平成二十二年東京都議会会議録第十三号

○議長(和田宗春君) 三十六番中山信行君。
   〔三十六番中山信行君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番(中山信行君) 最初に、建築物の環境性能の向上策について質問します。
 環境局が平成十四年に建築物環境計画書制度を導入したことにより、都内には省エネ法の基準をクリアする大規模建築物が既に三百近くも存在しています。いわば東京は、環境性能にすぐれた建築物の世界的な総合展示場となっています。
 全世界の約四割のCO2が建築物から排出されているとの推測もあります。日本製の低公害車が世界市場を大きくリードしているように、これからは東京発の環境建築技術が日本経済の新たな牽引力と育つ可能性があります。知事の所見をお伺いします。
 従来から私は、環境局に対し、建築学会などと連携し、すぐれた環境建築技術の活用を促す取り組みの充実を求めてまいりました。都は、ことし七月三十日に初の環境建築フォーラムを開催、私も大変な盛況ぶりに感激しました。
 環境建築フォーラムでは、都民に身近な工夫を取り上げていくことも大切です。私の地元、足立区六町では、エコアパートという取り組みがマスコミの関心を集めています。太陽光や雨水などを積極活用して、光熱水費を大幅に抑え、CO2も三割削減、入居希望者が相次いでいます。
 そこで、改めて環境建築フォーラムの成果を伺うとともに、環境配慮型の生活スタイルへの移行を先取りする意味で、都のマンション環境性能表示制度の先進事例を環境建築フォーラムでも積極的に取り上げていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、都施設の省エネについて質問します。
 現都庁舎は、我が国超高層ビルの代表事例の一つですが、空調などの設備更新が迫っています。一般的にも、超高層ビルはエネルギー消費量が多く、設備更新においても省エネに細心の注意を払う必要があります。
 まして、都は、超高層ビルのオーナーとしての責任と、環境行政の先進自治体としての使命を同時に果たさなければなりません。
 その意味で、現庁舎の設備更新においては、先進環境技術の積極導入、ランニングコストなどトータルな視野での計画立案、そして、民間ビルでは敬遠されがちな設備更新データの公開などに取り組むことが重要です。
 都は、国内外の超高層ビルの設備更新の模範となる取り組みに挑戦するべきと考えますが、見解を求めます。
 また、業務継続中の設備更新という困難にどう立ち向かっていくのか、施工方法上の工夫について見解を求めます。
 都は現在、都施設の環境性能基準である、省エネ東京仕様二○○七を改定中です。省エネ設備の導入には、常に総論賛成、各論反対の危惧がつきまとい、設計過程で次々と予算が削られてしまいがちです。その意味で、省エネ東京仕様の改定後に建築する都施設においては、都の環境貢献意欲の本気度が問われることになります。民間ビルの環境性能を大きく上回る模範的環境建築に挑むべきです。現在の改定状況とあわせ、都の見解を求めます。
 次に、ものづくり教育について質問します。
 日本が世界に先駆けて取り組む低公害型社会や低炭素型社会への移行は、すぐれた技術力に裏打ちされて初めて可能となるものです。その技術力の育成を担う重要な柱の一つが、都立工業高校です。
 しかし、都立工業高校の募集定員を見ると、平成元年の約七千五百人に対し、二十二年四月時点では同種校を含めても約三千二百人にすぎません。定員減少の背景には、少子化の進行だけでなく、子どもたちのものづくり離れの影響も大きいと考えます。
 例えば、私の地元の足立工業高校では、この不景気下でも直近の求人件数は就職希望者数の約七倍と多く、依然として中小企業側の期待が大きいことがわかります。就職率の高さ、社会人として身につけるべき素養の習得などを考え合わせれば、都立工業高校への進学は魅力的な学校選択としてより評価、活用されていくべきです。中学生やその家族に対するPR方法の工夫について、見解を求めます。
 先日、私は江東区の都立科学技術高校を訪問しました。卒業生の七割強が現役で四年制大学に進学、八割強が理系学科を選択しています。この背景には、入学後に急激に成績が向上する、同校独自の工夫があります。最高水準の工作機械の取り扱いを一年生に体験させたり、研究、実験などの応用編の授業を早くから取り入れたりしています。これらの取り組みにより、理系学業を通じて得られる仕事の夢が膨らみ、学習意欲が向上しているのです。
 科学技術高校の取り組みは、高額の費用をかけずとも推進できるものも多く、他の工業高校にも十分応用可能と考えます。都庁各局との連携も含め、見解を求めます。
