平成二十二年東京都議会会議録第十三号

○議長(和田宗春君) 二十番鈴木章浩君。
   〔二十番鈴木章浩君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十番(鈴木章浩君) 重ねて申し上げます。国家の主権を守り抜く気概なき政党に国民の生活を守ることができるのか。危機迫る今日、政治パフォーマンスに明け暮れ、機能不全の国を変えていくためにも、政治が果たすべき役割を改めて問い直し、東京からこの困難に立ち向かっていかねばなりません。
 初めに、中小企業支援についてお伺いいたします。
 一昨年九月のリーマンショックに端を発した世界同時不況は、東京の経済、とりわけ数多くの中小企業に大きな傷跡を残しました。ことしに入り、大企業の中では業況に持ち直しの動きが見られるものの、中小企業は終始一貫厳しい状況に置かれており、都内中小企業の八月の倒産件数は約二百十五件と、ピーク時の約三百五十件から減ってはいるものの、依然として厳しい経済状況が続いております。
 また、私の地元大田区が公表している「大田区の景況」によれば、製造業の経営上の問題として、売り上げの停滞、減少が七四%と最も多くを占め、仕事がないという切実な声が上がっております。
 こうした状況に追い打ちをかけるように、八月以降に急激な円高が進み、さらに大幅な需要不足による低価格競争が広がり、大田区の下請企業では収益が圧迫されるなど死活問題となっております。
 しかしながら、このような状況を深刻に受けとめることもなく、国政においては、万全を期して措置した追加景気対策を否定し、凍結しただけで、それ以降何ら有効な手だてを講じることもなく、いたずらに時を費やしております。
 経営に待ったはありません。現下の厳しい状況を踏まえ、都として、中小企業をしっかり支援していく必要があると考えます。
 そこで、中小企業を取り巻く厳しい状況について、知事の見解をお伺いいたします。
 東京の産業を支えているのは、紛れもなく、私の地元大田区のまち工場に代表されるような数多くの中小企業であります。東京の産業が将来に向けてさらなる発展を遂げていくためには、こうした中小企業の企業家精神を支えていくことが極めて重要であります。
 都はこれまで、我が党の主張を受け、数度にわたり、適宜、緊急経済対策を実施し、制度融資の充実や受注開拓支援等により苦境に立つ中小企業を強力に支援してきました。
 こうした取り組みは大変評価できるものでありますが、先行きが見えない景況においては、例えば、来年三月に切れる緊急保証制度はどうなるのかなどといった、さまざまな中小企業からの不安の声もよく伺います。不毛な時間を費やすことなく、国においては、中小企業支援策を初めとした経済対策を一日も早く確立すべきであります。
 一方、都としては、現在行っている緊急対策を引き続き強力に展開していく必要があると考えますが、これまでの実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 厳しい経済状況を受け、大企業からの受注の縮小が続く中、大田区では、この二十年間で製造業の事業所がほぼ半減しております。これらの中小企業の中には、他にはまねできないすぐれた技術を持つ企業が多く、このままではこのすぐれた技術が失われてしまいます。
 もちろん企業も危機感を持っておりますが、では、どのような分野に活路を見出せばいいのか、個々の企業の試行錯誤だけに任せて放置したのでは、取り返しのつかない事態となりかねません。このためには、すぐれた技術を持つ中小企業が、この荒波を乗り越え新たな事業を創出していけるよう、都が積極的に技術開発や事業化を支援すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
 さらに、中小企業の技術力を維持し、発展させていくためには、経営面での支援に加えて、人材という側面から支援していくことが重要な課題となっております。
 特に中小企業は、大企業に比べて、採用に当たって事業規模や知名度等において不利な状況にあることに加えて、採用できたとしても、勤務時間などの労働条件が希望と合わず、若手社員がなかなか定着しないといった状況にあります。
 こうした中小企業の人材確保や育成への支援は、行政が地域の企業等と連携しながら、企業の求める人材を積極的に確保するとともに、その確保した人材を優秀な技能者として育成していくことが不可欠となっております。
 私の地元大田区にも、地域の企業の人材確保や人材育成を支援とする城南職業能力開発センター大田校がありますが、多くの若者が、技術を身につけて就職をしようと真剣に職業訓練に取り組んでおります。
