平成二十二年東京都議会会議録第十四号

平成二十二年十月七日(木曜日)
 出席議員 百二十五名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番小山くにひこ君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番大松あきら君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番田中たけし君
二十四番鈴木 隆道君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番中村ひろし君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番中山 信行君
三十七番高倉 良生君
三十八番橘  正剛君
三十九番松葉多美子君
四十番神林  茂君
四十一番早坂 義弘君
四十二番高木 けい君
四十三番宇田川聡史君
四十四番鈴木あきまさ君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番伊藤 興一君
六十番吉倉 正美君
六十一番上野 和彦君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番吉原  修君
六十五番山田 忠昭君
六十六番三宅 正彦君
六十七番石森たかゆき君
六十八番高橋 信博君
六十九番服部ゆくお君
七十番こいそ 明君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番伊藤まさき君
七十五番山口  拓君
七十六番松下 玲子君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番中屋 文孝君
九十番村上 英子君
九十一番林田  武君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番くまき美奈子君
九十六番大西さとる君
九十七番いのつめまさみ君
九十八番門脇ふみよし君
九十九番小沢 昌也君
百番石毛しげる君
百一番花輪ともふみ君
百二番大津 浩子君
百三番大塚たかあき君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番川井しげお君
百十一番高橋かずみ君
百十二番野島 善司君
百十三番三宅 茂樹君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十八番斉藤あつし君
百十九番増子 博樹君
百二十番泉谷つよし君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
四十五番 矢島 千秋君
 欠員
百十七番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長比留間英人君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長荒川  満君
生活文化局長並木 一夫君
スポーツ振興局長笠井 謙一君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長新田 洋平君
消防総監新井 雄治君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長宮川 雄司君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長山本 洋一君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長藤井 芳弘君

十月七日議事日程第四号
第一 第百四十八号議案
土地の信託の変更について
第二 第百四十九号議案
建物の売払いについて
第三 第百五十四号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第四 第百三十八号議案
味の素スタジアム(二十二)第一種陸上競技場化改修工事請負契約
第五 第百四十六号議案
公立大学法人首都大学東京に対する出資について
第六 第百四十七号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第七 第百三十九号議案
都立羽村特別支援学校(二十二)増築及び改修工事請負契約
第八 第百四十号議案
都立練馬地区特別支援学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
第九 第百四十一号議案
東京国際フォーラム(二十二)ホール棟改修工事請負契約
第十 第百四十二号議案
東京都八丈支庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十一 第百四十三号議案
警視庁月島警察署庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十二 第百四十四号議案
警視庁有家族待機宿舎桜木住宅(二十二)改築工事請負契約
第十三 第百四十五号議案
東京国際フォーラム(二十二)空調設備改修工事請負契約
第十四 第百三十四号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十五 第百五十号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
第十六 第百五十一号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第十七 第百五十二号議案
個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
第十八 第百五十三号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第十九 第百五十五号議案
土地の買入れについて
第二十 第百三十五号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十一 第百三十六号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第二十二 第百三十七号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第四号追加の一
第一 東京都監査委員の選任の同意について(二二財主議第三五二号)
第二 東京都監査委員の選任の同意について(二二財主議第三五三号)
議事日程第四号追加の二
第三
二二第一一号
大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書の提出に関する請願
二二第一二号
線維筋痛症に関する請願
第四
二二第四六号
東京都教育委員会の請願制度改
善に関する陳情
二二第四八号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第四九号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五〇号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五一号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五二号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五三号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五四号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五五号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五六号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五七号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第五八号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
二二第四四号
都立中部総合精神保健福祉センターの病室・ホステルの存続に関する陳情
二二第四五号
中部総合・多摩総合精神保健福祉センターのホステル廃止に反対することに関する陳情
二二第三九号
最低賃金法の抜本改正と中小企業支援策の拡充・強化等を求める意見書提出に関する陳情
第五
二二第九号
東京都住宅供給公社の家賃値上げ反対に関する請願
第六
二二第四一号
東京都として公共施設全面禁煙化を推進していくことに関する陳情
第七
二二第三四号
西東京警察病院の存続に関する陳情
第八
二二第四三号
介護保険で訪問カット等が適用できるよう求める意見書の提出に関する陳情
第九
二二第三八号
都立霊園内に粉末状の遺骨を埋蔵できる墓地を設けることに関する陳情
二二第三五号
東京消防庁における経理事務に関する陳情
議事日程第四号追加の三
第十 常任委員の選任

   午後一時一分開議

○議長(和田宗春君) これより本日の会議を開きます。

○議長(和田宗春君) まず、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 知事より、東京都が出資または債務保証等をしている法人の経営状況について、公立大学法人首都大学東京外三十六法人の説明書類の提出がありました。
 また、地方独立行政法人の業務評価について、公立大学法人首都大学東京外二法人の評価書類の提出がありました。
 次に、平成二十二年第一回定例会において採択された請願・陳情の処理経過及び結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都監査委員の選任の同意について二件、委員会より、大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書の提出に関する請願外請願二件、陳情二十件の委員会審査報告書がそれぞれ提出されました。
 これらを常任委員の選任の件とあわせて本日の日程に追加をいたします。

○議長(和田宗春君) 次に、文書質問について申し上げます。
 お手元配布の文書質問事項表のとおり、質問の通告がありました。
 本件は、直ちに執行機関に送付いたしておきました。
 なお、本件答弁書は、速やかに提出されるよう希望いたしておきます。

文書質問事項表
氏名件名
福士敬子君インターネット端末利用営業の規制に関する条例について
畔上三和子君都営住宅「辰巳一丁目団地」建てかえ計画について ほか
伊藤ゆう君無縁墓所の数について ほか
古館和憲君環状八号道路建設工事にともなう損害賠償問題について
かち佳代子君大田市場における水産部門の活性化について
たぞえ民夫君介護福祉施設への水道・下水道料金軽減措置の改善について
石毛しげる君ジオパークについて
斉藤あつし君訪問看護・助産師の訪問車両の緊急時の駐車許可について ほか

○議長(和田宗春君) これより日程に入ります。
 日程第一から第二十二まで、第百四十八号議案、土地の信託の変更について外議案二十一件を一括議題といたします。
 本案に関する委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   財政委員会議案審査報告書
 第百四十八号議案
土地の信託の変更について
 第百四十九号議案
建物の売払いについて
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月五日
財政委員長 中屋 文孝
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   経済・港湾委員会議案審査報告書
 第百五十四号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月四日
経済・港湾委員長 小沢 昌也
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   財政委員会議案審査報告書
 第百三十八号議案
味の素スタジアム(二十二)第一種陸上競技場化改修工事請負契約
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月五日
財政委員長 中屋 文孝
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   総務委員会議案審査報告書
 第百四十六号議案
公立大学法人首都大学東京に対する出資について
 第百四十七号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月四日
総務委員長 小磯 善彦
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   財政委員会議案審査報告書
 第百三十九号議案
都立羽村特別支援学校(二十二)増築及び改修工事請負契約
 第百四十号議案
都立練馬地区特別支援学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
 第百四十一号議案
東京国際フォーラム(二十二)ホール棟改修工事請負契約
 第百四十二号議案
東京都八丈支庁舎(二十二)改築工事請負契約
 第百四十三号議案
警視庁月島警察署庁舎(二十二)改築工事請負契約
 第百四十四号議案
警視庁有家族待機宿舎桜木住宅(二十二)改築工事請負契約
 第百四十五号議案
東京国際フォーラム(二十二)空調設備改修工事請負契約
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月五日
財政委員長 中屋 文孝
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   文教委員会議案審査報告書
 第百三十四号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月五日
文教委員長 大西さとる
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   厚生委員会議案審査報告書
 第百五十号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
 第百五十一号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
 第百五十二号議案
個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
 第百五十三号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月五日
厚生委員長 門脇ふみよし
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   環境・建設委員会議案審査報告書
 第百五十五号議案
土地の買入れについて
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年十月五日
環境・建設委員長 藤井  一
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   警察・消防委員会議案審査報告書
 第百三十五号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
 第百三十六号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
 第百三十七号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
 本委員会は、九月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月三十日
警察・消防委員長 石森たかゆき
 東京都議会議長 和田 宗春殿

○議長(和田宗春君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 八十一番たぞえ民夫君。
   〔八十一番たぞえ民夫君登壇〕

