平成二十二年東京都議会会議録第十三号

○副議長(鈴木貫太郎君) 九十五番くまき美奈子さん。
   〔九十五番くまき美奈子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○九十五番(くまき美奈子君) 先日、私の地元板橋区にある帝京大学病院で、複数の抗生物質が効かない多剤耐性アシネトバクター菌による院内感染問題が発生し、病院側の院内感染に対する認識の甘さを指摘する報道が連日のようになされ、社会的にも大きな衝撃が走りました。病院は、現在でも原則として救急車や新規入院患者の受け入れの自粛を余儀なくされている状況です。
 帝京大学病院は、特定機能病院として高度な医療を担い、救急医療にも力を入れるなど三次救急の指定も受けています。最先端の設備を誇る病院がなぜこのような事態に陥ってしまったのか、残念でなりません。
 その後、相次ぎほかの病院でも感染が確認され、国内での広がりが懸念されました。アシネトバクターは、どこにでも生息する毒性の弱い菌で、健康な人には問題がないようですが、抵抗力の弱った人が多剤耐性菌に感染すると重症化するケースがあるとのことです。高度な医療を行う病院ほど重症な患者が集まり、抗菌薬も多く使わざるを得ないため、耐性菌を完全になくすことは不可能だとしても、院内で感染が広がらないように対策を講じることが重要であると考えます。
 感染ルートの解明や対策の整備が急がれるところではありますが、患者の命を預かる病院において、患者がおざなりにされる対応があっては本末転倒になりかねません。
 そこで、この問題について都としてどのような対応をしてきたのか伺います。
 また、この多剤耐性アシネトバクターに対して、健康な人にも感染するといわれる新型の多剤耐性大腸菌が獨協医科大学病院で国内で初めて検出され、九州大学病院では多剤耐性肺炎桿菌が確認されています。世界的にはむしろこちらの耐性菌の方が問題視されており、今後、都は、多剤耐性菌の院内感染対策についてどのような取り組みを行うのか伺います。
 次に、板橋区の東京都健康長寿医療センターにおいて、本年四月から八月のわずか四カ月の間に三万四千錠もの向精神薬が所在不明となったことについて伺います。
 所在不明となった薬剤は、第三種向精神薬に類し、麻薬及び向精神薬取締法では記録管理が求められていないとのことですが、短期間にこれだけ大量の向精神薬が所在不明となっていたにもかかわらず、その異常に気がつかない薬剤のチェック体制はおろそかだといわれても仕方ありません。
 当センターは、高齢者の健康の維持増進に寄与するとともに、効率的な経営を目指し、地方独立行政法人化に踏み出したわけですが、その改革への取り組みに不十分な面があったのではないでしょうか。
 今回の向精神薬大量所在不明をどのように受けとめているのか、設立団体である都としての見解を伺います。
 また、東京都健康長寿医療センターは、平成二十五年度の開設を目指して新施設整備を行う計画があります。新施設においては、今回のことを踏まえた上でも、医薬品などの在庫管理が適切かつ効率的に行われることが必要です。都としてどのように考えるのか伺います。
 次の質問です。
 ことしの夏は記録ずくめの猛暑で、東京都心では熱帯夜の日数が観測史上最多記録を更新し、環境省では、二十一世紀までに最高気温が三十五度以上の猛暑日が現在より最大で年間約二十日ふえるなどと予測しています。
 温暖化の進展により、感染症を媒介する蚊の生息域や生息期間の拡大、生息密度の増加などが起こる可能性が指摘されています。ウエストナイル熱やデング熱など蚊が媒介する感染症は、飛行機や船舶によって都内に侵入する可能性が否めません。都内にも多数生息しているアカイエカ、ヒトスジシマカなどは、これら感染症を媒介することのできる蚊であり、病原体を保有、伝播し、感染症を発生させるおそれがあります。平常時からの対策と万一の発生時に備えた対策をとっておくことが重要です。
 温暖化に伴って高まる感染症のリスクに備え、感染症を媒介する蚊について、都として対策を講ずるべきと考えますが、所見を伺います。
 感染症としては、ほかにも、昨年世界的に流行した豚由来の新型インフルエンザが記憶に新しいところですが、日本の死亡率や重症例の発生が世界的に極めて低かったのは、早期に治療を受けた患者が多かったためと考えられています。これから再流行の可能性が危惧される中、油断が広まり、対策がおろそかになってはなりません。
 また、これ以前より、東南アジアを中心に強毒型の鳥インフルエンザが鳥から人へと感染する事例が報告されています。ウイルスの突然変異により人から人への感染も懸念されており、こうした事態も常に視野に入れ、都としても万全の体制を講ずることを要望して、次の質問に移ります。