 次に、キャリア教育について質問します。
 工業高校を初めとする専門高校は、教育課程の全体がキャリア教育といっても過言ではありません。問題は、普通科高校であり、小中学校です。
 神戸女学院大学教授の内田樹氏は著書「下流志向」の中で、現代社会の病根を、子どもたちが成熟の最初の段階で、消費主体としての人格を形成してしまい、幼くして自己形成を完了してしまうことにあると分析しています。逆に、労働主体としての人格の形成を図る場合には、働きぶりに対する周囲の評価を得ることから人生が始まるとし、その第一歩として、子どもたちが家庭や地域で一定の役割を果たしていくことの重要性を強調しています。
 この視点に立てば、例えば人格形成の根幹をなす小学校においては、今般、文科省が作成したキャリア教育の手引きの具体的な活用が有効です。授業における教員の語り口を整理して、教科ごとのモデル的な指導案として取りまとめ、全授業を通じてキャリア教育を推進し、労働主体としての人格形成にも取り組むべきです。
 また、普通科高校においては、仕事や労働による自己実現を高校生活全体を通じて考察する機会として、毎年、課題論文として取り組ませることが私は有効と考えます。
 都は今後、体験学習の充実だけでなく、小中高の全教育活動を通じてキャリア教育を推進する取り組みを強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 私は、キャリア教育の成果を発表する機会の充実を求めてまいりました。これを受け都は、平成十八年から四回にわたり、児童生徒自身が成果を発表するキャリア教育推進フォーラムを開催、私も参加し、その重要性を改めて認識しました。
 キャリア教育推進フォーラムは二十一年秋の開催をもって一たん終了しましたが、さらなる推進を図るためには、産業界など、より幅広い応援が必要です。都は、キャリア教育推進フォーラムにかわる新たな取り組みを打ち出すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、雇用対策について質問します。
 都内は今、完全失業率が六・三%にも及ぶ厳しい雇用情勢下にあります。そうした中、都の職業能力開発センターは、企業が求める人材のスキルと求職者が持ち合わせるスキルとのミスマッチの解消に向け、地域の産業特性や人材ニーズに応じた職業訓練を提供し、高い就職率を維持しています。
 私の地元、足立区綾瀬の都立城東職業能力開発センター足立校も、地域の産業の支援拠点として住民から親しまれてきました。塗装科生徒の実習などを利用して、老朽化した外形を何とか維持してきましたが、このたび、ようやく改築されると仄聞します。城東地区全体の中小企業に対し、人材の育成など質量とも豊かな支援を提供できるような改築内容とするべきですが、見解を求めます。
 足立校の改築に当たっては、地域特性に応じた訓練科目の充実はもとより、地域のものづくりを支える中小企業が研修や訓練を実施する場合には、訓練施設を無料で貸し出していくなど、人材育成に関する支援機能の充実を図ることが重要です。見解を求めます。
 最後に、公的住宅の住まいやすさの改善について質問します。
 都営住宅では名義人が六十五歳以上である世帯が半数を超え、高齢化が進行しています。その結果、団地内のコミュニティ機能が低下し、都の支援策が待ち望まれています。
 都は第二回定例会の我が党の代表質問に、巡回管理人の業務内容や共益費の徴収などについて検討し、支援策を来年度から試行、すなわちモデル実施すると答弁しました。そこで、現在、都が検討している支援内容について説明を求めます。
 団地内のコミュニティ機能を支援する上では、団地ごとに実情が異なることを踏まえ、住民理解を前提に進めることが重要です。モデル事業の具体的な実施方法とモデル事業後の見通しについて見解を求めます。
 我が党は、少子高齢社会の進展に伴い、都営住宅の入居収入基準を超える世帯においても、東京都住宅供給公社が都全体の住宅政策の中で独自の役割を果たすよう求めてきました。これを受け、同公社は、今年度より少子高齢対策室を設置、子育て世帯や高齢者向けの住宅の検討を開始しています。取り組みが大きく前進することを期待します。
 既存の公社住宅には、高齢者にとって使い勝手の悪い居室が多いのも現状です。居室内設備のバリアフリーに関する取り組みと今後の推進について見解を求めます。
 エレベーターが設置されていない古い公社住宅においては、高齢者が毎日の階段の上りおりで苦労しており、我が党は階段室型の公社住宅へのエレベーター設置を強く要望してきました。階段室型という悩ましい条件に立ち向かい、バリアフリー化の最重要課題であるエレベーターの設置に向け、公社は積極的に役割を果たしていくべきと考えます。見解を求めます。
