平成二十二年東京都議会会議録第十三号

○議長(和田宗春君) 三番吉住健一君。
   〔三番吉住健一君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三番(吉住健一君) 初めに、安全・安心への取り組みについて伺います。
 本年十一月に横浜市でAPEC首脳会議が開催されます。首都圏におきましては、東京サミット以来、実に十七年ぶりの大規模な国際会議の舞台となります。
 東京では、羽田空港の新国際ターミナルがオープンし、ますますの国際化が進むと期待されていますが、五年前の英国グレンイーグルズ・サミットでは、首都ロンドンで地下鉄やバスの同時テロが発生し、多くの犠牲者を出しました。
 東京は、都民の生活の場であると同時に日本の政治経済の中枢であります。万一、東京でテロが発生した場合、多数の犠牲者や大きな混乱が生じることが懸念されるとともに、世界都市東京の国際的な評価を下げることとなります。そのような事態は断じて避けなければなりません。
 都はこれまでも、都民の生命や財産を守るために、官民一体となったテロ対策の強化を進めてまいりました。そこで、APECに向けた、警視庁のテロ対策の取り組みについて伺います。
 次に、安全・安心にかかわる地域活動について伺います。
 多くの都民が、自分のまちは自分で守る、地域の課題は地域で解決するという自助、共助の精神で活動しています。防災では消防団、防犯では町会、学校ではPTAなど、さまざまな活動をしています。
 しかしながら、自己犠牲の精神や責任感を持った住民が、自分自身にとってもたまの休日の時間を使って防災機材の点検や訓練をすれば、うるさい、夜間にパトロールをすれば、うるさいと抗議を受けます。先日は、通学路を見守るPTAのお母さんが、交通規制の道路標識の前でドライバーに詰め寄られていました。
 地域を守る善意の人々が誇りを持って安心して活動できる文化が失われてきたと感じています。地域社会の中で、ともに助け合い、連携を築いていこうという人々の地域活動は、もっと評価されることはあっても、じゃけんにされる必要はないと思います。
 知事は、これまでも都民生活の安心と安全を守るべく全力で都政運営に当たってこられました。地域の人々が力を合わせて助け合いながら行っている行動について、知事の所見をお伺いいたします。
 続いて、水道事業についてお伺いいたします。
 水道は、人の生命や都市活動を支える、国家存立にとっての基盤施設といえます。世界では、安全な水にアクセスできない人が十一億人に達するとともに、水ビジネス市場は十五年後には百兆円規模に達するといわれています。
 我が党では、世界の水事情改善はもとより、日本経済の活性化にもつながる取り組みとして、水ビジネスの重要性を訴えてきました。そうした意味で、都が水道の国際貢献ビジネスに乗り出したことは評価できます。他の自治体でも海外展開の動きがあることは耳にしておりますが、都ではいち早く、民間企業等からのヒアリングや国への支援要請を行うなど、スピード感を持って取り組みを進めております。
 そうした東京発の取り組みは、他の範になるべきものであり、これを全国に広げ、我が国全体のうねりにしていくべきではないでしょうか。そのために都が中心的な役割を果たし、連携協力関係を構築していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、我が党は、水ビジネスの国際展開に当たっては、各国のニーズや実情をよく調査した上で、リスクを分析する必要があると指摘してきました。
 都は、アジア五カ国にミッション団の派遣を決定し、その第一弾であるマレーシアについては、都の提案に対し担当大臣から協力要請があるなど、一定の成果があったと聞きます。ミッション団がマレーシアと都の間の新しいパイプを築いたと考えられます。現地を訪れたことで多くの生の情報が得られたと思います。こうしたパイプや知見をさらに深め、相手国との信頼関係を構築しながら、官民連携してビジネス展開を進めることが重要です。
 そこで、今回のミッション団派遣で得られたものをいかにして今後の水ビジネス展開に生かしていくのか伺います。
 続いて、食文化について伺います。
 まず、都内農産物の地産地消について伺います。
 最近、都内産の農産物を食材として提供する、いわゆる地産地消の飲食店が取り上げられています。東京では、寺島ナスなど江戸東京野菜や、都が開発した豚、トウキョウX、島しょ地域特産のアシタバなど、魅力のある農産物が生産されており、私の地元でも、都内産農産物を使う飲食店が評判となっています。より多くの飲食店が都内産の新鮮で確かな品質の農産物を提供していくことは、都民の豊かな食生活や食育、また東京の農業の振興にもつながってまいります。
 しかし、特に区部の飲食店からは、農家と取引するルートがなかなか見つからないと、手に入りにくいという声も聞きます。
