平成二十二年東京都議会会議録第十五号

平成二十二年十一月三十日(火曜日)
 出席議員 百二十六名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番小山くにひこ君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番大松あきら君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番田中たけし君
二十四番鈴木 隆道君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番中村ひろし君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番中山 信行君
三十七番高倉 良生君
三十八番橘  正剛君
三十九番松葉多美子君
四十番神林  茂君
四十一番早坂 義弘君
四十二番高木 けい君
四十三番宇田川聡史君
四十四番鈴木あきまさ君
四十五番矢島 千秋君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番伊藤 興一君
六十番吉倉 正美君
六十一番上野 和彦君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番吉原  修君
六十五番山田 忠昭君
六十六番三宅 正彦君
六十七番石森たかゆき君
六十八番高橋 信博君
六十九番服部ゆくお君
七十番こいそ 明君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番伊藤まさき君
七十五番山口  拓君
七十六番松下 玲子君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番中屋 文孝君
九十番村上 英子君
九十一番林田  武君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番くまき美奈子君
九十六番大西さとる君
九十七番いのつめまさみ君
九十八番門脇ふみよし君
九十九番小沢 昌也君
百番石毛しげる君
百一番花輪ともふみ君
百二番大津 浩子君
百三番大塚たかあき君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番川井しげお君
百十一番高橋かずみ君
百十二番野島 善司君
百十三番三宅 茂樹君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十八番斉藤あつし君
百十九番増子 博樹君
百二十番泉谷つよし君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
百十七番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長比留間英人君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長荒川  満君
生活文化局長並木 一夫君
スポーツ振興局長笠井 謙一君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長新田 洋平君
消防総監新井 雄治君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長宮川 雄司君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長山本 洋一君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長藤井 芳弘君

十一月三十日議事日程第一号
第一 第百五十七号議案
東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百五十八号議案
東京都公営企業の管理者の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百六十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百六十一号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百六十二号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六 第百六十三号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百六十五号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百六十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百七十三号議案
東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百五十六号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第百五十九号議案
外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十四号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百六十七号議案
保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第百六十八号議案
東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
第十五 第百六十九号議案
プール等取締条例の一部を改正する条例
第十六 第百七十号議案
東京都小規模貯水槽水道等における安全で衛生的な飲料水の確保に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十一号議案
東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十二号議案
東京都営空港条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十四号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第二十 第百七十五号議案
東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第二十一 第百七十六号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十二 第百七十七号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十三 第百七十八号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第二十四 第百七十九号議案
警視庁鮫洲運転免許試験場庁舎棟(二十二)改築工事請負契約
第二十五 第百八十号議案
都立三鷹中等教育学校(二十二)改築及び改修工事請負契約
第二十六 第百八十一号議案
都立北地区総合学科高等学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
第二十七 第百八十二号議案
東京国際展示場(二十二)東展示棟改修工事請負契約
第二十八 第百八十三号議案
東京国際展示場(二十二)西展示棟改修工事請負契約
第二十九 第百八十四号議案
東京国際フォーラム(二十二)ガラス棟改修工事請負契約
第三十 第百八十五号議案
東京国際フォーラム(二十二)電気設備改修工事請負契約
第三十一 第百八十六号議案
東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「みやこ」製造請負契約
第三十二 第百八十七号議案
妙正寺川鷺の宮調節池工事請負契約
第三十三 第百八十八号議案
環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十二 一―環二愛宕工区)請負契約
第三十四 第百八十九号議案
街路築造工事(二十二 二―環五の一千駄ケ谷)請負契約
第三十五 第百九十号議案
高瀬橋(仮称)PCけた製作・架設工事請負契約
第三十六 第百九十一号議案
東京都人権プラザの指定管理者の指定について
第三十七 第百九十二号議案
当せん金付証票の発売について
第三十八 第百九十三号議案
東京体育館の指定管理者の指定について
第三十九 第百九十四号議案
東京武道館の指定管理者の指定について
第四十 第百九十五号議案
東京辰巳国際水泳場の指定管理者の指定について
第四十一 第百九十六号議案
東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理者の指定について
第四十二 第百九十七号議案
東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
第四十三 第百九十八号議案
東京都立心身障害者口腔保健センターの指定管理者の指定について
第四十四 第百九十九号議案
東京都障害者総合スポーツセンター外一施設の指定管理者の指定について
第四十五 第二百号議案
東京都練馬就労支援ホーム外一施設の指定管理者の指定について
第四十六 第二百一号議案
東京都江東通勤寮の指定管理者の指定について
第四十七 第二百二号議案
東京都大田通勤寮の指定管理者の指定について
第四十八 第二百三号議案
東京都葛飾通勤寮の指定管理者の指定について
第四十九 第二百四号議案
東京都豊島通勤寮の指定管理者の指定について
第五十 第二百五号議案
東京都立川通勤寮の指定管理者の指定について
第五十一 第二百六号議案
東京都町田通勤寮の指定管理者の指定について
第五十二 第二百七号議案
東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
第五十三 第二百八号議案
東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
第五十四 第二百九号議案
東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
第五十五 第二百十号議案
東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
第五十六 第二百十一号議案
晴海客船ターミナル外二施設の指定管理者の指定について
第五十七 第二百十二号議案
竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
第五十八 第二百十三号議案
竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
第五十九 第二百十四号議案
東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
第六十 第二百十五号議案
東京都立有明テニスの森公園の指定管理者の指定について
第六十一 第二百十六号議案
東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十七公園の指定管理者の指定について
第六十二 第二百十七号議案
東京都立辰巳の森海浜公園外六公園の指定管理者の指定について
第六十三 第二百十八号議案
東京都立お台場海浜公園外十公園の指定管理者の指定について
第六十四 第二百十九号議案
東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
第六十五 第二百二十号議案
二見漁港岸壁外九施設の指定管理者の指定について
第六十六 第二百二十一号議案
東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定について
第六十七 第二百二十二号議案
東京都立東白鬚公園外八公園の指定管理者の指定について
第六十八 第二百二十三号議案
東京都立日比谷公園外七公園の指定管理者の指定について
第六十九 第二百二十四号議案
東京都立戸山公園外五公園の指定管理者の指定について
第七十 第二百二十五号議案
東京都立狭山公園外三公園の指定管理者の指定について
第七十一 第二百二十六号議案
東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
第七十二 第二百二十七号議案
東京都立武蔵野中央公園外十公園の指定管理者の指定について
第七十三 第二百二十八号議案
東京都立陵南公園外四公園の指定管理者の指定について
第七十四 第二百二十九号議案
東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
第七十五 第二百三十号議案
日比谷公会堂外一施設の指定管理者の指定について
第七十六 第二百三十一号議案
東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
第七十七 第二百三十二号議案
東京都立木場公園外十一公園の指定管理者の指定について
第七十八 第二百三十三号議案
東京都立浜離宮恩賜庭園外八公園の指定管理者の指定について
第七十九 第二百三十四号議案
東京都立神代植物公園の指定管理者の指定について
第八十 第二百三十五号議案
東京都立潮風公園外一公園の指定管理者の指定について
第八十一 第二百三十六号議案
東京都立横網町公園の指定管理者の指定について
第八十二 第二百三十七号議案
東京都多磨霊園外七霊園の指定管理者の指定について
第八十三 第二百三十八号議案
東京都青山葬儀所の指定管理者の指定について
第八十四 第二百三十九号議案
東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
第八十五 第二百四十号議案
東京都八重洲駐車場外四駐車場の指定管理者の指定について
第八十六 第二百四十一号議案
東京都板橋四ツ又駐車場の指定管理者の指定について
第八十七 第二百四十二号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び三鷹市公共下水道使用料徴収事務の受託について
第八十八 第二百四十三号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び稲城市公共下水道使用料徴収事務の受託について

   午後一時開会・開議

○議長(和田宗春君) ただいまから平成二十二年第四回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(和田宗春君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   七番   福士 敬子さん 及び
   六十七番 石森たかゆき君
を指名いたします。

○議長(和田宗春君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 平成二十二年十一月二十二日付東京都告示第千四百二十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案八十八件の送付がありました。
 次に、平成二十二年第三回定例会の会議において同意を得た、監査委員、公安委員会委員及び土地利用審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、人事委員会より、平成二十二年十月七日付で、都の一般職の職員の給与についての勧告等がありました。
 次に、知事より、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄について報告がありました。
 また、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) この際、平成二十二年十月二十六日付をもって、全国都道府県議会議長会において、自治功労者として表彰を受けられました方々をご紹介いたします。
 在職十五年以上、三原まさつぐ君、田島和明君。
 ここに敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
   〔拍手〕

○議長(和田宗春君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第三回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一〇ページ)に掲載〕

○議長(和田宗春君) 次に、東京都議会海外調査団について申し上げます。
 本議会において、去る十一月四日から十二日まで、アムステルダム、パリ、アヌシー及びランジスへ海外調査団を派遣いたしました。
 海外調査団を代表いたしまして、報告のため発言の申し出がありましたので、これを許します。
 六十九番服部ゆくお君。
   〔六十九番服部ゆくお君登壇〕

○六十九番(服部ゆくお君) このたび、都議会を代表して、都議会自由民主党は、私、服部ゆくおを団長として、山加朱美議員、吉原修議員、鈴木あきまさ議員の四名で、フランスのランジス市場、アヌシー市の運河や水辺のにぎわい事業、オランダのアールスメーア市場を初め、医療制度、福祉施策など、十一月四日から十二日までの九日間、調査活動をしてまいりましたので、その概要を報告いたします。
 フランスのランジス国際卸売市場は、敷地面積が二百三十ヘクタール、青果物、水産物、花き類並びに食肉などを取り扱う、世界最大級規模の総合卸売市場です。
 市内の中心部にあった旧レ・アール卸売市場が手狭になり、使い勝手が悪くなるなどの問題が起こったため、一九六九年、パリ市内から約七キロ、オルリー空港から三キロのランジス地区に移転し、開場をいたしました。
 市場を調査して特に感じた点は、その近代的な水産卸売場棟であります。二〇〇二年に建てかえが完成し、卸売り場や荷さばき場も含め、高床式の完全閉鎖型の施設で、年間を通して館内の温度は摂氏十度前後に保たれています。周囲には、多くのトラックが同時に荷作業ができるバースが整備され、現場の取引は、荷物が整然と効率的にさばかれ、また、品質管理が徹底されているとの印象を強く受けました。
 また、仕入れ業者には、ランジス市場を通った青果物であることをアピールするステッカーを無償で配布し、消費者にランジス市場を通った青果物は新鮮で安全なものであることを周知し、ランジスブランドの確立をねらう、一種のブランドマネジメント戦略に取り組んでいます。そのため、多くのパリ市民は、ランジス市場イコール安全な食品というイメージを持っているとの調査結果もあります。
 ランジス市場には、世界じゅうから集まる生鮮食料品を買い付けにヨーロッパ各地から卸売業者等が集まってきていますが、外気や鳥や虫などの侵入を防ぐ閉鎖型施設を整備し、衛生管理の手法であるHACCP的視点により施設の清潔度を区分して、食品への危害を防ぎ、コールドチェーンを確保した施設構造としています。
 市場の競争力やハブ機能の強化、物流コストの削減、市場外流通の拡大への対応、食の安全・安心のため、高度な衛生、品質管理機能を備えた市場にすることなど、豊洲新市場の建設に向け、参考にすべき点が多くありました。
 次に、医療保険制度、救急患者の搬送システム、在宅医療制度、周産期医療などの現地調査のため、公立大学病院、保健庁、市役所、医療制度の研究コーディネーターとの意見交換などを精力的に実施してまいりました。
 医療体制の面では、フランス、オランダとも、かかりつけ医と病院の間で役割分担が徹底され、かかりつけ医と患者との厚い信頼関係が築かれ、加えて、入院時と同様な在宅医療システムは先進的であります。
 また、両国とも医療制度は充実している一方、医療費の自己負担は一部を除きほとんどなく、医療費の増大が大きな課題となっています。
 福祉政策では、特に三カ所の高齢者施設を訪問、まず、パリ市社会活動センターでは、高齢者への支援活動の実態を調査しました。
 フランスでは、高齢者の単身世帯は約四割と高く、自立生活が困難な方に対しては、遠隔リモート監視システムを利用するなど、先駆的な施策が行われていました。また、資金のない若者とひとり暮らしの高齢者をマッチングするNPO団体パリソリデールでは、その仕組みや運営上の課題を調査しました。
 オランダでは、将来の財源不足への危機感が強く、積極的に民間活力の導入を図っており、特に、介護者支援対策は大いに参考となりました。
 高齢者入居施設フラウデホフ、ここでは重度の知的障害者ケアであるスヌーズレン、これを認知症高齢者ケアにも取り入れており、その取り組み状況や効果についてご教示をいただき、今回の視察、調査を通して、都独自の改革ができるよう提言をしてまいります。
 都議会自民党は、かねてより、水の都東京再生に取り組んでいますが、このたび訪れたアヌシー市、ここはアヌシー広域共同体、SILAの中心であり、スイスのジュネーブに近く、二〇一八年冬季オリンピック招致と世界遺産登録に向けて、観光まちづくりを目指し、大変意欲的に取り組んでいます。
 アヌシー湖からまちの中心を流れるテイウ川と運河沿いの旧市街は、十二世紀から十七世紀に建てられた中世からの歴史的建造物を中心に古いまち並みが広がり、アルプスのベニスとして親しまれています。
 水の都アムステルダムは、海上交通の要衝として栄えた都市で、市内は至るところに水路網が張りめぐらされ、大小百六十五の運河に千三百の橋がかけられています。運河にかかる橋の中には伝統的なはね橋もあり、運河沿いには歴史的建造物とオープンカフェがあり、運河を中心にしたイベントやシンゲル運河沿いの常設の花市場、これは多くの観光客でにぎわっています。
 両都市からは、水辺のにぎわい創出や花と緑のまちづくり運動、係留施設や船着き場の管理ルールなど、示唆に富んだ意見を伺うことができました。
 オランダの運河の水環境と上下水道は、ウオーターネット社により管理され、事業説明を受けた際、東京都の水事業に連携して取り組みたい、そういうオファーもありました。
 報告は以上であります。
 詳細につきましては、現在、報告書として取りまとめているところでありますので、本日は概要のみ口頭にて報告をさせていただきました。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(和田宗春君) 以上をもって東京都議会海外調査団の報告は終わりました。

