平成二十二年東京都議会会議録第十三号

○副議長(鈴木貫太郎君) 四十二番高木けい君。
   〔四十二番高木けい君登壇〕

○四十二番(高木けい君) 先般、我が国固有の領土である尖閣諸島沖で起こった中国漁船の乱暴ろうぜきは、紛れもなく、我が国の主権侵害であり、無礼で野蛮な許しがたい事件であります。にもかかわらず、民主党政権は、逮捕した漁船船長を突然処分保留のまま釈放し、検察の判断とうそぶいて、政治主導はおろか、法治国家の根本理念をかなぐり捨てたばかりか、中国から謝罪と賠償まで求められる事態を引き起こしました。
 中国の行為は、まさに知事が喝破したように、やくざと同じであり、それを唯々諾々と許している民主党政権は、中国人の行動様式のイロハもわからぬ、無知で無能な許しがたい最悪の政権とすらいえます。中国には、やわらかい土は掘れるだけ掘れということわざがあるとおり、譲歩すればするほど、そこにつけ入ってくるのが、かの国のやり方であります。
 漁船船長釈放以降、既に日中中間線付近には、十隻以上の海洋調査船が集結しており、東シナ海における海洋権益確保への示威行動が、いまだかつてない規模で展開されています。このままいけば、次は軍艦が展開されることでしょう。我が国領土が蚕食される危機感を極めて強く感じます。
 今回の事件は、偶発的に起こったことではありません。昨年の政権交代以来、極度に日米関係を悪化させた民主党政権のもとで、この機会を見計らって、中国が周到な準備のもとに引き起こしたことを見逃してはなりません。つまりこの事件は、日米安保体制の現状と、両国の出方を探るために仕組まれたもので、普天間問題を政争の具にし、日米関係をずたずたにしたところから醸成されてきたといわざるを得ません。
 数年前、都政においても、中国の横暴な振る舞いによって被害を受けた事件がありました。アジア大都市ネットワーク21の開催都市をめぐって、突然の北京市の脱退でありました。こうした中華思想に基づく中国の傍若無人な振る舞いに対して、知事はどのような思いをお持ちか、また、都政の今後の政策展開の中で、中国とどのようにつき合っていくつもりなのかお尋ねいたします。
 続いて、八ッ場ダムと今後の水需要について伺います。
 人間の体の約七○%は水でできているように、私たちは水なしで生きることはできません。歴史的に見ても、四大文明は、水の恵みが得られる地域で発展してきましたし、今後の首都東京の発展にも水は欠かすことのできない重要な資源であります。
 我が党は、都民の安全・安心を守るため、八ッ場ダム推進議連一都五県の会を立ち上げ、治水、利水の両面において、ダム建設継続の活動をしてきました。
 民主党は、昨年の衆議院選挙のマニフェストで、コンクリートから人へという方針を示しましたが、水を治め、水を利用して都市が発展してきた歴史を全く顧みていません。水道施設の整備に当たっては、首都東京の将来の人口、経済、気候変動の状況なども十分考慮すべきであり、水の需要と供給のあり方を踏まえた新たなプランづくりが必要です。
 あわせて、こうしたことを都民にわかりやすく示していくことも重要です。都の見解を伺います。
 次に、河川治水対策について伺います。
 七月五日の局地的な集中豪雨による石神井川の洪水で、北区堀船地区では約四百六十世帯に及ぶ浸水被害が発生しました。
 同地域では、平成十七年九月にも首都高速株式会社の工事事故による水害が発生しており、五年間に二度も大規模な水害に見舞われています。被災された方々に衷心よりお見舞い申し上げます。
 浸水被害を受け、北区、都、首都高の三者による緊急対策として、大型土のう等によるかさ上げが直ちに実行されたことは高く評価しています。
 一方、七月三十日に行われた地元説明会では、出席した三百名余りの参加者の中から、工事を行っている首都高や都の責任だとの発言も相次ぎました。
 そこで、現在、石神井川においてどのような整備がなされ、下流部の工事区間では、どのような安全策がとられているのか伺います。
 石神井川は、王子駅より上流区間の地形的特性から左岸右岸の高さが違う区間が存在したり、川より低い低地部に居住者がいるなど、水害発生時の対応が危惧される現状にあります。
 このため、地域の特性に応じて、調節池の設置や下水道の整備も含め、河川への流出を抑える対策などを至急検討する必要があります。
