午後三時開議
○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百十三番三宅茂樹君。
〔百十三番三宅茂樹君登壇〕
○百十三番(三宅茂樹君) 平成二十二年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
来る十月二十一日、羽田空港は新滑走路と新国際線ターミナルが開業します。東京は世界と一段と深く結ばれ、国際都市として新たな段階に入ります。羽田が、我が国初の国営の民間航空専用飛行場として開設されたのは一九三一年のことであります。それから今日に至る約八十年の間に、東京と日本は目覚ましい発展を遂げましたが、それには幾多の先人の労苦があったことは、改めて申し上げるまでもありません。
我が都議会自民党も、首都の議会人としての責任と誇りを胸に抱き、粉骨砕身、全国をリードする大都市東京の創造に取り組んでまいりました。
そして今、二十一世紀の厳しい国際競争の時代にあって、羽田空港の再拡張、国際化の実現や三環状道路の迅速な整備など、日本の活路を開き、次なる発展を導くための礎となる政策を、知事と連携して推進しております。
こうした交通インフラのネットワークは、東京の都市構造を従来とは全く異なる新たなステージに引き上げ、東京を含む首都圏を大きく変貌させるものであります。人、物、情報の交流を、国内はもとより国際的にも活性化し、産業力強化やビジネスチャンスを創出して、我が国全体の活力を高めるもととなります。
さて、現下の民主党政権は、国家の根幹となる検察制度や外交の面で、日本は一体どうなるのかという不安を国民に与えているようです。
都議会自民党は、日本が国家として生き残るため、また、都民、国民の未来を切り開くために不可欠な、長期的、大局的視点に立った政策を実現してきました。今後とも、都民、国民の期待にこたえる政策を実現してまいります。
ところで、都政がしっかりとした政策を打ち出していく上で重要なのが財政です。
予算編成の本格化を間近に控え、改めて都財政を取り巻く状況を見渡すと、二十一年度の都税収入が前年度から一兆円も減少するなど、非常に厳しい環境に直面しています。先を見据えても、当面、税収の大きな好転は期待できそうにありません。
加えて懸念しているのは、国が検討している国庫補助負担金の一括交付金化などの動きが都財政に与える影響です。今後、いたずらに都の財源を奪い、負担を増すような動きがあれば、都民生活を守ることを最優先に、知事と都議会が団結し、主張することははっきりと主張していくべきことを、ここに強く申し上げます。
このような厳しい中での来年度予算は、一見相反する二つの課題に、しっかりと対応するものでなければなりません。
まず何よりも、山積する都政の諸課題に積極的に対処していくことです。都民や中小企業が直面している足元の課題に対応するとともに、少子高齢化対策やインフラ整備など、東京の将来を切り開く取り組みも着実に進めていかなければなりません。
一方、基金など、限りある財政対応力を堅持することも大事です。今後も厳しい財政環境が見込まれる中、将来にわたって都がなすべき役割を果たしていくためには、中長期的に施策展開を支え得る強固な財政基盤が不可欠です。
昨年度同様、難しい予算編成となりますが、この難題にこたえるには、国で行われているいわゆる事業仕分けとは違い、都独自の事業評価を通じ、施策の効果を一層高めるなど、これまでの堅実な財政運営で行ってきた取り組みをさらに進めていくことが重要であると考えます。
そこで、財政対応力を堅持しながら、都政の諸課題に対処するために、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
また、都は、これまで「十年後の東京」で描いた近未来図の実現に向け、インフラ整備を初め、環境、産業、福祉など、幅広い分野で先進的な取り組みを着実に実施してきました。都財政は厳しい環境に直面していますが、こういうときにこそ、都民にとって真に必要な施策を果敢に実施し、都民に安心と希望を与え、東京がさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変われるよう取り組みを加速化することが必要です。
先般、都は、実行プログラムの策定方針を明らかにしましたが、平成十八年に策定した「十年後の東京」も、計画期間半ばに差しかかっています。これまでの取り組みを十分に検証した上で、目標の実現を確実なものにしていくべきと考えますが、実行プログラムの改定に当たっての考え方を伺います。
一方、地方全体を見渡すと、地方財政が厳しい中において、超高齢社会の到来や地方分権改革の進展により、地方の役割はますます増加し、膨大な財政需要が発生することは避けられません。
こうした状況を見据えると、地方税財政を分権時代にふさわしいものへと抜本的に改革することで、地方の財源そのものを拡充することが不可欠です。しかしながら、民主党政権は、このような本質的な問題に真正面から取り組もうとはしていません。
比べて、国政における我が自由民主党は、さきの参議院選挙において、消費税を含めた税制の抜本改革を正々堂々とマニフェストに掲げ、終始一貫した主張を行ってきました。理念なきみずからの発言のぶれに右往左往する総理とは対照的でありました。
さらには、現実から逃げない都議会自民党としては、地方税財源の拡充には、地方消費税の議論から目を背けてはならないと考えています。もとより、かねてから主張しているとおり、法人事業税の暫定措置のような小手先の手法では、何ら問題は解決しません。暫定措置は直ちに撤廃し、本筋の議論を進めていかなければなりません。
知事も、先日の所信表明で、国は消費税の議論から逃げてはならないと発言されました。そこで、地方税財源の拡充に向けた知事のお考えを伺います。
また、国庫補助負担金の一括交付金化など、国の動きについて都の見解を伺います。
次に、アジアにおける都市外交について伺います。
世界の成長センターとなり、国際経済を牽引するまでになったアジア地域にいち早く目を向け、就任後、速やかに都市間ネットワークの構築に取り組まれた知事の視点は、まさに炯眼であったと思います。
地球環境問題やテロ、感染症対策など、東京が抱える問題は、東京や日本国内だけでは解決できず、国際的な取り組み、とりわけ地理的にも近接したアジア諸国との連携が不可欠であります。東京の持つ技術、ノウハウをアジア諸国に積極的に提供することは、日本の成長、発展にもつながります。
我々都議会自民党は知事と手を携え、アジア大都市ネットワーク21の強化やオリンピック招致活動などを通じたアジア諸都市との積極的な交流に努めてまいりました。
この十年間、アジアに貢献せんと取り組みを重ねてこられた知事に、今後、アジア大都市ネットワーク21を通じて、東京とアジアの発展にどう取り組んでいくのかお伺いします。
アジア各都市で開催されてきたアジア大都市ネットワーク21の総会も、会員都市をほぼ一巡し、ことしは第一回総会以来、二度目の東京での開催となります。これまでの取り組みを総括し、ネットワークを新たなステージに飛躍させる節目の大会として成功させなければなりません。
アジア大都市ネットワーク21は、都市と都市の連携を中心に進められてきましたが、アジアは、行政のみならず多くの主体によって動かされています。そうしたさまざまな主体のダイナミックな活動を引き出していくことが重要であると思います。
アジアのさらなる発展につなげていくための絶好の機会ともなる東京総会に、どのように取り組んでいくか伺います。
次に、監理団体改革について伺います。
これまで我が党は、監理団体とは、公益性を最優先する行政と経済効率性を最優先する民間の双方の力を兼ね備えた都政の重要なパートナーであり、監理団体を行政の担い手として有効に活用していくことが、目指すべき都政の姿であると主張してきました。
雇用や環境などの分野で、行政に求められる役割がますます高度化、複雑化する中、都民生活の向上に寄与する政策を実現していくためには、監理団体の持つ特性を生かし、効果的に施策を推進していく必要があります。
例えば、公の施設の管理運営に関する指定管理者制度について、都は、政策との連動性や管理運営の特殊性等を考慮して、公の施設の運営主体として監理団体を活用できるように制度運用の見直しを行いました。
このように行政の一翼を担う監理団体は、安定した経営基盤のもと、必要な人材育成や都との人材交流を活発にするなど、これまで以上に都と連携を深め、事業を運営していくことが求められています。
今般、都が策定した東京都監理団体活用方針では、都政の一翼を担う監理団体の存在意義や活用の考え方が明確に整理されており、大変評価できるものとなっています。
一方で、監理団体を積極的に活用するに当たっては、都民の理解を得るためにも、これまで以上の情報公開や公共性のアピールが重要となってきます。
都は今後、監理団体の活用について、どのような取り組みを行っていくのか、改めて見解を伺います。
次に、都幹部職員の再就職について伺います。
早期に退職の勧奨を受け、渡りを繰り返す国の天下りとは異なり、定年、または、その直前まで働いた都の幹部職員が、退職後も、その在職中に培った知識や経験を社会のさまざまな分野で生かしていくことは、大変意義のあることと考えます。
都政の重要なパートナーである監理団体や、都が出資等を行っている報告団体に対して、都はこれまでも、その責任において幹部職員の中から適任者を推薦し、団体の適切かつ効率的な事業運営に資するよう、人的に支援してきました。さらに、再就職した課長級以上の職員の氏名等を公表し、その結果も明らかにしてきました。
また、民間企業への再就職についても、その求めに応じて有用な人材の情報提供を行っています。
しかしながら、幹部職員の再就職について、いやしくも都政の公正な運営に疑念を持たれることのないよう、その手続の透明性や情報公開などを、これまで以上に徹底していかなければならないのはいうまでもありません。
こうした我が党の主張を受け、このたび都が都庁版人材バンクを整備し、幹部職員の再就職状況について都民にわかりやすい形で明らかにしたことは大いに評価できます。
そこで、都庁版人材バンクを通して、幹部職員の再就職の手続や結果の透明性をどのようにして確保するのか、その考え方を伺います。
次に、公会計制度改革について伺います。
厳しい財政状況が続く中で、自治体が、その説明責任を果たし効率的な行財政運営を行っていくためには、真の財政状況を把握し、住民に対し明らかにしていくことが強く求められており、複式簿記・発生主義会計による公会計制度改革への取り組みが不可欠であります。しかし、都の制度導入以降も、全国の自治体においては改革が十分に進んでいないのが現状であります。
我が党のかねてからの主張を受け、都は他の自治体に対し、支援活動やさまざまな普及活動を行ってきました。大阪府が平成二十四年度から、都と同様の新公会計制度を導入すると発表したことは、こうした取り組みの成果であります。
さらに都は、大阪府と立ち上げた共同プロジェクトを展開する中で、改革に意欲的な自治体を支援するなど、全国の公会計制度改革の推進に取り組んでいるところです。
東京都と大阪府が展開する新たな取り組みは、必ずや閉塞した現在の状態を打破してくれるものと期待するものであります。今後、どのように取り組みを進めていこうとしているのか、所見を伺います。
ところで、平成二十年度一般会計決算については、昨年の各会計決算特別委員会で不認定となりました。その結果、認定の際に付される意見がつかず、これまでなされていた改善措置の議会への報告が途切れることとなってしまいました。
決算審査における議論や意見を行政に反映させるためにチェックするのは、議会の重要な役割であります。この役割を果たすため、我が党はみずから決算特別委員会で述べた意見に対する取り組み状況について調査を行いました。今後とも、我が党は議会としての責任を全うしていくことを申し上げ、次の質問に移ります。
