午後五時二十一分開議
○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
八十五番藤井一君。
〔八十五番藤井一君登壇〕
○八十五番(藤井一君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
東京都は、平成二十一年度の都税収入が前年度比で一兆円減少するなど、都財政は厳しい状況に直面しましたが、十年来に及ぶ行財政改革の努力により培ってきた財政対応力を存分に活用し、都民サービスに支障を生じさせることなく、大幅な税収減に対応することができました。
それを可能とした重要な要素の一つが、我が党の提案を受け、知事のリーダーシップのもと、全国に先駆けて導入した本格的な複式簿記・発生主義会計であります。
制度導入をきっかけに、いわゆる隠れ借金の解消に向けた取り組みが急速に進んだ一方、減価償却の導入により、設備更新など将来の財政需要の増加に備えた基金の積み立ても充実しました。
このように財政運営に新公会計制度を活用した都が成果を上げる一方で、国を初め、全国自治体での公会計制度改革のおくれは好対照をなしております。
知事は本会議冒頭で、十一月に公会計改革白書を公表すると表明されました。そこで、この新たなツールとしての白書を活用しながら、例えば、新公会計制度を主要テーマとした大都市を擁する都道府県サミットを開催するなど、角度をつけたアプローチを積極的に行っていく必要があると考えます。知事の決意を伺います。
さて、ただいま申し上げたとおり、都は新公会計制度を活用した堅実な財政運営を進めてきましたが、昨今の景気低迷の中、都財政を取り巻く環境は非常に厳しく、当面大きな好転を期待できない状況にあります。
一方、医療、介護、環境などの行政需要は質、量ともに拡大、多様化してきており、これらを実際に担っていく都の役割は一層重要となっております。
今後、都が期待されている役割を着実に果たしていくためには税財源のさらなる拡充が欠かせません。にもかかわらず、国は、こうした本質的な地方税財源についての議論を置き去りにしています。
ましてや、法人事業税の暫定措置については、撤廃に向けた議論すら行っておらず、このような国の姿勢を見過ごすことはできません。地方税の原則をゆがめ、地方分権改革に逆行する暫定措置の即時撤廃を引き続き強く訴えていく必要があると考えますが、見解を求めます。
次に、東京の国際競争力の向上に向けた取り組みについて質問します。
東京は、世界でも類を見ない公共交通網の利便性、また、世界有数の安全かつ清潔な都市空間であるなど、海外の諸都市よりすぐれた特性を数多く備えています。
その上で、今後、国際都市東京として発展させていくためには絶好のチャンスとなるのが、来月二十一日に迫った羽田空港の国際化と、先月、国から選定された京浜港国際コンテナ戦略港湾であり、その拠点が臨海副都心であります。
臨海副都心は、二十四時間離着陸が可能となり、世界じゅうから年間一千万人が渡航する羽田空港から直線距離にしてわずか六キロメートルです。加えて、地下共同溝が張りめぐらされ、情報通信機能も世界最先端の技術が配備されており、海外の本社機能を十分に集積できる未来都市であります。
そこでまず、臨海副都心に海外からの本社機能や投資を集積させ、新たな国際ビジネスチャンスの拠点となるよう思い切った税制優遇などの施策を講じ、経済特区として政策誘導を図るべきであります。見解を求めます。
臨海副都心を国際ビジネスチャンスの拠点とするためには、羽田空港と直結させる交通インフラの整備が不可欠です。
そこで、羽田空港跡地の地下に既設されている東海道貨物支線をりんかい線と結び、旅客用路線として羽田から臨海副都心への移動時間を短縮させるなど、公共交通アクセスの利便性を高めるべきであります。見解を求めます。
また、東京港にコンテナを飛躍的に集積させ、ハブポートとして物流の活性化を図るためには、京浜港国際コンテナ戦略港湾に選定されたチャンスを最大限に活用し、利用者にメリットのある港湾整備とインフラ整備を加速させるべきであります。
さらには、税制面の優遇措置や港湾利用料の引き下げなど、東京港の大きな魅力を発信し、利用者にインセンティブを与えることができるよう国に強く支援を求めるべきであります。あわせて見解を求めます。
このように、国際都市東京を実現するためには、羽田空港や東京港を含め、臨海エリアについて、その潜在能力を最大限に引き出すべく、東京の国際競争力の強化に向けた都市戦略を進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
次に、災害対策について質問します。
この夏、都内を集中豪雨が襲い、河川の洪水による住宅や事業所が浸水する被害や、下水道から雨水があふれ出す内水はんらんなど、各所で甚大な被害が発生しました。
都議会公明党は、現場に駆けつけ災害状況を確認するとともに、翌日には都知事に対し、時間五○ミリをはるかに上回る局地的集中豪雨に対応できる河川整備の促進や、都民の生命、財産を守る万全の体制を強く求めました。
現在、都は、時間五○ミリの降雨量を基準に河川の整備を進めていますが、一○○ミリを超える集中豪雨には対応できておりません。早期にこれらの降雨に対応できるよう対策を進めるべきです。今後の中小河川整備の取り組みについて、都の見解を求めます。
住宅などが密集する都心部で河川の整備水準を引き上げるには、一時的に河川の水をためる調節池の活用が有効であり、東京都技術会議は六月二十八日の最終報告で、複数の調節池を連結する広域調節池の構想を提言しています。
そこで、環七の地下に石神井川の調節池を新たに整備し、南側にある神田川・環七調節池と北側に建設中の白子川の地下調節池を連結すれば、各河川で対応力が大幅に向上します。今後の河川整備を進める上で、広域調節池は効果的な方策と考えますが、都の見解を求めます。
浸水対策では、下水道から水があふれる内水はんらん対策も急がなければなりません。特に地下利用が高度に進む都心部では、地下街への浸水は地下鉄などの交通機能の麻痺や人命にかかわる深刻な事態を招きます。大規模な地下街を有する地区やくぼ地など、浸水による危険性の高い地区は優先的に集中豪雨対策を実施すべきです。都の見解を求めます。
次に、耐震化の推進について質問します。
都は、我が党のたび重なる主張もあって、首都直下地震や東海地震などの発生に備え、防災上の重要な建物や都市インフラを初め、木造住宅、マンション、緊急輸送道路沿道の建築物等の耐震化に取り組んできました。
しかし、いずれも耐震診断や改修が所有者の意思にゆだねられている点や多額の費用負担などの点でなかなか進んでいないのが現状です。巨大地震発生の切迫性が指摘される中で、一刻も早く震災時における人的被害を極力抑え、都市機能を確保するための大胆な対策を講ずるべきであります。耐震化の状況を踏まえ、今後の建築物の耐震化施策の方向性について、知事の所見を伺います。
次に、具体的な耐震促進策について質問します。
まず、救急医療機関についてであります。
これまで東京都指定二次救急医療機関の耐震化のおくれが課題となっておりましたが、一部を除いて耐震化された病院も含めると、ことし八月の時点でようやく八割の状況となりました。
残りの二割の救急医療機関は、耐震化のための資金、移転建てかえや増改築に伴う用地の確保、工事期間中の来院、入院患者対策など多くの課題に直面していると聞いております。耐震化を進めるために、改めて病院ごとの課題について実態を調査し、対応を講じるべきと考えますが、見解を求めます。
昨年度、国の補正予算で設けられた医療施設耐震化緊急整備事業には、都内で二十九病院が応募しましたが、国の採択は五病院にとどまりました。
今回の経済対策にも病院等の耐震化対策臨時特例交付金が盛り込まれましたが、単年度限りであり、昨年度の一千二百二十二億円に対して、学校分も含め五百七十一億円と聞いており、半分にも満たない金額です。
そこで、救急医療機関の耐震化を促進するために、国に対して本予算化を提案、要求すべきであります。また、国の状況にかかわらず、今年度拡充した都の支援策は継続し、耐震化を促進すべきであります。あわせて見解を求めます。
次に、学校の耐震化について質問します。
公立小中学校の耐震化について、都は、平成二十四年度末までに耐震化の完了を目標にしており、ことし四月一日現在で八八・四%まで到達しました。
しかし、区市町村で耐震化率の格差が生じているほか、多摩地域を中心に耐震化のおくれが目立ち、現状では、平成二十四年度末までに一○○%耐震化の達成が危ぶまれる状況になっております。
平成二十二年度の国の公立学校施設整備費当初予算では、耐震化等のために全国の公立学校で必要な経費を大幅に下回る予算となり、世論の強い批判を受け、慌てて予備費を充当するという腰の定まらない対応となりました。これでは自治体は安心して耐震計画をつくることができません。
また、耐震対策として国は、地震防災対策特別措置法の特例措置により、倒壊の危険性の高い建物については国庫補助率をかさ上げしておりますが、この特例措置が平成二十二年度末で終了となります。
そこで、都は国に対し、公立学校施設の耐震化予算の安定的かつ十分な確保や、補助率のかさ上げ特例措置の延長を要望すべきと考えますが、見解を求めます。
また、私立学校、私立幼稚園の耐震化についても、公立学校と同様に支援策を強化すべきです。見解を求めます。
次に、震災時の応急給水における自治体との連携について質問いたします。
切迫する首都直下地震が発生すれば、都市インフラは大きな被害を受けます。中でも水道施設の被害は大きく、一部地域では断水率は最大で約八○%にも達すると予測されています。
都の計画では、住民への給水は、都が応急給水拠点を整備し、自治体が応急給水拠点で被災住民に水を配布することになっています。
しかし、実際には水を配布する自治体の職員自身が被災してしまい、給水拠点に参集できないという事態も生じかねません。このため、区市町では、町会、自治会と協力し、震災時に不足するマンパワーを補う方策を模索しております。
