平成二十二年東京都議会会議録第十六号

   午後一時開議

○議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

○議長(和田宗春君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(和田宗春君) これより質問に入ります。
 百二十二番酒井大史君。
   〔百二十二番酒井大史君登壇〕

○百二十二番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
 まず、国の補正予算に関連して、都の対応について一言述べさせていただきます。
 国においては、十一月二十六日、補正予算が成立しました。国費で四兆八千五百十三億円、公共事業の前倒し分を加えて約五兆九百億円の補正予算となっています。今回の補正予算は、急激な円高や依然として厳しい経済環境を踏まえ、予備費を活用したステップ1から間を置かずに策定されたもので、その目的は、スピードを重視した需要や雇用の切れ目ない創出にあります。
 特に、新卒者、若者の雇用支援の強化や、エコ住宅、エコ家電の普及促進など、雇用や需要創造効果の高いものに重点的に配分されており、補正予算を通じて年明け以降の景気や雇用のリスクに対し先手を講じたものです。
 一方、東京の状況を見ても、中小企業の資金繰りの悪化や、全国平均と比べて失業率が高どまりするなど、厳しい状況に置かれています。今後、国の補正予算の具体的な内容や都への配分額が順次国から明らかにされることと思いますが、都議会民主党としても、日本の成長の牽引役である東京から日本の元気を回復させるという気概を持って、国に対して必要な財源の確保を積極的に働きかけてまいります。
 都においても、今回の国の補正予算の趣旨を踏まえ、現下の都民生活の窮状に対し、速やかに、かつ的確に対応していくよう強く求めておきます。
 さて、日本経済は、世界経済の減速や円高の影響による輸出の低迷などにより、経済の回復テンポは減速してきています。雇用情勢は十代から二十代の若者の雇用が悪化、失業率は昨年春以来五%を超えた状態が続いており、消費者マインドの上向きにはほど遠い状況にあります。二十一年度都税収入は、企業収益の悪化で大幅な減収となりましたが、本年度もさらに減収が進みかねない状況にあります。
 一方で、この景気停滞は年度いっぱいで、二十三年度上期には再び回復基調に復するとの見解もありますが、今後の都税収入の見通しについてどのようにお考えか、見解をお伺いいたします。
 こうした中で、平成二十三年度東京都予算編成も最終盤を迎えています。来春には東京都知事選挙を控え、次期都知事を過度に縛ることはできませんが、今こそ都民の生活を下支えしなければ、加速度的に状況は悪化します。
 来年度も都税収入の大幅な好転が見込めない中、都内中小企業の資金繰りを支え、雇用を守り、未来につながる安心・安全の東京を築いていかなければなりません。そのためには、真に必要な施策を厳選し、徹底的にむだをなくした上で財源を最も有効に活用し、東京の財政力を維持していく必要があります。
 そこで、平成二十三年度予算編成に当たっての都の見解を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 回復の兆しを見せていた国内景気も、夏以降、円高基調が続き、先行きの不透明さが増しています。こうした中、企業の多くは、今後の景気動向を見守りつつ、新規の雇用を抑制しています。十一月三十日に総務省が発表した十月の完全失業率は、四カ月ぶりに悪化し五・一%となり、また、十一月二十五日の東京都発表による東京の労働力調査でも、ことし七月から九月の都内の完全失業率が五・七%と、前年同期に比べ〇・五ポイントも悪化しています。
 この間、東京都は、雇用の創出や雇用就業支援、生活安定化総合対策事業といった緊急雇用対策に取り組んできましたが、こうした雇用情勢の数値を見る限り、まだまだ十分とはいえないのではないでしょうか。石原知事は所信表明において、雇用部門と福祉、産業振興、教育部門との有機的連携が可能だと、横ぐしの可能性を強調するなど、現場だからこそできる就労、生活支援対策に言及しました。
 そこで、石原知事は、未曾有の雇用危機といわれる中で、どのように雇用就業対策を進めていくつもりか、知事の見解を伺います。
 九月議会での代表質問で、私たちは、国の追加経済対策に盛り込まれていた重点分野雇用創造事業の拡充について質問し、早期に事業が実施できるよう準備を進めるべきだと主張してきました。雇用危機といわれる中、緊急雇用創出事業やふるさと雇用再生特別基金事業を初め、これら基金事業を活用し、雇用の創出に効率的かつ積極的に取り組んでいくことが必要です。また、せっかくの基金事業を一過性の雇用で終わらせることなく、人材育成の観点から、新たに雇用をした上で必要な知識や技術を習得させ、働き続けることが可能となるような事業の展開に取り組んでいくべきだと考えます。
 今後、緊急雇用創出事業などを活用した雇用の確保についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 十一月十六日に厚生労働省と文部科学省とが発表した大学の就職内定率は、十月一日現在で五七・六%と、現在の方法で統計をとり始めた一九九六年以降最悪となっています。既にバブル崩壊後の就職氷河期を上回る水準となっており、新たな就職氷河期の到来をこのまま座していてはなりません。
 現在、東京都は、都内の経済団体などを通じて新規学卒者の採用促進を要請していると聞いていますが、三十社、四十社と面接を受けても、いまだ内定に至らない多くの学生がいるのです。東京都としても、経済団体だけではなく、直接、個別企業に対して営業に出向くなど、さらに踏み込んで雇用の掘り起こしを行うべきです。
 東京都として、雇用の掘り起こしに向けたさらなる取り組みについて、見解を伺います。
 また、新卒未内定者はもとより、若年者を対象としてセミナーの開催や合同面接会の拡充などの対策を新たに実施するなど、雇用就業支援について積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、低所得、離職者対策について伺います。
 年越し派遣村以降、国は第二のセーフティーネットによる住宅手当緊急特別措置事業や緊急雇用創出事業を実施し、年越し派遣村をやらずに済むよう、年末年始だけではなく常時支援体制をとることとなりました。さらに、都は十一月八日から、国の第二のセーフティーネットと緊急雇用創出事業を活用して、国と連携して求職中の住居喪失者に対する支援を強化し、生活や住宅、住宅手当支給などの相談を行っています。
 こうした取り組みに加えて重要なのは、常日ごろからの身近な市区町村での相談支援体制です。しかし、都において従来から実施してきた生活安定化総合対策事業は、その多くが国において事業化されたことを受け、再構築するものと聞いています。都の生活安定化総合対策事業TOKYOチャレンジネット事業は、三年間の期限つきで立ち上げられたものですが、この間の社会経済情勢から、その必要性はますます高まっております。
 チャレンジ支援貸付事業や各種生活相談は、各市区町村が足並みをそろえて実施してこその対策であり、引き続きすべての市区町村で実施できるように、都としてしっかりと支援するとともに、TOKYOチャレンジネットについても引き続き実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、産業振興と中小企業対策について伺います。
 多摩の産業振興を図っていく上で、アジアを代表する産業拠点を目指した多摩シリコンバレーの形成は極めて重要ですが、これを大きく進めるためにも、横田基地の活用が欠かせません。石原知事は所信表明で、横田基地においても、共用化の一歩としてビジネスジェットの受け入れ実現に向け、日本政府やアメリカ政府などに働きかけていく旨述べられました。
 ビジネスジェットは、特権的な人だけが使うぜいたくなものであるという印象が強いようですが、世界的にもビジネスジェット機の運航機数は大幅な増加が見込まれ、このままでは、日本を素通りして他国へ向かうジャパンパッシングに拍車がかからないとも限りません。私たちは、是は是、よいものはよいという立場から、この提案には拍手を送り、ともに政府に強く働きかけるなど、その実現に向けて労を惜しまないつもりです。
 改めて、横田基地におけるビジネスジェットの受け入れ実現に向けた取り組みについて、石原知事の見解を伺います。
 私は、多摩シリコンバレーの形成とあわせ、多摩市町村と連携して、地域の特性や資源を生かした産業集積を図っていくことも重要であると考えます。既に東京都では、創造的都市型産業の育成として、環境や健康関連産業、あるいはアニメやコンテンツ産業などの集積を図ろうとする市区町村に対して支援していますが、これまで承認した八つの自治体のうち、多摩地域は一つしかありません。ぜひとも東京都として、多摩地域のニーズを十分に掘り起こしながら、事業の充実を図るべきだと考えます。
 地域における創造的都市型産業の集積の創出に向けた取り組みについて、東京都の見解を伺います。
 次に、新製品の開発、販売への支援について伺います。
 石原知事は所信表明の中で、ことしのベンチャー技術大賞について触れ、いかにすぐれた技術があっても、商品化することができなければ石ころにすぎないと述べました。まさに日本人が世界で生きていくためには、例えば大賞を受賞した、人間に必要なほぼすべての栄養素をつくり出すことができるとのことでサプリメントや化粧品として商品化されているミドリムシの大量培養という驚くべきアイデアを商品化していくことも欠かせません。
 一方で、現在、東京都においては、新製品や新技術の開発に対しては、研究開発に係る経費の一部助成などの支援策を実施していますが、アイデアの製品化だけではなく、販売体制のない中小企業に対しては、販売までも含めた一体的な支援策も必要ではないかと考えます。都内の中小企業の開発した製品や技術が、販売のノウハウや営業体制がないために日の目を見ずに終わることは、あってはなりません。
 私は、新製品のアイデアがある中小企業に対しては、新製品の開発支援から販売までの各段階に応じた支援策を新たに創設するなど、新製品の開発、販売を積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 石原知事は十一月十九日の定例会見において、新銀行の中間決算についての質問に対し、これからセカンドステージというものを積極的に考える時期だと思うと述べるとともに、この十月、十二月に中国に行って、さしで話そうと思ったなどと答えています。私は、質問もされていないことにあえて石原知事が答えたこと、しかも、その相手があの中国であったことに驚きを隠せません。
 しかし、今回の発言も、これまで石原知事が繰り返し述べてきた思わせぶりな発言と同様、結局、何もなかったことを披瀝しただけの人騒がせで無責任な発言なのではないでしょうか。まさか、そのようなことはないと思いますが、石原知事がセカンドステージと繰り返しておっしゃるのであれば、石原知事みずからが任期を終える前に新銀行東京を総括しセカンドステージなるものを示すべきだということを、六月議会を含め、再三申し上げてまいりました。
 このまま任期満了を迎える前にセカンドステージを示すつもりがあるのか、ないのか、あるとすれば、いつごろ示したいと考えているのか、石原知事の見解を伺います。
 私たちは、事業譲渡や株式の売却などを含め、早期に新銀行から撤退することを求めていますが、石原知事は、今回の中国行きに当たっては、当然、新銀行のセカンドステージについての方針や考え方を持って交渉に当たろうとしたはずです。
 六月議会での私たちの代表質問に対し石原知事は、セカンドステージの姿について、その性格上お答えできないと答弁していますが、定例会見という場で、かつ聞かれもしない質問にみずから切り出したのは石原知事自身です。少なくとも、この本会議場において、その方針、考え方について、都民に対し説明責任を果たすべきです。
 セカンドステージに向けた方針、考え方はどのようなものなのか、また、中国ではどのような交渉をする予定だったのか、石原知事の見解を伺います。
 今回の中国との交渉は、一体だれがどのような方針を立て、だれが主体となって交渉に臨んでいるのでしょうか。私たちは、石原知事がセカンドステージについて将来像を明らかにしない中で、再びトップダウンにより、都民が望まない新銀行の将来像が示されるのではないかと大変危惧するものです。