○八十一番(たぞえ民夫君) 日本共産党都議団を代表して、第百四十八号議案、土地の信託の変更について外二議案に反対する立場から討論を行います。
 まず、第百四十八号議案です。
 土地信託事業は、貴重な都有地を信託銀行に提供して、不動産事業に乗り出すことにより、家賃収入からのもうけを上げることを期待したものでした。その典型が新宿モノリスビルで、新宿副都心の都有地に建設された地上三十階地下三階の建物が、丸ごと貸しビルです。
 今回の議案は、新宿モノリスの土地信託が二十年間の満期を迎えるに当たり、五年間契約を延長するものです。都は、安定した収入を確保してきたといいますが、毎年およそ百二十億円もの配当が都に入るとされていたにもかかわらず、この十年間の平均配当は、年間十五億円にすぎません。信託銀行にとっても期待外れの結果で、今回の契約更新に応じたのはみずほだけで、あとの二行は辞退して撤退することになりました。
 今後、満期を迎える土地信託事業は、さらに惨たんたる状況です。両国シティコアの配当は、年間わずか五百万円、健康プラザは千六百万円、コスモス青山は千五百万円にすぎません。
 一方、健康プラザに入っている東京都保健医療公社の大久保病院だけで、年間二十億円もの家賃を信託銀行に払っています。もともと都有地ですから、土地信託でなければ家賃を払う必要はないのです。
 しかも、これらの三カ所では、受託した信託銀行が建物を建設した際の借入金を完済できていません。合計百七十一億円もの借金残高があり、巨額の負債を抱えたまま満期を迎え、都に引き継がれる可能性のあることが委員会質疑で明らかになりました。
 今東京都がなすべきことは、土地信託事業の失敗の全面的総括と反省を明確にし、貴重な都有地は都民のために使うという、自治体本来のあり方に立ち返ることであります。この立場から、本議案に反対をするものです。
 本定例会は、熱中症で多くの高齢者が命をなくし、高齢者の所在不明も大きな社会問題となり、若者の就職難など、雇用の深刻な実態が広がる中で開かれました。
 日本共産党都議団は、貧困と格差を拡大し、社会保障の切り下げを進めてきた国と石原都政に重大な責任があることを明らかにし、今こそ都政のかじを切りかえて、都民の暮らし、福祉、雇用を守るため、全力を尽くすことを求めました。
 例えば、高齢者一人当たりの老人福祉費を普通会計決算で九九年度並みに戻すと、千四百億円の増額となり、思い切った施策の充実ができることを示しました。ところが、東京都は、高齢者一人当たりの老人福祉費が大幅に減っている事実は否定できないにもかかわらず、介護保険制度導入など制度変更があったので、高齢者一人当たりの老人福祉費を問題にするのは意味がないなどと答弁しました。とんでもないことです。
 全国どこの都道府県も、介護保険導入など制度変更の影響を受けています。しかし、全国共通の指標で集計されていて、比較可能な普通会計決算で見れば、東京都のように、九九年度から二〇〇八年度の間に、高齢者一人当たりの老人福祉費を四割も減らしたところはただの一つもありません。逆に、ほとんどの県がふやしており、中には五割、六割とふやしている県もあるのです。
 今後、東京では高齢者が急増します。一方、特別養護老人ホームなどの施設は大幅に不足します。高齢者の貧困と孤立も広がっています。高齢者福祉の拡充は、東京都が直面している緊急の課題であることを直視し、予算の大幅増額に踏み出すことを改めて強く求めておくものです。
 雇用創出についても、知事は、国がやるべきこととし、積極的に取り組む姿勢を示しませんでした。しかし、都が独自にでもやるべきこと、できることはあるのです。
 我が党は代表質問で、福祉の充実とセットで雇用を広げることを提起し、認可保育所の増設などを例に挙げました。定員百人の認可保育所を百五十カ所整備すれば、一万五千人の待機児を受け入れることができ、保育士など約四千人の新たな雇用が創出されます。子育て中の人たちの就労支援に直結し、地域の建設業者や商店も潤います。一石四鳥ともいえる、これこそまさに自治体が行うべき経済成長戦略です。知事、改めて真摯な検討を求めるものです。
 また、都がみずからの襟を正す問題として、正規職員を削減する一方で、多くの非正規職員、とりわけ臨時職員を不安定な身分と不当に低い給与で働かせ、いわゆる官製ワーキングプアを都がつくり出していることを指摘し、是正を求めました。
 この問題の根本は、都政を日常的に支えている恒常的な業務の働き手たちを不安定で屈辱的な雇用、労働条件のもとに置いていいのかという問題です。
 我が党は、ある都の施設の図書室のただ一人の司書でありながら、二十年以上も臨時職員の身分のままに置かれてきた女性の実例を示しました。彼女は都の要綱に従って、基本的に二カ月ごとの雇用更新のたびに、雇用期間が終了したときは異議なく退職することを承諾しますと約束する承諾書を書かされ、五カ月勤務しては一カ月失業という働き方を続けさせられてきました。
 この一カ月の失業期間中、職場の机の上には、彼女の処理を待つ書籍や文書が山のように積み上げられたといいます。一カ月後に出勤してきた彼女は、悔しさに耐えながら、それでも自分の仕事に使命感を持って業務を再開し続けてきたのです。
 つまり、この施設では、一カ月の失業は、都の都合による中断にすぎず、彼女が長期に継続して仕事をすることが必要とされ、また当たり前のこととされてきたのです。このような業務が、短期的または季節的な業務といえるでしょうか。労働問題に詳しい法律の専門家は、都のやり方を極めて悪質だと厳しく批判をしています。
 同様の例はほかにもあります。ある局では、二つの業務に二人の臨時職員を二カ月交代で働かせることで、それぞれの業務が途切れないようにしています。これは、これらの業務が恒常的な業務であることの証拠です。しかも、この人たちの給与は、社会保険も適用除外、国保料などを差し引けば月十万円ほどしか残らず、まさにワーキングプアです。にもかかわらず、都が事実については何も答えず、臨時職員として任用した以上は、短期または季節的な職なのだという答弁を繰り返し、是正するつもりはないと居直っていることは断じて許されません。
 都がこのような態度のままで、使い捨て労働が横行する東京の雇用全体の状況を改善することができるでしょうか。官製ワーキングプアをつくり出していることを深く反省し、みずからの足元の実態をつかんで、直ちに待遇改善を図るよう強く求めるものです。
 本定例会に、特別支援教育推進計画第三次実施計画案の骨子が報告されました。児童生徒増で、新たに約三千四百人分も施設整備が必要であるにもかかわらず、学校の数はこれまでの五十五校のままふやさず、大規模化等で対応しようとすることは極めて重大です。
 今でも特別支援学校は教室不足で、音楽室や図書室を普通教室に転用した上、一つの教室をカーテンや間仕切りで区切って使い、隣の授業の声が筒抜けといった深刻な事態に置かれています。障害児の教育権の保障に向け、学習環境の抜本的改善を求める保護者や関係者、都民の要望を反映した第三次計画をつくることを厳しく要求するものです。
 第百四十九号議案は、都立池袋商業高校を廃止した跡の建物をフランス政府に売却するものです。
 日本に居住、滞在している外国人子弟の教育保障は重要です。同時に、石原都政が都立高校統廃合を強行した結果、都立高校が不足し、各学校の定員をふやしてしのいでいる状況です。定時制高校では三百人を超える不合格者を出しています。特別支援学校の増設も緊急課題です。
 こうしたもとで、池袋商業高校を初め、統廃合で廃止された都立高校の跡地、建物は、都立高校などの整備に使ってほしいという要望が寄せられているではありませんか。この都民の要望を尊重することも重要であり、安易な対応を認めることはできません。
 今議会において、多摩地域でおくれている小中学校へのクーラー設置について、調査の分析結果を踏まえて検討すると答弁されたことは重要です。市町村への財政的支援など、直ちに実施に踏み出すよう強く要望するものです。
 最後に、今議会の最大の焦点になった築地市場の現在地再整備、移転問題については、特別委員会の閉会中の継続調査に関する討論で、我が党の見解を表明することを申し述べて討論を終わります。(拍手)

○議長(和田宗春君) 二十九番佐藤由美さん。
   〔二十九番佐藤由美君登壇〕

○二十九番(佐藤由美君) 私は、都議会民主党を代表して、第百三十四号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例外知事提出議案に賛成の立場から討論を行います。
 まず、第百三十六号議案、火災予防条例の一部を改正する条例についてです。
 本条例改正案は、防火対象物の設備、管理等について、消防法、消防法施行令、火災予防条例に違反する場合に、その旨を公表できるようにしようとするものです。
 平成二十一年十一月、杉並区高円寺南の飲食店火災後、消防庁が実施した小規模雑居ビルの緊急一斉立入検査によって、同一の建物で消防法令違反が繰り返されていることが明らかになりました。
 ビル利用者の安全を図るため、現行規定の罰則に至る前の段階で違反内容を公表することによって、事業者に対して違反の是正を促し、利用者みずからの安全を担保するとともに、建物の安全に関する社会意識の向上を図ることが求められています。
 消防庁におかれては、都民の安全を守るため、これらの規定を適切に執行し、建物の安全に関する情報について都民に周知を図る一方、事業者が誠実に違反を是正した場合には、速やかに公表情報を削除されるよう求めるものです。
 次に、第百四十八号議案、土地の信託の変更について述べます。
 本件議案である土地信託では、東京都は、淀橋浄水場跡地の一部を賃貸型土地信託方式で民間信託会社に貸与し、信託会社はこの土地に新宿モノリスビルを建築し、これを信託財産として管理運用してきました。
 当初の予想信託配当は合計二千四百十六億円と算出されていましたが、配当実績は五百三十三億円と大きく予想を下回りました。
 同じように、東京都の一部の部局や監理団体が入居するハイジア、コスモス青山などほかの事例も含め、政策目的を一定程度果たしてきたとはいえ、事業収支の見通しは誤ったといえます。
 今回、新宿モノリスビルは、大規模改修の時期を迎える五年後まで契約を延長することとなりましたが、改めて出口戦略、最終的にどうすべきか、戦略的に検討していくことを求めるものです。
 また、今後契約を見直すことになる公共・収益施設併設型土地信託についても、債務や建物の資産評価も含め、それぞれの土地信託事業の総括、検証を行うとともに、スキームの変更などの検討を求めます。
 次に、第百四十九号議案、建物の売払いについて述べます。
 このほど東京都は、旧池袋商業高校の校舎、体育館を、フランス共和国に学校用途として売却することとしました。
 東京都の財産は、財産そのものの効率的活用の視点だけでなく、都市づくりや地域経済の活性化、地域環境の向上など、広域性、一体性の観点からも十分に吟味して活用すべきと考えます。
 都有地は都民の財産でもあります。規模の大きな財産の廃止や売却などを行う場合は、地域社会に与える影響が大きいことから、地域の合意形成に向けた取り組みが必要です。現状の利用用途の終了前から、新たな利活用に向けた取り組みを開始することが重要と考えます。
 さらに、財産情報システムの掲載事項の充実や暫定活用中の土地の別途表示などを行い、なお一層、都有財産の有効な利活用を進めていくことを求めます。
 次に、東京都監理団体活用方針について述べます。
 今回示された方針には、監理団体が都から特命で受託する事業等の契約の公表拡大のほかは目新しさが感じられません。
 監理団体については、包括外部監査において、公園協会が競争入札回避と疑われるような随意契約発注がある、あるいは、道路整備保全公社において、東京都地下駐車場に係る指定管理者選定には問題があったなどの指摘がなされ、その運営にはまだまだ課題が残されています。
 また、すべての監理団体の位置づけを改めて検証したとのことですが、設立目的の有効性、業務の代替性、経営状況など検証すべき視点が明確に示されず、検証結果も不十分といえます。いわゆる天下りや財政支出の削減など、都の関与の適正化も言及されていません。
 私たちは、平成二十一年度会計決算審議において、各監理団体の現状について集中的に審議させていただきますが、東京都におかれても、監理団体の存在意義のさらなる検証や情報公開の推進など、一層の改革を求めます。
 次に、都庁版人材バンクについて述べます。
 こうした組織は、公に都職員の再就職に関するあっせんを認めるのではなく、情報を求める団体に対して情報を提供することに限るのが原則と考えます。監理団体の常勤役員に、都政で重責を担った局長級あるいは枢要な職務を果たした部長級職員の退職予定者を推薦しなければならない場合とは一体どういった場合なのか、その具体的な理由が決して明確ではなく、都民への説明が十分果たされていないと考えるからです。
 また、民間企業へ再就職した場合に、その民間企業と都との間で締結される契約で誤解や疑念が生まれないよう、また都の調達に係る契約において公正性が保たれる仕組みについても、不断に考えていかなければなりません。
 さらに、再就職の際における規則違反行為の調査、勧告や、例外承認を行う第三者機関の設置について検討していくことを改めて求めます。
 最後に、百五十号議案から百五十二号議案、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬、ガウン等の個人防護服セット外六点の買い入れと、第百五十三号議案、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて申し上げます。
 東京都は、新型インフルエンザ対策として、今年度までにタミフル、リレンザをあわせて、都民の約六〇%、七百七十万人分となるよう順次備蓄をしてきました。今回の買い入れをもって都民の六〇%分という備蓄は完了します。
 都議会民主党は、平成二十年第二回定例会において、東京都は、国の備蓄分を活用することを前提として、抗インフルエンザウイルス薬を、百万人分を備蓄しているが、都民の三〇%、三百八十万人が感染するという想定からして、このままでは、大流行した場合に時期を逸することなく医療機関に必要な量が行き渡るかは疑問であると指摘し、薬の備蓄増強を含めた医療体制の強化を求めてきました。
 ようやく今年度、タミフル、リレンザ、それぞれ都民の三〇%ずつ、合わせて六〇%の備蓄が実現したものであり、一定の評価をいたします。
 しかし、次に、より病原性が高い新型インフルエンザの発生、タミフル耐性ウイルスの発生、また、特に重症化が懸念される小児の入院医療体制のさらなる拡充や、迅速に搬送先を選定するためのリアルタイムでの空床情報把握システムなど、まだまだ対応すべき多くの課題があります。引き続き、対策の強化に向けて着実に取り組まれるよう求めます。
 以上で都議会民主党を代表しての討論を終わります。(拍手)

