平成二十二年東京都議会会議録第十一号

平成二十二年九月二十一日(火曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番山崎 一輝君
六番野田かずさ君
七番福士 敬子君
八番土屋たかゆき君
九番山内れい子君
十番くりした善行君
十一番小山くにひこ君
十二番西沢けいた君
十三番田中  健君
十四番関口 太一君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番大松あきら君
二十番鈴木 章浩君
二十一番菅  東一君
二十二番きたしろ勝彦君
二十三番田中たけし君
二十四番鈴木 隆道君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番中村ひろし君
三十一番たきぐち学君
三十二番田の上いくこ君
三十三番島田 幸成君
三十四番しのづか元君
三十五番大島よしえ君
三十六番中山 信行君
三十七番高倉 良生君
三十八番橘  正剛君
三十九番松葉多美子君
四十番神林  茂君
四十一番早坂 義弘君
四十二番高木 けい君
四十三番宇田川聡史君
四十四番鈴木あきまさ君
四十六番山加 朱美君
四十七番西崎 光子君
四十八番滝沢 景一君
四十九番中谷 祐二君
五十番笹本ひさし君
五十一番山下ようこ君
五十二番神野 吉弘君
五十三番鈴木 勝博君
五十四番興津 秀憲君
五十五番岡田眞理子君
五十六番伊藤 ゆう君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番伊藤 興一君
六十番吉倉 正美君
六十一番上野 和彦君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番吉原  修君
六十五番山田 忠昭君
六十六番三宅 正彦君
六十七番石森たかゆき君
六十八番高橋 信博君
六十九番服部ゆくお君
七十番こいそ 明君
七十一番原田  大君
七十二番佐藤 広典君
七十三番尾崎 大介君
七十四番伊藤まさき君
七十五番山口  拓君
七十六番松下 玲子君
七十七番野上ゆきえ君
七十八番西岡真一郎君
七十九番今村 るか君
八十番吉田康一郎君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番中屋 文孝君
九十番村上 英子君
九十一番林田  武君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番くまき美奈子君
九十六番大西さとる君
九十七番いのつめまさみ君
九十八番門脇ふみよし君
九十九番小沢 昌也君
百番石毛しげる君
百一番花輪ともふみ君
百二番大津 浩子君
百三番大塚たかあき君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番川井しげお君
百十一番高橋かずみ君
百十三番三宅 茂樹君
百十四番吉野 利明君
百十五番宮崎  章君
百十六番比留間敏夫君
百十八番斉藤あつし君
百十九番増子 博樹君
百二十番泉谷つよし君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番酒井 大史君
百二十三番大沢  昇君
百二十四番中村 明彦君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番和田 宗春君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 二名
四十五番 矢島 千秋君
百十二番 野島 善司君
 欠員
百十七番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
副知事吉川 和夫君
副知事村山 寛司君
教育長大原 正行君
東京都技監都市整備局長兼務河島  均君
知事本局長秋山 俊行君
総務局長比留間英人君
財務局長安藤 立美君
警視総監池田 克彦君
主税局長荒川  満君
生活文化局長並木 一夫君
スポーツ振興局長笠井 謙一君
環境局長大野 輝之君
福祉保健局長杉村 栄一君
産業労働局長前田 信弘君
建設局長村尾 公一君
港湾局長中井 敬三君
会計管理局長新田 洋平君
消防総監新井 雄治君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
病院経営本部長川澄 俊文君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長宮川 雄司君
人事委員会事務局長多羅尾光睦君
労働委員会事務局長山本 洋一君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長藤井 芳弘君

九月二十一日議事日程第一号
第一 第百三十四号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二 第百三十五号議案
東京都消防関係手数料条例の一部を改正する条例
第三 第百三十六号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第四 第百三十七号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五 第百三十八号議案
味の素スタジアム(二十二)第一種陸上競技場化改修工事請負契約
第六 第百三十九号議案
都立羽村特別支援学校(二十二)増築及び改修工事請負契約
第七 第百四十号議案
都立練馬地区特別支援学校(仮称)(二十二)改築及び改修工事請負契約
第八 第百四十一号議案
東京国際フォーラム(二十二)ホール棟改修工事請負契約
第九 第百四十二号議案
東京都八丈支庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十 第百四十三号議案
警視庁月島警察署庁舎(二十二)改築工事請負契約
第十一 第百四十四号議案
警視庁有家族待機宿舎桜木住宅(二十二)改築工事請負契約
第十二 第百四十五号議案
東京国際フォーラム(二十二)空調設備改修工事請負契約
第十三 第百四十六号議案
公立大学法人首都大学東京に対する出資について
第十四 第百四十七号議案
公立大学法人首都大学東京定款の変更について
第十五 第百四十八号議案
土地の信託の変更について
第十六 第百四十九号議案
建物の売払いについて
第十七 第百五十号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
第十八 第百五十一号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第十九 第百五十二号議案
個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
第二十 第百五十三号議案
備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
第二十一 第百五十四号議案
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
第二十二 第百五十五号議案
土地の買入れについて
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(二二財主議第三〇四号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(二二財主議第三〇五号)
第三 東京都名誉都民の選定の同意について(二二財主議第三〇六号)

   午後一時一分開会・開議

○議長(和田宗春君) ただいまから平成二十二年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(和田宗春君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありましたので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   六番   野田かずさ君 及び
   六十四番 吉原  修君
を指名いたします。

○議長(和田宗春君) 次に、議会局の部長に異動がありましたので、紹介いたします。
 管理部長前田敏宣君、調査部長森山寛司君。
   〔部長あいさつ〕

○議長(和田宗春君) 以上で紹介を終わります。

○議長(和田宗春君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 平成二十二年九月十四日付東京都告示第千百八十号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二十二件の送付がありました。
 次に、平成二十二年第二回定例会の会議において同意を得た人事委員会委員、収用委員会委員及び収用委員会予備委員の任命について発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び四行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告がありました。
 また、東京都債権管理条例に基づく私債権放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、教育委員会委員長より、平成二十二年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、平成二十一年度分について報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十二年各会計定例監査、平成二十一年度執行分の結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(和田宗春君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一〇ページ)に掲載〕

○議長(和田宗春君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る七月二日付をもって、杉並区選出田中良君より、議員を辞職したい旨、届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(和田宗春君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 総務局長比留間英人君、主税局長荒川満君、生活文化局長並木一夫君、スポーツ振興局長笠井謙一君、環境局長大野輝之君、港湾局長中井敬三君、病院経営本部長川澄俊文君、選挙管理委員会事務局長宮川雄司君、人事委員会事務局長多羅尾光睦君、労働委員会事務局長山本洋一君、収用委員会事務局長藤井芳弘君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(和田宗春君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(和田宗春君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。

   議会運営委員辞任・選任名簿

○辞任
 和田 宗春君(民主)
〔以上 平成二十二年六月十八日付〕
 くまき美奈子君(民主)大塚たかあき君(民主)
 石毛しげる君(民主) 松下 玲子君(民主)
 西岡真一郎君(民主) 川井しげお君(自民)
 服部ゆくお君(自民) こいそ 明君(自民)
 鈴木あきまさ君(自民)吉原  修君(自民)
 宇田川聡史君(自民)
〔以上 平成二十二年八月二日付〕

○選任
 西岡真一郎君(民主)
〔以上 平成二十二年六月十八日付〕
 泉谷つよし君(民主) 山口  拓君(民主)
 門脇ふみよし君(民主)今村 るか君(民主)
 伊藤まさき君(民主) 三宅 茂樹君(自民)
 高橋かずみ君(自民) 林田  武君(自民)
 村上 英子君(自民) 中屋 文孝君(自民)
 高橋 信博君(自民)
〔以上 平成二十二年八月二日付〕

○議長(和田宗春君) 次に、閉会中の東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る九月九日付をもって、三宅茂樹君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって、川井しげお君を指名いたしました。

○議長(和田宗春君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意について三件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(和田宗春君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月七日までの十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十七日間と決定いたしました。