 女性が乳がんにかかる確率は、平成十七年には二十二人に一人といわれていましたが、最新のデータでは十六人に一人とされ、近年増加を続けており、女性がかかるがんの中では最も多いがんとなっています。
 東京都の乳がんによる死亡率は、依然として全国で最も高い状況にあり、年間約千三百人の方が亡くなられています。
 乳がんの予防対策をさらに進めることが肝心とされる一方で、早期発見、早期治療につながる検診の受診率は低く、検診受診率の向上が乳がん対策における大きな課題となっています。
 私は、平成十七年第四回定例会において、乳がん対策の強化として、検診受診率の向上と質の管理など体制の整備を強く訴え、マンモグラフィー機器の整備や一定の能力を有する読影医師、撮影技師の確保などについて質問をいたしました。マンモグラフィー検診について、機器や読影などの実施体制を整備することは、都民が安心して乳がん検診を受けるために重要であり、今年度も計画的に進めていくべきと思います。
 平成二十年三月に策定された東京都がん対策推進計画においても、がん検診の受診率と質の向上が目標とされていますが、これらの目標を支えるマンモグラフィー検診の実施体制の充実について、この間どのように取り組まれてきたのか、まず伺います。
 また、都民の乳がん検診の受診率は、職場で検診を受ける人を含めても三〇・九%と目標には届いていません。特に、区市町村が実施する検診の受診率は九・一%と、全国と比較して低い状況です。
 平成二十年の東京都の調査によれば、乳がん検診を受けない理由の上位には、心配なときはいつでも医療機関を受診できる、忙しい、あるいは面倒くさい、健康に自信があるが挙げられ、乳がん検診の意義や重要性が十分に理解されていないことがうかがえます。
 乳がん検診の受診率向上のためには、こうした調査結果も踏まえ、対象者に対し、受診行動に結びつく効果的な働きかけを行うことが重要です。
 そこで、都として、乳がん検診受診率の効果的な向上方法を検討するなど、区市町村への支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 東京都では、毎年十月の乳がん月間を中心に、都庁舎のライトアップなどピンクリボン運動が行われていますが、今後は、さらに若い世代を含めて都民の理解や関心を深めていく普及啓発が重要であり、取り組みを一層進めていただくことを要望して、次に移ります。
 本年七月に改正臓器移植法が本格実施され、本人の意思が不明の場合でも、家族の意思により脳死下での臓器提供が可能となりました。
 マスコミの報道によれば、法改正以降九月二十八日までの時点で既に十一件、家族の意思による臓器移植が行われています。残された治療法が臓器移植しかない患者にとって、臓器移植は最後の望みであり、多くの方に臓器移植の重要性が理解されるよう求められています。
 臓器移植法では、国及び地方公共団体の責務として、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされていることから、まず都民に対する普及啓発を進めることが肝要です。例えばピンクリボン運動などのように、移植医療のシンボルカラーであるグリーンで都庁舎をライトアップするなど、都は移植医療について積極的な普及啓発に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 しかしながら、都民への普及啓発に取り組んでも、それが都民の間に浸透するまでにはある程度の時間がかかることも確かです。特に、今回の法改正で新たに認められた十五歳未満の小児については、さらに時間が必要になるかもしれません。このため、脳死によらない移植医療の取り組みについても強化していく必要があると考えます。
 都では、ことしの三月に小児医療の拠点として小児総合医療センターを開設しましたが、センターに統合される前の清瀬小児病院は、小児の腎臓移植に重点的に取り組み、成果を上げてきました。
 そこで、小児総合医療センターにおいて、清瀬小児病院の取り組みがどのように継承され、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次の質問です。
 最近、メンタルヘルスに関する調査結果や国の検討会報告などが新聞紙上で大きく取り上げられ、メンタルヘルス対策のセミナーも数多く開催されており、メンタルヘルスという言葉を目や耳にする機会が多くなっています。
 先日、知り合いから、うつ病を発症したために休職していたところ、会社から退職を迫られるようになったとの話を聞き、メンタルヘルス不調者の職場における実態がいかに深刻であるのかを感じました。