そこで、都が応急給水拠点で行われる活動計画を把握し、震災時の応急給水対策が十分に機能するよう取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
首都直下地震の場合、応急対策が一段落した後は、都市や産業の復興とともに住宅の再建など、都民の生活復興をスムーズに進めることが課題になります。
その際の支援制度として、被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給や応急仮設住宅への入居、固定資産税の減免などの公的支援のほか、住宅ローンの支払い猶予など民間でも支援メニューが用意されると考えられます。
被災者がそれらの援助を受けるためには、原則として区市町村が発行する罹災証明により、被災者であることや被災の程度を証明することが必要になります。
三年前の新潟県中越沖地震に見舞われた柏崎市では、電子地図を活用した事務の軽減や円滑化に取り組み、従来は手作業で行っていた被害調査と住民登録データや家屋データの照合作業を大幅に効率化し、円滑な発行に効果を上げたと聞いております。
都は震災復興マニュアルにより罹災証明の発行手順を定めていますが、数百万棟にも及ぶ住宅被害さえ予想される首都直下地震が発生した場合、区市町村が円滑に罹災証明を発行できるようにする新たな取り組みが急務と考えます。都の見解を求めます。
次に、うつ病、自殺、児童虐待や高齢者の孤独死などの問題について質問します。
公明党は、こうした課題解決に取り組む観点から新しい福祉を提案し、課題解決に力を入れているところであります。
そこでまず、精神疾患の治療に有効とされる認知行動療法について質問いたします。
認知行動療法は、精神疾患患者の考え方に注目し、対話を通してサポートする精神療法の一つで、薬物療法との併用で効果が高まることがわかっています。
本年四月からは、公明党の推進もあり、認知療法、認知行動療法が新たに医療保険の対象になりました。あわせて、国においては、認知行動療法を普及するため、今年度から医師等に対する専門研修が開始されました。
そこで、東京都においても、診療を希望する方がスムーズに受診できるように、医療保険の適用の有無も含め、実施医療機関の情報を把握し提供するなど認知行動療法の普及を進めていくべきであります。見解を求めます。
また、保険適用が始まったものの対象が限定的であり、都は国に対し、保険適用範囲の拡大を要望すべきであります。見解を求めます。
先日、都議会公明党は、都立中部精神保健福祉センターを視察いたしました。同センターでは認知行動療法を積極的に活用し、うつ病により失職、求職中の患者を対象にした通所訓練や若年者向け薬物療法乱用防止プログラムなどを実施しています。
このうち、復職を目指すうつ病リターンワークコースでは、二○○五年度から五年間で利用者三百三十五人に対し、何と約九割の三百人が復職を果たしており、刮目すべき成果であります。
こうした精神保健福祉センターで取り組んできた認知行動療法に関するノウハウを都内の医療、福祉の関係者に広く普及すべきであります。見解を求めます。
さらに、都立病院においても認知療法、認知行動療法を先駆的に取り入れていく必要があると考えますが、見解を求めます。
次に、単身高齢者支援について質問します。
足立区に端を発した高齢者の所在不明問題は全国的な広がりを見せていますが、「単身急増社会の衝撃」の著者である藤森克彦氏によれば、単身世帯は人口集中地区に居住する傾向が見られ、二○○五年の都道府県別の男性の単身世帯比率はすべての年齢階層で東京都がトップであり、女性も二十代から六十代までは東京都がトップであります。
大都市に暮らす住民にとって、孤独死はもはや他人事でなく、現在と将来にわたり、だれにでも起こり得る現実であります。そこでまず、大都市の社会的病理ともいえる孤独死の現状について、知事の認識を伺います。
ところで、国や自治体だけでは十分に対処できない貧困や地域医療、要介護などの社会的課題に対し、近年その効力が注目されてきているのが、地域住民のネットワーク活動や相互信頼、自発的な協力関係等の地域の共同資源、すなわちソーシャルキャピタルによる解決であります。
内閣府が二○○二年度に実施した都道府県ごとの調査によれば、ソーシャルキャピタルが豊かな地域ほど失業率や犯罪率が低く、出生率も高く、平均寿命も長いことがわかっています。
今回の高齢者の所在不明問題は、大都市東京においてこのソーシャルキャピタルが低下していることを象徴した事件ともいえます。こうした新たな課題に適切に対応するために、都は現場を抱える区市町村の意見や要望を改めて把握し、支援を講じていくべきであります。見解を求めます。
一方で、高齢者の見守りに当たっての課題は、個人情報保護法令との調整であります。
例えば、災害時に高齢者や障害者らの避難を円滑にするため、全国の自治体では要援護者名簿の作成が進められていますが、総務省の調べでは対象者のほぼ全員の名簿を作成した自治体は三三%にとどまっています。
その原因として、都民、自治体双方の個人情報保護法令に対する誤解や、そこから生じる過剰反応があると指摘されています。都は、都民、自治体双方に正しい理解が促進されるよう積極的な取り組みを行っていくべきであります。見解を求めます。
次に、児童虐待対策について質問します。
ことしの猛暑の中、大阪市の幼いきょうだいが母親に置き去りにされ、何も食べるものがない部屋で寄り添うようにして亡くなりました。
悲惨な児童虐待から、かけがえのない子どもたちの命を何としても守らなければなりません。平成二十年には改正児童虐待防止法が施行され、児童相談所の家庭への立入調査の権限が強化されました。
しかし、一方で、次から次へと発生する虐待事案に真正面から向かい合い、対応する児童福祉司の確保は不十分な状態です。一人の児童福祉司が人口約七万人もの区域を担当している東京では、虐待相談対応件数は平成十二年には一千八百六件であったのが、昨年度は三千三百三十九件と二倍に迫っています。
そこで、人口集中都市東京において虐待から子どもの命を守るためには、児童福祉司の思い切った増員や専門性の向上に早急に取り組み、児童相談所の体制強化を図るべきであります。見解を求めます。
また、一方では児童虐待を未然に防止していくことが重要であります。各区市町村が設置している子ども家庭支援センターでは、虐待を未然に防止する対策や児童相談所との連携などの取り組みが行われています。
しかし、子ども家庭支援センターが十分にその機能と役割を果たしていない地域もあります。そこでまず、子ども家庭支援センターと児童相談所の連携を強化し、日常的な情報交換ができる仕組みを一層充実すべきであります。見解を求めます。
また、子ども家庭支援センターに配置されている虐待対策ワーカーの専門性を向上させるため、児童相談所において、オン・ザ・ジョブ・トレーニングなどによって区市町村職員が実践の中で児童福祉司任用資格と能力を得られるよう育成、支援すべきであります。
加えて、こうした専門性の高い虐待対策ワーカーを各支援センターに複数人配置していけるよう働きかけていくべきであります。あわせて見解を求めます。
そして、児童虐待にこれまで以上に即座に対応することができるよう、児童相談所の配置の見直しの検討も含め、区市町村との連携を深めていくべきであります。見解を求めます。
次に、重い白血病や脊髄症を引き起こすウイルス、HTLV-1の都民への啓発や感染予防対策について質問します。
HTLV-1はヒトT細胞白血病ウイルス1型の略称です。かつては九州地方を中心に感染者が集中していましたが、人の交流が進むとともに全国に感染者が拡散しています。その数は百八万人に上ると推定され、B型、C型肝炎に匹敵するともいわれています。最大の感染経路は母乳を介した母子感染で、感染予防を進めるために妊婦健診での抗体検査が必要と指摘されてきました。
公明党は、党難病対策プロジェクトチームを中心に、繰り返しこのウイルスの総合対策を主張してまいりました。都議会公明党も九州の患者団体と意見交換し、平成二十年第三回定例本会議で取り上げました。
ことし三月には、厚生労働省の補助金を受けた研究班が全国に感染者が拡散している現状を踏まえ、全国で妊婦に抗体検査をすべきとして、従来の国の方針転換を促す報告書をまとめました。こうした中で、今月八日、国は全妊婦の抗体検査を全国一律、公費負担で行う意向を示しました。
しかし、HTLV-1については、医療関係者でさえ十分に理解されているとはいえない状況があります。都として、医療や母子保健関係者などに理解を深めてもらう研修会などを早急に行っていくべきでありますが、見解を求めます。
また、都民にとっても、十分な情報がないまま抗体検査が実施されると不安を招きかねません。そこで、母子健康手帳を渡す際に、このウイルスの情報も提供できるよう区市町村に働きかけるべきであります。また、全妊婦の抗体検査が行われる場合、感染者とされた人に対する相談やカウンセリング体制を整備していくことが重要であります。あわせて都の見解を求めます。
今月二十日から二十六日は動物愛護週間でした。ことしのテーマは、「ふやさないのも愛」であります。
都では、二十五年前には五万頭が致死処分されていた犬や猫を現在は約十分の一の約六千頭まで減少させることができました。動物愛護精神あふれる都民ボランティアや地域の皆様、行政の共同作業の結果であり、長年取り組んでこられた関係者の皆様に敬意を表するものであります。
致死処分の約六千頭の内訳を見ますと、約九割が猫であり、新しい飼い主に譲渡もできずに致死処分されている実態があります。こうした不幸な猫をふやさないためには不妊、去勢手術を徹底するべきであります。
区市町村の実施している飼い主のいない猫対策に対して、都は包括補助事業により支援をしていますが、具体的な施策を行っていない区市町村も多く存在します。そこで、都は、飼い主のいない猫対策について、包括補助の活用を含め、強く区市町村に働きかけるべきと考えます。