○議長(和田宗春君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許可いたします。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十二年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 このたび名誉都民の候補者として、安達雅一さん、川崎富作さん、中村芝翫さんの三名の方々を選定させていただきました。
 安達雅一さんは、東京手描友禅の染色家として五十年余りにわたって活躍され、伝統を尊重しつつも絵画的な表現法を取り入れた独特の技法を完成し、伝統工芸全体の振興、発展にも尽力してこられました。
 川崎富作さんは、小児科医として長年診療に携わる中で、乳幼児に多く発生する新しい疾患である川崎病を発見し、診断、治療法の確立に献身されるなど、医学の発展に大きく貢献してこられました。
 中村芝翫さんは、五歳での初舞台以来、八十年近く研さんを積んで、歌舞伎界を代表する女形として芸をきわめられるとともに、後進の指導に当たるなど、日本の伝統芸能の継承と発展に尽力してこられました。
 お三方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 さて、人間は他者とかかわり、連帯することなしには生きていくことができません。人と人とのつながりは、血縁で結ばれた家族に始まり、会社や地域などを通じて広がり、堆積重層して社会全体のエネルギーを生みながら、国家を成立させ、発展させてきたのであります。
 しかし、この夏、ミイラ化した親を三十年以上も自宅に放置したまま、子どもが年金を不正に受け取っていた事件を発端に、信じがたい事件が相次いで明るみになりました。連帯の最小単位である家族の崩壊ぶりを示す事象は、歴史上も希有な平和と物質的繁栄を謳歌する中で、金銭欲が第一となった今日の日本を象徴しております。もうかりさえすればよしとするエゴから、企業が罪を犯し、モンスターペアレントなる身勝手な権利主張が横行するのも、社会、国家への責任と愛着が薄れているからにほかなりません。
 日本が根底から崩れつつあるにもかかわらず、肝心の国政に携わる政治家の多くは、大局を把握するに不可欠な歴史観がやせていて、目先のことしかとらえられずにおります。支持率調査の結果を国家運営の羅針盤のごとくあがめて、国民の顔色をうかがう甘い約束を重ねており、行政への過剰な期待をかき立て、自助、共助、公助のバランスをないがしろにしております。過日の我が国の最高指導者選びでも、国家の未来図は一向に語られず、その不毛さは国民を甚だ白けさせました。
 国民の間にせつな的な空気が広がり、国政がそれに拍車をかけては、深刻な財政危機などの山積する課題を当然乗り越えることはできません。熾烈をきわめる国家同士の生存競争にも敗れ、大切なものと引きかえに手に入れた戦後の繁栄さえも無となりかねないのであります。
 根深い危機から脱するためには、戦後の我が国が何を失い、何を狂わせてきたのかを冷静に見詰める必要があります。かつて日本では、拝金主義とは対極にある節度、自己犠牲、責任感などがごく当たり前のこととされておりました。こうした立場や時代を超えて守るべき価値の基軸を構えて、確かに連帯し支え合う国へと日本を立て直していかなければなりません。国民が本来持っているエネルギーを束ねて収れんさせてこそ国力は回復し、みずからの明確な意思を持った国家としての存在感も国際社会で確立できるのであります。
 そのためにも、まずもって政治はみずからの責任を問い直さなければなりません。その上で、長い時間軸で複合的に発想し、国民を奮起させるビジョンを示して成熟した世論を形成していくことが求められます。不人気な事柄からも逃げずに、歴史の判断にみずからをゆだねる孤独にも耐えて、社会、国家を踏まえた大きな志を貫かなければなりません。
 ゆえにも、東京から日本の活路を開くべく、政治が果たすべき責任を踏まえた都政運営を行ってまいりたいと思います。歴史の蓋然、必然にかなった目標を掲げ、首都東京ならではの地に足のついた率先行動をさらに加速させることで、日本が進むべき道を示し続けてまいります。
 戦後の日本は、よろずアメリカに依存してきました。しかし、いわゆる文明の衝突を内包し世界が複雑さを増す二十一世紀では、他力本願は全く通用せず、文明と歴史の大きな流れを見きわめて、戦略的に進路を選びとらなければなりません。
 二十一世紀に入り、全人類の半数が都市に住むまでになっております。また、アジアは豊かな潜在力をいよいよ開花させ、世界の新しい極となりつつあります。こうした都市の世紀、アジアの時代にあって、アジア各国の頭脳・心臓部である大都市が連携協力しながらその直面する課題を解決することは、アジアの発展とともに、世界の安定をも導くのであります。
 それゆえ、十年前、アジア大都市ネットワーク21の創設を主唱しました。従来の儀礼的な都市外交と一線を画して、実務家同士が課題の解決に向けた共同事業に取り組んでおり、東京も、我が国にとって最も重要な地域、アジアの発展のために力を尽くしてまいりました。
 危機管理面では、国境を超えた恒常的な協力体制の構築を進めております。毎年、各都市の担当者がアジア危機管理会議で一堂に会し、テロや災害に関する情報や対処のノウハウを交換するほか、東京での総合防災訓練にも台北、ソウルなどから消防チームが参加しています。また、鳥インフルエンザなどの感染症に備えるために、専門家が症例や治療法などを共有するネットワークも整備いたしました。
 アジアの存在感、交流の象徴とすべく、中小型ジェット旅客機の開発も促進しております。都の取り組みが実を結び、YS11以来の国産旅客機開発に当たっては、アジアで大きな需要が見込まれる座席数の機体に変更されまして、設計、製造に台湾、インドの企業が参加しております。
 アジアの発展を担う人材の育成でも、都は延べ二百五十人を超える行政職員などを受け入れ、彼らは帰国後、各国の第一線で活躍しております。
 こうした取り組みを重ねた十年間、アジアは目覚ましく変貌を遂げました。しかし、著しい経済成長の反面で環境問題が深刻化するなど、アジアの前途には光と影が交錯しております。大都市は、環境、経済、文化など幅広い分野でこれまで以上に重層的、複合的に結びついて協力関係を築くことで、アジアの調和のとれた発展を目指していかなければなりません。
 本年十一月に東京で開催する第九回総会では、連携をさらに深化させるべく、大都市が軸となりつつ企業や住民など各界各層が一段と強固に結びつく次なる一歩を踏み出してまいります。
 総会では、各都市が悩む水、ごみ、大気の問題について、東京の経験、ノウハウも伝えながら、対策を議論するほか、東京の官民を挙げた低炭素型都市づくりの戦略を披瀝いたします。
 また、中小企業のための日本最大級の見本市である産業交流展二〇一〇を総会と連動して開催し、各都市の企業と東京の中小企業との交流を図り、新事業の創出や販路開拓を支援いたします。十月、十一月を東京・アジア月間とし、都内各地で文化イベントなどを開催して、都民、国民のアジアへの理解を深めてまいります。
 都独自でも、アジアとの関係をより緊密化してまいります。先般、調査団をマレーシアに派遣し、現地の水事情を把握して、ビジネスとしての事業化の可能性やリスクを精査するための有益な材料を数多く収集できました。今後、上下水道の国際展開に向けて、インドなど四カ国でも調査を行い、東京への熱い期待にこたえる事業戦略を立案いたします。
 さらに、アジア人材育成基金で整えた国よりも手厚い支援策を活用し、首都大学東京に優秀な留学生を受け入れ、航空機用新素材の開発など、アジアの発展に資する高度の研究を支援してまいります。
 東京と日本がアジア、世界との関係を深めつつ発展を遂げるには、長期的な視点で社会資本を充実させ、有効に活用しなければなりません。
 人間の歴史において、文明を刺激し、発展、成熟させてきたのは、人、物、情報の交流であり、その玄関口となる羽田空港では、いよいよ来月、新しい滑走路と国際線ターミナルが開業いたします。この機をとらえて、外国人旅行者の誘致を一段と強化するならば、日本経済は大いに活性化すると思います。先日も世界八都市から現地の旅行社三十九社を招聘し、多彩な食文化やおもてなしの心など、東京の魅力を実際に味わってもらいながら、都内観光事業者との商談会を実施いたしました。
 今後もシティーセールスによる情報発信のほか、江戸から続く歴史と文化の堆積を実感できるよう、浜離宮恩賜庭園、小石川後楽園を修復して大名庭園を現代によみがえらせるなど、さまざまな施策を展開してまいります。
 羽田空港が真の実力を発揮するには、今後、昼間の国際線を既定路線に沿ってさらに増加させるとともに、空港へのアクセスをより向上させる必要があります。平成二十三年度に東京港臨海道路を、平成二十五年度には中央環状品川線を開通させて車の流れを大幅に改善するなど、道路ネットワークを充実させてまいります。
 他方で、外環道の整備は、羽田空港や八月に国際コンテナ戦略港湾の選定を受けた京浜港などとともに、日本の陸海空のネットワーク形成に不可欠でありながら、国の財源確保の枠組みは依然として不透明であります。完成がおくれればおくれるほど、都民、国民の利益が損なわれることを肝に銘じ、文明工学的な視点に立って決断してこそ真の政治であります。国は必要な財源を揺るぎなく確保するよう強く求めます。
 東京の地下鉄は、世界に類を見ない稠密さと正確さで首都の旺盛な活動を支えております。高度成長期に拡充を急いだ歴史的経緯もあり、東京メトロと都営交通とが二元的に建設、運営してまいりましたが、ネットワークが成熟段階に入った今、そのありようを見直す必要があります。
 国は、状況の変化にもかかわらず、法で定められた東京メトロの持ち株の売却を急いでおりますが、こうした教条的姿勢は決して是とはできません。国に設置させた都との協議の場であります東京の地下鉄の一元化等に関する協議会を通じ、利用者の利便向上はもとより、世界に誇る地下鉄ネットワークにふさわしい姿を目指してまいります。
 日本を立て直し、次なる発展を目指すためには、社会の連帯を結び直すよすがとなる取り組みを進め、都民、国民の安全と安心を確保していくことが必要であります。
 小惑星探査機「はやぶさ」の壮挙は、日本の技術力を改めて世界に示しました。その航海を支えたバッテリーにも東京のまち工場の技術が大いに生かされたように、東京には独自の技術をきわめ、社会の発展に役立たんとする志に燃えた企業が多数存在しております。現在、円高によって景気が下押しされ、悪化することが懸念されておりますが、資金繰り対策や下請対策など、都内企業への支援に引き続き万全を期してまいります。
 また、依然厳しい雇用情勢に対応するため、雇用創出や職業訓練、離職者への支援策など、切れ目なく講じてまいります。
 中でも、大学生の就職率が悪化するなど若年層に影響が及んでおりまして、彼らの社会への門戸を閉ざしてはなりません。都内では人材確保に強い意欲を持つ中小企業が少なくないことから、企業と学生のミスマッチを解消すべく、東京しごとセンターできめ細かく支援をいたします。合同就職面接会も規模を拡大して産業交流展二〇一〇と同時に開催するほか、都立高校でも進路指導を徹底し、就職が決まらないまま卒業した生徒からの相談等にも積極的に応じてまいります。
 安全と安心を確保する上で、少子高齢時代にふさわしい支え合いの仕組みを整えていかなければなりません。
 介護保険制度は発足から十年が経過し、制度自体は定着しましたが、団塊の世代の高齢化に伴う介護ニーズの増大を見据えて、地方の裁量を拡大し、地域に即したサービスをより効率的に提供していく必要があります。また、高い地価や物価といった東京の実情を介護報酬に正確に反映させ、慢性的に厳しい現場の経営を改善しなければなりません。
 この秋にも制度改正に向けた議論が本格化することから、国に緊急提言を行います。介護保険制度が都民の安心のよりどころとして現実に即し安定したものとなるよう、今後も国に求めてまいります。
 また、高齢者が地域で安心して暮らすことができるように、きずなの再生や見守りの充実に当たってきた区市町村とも連携して、必要な手だてを講じてまいります。
 社会全体で子育てを支える上で重要な保育サービスの充実も進めてまいります。この秋には、従来の時間を延長して子どもを預かる都型学童クラブへの補助を開始いたします。民の力を活用して、子どもにとって安全で、親にとっても安心な放課後の居場所を着実に確保してまいります。
 こうした次世代のための施策に力を注ぐ中、先月、明るいニュースが相次ぎました。東京の若者たちが、世界で初めてシンガポールで開催されたユースオリンピックで大活躍し、アメリカで行われたリトルリーグ世界選手権でも世界一に輝きました。彼らはこの得がたい経験と誇りを胸に、日本の将来をたくましく担ってくれるに違いありません。
 都は、スポーツの力で人を育て、親子のきずなを太くし、地域への愛着も呼び覚ますために取り組んでおります。七月には、平成二十五年に多摩・島しょ地域を中心に実施する東京国体と全国障害者スポーツ大会を、スポーツ祭東京二〇一三として開催することが正式決定いたしました。スポーツで社会を元気にする起爆剤ともすべく準備を加速いたします。
 次代を担う青少年を健全に成長させることは、私たち大人の、ひいては社会の責任であります。にもかかわらず、子どもたちはインターネット上にはんらんする有害な情報や悪質な性行為を描いた漫画等を容易に手にすることができる現況にあり、これを放置すべきでないことはだれの目にも明らかであります。
 現在、各方面とも議論を重ねており、早期に青少年健全育成条例の改正を議会に提案したいと考えております。
 ことしの夏は記録的な猛暑が続きました。気象の異変は全国各地での豪雨という形でもあらわれております。都においても、引き続き河川の拡幅を初め、古川と白子川の地下調節池などを整備してまいります。また、浸水の危険性の高い二十地区で重点的に下水道の幹線やポンプ所などの整備を進めるとともに、雨水浸透ますの設置を促進するなど、治水対策を総合的に展開いたします。
 猛暑や豪雨は、ロシアの大干ばつやパキスタンの大洪水のように世界各地でも発生しておりまして、地球の未来を思わずにはいられません。人間は死が不可避なのにもかかわらず自分自身の死を信じないと同様に、地球環境問題は遠いものと考えがちですが、自然からの警鐘を正面から受けとめ、みんなで手を携え、子どもや孫たちへの責任を果たさなければなりません。
 東京では、都民の拠金による海の森づくりや地域に支えられた校庭の芝生化、企業による省エネ設備への投資など多様な主体の取り組みを引き出し、都みずからも四年間で東京ドーム二十六個分の都立公園を新たに整備しました。今後も、既に導入したキャップ・アンド・トレード制度を広域的に展開するために埼玉県との連携をさらに深めるなど、低炭素型社会への転換で日本をリードしてまいります。
 テナントの入れかえが激しい小規模雑居ビルにおいては、ビル関係者の防火意識が希薄なこともありまして、法令違反が繰り返されております。都民が予期せぬ災害に巻き込まれるおそれがあることから、違反の是正はもちろんのこと、都民みずからが建物の安全に関する情報を入手し、利用を判断できる取り組みが必要であります。
 雑居ビルが数多く建つ東京の実情を踏まえ、立入検査で把握した違反を公表する制度を、全国に先駆けて創設してまいります。
 次に、築地市場について申し上げます。
 築地市場は既に老朽化が限界に達しておりまして、震災に遭えば、機能麻痺により都民生活に甚大な影響を与えることは必至であります。我々に与えられた時間は多くありません。都議会において、現在地再整備の可能性について検討が進められておりますが、築地市場の現況を考えれば、一刻も早く検討結果が得られるよう、お願いいたします。
 先般、国は、ことし六月末時点での借金が九百兆円の大台を突破したことを発表しました。このまま借金がふえ続ければ日本が早晩立ち行かなくなるのは不可避でありまして、国政は、消費税から決して逃れることなく、国家財政の立て直しの道筋を示すべきであります。
 また、国が成長戦略で掲げる医療、介護、観光の分野を実際に担うのは地方であり、一丁目一番地として公約してきた地方への権限と財源の移譲を前に進め、来年度の国家予算では地方の力をそぐようなツケ回しと完全に決別すべきであります。法人事業税の暫定措置も即刻廃止を求めます。
 さきの参院選で財政再建が議論されましたが、都議会の皆様と塗炭の苦しみをなめ取り組んだ内容に比べ、国政は周回おくれの感が否めません。
 都では、知事部局と公営企業を合わせて、この十年余の間に二万人、平成元年から見れば約六割にまで職員を削減し、民間とかけ離れた意識やスピード感の欠如を叱咤する一方で、不正軽油撲滅など、これは体を張っての果敢な挑戦を職員が行って、最前線の職員のスピリットをたたえました。政権も政治主導を掲げるならば、直ちに二重行政や出先機関に大なたを振るい、前例踏襲で事なかれの官の風土に鋭くメスを入れるべきであります。
 公務員にコスト意識やリスク感覚が欠如するのは、個人意識の問題だけではなく、行政システム自体にも根本的な原因があります。これを克服すべく、都では会計制度を改革し、ストック情報、コスト情報をつまびらかにして、事業別の財務諸表を駆使した事業分析を可能にしました。包括外部監査も導入して、専門家が毎年、半年にわたって現場の奥深くまで入り込み、問題点を指摘し、指摘後も改善状況をチェックしております。
 木も森も見ながら政策を検証して、むだを省き、しっかりと磨きをかける仕組みを行政につくり込んでこそ、太政官制度以来続く時代おくれの官の体質を根本的に変えることができます。大阪府や東京の町田市など既に意欲的な自治体が、都と同様の会計制度改革に動いております。十一月には公会計改革白書を公表し、シンポジウムを開催して機運をさらに高め、改革を日本全体へ一段と広げてまいりたいと思います。
 都政の一翼を担う監理団体の改革も、現状に安住することなく加速いたします。
 これまでも民間経営者を登用し、包括外部監査を導入したほか、国は一向に手をつけようとしない役員退職金も全廃いたしました。経営を効率化して団体数を半減し、都から団体にゆだねた事業は増加しているにもかかわらず、都の財政支出は五百億円以上縮減いたしました。一連の取り組みを経て、団体はみずからの役割をそれぞれに果たしております。例えば、東京しごと財団は、厳しい雇用情勢の中にあって、求職者を着実に就職に結びつけております。
 これからも、都が行政としての責任を果たしつつ、都民サービスの向上を図っていくためには、監理団体を政策推進のパートナーとして一段と機能させていかなければなりません。また、監理団体には、指定管理者制度の運用や公益法人制度改革実施により、一層の創意工夫や公益性の向上が求められております。
 そこで、改めて各団体を徹底検証し、それぞれの存在意義と今後の活用方針を明らかにするほか、透明性のさらなる向上のために監理団体の契約情報の公表範囲を拡大するなど、都民への説明責任を一層高めてまいります。
 また、都庁版人材バンクも整備し、都幹部職員の再就職情報を監理団体を含めて一元管理し、公表いたします。
 今後も手綱を緩めることなく、監理団体改革に取り組んでまいります。
 もとより、行財政改革は重要でありますが、それ自体が目的ではありません。あくまでも国家の大計や都市の将来像を実現するために、政治と行政がみずからの手足を強化する過程にすぎません。再建された財政基盤を賢く使いこなして、都民、国民に新たな価値を生んでこそ、改革は真の目的を達成するのです。
 国政のはるか先を行く改革の積み重ねをてこに、東京から日本を変える不断の挑戦を一心に進めてまいります。東京と日本への責任と愛着を一層強く持って、都政運営に全力を尽くしてまいります。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案四件、契約案八件など、合わせて二十二件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(和田宗春君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第三までを先議されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第三までを先議することに決定いたしました。

○議長(和田宗春君) 追加日程第一から第三まで、東京都名誉都民の選定の同意について三件を一括して議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について三件

二二財主議第三〇四号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     安達 雅一

      略歴
現住所 東京都新宿区
安達 雅一
昭和十年一月一日生
昭和十年   東京市牛込区(現東京都新宿区)生まれ
昭和三十二年 早稲田大学商学部卒業
同年     あだち工芸入社
昭和五十年  あだち工芸代表
昭和五十四年 東京都工芸染色協同組合理事
昭和六十二年 東京都伝統工芸士認定
平成元年   東京都工芸染色協同組合理事長
平成二年   東京都伝統工芸品産業団体連絡協議会会長
平成四年   工芸美術日工会会員
平成七年   伝統的工芸品産業功労者等表彰(通商産業大臣表彰)
平成十二年  社団法人日展会友
平成十六年  東京都優秀技能者認定
平成十七年  卓越した技能者の表彰(厚生労働大臣表彰)
平成十九年  黄綬褒章受章
同年     東京都工芸染色協同組合相談役
平成二十一年 工芸美術日工会評議員

      事績
安達 雅一
昭和十年一月一日生
 昭和十年一月一日、東京市牛込区(現東京都新宿区)に生まれる。
 昭和三十二年、早稲田大学商学部卒業。同年、父の経営するあだち工芸へ入社し、染色技法を伝授される。
 昭和三十三年、「うつし糊絵」の作風を完成する。
 昭和四十七年、全日本染色作品展で外務大臣賞を受賞する。
 昭和五十年、あだち工芸の代表となる。
 昭和五十四年、東京都工芸染色協同組合理事に就任する。
 昭和五十七年、染屏風「映える」で第十四回日本美術展覧会工芸の部において初出品し初入選、以後入選を重ねる。
 昭和六十二年、東京都伝統工芸士に認定される。
 平成元年、東京都工芸染色協同組合理事長に就任する。
 平成二年、東京都伝統工芸品産業団体連絡協議会会長に就任する。
 平成四年、工芸美術日工会会員に推挙される。
 平成六年、東京都伝統工芸士展で都知事賞を受賞する。
 平成七年、伝統的工芸品産業功労者として通商産業大臣表彰を受ける。
 平成十二年、社団法人日展会友に推挙される。
 平成十六年、東京都優秀技能者(東京マイスター)に認定される。
 平成十七年、卓越した技能者(現代の名工)に認定され、厚生労働大臣表彰を受ける。
 平成十九年、黄綬褒章を受章する。同年、東京都工芸染色協同組合相談役に就任する。
 平成二十一年、工芸美術日工会評議員に就任する。
 氏は、地味な中にも明るい色調とデザインの新しさを特徴とする東京手描友禅の染色家として、五十年余りの長きにわたり、繊細で粋な独特の表現をし続けてきた。
 父とともに完成させた「うつし糊絵」は、従来の友禅の既成概念を打破した立体的・絵画的な表現法であり、伝統を尊重しつつも画期的な技法は、新しい時代の感覚に溶け込んだものとなっている。
 また、友禅を愛し、たゆまぬ創造を続けるとともに、東京都における伝統工芸全体の振興・発展に多大な貢献を果たす姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二二財主議第三〇五号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     川崎 富作

      略歴
現住所 東京都台東区
川崎 富作
大正十四年二月七日生
大正十四年  東京市浅草区(現東京都台東区)生まれ
昭和二十三年 千葉医科大学付属医学専門部卒業
昭和二十四年 千葉医科大学小児科入局
昭和二十五年 日本赤十字社中央病院(現日本赤十字社医療センター)小児科勤務
昭和三十二年 医学博士
昭和四十二年 「川崎病(急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)」を専門誌「アレルギー」に発表
昭和四十三年 日本赤十字社中央病院小児科副部長
昭和四十八年 日本赤十字社医療センター小児科部長
昭和四十九年 厚生省川崎病研究班班長
平成二年   日本赤十字社医療センター退職
同年     川崎病研究情報センター所長
平成四年   日本川崎病研究センター所長
平成十一年  特定非営利活動法人日本川崎病研究センター理事長

      事績
川崎 富作
大正十四年二月七日生
 大正十四年二月七日、東京市浅草区(現東京都台東区)に生まれる。
 昭和二十三年、千葉医科大学付属医学専門部を卒業する。
 昭和二十四年、千葉医科大学小児科に入局する。
 昭和二十五年、日本赤十字社中央病院(現日本赤十字社医療センター)小児科に勤務する。
 昭和三十二年、医学博士の学位を受ける。
 昭和四十二年、乳幼児に多く発生する「川崎病(急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)」を、専門誌「アレルギー」に発表する。
 昭和四十三年、日本赤十字社中央病院小児科副部長に就任する。
 昭和四十八年、日本赤十字社医療センター小児科部長に就任する。
 昭和四十九年、厚生省川崎病研究班班長に就任する。
 昭和六十一年、第四回ベーリング・北里賞を受賞する。
 昭和六十二年、武田医学賞を受賞する。
 昭和六十三年、日本医師会医学賞を受賞する。
 平成二年、朝日賞を受賞する。同年、日本赤十字社医療センターを定年退職し、川崎病研究情報センター所長に就任する。
 平成三年、第八十一回日本学士院賞を受賞する。
 平成四年、日本川崎病研究センター所長に就任する。
 平成八年、第十二回東京都文化賞を受賞する。
 平成十一年、特定非営利活動法人日本川崎病研究センター理事長に就任する。
 平成十八年、第一回日本小児科学会賞を受賞する。
 氏は、小児科医として長年にわたり診療に励む中で、乳幼児に多く発生する新しい疾患である「川崎病(急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)」を発見し、診断・治療法の確立に貢献するなど、川崎病を中心に献身的な努力を続けてきた。
 現在も川崎病の原因究明に取り組む研究者を支援し、また川崎病の子供を持つ家族や医師たちを対象に電話相談に応じている。
 「運(運がいい)・鈍(鈍重)・根(根気よく)・感(第六感を働かせる)・厳(自分に厳しく)」のライフスタイルを貫き通し、日本の医学界に貢献する姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二二財主議第三〇六号
平成二十二年九月二十一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     中村 芝翫
     (本名 中村栄次郎)

      略歴
現住所 東京都港区
中村 芝翫
(本名 中村栄次郎)
昭和三年三月十一日生
昭和三年   東京府豊多摩郡渋谷町(現東京都渋谷区)生まれ
昭和八年   四代目中村児太郎襲名
昭和十六年  七代目中村福助襲名
昭和二十八年 日本舞踊中村流家元継承
昭和四十二年 七代目中村芝翫襲名
平成元年   紫綬褒章受章
同年     日本芸術院会員
平成八年   重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)
平成十一年  勲三等瑞宝章受章
同年     日本俳優協会副会長・伝統歌舞伎保存会副会長
平成十八年  文化功労者
平成二十年  日本俳優協会会長
平成二十一年 伝統歌舞伎保存会会長