 こうした都の職業能力開発センターでは、ものづくりからITまで、多様な職業訓練を実施するとともに、東京ものづくり名工塾として、企業の中堅社員に対して、ものづくりの高度熟練技術を伝授するなど、地域の産業を支える中小企業の人材の確保や育成に着実に成果を上げております。
 今後は、この職業能力開発センターの機能を十分に発揮し、中小企業が求める人材の確保と育成に向けて強力に支援していくことが求められると考えますが、現在の状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 在宅医療の推進について伺います。
 高齢化の進行に伴い、高齢者に対する医療をどう確保していくか。とりわけ、人としての尊厳の保持という観点も踏まえ、終末期医療を含む在宅医療をどう確保していくかは、医療改革の大きな柱であり、患者の生活の質の維持向上の観点から、幼児から高齢者まで全世代を対象とした推進がなされるべきであり、その環境整備は今後ますます重要になってまいります。
 都はこれまで、モデル事業を実施するなど、国に先駆けた取り組みを進めておりますが、都全体を見回すと、いまだ地域によって取り組みに差があります。都として、在宅医療を取り巻く現状について、どのように考えているのかお伺いいたします。
 二十四時間三百六十五日の対応が求められる医療現場は、一部の熱心な医師、看護師の頑張りだけでは状況が難しくなってきております。
 ひとり暮らしの高齢者や夫婦のみの世帯がふえていく中、介護分野も含め、さまざまな専門職、機関が信頼関係のもとで連携し、患者の生活全般を支えていく仕組みをつくることで、安定して継続できる基盤が整います。
 今年度、モデル事業として実施する在宅医療連携推進事業は、区市町村の地区医師会に連携調整窓口を設置して、病院側や介護などの関係機関と在宅医療との調整役となり、適切な連携が構築されるよう支援する取り組みであり、大田区の三医師会も積極的に取り組んでおりますが、期間がことし一年限りと聞いており、その後の運営に多くの不安を抱えております。
 今後、医療と介護を連携し、都民の在宅療養生活を支えていくには、区市町村の主体的取り組みが不可欠です。
 現在、各地で芽生え始めた活動を継続発展させていくためには、引き続き都の支援も重要であります。都として、在宅医療の推進に、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 アスベスト問題について伺います。
 廃コンクリート等をリサイクルしてつくられる再生砕石に、アスベストを含んでいるスレート等が混入している問題が新聞で報道されております。
 建物の屋根や天井、壁等に広く使われているスレート等の多くにはアスベストが含まれておりますが、日常的には飛散の危険性は少ないようです。しかし、建物を解体する際に破砕してしまうと、アスベストが飛散するおそれがあります。
 解体工事を行う前には、アスベストを含むスレート等が使用されていないかどうか把握し、使用されている場合には、できる限り破砕しないように注意して撤去し、しっかり分別して、アスベストを含む廃棄物として適切に処理することが重要であります。
 アスベストを含むスレート等の撤去または処分に関係する法令は、労働安全衛生法や建設リサイクル法、廃棄物処理法など複数あり、所管する行政機関は異なります。解体に際しては、非飛散性のアスベストの場合、処理方法などの届け出で済んでしまうため、今回のような事例が発生しないようにするためには、中小零細が多い解体工事業者に対し、そうした関係法令の内容について啓発を行い、取り組みの徹底を行っていく必要があります。見解をお伺いいたします。
 また、廃コンクリートを材料とする再生砕石の利用を進めることは、建設廃棄物のリサイクルという点で大変重要であります。今回の問題は、再生砕石への不信を招き、リサイクルの流れを断ちかねません。このような観点からも、再生砕石へのアスベストを含んだスレート等の混入を防止する必要があります。
 この間、都は、再生砕石製造業者に対する立入指導を速やかに始めたと聞いており、その点は評価しております。しかしながら、再生砕石の安全性を継続的に確保するためには、再生砕石製造工場での品質管理の徹底が重要と考えます。見解をお伺いいたします。
 水辺の環境づくりについて伺います。
 日本の玄関口である羽田空港は、いよいよ本年十月に四本目の滑走路の供用が開始され、空港周辺地域も国際化の一層の進展に対応した環境整備が求められております。
 これを契機にして、大田区では、空港臨海部構想の中で、水と緑で結ばれた環境に優しい潤いのあるまちという将来像を描いており、東京の新たな観光スポットとして、羽田空港を取り囲む臨海部において、親水施設の整備を初めとした水と緑のネットワークの形成に取り組んでおります。