 そこで、今回の業務提携については、どこが方針を立てて、どこがおぜん立てをして石原知事の中国行きを設定したのか、所管局である産業労働局は、今回の中国行きの目的も含め、石原知事のいうセカンドステージについて協議し、連携して取り組めているのか、見解を伺います。
 次に、青少年健全育成条例について伺います。
 都議会民主党は、青少年の健全育成を達成していくために、保護者や学校、地域社会、行政が青少年の成長をしっかりと支援する教育や相談事業等のサポート、性的被害に対する保護、回復といった総合的な取り組みが必要だと考えています。
 それは、メディアが発達し、迷惑、勧誘メールや有害サイトも多く存在する情報社会で、青少年が正しい情報を取捨選択して取得し発信するといった、情報社会における倫理や法の理解と遵守、危険性の理解を学ぶとともに、情報を活用する能力を高める支援をすることです。また、青少年の発達段階に応じて、病気も含めた性に関する知識を理解させるとともに、人を尊重する健全な性の考え方に基づいて望ましい行動をとることを身につけ、自己決定能力をはぐくむことを支援することです。
 都内公立学校において、情報リテラシー、モラル教育や性教育を教える上で、専門家や医師など外部人材を招聘し、子どもたちを守るための教育を充実させていくことが必要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 一たび、性的虐待や、それに準ずる心身に有害な影響を及ぼすような子どもの権利の侵害が起きてしまうと、回復には非常に時間がかかります。虐待は、子どもに対し、大人になってもいやされない傷を抱かせる重大な犯罪です。都は、虐待を受けた子どもに児童精神科医や心理職員などによる心のケアを行っていますが、本当に一人一人に向き合い時間をかけるケアには至っていません。こうしたケアの充実については、さきの定例会でも質問し、今回も拡充を強く求めているところです。被害に遭う子どもを一人でも少なくするために取り組むべきだと考えます。
 今回の条例改正案を含む都の取り組みによって、都は、子どもたちの権利を擁護するため、都民に対する普及啓発にどう取り組み、青少年の性的被害をどのように防いでいくのでしょうか、都の見解を伺います。
 都における図書類の不健全図書指定は、現在、青少年健全育成審議会において、自主規制団体からの意見聴取を行った後、出版関係者も含めた委員の皆さんが一冊一冊を青少年に見せるべきではないものかどうかを審議、その結果を踏まえて、都が不健全指定を行っています。
 指定に当たっては、意見聴取と出版関係者が審議を行うことで客観性を担保するものであり、改正案があいまいで意味不明だと懸念を抱く方々に対する保障にもなるため、今後、審議会の運営をより丁寧に行っていくことが重要と考えます。
 また、個別指定は、東京の地場産業である出版、販売業界の産業振興のためにも有効な制度です。そのため、都がページ数や全体の分量という一定の基準をもって自動的に不健全図書類を指定する包括指定の導入は慎重であるべきと考えます。
 今後も、都における不健全図書の審議は個別指定方式で行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 前回否決された条例改正案において規定されていた青少年性的視覚描写物の蔓延の抑止は、青少年への閲覧などを規制する健全育成の目的を超えた、成人も含めた図書類に対する販売規制であり、表現の自由を侵すものではないかといった懸念が多くの方々から提起されました。議会においても大きな議論となり、我が会派議員からも疑義が示されました。
 今回の条例改正案では、この青少年性的視覚描写物の蔓延の抑止に関する条文がすべて削除され、青少年の健全育成の範囲が限定されましたが、多くの方々からの懸念を都はどのように受けとめたのか、都の見解を伺います。
 都議会民主党は、最も憎むべき犯罪である強姦や児童買春を不当に賛美して描いている図書類について、それらを青少年が容易に読むことはよくないと考えています。また、今回の条例改正に関して、表現の自由を殊さら強調されている方もおりますが、私は、表現の自由を主張する者は、その表現に対して社会的責任を負わなくてはならないと考えています。しかしながら、一部出版社から不健全指定となる図書類が発行されている現状があるため、それらの図書類が青少年の健全育成を阻害するか否かを審議することが必要とも考えています。
 今回、都は、現状をどう認識し、現行条例での対応ではなく条例改正を行わなければならないと考えているのか、都の見解を伺います。
 各業界も青少年の健全育成のために自主規制に取り組んでいます。私たち都議会民主党も、出版、販売関係だけでなく、映画や放送、映像ソフト、家庭用ゲームソフト、コンピューター用ソフトの倫理団体や審査機関の取り組みを視察し、各業界の取り組みに対する見識を深めてまいりました。
 出版、販売関係業界は、青少年に見せたくないコミックに対する自主規制の徹底を行うと述べるとともに、映画業界等で行っているレーティングのような新たな自主規制の検討を始めています。都は、出版業界と日ごろから十分な連携をとるとともに、業界の取り組みへの支援も行うべきです。青少年の健全育成のために、都は出版など関係業界の自主的取り組みを尊重し、ともに協力して取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 平成十一年に成立した児童買春・児童ポルノ禁止法における都の責務は、児童買春や児童ポルノの頒布などの行為を未然に防ぐための教育及び啓発、行為の防止に資する調査研究の推進に取り組むことです。
 今回、児童ポルノの根絶に向けた都の取り組みを改めて都条例に規定する上で、国会において議論が継続している、新たに免罪を生むのではないかと我が会派が懸念していた単純所持の規定を見送ったことの理由について、都はどのように考え、結論に至ったのか、都の見解を伺います。
 都は、インターネット利用にかかわる事業者の責務において、青少年インターネット環境整備法に定められている有害情報の範囲を超えない修正を行うとともに、有害情報の基準設定に干渉するおそれがある規定を削除しました。
 また、現実に、青少年の不適切なインターネット利用が、青少年の売春や犯罪の被害、いじめなど、さまざまな問題を生じさせていることから、関係事業者等がフィルタリングサービスの開発や性能の向上、利用の普及を図っていくとの留意義務を追加する規定を加えました。
 青少年がインターネットを適切に利用できるようにするために、都は、自主的な取り組みを行う民間事業者などとより連携し、実効性あるものとしていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 まず、指定管理者制度について伺います。
 都の施設の管理運営に民間のノウハウを活用し、都民サービスの向上や経費の節減を図る指定管理者制度は、五年目を迎えました。この間、都は、管理業務の内容の精査や事業内容に見合った委託料の算出、都の関係者が半数を占めた選定委員会の構成に対して、外部委員を過半数含むよう見直すべきなど、監査や包括外部監査の指摘、意見を受けて、制度の改善に向けた取り組みを図ってきました。
 選定を受けた監理団体等の事業者においても、管理や事務処理の不適正な点、利用者の満足度調査の不十分さ、再委託における随意契約の見直しといった課題があるとして、意見が付されているところです。
 そうした中でも、指定管理者制度の導入により、官民の協働による豊かな公の構築や都民サービスの向上、効率性の追求といった目標はどのように具体的に達成されてきたのでしょうか、都の見解を伺います。
 指定管理者の指定において、防災公園グループと文化財庭園グループ、臨海副都心地区公園グループの選定で公募が行われず、監理団体である東京都公園協会と東京臨海副都心グループがそれぞれ特命選定を受けました。しかし、国は、国立東京臨海広域防災公園の運営維持管理業務を公募し、民間事業者が落札しました。都も、この民間事業者を隣接する都立東京臨海広域防災公園の指定管理者として最適と認め、第二回定例会で議決をいたしております。防災公園も民間事業者で管理できるのではないでしょうか。
 そして、文化財庭園に関しては、広島県の縮景園や、愛媛県の松山城・城山公園、島根県松江市の松江城・城山公園、奈良県の吉城園、大阪府岸和田市の五風荘などは、指定管理者制度で公募、競争の上、民間事業者が選定されています。いずれも歴史ある公園、庭園です。
 臨海副都心地区における公園に関しても、幕張新都心にある千葉県立幕張海浜公園では、公募、競争の上、民間事業者が選定されています。幕張でできて、なぜ臨海副都心でできないのでしょうか。
 国や他自治体においては、意欲ある事業者が応募し、競争の上、選定が行われている現状で、東京都公園協会が防災公園グループと文化財庭園グループの指定管理者の特命選定を受けるに値する、都民も納得する正当な理由は一体何なのか、都の見解をお伺いいたします。
 また、東京臨海副都心グループが臨海副都心地区公園の指定管理者の特命選定を受けるに値する、都民も納得する正当な理由とは一体何なのか、都の見解を伺います。
 次に、監理団体について伺います。
 厳しい経済情勢の中で、都は安心・安全の東京を築いていくために、施策を厳選し、財政力を最も有効に使っていかなければなりません。監理団体は行政の業務の一部を推進するための役割を担っており、都は、公の施設の管理業務などアウトソーシングが可能な業務の相当部分を監理団体に委託するとともに、昨年度予算で二千三百八十五億円の財政支出をしています。
 東京都公園協会も、平成二十年度決算において七十二億円の受託事業を受け、特命契約を二百四件締結しています。東京都公園協会は、特命選定を受ける予定の防災公園グループや文化財庭園グループの各種委託契約において、競争入札回避というべき随意契約、特定契約を行うなど、透明性、経済性の視点が欠けた制度運営を行っていました。
 今年度、都議会民主党は、決算特別委員会や各常任委員会において、都を支援、補完する監理団体を検証し、その活用について都側のチェックが不十分な事例を確認してきました。
 都においては、総務局と各団体を所管する各局とが監理団体に対する問題意識を共有し、議論を踏まえ、継続的に見直していくことが必要と考えています。中でも、監理団体が都から特命で受託する事業については、都の事業を代行して実施していることから、監理団体は、その事業の効果とともに、税金の使途をさかのぼって広く明らかにしていく必要があります。
 また、監理団体の情報の開示に関する取り組みなどの観点からも、経営の透明性の向上を図り、都民への説明責任を果たしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、入札契約制度改革について伺います。
 現在、都は、公共調達の公平性や透明性の向上を図るとともに、品質確保を中心とした入札契約制度改革を推進しています。それは、都民に信頼される制度を目指すものですが、このたび、市場や港湾施設の工事契約において、最低制限価格の設定を誤って入札を行ったミスが公表されました。中には、工事がほとんど完成し、事業への影響が大きいことから契約の見直しができないものもあります。誤った契約事務手続は、応札した全事業者、そして落札が可能であった事業者に多大な迷惑をかけ、都の契約制度に対する都民の信頼も失いかねないのではないかと考えるものです。
 都の入札契約制度改革に対する期待や、公平かつ公正な競争を今後確保していく上でも、過誤を犯した契約事務の反省を踏まえた今後の再発防止に向けた取り組みが重要となりますが、都の見解を伺います。
 次に、犯罪被害者等支援について伺います。
 ことしも犯罪被害者週間と人権週間の季節になり、犯罪被害者支援シンポジウムを初め、さまざまな周知に向けた取り組みが行われました。だれもが犯罪被害者になり得る環境の中、都は、国の動きに合わせて五年間の新たな犯罪被害者等支援計画素案を提示しました。
 計画は、被害者の立場に立つ、都の状況に応じた支援拡充、そして明確な数値目標があるべきで、新たな計画についても検証が必要です。また、都が青少年の健全育成において取り組みを強化する児童ポルノ等による性的虐待への保護、回復についても、子どもの権利を守る立場からしっかりと対応する決意を示すべきです。