      事績
中村 芝翫
(本名 中村栄次郎)
昭和三年三月十一日生
 昭和三年三月十一日、東京府豊多摩郡渋谷町(現東京都渋谷区)に生まれる。
 昭和八年、歌舞伎座において四代目中村児太郎を名乗り、初舞台を踏む。
 昭和十六年、歌舞伎座において七代目中村福助を襲名する。
 昭和二十八年、日本舞踊の中村流家元を継承する。
 昭和三十四年、「半七捕物帳春の雪解」の誰ヶ袖などの演技で毎日演劇賞を受賞する。
 昭和四十二年、歌舞伎座において七代目中村芝翫を襲名する。
 昭和四十三年、「鳴神」雲の絶間姫、「野崎村」お光などの演技で芸術選奨文部大臣賞を受賞する。
 昭和五十年、「本朝廿四考」八重垣姫などの演技で日本芸術院賞を受賞する。
 平成元年、紫綬褒章を受章する。同年、日本芸術院会員に選任される。
 平成五年、日本放送協会放送文化賞を受賞する。
 平成八年、重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)を受ける。
 平成十一年、勲三等瑞宝章を受章する。同年、日本俳優協会副会長及び伝統歌舞伎保存会副会長に就任する。
 平成十八年、文化功労者に選定される。
 平成二十年、日本俳優協会会長に就任する。
 平成二十一年、伝統歌舞伎保存会会長に就任する。
 氏は、五歳にして歌舞伎座の初舞台を踏み、以来八十年近く芸道を極めるための研鑽を積んでいる。
 平成二十二年四月をもって、建て替えのため休場することとなった歌舞伎座「さよなら公演」の最後の舞台では、「実録先代萩」の浅岡を情感豊かに演じた。
 すべてにおいて規矩正しい端正な芸に、品格と風格が漂い、観客には本物の歌舞伎の芸を、後進の俳優たちには生きたお手本を見せる歌舞伎界を代表する女方の一人である。
 現在も歌舞伎界全体への目配りと後進の指導に力を注ぐとともに、日本の伝統芸能の継承と発展に尽力しており、その功績は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

○七十四番(伊藤まさき君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明二十二日から二十七日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(和田宗春君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(和田宗春君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明二十二日から二十七日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十八日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十七分散会


文書質問趣意書及び答弁書

二二財主議第二八三号
平成二十二年九月十三日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 和田 宗春殿
文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十二年第二回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
福士敬子議員
中村ひろし議員
中谷祐二議員
伊藤ゆう議員
かち佳代子議員
たぞえ民夫議員
清水ひで子議員
斉藤あつし議員
大山とも子議員
石毛しげる議員

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  福士敬子

質問事項
一 ミサイル防衛(MD)用PAC3ミサイル部隊の移動展開訓練について

一 ミサイル防衛(MD)用PAC3ミサイル部隊の移動展開訓練について
航空自衛隊は2010年4月25日午後9時前から26日未明にかけて、東京都新宿区(一部渋谷区)の新宿御苑において、弾道ミサイルを迎撃するとされる地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の移動展開訓練を実施した。沖縄での米軍基地県内移設反対の県民大会にぶつける形での実施には、マスメディアの扱いをより小さなものにしようとする意図があるとしか考えられない。
約2年前の2008年1月14日深夜に同じく新宿御苑で行われた訓練は、電波・通信状況の調査に限られアンテナ車のみが配備されたが、今回は模擬ミサイル(長さ約10メートルで直径25センチ)や発射機を含むフル装備が持ち込まれ、実戦を明確に意識した訓練となった。新宿御苑は環境省が所管するため、省庁間協力の一環として防衛省の使用を許可された。防衛省は東京都庁、新宿区に事前通知したものの、都や区から住民への情報提供は禁じたと報じられている(4月26日付「東京新聞」)。
都民の憩いの場にミサイル兵器が持ち込まれ、自衛隊が車輌20台近くを動員し、実戦を想定した軍事訓練が都民への情報封鎖の中で秘密裏に行われた。MD自体が北東アジアの軍事的緊張を高めるものであるばかりか、「成功」とされる実験も実戦とはかけ離れた条件で行われたものに過ぎず、初期配備に投じられた8,500億円もの巨費に見合う費用対効果があるのかの疑念も尽きない。
都民の生命と安全に責任を負うべき行政機関である東京都は、都民生活に重大な影響を及ぼしかねない軍事訓練の既成事実化を追認するのではなく、問題点を検証し、都民への説明責任を果たし、防衛省に訓練の中止を要請すべきと考える。以上の立場から文書質問を行う。
なお、前回の文書質問に対する2007年11月末の都による回答では、「適切に判断します」という状況が理解できない文言が多用された。今回の回答に際しては、このあいまいな文言を使用することなく、具体的な判断基準を示されるよう要望しておく。
1 今回、事前に防衛省から東京都に訓練実施が通知されたと報じられている。いつ、どのような形で、どのような内容の事前通知が行われたのかを明らかにされたい。そのことに関連して防衛省から都に出向している職員がいるのか。それは何人か。都の配属部署と役職名の内訳も明らかにせよ。
2 フル装備を持ち込んだ訓練は周辺住民にパニック(戦時との勘違いなど)反応を引き起こす恐れもある。新聞報道では、防衛省が都や区から住民への情報提供を禁じたとされているが事実か。また、事実とすれば都としてそれに抗議し、住民への情報提供を行うべきだったと考えるが、実際に都はどのような対応をとったのか。
3 今回の移動展開訓練の際、その実態を把握するため都として現場に立ち会ったのか。どのような状況だったのか。その理由も含めて明らかにされたい。また、防衛省から都に訓練についての事後報告はあったのか。なかった場合、都として報告を要請すべきと考えるがどうか。
4 新宿御苑での前回訓練に関する市民による東京都への要請行動(2008年1月15日)の際、都庁総合防災部国民保護担当の副参事(当時)は、「調査」であり「訓練」ではない、との解釈を披瀝した。今回はフル装備を持ち込んでの実戦訓練であり、そうした論理はもはや通用しない。都民の憩いの場で兵器を持ち込んだ実戦訓練が行われることを東京都としてどのように考えているのか。
5 前回の文書質問中、展開訓練が都市公園法第1条や都立公園条例第16条に抵触するとの質問に対して、都は「具体的内容が不明」であることを都立公園使用の可否の判断ができない理由としていた。今回の実戦訓練により、具体的内容は明らかになった。改めて、都立公園での軍事訓練は都市公園法や都立公園条例に違反すると考えるが、都の見解を明らかにされたい。
6 前回の文書質問では、防衛省から都立公園の使用要請があった場合は、「その時点で具体的な内容を見た上で、適切に判断します」との回答だった。「適切に判断」する基準はどのようなものか。具体的に明らかにされたい。
7 2009年4月、当時の麻生政権がMDの実戦態勢を発動し、PAC3を市ヶ谷の防衛省グラウンドと朝霞基地に展開させ、朝霞基地では住民に知らせることなくレーダーの運用訓練が行われた。レーダー波の影響や爆風の防護柵の能力などに関して、都として防衛省に明確な説明を求めるべきと考える。防衛省から都に対して事前説明などは行われたのか。また、都として事後に防衛省に対して報告・説明を求めたのか。今後求める意思はないか。また、レーダー波や爆風の人体影響についても明らかにされたい。
8 2009年3月、秋田県でPAC3の展開で機材を搭載した車両が野球場に迷い込み、施設を破壊する事故を起こした。都道や都立公園など、都が管理する施設が移動展開によって破損した場合、どのような補償をするかについての防衛省との協議は行われているのか。いないとすれば、今後それを求めるつもりはあるのか。

平成22年第二回都議会定例会
福士敬子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 ミサイル防衛(MD)用PAC3ミサイル部隊の移動展開訓練について
1 今回の訓練実施について、防衛省から東京都へいつ、どのような形で、どのような内容の事前通知が行われたのか。
また、防衛省から都に出向している職員がいるのか、それは何人か、都の配属部署と役職名と合わせて伺う。

回答
4月15日に、都は防衛省から新宿御苑において機動展開訓練を行うとの情報提供を受けました。
また、総務局総合防災部に、防衛省から情報統括担当課長として1名を受け入れています。

質問事項
一の2 防衛省が都や区から住民への情報提供を禁じたとされているが、事実なのか伺う。
また、事実であれば、都としてそれに抗議し、住民への情報提供を行うべきであったと考えるが、実際に都はどのような対応をとったのか伺う。

回答
ご指摘の事実はありません。

質問事項
一の3 今回の訓練の際、その実態を把握するため都は現場に立ち会ったのか、それはどのような状況だったのか。また、防衛省から都に訓練についての事後報告はあったのか。なかった場合、都として報告を要請すべきと考えるが、所見を伺う。

回答
訓練実施の際、都は立ち会っていません。
今回の訓練は、政府がその責任のもとに行ったものであり、都が報告を求める事柄ではないと考えています。

質問事項
一の4 今回の訓練について、都民の憩いの場である新宿御苑で兵器を持ち込んだ実戦訓練が行われていることを都はどのように考えているのか伺う。

回答
今回の訓練は、政府がその責任のもとに行ったものと考えています。

質問事項
一の5 今回の実戦訓練により展開訓練の具体的内容は明らかであり、改めて、都立公園での軍事訓練は都市公園法や都立公園条例に違反すると考えるが、都の見解を伺う。

回答
都立公園の使用要請があった場合は、その時点で具体的な内容を見た上で、適切に判断します。

質問事項
一の6 前回の文書質問では、防衛省から都立公園の使用要請があった場合は、「その時点で具体的な内容を見た上で、適切に判断します」との回答であったが、「適切に判断」する基準はどのようなものか伺う。

回答
公園管理上、特に支障を与える恐れがない場合、占用を許可することができます。

質問事項
一の7 2009年4月の市ヶ谷と朝霞でのPAC3のレーダー運用訓練について、レーダー波の影響や爆風の防衛柵の能力などに関して、防衛省から事前説明は行われたのか、事後に都から報告・説明を求めたのか、今後求める意思はないのか伺う。また、レーダー波や爆風の人体影響についても伺う。

回答
事前、事後ともに防衛省から説明は受けていません。
なお、影響等については、政府が判断すべきものと考えています。

質問事項
一の8 2009年3月、秋田県でPAC3の展開で機材を登載した車両が野球場の施設を破壊する事故を起こしたが、都道や都立公園など、都が管理する施設が移動展開によって破損した場合、どのような補償をするかについて防衛省との協議は行われているのか、ないとすれば今後それを求めるつもりはあるのか伺う。

回答
都道において道路損傷が発生した場合には、道路法により原因者が復旧を行うか、復旧費用を負担することとなります。
都立公園において、占用を許可する際、一般的には都道と同様に損害賠償責任の条件を付しています。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  中村ひろし

質問事項
一 成年後見制度について

一 成年後見制度について
介護保険制度の導入に伴い、措置から契約へと制度が変わるのと同時に、判断力の低下した高齢者のための制度として、成年後見制度が導入されました。今後、さらに高齢化社会が進展するに伴い、認知症の高齢者の増加、とりわけ都会では身寄りのない方の増加という問題に直面しています。
東京都は、平成17年度に成年後見活用あんしん生活創造事業を創設し、区市町村に成年後見制度推進機関を設置する取り組みを支援してきました。しかし、弁護士や司法書士などの専門家だけでは対応できず、市民後見制度の養成も進められていますが、実際に後見人として選任されているとは必ずしもいえません。今後、より活用しやすい制度にするためのさらなる取り組みが求められます。
都議会民主党は、平成22年度の予算要望において、「区市町村において、成年後見制度推進機関の立ち上げなど、制度の普及・定着が進むよう、成年後見活用あんしん生活創造事業を行うこと。また、地域福祉権利擁護事業を実施するとともに、苦情対応事業を実施すること。」を要望していますが、あらためて、現状、都の取り組みなどについて質問します。
1 認知症高齢者の増加や、知的障害者、精神障害者にとっても利用しやすい仕組みが求められる等、成年後見制度の重要性が増しています。東京都では区市町村を支援していますが、区市町村における成年後見制度推進機関の設置状況、及び後見制度活用の実績について伺います。
2 成年後見人は、専門家にとっては高い報酬が望めない面があり、また一方では、法律的に高度な専門性よりも身近なお世話を中心に市民による後見制度の必要性も求められています。需要が高まる中では、専門家との競合というよりも、すみ分けになっています。世田谷区をはじめ、市民後見人の養成に取り組む自治体がありますが、都の支援について、所見を伺います。
3 親族が後見人になる場合も多くありますが、他人の方が良い場合、また、身寄りがない場合もあり、市民後見人の需要がますます望まれます。しかし、区市町村の窓口でも、市民後見人の能力を測りかね、また、トラブルの際の責任の問題もあり、紹介するのを躊躇しているという声もありますが、課題解決のためにどのような取り組みをしているのか伺います。
4 今後、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等の成年後見制度利用の需要が高まると、後見人の研修を受けたことを公が認証したり、資格として確立することも方法の一つと考えられますが、都としてのご所見を伺います。
5 成年後見制度は手続きの煩雑さ、時間がかかるなどの問題や、裁判所に申し立てる際、診断書を書いてくれる医師はいても、鑑定書を書いてくれる医師が少ないとの問題、市民後見人をバックアップするための体制整備などが指摘されていると聞いています。
このような問題を解決するためにも、弁護士、司法書士などの専門家による支援の仕組みも必要と考えられますが、都としての所見を伺います。
6 区市町村長の申し立てが進んでいない自治体もあるようですが、親族が高齢者の年金を勝手に使ってしまうなどの高齢者虐待という問題も起こっています。他人が家族に過度に介入することには慎重でなければなりませんが、虐待を早期に発見し、高齢者の権利擁護という観点からも、成年後見制度は有効と考えますが、都の取り組みについて伺います。
7 生活保護などの低所得者の利用も増えています。生活保護受給者も成年後見制度を利用しやすくする必要があると考えますが、都としての所見を伺います。

平成22年第二回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 成年後見制度について
1 都は区市町村における成年後見制度推進機関の設置を支援しているが、区市町村における同機関の設置状況、後見制度活用の実績について伺う。

回答
都は、平成12年4月の成年後見制度創設以降、区市町村における成年後見制度の利用を促進するための体制整備を進めるため、「福祉改革推進事業」、「福祉サービス総合支援事業」を活用して区市町村の取組を支援しており、平成17年度からは「成年後見活用あんしん生活創造事業」を実施しています。
本事業では、後見人へのサポート活動等を行う成年後見制度推進機関を設置する区市町村に対して財政支援を行うとともに、都自らも、実務を担当する区市町村・推進機関職員への研修や、困難事例などの対応への助言、後見人等候補者の養成などを行っています。
その結果、平成22年4月1日現在、46区市が本事業に基づく成年後見制度推進機関を設置しています。
また、東京都における成年後見制度の申立件数は、毎年増加しており、平成12年から平成20年までの累計は21,583件になります。

質問事項
一の2 成年後見制度の需要が高まる中では、身近なお世話を中心に市民による後見制度の必要性も求められている。市民後見人の養成に取り組む自治体に対する都の支援について、所見を伺う。

回答
都は、区市町村と協働して後見人等候補者養成事業を実施しています。
この事業は、都が、区市町村が推薦する社会貢献に意欲を持つ都民を対象に、後見業務についての基礎的な知識、援助のための制度や仕組み等を学ぶ基礎講習を実施し、その修了生に対して、区市町村の成年後見制度推進機関が実習活動等を行うことで、後見人等候補者を養成するものです。
この外、5区市が独自に後見人の養成を実施していますが、都は、「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、これらの養成事業についても支援しています。

質問事項
一の3 市民後見人の需要がますます望まれるが、区市町村の窓口でも市民後見人の能力を測りかね、またトラブルの際の責任もあり、紹介を躊躇しているとの声がある。問題解決のためにどう取り組んでいるのか伺う。

回答
成年後見制度を必要とする方が適切な後見人を得るためには、親族や弁護士等の専門家以外にも、制度の担い手である後見人のすそ野を広げるとともに、能力の向上を図ることが必要であると考えます。
そのため、都は、「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、後見人等を養成するとともに、実務を担当する職員のスキルアップ研修を行っています。
また、後見人からの相談を受ける区市町村の成年後見制度推進機関では対応が困難な事例等について、弁護士、司法書士、学識経験者等による助言が得られるよう、区市町村を支援しています。

質問事項
一の4 成年後見制度利用の需要が高まると、後見人の研修を受けたことを公が認証したり、資格として確立することも方法の一つと考えられるが、所見を伺う。

回答
都が実施する後見人候補者等養成事業では、区市町村から都に推薦された方に対し、基礎講習を実施し、その修了者に対しては、修了証を交付しています。
基礎講習修了者は、平成17年度から平成21年度までに累計で250名となっており、そのうち、平成22年3月31日現在で、43名の方が家庭裁判所の審判を経て、後見人として活動しています。