 私は、下流への負担を早期に軽減させるためには、まず、現在建設中の白子川地下調節池を活用することが有効な手段であると考えていますが、白子川地下調節池を活用した石神井川からの取水の有効性について、都の見解を伺います。
 さらに今回、浸水被害が多発した石神井川下流域における下水道事業の取り組みについて伺います。
 下水道局はこれまで、浸水被害が多発していた北区西ヶ原地区や岸町地区などで雨水を一時的に貯留する施設の整備、ポンプ所や幹線管渠などの基幹施設を整備した結果、浸水被害を大幅に軽減させました。このことは、地域住民からも高く評価されています。
 しかし、さきの石神井川の洪水では、堀船地区で多くの方が被災されたことに加え、滝野川地区を初め、他の地域でも内水はんらんによる浸水被害が多発しました。
 このため、ゲリラ豪雨など都市型水害の解消は急務であり、積極的な対応を講じていくべきと考えます。
 そこで、今回の浸水被害を踏まえ、石神井川下流域の下水道事業における浸水対策の取り組みについて伺います。
 次に、産業政策について伺います。
 東京の産業を活性化させる方策の一つとして、創業支援が挙げられます。米国では、地域中小企業再投資法に基づいて、特に創業間もない地域の小企業に対する銀行の融資を促したり、千百を超える支援機関が創業期の企業に経営、技術支援を行うなど、創業支援の体制が充実しています。
 都においても、同様の取り組みが必要であり、インキュベーション施設は重要です。現在のインキュベーション施設の多くは、製造業種が中心という印象があり、小売やサービス業の育成にも力を入れていくべきものと考えます。
 まずは、施設をふやすことで創業の苗床を整備し、その上でそれぞれの施設で提供するサービスのレベルアップが重要です。都のインキュベーション施設整備に向けた考え方を伺います。
 続いて、商店街活性化について伺います。
 地域住民の生活や交流の場である商店街は、地域に必要不可欠なインフラとして重要な役割を果たしています。
 都はこれまでも、商店街の活性化に加え、都のさまざまな政策課題の解決に貢献する取り組みに対し、特定施策推進型商店街事業を進めてきました。
 特に同事業によって環境対策として支援を行った街路灯のLED化は、地域住民からも環境問題に対する前向きな姿勢が高く評価されています。
 今後は、LED街路灯を含め、太陽光発電や風力発電など、さまざまな環境対応の仕組みを商店街の中に取り入れるとともに、地球温暖化対策の必要性を地域にしっかりと伝えていく取り組みを都が総合的に支援していくことが必要です。都の見解を伺います。
 次に、鉄道事業者の本来的な役割と駅ナカ課税について伺います。
 駅舎は近年、猛スピードで商業施設化しています。私の地元、JR赤羽駅でも利用者の利便性向上という美名のもと、新たな駅ナカが事業展開されようといたしています。そもそも、まちは鉄道駅を中心に形成されており、集客面での駅の優位性は独占的地位にあるといえます。
 そうした鉄道事業者が展開する駅ナカビジネスは、間違いなく駅周辺の商店街や小売店舗の経営を圧迫し、結果として日常的に駅を利用しない高齢者等の生活利便性をも奪っています。
 このような手法は、独占禁止法にいうところの優越的地位の乱用に当たる上に、商業道徳に反し、鉄道事業本来の姿ではないと考えます。したがって、何らかの規制が必要です。
 そこで伺います。駅ナカビジネスは、通常の大規模小売店舗と違い、大店立地法の規制にかかりません。JR赤羽駅の事例でも、二千平米に及ぶ店舗面積を持ちながら、鉄道事業者と行政や地域住民、また地域の商店街などは話し合いのルールすらありません。
 JR品川駅でスプリンクラー未設置の事例があったように、安全性への検証も必要であります。こうしたことを野放しにしてよいとは思えませんが、都の見解を伺います。
 駅ナカの拡大で新たな収益構造がつくられているにもかかわらず、JRの社会貢献は極めて消極的です。
 例えば、JR赤羽駅前の放置自転車台数はここ数年全国一ですが、集客主体であるJRによる改善対策の取り組みは聞いたことがありません。駅ナカ課税は、制度創設以来既に四年が経過しており、鉄軌道用地の商業転用に対して、近隣商業地等との公平性から、応分の固定資産税評価が必要との考え方が基本となって生まれました。