高齢者対策について伺います。
七月以来、全国各地で所在不明の高齢者がいることが次々に明らかとなり、マスコミをにぎわしております。こうした問題の背景には、戦後六十五年を経る中で、国家への帰属意識、地域とのつながり、家族のきずなのいずれもが失われてきたことがあるといえます。一部には、今回の事件に事寄せて、行政がすべての面倒を見るべきだと主張する向きもありますが、行政による取り組みのみで解決できる問題ではありません。今必要なのは、家族のきずなを取り戻し、そして社会全体のきずなを再生することであります。
これまで日本において、家族が果たしてきた役割と、最近の家族の意識の変化やそのありようについて、いかがお考えになられているのか、知事のご所見を伺います。
一方、都内では、高齢者のみの世帯やひとり暮らしの高齢者が増加しております。これからは、こうした方々が安心して地域で暮らし続けるために、家族による支援に加え、地域での見守りを進めるべきと考えますが、都の所見を伺います。
次に、介護保険制度について伺います。
介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みとして定着してきました。
平成二十四年度には制度改正が予定されていますが、今後とも持続可能な制度としていくためには、供給するサービス量の確保とともに、それを支える財政面もあわせて慎重に検討し、さらなる高齢者人口の増大に備えていかなければなりません。
とりわけ、地域の実情に応じて必要なサービスを安定的に確保していくことが重要な課題となります。現在、都内の介護事業者は、人材不足など厳しい経営を強いられています。その原因は、人件費や物価などが高い都市部の実情が介護報酬に反映されていないことにあります。
次期の制度改正に向け、こうした東京の実態を踏まえ、必要な見直しを国に求めていくべきと考えます。
都は先日、介護保険制度のあり方などに関する提言を国に行ったとのことですが、提言の趣旨と今後の取り組みについて伺います。
次に、後期高齢者医療制度について伺います。
後期高齢者医療制度は、超高齢社会に備え、我が国が世界に誇れる国民皆保険制度を将来にわたって堅持するため、高齢者の方々の医療費を社会全体で支える仕組みとして、十年にわたる議論の末に構築されたものです。
しかしながら、国は、高齢者を年齢で区分するこの制度は廃止して、新たな高齢者医療制度を立ち上げるとし、昨年十一月に高齢者医療制度改革会議を設置し、先月二十日には中間取りまとめが行われたところです。
しかし、その内容は、後期高齢者は国民健康保険と被用者保険のいずれかに加入し、国民健康保険の財政運営は都道府県単位にすると示したに過ぎません。高齢者の医療費が今後もふえ続けるにもかかわらず、財政負担や運営方法など、制度の根幹にかかわる部分は引き続き検討とされており、重要な問題を先送りにした極めて不十分なものとなっています。
特に、国民健康保険は、加入者の多くが高齢者や低所得者であり、医療給付費の総額に見合った保険料収入の確保が困難なために、保険者である区市町村が一般会計から補てんすることで、どうにか運営が成り立っているという構造的な課題を抱えています。国民健康保険が破綻必至であることについては、改革会議で一切議論がされていません。国は年末には最終取りまとめを行うとしていますが、こうした根源的な問題が放置されたまま制度改正を行うことは、国民皆保険制度を危うくするものです。
そこで、高齢者の医療制度のあり方に関する都の認識を伺います。
次に、認知症疾患医療センターについて伺います。
高齢者とその家族が地域で安心して暮らし続けられるようにするには、医療と介護の連携が重要であり、今後、増加が見込まれる認知症高齢者に対しても、医療と介護の両面からの支援を進める必要があります。
国は、医療と介護の連携や一般開業医などへの認知症の理解促進に加え、認知症の周辺症状や身体合併症に対する医療を担う認知症疾患医療センター事業を進めています。この事業は、多様な医療資源を有する都の実情に必ずしも沿うものではなく、実施に当たってはセンターの役割などについて検討を要すると考えますが、医療と介護の連携を進める、この点には有効な施策であると考えます。
都は、医療機関の実態を踏まえ整備を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
次に、がん検診について伺います。
我が国では、現在、二人に一人ががんにかかるといわれ、東京都においても、年間約三万人もの方ががんで亡くなるなど、がんは都民にとって重大な脅威となっています。がんによる死亡を減少させるには、検診で早期発見し、治療につなげることが重要です。
都は、東京都がん対策推進計画に基づき、がん検診の受診を促進していますが、都民の検診受診率は、全国と比較しても依然として低い状況にあります。区市町村における住民検診はもとより、職場におけるがん検診の取り組みを進め、受診を一層促進すべきですが、都の所見を伺います。
次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
昨年四月に新型インフルエンザが海外で発生して以降、都は被害を最小限に抑えるため、二十四時間対応の発熱相談センターの設置を初め、医療資器材の備蓄や小児重症患者の入院受け入れ体制の確保など、さまざまな対策に取り組んできました。
我が都議会自民党も、かねてより世界的大流行、パンデミックを見据えた医療資器材の備蓄や医療体制の整備を都に求めており、それを受けた都の取り組みとして、これらは高く評価するものです。
先月十日、世界保健機関、WHOは、今回の新型インフルエンザの流行状況の段階をポストパンデミック、世界的大流行後とする旨を発表しました。しかし、パンデミックを過ぎても、感染拡大への警戒が必要な状況は変わりません。
都として、秋以降の再流行、さらには今後の強毒型に備えるためにも、患者の発生動向やウイルスの変異を的確に把握することが重要と考えますが、調査、監視を行うサーベイランスの取り組みについて伺います。
また、都民に適切な医療を提供するための医療体制の確保も重要と考えますが、再流行に備えた取り組みについて伺います。
都における新型インフルエンザの医療提供体制を整備する上では、都立病院が果たすべき役割は大きいものがあります。的確な診断や合併症への対応など、都立病院は、新型インフルエンザの患者に適切な医療を提供するための十分な対策を講じておく必要があると考えます。
そこで、都立病院の新型インフルエンザ対策の取り組みについて伺います。
新型インフルエンザのほかにも、感染症は、人類、とりわけ大都市東京に住む私たち都民にとって大きな脅威です。一類、二類感染症のような高度な医療を必要とする感染症や希少感染症、大規模流行が懸念される感染症、どのような感染症が発生した場合であっても、拡大防止を図るために万全の体制を整備しておく必要があります。いざというときに柔軟、迅速な対応が可能となるよう、都立病院が感染症診療体制を強化していくことは、都民が大いに期待するところであり、重要な役割の一つであると考えます。
そこで、都は、都立病院の感染症医療機能の強化についてどのように取り組むのか伺います。
今月、都内複数の病院で、極めて高い薬剤耐性を持つ多剤耐性アシネトバクターによる院内感染が発生しました。アシネトバクターは土の中などに通常存在している菌であり、健康な方が感染してもほとんど無害です。多剤耐性菌が免疫力の低下した入院患者などに感染すると生死にかかわることもあります。院内感染を予防するには、まず、医療機関みずからが予防策に取り組むことが重要です。
都は、医療機関における院内感染対策の徹底にどう取り組むのかを伺います。
次に、産業、雇用対策について伺います。
まず、現下の経済、雇用情勢についてであります。
都議会自民党は、一昨年秋のリーマンショックによる経済危機に対し、中小企業への資金繰り対策や受注確保策に加え、雇用対策においても雇用創出策などの緊急対策を都に要請し、その実現を強く推進してきました。
こうしたことから、東京の経済は厳しいながらも回復の途上にありましたが、八月には、十五年ぶりといわれる急激な円高となり、その影響が懸念されております。
政府及び日銀は、ようやく今月十五日に為替介入を実施しましたが、欧米各国が、為替相場を通じて自国経済に有利な状況を戦略的に生み出そうとしているのとは対照的に、民主党政権は確たる戦略が見えないといわざるを得ません。いうまでもなく円高は、ようやく息を吹き返しつつあった企業業績を圧迫し、景気を下振れさせかねない大きな問題であります。
都として、地域の中小企業などの現場の実情をしっかりと把握し、速やかな対応を行うべきと考えますが、現在の景気、雇用情勢をどのように認識し、どのように対応していくのか、所見をお伺いいたします。
都は厳しい景気局面の中に、国に先んじて数々の中小企業支援策を打ち出してきました。とりわけ目指せ中小企業経営力強化事業では、我が党の主張を踏まえて、きめ細かい経営診断を受け、販路開拓が必要とされた企業に対して、展示会出展の助成を行った結果、新たな取引先や仕事を確保できた企業も数多いと聞いております。
この事業を活用し、経営力の強化や展示会への出展を希望する企業が依然として多いという状況は、厳しい経営環境を積極的に乗り越えようとする経営者の意欲のあらわれであり、歓迎すべきことと受けとめております。現在、出展支援の対応が十分に追いついていないとの話も聞いていますが、やはり、前向きに頑張る中小零細企業の取り組みを、本事業によりしっかりと応援していくことが重要と考えます。
都はこのような状況を踏まえ、中小企業が新たな販路を見出していくための支援を引き続き切れ目なく展開していくべきと考えますが、所見を伺います。
国内の市場だけでなく、海外での販路開拓を進めていくことも重要です。特に、これからも高い経済成長が見込まれ、購買力が着実に拡大しつつあるアジア市場の需要を取り込もうとする都内中小企業を支援する施策の拡充が求められています。
実際に都内中小企業から、自社製品をアジアでも販売したいが具体的にどうしたらよいかとの話もよく聞かれます。中小企業が海外企業との取り引きを展開するに当たっては、現地の商習慣や法律に関する情報をしっかりと集め、市場の動向を実感できる海外見本市に参加するなど、入念な事前準備が欠かせません。しかし、これらを中小企業が独力ですべて行うことは容易ではないのが実態であり、幅広い多種多様な商品分野を対象にした、行政によるきめ細かな支援こそが必要になるものと考えます。
さらには、知的財産の侵害などのトラブルに見舞われるリスクを軽減しながら、アジア地域で戦略的に素早い事業展開が可能となるような取り組みを、しっかりと行政が支援することも重要です。
こうした状況を踏まえ、都として中小企業の海外販路拡大の課題にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
雇用環境の厳しさは依然として続いています。特に懸念されるのが、これから社会に出ようとする新規学卒者の就職の問題です。国の調査結果では、この春卒業した大学生の就職率は九一・八%にとどまり、過去二番目に低い数字だといいます。さらに、来年春に卒業予定の学生の状況はさらに深刻化しています。民間の調査では、大卒求人倍率が前年よりも悪化していることに加え、就職できずに留年し、捲土重来を期す学生も全国で約八万人に達しているといいます。
我が党は、この問題の本質的な解決のためには、政府が明確な成長戦略を示した上で、実効性のある経済対策を進め、雇用創出を図ることが不可欠と考えますが、現民主党政権においては、雇用が第一といいながら、いかに雇用を確保していくのかの道筋が見えないといわざるを得ません。新卒対策についても、企業への採用奨励金の増額や既存事業の規模拡大を打ち出してはいますが、小手先の対策にとどまっており、国として本腰を入れた取り組みとは思えません。