質問事項
一の5 成年後見制度は、手続の煩雑さや、裁判所への申立ての際の鑑定書を書く医師の少なさなどの問題、市民後見人のバックアップのための体制整備などの指摘がある。問題解決のため、弁護士や司法書士などの専門家による支援の仕組みが必要だが、所見を伺う。

回答
成年後見制度推進機関は、福祉サービス事業者や弁護士等の専門職との関係者連絡会や事例検討会を実施するなど、地域のネットワークを活用し、後見人等を支援しており、都は「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、区市町村の取組を支援しています。

質問事項
一の6 区市町村長の申立てが進んでいない自治体もあるようだが、親族などによる高齢者虐待を早期に発見し、高齢者の権利を擁護する観点からも、成年後見制度は有効と考えるが、都の取組について伺う。

回答
都は、「成年後見活用あんしん生活創造事業」において、実務を担当する職員に対して首長申立の手続をはじめとする具体的な業務内容や、高齢者虐待等の諸課題について理解を深めるための研修を行っています。
なお、区市町村長による家庭裁判所への後見開始の申立実績は、毎年増加しており、平成12年から平成20年までの累計は1,190件になります。

質問事項
一の7 生活保護などの低所得者の利用も増えている。生活保護受給者も成年後見制度を利用しやすくする必要があるが、所見を伺う。

回答
成年後見制度は、生活保護受給者など、申立経費等の負担能力に乏しい方も安心して利用できることが重要です。
このため、都は、後見人等を必要とする方に対し、区市町村が申立経費及び後見報酬の助成を行った場合、「成年後見活用あんしん生活創造事業」を通じて、支援しています。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  中谷祐二

質問事項
一 自動体外式除細動器(AED)について

一 自動体外式除細動器(AED)について
平成16年7月1日付 厚生労働省医政局長通知「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」により一般人による使用が認められました。
以来、設置個所も急速に増加し、役所などの公共機関、学校などの教育機関、ショッピングモール・百貨店など商業施設、鉄道構内などAEDについては、我々の日常の暮らしにおいても見慣れた存在になってまいりました。
AEDの普及により、一般人により救命に使用されるケースも増加しており、総務省消防庁「救急蘇生統計2008」によると、一般人による使用が可能となってすぐの平成17年の「心原生の心肺停止症例に対する一般市民による除細動実施件数」は『46件』であったのに対し平成20年では『429件』と着実に増加しています。また同統計によりますと「一般市民による除細動を受けた場合の社会復帰率」は「除細動を受けていない場合」の4,5倍となっており一般市民が行うAEDの有用性は数値からも確認が出来るものであります。
しかしながら、AEDは薬事法により「特定保守管理医療機器」と定義され、保守点検などその管理に専門的な知識及び技能が必要とされている「医療機器」であり、救急時に使用するためには適正な日常点検、消耗品の管理が必要となります。他の自治体の例を見ますと平成19年3月の大阪府薬事審議会答申においても「自動体外式除細動器(AED)の安全性確保として「賃貸業者あるいは購入者などの設置者にあっては、定期的な保守点検の実施などの適正な管理が求められる。」との答申がありました。その保守管理については、平成21年4月16日付厚生労働省医政局長 医薬食品局長通知「自動体外式除細動器(AED)の適正な管理などの実施について」の通知が出され、行政機関、AED製造販売業者、AED設置者それぞれに対して、取り組むべき事項が示されましたが、必ずしも設置者などによる日常点検の実施や消耗品の管理が徹底されていない状況が報告されており、緊急時に正常に使用されるためにも、AEDの各製造販売業者に対して、日常点検の重要性及び消耗品の管理の必要性などについて、改めてすべての設置者又は購入者に情報提供することなどを、平成22年5月7日付厚生労働省医政局指導課長、医薬食品局安全対策課長名で各都道府県衛生主管部(局)長あてに依頼が為されたところであります。
平成20年12月現在、わが国のAED設置台数は、206,994台 その内訳は医療機関が50,754台 消防機関が6,923台でその他を公共施設など一般市民が使用できるAEDとすると、149,318台となる。
また今回新たに、警視庁で1,195台設置する予定である。
1 AEDの設置経緯と保守・管理に関する全体情報はどこが把握しているのか。
AEDが他の医療機器と異なる大きな特徴として、AEDの購入者と実際の設置者が異なる場合が数多く見受けられるが、「寄贈されたAED」については設置時に必要な情報が設置場所に提供されているのかどうか伺う。
2 AEDの具体的管理体制について、「点検担当者」の設置、「AEDの添付文書、取扱説明書の保管」は各設置場所における対応はどのように為されているのか伺う。
3 AEDの電極パッド及びバッテリーの交換時期など消耗品の期限の把握がどのように為されているのか。またその消耗品を購入するための予算の確保が為されているのか。特に、「学校・保育施設」「不特定多数が利用する公的施設」における経費の確保は大丈夫か伺う。
4 設置済みのAEDの点検時に異常が確認された場合の対応方法、連絡先などは告知されているのか。不具合が起こった場合対処はどのように為されているのか伺う。
5 AED使用に関する講習会の受講状況について、講習会の主催者は、消防関係者、販売店、自治体、日本赤十字社、NPO団体等が想定されるが、受講者数を把握しているか、伺う。
6 設置者が複数おり、設置個所の全体把握をしているところがないのであれば、東京都としてAEDマップなるものを作成し、設置後の保守・管理などの責任分担の確認を含め現況把握をする必要があると考えるが、見解を伺う。
7 区市町村における身近な地域へのAED設置を推進することにより、地域における安心・安全の仕組みを構築するため、福祉保健局では、これまでどのような支援をしてきたのか伺う。

平成22年第二回都議会定例会
中谷祐二議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 自動体外式除細動器(AED)について
1 AEDの設置経緯と保守・管理に関する全体情報はどこが把握しているのか。AEDが他の医療機器と異なる大きな特徴として、AED購入者と実際の設置者が異なる場合が数多く見受けられるが、「寄贈されたAED」については、設置時に必要な情報が設置場所に提供されているのかどうか伺う。

回答
自動体外式除細動器(AED)は、平成16年の国の通知により非医療従事者による使用が認められたことから、公共施設、医療施設、営業施設等への設置が進んでいます。
製造販売業者又は販売・賃貸業者は、薬事法に基づきすべての納品先を把握し、保守管理等に必要な情報を提供しています。
また、現在流通しているAEDの製品には、本体を収納したケースの中に保守・管理や使用方法が記載された説明書が添付されており、購入者と設置者が異なる場合においても、必要な情報が設置場所に提供されています。

質問事項
一の2 AEDの具体的管理体制について、「点検担当者」の設置、「AEDの添付文書、取扱説明書の保管」は、各設置場所において対応がどのようになされているのか伺う。

回答
AEDの管理のため、平成21年の国の通知により、設置者は日常点検等を実施する者として「点検担当者」を配置することとなっています。
また、AEDの製品には、本体を収納したケースの中に保守・管理に関する情報が記載された説明書が添付されているため、設置者はそれらの情報により必要な保守管理を行うことができます。

質問事項
一の3 AEDの電極パッド及びバッテリーの交換時期など消耗品の期限の把握がどのようになされているのか。またその消耗品を購入するための予算の確保がなされているのか。特に、「学校・保育施設」「不特定多数が利用する公的施設」における経費の確保は大丈夫か伺う。

回答
AEDには、消耗品である電極パッドやバッテリーの管理を円滑に行うために、平成21年の国の通知に基づいて、交換時期等が記載された表示ラベルを添付することとなっており、「点検担当者」が自ら消耗品の交換を適切に行うことができるようになっています。
また、バッテリーについては、交換時期が来ると本体にその旨が表示されるため、日常点検で把握することが可能となっています。
こうしたAEDの管理については、一般の備品と同様に、それぞれの設置者が自らの責任において行っており、これまで都は、区市町村や関係団体と連携して、AEDの日常点検の重要性及び消耗品の管理等に関する注意喚起を行っています。

質問事項
一の4 設置済みのAEDの点検時に異常が確認された場合の対応方法、連絡先は告知されているのか。不具合が起こった場合の対処はどのようになされているのか伺う。

回答
設置済みのAEDの点検時に異常が確認された場合の対応方法や製造販売業者の連絡先は、本体や取扱説明書等に記載されています。
連絡を受けた製造販売業者は、修理が必要と判断した場合には、薬事法に基づく許可を受けた修理業者を紹介するなど適切に対処しています。
製造販売業者がその不具合が製造工程等に起因すると判断した場合には、自主回収等の措置を取り、都道府県に報告することになっています。
なお、都は、重大な健康被害が想定される場合には速やかに公表し、都民に対し注意喚起を行っています。

質問事項
一の5 AED使用に関する講習会の受講状況について、講習会の主催者は、消防関係者、販売店、自治体、日本赤十字社、NPO団体等が想定されるが、受講者数を把握しているか伺う。

回答
AEDの使用に関する講習会は、主催者が東京消防庁、区市町村、日本赤十字社、医師会、NPO等多岐にわたっていることから、すべての受講者数を把握することは困難です。
なお、東京消防庁においては、平成17年1月21日からAEDの使用を含めた3時間の普通救命講習や8時間の上級救命講習などを開始しており、平成22年3月末日までに、延べ約103万5千人の都民が同救命講習を受講しています。

質問事項
一の6 設置者が複数おり、設置場所の全体把握をしているところがないのであれば、東京都としてAEDマップなるものを作成し、設置後の保守・管理などの責任分担の確認を含め現況把握をする必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
厚生労働省通知に基づき、AEDの設置者には設置場所に関する情報を財団法人日本救急医療財団に登録することが求められており、同財団においては、設置者等からの情報提供を受け、ホームページ上でAEDの設置場所を公表しています。
このため、都としていわゆるAEDマップを作成することは予定していません。
なお、都では、区市町村や関係団体と連携して、AEDの設置者に対して適切な管理等を徹底するよう周知に努めています。

質問事項
一の7 区市町村における身近な地域へのAED設置を推進することにより、地域における安心・安全の仕組みを構築するため、福祉保健局ではこれまでどのような支援をしてきたのか伺う。

回答
平成16年に非医療従事者によるAEDの使用が認められたことに伴い、福祉保健局では、地域におけるAEDの設置促進を目的として、区市町村がAEDを設置し、併せて住民や職員を対象とする講習を実施した際の経費を補助するなどの緊急対策を行いました。
この取組により、平成17年度及び平成18年度において、区市町村の福祉施設や保健施設、学校などで、2,360台のAEDが設置されました。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  伊藤ゆう

質問事項
一 ホームページ作成経費について

一 ホームページ作成経費について
東京都が各局(警察・消防を除く)で運営するホームページに関する作成経費・維持管理費等の金額および契約の締結方法について、私が調査したところ、平成17年度から21年度の5カ年で13億2439万1336円に上ることが明らかになった。これは他都市と比較しても極めて高額な契約額である。
また、各局の契約方式を見ると、263件中181件は随意契約方式となっており、随意契約率が68.82%であることがわかった。さらに金額の大きな案件ほど随意契約になっているケースが多く、金額別でみれば随意契約率はさらに大きくなる。
25の局別に検証してみると、産業労働局のホームページに関する経費が3億3512万7千円と群を抜いていることもさることながら、契約先の大部分が東京都の監理団体である財団法人東京観光財団になっているのは契約の公平性を欠いている可能性があることから検証されるべきである。
私自身、詳細調査を行った結果、産業労働局の観光にかかわるホームページは平成14年度に観光のホームページを立ち上げて以来、8年にわたり東京観光財団に随意契約のかたちで業務委託を行っており、8年間の委託料の総額は4億7723万7千円に上ることがわかった。
また、委託を受けた東京観光財団がホームページの作成、保守、管理、サーバーレンタルに至る業務の全てを民間の特定企業一社に丸投げしており、産業労働局から6752万円で請け負った委託業務を6596万円で同社と随意契約していることは、産業労働局が同財団に委託する理由がないことを証明するものである。
また、年平均6000万円もの委託料を支払っていたにもかかわらず、費用の内訳は平成21年度でみると更新費3660万5千円、サーバーレンタル経費1278万4千円、翻訳代1813万9千円の大項目しかなく、労働産業局はそれぞれの費用の内訳を把握してこなかった。このことは産業労働局が費用の内訳書を一切保有していなかったことから明らかである。
これでは同業他社との比較以前に、仕事量に対する価格の妥当性を検証することさえできない仕組みであり、即刻見直すべきである。
また、平成18年度から平成19年度にかけてサーバーレンタル費用が384万円から767万円に、その他経費が936万円から1413万9千円に増大した際にも、局は財団から口頭での説明を受けたのみで、積算根拠となる文書類を一切受け取っていないのは行政手続き上、重大な問題である。
1 産業労働局はホームページの関連費用をどのように積算したのか伺う。
2 産業労働局が東京観光財団と委託契約を締結する際に費用の内訳書の提出を求めなかった理由を伺う。
3 産業労働局は同業他社に対して見積もり合わせを行い、価格の妥当性を検証するべきと考えるが、所見を伺う。
また、東京観光財団には東京の観光名所やイベント情報などを盛り込んだホームページがあり、産業労働局の観光ホームページと内容が類似しているのは、二重の無駄と言わざるを得ない。
4 産業労働局は東京観光財団が作成するホームページとの統合を含め、合理化するべきと考えるが所見を伺う。
また、各局の経費を比較検討すれば、建設局、中央卸売市場など7局は都庁職員がホームページ作成などを担当しており、サーバーその他の経費もかかっていない事実が明らかになった。対して、外注している各局のホームページに占めるサーバーレンタル費の総額は5年間で9千707万8443円であることから、外注しないサーバーの活用方法など、各局をまたぐ経費節減の対策を講じるべきと考える。
5 総務局及び生活文化スポーツ局は各局のホームページの維持管理費などの経費節減や統一的なデザインの作成に貢献する各局横断の対策を講じるべきと考えるが、所見を伺う。

平成22年第二回都議会定例会
伊藤ゆう議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 ホームページ作成経費について
1 産業労働局はホームページの関連費用をどのように積算したのか伺う。

回答
ホームページの関連費用の積算に当たっては、コンテンツ制作更新費、最新情報収集費、翻訳料、サーバー使用料及び保守費、ログデータ作成費並びにアップロード作業費の項目ごとに毎年度、必要経費を見積もり、その合計額をもって契約予定金額としています。

質問事項
一の2 産業労働局が東京観光財団と委託契約を締結する際に費用の内訳書の提出を求めなかった理由を伺う。

回答
東京観光財団は、都が仕様書に求めている内容について経費を算定し、見積書を提出しています。
その見積書は、経費総額が示されたものであり、ホームページ管理運営についての経費内訳は付されていませんでした。
しかし、見積金額が、契約予定金額の範囲内であったことから、契約を締結しました。

質問事項
一の3 産業労働局は同業他社に対して見積もり合わせを行い、価格の妥当性を検証するべきだと考えるが、所見を伺う。

回答
都の契約予定金額の算定に当たっては、これまでの契約実績や委託業務の内容を踏まえ、毎年度、積算してきました。
今後は、積算価格について、より効果的に検証していく観点から、平成23年度以降、東京都の予定価格作成時に複数の参考見積を徴収し、積算を行うよう改善を図っていきます。

質問事項
一の4 産業労働局は東京観光財団が作成するホームページとの統合を含め、合理化するべきと考えるが所見を伺う。

回答
東京観光財団のホームページは、平成9年に開設され、独立した組織のPR活動の一環として、自主財源により運営しているものです。
東京都のホームページは、平成14年度に開設し運営してきましたが、既にコンベンションのページについては、東京観光財団のホームページにリンクさせるなど、連携を図っています。引き続き、それぞれのホームページの特徴を活かした内容の充実・改善を図るとともに、来年度以降、順次、可能な部分について統合の検討を行うなど、効率化と利用者の視点からより良い情報の発信に努めていきます。

質問事項
一の5 総務局及び生活文化スポーツ局は各局のホームページの維持管理費などの経費節減や統一的なデザインの作成に貢献する各局横断の対策を講じるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
都では、ホームページの維持管理経費の節減等を図るため、都庁総合ホームページ及び各局ホームページ共用の統合サーバを設置していますが、事業目的に応じた独自の機能が必要な場合などには、外注を含め各局が個別のサーバを設置しています。
また、ホームページの使いやすさや見やすさを向上するために、ホームページ作成にかかる統一ルールを定めています。
ホームページ関連経費の節減及び使いやすいデザインの推進については、それぞれのホームページに求められる独自性、技術的可能性、費用対効果等を勘案しつつ、引き続き各局と連携を図っていきます。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  かち佳代子