○議長(和田宗春君) 四番桜井浩之君。
   〔四番桜井浩之君登壇〕

○四番(桜井浩之君) 東京都議会自由民主党を代表して、今定例会に付託された知事提出のすべての議案に賛成する立場から討論を行います。
 本定例会も多岐にわたる都政の課題を議論いたしました。その一つ一つが十年先、五十年先の東京の姿と都民の生活を決めるものであります。その重みを受けとめ、我が党は責任政党として政治の使命をしっかりと果たすべく、積極的に審議に当たってまいりました。
 まず、景気、雇用対策について申し上げます。
 昨今の円高は、景気を下押しすることが懸念されており、今こそ仕事の確保や資金繰りに苦しむ中小企業を支え、職を求めて苦労している若者、都民を応援しなければなりません。都には引き続き万全の対策を求めます。
 次に、監理団体改革について申し上げます。
 これまでも我が党は知事とともに、監理団体の統合、経営合理化、都からの財政支出の削減に取り組んでまいりました。団体の創意工夫も発揮され、ラ・フォル・ジュルネといった東京の新しい文化の顔が生まれ、世界最先端を行く医学的研究が進むなど、さまざまな成果も生まれております。
 今回示された監理団体活用方針は、都政における団体の役割を明確にするとともに、経営の透明性を一層高めていくなど、改革を一段と加速させるものと考えます。
 行政を効率化するにしても、やみくもに民に任せればよいわけではありません。公益性の確保という行政の使命と、柔軟で効率的な民の長所をあわせ持った監理団体を上手に使いこなす必要があります。今回の方針に沿って、監理団体をさらに生かし、都民、国民のニーズにより的確にこたえることを求めます。
 次に、スポーツ振興について申し上げます。
 先般、東京国体と全国障害者スポーツ大会の開催が正式に決定いたしました。今日、若者の体力、気力の低下が問題となっており、また、すべての人が健康で生きがいを持って暮らすためにも、スポーツの振興は欠かせません。大会を、社会を明るくし、地域、故郷のきずなも深める起爆剤にすべきであります。
 また、大会は、東京、とりわけ多摩・島しょ地域の魅力を全国に発信する絶好の機会でもあります。都には、これまでに増して区市町村と連携し、準備に全力を注ぐことを強く要望いたします。
 次に、高齢者対策について申し上げます。
 少子高齢化が急速に進展する中、都民からは、国の社会保障制度への不安、不満が多く聞かれます。例えば、後期高齢者医療制度では、国が改正の方向性を示しましたが、その内容は、財政負担や運営方法も明示せぬまま、増大する高齢者医療費の課題を先送りにした極めて不十分なものといわざるを得ません。
 我が党は、このような都民の声を真摯に受けとめ、昨年、少子・高齢化政策推進本部を設置し、財政上の諸問題等についての検証も重ねながら、重層的、複合的な少子高齢化対策の構築に努めてきたのであります。
 今後、改正が予定されている高齢者医療制度、介護保険制度など諸制度について、真に実効性のある確かなものとすべく議論を重ねてまいりますが、都としても国に対し、時期を逸することなく、必要な提言を行うよう強く要望いたします。
 また、所在不明高齢者問題への対応として、都は、各局が連携して、地域のきずなの再生に向けた地道な取り組みを重ねていくことが重要であります。今後、さらに増加するひとり暮らしや高齢者夫婦のみ世帯が安心して暮らせるよう、都は区市町村と連携した見守りの仕組みづくりに積極的に取り組むよう強く要望いたします。
 次に、財政運営について申し上げます。
 本定例会での多岐にわたる議論を踏まえ、来年度予算の編成が本格化しますが、十年余をかけて立て直した財政力を活用しつつ、都政の諸課題に総合的に対応する目配りの行き届いた予算となるよう求めます。
 一方で、民主党政権の動向が懸念されます。到底実現困難なばらまきのマニフェストを、まず仕分けすべきです。ましてや、東京から財源を奪われることは絶対に容認できません。我が党も、政権に断固、物申しますが、都もしっかりと国に対して主張していくべきであります。
 最後に、築地市場の豊洲移転について申し上げます。
 本定例会で、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の報告書がまとまりました。豊洲新市場関連の二十二年度予算は、民主党も認めた上で可決されたものです。議会としては、この予算を前提とした上で、付帯決議に基づき、現在地再整備の可能性を検討してまいりました。
 その結果は、報告書にあるとおり、再整備案は、長過ぎる工期や業界の合意形成など解決できない課題が山積し、実現可能性がなく、議会として現在地再整備をすべきであるという結論を出し得なかったのであります。
 結論が出せない以上、議会としては、この検討に終止符を打ち、可決された予算に定めたことを都として粛々と実施すべきなのであります。
 七十五年を経過し、老朽化の著しい築地の厳しい状況を踏まえると、一刻も早い新市場の開場は不可欠であります。平成二十二年度予算は、業界や首都圏三千三百万人のニーズにこたえる豊洲新市場の平成二十六年度中の開場を可能とするものであります。都議会自由民主党は、この予算のすべてを速やかに実施に移すべきと考えます。
 鉄の女と呼ばれ、他国の領土侵犯に決然と対処し、また国家を停滞から再生もさせたサッチャー首相は、かつて石原知事に、政治家のエクスタシーは決断にあり、決断できない政治家は政治家に値しないと述べたとのことですが、これほど端的に政治家の気概、覚悟を示す言葉はありません。
 我が東京都議会自由民主党は、こうした真の勇気、凛とした姿勢を貫きながら、都民、国民のために、山積する諸課題に当たっていくことを改めて表明し、討論を終わります。(拍手)

○議長(和田宗春君) 十八番遠藤守君。
   〔十八番遠藤守君登壇〕

○十八番(遠藤守君) 都議会公明党を代表し、知事提出のすべての議案に賛成の立場から討論を行います。
 初めに、火災予防条例の一部改正案について申し上げます。
 本改正案は、小規模雑居ビルの違反事実をホームページ等で公開することにより、関係者の防火意識の向上と防火安全対策の確立に寄与するものであります。
 昨年十一月に発生した高円寺での居酒屋火災の類似火災を防止するため、我が党の提案を踏まえた改正であり、高く評価いたします。
 本定例会の代表質問でも取り上げましたが、今後は、防火策を強化していくために、広報の仕方を含めた着実な取り組みを求めておきます。
 次に、新宿モノリスビルの土地信託の変更に関する案件について申し上げます。
 新宿モノリスビルは昭和六十一年十一月、淀橋浄水場跡地の利活用策として、東京都で初めて土地信託方式を活用いたしました。本年十一月、土地信託契約の満了を迎えることから、信託受託者及び信託期間の変更を行うものであります。
 今日まで二十年にわたる期間中、適宜修繕を実施していることで、建物、設備の状況は良好であり、都として継続的に安定した収入を確保してきたことなどから、専門家からは、健全な資産運用との評価を受けております。
 一方で、今後、仮に都が所有した場合には、管理コストの増大とリスク管理が課題になります。また、売却するとの選択は、不動産市況が低迷している現在、都有財産の有効活用の観点からはメリットがありません。こうしたことから、都が今回、信託期間を五年間延長することは、極めて妥当な判断であると考えております。
 次に、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買い入れ、売り払いについてであります。
 本件は、新型インフルエンザの大流行に備え、都が抗インフルエンザウイルス薬のタミフル、リレンザをさらに買い入れるとともに、大流行時において、これらの薬の供給が不安定になった場合に、速やかに医療機関に提供できるよう、備蓄した薬の売り払い条件を定めることを目的といたしております。
 都は、タミフル、リレンザをあわせて都民の六〇%備蓄する計画を立て、平成十八年度から備蓄を行ってきました。これは、全人口の二五%が罹患するとの国の想定に対して、人口が集中する地域特性を踏まえた計画といえます。今回の買い入れをもって、タミフル、リレンザを三百八十四万人分ずつ、合計で約七百七十万人分の備蓄を完了することになります。
 都議会公明党は、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を開始した平成十八年度当初より、繰り返しその必要を訴えるとともに、昨年の流行期においても診療体制の充実強化を求めるなど、対策の充実を重ねて求めてまいりました。この間、このタミフル、リレンザの備蓄の補正予算に反対をした民主党の考えは、今をもってしても全く理解しがたいものであります。
 新型インフルエンザ対策は、ワクチンの確保、接種、流行状況の把握、医療提供体制の確保など総合的な対策が必要であります。今後とも流行状況を的確かつ迅速に把握し、関係機関との連携のもと万全を期すよう求めます。
 次いで、特別支援教育推進計画の第三次実施計画案について申し上げます。
 我が党はこれまで、特別支援学校における普通教室数の確保を初め、小中学校に在籍する発達障害の子どもたちの支援体制の確立、職業教育の充実などを提案してまいりました。
 今回の計画案には、我が党のこうした提案が随所に盛り込まれております。今定例会では、実現に向けての諸課題について質疑を行いました。中でも、今後の特別支援教育を担う教員の確保と専門性の育成が重要であること、障害の程度に応じた職業教育を一層充実させること、障害のある児童生徒数の今後の推移に注意をしながら計画を実行すべきであることなど、現場の実態に即した主張を行いました。十一月には計画が決定されますが、本計画がより実効性のあるものとなるよう強く要望いたします。
 本定例会では、現代社会が直面する新たなリスクにも対応した新たな政策として、我が党が主張する新しい福祉に関連した質問を行いました。
 とりわけ、うつ病については、治療の効果が高く、我が党の推進もあり、この春から新たに医療保険の対象となった認知行動療法について、積極的な普及拡大を求めました。
 これに対し都は、実施医療機関に関する医療機関案内サービス「ひまわり」への情報掲載や、都民の相談に応じる区市町村、保健所等職員への情報提供など、治療希望者への情報提供体制の充実を行うとしました。
 また、都立精神保健福祉センターで培ったノウハウを伝える実務研修についても、医療機関の精神保健福祉士や看護師等に対象を拡大するなど、具体的な対応が示されたことは高く評価するものであります。
 一方、単身高齢者の支援については、都が区市町村に対し実施してきた実態調査の結果がこのほど明らかになりました。代表質問における我が党に対する答弁のとおり、この結果を踏まえ、都は、現場を持つ区市町村を一層支援していくことを改めて要請いたします。
 高齢者の見守りに関連し、我が党は、自治体や地域団体の各種の取り組みが進まない原因として、都民、自治体双方に個人情報保護法令に対する誤解や過剰反応があると指摘し、都民、自治体双方に正しい理解が促進されるよう普及啓発に努めるべきと訴えました。
 都は今後、新たに区市町村の職員に、個人情報保護法令に関する説明会への参加を積極的に呼びかけるなど、一段の取り組みを約しました。事は人命にかかわることであり、積極的な取り組みを改めて求めます。
 我が党は本定例会において、多摩地域の公立小中学校普通教室の冷房化について、都も財政支援を行うよう強く主張をいたしました。
 ことしの長かった酷暑による児童生徒の教育に与えた影響については、多くの保護者から心配や不安の声が寄せられました。小中学校の施設整備は市町村の責務ではありますが、教育長が答弁されたように、国や都の実態調査の結果や市町村の動向も踏まえ、都としても必要な措置を講じることを強く求めます。
 次に、浸水対策について申し上げます。
 近年増加する集中豪雨による洪水被害などの対策として、我が党は、各河川に設置された調節池を連結する広域調節池の整備を求める主張をいたしました。これに対し都は、今後の河川整備の計画策定に向け、さらに検討を深めるとの答弁をいたしました。
 近年、局所的な集中豪雨の頻度は高まっており、出水期の浸水被害も甚大となっています。都民の生活と財産を守るために、専門家による技術的な検討を踏まえ、速やかに実現されることを求めます。
 最後に、築地市場の移転、再整備について申し上げます。
 民主党提案の現在地再整備案については、工期の長期化、使用料の大幅な上昇、売り場の多層化が避けられず、仮移転先の住民合意など解決の見通しがつかない問題も抱えております。そして、何より、業界が現在地再整備の方向で合意できる見通しが全く立たない状況では、その実現可能性は極めて困難であるといわざるを得ません。
 我が党は、この問題に一刻も早く結論を出し、新市場の建設準備に早期に着手すべきであると強く主張するものであります。
 今定例会において、都議会公明党は、以上のほかにも、都の成功事例を踏まえた公会計制度の全国への普及策や東京の国際競争力の向上を目指した羽田空港と臨海副都心開発の促進、学校や救急医療機関の耐震化の推進、HTLV-1ウイルスへの対策など、多くの提案を行い、着実な成果を上げました。
 都議会公明党は、今後も、現場の声に真摯に耳を傾け、都民生活を守り抜くために全力を尽くすことを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