都内には、世界に誇る技術を持ったものづくり企業を初め、成長力のある多様な中小企業が多数存在します。そうした企業は次代を担う人材を求めており、現在の状況を、優秀な人材獲得の好機ととらえるところもあります。現下の切迫した状況において重要なことは、そうした意欲ある企業と社会に出ようとする若者との橋渡しをきめ細かく行い、ミスマッチを解消することだと考えます。
しかしながら、ミスマッチ解消のためには、若者本人の意欲や努力も重要です。社会人として仕事をして給料をもらうということには厳しさも伴います。現実は決して甘くはありません。若者には強い意志を持って就職を決め、社会的に自立してもらいたいと強く期待いたします。
現在、新卒者をめぐる就職環境は、就職氷河期の再来ともいえる状況です。新卒者の就職支援について、都は、優秀な人材を求める中小企業と、厳しい現実に直面する新卒者との橋渡しに重点を置いた取り組みを進める必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、都市農業について申し上げます。
都市農業の今後を考える場合、次代を担う若い農業者の活動が極めて重要になっています。先日、九月十五日に開催した都議会自民党都市農政を考える議員連盟と都内農業者の皆さん二百三十名との意見交換会の中で、若い農業者の活動実績発表があり、日々新しい感覚で都市農業に取り組む姿に大変感銘を受け、心強く感じました。
その一方で、農地制度や税制度などに関する要望があり、都市農業が難しい課題を抱えていることを改めて痛感いたしました。制度にかかわる問題については、国に強く改善を働きかけることが必要ですが、農業経営の改善や地産地消の拡大などさまざまな取り組みを通じて、若い農業者の皆さんが希望を持って取り組める環境をつくらなければならないと考えますが、所見を伺います。
次に、築地市場の移転、再整備について伺います。
現在、特別委員会で検討されている現在地での再整備案については、少なくとも二十年以上にわたる工期、割高な施設建設費による使用料の大幅な上昇、売り場の重層化構造による業務効率の低下、さらに仮移転先の晴海については、今後の港湾施設への悪影響、都市計画変更や地元住民の合意形成の難しさなど、数多くの、しかも解決の見通しがつかない大きな問題点を抱えています。新市場整備に当たって大前提となるのは、そこで日々商売を行っている業界の理解を得るということです。
しかし、今回の案について、業界団体の代表者は、さきに行われた参考人招致において、営業活動に深刻な影響を与えるものであり、しかも不確定要素が多く、実際に実現可能なのかさえわからない計画で到底容認できないと主張し、強い反対を表明されています。ただでさえ厳しい経営を圧迫し、実現可能性すら確信が持てない計画に対して、業界の理解が得られないのは当然のことです。今回、民主党から提案された現在地再整備計画案を一言で表現いたしますと、全く現実感のない、実現不可能な机上の空論といわざるを得ません。
そもそも築地市場が抱える問題は、安全性の危機的状況や、産地、顧客ニーズに対応したコールドチェーンなどの品質管理、施設整備など、一刻の猶予もない課題なのです。今回の案では、その解決がこれから二十年以上も先送りされるということであり、全く論外の話です。
次に、都議会の責任についてです。
この問題に対する業界の意向については、過去、既に結論が出ており、ことしに入ってからも築地の業界六団体のうち、いわゆる五・五団体は、都議会に対し、豊洲新市場建設計画の推進に向けた声明を提出しています。今回の参考人招致でも改めて意向を確認しており、業界の意向は明白なのです。それにもかかわらず、さらに事業者一人一人への意向調査が必要という主張について、業界団体の代表者は、この間の努力を台なしにし、業界内部に大きな混乱をもたらすとして強く批判しています。事業者一人一人への意向調査という主張は、本来都議会が判断すべき責任を業界に押しつけるということになります。
老朽化が限界に達している築地市場の現状、そして日々の業務に大変苦労しながら、これまで長い年月をかけて議論を積み重ね、移転への結論を出し、一刻も早い新市場の整備を待ち望んでいる業界のことを考えれば、この問題の先送りはできません。都議会としても、この問題に対する検討結果を早期に取りまとめることこそが、その義務であり、責任を果たすことになるのです。こうした状況の中で、都政を預かる知事の見解を伺います。
我が都議会自民党は、残された少ない時間の中で、早期に検討結果をまとめ、二十六年度中の新市場開場を可能とするために必要な予算が速やかに執行されるよう、その実現に向けて全力を挙げる決意であることを表明いたします。
国際化する羽田空港の一層の機能発揮について伺います。
羽田空港は、来月の新しい滑走路と国際線ターミナルの供用開始によって、名実ともに本格的な国際空港として新しい時代を迎えることになります。世界の大都市で競争が激化している中、新たな羽田空港は、国際競争力を高める上で極めて頼もしい存在となるはずです。そのためにも、羽田空港の機能を十二分に発揮させていくことが重要であると考えます。今後の取り組みについて、知事の所見を伺います。
さらに、羽田が本格的な国際空港として生まれ変わろうとしている今、空港の跡地についても、早期にまちづくりをスタートさせる必要があります。先月、都、国、地元区から成る羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協は、羽田空港跡地まちづくり推進計画の素案を公表しました。空港に隣接しポテンシャルの高いこの跡地について、今後どのようにまちづくりを進めようとしているのか、所見を伺います。
次に、東京外かく環状道路の整備推進について伺います。
本年四月に国土交通省は、外環の新たな整備手法を表明しましたが、その後の通常国会で、前提となる法律改正の審議が遅々として進まず、現在も法案は継続審議となったままであります。外環をどのように整備していくのか、いまだ不透明な状態です。このような閉塞感を打開するために、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟では、外環の早期完成を求め積極的に行動しているところであります。
国は外環の重要性、地元地権者の生活再建の切実な願いにこたえ、その責任においてしっかりとした対応を行うべきであります。都においても、外環の早期完成に向け、引き続き積極的に対応すべきと考えますが、今後の都の取り組みについて伺います。
東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、東京が日本を牽引する力を発揮していくためには、道路ネットワークの形成はもとより、交通のボトルネックとなっている踏切の解消が不可欠であります。都内にはいまだ千百四十カ所の踏切が残されており、交通渋滞や市街地の分断など、都市の活力の低下を招く要因となっております。
こうした中、京浜急行本線・空港線連続立体交差事業により、一昨日、環状八号線の踏切が解消されました。我が党がこれまで幾度となく主張してまいりました、抜本的な踏切対策である連続立体交差事業をより一層推進していくことが重要であることを、改めて確信しております。
そこで、連続立体交差事業の推進に向けた都の取り組みについて伺います。
東京と神奈川を結ぶ道路は、交通渋滞の解消、防災性や安全性の向上のみならず、羽田空港、東京港や横浜港を連絡し、国際競争力の強化や都市の活性化を図るなど、我が国の経済を支える重要な社会資本であります。このため、放射第一号線の国道一号、放射第二号線の中原街道や、放射第四号線の国道二四六号などは、都県境を超えて整備されてきました。
しかしながら、放射第三号線である目黒通りは、都心から川崎を経て横浜へ至る重要な骨格幹線道路であるにもかかわらず、多摩川にかかる橋梁が未整備であるため、都県境を超えたネットワークが形成されておりません。そこで、東京と神奈川を結び、新たなネットワークを形成する橋梁整備について伺います。
次に、都営住宅団地の建てかえによる活力ある都市づくりの推進についてお伺いします。
我が党では、都営住宅の建てかえを進めるとともに、用地を創出し、これを活力ある都市づくりに活用するべきであると主張してまいりました。これにこたえ、都は、建てかえに際して創出した用地に、各種の施設の整備や民活事業の導入を行うなど、地域の活性化に資する取り組みを進めてきました。
十万戸を超える昭和四十年代建設の都営住宅団地のうち、既に中小規模の団地の建てかえは始まっていますが、これに加え、大規模団地の建てかえにも本格的に着手し、活力ある都市づくりを推進していくことが必要です。都では、四十年代建設の大規模団地の建てかえについて検討を行っていると聞いていますが、今後どのような考え方で進めていくのか、また、どの団地から着手していくのか伺います。
次に、京浜三港連携について伺います。
京浜港は、国土交通省から国際コンテナ戦略港湾に指定されましたが、今回の選定に当たっては、昨年十一月から九カ月にわたり、京浜港広域連携議員推進連盟も国交省へのたび重なる要請行動を行い、全面的な支援活動を展開してまいりました。今回、無事に選定されたことは喜ばしいことですが、「労多くして功少なし」では困ります。選定した立場の国は、みずから選んだ京浜港に対して、アジア諸港に対峙できるよう、しっかりとした支援を行うべきと考えます。
そこで、国はどのような重点投資を行うつもりなのか、また、それを踏まえて都はどのように取り組みを行うのか伺います。
多摩地区水道の経営改善について伺います。
我が党では、さきの第二回都議会定例会において、多摩地区水道のレベルアップと地元事業者の活用について言及しました。平成二十三年度末の事務委託解消は間近に迫っており、広域的な施設整備や市町間の格差解消、市町の水道を長年支えてきた地元事業者の活用など、課題解決に向けた取り組みは急務と考えます。
そこで、水道局では、新たな計画を策定しておりますが、具体的にどのような対応策を盛り込んだのか、また、今後しっかりと取り組んでいくべきと考えますが、決意のほどを伺います。
次に、治水対策について伺います。
今夏は中国甘粛省やパキスタンなど、世界各地で大規模な水害が発生しました。東京においても、七月の集中豪雨により、石神井川があふれ浸水被害が発生しています。また、本年は関東一円が浸水した明治四十三年の大洪水から百年の節目に当たります。先人は治水を百年の計としてとらえ、この洪水を契機に、首都東京を守るため、荒川放水路開削という偉業をなし、その恩恵を我々が今享受しております。
近年、時間一〇〇ミリを超える局地的集中豪雨が多く発生していることを踏まえ、都の中小河川において、現在の河川の整備水準である時間五〇ミリを超える降雨にも対応していくなど、治水対策をさらに発展させるべきと考えます。今後、水害から都民を守るため、中小河川整備をどのように進めるのか、見解を伺います。
河川整備による治水対策のほか、水害への備えとしては、内水はんらんの軽減のための取り組みも極めて重要であります。
東京は、道路の下に下水道管が網の目のように張りめぐらされており、大きなものでは地下鉄が入るほどの規模であります。これらの下水道施設は、雨水の排除や貯留という重要な役割を果たすことで、日本の政治経済の中枢である東京の都市機能を、人の目に見えない地下から支えてきました。
これまで一時間五〇ミリの降雨に対応できるよう、基幹施設の整備を着実に進めるとともに、局所的な集中豪雨に対しては、クイックプランなどに基づいて施設整備を進め、浸水被害の軽減に効果を発揮してきたことは評価します。しかし、最近のゲリラ豪雨による浸水被害の状況を考えると、さらなる浸水対策の強化が求められます。
そこで、浸水被害の軽減に対して今後の下水道事業をどのように進めるのか、所見を伺います。
次に、駐車問題について質問いたします。
