平成二十二年東京都議会会議録第九号

○議長(田中良君) 八番土屋たかゆき君。
   〔八番土屋たかゆき君登壇〕

○八番(土屋たかゆき君) 初めに、教育の政治的中立について伺います。
 民主党日教組出身の輿石東参議院会長は、昨年の日教組新年会、七月六日の定期大会あいさつで、教育の政治的中立はあり得ない、政治を抜きに教育はないとあいさつをしています。この発言は、教育基本法、教育公務員特例法、さらに、いわゆる教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法に違反した発言であることは明白です。
 最後にご紹介した教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法は、山口県小学校日記事件など偏向教育が頻発したことを契機に国会で制定されたものですが、この事件は山口県教組の編さんによる、夏休みに児童が書く日記の欄外に書き込みがあり、それに対して児童が答えるという形式をとっています。
 その一例ですが、当時のソ連を、農民を苦しめたりしている資本主義とは正反対です、共産主義経済は利益を個人が我が物にすることは許されないと紹介し、アメリカや日本の資本主義とどこが違うのか、どこがよいのか、調べてくださいと書いてあります。つまり、ソビエト礼賛の一方、資本主義のよいところは飛ばして悪いところを調べろという、悪らつな生徒誘導の偏向教育の典型です。
 ここでお聞きしたいのは、こうした立法の趣旨からして、一般論として、教育の政治的中立はあり得ないとする見解は、これら教育関連法規の趣旨に反するものと思われますが、ご意見をお伺いします。
 さて、次に、外国人地方参政権について伺います。
 昨年行われた総選挙で、民主党は、政権交代の選挙、生活が第一といっていました。しかしながら、インデックス二〇〇九には、この外国人地方参政権や夫婦別姓法案など、国の形態を変え、家族の形態を変えるものが満載です。そのインデックス二〇〇九の背表紙には、議論の到達点と書かれていますから、この政策が民主党の目指す政策であることに間違いはありません。
 しかしながら、私が雑誌「WiLL」や「正論」で指摘したとおり、政権公約であるこのマニフェストにはそれらは触れられていませんし、国民を政府の監視下に置くファシズム法案、人権擁護法案などは文字を小さくし、目立たないように巧みにごまかしています。
 この外国人地方参政権について、選挙前から、当時の鳩山代表はインターネットサイトで、これはまさに愛のテーマ、日本列島は日本人だけのものではないと明言しています。では一体、この日本国はだれのものなんでしょうか。また、現在の岡田外務大臣も、外国人参政権の実現は悲願とまでいっています。ということは、当時の小沢幹事長も同様な発言をしていますから、選挙公約であるマニフェストに掲載するのは当然のことではないでしょうか。
 実際、選挙後、マニフェストに掲げられた公約は後ろにおいて、外国人地方参政権、夫婦別姓という主張が前面に押し出されました。それを知った国民の中から国民運動が盛り上がり、地方議会で反対決議が相次いだことで、一応、当面回避はしていますが、当時の山岡国対委員長は、参議院選後に、秋の国会では成立させると公言しています。
 では、参議院選のマニフェストに載せるかというと、五月七日、載せないと決め、インデックス二〇一〇もつくらないと、驚くべき決定をしました。批判を恐れて政党の政策集をつくらない政党があるのでしょうか。そして、秋には成立させると決意を述べておきながら、参議院選の争点になるから本来の主張を掲載しないマニフェストで選挙を戦うということは、国民を愚弄し、民主主義の原点である、政策を提示して政党間で議論を行い、国民の審判を仰ぐという基本ルールに反した行為といえます。
 さらに重要なことは、外国人参政権は民団への公約だと、一月十三日、当時の農水大臣である赤松氏が述べている点です。
 その中で赤松氏は選挙について触れ、全国各地でいろいろな形でお世話になったと述べています。一体、外国人の団体とどんな約束をして、どんな形のお世話を受けたのか、私たち日本国を構成する日本国民は説明を受けたいものです。
 竹島が不当に軍事占領されていることを民主党政府は抗議もせず、国家の主権に関することを外国人の団体と協議を進める。選挙でも支援をもらう。これも鳩山由紀夫氏の愛の政策であり、日本は日本人だけのものではないという主権意識欠落の延長なのでしょうか。
 ちなみに、最新の「週刊新潮」によれば、蓮舫大臣は参政権に反対だということであります。
 政策は正直にというのは当たり前のことです。その当たり前のことを書いただけで、私は不当に除名を受けましたが、こそくな方法で党の本心を隠すやり方は民主主義に反し、一方で、国旗・国家、皇室が大好きなスポーツ選手を候補者に擁立して話題を拡散するやり方は、国民の判断を誤らせるものです。
 さらに、民主党は、支持率の低下を回避するため、代表交代、小沢幹事長もかわりました。しかし、旧田中派七奉行の一人である小沢一郎氏は依然として党内にあり、代表の菅直人氏は、北鮮で英雄として切手になっている日本人拉致実行犯シン・ガンスの助命嘆願書にサインをし、また国旗・国家法案にも反対した人物であり、政権は革命政権としてさらにかじを左に切りました。知事のご見解をお伺いしたいと思います。
 次は、共産党による「赤旗」の勧誘についてお伺いします。
 これは、以前、自民党の鈴木一光議員が質問しておりますが、実際には改まっていません。
 一例を挙げます。○○先生から電話があり、ご昇任おめでとうございます、共産党○○局担当の○○です、「赤旗」日刊紙をとっていただけませんかといわれたと。断るのに勇気が要りましたといっています。これが実態です。自民党、公明党、民主党ではこのようなことは行っていません。自由意思で読んでいる方もいると思いますが、実際、議員からこうした勧誘を受けると職員は断りづらいというのが本音です。
 人権や内心の自由を殊さらに主張する一方、「赤旗」や「東京民報」などを押し売りして資金を得る。これは共産党の欺瞞的体質を端的に物語っております。いやしくも仮に共産党が民主主義の政党であるとするなら、議員を含め、このような行為は自粛するのが当然であります。(発言する者あり)
 以上、並びに石原慎太郎知事のご所見をお伺いいたします。ありがとうございます。反論があるなら、ディベートしましょうよ。提案します。だれでもいいからかかってきなさい。
   〔発言する者あり〕