 都内産農産物をより多くの飲食店で使用していただくことは、農産物のPRだけでなく消費の拡大にもつながり、ひいては生産者の生産意欲を高めることになるのではないかと思います。都内産農産物の消費拡大のためにも、これらの農産物を積極的に使用したいという意欲のある飲食店と、よりおいしい農産物を都民に届けたいという生産者をつなげる取り組みも重要であると考えますが、ご所見を伺います。
 次に、第九次東京都卸売市場整備計画について伺います。
 第八次整備計画を実施している中で、その進捗や効果を検証しながら、第九次の計画を検討されています。
 都民の食の流通を守るためには、築地市場はもちろん、各市場の整備も欠かせないものです。各市場から要望も出ていると思いますが、長期的な計画が必要なものには複数期の整備期間の場合もあります。市場関係者にとって、将来を見通せる情報提供も必要と考えます。
 第九次整備計画の検討において、どのような手順で検討され、計画に盛り込まれていくのかお尋ねします。
 また、淀橋市場は昭和三十九年に建築され、老朽化した総合事務所棟では雨漏りがあり、私も水たまりを目撃しました。そのほか、青果物の卸売り場においては、夏には高温になるため青果物の傷みが早くなっていると聞いております。
 青果市場の機能を維持向上させていくために、市場関係者と協議の上、必要な施設整備を進めていくべきと考えますが、ご所見を伺います。
 続いて、福祉施策、保育サービスの拡充について伺います。
 まず、保育所の整備について伺います。
 現在、国においては子ども手当の上積みが検討されていますが、子ども手当については、そもそも恒久的な財源の裏づけもなく持続可能性に疑問があり、拡充ではなく見直しをすべきと考えます。実際に子育てをされている親御さんからは、現金給付より保育サービスの充実を望む声も聞かれます。
 我が党は、保育所を必要とする都民のニーズにこたえるため、保育所整備を拡充すべきと考え、都の取り組みを支援してきました。今後も、都有地の活用による保育所の整備を初め、保育サービスの拡充を積極的に進めていくべきと考えます。
 次に、学童クラブについて伺います。
 都においては、我が党の提言を受け、今年度予算に多くの先進的施策を盛り込んだところです。中でも、いわゆる小一の壁の解消や有資格指導員の配置など、児童のより一層の安全確保を目的とする都型学童クラブ事業の創設は、まさに時宜にかなったものといえ、大いに期待をしております。
 そこで、都型学童クラブ事業の現在の進捗状況について伺います。
 続いて、住宅分野での取り組みについて伺います。
 子どもを安心して産み育てていくためには、生活の基盤である住宅の整備、充実も重要です。このため、都では、子育て世帯向けの設備等を備え、保育所や学童クラブなどの子育て支援施設等と連携した住宅のモデル事業を検討していると聞いています。
 そこで、このモデル事業の取り組み状況を伺います。
 次に、児童虐待防止の取り組みについてお伺いいたします。
 都内では、本年一月に、父親の暴行により七歳の男児が死亡する痛ましい事件が発生しました。そして昨日は、六月に一歳の女の子を窒息死させた疑いで母親が逮捕されました。
 子育てを取り巻く家族のあり方が変わってきた中で、親が子を殺害する事件が後を絶ちません。我が党はこの事態を重くとらえ、児童相談所や児童福祉司の充実、一時保護所の拡充など機能強化を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、児童虐待の早期発見、防止には、各市区町村、児童相談所、医療機関等、地域における関係機関の情報連携や協力体制の構築が必要です。中でも、早期発見のためには医療機関の役割は大きいと考えますが、ご所見を伺います。
 続いて、肢体不自由児にかかわる特別支援学校について、教育長にお尋ねをいたします。
 現在、特別支援教育推進計画第三次実施計画の取りまとめが行われているところですが、学部の改編や学区域調整も検討されているとお聞きしています。
 従来から、通学負担の軽減のため通学時間の短縮は行われてまいりましたが、地理的な条件から、どうしても片道で一時間を超えて通学するケースもあります。実際の通学は通学バスでとなりますが、肢体不自由児はいすに固定されて移動します。健常者でも長時間同じ姿勢で座っていることは苦痛を伴いますが、身体に障害を持った生徒の場合はなおさらです。理想的には三十分ごとの体位変換をともいわれていますが、乗員の安全を考えると、走行中のバス内での対応は困難ではと考えます。
 現在、通学時間を短くするために、隣接する学区域の学校に通うことは認められていますが、通学バスを利用するためには、隣接する学区域の内側まで出かけていかなくてはなりません。
 そこでお尋ねいたします。都教育委員会では、これまでも東京都特別支援教育推進計画を通じて通学負担の軽減に取り組んでまいりましたが、計画の目標とする片道平均六十分程度の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、特別支援学校への外部人材の活用について伺います。