○議長(和田宗春君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十二月十五日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(和田宗春君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十二年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 まず、築地市場の豊洲移転について申し上げます。
 築地市場の再整備が持ち上がったのは二十五年以上前でありまして、いわば昭和からの宿題であります。築地現在地での十年の歳月を費やした再整備がとんざした後、議会で必要な予算も認めていただきながら、豊洲の地で平成二十六年度に新市場を開設することを目指してまいりました。
 この四月からは、議会みずから現在地再整備を改めて検討されました。執行機関としても、副知事をトップとする特別チームを編成して全面的に協力したところ、現在地再整備は、仮にすべてが順調に運んでも十数年かかる致命的な事実が明らかになりました。現在地……(発言する者あり)うるさい、黙って聞け。現在地再整備の可能性についての議論は、第三回定例会で尽くされたと思います。しかし、議会としての結論は、先の展望も示されぬまま先送りされました。
 築地市場を取り巻く情勢は、政治の不決断を全く許しておりません。
 開場から七十五年が経過し、わずかな揺れの地震でさえ屋根の一部が落下するまで老朽化はきわまり、清潔とはいいがたくなっております。観光客のにぎわいとは裏腹に、耐用年数の限界を大きく超えた施設ゆえ、三千万人を超える首都圏の食の安全・安心を支える拠点市場として、今後求められる品質管理、衛生管理の水準にこたえることは不可能であります。
 事業者も、産地、顧客が求めるニーズへの対応がままならず、ただでさえ厳しい経営環境に新市場開設の先送りが加われば、ますます疲弊し、じり貧となります。遠い将来、いかに立派な施設ができても、担い手がいなくては元も子もありません。業界の大多数も豊洲移転を望んでおり、慎重な検討、丁寧な議論なる美名のもとで、現場に先の見えぬまま、それを待つ不安、焦燥、混乱を強い続けるわけにはいきません。
 過日、国土交通大臣が八ッ場ダムの現地をみずからの目で確かめたことで、中止ありきの方針が撤回されましたが、現場に即して柔軟かつ冷静に判断することが何よりも必要であります。
 議会として決めかねるのなら、現実を直視し、二十五年以上にわたる経緯、都民、国民の生活への影響、財政面などもあわせて総合的に判断し、行政の主体者としての責任で大きく歯車を回すしかありません。
 ゆえにも、今後、豊洲移転に全力を挙げてまいります。
 豊洲の移転予定地の土壌汚染対策については、我が国最高権威の学者の方々の英知もおかりして、日本のすぐれた先端技術を活用した汚染除去手法を編み出しました。現地での実験も済ませており、安全・安心の確保は十分に可能であります。これまでにあった行政としての不手際は真摯に反省し、手綱を締め直して、万全を期してまいります。
 庁内体制を強化し、昨日、豊洲移転サポート相談室も開設いたしました。土壌汚染対策とともに、事業者が抱える課題、心配、不安に丁寧に耳を傾け、効果的な支援につなげてまいります。
 都議会でも、これまでさまざまな議論がありましたが、よりよい豊洲移転に向け、ともに知恵を出し合っていくことを呼びかけます。
 市場の問題に限らず、意見の対立やさまざまな摩擦、相克は世の必然であります。それを乗り越え、未来を切り開くために、国政であれ、都政であれ、政治には、現実に立ち、多様な声を踏まえて複合的に発想した上で、みずから決断できるだけの社会工学上、最も大きな力が与えられております。何が肝心なのかを政治が正当に認識せずに、困難な課題を前に時間を空費し、先送りすれば、都民、国民が多大な損失をこうむることにしかなりません。
 我が国の混迷は一段と深まっておりますが、そこからの脱却は、政治が理念ともつかぬセンチメントと決別し、現実と切り結んで練り上げた怜悧な手だてを選ぶことなくしてはなし得ません。
 ゆえにも、政治のあるべき姿を東京から体現すべく、都政運営において、地に足のついた実効性の高い施策に力を尽くしてまいります。
 都民、国民の生命と財産を守ることは、政治の最も基本的な役割であります。生きた現場を持つ東京から、危機の本質を肌で感じ取り、安心・安全の確保に全力を挙げていかなければなりません。
 この十年余の間、治安の確保、維持こそ最大の都民福祉との考えに立って、職員定数を大幅に削減する中でも、一千四百人を上回る警察官の増員を行い、不法滞在外国人対策や繁華街での防犯カメラの設置なども進めてまいりました。安全・安心まちづくり条例を制定するなど、犯罪を芽から摘む施策を幅広く展開しております。多くの方々も、みずからまちを守るべく立ち上がり、防犯ボランティア団体は約三千九百を数えるまでになっております。警察を中心に、都民、事業者、行政が一丸となった結果、犯罪認知件数は七年連続で減少し、昭和四十年代の水準となっております。
 しかし、我が国の暴力団構成員、準構成員の実に五人に一人が東京で活動しておりまして、日本経済の中心地ゆえ、正当な経済取引を巧妙に装い、不当な利益を上げる行為が横行しております。そこで、有識者からの提言も踏まえ、現在、暴力団排除条例の制定を準備しております。社会全体で暴力団を排除する動きを後押しし、資金源を絶つためにも、今後速やかに議会に提案してまいります。
 同時に、子どもが健やかに育つ環境を整えなければなりません。そのためにも、犯罪に巻き込まれかねないインターネット上の有害情報から、子どもたちを大人の責任で守る必要があります。また、子どもたちの目に決して触れさせてはならない漫画が通常の書籍と並んで店頭に置かれている状況を改善する取り組みに、これ以上の猶予は許されないと思います。
 これまでの議会での議論などを踏まえ、改めて青少年健全育成条例の改正を提案いたします。
 近年、局地的な集中豪雨が多発しておりまして、人口や高度な都市機能が密集し、地下へとまちが広がる首都東京は、浸水リスクが高まっております。
 そこで、浸水被害の危険性が高い地域へ集中的に緊急豪雨対策を講じます。流域の異なる川と川とを地下調節池で結んで、機動的に水位を調整する新たな河川はんらん防止策を導入いたします。雨水の貯留施設を大規模地下街周辺に増強し、学校の校庭の地下にも効果的に配置するなど、総合的な方策で集中豪雨から都民、国民の生命と財産を守ってまいりたいと思います。
 安心・安全のためには、いつか必ず来る大地震への備えも欠かせません。さっき長い地震が来ましたな。警察署の、あるいは消防署等の防災上の特に重要な都の建物については、建てかえる予定のあるもの以外は今年度じゅうに耐震化すべく取り組んでおり、地域の避難所となる公立小中学校も平成二十四年度の完了に向け、区市町村を支援しております。
 高度に都市化した東京において、建物が倒壊すれば、周囲に対する影響ははかり知れません。建物の所有者は、みずからの生命と財産を守るだけではなく、隣地などへの被害を生じさせないよう、建物の耐震性能を確保する社会的責務があります。
 とりわけ、緊急輸送道路で沿道の建物が倒壊し、災害時の救急救命活動の生命線、復旧、復興の大動脈としての機能を大きく低下させれば、その影響は甚大であります。耐震性が低く倒壊によって道路を寸断しかねない建物の所有者に対して、ローラー作戦を展開し、耐震化を個別に働きかけてまいりました。しかし、国の法律が耐震化を所有者の意思にゆだねていることが壁になっております。
 耐震化の重要性にかんがみれば、このまま手をこまぬくわけにはいきません。まずは緊急輸送道路の沿道から強力な対策を緊急に打つことが必要であります。
 沿道建物の耐震診断を義務化し、改修も誘導すべく、今後、必要な条例の内容などを詰めてまいります。国の法律の限界を東京から乗り越えて、所有者に耐震化の決断を促す全国初の仕組みを構築いたしたいと思います。
 安全・安心を土台に日本の再生を目指さなければなりません。それには、厳しい景気情勢にあって、現場を踏まえ、打つべき手を機を逸することなく打つ必要があります。
 昨年、一昨年の年越し派遣村をめぐる国の対応は、いかに現場を知らないとはいえ、余りにも場当たりでありました。これに対して都は、生活費の支給と一体となった職業訓練など、独自の先駆的な施策を重ねてきた実績を踏まえて、国を真っ当な対処へと引き戻し、ことしの年末に向けて重層的に施策を実施いたします。
 国やNPOと連携し、ハローワークにおいて、就労支援とあわせて住居や生活に関する相談を一体的に提供いたします。同時に、民間からも事業を公募して緊急に雇用を創出するなど、働く意欲のある方々を生活全般にわたって応援してまいります。
 また、都は、厳しい就職活動を余儀なくされる大学生、高校生と、ものづくりの魅力にあふれながらも、学生の目にとまりにくく、人材確保に悩んでいる中小企業とを結びつけるために取り組んでおります。地方は、地域を熟知し、雇用部門と福祉・産業振興・教育部門とを有機的に連携させることが可能であります。複合的できめの細かい取り組みをより進めるためにも、ハローワークの地方移管は当然でありますが、国は、現行体制を温存しようとしております。国には、ハローワークを速やかに地方へ移管するように求めます。
 ことしの夏以降の円高は長引く様相を呈しておりまして、我が国経済の屋台骨を支える中小企業を取り巻く環境は急速に厳しさを増しております。
 申し上げるまでもなく、円高対策は、本来は国の責務であります。しかし、現場を預かる都として、現下の事態を座視するわけにいかないことから、中小企業のため、緊急円高対策に速やかに着手いたします。企業に専門家チームを一定期間集中的に派遣して経営改善を助言するほか、制度融資のメニューを拡充し、資金繰りにも万全を期してまいります。
 また、下請の立場の弱さにつけ込んだ不当なしわ寄せの深刻化が懸念されます。そこで、自治体が設けた組織では全国で唯一、裁判外で紛争を解決できる下請センター東京を最大限活用して、下請企業の相談に丁寧に応じ、親企業との間に立ち、調停や和解に取り組みます。さらに、専門相談員が下請企業を巡回訪問して助言し、親企業への啓発も行うなど、取引の適正化に手を尽くしてまいります。
 今後の景気動向も見きわめながら、来年度予算においても円高対策を講じ、日本の宝ともいうべき東京の中小企業を確かに支えてまいります。
 一方で、新しい成長に向けた布石も着実に打たなければなりません。日本人は、技術力やそれを生み出す独自の感性など秀でた特性を持っております。我が国の力が集中、集積した東京から、日本が本来持つ力を新しい成長に確実に結びつけていくことが必要であります。
 ことしも将来性のあるすぐれた企業を世に知らしめ、発展を促すために、七社にベンチャー技術大賞を贈りました。いかにすぐれた技術であっても、商品化することができなければ石ころにすぎませんが、この賞をばねにして、昨年まで受賞した八十五社のうち五社が株式上場を果たし、他の社の多くも業績を伸ばしております。
 本年度の産業交流展をアジア大都市ネットワーク21東京総会と連動して開催したように、今後も、世に出るチャンスを待つ技術を強力に発信し、国内だけでなく、アジア企業との交流を深め、新事業の創出や販路開拓を支援してまいります。
 企業の海外進出では、特許や商標を効果的に活用して模倣品による被害への守りを固める必要があります。知的財産総合センターで百戦錬磨の企業OBによる個別相談を実施し、特許出願に関するセミナーも開催するなど、中小企業における知的財産の戦略的活用を支援いたします。
 東京とアジアとの関係がますます重層となる中、昨日、専門家の検討委員会から、アジア旅客機ビジョンを提言いただきました。
 日本ではMRJが製造段階に入っておりまして、アジア各国も航空技術を一段と蓄積しております。各国の強みを持ち寄り、大きな需要が見込まれる観光バス二台分の座席数を持つ旅客機、中小型の旅客機を開発するならば、産業、経済など広範な領域で日本とアジアに多くの果実をもたらすに違いありません。
 ビジョンに沿い、国に強く働きかけ、アジア大都市ネットワーク21の共同事業で培った都市間、企業間の連携もより深化させていきたいと思います。
 東京の上下水道の国際展開も着実に進展させなければなりません。
 先般も、インドやベトナムに国際展開調査団を派遣して、現地の実情を調査してまいりました。都が独自に開発し、特許を取得した下水道技術の一つである河川へのごみの流出を防ぐ効果的な装置も既にドイツ、韓国に売り込んでおります。
 大都市の現場で磨いた世界最高水準の技術力と運営ノウハウを最大限に生かし、官と民の連携の旗を振りながら、世界の水・衛生環境の改善と我が国の産業力強化に貢献してまいります。
 日本経済の発展のためには、金の卵を産む鶏である東京が活力を増すよう、その都市機能を一段と向上させなければなりません。
 中でも交通渋滞は東京の最大の弱点でありまして、多大な経済損失を生んでおります。その解消に向けて、三月には、都心に向かう車を迂回、分散する中央環状新宿線を開通させ、九月には、交通のボトルネックである踏切を環状八号線からすべてなくしました。今月には、十五年の歳月をかけたJR中央線三鷹―立川間の高架が完了したことで、あかずの踏切によって南北に分断されていた多摩の人と物の流れが大きく改善し、新たなまちづくりの可能性も広がっております。
 東京の道路整備の重要性あるいは効果の高さは、だれの目にも明らかでありますが、肝心の外環道は、国の政の混乱のあおりを受けて、将来的な財源確保の枠組みが雲散霧消しました。国には、文明工学的視点に立って、道路整備に来年度予算も確実に配分することはもちろん、将来の外環道整備財源も揺るぎなく確保することを強く求めます。
 日本の空港は、欧米はもとより、アジア、中東での利用が急拡大しているビジネスジェット機の受け入れ体制が不十分であります。世界をまたにかけて活動する企業の経営層にとっては全く使い勝手が悪く、日本が素通りされるジャパンパッシングを誘発する原因にもなっております。
 国際競争力の強化のためにも、我が国経済の中心地にある羽田空港でビジネスジェット機専用施設を整備するとともに、横田基地においても共用化の一歩として、その受け入れを実現することが焦眉の課題であります。
 今後、我が国政府や米国政府を初め、広く経済界に対しても強く働きかけながら、東京ひいては日本の将来のためにこの問題に取り組んでまいります。
 東京の地下鉄は、歴史的経緯もありまして、本来一つであるはずのものが二つの事業者によって建設、運営されてきました。国は、これを本来の姿に戻し、サービスや利便性を向上させるべきところを、法律を盾に教条的な株式上場の姿勢を崩さず、みすみす一元化の道を閉ざしかねません。
 東京の地下鉄の一元化等に関する協議会では、東京メトロの利用者への利益還元が甚だ不十分で、今のままの株式上場では投資家のためにしかならないことが判明しております。一方、都営地下鉄は、バリアフリー化などを積極的に進めつつ、経営を着実に改善していることを示しました。
 国には、まず株式上場を再考させ、東京の地下鉄が生み出す利益を利用者に対してより広く還元させるべく協議してまいります。
 日本の再生には、少子高齢化を乗り越え、社会を安定させ、次代につないでいくための方策も不可欠であります。
 先般、国は、社会全体で高齢者を支える介護保険制度について見直し案を明らかにしました。案は、高齢人口が増加する中にあって、恒久的な財源確保の議論を避け、当面の財政的なつじつま合わせに終始しています。
 制度の骨格を固め、安定させる責任を負う国が、医療、年金ともあわせて長期的なビジョンを示さなければ、都民、国民に不安を与えるだけであります。現場を実際に担う地方も、将来への見通しが立たず、介護事業者の意欲もそぐことになります。
 今後、国に対して、全国に先駆けて進めてきた高齢者の新しい住まいづくりや、独自の工夫による施設整備なども踏まえて現場の声を伝え、介護保険が高齢者やその家族、事業者の実態に即した制度、サービスになるよう要求してまいります。
 高齢化とともに少子化も乗り越えなければなりません。
 先般、公表された東京の合計特殊出生率は、わずかに改善傾向でありますが、依然として状況は厳しいものがあります。この改善傾向をさらに向上させるためにも、子どもを産み育てようとする家族に将来への展望を指し示し、子育てを確かに支えるサービスを迅速に整えなければなりません。
 今年度に開始した少子化打破緊急三カ年対策に基づき、医療、保育はもとより、仕事と家庭の両立に向けて働き方の新しいモデルづくりに取り組む企業への支援に着手し、保育サービスつきの職業訓練や、地域における子ども見守りボランティアリーダーの育成もスタートしております。
 今後も、各分野に横ぐしを通して、重層的、複合的に施策を展開してまいります。
 子育てを社会全体で支えながら、次代を担う若者をたくましく育てなければなりません。今日の日本の繁栄は、世界と積極的に交わり、すぐれた文物を吸収し、独自の創意工夫を加えて発展させた歴史の上に築かれております。
 しかし、現在の若者は、先人の足跡を一向に知らず、豊穣さや便利さにおぼれてしんが虚弱でありまして、他者との摩擦、相克への耐性を備えていないため、人と交わることを避け、まして激しい議論はできません。
 これでは日本の真の再生は望むべくもなく、若者たちを目覚めさせるため、都立高校で日本の近代史を必須化し、江戸から現代に至る近代化の歴史、文化、伝統を学ばせます。
 また、公立学校では、休み時間や放課後を十二分に活用して体を動かす時間をふやし、部活動も強化するほか、スポーツ祭東京二〇一三や二〇一四年のインターハイを起爆剤にスポーツを振興するなど、体力、気力を鍛え、規範意識を涵養してまいります。
 さらに、成長に応じた豊かな読書体験で知的好奇心や感性を強く刺激しながら、グローバルな時代に必須の論理的思考や、他者と十二分に意思を交わし豊かな人間関係をも築く言語の技術といった言葉の力を身につけさせてまいります。
 幼少期から本に触れる機会をふやします。学校では言語の技術に関する教員研修を実施して教える側の能力の向上を図りつつ、先月初めて実施した都独自の読み解く力に関する学力調査の結果を活用して授業を改善いたします。
 さらに、若者が互いに読書体験を語り合う中から、多くの本に出会い、視野を広げる場である書評合戦などを通じて、企業や都民との連携をしながら、言葉の力の重要性を広く社会に浸透させてまいります。
 次代を担う若者が人生を生き抜く根源的な力を身につけ、国際社会で凛とした立ち居振る舞いができるように、国際化、情報化で先端を行く東京から取り組んでまいります。
 国の利益のぶつかり合いが増す国際社会にあって、我が国はみずからの領土が脅かされても毅然とした態度を全く示すことができておりません。これは、戦後、対米依存の他力本願におぼれ、国家とは何か、いかに国民の生命と財産を守るかについて、現実に根差した本質的な議論を忌避し続けてきた当然の帰結であります。経済一流、政治三流とやゆされながらも何とかしのいではきましたが、今日、経済力が低下し、それが顕著となるや他国からの軽べつにさらされ、この国はまさに沈まんとしております。
 しかし、政権は国家としての当然備えるべき大局観をさえ欠いております。高福祉低負担は成り立ち得ないにもかかわらず、消費税増税について議論すらちゅうちょし続けており、国家破産の足音が次第に高まっております。地方分権改革も霞が関の抵抗に遭い、遅々として進まず、かって野党時代に明確に反対していた法人事業税の暫定措置でさえ継続が懸念されます。
 国政が迷走を続けるならば、日本の頭脳部、心臓部の東京だからこそできる先進的施策で我が国の航路を示すしかありません。
 これまでも都議会の皆様とは、東京が倒れれば日本が倒れるとの危機感を踏まえ、真剣な議論を重ねてまいりました。東京から日本を変えることは、首都の政治家の使命と責任にほかなりません。
 今後、「十年後の東京」への実行プログラムを改定し、来年度予算を通じて、国を先導する手だてを揺るぎなく講じてまいります。都議会の皆様とともに、現場に立脚した現実的な取り組みを進め、都民、国民に将来への展望を指し示してまいりたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案二十三件、契約案十二件など、合わせて八十八件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(和田宗春君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入られることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち、議事に入ることに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 日程第一から第九まで、第百五十七号議案、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案八件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事佐藤広君。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