質問事項
一 羽田空港の再拡張・国際化について

一 羽田空港の再拡張・国際化について
東京都は、首都圏再生をかけ声に、国際競争力を回復させるとして、空港・港湾機能をセットで、強力に推進しています。
先日、私は10月に供用開始となるD滑走路の工事進捗状況をみてきましたが、海上に延長3千メートルの構造物を造り、2千メートルは、東京ドーム31杯分で土砂が埋め立てられ、1千メートルの桟橋部分は、直径1.6メートルの鉄骨杭が1156本も海中に打ち込まれていました。
狭い東京港の中に作るD滑走路は、多摩川の河口を半分せき止めるように、突き出しています。しかも、滑走路の反対側が、外国船航路に交差することから、直線航路に角度がつけられるとともに、効率化アップのため往復航路に拡幅するための浚渫をおこなっていました。
滑走路も水平ではなく、高低差40メートルもあり、桟橋部分と埋め立て部分と連絡通路部分の3つの接続でささえられるものであり、世界でも例のないこのような滑走路が、安全性や周辺環境などに、今後どのような影響が出るかは、未知数です。
1 また、D滑走路の安全性・周辺環境への影響について、どう把握し、対応するのですか。お聞きします。
D滑走路供用開始後は、現在の発着回数30万回/年を40.7万回/年に増やすというものであり、区民から、騒音被害の増大を心配する声が高まっています。
現在でも、飛行ルートの変更により、内陸部まで低空飛行が続き、広く大田区民から航空機騒音の苦情が寄せられてるのです。
知事は、「羽田空港は都心まで、20キロ以内であり、成田は60キロ、国際都市のなかで、もっとも、都心に近い空港のひとつとして、優位性がある」と言われましたが、それだけ、隣接する近隣住民、大田区民へ与える影響はおおきく、危険性も高いということでもあるのです。
D滑走路共用開始によって、10万回も増便となり、外国線も6万回増えるといわれています。ジャンボ機による騒音も一層増加します。
深夜・早朝を問わず、航空機騒音に安眠を妨害され、日常生活への支障・影響が一層増大することを、多くの住民が懸念をしています。
また、地球温暖化対策が喫緊の課題となっているとき、現在、環境局がしめしている、CO2削減計画の中には、航空機に関する排出量は、国際基準を待つとのことで、現在カウントしていません。しかし、空港再拡張・増便するというなら、CO2削減計画に位置付けないことは、ゆるされません。
そこで、羽田空港の再拡張と国際化にともなう、新たな環境確保の観点から、いくつかの問題をお聞きします。
本年5月に、国土交通省が再拡張後の飛行ルートについて示したものは、北風時でも南風時でも大田区上空を通過するということです。現在、早朝の北風時のA滑走路の左旋回は羽田・糀谷・南蒲田・六郷地域では大変な騒音被害をうけているのですが、減便するとはいえ、依然として、続くということが明らかです。
2 再拡張によって、40万回に増えることにより、1日あたりの便数はどれだけふえるのですか。早朝左旋回の減便は、いつまでに廃止するのかも含めて、明確なスケジュールを示すよう、国に求めていただきたい。
3 便数が増えれば、人や物の流通も増大します。そのため、道路の輸送もふえることになりますが、10万回の増便によって、車両交通量が日量どれだけ、増えると予測しているのか。同様に公共交通への影響と対応をお聞きします。
4 車両交通量の増大による、大気汚染が懸念されますが、環境影響評価書では、3ヶ所しか調査をしていません。これでは、実態を正しく認識することはできません。せめて、環七と第一京浜(大森交差点) 産業道路(大森警察署前) 環八と第一京浜(南蒲田交差点)などの、モニタリングをおこなうべきですが、どうですか。
5 航空機による、CO2予測と、削減計画を早急に立てる必要があります。都としての見解をお聞きします。
京浜急行本線・空港線の京急蒲田駅の通過について
東京都は羽田空港の再拡張・国際化に向けて、「10年後の東京」実行プログラムにおいても、空港アクセスの向上をはかるために、京急蒲田駅の改良・高架化を平成24年度までに、完成させ、ラッシュ時は、品川から羽田空港間を6本から9本に、横浜から羽田空港間を1本から6本に増便する計画をかかげています。
ところが、このたび、京急は品川から羽田空港線の片側線の完成にともない、「エアポート快特」という、品川から羽田空港ノンストップ便を3本/時間走らせると、開通式の直前になって大田区に通知してきました。
この、京急本線の連続立体交差事業は、都の事業として総事業費1650億円のうち、都が480億円、大田区も200億円を負担し、鉄道者側の負担はたった231億円にすぎません。京浜急行鉄道株式会社は、これを契機に駅舎の改良をすすめ、集客力と収益増強をはかっているのです。
京急は公共交通機関としての役割があり、こうした問題について、地元区や、住民の理解と合意なくしてはすすみません。
鉄道連続立体交差事業にともない、駅前広場や再開発などにより、経過の中では関係住民は立ち退きや店をたたまなければならない状況も受け入れてきたのです。
こうした経緯を踏まえず、京急は地元区の大田区にはなんの相談もなく、区内のメインステーションである京急蒲田を通過するダイヤをつくってしまったことは重大です。
この間、大田区・区議会・自治会・商店街を挙げて、京急に対し、抗議と見直しを求めてきましたが、京急は全く、応じる姿勢をみせていません。
ダイヤの組み方は、「京急の権利」などとして、頑なに収益本位にまい進することは、企業としての社会的責任からしても、好ましい状況とはいえません。
これは、大田区のエゴイズムなどではなく、京浜急行鉄道株式会社との信頼関係にかかわる問題です。いまお互いの信頼関係の修復がなにより、重要です。京急側は、新ダイヤ決定までの過程において、当該の大田区に打診と調整を図るべきだったのです。5月17日から、新ダイヤで運行しておりますが、そのため、普通列車を利用するのに、20分も待たされる状況がでています。単に、1時間に3本だけの通過にとどまらない影響がでているのです。いまからでも、大田区と真摯に話しあうべきです。
6 東京都の長期計画に位置付けて、京急の連続立体化や羽田空港の再拡張化に取り組んできた経緯もある東京都として、広域行政の立場から、京急に対し、大田区と誠意をもって話し合い、打開策を見出すよう、働きかけるべきです。
7 この事業に関係している国土交通省も交えて、4者で話し合いの場を設定するよう、都として調整すべきですが、どうですか。
8 今後、このようなトラブルを発生させないための、仕組みづくりが必要です。都として、取り組まれることを求めます。

平成22年第二回都議会定例会
かち佳代子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 羽田空港の再拡張・国際化について
1 D滑走路の安全性・周辺環境への影響について、どう把握し対応するのか伺う。

回答
国は、羽田空港再拡張後の航空機と船舶の安全確保について、関係行政機関や港湾物流事業者等からなる「安全確保等検討委員会」を設置するとともに、D滑走路の建設工事に係る重要な技術的事項等については「技術検討委員会」を設置して検討を行うなど、滑走路の設置・管理者として、必要な安全性の確保を図っています。
一方、水域などの周辺環境については、一部を桟橋構造とすることなどにより、多摩川の通水性を確保するとともに、埋立部は、多様な生物の着生が期待できる捨石式傾斜堤護岸を採用するなど、環境への影響を軽減する配慮を行っています。国は、平成18年度に作成した環境影響評価書の中で、事業完了後も、適切な環境監視を実施するとしています。
引き続き、国に対して、供用開始後の安全性確保や周辺環境への配慮について、適切に対応するよう働きかけていきます。

質問事項
一の2 再拡張により1日あたりの便数はどれだけ増えるのか。また、早朝左旋回の減便はいつまでに廃止するかも含め、明確なスケジュールを示すよう国に求めるべきと考えるが所見を伺う。

回答
羽田再拡張に伴い、昼間の年間発着回数が40.7万回に達する時点で、現状の1日当たり415便と比較して、142便増える予定です。
また、大田区の公表資料によれば、国土交通省から、大田区を含めた周辺自治体との協議の結果、左旋回について、「現在、午前7時台、8時台に1日5便以下とされているものを、再拡張後は3便以下とする。」「空港運用の慣熟を経て数年で廃止することを目標とし、それまでの間においても可能な限り減便に努める。」という方針が既に示されています。

質問事項
一の3 増便により、車両交通量が日量どれだけ増えると予想しているのか。また、公共交通への影響と対応について伺う。

回答
国は、羽田空港における空港アクセス交通量については、平成18年度に作成した環境影響評価書において、昼間の年間発着回数が40.7万回に達する時点で、現況の1日当たり約27,000台と比較して、約19,400台増えると想定しています。
公共交通については、鉄道輸送力増強のため、現在、京急蒲田駅の改良事業を進めているほか、京浜急行及び東京モノレールの国際線ターミナル新駅も、10月の供用開始時に合わせて開設される予定です。
さらに、本年10月から深夜、早朝時間帯にも多くの国際線が発着することとなるため、国が中心となり、交通事業者や都も参画して設置されたワーキンググループにおいて、バスを含めた公共交通の運行時間帯の拡大や本数の増加などについて、検討、調整を進めており、10月の供用開始に合わせて、深夜、早朝便に対応した使いやすい公共交通を確保していく予定です。

質問事項
一の4 車両交通量の増大による大気汚染が懸念されるため、環七と第一京浜(大森交差点)、産業道路(大森警察署前)及び環八と第一京浜(南蒲田交差点)などのモニタリングを行うべきと考えるが、所見を伺う。

回答
空港周辺では、大田区東糀谷(環境局の一般環境測定局)、大田区千鳥(環境局の自動車排出ガス測定局)、京浜島(大田区)などにおいて、大気汚染物質の定点観測を実施しています。
国は、環境影響評価書の中で、供用開始時等に、航空機等の発生源から排出される窒素酸化物等の排出量を把握するとともに、空港周辺の一般環境大気測定局の測定データを分析するとしており、適切な環境監視が行われる予定です。

質問事項
一の5 航空機による、CO2予測と、削減計画を早急に立てる必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
温室効果ガス排出量の算定の基となる、国が地方自治体用に策定した「地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドライン」においては、運輸部門におけるCO2削減の対象は自動車に限定されています。
こうした中でも、都は、地域内の排出量をより正確に算定するために、航空機については、都内運航分である伊豆諸島への運航を算定の対象としています。
なお、国際線の航空機からのCO2排出量については、どこまでを当該国の排出量とするか決まったルールは定められておりません。
また、航空機からのCO2排出量削減については、国際民間航空機関(ICAO)が中心となって、国際的な仕組み作りを検討しており、その動向を注視していきます。

質問事項
一の6 広域行政の立場から、京急に対し、大田区と誠意をもって話し合い、打開策を見出すよう働きかけるべきと考えるが、所見を伺う。

回答
都はこれまでも、京浜急行電鉄に対して、地元大田区の理解を得るべく、誠意を持って対応するよう働きかけてきました。

質問事項
一の7 この事業に関係している国土交通省も交えて、四者で話し合いの場を設定するよう、都として調整すべきだが、所見を伺う。

回答
大田区は、本年7月に、「京浜急行本線・空港線連続立体交差事業に伴うまちづくりなどの諸課題に関する協議会」を設置しています。
当該協議会には、都も、国や京浜急行電鉄とともに参加しています。

質問事項
一の8 今後、このようなトラブルを発生させないための仕組みづくりが必要である。都として取り組むべきだが、所見を伺う。

回答
鉄道事業における輸送サービスの内容は、基本的には、国の一定の関与の下、各鉄道事業者の判断により設定されるものです。
一方、鉄道は重要な都市基盤であり、地域の利便性やまちの活性化に深く関わるものと認識しています。
そのため、都は今後とも鉄道事業者に対し、地域生活に影響を及ぼすような輸送サービスの変更などに際しては、地元や利用者に適切な情報提供を行うよう働きかけていきます。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  たぞえ民夫

質問事項
一 商店街支援の推進について

一 商店街支援の推進について
地域経済に欠かせない商店を守り、振興することは自治体の最重要課題であり、商店、商店街は地域に欠かせない「公共財産」です。商店街振興は、まちづくりの要です。その立場から、私は、昨年9月18日に「商店会の街路灯支援について」質問しました。
それにたいして都は、商店街の街路灯は「商店街自らが設置したもの」として、街路灯の電気代補助、点検診断事業、交換事業、街路灯の新規設置、更新工事の契約について生じている問題など、私が提案した施策のどれもこれも、「自らの責任でおこなうもの」となんら支援する一片の姿勢をみせませんでした。私は、このような都の姿勢を見過ごすことができません。
都の冷たさは、それにとどまるどころか、今年度から、商店街LED化事業を改悪してしまいました。これまで「特定施策推進型商店街事業」で、老朽化した街路灯電柱の交換も、電球の交換も都の補助率5分の4で行っていたものを、電柱の交換を含めたLED化事業を対象外とし、電球を替えるだけ、ないしは灯具の交換程度に限定してしまったことです。
1 こうした改悪は、商店街支援に逆行するものだと思わないのですか。老朽化した電柱の交換と同時にLED化を進めようとしていた商店街が困惑することに、痛みを感じないのですか。老朽化した電柱の交換を含めたLED化については、これまで補助率5分の4が、制度変更で補助率3分の1になれば、商店街の負担が重くなり、商店街の人たちが困ると思わないのですか。お答えください。
2 制度改悪によって、LED化が後退してCO2削減にどのように影響すると計算したのか、明らかにしてください。また、その根拠も合わせてお示しください。
3 制度改悪で、商店街の負担がどのようなると見積もりましたか。それによって、商店街のLED化計画が、どのように影響すると見積もりましたか。それぞれ、その根拠も合わせて明らかにしていください。
4 LED化について、老朽化した街路灯電柱の交換も、電球の交換も、都の補助率5分の4とする「特定施策推進型商店街事業」の対象に復活すべきだと思いますが、どうですか。復活するつもりがないというなら、その理由を、説明してください。
日本共産党都議団は、商店街街路灯のLED化について4月に都内の全市町にアンケート調査をしました。その結果、すでにLED化をすすめたところは77商店街で、今年度新たに設置を希望する商店街は142を越えることがわかりました。
5 都は、商店街街路灯のLED化を希望している商店街の数について、調査したことはありますか。それは何件でしたか。
6 限られた予算の枠に申請希望商店街が急増しているため、「特定施策推進型商店街事業」の申請を、今年度は6月1日から4日の間に先着順という受付方法に変更しました。今後は、このような姑息な方法はやめていただきたいと思いますが、いかがですか。
7 そのためには、来年度にむけて、早い時期から、希望する商店街が、どの程度あるか調査し、それに応えるための十分な予算を確保する必要があると思いますが、いかがですか。
8 今回のアンケート調査で、補助金の交付が工事費用支払完了後になるということも、財政力の弱い商店街がLED化に踏み切れない要因となっていることが、わかりました。改善することは、商店街振興になると思いますがいかがですか。
9 商店街街路灯のLED化支援事業は、いずれも「要領の公表から受付までの期間が短く、商店街として事業計画が立てづらい」「交付決定がおり、年度内に支払い、実績報告するというのは短すぎる」「申請事務が繁雑」などの声もあがっています。これら商店街の要望に応え、申請手続きを改善することを求めますが、どうですか。
LED化事業をすすめてきた自治体からは、十分な費用対効果があるので積極的に設置できるよう都の財政支援の拡充を求める声はもとより、「ランプの低価格化、明るさの改善」「光のひろがりが少なく、専門分野の方に照度分布を確認してもらうことが必要」「施行可能業者の情報が不足している。優良な業者を選定するのに苦労している」「個々の商店会の対応というより、景観も含め、市全体の事業として取り組みたい」という声があがっています。
10 産業技術研究所、都内中小企業への委託研究などによって、こうした商店街の要望に応えるよう求めます。答弁を。
国の制度については、多くの商店街が活用できるように、改善することも必要です。
都は、街路灯の建替え事業については、国の「中小商業活力向上事業」で対応するよう地元自治体などに説明しています。しかし、この国の事業は法人化されている商店街だけが対象です。都内の商店街が法人化率2割というもとでは、極めて限定されたものになってしまいます。
その上、この事業は、「事業の必要性を担保するアンケート調査、活性化計画が必要」など「ハードルが高い」との声が多く寄せられています。また、そもそも、この事業についての説明会が行われるわけではなく、ホームページや官報から、各商店街が独自に情報を入手して初めてわかるもので、大規模商店街は例外としても、多くの商店街にとっては説明用語も含めて不明瞭だとの意見があがっています。
11 都は、国の事業にこうした問題があることを認識していますか。
12 都として、多くの商店街が活用できるよう国に改善するよう求めるものですが、どうですか。
次に、いわゆる「買い物難民」問題です。
国は、5月、商店街の衰退や、大型店の撤退で、この問題が深刻化しており、全国で推計600万人いることを指摘し、移動販売や宅配サービス、商店への送迎などの支援を自治体や住民、流通業者等が連携して担うよう提言しました。
私も、都内の少なくない地域で、こうした問題があることを聞いています。
たとえば、私の地元の太子堂では、大型食料品店の身勝手な撤退で、買い物に困った方々の声におされて、移転先のお店まで、マイクロバスで送迎させています。
新宿では、坂の上にある100世帯あまりの都営住宅の近くにあったスーパーが閉店、10年ほど前まではトラックでのひき売りの店も来ていましたがやめてしまい、坂の多い、遠い商店街まで買い物に行かざるをえなくなり、高齢者に大変な負担になっています。
生鮮食品の買い物困難が高齢者の負担になると、食事の栄養バランスが偏り、健康問題にもつながっている例もあります。
13 都は、都内の「買い物難民」の状況について、どのように認識していますか。
14 都内の「買い物難民」の実態について、きめ細かな調査することが重要だと思いますが、いかがですか。
15 都として、「買い物難民」への支援策について、どのような支援が考えられますか。