 近年、広くAEDの設置が進んでいます。都営住宅や公社住宅への設置には課題も多いと思いますが、居住者や周辺住民の高齢化が進む中、いざというときに備えた準備も重要であります。公的住宅の役割の視点から、AEDの設置推進を要望し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中山信行議員の一般質問にお答えいたします。
 建築物の環境性能の向上についてでありますが、都市における大幅なCO2削減のためには、建築物対策の強化が絶対に必要であります。このため、都は、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度とともに、建設段階から環境性能の向上を求める建築物環境計画書制度を導入してきました。
 こうした都の政策の展開を受けて、東京においては、先端的な省エネ機器の導入ときめ細かい制御手法の駆使により、CO2を半減するビルが建設されるなど、すぐれた取り組みが開始されております。
 都の先駆的な施策と我が国の高度な環境建築技術は、ともに相まって世界の都市におけるCO2削減に貢献し、また、日本の環境ビジネスに新たな市場を生み出し得るものであると思います。
 このため、官民挙げて、東京の建築物CO2の削減の取り組みを十一月のアジア大都市ネットワーク21東京総会において発表するほか、今後、実施が予定されているアジア諸国とのさまざまな交流事業の場を活用するなど、積極的に海外に向けても発信していきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立工業高校のPR方法の工夫についてでございます。
 日本のものづくり産業を支える人材を育成し、技術を継承し発展させていくために、工業高校の果たすべき役割は重要であると認識しております。
 都立工業高校は、地域の産業界とのつながりを生かすとともに、生徒一人一人に応じた進路指導を行っており、雇用環境の厳しい中にあっても、就職希望者のほぼ全員を就職させることができました。また、都立産業技術高等専門学校への編入や大学進学への道も開かれております。
 都教育委員会は、こうした工業高校の魅力を、これまで都立高等学校等合同説明会やリーフレットなどを通じて、中学生と保護者に発信してまいりました。今後は、都立工業高校における就職状況や進学実績、資格取得状況などをよりわかりやすく伝えられるよう、リーフレットを改定し、進路選択を意識し始める中学二年生の冬に配布することによりまして、一層効果的にPRしてまいります。
 次に、工業高校の生徒の学習意欲を向上させるための取り組みについてでございます。
 生徒の学習意欲の向上を図っていくためには、生徒がものづくりに関する興味、関心を深め、自分の具体的な将来像を描けるように、授業や実習を工夫、改善することが重要でございます。さらに、生徒が学習成果を発表し、評価を受ける場を設定することは、生徒のプレゼンテーション能力を高め、達成感を与えられることから、都教育委員会は、東京都工業校長会と共催で、毎年、工業科生徒研究成果発表会を実施しております。
 今後、この発表会を、首都大学東京や都庁各局、民間企業等の協力を得て、より充実させるとともに、都立科学技術高校の実践例をこの発表会を通じて他校に広めるなど、各工業高校における教育活動の魅力の向上を図ってまいります。
 次に、キャリア教育を推進する取り組みについてでございます。
 児童生徒が将来社会で自立して生きていくためには、働くことの意義を理解し、望ましい勤労観、職業観を身につけていくことが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、小学校では働く人々の職業調べ、中学校では職場体験の実施など、それぞれの発達段階に応じた計画的なキャリア教育を実施するよう、区市町村教育委員会と連携して各学校を指導してまいりました。
 また、高等学校では、小中学校の取り組みを踏まえ、キャリア教育の年間指導計画を作成し、教育活動全体を通じてキャリア教育に取り組むよう指導しますとともに、資料集の作成配布や実践連絡協議会の開催等を通して、すぐれた実践事例の普及啓発を図ってまいりました。
 今後は、授業実践のポイントが示されている文部科学省発行の手引きを活用して、教員がこれまで以上に具体例を盛り込んだ指導案を作成することができるよう、教員研修を実施してまいります。
 さらに、学習指導要領改訂の趣旨を踏まえまして、小中高等学校を対象としたキャリア教育に関する開発委員会を設置いたしまして、すべての教科、領域等において、キャリア教育の視点に立った指導方法や指導内容を研究開発するなどして、各学校のキャリア教育を充実させてまいります。