 介護の専門家による学校生活への支援には一定の評価もあると同時に、新たな指導体制に向けて介護の専門家が導入されることについて、どのような教育効果が期待できるのかと知りたいという声もあります。
 現在は試行段階ということですが、介護の専門家の導入に当たっては、試行校における成果や課題を検証した上で、保護者への十分な説明をしていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。
 以上で発言を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉住健一議員の一般質問にお答えいたします。
 地域の人々が力を合わせて助け合う活動についてでありますけれども、これをうるさいとする人間の気持ちが私はわからないですね。日本には、特に東京には、非常に組織化された機能的なまちの消防団があります。これはほかの先進国にはないような組織だと思いますけれども、これは日本人の一つの美風というものをあらわしている組織だと思います。いずれにしろ、かつての日本人は当然のこととして、節度、自己犠牲、責任感といった美徳を持ってお互いに支え合ってきました。
 しかし、今日の我が国には、自分のことしか考えない、非常に履き違えた自由と権利意識が蔓延しています。これは、アメリカにあてがいぶちでもらったまま、反省もせず直しもしなかった、読んでみますと、権利がおよそ七分、比べて義務が三割弱しかうたわれていないこの憲法のもたらした弊害だと思います、私は。
 こうした風潮の中で、自助、共助の精神で、みずからの地域の課題を解決するために奮闘されている都民の方々に、本当に心から敬意を表します。自助、共助があって初めて公助が生きるのでありまして、この三つのバランスが整った社会を構築していく必要が絶対にあります。
 都は、地域を支える多くの方々の活動を引き続き支援して、こうした方々とともに都民生活の安全・安心を守っていくつもりでございます。
 他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) APEC首脳会議に向けた警視庁のテロ対策の取り組みについてお答えいたします。
 警視庁におきましては、一般市民を巻き込む無差別テロから都民を守り、首都の安全を確保するとともに、会議の円滑な開催を図るため、昨年十一月、APEC警備対策委員会を設置しまして、全庁を挙げた体制を確立するとともに、各種の警備対策を鋭意推進しているところでございます。
 首脳会議は横浜市での開催でございますけれども、多くの要人が東京国際空港を利用いたしますし、また、都内における日程あるいは宿泊も予想されております。東京も警備の主戦場であると、そういう認識のもと、テロ関連情報の収集分析を初め、政府関連施設、公共交通機関、繁華街等に対する警戒警備を強化しているところでございます。
 また、平成二十年十一月に発足したテロ対策東京パートナーシップ推進会議参加の関係機関や民間事業者等との連携強化を図るとともに、各警察署におきましても、区市町村や地域住民の皆さんと連携したテロ対処訓練や連絡会議等を随時開催するなど、官民一体となった取り組みを推進しているところでございます。
 さらに、この十月五日には、東京都との共催により、関係機関や地域住民等との連携を確認するため、APECテロ防止東京都民会議を開催することとしております。
 警視庁といたしましては、今後とも、国際テロ等の未然防止に向けた総合対策を強力に推進しまして、警戒警備の万全を期してまいりたいと考えております。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、肢体不自由特別支援学校の通学負担の軽減についてでございます。
 都教育委員会では、これまでも、東京都特別支援教育推進計画第一次、第二次実施計画に基づき、学校配置の適正化やスクールバスの増車などによって平均乗車時間の短縮化を進め、児童生徒の通学負担の軽減に努めてまいりました。その結果、平成十五年度には七十四分であった平均乗車時間が平成二十二年度には六十四分に短縮されております。
 今後も、第三次実施計画において、通学区域の調整やスクールバス運行コースの設定の工夫などに努めまして、児童生徒の通学負担の軽減を図ってまいります。
 次に、肢体不自由特別支援学校における介護の専門家の導入についてでございます。
 都教育委員会では、障害の重度重複化に適切に対応するため、東京都特別支援教育推進計画に基づき、教員だけでなく、福祉、保健、医療等の複数の専門家との連携によるチームアプローチ体制の構築を進めております。
 その中で、介護の専門家については、肢体不自由特別支援学校の児童生徒の学校生活の安全の確保や教育内容の充実を目的といたしまして、都立永福学園と青峰学園において試行的に導入しております。