 被害者の相談に関しては、刑法犯の認知件数や交通人身事故の発生件数に対する相談件数三千三百四十二件から見ても、被害者に対する相談窓口のさらなる周知が必要と考えます。現在、警視庁によって被害者の手引が配布され、今後は、医療機関等に総合相談窓口と支援策の情報提供を進めるとしていますが、以前作成した医療機関向け対応マニュアルの活用と実施状況に関しての検証と今後の方針がないため、一過性の対応ではないかとの感がぬぐえません。
 また、手引の配布に関しても、犯罪のショックが大きい事件直後では相談できる状態ではなく、アメリカのペンシルベニアで実施されている、被害者が相談したいと思ったときに、各種相談窓口や警察の担当者名など必要事項が記載された、お財布に入る程度の大きさのカードを手渡しておくような取り組みも検討すべきだと考えます。被害者の皆さんが相談しやすい環境整備に向けた取り組みについて、都の見解を伺います。
 私は昨年、市区町村への支援を行い、犯罪被害に遭った都民がひとしく同水準の支援を受けられるようにすべきと訴えました。被害者支援を行う自治体の窓口は四十三カ所になったとしていますが、残りの十九自治体において窓口設置が進まない理由である、支援精通人材の確保や被害者の実態の把握、ニーズの把握、予算確保などの課題解消を図り、取り組み体制の充実を図っていかなければなりません。
 また、自治体における相談事業の実態を都が把握して、今後の被害者支援事業の展開に資するべきと考えます。そこで、市区町村における相談窓口の設置と機能充実に向けた支援を行うとともに、多摩地域にも都の被害者相談窓口を設置すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 犯罪被害者等の実態に関する調査において、都の支援策の存在など、具体的な内容について周知されていなかったというアンケート結果があり、都も周知啓発を予定していますが、都民の理解を深めるためには、支援条例の制定が不可欠であると考えます。
 本年四月に内閣府が公表した調査報告書によれば、犯罪被害者施策に関する規定を含む条例は全国で百五十三条例、犯罪被害者等に特化した条例は全国で二県、五十七市区町村で制定されています。都が条例を制定することによって、都民に、だれもが犯罪被害者になり得る環境にあり、犯罪被害者支援の推進が急務であるとのインパクトを与え、支援策や都民に被害者の皆さんが置かれた現状を理解させるべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、児童虐待について伺います。
 虐待で幼い命が奪われる痛ましい事件が後を絶ちません。十年前の平成十一年度には一千三百十五件でしたが、平成二十一年度には三千三百六十六件あり、二・六倍にふえています。
 そうした中で、児童福祉司一人当たりの新規相談受理件数は九十七・二件と、児童福祉司を増員したこともあり、百二十件近くに上っていた平成十七年度よりは減少していますが、困難ケースの増加によるものか、一件当たりの相談回数は七・四回と一回増加しており、継続調査案件を含めると、相変わらず大変な業務量となっています。
 引き続き児童相談所の虐待対応力を充実強化するために、都としてどのように取り組むのか伺います。
 児童相談所による直接的な相談、指導に加えて、虐待による一時保護の後に家庭復帰した場合や、要支援、要注意家庭への支援を行っているのは市区町村です。児童虐待の予防的支援や家庭復帰後の見守りをより一層きめ細かく行っていくためには、市区町村における対応力強化が必要です。
 子ども家庭支援センターを中心としたサポートや見守り機能が徐々に充実してきており、虐待対応などの付加的事業を行う先駆型子ども家庭支援センターの設置も進んでいます。子育て相談、一時保育や育児ヘルパーの派遣など在宅サービスの調整など、一般的な子ども家庭支援サービスに加えて、虐待が認められる家庭の見守りなどの、より高度、専門的な仕事を担う先駆型子ども家庭支援センターにおいては、児童相談所による専門的支援強化を求める声や、要支援家庭等の増加に伴い対処し切れないといった声も聞かれます。
 そこで、児童相談所の機能強化に加え、さらにすべての先駆型子ども家庭支援センターの虐待ケースの調整を行うコーディネート機能の強化、虐待ワーカーの増配置などを行うなど、市区町村の対応力強化に向けた支援策強化が必要と考えますが、見解を伺います。
 虐待など、さまざまな理由から児童養護施設に入所する子どもは、年々増加しています。特に身体的虐待を受けた子どもは、その後、他人とのコミュニケーションがうまくできない、感情の抑制ができないなど、精神的に不安定な状態が続き、中には身体的発達におくれが出る場合もあります。施設職員との信頼関係や他の入所児童との関係が築けない、さらに、学校や近隣でのトラブルになるなど社会とうまくいかない経験がたび重なってしまうと、心身に大きな傷を抱えたまま成長することとなってしまいます。つらい経験を乗り越えて社会に出る力をつけていくためにも、措置児童に対する専門的ケアを強化拡充することが必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩・島しょ地域の振興について伺います。
 現在の東京都の観光振興プランでは、多摩地域は広域観光ルートを開発するとともに、特色ある多摩の魅力を発信、また、島しょ地域は島ごとの特色を生かし、季節ごとの体験メニューの開発や魅力ある宿泊施設への改善などを図っていくこととしています。こうした行動指針のもと、観光を重要な産業として位置づけ、種々の観光振興策に取り組んできたところですが、現状では、目途とする平成二十三年度に、その期待された効果が十分にあらわれるとはいいがたい状況です。
 同地域は、山と海の豊かな自然に恵まれ、多摩には歴史的な建造物やアミューズメント施設、各所に点在する各種の博物館、資料館、公園、動植物園、温泉など、多くの観光資源があります。また、島しょは、伊豆諸島や小笠原諸島という固有な自然や文化、歴史を持つ島々です。
 しかし、依然として、これらの地域の観光は低迷傾向にあり、これからの社会経済状況を見ても、産業の中核として、自立した地域経済を築き上げる観光への期待は高まっています。
 一方では、同地域には首都圏三千万人のポテンシャルがあり、このことは、恐らく他の観光地から見れば垂涎の的であるにもかかわらず、この利点を活用し切っていないのが現状です。
 また、観光産業は民間の力も大きな要素となりますが、多摩の幾つかの市町村や島しょの町村では、民間の力は期待できず行政の支援が必要です。また、さらに総合産業としての観光には、単に観光を担当する部局だけではなく、関連する部局での横断的な体制による支援が必要と考えます。PRを初め、観光客の多様化するニーズに対応した施設整備、例えば増改築したり、エアコンやトイレのウオシュレット化など、必要最小限の整備に対する経費の一部負担や低利融資など、投資に対する補助制度の創設、また、島しょ地域では交通費の低廉化に対する支援策が必要になっていると考えます。
 これからは、多摩・島しょ地域の振興の柱は観光であるという認識のもと、地域の自立に結びつくような取り組みをする市町村には、積極的な支援をしていくという姿勢が重要であると考えております。観光に対する支援策の現状、また、今後の支援策のあり方について都の見解を伺います。
 小笠原諸島は、二〇〇七年に世界自然遺産の候補地として暫定リストに掲載され、登録のための取り組みがスタートしました。小笠原の自然を保全していくためには、地元関係機関の合意形成の場である地域連絡会議や、学識経験者等で構成する科学委員会が設置され検討を重ねることで、これまでは弊害となっていた縦割り行政を払拭したさまざまな協力連携が行われてきています。
 そして、自然の保護という世界自然遺産の本来の目的と、観光という地域経済へのメリットというバランスを、かねてから都が進めてきた東京都版エコツーリズムにより保っていくなど、適正な管理のあり方が管理計画にまとめられました。
 その後、本年一月には、日本政府から推薦書が事務を担当する国連教育文化機関、ユネスコに提出され、来年夏ごろに開催される世界遺産委員会での正式決定に期待が高まっているところでもあります。
 そこでまず、小笠原諸島の世界自然遺産登録の進捗状況について伺います。
 小笠原諸島は、島の発生以来、一度も大陸とつながったことがない海洋島のため、独自の生態系が形成され、多くの固有種や希少種が存在しており、この生態系をしっかり守っていく必要があります。そのためには、既にユネスコに提出した管理計画を、登録前から着実に実行することが最も重要と考えます。
 管理計画には、島ごとの戦略的な生態系の保全、各種事業での環境配慮の徹底、エコツーリズムの推進などが盛り込まれています。管理計画の推進に当たっては、国や村だけではなく、地元の方々が参加する地域連絡会議との密接な連携が重要であると考えます。
 来年夏の世界自然遺産登録に向けてはもちろんのこと、登録後も、国、村、地域の方々と連携して、管理計画に基づき、小笠原諸島の自然環境の保全を一層推進していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 初めに、多摩のスポーツ振興について伺います。
 スポーツは、人格の形成、体力の向上、健康長寿の基礎であるとともに、地域の活性化など、明るく豊かで活力に満ちた社会を形成する上で欠かすことのできない存在です。また、スポーツ大会やスポーツイベントには大きな集客力があり、地域でさまざまなスポーツが実施されるようになれば、地域の活性化にもつながります。
 都は、本年七月にスポーツ振興局を設置し、スポーツ施策に一体的に取り組んでいく体制を整備しました。これまでも、東京マラソンなどさまざまな事業を展開していますが、スポーツ振興に一層積極的に取り組むことが求められます。
 しかし、民間、行政も含め、スポーツイベントの開催やスポーツ施設は都心部に集中しているなど、多摩地域は、スポーツに親しめる機会が必ずしも十分であるとはいえないのが実情です。東京都全体でスポーツを盛り上げ、スポーツ都市東京を実現するためには、この実情を改善しなくてはなりません。
 多摩は、多様な自然環境に恵まれた緑あふれる地域が特色であり、例えば、御岳渓谷におけるカヌーや多摩川沿いでのサイクリング、奥多摩や高尾山などにおけるトレッキングなど、スポーツを通じて、都心では得ることのできない爽快感を味わうことができる魅力的なエリアがそろっています。
 東京都全体のスポーツを盛り上げるために、このような都心部とは異なる多摩地域の特色を生かし、スポーツ施設の整備やスポーツイベントの開催など、多摩地域におけるスポーツ振興を一層推進すべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、子どもの体力向上施策について伺います。
 子どものときから規則正しい生活習慣を心がけ、外遊びやスポーツなどの運動習慣を身につけ、体力向上を促すことは、学ぶ力や規範意識を高める上にも、また、将来の成人病予防の観点などからも非常に重要であります。
 子どもの体力向上は、都教育委員会にとどまらず、関係する部局とも連携を図り、積極的かつ総合的に取り組むべき施策です。例えば、校庭の芝生化を初めとした東京の緑地化により、身近で子どもが遊ぶ場、運動する場を環境局や都市整備局と連携し確保していくことや、スポーツ振興局と連携した地域スポーツクラブの活用など、子どもの体力向上に資するあらゆる対策を図ることが重要と考えます。
 そこで、都教育委員会は、子どもの体力向上に向け、関係各局と連携を深め、情報の共有化やその他相互の支援を通し、プロジェクトの推進を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 また、子どもの遊ぶ場が減少している問題や、交通事故や不審者に対する安全対策等の都内の環境条件から、体を動かせる場の制約がある中で、都教育委員会として、子どもの体力向上に対してどのくらいのプライオリティーを置いて取り組み、具体的にはどのような施策を講じているのか伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 初めに、食育について伺います。