あわせて、都は猫対策にとって重要な役割を担う動物愛護推進員の積極的な活用のためにシンボルマークを公募するなど、その存在や役割を広く都民に周知していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
また、犬に関しては、ここ十年で登録された犬のうち約三割弱の犬が狂犬病予防接種を受けていないという実態があります。狂犬病予防接種は本来、飼い主が責任を持って実施すべき義務ですが、この義務履行を実施させるためにも、まずは飼い主による犬の登録を徹底させることが重要であります。
そこで、犬を販売する際に登録証を発行し、購入者情報を区市町村に通知、連絡するなど、犬登録東京モデルを構築すべきと考えます。都は、東京都獣医師会、区市町村及び動物取扱業者などと連携協議し、犬の登録率及び狂犬病予防注射接種率の向上を目指すべきであります。都の見解を求めます。
次いで、教育環境の充実、なかんずく小中学校の冷房化について質問します。
九月中旬まで三十五度を超える猛暑日が毎日続いた本年、冷房設備のない教室は蒸しぶろ状態となり、生徒は学習意欲を持続させることができず、本当につらい日々となりました。文部科学省の基準では、生徒が学習に集中できる教室の温度は夏季で二十五度から二十八度とされており、この夏はこの適正温度をはるかに超える異常な夏となりました。
このような中、小中学校の普通教室冷房化の実態は、二十三区では既に九五%が冷房化し、来年度は一○○%達成されるのに対し、多摩地域を含む市町村では一七・六%と大きな格差が生じております。
この格差の最大の原因は財源の問題であります。特別区の場合、都区財調の算定において小中学校の冷房化予算を基準財政需要額に算入しているのに対し、多摩の各市町村の場合、自主財源で賄わなければならず、とりわけ財政力の厳しい市町村は小中学校の冷房設備の設置に予算が回らないのが現状であります。
本来、小中学校の施設整備は基礎的自治体である市町村の責務でありますが、小中学校校舎等の耐震化や校庭の芝生化など、知事の英断により都が積極的に支援をしている事業もあります。
子どもたちの教育環境を整備し学習効率を上げるためにも、多摩地域の小中学校普通教室の冷房化に向けて実態調査を行い、その上で財政支援策を検討すべきと考えますが、見解を求めます。
次に、特別支援教育について質問します。
第二回定例会で公明党が主張した発達障害児への支援、教室不足への対応、職業学科の設置等が盛り込まれた特別支援教育推進計画の第三次実施計画案が七月八日に出されました。これを受け、二点質問いたします。
第一に、すべての小中学校に特別支援教室を設置するためには、巡回指導をする教員の確保が課題となります。また、教員の高度な専門性も不可欠と考えます。見解を求めます。
第二に、知的障害特別支援学校高等部における職業教育の充実についてでありますが、都は、軽度知的障害の子どもたちへの職業教育のさらなる充実策として、高等部単独校を中心に職業学科を順次併設するとしました。さらに、障害が軽度だけでなく中度の生徒の職業能力の開発や就労につなげる取り組みも本格的に行っていくべきであります。見解を求めます。
次に、都営住宅の建てかえ促進について質問します。
首都東京の魅力と活力の向上には、都心部、周辺区、多摩などの地域特性に応じた都市機能の充実が必要であります。その意味で、都内各地に点在する大規模都営住宅の建てかえが果たす役割は大きいといえます。
とりわけ、江東区の辰巳一丁目団地は敷地面積十三・九ヘクタール、三千三百二十六戸と昭和四十年代に建設された都営住宅としては最大規模で、地元からは建てかえの早期実現とともに、駅前でのにぎわいの創出、新たな商業エリアの形成、人口の急増に応じた住民サービス施設の拡充を期待する声が広がっています。
そこで、高層階化などにより、地域要望にこたえる模範的な建てかえ事業を早期に実施すべきと考えます。また、建てかえの完了には十五年前後の年月が必要なことから、従前居住者の居住の安定の確保、既存建物の適切な維持管理も大切であります。あわせて見解を求めます。
また、辰巳一丁目団地のように昭和四十年代に建設された都営住宅は約十万戸と多く、次々と建てかえの時期を迎えます。
大規模団地の建てかえ事業をさらに加速化させていかないと、使用可能な耐用年数を超えてしまいます。区や市がまちづくり上の具体的な構想を早期に立案できるよう、建てかえ事業の前倒し提示に取り組み、加速化を図るべきと考えます。見解を求めます。
次に、島しょ振興策について質問します。
第一に、島しょ地域の医療用画像伝送システムによる診療支援事業についてであります。
現在、都は都立広尾病院と八丈、大島、小笠原など十一カ所の診療料等の間に画像伝送システムを設置しています。我が党は機器を更新して島民が安心して受診できるよう訴えてまいりましたが、本年十月から機能が充実されると聞いております。そこで、画像伝送システムの機能充実と、その導入効果について説明を求めます。
第二に、白内障の手術についてであります。
八丈島は、現在高齢化率が三三%で、二○二○年には四三%になると予想されています。高齢化に伴い白内障の高齢者がふえています。
しかし、八丈島では手術ができないため、島民は本土に付き添いの人とともに行くために多大な費用負担を強いられております。そこで、八丈島でも白内障の手術ができるよう都として支援すべきと考えます。見解を求めます。
第三に、島の重要な観光資源であるスダジイの木が枯れる問題についてであります。
これはカシノナガキクイムシという害虫によって引き起こされるもので、三宅島では約百三十本、御蔵島では約二百本、八丈島では約十万本の被害が発生しております。これに都として早急に対策を講ずるべきであります。見解を求めます。
また、三宅島のオートバイレースについては、本来、三宅島ならではの地形を利用して初めてオフロードのバイクレースを実施いたします。
都は、今回のバイクレースを年一回のレースに終わらせるのではなく、オフロードバイクの愛好者が通年で島を訪れるように工夫するなど、三宅島の観光振興策の拡充につなげるべきであります。今回のレースの内容とバイクを活用した観光振興について、都の見解を求めます。
次に、外郭団体改革について質問します。
我が党は外郭団体、とりわけ監理団体改革について全力で取り組んでまいりました。その結果、団体数の半減、役員退職金の全廃、都派遣職員の大幅削減、包括外部監査の導入などを進め、大きな成果を得てきたところであります。また、先般、党内に外郭団体改革推進プロジェクトチームを立ち上げ、監理団体に限らず、報告団体も含めたさらなる外郭団体改革に取り組んでいるところであります。
都はこれと時を同じくして監理団体活用方針を発表しました。監理団体を取り巻く環境は、指定管理者制度における特命選定による活用や公益法人制度改革における公益目的事業の基準の見直しなど、大きな変化を来しております。こうした変化を踏まえ、今後の監理団体の活用とさらなる改革への取り組みについて見解を求めます。
次に、外郭団体改革のもう一つの柱である報告団体について質問します。
報告団体についても、都からの出資など都民の税金が投入されていること自体は監理団体と同様であります。現在、報告団体は五十一団体ありますが、中には都の報告団体として位置づけられていること自体に疑問を持たざるを得ない団体もあります。
都は報告団体についても早急に精査を行い、広範な都民から理解の得られるよう、その位置づけを明確にすべきと考えます。見解を求めます。
次に、築地市場の移転、再整備について質問します。
築地市場の移転、再整備については、市場関係者から、ただでさえ厳しい状況にある経営に影響を与えない、負担の少ない計画となるよう要望されています。しかし、民主党提案の現在地再整備案については、仮移転のための仮設と本設の二つの施設の建設が必要となることなどから、施設建設費が増大してしまうという問題点があります。
市場関係者にとっては、施設建設費が使用料の算定に直結しており、経営に大きな影響を及ぼします。特別委員会で視察を行った大阪の市場でも、使用料がはね上がり事業者の経営を圧迫していることが明らかとなっています。
民主党提案の現在地再整備案でも、使用料の水準が豊洲新市場の約一・三倍から一・六倍にもなると試算されています。しかし、この試算では多層化構造に伴う増加分を加味していないため、使用料がさらに上昇し、事業者の負担が増大すると想定されますが、都の見解を求めます。
ところで、使用料の算定のベースとなる今回の現在地再整備案の施設建設費は、最大で約千八百億円となっています。この額は、過去に現在地再整備の施設建設費として都が試算した三千四百億円とは、一見すると相当な開きがあり、実際に一部新聞等では、過去の試算額の半額で現在地再整備ができるとの報道がなされたために、都民や市場関係者に戸惑いを来しております。
今回の現在地再整備案の施設建設費と過去に都が試算した建設費では、なぜこのような大きな乖離があるのか、都の見解を求めます。
また、民主党提案の現在地再整備案は、工期の長期化、使用料の上昇、売り場の多層化が避けられず、仮移転先の住民合意など解決の見通しがつかない問題も抱えています。都議会公明党は、この問題に一刻も早く結論を出し、新市場の建設準備に早期に着手すべきであることを強く申し上げ、次の質問に移ります。
駐車規制について質問いたします。
第一回定例会において運送、配送事業者等の切実な声を受け、駐車規制の見直しを求めたところ、規制緩和の要望があり、荷さばき等の需要が多く、緩和の必要性の高い四十区間について詳細に調査を行っていると答弁があり、今回、そのうちの十路線について荷さばきに配慮した規制緩和がなされたことは評価するものであります。その上で、三十路線の進捗状況とさらなる規制緩和について、警視庁の見解を求めます。