 現在、外部有識者や学校関係者、保護者団体の代表等で構成いたします検証委員会を設置し、試行校における導入の成果の検証や課題の整理などを進めております。
 今後は、検証委員会の検討結果等を踏まえまして、教員と介護の専門家の役割分担や教育効果を高める連携のあり方などにつきまして、保護者などへの十分な説明を行い、すべての肢体不自由特別支援学校への介護の専門家の計画的かつ円滑な導入が図られるよう努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 子育て世帯向け住宅のモデル事業についてでございますが、本事業は、保育所などの子育て支援サービスを提供する施設を併設するほか、子どもの転落や転倒の防止など安全確保等に配慮した良質な民間賃貸住宅の建設を支援し、これをモデルとして示すことにより、子育て世帯向け賃貸住宅の普及促進を図っていくものでございます。
 これまで、学識経験者等で構成される委員会などにおきまして、ハード、ソフトの両面から、子育て世帯にふさわしい住宅について幅広く検討を進めてまいりました。その結果を踏まえ、近日中にモデル事業の実施方針を発表するとともに、年内には募集条件の詳細を示す要項等を取りまとめて、事業者を公募し、子育てがしやすい住環境の整備に向けて着実に事業を推進してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、水ビジネスの国際展開における自治体間の連携協力関係の構築についてでございますが、現在、アジア各国を初め世界の水問題が深刻化する中、東京都のほか幾つかの都市におきましても、個別に海外の水ビジネスに取り組んでおります。
 しかし、世界の水ビジネス市場の規模は非常に大きく、各国の課題、ニーズが多岐にわたっているため、ご指摘のとおり、全国の水道事業体の力を結集して取り組みを進めていくことは極めて有効と考えております。
 そこで、東京都が先導して、情報の共有、人材の相互活用を図るとともに、民間企業との情報交換や、国・政府機関等への政策提言に共同で取り組んでいくため、各事業体が連携できる基盤、プラットホームともいうべき体制を構築してまいります。
 次に、ミッション団派遣の成果を踏まえた今後のビジネス展開についてでございますが、今回のマレーシアへのミッション団派遣では、相手国政府との協力関係を深めるとともに、今後の事業展開に必要な貴重な情報をじかに把握することができました。特に、漏水防止など技術面での課題解決に加えて、経営面も含めた総合的なプランニングに対する支援が重要であることを改めて認識いたしました。
 そこで、今後の国際貢献ビジネスの展開に当たりましては、東京水道が培ってきた事業運営ノウハウを生かして、技術、経営両面の課題解決に向けた施策を提案してまいります。
 さらに、事業の実施に結びつく際には、東京水道サービス株式会社が中心となって、民間企業との連携を図り、それぞれの企業が相互に補完しながら、能力を最大限発揮できるような環境を整備してまいります。
 こうした取り組みを重ねながら、相手国政府や自治体等との信頼関係を築き、東京発の国際貢献ビジネスを戦略的に展開してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 都内産農産物について、飲食店と生産者をつなげる取り組みについてのご質問にお答えいたします。
 最近、都内産農産物に対する関心が高まっており、その魅力を広く消費者が知ることは、消費拡大や食育につながり、生産者にとっても大変有効であります。
 しかし、大きなマーケットである都心部などに都内産農産物を安定的に提供していくためには、都内産の認知度の向上、農産物の生産拡大、さらには集荷、配送の仕組みづくりなど、さまざまな課題がございます。
 都では、その解決への取り組みの第一歩として、都内特産の食材を使用した料理を提供する飲食店を登録し、来店者に都内産食材の情報を積極的に提供することなどを内容とする食の安全・安心地産地消拡大事業を今年度から開始いたします。これにより、新鮮で安全・安心な都内産農産物の一層のPRと需要拡大に努め、農業者の生産意欲の向上を図ってまいります。
 さらに、生産、流通の仕組みづくりについて、農業者や流通業者、飲食店など関係者との協議を重ね、課題の解決に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都卸売市場整備計画についてでございます。
 都は、卸売市場審議会に市場整備の基本方針について諮問し、その答申を受けた後、計画を策定、公表してまいりました。第九次の整備計画につきましても、本年六月二十五日に基本方針を審議会に諮問しておりまして、来年四月に答申を受け、同年中に策定、公表する予定でございます。
 審議会の議事を公開するとともに、中間報告や最終答申を初め、審議会の下部組織でございます計画部会の検討状況もホームページを通じ公表するなど、積極的に情報提供してまいります。