 食育は、特定の教科で指導が行われるものではないため、ともすると、食育の授業や食農体験は一過性のものとなってしまうことが考えられます。そのため、現在、都内公立学校で実施されている食育の取り組みによって、児童生徒のふだんの食生活に影響を与えられるように、都教育委員はどのような工夫、取り組みを図っているのか伺います。
 次に、食育の一環として、小中学校の児童生徒による農業体験について伺います。
 食育における農業体験の教育的効果は、食料自給率問題、エネルギー供給問題に対する自発的な関心を呼び起こすと同時に、生産者の苦労の理解、自然への感謝、勤労の意義といった情操教育に寄与するものと考えます。さらに、都市農業の発展という観点から、農地の有効活用にもつながるという、さまざまな効果も考えられます。
 平成十七年七月に食育基本法が施行され、学校における食育推進体制の整備が求められることになりました。それを受けて都教育委員会では、平成十八年七月に公立学校における食育に関する検討委員会を設置して、学校における食育に関するさまざまな事項を検討し、その結果をまとめた報告書には、学童農園などの生産体験学習を積極的に実施することが求められるとしています。
 現在、東京都は、都市農地保全に向けた施策を実施しています。そのような中で農業体験の重要性や効果を考えますと、都教育委員会が産業労働局等との連携を図り、小中学校の児童生徒の農業体験を積極的に進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、道徳教育について伺います。
 前回の代表質問では、都立高校における道徳教育について、本年度から道徳教育の重点目標や各教科や特別活動等と道徳との関連を示した指導計画を作成するよう指導しており、今後も充実化に努めるという答弁をいただきました。
 また、主に小中学校における道徳教育については、来年度の予算要求における都教育委員会の新規事業として、東京の子どもたちの豊かな心を育成するための道徳教育の充実を掲げております。
 このような道徳教育の充実化を図る動きの中、徳育の中でも、特に自発的に社会に役立とうとする公共心の涵養が重要と考えます。その点で、都立高校における教科「奉仕」は、実践型の体験を通した学びであり、机上で情報を受け取る授業より、生徒の意識に浸透しやすい効果がある教育であり、地域の人々からも、よい取り組みだとの声を聞きます。
 一方、道徳の授業に関しては、読み物資料を使った授業を通して児童生徒に考えさせ、理解を促すという方法が主流であります。徳育の充実を今後一層図るのであれば、頭での理解にとどまらないよう、奉仕の実践活動のように、児童生徒の道徳的実践力の涵養が図れるような取り組みについて検討していくべきだと考えますが、都教育委員会の所見を伺います。
 次に、都立高校では平成二十四年度より日本史必修となる予定ですが、我が国の歴史と文化を知ることは郷土愛につながり、ひいては日本人としての自覚を養うことにつながると考えます。特に江戸時代は、歴史に残る未曾有のことと絶賛されるほど、約二百五十年も長く続いた平和、また、江戸に住んでいた人々の識字率が七〇%から八〇%に達していたという教育水準の高さや暮らし向きのよさなど、誇りにすべき歴史、文化が数多くあります。
 高校生がこうした我が国の誇るべき歴史を学び、将来、歴史を踏まえた日本の立場や考えをしっかり主張できるようになることが大切だと考えます。
 そこで、日本史の必修化においては、我が国の誇るべき歴史を学ぶことで、国際社会に生きる日本人としての自覚を高めていくような教育、これからの社会の担い手として国際社会で活躍していこうとする高い気概を持てるような、魅力ある教育を行っていくべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 ことし九月、都は、住宅施策と福祉施策が連携し、総合的に施策を推進するため、高齢者の居住安定確保プランを策定しました。
 この中では、バリアフリー化など、住宅の質を確保するとともに、緊急通報や安否確認など質が確保された生活支援サービスを提供し、高齢者が適切な負担で入居できるような高齢者向けケアつき賃貸住宅を、東京モデルとして、平成二十六年度末までに約六千戸供給することが目標として示されています。
 高齢者向けケアつき賃貸住宅の整備に向け、現在、都は高齢者向け優良賃貸住宅供給助成事業や、サービスつき適合高齢者専用賃貸住宅供給助成事業を実施していますが、これら事業は市区町村が事業者募集や補助を行い、都は、市区町村に対して補助を行っているものです。
 しかし、平成二十一年度末現在、都内の適合高齢者専用賃貸住宅は、六区六市で七百五十四戸が整備されているにすぎません。民間事業者による高齢者向け優良賃貸住宅も、九区三市でわずか六百六戸が整備されているのみとなっています。
 私たちは、計画に示された供給量の目標を達成することはもちろんのことですが、既に整備された住宅の入居率などの実態についても、さらに詳細に分析し、制度の充実改善を図るとともに、市区町村による高齢者向けケアつき賃貸住宅の整備に向けた積極的な取り組みを促し、多くの市区町村で整備を進めていくことが必要だと考えます。都の認識と今後の取り組みについて所見を伺います。
 都は、子どもの安全確保や子育て支援施設の併設等に配慮した子育て世帯向けの民間賃貸住宅をモデル的に供給するため、東京都子育て世帯向け優良賃貸住宅供給助成事業モデル事業を今年度から開始しています。
 この事業では、平成二十四年度までの三年間にわたり、新規住宅供給型及び既存ストック改良型の合計三百戸のモデル住宅を供給することとなっています。
 私たちは、この取り組みを否定はしませんが、住宅供給のあり方として、子育て世帯向け住宅だけ、あるいはさきの高齢者向け住宅だけに特化した事業には違和感を持っています。
 事業性を考えれば、ある程度のボリュームで同じサービスを受けられるようにまとまっていることが望ましいことは理解していますが、もっと多様な世代が集まって生活できる地域コミュニティの形成を目指すような事業スキームを組み立てるべきと考えます。
 このようなコミュニティバランスに配慮しつつ、少子高齢化に対応した住宅供給のあり方について所見を伺います。
 ことし十月五日、国土交通省の検討会において、独立行政法人都市再生機構、URの今後のあり方について報告書がまとめられ、URの今後の組織形態としては、完全民営化、政府一〇〇%出資の特殊会社、新しい公的法人のいずれかにすることが望ましいと提示されました。
 ただし、完全民営化については、最も有効な組織形態ではあるが、繰越欠損金が三千四百九十五億円、有利子負債が十三兆五千百九十九億円と、借金が多過ぎて現実的ではないとされたため、これを受けて、国土交通大臣は、後者二案を軸に改革を進める方針を示しました。
 一方、東京都は、都の監理団体である東京都住宅供給公社、JKKの民営化について、さきの決算委員会において、現実的ではないとの見解を示しました。
 同時に都は、JKKが、包括外部監査における指摘を踏まえ、東京都からの借入金について早期償還計画を策定し、従来の予定よりも百年前倒しして償還することなどを明らかにしています。
 これについて、私たちは、JKKの財務体質が極めて健全であることを示しているものであり、JKKの民営化には経営上の障害はないものと受けとめています。
 また、JKKの主な事業は、公社賃貸住宅の管理と建てかえ、都営住宅など公営住宅の管理受託などであり、これらの事業は、仮にJKKを民営化しても、公社賃貸住宅は民間賃貸住宅事業として、また公営賃貸住宅は引き続き管理受託事業として継続が可能と考えます。
 ことし九月に示された東京都監理団体活用方針では、JKKを引き続き監理団体として活用していくことが示されていますが、JKKを公社として存続させる理由、また民営化に向けた課題について、あわせて所見を伺います。
 最後に、築地市場の再整備について伺います。
 石原知事は、今定例会の所信表明に先立ち、十月二十二日の定例会見において、豊洲移転を進めていくことを決断したと発言し、あわせて、議会が決めかねるから決断した旨発言しました。
 十月二十二日という時期に、石原知事が豊洲移転を決断しなければならない必然性がどこにあったのか、それこそ強引な決断であったといわざるを得ず、私たちは大変な怒りを感じています。
 石原知事は、所信表明でも、現在地再整備は十数年かかる致命的な事実が明らかになったと発言していますが、石原知事がいう十数年というのは、現在地再整備が完成するまでの期間でしかなく、仮設に移転をした時点で、大雨による浸水被害も含め、老朽化のリスクは解消するのです。
 また、石原知事は、現在地再整備の可能性についての議論は、第三回定例会で尽くされたと思いますと、感想らしきことを述べられていますが、特別委員会での報告は、あくまでも中間報告です。都議会での取り組みを勝手に解釈し、強引に豊洲移転を進めるのであれば、今後の関連議案について、都議会の合意を得ることは困難になります。
 また、その後、地元中央区からの要望が提出されたことや、水産仲卸の総代選での結果などだけを見ても、現在、東京都が強引に進めようとしている豊洲移転案にも、合意があるとは到底思えません。それにもかかわらず、十月二十二日に豊洲移転を決断するまでに至った石原知事の見解を伺います。
 石原知事は、十月二十二日の定例会見で、業界の意向調査について聞かれ、さんざんしましたと述べていますが、一体、いつ意向調査を実施したのでしょうか。
 十一月二十四日に行われた水産仲卸の総代選挙では、五十二対四十八で、いわゆる移転反対派が過半を占めたと聞いていますが、これこそ、石原都政が業界の大方の合意を得ようとしてこなかったことのあらわれです。
 そもそも、この選挙戦を前に、石原知事が豊洲移転を宣言したり、その内容を書面にして全組合員に配布したり、投票日にあわせて豊洲移転サポート相談室の開設を発表したり、選挙介入を思わせる行政にあるまじきやり方が、この間の市場関係者の根強い不信感となっているのです。
 私たちは、業界の大方の合意を得るために、市場関係者に対する意向調査を実施すべきと主張してきましたが、東京都の一方的な方針を既成事実として押しつけようとするやり方こそ、強引であるといわざるを得ません。
 今回の総代選挙を踏まえ、水産仲卸業者の意向がどのようなものであると認識しているのか、見解を伺います。
 十月二十七日には、地元自治体である中央区から、中央区長並びに区議会自由民主党、公明党、友愛中央、民主党区民クラブの各幹事長の連名による築地市場移転問題についての要望書が提出されました。
 要望では、平成十六年十二月にも築地市場地区の活気とにぎわいビジョンを策定し、都知事あてに検討、協議をお願いしたとのことですが、今回、地元中央区が改めて要望してきたということは、石原知事が何年もの間、地元自治体の要望をさんざん無視し、豊洲移転だけを強引に進めてきたことの証左にほかなりません。
 石原知事は、十月二十九日の定例会見で、論外、論外、こういう機能は一カ所に集約して初めて機能が上がると述べていますが、地元中央区からの要請さえもまともに聞かず、門前払いするような姿勢では、大方の合意形成を図っていくことは困難です。
 東京都においても、地元中央区などの要望について真摯に対応すべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁の内容によっては再質問を留保いたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、今後の雇用就業対策についてでありますが、長引く景気の低迷の中、失業率の高どまりや前年度よりさらに悪化している大学生の就職内定率など、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 この問題の本質的な解決のためには、国が、正確な成長戦略のもとに、実効性のある経済対策を進め、雇用を創出することが不可欠でありますが、国は、いまだに有効な対策を打ち出しておりません。
 都はこれまで、雇用創出や職業訓練の大幅な拡充、さらには就職支援の強化など、切れ目のないさまざまな雇用対策を打ち出してきました。
 今後も、これらの対策などを強化し、機を逸することなく、重層的に雇用就業対策を実施してまいります。
 次いで、横田基地におけるビジネスジェットの受け入れについてでありますが、世界が非常に時間的、空間的に狭小となった今日、空からのアクセスは、国家の繁栄、成熟のために極めて重要な意味を持つと思います。