十八年六月に施行され、二十一年四月から都内全域に拡大された民間委託駐車監視員制度も四年経過し、都民の違法駐車に対する規範意識も高まってきていると思われます。この制度導入による違反件数の状況と今後の取り組みについて、警視庁の見解を求めます。
関連して、近年特に多くなっている自転車事故について質問します。
自転車と人、自転車と車、自転車同士の事故が最近ふえてきております。こういった自転車に起因する事故を防ぐために、今後は民間の力も活用しながら、自転車利用者に対するルール、マナーの遵守を働きかけていくべきであります。自転車事故撲滅に向けた取り組み状況について、警視庁の見解を求めます。
次に、消防法令違反の公表制度について質問します。
昨年十一月発生した高円寺の居酒屋での火災について、類似火災を発生させないよう防火管理や出火防止対策の指導、火災原因を踏まえた防火安全対策を検討すべきと本会議で提案をしました。
その後、東京消防庁は緊急の立入検査や原因調査を行い、法令違反の指摘や再三の指導にもかかわらず、安全対策をとらなかったり、防火管理の重要性を意に介さないといった関係者も少なからずいる実態もわかりました。
東京消防庁はこれらの調査結果を踏まえ、都民自身が危険を回避するとの視点から、違反情報に関する公表制度を創設することを決めたところであります。そこで、この公表制度の導入により、消防庁として防火策を強化していくべきであります。広報の仕方を含め、東京消防庁の具体的な取り組みを求めます。
最後に、スポーツ振興について質問いたします。
去る七月十六日、都にスポーツ振興局が新設されました。スポーツに関する所管部署を一元化した組織の設置は全国でも初めてであり、その役割と使命はまことに重要であると考えます。
このような中で、都では東京スポーツ奨励賞が創設され、先日、第一回の表彰式が行われました。若きアスリートの活躍に知事も大いに期待されていると思います。スポーツ振興に対する知事の熱い思いと決意を伺います。
平成二十五年開催の国民体育大会と全国障害者スポーツ大会をスポーツ祭東京二○一三として開催することは、健常者と障害者が垣根を取り払い、一つのスポーツの祭典をつくるという新しい試みであります。全国で初となるこの祭典の取り組みについて見解を求めます。
都はスポーツ都市東京を目指し策定したスポーツ振興基本計画の中で基本理念としていますが、この障害者スポーツの振興を初め、理念を目に見える形としていくことこそ、スポーツ振興局が中心となって取り組む課題であります。見解を求め、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 藤井一議員の代表質問にお答えいたします。
まず、公会計制度の改革に向けた戦略的な取り組みについてでありますが、複式簿記・発生主義会計による新たな公会計制度の導入は、私が就任以来手がけてきた改革の中でも最も本質的で大事な改革であると思っております。
日本のようにいまだに大福帳を用いている国は先進国には一つとありませんし、近隣諸国においてもわずか数カ国ですな。挙げるにパプアニューギニア、フィリピン、北朝鮮、タイ、マレーシアという国で、ほかの国は、アフリカは別でありますけど、どこでも発生主義・複式簿記をやっているわけで、それをやっていないから今の政権も改めて事業仕分けなんていうことをやらなきゃいけない。財務諸表がない近代国家というのは、日本だけじゃないでしょうかね。
いずれにしろ、都は新公会計制度を事業評価や予算編成に活用し成果を上げてきましたが、それとともにほかの自治体への支援も行ってきた結果、大阪府や町田市なども進んで導入をしてくれております。
現在、神奈川県に対して積極的にアプローチを行っておりますが、今後さらに白書も活用しながら、他の府県などに対しても戦略的に働きかけていくつもりであります。
そのため、十月の関東地方知事会議や十一月の九都県市首脳会議などで会計制度改革をテーマとして取り上げて議論を進めていきたいと思っております。
金利感覚やコスト意識の欠如した、太政官制度以来続いている時代おくれの官の体質を根本から変えるためにも、その切り札としての会計制度改革の機運を一段と高めて、この改革を日本全体へ広げていきたいと思っております。
私、驚きましたのは、この間もあるところで二度ほど財界の要人と会いました。ともに経団連の会長をした人でしたけれども、一緒に、片方のときは前の日銀の総裁の福井さんもおられましたが、私がその話をしましたら、彼は知らないんですな。
企業として当たり前のことをやっているわけですから、国が、公会計と企業のその会計制度、ちょっと違うところがありますし、東京もそれで苦労したんですけれども、そんなばかなといって、みんなびっくりする。
たまたまそのときに前の日銀の総裁の福井さんが、たしか国はまだ単式簿記ですなといったら、周りの人が絶句している状況でありまして、やっぱりこういったものは日本の体質を変えるためにも変えていかなくちゃいけないと思います。
とにかく金利感覚やコスト意識の欠如した、そういった制度が続いているわけでありますから、この改革の切り札としても会計制度改革の機運を一段と高めて、これを日本全体に広げていきたいと思っております。
次いで、国際競争力の強化についてでありますが、国力が日に日に低下する中で日本の活路を開くには、我が国のヘッドクオーターであります東京が率先して行動して国を牽引していかなければならないと思っております。
もとより東京には人材や技術、資本が集積しておりますし、中でも都心にほど近い臨海エリアは、職、住、遊のバランスのとれたまちとして大きな可能性を有しておりまして、羽田空港や東京湾の機能が強化されることで、その魅力はますます高まってまいると思います。
東京が世界都市としてさらに発展を続けるためには、広く海外など多方面からの投資の誘発や、高度な技術を持った人材を集めるために、規制緩和を進めることが不可欠であると思います。
政府もいろいろ、今、特区のことを考えているようでありますが、いずれにしろ、とにかく硬直した制度の中で、特例も設けながら、そういった可能性を模索していく必要が絶対あると思います。
今後は、民間との協力や国への働きかけなど、さまざまな対策を講じながら、臨海エリアを一つの核に、都庁一丸となって東京の国際競争力を高めていきたいと思っております。
次いで、建築物の耐震化施策についてでありますが、多くの建築物や多様な機能が高度に集積している東京において、一回大地震が起これば、その被害はもうはかり知れないものがあると思います。
大地震から都民の生命と財産を守り、首都機能の低下を防止するとともに、都市として国際的な信頼性を高めるためには、事前の備えが必ず必要であります。肝要であります。
このために、東京では「十年後の東京」計画に基づきまして、建築物の耐震化に全力で取り組んでおります。とりわけ、学校や病院など、防災上、特に重要な建築物や震災時の避難や、救援活動に及ぼす影響が多い緊急輸送道路沿道建築物については、引き続き重点的に施策を講じていきたいと思っております。
今後とも耐震化施策を強力に推進し、災害に強い東京を実現したいと思っておりますが、要は個人の所有に関する建築物に関しては、その持ち主が命をとるか、金をとるかという判断をみずからしていただきませんと、これを全面的に補助することはとても不可能でありますから、そういった問題があちこちにあることは、ひとつ認識してかかりたいと思っております。
次いで、孤独死の現況についてでありますが、ひとり暮らしの方がだれにもみとられずに亡くなることは、東京に限らず、先進国の大都市であちこちで起きているのが現実であります。
これは文明社会が進む中で、家族のあり方や大都市における地域社会の人間関係が変容し、人と人のつながりが希薄になってきたことの証左ともいえると思います。
この問題を解決することはなかなか難しいと思いますが、一種の文明批判としてとらえ直して、家族を再生させ、社会の連帯を結び直す取り組みを日本全体で進めていくことが一助となると思っております。
都としても、都民や地域とともに手を携えて、高齢者家庭への訪問、見守りを初め、さまざまな取り組みを進めていきたいと思っております。
しかし、こういった家族においてもなお、特に一つの近くのまち、自治体の中での連帯感の欠如というのは、やはりかつての日本人が持っていた価値観が摩擦消滅して、かわりに物欲、金銭欲といったものが軸に据わってきたという非常に好ましくない社会の根本的な価値観に関する状況のせいでありまして、これを克服するのはなかなか大変なことだと思います。
次いで、スポーツ振興についてでありますが、スポーツを行うということは、健全な精神は健全な肉体に宿るという人生における一つの原理というものがありまして、スポーツによって培われた精神力、肉体は、人生をよい意味で支えてくれるものであります。
先月、シンガポールで開催されたユースオリンピックや、アメリカで行われたリトルリーグ世界選手権においても、東京の若者が大活躍しました。新たに創設した東京スポーツ奨励賞を先日、彼らに贈呈しました。
彼らはこの経験と誇りを胸に、日本の将来をたくましく担ってくれるでありましょう。この国の将来のために、また、強いしたたかな若者たちをよみがえらせるために、スポーツは極めて有効な手だてだと思います。
そもそもスポーツ振興は、国が国家として進むべき方向を定めて、そのエネルギーを養成するために奨励すべきものだと思いますが、主導的にその牽引していくべき国が、今、この国をどこに導こうとしているかさっぱりわかりません。
そのため、都は、国に先駆けて総合的、一元的にスポーツ施策を推進するスポーツ振興局を設置いたしました。今後とも、国を先導するスポーツ行政を展開して、それを起爆剤として日本の将来を切り開いていきたいと思っております。
他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監池田克彦君登壇〕
○警視総監(池田克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