平成22年第二回都議会定例会
たぞえ民夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 商店街支援の推進について
1 都は今年度から補助率を下げるなど、商店街LED化事業を改悪してしまったが、これは商店街支援に逆行するものであり、商店街が困るとは思わないのか、所見を伺う。

回答
「特定施策推進型商店街事業」においては、今年度から、補助対象をCO2削減につながるランプ交換に重点化することにより、都が進める地球温暖化対策をより一層強化することとしました。
商店街のCO2削減につながる意欲的な取組に応え、できるだけ多くのLED化の要望に対応できるよう努めており、商店街支援に逆行するものではありません。

質問事項
一の2 LED化の後退により、CO2削減にどのように影響すると計算したのか伺う。また、その根拠も示すよう求める。

回答
「特定施策推進型商店街事業」においては、今年度から、補助対象をCO2削減につながるランプ交換に重点化しました。これにより、都が進める地球温暖化対策が効果的に実現されていくものと考えています。
なお、ランプ交換はCO2の削減に寄与しますが、電柱の交換についてはCO2の削減に効果はないものと考えています。

質問事項
一の3 制度改悪による商店街の負担及び商店街のLED化計画への影響の見積もりについて伺う。また、それぞれ根拠を明らかにするよう求める。

回答
「特定施策推進型商店街事業」においては、今年度から、補助対象をCO2削減につながるランプ交換に重点化し、出来るだけ多くの商店街の要望に応えられるよう制度改善に努めています。
このことにより、商店街は都の進める地球温暖化対策にとって効果の高いLEDランプをこれまでと変わらない負担で導入することができ、商店街の電気代の軽減にもつながることから、LED化の取組も着実に進むものと考えています。

質問事項
一の4 LED化について、老朽化した街路灯電柱の交換や電球の交換も「特定施策推進型商店街事業」の対象に復活すべきと考えるが、見解を伺う。復活する考えがない場合には、理由を示すよう求める。

回答
「特定施策推進型商店街事業」においては、今年度から、補助対象をCO2削減につながるランプ交換に重点化することにより、都が進める地球温暖化対策をより一層強化することとしました。
したがって、街路灯電柱を本事業の補助対象とする考えはありません。

質問事項
一の5 街路灯のLED化を希望している商店街の数について、調査を実施したことがあるか伺う。実施した場合には何件だったか伺う。

回答
「特定施策推進型商店街事業」については、これまでも、商店街の要望を聞きながら、その実態を十分に把握したうえで実施しています。
改めて、調査する必要はないと考えます。

質問事項
一の6 今年度「特定施策推進型商店街事業」の申請に係る受付方法が変更された。姑息な方法はやめるべきであると考えるが、見解を伺う。

回答
今年度の「特定施策推進型商店街事業」の申請受付については、事前に十分な周知を行い、商店街からの要望を踏まえて適切に対応しました。

質問事項
一の7 来年度に向け、早期に希望する商店街数を調査し、十分な予算を確保する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
これまでと同様に、商店街の要望を踏まえ、適切に対応していきます。

質問事項
一の8 補助金の交付が工事費用支払完了後になることも、商店街がLED化に躊躇する要因である。改善すれば商店街振興になると考えるが、見解を伺う。

回答
地方自治法の規定では、地方自治体の支出は、金額が確定し、履行の確認後に支払いを行うことを基本としています。
また、補助金の支出に当たって特例として前払いすると、提出書類が増加するなど、事務手続上、商店街の大きな負担になることから行っていません。

質問事項
一の9 商店街の要望に応え、LED化支援事業の申請手続を改善すべきと考えるが所見を伺う。

回答
今年度の「特定施策推進型商店街事業」の申請手続きについては、事前に商店街向けの説明会を実施し、商店街が充分に検討を行える期間を設けた上で受付を行っています。また、商店街は、自らの作成した計画に基づいて、年度内に無理のない形で支払や実績報告ができる手続となっています。
さらに、申請の受付についても、必要最小限の資料の提出を求めた上で、書類の記入に当たってきめ細かくサポートする仕組みを設けるなど、十分な対応を行っています。

質問事項
一の10 ランプの低価格化や施行可能業者の情報不足解消等についての商店街の要望に対し、産業技術研究所、都内中小企業への委託研究などによって応えるべきと考えるが、見解を伺う。

回答
ランプの価格を安くしたり、性能を改善するなどの取組は、既に各企業が進めています。
このような企業の取組に対して、都は、新製品・新技術開発に対する助成や都立産業技術研究センターで技術支援などを行っています。
また、工事等を行う業者については、一定の基準を満たしていることを要件とし、該当するものについて情報を提供しています。

質問事項
一の11 国の「中小商業活力向上事業」は、法人化されている商店街だけが対象であり、活用するにも「ハードルが高い」等の声があるが、都はこうした問題があることを認識しているか伺う。

回答
国の「中小商業活力向上事業」では、地域住民に対するニーズを十分に踏まえ、計画的に進めていくことが必要となります。そのため、制度活用に当たり、事業計画を適切に策定するのは当然のことです。
また、国では、事業開始に当たり、商店街に対し説明会等を開催するとともに、事業内容を分かりやすく解説したパンフレット等を配付しているところです。説明会を行っていない、用語が不明瞭で説明が十分行われていないといった指摘はあたりません。

質問事項
一の12 都として、多くの商店街が活用できるよう国に改善するよう求めるが、見解を伺う。

回答
国が始めた「中小商業活力向上事業」については、内容に特段の問題はないと考えており、事業の利用が円滑に進むような対応も行われています。
都としては、都内の多くの商店街で活用が進むよう、区市町村を通じた働きかけにも取り組んでまいります。

質問事項
一の13 都は都内の「買い物難民」の状況について、どのように認識しているか伺う。

回答
都民の買物行動において、商店街は地域の住民が便利で安心して買物ができる場所であるとともに、地域の住民にとってコミュニティの核として重要な役割を果たしています。

質問事項
一の14 都は都内の「買い物難民」の実態についてのきめ細かな調査が重要と考えるが、見解を伺う。

回答
都は、これまでも地域の実態を十分に把握したうえで商店街の振興に取り組んでいます。「買い物難民」については、地域社会により身近な区市町村が、その実態を把握するなどの対応を行うことが適切であると考えます。

質問事項
一の15 都として、「買い物難民」への支援策について、どのような支援が考えられるか伺う。

回答
都では、既に「新・元気を出せ!商店街事業」などの様々な商店街振興策を通じて、地域の住民が便利で安心して買物ができるよう対応を進めています。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  清水ひで子

質問事項
一 農林業支援について

一 農林業支援について
最初に、口蹄疫問題です。
宮崎県における口蹄疫の発生は、都内の畜産農家にも大きな不安となっています。被害に遭われている畜産農家をはじめ、関係者の方々には、謹んでお見舞い申し上げます。
1 都内でも、進入防止策として消毒などの処置がすでにおこなわれていますが、都としても農家の要望を聞いて十分な対応するとともに、さらに万全の防疫態勢をとるよう求めます。
2 宮崎県の口蹄疫の防疫活動にいくつかの自治体では、すでに、獣医師など職員を現地に派遣しています。都としても、できるかぎりの協力することは、各地への被害拡大を防ぐことになると思いますが、どうですか。
次に、都市農業振興についてです。
都市の農業は、都市住民にとって、新鮮な食料・農産物を消費者の食卓に供給する大変身近な存在です。
都政モニターアンケートでは、東京に農業・農地を残したいと思う人は85%に達します。体験農園、市民農園、直売所、田畑での直接販売、観光農園、学校給食への地場産作物の供給など地産地消の利用も活発になっています。消費地に近くて輸送コストがかからないという条件をいかして、住民の需要にあう農産物を少量・多品目で生産するなど都市の農家も頑張っています。
しかし、東京の農地面積はこの10年間でも8割、農業従事者は7割に、それぞれ減少しています。家族経営の農産物の販売金額は、全体の約7割が200万円以下になっているなど、困難に直面しています。
一方、国では、今年3月末に政府が閣議決定した、新しい「食料・農業・農村基本計画」で、「都市農業の機能や効果が十分発揮できるよう、都市農業を守り、持続可能な振興を図る」ことを掲げ、「都市農地の保全や都市農業の振興に関連する制度の見直し」の検討が進められるなど都市農業振興にむけ、一定の取り組みが進んでいます。
3 多くの農地を開発の予備地として、市街化区域に広く取り込み、転用を強いてきた都市計画制度、市街化区域、調整区域の区分けをやめ、農地、里山の役割をとりいれた都市政策を確立し、農地税制を抜本的に転換して、都市計画における農地・農業の位置づけを明確にする必要があります。こうした取り組みを支えるためにも、一刻も早く「都市農業振興法」(仮称)の制定が求められます。都議会でも意見書を決議しました。都としても、国に、同法の制定を求めてはどうですか。
わが党は、2008年第1回定例会で、大阪府の都市農業振興条例、都内の農業振興条例の特徴を例示して、その制定を求めましたが、都は「『東京農業振興プラン』を策定し、さまざまな農業施策を展開」しているとし、条例制定の予定がないとのことでした。
4 農業施策を都政の柱にしっかり位置づけた都市農業振興条例が制定されれば、予算の確保、各部局の施策も条例との整合性が求められるなど、オール都庁として各施策が農業振興と有機的、多面的な結びつきをもち、充実していくことになると思いますがどうですか。都としても、農業者、消費者、商業者、農業ボランティアなど、広く都民参加で条例制定に向けた取り組みに踏み出してはいかがですか。
都市農地の減少の主な要因になっているのが、「農産物の価格は値下がりする一方なのに、固定資産税の負担が重くて農業が続けられない」、「代がわりの相続税で、農地を売り、面積が半分になった」などの声にあるように、相続にともない重くのしかかる納税負担の問題です。
都市の農業と農地の保全を実効あるものにするためには、国の制度として農地への固定資産税、相続税の負担軽減が不可欠です。
5 都としては、国の税制度の改定を待つのではなく、都市の農地が果たしている、緑の環境や酸素の供給、防災機能など、都市生活に欠かせない多面的な役割を重視し、農家への何らかの支援をすることは都市農地の減少に止めることに一定の効果を発揮することになるとは思いませんか。
都内の農地・約8000ヘクタールの約60%が市街化区域の農地で、市街化区域以外の農地が40%です。市街化区域の農地では、生産緑地が4分の3、宅地化農地が4分の1です。この10年で、生産緑地は約1割減少、宅地化農地は半減してしまっています。このように生産緑地制度が都市農業の継続に、大きな支えになっています。
しかし、その生産緑地でさえも、この5年間で220ヘクタールも減少していまっています。その多くは、相続のために農地を失わざるを得なかったケースです。
たとえば、わが党の調査によれば、2003年度から2007年度までの5年間に、農業者からの生産緑地の買い取り申請数は、1,847件ありました。その内、農業者等に売却されたものは2件、自治体が買い取ったものは84件で、引きつづき生産緑地として維持されたものは、5%に満たないというものです。結局は、そのほとんどが民間に売却され開発されていっています。
買取り申請された生産緑地を、公共用地として自治体が買い取る場合には、買い取り申請した農業者には譲渡所得控除もあり、緑地として引き続き維持されるのはもちろん、土地所有者にとってもメリットになると思います。
6 わが党が2008年第1回定例会で、地元自治体と連携して生産緑地を買い取る制度をつくって、公立の農業公園というようなものをつくるよう提案しましたが、「現行の制度のままで、適正な運用をしている」と、区市への支援などを考えていないことを答弁しました。これでは、都として目の前から農地が減少していることを見過ごしているも同然ではないですか。繰り返しますが、農業者からの買い取り申請にたいして、自治体が買い取っているケースは、5%にもなりません。財政的な支援は欠かせないと思いませんか。なぜ、支援しないのですか。
7 今年度、市長会からは買い取り申請があった「土地を買い取ることは、市の財政にとって容易なことではない」ため「生産緑地地区の買い取り申し出があった場合、市が公共用地として速やかに買い取ることができるよう」財政支援措置制度の創設を要望しています。市長会の要望に応えないのですか。
8 民間に売却されてしまった場合でも、現在の経済状況から、活用されずに農地に近いままになっているケースも少なくないとのことです。こうした土地については、農地として活用する希望者に、再あっせんする仕組みは考えられませんか。
9 都として、そうした土地について農地・緑地として活用する、あるいは地元自治体が農地・緑地として活用する場合に何らかの財政的な支援をする、そうした新たな施策も貴重な緑地を保全するうえで有効だと思いますが、どうですか。
10 納税として物納するケースもあります。その場合、民間に売却できなかった場合が多いだけに財務省が所有したままで遊休農地的になっているケースの場合もあります。都として国に無償貸与を求めるなど、農地・緑地として積極的に活用する施策を検討したらどうですか。
11 区市町村が引き続き農地・緑地として活用する場合には、都として支援する仕組みをつくったらどうですか。
都市政策を転換し、東京のまちづくりに農地、農業の位置づけることが必要です。産業労働局でも、「農業・農地を活かしたまちづくりガイドライン」をつくり、区市町村がモデル事業をつくった場合に、4年間に1億円の財政支援をする仕組みになっています。現在、6自治体が活用しています。
ある自治体では、市民と農業者との交流の場、食育の場などに活用したり、農家の高齢化にボランティアを育成、派遣する事業に活用するなど期待がたかまっています。
12 この事業を進めて、すでに3年目に入っていますが、金額と支援自治体数を広げることは、各地の農業振興に役立つと思いますが、どうですか。
13 今年度から始まったパワーアップ事業ですが、まだ詳しい要項が決まっていないということで、区市町村では困っています。以前の魅力ある都市農業育成事業で計画を立てていた自治体からは、パワーアップ事業の適用事業数・支援額で従来の制度から後退しないようにしてほしいとの要望の声が上がっています。どうですか。
14 有機農業は、始めたからといってすぐにうまくいくわけではありません。試行錯誤を繰り返すことになる。有機農業については、軌道にのるまで、一定の助成するよう求めますが、どうですか。
15 現在、都はボランティア育成事業をやっています。ボランティアの方々は各自治体にいらっしゃいます。一方、地元の農業者は、区市町村の方が実情を良く把握しています。農家と、ボランティアのマッチング事業は、都の役割が重要ではありませんか。
16 都内の酪農家の方のなかには、乳質の良さをいかした低温殺菌牛乳を出荷している方もおります。しかし、出荷までのコストが高く、販路拡大にご苦労されております。酪農家むけの販路開拓支援事業を立ち上げることは、東京の酪農の発展のために有効だと思いますが、どうですか。
17 島しょ地域における農業業振興策として、試験研究機関、中小業者と連携して あしたば、つばき油などの島の特産品をいかした製品づくりに取り組んではどうですか。特産品などの販売促進について、都として支援策を抜本的に強めてほしいと思いますがいかがですか。
次に、林業振興についてです。
日本の木材消費量は年間8000万平方メートル、一方樹木の成長は毎年8000万平方メートルで、国産材利用を拡大できる木材の量は、国内に十分あります。
ところが、外需依存の木材利用によって、国産材利用は24%にとどまっています。外材依存から、国産材利用を促進するしくみをつくれば、第1次産業の振興によって、地域経済も、林業も活性化につながります。
石原知事も、「森づくり森林プラン」で、「木材の輸入自由化などの影響により林業が衰退し、伐採、利用、植栽、保育という森林の循環が途絶えて東京の森林は長年にわたり放置されて荒廃が進んでいる」と述べています。
国産材利用を拡大できるような仕組みづくりを、国に求めると同時に、都としても努力することが必要です。
都も、森林整備や木材生産の基盤となる作業道の充実に、都としても工夫して取り組んでいますが、東京の林業振興にむけ、何点か提案します。
18 都内の森林は、急峻なところにあるため、森林の伐採、搬出までにコストがかかることが大きな課題になっています。急峻なところでも、どうしたら地場産材の切り出し、運搬コストを低減できるか、都内の中小業者に、現場を見てもらい、森林業者と連携して生産工具の開発、加工施設の開発などの委託研究をすることも、林業者を励ますことにもなると思いますがどうですか。それは、中小業者への仕事確保にもなるのではないですか。
19 一部木材の加工について、生産技術研究所と連携して、多摩産材を活用した新しい製品の開発を手がけていると聞いています。多摩産材活用を拡大するうえ上で、木材の価格以外に、どのような課題があるのか、広く建設業者、実際に使った消費者などからの意見を求めることも、今後に生きる取り組みにはなりませんか。
都では、早くから木材利用推進協議会をつくり、公共建築物だけでなくガードレールなどへの活用も進めてきました。また、多摩産材を区市町村が活用する際に、助成をしていますが、活用木材量はなかなか増えていません。より公共部門での活用拡大をするために、供給体制の整備と品質の安定なども課題になっていると聞いています。
20 公共施設の改修、新規整備・建設の際に、積極的に多摩産材を活用することは重要です。今の供給量約1800平方メートルという量も限界に近い数字なのですか、供給体制の整備と品質の安定など課題があったとしても、車の両輪として、積極的に活用量を増やしていくことはできないのですか。
21 公共施設の改修、新規整備・建設の契約に際し、多摩産材を活用する仕組みをつくることは多摩産材の活用に有効ではありませんか。
22 地域の「公共財」と言われる商店街などで、ベンチを設置したり、空き店舗の改修、各店のリフォームなどに多摩産材を活用する場合に、その活用ノウハウの情報提供、活用ルート、活用の仕組みをつくること、助成制度をつくることなども利用拡大を進めることになると思いますが、どうですか。