まず、駐車規制についてですが、平成十八年に民間の駐車監視員制度が導入されて以降、都内全域において、渋滞緩和や交通事故防止には一定の成果があらわれております。ところが一方で、路上での荷さばきなどの経済活動に支障を来すなどの弊害も出てきており、我が党はかねてよりこの問題に取り組み、過去の都議会での質問などで、駐車規制の緩和を求めてまいりました。これを受けて警視庁は、都民や周辺住民の意見を踏まえながら、荷さばき車両に配慮した駐車規制緩和区間を十カ所決定したと聞いております。
今後、規制緩和を早急に実施できるよう準備を進めるとともに、さらなる緩和区間の見直しを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
都民の日常生活や仕事をしていく中では、やむを得ない事情で短時間の駐車をすることがあります。しかし、幾ら短時間とはいえ、駐車禁止場所に駐車してしまえば、当然駐車違反ということになります。そこで我が党は、このような問題に対応するため、適切な場所に短時間の利用ができるパーキングメーターを設置することを提案したところであります。その後の警視庁における検討状況、今後の見通しについて伺います。
次に、地球温暖化対策について伺います。
本年四月、都は、自主的取り組みに終始してきた我が国の温暖化対策にとって画期的な、国内初のキャップ・アンド・トレード制度を開始しました。今後、温暖化対策を真に根づかせていくためには、規制的手法の枠組みを活用しつつ、その対策が経済的なメリットも生み出し、さらに新たな環境ビジネスを育てていく好循環を実現することが必要であります。都は、本年度キャップ・アンド・トレードとともに中小規模事業所の省エネ設備の導入費用を助成し、この事業で生み出されたCO2削減量を大規模事業所の総量削減義務の履行に活用する省エネ促進プロジェクトを開始しております。
こうした規制と誘導の組み合わせは、温暖化対策の推進はもちろん、中小企業にとっては設備更新の機会を拡大し、さらには新たな経済成長への波及効果も生み出す、まさに三方得の仕組みであると考えます。
都は、規制の枠組みを経済活性化とともに両立させる、このような先進的な取り組みをさらに推進していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
私立幼稚園に対する補助について伺います。
幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、私立幼稚園もその重要な役割の一端を担っています。とりわけ都内では、園児約十七万人のうち九割を超える園児が私立に通うなど、私立幼稚園に対する保護者などの期待は非常に大きいものがあります。
ところが民主党政権は、国の就園奨励費を見直し、その対象園児の約七割を占める最大の階層で、保護者の負担を増加させる制度変更を行いました。我が党は、これに反対するとともに、都に対し激変緩和策を要望した結果、今年度限りの時限措置ではありますが、総額九億円に及ぶ私立幼稚園等就園奨励特別補助が創設され、保護者や幼稚園関係者から高い評価を得ております。一方、国の制度見直しに対しては、公平性に欠けると指摘する声が日に日に高まっております。
国の来年度予算の概算要求を見ても、今年度、就園奨励費が減額された階層への補助単価は、若干増額されたものの、依然として大きな負担が残ることが懸念されます。このような一部の階層のみが負担増となる不公平な制度は是正されるべきものと考えますが、今後の都の対応について伺います。
特別支援教育について伺います。
平成十九年の学校教育法の改正により、特殊教育から特別支援教育に転換し、従来の特殊教育の対象であった視覚、聴覚、知的、肢体不自由、病弱の障害に加え、小中学校などの通常の学級に在籍する知的なおくれのない発達障害も、新たに対象に含まれることとなりました。
また、特別支援学校に在籍する障害が重複する児童生徒の教育の充実を図るために、都道府県の実情に応じて、複数の障害に対応した特別支援学校を設置できるようになるなど、障害のある子どもの教育をめぐる状況は大きく変化しようとしています。これからの特別支援教育は、特別支援学校を設置する都道府県と特別支援学級を設置する区市町村とが、それぞれの役割分担に基づいて、障害のある子どものための教育環境を整備していくことが求められています。
こうした中、本年七月八日に都教育委員会から東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画案の骨子が公表されました。そこでまず、都における障害のある子どもの教育を充実させていくために、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画の策定に当たっての基本的な考え方を伺います。
次に、今回の骨子で示された障害のある児童生徒の将来推計によれば、平成三十二年度までに知的障害特別支援学校の在籍者が約二千五百人増加することが明らかになりました。都教育委員会は、これまでも東京都特別支援教育推進計画第一次、第二次実施計画において、特別支援学校の教室確保に努めてきましたが、今回の将来推計で、教室不足の状況はさらに厳しいものとなることが明らかです。
今回の第三次実施計画は、東京都特別支援教育推進計画の締めくくりであると聞いております。したがって、骨子で示されている知的障害特別支援学校の再編整備は、これからの子どもの増加に十分に対応できるものとすべきと考えますが、見解を伺います。
また、小中学校の通常の学級に在籍している発達障害の子どもは、知的なおくれはないものの友達とのかかわりがうまくとれない、こだわりが強い、落ちつきのないといったことから、学校生活上多くの課題を抱えています。各区市町村では、こうした子どもに適切な指導を行うため、情緒障害等通級指導学級の設置を進めていますが、今回示された障害のある児童生徒の将来推計によれば、平成三十二年度までに、同学級の在籍者が約四千人増加することが明らかになりました。
こうした中、都教育委員会は、第三次実施計画において新たに特別支援教室構想を打ち出しました。この構想の実現に向けては、区市町村との緊密な連携が不可欠と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
次に、スポーツ振興についてお伺いします。
都は、スポーツ振興施策を一元的に推進し、一層の充実強化を図るため、スポーツ振興局を設置しました。従前からスポーツの持つ意義、魅力、影響力を強く訴え、スポーツ立国を第一に提唱してきた我が党としては、国に先駆けたこの取り組みを評価しております。
スポーツ振興局の事業の中で、とりわけ平成二十五年の東京国体につきましては、都議会一丸となった招致活動もあり、開催が正式に決定し、いよいよ残すところ三年となっております。七月には大会の愛称やマスコットも決定したようであり、これから大会の開催機運を一気に盛り上げ、五十四年ぶりに首都東京で開催する国体を成功させなければなりません。
全国障害者スポーツ大会とあわせ、今後、全都を挙げた開催への取り組みをどのように進めていくのか、実行委員会の会長でもある知事の所見をお伺いします。
また、大会愛称やスローガン、マスコットキャラクターは、昨年来、制定作業を進めてきたものですが、東京国体ならではの特色やメッセージなどが込められているものと思います。そこで、これらがどのような考え方によって作成されたのか、お伺いします。
続いて、都立スポーツ施設について伺います。
都立スポーツ施設は、東京国体や国際スポーツ大会などの競技会場となるのみならず、都民が日常的にスポーツを楽しむ場としても重要な役割を担っています。また、スポーツを通じてにぎわいを創出し、地域を活性化する拠点ともなります。
このほど、我が党がかねてから主張してきた区部における駒沢オリンピック公園総合運動場の改修、改築、そして多摩地域において新設される武蔵野の森総合スポーツ施設の基本計画が策定されました。東京のスポーツ拠点として、両施設の着実な整備を期待するものであります。
そこで、今後、都は、この二つの施設を東京のスポーツ振興の中でどのように位置づけ、整備を進めていくのか、所見を伺います。
結びに、東京都議会自由民主党は、今後とも、都民、国民の期待に真にこたえる政策を実現するべく、全身全霊をささげ、石原知事とともに進めてきた改革の原点、すなわち東京から日本を変えるという志を断固貫いていくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 三宅茂樹議員の代表質問にお答えいたします。
まず、地方税財源の拡充についてでありますが、地方の真の自立とは、地方がみずからの才覚と責任で地域を主宰していくことでありまして、そのためには、権限とそれに見合う財源を確保することが必要であります。
社会保障など地方の役割がますます大きくなる中、一刻も早く地方消費税の引き上げを初め、税財源の拡充をすべきであります。
破綻の危機に瀕した国家財政の立て直しは、遅々として進んでおりません。もとより、消費税の引き上げは不可欠であります。
消費税の逆進性についていろいろ議論がありますが、課税対象の仕分けも含めて、これを決してタブーにせずに、いろいろ積極的な議論、検討をしていけばよろしいと思います。
ゆえにも、国と地方とは、この問題に正面から向き合いまして、本気で取り組んでいきませんと、日本の未来はもうないと思いますね。
いうまでもなく、かつては民主党の議員も国会で非常に強烈に反対をしておりました法人事業税の不合理な暫定措置は、本質的な問題の解決にはなり得ません。直ちに撤廃すべきだと思います。
地方主権の理念を実現するために、東京の立場から、税財政制度の抜本的改革に早急に着手するように、国に強く迫っていくつもりであります。
次いで、東京とアジアの発展についてでありますが、アジア大都市ネットワーク21は、各国の首脳部、心臓部であります都市が連携することで、アジアの可能性を花開かせ、新たなアイデンティティーを確立するとともに、アジアが世界を代表する新しい地域として自律的に発展することを目指してきました。
アジア各都市が直面する問題を解決すべく、共同事業を推進しております。いろいろな事業を推進しておりまして、現場レベルでの技術、ノウハウの共有が進んでおります。
東京は、みずからの成長、成熟の過程で獲得してきた数々の知識、経験を生かしまして、参加各都市との信頼関係を強固なものにしております。
現実的、具体的な積み重ねこそが、アジアとの相互理解を推し進めるわけでありまして、東京が先導して、環境、経済、文化など幅広い分野での協力関係を築くことで、アジアの調和のとれた発展を目指していきたいと思っています。
今まで何度も会議を重ねてまいりましたが、幾つか、その具体的な成果としてもたらされたものがございます。今、アメリカの妨害をはね返して、やっと三菱重工がつくろうとしている、世界で非常に需要度の高い中小型のジェット旅客機の開発、これは、この総会ではなしに、分科会で、三菱重工の専門家も含めた各国の航空機の専門家が合議してまいりまして、ようやく今度の計画の中に、台湾とインドがこの設計・製造部分に参加するということになりました。
こういった国がさらに数多く参加することで、かつてYS11をアメリカが画策して東南アジアの販路をつぶしたという被害を避けて、アジア自身がつくったアジアのマーケットでこの飛行機が活躍するということを期待しております。
さらに、危機管理ネットワークでは、アジアの危機管理会議で、災害に対する情報やノウハウを交換しまして、現に、先般の東京の災害対策の演習でも、ソウルや台北、シンガポールから専門家が参加してきておりまして、そのノウハウを持ち帰っております。
また、さらに、アジア感染症プロジェクト、いつ爆発するかわからない鳥インフルエンザなどの感染症対策のためにも、情報共有のネットワークを整備しております。