初めに、現在推進中の荷さばき車両に配意した駐車規制の見直し状況についてでありますけれども、実施可能となった十区間につきましては、十月中の実施に向け、標識設置等の準備を行っているところであります。
それ以外の約三十区間の中には、実施が極めて困難な区間も若干見受けられましたけれども、これらの区間以外の区間につきましては、現在、地域住民等と意見調整中であり、荷さばき駐車のルールに関する合意が調った区間から順次実施していくこととしております。
今後とも、地域住民及び物流事業者等のご意見やご要望を十分に踏まえ、交通の安全と円滑を確保しつつ、荷さばき車両に配意した、よりきめ細かな駐車規制を推進してまいります。
次に、都内の駐車実態につきましては、継続的な違法駐車の取り締まりや各種広報活動などによる抑止効果のほか、ご指摘のとおり、都民の規範意識の高まりなどにより改善されてきており、放置駐車違反確認標章取りつけ件数は、平成十九年の約九十万件をピークに、平成二十一年には約七十万件と減少傾向にあります。
しかしながら、重大交通事故を誘発する駐車違反も決して少なくなく、また、駐車違反を繰り返し、まるで道路を駐車場がわりにするような悪質な違反者もいることから、警視庁といたしましては、今後とも安全で快適な交通社会の実現に向け、放置駐車確認事務の民間委託制度を有効に機能させながら、駐車違反の指導取り締まりを行ってまいります。
最後に、自転車事故撲滅に向けた取り組み状況についてであります。
警視庁におきましては、自転車安全利用五則など、基本的な自転車の通行ルールについて、警視庁のホームページや広報紙等を通じて広報啓発に努めているところであります。
また、地域交通安全活動推進委員や民間ボランティアの協力も得ながら、交通安全教育や街頭における各種広報啓発活動にも取り組んでおります。
一方、違反者に対しては、警察官が指導、警告を行うとともに、悪質なものにつきましては、積極的な取り締まりを行っております。
今後とも、取り締まりを強化するなどとして、自転車のルール、マナーの向上を図り、交通事故の防止に取り組んでまいります。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
まず、公立小中学校施設の耐震化についてでございます。
学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であり、災害発生時には避難場所となるなど、重要な役割を担っており、耐震化を早急に完了する必要がございます。
現在、国では、耐震対策の根幹となる地震防災対策特別措置法の特例措置によりまして、構造耐震指標であるIs値〇・三未満の倒壊等の危険性の高い建物について、国庫補助率を二分の一から三分の二にかさ上げしております。
また、都においても、平成二十年度から区市町村に対して都独自の財政支援及び人的支援を行っており、特に市町村に対しては、国庫補助金と起債可能額を除いた設置者負担額の補助を行っております。
これまでの区市町村の計画的な取り組み及びこうした支援事業の活用により、平成二十二年四月一日現在、都内公立小中学校の耐震化率は八八・四%となり、耐震化は着実に進捗しております。
公立小中学校施設の耐震化の早期完了のためには、国の十分な財政措置が必要不可欠であり、都教育委員会は、国の来年度の予算編成に対し、耐震化事業の十分な財源確保及び国庫補助率のかさ上げ措置の延長を要望してまいります。
次に、公立小中学校普通教室の冷房化についてでございます。
学校の施設、設備の整備は、学校の設置者が行うこととなっており、公立小中学校の普通教室の冷房化については、設置者である区市町村の権限と責任において行うものでございます。
一方、公立小中学校における空調設備の導入経費を対象に、地方交付税の交付団体にあっては国が三分の一を、不交付団体にあっては国が七分の二を補助する制度がございます。各区市町村がこれを活用しながら、それぞれの判断で空調設備の整備を進めております。
現在、国において、全国の公立学校の空調設備の設置状況を調査中であり、都におきましても、各区市町村教育委員会に対し、その所管する小中学校の冷房化の現状と今後の対応について調査を行っております。これらの調査の分析結果や市町村の動向も踏まえ、検討してまいります。
次に、特別支援教室構想における巡回指導を行う教員の確保と高度な専門性についてでございます。
特別支援教室構想は、これまでの通級指導学級のように、児童生徒が在籍校を離れることなく、すべての小中学校に設置する特別支援教室で専門性の高い教員による巡回指導を受けられる体制を整備し、在籍校において適切な指導と支援を実現するものでございます。
巡回指導を行う教員には、発達障害の児童生徒の指導のみならず、学級担任の指導力向上に向けた支援も求められますために、巡回指導担当教員の確保と専門性の維持向上は重要な課題でございます。
そのため、特別支援教室の導入に向けて実施するモデル事業の中で、指導力向上のための研修の内容や実施体系、人事交流の促進等に関する研究、検証を行い、専門性の高い人材の育成に努めてまいります。
次に、障害が軽度、中度の生徒の職業能力の開発や就労につなげる取り組みについてでございます。
障害のある生徒の職業的自立を推進するためには、生徒一人一人の職業能力の開発や働く意欲、就労に必要な知識、技能の定着が極めて重要であります。
このため、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、今後も見込まれる知的障害が軽い生徒の増加に対応するため、高等部職業学科のさらなる増設を行うこととしております。
さらに、障害が中程度の生徒につきましても、働くために必要な知識、技能を体験的に学ぶ作業学習及び就業体験の工夫、中学部から高等部への一貫性のある教育の実施、民間企業や関係部局等との連携による企業開拓など、これらに努めまして、障害のある生徒の職業的自立を支援してまいります。
〔東京都技監河島均君登壇〕
○東京都技監(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、羽田空港と臨海副都心との公共交通アクセスについてでございますが、首都圏の発展を支え、国際競争力を強化するためには、羽田空港と臨海副都心を初めとする中核拠点を結ぶ交通インフラの整備を進めることが重要でございます。
現在、鉄道輸送力増強のため、京急蒲田駅の改良事業を進めているほか、来月には京浜急行及び東京モノレールの国際線ターミナル新駅が開設される予定でございまして、羽田空港へのアクセスは格段に向上すると考えております。
東海道貨物支線の旅客線化につきましては、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、今後整備について検討すべき路線として位置づけられております。
これまでに、国や沿線自治体などから成る協議会に都も参加し、貨物線と旅客線の併用化について検討を行っておりますが、沿線の需要、事業採算性、貨物線ダイヤとの調整などの課題が指摘されており、今後とも関係機関とともに議論をしてまいります。
次に、辰巳一丁目団地の建てかえについてでございますが、辰巳一丁目団地は昭和四十年代建設の大規模団地の中でも建設年次が古く、建物や設備の老朽化が進行し、ほとんどの住棟にエレベーターが設置されていないことなどから、早期の建てかえが必要と考えており、今後、地元との調整も図りながら、速やかに建てかえ事業に着手いたします。
本団地では、建てかえにより、住宅の集約を行った後、用地を創出し、辰巳駅周辺にふさわしい都市機能の導入、都市基盤の整備などを進めてまいります。
本団地の建てかえに当たりましては、居住者の移転先の確保につきまして十分に配慮するとともに、建てかえ事業の期間中においても、既存の各住棟について過去の修繕の実施状況や建てかえの着手時期を勘案して、必要な修繕工事を実施するなど、居住者が安心して生活を続けられるよう対応してまいります。
最後に、大規模団地の建てかえ事業への取り組みについてでございますが、昭和四十年代建設の大規模団地の多くは、高層住棟と中層住棟が混在し、また、エレベーターがある住棟とない住棟が混在しているなどの特性を有しております。
建てかえに当たっては、こうした点を踏まえ、建設年次や老朽化の度合い、設備やバリアフリー化の状況、地域のまちづくりとの連携や周辺市街地の状況などを勘案いたしまして、順次建てかえ計画を策定し、事業に着手してまいります。
その際、地元区市に対しては、計画検討の早い段階から情報提供や協議、調整を行い、区市のまちづくりが円滑に進むよう取り組んでまいります。
建てかえ事業の実施に当たっては、団地敷地内で住棟の配置や工区割りなどに工夫を凝らすことにより、建物の除却、建設や居住者の移転を円滑に実施し、事業の迅速な推進を図ってまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
○財務局長(安藤立美君) 法人事業税の暫定措置についてお答えをいたします。
二十一年度に一兆円もの減収となりました都税収入は、来年度におきましても大きな好転は期待できませず、厳しい財政環境は今後も続くと見込まれております。こうした状況にありまして、将来にわたり、継続的かつ安定的に都政がなすべき役割を果たすためにも、この不合理な暫定措置は決して容認できないものであります。
今求められておりますことは、地方税財政制度の抜本的な改革であり、暫定措置のような都市の財源を当てにした自治体間の財政調整では、地方の困窮という問題を根本的に解決することはできないと考えております。
したがいまして、国は暫定措置を直ちに撤廃するとともに、地方税財源そのものの拡充を早急に進めるべきであり、都はその実現に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