○副知事(佐藤広君) ただいま上程になりました第百五十七号議案外八議案につきましてご説明申し上げます。
 これらの議案は、東京都人事委員会勧告を踏まえまして、職員の給与等に関して所要の改正を行うものでございます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(和田宗春君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 人事委員会の回答は、第百六十号議案から第百六十三号議案及び第百六十六号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

二二人委任第七四号
平成二十二年十一月二十五日
東京都人事委員会委員長 関谷 保夫
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十二年十一月二十二日付二二議事第三五八号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案

一 第百六十号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第百六十一号議案
職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
三 第百六十二号議案
東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
四 第百六十三号議案
東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を

改正する条例
五 第百六十六号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております第百五十七号議案外八議案については、委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、第百五十七号議案外八議案は原案のとおり可決されました。

○七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十二月一日から六日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十二月一日から六日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月七日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十四分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二二財主議第四〇六号
平成二十二年十一月十九日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十二年第三回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
福士敬子議員
畔上三和子議員
伊藤ゆう議員
古館和憲議員
かち佳代子議員
たぞえ民夫議員
石毛しげる議員
斉藤あつし議員

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  福士敬子

質問事項
一 インターネット端末利用営業の規制に関する条例について

一 インターネット端末利用営業の規制に関する条例について
2010年第一回定例会でインターネット端末利用営業の規制に関する条例が(以下条例と略)可決され、7月1日に施行された。この条例により営業の自由や、個人情報の保護などがないがしろにされる恐れがあり、質問をする。
1 条例施行によるインターネット端末利用営業への影響について
3月31日付日刊スポーツ新聞報道によれば、条例に伴う設備経費の負担に耐えられずこれを機に廃業を考える店舗もあるとされていた。
ア 条例施行前と施行後のインターネット端末利用営業の店舗の数の推移について伺う。
「インターネットカフェ等を利用した犯罪等の防止対策の在り方に関する報告書」によれば【警視庁各警察署においては、「インターネットカフェ等連絡協議会」を設立し、事業者による犯罪防止への取組みを支援・指導する等の対策を推進してきた】とあり、インターネットカフェ連絡協議会がネットカフェでの犯罪予防の重要な一翼を担ってきた形となっている。しかし、インターネットカフェ等連絡協議会は、条例制定に合わせて駆け込みで設立されたものも多く、「対策を推進してきた」とは言い難い。
イ 2009年度以降に設立されたインターネットカフェ等連絡協議会数について伺うとともに、それらの連絡協議会が、条例制定までに具体的にどのような活動をおこなっていたか、また今後も同様な活動を行っていくのか確認する。
ウ さらに、条例施行前と施行後のインターネットカフェ等連絡協議会の加盟店舗数の推移について伺う。
平成22年6月版の「インターネット端末利用営業のしおり」によれば、【なお、顧客に店舗内の個室等以外の場所(オープンスペース等)で役務提供を行う際にも本人確認を行う必要があるので注意して下さい】とあるが、条例第2条1によれば、【個室その他これに類する施設であって、その内部の状況を外部から見通すことが困難であるもの(以下「個室等」という。)を設け、顧客に対し、インターネットを利用することができる通信端末機器(携帯電話用装置を除く。以下同じ。)を提供して当該個室等においてインターネットを利用することができるようにする役務を提供することを営業の全部又は一部とするものをいう】とあり、オープンスペース等のインターネット端末は本人確認の対象にならないものと思われる。
エ オープンスペース等のインターネット端末でも本人確認が必要という説明の根拠はどこにあるのか伺う。
2 インターネット利用者への影響および個人情報保護について
5月31日のアイシェアのアンケートによれば、8割がインターネット端末利用営業の規制に関する条例について知らなかったとされ、7月2日付けの新聞報道によれば店頭で身分証を持たずに入店しようとして、帰った客がいるとされている。
これらの事例からインターネット端末利用営業の規制に関する条例に関して、利用者への告知が十分に行き届いていないものと思われるが、
ア 施行までの間どのように告知をしたのか、伺う。
イ 特に年末年始などは普段ネットカフェを利用しない人がネットカフェを利用する機会が増えると思うが、今後どのような形での告知を考えているのか伺う。
条例12条の2には【警察職員は、この条例の施行に必要な限度において、インターネット端末利用営業者の店舗その他の施設に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる】とあるが、
ウ この条例の施行に必要な限度とは具体的にどのような事態を想定しているのか、伺う。
エ また、「店舗その他の施設」とあるが、その他の施設とはどのような施設を考えているのか、「帳簿」とは具体的にどのような帳簿を指しているのか伺う。
今回の条例における本人確認書類は個人情報保護の対象となる。
オ インターネット端末利用営業の店舗が、個人情報保護規定を遵守しているか否の確認はどのように行うか、伺う。
条例第4条1によれば【インターネットを利用することができる通信端末機器を提供して店舗内においてインターネットを利用することができるようにする役務の提供(以下「役務提供」という)を行うに際しては、運転免許証の提示を受ける方法その他の公安委員会規則で定める方法により、当該顧客について、氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で公安委員会規則で定めるものにあたっては、公安委員会規則で定める事項)及び生年月日(以下「本人特定事項」という。)の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならない】とされている。
これはインターネットを利用することができる通信端末を提供し、店舗内でインターネットを利用しない顧客には本人確認が必要ではない。
カ 言い替えればインターネット端末を利用せずに一時的な休憩や漫画等の利用のために店舗を使う利用者に対しては、本人確認の対象とならないと考えるが、どうか。
キ もし、インターネット端末を利用しない利用者まで一律に本人確認の対象と考えているなら、その根拠はどこにあるのか。
3 利用者の利便性確保のための対策について
新規の生活保護申込者の居宅保護が決定するまでの一時滞在先として、ネットカフェを使っている自治体があると聞くが、条例制定の際、そのような事実を把握していたか。

平成22年第三回都議会定例会
福士敬子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 インターネット端末利用営業の規制に関する条例について
1 条例施行によるインターネット端末利用営業への影響について
ア インターネット端末利用営業の規制に関する条例の施行前と施行後のインターネット端末利用営業の店舗数の推移について伺う。

回答
条例施行前と施行後での店舗数の推移については、大幅な変化はありません。

質問事項
一の1のイ 2009年度以降に設立されたインターネットカフェ等連絡協議会数、また、それらが条例制定までに具体的にどのような活動を行っていたか及び今後も同様な活動を行っていくのか伺う。

回答
平成21年度以降、インターネットカフェ等連絡協議会は66の警察署において設置され、現在は90の警察署において設置されています。
インターネットカフェ等を利用した各種犯罪が多発していることから、インターネットカフェ等連絡協議会において、警察署と店舗が連携した犯罪防止等のための情報交換を行っています。
今後も同様な取組を行っていく必要があると認識しています。

質問事項
一の1のウ 条例施行前と施行後のインターネットカフェ等連絡協議会の加盟店舗数の推移について伺う。

回答
条例施行前、施行後に関わらず、加盟店舗数は年々増えています。

質問事項
一の1のエ 条文上、オープンスペース等のインターネット端末は本人確認の対象外であると思われるが、平成22年6月版「インターネット端末利用営業のしおり」によれば、本人確認を行う必要があるとされている。この説明の根拠はどこにあるのか伺う。

回答
条例第4条第1項は、「インターネット端末利用営業者は、顧客に対し、インターネットを利用することができる通信端末機器を提供して店舗内においてインターネットを利用することができるようにする役務の提供を行うに際しては、本人確認を行わなければならない」旨規定していることから、個室あるいはオープンスペース等を問わず、インターネット端末利用営業者の店舗内でインターネットを利用させる場合は、本人確認が必要となります。

質問事項
一の2 インターネット利用者への影響および個人情報保護について
ア 条例に関する利用者への告知が十分に行き届いていないと思われるが、施行までの間どのように告知したのか伺う。