 働く人の心の健康が失われると、本人は長期にわたって苦しみ、働く場を失うなど生活に深刻な影響を及ぼして、メンタルヘルス不調をきっかけに問題が連鎖的に発生していきます。専門研究機関が行った調査によると、メンタルヘルス不調のため一カ月以上欠勤、休職している社員がいるとする企業が増加しており、このような不調者の増加は社会的な課題となっています。
 そこで、都は、職場におけるメンタルヘルス不調者が増加をしている現状や背景について、どう認識されているのか伺います。
 また、職場におけるメンタルヘルス不調は、組織の活力やモチベーションの低下を招き、医療費などのコスト増にもつながるなど問題は深刻です。
 今月七日に厚生労働省は、自殺やうつ病での失業などによる二〇〇九年の経済的損失額が推計で約二・七兆円に上るとする調査結果を発表しました。本人のためにはもちろん、企業にとっても、メンタルヘルス不調者を一人でも多く減らし、その増加に歯どめをかけていくことが不可欠です。
 メンタルヘルスに対する企業の取り組み状況を見ると、六割を超える事業所が取り組んでおらず、その中には、取り組み方がわからないとする事業所が多いとの調査もあります。本来、メンタルヘルス対策は、安全配慮義務に基づき事業者が必要な措置を講ずることが求められていますが、多くの企業では、メンタルヘルスに対する知識やノウハウに乏しく、対応に苦慮しているのが実態です。企業が持続的に発展していくためには、労働者が心の健康を確保し、意欲を持って働くことができる職場を実現していくことが欠かせないと考えます。
 職場におけるメンタルヘルス対策について、都の企業への支援内容と今後の取り組みを伺います。
 次に、都立高校の学校図書館の運営について伺います。
 学校図書館法において、学校には学校図書館を設けなければならないと規定され、学習指導要領でも、学校図書館を計画的に利用し、その機能の活用を図り、児童生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実することと示されています。
 こうした法の規定からも、図書館の意義、重要性はだれもが認めるところですが、図書館に勤務する司書の能力によって、その図書館の活用状況も大きく変わるものだと考えられます。
 東京都では、昭和四十六年度に導入された学校司書制度も、今後三年間で約四五%の方々が定年退職することとなります。本年第一回定例会で、我が党、大西議員の質問に対して、教育長は、豊富な経験を持つ職員を定年退職後、再任用職員として活用すると答弁をしています。確かに退職者の活用は、学校図書館にとっても即戦力となる人材の活用という面で有効であると考えますが、一方で、その活用人数は再任用希望者の割合に大きく左右されることから、不安定であることも事実です。
 こうした状況において、今後、都教育委員会ではどのようにして学校図書館の運営を行っていくのか、その所見をお伺います。
 最後の質問です。タクシーの公共交通機関としての認知について伺います。
 タクシーは、鉄道やバスなど他の交通機関が限られた時間内に決められた場所から場所への輸送を分担しているのに対し、個々の利用者のニーズに対応して二十四時間営業するなど、都市活動に欠かすことのできない役割を果たしています。
 昨年施行されたタクシー適正化・活性化法においても、タクシーが地域の公共交通として位置づけられ、各自治体は、タクシーに対する認識を高めるよう求められています。今や、タクシーはバスや鉄道と並ぶ重要な公共交通の一つになっていると考えます。
 そこで、地域の公共交通を担うタクシーに対する都の見解と取り組みについて伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 都立高校の学校図書館の運営についてでございます。
 学校図書館は図書等を収集、保存し、生徒や教員に提供することによって、教育課程の展開や生徒の健全育成に資する設備として重要であると認識しております。
 各都立高校においては、司書教諭を中心とした全職員の協力体制により、学校図書館を活用した生徒の主体的な読書活動の充実に取り組んでおります。
 なお、学校司書につきましては、今後、多数が定年退職を迎えることとなりますが、これら退職者は経験豊富で有用な人材であることから、再任用職員として積極的に活用を図ってまいります。