 次に、キャリア教育推進フォーラムにかわる新たな取り組みについてでございます。
 キャリア教育をさらに充実させていくためには、学校が家庭や地域、企業などと密接に連携していくことが不可欠であり、それぞれが役割を担い、一体となって取り組むことが極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会は、平成十七年度から中学生の職場体験発表会を、平成十八年度からキャリア教育推進フォーラムを実施して、小中高等学校のすぐれた実践事例の紹介などを通して、キャリア教育の意義や必要性について広く都民に普及啓発してまいりました。
 今後は、中学生の職場体験発表会の取り組みに加え、都教育委員会が設置する開発委員会において、家庭、地域、企業などの代表者を交えて、小中高等学校それぞれの発達段階に応じた具体的な連携のあり方について協議を行うことにより、キャリア教育の一層の推進に努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅のコミュニティ機能の支援策についてでございますが、都営住宅では、今後、居住者の高齢化が一層進行すると予想されることから、自治会活動などのコミュニティ機能が維持されるよう、地域福祉の担い手である地元区市町や自治会、居住者と役割分担を図りながら、適切に支援していくことが必要でございます。
 都としては、各団地の実情に応じて触れ合いの場づくりや防災活動など、自治会によるコミュニティの活性化に向けた具体案の作成に協力することや、自治会の事務負担の軽減を図るため、都が直接徴収する共用部分の管理経費の範囲を見直すことなどの支援策を検討しております。
 次に、コミュニティ機能の支援のために試行する事業の実施方法などについてでございますが、都営住宅では団地や居住者の実情が多様であることから、試行に当たっては自治会や居住者の合意があることを条件といたしまして、年内に対象となる団地の募集を行う予定でございます。その後、対象団地の選定を進め、来年度から試行を行うことを考えております。試行後につきましては、その成果を検証し、都営住宅のコミュニティ機能の充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、公社住宅のバリアフリー化の取り組みについてでございますが、これまで公社では計画的な修繕等を実施し、建物や設備の維持向上に努めてまいりました。特に高齢者世帯などに対しましては、居住者の希望を受けて、手すりの設置や浴室扉の取りかえなど、きめ細かい改善を行っております。
 今後ともバリアフリー化を進めるため、こうした制度について、広報紙である「公社だより」等により、居住者への一層の周知に努め、その利用促進を図るとのことでございます。
 また、公社では、新たな取り組みとして、居住者の転出の機会をとらえ、床の段差解消や介護に配慮した間取りへの変更など、より抜本的なバリアフリー化を進める住戸改善を試行的に実施していくこととしております。
 最後に、公社住宅へのエレベーター設置についてでございますが、公社では既存住宅ストックを再生する手法の一つとして、今後、個別の住戸にとどまらず、住棟単位で設備などの改修を行う住棟改善を試行的に実施することとしております。その中で、これまで実施してきた廊下型住棟へのエレベーター設置に比べ、費用負担等の面で難しい階段室型住棟へのエレベーター設置についても検討しており、来年度以降、モデル工事を予定しております。
 今後、公社では、モデル工事を通じて改修にかかわる技術やコスト、工事期間中の騒音、振動の影響等を検証し、その結果を踏まえながら、エレベーターの設置など住棟改善に取り組んでいくこととしております。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

○環境局長(大野輝之君) 建築物の環境性能の向上についてでございますが、本年七月に建築学会等の後援を得て開催いたしました環境建築フォーラムにおきましては、現在、都内で建設が進められておりますCO2を半減するオフィスビルの開発実例などを建設会社からご報告いただきました。これからの低炭素時代において新築ビルに求められる環境性能の水準について、認識を広げることができたと考えております。
 また、当日は、建設、設計関係はもとより、金融や不動産取引関係の企業からも多数の参加がありまして、不動産市場において環境性能のすぐれた建築物を高く評価する機運の醸成にも貢献することができたものと認識をしております。