 首都圏の空港機能を補完する横田基地の軍民共用化は、我が国の国際競争力を強化するため不可欠であるとともに、多摩地域の活力も増大させるものであります。
 しかし、米側は、首都東京にある膨大な横田基地を、かつての世界大戦の勝利の記念品と称しております。
 日本の力が集中集積する首都圏には、多くのビジネスチャンスが存在しまして、世界をまたにかけて活動する企業の経営層は、ビジネスジェットの乗り入れを熱望しております。にもかかわらず、羽田、成田両空港では容量に限界がありまして、とても十分な受け入れができません。現況では、ビジネスジェットの乗り入れについては、二月前に申請しないと許可が得られないという、非常に厄介な状況にありますが、このため、横田基地においては、平時はほとんど使ってない滑走路などを活用しまして、ビジネスジェットの受け入れを図ることは、極めて合理的でありまして、また米国企業にも大きなメリットがあるため、軍民共用化を実現する上での突破口となり得ると思います。
 トム・ドナヒューという、今、アメリカの商工会議所の会頭、私、友人でありますが、彼なども、口酸く、なぜ横田をあけさせないんだというから、おまえたちが頑張って、国防総省にかけ合って横田をあけろと、そういう会話を年じゅう交わしております。
 今後とも、我が国政府や米国政府を初め、広く経済界などに対しても働きかけまして、首都東京、ひいては日本の将来のために、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。
 次いで、新銀行のセカンドステージに向けた方針など考え方についてでありますが、これは事が交渉案件でありまして、従来申し上げているとおり、事柄の性格上、今の段階で詳しくお答えできるものではありません。
 それから、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京は、親身に取引先の経営相談に乗るなど、きめの細かい対応を行うとともに、貸付条件の変更を行う、いわゆるリスケジュール、リスケ、これをほとんどの銀行は行っておりません。わずかな貸し金なら倒産させてしまえということで、倒産を続出させていますけれども、放置して。新銀行は、経営陣が非常に頑張って、きめの細かい対応を行っておりまして、他行に先駆けたそういう努力をすることで、小零細企業の支援を行いながら、懸命に再建に取り組んでおりまして、実績も上がってきました。
 こうした努力の結果、平成二十二年中間決算においても黒字を計上しておりまして、再建は着実に今進んでおります。
 新銀行東京が黒字決算を継続していけば、信用度も上がり、その結果、セカンドステージが開かれます。
 セカンドステージの姿については、前にもお話ししましたが、実は、新経営陣が着任する前にも、ヨーロッパのイギリス、そしてドイツの有力な銀行が、東京の将来を見込んで、ぜひ協力をしたいということをいってきて、かなり緻密な交渉をしたんですが、リーマンショックで、この二つの銀行は倒れちゃうということで、逆に、その一つは、新銀行東京に助けてくれと、ちょっと主客転倒したオファーもありましたが、いずれしろ、そういう紆余曲折を経てこの段階まで来まして、新銀行東京自身が立ち直ってきました。
 これから、違った形でセカンドステージというものを考えて銀行を補強していかなきゃならぬと思いますし、そうすることで、当初の目的である小零細企業への融資も濶達に行われると思います。議員の皆さんも、反対だけではなしに、ひとついい知恵があったらかしていただきたい。
 次いで、築地市場の豊洲移転についてでありますが、築地市場は、わずかな揺れの地震でさえ、屋根の一部が落下するまで、施設の老朽化がきわまっております。先日の大雨でも、市場の至るところが冠水し、売り場では停電が発生して、エレベーターに人が閉じ込められるなど、市場業務に大きな支障が生じました。
 このように耐用年数の限界を大きく超えた施設では、産地、顧客が求めるニーズへの対応もままならず、市場業者はますます疲弊して、じり貧となるなど、その経営環境も一段と悪化するのは必至であります。
 現在地での再整備は、仮にすべてが順調に進んでも十数年かかりまして、前提となる晴海ヘの仮移転は二重投資となるなど、到底容認できないというのが業界の声でありますし、常識で考えても当然のことでしょう。
 こうした現実を直視し、現場に即して柔軟かつ冷静に判断すれば、現地再整備が全く選択肢たり得ないことは明白であります。にもかかわらず、議会としての結論は、先の展望も示されぬままに先送りされました。
 業界団体の大多数も、早期の豊洲移転を望んでおりまして、現場に先の見えぬまま待つ不安、焦燥、混乱を強い続けるわけには、行政側としてはできません。慎重な検討なる美名のもとで議論をいたずらに継続し、現地再整備に固執することこそ、強引であるとのそしりを免れないと思います。
 これに似た案件の八ッ場についても、新任の大臣は、非常にクールに現場を見て、ある大きな決心をしたと思いますが、いずれしろ、現場をもう少し詳細に見て、現場の人の声を本当に聞いて、この問題を判断していただきたい。
 豊洲移転の決断は、首都の行政を預かる主体者の責任として、首都圏三千三百万人の食生活を支える新市場の整備にしっかりと道筋をつけることでありまして、昭和からの宿題にここで区切りをつけるものです。
 現在、議会でもさまざまな議論はありましたが、よりよい豊洲移転に向けて、ともに知恵を出し合っていく時期に来ているんじゃないでしょうか。
 他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、外部人材を活用した情報リテラシー、情報モラル教育や性にかかわる教育についてでございます。
 現在、各学校においては、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて情報リテラシー、情報モラル教育や性にかかわる教育を適切に行っているところでございますが、必要に応じて、外部人材等と連携した取り組みを進めることは重要でございます。
 これまでも都教育委員会は、情報リテラシー、情報モラル教育に関しましては、民間委託による学校非公式サイトの監視や、警視庁や東京都青少年・治安対策本部との連携によるハイテク犯罪対策シンポジウムを行うとともに、すべての公立学校が実施するセーフティー教室を外部人材の協力を得て開催するなどしてまいりました。
 また、学校における性にかかわる教育に関しては、児童生徒の人格の完成を目指す人間教育の一環として、児童生徒の発達段階を踏まえ、学習指導要領に基づき組織的、計画的に行われており、都教育委員会は、東京都医師会や東京産婦人科医会の協力のもと、都立高校に産婦人科医を派遣して、生徒、保護者及び教職員に対する相談活動や講演会を行う専門医派遣事業を実施しております。
 今後とも、こうした外部人材を活用した取り組み等を通して、子どもたちが被害者にも加害者にもならないよう、情報リテラシー、情報モラル教育や性にかかわる教育を充実させてまいります。
 次に、子どもの体力向上に向けた関係各局との連携によるプロジェクトの推進についてでございます。
 体力は、知力や気力の源であり、子どもが健全、健康に成長していく上で必要不可欠なものでございます。東京都の子どもの体力が長期的に低下傾向にある原因や背景には、子どもを取り巻く環境、外遊びやライフスタイルの変化等さまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
 このため、都教育委員会は、平成二十一年五月、福祉保健局や環境局等関係各局の協力を得て、子供の体力向上推進本部を設置したところでありまして、引き続き、スポーツ振興局を初めとして、関係各局との連携のもとに、子どもの体力向上の推進に努めてまいります。
 次に、子どもの体力向上に対する具体的施策についてでございます。
 都教育委員会では、子どもの体力向上は、学力向上や健全育成と同様に、教育指導上の最重要課題であると考えております。子供の体力向上推進本部においては、子どもの体力の現状や低下の原因を分析し、今後の目標設定や取り組みの方向性等について、平成二十二年七月、総合的な子供の基礎体力向上方策第一次推進計画を策定いたしました。本推進計画では、子どもの体力向上に取り組むための仕組みづくりや環境整備を主要な取り組みの一つと位置づけております。
 今後とも、健康づくりやスポーツ振興、校庭の芝生化等、関係各局、関係機関と連携協力した施策展開により、局横断的に子どもの体力向上の実現に努めてまいります。
 次に、都教育委員会の食育の工夫、取り組みについてでございます。
 近年、偏った栄養摂取、朝食欠食といった食生活の乱れなど、子どもたちの健康を取り巻く問題が深刻化している中、食育の推進は、望ましい生活習慣を身につけさせ、学力、体力の向上にもつながることから、極めて重要であると考えております。
 児童生徒のふだんの食生活を望ましいものとするためには、家庭との連携が不可欠でありますことから、都教育委員会は、公立小学校入学前の子どもの保護者全員に、生活習慣の確立に向けた啓発資料を配布しております。
 また、都内公立学校では、栄養教諭や食育リーダーが中心となって作成した食に関する指導の全体計画に基づき、さまざまな教科で食育に関する授業を実施いたしますとともに、保護者を対象とした食育の授業公開や親子料理教室の実施、食育便りの発行等、多様な取り組みを進めまして、食育の趣旨の浸透を図っているところでございます。
 次に、小中学校の児童生徒の農業体験についてでございます。
 食生活が自然の恩恵の上に成り立つことの理解を深め、生命及び自然を尊重する態度を養う農業体験は、食育を推進する上で重要でございます。
 都内公立小中学校では、地域の実情に応じて、学校給食の食材提供者や学校近隣農家、農協、NPOなどと連携し、コマツナ、大根、米などの種まき、田植えから収穫までの農業体験が実施されております。
 また、本年度は、都内公立小学校の二十五校で、産業労働局と連携し、子どもたちに自然や命のとうとさ、環境や食べ物の大切さを伝える生産体験の推進事業にも取り組んでおります。
 こうした農業体験を通じて、作物を栽培する上での苦労を身をもって味わうことにより、勤労を重んじる態度の涵養ができたとの報告や、食への感謝の念が生まれ、学校給食での残菜が少なくなったとの報告がございます。
 都教育委員会は、関係各局等と連携をして、区市町村教育委員会等を支援し、引き続き農業体験を通じた食育の充実に努めてまいります。
 次に、道徳教育の充実についてでございます。
 小中学校における道徳教育は、児童生徒が豊かな心を持ち、自分の生き方についての考えや自覚を深め、道徳性を養うことをねらいとするものであり、そのためには、ご指摘のように、机上での学習にとどまらず、奉仕活動を初め、さまざまな体験活動を通して、道徳的実践力を育成していくことが重要であると認識しております。
 このため、都教育委員会はこれまで、都内すべての公立小中学校において、保護者や地域の人々との連携を図りながら、道徳授業地区公開講座や奉仕体験活動を推進するトライ&チャレンジキャンペーンを実施し、児童生徒に対して、公共の精神や規範意識、思いやりの心など、豊かな心をはぐくむための取り組みを行ってまいりました。
 また、都内の公立小中学校では、道徳の時間との関連を考慮しながら、総合的な学習の時間や特別活動などにおいて、例えば地域の清掃活動やアルミ缶の回収といったリサイクル活動などの社会に貢献する体験活動を行うことで、児童生徒に、人間としてよりよく生きていくために必要な道徳性を涵養する取り組みを行っております。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携を図りながら、学校における体験活動を通した児童生徒の道徳的実践力の育成に努めてまいります。
 最後に、都立高校における日本史必修化についてでございます。
 都教育委員会は、自国の歴史と文化の価値を十分理解させ、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを身につけさせるためには、高等学校においても継続して日本史を学ばせることが必要であると考えております。