○知事本局長(秋山俊行君) 臨海副都心での特区についてでございますけれども、臨海副都心は空港、港湾からの交通アクセスにすぐれ、コンベンションや研究施設、有力企業のビジネス拠点の立地など、ほかにない複合的な機能を備えておりまして、こうした特性をさらに発展することができれば、国際競争力の強化にも大きな貢献が期待できるものというふうに認識をしております。
国は現在、特区構想の実現に向けた具体的検討に着手をしておりまして、地方自治体や民間企業などに対しまして、広くアイデアの募集がございましたことから、都といたしましても、臨海副都心を海外企業のアジア拠点とするための提案を行ったところでございます。
この特区の実現には、今後、国におきまして具体的な制度構築などを進めた上で、新たな法律の成立が前提となりますことから、今後とも国の動向を見ながら必要な協議を行うなど、対応を図ってまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
○港湾局長(中井敬三君) 東京港における物流の活性化についてお答えをいたします。
東京港の利用を促進し、一層の貨物集荷を進めるためには、コストの低減と利便性向上が重要であると認識しております。
このため、都はこれまで、川崎市、横浜市と連携して、入港料の一元化やはしけを活用した三港のコンテナ輸送の効率化など、さまざまな取り組みを展開してまいりましたが、今般、国際コンテナ戦略港湾に選定されたことを契機に、ターミナル使用料のさらなる低減や、コンテナターミナル周辺の道路混雑の緩和など、東京港の魅力向上に向けた取り組みを一層強力に推進してまいります。
また、国に対しても、ふ頭経営の主体となる埠頭会社を対象とした優遇税制や、ガントリークレーンの補助制度の創設を求めていくとともに、国道三五七号の整備事業や東京港臨海道路Ⅱ期事業の推進などについて、引き続き強く働きかけてまいります。
こうした取り組みを通じて、今後ますます激化するであろうアジア主要港との熾烈な国際競争の中で確固たる地位を築いてまいります。
〔建設局長村尾公一君登壇〕
○建設局長(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、今後の中小河川整備の取り組みについてでございますが、首都東京を水害に強い都市とするためには、中小河川の整備を効果的に進め、早期に安全性を向上させていくことが重要でございます。
このため、都は、東京都豪雨対策基本方針や東京都技術会議の報告を踏まえ、近年の局地的かつ短時間の集中豪雨も視野に入れ、平成二十一年度から今後の河川整備のあり方の検討を行っており、具体的には、過去の水害の分析や、これまでの河川整備の効果検証等を進めております。
今後、学識経験者などの意見も聞きながら、河川のさらなる安全性の向上を目指し、必要となる河川施設について検討を深めてまいります。
次に、広域調節池についてでございますが、中小河川の整備に当たっては、広範囲に一様に降る台風性の降雨や局地的集中豪雨など、さまざまな降雨に対応することが重要でございます。
本年六月の東京都技術会議で提言のあった広域調節池は、複数の地下調節池をトンネルで連結し、流域を超えて相互に活用できる施設でございます。この調節池は、近年増加傾向にある局地的かつ短時間の集中豪雨の際、特に有効な施設と考えており、今後の河川整備の計画策定に向け、さらに検討を深めてまいります。
今後とも、さまざまな工夫を重ね、安全で安心なまち東京の実現を目指してまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
○下水道局長(松田二郎君) 下水道事業の浸水対策のご質問にお答えをいたします。
地下街など浸水の危険性が高い地区における下水道施設の整備についてでございますが、これまで新宿駅や池袋駅周辺など四地区では、雨水を貯留する施設などを整備し、浸水被害の軽減に努めてまいりました。
今後は、新たに上野駅や新橋駅周辺などの五地区を加えて、一時間七五ミリの雨に対応できる貯留施設などの整備を進めてまいります。
さらに、浸水予想区域図などに基づきまして、浸水の危険性の高い二十地区では、下水道幹線やポンプ所などの基幹施設を整備することで、雨水を排除する能力の増強に努めてまいります。
施設の整備に当たりましては、一部完成した施設に雨水を暫定的に取り込み、貯留するなどして、整備効果の早期発現を図ってまいります。
今後とも、安全・安心な東京のまちづくりに貢献するため、浸水対策事業を着実かつ積極的に推進をしてまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
○福祉保健局長(杉村栄一君) 初めに、救急医療機関の耐震化に関する二点の質問にお答えいたします。
まず、耐震化の調査についてでありますが、都は昨年度、国の補正予算を活用して、耐震化緊急整備事業を創設するとともに、これらに加え、今年度から都独自の支援策を実施するなど、救急医療機関の耐震化の促進に努めております。
こうした取り組みにより、本年八月現在、東京都指定二次救急医療施設二百五十四カ所のうち、約八割の施設は既に耐震化に取り組んでおり、すべての建物が耐震化の基準を満たしていない施設は四十三カ所となっております。
今後、これらの施設の耐震化を進めるためには、お話のとおり、施設ごとに具体的な課題や問題点を明らかにすることが有効であることから、改めて詳細な調査を実施し、必要な対応策を検討してまいります。
次に、耐震化に係る財政措置についてでありますが、国が平成十九年度に創設した医療施設耐震整備事業は、補助対象が耐震補強工事に限定されており、基準面積や補助単価も実態に即したものとなっておりません。
また、平成二十一年度の補正予算で措置された耐震化対策臨時特例交付金は、新築建てかえを対象としたものの、単年度事業であることに加え、財源も不十分であったため、一部の医療機関しか活用できませんでした。
このため、都は国に対し、耐震整備事業において新築建てかえを補助対象とするとともに、基準面積や補助単価を引き上げることなどについて提案要求をしており、今後とも国に強く働きかけてまいります。
また、都が今年度創設した独自の補助制度については、救急医療機関の耐震化を着実に促進するため、引き続き実施してまいります。
次に、認知行動療法に関する三点についてお答えをいたします。
まず、認知行動療法を実施する医療機関情報の提供についてでありますが、都は本年四月から新たに認知行動療法が医療保険の対象となったことを受けまして、診療科目や対応可能な疾患等の情報を提供している医療機関案内サービス「ひまわり」に、医療保険適用となる認知行動療法を実施している医療機関の情報を追加いたします。
また、区市町村、保健所等の職員に対しましても、都が実施する研修等の中で、認知行動療法を行う医療機関の情報を周知し、都民の相談にこたえてまいります。
次に、保険適用の範囲についてでありますが、うつ病等の気分障害に対する認知行動療法は、今年度から新たに診療報酬の対象となったところであり、都としては、まず医療機関における認知行動療法の実施の状況を把握することが重要であると考えております。
保険適用の要件等も含め、実施上の課題につきましては、医療機関や専門家の意見も踏まえながら、適切な時期に国に対して提案要求をしてまいります。
次に、認知行動療法の普及についてでありますが、都はこれまで、精神保健福祉センターで培ってきたノウハウを活用し、企業の人事担当者などを対象としたうつ病休職者の職場復帰支援に関するシンポジウムや、区市町村の保健師等専門職を対象とした実務研修などで認知行動療法を紹介してまいりました。
今後、認知行動療法を一層普及するためには、お話のように、幅広い医療や福祉の関係者の理解を深めていくことが必要なことから、現在実施しております実務研修の対象を医療機関の精神保健福祉士や看護師等にも拡大するなど、研修の充実を図ってまいります。
次に、高齢者を地域で支える区市町村の取り組みへの支援についてでありますが、都はこれまで、区市町村包括補助事業を通じて、町内会、民生委員、ボランティアなどによる声かけや配食サービスを活用した安否確認など、地域の実情に応じた取り組みを支援してまいりました。
また、今回の高齢者所在不明問題を受けまして、百歳以上高齢者の数と所在確認上の課題について、現在、区市町村への調査を行っております。
今後、この調査結果も参考にしながら、関係各局と連携をいたしまして、区市町村が現場で直面している実態や課題を改めて把握し、地域において高齢者に対する取り組みを実施している区市町村を支援してまいります。
次に、児童虐待に関する四点についてお答えをいたします。
まず、児童相談所の体制強化についてでありますが、都では複雑困難な事例の増加に対応するため、児童福祉司を平成十三年度から二十一年度までの八年間で六十六名を増員いたしまして百七十二名とするとともに、チーム制を導入し、複数の児童福祉司が協議をしながら事例に当たっております。
また、児童相談の経験を有する専門性の高い人材を確保するため、民間からの人材登用も行っております。
さらに、平成二十二年度には、児童相談センターの児童福祉相談専門課長を二名に増員をいたしまして、困難事例へのスーパーバイズや業務研修を充実するなど、各児童相談所の職員の専門性の向上に努めております。
今後、こうした取り組みを一層充実させ、児童相談所の体制強化を図ってまいります。
次に、子ども家庭支援センターと児童相談所の情報交換の場の充実についてでありますが、児童虐待を早期に発見し、適切に対応するため、子ども家庭支援センターと児童相談所は定期的に会議を開催し、要保護児童に関して情報交換や支援方法の協議を行うなど、連携を図っております。
また、個別事例について、子ども家庭支援センター職員が児童相談所の援助方針会議に参加したり、児童相談所職員がセンター職員の訪問に同行するなど、日常的な業務の中での連携も進めております。