 さらにその根本は、鉄道事業者が駅という独占的、優越的資源を使って新たな商業ビジネスに参入するなら、一層の社会貢献が税制面でも必要であるということと私は理解しています。
 そこで伺います。
 私は、駅前が一等地ならば、駅ナカは特等地とかねてよりいい続けてきました。駅ナカ課税は、それぞれの条件をさらに精査した上で、強化すべきところは特等地として課税を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、文化事業について伺います。
 都は、ヘブンアーチストや文化発信プロジェクトなどにより、都民が気軽に芸術文化に触れる機会を提供し、世界と競い合える芸術文化の創造、発信を積極的に行っています。
 これに関連し、音楽のあるまちづくりを進めてみてはいかがかと思います。諸外国では、まち角でクラシックやジャズなどの生演奏をよく目にしますが、東京では日常的に生の音楽に触れる機会はそれほど多くありません。音楽のあるまちづくりの推進は、芸術文化の創造、発信に大きく寄与し、東京の文化都市としての新たな一面を開花させる可能性を持つと考えますが、所見を伺います。
 音楽のあるまちづくりを進めるに当たっては、都有施設の有効活用も必要です。とりわけウオーターフロントの美しい景観と音楽との融合による臨海地域の活性化、海の玄関口から東京を訪れる方々への芸術文化を発信するという観点からは、晴海、竹芝を初めとする客船ターミナル施設などの活用が考えられます。
 東京港は、これまでも外国客船の誘致を積極的に進め、東京港の発展と東京の観光振興への取り組みを進めてきています。こうした取り組みに音楽のあるまちづくりという視点を取り入れ、例えば晴海客船ターミナルにおいて自主的活動を展開する音楽家への活動の場を提供し、船で東京を訪れる観光客を音楽で迎えることができれば、外国客船誘致策としても有効であると思われます。都の見解を伺います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 高木けい議員の一般質問にお答えいたします。
 先般の尖閣諸島における問題についてでありますが、一連の中国政府の振る舞いは、まさに言語道断であると思います。
 国際的ルール、常識を大きく逸脱しております。彼らが主張する尖閣に中国が領土権を持っているという主張は全く荒唐無稽でありまして、かつての太平洋戦争、第二次大戦における日本に対する勝者は、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、そして中国でありました。その同じ戦勝国のアメリカが、長らくあの沖縄を、尖閣を含めて占有し、しかも返還後も一時期、尖閣を爆撃演習のターゲットにしていた。しかもその所有者であります古賀花子さんという沖縄在住の方に、使用料も払っておりました。そういう事実がありながら、なぜ同じ戦勝国としてアメリカに、自分の国の領土の一部を射爆場にすることを抗議しなかったんですか。
 一方、我が国政府の対処には全く失望いたしました。菅総理はしゃんとしていると思ったけど、この問題について話すとき、何であんなにおどおどした顔になるんですかね、本当に。このままでは、我が国政府は、圧力にすぐ屈する、そういう国、そういう政府だと世界から侮られて、中国の脅威にさらされているベトナム、フィリピン、その他、他のアジアの国からの信頼を失いかねないと私は思いますね。
 この国の命運を左右しかねない判断というものを、三権分立という原則を無視して、素人にもわかることですけれども、一地方の検事に押しつけて、そしてそのせいにして逃げ回るという、これはまさに責任転嫁というか、売国につながりかねない、私は政府の行為だと思いますね。
 これはですね、私たち日本人全体が反省しなくちゃいけませんが、これまでの我が国が外交も含めて防衛も含めて、すべてアメリカの顔色をうかがい、アメリカ任せ、しかも中国の顔色もうかがって、主体性も戦略も全くもってこれに、要するに対してこなかった、そのツケだと思います。
 我が国は、自国の領土も(発言する者あり)何か文句は後でいえよ。我が国は、自国の領土も国民の生命、財産も、みずから守ることなく他国の手にゆだねながら、平和という理念ともつかぬいたずらなセンチメントにおぼれてきたんです。