 現在の学習指導要領においては、中学校では日本史を中心に学習することとされておりますことから、高等学校では世界史が全生徒の必修となっており、日本史については地理との選択制になっております。そのために、都立高校生のうち、約四分の一の生徒が日本史を学習しないまま卒業しております。
 これらの現状を踏まえまして、都教育委員会は、平成二十三年度から日本史必修化の試行に取り組み、平成二十四年度から完全実施することといたしました。
 江戸時代は、商品経済が発達し、五街道が整備され、寺子屋などの教育システムが整うなど、世界に誇るべき社会が江戸を中心に形成されておりました。また、ライプニッツやニュートンに先んじて、微分積分といった高等数学を考えついた関孝和など、すぐれた才能が開花いたしました。江戸期に成熟した独特の感性や高い文化、教育水準は、その後の時代に大きな財産として受け継がれ、日本が急速な近代化を遂げ、国際社会において確固たる地位を確立していく原動力となりました。
 こうしたことを踏まえまして、江戸開幕以降の歴史を江戸東京の変遷を切り口に学ぶ東京都独自の日本史科目「江戸から東京へ」を開発し、すべての都立高校生が近代以降の歴史を学べるよう、日本史を必修化したところでございます。
 今後、都立高校生に、近代以降の日本の歴史の学習を通して、日本の伝統や文化とその価値に対する理解を深めさせることで、日本人としての自覚と誇りを身につけさせてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 住宅政策に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者向け賃貸住宅の整備についてでございますが、高齢化が急速に進行する中、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択でき、住みなれた地域で安心して暮らすことができる環境の整備が重要でございます。
 このため、都では、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチームの検討結果に基づき、緊急通報などの生活支援サービスつきの高齢者向け賃貸住宅を位置づけ、その供給促進を図っております。
 また、こうした動きなどを受け、国におきましても、高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正を検討しております。
 高齢者向け賃貸住宅の供給を促進するに当たっては、地域の実情を把握している区市町村の役割が重要であると認識しております。
 このため、今年度から、都の支援を強化して、高齢者向け優良賃貸住宅の整備費や家賃減額等について、助成事業の実施主体である区市町村の負担軽減を図っております。
 現在、高齢者向け優良賃貸住宅の供給につきましては、平成二十一年度までに整備された約六百戸に加え、さらに約二百戸の工事や計画が進められております。
 この動きを加速させるため、都は、区市町村との連絡会等を通じて、施策実施に関するさまざまな情報や意見を交換するなど緊密な連携を図りながら、より多くの区市町村で高齢者向け賃貸住宅の整備が行われるよう、積極的な取り組みを促してまいります。
 次に、コミュニティバランスに配慮した住宅供給のあり方についてでございますが、年齢や世帯構成に偏りのないバランスのとれたコミュニティの形成は、地域活力の維持向上などに寄与する重要なことであり、地域のまちづくりの中で配慮されるべきものと認識しております。
 子育て世帯向け優良賃貸住宅供給助成事業や高齢者向け優良賃貸住宅供給助成事業は、住宅市場において供給されにくい良質な賃貸住宅の供給を促進する観点から実施しているものでございます。
 これらの事業は、子育て世帯や高齢者のみならず、だれもが住みやすい、安全面や使いやすさに配慮された住宅ストックを形成するものでございまして、特定の世帯しか住めない住宅を集中的に建設することを目的とするものではございません。これらの事業実施に当たっては、例えば、高齢者向け住宅について、子育て世帯向け住宅や子育て支援施設を併設したり、多様な世帯が居住する住棟の一部として設置するなど、コミュニティバランスの形成に資するさまざまな供給形態に柔軟に対応しております。
 また、都営住宅の建てかえによる創出用地を活用した勝どき一丁目プロジェクトでは、民間賃貸住宅の一部として、子育て世帯向け住宅を供給するなど、コミュニティバランスに配慮した取り組みを進めております。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、多様な人々がともに暮らすバランスのとれた地域コミュニティの形成に努めてまいります。
 最後に、東京都住宅供給公社の民営化等についてでございますが、公社は、地方住宅供給公社法に基づき設置される公共住宅の供給主体として、中堅所得者層向けの良質な賃貸住宅の供給を行ってまいりました。現在、少子高齢社会への対応が求められる中、公社では、新たに少子高齢対策室を設置し、一般賃貸住宅の建てかえに合わせた子育て世帯や高齢者向け住宅の整備などの検討を進めております。
 今後とも公社は、都の住宅政策を推進する上での重要なパートナーとして、少子高齢社会や環境問題への対応など、市場では十分に供給されにくい住宅の供給を基本としながら、公的な役割を積極的に果たしていくべきものと考えております。
 また、公社は、都営住宅や区市の公営住宅の管理を受託し、公営住宅の特性を十分に理解しつつ、行政と緊密な連携を図りながら、きめ細かに居住者への対応を行っております。
 民営化につきましては、今後も公社がこうした公的役割を果たしていく必要があることに加え、大きな税負担が発生するなど課題が多いと認識しており、考えておりません。
   〔主税局長荒川満君登壇〕

○主税局長(荒川満君) 今後の都税収入の見通しについてお答えいたします。
 まず、今年度の税収ですが、十一月末に申告された法人二税の状況を見きわめる必要はありますが、これまでの税収実績を踏まえれば、ほぼ当初予算の水準は確保できるものと考えております。
 一方、今年度前半の企業収益は改善傾向にありましたが、現在は海外経済の減速、円高の影響など、マイナスの要素も出てきております。こうしたことから、来年度の都税収入の見込みについて申し上げれば、国の税制改正の影響が不透明なところはありますが、繰越欠損金による税収の減なども考慮いたしますと、伸びは期待できないものと認識しております。このような状況を踏まえ、的確に算定してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
 まず、平成二十三年度予算についてでありますが、現在の社会経済情勢のもと、都民の生活に深くかかわる喫緊の課題に的確に対処するとともに、東京の可能性を引き出す中長期的な取り組みにつきましても、継続的かつ積極的に進めることを予算編成の柱の一つとして、十月までに各局から予算要求を受け、現在、編成を進めているところであります。
 一方、都税収入の大きな好転が期待できないなど、厳しい財政環境に直面する中で、都政が役割をしっかり果たしていくためには、都民の税金がいかに効率的、効果的に活用されているかを今まで以上に検証し、施策を厳選することも必要でございます。
 こうした取り組みを行った上で、都債や基金を計画的に活用し、財政の健全性を堅持した予算を編成してまいります。
 次に、契約事務の誤りの再発防止についてであります。
 公共調達は、都民及び事業者から信頼されるものでなくてはなりません。このたび最低制限価格の設定に当たり、算定方式を取り違えたことを踏まえ、当該局のみならず、全庁的な契約事務の責任者の会議を臨時開催し、事務処理の相互チェックや自己点検の徹底を図るなど、各職場の実情に応じたあらゆる取り組みを強化することといたしました。
 また、各局の契約事務担当者に対しましても、最低制限価格等の算定に関する具体的な説明会を開催し、改めて徹底を図りました。
 今後とも、工事担当課と契約担当課の間でチェックポイントを共有するなど、その連携を強化し、事務処理の相互チェック体制の充実を図ることにより、誤りの再発防止に向けて万全を期してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急雇用創出事業などを活用した人材育成と雇用の確保についてでありますが、都は、本年度の新たな枠組みとして、重点分野雇用創造事業を実施し、都と区市町村で約四千人規模の雇用創出に取り組んでおります。
 本事業においては、介護、観光、環境など、今後の成長が期待される分野について、臨時的なつなぎの雇用の場を提供するとともに、職場でのOJTや講座の受講などを通じて、失業された方々に対し、次の仕事につなげるための人材育成にも取り組む地域人材育成事業を実施しております。
 今後とも、基金を最大限に活用しながら、さらなる雇用創出や人材育成に積極的に取り組んでまいります。
 次に、雇用の掘り起こしに向けた取り組みについてであります。
 新卒者を取り巻く雇用環境が厳しい中、都は、本年六月に続き十一月にも、国と連携して都内経済団体に対し新卒者等の雇用拡大要請を行い、団体傘下の会員企業への周知を依頼したところであり、各団体を通して会員企業への周知が図られております。
 また、個別企業に対しては、ハローワークが行う求人需要の掘り起こしとともに、東京しごとセンターにおいても、事業を委託している民間職業紹介事業者を通じて、企業が活用できる採用助成金等の情報を提供しながら求人開拓を実施しております。
 今後とも、国と連携して求人の確保に努めるとともに、大学とも連携を図り、一人でも多くの新卒者等が就職できるよう取り組んでまいります。
 次に、若年者を対象とした雇用就業支援についてであります。
 若年者の雇用環境は、他の年齢層より高い水準にある失業率や新卒者の就職率の悪化など、厳しい状況にあり、都はこれまでも、積極的に対応を進めてまいりました。東京しごとセンターにおいては、個別担当制によるキャリアカウンセリング、就職に必要な基礎能力を養うグループワークや多種多様なセミナー、企業での職場体験、企業採用担当者との交流会など、支援内容の工夫や充実を図り、若年者への支援を強化しております。
 さらに、昨年度からは、国と連携し、十一月と二月に、新規学卒者等向けの合同就職面接会を開催し、今年度は、参加企業規模を拡大して実施しております。引き続き若年者の雇用就業支援について適切に対応してまいります。
 次に、地域における創造的都市型産業の集積の創出に向けた取り組みについてであります。
 今後成長が見込まれる創造的都市型産業の集積を促進していくためには、都が実施いたします広域的視点に立った施策とともに、地域の産業特性等を生かした区市町村の主体的な取り組みが重要であります。
 このため、都は、平成二十年度から創造的都市型産業集積創出助成事業を開始し、都の基本方針に沿って産業集積の創出や活性化に取り組む区市町村を重点的に支援しております。
 多摩地域では、八王子市が事業開始の初年度から制度を活用し、精密機器分野など最先端のものづくり産業の振興に取り組んでいるほか、現在、五つの市が都との間で集積創出に向けた意見交換を続けております。
 今後とも、都と区市町村が重層的に支援を行うことで、地域における新産業の集積の創出を図ってまいります。
 次に、新製品の開発販売への支援についてであります。
 中小企業が新製品等を開発し、それを商品として販売することで経営の向上を図ることは重要と考えております。
 都はこれまでも、中小企業が新製品や新技術の開発に取り組む場合、その研究開発に要する経費の一部を助成するなどの支援を着実に進めてまいりました。
 こうした新製品等を開発の後に広く販売していくためには、市場のニーズを踏まえた営業活動を的確に行うことが必要であります。
 このため、都では、中小企業が新製品などについて、企画や開発から販路の開拓までの一連の過程で必要となる各種のノウハウを提供する支援を検討しております。今後とも、中小企業の新製品の開発やその販売を適切にサポートしてまいります。
 次に、新銀行東京についてであります。
 業務提携についてということでご質問いただきましたが、新銀行東京に限らず、こうした事柄については、民間企業における経営上の判断であり、その内容は当該企業によって発表されるものであります。ましてや交渉事というものは相手があることであり、事柄の性格上、そのプロセス等については明らかにするものではございません。