 学校図書館につきましては、今後とも運営の方法や人的配置について必要な検討を行い、利用の促進を図ってまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) タクシーに対する都の見解と取り組みについてでございますが、昨年施行されたいわゆるタクシー適正化・活性化法においては、タクシーが地域公共交通として重要な役割を担うものとされております。
 都は、同法に基づき、国や区、市、タクシー事業者などとともに地域協議会を組織いたしまして、タクシーが公共交通機関として今後とも重要な役割を担い、その社会的な責務を果たすべきとの基本的な方針を定めた地域計画を策定しております。
 本計画では、事業者が主体的に行うべき乗車待ちタクシーによる渋滞の解消や安全性の維持向上などの取り組みを定めておりまして、都は、引き続きこうした取り組みに対し、渋滞対策などの交通政策を通じて協力してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、多剤耐性菌の院内感染事例へのこれまでの対応についてでございますが、今般、都内三カ所の病院で発生いたしました院内感染事例におきまして、都は報告を受けた後、直ちに立入検査を行い、拡大防止策を徹底するよう指導いたしました。このうち、帝京大学医学部附属病院の事例に関しましては、感染経路等の詳細な分析を行うため、国立感染症研究所に実地疫学調査を依頼いたしますとともに、同病院が設置する外部調査委員会にも参画することとしております。
 また、都内全病院に対しまして、薬剤耐性菌の院内感染に対する注意喚起を行い、対策の徹底を図るよう指示をいたしました。
 今後も引き続き三病院の状況を把握しながら、逐次必要な指導を行ってまいります。
 次に、新たに確認された多剤耐性菌への対策についてでございますが、多剤耐性大腸菌や多剤耐性肺炎桿菌など、新たな耐性菌が国内において確認されております。これら多剤耐性菌の院内感染を防止するための対策は、これまでと基本的に同様であり、多剤耐性菌の早期把握と情報共有を行う院内体制を確保し、医療従事者の手洗い、手袋、ガウンなどの適切な使用、施設や医療器具の衛生管理などの実施を病院全体で徹底することでございます。
 今後、定期的な立入検査の際に、こうした多剤耐性菌対策について重点的に確認いたしますとともに、講習会の開催や院内感染予防対策マニュアルの改定などにより、医療機関における対策の強化を図ってまいります。
 次に、健康長寿医療センターにおける向精神薬の所在不明についてでありますが、本件につきましては、現在、警察による捜査が行われておりますが、都としても重大な問題と受けとめております。
 事件発覚後、同センターでは、法令に定めのある第一種、第二種に加えまして、第三種向精神薬についても、調剤する都度、現品数量と記録簿の確認を徹底するとともに、複数の職員でその日の使用状況を確認するなど、直ちに管理方法の改善を図っております。また、緊急幹部会を開催し、日常の業務運営体制全般について再点検を行いました。
 都は、適正な病院運営が行われるよう、外部有識者で構成される評価委員会も活用しながら、適切な指導及び支援を行ってまいります。
 次に、健康長寿医療センター新施設における医薬品等の管理についてでありますが、健康長寿医療センターは、平成二十五年度の開設に向けまして、隣接地での新施設整備を進めており、その整備に当たっては、患者にとってより良好な医療環境を提供するとともに、業務運営の効率化を図ることなどを基本といたしております。
 新施設におきましては、医薬品を含めた物品の使用から発注、在庫把握までを集中して管理するシステムの新たな導入などを予定しておりまして、在庫管理の一層の適正化につながるものと考えております。
 都は、新施設開設に向け、こうした取り組みに対し必要な支援を行ってまいります。
 次に、感染症を媒介する蚊への対策についてでありますが、都では平成十六年度から、ウエストナイル熱を媒介する蚊の生息状況調査と病原体保有検査を定期的に実施いたしております。昨年度からは、調査対象の感染症にマラリア、デング熱、チクングニヤ熱を加え、監視体制を強化いたしております。また本年三月から、蚊を駆除するために必要な防疫用殺虫剤の備蓄を開始いたしますとともに、害虫駆除事業者で構成される東京都ペストコントロール協会と蚊の駆除業務に関する協定を締結し、防除体制を整備いたしました。
 このように、平常時からさまざまな対策を講じており、温暖化がもたらす感染症のリスクに備えております。
 次に、乳がん検診についてでありますが、都は検診の実施体制を強化するため、区市町村や職域の検診を受託する医療機関に対しまして、平成十七年度からマンモグラフィー機器の整備費補助を行っております。これまでに検診車三台、機器五十三台の補助を実施しており、今年度も引き続き補助を予定いたしております。