回答
利用者に対しては、条例の施行前に、「警視庁ホームページ」の掲示、広報紙「広報けいしちょう」の新聞折り込み及び当庁作成のポスターのインターネット端末利用店舗、警察署・交番等の警察施設、駅等の公共機関への一斉掲示により周知したほか、秋葉原駅前において有名芸能人を招致しての「本人確認実施」街頭キャンペーンを実施しました。
また、条例施行後においても、広報紙「広報東京都(第780号)」(約440万部)の新聞折り込みや、テレビ番組「都議会トピックス」の放映を実施するなどして周知を図っています。

質問事項
一の2のイ 特に年末年始などは、普段ネットカフェを利用しない人が利用する機会が増えると思うが、今後どのような形での告知を考えているのか伺う。

回答
引き続き、ポスター等の掲示、警視庁ホームページ等による告知を継続していきます。

質問事項
一の2のウ 条例第12条第2項の「この条例の施行に必要な限度」とは具体的にどのような事態を想定しているのか伺う。

回答
「条例の施行に必要な限度」とは、インターネット端末利用営業者が、本条例の定める事項を遵守しているか確認するなどの行政目的を達成する上で必要な範囲に限るということです。

質問事項
一の2のエ 「店舗その他の施設」とはどのような施設を考えているのか、「帳簿」とは具体的にどのような帳簿を指しているのか伺う。

回答
「その他の施設」とは、帳簿等を置いている事務所等で、条例第12条に基づく立入りの目的を達成するために必要な施設を指します。
「帳簿」とは、条例が適正に運用されているかどうかを確認するため、それに関連する事項を記載した帳簿を指します。

質問事項
一の2のオ インターネット端末利用営業の店舗が、個人情報保護規定を遵守しているか否かの確認はどのように行うか伺う。

回答
インターネットカフェ等連絡協議会での指導時や店舗の立入りの際に、個人情報の保守管理についても指導しています。

質問事項
一の2のカ 条例第4条第1項からは、インターネット端末を利用せず、一時的な休憩や漫画等のための店舗利用者については、本人確認の対象とならないと考えられるが所見を伺う。

回答
条例第4条第1項にいう「利用することができる」とは、顧客がインターネットを利用することが可能であることを言い、現実にインターネットを利用したか否かは問題となりません。
したがって、インターネット端末を利用できる状況下にあれば、一時的な休憩や漫画等のための店舗利用者であっても、本人確認が必要となります。
しかし、インターネット端末が整備されていない個室を休憩場所等として提供する場合など、確実にインターネット端末が利用できない状況下にあれば、本人確認の対象とはなりません。

質問事項
一の2のキ 端末を利用しない者まで一律に本人確認の対象と考えているのであれば、その根拠はどこにあるのか伺う。

回答
本条例は、インターネット端末が整備されていない個室を休憩場所等として提供する場合など、確実にインターネット端末が利用できない状況下にある顧客にまで一律に本人確認を求めているものではありません。

質問事項
一の3 新規の生活保護の居宅保護が決定するまでの一時滞在先として、ネットカフェを使っている自治体があると聞くが、条例制定の際にそのような事実を把握していたか伺う。

回答
条例制定に向けた検討の過程においては、ご指摘の点を含めインターネットカフェの利用状況等の実態についても把握に努めたところであり、緊急避難的にインターネットカフェをご紹介した例もあると聞いています。

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  畔上三和子

質問事項
一 都営住宅「辰巳1丁目団地」建てかえ計画について
二 少人数学級の促進について

一 都営住宅「辰巳1丁目団地」建てかえ計画について
昭和40年代前半に建設された都営住宅の「辰巳1丁目団地」は、90棟の大きな団地です。団地内には、小学校2校、中学校1校、保育園2園、児童館がありますが、高齢化が進み、「高齢者のための福祉施設をつくってほしい」「エレベーター設置などバリアフリー化を急いでほしい」等要望が出されています。しかし平成3年に建て替え選定住宅となったために必要な改修工事も行われていません。そればかりか、その後建て替えの話は全くなく、居住者はいつ建て替えとなるのか、自分たちの住まいはどうなるのかと、先の見通しがなく不安を抱えて暮らしているのです。居住者に対し、早急に建て替え計画の進捗状況を明らかにし、居住者の要望にこたえるべきです。
1 建て替え計画の進捗情況はどのようになっていますか。
2 建て替え計画は、何世帯の住宅を想定しているのですか。
3 どのような内容の建て替え計画としているのですか。
4 計画検討の早い段階から居住者に情報提供をおこない、建て替え計画策定にあたっては住民の意見を反映すべきと考えますが、どうですか。
5 高齢者の福祉施設を団地内につくる計画ですか。
6 建て替えに際して、居住者の仮住まい移転が必要となるのでしょうか。
7 地元区である江東区とは、どのような協議をしているのですか。
建て替え選定住宅となったために計画修繕は、いっさい中止となっています。そのため新たなエレベーターの設置はなく、老朽化で水漏れ、手摺の腐食、郵便受けの扉のゆがみなど居住環境の劣悪な状態も放置されたままの状態です。
この間、団地自治会などの要請を受け、扉の腐食、ベランダの杭の腐食などの応急処置はされましたが、住民からは、「壁に水漏れの跡があって漏電しないか心配」「エレベーターがないと家から外に出れない」など切実な声が上がっています。また現在入居している3326世帯のうち70代以上の高齢者は2000人を超え、要介護者は700人を超えているのが実態でエレベーターの設置は待ったなしの課題です。建て替え計画を早急に明らかにするとともに、必要な修繕やエレベーターの設置は、直ちに行うことを求めます。
8 既存の住棟に対しても必要な修繕を行うべきと思いますが、いかがですか。
9 以下、具体的に伺います。
・ エレベーターの設置
・ ポストの取り換え
・ 排水管の取り換え
二 少人数学級の促進について
中央教育審議会初等中等教育分科会は7月26日、「今後の学級編制及び教職員定数の改善について(提言)」を発表し、「国は全国の教育水準の向上のため、小・中学校の学級編制の標準について、現行の40人から引き下げる必要がある」、「小学校低学年については、さらに引き下げることも検討する」ことを求めました。この「提言」を受けて文部科学省は、8年間かけて、小中学校全学年で35人学級を実現し、さらに小1、2年生は30人学級とする「新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画案」を策定し、来年度から小1、2年生を35人学級とする概算要求を行いました。都教委は、この流れを真摯に受け止め、少人数学級早期実現に力を尽くす時ではないでしょうか。
学級規模が小さくなれば、学習面でみれば、子ども一人ひとりのつまづきを丁寧に指導することができます。また討論や実験などを通じて物事を深く理解するという、今日求められている学習も進めやすくなります。生活の面でも、いま子どもたちの置かれている現状は、深刻です。貧困の広がりや、忙しすぎる親のもとで親も子も孤立している家庭状況があったりと、複雑化、深刻化しています。子育て支援事業全体を引き上げ、学校教育全体の改善を図ることで、子どもたちの人格の完成を目指す教育を前進させることが必要です。経済的支援とともに一人ひとりの子どもに目をかけ、丁寧に向き合うことが大事で、そのためにも少人数学級の早期実施が求められています。
1 文科省は、6年間で順次小学校と中学校の35人学級を実施し、その後小学1、2年生の30人学級を実施するとしています。都教委は、国の新しい動きをどう認識・評価していますか。
2 また、都として少人数学級の本格実施にふみだすべきと考えますが、いかがですか。
3 来年度、国の施策として小学校1、2年生が35人学級となった場合、東京都で、それぞれの学年で、何学級増える見込みですか。また何人の教職員が新たに必要で、その経費はいくらぐらいになるのですか。
4 都教委は今年度から、小1・中1対策として1学級39人の基準で教員を加配し、学級規模の縮小も可能としましたが、対象となった53の小学校、40の中学校の多くが、ティーム・ティーチングなどではなく少人数学級対応としました。このことについて都教委はどう分析していますか。
5 また来年度は、教員加配の基準が1学級38人となりますが、今の制度では1学級の児童生徒数の下限が20人となっているため、1学年39人の学校では学級規模の縮小を行うことができず、39人の学級となってしまいます。下限設定は撤廃し、現場で判断できるよう柔軟な対応が必要だという声があがっていますが、どう考えますか。
6 特別区議長会からは、教員の加配を充実し、その活用については現場の判断で学級規模の縮小等にも柔軟に対応できるようにすることが要望としてあがっていますが、当然です。都教委はこの要望にどのように答えるのですか。
7 都教委は、2004年度から、14学級の小学校と15学級から17学級の中学校の教諭の定数を1名減らしました。さらに2008年度からは15、16学級の小学校の教諭の定数を1名削減しました。配置基準を改善し、教職員の定数を増やすことを求めますが、いかがですか。
8 特別支援学級は、現在教員配置が「学級数プラス1」名となっています。障害の多様化などもあり、「定員を少なくしてほしい」「4学級以上校は『学級数プラス2』名にしてほしい」と保護者などから要望があがっています。国に対し、特別支援学級の学級編制基準の改善も求めるとともに、都としても教員配置を増やしてほしいと考えますが、いかがですか。

平成22年第三回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅「辰巳一丁目団地」建替計画について
1 建替計画の進捗状況はどのようになっているのか伺う。

回答
辰巳一丁目団地は、昭和40年代建設の大規模団地の中でも建設年次が古く、建物や設備の老朽化が進行し、ほとんどの住棟にエレベーターが設置されていないことなどから、早期の建替えが必要と考えており、今後、地元との調整も図りながら速やかに建替事業に着手することとしています。

質問事項
一の2 建替計画は、何世帯の住宅を想定しているのか伺う。

回答
現在の住宅3,326戸のうち、エレベーターが設置されていない住棟を主たる対象として早期の建替えを行うこととしています。

質問事項
一の3 どのような内容の建替計画としているのか伺う。

回答
老朽化が進行し、エレベーターが設置されていない住棟の建替えを行うとともに、用地を創出し、辰巳駅周辺にふさわしい都市機能の導入や都市基盤の整備などを進める計画としています。

質問事項
一の4 計画検討の早い段階から居住者に情報提供を行い、建替計画策定に当たっては住民の意見を反映すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
既に、地元区や自治会への説明を開始しています。今後、地元との調整も図りながら、建替事業に着手することとしており、建替えに当たっては、居住者に対して適切に説明することとしています。

質問事項
一の5 高齢者の福祉施設を団地内に作る計画なのか伺う。

回答
建替えに伴う公共公益施設の整備については、「東京都が行う公共住宅建設に関連する地域開発要綱」に基づき、今後、地元区と協議することとしています。

質問事項
一の6 建替えに際して、居住者の仮住まい移転が必要となるのか伺う。

回答
居住者の具体的な移転の計画については、今後、検討していきますが、建替えに当たって、仮移転が必要となる場合があります。

質問事項
一の7 地元区である江東区とは、どのような協議をしているのか伺う。

回答
今後、「東京都が行う公共住宅建設に関連する地域開発要綱」に基づき協議を行うとともに、地域のまちづくりとの連携など、地元区との調整も図りながら建替事業に着手することとしています。

質問事項
一の8 既存の住棟に対しても必要な修繕を行うべきと考えるが所見を伺う。

回答
建替事業の期間中においても、既存の各住棟について、過去の修繕実施状況や建替えの着手時期を勘案し、必要な修繕工事を実施することとしています。

質問事項
一の9 具体的に、以下の場所について修繕等を行うのか伺う。
〔1〕エレベーターの設置、〔2〕ポストの取り替え、〔3〕排水管の取り替え

回答
建替えを予定している団地であることから、エレベーターの設置予定はありません。その他については、過去の修繕実施状況や建替えの着手時期を勘案し、必要な修繕工事を実施することとしています。

質問事項
二 少人数学級の促進について
1 文科省は、6年間で順次小学校と中学校の35人学級を実施し、その後小学1、2年生の30人学級を実施するとしている。都教委は、国の新しい動きをどう認識・評価しているのか伺う。

回答
都教育委員会は、小1問題及び中1ギャップに確実に対応し、教員が子供と向き合う環境をつくるため、教員を加配して学級規模の縮小も可能とするなどの施策を平成22年度から講じています。
この施策の実施に当たっては、40人学級のメリット、すなわち生活集団としての学級の教育効果、切磋琢磨による社会的適応能力の育成について十分配慮しており、学級編制基準の40人は変更していません。
都教育委員会は、学習指導や生活指導の両面から児童・生徒一人一人の特性を十分理解し、個に応じた指導を行う必要があることから、これまでも国に対して教職員定数を一層充実すべき旨の提案要求を行っており、今後の国の動向を注視していきます。

質問事項
二の2 都として少人数学級の本格実施にふみだすべきと考えるが、所見を伺う。

回答
都教育委員会は、小1問題及び中1ギャップに確実に対応し、教員が子供と向き合う環境をつくるため、教員を加配して学級規模の縮小も可能とするなどの施策を平成22年度から講じています。
また、都教育委員会は、従来から、学級の生活集団としての教育効果を考えた場合、児童・生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力を育むため、学級には一定規模が必要であると考えています。

質問事項
二の3 来年度、国の施策として小学校1、2年生が35人学級となった場合、都では、それぞれの学年で、何学級増える見込みか。また、何人の教職員が新たに必要で、その経費はいくらぐらいになるのか伺う。

回答
今般、国が示した新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(案)が計画どおり来年度から実施された場合には、公立小学校で第1、第2学年が35人学級となり、都では第1学年で305学級、第2学年で315学級の増が見込まれます。
これに伴い、教職員685人、人件費約60億円が新たに必要となりますが、計画の進捗に伴い、中高学年や中学生が順次対象となっていくため、所要の人件費は年々増加していきます。

質問事項
二の4 都教委は今年度から、小1・中1対策として1学級39人の基準で教員を加配し、学級規模の縮小も可能としたが、対象となった53の小学校、40の中学校の多くが、ティーム・ティーチングなどではなく少人数学級対応とした。このことについて、都教委はどう分析しているのか伺う。

回答
学級規模の縮小は児童・生徒の人数に着目するものであり、ティーム・ティーチングは指導体制に着目するもので、地域や学校の実情に応じて、区市町村が選択したものと認識しています。