○議長(和田宗春君) 九番山内れい子さん。
   〔九番山内れい子君登壇〕

○九番(山内れい子君) 都議会生活者ネットワーク・みらいは、今議会に上程されたすべての議案に賛成し、討論を行います。
 まず、今議会中に行われた築地市場の移転に関する特別委員会及び小委員会は、休日返上で委員会を開催するなど、各会派委員や所管局、知事本局調査チーム、議会局など、関係者のご努力に敬意を表するとともに、その審議の中から明らかになった課題解決に改めて取り組むことを求めるものです。
 築地市場では、アスベストを再整備の課題の一つとして挙げていますが、公共施設であり、食品を扱う市場のアスベスト対策が、市場の移転を見越して足踏みしているとすれば、あってはならないことであり、すぐさま安全対策を講じながら除去するべきです。分別し、適正に処理されるべきアスベスト含有建材が、建設資材のリサイクル製品である再生砕石にまじってあちこちにまかれている実態が新聞報道などで明らかになり、生活者ネットワーク・みらいは一般質問でも取り上げました。
 アスベスト対策は、適切な解体仕様の遵守の監視とアスベスト含有廃棄物の分別と適正処理、処分の監視に尽きます。そのためには、解体時の届け出が適切に行われることが重要であり、届け出違反の撲滅のためには、届け出が必要な建物をあらかじめ把握しておくことが必要です。
 都として、既に調査している千平米以上の建物の吹きつけアスベストの補足率を高め、千平米以下の建物や非飛散性アスベストの使用実態についても調査し、アスベスト使用建物リストをつくり、市民に公開し、アスベスト飛散リスクの見える化を図るべきと考えます。砕かれてまじってしまってからでは手遅れなのです。アスベスト被害が顕在化するには四十年もかかるといわれています。子どもたちこそ守られなくてはなりません。アスベスト廃棄物の分別の徹底と適正処理、処分のために、環境首都東京を標榜する石原知事こそ先頭に立って対策を講じられることを要望します。
 また、期せずして、二十三区と多摩部で水銀を含んだ廃棄物処理の問題が発覚しました。水銀などを含む廃棄物は、一般廃棄物でも有害ごみとされているにもかかわらず、適正な管理システムが整備されているとはいえません。一般廃棄物の処理は区市町村の責務とはいえ、拡大生産者責任で回収するシステムをつくるのは、広域自治体としての東京都の責任です。現在、策定中である二十三年度からの東京都廃棄物処理計画に、まずは水銀を位置づけ、有害廃棄物の回収システムを確立することを要望します。
 今月、名古屋市において、生物多様性条約締約国会議、COP10が開催されます。また、それと同時に、遺伝子組みかえの動植物の移動で生態系が破壊されるのを防ぐためにルールを定めたカルタヘナ議定書第五回締約国会議、MOP5も開催されます。
 私たちは、遺伝子組みかえを推進することには問題ありとしてきましたが、残念ながら、遺伝子組みかえの輸入の菜種などがこぼれて、在来種との交雑があちこちで発見されています。生物多様性条約が守ろうとしているのは、絶滅危惧種だけではありません。人為的な遺伝子組みかえが引き起こす将来にわたる危険性について認識し、今ある自然の保全に一層強く取り組むことを要望します。
 次に、雇用問題についてですが、厳しい経済状況の中、新卒でも就職できなかったり、運よく就職できても試用期間が終わると本採用されなかったり、若者の社会スタートは多難です。都立高校での就職指導と就労支援を充実することを求めましたが、何よりも、就労後も親身になって相談に乗り、指導してくれる人材が学校内に配置される必要があることを申し述べておきます。
 最後に、文教委員会に報告された特別支援教育推進計画第三次実施計画案について申し上げます。
 計画案では、すべての学校で、すべての教員がかかわるという特別支援教育の理念を進めるべく、区市町村における教育体制の充実に向け、全小中学校への特別支援教室の設置が挙げられました。子どもが動くから教員が動くへというスローガンが掲げられていますが、どのように実現されていくのか、その道筋は見えてきません。特に、発達障害の児童生徒が大幅にふえていく中で、個別指導等の実施や通級指導学級教員による巡回指導など、新たな取り組みが提示されていますが、人員配置にかかわる具体案が出されていません。これまで行われた説明会でも、私たちに寄せられている声の中でも、現在の人員体制で対応できるのかという不安の声が多く聞かれます。
 特別支援教育におけるリーダーとして重要な役割を果たすコーディネーターは、教員が学級担任や教務主任、養護教諭などの責務の兼任で行われていますが、校務分掌、役割分担がきちんとされているのかの検証がまだ行われていません。実態調査、意識調査を早急に行うべきと考えます。
 また、高校における特別支援教育に対して、この三次計画での中身では余りにも乏しく、子どもたちが行きたい高校を選べる保障がありません。現在、チャレンジスクールや定時制高校には特別な支援を必要とする子どもたちも通っていますが、以前から指摘しているように、適切なサポートがあれば、十分、全日の高校で学べる生徒がいます。
 東京都は、これまで区市町村と連携して、小学校、中学校に情緒障害などの通級制度をつくってきましたが、ここに通う子どもたちの卒業後の受け皿すら示せていないのが現状です。
 こういったことから、第三次実施計画を策定する上で、必要な検証はまだ不十分といわざるを得ません。ぜひ区市町村の実情や子どもたちのニーズ調査、学校現場の実態把握を行って、計画に盛り込むことを強く要望し、討論とします。(拍手)

○議長(和田宗春君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(和田宗春君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一から第三まで、第百四十八号議案、土地の信託の変更について外議案二件を一括して採決いたします。
 本案に関する委員会の報告は、いずれも可決であります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本案は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 次に、日程第四、第百三十八号議案、味の素スタジアム(二十二)第一種陸上競技場化改修工事請負契約を採決いたします。
 本案に関する委員会の報告は、可決であります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本案は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 次に、日程第五から第二十二まで、第百四十六号議案、公立大学法人首都大学東京に対する出資について外議案十七件を一括して採決いたします。
 本案に関する委員会の報告は、いずれも可決であります。
 お諮りいたします。
 本案は、委員会の報告のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本案は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都監査委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都監査委員の選任の同意について一件

二二財主議第三五二号
平成二十二年十月六日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   東京都監査委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都監査委員相川博が辞任するため、後任として左記の者を選任したいので、地方自治法第百九十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     都議会議員 大塚たかあき

      略歴
現住所 東京都港区
大塚たかあき
昭和三十四年十一月二十二日生(五十歳)
平成三十年七月  東京都議会議員
平成十七年七月  東京都議会議員
平成二十一年七月 東京都議会議員
現在       東京都議会議員

○議長(和田宗春君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第二、東京都監査委員の選任の同意についてを議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都監査委員の選任の同意について一件

二二財主議第三五三号
平成二十二年十月六日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   東京都監査委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都監査委員三原將嗣が辞任するため、後任として左記の者を選任したいので、地方自治法第百九十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     都議会議員 遠藤  衛

      略歴
現住所 東京都調布市
遠藤  衛
昭和十三年十二月三日生(七十一歳)
昭和五十七年七月 東京都調布市議会議員
昭和五十八年六月 東京都調布市議会議員
昭和六十二年六月 東京都調布市議会議員
平成三年六月   東京都調布市議会議員
平成七年六月   東京都調布市議会議員
平成九年七月   東京都議会議員
平成十三年七月  東京都議会議員
平成十七年七月  東京都議会議員
平成二十一年七月 東京都議会議員
現在       東京都議会議員

○議長(和田宗春君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第三及び第四、二二第一一号、大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書の提出に関する請願外請願一件、陳情十五件を一括議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

   文教委員会請願審査報告書
二二第一一号
大学の学費負担軽減策の充実を求める意見書の提出に関する請願
(平成二十二年六月十六日付託)
  請願者 武蔵野市
   学費ZEROネット東京
代表 塚田 幹人
 本委員会は、右請願審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十六日
文教委員長 大西さとる
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   厚生委員会請願審査報告書
二二第一二号
線維筋痛症に関する請願
(平成二十二年六月十六日付託)
  請願者 町田市
   町田生活と健康を守る会
会長 高橋 治夫 外一、二三八人
 本委員会は、右請願審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十六日
厚生委員長 門脇ふみよし
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   文教委員会陳情審査報告書
二二第四六号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 目黒区
   目黒子どもと教育を守る会
代表者 三浦久美子
二二第四八号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 狛江市
   子どもと教科書・狛江の会
代表者 和田 哲子
二二第四九号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 小平市
   小平・高校問題協議会
代表者 山内 典子
二二第五〇号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 八王子市
   八王子高校問題連絡協議会
代表者 平野 幸司
二二第五一号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 国分寺市
   三多摩高校問題連絡協議会
代表者 古賀 禧子
二二第五二号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 新宿区
   東京・教育の自由裁判をすすめる会
代表者 冨田 浩康
二二第五三号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 狛江市
小俣 三郎
二二第五四号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 中野区
松井 奈穂
二二第五五号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 世田谷区
高品  斉
二二第五六号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 目黒区
   とりつおせっ会
代表者 石山 久男
二二第五七号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 埼玉県さいたま市
   白鴎高校附属中学の教科書問題を憂慮する白鴎有志の会
代表者 影山美知子
二二第五八号
東京都教育委員会の請願制度改善に関する陳情
(平成二十二年六月十六日付託)
  陳情者 三鷹市
   都立高校のいまを考える全都連絡会
代表者 国松 芳美
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十六日
文教委員長 大西さとる
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   厚生委員会陳情審査報告書
二二第四四号
都立中部総合精神保健福祉センターの病室・ホステルの存続に関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 大田区
古怒田幸子
二二第四五号
中部総合・多摩総合精神保健福祉センターのホステル廃止に反対することに関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 中野区
木村 和子
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十六日
厚生委員長 門脇ふみよし
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   経済・港湾委員会陳情審査報告書
二二第三九号
最低賃金法の抜本改正と中小企業支援策の拡充・強化等を求める意見書提出に関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 豊島区
   東京春闘共闘会議
議長 伊藤 潤一
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十五日
経済・港湾委員長 小沢 昌也
 東京都議会議長 和田 宗春殿

○議長(和田宗春君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第五及び第六、二二第九号、東京都住宅供給公社の家賃値上げ反対に関する請願外陳情一件を一括議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