 また、計画の策定に当たりましては、基本方針で示されます品質管理などの今後の市場のあり方をもとに、各市場や市場関係業者などからのヒアリングを踏まえたものとしていく予定でございまして、業界からの要望ができるだけ反映されるよう対応してまいります。
 なお、卸売り場の全面的な改修など、計画期間をまたがるような長期的な取り組みを必要とする施設整備につきましても、基本方針に基づき、計画に位置づけるよう検討してまいります。
 次に、卸売市場の施設整備についてです。
 都は、市場施設を維持管理するために施設の改良工事を定期的に実施しているほか、日常的な修繕を適宜実施しております。特に、卸売り場につきましては、都はそれぞれの市場の実情に応じ、低温施設の整備に努めております。
 お話の淀橋市場には、卸売り場の一階には低温施設が合わせて約二千百平米設置されておりますが、二階には低温施設が設置されてございません。このため、市場業界の要望を踏まえまして、平成二十四年度をめどに建てかえる予定の仲卸業者棟におきまして、低温施設を約三百平米増設することとしております。
 また、総合事務所棟につきましても、屋上防水など定期的な施設改良工事を行うなど、必要な補修をその都度実施してございます。
 今後とも、都は、食の安全・安心を確保するために必要な施設整備を進めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、保育サービスの拡充についてでございますが、都は、保育サービス利用児童数を今年度から五カ年で三万五千人ふやすこととしており、この目標の早期達成に向け、現在、新規施設の設置促進、既存施設の定員拡大や定員の弾力化を区市町村や事業者等に働きかけております。
 また、保育所の整備を促進するため、区市町村に対しまして、都有地の未利用地に関する情報提供を行っておりますほか、現在、都立施設の跡地を活用した保育事業者の公募を実施いたしております。
 今後とも、保育を必要とする人がサービスを利用できますよう、保育所の整備を初め多様な手法を総動員し、保育サービスの拡充に積極的に取り組んでまいります。
 次に、都型学童クラブ事業の進捗状況についてでございますが、都は、保護者の多様な就労形態に柔軟に対応するとともに、児童が安心・安全に放課後を過ごすことができる場所を確保するため、午後七時以降までの開所や、指導員に保育士等の有資格者を配置することなどを独自に義務づけた都型学童クラブ事業を今年度から創設いたしました。
 この六月から、区市町村に対しまして説明会の開催や個別訪問によりまして、本事業の実施に向けた働きかけを行ってきており、現在のところ十八の区市町村が実施を予定しております。
 今後とも、さらに多くの区市町村が本事業を実施できますよう、さまざまな機会を通じて働きかけてまいります。
 次に、児童相談所の機能強化についてでございますが、児童相談所では、複雑困難な事例の増加に対応するため、児童福祉司を平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名増員をいたしまして百七十二名とするとともに、チーム制を導入し、複数の児童福祉司で協議をしながら事例に当たっております。
 また、児童相談の経験を有する専門性の高い人材を確保するため、民間からの人材登用も行っております。平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員し、困難事例へのスーパーバイズや業務研修を充実するなど、各児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。
 一時保護所につきましては、仮称でございますが、子ども家庭総合センターの開設や、墨田児童相談所の移転改築にあわせまして、定員拡充を計画的に進めてまいります。
 今後、こうした取り組みを一層充実させ、児童相談所の体制強化を図ってまいります。
 最後に、児童虐待の早期発見のための医療機関との連携についてでございますが、児童虐待を早期に発見する上で、子どもの診療を通じ、日常的に子どもに接する医療機関の果たす役割は大変大きいと認識しております。
 都では、病院が児童虐待の事例に適切に対応できますよう、平成十九年度から、都内の病院に勤務する医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどを対象とした研修を実施いたしますとともに、病院に働きかけ、院内虐待対策委員会の設置を促進してまいりました。
 また、これまで地区医師会単位で実施してまいりました医師、歯科医師向けの研修に、今年度からは児童相談所や子ども家庭支援センターの職員なども参加し、虐待に対する知識の共有を図り、連携を深めるなど、対応力の向上に取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを一層充実させ、児童虐待の早期発見、早期対応に努めてまいります。