、歴代当主の庭に寄せる思いなどにより、時代ごとにその姿が変化しており、保存、復元に当たっては、庭園が最もすぐれた価値を有していた年代を歴史的な考証に基づき判断し、往時の庭園美を忠実に再現することが極めて重要であると認識しております。
 例えば、浜離宮恩賜庭園は、三百有余年の歴史の中で、江戸文化が熟成した文化文政期、徳川十一代将軍家斉の時代に最も隆盛を誇っており、この往時の姿を目指して、松の茶屋を初めとする複数の趣の異なる茶屋を再現し、海水を引き込んだ潮入の池と一体となって織りなす風景をよみがえらせることなどにより、庭園の価値をさらに高める取り組みを行っております。
 今後とも、都立庭園の保存、復元に努めることで、江戸から伝わる比類なき日本の庭園文化のすばらしさを世界に発信してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道事業における緊急豪雨対策の取り組みについてでございます。
 浸水被害による影響の大きい大規模地下街などへの対策として、これまで整備している新宿駅や池袋駅周辺などの四地区に加え、新たに新橋駅や銀座周辺などの五地区を対象に、これまでの整備目標水準の一時間五〇ミリを超える、一時間七五ミリの降雨に対応できる貯留管などの整備の前倒しを図ってまいります。
 さらに、近年たびたび浸水被害が発生しております神田川、石神井川、白子川の三流域において雨水排除能力を増強するため、既設の下水道幹線に加えて、新たに整備する下水道管や雨水調整池などの調査設計に今年度着手し、整備を前倒しいたします。
 都民の生命と財産を守り、安全・安心な東京の実現に向けて、浸水被害の早期軽減が図れるよう、今後も河川整備事業や地元区などによる雨水流出抑制対策と密接に連携しながら、下水道事業を着実かつ積極的に進めてまいります。
 次に、下水道事業における国際展開についてでございますが、基本的な考え方といたしましては、東京下水道が長年にわたって培ってきたすぐれた技術やノウハウ、人材などを活用することにより、国際展開を積極的に推進し、水、衛生問題に直面する国や地域の発展に寄与するとともに、下水道関連企業の海外展開を後押しすることで、東京、ひいては日本における下水道事業の活性化や産業力の強化に貢献をしてまいります。
 取り組みを進めるに当たりましては、国内企業の海外展開とも歩調を合わせ、当局の所管する監理団体であります東京都下水道サービス株式会社と、適切な役割分担のもとに一体的に対応してまいります。
 また、国や自治体、下水道関連企業などで構成しております、海外ニーズ調査などの活動を行っております下水道グローバルセンターなどとも連携して取り組んでまいります。
 具体的な取り組みといたしましては、お話のございました老朽化した下水道管を更生するためのSPR工法については、昨年度末までに、海外八カ国で三万メートルを超える施工実績があり、特にこの三カ年で実績が急増しております。
 また、合流式下水道の改善を図る水面制御装置につきましては、先日のドイツと韓国の企業とのライセンス契約に続き、北米の企業との間でも契約に向けた準備を進めているところでございます。
 今後は、これら個別技術の海外展開の拡大に加えまして、相手国、地域などのニーズや要請に応じ、施設の建設から維持管理にわたる下水道全般の技術支援など、積極的に国際展開を進めてまいります。
   〔交通局長金子正一郎君登壇〕

○交通局長(金子正一郎君) 都営地下鉄のホームさくの設置拡大についてお答えをいたします。
 ホームさくの整備は、ホーム上のお客様の安全を確保する上で極めて有効な方策であり、交通局では、平成十二年に、営業中の路線として全国で初めてホームさくを三田線に設置し、現在、平成二十五年度中の完成を目指して、大江戸線への設置を進めております。
 残る新宿線及び浅草線につきましては、他の鉄道会社と相互直通運転を実施しておりまして、現在、新宿線には京王電鉄の車両二十編成が、また、浅草線には京急電鉄や京成電鉄など四社の車両二百七編成が乗り入れております。
 ホームさくの整備に当たっては、乗り入れ各社の車両にも定位置に停止させる装置や、車両のドアとホームさくを連動させる装置を搭載する必要があるなど、技術面や輸送面の課題を相手方の協力も得ながら解決していく必要がございます。