○議長(田中良君) 土屋君に申し上げます。発言時間を既に超過しております。速やかにやめてください。

○八番(土屋たかゆき君) ディベートを提案しますよ。出てきなさい。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 土屋たかゆき議員の一般質問にお答えいたします。
 政治家や政党が国民に対してみずからの所信を示すことの重要性についてでありますが、政治家も政党も、みずからの理念、国家観を披瀝しつつ、国家としての針路や目指す社会の姿を国民に提起して、そのために必要な政策を示すのが当然の役割であり、また責任でもあります。
 今のご指摘をまつまでもなく、民主党にはちょっとそうした政治の基本が欠落しているような気がしてなりません。
 例えば、永住外国人の地方の参政権にかまけてでしょうが、鳩山総理は、日本列島は日本人のためだけのものではないということをいいましたが、これは、まあ言葉として非常に危険な、危うい、多くの疑問あるいは危険を招きかねない言葉だと思います。これは基本的に総理として、政権として国を守る意思も能力も欠いて、日本の安全を土台から揺るがすような言動だと思います。
 まあ、マニフェストというものはどれほどの拘束があるか、これは人によって判断が違うでしょうが、いずれにしろ、みずからが発した言葉にみずから拘束されて、いたずらに歳出を膨張させ、借金だけを置き土産にして、前首相は退陣したわけでありますが、一方で、質問にあるように、外国人参政権や夫婦別姓といった、国家や家族を根底から崩しかねない政策について、今回の参議院の選挙にはマニフェストにうたわないようでありますが、しかし、いずれにしろこれは、私は前から申しますが、絶対反対であります。
 今、こういう民主党の主張に乗っかって何が起こっているかと、皆さん凝視してもらいたい。例えば対馬、あそこに行きますと、近い釜山あたりから、地方の議員でしょうけれども、議員団もたくさん含めて、観光客がやってきますが、彼ら、特に議員たちがどういうTシャツを着ていますか。そろいのTシャツに何が書いてありますか。この対馬は韓国のものだと書いてある、そろいのTシャツを着て彼らは闊歩し、買い物をしている。こんな現象というのは、ほかの国のどこで起こりますか。
 こういった主権を侵害されかねない、そういう実情の中で、地方の参政権を永住している外国人に与える。その対象は恐らく韓国の人であり、北鮮の人であり、中国の人でありましょうが、私はこういった政策を殊さらに主唱するならば、それをはっきり今度の参議院の、ひとつ争点にしてもらいたい。国民は恐らくこれに反発するでしょう。
 いずれにしろ、選挙を前にして表紙を変えてみても、政党や政治家としての背骨を欠いて政策に裏表があるようでは、国民の信頼は得られないと思います。
 次いで、共産党の都の職員に対する「赤旗」の売り込みでありますけれども、これはやっぱり選ばれて出てきた議員さんに対する職員の立場というのは非常に弱いものだと思います。それにつけ込んで、一部でもとにかく「赤旗」を買えという強要があるとするならば、これは絶対に許されるべきものじゃないと思います。共産党も政党として、政治家として、当然の良識を取り戻し、みずからを厳しく律して、誤解や批判を招かないように、そうした行為を厳に慎むべきだと思います。
 他の質問については、教育長から答弁します。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 教育の政治的中立についてでございますが、教育基本法は、同法第十四条において、学校の政治的中立性を確保することを要請しております。とりわけ義務教育諸学校においては、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法により、教育職員に対し、特定の目的及び手段をもって党派的教育を行うよう教唆及び扇動することを禁止し、その違反者に刑罰を科すことをもって実効性を担保しております。
 この法律は、教育を党派的勢力の不当な影響または支配から守り、もって義務教育の政治的中立を確保するとともに、これに従事する教育職員の自主性を擁護することを目的として制定されたものでございます。こうした法の考え方を否定したり、ないがしろにするような見解は、法律の趣旨に反するものと考えます。

○議長(田中良君) 以上をもって質問は終わりました。

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