平成22年第二回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 農林業支援について
1 都内でも口蹄疫の進入防止策として消毒などの処置がすでに行われているが、都としても農家の要望を聞いて十分に対応するとともに、さらに万全の防疫態勢をとるよう求めるが、見解を伺う。

回答
都は、4月20日の宮崎県での発生確認後、直ちに都内畜産農家や動物園等に情報提供を行うとともに、対象動物約7,000頭の緊急調査を実施し、全て異常がないことを確認しました。併せて、「家畜の健康観察」「立入制限」「消毒」の徹底について注意喚起を行い、その後も引き続き情報提供を行っています。

質問事項
一の2 宮崎県の口蹄疫の防疫活動に対し、いくつかの自治体では、獣医師などを派遣しているが、都としてもできるかぎり協力することは、各地への被害拡大を防ぐことになると思うが、見解を伺う。

回答
都は、既に5月中旬から産業労働局及び福祉保健局の獣医職員5人を宮崎県に派遣しています。

質問事項
一の3 都市計画制度、市街化区域、調整区域の区分けをやめ、農地、里山の役割をとりいれた都市政策を確立し、農地税制を抜本的に転換して、都市計画における農地・農業の位置づけを明確にする取組を支えるためにも「都市農業振興法」(仮称)の制定が求められる。都としても、国に、同法の制定を求めてはどうか、見解を伺う。

回答
都は、既に国に対し、都市農業の継続と都市環境等の保全の観点から、「農地と住宅地が共存共栄できる政策」に転換するよう提案要求しています。

質問事項
一の4 都市農業振興条例の制定により、予算の確保、各部局の施策も条例との整合性が求められ、各施策が農業振興と有機的、多面的な結びつき、充実していくと思うがどうか。都は、農業者、消費者、商業者、農業ボランティアなど、広く都民参加で条例制定に向けた取組に踏み出すべきだが、見解を伺う。

回答
都は「東京農業振興プラン」を策定し、様々な農業施策を戦略的に展開しています。
また都市戦略である「10年後の東京」への実行プログラムの中に、農業施策を位置づけて、予算を確保し、各部局間の連携の下に施策を実施していることから、条例制定の考えはありません。

質問事項
一の5 国の税制度の改定を待つことなく、都市の農地が果たしている、緑の環境や酸素の供給、防災機能など、都市生活に欠かせない多面的な役割を重視し、農家へ何らかの支援をすることは都市農地の減少を止めることに一定の効果を発揮することになると思うが、見解を伺う。

回答
都は、これまでも農業者に対し、試験研究機関による技術開発や、普及センターによる技術支援、生産・流通施設整備などの経営力向上に対する支援など、様々な施策を講ずることにより、都市農業の振興と農地の保全に努めています。

質問事項
一の6 生産緑地について、農業者からの申請に対して、自治体が買い取っているケースは、5%にもならない。財政的な支援は欠かせないと思うが、なぜ、支援しないのか伺う。

回答
相続等のために耕作を続けることが困難となった生産緑地の買取りについては、生産緑地法第11条に基づき、区市長の責任で対応することとなっており、都が支援することは考えていません。

質問事項
一の7 今年度、市長会からは、買い取り申請があった「土地を買い取ることは、市の財政にとって容易なことではない」ため「生産緑地地区の買い取り申し出があった場合、市が公共用地として速やかに買い取ることができるよう」財政支援措置制度の創設を要望している。市長会の要望に応えないのか伺う。

回答
買取申出のあった生産緑地について、公園や道路などの公共施設の設置が予定されている場合には、区市町村など当該公共施設の事業者が、国や都の各種補助制度を活用して買い取るべきものと考えます。
なお、公共施設の設置が予定されていない生産緑地の買取りについては、生産緑地法第11条に基づき、区市長の責任で対応することとなっており、都が支援することは考えていません。

質問事項
一の8 民間に売却されてしまった場合でも、現在の経済状況から、活用されずに農地に近いままになっているケースも少なくない。こうした土地については、農地として活用する希望者に、再あっせんする仕組みは考えられないのか伺う。

回答
民間の所有地については、所有者が農地として活用を希望しない限り、都としては、あっせんに向けた協力はできません。

質問事項
一の9 都として、そうした土地について農地・緑地として活用する、あるいは地元自治体が農地・緑地として活用する場合に何らかの財政的支援をする、そうした新たな施策も貴重な緑地を保全するうえで有効だと思うが、見解を伺う。

回答
民間に売却された土地は、所有者が農地として活用する意思が無い限り、自治体等による農地・緑地としての活用は考えられません。

質問事項
一の10 都として国に無償貸与を求めるなど、農地・緑地として積極的に活用する施策を検討したらどうか、見解を伺う。

回答
現在、国では、物納された土地は早期の処分を前提としていると聞いています。

質問事項
一の11 区市町村が引き続き農地・緑地として活用する場合には、都として支援する仕組みをつくったらどうか、見解を伺う。

回答
現在、国では、物納された土地は早期の処分を前提としており、区市町村が引き続き農地として活用することは難しいと考えます。

質問事項
一の12 この事業を進めて、すでに3年目に入っているが、金額と支援自治体数を広げることは、各地の農業振興に役立つと思うが、見解を伺う。

回答
本事業は、平成20年度から3年間にわたるモデル事業として実施しており、新たな地区指定は考えていません。

質問事項
一の13 今年度から始まったパワーアップ事業は、まだ詳しい要綱が決まっておらず、区市町村では困っている。以前の魅力ある都市農業育成事業で計画を立てていた自治体からは、パワーアップ事業の適用事業数・支援額で従来の制度から後退しないようにしてほしいとの要望の声が上がっているが、見解を伺う。

回答
「都市農業経営パワーアップ事業」は、区市町や農業者団体などから様々な意見を聴いた上で創設した事業であり、従来の事業に比べ、事業内容を充実し、事業費を拡充しています。なお、要綱については既に策定しています。

質問事項
一の14 有機農業は、始めたからといってすぐにうまくいくわけではなく、試行錯誤を繰り返すことになる。有機農業については、軌道にのるまで、一定の助成をするよう求めるが、見解を伺う。

回答
都は、平成21年3月に「東京都有機農業推進計画」を策定し、有機農業に自主的に取り組む生産者に対し、技術や経営の指導を実施しています。

質問事項
一の15 現在、都はボランティア育成事業をし、ボランティアの方々は各自治体にいる。一方、地元の農業者は、区市町村の方が実情を良く把握している。農家と、ボランティアのマッチング事業は、都の役割が重要だが、見解を伺う。

回答
都は、これまでも農地と担い手のマッチングを実施し、農地の保全・活用と様々な担い手の確保を図っています。なお、ボランティアのマッチングは、地域の実情を良く知る区市町村の役割が重要です。

質問事項
一の16 酪農家むけの販路開拓支援事業を立ち上げることは、東京の酪農の発展のために有効だと思うが、見解を伺う。

回答
都は、酪農家が製造販売している牛乳について、都や関係団体のホームページの活用や、各種イベントを通じたPRの実施により、広く情報を発信するとともに、加工施設や直売施設の整備に助成するなど、販路の拡大を支援しています。

質問事項
一の17 島しょ地域における農業振興策として、試験研究機関、中小業者と連携して、あしたば、つばき油などの島の特産品をいかした製品づくりに取り組んではどうか。特産品などの販売促進について、都として支援策を抜本的に強めてほしいと思うが、見解を伺う。

回答
都は、あしたばやサツマイモなどの島の特産品を活かした製品づくりに関して、食品技術センター等による技術支援を行うとともに、加工施設や流通施設の整備については、地元町村や農業者団体の要望に基づき支援を行っています。
また、販売促進に向けては、都が日常的にホームページでPRするとともに、イベントなどの場を活用し、支援を行っています。

質問事項
一の18 都内の森林は、森林の伐採、搬出までにコストがかかることが大きな課題である。急峻なところでの地場産材の切り出し、運搬コストの低減について、都内の中小業者に現場をみてもらい、森林業者と連携して生産工具の開発、加工施設の開発などの委託研究をすることも、林業者を励ますことにもなると思われ、また、中小業者への仕事確保にもなるのではないか、見解を伺う。

回答
都は、既に林業コストの改善について、高性能林業機械の導入や林道等の基盤整備に加え、集約モデル地区整備などを行う「森林循環再生プロジェクト事業」等により、様々な面からコスト削減に取り組んでいます。

質問事項
一の19 多摩産材活用を拡大するうえで、木材の価格以外に、どのような課題があるのか、広く建設業者、実際に使った消費者などからの意見を求めることも、今後に生きる取組にはならないのか、見解を伺う。

回答
都は、既に工務店、生活協同組合などが参加する「東京の木・いえづくり協議会」や木材関連団体と共催する「木と暮らしのふれあい展」などにおいて、様々な方面から意見を聴き、多摩産材の利用拡大に取り組んでいます。

質問事項
一の20 公共施設の改修、新規整備・建設の際に、積極的に多摩産材を活用することは重要である。今の供給量は限界に近い数字なのか、供給体制の整備と品質の安定など課題があったとしても、車の両輪として、積極的に活用量を増やしていくことはできないのか、見解を伺う。

回答
都は、既に庁内における多摩産材の利用拡大について、各局で構成する会議を設置し、都立学校や都営住宅の工事に用いるなど、全庁を挙げて取り組んでいます。また、区市町村に対しても積極的に働きかけています。

質問事項
一の21 公共施設の改修、新規整備・建設の契約に際し、多摩産材を活用する仕組みをつくることは多摩産材の活用に有効ではないか、見解を伺う。

回答
都は、既に平成18年に「東京都多摩産材利用推進方針」を策定し、全庁的に公共施設などでの利用拡大を図っています。

質問事項
一の22 商店街などで、ベンチの設置や、空き店舗の改修、各店のリフォームなどに多摩産材を活用する場合に、その活用ノウハウの情報提供、活用ルート、活用の仕組みをつくること、助成制度をつくることなども利用拡大を進めることになると思うが、見解を伺う。

回答
都は、既に平成20年度から広く民間からアイデアを募集し、多摩産材をPRするための提案公募型事業を実施しています。平成21年度の実績は、施設展示型2件、普及啓発型3件でした。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  斉藤あつし

質問事項
 一 「花いっぱい運動」の東京都からの支援について
 二 教職員の産休期間と臨時的任用教職員の確保について
 三 教員の人材確保及び配置について

一 「花いっぱい運動」の東京都からの支援について
H24年(2012年)に「第55回 全日本花いっぱい小平大会」が昭和48年の台東区大会以来39年ぶりに東京都で行われます。
大会は「花いっぱい運動」の普及・推進を目的とするものですが、「花博」ほどではないにせよ、全国的に実績がある花・緑化をテーマにした催し物は、花卉・園芸農業の広報となると思います。因みに2010年の花巻大会でも期間3日間で、さつきやバラ、ラン、盆栽、日本庭園展示や木工教室などを企画しています。加えて、小平市内では対応しきれない宿泊など市内外双方の理解と大会の活用が必要となり、多摩地域の活性化への寄与も期待できます。
これまで、東京都など都道府県は、全国の自治体を対象に運動を行っている「全日本花いっぱい運動」に対して、ほとんど関わりがありませんでした。
しかし、東京都は5月に「緑確保の総合的な方針」を区市町村と合同で策定し、既存の緑を保全するため、社会全体で緑を支える仕組みをつくっていくことなどを打ち出したところであり、大会の開催は、都市緑化や緑の保全に対する都民の機運醸成にも役立つ、時宜を得た取組だと思います。
そこで、東京都からの支援をお願いしたいと思いますが、所見を伺います。
二 教職員の産休期間と臨時的任用教職員の確保について
1 実際の例として聞いた話ですが、某小学校で4月の新学期が始まって担任を務めることになった教員が1ヶ月後に産休に入ることになりました。正規採用の教員が産休に入らないと後任の教員を雇えないなど、学校側での遣り繰りの苦労があったとは思いますが、その後に来た臨時的任用の教員は、児童に好評でしたが身体疾患で図らずも秋ごろ退職しました。児童にとって3人目の担任となる臨時的任用の教員は年末に精神疾患で退職。3学期はまた別の4人目の担任となる臨時的任用の教員が務めました。
事例のように、1ヶ月で担任が替ってしまうというのは、児童にとって、継続して見てもらえなくなるというリスクを抱えることになります。学校や教育委員会は、このようなリスクを避ける取り組みを講じなければならないと考えます。
また、1年間に4人の教員が担任となるのでは、生徒たちに落ち着けと言っても段々難しくなるでしょう。学年の後半になればなるほど学級も不安定になっていくのではないでしょうか。産休となった教員の代わりとなった臨時的任用教職員も学級をまとめていくことがますます難しくなり、精神的にもきつくなっていくのは理解できます。
このような場合の臨時的任用教職員への支援は、どうなっているのか、伺います。
2 臨時的任用教職員の確保は、困難が付きまとう環境にあり、各校が努力して確保していることも聞いています。
そこで、教育庁として、産休・育休教員の代替となる資質の高い臨時的任用教職員を確保していくための工夫が必要であると同時に、産休となる教員から引き継いで担任を持つ者に対する支援が必要と考えますが、所見を伺います。
三 教員の人材確保及び配置について
1 小中学校においては諸々の話を聞くと教員自体に余裕がないようだが、教員の人員配置の算定方法と配置の状況について伺う。
2 小中学校教職員の定数の動向について伺う。(5年)
3 小泉政権時に所信表明で目指すべき方向を示す逸話として挙げられた「米百俵」は「余裕のあるときに教育や次世代に投資する話」でした。しかし結局、国も教育費全体は長期にわたり増額されることがなく、民主党政権になってH22年度になって公立高校無償化と、私立高校の同程度の学費補助で久々の増額となりました。東京都のここ5年の小中学校に係る教育費の動向を教えてください。
4 小中学校の予算については、最近は理科の教材を買う予算が少ないことが報道で話題になりました。現況はどのような状況でしょうか。

平成22年第二回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 「花いっぱい運動」の東京都からの支援について
平成24年に「全国花いっぱい運動小平大会」が開催されるが、都は5月に「緑確保の総合的な方針」を区市町村と合同で策定し、既存の緑を保全するため、社会全体で緑を支える仕組みを作っていくことを打ち出したところである。同大会に対する都からの支援を是非お願いしたいが、所見を伺う。

回答
「花いっぱい運動」は区市町村が主体となり、関係する市民団体とともに、毎年、普及啓発のための大会として開催しています。
平成24年度の大会は小平市で開催すると決まりましたが、今後、その実施体制や内容が明らかにされた段階で、関係局と調整し、支援のあり方を含めて、適切に対応していきます。

質問事項
二 教職員の産休期間と臨時的任用教職員の確保について
1 年度途中で産休となった教員の代わりとなる臨時的任用教職員への支援は、どうなっているのか伺う。

回答
学校においては、児童・生徒が安心して教育を受けられるよう、臨時的任用教職員への必要な支援を組織的に行っています。
具体的には、まず、児童・生徒や保護者の理解を得られるよう、担任が代わることについて臨時保護者会等を開催し、校長から保護者に対する説明を行っています。
また、代替教員が着任するまでの間、担任が不在にならないよう、副校長が学級を担任するなどの対応を行っています。
さらに、校長、副校長及び主幹教諭は、当該教員に対する継続的な指導及び助言を行うとともに、必要に応じて学級指導の補助等を行っています。

質問事項
二の2 教育庁として、産休・育休教員の代替となる資質の高い臨時的任用教職員を確保していくための工夫が必要であると同時に、産休となる教員から引き継いで担任を持つ者に対する支援が必要と考るが、所見を伺う。

回答
妊娠出産休暇・育児休業補助教職員については、臨時的任用教職員採用候補者を年に一回募集し、書類審査及び面接による選考を実施しています。
質の高い臨時的任用教職員を確保するためには、多くの応募者を集めて選考を実施することが必要であり、採用候補者の募集についても積極的にPRしています。
また、産休となる教員から引き継いで担任を持つ教員に対して、校長や副校長を含め教員が相互に助け合うなど学校において組織的な対応をしているところであり、都教育委員会及び区市町村教育委員会としても引き続きこれを支援していきます。