 このため、交通局としては、諸状況を勘案し、まず、京王電鉄と共同で新宿線のホームさく整備に向けた課題を検討する場を設置し、協議を進めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 五点の質問にお答えいたします、
 まず、緊急円高対策の具体的な取り組み内容についてでありますが、夏以降の急激な円高については、今後、中小企業への影響の広がりが懸念されますことから、より踏み込んだ対策が必要となっております。
 このため、東京商工会議所等と連携して、中小企業診断士などの専門家が企業を訪問し、経営の立て直しのアドバイス等を今月より集中的に実施しております。
 加えて、下請企業への支援策として、親事業者団体に対し受注確保等の要請や商談会を行うなど、対策を強化いたします。
 また、年末、年度末の中小企業の資金需要に対しては、国の緊急保証制度に対応し、最優遇金利を適用した制度融資メニューである経営緊急に加え、円高対応のためのメニューを拡充し対応しております。あわせて、年末には経営や資金繰りの相談を受ける特別相談窓口を開設いたします。
 これらの取り組みにより、円高の影響を受ける中小企業を支援してまいります。
 次に、新製品や新技術の開発から販売に至る支援についてであります。
 中小企業がみずからの力で開発した製品や技術によって新たな事業を展開し、経営の向上につなげていくことは重要と考えております。
 都はこれまで、中小企業が新製品などを開発するためのすぐれた計画を承認し、国の優遇制度の対象としたり、研究開発に要する費用を助成するなどの支援を行ってまいりました。
 しかし、企業が新たな製品などの開発に成功しても、その成果を実際の販売活動に結びつけるには、市場のニーズを的確につかんだ営業活動を行ったり、環境や安全の面の各種基準を確実に満たすなど、数多くの課題を解決していくことは不可欠でございます。
 このため、都では、中小企業の新製品などの企画や開発から販路の開拓までを含めた一連の事業活動で必要となる知識やノウハウを提供したり、商品としての安全性などについて証明や認証を受ける取り組みをサポートすることを検討しております。
 今後とも、中小企業が開発した新たな製品や技術が実を結ぶよう、多面的な支援を行ってまいります。
 次に、都内中小企業と海外の企業との交流促進についてでありますが、中小企業が成長著しいアジア等の海外の企業と理解を深め合うことにより、商談の機会を確保し、ひいては販路の開拓に結びつけていくことが重要と考えております。
 このため、都では、中小企業の海外販路開拓の支援を行うとともに、商談成立の基礎となる現地企業と都内中小企業との交流の機会をふやす取り組みを進めております。
 具体的には、中小企業のすぐれた技術、製品を紹介し、企業間の交流を図る産業交流展におきまして、今回、アジア大都市ネットワーク21と連携し、東京の企業とアジアの諸都市、企業との交流を促進し、相互の理解を深めるためのアジアゾーンを設けるなどの取り組みを行いました。同ゾーンには、ベトナムや台湾などから三十一の出展者が参加し、今後の商取引の展開に向けた貴重なきっかけづくりを行うことができたと考えております。
 また、開催期間中、アジア市場への進出や販路開拓を考える企業のため、専門家によるセミナーを開催したり、個別の相談に応じるなど、中小企業の海外展開のためのノウハウの提供も効果的に実施いたしました。
 今後とも、産業交流展でアジアゾーンを設けるなどの取り組みを通じて、都内中小企業と海外企業との交流を促進し、中小企業の販路開拓への支援を強化してまいります。
 次に、新卒者への就職支援の強化についてであります。
 都は、新卒者の厳しい就職状況を踏まえ、都内経済団体への新卒者採用要請を行うとともに、十一月には国と連携し、新規学卒者向けの合同就職面接会を開催するなど、取り組みを進めてまいりました。
 しかしながら、現在も未内定の学生が多数に上っていることから、さらなる支援強化が必要と認識しております。
 このため、来年一月には飯田橋のしごとセンターとしごとセンター多摩に新卒特別応援窓口を開設し、キャリアカウンセリングやセミナー等を通じたきめ細かい支援を実施いたします。
 同窓口には、国の協力を得て、新たに学生専門の相談員であるジョブサポーターを配置するなど、新卒者向け求人紹介の体制を充実いたします。