 今後は、一般の都民にも関心を広げていくため、オフィスビルのみならず、マンションなど住宅用途のすぐれた取り組みにつきましても紹介を行い、環境性能のすぐれた建築物が評価される市場の形成を一層促してまいります。
   〔財務局長安藤立美君登壇〕

○財務局長(安藤立美君) 三点についてお答えをいたします。
 まず、都庁舎の設備更新における省エネの取り組みについてでありますが、本年四月、都における温室効果ガス総量削減が義務化をされ、都庁舎は目標達成に向けて先導的な役割が求められております。
 これまで都庁舎は、平成三年の開庁以来、さまざまな省エネルギー、省資源対策に率先して取り組み、CO2年間排出量を約三○%削減するなど、環境負荷低減に努めてまいりました。
 今回の設備更新に当たりましては、ライフサイクルコストに配慮し、費用対効果を検証しながら、各種設備の省エネ機能を大幅に向上させるよう取り組んでまいります。特に都庁舎のCO2排出量の約六割が空調関係で占められていますことから、空調設備の改修につきましては、学識経験者の意見も取り入れながら、より省エネ効果が高くなるよう、設備の設計を進めてまいります。
 また、設備更新のみならず、設備の効率的な運転など、これまで蓄積した維持管理のノウハウを積極的に活用し、都庁舎のCO2排出量削減を図るとともに、こうした取り組みを都民や民間事業者にわかりやすく発信してまいります。
 次に、都庁舎の設備更新における施工方法についてでありますが、都庁舎の設備更新は、業務を継続しながら実施していくため、都民サービスや議会活動への影響を最小限にとどめることが重要であります。
 都庁舎におきましては、空調機がすべての階の天井裏に設置をされていることなどから、改修時には、天井を全面撤去し、そのフロアを閉鎖して工事を行う必要があります。このことから、都庁舎の原則すべてのフロアにおいて執務室の閉鎖、移転を順次繰り返し、工事を進めていくことを予定しております。
 したがいまして、工事時期の設定等、全庁的な合意形成に努めるとともに、工事に際しましては、天井撤去時に照明や防災設備などを同時に施工するなど、業務への影響を最小限にするよう施工方法を工夫してまいります。
 最後に、省エネ東京仕様二○○七の改定についてでありますが、都は、主要施設十カ年維持更新計画に基づく施設の改築、改修に当たり、この省エネ仕様を適用し、東京都建築物環境計画書制度で定める省エネ評価の最高段階を目指した取り組みを行っております。
 省エネ仕様の改定作業につきましては、学識経験者の知見を得ながら、現行仕様に基づき整備した建物の検証とともに、ライフサイクルコストと効果を分析し、最新の省エネ技術の導入についても検討を進めております。
 また、新たに導入する仕様については、今年度から先行的に具体的な施設の設計にも適用するなど、民間のモデルとなるよう、都有施設の一層の省エネ化を推進してまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 都立城東職業能力開発センター足立校に係る二点のご質問にお答えいたします。
 まず、職業能力開発センターにつきましては、施設の老朽化の状況等を踏まえつつ、校の整備や中小規模校の集約などにより、効果的、効率的な職業訓練を実施することが求められております。
 今回の足立校の改築も、施設の老朽化に対応することに加え、同様に老朽化の著しい城東職業能力開発センターと統合することにより、施設の大規模化を図るとともに、専門職員や訓練機器等の訓練資源を集約することで、ものづくり系科目を中心とした訓練内容を充実していくことを目的として行うものでございます。
 新たなセンターの訓練定員については、統合前の両校の規模を確保するとともに、足立校改築に係る工事期間中においても訓練を休止することなく継続して実施してまいります。
 こうした考え方に基づき、平成二十六年度の開設を目指して改築計画を着実に進めてまいります。
 次に、改築に当たっての機能の充実についてでありますが、ご指摘のとおり、ものづくり産業を支える地域の中小企業に対して、人材育成に関する支援機能を強化していくことが重要であります。このため、新たなセンターでは、小規模製造業が集積する城東地域の産業特性を踏まえた在職者向けの訓練科目を幅広く設定するなど、企業の人材育成ニーズに対応してまいります。
 また、地域における中小企業従業員の育成のための総合サービスを行う大規模な人材育成プラザを新たに設置いたします。この人材育成プラザでは、中小企業がみずから実施する従業員教育の場として無料で実習場や教室の貸し出しを行うなど、新たなセンターの機能を拡充してまいります。
 こうした取り組みを通じて、城東地域の中小企業に対する人材育成支援策を強化してまいります。