   都市整備委員会請願審査報告書
二二第九号
東京都住宅供給公社の家賃値上げ反対に関する請願
(平成二十二年六月九日付託)
  請願者 中野区
   東京都公社住宅自治会協議会
請願代表者 早川  信
外二九、六七九人
 本委員会は、右請願審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十七日
都市整備委員長 尾崎 大介
 東京都議会議長 和田 宗春殿

   厚生委員会陳情審査報告書
二二第四一号
東京都として公共施設全面禁煙化を推進していくことに関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 江戸川区
河村 昌弘
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十六日
厚生委員長 門脇ふみよし
 東京都議会議長 和田 宗春殿

○議長(和田宗春君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第七、二二第三四号、西東京警察病院の存続に関する陳情を議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   警察・消防委員会陳情審査報告書
二二第三四号
西東京警察病院の存続に関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 国分寺市
   西東京警察病院の存続を求める会
代表 南波 貞敏 外五、四五四人
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十五日
警察・消防委員長 石森たかゆき
 東京都議会議長 和田 宗春殿

○議長(和田宗春君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第八、二二第四三号、介護保険で訪問カット等が適用できるよう求める意見書の提出に関する陳情を議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   厚生委員会陳情審査報告書
二二第四三号
介護保険で訪問カット等が適用できるよう求める意見書の提出に関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 神奈川県中郡大磯町
   全日本訪問美容支援協会
会長 伊勢田 優
 本委員会は、右陳情審査の結果、不採択とすべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十六日
厚生委員長 門脇ふみよし
 東京都議会議長 和田 宗春殿

○議長(和田宗春君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第九、二二第三八号、都立霊園内に粉末状の遺骨を埋蔵できる墓地を設けることに関する陳情外陳情一件を議題といたします。
 委員会審査報告書は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

   環境・建設委員会陳情審査報告書
二二第三八号
都立霊園内に粉末状の遺骨を埋蔵できる墓地を設けることに関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 北区
岩崎 昭生
 本委員会は、右陳情審査の結果、左記意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十六日
環境・建設委員長 藤井  一
 東京都議会議長 和田 宗春殿
       記
(意見)
  趣旨にそうよう努力されたい。

   警察・消防委員会陳情審査報告書
二二第三五号
東京消防庁における経理事務に関する陳情
(平成二十二年六月九日付託)
  陳情者 埼玉県三郷市
森  繁夫
 本委員会は、右陳情審査の結果、左記意見を付して採択の上執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を請求すべきものと決定したので報告します。
  平成二十二年九月十五日
警察・消防委員長 石森たかゆき
 東京都議会議長 和田 宗春殿
       記
(意見)
  趣旨にそうよう努力されたい。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 本件は、委員会の報告のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第十、常任委員の選任を行います。
 お諮りいたします。
 常任委員の選任については、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布いたしてあります常任委員名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、常任委員は、お手元の常任委員名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、お手元配布のとおり各常任委員会を招集いたしますので、ご了承願います。
   〔常任委員名簿は本号末尾(一九四ページ)に掲載〕

○議長(和田宗春君) この際、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員長より、調査の経過について中間報告をいたしたい旨申し出がありますので、これを許します。
 東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員長花輪ともふみ君。
   〔百一番花輪ともふみ君登壇〕

○百一番(花輪ともふみ君) 東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会における現在までの調査、審議の経過について、委員会を代表して報告いたします。
 その内容につきましては、お手元に配布しました報告書のとおりですが、私から、その概要についてご報告申し上げます。
 本委員会は、平成二十一年九月二十五日に設置され、東京都中央卸売市場築地市場の移転、再整備に関し、約一年一カ月にわたり、小委員会や経済・港湾委員会との連合審査を含め、二十七回の委員会の開催や視察の実施など、精力的に調査検討を行ってまいりました。
 それでは、委員会で調査検討いたしました主な事項につきまして、ご報告申し上げます。
 委員会では、まず、築地市場の移転、再整備について理事者から報告を受け、築地市場の豊洲地区への移転に係る経緯並びに豊洲新市場予定地における土壌汚染対策及び豊洲新市場の整備などの状況について調査いたしました。
 その後、平成二十二年第一回定例会において、平成二十二年度中央卸売市場会計予算が、議会として現在地再整備の可能性について、大方の事業者の合意形成に向け検討し、一定期間内に検討結果をまとめ、知事は議会における検討結果を尊重することなどを内容とする付帯決議が付され、可決されました。
 このような状況の中で、本委員会では、現在地再整備の可能性について、精力的に調査検討を行ってまいりました。
 まず、委員会において、過去における築地市場の現在地再整備の経緯などについて、現在地再整備の施設計画及び工事中断の理由や現在地再整備再検討の際に明らかとなった問題点などについて検証を行いました。
 また、具体的に現在地再整備の検討を進めるに当たり、三人の学識経験者を参考人としてお呼びし、卸売市場のあり方について、専門的な立場からご意見をお聞きするとともに、現在地において市場業務を行いながら整備工事を実施した他の市場の事例を調査するため、大阪市の中央卸売市場を視察いたしました。
 次に、民主党から本委員会に対し、築地現在地再整備計画に向けての検討事項案が示されました。検討事項案としては、A、B、Cの三つの案が提案され、A案は、現在地一体型で築地の全部の機能を一時移転させ、多層化により現在地に全機能を再整備するというもので、全機能を晴海に一時移転し、その上で、更地となった築地に新市場を建設し、晴海から全機能を築地に再移転するものであります。
 次に、B案及びC案は、いずれもツインマーケット方式であります。B案は、築地市場の敷地内で積みかえられ、他市場などに転送される積みかえ品に係る機能を晴海地区に完全移転するもので、積みかえ品関連を晴海に移転することとあわせ、一部機能を晴海に一時移転し、築地に生じた空き地を利用して、ローリングにより新市場を建設するというものであります。
 C案は、B案に加え、大口向け商品にかかわる機能も晴海に移転するもので、整備手順はB案とほぼ同じですが、一部機能を晴海に一時移転せず、整備できる可能性があるというものです。
 本委員会としては、この検討事項案をもとに調査検討を進めることとし、一定期間内に検討結果をまとめるため、詳細な検討につきましては、本委員会のもとに設置した小委員会において、効率的かつ機動的な調査検討を進めることといたしました。
 小委員会では、これらの検討事項案について、現在地再整備の可能性について専門的、中立的に調査し、豊洲新市場整備案と比較可能なものとすることが必要であるとの基本的考え方のもと、コンセプト、基本スペック、工期、金額など、課題を調査項目として設定の上、鋭意調査が進められました。
 検討の経過における質疑では、施設配置や工期の課題、ローリング計画と業者の営業への影響、整備費用や施設使用料の算定根拠、交通アクセス、築地ブランド価値、晴海地区や中央区用地の活用など、幅広い質疑や議論が行われました。
 このような調査検討を行った結果、A、B、Cの三案及びA-2案の四つの築地現在地再整備計画案が取りまとめられ、各案の特徴及び課題も抽出され、また、A案における晴海地区の仮設施設の見直し及びB、C案における中央区用地の活用についても検討結果が示されました。
 小委員会では、これらの検討結果を踏まえ、築地現在地再整備計画に向けての検討事項案について、業界団体の代表者など十五人の方々を参考人としてお呼びし、それぞれのお立場からご意見をお聞きし、最後に各会派が意見開陳を行った上で、委員会への調査報告書を取りまとめました。
 本委員会では、小委員会からの調査報告を受けた後、小委員会が取りまとめた築地現在地再整備計画に向けての検討事項案と豊洲新市場計画について比較検討をするため、質疑を行いました。
 質疑では、豊洲新市場の物流上の課題、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策と盛り土の汚染対策、現在地再整備案の工期や現在地再整備になった場合の業界との調整、財源の確保や使用料の算出方法、意向調査の是非など、幅広い質疑や議論が行われました。
 なお、質疑終了後、各会派による築地現在地再整備計画に向けての検討事項案と豊洲新市場計画に対する意見開陳が行われました。
 開陳された意見の主なものとして、まず、施設配置に関して、豊洲案には物流上の課題や買い回り上の問題があるとの意見や、また、現在地再整備案には施設計画と物流計画に問題があるなどの意見がありました。
 コストに関しては、同じスペックであれば、豊洲案もA-2案の本体コストも同程度であるとの意見や、現在地再整備案の整備費は、築地での土壌汚染調査対策費、埋蔵文化財発掘調査費に伴い、増大する可能性が高いなどの意見がありました。
 また、工期に関しては、再整備案の工期として示された期間は、改善すれば短縮が可能であるとの意見や、再整備案の工期は、具体的に明記された期間に加え、業界調整や埋蔵文化財発掘調査に時間を要する可能性があるとの意見などがありました。
 豊洲における土壌汚染対策に関しては、盛り土など新たな調査や対策の可能性があり、工期やコストに不確定要素があるとの意見や、また、土壌汚染対策では、食の安全・安心は確保できないなどの意見がありました。
 以上のことから、現在地再整備案に関して、使用料は決まっておらず、試算の方法によっては、ほぼ同等になる可能性もあることや、スケジュールの短縮などにより実現は可能であるとの意見や、現在地再整備の各案は、施設使用料の大幅な値上げが避けられないこと、工期が長期にわたることや業界の理解がまとまらないことなどの理由により、実現は不可能であるとの意見がありました。なお、豊洲新市場計画については、中止すべきであるとの意見もありました。
 また、市場関係者に対する意向調査に関しては、広く意見を聞くことは当然であるから実施すべきとの意見や、業界団体の反対、業界の混乱などから実施すべきではないとの意見が述べられました。
 さらに、平成二十二年度東京都中央卸売市場予算に関しては、用地取得費千二百六十億円を除く準備行為については適切に執行すべきであるとの意見や、豊洲新市場関連予算については、全額を一刻も早く執行すべきであるとの意見が述べられました。
 このほか、本委員会では、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策についても調査を行いました。汚染物質処理に関する実験の結果等について、経済・港湾委員会と連合審査会を開催し、理事者から説明を聴取しました。
 報告に対する質疑では、実験のデータの取り扱いに関する経緯、盛り土汚染の原因、化学性状試験の内規が守られなかった理由などについて質疑が行われました。また、盛り土の安全対策、豊洲新市場予定地の地下水浄化対策などについて議論が行われました。
 このように、委員会では幅広く調査、審議してまいりました。
 なお、以上申し上げてきたとおり、現在地再整備の質疑ではさまざまな意見が出たことから、その議論の詳細について、このたびの報告書に議事要旨として添付いたしました。
 本委員会は、これまでの調査活動を踏まえ、今後とも都民本位の中央卸売市場築地市場の再整備を推進するため、都民の期待にこたえていかなくてはならないと考えております。
 本委員会における調査が、今後の東京都中央卸売市場築地市場の移転、再整備に生かされることを強く希望して、甚だ簡単ではございますが、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の報告といたします。(拍手)

○議長(和田宗春君) 以上をもって東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員長の中間報告は終わりました。

   〔(参考)東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会報告書は本号末尾(一九四ページ)に掲載(資料及び別冊省略)〕

○議長(和田宗春君) この際、継続調査及び審査について申し上げます。
 まず、株式会社新銀行東京に関する特別委員長より、委員会において調査中の案件について、会議規則第六十六条の規定により、閉会中の継続調査の申し出がありました。
 申し出書の朗読は省略いたします。