次いで、家族の重要性と社会の連帯の再生についてでありますが、人間はだれしも、他者とかかわることなしに生きてはいけません。家族は、そうした人間の人生を支える原理公理においての連帯の最小単位でありまして、しかし、最近の傾向として、高齢者の所在不明に関するいろいろな事象からも、家族は機能不全に陥っているということは、だれにも明らかであると思います。
今日の日本は、残念ながら金銭が価値の第一になりまして、いたずらな権利主張が横行する一方で、社会や、国家や、あるいは自分の属している地域社会への帰属意識、責任感が失われつつあります。これは、家族が日本人の立場や世代というものを超えて継承していかなくちゃいけない垂直な価値の基軸というものを失いつつあるという証左だと思います。
日本を立ち直らせるためには、家族を再生させ、社会の連帯も結び直さなくてはなりません。国民一人一人が、家族への愛着を持ち、社会、国家についても主体的に考えることが必要であると思います。まさに福沢諭吉がいったように、国を考えることは、公のことではなくて、私ごとであります。
そうしたよすがともなるように、教育や青少年の健全育成、福祉、防犯などで、都民、地域がともに手を携える取り組みを都なりに進めてまいりました。
長い年月を経て失ってきたものを、なかなか一朝一夕に取り戻すのは難しいと思いますが、しかし、日本人がかつて脈々と受け継いできたものを確かに伝えるべく、今後も多角的な取り組みを重ねていきたいと思います。
先般、東京都で露見しました、三十年前に亡くなったおじいちゃんを弔いもせずにミイラ化して、その年金を詐取する、まして五年前に亡くなった連れ合いのおばあちゃんの、教員だった方の組合が家族を扶助する、それまで詐取したという、こういう人間としてまさに下劣な物の考え方、感じ方、生き方というのは、私は、本当に日本の民族そのものが、堕落して、衰弱してきた、その一つの典型的な証憑じゃないかと思います。
次いで、築地市場の移転、再整備についてでありますが、築地市場は、施設の老朽化がもはや限界であります。耐震性やアスベストに不安を抱え、一たび震災に遭えば、市場機能が麻痺し、都民生活に甚大な影響を与えることになります。
今、行政の責任として求められていることは、豊かで安定的な食の供給を将来にわたり確保するために、一刻も早く首都圏三千三百万人の食生活を支えるこの新市場整備を早期に進めていくことであると思います。
現在、都議会において、現在地再整備の検討が行われておりますが、築地の置かれている厳しい現状を踏まえますと、もう残された時間は非常に少ないと思います。もはやこの問題をこれ以上先送りすることは許されません。
勝手に振り上げたこぶしかもしれませんが、しかし、おろすことも国民のためでありまして、これは冷静にお互いに考える必要があると思います。
既に、日本の最高権威の学者たちによって検証されているこの豊洲の土壌の汚染というものを、科学的、技術的に再生できるという証左があるわけですから、これを議会の方々も、冷静に、科学的に検査して、検証して、早急に結論を出し、都民、市場関係者に対して責任ある対応をすべきであると思います。
その結果を踏まえ、市場に責任のある都として、この問題に対応してまいります。
羽田空港の一層の活用に向けた取り組みについてでありますが、羽田空港は、いよいよ来月、新しい滑走路と国際線ターミナルの供用を開始いたします。東京の都心に極めて近い羽田が、国際線と国内線をあわせたハブ空港として本格的な国際空港に生まれ変わることによりまして、我が国の空のアクセスは新たな時代を迎えます。
今後、この空港の持てる機能を十二分に発揮させることが不可欠でありますが、国も、一応体裁の上で、ようやく平成二十五年度には昼夜合わせた九万回を国際線に充てるとの方針を示しました。
これは、しかし実際は、私が二期目のときに、当時の自民党の政調会長だった亀井静香君と図りまして、割と強引に調査費をつけまして、四番目の滑走路を決めた時点から、実は国交省は待ってたということでこれを受け入れまして、当然、この羽田を国際空港化し、二十四時間使用できるハブ空港にするつもりでございました。まさに東京都が主張していたとおりです。深夜、早朝枠に限定された欧州や米国便が、昼間の時間帯にも可能になるわけであります。
ただ、これがいささかおくれたのは、工法に何通りかの案がありまして、それぞれそれに関係する業者の利権争いで、ちょっと合議がおくれたわけでありますが、ようやく今の形に決まりました。
都はさらに、国内、国際線の割り振りが決まっていない残る二万七千回の発着枠についても、極力国際線に振り向けるように国に対して要請してまいります。
都としても、都心から至近の距離にあります羽田の強みを最大限に生かすとともに、空港と首都圏全体との結びつきを強めるために、三環状道路を初めとする基幹的なインフラ整備の推進に取り組んでまいります。
今後、首都東京が国際競争力の強化に資するこれらの新しいインフラを礎にして、東京はもとより、首都圏の活力を高め、我が国全体の発展を牽引していきたいと思っております。
次いで、地球温暖化対策についてでありますが、ことしの記録的な猛暑や世界各地での異常気象は、地球の未来を危惧せずにはおられません。
温暖化対策は、もはや一刻の猶予も許されない状況にあると思います。対策を実行する意思と能力を有する者が先行して取り組みを推進することが必要であります。
都は、本年四月から、大規模事業所への総量削減義務制度を開始するとともに、これにあわせて中小事業所の省エネ投資を誘導する支援策にも着手いたしました。
これらの施策は、最先端の空調機器や太陽光パネルなど、新たな投資を呼び起こす契機ともなりまして、省エネルギーや再生可能エネルギー分野の環境ビジネスをさらに発展させるものであると思います。
都は、規制と誘導の的確な組み合わせによりまして、CO2の大幅削減と経済活性化の両立が可能であることを東京において示して、歩みの遅い我が国の地球温暖化対策を先導していきたいと思っております。
東京国体と全国障害者スポーツ大会に向けた取り組みについてでありますが、国体は、多摩・島しょの豊かな自然や、歴史、文化、観光資源など、東京の多様な魅力を全国にアピールする絶好の機会であります。
また、都においては、国体と全国障害者スポーツ大会を、全国で初めて一つの祭典として位置づけまして、スポーツ祭東京二〇一三としました。
この大会は、障害の有無にかかわらず、すべての人がスポーツを楽しむことのできる社会を実現する契機となることを目指しております。
こうした大会を成功させるために、都議会初め、区市町村、経済産業界、スポーツ団体など幅広い方々に参加をいただいて設立した実行委員会を中心として、開催準備に万全を期してまいります。
他の質問については、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監池田克彦君登壇〕
○警視総監(池田克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、荷さばき車両に配意した駐車規制の見直しについてであります。
これまで行ってきた実態調査により、規制緩和の必要性が高いと判断された約四十区間について、地域の住民及び物流事業者等との意見調整を行った結果、千代田区内などの十区間において、貨物自動車を対象とする規制時間の緩和について合意が調い、実施可能となりました。現在、十月中の実施に向け、標識設置等の準備を行っているところであります。
今回実施できなかった残りの約三十区間の中には、実施が極めて困難と見られる区間も若干ありますが、その他の区間につきましては、引き続き地域住民等との意見調整を行い、荷さばき駐車のルールに関する合意が調った区間から、順次実施していくこととしております。
今後とも、地域住民及び物流事業者等のご意見やご要望を十分に踏まえ、交通の安全と円滑を確保しつつ、荷さばき車両に配意した、よりきめ細かな駐車規制を推進してまいります。
次に、短時間利用者のためのパーキングメーターの設置につきましては、本年第一回定例会でご提案をいただき、前向きに検討する旨お答えしたところでございます。
現在、パーキングメーターの利用状況を把握するため、実態調査を実施中でありますが、調査の過程で、ご指摘のとおり短時間駐車の需要がある場所もございましたところから、駐車可能な時間を現行より短い二十分としたパーキングメーターを設置する方向で検討しております。
今後、調査結果を踏まえ、場所の選定、現行手数料の見直し、標識の変更、パーキングメーター機器の改修等を行ってまいりたいと考えております。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
まず、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画の策定に当たっての基本的な考え方についてでございます。
障害のある子ども一人一人の可能性を最大限に伸長し、自立と社会参加を目指すためには、障害の種類や程度に応じた教育の場の整備と適切な就学の推進が重要でございます。
このため、都と区市町村が役割を分担し、緊密な連携を図りながら、障害のある子ども一人一人の教育ニーズに応じた学校、学級の整備を進めてまいります。
また、これまで以上に、小中学校と都立特別支援学校間の連携を強化するとともに、専門性の高い教員の育成などに努め、すべての学校において、特別な支援が必要な子どものための教育内容、方法の充実を図ってまいります。
次に、子どもの増加に対応する知的障害特別支援学校の再編整備についてでございます。
都教育委員会はこれまでも、第一次実施計画及び第二次実施計画の推進を通しまして、知的障害特別支援学校の教室確保に取り組んでまいりました。
第三次実施計画の策定に当たりまして実施した障害のある児童生徒数の将来推計では、今後とも知的障害特別支援学校の在籍者数の大幅な増が見込まれておりまして、引き続き、あらゆる対応策を講じて教室確保に努めていく必要がございます。
そのため、今回の第三次実施計画案の骨子では、知的障害特別支援学校の再編整備について、新設二校、増改築十三校及び他の障害教育部門の学校への併置化四校を提案しているところでございます。
今後、具体的な再編整備の内容、スケジュールなどを明確化し、子どもの増加に対応した必要な教室数の確保に向けた実効性ある計画を策定してまいります。
次に、特別支援教室構想の実現に向けた、区市町村との連携についてでございます。
平成十九年の学校教育法の改正による、特殊教育から特別支援教育への転換に伴い、発達障害の児童生徒も新たに特別支援教育の対象に含まれることとなりました。
現在、発達障害の子どもの教育の場として、小中学校に情緒障害等通級指導学級を設置して教育を行っておりますが、通級指導学級は在籍校を離れて通学しなければならないために、授業を抜ける不安や通学負担、学級担任と通級指導学級教員の連携のあり方などの課題が指摘されております。
すべての小中学校に特別支援教室を設置する今回の構想は、これまでの通級指導学級のように児童生徒が在籍校を離れることなく、専門性の高い教員による巡回指導を受けられる体制を整備し、在籍校において適切な指導と支援を実施するものでございます。
本構想の実現には、小中学校の設置者である区市町村の理解と協力が不可欠であるため、第三次実施計画では複数年をかけてモデル事業を実施することとしておりまして、その事業を通じて、巡回指導体制のあり方、専門性の高い教員の確保、育成など、区市町村と緊密な連携を図りながら、特別支援教室のあり方について研究、検証を進めてまいります。
〔東京都技監河島均君登壇〕
○東京都技監(河島均君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、羽田空港跡地のまちづくりについてでございますが、この跡地は、空港に接する希少な空間でございまして、今後、国際空港機能が一層強化される羽田をサポートするため、空港と一体となった利用を図ることが重要でございます。