今後とも、子ども家庭支援センターの対応力の向上に向けて、センターと児童相談所との情報交換の場を一層充実してまいります。
次に、区市町村職員の育成支援についてでありますが、子ども家庭支援センター職員の相談援助技術の向上を支援するため、児童相談所では区市町村から研修生の受け入れを行っており、これまで短期の研修については四十九の区市町村から、一年間にわたる長期派遣研修については五区から受け入れております。
また、区市町村の職員を対象とした児童福祉司任用資格認定講習会の受け入れ人数を昨年度の八十人から今年度は百四十人に拡大をいたしまして、困難事例に対応できる職員の育成を支援しております。
さらに、子ども家庭支援センターの虐待対策ワーカーにつきましては、平成二十一年度から増配置を行った場合に補助金を加算し、複数配置を促しております。
今後、こうした取り組みを一層進め、区市町村の対応力を強化してまいります。
次に、区市町村との連携を深める方策についてでありますが、平成十七年度に児童福祉法が改正され、区市町村が児童虐待を含む児童家庭相談の第一義的窓口となることが明確化されました。
都ではこれに先駆け、区市町村の対応力を強化するため、児童虐待に対応する専任ワーカーを配置した先駆型子ども家庭支援センターの設置を推進し、現在、四十九の区市町村に設置されております。
また、平成二十一年度には、島しょ部を含む全区市町村に要保護児童への支援を地域の関係機関が連携して行うための協議会等が設置され、子ども家庭支援センターや児童相談所を中心としたネットワークが整いました。
今後は、こうしたネットワークを活用し、これまで以上に児童相談所と区市町村との連携を深めてまいります。
次に、HTLV-1に関する二点についてお答えをいたします。
まず、医療関係者等の理解の促進についてでありますが、HTLV-1の主要感染経路は母乳を介した母子感染であり、これを防ぐためには、母子保健や医療の関係者などが正しい知識を持ち、妊婦に対して健康診査や授乳方法についての指導を行うことが重要であります。
このため、都は、関係者に対して母子保健研修等により、HTLV-1についての情報提供を行ってまいりました。
現在、国においてはこの三月に公表された厚生労働科学特別研究事業の報告を受け、全国一律の抗体検査やカウンセリングの実施など、HTLV-1の総合的対策について検討を行っておりますが、今後、この検討結果を踏まえまして、都としても必要な研修を実施するなど、母子保健や医療の関係者などの理解促進に努めてまいります。
次に、HTLV-1に関する情報提供や相談体制についてでありますが、母子感染を予防し、また、感染者に対する偏見を生まないためには、HTLV-1に関する都民の理解を促進することが重要でございます。
また、お話のとおり、抗体検査で感染が判明した場合には、妊婦の心身のケアなどの取り組みが必要でございます。
今後、都は、母子保健事業の実施主体であります区市町村が、母子健康手帳交付時の妊婦への普及啓発や、感染が判明した人へのケアなどを行えるよう、国の検討結果を踏まえ適切な対応を行ってまいります。
次に、飼い主のいない猫対策についてでありますが、都は、平成十九年度から包括補助事業により、飼い主のいない猫対策を行う区市町村を支援しており、これを活用するなどして、三十六の区市町村が猫の不妊去勢手術について費用助成を行っております。
今後、さらに多くの区市町村が対策に取り組むよう、動物愛護担当者会議で参考事例を紹介するなど、働きかけを行ってまいります。
また、猫対策を初めとする動物の適正飼養の普及におきまして、身近な相談員でございます動物愛護推進員が果たす役割は大きいことから、ご提案も踏まえまして、制度や推進員一人一人の地域における取り組みについて、都民への周知方法を検討してまいります。
次に、犬の登録率等の向上についてでありますが、都はこれまでも動物取扱業者に対し、販売時に犬の登録制度や狂犬病予防注射の必要性について説明するよう、監視指導や講習会等において周知をしてきました。
また、犬の登録等の事務を行っている区市町村や東京都獣医師会等と連携し、動物病院でも犬の登録や注射に関する手続が行えるようにするとともに、飼い主に対する普及啓発を進めてきました。
今後、動物取扱業者に対する監視指導の際に、犬の登録や予防注射の必要性を一層徹底するとともに、区市町村が動物取扱業者と協力をして、犬の登録率等の向上に向けたさまざまな取り組みを進められるよう支援してまいります。
次に、島しょ地域の医療用画像伝送システムについてでありますが、来月から稼働するシステムは、画質や電送速度などの機能向上に加え、新たに双方向での情報交換が可能となるウェブ会議機能の追加を特徴としております。
具体的には、現地の医療機関の医師と島しょ医療の基幹病院である都立広尾病院の医師とが、モニターで症例を確認しながら意見交換を行うことができるほか、広尾病院が行う臨床講義の聴講や研究会への参加が島にいながら可能となります。また、島しょ間においても、本システムを活用して一層の連携を深めることができるようになります。
このシステムの導入により、医師が安心して医療に従事できる環境が整備され、島しょ医療がさらに充実するものと考えております。
最後に、八丈町での白内障手術についてでありますが、都は、島しょ地域に生活する方々の安全・安心を確保するため、島しょ地域の医療の充実に努めております。
八丈町についても、医師確保支援や町立病院の運営費等の補助を行うとともに、眼科や耳鼻咽喉科などの医療については、専門医療確保事業などを通じて支援をしております。
お話の白内障手術の実施につきましては、町立病院における専門診療体制の見直しを視野に入れた上で検討すると聞いており、今後、町の意向も聞きながら適切に対応してまいります。
〔生活文化局長並木一夫君登壇〕
○生活文化局長(並木一夫君) 二点のご質問にお答えします。
初めに、私立学校、私立幼稚園の耐震化についてでございますが、都は、私立学校等の耐震化を促進させるため、耐震診断については対象経費の五分の四を、耐震補強工事、耐震改築工事については対象経費の三分の二を、特に倒壊の危険性が高い建物につきましては五分の四の補助率とする私立学校安全対策促進事業を行っております。
その結果、本年四月一日現在における都内私立学校等全体の耐震化率は約七三%となっております。
都といたしましては、引き続き耐震化説明会や建築士による耐震相談などの耐震化普及啓発事業を通じて、補助制度の積極的な活用を働きかけていくとともに、生徒児童等の生命を震災から守るべく、私立学校等の耐震化をより一層促進するための運用改善などを検討してまいります。
次に、個人情報保護法令に対する理解の促進についてでございますが、東京都の個人情報保護条例では、相当の理由がある場合などにおいて、個人情報の都の内部における利用や、国、他の自治体への提供ができると規定し、その活用に道を開いているところでございます。
個人情報を保護しつつ、地域活動を円滑に進める上では、個人情報の保護と活用のバランスをとることが極めて重要でございまして、広く個人情報保護法令に対する正しい理解を浸透させることが必要でございます。このため、都におきましては、パンフレットの作成や説明会の実施により、個人情報保護法令の普及啓発に努めてまいりました。
今後とも、こうした取り組みを引き続き進めますとともに、新たに区市町村の職員に対しまして、個人情報保護に関する説明会への参加を呼びかけますとともに、個人情報保護法令の理解促進に向け、積極的に取り組んでまいります。
〔水道局長尾崎勝君登壇〕
○水道局長(尾崎勝君) 応急給水対策が十分に機能する取り組みについてでございますが、都民への応急給水は、応急給水槽や浄水所、給水所などの給水拠点における資器材の整備は都が行い、住民への給水は区市町が行う役割分担となっております。
各区市町は、個々の給水拠点における応急給水のために活動計画を定めておりますが、職員が参集できないことも想定されますことから、町会、自治会を初めとする多様な主体と連携して、応急給水訓練を行うなどの動きもふえてきております。
このような動きをさらに広げ、より実践的なものとするため、ご指摘を踏まえ、区市町の計画の現状を十分に把握し、連携の具体策の協議を行うとともに、町会や自治会などが活動しやすいような施設整備を進め、応急給水活動の一層の充実を図ってまいります。
〔総務局長比留間英人君登壇〕
○総務局長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、罹災証明の発行に向けた取り組みについてでございます。
都では昨年三月、区市町村向け復興マニュアルを策定し、その中で罹災証明の円滑な発行を図るため、発行手順や都の支援体制を示したところです。
一方、国におきましては、電子地図やスキャナーの活用により、被害状況の調査から罹災証明の発行まで、作業を大幅に短縮する被災者支援システムの研究が進められております。
しかし、都内の区市町村の多くは、罹災証明を発行する際に必要な消防の火災情報や固定資産税情報を所有しておらず、国のシステムではこのような東京都特有の課題に対応できません。そのため、現在、関係局や区市の代表から成る検討会を設置して、こうした課題について調査研究を行っております。
今後、これらの成果を生かし、国と協力して東京都版システムの開発に向けて取り組みを進めてまいります。
次に、三宅島のバイクレースの内容とバイクを活用した今後の島の観光振興についてでございます。
ことしの十一月には、三宅島ならではの景観を生かし、国内でもトップクラスのライダーが参加する賞金をかけた迫力のあるバイクレースを実施いたします。
また、このレースの模様をインターネットを使って中継するとともに、島民による郷土芸能や島の子どもたちによる応援により、島全体を挙げて取り組んでいくこととしております。さらに、これを契機に、今後もオフロードバイクの愛好家を広く受け入れるため、島の自然を生かしたツーリング環境の整備などについて、島の取り組みを支援していきます。