 トインビーが「歴史の研究」という有名な本の中でいっていますけれども、いかなる超大国も衰弱し、滅亡もすると。国が滅びる原因はいろいろあるけれども、それに気がつけば、ほとんどの問題はリカバリーができる。回復できる。しかし、一番厄介なことは、自分のことを自分で決められなかった、そういう国はあっという間に衰弱し、滅亡するといっておりますが、これは下手をすると日本に当てはまりますな。
 日本は、今回の事態を転機として、何から何までアメリカに頼らずに、例えば、この尖閣でもっと大きく紛争が拡大したときに、アメリカが日本を守りますか。守れますか。先般、アメリカのハドソン・インスティチュートの主席研究員であります、かつてNHKのワシントン支局長をしていました日高君が帰ってきまして、非常に親しくしておりますけれども、ワシントンでは、本当に二百人ぐらいの人が動かしていますが、その社交界に入れるのは、日本人では彼だけですけれども、帰ってきて、私、その一月ほど前に、テレビで、皆さんごらんになったかどうかわかりませんが、日本の代表的な外交評論家で、かつては外務省のエリートであった岡本行夫君に同じ質問をしました。アメリカは、本当にいざといざというときに、尖閣を日本のために守るかといったら、二人とも、守りません、守れませんといいましたな。理由はいろいろあるでしょうけれども、私たちそれについて本気で考える時期に来たんじゃないでしょうか。
 いずれにしろ、トインビーの言葉をかりるまでもなく、私たちは今回の事態を転機として、この厳しい現実に冷静に正面から向かうべきだと思います。人間の世の中というのは、当たり前の原理で動いている、それは、古人がいったように、天はみずから助くる者のみ助く、そうじゃないんですか。こういう人間社会の原理に従って、自分の安危にかかわる問題について、我がこととして真剣に考えることが、私たち今問われていると思います。そのためにも、国政を預かる政治家は、現実的で理にかなった実効性のある外交戦略、安全保障を構えて、国家としての自己主張をしていく必要があると思います。今の政府にも、菅総理にも、それを望みます。
 なお、東京と北京市は、長年にわたる友好都市でありまして、近年では水や環境などの分野で相互に協力関係を築いておりますが、現場を持つ都市同士は、国家同士と異なった協力、友好の形もあり得ますけれども、またこれを継続、発展させることはやぶさかではありませんが、しかし、その親元の中国政府が、このやくざの縄張り争いに似たあこぎなやり方で、我々の領土を侵犯するんだったら、これはとにかく、都市の友好も何もあったものじゃないね。都市同士の友好も何もあったもんじゃない。私たちは、この国が第二のモンゴル、第二のチベットになることを、絶対に好まない。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 水需要と供給のあり方を踏まえた水道施設の再構築に向けた基本構想の策定についてでございますが、将来にわたる首都東京の発展を支える安定給水を確保していくためには、八ッ場ダムによる水源確保はもとより、渇水に対する安全度や気候変動などのリスクを十分考慮することが重要であります。一方、都の膨大な水道施設は、間もなく一斉に更新時期を迎えることになります。
 これらのことから、水道システム全体の安全度などを考慮した需要と供給のあり方を十分踏まえて、将来の東京にふさわしい水道施設に再構築していく必要があります。
 そこで、再構築に向けた基本構想を策定するための検討組織を速やかに立ち上げ、この中で、諸外国における施設の安全度など、例えば、ロンドンにおける渇水に対する安全度が五十分の一などに関する調査を行うとともに、外部専門家の意見も聞きながら、今後の経済動向、人口動態、気候変動など、施設整備に必要な将来の見通しや最新の知見を取り入れるなど、幅広い角度から検討を進めてまいります。
 策定過程におきましては、都民の意見を広く求めるとともに、その内容について、都民にわかりやすく説明してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、石神井川の整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、中小河川の整備を効果的に進め、早期に安全性を向上させていくことが重要でございます。