先月公表したまちづくり推進計画の素案は、このような視点から取りまとめたものでございます。
具体的には、国際線ターミナルに接する第二ゾーンでは、環状八号線を多摩川沿いに移設して、空港と跡地の一体性を高め、民間の資金やノウハウを活用しながら、空港利用者のためのホテルや商業施設を早期に整備いたします。
また、既成市街地に近い第一ゾーンでは、国際空港としてのポテンシャルや周辺の産業集積を生かし、産業交流施設などを導入いたします。
さらに、空港に直結する第三ゾーンにつきましては、当面の土地利用を留保し、将来における空港関連施設等のニーズに柔軟かつ的確に対応してまいります。
今後、羽田空港が本格的な国際空港としてスタートする十月に合わせて推進計画を取りまとめ、国、地元区と連携しながら、計画の早期具体化に向けて、鋭意取り組んでまいります。
次に、昭和四十年代建設の大規模な都営住宅団地の建てかえについてでございますが、都営住宅については、老朽化した住宅の建てかえにより、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するとともに、敷地の有効利用を図って用地を生み出し、地域のまちづくりや都市再生に活用していくことが必要と考えております。
四十年代建設の大規模団地についても、今後、こうした観点に立って、建設年次や老朽化の度合い、設備やバリアフリー化の状況、地域のまちづくりとの連携や周辺市街地の状況などを勘案して、早期に建てかえに着手すべき団地を選定し、建てかえ事業を実施してまいります。
このような考え方に基づき、現在、住宅戸数が千戸を超える大規模団地の建てかえについて検討を進めておりますが、その中でも、有楽町線辰巳駅に近接して立地する辰巳一丁目団地は、建設年次が古く、建物や設備の機器、配管等の老朽化が進行し、また、ほとんどの住棟にエレベーターが設置されていないことなどから、今後、地元との調整も図りながら、速やかに建てかえ事業に着手いたします。
本団地では、建てかえにより住宅の集約を行った後、用地を創出し、辰巳駅周辺にふさわしい都市機能の導入や都市基盤の整備などを進めてまいります。
この辰巳一丁目団地に続き、他の大規模団地の建てかえ事業にも、順次着手してまいります。
〔財務局長安藤立美君登壇〕
○財務局長(安藤立美君) 二点についてお答えをいたします。
まず、財政運営上の今後の取り組みについてでございます。
二十一年度に一兆円もの減収となりました都税収入は、来年度においても大きな好転が期待できず、厳しい財政環境が今後も続くと見込まれております。
こうした状況におきましても、都民生活が直面する課題に的確に対応するとともに、東京の可能性を引き出す中長期的な取り組みを継続的かつ積極的に展開をしていかなければなりません。そのためにも、引き続き堅実な財政運営に徹し、財政対応力を堅持する必要がございます。
したがって、これまで以上に創意工夫を凝らすとともに、事業評価を一層強化するなど、あらゆるむだを排し、一つ一つの施策をより効率的で実効性のあるものへと磨き上げていく取り組みを徹底してまいります。
このようなみずからを律する取り組みを不断に行った上で、都債や基金を、将来を見据えて計画的に活用し、基金残高をできる限り確保するなど、財政対応力を堅持しながら、都政の諸課題に着実に対処してまいります。
次に、地方財政をめぐる国の動きについてでございますが、地方主権の理念を実現するためには、税財政制度の抜本的改革に早急に着手すべきでありますが、地方消費税の引き上げを含めた地方税財源のあるべき姿は、いまだ提示をされておりません。
一方、来年度の国の予算編成や税制改正に向けて、国庫補助負担金の一括交付金化や法人実効税率の引き下げなどについて、議論が進められようとしております。こうした検討課題につきましては、都財政、ひいては地方財政に影響を与えかねないものもございます。
例えば、国庫補助負担金の見直しに当たっては、本来国の関与をなくすべきものについては、これを原則廃止し、権限と財源を地方に移譲すべきでございます。
ましてや、一括交付金化が、国の財源捻出や地方間の財政調整の手段として利用されてはならないというふうに考えております。
また、法人実効税率の引き下げについては、地方財政に影響を与えないよう、国において十分な配慮が必要でございます。
このように、地方財政をめぐる国の動きについては多くの課題があることから、都は時期をとらえて、国に対して必要な主張を積極的に行ってまいります。
〔知事本局長秋山俊行君登壇〕
○知事本局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、実行プログラムについてでございますが、これまで都は、「十年後の東京」計画で掲げた目標を実現するため、三カ年の到達目標と年次計画を明示した実行プログラムを毎年度改定し、実効性のある取り組みを展開してきたところでございます。
実行プログラムの今回の改定に当たりましては、引き続き、社会情勢の変化や都政をめぐる新たな課題に対し、的確かつ迅速にこたえていく必要がございますが、この点に加えまして、東京を二十一世紀に真にふさわしい成熟した都市へとさらに進化させていくためには、これまでの取り組みを十分に検証した上で、将来につながる政策展開の方向性を提示していくことも必要であるというふうに考えております。
こうした基本的な考え方のもとで実行プログラムを改定し、東京の魅力や機能をより高める取り組みを加速してまいります。
次に、東京総会についてでございますが、アジア大都市ネットワーク21は、これまで多角的な共同事業を通じまして都市間の連携を深めてきたところでございますが、ただいまご指摘がございましたとおり、今後は、企業や住民などの各界各層が一段と相互に結びつく、次なるステップへと発展させていく必要がございます。
そこで、総会のレセプションで、都内中小企業のすぐれた技術を会員都市の企業に紹介いたしますとともに、会議の中でも、アジアにおける官民連携の広がりについて討論する予定としております。
さらに、産業交流展を総会と連動して開催することで、各都市の企業と東京の中小企業との交流を図りますとともに、会員都市の文化の紹介など、相互理解を深めるイベントも開催をいたします。
この総会を足がかりに、多様な主体の活力を取り込み、アジアの連携をより強固にするよう取り組んでまいります。
〔総務局長比留間英人君登壇〕
○総務局長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、今後の監理団体活用の取り組みについてでございます。
今般作成した東京都監理団体活用方針に基づき、都は、政策推進の重要なパートナーとして、監理団体を一層活用するとともに、都民への説明責任を高めるため、経営の透明性をより向上させるなど、さまざまな改革に取り組んでいきます。
具体的には、監理団体の締結する契約について、現行の公表基準を見直し、都から特命で受託した事業等にかかわる契約については二百五十万円以上といたしました。また、事業評価を充実し、都が監理団体に委託している事業等について、事業効果や効率性のみならず、団体がその事業を実施する妥当性等についても精査を行っていきます。今後とも、不断に改革に取り組み、都民に貢献する団体として、監理団体を積極的に活用してまいります。
次に、都庁版人材バンクの整備についてでございます。
退職する都幹部が在職中に培った知識や経験を活用し、社会に貢献していくことは有意義なことであります。今回新たに整備する都庁版人材バンクは、民間企業等も含め、幹部職員の再就職情報を一元的に管理して、人材の有効活用を図るとともに、都民から、公正な都政運営に疑念を持たれることのないよう、手続や結果の透明性、納得性の向上を図るものです。
具体的には、民間企業等から新たに求人票を徴取するとともに、これまでも要請してきた営業活動の自粛について、書面での確認を求めるなど、企業等との関係をより厳正に保っていきます。また、再就職状況の公表につきましては、人材バンクの整備により、新たに民間企業等を加え、対象を部課長級にまで拡大をいたします。
幹部職員の再就職につきましては、この都庁版人材バンクを適切に運用し、透明性の確保にこれまで以上に努めてまいります。
〔会計管理局長新田洋平君登壇〕
○会計管理局長(新田洋平君) 今後の公会計制度改革の推進についてでございますが、これまで都は、意欲ある自治体に対し、職員の派遣やノウハウの提供など、さまざまな支援活動を単独で支援してまいりましたが、都と同様の制度導入に踏み切りました大阪府というパートナーが加わり、新たな局面に入ってまいりました。
現在、都は首都圏において、大阪府は近畿圏を中心に、それぞれ知事会議等の場を通して、複式簿記導入の必要性のアピールを行うなど共同した取り組みを進めております。今後は地方における新たな公会計のさらなる推進を目的として、今月三十日に設置されます国の研究会に対し、積極的に意見を反映してまいります。
さらに、この十一月に、公会計制度改革シンポジウムを共催して、全国にメッセージを発信し、複式簿記導入に向けた機運の盛り上がりを一層高めてまいります。
〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕
○福祉保健局長(杉村栄一君) 八点につきましてお答え申し上げます。
まず、高齢者の見守りについてでありますが、ご指摘のとおり、今後増加が見込まれるひとり暮らしや高齢者夫婦のみの世帯が、家族の支えがなくても地域で安心して暮らし続けるためには、こうした方々を見守り、支え合う仕組みをつくることが重要であります。
都はこれまで、区市町村包括補助事業を通じて、町内会、民生委員、ボランティアなどによる声かけや、配食サービスを活用した安否確認など、地域の実情に応じた取り組みを支援いたしております。
さらに今年度からは、在宅の高齢者への訪問活動や相談対応などを行うシルバー交番設置事業を開始し、この事業の理解を深めるために、来月には、先進的な事例報告会の開催も予定しております。今後とも、区市町村と連携して地域におけるさまざまな取り組みを一層推進してまいります。
次に、介護保険制度に関する国への提言についてでございますが、本年十一月に予定されております介護保険制度改正の基本的な考え方の取りまとめに、東京都の意見を反映させるため、今般、国に対して緊急提言を行いました。
緊急提言では、大都市東京の地価や人件費の実態に見合うよう、介護報酬を抜本的に見直すこと、現在、都がモデル事業で実施しております認知症デイサービスセンターでの延長利用や宿泊サービスの提供について制度化を行うこと、施設の指定基準等を自治体の裁量と責任において定められるようにすることなど、二十五の提言を行っております。
今後とも、平成二十四年四月の介護保険制度改正に向けまして、大都市東京の介護現場の実態を踏まえた具体的な提案を、あらゆる機会を通じて行ってまいります。
次に、高齢者の医療制度についてでありますが、医療保険制度は、我が国の社会保障制度の柱の一つであり、将来にわたり国民皆保険を維持するためには、世代間の負担が公平で安定的に運営される持続可能な制度を構築することが必要でございます。
しかしながら、高齢者医療制度改革会議の中間取りまとめでは、財政負担や制度の運営の仕組みなど、制度の根幹に係る部分は明らかにされておらず、現在の国民健康保険制度の問題点を放置したまま、区市町村国保の広域化という結論だけが先行いたしております。
新たな制度の創設に当たっては、国の責任において、関係団体等の意見を踏まえ、十分に議論を尽くすべきであり、都としても、全国知事会と連携をしながら、国に働きかけを行ってまいります。
次に、認知症疾患医療センターについてでありますが、センターは、認知症に関する専門医療を提供するとともに、地域の医療や福祉との連携の中核を担う医療機関として位置づけられておりますことから、整備に当たっては、東京の認知症医療や介護サービスの実態を踏まえ、センターが担う役割を明確にする必要がございます。