質問事項
二の5 来年度は、教員加配の基準が1学級38人となるが、今の制度では1学級20人が下限であるため、1学年39人の学級では学級規模の縮小が行えず、39人学級となってしまう。下限設定は撤廃し、現場で判断できるような柔軟な対応が必要と考えるが、所見を伺う。

回答
都教育委員会は、生活集団としての教育効果を考えた場合、学級には一定規模が必要であると考えています。従いまして、1学級20人を下回る学級規模の縮小は考えていません。

質問事項
二の6 特別区議長会からは、教員の加配を充実し、その活用については現場の判断で学級規模の縮小等にも柔軟に対応できるようにすることが要望としてあるが、都教委はどう答えるのか伺う。

回答
ご質問の特別区議長会の要望に対しては、特別区議長会に回答すべきものと考えており、回答は差し控えさせていただきます。

質問事項
二の7 都教委は、2004年度から、14学級の小学校と15学級から17学級の中学校の教諭の定数を1名減らした。さらに2008年度からは15、16学級の小学校の教諭の定数を1名削減した。配置基準を改善し、教職員の定数を増やすことを求めるが、所見を伺う。

回答
教職員の適正配置の観点から、教職員の加配や配当基準について、不断の見直しを行っており、御指摘の配当基準の見直しの際には、非常勤教員や非常勤講師の配置などの必要な措置を講じています。

質問事項
二の8 特別支援学級は、現在教員配置が「学級数プラス1」名となっている。障害の多様化などもあり、「定員を少なくしてほしい」「4学級以上校は『学級数プラス2』名にしてほしい」と保護者などから要望があがっている。国に対し、特別支援学級の学級編制基準の改善も求めるとともに、都としても教員配置を増やしてほしいと考えるが、所見を伺う。

回答
都教育委員会では、特別支援学級の固定学級の一学級の児童又は生徒の数について、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき、8人と定めています。
また、特別支援学級の教員定数については、義務教育標準法に定める学級編制基準に基づき算出した教員数に、都独自の加配として1人を加え教員を配置しており、今後とも国の動向を注視していきます。

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  伊藤ゆう

質問事項
一 無縁墓所の数について
二 無縁仏を増やさないために、どのような取り組みを行うべきと考えているのか

一 無縁墓所の数について
今日、日本では親の行方に関心を持たない子どもたちの存在によって、所在不明の高齢者が相次いでいます。なかには、意図的に親の死を隠し、年金を不正受給するケースもあり、家庭崩壊を超えて人間社会の崩壊さえ感じさせる事態に陥っています。
これらの事件に見られるように、人と人の絆が、もっとも基礎的な絆である家族から壊れていることは、日本社会の芯が溶解していることを示しています。
元来、日本人は先祖供養の文化を育み、命日、お彼岸、お盆など先祖供養の法要を大事にしてきました。しかし、近年では手入れの行き届かない墓地や、全くの無縁仏になってしまった荒れ放題の墓地が散見されます。都立霊園においても、都はこうした墓地の実態を調べ、管理料の滞納と管理状態の適正化を図るため平成12年度から無縁墳墓調査を計画的に進めてきたと聞きます。その調査から明らかになった無縁墓所の数を伺います。
二 無縁仏を増やさないために、どのような取り組みを行うべきと考えているのか
また、無縁仏を増やさないためには、日本人の先祖供養の文化を伝え、墓所を管理する者の世代交代をしていくことが必要と考えますが、都は霊園使用者に対し、どのような取組を行うべきと考えているのか伺います。

平成22年第三回都議会定例会
伊藤ゆう議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 無縁墓所の数について
都立霊園において、管理料の滞納と管理状態の適正化を図るため、都は、平成12年度から無縁墳墓調査を計画的に進めてきたと聞くが、その調査から明らかになった無縁墓所の数を伺う。

回答
都立霊園においては、管理料が5年以上滞納になっている墓所を対象に、平成12年度から平成22年度まで3,158か所の調査を行い、そのうち、承継する人がいない無縁墓所の数は1,860か所でした。

質問事項
二 無縁仏を増やさないための取組について
無縁仏を増やさないためには、日本人の先祖供養の文化を伝え、墓所を管理する者の世代交代をしていくことが必要と考えるが、都は霊園使用者に対し、どのような取組を行うべきと考えているのか伺う。

回答
墓所は、祭祀財産であり、祭祀主宰者に引き継がれていくもので、都立霊園においては、承継の制度があります。
霊園使用者に対しては、これまでも、毎年の管理料請求の通知や指定管理者である東京都公園協会のホームページ等で、承継の手続を案内しています。今後とも、生前承継の手続も含め、わかりやすい案内に努めます。

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  古館和憲

質問事項
一 環状八号道路建設工事にともなう損害賠償問題について

一 環状八号道路建設工事にともなう損害賠償問題について
環状8号道路の板橋区相生町交差点から練馬区北町間の建設工事は、2001年(平成13年)3月から開始されました。
道路予定地は、第4建設事務所が、2001年8月の事業説明会で、道路予定が「数百メートルにわたって旧蓮根側の河川敷にあり、ピート層・軟弱地盤である」と強調したような地盤です。
しかし、都は、2001年の秋から翌年の春にかけて行なった「家屋調査」(事前調査)において道路予定地に隣接する住宅地の地盤調査を実施しませんでした。
その後、周辺地域では、家屋の傾斜、住宅の壁のひび割れ、柱の傾斜、自宅前の私道の地盤沈下など、工事が原因とみられるさまざまな被害が起きています。
地元住民でつくる「環八の会」は、第四建設事務所にたいして、原因究明、再発防止、被害補償を求めて、再三にわたって申し入れ、交渉を行っています。
このなかで、第四建設事務所は「原因のすべてが工事によるものと断定できない」と回答したり、地元工務店の修繕費用見積もり額を著しく下回る賠償額しか提示しないなど、住民の要望から大きくへだたりのある姿勢をとっています。
そこで、以下の問題について、質問します。
1 工事被害の損害賠償問題の早期解決について
ア 工事被害の損賠賠償問題の解決件数・未解決件数についてそれぞれ具体的に示してください。
この問題では担当者がわずか二人と少ないことを指摘しないわけにはいきません。その結果、未解決のまま2年から3年放置されていたり、再調査を申し込んでも「早くて1カ月後」といわれるなど、人員不足が原因であることは、明らかです。人員を増員することが必要です。
イ 第四建設事務所の担当者を増やして、損害賠償問題の解決を急ぐべきです。
2 損害賠償は「原状回復」に必要な費用を基準に。「算定内容」についての十分な説明を
損害賠償額の「算定」について、被害者がよくわかるように親切な説明を求める声もあがっています。
2008年9月19日に、第四建設事務所は「賠償金の提示に当たっては、それぞれの損害の修復が、どの工法、どの工種に該当したか、明確にする」と約束したが、これが守られていないとの指摘がされています。
ア 損害賠償の基準は「原状回復」に必要な費用負担とすることを求めます。また、「算定内容」について関係住民への説明責任を果たすことを改めて求めます。
イ また、そのための「指針」はあるのかどうか。あるのであれば関係住民に明らかにすることを求めます。
3 地盤被害の問題について
関係住民は、第四建設事務所が「道路部分の地盤改良工事」をやりながら、隣接する住宅・宅地の地盤については事前調査をせず、対策もとらなかったと指摘し、住民の被害を軽視する対応だったと批判しています。
ア 工学博士の小松田精吉氏の所見『環状八号線工事の地盤被害の原因について』に対する、都ならびに建設局第四建設事務所の見解を示していただきたい。
イ 建設局第四建設事務所は、「損害賠償は、家屋だけでなく、塀、敷地、私道などの被害を含む」(2008年9月19日)と約束したが、この実行は担保されているのか、それぞれ明らかにされたい。
ウ 住民側は専門的な検討をおこなうためにも、都側と住民側の専門家の合同の「地盤変動・工事被害に対する調査委員会」の設置を求めているが、いかがか。

平成22年第三回都議会定例会
古館和憲議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 環状八号道路建設工事にともなう損害賠償問題について
1 工事被害の損害賠償問題の早期解決について
ア 工事被害の損害賠償問題の解決件数・未解決件数についてそれぞれ具体的に伺う。

回答
環状第8号線の練馬区北町から板橋区相生町までの区間は、平成12年度から工事を実施しており、平成18年5月に本線を、平成21年3月に側道を交通開放しています。
建設局施行の工事に起因する家屋等損傷事故を把握するため、家屋調査を行っており、家屋等損傷事故として204件を賠償することとしました。
平成22年9月末までに131件が示談締結し、引き続き、残る73件についても賠償対象の方と示談交渉を進めていきます。

質問事項
一の1のイ 第四建設事務所の担当者を増やして、損害賠償問題の解決を急ぐべきと考えるが、所見を伺う。

回答
これまでも、北町若木地区の損害賠償事務に精力的に取り組んでおり、引き続き、早期解決を図るよう損害賠償の示談交渉を進めていきます。

質問事項
一の2 損害賠償額の算定について
ア 損害賠償額の基準は、「原状回復」に必要な費用負担とすること、また、「算定内容」について関係住民への説明責任を果たすべきと考えるが、所見を伺う。

回答
建設局は、局が行う工事により家屋等に損傷事故が発生した場合には、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により、原状回復に必要な費用を賠償することとしており、賠償対象の方々に対しては、賠償額の算定内容について、適正な説明を十分に行ってきています。

質問事項
一の2のイ 損害賠償額算定のための「指針」はあるのか、あるのであれば関係住民に明らかにすべきと考えるが、所見を伺う。

回答
損害賠償額は、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により個別に算定を行い、賠償の内容について十分に説明しています。

質問事項
一の3 地盤被害の問題について
ア 工学博士の小松田精吉氏の所見「環状八号線工事の地盤被害の原因について」に対する、都ならびに建設局第四建設事務所の所見を伺う。

回答
小松田氏の所見は、意見の一つであると考えています。なお、工事に起因する家屋等損傷事故については、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により、適正に補償を行っています。

質問事項
一の3のイ 建設局第四建設事務所は、「損害賠償は、家屋だけでなく、塀、敷地、私道などの被害を含む」(2008年9月19日)と約束したが、この実行は担保されているのか、それぞれ伺う。

回答
工事に起因する家屋等損傷事故については、工作物及び動産の損傷事故を含め、既に適正に補償を行っています。

質問事項
一の3のウ 住民側は専門的な検討をおこなうためにも、都側と住民側の専門家の合同の「地盤変動・工事被害に対する調査委員会」の設置を求めているが、所見を伺う。

回答
工事に起因する家屋等損傷事故については、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により、適正に補償を行っており、「地盤変動・工事被害に対する調査委員会」の設置は考えていません。