こうした取り組みにより、島の持つ魅力を今まで以上に広くアピールすることで、三宅島の観光振興につなげてまいります。
次に、今後の監理団体活用とさらなる改革についてでございます。
東京都監理団体活用方針では、都政を支える重要なパートナーである監理団体の存在意義を明確にし、都施策推進のさまざまな場面において、より一層監理団体を活用することとしております。
活用の具体例として、指定管理者制度においては、都との密接な連携による運営が求められ、かつ民間では対応困難な施設について、監理団体の特命での選定を可能とするなど、活用の幅を広げていくこととしました。
あわせて、経営の一層の透明性の向上や事業評価の充実を図るとともに、監理団体の公益性を明らかにするため、公益法人への移行に向けた支援、指導を行っていきます。
今後とも、都民サービスの一層の向上のため、監理団体を積極的に活用しつつ、不断の改革に取り組んでまいります。
最後に、報告団体の位置づけの明確化についてでございます。
報告団体は、公益性の観点から、都が出資者等の立場で関与を行っているものの、基本的にはみずからの経営責任のもと自主的な経営を行う団体でございます。
そのため、都はこれまで、団体の決算や職員数など運営状況に関する報告を一律受けるにとどまっておりましたが、個々の団体を見ますと、出資比率、都財政支出、都施策との関係性など、その態様はさまざまであるため、各団体への関与のあり方について、改めて見直す必要があると認識をしております。
今後、年内を目途に、すべての報告団体について、関係局とともに事業内容や都との関連性について精査し、位置づけを明確にした上で、その類型化に取り組んでまいります。
〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕
○病院経営本部長(川澄俊文君) 都立病院における認知療法、認知行動療法の取り組みについてでございますが、都立病院では地域医療機関との役割分担に基づき、一般の精神科病院では困難な疾病に対応し、地域医療連携を軸とした精神科医療を推進しております。
診療に当たっては、さまざまな精神科専門療法の中から適合するものを選択し、実施しております。
認知療法、認知行動療法につきましても、ことし四月に診療報酬点数が新設されたことから、松沢病院と広尾病院において算定を開始したところでございます。
引き続き、患者の病態に応じた治療法を選択し、患者中心の医療の実現に向け、最善を尽くしてまいります。
〔環境局長大野輝之君登壇〕
○環境局長(大野輝之君) 島しょ地域におけます森林被害の対応についてでございますが、本年七月、三宅島、御蔵島、八丈島におきまして、樹木の害虫であるカシノナガキクイムシにより、島しょに多く分布しているシイの木の一種、スダジイが枯れる被害の発生を都内で初めて確認いたしました。
こうした被害が拡大いたしますと、島しょの貴重な自然や観光産業にも大きな影響を与える可能性があるため、直ちに現地調査を行い、当面の対応策を取りまとめました。
来月には、被害状況をより正確に把握するため、航空機により上空からの三島の調査を実施いたします。
また、この調査と外部専門家の意見を踏まえ、被害を受けた木に対する殺虫処理を行うとともに、観光資源ともなっている重要な巨木には被害の予防措置を行うなど、地元自治体とも連携し、被害の拡大を防止してまいります。
〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕
○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、現在地再整備案の使用料についてです。
市場の使用料は、用地費、用地取得と一体で考えるべき基盤整備費などを除き、施設建設費及び維持管理費を基本に算定することとしております。
議会局によりますれば、維持管理費につきましては、基本設計まで行わなければ具体的な算出ができないため、現在地再整備案では、売り場面積等について豊洲新市場と同規模として計画していることから、豊洲新市場の維持管理費と同額としてございます。
このため、主に施設建設費の違いが使用料の差としてあらわれており、建設費が高い現在地再整備案の使用料は、豊洲新市場の約一・三倍から一・六倍という結果となっております。
加えまして、市場再整備検討に係る調査中間報告書によりますれば、現在地再整備案では、豊洲に比べ敷地が狭隘であるため、建物を多層化しており、昇降機の台数増や空調、換気設備の能力アップなどによる光熱水費等の増加、また、駐車場が地下化されていることによる給排気設備の運転費の上昇等が想定されております。
このように維持管理費の増大が見込まれることから、現在地再整備案の使用料につきましては、今回の試算の水準をさらに上回ることが考えられます。
次に、今回提案されてございます現在地再整備案の建設費と過去の建設費との乖離についてです。
過去の建設費につきましては、卸売り場など都が整備する基幹施設と冷蔵庫、加工パッケージ、通勤駐車場などの民間が整備する施設との区分はなく、都が一括して整備することとしていたため、民間が整備する施設の費用が含まれてございます。
また、再整備工事着手後、約五千平米の地下ターレ置き場の設置や、新たな営業動線の確保など、市場業界の要望を取り入れ、さらに建設用地を確保するため、築地川東支川埋立経費などを含め積算したものでございます。
これに対しまして、今回提案された現在地再整備案は、建設費に民間が整備する施設の費用が含まれてございません。また、今後想定されます施設計画等への市場業界からの要望や意見を反映したものでないことなどから、過去の建設費とは大きな乖離が生じてございます。
なお、再整備案のうち、晴海に全面仮移転して再整備を行う案では、民間整備費は約七百十億円となっており、土壌汚染対策費、埋蔵文化財調査費などを含めますと、その整備費全体は過去の建設費と同程度になると、特別委員会の質疑の中で明らかにされてございます。
したがいまして、両者は試算の前提となる要素や条件が全く異なるものであるため、単純に二つの建設費を比較することは妥当ではないと考えます。
〔消防総監新井雄治君登壇〕
○消防総監(新井雄治君) 防火安全対策に関するお尋ねでありますが、火災が発生した高円寺南雑居ビルの状況や、その後に実施した緊急一斉立入検査の結果、多くの雑居ビル等は立入検査により法令違反を一度是正させても違反が繰り返され、再び立入検査をするまで違反したまま営業していることが明らかになりました。
こうした実態は、関係者の防火意識の希薄さによるところが大きく、約三十二万棟の建物を有し、小規模雑居ビルのテナントの入れかわりの激しい東京の特殊性を見れば、査察のみで関係者の防火意識を向上させることは困難な状況であり、潜在的な危険から都民の安全を担保しつつ、建物関係者の自発的な防火対策への取り組みを促す仕組みが必要であります。
このため、都民みずからが建物の安全情報を入手し、利用を判断できるよう、立入検査で把握した違反を公表する制度を創設していきますとともに、公表した情報を積極的に商店街や関係業界に提供し、各団体の自発的な安全への取り組みも強力に促していくこととしております。
今後は、こうした新たな制度の周知に努め、地域の商店街等とこれまで以上に連携し、広く都民と事業所の防火意識を醸成するとともに、徹底した違反是正に取り組んでまいります。
〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕
○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 二件のご質問にお答えいたします。
まず、スポーツ祭東京二○一三についてでございますが、都におきましては、スポーツを通じて障害のある人とない人の連帯の輪を広げるため、国体と全国障害者スポーツ大会を全国で初めて一つの祭典として開催することとし、スポーツ祭東京二○一三という統一愛称を定めました。
平成二十五年九月二十八日の国体開会から、十月十四日の全国障害者スポーツ大会閉会までの十七日間を一体的な会期として、それぞれの競技のほか、障害者もともに参加できるデモンストレーションとしてのスポーツ行事など、都民のスポーツへの関心を高めるさまざまな事業を都内全域で展開してまいります。
今後、会場となる六十二のすべての区市町村との連携のもと、多くの都民参加を実現し、新たな国民スポーツの祭典の姿を全国に発信すべく、開催準備に万全を期してまいります。
次いで、スポーツ振興の取り組みについてでございますが、だれもがスポーツを楽しむことができるスポーツ都市東京を実現するためには、年齢や障害の有無にかかわらず、スポーツに親しめる環境の整備が重要でございます。
このため、平成二十年に策定した東京都スポーツ振興基本計画に基づき、地域スポーツクラブの設立、育成を支援するとともに、多くの参加者を集める東京マラソンやウオーキング大会を初め、さまざまなスポーツイベントを実施するなど、身近にスポーツを楽しめる環境づくりを進めております。
また、スポーツ施設についても、スポーツ祭東京に向けた計画的な改修、改築をバリアフリー化を取り入れて進めるとともに、東京の新たなスポーツ拠点となる武蔵野の森総合スポーツ施設の整備に着手することといたしております。
さらに、障害者スポーツの普及を図るため、関係団体とも連携し、障害者が身近にスポーツを実践できる場の開拓、地域のキーマンとなる人材の育成、そして積極的な情報発信などに取り組み、障害者がスポーツに親しめる環境を整えてまいります。
今後、これらの取り組みを一層推進し、子どもから高齢者、そして障害者まで、だれもがスポーツのすばらしさと感動を共有できる社会を実現してまいります。
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