 都では、「十年後の東京」の実行プログラムにおいて、これまでも、緑があふれ、都民に親しまれる水辺の実現に向けてさまざまな施策を実施しております。
 こうした中、運河の老朽化した護岸を整備する際には、遊歩道の連続性を考慮したランニングやウオーキングが楽しめる安全で魅力ある水辺空間づくりに向け、都としても積極的に取り組んでいく必要があると考えます。見解をお伺いいたします。
 また、都では、水辺空間のさらなる魅力向上に向け、運河ルネッサンスを展開しております。芝浦や天王洲などでは、テラス桟橋や水上レストランが整備され、地元住民や商店街による運河祭りが開催されており、地域を主体としたにぎわい空間が水辺に生み出されております。
 このような水辺のにぎわいをつくり出すためには、下水道の継続的な整備はもとより、運河における汚泥しゅんせつなどの水質浄化に向けた取り組みにより、潮風や緑の香りを感じながら人々が水辺で憩える、日本の首都東京にふさわしい、よりよい環境を整備していくことが重要であります。
 今後とも、運河に集う多くの人々が、より快適に水と触れ合い、より一層水辺に親しんでもらうため、水質の改善にさらに積極的に取り組んでいただく必要があると考えます。
 そこで、運河における水質改善への取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、羽田空港の基盤整備について伺います。
 昨日の代表質問でも触れられたように、十月に跡地まちづくり推進計画が策定されると聞いております。羽田空港の跡地利用を早期に実現していくには、とりわけ、跡地を高潮から守るための護岸や上下水道などのライフラインについて、国や都が主体的に取り組んでいく必要があると考えます。
 都の前向きな見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木章浩議員の一般質問にお答えします。
 中小企業を取り巻く厳しい現況についてでありますが、東京には、世界の最高水準の技術を持ち、新たな技術の創造にもチャレンジする、ごくごく小さな企業が数多く存在しておりまして、東京だけでなしに、日本の産業そのものを支える力の源泉となっております。
 しかし、小零細企業は、一昨年来の未曾有の経済危機による深刻な痛手から、いまだ立ち直れておりません。これは、ずっと続いてきた小零細企業の、非常につらい、気の毒な体質でありまして、不景気の冷たい風は真っ先に吹いてくる、景気がよくなってもあったかい風は最後にしか吹いてこない。そういう状況について、例えば大企業の組合だのは、非常に冷淡な姿勢でしかありませんでした、同じ労働者といいながら。
 加えて、このところの急激な円高の影響が懸念されるなど、このままでは東京全体の活力が失われかねない危機にあると思います。
 国は、現政府にも限らず、こうした小零細企業の状況というものに、今まで、決してその有効な手だてを積極的に講じることがなしに来たと私は思います。企業経営者からは、国の無策ぶりといいましょうか、冷淡な姿勢に、非常に嘆く声も出ておりますが、いずれにしろ都は、それでも国に先駆けて、緊急経済対策を実施し、小零細企業の支援に努めてきました。
 今後も、企業現場の実情に即した複合的かつ重層的な施策を展開して、東京の産業力を維持強化していきたいと思っております。
 他の質問については、東京都技監並びに関係局長から答弁します。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 羽田空港跡地における基盤整備についてでございますが、跡地の土地利用を進めるには、高潮から跡地などを守る護岸や都市活動を支える上下水道などの整備が不可欠でございます。
 空港に隣接する多摩川の護岸整備につきましては、国は、都からの強い要請を受けて、今年度ようやく事業化をしております。また、さきに公表した羽田空港跡地まちづくり推進計画の素案では、跡地に隣接する多摩川の残る護岸につきましては国が、さらに海老取川については都が、それぞれ主体的に検討することといたしておりております。
 上下水道につきましては、開発に合わせて必要な施設を適切に配置することや、開発主体が管理者と協議していくことなどを示しております。