このため、東京都では、東京都認知症対策推進会議のもとに、外部の専門家等から成る部会を設け、センターとして整備する医療機関の数、センターが取り組む具体的な事業内容、地域の医療機関との役割分担や連携方法等につきまして、本年八月から検討を行っております。今後、年内を目途に検討結果を取りまとめ、東京の地域特性に即した認知症疾患医療センターを整備してまいります。
次に、がん検診についてでありますが、がん検診の受診率向上のためには、地域住民を対象とした区市町村の検診に加え、企業等が実施する従業員の検診においても受診を促進することが重要でございます。
このため、都は昨年度、企業や健康保険組合等に働きかけ、検診の重要性について意識の向上を図りました。今年度は、従業員への受診勧奨や都民への普及啓発に積極的に取り組む企業を東京都がん検診推進サポーターとして認定し、独自に支援金を交付するなど、主体的な活動を促進する事業を立ち上げております。六月に募集を開始し、これまで生命保険会社や百貨店など十社を認定いたしております。今後も、がん検診の受診率向上のため、職場におけるがん検診の取り組みを促してまいります。
次に、新型インフルエンザのサーベイランスについてでありますが、都は、患者の発生動向等を迅速に把握するため、サーベイランス体制の充実に努めております。
具体的には、都内二百九十の医療機関を定点として、発生動向を把握するとともに、ウイルスの遺伝子分析等により、毒性の変化や薬剤耐性等を常時監視をいたしております。また、今月からは、秋冬の再流行に備え、学校、保育所で実施をしております早期探知のための集団サーベイランスの対象範囲を、高齢者や障害者施設などに拡大をいたしております。
さらに、流行の拡大が予想された場合には、都内二十六の病院において都独自の入院サーベイランスを実施し、重症患者の迅速かつ的確な状況把握を行うなど、流行の動向を十分に監視してまいります。
次に、再流行に備えた医療提供体制の確保についてでありますが、昨年の経験を踏まえ、既に都では、医療機関等の協力を得て、入院受け入れが可能な医療機関リストを作成し、患者の重症度に応じて受け入れ可能な病床数を把握いたしております。その数は、過去最大の季節性インフルエンザの流行規模にも対応可能であり、人工呼吸管理などが必要な小児重症患者に対応できる病床は、昨年の一・五倍の数を確保いたしております。
また、外来診療を行う診療所などに対しては、患者の重症度に応じて適切に入院搬送先を選定できるよう、医療機関リストを配布するとともに、東京消防庁の救急医療情報システムを活用した迅速な搬送体制を整備いたしております。さらに蔓延期には、区市町村と連携し、休日、夜間等の外来診療体制も強化することとしております。
今後とも、新型インフルエンザが再流行した場合、都民に適切な医療が提供できるよう、医師会、医療機関、区市町村等と十分に連携しながら、医療提供体制の確保に万全を尽くしてまいります。
最後に、院内感染対策についてでありますが、医療機関には、細菌やウイルスによる院内感染を予防するため、医療法に基づきまして、院内感染対策委員会の設置や研修の実施等が義務づけられております。
このため、都は、定期的な立入検査の際に、手洗いや消毒など基本的な予防策の徹底、委員会や研修の実施状況などについて確認をいたしまして、必要な指導を行っております。
今回、発生をいたしました多剤耐性アシネトバクターの院内感染では、発生病院に対しまして緊急に立入検査を実施し、拡大防止策について指導するとともに、都内全病院に対して注意喚起を行い、対策の徹底を図るよう指示するとともに、立入検査においても薬剤耐性菌対策を重点的に確認することとしております。
さらに、明日と来月三日には、都内全病院を対象とした講習会を開催をいたしまして、院内感染防止対策や発生時の対応方法について、改めて周知徹底を図るとともに、本年十月中には、院内感染予防対策マニュアルを改定するなど、医療機関における対策の強化を図ってまいります。
〔病院経営本部長川澄俊文君登壇〕
○病院経営本部長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、都立病院の新型インフルエンザ対策についてですが、病院経営本部では、都立病院新型インフルエンザ対応マニュアルにおいて、入院、外来診療機能を確保するための医療用資器材等の備蓄、流行段階別の各病院の対応や、医療従事者の安全確保対策などを定め、強毒型の発生を視野に入れて新型インフルエンザ対策を進めております。
また、感染が拡大した場合に、一般病室を陰圧管理に切りかえることが可能な感染症緊急対応病床を、多摩総合医療センター、小児総合医療センター及び駒込病院に整備したところです。今後とも、福祉保健局と連携し、新型インフルエンザ流行時における入院病床の確保など都内の流行段階に応じた対策を実施してまいります。
次に、都立病院の感染症医療機能の強化についてですが、感染症医療は、都立病院の基本的役割である行政的医療の中でも、特に重要な医療課題であると認識しており、ハード面とソフト面の両面から対策を進めております。
駒込病院においては、新たにエボラ出血熱、ラッサ熱などの患者を受け入れる病床を二床整備し、この五月に、第一種感染症指定医療機関の指定を受けたところです。
墨東病院では、他の病棟から独立した感染症外来、感染症指定病床を整備する予定であり、また、地区医師会や保健所と協力し、感染症地域ネットワークを構築するなど、ソフト面の対策についても推進してまいります。
さらに、今年度から、すべての都立病院に、感染管理看護長を配置し、院内の多剤耐性菌などによる感染症発生動向を常時調査分析し、必要な情報を周知するなどといった院内感染対策の充実を図っております。
こうした多角的かつ重層的な対策を進めることにより、都立病院の感染症医療機能を引き続き強化してまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
○産業労働局長(前田信弘君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、景気、雇用情勢の認識と対応についてでありますが、ご指摘のとおり、急激な円高は、輸出の減退や製造業の業績悪化を通じて中小企業の仕事が減少し、さらには雇用の縮小につながるおそれがございます。また、現下の円高水準が続けば、都内中小企業や雇用にとって大きな問題となりかねないと認識しております。
都が行いました東京商工会議所等の中小企業団体へのヒアリングでは、製造業を中心に、受注単価の切り下げや受注の先行きへの懸念の声が多数ございました。
こうしたことを踏まえ、産業労働局及び東京都中小企業振興公社において、円高対応特別相談窓口を新たに設置いたしまして、今回の円高に直面して、資金繰りや収益確保に苦しむ中小企業の相談に対して迅速かつ的確に応じてまいります。
また、厳しい雇用情勢に対応するため、今月十四日、副知事を座長とする緊急生活・雇用対策連絡会議を開催し、雇用創出事業について都における対応を促進するとともに、早期実施を区市町村に要請いたしました。今後とも、経済情勢を注視するとともに、政府の追加経済対策の動向を把握し、適切に対応してまいります。
次に、中小企業の販路開拓に対する支援についてでありますが、都が中小企業支援機関と連携して今年度から開始いたしました、目指せ中小企業経営力強化事業は、都内中小企業に経営診断を行い、経営上の問題点を明確にした上で、その解決に向けて都のさまざまな支援策を活用して対応を進めており、その中で販路開拓が必要な場合には、展示会出展の助成などを行ってきております。
この展示会出展の助成などについては、八月末までに、今年度に想定していた二百件を上回る二百二十八件の申し込みを受けておりまして、現在新規の申込受け付けをお待ちいただいている状況にあります。
今後も、経営診断により、みずからの経営力を高めたいとする企業や、診断に基づき展示会出展等の支援の活用を希望する企業が見込まれますため、展示会出展の助成件数の拡大を図るなど、本事業を通じて的確な中小企業支援を実施していく考えであります。
次に、海外販路拡大の課題への取り組みについてでありますが、中小企業が海外で販路開拓を進める上で、現地の情報収集を単独で行ったり、さまざまなリスクをみずからの力だけで回避することは困難な場合が多いため、行政による着実な支援は極めて重要と認識しております。
今年度から開始した海外販路開拓支援事業において、中小企業にアドバイス等を行う海外販路ナビゲーターが既に数多くの相談を受けております。具体的には、当初想定しておりました機械、金属、生活産業等に加え、精密機械、環境エネルギー、情報サービスなどの分野の相談も含まれており、今後は、より広い分野について情報提供や相談対応の充実が必要と考えております。
相談案件のうち販路拡大が見込まれる製品については、ナビゲーターが海外の見本市に同行いたしまして、商談の成立に向け、きめ細かなサポートを行うなどの取り組みをより一層充実させていくことも必要でございます。
また、海外における知的財産保護の面では、近年、中小企業から模倣を防止し、有利なビジネス展開を図るアジア各地域を対象とする知的財産戦略の策定など、複雑で高度な相談が増加しており、東京都知的財産総合センターによる適切な対応が不可欠になると考えております。
今後とも、海外販路の開拓に取り組む企業を支援するため、的確な事業展開を行ってまいります。
次に、新卒者の就職支援についてであります。
ご指摘のとおり、都内にはすぐれた人材を求める中小企業が多くあり、こうした中小企業の魅力を新卒者に伝え、就職に結びつける取り組みを進めるとともに、新卒者の職業意識の醸成を図ることが重要と認識しております。
このため、東京しごとセンターでは、新卒者がみずからの職業適性を見きわめ、社会人としての心構えや職業意識を養うためのセミナーや企業での就業体験などを行っております。加えて、企業との交流会、説明会等を通じたきめ細かいマッチング支援を実施しております。
また、十一月と来年の二月に新卒者向けの合同面接会を開催いたします。今年度は、参加企業数を昨年度より百社ふやして合計四百社とし、多くの中小企業と新卒者が面接する機会を提供いたします。
さらに、採用意欲のある企業と交流の場を設けるために、十一月の面接会につきましては、産業交流展二○一○と同時開催するとともに、今後就職活動に入る学生も対象としたものづくり就職フェアをあわせて実施いたします。この就職フェアでは、すぐれた技術や製品を持つ出展企業から学生が直接説明を聞き、進路選択の参考にできる見学ツアーなどを新たに実施いたします。
今後とも、新卒者に中小企業の魅力を発信するとともに、多様なマッチングの機会をさらに充実させることにより、厳しい就職環境の中にあっても、意欲ある新卒者が社会人としての第一歩を踏み出せるよう全力を挙げて支援してまいります。
最後に、都市農業の振興についてでありますが、農地制度や税制度について、都はこれまで、生産緑地制度や相続税制度の改善を国に強く要望してまいりました。一方、若い農業者が都市農業を安心して継続していくためには、経営力の強化が重要であります。
このため、都は、今年度から新たに、農業経営の改善に積極的に取り組む農業者に対し、施設整備などの支援とあわせて経営の専門家などを派遣する都市農業経営パワーアップ事業や、都内産農産物の都心への流通ルートを構築していくため、学校給食をモデルとして、食の安全・安心地産地消拡大事業をスタートさせました。
今後も、こうした取り組みにより、若い農業者が希望を持って農業経営が行える環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
〔建設局長村尾公一君登壇〕