質問事項
三 教員の人材確保及び配置について
1 小中学校においては、諸々の話を聞くと教員自体に余裕がないようだが、教員の人員配置の算定方法と配置の状況について、伺う。

回答
教職員定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき、都教育委員会が定める「定数配当基準」により学級数に応じて算定しています。
また、具体的な教育課題に対応するため、区市町村の申請により、年度ごとに予算の範囲内で、都の基準等に基づき教員加配を措置しています。

質問事項
三の2 小中学校教職員の定数の過去5か年の動向について伺う。

回答
過去5か年の小中学校教職員定数は、平成18年度は、小学校29,945人、中学校14,707人の合計44,652人です。
平成19年度は、小学校29,965人、中学校14,930人の合計44,895人であり、前年度に対して243人の増となります。
平成20年度は、小学校30,126人、中学校14,958人の合計45,084人であり、前年度に対して189人の増となります。
平成21年度は、小学校30,179人、中学校14,999人の合計45,178人であり、前年度に対して94人の増となります。
平成22年度は、小学校30,202人、中学校15,119人の合計45,321人であり、前年度に対して143人の増となります。
このように、児童・生徒の自然増等に伴い、教職員定数は増加傾向にあります。

質問事項
三の3 国の教育費全体は長期にわたり増額されず、民主党政権になってから公立高校無償化と私立学校の同程度の学費補助で久々の増額となった。都のここ5年の小中学校に係る教育費の動向について伺う。

回答
教育庁予算額のうち小中学校に係る経費である小中学校費を見ると、平成18年度に4,531億円であったものが、徐々に減少して平成22年度は4,270億円となり、261億円減少しています。
これは、小中学校費の99%以上を占める給与関係費が、大量退職・大量採用による教員の平均年齢の若年化に伴う人件費単価の減少などにより、269億円減少していることが主な要因となっています。
なお、教員の旅費など給与関係費以外の経費については、8億円増加しています。

質問事項
三の4 小中学校の予算については、最近は理科の教材を買う予算が少ないことが報道で話題になりました。現況はどのような状況でしょうか。

回答
学校の運営に要する経費については、学校の設置者が負担することが原則であり、公立小中学校の教材費等は、各自治体の予算で措置することになっています。
一方、理科教育において必要な設備や器具を整備するため、国は、理科教育振興法に基づく理科教育設備整備費等補助金により、整備に要する経費の2分の1の補助を行っています。平成21年度には、新学習指導要領の実施に伴う教材・教具の整備のため、当初予算に加え、補正予算でも本補助金が計上されました。
しかし、本補助金は、国の予算の範囲内で補助が行われるため、平成21年度の補正予算を除き、所要額に対する例年の補助額が、補助率2分の1に相当する額を大きく下回っており、平成22年度についても同様の状況となっています。
このため、都は、国に対し、区市町村が理科教育等の一層の振興と充実を図るため、理科教育設備整備費等補助金の補助率に見合う財源を十分に確保するよう提案要求を行っています。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  大山とも子

質問事項
一 保育園の待機児解消について

一 保育園の待機児解消について
緊急の課題である、保育園の待機児解消について、質問します。
私たちの調査では、認可保育園に申し込みながら入れなかった今年4月1日付の待機児は、急増した昨年をさらに上回り1万7千人に及びます。そのうち認証保育所などを利用した児童を除いても、8千人を超えています。この3年間でほぼ倍増しているのです。
調査結果をふまえたわが党の申し入れに対し、東京都はあれもやった、これもやったと強調しました。しかし、それでは不十分だから申し入れたのです。確かに都内の認可保育園はようやく増え始めましたが、希望者の急増に追い付いていません。
しかも、都が5月に発表した保育計画では、今年度から5年間にサービス利用児童を3万5千人増やすとしていますが、肝心の認可保育園を何人分増やすかという目標が示されていません。2008年度から認可保育園を6千5百人分増やす3カ年計画をつくったことが、増設の弾みになったのです。保護者が求めているのは、庭もあり、子どもたちが豊かに育つことができる、質の高い認可保育園です。
1 待機児ゼロを早期に実現できるよう、認可保育園増設の速度と規模を抜本的に引き上げるとともに、認可保育園整備の数値目標を明確にすべきですが、いかがですか。
2 東京で認可保育園を増やすには、土地の確保への支援が必要です。用地費助成を創設し、都有地の半額貸与制度の活用をさらに積極的に進めるとともに、無償貸与に拡充すること。また、活用できる都有地の情報を各区市町村に積極的に提供することを提案するものです。
3 また、利用可能な国有地は東京23区内だけでも600万平方メートル、東京ドーム約130個分もあります。その10分の1を使っただけでも400カ所以上の認可保育園をつくることができます。国有地の活用促進を国に要請することを求めますが、どうですか。
4 都内の認可保育園のうち約6割は公立で、老朽化が進み、手狭なところも少なくありません。その増改築の促進は急務です。このことを都はどう認識していますか。
5 区市町村も公立保育園の整備費と運営費への財政支援を切実に求めています。新宿区議会では全会派一致で公立保育所整備のための土地取得費、建設費、運営費の補助制度の創設を求める意見書が都に提出されました。公立保育園の役割にあらためて光をあてて、この要望にこたえていただきたい。答弁を求めます。
保育園が増えれば保育士需要は高まりますが、賃金・労働条件が厳しいために、人材が定着できず、確保もままならない状況になっています。
6 東京都として民間保育所の職員の待遇の実態把握(実態調査)を、認証保育所も含めて行い、公表することが必要です。答弁を求めます。

平成22年第二回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 保育園の待機児解消について
1 待機児ゼロを早期に実現できるよう、認可保育園増設の速度と規模を抜本的に引き上げるとともに、認可保育園整備の数値目標を明確にすべきだが、見解を伺う。

回答
東京都保育計画(平成22年度から平成26年度まで)では、5年間で保育サービス利用児童数を3万5千人増やすこととしています。
地域における保育サービスの供給体制は、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭福祉員など、地域の様々な保育資源を活用して確保していくべきと考えています。

質問事項
一の2 認可保育所を増やすため、用地費助成を創設し、都有地の半額貸与制度の活用を更に進めるとともに、無償貸与に拡充すること、また、活用できる都有地の情報を各区市町村に積極的に提供することを提案するが、見解を伺う。

回答
今年度から、認可保育所用地確保のために、定期借地権設定に伴う一時金の一部を助成することにより、認可保育所の整備促進を図ることとしています。
また、平成20年3月から「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業」の対象施設として認可保育所を加えて、活用できる都有地について区市町村に情報提供を行っており、引き続き、50パーセント減額による貸付けを実施していきます。
用地費助成を実施する考えはありません。

質問事項
一の3 利用可能な国有地は23区内だけでも600万平方メートルある。その10分の1を使っただけでも400か所以上の認可保育所をつくることができる。国有地の活用促進を国に要請することを求めるが、見解を伺う。

回答
平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」に、子育て支援施設への未利用国有地の定期借地権を活用した貸付けが盛り込まれ、現在、財務省において検討が進められています。

質問事項
一の4 都内の認可保育園のうち約6割は公立で、老朽化が進み、手狭なところも少なくない。その増改築の促進は急務であるが、都の認識を伺う。

回答
公立保育所の増改築については、設置者である各区市町村が計画的に行うべきと考えます。

質問事項
一の5 新宿区議会では全会派一致で公立保育所整備のための土地取得費、建設費、運営費の補助制度創設を求める意見書を都に提出した。公立保育園の役割に改めて光を当て、この要望にこたえるべきだが、見解を伺う。

回答
公立保育所の運営費及び施設整備費は、既に一般財源化されており、都として新たに補助制度を創設する考えはありません。

質問事項
一の6 東京都として民間保育所の職員の待遇の実態把握(実態調査)を、認証保育所も含めて行い、公表することが必要であると考えるが、見解を伺う。

回答
「次世代育成支援のための新たな制度体系」の設計に向けて、厚生労働省において、認可外保育施設を含む保育サービスについての実態調査を現在実施しています。

平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  石毛しげる

質問事項
一 検視と監察医制度について

一 検視と監察医制度について
我が国における監察医業務の始まりは、昭和21年4月1日、東京大学医学部及び慶應義塾大学医学部の法医学・病理学の両教室に委嘱してアメリカのメディカル・エグザミナー制度にならった変死体の検案・解剖業務を開始したことによる。
昭和23年3月21日には、独立した施設として文京区大塚に東京都監察医務院が開設され、大学への委託を廃止して専任の監察医を配置するに至った。
また、東京都の区部は、監察医制度が施行されているが、多摩・島しょ地区は施行されていない。同じ都民として異状死の取り扱いに差があるのは不公平であることから、昭和53年10月から、東京都の費用負担の下、検案については東京都医師会に、解剖については東京慈恵会医科大学と杏林大学にそれぞれ委託して、行政解剖に準じた形で承諾解剖が行われている。
さて、東京都において、我が国初の監察医業務が開始されてから既に64年が経過したが、その間の我が国監察医制度の歩みは、必ずしも平たんなものではなかったようである。福永龍繁・東京都監察医務院長は、その間の経緯について「監察医制度がまず7都市(東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、京都市、神戸市、福岡市)に設置されたのは、日本全人口の3分の1が都市に集中しているためであり、この死因調査制度が日本に根付けば、きっと全国的に広がるという期待があったはずである。しかしながら、厚生省の予算が絶たれた。
監察医の定年を機会に廃止されたところが多く、地方自治体の理解が得られず、廃止、縮小に至ったものと思われる。その原因は、国も地方自治体も監察医制度の重要性の認識に乏しく、更にそれを維持すべきであった医学者が継続の努力を怠ったことである。即ち、国も地方自治体も、法医学者も皆、易きに流れたと言わざるを得ない。」と述べている。
日本では司法解剖の予算が決められており、2005年では5000体分3億4千万円、毎年決定された数字に合わせて解剖されているように思える。(警察法施行令第2条第4項に基づき国庫から支弁される。)
さて、解剖率の低さの背景には、行政解剖のできる監察医制度を持つのが、政令で東京23区、横浜、名古屋、大阪、神戸の4市に限られていることがある。承諾解剖では、身内の遺体を傷つけることに遺族が拒否反応を示すことが多い。費用面でも、国費で賄われる司法解剖に対し、行政・承諾解剖は都道府県か遺族の負担となり、05年に10体以下しか行われなかったのは27道県に上る。
警視庁と厚生労働省のまとめによると、2005年の死因不明遺体は、知事の判断による行政解剖や、遺族の了承を得ての承諾解剖(準行政解剖または準司法解剖)が行える司法解剖は4942体、行政・承諾解剖は8628体、解剖数は1万3570体であった。(日本の統計では交通事故死などは除かれている)
北欧を含む先進国は、日本と同じく検視を得て解剖し、解剖率は20%から100%と高い。1998年の病理解剖を含む統計は、変死体の解剖率、ハンガリー49%、スエーデン37%、フィンランド36%、イギリス24%、アメリカ12%、ドイツ8%、日本はわずか4%であった。また、我が国は地域格差も大きく、神奈川県の解剖率は29.3%だが、鹿児島県は0.9%にとどまっている。
さて、最近の死亡形態は、病死又は自殺を偽装した事件が全国的に増加傾向を示し、加えて、高齢化社会を反映した独居老人の急死、乳幼児の突然死及び成人の過労死が発生するなど変化している。この種事案は、死体の検死又は見分けによる外表所見のみでは死因の判断が難しく、かつ、司法解剖の要件を充足しないため解剖できないものが多く、死体の適正な取り扱いのためには解剖による死因究明を行う必要があり、この傾向は今後ますます高まることが予想される。
警察が取り扱う「異状死」「異常死」は2008年で約16万体、検視官が現場に立ち会うケースは14.1%、解剖率は9.7%。
解剖医の不足が原因で、2000年に保険金殺人を目的で、強い酒を飲まされた男性が殺害され解剖されないまま病死とされ、のちに被告の一人が上申書で告白するまで事件が発覚しなかった事件。大相撲の時津部屋の序の口力士、斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=しこ名・時太山の急死を巡り愛知県警の検視ミスが指摘されている事件。
東京都豊島区の無職女(35)と交際していた男性らが相次いで不審死した、この事件では、東京都青梅市の男性(当時53歳)が解剖されないまま「自殺」と判断された、これらの事件は記憶にまだ新しい。
民主党の細川律夫衆院議員は、「死因究明解決には、新たな死因究明制度の構築が不可欠だ」と指摘している、
警察庁は「犯罪死を見逃しかねない」と指摘されている現在の検視体制など死因究明制度を強化し、欧米に比べ遅れていた制度の改革に向けた作業が本格化させ、死者の尊厳と、生きている者のより良い生のため、我が国の検死制度の抜本的な改革、構築が必要であるとしている。
1 我が国の死因究明制度には、刑事司法上のものと、公衆衛生上のものとがある。両者について、概要を示せ。
2 警察に一元的に集められた異状死体に関する情報は、犯罪の嫌疑の観点から、犯罪死体、変死体、非犯罪死体に分類される。このスクリーニングを行うのは司法警察員であり、医師はここでは介入しない。現場の警察官による判別の正確性をどのように担保するのか伺う。
3 異状死体の検視の主体は司法警察員である。一方、監察医制度施行地域では、死体解剖保存法により検案を行うのは、監察医である。それ以外の地域では、法医学の専門でない医師が検案を実施している。そこで、検案の正確性をどのように担保するのか伺う。
4 全国でも法医学の専門医が少なく、マンパワー不足が否めません。その結果、解剖率は先進国で最下位であり、日本は死因究明後進国といわれている。検案を行う医師の専門的な知識・能力を高めることも必要であるが、解剖を行えるような法医学専門医の養成は容易ではない。
先日、厚生労働省の研究班において、死因究明にCTなどを活用した「死後画像診断」を導入することにより、解剖の補助として有用性があるとの調査結果が発表され、新聞報道、ニュースなどで取り上げられている。
CTなどを活用した「死後画像診断」を導入することは、解剖の必要性を判断する材料が得られると思う。都としても死後画像診断を導入すべきと考えるがいかがか。

平成22年第二回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 検視と監察医制度について
1 我が国の死因究明制度には、刑事司法上のものと、公衆衛生上のものとがある。両者について、概要を伺う。

回答
刑事司法上の死因究明制度には、その死亡が犯罪によるかどうか明らかでない死体(変死体)について、刑事訴訟法第229条に基づく「検視」すなわち死亡が犯罪によるものかどうかを判断するために五官の作用により死体の状況を調べること、及び検視によっても死因の究明が困難な変死体について、刑事訴訟法第225条に基づく「司法解剖」により死因の究明を行うことの二つの方法があります。
次に、公衆衛生上の死因究明制度としては、死体解剖保存法に基づき、監察医制度施行地域においては、伝染病、中毒又は災害により死亡した疑いのある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医に検案をさせ、検案によっても死因の判明しない場合には、遺族の承諾がなくても解剖をさせることができることになっており、東京都23区においては監察医務院を設置して検案・解剖を行っています。また、監察医制度施行地域でない多摩・島しょ地域においては、「多摩・島しょ地域監察医務業務実施要綱」に基づき、検案業務を実施し、検案によっても死因が判明しない場合には、遺族の承諾を得て解剖を行っています。

質問事項
一の2 異状死体に関する情報の分類は司法警察員が行っており、医師の介入がないが、現場の警察官による判別の正確性をどのように担保するのか伺う。

回答
警察官による死体の判別を正確に行うために、大学の法医学教室等で法医学の知識を修得した警部以上の検視官を鑑識課に配置し、すべての死体取扱時の観察結果を報告させることにより、警察署における検視をチェックしています。そして、観察結果から専門官による検視が必要と判断したものについては、検視官が臨場して検視を行い、その際には、ポータブルX線撮影装置、ポータブル超音波画像診断装置等の資機材を活用して検視の正確性を担保しています。
また、警察署の各級捜査幹部に対しては検視実務研修を実施し、検視実務能力の向上を図っています。
なお、すべての死体取扱時に医師の立会いを求めて、その助言を得ています。

質問事項
一の3 異状死体の検視の主体は司法警察員である一方、監察医制度施行地域では監察医が検案を行い、それ以外の地域では、法医学の専門でない医師が検案を実施している。そこで、検案の正確性をどのように担保するのか伺う。

回答
監察医制度施行地域以外の多摩・島しょ地域においては、社団法人東京都医師会に検案業務を、東京慈恵医科大学と杏林大学に解剖業務を委託し実施しています。東京都監察医務院の検案と同水準の正確性を確保するため、東京都監察医務院において検案医の養成教育研修を実施しています。

質問事項
一の4 CTなどを活用した「死後画像診断」の導入により、解剖の必要性を判断する材料を得られる。都としても導入すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
「死後画像診断」を導入することは、より的確な検案・解剖を行うための事前情報を得ることが期待でき、有用であると考えています。
現在、東京都監察医務院建替計画において、導入に向けた検討を行っています。

ページ先頭に戻る