 さらに、来年二月には、今年度第二回目となる新規学卒者等を対象とする合同就職面接会を開催し、未内定の学生に企業との面接の機会を提供いたします。この面接会の直前には、しごとセンターにおいて模擬面接セミナーを開催し、学生の事前準備を支援することとしております。
 こうした取り組みを着実に進めることにより、意欲ある新卒者が一人でも多く卒業までの間に就職内定を得られるよう支援してまいります。
 最後に、都内産農産物の区部の学校給食への供給についてであります。
 学校給食に地元の農産物を供給することは、地産地消の拡大に加え、子どもたちの農業や農産物への関心を高めるなど、食育に関する効果も大きいと考えます。
 しかしながら、農地の少ない区部では、こうした機会に恵まれていないのが現状であります。このため、都は今年度から、八王子市大谷町の都有地を活用して、東京げんき農場を開設し、地元のJAや農業者などの協力のもと、生産供給方式のモデル事業をスタートさせております。
 現在は、農地や農業用施設の整備に取り組みながら、本事業に参加する農業者やJAなどと栽培作物や作付面積など、来年度の生産計画について検討を行っております。
 また、学校給食の関係者とも、供給する農産物の種類や出荷の方法などについて意見交換を行うなど、生産供給体制の整備を行っております。
 来年の春には作付を開始し、順次区部の学校給食に農産物を供給するとともに、農場での子どもたちの農業体験など、農業現場ならではの食育を実施していく予定であります。
 こうした取り組みを着実に推進し、地産地消の一層の拡大を図り、都内産農産物の新たな販路拡大につなげ、東京農業の振興に寄与してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 五点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、求職者等に対する支援の強化についてでございますが、厳しい雇用情勢が続く中、働く意欲がありながらも就職できず、住居、生活に困窮している方が一刻も早く就労し、安心して年末を迎えられるようにするためには、昨年度のような年末年始における一時的な対応ではなく、総合的な支援を強化することが必要でございます。
 このため、都は国に強く働きかけ、都内十七カ所の全ハローワークにNPO法人等による相談体制を整備することとし、先月八日から、生活や住居に困窮している求職者の方を対象に、区市等とも連携しながら、きめ細かな生活、住宅相談を実施いたしております。
 この取り組みにおきましては、相談者の個々の生活状況に応じて、生活資金貸付など支援情報の提供や住宅手当の手続支援等を行っており、これまで約二百名の相談に対応いたしております。
 今後とも、事業の周知を徹底し、国や区市等関係機関と密接に連携しながら、働く意欲のある人が職を得て、安定した生活を送れるよう支援してまいります。
 次に、周産期医療体制の強化についてでありますが、都は、安心・安全な周産期医療体制の確保を図るため、本年十月、東京都周産期医療体制整備計画を策定し、中長期的な視点に立って体制整備を進めてまいります。
 具体的には、低出生体重児の増加等を踏まえ、NICU三百二十床を整備するとともに、母体、胎児の集中治療対応の強化を図るため、M‐FICUについてもより一層の設置を進めてまいります。
 また、周産期医療を担う人材を確保、育成するため、産科、新生児科医師の勤務環境の改善を図るとともに、院内助産や助産外来の導入を推進してまいります。
 さらに、NICU等に長期入院している子どもの在宅移行を支援するため、病院内の体制整備や、退院後の在宅医療を支えるための保健、療育、福祉機関との早期からの連携などを促進していきます。
 今後とも、本計画に基づき、さらなる体制の整備に努めてまいります。
 次に、児童虐待の防止についてでありますが、児童虐待の通告件数は年々増加しており、今年度の八月までに児童相談所が受理した件数は、昨年度の三○%増、千八百件を超えております。こうした状況の中、児童相談所は、区市町村の子ども家庭支援センターと連携して、その対応に全力で取り組んでおります。