○建設局長(村尾公一君) 四点のご質問にお答えいたします。
初めに、外環整備に対する今後の都の取り組みでございますが、外環は、東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であります。近年のアジア諸国の急速な成長の中で、我が国の国際競争力を高め、経済を再び成長軌道に乗せていくためには、首都圏の陸海空の交通物流ネットワーク強化が喫緊の課題であります。
国際化の進む羽田空港や国際コンテナ戦略港に選定された京浜港とともに、そのネットワーク効果を発揮させる外環は、極めて重要なインフラであり、可及的速やかに完成させなければなりません。
このため、都は、全国屈指の用地取得の経験と実績を生かし、外環大泉事務所において、地元地権者の方々からの相談や具体的な質問にお答えするなど、積極的に対応を行っております。
本年八月、道路区域が決定され、今月には、都が受託している大泉地区と国がみずから実施している三鷹地区において、初めての用地取得の契約を締結したところであり、地元では、用地の買い取り要望や早期完成への機運が大きく高まっております。
今後とも、都はこうした期待におこたえするべく、必要な事業費の確保と、一日も早い工事の着手を国に強く申し入れていくとともに、都民の理解と協力を得ながら、全精力を傾注し、外環の早期完成に向けて事業を加速させてまいります。
次に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、道路ネットワークの形成を促進するとともに、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業でございます。
現在、七路線八カ所で事業を進めており、このうち京浜急行本線・空港線京急蒲田駅付近では、平成二十四年度の全区間高架化に先立ち、一昨日の二十六日に、環状第八号線と交差する下り線を高架化いたしました。これにより四カ所の踏切を除却し、環八に唯一残されていた踏切では、最大約七百十メートルあった渋滞が解消しました。
また、JR中央線では、昨年末に高架化した三鷹駅から国分寺駅間に引き続き、本年十一月に、西国分寺駅から立川間の上り線を高架化し、五カ所の踏切をすべて除却いたします。これにより三鷹駅から立川間の全区間において高架化が完了いたします。
一方、新規箇所につきましては、二路線四カ所で事業化に向け、諸手続を進めております。このうち京王線八幡山駅から仙川駅間では、国の交付金を活用し、本年度から着工準備に取り組んでおり、都心側の隣接する笹塚駅から八幡山駅間と一体的に、都市計画及び環境アセスメントの手続などを、より一層積極的に進めてまいります。
また、西武新宿線では、中井駅から野方駅間の都市計画案及び環境影響評価書案の説明会を本年十月に開催する予定であり、東村山駅付近においても、都市計画等の手続の着手に向けて関係機関と調整を図ってまいります。
今後とも、必要な財源の確保に努めるとともに、区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業をさらに推進してまいります。
次に、東京と神奈川を結び、新たなネットワークを形成する橋梁整備についてでございますが、東京と神奈川を結ぶ道路は、都市間を連携し、交通の円滑化や緊急輸送路としての防災性の向上はもとより、京浜三港や羽田空港などを結ぶ広域物流ネットワークの形成を図る上で必要不可欠な都市施設でございます。
このうち、放射第三号線は、港区白金台一丁目から世田谷区玉堤二丁目に至る延長十キロメートルの都市計画道路であり、さらに新横浜駅に至る重要な骨格幹線道路でございます。このため、多摩川の橋梁を含め、都県境の整備について、都は川崎市と協議を重ねてきており、現在、川崎市は、放射第三号線に接続する道路について、都市計画変更の手続を行っております。
橋梁部の新設に当たっては、都が整備主体、市が管理主体となり、それら費用は双方が負担することで川崎市と協議を進めており、今後、基本協定を締結し、地質調査など具体的な検討を行い、未整備区間の早期事業化に向け、積極的に取り組んでまいります。
最後に、今後の中小河川整備の進め方についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、中小河川の整備を効果的に進め、早期に安全性を向上させていくことが重要でございます。
都はこれまで、一時間五〇ミリの降雨に対処できるよう河川の拡幅や調節池、分水路の整備を進め、計画延長に対する治水安全度を七五%まで向上させました。また、現在、古川や白子川の地下調節池、入間川分水路の整備を進めるなど、五〇ミリ降雨対策のスピードアップを図っております。
さらに、近年多発している局地的集中豪雨の増加などを踏まえ、今後の河川整備のあり方について検討を進めており、例えば、複数の地下調節池をトンネルで連結し、流域を超えて相互に活用できる広域調節池など、局地的かつ短時間の集中豪雨などにも有効な河川施設を検討しております。
今後とも、都民が安心して暮らせる東京の実現を目指し、中小河川の整備に全力で取り組んでまいります。
〔港湾局長中井敬三君登壇〕
○港湾局長(中井敬三君) 国際コンテナ戦略港湾に対する国の重点投資と都の取り組みについてお答えをいたします。
国土交通省は、今回選定した国際コンテナ戦略港湾に対し、直轄事業で港湾施設を整備する場合の国費負担の拡充、ガントリークレーンへの補助制度の創設、新たな港湾経営主体を対象とした優遇税制の創設などを実現すべく、取り組みを進めていると聞いております。
都といたしましては、こうした国の取り組みが確実に実施されるよう、引き続き強く働きかけを行ってまいります。
また、こうした国の支援措置をてこにして、中央防波堤外側における新たなコンテナターミナルの整備を進め、東京港の機能増進を図るとともに、川崎港、横浜港と協力して、東日本全体からの貨物集荷策を強化していくなど、国際競争に伍していける港づくりを、さらに積極的に進めてまいります。
〔水道局長尾崎勝君登壇〕
○水道局長(尾崎勝君) 多摩地区水道の新たな計画についてでございますが、当局では、これまで多摩地区水道の経営改善に取り組んでまいりましたが、その中で顕在化した区部との施設整備水準等の格差につきまして、今後五カ年の間で可能な限り解消することとし、先月、緊急的な措置も含めた多摩水道改革計画を策定いたしました。
具体的には、喫緊の取り組みとして、広域的なバックアップ機能を強化するため、市町域を超えた配水管のネットワーク化などの施設整備を積極的に進めるほか、検針、収納業務などの格差を解消してまいります。
また、工事請負単価契約等につきましては、効率性や透明性を確保する観点から、平成二十四年度以降、都の契約方法へ段階的に見直していくこととしておりますが、これまでの歴史的経過を踏まえ、当分の間、特段の配慮をしつつ実施してまいります。契約の見直しに際しては、地元事業者に対して技術力強化のための資格取得支援などを充実してまいります。
さらに今後、施設整備が本格化し、業務量が増大することから、これまで地域の水道を担ってきた地元事業者の積極的な活用を図ってまいります。都営水道にふさわしい広域水道としてのメリットをより一層発揮できるよう、市町や地元事業者など関係者と協力しながら、計画の着実な推進に向けて全力で取り組んでまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
○下水道局長(松田二郎君) 下水道事業における浸水被害の軽減についてのお尋ねでございます。
雨水整備クイックプランでは、世田谷区上馬など四十二地区で、雨水を貯留する施設の整備など緊急的な対策を実施し、浸水被害の軽減を図ってまいりました。
現在、浸水の危険性の高い二十地区に重点化をし、雨水を排除する能力を増強するため、下水道幹線やポンプ所など基幹施設の整備を進めております。
さらに、浸水被害による影響の大きい大規模地下街などへの対策として、これまで整備している新宿駅や池袋駅周辺などの四地区に加えまして、新たに上野駅や新橋駅周辺などの五地区を対象に、一時間七五ミリの雨に対応できる貯留施設などの整備を進めてまいります。
加えて、石神井川流域など七つの河川流域のうち、地盤が低く浸水被害が発生しやすい地域について、雨水を排除する能力を増強するため、貯留施設の整備など、新たな施設計画を順次検討してまいります。今後とも、浸水被害を軽減するため、地元区や河川整備と連携を図りながら、下水道事業を着実かつ積極的に推進をしてまいります。
〔生活文化局長並木一夫君登壇〕
○生活文化局長(並木一夫君) 私立幼稚園にかかわる就園奨励費についてでございますが、国は、本年四月、制度対象園児の約七割を占める世帯年収三百六十万円を超え、六百八十万円以下の階層で、補助単価を三割減額するなどの見直しを行いました。
このため、都は国に対し、すべての階層区分において補助単価を減額しないことを緊急要望するとともに、本年度限りの時限措置といたしまして、都独自の特別補助を創設し、激変緩和を図ったところでございます。
国の制度変更による保護者の負担増は、本来、国の責任で是正すべきものでありますが、来年度予算の概算要求では、減額された階層への補助単価を四千円引き上げるものの、依然として、昨年度に比べ一万四千六百円の負担が残る状況でございます。
就園奨励費は、保護者の経済的負担の軽減を図り、人格形成や学力、能力の基礎を培う幼児教育を推進するための重要な制度でございまして、都は引き続き補助単価の改善を国に働きかけるなど必要な対策を行ってまいります。
〔スポーツ振興局長笠井謙一君登壇〕
○スポーツ振興局長(笠井謙一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、東京国体及び全国障害者スポーツ大会の愛称等についてでございますが、愛称、スローガン及びマスコットキャラクターは、昨年十一月から公募を行いまして、多くの方々のご応募をいただき、その作品をもとに必要な修正を加えて作成いたしました。
大会の愛称は、国体と全国障害者スポーツ大会を一つのスポーツの祭典として表現するため、スポーツ祭東京二○一三といたしました。
スローガンは、「東京に 多摩に 島々に 羽ばたけアスリート」といたしまして、多摩・島しょを中心に、東京都全域でアスリートが活躍するというメッセージを込めているものでございます。
マスコットキャラクターは、都民の鳥であるユリカモメをかたどり、夢や目標に向かって力強く羽ばたく姿を表現しております。今後、これらを大会のシンボルとして活用いたしまして、積極的な広報活動を展開することにより、開催機運の盛り上げを図ってまいります。
次いで、都立スポーツ施設の整備についてでございますが、これらのインフラ整備は、スポーツ人口の拡大や競技力の向上を図ると同時に、スポーツが都市を躍動させるというスポーツ振興基本計画における都市づくりの観点からも重要でございます。
今回、基本計画を策定した二つの施設は、全都的な施設であり、各種の競技大会や大規模イベントの会場として地域の活性化にも貢献するものであります。
さらに、身近なスポーツ活動の場である区市町村の施設と連携しながら、子どもから高齢者、また、障害の有無にかかわらず、すべての都民が安心してスポーツを楽しめる施設としてまいります。
駒沢オリンピック公園総合運動場と、武蔵野の森総合スポーツ施設のエリアには、ともにさまざまなスポーツ施設が集積していることから、それぞれ東京のスポーツの一大拠点として、施設整備を着実に進めてまいります。
○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の 都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後五時五分休憩
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