 新銀行東京は、平成二十三年度までの再建計画に基づき、中小零細企業支援という本来の役割を果たせるよう懸命に再建に取り組んでおり、都としては、今後も知事の指揮のもと、再建が果たせるよう監視と支援に努めてまいります。
 最後に、多摩・島しょ地域の観光に対する支援についてであります。
 地域における観光振興のためには、それぞれの地域が特色ある観光資源を生かした取り組みを自主的、主体的に展開していくことが重要であり、これは多摩・島しょ地域についても同様であります。
 都では、こうした取り組みを支援するという考え方に基づき、市町村、団体が行う観光施設整備や各種イベント開催の補助、アドバイザー派遣などを行ってまいりました。また、バリアフリー化を行う宿泊事業者に対して、工事費の助成を実施してきております。
 今後とも、主体的に観光振興に取り組む市町村、団体などに対しましては、こうしたハード、ソフト両面からの支援を継続してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、生活安定化総合対策事業の再構築についてでありますが、都は、生活に困窮している都民の方々が、みずから生活安定への道を切り開けるよう、平成二十年度から、区市町村等と連携し、緊急総合対策三カ年事業として、生活、就労支援や学習塾受講料等の貸し付けなどを重層的に実施してまいりました。
 こうした都の取り組みは、国を動かし、第二のセーフティーネットの整備に結びつくとともに、低所得者、離職者等の生活の安定や、子どもたちの学習機会の確保につながるなど、成果を上げてまいりました。
 厳しい経済雇用情勢は依然として続いており、都は、これまでの成果を踏まえ、区市町村の取り組みに対する支援や住居喪失不安定就労者等への支援について、現在、検討を行っております。
 次に、児童虐待に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の虐待対応力の強化についてでございますが、都では、児童福祉司を、平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名増員いたしまして、百七十二名とするとともに、チーム制を導入し、対応いたしております。
 また、すべての児童相談所に虐待対策班を設置するとともに、平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員し、困難事例へのスーパーバイズを行うなど、児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。
 今後、こうした取り組みを一層充実させ、児童相談所の虐待対応力を強化してまいります。
 次に、子ども家庭支援センターの体制整備についてでありますが、都は、平成十五年度から、児童虐待に対応する地域の総合的な拠点として、虐待対策ワーカーを配置した先駆型子ども家庭支援センターの設置を進めており、現在、四十九区市町に設置されております。
 平成二十一年度からは、虐待対策ワーカーを増配置した場合に補助金の加算を行い、今年度は、児童福祉司任用資格認定講習会の規模を拡大し、困難事例の対応やケースの進行管理を適切に行える職員の育成を図るなど、区市町村の相談体制強化を支援いたしております。今後も、子ども家庭支援センターの機能のさらなる充実に努めてまいります。
 最後に、児童養護施設に入所している被虐待児へのケアについてでありますが、虐待を受けた児童は、対人関係に不調を起こすなど、情緒、行動面に深刻な課題を抱えている場合が多く、児童の状況に応じた専門的なケアが必要となっております。
 このため、都においては、児童養護施設に心理療法担当職員を配置するほか、少人数の生活単位で、きめ細かなケアを行う小規模グループケアを推進し、現在、五十二施設で実施をいたしております。
 さらに、精神科医と治療指導担当職員を配置する、都独自の専門機能強化型児童養護施設制度を平成十九年度に開始いたしまして、現在、三十四施設まで拡充をしております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、虐待を受けた児童に対するケアの充実に努めてまいります。
   〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、青少年の性的被害を防ぐための都の取り組みについてであります。
 都においては、警視庁等関係機関と連携し、性的被害を含めた青少年の犯罪被害防止のため、防犯リーフレットによる啓発や小中学校のセーフティー教室における犯罪被害防止教育等を行うとともに、児童ポルノにつきましては、関係団体と連携し、STOP児童ポルノ官民合同会議を設置して、被害防止に向けた普及啓発などを行ってまいりました。
 今回の条例改正案におきましては、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努める都の責務を規定しており、児童ポルノの根絶に資するさらなる広報啓発活動を通じ、児童ポルノの被害防止を図ることとしております。
 さらに、青少年が児童ポルノの対象とならないよう、また、十三歳未満の青少年が、水着や下着姿等で扇情的な姿をとらされる写真集等の対象とならないよう、保護者が責任を持つ規定を置くほか、事業者に対しても、青少年がこのような写真集等の対象とならないように努める責務を置き、青少年が性的対象として扱われることによる心身への有害な影響の防止を図ることとしております。
 今後とも、関係機関等と連携し、青少年の性的被害を防止し、青少年がその尊厳を保って成長できるように努めてまいります。
 次に、不健全図書の個別指定方式に関する都の見解についてであります。
 都においては、条例制定以来、不健全指定基準に照らして個別の図書類を審査し、第三者機関である青少年健全育成審議会に指定の是非を諮った上で指定を行う、いわゆる個別指定制度をとることで、慎重かつ公正性、客観性の高い指定手続をとってきたところであります。
 一方、包括指定制度は、区分陳列の対象となる図書類について、性的描写の分量のみによる基準に基づいて判断する制度であり、その判断は、図書類販売業者が行うものであります。これにより多種多様に販売される図書類を幅広くかつ迅速に区分陳列の対象にできる一方で、図書類販売業者の取り組み次第で区分陳列の取り扱いにばらつきが生じ得るものであります。
 都としては、現在の個別指定制度は、図書類発行業者等が自主的に取り組む表示図書制度と相まって有効に機能しているものと考えており、包括指定制度を導入することは考えていません。
 次に、蔓延の抑止に関する条文についてであります。
 さきの改正案におきましては、青少年の健全育成を図る観点から、青少年をみだりに性的対象とする図書類を、青少年が容易に閲覧することのないよう、その蔓延を抑止するための環境の整備に努める都の責務を定めていました。
 しかし、蔓延の抑止という文言が、青少年にとどまらず成人に対する流通や、そのような図書類の創作自体の規制を企図しているように見えるとの意見が、これまでの議会での議論などで示されたところであります。これを踏まえ、蔓延の抑止に関する規定を設けないこととしたものであります。
 次に、都の図書類についての現状認識と条例改正の必要性についてであります。
 現行基準の著しく性的感情を刺激しとは、閲覧する子どもの性的感情の刺激度合いに着目するものであります。
 一方、強姦や児童買春、近親相姦等をあたかも社会的に是認されているものであるかのように描写したり、これらの性行為が特別なものではなく、通常あり得ることとして受けとめられるほど必要以上に詳細に、または執拗に反復して描写する漫画等は、閲覧する青少年に対し、そのような性行為に対する抵抗感を著しく弱め、健全な性的判断能力を著しく妨げるおそれがあるものであります。
 しかし、このような漫画等は、必ずしも性的感情を刺激する度合いが強いとは限らず、現状においては、青少年が容易に手にとることができる一般書棚に陳列されています。このため、そのような漫画等については、性的感情の刺激度合いに着目した現行基準とは別に新たに基準を設けて、区分陳列の対象としていくことが必要であると考えたものであります。
 また、このような漫画等に関する区分陳列への取り組みを進めるに当たっては、従来と同様、関係業界の自主的な取り組みが重要であります。
 しかしながら、現行基準に基づいて、平成十六年度以降現在まで不健全指定された図書類の約五一%は、自主規制団体に属さない、いわゆるアウトサイダーの出版社により発行されたものであります。このようなアウトサイダーについては、積極的な自主的取り組みが期待できないものであることから、自主規制団体による自主規制だけでは十分ではありません。
 これらのことから、条例を改正し、青少年の健全な性的判断能力の形成を妨げるおそれのある漫画等についての区分陳列を、実効性をもって推進しようとするものであります。
 次に、出版等関係業界の自主的取り組みについてでありますが、都では、条例制定時より、図書類発行販売業者等による自主規制を基本とし、自主規制から漏れた中でも、著しく悪質なものに限って都が不健全指定を行う仕組みをとっており、出版等関係業界の自主的な取り組みを尊重してまいりました。このため、出版、販売業界において、青少年への図書類の販売等に関する適切な自主規制が徹底されること、さらに他のメディア業界の取り組みを踏まえた新たな取り組みを検討することは望ましいことであります。
 今後とも、関係業界による自主的な取り組みの成果が上がるよう、図書類の実態に関する意見交換や、都の取り組みに関する情報提供等をきめ細かく実施することで、関係業界と協力し、青少年の健全育成に努めてまいります。
 次に、児童ポルノの根絶についてであります。
 さきの改正案においては、何人も児童ポルノを所持しない責務を有するとの規定を設けていましたが、児童ポルノの所持を処罰する規定は設けていませんでした。しかし、国の児童ポルノ法改正論議と相まって、さまざまな議論があったところであります。
 こうした経緯を踏まえ、今回の改正案において、児童ポルノの根絶に向けた責務を設けるに当たっては、都が教育、啓発活動等を行うのみならず、都民みずからも児童ポルノを根絶することについて理解を深め、さまざまな取り組みを積極的に行うことが重要であることから、このような自主的な取り組みを進める努力を都民に求める規定に改めたものであります。
 最後に、青少年のインターネットの適切な利用に向けた民間事業者等との連携についてであります。
 都においては、これまでも、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、事業者とも連携して、フィルタリング等に関する普及啓発や教育を行ってまいりました。
 改正案においては、青少年のインターネットの利用により、青少年の犯罪被害等さまざまな問題が生じている実態を踏まえ、関係事業者や関係機関に対しフィルタリングの性能及び利便性の向上等に努めることを求める規定を置いたところであります。
 これを踏まえ、都の相談窓口等を通じて把握した青少年のインターネット利用に関する被害やトラブルの実態について、関係事業者等に対し適切に情報提供を行うことなどにより、事業者の取り組みの実効性が高まるよう連携協力に努めてまいります。
   〔総務局長比留間英人君登壇〕

○総務局長(比留間英人君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、指定管理者制度導入の成果についてでございます。
 指定管理者制度の導入により、これまで公共的団体や出資法人などに限定されていた施設の管理者に民間事業者なども加わり、それぞれの主体が創意工夫を凝らし、都民サービスの向上に取り組んできました。
 具体的には、公募に際し施設運営に質の高い提案がなされ、また、監理団体と民間事業者との連携による柔軟な運営方法の採用などにより、事業計画に掲げた施設の利用者増や都民満足度の向上といった目標について、着実に取り組みが進むとともに、経営の面からも、管理経費の一割縮減など成果は上がっているものと考えております。
 一方、指定管理者制度の検証を行うため、平成二十年度に、全指定管理者を対象としたアンケート調査を行うとともに、事業者に対するヒアリングや施設の現場調査などを実施いたしました。