 また、機器整備にあわせまして、検診に従事する医師や撮影技師に対する養成研修を行い、検診の質の向上を図っております。
 今後とも乳がん検診の実施体制の拡充を図り、受診率向上に努めてまいります。
 次に、乳がん検診に係る区市町村に対する支援についてでございますが、都はこれまで、がん検診の受診率向上に取り組む区市町村に対しまして、包括補助事業を活用して支援を行ってまいりました。また、昨年度は四区市に対して、地域における検診の実態を踏まえた効果的な受診率向上策を提案し、それぞれの区市でモデル的な取り組みが実施されました。乳がん検診については、このうち二市で取り組みを行っており、個別通知による受診勧奨及び未受診者に対する再度の勧奨等が、受診率向上に効果があるとの結果が得られております。
 これらの成果について説明会等を通じて情報提供を行うなど、今後とも区市町村の受診率向上の取り組みを都として支援してまいります。
 最後に、移植医療についてでございますが、都は移植医療に対する都民の理解を深めるとともに、臓器提供に関する意思表示ができるよう、区市町村や患者団体などと協力をして、臓器提供意思表示カードを広く配布いたしております。また、都内二カ所の医療機関に移植コーディネーターを配置いたしまして、都民に対する正しい知識の普及や関係機関への情報提供等を行っております。
 今後ともホームページや広報誌等も活用しながら、移植医療の普及啓発に努めてまいります。
   〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕

○病院経営本部長(川澄俊文君) 小児総合医療センターにおける移植医療の取り組みについてでございます。
 小児総合医療センターを開設する前の清瀬小児病院では、昭和四十九年から腎臓移植医療に重点的に取り組み、三十六年間に四百二十七例の移植を行ってまいりました。
 小児総合医療センターでは、清瀬小児病院のこれまでの取り組みを引き継ぎ、さらに発展させるため、新たに臓器移植科を設置いたしました。また、子ども・家族支援部門に医師、臨床心理士やメディカルソーシャルワーカー等で構成する心理・福祉科を組織し、移植後のさまざまなサポートを行うなど、実施体制を強化したところです。
 今後とも、小児総合医療センターにおける移植医療の充実に向けて取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) メンタルヘルスに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、職場におけるメンタルヘルス不調者の現状と背景についてでありますが、都は、労働相談情報センターにおいてメンタルヘルスに関する労働相談に対応しており、平成二十一年度の相談件数は五千百七十九件と、ここ五年間で約三倍に増加し、労働相談全体の約一割を占めております。また、国の調査においても、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスがあるという労働者は、六割にも上っております。
 このようなメンタルヘルス不調者の増加について、国の検討会報告では、厳しい経済環境のもと、企業間の競争の激化、人事労務管理の変化等に伴う長時間労働などに起因しているといわれております。
 労働者が心身ともに健康で充実した職業生活を送り、企業が組織活力を維持向上させていくためにも、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性は高まっている、このように認識しております。
 次に、企業のメンタルヘルス対策への支援内容と今後の取り組みについてでありますが、メンタルヘルス対策は、企業が従業員に対する安全配慮義務に基づき、職場の状況に応じてみずから取り組んでいくことが基本でありますが、多くの企業で取り組みがおくれている現状にございます。
 このため、都は労働相談において、メンタルヘルスに関する相談にも対応するとともに、企業の自主的な取り組みを支援するため、平成十八年度から事業主を対象とした、職場の環境改善や職場復帰への支援などを内容とする、働く人の心の健康づくり講座を実施しております。また、昨年度からは、メンタルヘルス推進リーダー養成講座を行い、企業現場においてメンタルヘルス対策を推進する中核的人材の育成を図っております。
 さらに、年内にはホームページ、働く人の健康サイトを開設し、企業はもとより、個々の労働者に対しましても、メンタルヘルスに関する法制度や専門窓口などの情報を広く提供してまいります。