平成二十二年九月二十九日
      株式会社新銀行東京に関する特別委員長
山下 太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   株式会社新銀行東京に関する特別委員会継続調査申出書
 本委員会は、平成二十一年九月二十五日付託された左記事件を調査中であるが、今会期中に調査を結了することが困難なので、閉会中もなお継続調査を要するものと決定したので会議規則第六十六条の規定により申し出ます。
       記
 株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取組について調査・検討する。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり、閉会中の継続調査に付することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、申し出のとおり、閉会中の継続調査に付すことに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 次に、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員長より、委員会において調査中の案件について、会議規則第六十六条の規定により、閉会中の継続調査の申し出がありました。
 申し出書の朗読は省略いたします。

平成二十二年十月五日
      東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員長
花輪ともふみ
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会継続調査申出書
 本委員会は、平成二十一年九月二十五日付託された左記事件を調査中であるが、今会期中に調査を結了することが困難であるため、閉会中もなお継続調査を要するものと決定したので、会議規則第六十六条の規定により申し出ます。
       記
 東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する調査・検討を行う。

○議長(和田宗春君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありましたので、順次発言を許します。
 四十四番鈴木あきまさ君。
   〔四十四番鈴木あきまさ君登壇〕

○四十四番(鈴木あきまさ君) 都議会自由民主党を代表して、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の継続に反対する立場から討論を行います。
 この間、二十七回の特別委員会、二十七回の理事会、現地調査、三人の学識経験者及び十五人の業界団体代表者からの参考人招致を行い、百時間に及ぶ議論を経て作成された三五〇ページの報告書の中身を見ると、だれの目から見ても、現在地再整備を実現する可能性はないということは客観的に明らかになったのであります。お手元に配布された特別委員会報告書議事要旨、調査報告書概要をどうぞ熟読をしていただきたいと思います。
 長過ぎる工期や業界の合意形成を初めとする現在地再整備案が抱える課題は、幾ら検討しても解決の糸口すら見出せないものであり、現実的に進めていく方策として実行不可能なものであります。
 施設内にも機能的にも老朽化の限界を超えた築地の現状を直視したとき、今、議会に求められていることは、実現可能な豊洲という道が都として最善であることを認識し、決断することであり、特別委員会を継続することは、政治の責任を放棄することである。継続により議論することだけを目的とすることは到底許されないことであります。
 我が党が現在地再整備の実現は不可能と考える理由は二つあります。
 まず、工期が二十年以上もの長期に及ぶことです。喫緊の課題があるにもかかわらず、再整備案の工期は、業界調整や埋蔵文化財調査などさまざまな不確定要素があり、工期が長期にわたることは明白となりました。
 築地市場が抱える課題は、耐久性やアスベストの問題、閉鎖型施設の整備など、一刻の猶予もない課題であり、二十年以上もかけて再整備をするということは、これら課題の先送りにほかならず、全く論外の話であるといわざるを得ません。
 次に、大方の業界の理解を得られる見通しは全くないことです。業界参考人の意見聴取でも、現在地再整備はさまざまな課題に直面し、私たち民がとめざるを得なかったんだ、なぜ過去の教訓が生かされないのかと批判の声もありました。仮に現在地再整備の方向となった場合、業界調整は困難をきわめるどころか、私からいわせれば、大方の業界がまとまる見通しは全くないといってもよいと思います。
 現在地再整備案は、こうした業界調整に加え、晴海地区の住民との合意形成など、全く不透明な要素を抱えており、工事に着工できるかすらわからない、開場スケジュールすら描くことができないものなのです。果たしてこのような案を責任を持って業界団体や都民に説明できるのか、全く疑問です。
 このほかにも、割高な施設建設費による使用料の大幅な上昇、営業活動に深刻な影響を与える仮移転とローリング工事、環状二号線の地下化に伴い発生する莫大なコストなど、数多くの、しかも解決が極めて困難な問題が山積しているのであります。
 そもそも豊洲新市場への移転は、再整備工事の行き詰まりから、都と業界が五年もの長い歳月を要してようやく決定に至ったものなのです。こうした経緯を踏まえることなく、みんなはできれば築地で営業を続けたいと思っているなどとして、軽々に現在地再整備を突きつけることが一体できるのでしょうか。仮に突きつけたとしても、容易に現在地再整備の合意が得られるはずはありません。
 都議会自由民主党は、この現在地再整備案は、いずれも全く現実感のない、実現不可能な机上の空論というべきものであると考えます。一方、民主党は、ここまで検討したにもかかわらず、現在地再整備という結論すら明確にできないのであります。
 次に、民主党の主張について申し上げます。
 まず一点目は、市場関係者の意向調査についてです。
 意向調査の実施は、業界団体が反対している以上、その実現はあり得ません。仮に実施できたとしても、だれが、どういう人を対象にするかも決めていない。使用料もわからない。業界への支援策も出ていない。それで、どうやって調査するのですか。加えて、調査のやり方について、移転派、反対派、それぞれと協議する必要がありますが、果たして合意が得られるのでしょうか。さらに、結論の出し方も決めていない。仮に四十九対五十一になったときに、民主党は決断できるのでしょうか。
 そもそも業界は、これまでもさまざまな意見があるにもかかわらず、血のにじむような努力をして、業界としての意見を、民主的な手続を経てまとめ上げてきたのであります。それを、意向調査をやることが民主的であるかのように主張し、強要するようなことは、これまでの業界の努力を踏みにじるだけではなく、業界の混乱を招くこととなります。
 二点目は、用地取得費を除く二十二年度予算の執行を認めたことです。
 この認め方はそもそもおかしい。豊洲か築地かの方針も示さないで、どうやって予算が執行できるのでしょうか。予算執行を認めた後で、やっぱり築地だといい出さないとも限らないのです。その場合、執行した二十一億円の税金のむだ遣いとなります。
 三点目は、特別委員会のこの継続調査です。
 付帯決議に基づき特別委員会で精力的に検討を行いました。工期や業界の合意形成など、解決できない課題以外に検討することは全くないのであります。何をどうやって検討するのかも示さずに、もともと一定期間といってきたにもかかわらず、スケジュール感も示せずに継続審議だといい張る。これはもはや先延ばしであるといわざるを得ません。
 都議会自由民主党は、二十二年度予算に付された付帯決議であることから、年度内に予算が執行できるまでのタイミングで、知事にゆだねるべきであると考えます。また、移転、整備について議論をするのであれば、それは本来、常任委員会で議論すればいいことであり、特別委員会で引き続き現在地再整備案を検討することについて、断固として反対いたします。
 今こそ新市場整備について、都民の安定的な食の供給の確保という、この問題の本質的な目的をしっかりと認識し、都と都議会が、その責任において進むべき道を判断しなければならないのです。
 現在地再整備という結論がないことがだれの目からも明らかになった以上、ここで豊洲移転を決断しないと、首都圏三千三百万人の食を支える市場自体を失ってしまうのです。今がラストチャンスなのです。こうした危機感を全く顧みず、安易に先送りして、その責任を一体だれがとるのでしょうか。
 平成二十二年度予算には、業界団体、産地や顧客、首都圏ひいては日本のニーズにこたえる豊洲新市場の平成二十六年度中開場を可能とする予算が計上されています。この予算を完全に執行することを可能とするために、今、議会として結論を出すべきであり、特別委員会の継続調査には反対であることを申し上げて、我が党の討論といたします。(拍手)

○議長(和田宗春君) 二十六番柳ヶ瀬裕文君。
   〔二十六番柳ヶ瀬裕文君登壇〕

○二十六番(柳ヶ瀬裕文君) 私は、都議会民主党を代表して、築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の閉会中の継続調査について討論を行います。
 昨年九月二十五日に設置された築地市場の移転・再整備に関する特別委員会ですが、当初、築地再整備問題だけを扱う特別委員会を考えていた私たちに対して、一部会派から、築地の再整備だけでなく、移転についても調査検討すべしとの意見が出され、委員会の名称が、移転・再整備に関する特別委員会となりました。
 その後、平成二十二年度市場会計予算案において付帯決議が付されたこともあり、特別委員会に小委員会が設置され、現在地再整備が検討されることになりました。小委員会では四つの具体案が示されましたが、この間、できない、無理だ、不可能だといわれてきた現在地再整備案が実現できるということが証明されました。調査報告書をよく熟読していただきたい、そのように思います。
 また、特別委員会の中では、移転推進の会派の中からも、技術的には可能だということがわかったといった発言もありました。
 また、現在地再整備案の内容も、市場機能という面において、豊洲案よりすぐれている点が非常に多くあります。豊洲案では、七街区の水産卸では、一階が競り品、三階が荷置きと荷さばき場、四階が転配送センターとなるなど、縦方向に大量のものを動かさなければなりません。これは非常に不便なことです。
 また、水産の卸と仲卸とが、補助三一五号線によって分断されているため、仲卸が競り場に行くには八十メートルのトンネルをくぐっていかなければなりません。買い回りについても、車や徒歩での移動距離が非常に長く、荷の場内搬送の面で大きな課題を抱えていると、これはいわざるを得ません。
 これに対して、現在地再整備のA-2案は、卸と仲卸を平面で同一階に配置し、買い回りも便利であることから、参考人も、豊洲とは比べものにならないほど使い勝手がよいといった発言もございました。
 現在地再整備案については、移転推進派の参考人からも、もっとブラッシュアップすべきだというご意見をいただきました。今後、五十年、百年の市場を考えるときに、市場機能のあり方についてさらに検討し、議論を深めていく必要があるのではないでしょうか。
 現在地再整備案については、事業費や使用料、スケジュール面での指摘があります。事業費においては、むしろ豊洲案の方が、軟弱な地盤に深くくいを打たなければいけない、インフラを三つの敷地まで引かなければならない、外壁の表面積が大きいなどのことから、コスト引き上げの要因が非常に多いと指摘をしてまいりました。
 また、現在地再整備案のA-2案の使用料が、豊洲案の一・五七倍と試算されている問題については、そもそもこの使用料算定の前提となっている市場別使用料は、業界の合意が得られていない。仮に市場別使用料を前提としても、減価償却費に含まれない晴海の仮設市場五百九十七億円を除くだけでも、A-2案は豊洲案の一・一倍と同程度と試算されることを指摘してまいりました。つまり、使用料の一・五七倍というのは、これは全く根拠のない、今後の議論でいかようにも設定できる数字だということが明らかになったのであります。
 スケジュールについても、現在地再整備案は、二十年、二十五年かかるといっている一部の人がいますけれども、この期間は、あるかどうかわからない埋蔵文化財の調査や土壌汚染対策などを最大限積み上げた期間でしかありません。そもそも豊洲案は、平成十五年の豊洲新市場基本構想では、基本設計から開場まで八年から十二年、平成十六年の豊洲新市場基本計画では、同じく基本設計から開場まで七年から十一年かかると想定していました。しかし、現在の豊洲案のスケジュールでは、これがわずか四年半でできるということになっているのであります。つまり、当初の予定から大幅に、これは短縮することができたんです。
 具体的な工程表が必要な基本設計や工期を含めた期間を、簡単に二分の一、三分の一に短縮できるのであれば、築地において想定でしかない調査や対策、業界調整、各種行政手続などは、それこそ執行機関の努力で大きく期間短縮することが可能と考えることが妥当だと思います。
 二〇一六年の東京オリンピック招致を計画した際には、築地の市場跡地に予定していたメディアセンターは、市場の解体除去、埋蔵文化財や土壌汚染の調査、建設工事期間をすべて含めて五年で完成させる想定でした。晴海のメーンスタジアムは、都市計画決定や各種調査、デザイン公募や設計、地元調整に三年、建設工事に三年、計六年で完成させる想定だったのであります。
 築地の土地にメディアセンターを建設する場合には埋蔵文化財が出土せず、市場を建設する場合にこれが出土するなどということはあり得ません。まさにこれはやればできるんです。これができないというのであれば、石原知事がIOCに提出した立候補ファイルの内容こそ疑われるべきだということを申し上げておきます。
 参考人の方々の発言でも、現在地再整備案にせよ、豊洲移転案にせよ、共通していたのは、食の安全・安心を確保してほしいということでした。豊洲案において、現在地再整備以上に大きなリスク要因は、高濃度の汚染物質で汚染されている土壌の問題であることはいうまでもありません。盛り土など新たな調査や対策の必要性があることに加え、その地盤の性質から、液状化対策や地盤沈下対策などを進めていく上で、新たな問題が露呈しないとも限りません。
 さらに、土壌汚染対策における東京都の情報提供のあり方は改める必要があるでしょう。実証実験で無害化できることが実証されたとしていた検体の初期値の公表や盛り土を搬入する際の汚染調査の内規違反など、さまざまな問題が発覚する中で、都民の行政に対する信頼は揺らいでいます。情報提供を積極的に進めることで、都民が考える安全と東京都が考える安全が合致し、それが実行できるような努力がさらに必要であります。
 また、私たちは、今回の現在地再整備案と豊洲移転案とが、それぞれ公平公正に評価されることを前提に、市場関係者に対する意向調査を実施すべきと主張してまいりました。意向調査については、一部に、業界の理解が得られないとか、業界の分断を招くものとか、業界に移転の判断を押しつけるものだといった意見も一部にはあるようですが、調査さえ拒もうとする姿勢は、一体全体どこから来るのでしょうか。そもそも物事を決定するに当たって、当事者から広く意見を聞かないなんてことがあるでしょうか。
 意向調査は、業界に移転の判断を押しつけるためにするものではありません。あくまでも、この問題を都議会として責任を持って判断するために、断固として行われるべきであります。
 さて、今回、築地市場の移転・再整備に関する特別委員会では、現在地再整備の具体案が示され、一定の議論を行ってきました。今回の報告をもって第三回定例会における一定の成果であるとも考えております。
 この一定の成果を受けて、平成二十二年度東京都中央卸売市場会計予算の考え方については、先日の特別委員会でも申し上げたとおりですが、一部に千二百六十億円の用地取得費も含めた全額を早期に執行すべきとの意見もあるようであります。しかし、私たちは、土地鑑定評価も行われず、盛り土の汚染調査の結果さえわからず、東京ガスとの費用負担の協議さえままならない中で、用地取得費の早期執行はあり得ないものと考えております。ましてや意向調査さえ行われないような中で、用地取得費の執行など、豊洲移転を強引に進めようとするのであれば、今後の関連予算には厳しい対応をせざるを得ないと申し上げておきます。
 都議会民主党は、現在地再整備の可能性について、大方の事業者の合意形成に向け、あらゆる方策を模索、検討しながら、付帯決議にもあるように、一定期間内に検討結果をまとめていくことを改めて約束するものであります。
 その上で、私たち都議会民主党は、特別委員会を継続し、引き続き築地市場の移転、再整備問題について調査検討を進めていくことを表明し、討論といたします。(拍手)