 この結果から、政策との連動性が高い施設については、公的性格を持つ団体が担う必要があることや、質の高い行政サービスを安定的に供給するとともに、人材育成を図るためには継続的な管理が必要なことなどが明らかになったため、今回、必要な制度運用の見直しを行ったものでございます。
 次に、監理団体の経営の透明性の向上についてでございます。
 先般策定した東京都監理団体活用方針では、都政を支える重要なパートナーとして監理団体を位置づけるとともに、都民への説明責任を果たすため、さらなる経営の透明性向上に取り組むこととしております。
 具体的には、都から特命で受託した事業等については、契約情報の公表範囲を二百五十万円以上に拡大することとし、さらに、このうち監理団体が特命で契約を行ういわゆる特定契約については、二百五十万円未満の契約も含めて全件公表をしていきます。
 また、団体の情報開示の適切な運用を確保するため、情報公開審査会が未整備の団体に設置を求めていくとともに、審査会に外部委員の登用を図るよう指導してまいります。このような情報公開の取り組みを通じて、監理団体の自主性、自律性を踏まえつつ、都民への説明責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 次に、犯罪被害者等の相談環境の整備についてでございます。
 これまで、被害者には、警察の担当者名や連絡先を記入した被害者の手引を警察官から配布するとともに、リーフレットなどにより、総合相談窓口の紹介や支援の情報提供を行ってきました。
 被害者支援の取り組みを進める上で、被害者が早期に、かつ必要なときに相談窓口に連絡をとり、相談できる環境をつくることは重要でございます。このため、計画の改定に当たっては、これまでの取り組みに加え、被害者に提供する資料の工夫や医療機関でも相談窓口の情報を得られるようにするなど、より相談しやすい体制整備を目指してまいります。
 次に、被害者相談窓口についてでございます。
 犯罪被害者等が身近な区市町村で相談ができることは重要であることから、今回の計画の素案では、全区市町村における相談窓口の設置を目指しており、引き続き区長会や市長会などの場を通じてその開設を働きかけてまいります。
 また、都の総合相談窓口で、区市町村の研修生を受け入れるほか、都の相談員が訪問し、支援のノウハウを助言することで、区市町村の取り組みのさらなる充実に向けてサポートをしていきます。こうした方策により、都全体の相談事業の充実強化を図ることとしており、都の総合相談窓口は、都内全域のセンターとしての役割を果たしてまいります。
 最後に、条例の制定など被害者支援に対する都民の理解を深める手法でございます。
 都においては、犯罪被害者等基本法の趣旨を踏まえて策定した東京都犯罪被害者等支援推進計画に基づき、さまざまな事業を実施してきました。今後も、新たに策定する計画を着実に推進していくことにより、犯罪被害者等を支援してまいります。
 特に、啓発に関しては、犯罪被害者等支援に関する都民の認識はいまだ十分とはいえない状況にあることから、今回の素案では、区市町村や民間団体と一体となって啓発を行うなど、さらにきめ細かな取り組みを行うこととしております。
 今後、この素案をもとに、都民の声を幅広く聞きながら、来年一月を目途に新たな計画を策定いたします。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 防災公園グループと文化財庭園グループの指定管理者の特命選定の理由についてでございますが、まず、お話の東京臨海広域防災公園における指定管理者の業務は、基本的には平時のみであり、発災時には閉園し、国直轄の首都圏広域防災拠点となるため、指定管理者は関与いたしません。
 一方、都の防災公園は、発災時には、避難場所と防災拠点という極めて重要な二つの役割を担っており、指定管理者には、避難場所における行政の救援活動を支え、防災拠点となるオープンスペースを確保するという行政の応急復旧活動の一翼を担う能力が必要でございます。
 監理団体である公益財団法人東京都公園協会は、昭和六十一年度から都立公園の管理を行ってきた実績とともに、現在は、防災公園グループの指定管理者として、都の代行者としての役割を積極的に果たしてきており、発災時には迅速な初動活動ができる体制を、これまでも整えてまいりました。
 防災公園における発災時の対応力を常日ごろより維持向上し、都民の生命と財産を守るという都の政策を実現していく能力と実績をあわせ持つ団体は公園協会をおいてほかになく、特命することといたしました。
 次に、文化財庭園グループについてでございますが、都立の九庭園は、いずれも国や都の文化財指定を受けた世界に誇る高い文化財的価値を有する庭園として、お話の他県の公園、庭園とは一線を画すものであると認識しております。かけがえのない都立庭園を確実に保存していくことは、都に課せられた重要な責務でございます。
 公園協会は、平成九年度に都立庭園の管理を開始して以来、それまで都が長年培ってきた技術力を受け継ぎ、都の代行者として、江戸から続く庭園文化を具現化できる人材を育成し、高い技術力で管理を行うなど、積極的にその役割を果たしてまいりました。
 江戸から続く都民共有の財産である都立庭園を、次世代へ確実に継承していくという都の責務を果たしていくために求められる質の高い管理能力を有する唯一の団体が公園協会であり、これに特命することといたしました。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 東京臨海副都心グループを指定管理者として特命する理由についてでございますが、臨海副都心開発は、東京都が主体となって実施する政策であり、にぎわいにあふれ、高度な防災機能を持つ都市として開発を進めております。
 その中で、臨海副都心エリアの海上公園は、通常の公園機能に加えて、地域全体を一体的に結びつけ、まちの骨格を形成するものでありまして、にぎわいの舞台や防災避難広場となるなど、政策的に極めて重要な機能を担っております。
 一方、臨海地域のエリアマネジメントを推進し、地域の発展の中核を担うことを目的として設立された臨海ホールディングスグループは、都の代行者として、こうした海上公園の管理も含め、臨海副都心開発における都の政策の具体化に多くの実績を上げてきております。
 また、臨海副都心では、東京都とのパートナーシップのもと、進出事業者がまちづくり協議会を組織しており、臨海副都心のまちのにぎわいづくりや、防災対策に不可欠な存在となっております。
 臨海ホールディングスグループは、進出事業者の立場で、開発当初からこの協議会に中心的なメンバーとして参画し、まちづくりを牽引してきております。このエリアの海上公園の指定管理者は、臨海副都心における都の政策を確実に実現できる能力と、まちづくり協議会との緊密な連携により、効果的かつ円滑に事業実施できる機能をあわせ持つことが必要であります。
 このような団体は、監理団体として都の政策実現の代行者であるとともに、協議会の運営において多くの実績を持っている東京臨海副都心グループをおいてほかにはなく、特命することとしたものであります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、小笠原諸島の世界遺産登録の進捗状況についてございますが、本年七月に、世界遺産委員会の諮問機関でございます国際自然保護連合の調査員によりまして、二週間の現地調査が行われ、外来種対策の成果などが高く評価されました。九月には、追加的な情報提出の要請がございまして、外来植物の分布状況などを回答いたしました。現在、こうした調査に基づく評価が行われております。
 来年五月ごろには評価報告書が取りまとめられ、六月にバーレーンで開催される世界遺産委員会で、登録の審議が行われる予定でございます。今後も、国や村などと連携いたしまして適切に対応し、確実な登録を目指してまいります。
 次に、小笠原諸島の自然環境の保全についてでございますが、小笠原の自然環境を守るためには、環境保全と観光の両立や外来種対策の推進など、保全管理の基本的な方針を定めました世界自然遺産候補地小笠原諸島管理計画に基づいて、取り組みを確実に推進していくことが重要でございます。
 都はこれまでも、南島などで、利用人数や利用ルート等の制限を定めました東京都版エコツーリズムを推進してまいりました。また、各島に生息しておりましたノヤギの排除を進め、聟島列島や兄島に続き、弟島でもほぼ根絶するなど、外来種対策を着実に進めてきております。
 今後とも、国や村、地域の方々と連携いたしまして、小笠原の貴重な自然環境を将来にわたりしっかりと保全してまいります。
   〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕

○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 多摩地域におけるスポーツ振興についてでございますが、四百万都民が暮らす多摩地域において、身近なところでスポーツに親しめる環境を整備することは、スポーツ都市東京を実現していく上で重要でございます。
 こうした観点から、調布基地跡地に五万人を収容する味の素スタジアムを建設し、現在、サッカーJリーグやラグビー、アメリカンフットボールの試合会場などとして、多くの都民に親しまれております。
 また、隣接地にはスポーツ祭東京二○一三に向け、補助競技場を整備するとともに、平成二十八年を目途に、屋内アリーナや五十メートルプールなどを備えた武蔵野の森総合スポーツ施設を着実に整備してまいります。
 今後、これらの施設を国際スポーツ大会の会場として活用するなど、多摩地域の一大スポーツ拠点にするとともに、豊かな自然や歴史を満喫できる多摩地域において、多くの都民が親しみながら参加できるスポーツイベントを充実させるなど、多摩地域の地域特性に応じた取り組みを展開してまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水産仲卸業者の意向についてです。
 築地市場の移転につきましては、業界六団体のうち水産仲卸組合は意見が分かれているものの、それ以外の五団体は移転を強く望んでおります。これら五団体は、先般も、議会における現在地再整備に関する検討の結論が先送りされたことを受けまして、平成二十六年度の新市場開場を求める要望書を提出するなど、一致団結して豊洲新市場の一日も早い実現を求めております。
 都といたしましては、市場業者が抱える課題、心配、不安に丁寧に耳を傾け、移転についての理解を深めることが重要であると考えております。このため、十一月末に、築地市場内に、豊洲移転サポート相談室を開設し、より多くの方々からの質問や要望などに常時的確に対応できるよう体制を整えました。
 今後、こうして把握した意見、要望等を踏まえ、円滑な移転に向けた効果的な支援策を具体化することによりまして、水産仲卸業者も含め、市場業者の一層の理解が得られるよう努めてまいります。
 なお、今回の総代選挙の結果につきましては、都が見解を申し上げる立場にはありません。
 次に、築地市場の移転に関する地元中央区などからの要望についてです。
 都はこれまで、中央区に対し、豊洲新市場の整備に関して、節目節目で情報提供や説明を行うとともに、双方で意見交換を行ってまいりました。
 先般、十月二十七日に、中央区から、市場の仲卸機能の一部を築地に残すことなどを内容とする要望書が提出されました。本要望は、そもそもすべての機能を豊洲へ移転する都の方針とは相入れないものであり、また、機能を分散することは、物流コストの上昇を招くとともに、至近距離に二つの市場を整備する二重投資となるなど、極めて問題が大きく、受け入れることはできないことを区に対して説明してございます。
 一方、跡地利用につきましては、平成十六年十二月に、築地市場が豊洲へ移転した場合を想定した中央区からの築地市場地区の活気とにぎわいビジョンに関する要望書に対しまして、都は、跡地利用については、立地特性を十分生かし、都民全体の貴重な財産として、東京のまちづくりに貢献するものとなるよう、今後、慎重に検討していく旨の回答を行っております。
 今後とも、跡地利用につきましては、こうした観点に立ち、豊洲新市場整備の財源とすることを前提といたしまして、関係者と十分な意見交換を行い、都全体で検討してまいります。

○議長(和田宗春君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