 今後、国、地元区などと連携しながら、都としても計画を具体化し、跡地利用の早期実現に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 中小企業支援に関する三件のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急対策の実績と今後の対応についてでありますが、厳しい経営環境に置かれた中小企業に対して、都は、資金繰りや仕事の確保に加え、経営体質の強化なども含めた多様な施策を緊急に実施してまいりました。
 金融の面では、平成二十年十月に、国の緊急保証制度に対応し、制度融資のメニューに経営緊急を創設し、本年八月末までの保証承諾実績は二兆一千三百七十三億円となっております。これに加え、地域の金融機関と連携した新たな保証つき融資制度を開始するなど、都独自の中小企業の資金繰り支援策を実施してきております。
 また、中小企業支援機関との連携のもと、昨年度は、二千社を超える中小企業の訪問診断を行い、経営の改善を図るとともに、三百件を超える展示会出展等の助成を行ってまいりました。
 今年度も、引き続き、経営診断や販路開拓支援を通じて中小企業の支援に取り組んでいるところでございます。
 さらには、受注体制の強化などを協力して実現するため、六十二の中小企業グループに支援を行うとともに、下請取引のトラブル解決に向け、専門家が七百三十八件の相談にきめ細かく対応するなど、着実な支援も行ったところでございます。
 今後とも、資金繰りや販路開拓の支援を切れ目なく行うとともに、経営の強化等、不況を克服するための取り組みも適切にサポートするなど、中小企業対策に万全を期してまいります。
 次に、中小企業による新たな事業の創出に向けた支援についてでございます。
 個々の中小企業にとって、将来の産業の動向を見きわめ、みずからの技術が新たな事業につながるよう開発分野を選定するということは容易ではございません。このため、都がこのような分野を示して、中小企業を的確に支援していくことが重要であります。
 特に、将来にわたり成長が期待できる環境、医療、福祉などの分野で、中小企業の製品開発や事業化を支援していくことは、東京の産業の発展と大都市東京の課題解決にもつながるものと考えております。
 こうした考え方を具体化するため、都は今年度から、都市課題解決のための技術戦略プログラムを開始いたしました。今月九日には、最初の取り組みとして、環境分野について、省エネ機器や運河の水質改善などのテーマを示した技術戦略ロードマップを策定いたしました。
 今後は、ロードマップに掲げた方針に沿って、中小企業による新技術や新製品の開発に対して助成を行うとともに、製品の実用化に必要な実証データの収集を庁内各局と連携して実施するなどの重点的な支援を行ってまいります。
 このような取り組みを着実に実施することで、中小企業の技術や製品の開発を積極的に支援してまいります。
 最後に、中小企業が求める人材の確保と育成に向けた支援についてでありますが、ご指摘のとおり、中小企業が技術力を維持発展させていくためには、企業が求める人材を積極的に確保、育成できるよう支援していくことが重要であります。
 このため、都内十五カ所の職業能力開発センターでは、求職者や在職者に対して、年間約二万四千人の規模で職業訓練を実施しております。また、各企業を訪問し、人材育成に関する相談や情報提供等を行う人材アドバイザーを配置しているほか、企業に出向いて実情に応じて訓練指導を行う現場訓練支援事業も実施しております。
 今後も、例えば大田区に集積している機械金属工業のように地域に根差した産業分野や、成長が期待され、人材需要が見込まれる環境分野の訓練を拡充するとともに、職業訓練を効果的に実施していくための体制を整備してまいります。
 来年四月には、産業振興施策との連携を強化するため、産業支援機関の集積する産業サポートスクエア・TAMAに多摩職業能力開発センターを移転、開設いたします。また、老朽化の著しい城東職業能力開発センターと足立校について、両校を統合の上、施設を大規模化するとともに、人材育成プラザを付設した新たなセンターを平成二十六年度に開設するため改築計画を進めてまいります。
 このような取り組みを通じて、東京の産業を人材面から積極的に支援してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、在宅医療を取り巻く現状についてでございますが、都が昨年度実施した意識調査では、長期療養が必要な場合に、都民の約三五%は、在宅で療養したいというふうに思っておりますが、そのうち約六〇%は、実現が難しいというふうに考えておりまして、その理由は、家族に負担をかけるということが最も多くございました。
 その背景には、医療と介護の連携が十分には進んでいないことなどの課題があり、病院から在宅医療への円滑な移行を進めるとともに、在宅療養生活を送る患者とその家族を地域全体で支える仕組みを整えることが必要でございます。