 これまで都は、平成十三年度から二十一年度までの八年間で児童福祉司を六十六名増員し、児童相談所の体制強化を図るとともに、子ども家庭支援センターに対しても、虐待対策ワーカーの配置や職員の研修など、その体制整備や専門性の向上を支援してまいりました。
 今後、児童相談所と子ども家庭支援センターの連携強化を初め、都や区市町村における体制を一層充実し、児童虐待防止に向けた取り組みを強力に進めてまいります。
 次に、地域がん登録についてでありますが、地域がん登録は、がんに罹患した人の診断、治療等に関するデータや死亡情報等を集約し、罹患率や生存率等を把握する仕組みであり、予防から治療に至るがん対策全般の評価や、企画立案に重要な役割を果たすものであります。
 地域がん登録を実施するためには、既に院内がん登録を行っておりますがん診療連携拠点病院を初め、多数の医療機関の理解と協力を得て、正確なデータを集めることが必要であります。
 このため、都は、有識者や関係機関で構成されますがん登録推進検討会を設置いたしまして、個人情報の取り扱いやデータの収集等について検討を行うなど、実施に向けた準備を進めております。
 今後、データベースシステムの整備や医療機関との個別調整等に着手し、平成二十四年度からの開始を目指してまいります。
 最後に、地域の支え合いの仕組みづくりについてでありますが、ひとり暮らし高齢者などが地域で安心して暮らし続けるためには、これらの方々を社会全体で見守り、支える体制の強化が重要であります。
 都はこれまでも、町会、自治会等が中心となって在宅の高齢者を訪問し、見守りや声かけを行う高齢者地域見守り事業などの取り組みを区市町村包括補助制度により支援をしてまいりました。
 東京には、このような活動の担い手となり得る元気で活力にあふれる高齢者や、多種多様に活躍するボランティア団体等が数多く存在するという強みがございます。
 今後、こうした方々の豊富な経験や知恵を生かし、区市町村等とも連携しながら、地域の支え合いの仕組みづくりを一層推進してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、国際貢献ビジネスにおける新たな官民連携の仕組みづくりについてでございますが、当局では、国際貢献ビジネスの推進により、これまでミッション団の派遣や積極的な情報発信、ヒアリング対策企業からの海外情報により、相手国のニーズや案件等の貴重な情報を数多く入手してきており、これらを海外情報データベースとして構築してまいりました。
 一方、多くの民間企業が水ビジネス分野での海外展開の取り組みを活発化しておりますが、例えば、事業の受注者の立場であることや、各企業が個別に対応していることなどから、案件情報が限定的となり、それぞれの専門分野での取り組みにとどまっております。
 そこで、海外展開を目指す企業の登録公募制度を新たに導入するとともに、登録した企業に海外情報データベースを活用して情報を提供し、それぞれの企業の持つ強みを有効に組み合わせてまいります。それにより、相手国のニーズに的確にこたえられるコンソーシアム、すなわち企業連合が形成できるよう支援してまいります。
 こうした新たな官民連携の仕組みを構築することで、今後とも国際貢献ビジネスを一層推進してまいります。
 次に、多摩地区における地元事業者活用についてでございますが、これまで多摩地区の水道を担ってきた地元事業者は地域の事情に精通しており、管工事の推進や事故対応等において、今後ともその協力を得ることが不可欠でございます。
 そこで、八月に策定した多摩水道改革計画におきまして、震災対策の強化等に向け、配水管のネットワークの整備や管路の取りかえ工事を精力的に推進し、地元事業者の一層の活用を図ることといたしました。
 事業の推進に際し、多摩地区には中小事業者が多いという特徴があるため、十月、局内に多摩地区管工事推進委員会を設置し、中小地元事業者を活用した管工事の実施や地元事業者の育成方法などについて検討を進めてきたところであります。
 具体的には、平成二十三年度から、事業者の規模に配慮した工事の発注を三年程度試行するとともに、工事請負単価契約等につきましては、平成二十四年度以降、特段の配慮をしつつ、都の契約方法へ段階的に見直しを進めてまいります。
 こうした業務実施や事業者の育成状況等を勘案した上で、より円滑な事業の推進に向けたさらなる改善策を講じてまいります。