○議長(和田宗春君) 五十九番伊藤興一君。
   〔五十九番伊藤興一君登壇〕

○五十九番(伊藤興一君) 私は、都議会公明党を代表して、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の継続調査に反対する立場から討論を行います。
 今回の現在地再整備案の検討については、長期にわたる整備期間や業界、住民の合意が困難という大きな問題のほかに、施設使用料、財源、そして施設計画と物流効率という三つの極めて重大な問題があり、現在地再整備の各案の実現は困難であることが明らかになりました。我が党としては、結論が明白である以上、特別委員会を継続する必要性は全くないものと考えます。
 現在地再整備案の実現が困難である理由の第一は、豊洲新市場と比較して、施設使用料の大幅な上昇が避けられず、業界にとって負担が耐えられないものになるということであります。
 特別委員会の調査報告書によれば、豊洲新市場と比較して、施設使用料は一・三倍から一・六倍という水準が示されました。さらに、現行と比較した場合には、二倍程度にもなります。このほか、業界負担には、参考人が指摘したとおり、施設使用料以外にもローリングや仮移転に伴う費用が重なります。
 私たち都議会は、参考人招致において業界団体が強く訴えていた、このような使用料負担には経営上とても耐えられないという意見を重く受けとめなければなりません。
 続いて、第二の問題は、新市場の整備費の財源問題であります。
 改めて申し上げるまでもなく、豊洲新市場であれ、現在地再整備であれ、その整備には財源の確保が不可欠であります。築地市場跡地の売却収入が見込めない現在地再整備案では、巨額の財源不足が生じ、さらに、その補てん財源は確保できません。また、過去の例からいっても、現在地再整備工事では、工期の延長による工事費の増加は避けられず、こうしたリスクを考慮しない計画は余りにも無責任であります。工期の延長を余儀なくされ、財源がなくなり、中断せざるを得なくなった場合、都民、市場関係者への影響ははかり知れません。
 第三の問題は、重層化による物流効率にさまざまな欠陥がある施設計画になっていることであります。
 とりわけ最大の問題は、いずれの案でも、青果の売り場が物流効率の悪い上層階に配置されていることです。業界団体の代表者からも、激しい憤りと不満が表明されています。限られた築地の敷地では、売り場の重層化が避けられないことから、業界の理解を得られる施設整備は困難であります。
 さらに、東京ドーム二・五個分の広さがある巨大建築物であるため、火災発生時の避難に問題があり、災害時における人の生命にかかわる課題があることも見逃すわけにはいきません。
 このように、現在地再整備案は、施設計画と物流効率の観点からも、極めて問題が多いと指摘せざるを得ません。
 以上、報告書で明らかになった問題点に加え、二十年以上の長期にわたる整備期間の問題や仮移転先の晴海の住民合意、そして、何より業界が現在地再整備の方向で合意できる見通しが全く立たない状況では、現在地再整備の実現可能性は全くないものと判断せざるを得ません。
 これまで長期間にわたり、議会として現在地再整備の可能性について精力的に検討してまいりました。この間、業界参考人からも、なぜ過去の教訓が生かされないのか、早急に結論を出してほしいとの厳しい声も上がっております。
 さらに、意向調査についても一言申し上げますが、そもそも、青果を上層階にすることを含め、現在地再整備案を検討するに当たって、民主党からは電話一本の相談もないと業界団体の方は怒りを表明しておりました。業界が反発するのは当然であります。
 こうした声を無視し、意向調査と称して、業界に責任を押しつけようとする行為は断じて容認できません。私たち議会が今まさに果たすべき責任は、小委員会の報告を最終報告と認識し、さらに、現在地再整備案が解決不可能な課題を抱えていることを直視し、首都圏三千三百万人の食を支えるのにふさわしい豊洲新市場を早期に整備するため、二十二年度予算のすべてを速やかに執行することであります。
 ところが、民主党は、予算について、一千二百八十一億円のうち、用地取得費千二百六十億円を除く準備行為である二十一億円のみを執行すべきと主張しております。このことは、予算執行の原則を全く理解していない主張であります。豊洲移転か現在地再整備かの方針が決定されていない段階で、豊洲新市場予算を執行すること自体、理屈が通りません。
 そもそも平成二十二年度の豊洲新市場の整備予算は、平成二十六年度中の開場に向けた一体のものであり、一括して取り扱うべきであります。それを、用地は認めず、それ以外を執行せよとする主張は到底理解できません。
 さらに、特別委員会の継続調査についてであります。
 これまで、特別委員会及び小委員会は、休日にも審議を行うなど精力的に調査検討を行ってまいりました。付帯決議に基づき公明党、自民党も協力して、議会として報告書をまとめ上げたものであります。それを、何をいつまでにどうやって検討するのかも全く明らかにせず、ただ継続調査だと主張することは、我々のこれまでの検討をないがしろにするだけでなく、単なる先送りに過ぎず、議会としての責任放棄であります。
 このように、現在地再整備についての議論は尽くされたのであります。
 また、移転、再整備について論じるのであれば、豊洲新市場移転という方針をしっかりと定めた上で、本来議論すべきである常任委員会に戻して議論することが当然の道筋であります。
 議会としては、一定期間と区切って予算が執行できるよう、精いっぱい取り組んでまいりました。民主党も予算に賛成して、特別委員会において、付帯決議に基づき十分に検討してきたのであります。今ここで結論を出すことが議会の責任であり、会派の都合で政争の具にすれば、困るのは現場であり、業界、都民であります。
 民主党は、強引な移転に反対と主張してきましたが、我が党から見れば、期限までに結論を出す責任を果たせなかった民主党の姿勢こそが強引な引き延ばしであり、無責任きわまりないといわざるを得ません。
 都議会公明党として、特別委員会の継続審議には断固反対であることを申し上げて、討論といたします。(拍手)