 このため、都は、地域の医師会や病院を拠点といたしまして、ネットワークづくりなどの在宅医療を支えるための取り組みを七カ所で試行してきており、今後、その成果を他の地域にも広げていく必要があると考えております。
 次に、在宅医療推進に向けた今後の取り組みについてでございますが、在宅医療の環境を整備するためには、住民に身近な区市町村が、地域の医療資源と介護サービスを総合的にコーディネートすることが必要でございます。
 都は現在、病院と在宅医療、介護関係者が、お互いの方針や技術などについて理解を深め、地域において顔の見える連携体制を構築できるよう在宅医療相互研修を実施いたしております。
 また、東京都在宅医療推進会議におきまして、医療機関や介護関係者などと先行事例を評価、検証し、そこで得られた成功要因等を区市町村に示すことによりまして、区市町村の主体的な取り組みを促進してまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) アスベスト廃棄物に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、アスベスト廃棄物の適正処理についてでございますが、アスベストを含むスレート等の建材は、破砕処理をしてしまいますと、その際に、アスベストが飛散するおそれがあるため、リサイクルルートに混入させないことが重要でございます。
 既に、都に登録しておりますすべての解体工事業者に対し、アスベストを含むスレート等の分別を徹底するよう通知をいたしましたが、さらに十月初めには、関係機関とともに説明会を開催し、改めて関係法令の内容や除去作業、分別における注意事項等について周知を図ってまいります。また、産廃Gメンによる解体工事現場への立入調査においても、スレート等の分別、保管などが適正に行われるよう指導を強化してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、解体工事業者に対し、アスベスト廃棄物の適正処理の徹底を図ってまいります。
 次に、再生砕石の品質管理の徹底についてでございますが、都は先月から、コンクリート廃材を原料とする再生砕石の製造事業所四十カ所に立入調査を行いましたが、スレート等が搬入されている事例はございませんでした。さらに現在、立ち入り時に、再生砕石から採取したサンプルにアスベストが含まれていないか、精密な成分分析を行っております。
 今後、都は、再生砕石製造業者に対する指導を強化いたしまして、製造業者自身による搬入禁止の周知や搬入物検査の徹底などを求めてまいります。
 また、新たな取り組みといたしまして、万が一、スレート等が確認された場合には、都へ通報いただくこととし、この通報を受け、都は速やかに運搬業者や排出事業者に立ち入り、改善を指導してまいります。
 これらの取り組みを進めまして、再生砕石の品質を確保し、コンクリート廃材のリサイクルの推進も図ってまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、運河の護岸整備における、魅力ある水辺空間づくりに向けた取り組みについてでありますが、東京港の運河は、大都市に残された貴重な水辺空間であり、都民にとって、親水性豊かな場として再生していくことが重要であります。
 このため、都では、これまでも京浜運河や平和島運河などにおいて、緩やかな傾斜の石積み護岸を整備するとともに、その上部を遊歩道として開放するなど、地元区と協力して、水際の散策路の確保に努めてまいりました。
 また、大田区昭和島地区の護岸整備においては、既存の緑道公園との連続化に加え、緑化ブロックや植栽の配置など、景観にも配慮した取り組みを進めております。
 今後とも、地元区と連携し、良好な水辺環境づくりに努め、水と緑のネットワークの形成を推進してまいります。
 次に、運河における水質改善への取り組みについてでありますが、都では、運河に堆積した汚泥のしゅんせつを継続的に実施するとともに、護岸整備に当たり、生物の持つ水質浄化能力に着目したミニ干潟を設置するなど、水質改善に向けたさまざまな取り組みを実施してきております。
 その結果、ハゼやスズキといった多くの魚が見られるようになるなど、水質の改善は着実に進んでおり、芝浦地区では、NPOなどと連携し、親子が一緒に水辺に親しむ環境学習も行われております。
 また、今年度は、勝島運河において、水流発生装置を用いた浄化実験を開始するなど、新しい手法にも取り組む予定であります。
 今後とも、関係機関や都民と協力連携を図りながら、より一層の水質改善に積極的に取り組んでまいります。