 現在、石神井川では、一時間五○ミリの降雨に対応するため、下流から順次、河川の拡幅を実施しており、上流部の未整備区間に設置した調節池の効果とあわせて、計画延長に対する治水安全度は八六%となっております。
 また、下流部の工事についてでございますが、現在、溝田橋付近では、首都高速道路王子線の整備に伴う石神井川のつけかえ工事や、都の高潮対策工事を実施しておりますが、この区間でも既に五○ミリ降雨対策は完了しております。
 工事の実施に当たっては、それぞれの施行者において水理実験やシミュレーションを行い、施工段階ごとに必要な流下能力を保ち、工事期間中においても安全性を確保しております。
 次に、白子川地下調節池を活用した石神井川からの取水についてでございますが、この調節池は、白子川の五○ミリ降雨対策として設置する施設であり、平成二十七年度の暫定取水を目指し、現在、整備を進めております。
 同様のトンネル構造である環七地下河川調節池では、当初計画した神田川と善福寺川に加え、妙正寺川からも取水することにより、この付近から下流の水害を軽減することができました。
 この事例を踏まえると、白子川地下調節池において、石神井川からも取水することにより、下流部における洪水被害の軽減が期待できることから、その具体的な効果の検証などを進めてまいります。
 今後とも、さまざまな工夫を重ね、安全で安心なまち東京を目指し、中小河川整備を全力で推進してまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 石神井川下流域における浸水対策の取り組みについてでございますが、これまで浸水被害の状況に応じて下水道管の一部を先行的に整備して雨水を貯留するなど、浸水被害の軽減に努めてまいりました。
 今後は、浸水対策促進地区に位置づけております北区堀船や東十条において、下水道幹線やポンプ所など基幹的な施設の整備を進めてまいります。
 具体的には、王子西一号幹線は、平成二十五年度の完成に向けまして、本年三月に工事に着手いたしました。また、王子第二ポンプ所は、過日、地域住民の方々のご理解を得るために地元説明会を実施したところでございまして、早期の完成に向けて着実に取り組んでまいります。
 さらに、その他の地域につきましては、雨水を排除する能力を増強するため、地元区と密接に連携し、道路上の雨水ますの増設を図るとともに、貯留施設の整備など、有効な対策を鋭意検討してまいります。
 今後とも、浸水被害の軽減により安全・安心なまちづくりに貢献できるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まずインキュベーション施設の整備についてでありますが、東京の産業を活性化するため、将来に向け発展の見込まれる事業分野等で新しい企業の力を伸ばす創業の促進が求められております。
 このため、創業間もない企業などが経営に必要なノウハウや資金力が不十分な中で直面するさまざまな課題を克服できるよう支援を行うインキュベーション施設の充実は、極めて重要であると考えております。
 行政による取り組みといたしまして、都では平成十八年度の五カ所の施設を八カ所までふやしましたが、区市町村では、同じ時期に五施設の増加にとどまっております。このため、今後は区市町村と民間が協力して施設の開設を進めることも必要と考えております。
 また、都の八施設のうち、企業経営にとって重要な販路開拓や資金調達についてアドバイス等を行うインキュベーションマネジャーを配置いたしました三施設では、入居企業の多くで売り上げが伸びるなど、着実な成果が上がっており、こうしたソフト面の支援を他の施設にどう広げていくかを検討することも重要と考えております。
 こうした状況を踏まえ、インキュベーション施設につきましては、整備箇所を着実にふやしていくとともに、施設のサービス内容の向上を検討するなど、質と量の両面から創業への支援を的確に進めてまいります。
 次に、環境対策の推進による商店街の活性化のご提案についてでありますが、商店街が環境に配慮した設備を導入して地球温暖化対策に寄与することは、商店街のイメージを向上し、集客効果を高めることにつながると考えております。