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  かち佳代子

質問事項
一 大田市場における水産部門の活性化について

一 大田市場における水産部門の活性化について
国民に安心・安定した、食の供給を提供している中央卸売市場・地方卸売市場の役割は、重要です。
今日、その卸売市場をめぐる環境は、相次ぐ規制緩和のもとで大きく変化をしております。輸入農産物の増加、出荷団体の大型化、大型量販店の進出で、市場外取引が増加すると同時に、卸売市場に入った荷も、相対取引、先取りによって、コンスタントに大量に購入するところに優先的に荷がまわるようになりました。その結果、量販店には良いものが安くいきわたる一方、荷が少なく相対取引、先取りができない小さな小売店は、高く仕入れざるを得ない仕組みになってきています。このことが重大な原因となって、商店街の生鮮小売店は減少し、仲卸業など市場関係業者は厳しい経営状況においこまれています。
本年9月初旬、わたしは大田市場水産部のエリアを訪ねました。
この市場は、1988年から1989年に第3次卸売市場整備計画に基づき、青果・水産物・花きを取り扱う総合市場として、開始され今日に至っています。都内に11ある市場のなかで、もっとも広い敷地面積をもつ市場であり、当初の計画では、取扱規模は、青果部1日あたり3000トン、水産部1日あたり300トン、花き125万本(その後245万本に変更)を目標としたものです。
広い敷地の奥に、「潮どおり」という水産仲卸のエリアがありましたが、目立つのは、スチール棚で囲い、鍵がかかった廃業した店の跡です。なかには、店舗エリア内に夜逃げ同然のように、空き箱などが無造作に山積みされているところもありました。開場当時93軒あった店が、いまは47軒に半減しているため、灯りもまばらで、全体が衰退の体をいなめません。
現在営業している人からも、「いつやめるかを思いあぐねている。廃業するにも、300万円は必要だ。やめるにやめられない」と悲痛な訴えを聞きました。
実際、大田市場の取扱実績は、青果で3305tを維持し、花きは319万本と目標を大きく上回る一方、水産はわずか48t(H21年度実績)です。この20年余の経過のなかでは、消費者嗜好の変化や、スーパーなどの直接取引、経済動向が大きく影響してはいますが、水産部の目標300tに対し、最高時の取扱で145tあったものが、現在は48t(平成21年度実績)であり、目標の16%、最高時の3割まで減少しており、あまりにひどい状況です。
1 都は大田市場における水産部門のこの実態をどのように認識しているのですか。当初の目標設定に対し、都はどのような取り組みをしてきたのですか。
これまで都は、第5次卸売市場整備計画では、「仲卸100店舗体制の確立が遅れたことや、交通事情などから、現在においても、取扱量は、当初の計画取扱量を大きく下回っている状況にある。このため、市場活性化の方策について検討していく」としていました。ところが、第6次卸売市場整備計画では、大田市場の水産についての記述が皆無です。
2 現在の実態にたいし、都は市場業者が安定的に営業し、小売業者に良い食品を安く提供できるようにしていくため、どのように具体的な対策をすすめていくのですか。
水産部門では、大型の冷蔵施設が必要であり、その維持費・ランニングコストがかかります。また、廃棄物処理においても、大量の発泡スチロールなどリサイクル費用等が発生します。そこで働く仲卸業者の方に、お聞きしますと、業者が半減、売上は10分の1になる一方、廃棄物がそれほど減っていないので、業者間で、費用分担しているが、それが重いと訴えられました。
廃棄物が減らない理由のなかには、24時間対応の市場では、量販店の保冷車などが、常時出入りをしており、その際、不法に置いていく状況もあるようです。
生ものを扱う水産部門では、とりわけ、衛生管理が求められるわけですが、空きスペースが増え、夜逃げのような状況で、居なくなった業者の店舗後を放置していれば、ねずみやゴキブリの発生源ともなりかねません。
3 市場管理者として、こうした状況をただちに改善すべきですが、どうですか。
水産卸売業は、営業上量販店へ直接出す傾向にある上、水産部の取引が減少するなか、場内の空きスペースには大型量販店の輸送車が何台も駐車していたり、青果部の荷置き場になっていたりという状況が生まれています。これでは、小売店・料理屋さんにとって、ますます使いにくい市場になってしまい、仲卸業者へのお客さんは減少してしまいます。
4 大田市場における水産部門の活性化をとりもどすための、量販店と小売店等にそれぞれ荷が公正・公平にまわるようにするために対策が必要と考えますが、どうですか。
現在、東京中央卸売市場としては、11市場のうち、水産を主体とした築地市場と、城東地域の中核を担う水産のみの足立市場、そして、城南地域の総合市場としての大田市場のみが、水産部を受け持っています。地域経済を考えても、また、大田市場が総合市場としての役割をはたすためにも、青果・花きとともに、水産部門を、今後も機能させ、維持継続できることが重要です。
しかし、取扱量が1日あたり108トンの足立市場における冷蔵庫施設は、5490.2平方メートルに対し、取扱量1日あたり48トンの大田市場の水産部の冷蔵庫設備は7629.6平方メートル。低温卸売場の面積も、足立市場が814.8平方メートルに対し、大田市場水産部では943.2平方メートルと、実績以上に過大な施設設備となっています。
5 仲卸業者の市場使用料負担は、面積割の使用料が全体の90%を占め、売上が減少するなかますます重くなっています。仲卸の市場使用料負担に対し、軽減措置など都としての支援が、もとめられますが、どうですか。
6 大田市場の将来構想として、現在の整備計画では、築地市場の再編後の影響を評価し、あり方を検討するとのことですが、現状では、とてもそれまで、持ちこたえられず、大田市場水産部門は崩壊の危機に直面しかねません。独自対策を緊急にとるべきとおもいますがどうですか。
7 もう廃業するしかないと決めている仲卸業者の方々もおります。これから年度末決算を控え、現在の借入融資について、返済期間を据え置くことや、新たな、低利あるいは無利子融資などの措置をとりながら、市場開設者としても、市場を活性化する目標をもって、継続的に取り組むことが重要と考えますが、どうですか。
8 羽田空港の再国際化にともない、貨物ターミナルには大型冷蔵倉庫が新設され、冷凍マグロなど空輸されるようになると聞いています。立地条件からしても、大田市場を活用されるように積極的に支援することは、市場の活性化はもとより、環境の面でも、鮮度からいっても、大変有効であると思いますがどうですか。
9 大田市場の水産部門には、空きスペースが多くできています。一般住民が、激しく荷の動く中でも安心して、自由に見学できるようなコースをつくり、セリの様子をみることができるようにすること。模型などによる魚の名前、生態紹介、マグロの部位紹介、医学的効用など、魚介類の展示紹介コーナーをつくることは、魚介類の消費促進にもつながると思いますが、どうですか。
10 市場によっては、料理教室ができる施設整備をして、市場主催の料理教室を住民に募集案内をしたり、住民が独自に利用できるようにしたりして、喜ばれています。大田市場でも同様の取り組みをしたらどうですか。また、市場周辺地域の学校、病院、企業などの食堂に、市場経由の生鮮食品を納入できるようにするなどの取り組み、開かれた大田市場・使いやすい大田市場をアピールするなど、抜本的改善策をもとめるものですが、見解を求めます。

平成22年第三回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 大田市場における水産部門の活性化について
1 大田市場の水産部門の取扱実績は、58t(平成21年実績)と目標300tの19%、最高時の取扱145tの4割にまで減少しているが、都はこの実態をどのように認識しているか、また、当初の目標設定に対し、どのような取組をしてきたのか伺う。

回答
大田市場は、城南地域における地元市場として整備するとともに、都心部に立地する築地・神田両市場の過密化を解消し、青果物、水産物及び花きを取り扱う総合市場との位置づけで、神田及び荏原(青果)並びに大森(水産)の各市場を廃止して整備されました。そのため、大田市場における水産物部の取扱量は、地元区並びに神田、荏原及び大森各市場の要望を考慮し、大田区、品川区及び周辺地域の需要量を算定して決定されたものです。
大田市場における水産物部の取扱量は、平成3年の日量145トンが最高であり、特に近年は取扱量が大きく落ち込んでいます。全国的な傾向として、量販店と産地との直接取引や、商社等による輸入品の取扱等が増加したことで水産物の市場経由率の低下が見られますが、都の中央卸売市場においても例外ではなく、その水産物部の取扱量は全体的に減少傾向にあります。加えて、大田市場における有力な仲卸業者・売買参加者がここ数年のうちに相次いで廃業・撤退をしました。これらのことが主な原因であると認識しています。これらの状況に対しては、低温卸売場(マグロ売場)の整備、卸売場におけるコンテナ冷蔵庫の整備、仲卸業者の受入等、品質管理の高度化や取引の活性化を図るための取組を行ってきています。

質問事項
一の2 第6次卸売市場整備計画では、大田市場の水産についての記述が皆無だが、都は市場業者が安定的に営業し、小売業者に良い食品を安く提供できるようにしていくため、どのように具体的な対策を進めていくのか伺う。

回答
卸売業者や仲卸業者等の市場業者が小売業者に良い品を提供していくためには、自らの経営を安定化し、健全な営業を確保することが不可欠であると考えています。
そこで、都は、市場業者の経営基盤を強化し、健全な営業を確保できるよう、市場取引に精通した公認会計士とともに、きめ細かな財務検査や個々の事業者の経営状況や事情に応じた経営改善指導を行っています。
また、仲卸業者に対する公認会計士など専門家による経営相談窓口の設置や、市場業者の団体等が新規の事業展開を行う場合の経費補助制度の創設等、市場業者の経営基盤の強化に向けた様々な支援を行っています。

質問事項
一の3 業者が半減、売り上げが10分の1になる一方、廃棄物は、量販店の保冷車などが不法に置いていくこともあってそれほど減っておらず、また、リサイクル費用等の分担が重いとの声もある。空きスペースも増えており、放置すればねずみ等の発生源ともなりかねない。生ものを扱う水産部門ではとりわけ衛生管理が求められており、市場管理者としてこうした状況をただちに改善すべきだが、所見を伺う。

回答
事業活動に伴って生じた廃棄物は、法令の規定に基づき、事業者処理責任の原則により、自らの責任において適正に処理することとされています。中央卸売市場における事業者についても例外ではなく、発生した廃棄物について、食品リサイクル法、容器包装リサイクル法等の規定に基づくリサイクルを含め、引き続きその適正な処理をお願いしています。
なお、市場内の道路や広場など都が管理者として負担すべき対象から発生する廃棄物(不法投棄分を含む。)については、都は、一般廃棄物や発泡スチロール廃棄物等の処理費用のうち一定の費用を負担しています。
また、不法投棄については、監視カメラの設置や市場協会と協力した巡回の実施等を行い、その防止に取り組んでいます。空き店舗スペースの衛生管理については、必要に応じて水産棟全体の一斉清掃及び消毒を市場業界とともに行うなど、衛生の保持に努めています。

質問事項
一の4 大田市場における水産部門を活性化させるため、量販店と小売店等にそれぞれ荷が公正・公平にまわるようにするための対策が必要と考えるが、所見を伺う。

回答
都は、小規模な小売店から量販店まで様々な業態の買出人が公正、公平に荷を確保し、流通において適切に役割を果たすことが、地域における生鮮食料品の円滑な流通を担う上で重要であると認識しています。
そこで都は、量販店だけでなく中小小売店にも公正かつ効率的な売買取引の機会が確保できるよう、条例に基づく取引の監視、指導を行っています。
さらに、小売代表も含めた市場取引委員会を設置し、公正取引のルールを遵守するための意見交換や、業界取引委員らによる現場監視等、業界と共同して継続的な取組を行うことで、入荷量が少なく人気のある商品が中小小売店にも手に入るように十分に配慮しています。

質問事項
一の5 仲卸業者の市場使用料負担は、面積割の使用料が全体の90%を占め、売上が減少する中、ますます重くなっている。軽減措置などの支援が求められるが、所見を伺う。

回答
中央卸売市場会計は、地方公営企業法の財務規定等を適用し、取引業務の指導監督に要する経費など行政的経費を除き、市場使用料等の企業収入により独立採算制を原則として運営しています。
この市場使用料については、東京都中央卸売市場条例で規定しており、その減免についても、使用者の責めに帰すことができない理由により市場施設を一定期間使用できない場合など、同条例において限定的に定めています。
都としては、使用料の減免については、公平性などの観点から条例に基づく適正な運用を図っており、仲卸業者の経営悪化を理由とした軽減措置は行っておりません。

質問事項
一の6 現在の整備計画によると、築地市場の再編後の影響を評価し、あり方を検討するとのことだが、現状ではそこまで持ちこたえられず、大田市場の水産部門は崩壊しかねない。独自対策を緊急にとるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
大田市場における水産物部は、平成元年9月の開場以来、水産物の円滑な供給を通じ、城南地域における地元市場としてその需要に貢献するという役割を果たしてきました。また、その取引を活性化させていくため、これまで、低温卸売場(マグロ売場)の整備、卸売場におけるコンテナ冷蔵庫の整備、仲卸業者の受入等、各種の対策を講じてきました。
都は、引き続き、大田市場における水産物部の状況を踏まえ、市場関係業者とも協議し、適切な対応を検討していきます。

質問事項
一の7 年度末決算を控え、現在の借入融資について返済期間を据え置くなど、市場開設者としても市場を活性化する目標をもって、継続的に取り組むことが重要と考えるが、所見を伺う。

回答
都は、市場業者の経営基盤を強化し、経営の活性化、事業再生を図るために、公認会計士、中小企業診断士などの市場に精通した専門家による経営相談窓口を設置しています。
そこでは、相談者の経営実態や問題点を把握した上で、借入金返済に苦しむ仲卸業者も含めた、経営不振の事業者に利用可能な公的融資制度を紹介するほか、個々の事情に応じた経営改善の方向性を示すなど、可能な限り、有用なアドバイスや情報提供を行っています。
また、相談窓口の設置に加えて、経営状況が悪化している仲卸業者に対して、きめ細やかな財務検査や経営改善指導を実施しており、その中でも公的融資制度の紹介や専門的助言等の取組を行っています。

質問事項
一の8 羽田空港の国際化に伴い、大田市場を活用されるように積極的に支援することは、市場の活性化はもとより、環境面でも鮮度の面でも大変有効と考えるが、所見を伺う。

回答
羽田空港の国際化については大田市場も含めた周辺地域の物流に少なからぬ影響を与えると予想されます。
現在、大田市場における航空便を活用した荷の搬出入の実績は少なく、市場業者は今後の動向を見ながら判断していくとの意向であり、新たな需要が生じた場合の対応については、適宜検討していきたいと考えています。

質問事項
一の9 大田市場の水産部門には空きスペースが多くできている。一般住民が安心して自由にセリの様子を見学できるコースの整備や、魚介類の展示紹介コーナーの設置は魚介類の消費促進にもつながると考えるが、所見を伺う。

回答
開かれた市場という観点から、市場に多くの方が訪れ、市場の役割を理解したり生鮮食料品等に関する知識を深めていただくことは、望ましいことであると考えています。
現在、大田市場には既に見学者専用の通路が整備され、また、食材に関する知識の普及啓発のために、展示室において魚介類に関する解説パネルを掲示し、見学者への案内も行っています。こうした取組などにより、大田市場には多くの見学者が訪れており、平成21年における見学者数は約27,000人に上っています。
なお、空きスペースを活用した見学対応については、市場業務の妨げとならず、かつ生鮮食料品の衛生面や見学者の安全にも配慮する必要があることから、課題が多いと認識しています。引き続き、都としては、より魅力的な市場見学の実現を図っていきたいと考えています。

質問事項
一の10 他の市場では、市場主催の料理教室を実施するなどして住民に喜ばれているが、大田市場でも同様の取組をしてはどうか、所見を伺う。また、開かれた大田市場をアピールするなどの抜本的改善策を求めるが、所見を伺う。

回答
中央卸売市場では、市場機能の理解促進や生鮮食料品に関する知識の普及啓発のために、市場見学案内や食育事業などを通して、広報活動を行っています。
大田市場では、場内に見学者専用通路を整備し、せり台などの要所に市場活動を解説した説明表示を設け、見学者が自由に見学しながら市場の役割を学べる環境を整えています。また、近隣住民を対象とした「魚のさばき方教室」を毎年実施しており、実際に魚に触れ、さばくなどの調理体験は、参加者に好評です。
今後も、市場業界との連携を図りつつ、「魚のさばき方教室」を継続して実施していくとともに、見学案内について市場のホームページでより分かりやすく紹介するなど、開かれた市場という観点から大田市場に関する広報の充実に努めていきます。
なお、調理設備を備えた施設の整備については、衛生確保の観点や市場業界との調整を踏まえながら、慎重に検討していく必要があると考えています。