 このような取り組みにより、地元事業者を積極的に活用し、配水管の新設や取りかえ工事を精力的に進め、多摩地区の給水の安定性向上を図ってまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、大規模事業所の地球温暖化対策についてでございますが、本年四月の総量削減義務制度の開始を受けまして、都内の企業では、CO2を半減するビルの建設や省エネ性能の高い照明、熱源設備への更新、データセンターでの高効率空調設備の導入など、意欲的な取り組みが始まっております。
 CO2の総量削減に向けました東京の企業のこうした積極的な取り組みや、都の制度構築及び運営のノウハウを全国に発信することは、地方自治体の地球温暖化対策の強化や歩みの遅い国の取り組みを促進する上で大変重要でございます。
 こうした観点から、都は、キャップ・アンド・トレードの普及に向けまして、本年の九月に協定を結びました埼玉県等とも協力し、大規模事業所への計画書制度を導入しています全国三十余りの道府県、政令指定都市等を招き、来年二月に地球温暖化対策自治体会議を東京で開催いたします。
 この会議におきまして、先駆的な省エネ技術を活用して大幅なCO2削減を進める東京の企業の取り組みや、制度運営に関する都の経験とノウハウを提供するなど、地方自治体の取り組みの強化を図ってまいります。
 次に、微量PCB処理の促進についてでございます。
 PCBによる環境汚染を未然に防止するためには、無害化処理施設が整備されるこの機会をとらえまして、微量PCBの処理を促進していくことが極めて重要でございます。
 一方、ご指摘のように、事業者が保有する微量PCBを処理するためには、成分分析、油の抜き取り、収集運搬など、幾つもの作業工程を踏むことが必要となることに加えまして、処理経費もかさむことなどから、中小事業者等の負担の軽減が課題となっていると認識してございます。
 今後、都は、無害化処理の認定事業者や電気保安協会など関係機関との調整を進めまして、処理が円滑に進むような仕組みづくりも含め、都内の中小事業者等が保有する微量PCBの処理促進策を早急に検討してまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 私立高校生に対する特別奨学金についてでございますが、都はこれまでも、公立高校に通う生徒と私立高校に通う生徒との格差の是正を図るという観点から、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を補助する都独自の特別奨学金制度を実施してまいりました。
 景気の足踏み状態が続き、失業率も高水準にあるなど、経済環境が一層の厳しさと不透明感を増している中、子どもたちの修学機会を確保するために、より一層保護者負担の実態に即した支援を行っていくことが必要でございます。
 したがいまして、今後、国の就学支援金制度を踏まえつつ、都独自の特別奨学金について、制度の充実を図ってまいります。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 今後のスポーツ振興についてでございますけれども、スポーツはみずからすることはもちろんのこと、トップアスリートの卓越したわざを実際に見ることで大きな感動を得られるものでございます。身近な場所で競技をし、観戦できる機会がふえることは、スポーツへの関心を高めることにつながるものでございます。
 ただいまご指摘いただいたとおり、都にはスポーツ祭東京二○一三のメーン会場となります味の素スタジアムや、大規模な国際大会の開催が可能な有明コロシアムを初めさまざまな施設があります。
 スポーツ振興局といたしましては、それらの施設を積極的に活用することとしておりますが、都民サービスのさらなる向上を図るために、一元的に管理運営することは極めて有意義であると考えております。
 今後、庁内各局はもとより、スポーツ関係団体や区市町村との連携をより一層図り、都議会の皆様のご協力もいただきながら、スポーツを専管する当局ならではの事業を展開し、スポーツ施策を強力に推進してまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後五時三十三分休憩