 また、地域コミュニティの核である商店街の情報発信力を活用し、環境対策とその成果をアピールすることで、地域社会での環境配慮の取り組みが広がるものと認識しております。
 都はこれまで、特定施策推進型商店街事業において、都の施策であるCO2削減に効果の高い街路灯のLED化を支援してまいりました。今後、これに加え、さまざまな地球温暖化対策の方法を商店街から地域に向け積極的にPRしていくため、ご提案の太陽光発電や風力発電を活用した街路灯の設置などを含め、商店街の環境対策についての先駆的な取り組みに対する総合的な支援について検討してまいります。
 最後に、駅構内における商業施設、いわゆる駅ナカについてでありますが、一般的に商業施設が出店を行うに当たり、周辺住民の生活環境を損なうなどの影響を少なくして、施設と地域社会との良好な関係を確保することが望ましいことでございます。
 このため、大規模な商業施設につきましては、大規模小売店舗立地法により、一千平方メートルを超える面積の店舗を開設しようとするものに届け出を求め、説明会を行うことを義務づけるとともに、区市町村からの意見の聴取を通じて、地域で生じる課題の解決に努め、生活環境の保持を目指しております。
 しかし、駅ナカのうち、改札の内側、改札内にあるものについては、国の法令解釈によれば、駅利用客の通行のための通路によって分割された区画ごとに一店舗として扱うこととされておりまして、その面積が一千平方メートル以下となるため、同法が適用にならない事例が生じております。
 こうした事例につきまして、現行の大店立地法では対応することができない状況となっております。
 都は、駅改札内の商業施設の出店によって課題が生じる場合について、法令上の取り扱いを初め、地域に身近な区市町村との役割分担のあり方を含めて、どのような対応が可能であるか研究してまいりたいと考えております。
   〔主税局長荒川満君登壇〕

○主税局長(荒川満君) いわゆる駅ナカ課税についてでございますが、都は鉄軌道用地の評価の見直しについて国に強く働きかけ、平成十九年度に固定資産評価基準が改正されました。
 この改正により、鉄道施設と商業施設等が混在した土地のうち、商業施設等で利用されている部分については、近接の土地の価格と同等とする新たな評価方法が導入されました。この方法に基づき、土地の評価及び課税の大幅な見直しを行い、駅周辺の商業地等との税負担の均衡が図られたものでございます。
 しかしながら、お話のとおり、駅ナカ施設の高度化、大規模化はますます進んでおります。今後、利用状況等について、改めて必要な調査、制度の検証等を行い、適正かつ公平な課税に努めてまいります。
   〔生活文化局長並木一夫君登壇〕

○生活文化局長(並木一夫君) 音楽のあるまちづくりについてでございますが、ご指摘のとおり、日常生活の中で音楽に触れる機会をふやすことは、東京の芸術文化の創造発信に大きく寄与するものと考えております。
 そこで、都は、東京文化会館での多彩な公演や東京都交響楽団の演奏活動などを通じまして、質の高い音楽を提供いたしますとともに、東京文化発信プロジェクトの中では、合唱活動が盛んな東京ならではの参加、育成型の新たな事業展開を行っております。
 また、都民に最も身近なまち中で、ヘブンアーチストによる公園や駅などの公共空間での演奏活動が都民にも浸透してきてございます。
 今後、さらにこうした機運を的確にとらえ、新たな事業展開も含め、各種事業の充実を図り、音楽のある都市東京を目指してまいります。
   〔港湾局長中井敬三君登壇〕

○港湾局長(中井敬三君) 客船ターミナルにおける音楽のあるまちづくりへの取り組みについてお答えいたします。
 東京港ではこれまで、晴海客船ターミナルにおいて外航客船の入港時にブラスバンドによる歓迎演奏を行うなどの取り組みを行ってまいりました。
 客船ターミナル施設を音楽のあるまちづくりに活用するとのご提案は、東京港のにぎわい創出につながるとともに、客船誘致にも資するものと考えます。
 今後、晴海及び竹芝の客船ターミナル施設を対象に、地元の方々の理解も得ながら、指定管理者である東京港埠頭株式会社とともに、事業実施に向けて取り組んでまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時二十二分休憩