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  たぞえ民夫

質問事項
一 介護福祉施設への水道・下水道料金軽減措置の改善について

一 介護福祉施設への水道・下水道料金軽減措置の改善について
東京をはじめ全国的に、人口の高齢化が急速にすすんでいます。とりわけ東京では、戦後の高度経済成長期に地方から移り住んできた人たちが年を重ね、2025年には高齢者は340万人をこえ、都民4人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢者社会が到来します。
介護体制の整備はまったなしです。ところが東京では、特別養護老人ホームもグループホーム、小規模多機能型施設も整備状況は全国最低水準です。介護現場の人材も深刻で、訪問介護事業所の廃業が相次ぎ、介護体制の維持・存続さえ問われる深刻な事態に直面しています。
2000年4月に介護保険がスタートして十年、サービスの受給者、介護費用は右肩上がりに増加し続けていますが、制度の改訂のたびに費用負担がふやされ、利用が制約され、介護職員が働き続けられない介護報酬が続いて結果、政府が当初かかげた「介護の社会化」とは裏腹に「介護崩壊」といわれる危機的な状況が広がっている現実があります。
こうした中で、「住みなれた家で介護を受けながら住み続けたい」と、ひとり暮らしや認知症をはじめ、高齢者が地域で安心して暮らし続けられる地域ケアの充実・推進を図るために、ホームヘルパーなどが家庭を訪問し、食事、入浴などの介助など身体的援助や清掃、洗濯、買い物など日常生活の家事援助をおこなうヘルパーステーションが各地で介護のネットワークを広げています。
これらのヘルパーステーションは、特養やグループホーム、デイサービスり機能とともに併設されているのが多くの実態です。
私の地元世田谷にある東京さくら福祉会が運営する施設では、職員の賃金水準の確保に努めながらも、厳しい経営の中で、デイサービスに通所している高齢者が一番に楽しみにしているのが入浴サービスです。そのための水準を低下しないよう努力しています。
高齢者は入浴サービスを受けることで、身体の清潔・血行促進で心身のリフレッシュをはかられ、大変喜ばれています。車椅子のまま入浴できるよう機械浴も設けられ、週三回通所している高齢者は、毎回入浴していますが、施設側はその都度浴槽のお湯を交換するため、浴場の湯気が消えることはありません。
認知症の方が暮らすグループホームでも、スタッフの援助を受けての週三回の入浴は、病状の進行が緩やかになり、生活の大きなささえになっています。
世田谷区内ではデイサービスで入浴している高齢者は2000人を超えており、デイサービスを受けたいと希望する高齢者の第一の条件は何と言っても入浴があるかどうかだと言われています。
そのため水道使用量が2か月間で、5000立方メートルにもおよび、毎回の二カ月分で平均して28万円から30万円の支払いで大きな額となっていて、法人の財政運営上占める水道料金の割合も大きく、施設側の大きな負担になっています。
都議会は、不況下のもとで中小企業や都民生活を守り、景気回復に寄与する立場から、社会福祉施設や低所得者に係わる水道料金について、減免措置の継続を強く求める決議を今年三月に全会一致で採択しました。
東京都給水条例の30条でも、「公益上その他特別の理由があると認めた時は、料金又は手数料を減額し、又は免除することができる」として、生活保護法や児童扶養手当法により生活扶助や手当の支給を受ける都民について、軽減を図っています。
この水道料金・下水道料金の減額制度では、対象としているのは老人福祉法で指定を受けた指定介護老人福祉施設や、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設など社会福祉施設ですが、2010年度には、112施設がすでに新規に減免の適用をうけました。
しかし、東京さくら福祉会のように、社会福祉法の適用を受ける社会福祉事業として認定を受けていても、日常生活支援事業や訪問事業および移動支援事業をおこなうスペースや職員がいるだけで減免制度の対象から除かれているのです。
1 水道料金・下水道料金表の中の減免のお知らせには、減額措置を行うものとして、社会福祉施設も含まれていると明記しています。福祉介護の前線に立つ、部署の重要がなぜ減額対象から除かれているのですか。その理由を示してください。
2 私は、こうした福祉施設を調査しましたが、これらの介護機能をもつ施設は都内で相当数あることが分かりました。施設から軽減制度の改善の声が多数寄せられていることを承知しているのですか。
3 今回の調査で、減免の適用を希望していても、初めから対象外になっているために、手続きの申請していないことが分かりました。しかし、減免の要件を満たすかどうかの線引きは、現実にはたいへん複雑です。
  少なくとも該当するのかどうか、相談への対応を強化するなどの改善をすすめるべきと思いますがいかがですか。
ヘルパーステーションに働くヘルパー職員は朝施設に出勤し、居宅介護のために日中は外で生活支援をおこなっている時間がほとんどです。施設内で水道水を使用するのは、朝のお茶を飲んだり、帰宅後の手洗い程度で全体の使用率の5パーセント程度です。
4 減免の対象外としているヘルパーステーションなどを併設した施設の実態を水道局はどう把握しているのですか。
5 施設での直接使用よりも事務管理による間接使用の水量がごくわずかですから、施設内にヘルパーステーションが併設されていても、水道料金減免の対象に加えるべきだと思いますが、どうですか。

平成22年第三回都議会定例会
たぞえ民夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 介護福祉施設への水道・下水道料金軽減措置の改善について
1 水道料金・下水道料金の減額措置には、社会福祉施設も含まれるとしているが、福祉介護の前線に立つ重要な部署がなぜ減額対象から除かれているのか、理由を伺う。

回答
水道料金及び下水道料金の減免措置は、公営企業における独立採算の原則及び受益者負担の公平に対する例外的な措置であるため、実施にあたっては慎重に対処することとしています。
このため、社会福祉法に定める社会福祉事業であっても、日常生活支援事業や訪問事業等、用水型ではない事業については、負担の軽減を図る積極的な理由がないことから、減額措置の適用対象としていません。

質問事項
一の2 福祉施設の中には、社会福祉法の適用を受ける社会福祉事業として認定を受けていても、日常生活支援事業や訪問事業および移動支援事業を行うスペースや職員がいるだけで減免制度の対象から除かれている施設がある。こうした介護機能を持つ施設は都内で相当数あるが、これらの施設から軽減制度の改善を求める声があることを承知しているのか伺う。

回答
水道料金及び下水道料金の減免措置に関する様々な相談、問い合わせ等については、水道局営業所窓口等において、制度の趣旨を説明するなど適切に対応しています。

質問事項
一の3 減免の適用を希望している施設が要件を満たすかどうか、相談への対応を強化するなどの改善をすすめるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
水道料金及び下水道料金に対する減免制度については、関係機関に通知し、ホームページへの掲載、リーフレットの作成等により周知するとともに、水道局営業所等において、減免に対する相談に応じています。
今後も引き続き、制度の周知や相談への対応に努めていきます。

質問事項
一の4 減額の対象外としているヘルパーステーションなどを併設した施設の実態を水道局はどう把握しているのか伺う。

回答
社会福祉施設に関する減額の申請があった場合には、水道局営業所等で現場調査を行い、福祉保健局などの関係機関に確認を行った上で、減額適用の可否を決定しています。

質問事項
一の5 施設での直接使用というよりも、事務管理のためごくわずかな水量を使用しているのみのため、施設内にヘルパーステーションが併設されていても、水道料金減免の対象に加えるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
社会福祉施設の減額措置については、減免制度の趣旨を踏まえ、今後とも、適切に対応していきます。

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  石毛しげる

質問事項
一 ジオパークについて

一 ジオパークについて
昨今の異常気象による地震や、地すべりなどの被害も、地質現象の一つの結果です。日本を含む世界の気候変動や、地殻変動が地球に少なからず大きな影響を与えていると言われています。地質学は、地球誕生から始まりこれからも人類の未来に向けて非常に大きな影響を与えています。
その地質学を楽しく学べる一つにジオパークが挙げられます。
ジオパークはヨーロッパで始まった地質や地形を、見どころとする自然の中の公園です。貴重で美しい地質や地形を含めた自然遺産を保全するとともに、地球科学の普及や環境教育などを行い、さらにこれらの遺産を観光資源として活用して地域社会の活性化を目指すというものです。
ヨーロッパのジオパーク運動はユネスコが支援する活動となり、2004年に世界ジオパークネットワーク(GGN)が設立されました。現在、ヨーロッパと中国を中心に57地域がGGNに加盟しています。
世界遺産は条約に基づいて保全・保護を重要視するのに対し、ジオパークは保全と活用、地域の人々の振興と活動が重要視されます。
さて、『ジオパーク』という語源ですが、糸魚川市が1991年に糸魚川ジオパーク(造語)というものを造って、これが『ジオパーク』という言葉のもとになったと言われます。
ジオパークとなる条件としては、
・ 地域の地史や地質現象がよくわかる地質遺産を多数含み、考古学的・生態学的・文化的な価値のある場所も含む。
・ 地方自治体および公的機関・地域社会や民間団体によるしっかりした運営組織と運営・財政計画をもつ。
・ ジオツーリズムなどを通じて、地域の持続可能な社会的・経済的発展を育成する。
・ 博物館、自然観察路、ガイド付きツアーなどにより、地球科学や環境問題に関する教育・普及活動を行う。
地域の伝統と法に基づき地質遺産を確実に保全する等が求められます。
世界のジオパークは圧倒的に欧州と中国に集中し、両者のタイプは大きく異なります。中国型は基本的には国営・官営が多く、入園料を非常に高く取って、その代わりそのお金でガイドあるいは維持・管理といったものに振り当てています。一方、欧州のジオパークは、ボランティア的な活動が中心で、非常に安価です。
さて、2010年9月14日、経済産業省で第9回日本ジオパーク委員会が開催され、委員会での審査の結果、2008年に日本ジオパークに認定された室戸ジオパークが世界ジオパークネットワークへ加盟申請することに決まりました。
また、白滝、霧島、そして東京都の伊豆大島、の3地域が日本ジオパークに認定されました。
これは、2010年3月15日から世界ジオパークネットワーク加盟申請希望地域と日本ジオパークネットワーク加盟希望地域の募集が始まり、最終的に日本ジオパーク委員会での書類審査、公開プレゼンテーション、現地審査を経て、認定されたものです。
これに伴い日本ジオパークネットワークへの加盟地域は14地域(うち3地域は世界ジオパーク)となりました。
【世界ジオパーク】
・ 洞爺湖有珠山ジオパーク:2009年8月認定(日本ジオパークには2008年12月認定)
・ 南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク:2008年12月認定
・ 島原半島ジオパーク:2009年8月認定(日本ジオパークには2008年12月認定)
【日本ジオパーク】
・ アポイ岳ジオパーク:2008年12月認定
・ 南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク:2008年認定
・ 山陰海岸ジオパーク:2008年12月認定
・ 室戸ジオパーク:2008年12月認定
・ 恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク:2009年10月認定
・ 隠岐ジオパーク:2009年10月認定
・ 阿蘇ジオパーク:2009年10月認定
・ 天草御所浦ジオパーク:2009年10月認定
日本の地質百選選定委員会が日本の地質『百選』を決めようという動きが、あります。またNPO法人地質情報整備・活用機構(GUPI)は『日本地質の日』とか、『都・道・府・県石』とか『市・町・村石』、という地質学あるいは地球惑星科学に関わることを広く国民・市民に普及・啓発しようという動きがあります。
『百選』には東京都の三宅島、父島無人岩なども記されています。
これからも、ユネスコ認定のジオパークを増やしていく努力は必要ですが、それ以外に、ナショナル・レベル、県レベル、市・町・村レベルのジオパークがあってもいいのではないかと考えます。
今後は、ただ単に風光明媚な場所だけの観光ではなくて、歴史、伝統、文化、地理、生態系、地球惑星科学あるいは地球科学に焦点を当てたような「文化観光」や「日本ならではのジオパーク」を理論的・理念的に構築していくことが求められます。
1 東京都や大島町の努力が報われ、今回伊豆大島が日本ジオパークに認定されましたことは、大変喜ばしいことであります。
  旅行を楽しみながら地球の歴史や変動を実感し、防災や地球環境問題についても考えるジオツーリズム(ジオパークとツーリズムを合わせた考え方)は、住民にとっても、地域の自然・文化・伝統への誇りと自然保護にも目を向ける良い機会になることでしょう。
  東京都で伊豆大島が、日本ジオパークに認定されたことはどのように評価しているのか。
2 ジオパークは地質、地球規模の気温、温暖化についても、地球惑星学的な観点から、教育で地学など学んでいく最適の材料と考えるが、教育に活用出来ないか。
3 ジオパークとして認定されたことにより、地質や地形と関連性のある名産品などの開発・販売の促進のほか、世界の他のジオパークとの情報交換が進めば、海外からの観光客も期待でき、地域の国際化にも役立ち活性化にも寄与すると思うがその可能性について伺う。
4 東京都には伊豆諸島、小笠原、奥多摩など自然が点在するが、新たなジオパークの可能性について伺う。

平成22年第三回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 ジオパークについて
1 都は、伊豆大島が日本ジオパークに認定されたことをどのように評価しているか、所見を伺う。

回答
島しょの観光を振興するためには、それぞれの島が特徴ある観光資源を生かした個性的な取組を一層展開していくことが重要です。
大島には、三原山を中心とした地質学的に重要な地質遺産が点在しています。こうした中、大島が、日本ジオパークに認定されたことは、地質遺産を新たな観光資源として活用することにより、地域の観光振興につながると期待しています。

質問事項
一の2 ジオパークは高等学校において地学などを学んでいく最適の材料と考えるが、教育に活用できないか、所見を伺う。

回答
高等学校学習指導要領においては、地学の学習の中で、野外観察を行い、地域の地形や地質構造を概観することになっています。
ジオパークは、地層、岩石、地形、火山、断層など、様々な自然遺産を含む公園であり、こうしたジオパークをはじめとする都内にある自然遺産を学習に活用することは、生徒の自然に対する関心や探究心を高め、自然の事物や現象についての理解を深める上で、有効であると考えます。

質問事項
一の3 ジオパークとして認定されたことにより、名産品などの開発・販売促進のほか、地域の国際化や活性化にも寄与すると考えるが、その可能性について所見を伺う。

回答
ジオパークは、地質遺産を保護し、研究に活用するとともに、自然と人間との関わりを理解する場所として整備し、教育の場として、また新たな観光資源として地域の振興に活かしていくものです。
ジオパークの認定を契機として、大島町におけるこれら地質遺産を活用した取組により、地域の活性化が図られることを期待しています。
また、大島町では地域での活動を充実させ、ユネスコが支援する国際的な登録制度である世界ジオパーク認定への可能性を高めていきたいとの考えと聞いております。

質問事項
一の4 都には伊豆諸島、小笠原、奥多摩など自然が点在するが、新たなジオパークの可能性について所見を伺う。

回答
都内には、大島以外にも多くの地質遺産が存在すると承知しています。
これらの地質遺産は、地域にとっての貴重な観光資源であり、地元市町村がジオパーク認定の可能性を探ることを含めて、こうした地質遺産を活用していくことは、重要と考えます。