○議長(和田宗春君) 八十二番清水ひで子さん。
   〔八十二番清水ひで子君登壇〕

○八十二番(清水ひで子君) 日本共産党都議団を代表して、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の閉会中の継続調査に賛成の立場から討論を行います。
 築地市場の再整備問題を考える場合、何よりも重要なことは、特別委員会において、どの立場からの参考人の方々も強調されたように、食の安心・安全を確保するということです。その点で、豊洲新市場計画については、致命的ともいうべき重大な問題があります。
 そもそも豊洲新市場予定地は、有害物質で汚染されたガス工場跡地であり、食の安心・安全を確保すべき市場用地に選定すること自体、行うべきではなかったのです。しかも、都の汚染対策なるものも調査もしないで、有楽町層より深い部分は汚染されていないと断定したり、地下水の流れなどの解明もせずに地下水の管理ができるとするなど、重要な点で科学的裏づけを持たないものであったため、専門家から、絵にかいたもちと酷評されてきたものです。
 そして、今議会における本会議及び特別委員会における質疑を通して、都が汚染対策の有効性を確認するためといって行った適用実験も重大な瑕疵があることが浮き彫りになりました。
 第一に、何よりも高濃度汚染処理の実験は行われず、基本的には、低濃度汚染処理実験が行われたにすぎませんでした。例えば三月の中間報告で、ベンゼン四万三千倍の土壌が環境基準以下になったかのように発表していた実験は、二・七倍という低濃度の土壌を処理した実験にすぎなかったのです。
 実際、我が党の追及に対し、都は、四万三千倍のベンゼンが検出された区画とか、四万三千倍の含まれている土地とごまかすだけで、四万三千倍のベンゼンを含む土壌を処理したとはいえませんでした。だからこそ都は、二十万倍の土壌を人工的につくって追加実験せざるを得なかったわけです。
 しかし、その実験も、実は一度処理されたきれいな土壌にベンゼンを振りかけて、室内で実験したものにすぎず、適用実験の名に値するものではありませんでした。
 第二に、ベンゼンの地下水実験も、当初は環境基準以下の水を環境基準以下にしただけでした。このため、追加実験をやらざるを得ませんでしたが、これまた三十九倍の濃度にすぎず、当初計画していた五百二十倍の高濃度汚染処理実験はやらなかった。つまり、地下水も実験の目的を果たしていなかったのです。
 第三に、十月三日の特別委員会で私が取り上げた、汚染対策を行う土の約五〇%を占める洗浄処理実験です。適用実験報告書によれば、一立米のベンゼン汚染土壌に一時間当たり百トンから二百トンの水を使い洗浄したと書いています。このことを特別委員会で確認したところ、都は、そのとおりと答弁しました。
 しかし、私が実験を行った企業を訪れ、話を伺ったところ、一般的にいえばという前提でしたが、一立米に百トンの水を使うということは、器に砂糖五グラムを入れて、水一リットル入れるようなもの。一立米の土壌に使用する水はせいぜい数トン程度。試験プラントでも、実際のプラントでも百トンなど使用するはずがない。コスト的にも合わないとの話でした。明らかに報告書や答弁と食い違うものです。
 しかも、この企業は、ベンゼンを洗浄処理するプラントは技術的にできず、許可がとれないといっています。実験には、このような重大な疑惑、ごまかしがあることが次々に明らかになっているのです。
 このほか、盛り土の汚染問題にもたださなければならない問題が数多くあり、議論は尽くされていません。加えて、豊洲の新市場予定地は、中高濃度の局所的汚染が広範囲に存在していることが特徴であり、百平方メートルに一カ所、ごくわずかな土を調べるという程度では、汚染の全容をつかみ切れません。だからこそ、これまでも、きれいなはずの土壌が実は汚染されていたことが何度となく明らかになり、実験の中でも、新たな中高濃度の汚染が発見されているのです。つまり、都が不十分な調査に基づいて汚染していると認めた土壌だけ処理するのでは安全が確保されない。これが、豊洲新市場予定地の真実ではありませんか。
 以上の立場から、我が党は、行政をチェックすべき都議会として、引き続きこの適用実験問題などについて徹底した審査を尽くすべきことを厳しく指摘するものです。
 もともと、都が土壌汚染対策の有効性の根拠としてきたものも、一部の特定の権威ある専門家と称する人たちの意見を盾にしたものにすぎません。しかし、この中には、土壌汚染対策の専門家はほとんどいないではありませんか。その専門家たちが、技術会議の報告書をまとめるに当たって、気がしております、恐らく、思いますなど、あいまいな意見で実験の有効性を確認したのです。科学的な検証とはほど遠く、ただただ豊洲移転ありきというものでしかありませんでした。
 土壌汚染対策にこれほどの問題があるにもかかわらず、自民党、公明党は、豊洲新市場予定地の土地購入の執行を主張、民主党も土壌汚染対策工事の実施設計費、建築工事の基本設計費など二十億余円の執行を前に進めることを表明したことは、都民の願いに背くものです。
 今、都と都議会が行うべきことは、豊洲移転の強行ではなく、よりよい現在地再整備計画案を早急につくることです。
 築地での現在地再整備については、三月の経済・港湾委員会の参考人質疑でも、豊洲移転推進の業界の方々も、今までの伝統ある築地で再整備したい気持ちはだれも持っていると、その思いを訴えていました。よりよい計画ができるならば、必ず全体の合意が得られると確信します。
 知事や自民党、公明党は、現在の築地市場の老朽化を挙げて、現在地再整備を進める時間がないといっていますが、新市場の整備を待たずとも、現在の築地の安全・安心を保障し、支障ない営業を確保するのは都の責任です。市場内の清潔なトイレの整備、雨漏り対策、鉄枠、コンクリートの落下防止、民間部分のアスベスト対策などは直ちにやればよいではありませんか。
 特別委員会に提案され、審議してきた現在地再整備案は、石原都政の市場整備の考え方を基本につくられた豊洲新市場計画の内容と同等であることを前提としているため、弱点、欠陥があります。それを補強し、前に進めることこそ急ぐべきです。
 我が党は、よりよい現在地再整備案をつくる上で、三つの課題を解決する必要があることを主張してきました。
 第一に、首都圏の拠点市場、大型量販店対応型整備など過大な施設計画ではなく、適正なものに正すこと。そのことによって業者負担も軽減できます。
 第二に、整備費は都の負担で賄うことです。かつての現在地再整備計画では、建設費は民間に負担を負わせないものだったではありませんか。ところが都は、今回の案では、全面仮移転の場合、七百億円を超える部分を民間に負担させることになると説明しています。これでは業者の合意は困難です。
 第三に、仮移転を行う場合の費用についても都が負担することや、魚と青果を分離させるような仮移転を避けるため、市場の上部に人工地盤をつくることなどの改善も検討する必要があります。これらのことは、オリンピック基金の一部を使うことでできることを改めて強調しておきます。
 築地市場の整備は、都民の食の安心・安全、食育の推進にかかわる重要問題であり、都内最大の観光スポットであることなどを考えれば、市場会計だけでなく、オール都庁で取り組む一大プロジェクトです。財源は一般会計からも出す必要があるのです。
 意向調査についてですが、我が党が二〇〇七年十一月の国会で、市場の再整備計画について、関係者との合意問題についてただしたところ、関係者の理解などを得ることが重要であると、当時の総理大臣が答弁しています。土壌汚染問題が発覚してから、都による業者の意向調査は行われていません。都がよりよい現在地再整備案を速やかにつくり、現在地再整備がよいのか、豊洲移転で進めるのがよいのか、業者全体の意向調査を進めることが必要です。
 自民党や公明党は、ここで結論を出して豊洲整備を進めることがどうしても必要で、これ以上おくらせたら議会の責任が問われるなどと履き違えた責任論を繰り返し述べています。しかし、問われるべきは、都が汚染にまみれた豊洲にしがみつき、ここまで問題を長引かせ、都民の信頼を損ねる対応を繰り返していることにあります。
 以上の立場から、特別委員会における調査を継続し、速やかに問題を解決すべきことを申し述べ、討論とします。(拍手)

○議長(和田宗春君) 二十五番星ひろ子さん。
   〔二十五番星ひろ子君登壇〕

○二十五番(星ひろ子君) 都議会生活者ネットワーク・みらいを代表して、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の閉会中の継続調査に賛成の立場から討論いたします。
 築地市場の移転、再整備問題は、都政の重要課題と位置づけ、昨年の第三回定例会において特別委員会が設置されました。七月に設置された小委員会では、現在地再整備案について、外部委託して取りまとめた調査結果をもとに議論をしてまいりました。短期間に集中的に議論を重ね、打合会を含めると、実に小委員会で二十一回の会議の開催になりました。
 小委員会では、都の豊洲案と同等のスペックで現地再整備の可能性について検討し、業界関係者十五名の方を招いての参考人招致では、それぞれの方の切実な声を直接お聞きできたことは大変有意義でありました。この特別委員会小委員会では、党派を超えて、現在地再整備の可能性という一つのテーマで議論を煮詰めていくことになりました。結果的に、意見は分かれましたが、地方分権で求められている議会調査機能の強化や情報公開など、議会の活性化に向けて、都議会が先陣を切ったことにつながったと高く評価するものです。
 私たち生活者ネットワーク・みらいは、抜本的な施設改善が必要な現在の築地市場に対し、営業しながらの現地での再整備の実現は不可能という判断のもと、一たんは豊洲の移転に賛成しましたが、豊洲新市場予定地の深刻な土壌汚染が明らかになり、対策に向けての取り組みを行っている途上にも次々に新たな問題が持ち上がり、既に都民の信頼を回復できる限度を超えたと判断しました。
 食の安心・安全を求める消費者の立場からは、豊洲への移転は論外であり、どんな困難も克服して、豊洲以外に市場整備を図ることを覚悟すべきと考えます。
 生活者ネットワーク・みらいは、全面晴海移転も視野に入れた新天地での検討を求めてきました。特別委員会小委員会で提出され、審議されてきた案は、いずれも晴海を種地として有効に活用することにより、今まで不可能といわれてきた現在地再整備の可能性を示唆するものであり、評価できるものと考えます。
 工期期間の長さが指摘されていますが、業界や晴海地区住民の合意形成にかかるといわれている五年間や、アスベスト除去工事の前倒しなどで短縮は可能であると考えます。盛り土からも汚染が出た豊洲の土壌汚染対策に今後かかっていく期間と予算が明らかでないことや、業界には反対意見が根強くあることを考えれば、豊洲移転にかかわる不安要素は多く、現在地再整備との優劣では推しはかれません。
 九月二十六日に行われた十五人の参考人の意見聴取では、移転推進派、反対派の業界関係者の主張は全くの平行線であり、築地関係者の間で、市場整備の方向性についての一致がそもそも図られていないことが改めて明白となりました。
 都は、九八年に、豊洲新市場の具体性が何もない中で、豊洲か築地かという意向調査を行いましたが、それから既に十年以上もの時間が経過しており、豊洲への移転計画に基づく構想や基本計画策定からも同様の時間が経過しています。今後の移転、再整備において、欠くことのできない業界の合意形成や協力を仰ぐ意味からも、改めての意向、業界の実態調査が必要だと考えます。
 築地市場は、我が国を代表する生鮮食料品の流通拠点であることから、いかに食の安全性が確保されるかについて、都民も大きな関心を寄せています。今後の経済状況や市場を取り巻く動向が目まぐるしく変化する中で、将来の市場はどうあるべきかの議論は広範に行われるべきです。整備の方向性についても、市場関係者や都民の意向を見定めることが重要であり、そのためにも、築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の設置は必要と考えます。
 よって、特別委員会の継続に賛成することを申し上げて、討論といたします。(拍手)

○議長(和田宗春君) 以上をもって討論を終了いたします。

○議長(和田宗春君) これより採決に入ります。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、申し出のとおり閉会中の継続調査に付することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(和田宗春君) 起立多数と認めます。よって、本件は、申し出のとおり閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 次に、平成二十一年度各会計決算特別委員長及び平成二十一年度公営企業会計決算特別委員長より、委員会において審査中の案件について、会議規則第六十六条の規定により、閉会中の継続審査の申し出があります。
 申出書の朗読は省略いたします。

平成二十二年九月二十九日
平成二十一年度各会計決算特別委員長
佐藤 広典
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   平成二十一年度各会計決算特別委員会継続審査申出書
 本委員会は、平成二十二年九月二十九日付託された左記決算を審査中であるが、今会期中に審査を結了することが困難であるため、閉会中もなお継続審査を要するものと決定したので、会議規則第六十六条の規定により申し出ます。
       記
 平成二十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について

平成二十二年九月二十九日
      平成二十一年度公営企業会計決算特別委員長
田島 和明
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   平成二十一年度公営企業会計決算特別委員会継続審査申出書
 本委員会は、平成二十二年九月二十九日付託された左記決算を審査中であるが、今会期中に審査を結了することが困難であるため、閉会中もなお継続審査を要するものと決定したので、会議規則第六十六条の規定により申し出ます。
       記
 平成二十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、申し出のとおり、それぞれ閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 本日までに受理いたしました請願十三件及び陳情五件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいま常任委員会に付託いたしました請願及び陳情は、お手元に配布いたしました委員会から申し出の請願・陳情継続審査件名表の分とあわせて、閉会中の継続審査に付したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件請願及び陳情は、いずれも閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) 次に、各常任委員会及び議会運営委員会の所管事務について、閉会中の継続調査の申し出があります。
 本件は、お手元に配布の特定事件継続調査事項表のとおり、閉会中の継続調査に付したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) 以上をもって本日の日程は全部議了いたしました。
 会議を閉じます。
 これをもって平成二十二年第三回東京都議会定例会を閉会いたします。
   午後三時八分閉議・閉会


 東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会報告書(PDF形式:252キロバイト)

ページ先頭に戻る