平成22年第三回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  斉藤あつし

質問事項
一 訪問看護・助産師の訪問車両の緊急時の駐車許可について
二 都道と市区町村道の移管について
三 私道と都道の交差点での安全対策について
四 定時制高校の生徒の生活相談・カウンセリングについて

一 訪問看護・助産師の訪問車両の緊急時の駐車許可について
以前から一般質問の中で要望として話題にはなっていた訪問看護、助産師の訪問車両が緊急時に駐車違反として認識される可能性があるため、違反対象として除外できないかという課題について伺う。
医師の訪問、つまり往診に関しては駐車禁止等除外標章交付申請書(緊急往診車用)(別記様式第4の2「第4号コ(サ)」)を提出すれば、駐車禁止取り締まりの対象から外れるわけだが、昨今の医師不足で往診できる医師も減っている。その一方で高齢社会、そして介護保険の導入により、過去には想定されなかった訪問看護ステーション業態が生まれ、看護師の独立事業が広がり、看護師1人での訪問ということが一般的なこととなった。
1 そのような社会背景によって訪問医療の在り方も変わってきた。看護師が在宅患者の容態急変に対処するため、ケアプランの計画時間より長く駐車したり、助産師が救急車到着までの間、妊婦の破水後の処置に当たるなど、緊急時の対応の為に車両を駐車することは、医師の緊急往診使用中車両の駐車と、差異はないと考えるが、警視庁の所見を伺う。
2 現状の、警察署長に対する駐車許可申請手続きについて説明をいただき、併せて、今後更に許可申請手続きを簡素化することが可能であるか伺う。
3 訪問看護等とは異なる課題ではあるが、高齢者がタクシーを多く使う場面に医療機関への通院の送迎がある。病院に余裕を持って到着しようとタクシーを呼んだ際に、通学路に繋がっているまたは面している地域に居住をしていると介護タクシーを選んで呼ばなくてはならない。そのため、この時間帯の介護タクシーの必要性が集中してしまう怖れがあり、多数を占めていない介護タクシーが不足して対応しきれない可能性も高い。
  介護を要する高齢者を送迎中の一般タクシーについても、介護タクシーと同様に通行禁止除外規定を適用することの可否を伺う。
4 駐車禁止等除外標章交付申請書(公共等用務車用)(別記様式第4「第4号コ(ア)から(コ)及び(シ)」)についても、駐車禁止等除外標章交付申請書(緊急往診車用)(別記様式第4の2「第4号コ(サ)」)同様に訪問先を指定せずに駐車禁止が除外される訳だが、この公共等用務車用には対象として訪問歯科診療車両も入っている。このような訪問歯科診療はここ15年間で発展した業務であり、このような新しい需要にも警視庁の対応は柔軟に応じているといえる。
  そのような経緯を鑑みて、今後、警視庁において、これらの訪問看護、助産師の業務に関わる駐車に対する課題について、継続して検討していただきたいと考えるが所見を伺う。
二 都道と市区町村道の移管について
都市計画道路の多くが、戦後から昭和30年代に計画されていることから、計画当時の状況と現状で大きく事情が異なっているため、計画の事業着手を想定した時に地元住民や事業者双方の負荷が大きいことが予想される地区がある。都道の中には沿道に住居等が張り付き、拡幅が困難と思われる道路がある一方で、既に市区町村が整備した道路の中には幅員が都道と遜色ないほどに広い道路がある。このような例において、道幅の広い道路の通過交通量が今後増加することが予測され、幅員の狭い都道については市区町村で十分管理できる場合があります。そこで、都道と市区町村道の移管の考え方について所見を伺う。
1 都道と市区町村道の移管の考え方について伺う。
2 移管に当たってどのような措置を行っているか伺う。
三 私道と都道の交差点での安全対策について
都道に合流している私道の数は都内全域で数知れないほどあるだろう。この私道から車両が出てくる際の出会い頭事故を避けるためにカーブミラーなどの安全対策施したいと普段より通過している歩行者や運転者が思うのは当然であろう。しかし、都道上に私道対して設置したカーブミラーは少ないということを聞いたことがある。
私道であっても安全性の面からカーブミラーを設置すべき交差点もあると思う。その場合、道路管理者として、都はどのように対応しているのか?
四 定時制高校の生徒の生活相談・カウンセリングについて
定時制高校については、単純に日中仕事をしているので夜間に勉強したい、という昔からの一般的な苦学生が来る確率は近年下がり、学習能力や学習実績が低かったり、普通科のほか、商業・工業科といった日中の専門科に通学するに至らない子どもたちも多いと思う。そのような子どもたちは親、家庭に課題を抱えたまま自分では動かしがたい現実に直面していると考える。
私は社会福祉士として社会資源に触れるとき、その種類の多さに、社会資源の情報の十分な獲得に難儀する。だから未成年が自らの課題を明らかにしてその社会資源の情報を得ることは難しく、必要な社会資源を活用するのにその道のりは大変長いと思われる。
1 定時制高校ではこのような生徒の教育外の相談はどのようにしているのでしょうか?
2 教員はどの程度そのような生徒の課題や相談に対応できるのでしょうか?また、教育相談のスキル修得のための研修について所見を伺います。
3 スクールカウンセラーの派遣もあるようだが、現状はどのようになっているのか?
4 相談できる時間は十分と考えられるか。所見を伺う。
5 相談内容に対してカウンセラーが処理するための時間が確保できていると思うか?
6 今後カウンセラーの配置時間の増加をすべきと考えるか?

平成22年第三回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 訪問看護・助産師の訪問車両の緊急時の駐車許可について
1 看護師や助産師が緊急時の対応の為に車両を駐車することは、医師の緊急往診使用中車両の駐車と差異はないと考えるが、所見を伺う。

回答
医師は、不特定の者の急病やけがの治療のため緊急往診を行うことから、事前に訪問場所等を特定することが不可能である一方、看護師や助産師は、訪問する対象が事前に特定されている場合がほとんどであることから、警察署長の行う駐車許可で対応することが可能と認められます。
本来、駐車許可は、その駐車の都度申請書を提出し許可を受けなければなりませんが、看護師や助産師の用務の形態を考慮し、事前に「訪問先一覧表」を作成し、用務を疎明する書類に加え届け出ることにより、包括的に一度の申請で複数の駐車を許可しています。
また、許可期間についても、看護師の行う看護行為については6か月以内、助産師の行う助産行為については、出産予定日の前3週間、後2週間以内としています。
なお、容体急変等で許可を受けていない場合については、申請書によることなく、口頭又は電話で許可を受けることが可能となっています。

質問事項
一の2 現状の警察署長に対する駐車許可申請手続きについての説明と、今後更に許可申請手続きを簡素化することが可能か、併せて伺う。

回答
駐車禁止規制の対象とする道路に駐車しなければならない特別な事情がある場合は、東京都道路交通規則第3条の2に規定する審査基準(駐車の日時、場所、用務及び駐車場の有無)に基づき許可の可否を判断します。
また、駐車許可の申請手続は、駐車場所を管轄する警察署長に対して申請書と必要書類を提出して行います。
駐車許可は、1回ごとに許可を受けることが原則ですが、訪問看護などの用務の形態を踏まえ、6か月を上限とした必要な期間において、複数の申請を包括して1回の申請で受理しています。
なお、突発的な事態が起こるなど緊急の場合においては、申請書によることなく、口頭又は電話で駐車許可を受けることができます。

質問事項
一の3 介護を要する高齢者を送迎中の一般タクシーについても、介護タクシーと同様に通行禁止除外規定を適用することの可否を伺う。

回答
現在の制度は、歩行が困難な方が通院等のため通行禁止道路をタクシー等で通行する必要がある場合において、事前に車両の通行許可申請書を住所地を管轄する警察署長に申請し、通行許可証を交付されている場合には、当該道路を通行することができます。この場合、タクシーのように使用する車両が事前に特定できないときでも申請できます。
なお、通行許可の対象となる「歩行が困難な方」とは、身体障害者手帳等の交付を受けている歩行が困難な方、足の骨折等により歩行が困難な方、その他自力歩行が困難で介護者を要する方等、相当の事情がある方に限られます。

質問事項
一の4 今後警視庁において、訪問看護、助産師の業務に関わる駐車に対する課題について、継続して検討していただきたいと考えるが、所見を伺う。

回答
訪問看護に伴う看護行為又は助産師が行う助産や保健指導などのために使用する車両の駐車については、当該用務の形態を踏まえた駐車許可の取扱いを行っています。
今後も良好な駐車秩序を確立するため、現状を踏まえ、適切に対応していきます。

質問事項
二 都道と市区町村道の移管について
1 都道には、沿道に住居等があり、拡幅が困難な場所がある一方で、市区町村が整備した道路の中には幅員が都道と遜色ないほどに広い道路があるが、都道と市区町村道の移管の考え方について伺う。

回答
道路の管理は、道路法に基づき、地方的な幹線道路網を構成する道路は都が、地域内のための道路は市区町村がそれぞれ管理を行うこととなっています。
この役割分担に基づき、同一地域内に起終点を有する道路や、新たな道路の整備に伴い地域内道路に性格が変化した道路などについては、都と市区町村で協議し、都道の市区町村への移管を進めています。
なお、地域内のための道路として既に整備済の市区町村道を都が移管を受けることはありません。

質問事項
二の2 移管に当たってどのような措置を行っているか伺う。

回答
都道の移管に当たっては、移管後すぐに市区町村の財政負担が生じることなく、また万全な道路管理が行えるよう、都は必要に応じた措置を行うこととしています。
具体的には、移管対象道路について、道路台帳や現況を都と市区町村で確認し、必要な箇所については市区町村への移管前に都が路面の補修などを行っています。

質問事項
三 私道と都道の交差点での安全対策について
私道であっても安全性の面からカーブミラーを設置すべき交差点もあると考えられるが、その場合、道路管理者として都はどう対応しているのか伺う。

回答
私道と都道の交差点部におけるカーブミラーの設置については、原則として認めておりません。
しかしながら、沿道の建物状況などにより著しく視認性が悪く危険性がある交差点で、カーブミラーを設置することにより、視認性を改善することができる箇所であるかなどを個々に判断し、交通管理者の意見を聞いた上で、道路管理上の支障がない場合に限り、設置を認めています。

質問事項
四 定時制高校の生徒の生活相談・カウンセリングについて
1 定時制高校の生徒は、学習能力や学習実績が低かったり、日中の普通科・専門科に通学するに至らない子どもたちも多く、必要な社会資源を活用するための情報を得ることが困難な状況である。定時制高校では、このような生徒に対する教育外の相談はどのようにしているのか伺う。

回答
定時制課程に通う生徒は、中途退学者や不登校経験者など、多様な生徒が多く、その実態に応じた相談体制を構築し、指導することが必要です。
各都立高校定時制課程では、生活指導主任を教育相談担当に充てるなどして、校内体制を組織しています。学校は、こうした組織体制の下に学習や生活に関する生徒からの相談はもとより家庭や仕事についての相談にも応じるなど、きめ細かい生徒指導に努めています。

質問事項
四の2 教員はどの程度そのような生徒の課題や相談に対応できるのか。教育相談のスキル修得のための研修について所見を伺う。

回答
定時制課程の教員は、始業前や終業後の時間等を活用して、生徒に対する教育相談を実施しています。
教育相談に基づくきめ細かい生徒指導を行うために、個々の生徒の相談内容について、都教育委員会が各校に設置を推進している教育相談委員会等の組織を通して情報の共有化を図っています。
また、教員個々のスキルアップを図るため東京都教職員研修センターにおいて、教員個々の能力やニーズに応じた生活相談を含めた学校教育相談に関する研修を、3段階のレベルで8講座設けています。

質問事項
四の3 スクールカウンセラーの派遣もあると聞くが、現状はどうなっているのか伺う。

回答
平成22年度におけるスクールカウンセラーの都立高校への配置は、チャレンジスクール、エンカレッジスクール、昼夜間定時制高校のほか、中途退学率の高い学校、問題行動等が多く発生する学校や、心理的なケアを必要とする生徒が多く在籍する学校など、定時制・通信制課程10校、全日制・定時制課程併置校24校を含め、必要性の高い60校に重点的に配置しています。
スクールカウンセラーの勤務は、東京都公立学校スクールカウンセラー設置要綱により、1校につき年間35週、週1日7時間45分勤務するものとしています。

質問事項
四の4 相談できる時間は十分と考えられるか伺う。

回答
スクールカウンセラーが配置された定時制高校においては、教員がスクールカウンセラー等と連携し、生徒や保護者からの相談に対応しています。
配置校の校長は、生徒等からの相談に対して十分な時間が確保できるようにするため、スクールカウンセラーの勤務時間について、生徒等からの相談を受けやすい時間に設定しています。

質問事項
四の5 相談内容に対してカウンセラーが処理するための時間が確保できていると考えるか伺う。

回答
スクールカウンセラーは、心理相談に関する専門的知識や経験を有し、生徒や保護者からの相談に応じるとともに、教員への助言等を通して、学校の組織的な教育相談機能の充実に大きな役割を果たしています。
カウンセリングを実施したスクールカウンセラーは、その内容について管理職等に報告し、必要に応じて学級担任や養護教諭、教育相談担当などと連携を図りながら、相談者からの悩みや課題の解決に向けて組織的・継続的に対応しています。

質問事項
四の6 今後カウンセラーの配置時間の増加をすべきと考えるか伺う。

回答
東京都公立学校スクールカウンセラー設置要綱により、スクールカウンセラーは東京都の非常勤職員として1校につき年間35週、週1日7時間45分勤務することになっており、勤務時間の拡大については困難な状況にあります。
なお、東京都教育相談センターは、事件・事故が発生した場合や生徒の心のケア等の必要性が高い場合には、学校からの要請を受け、必要に応じてアドバイザリースタッフ等を派遣し、生徒の心理的なケアの充実に努めています。
今後とも、こうした対応を継続し学校を支援していきます。

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