平成二十二年東京都議会会議録第九号

○議長(田中良君) 三番三宅正彦君。
   〔三番三宅正彦君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三番(三宅正彦君) 島しょ地域について、都はこれまで港湾施設等のインフラ整備のみならず、島民生活の安定や福祉の向上を図るためにさまざまな事業を展開し、成果を上げてきました。しかし、離島という厳しい環境のもと、各分野にわたり課題は残されていますので、質問をいたします。
 初めに、島しょ医療について伺います。
 私は補欠選挙当選後、各島を回り、医療についてつぶさに見てまいりました。例えば八丈島の町立八丈病院は、離島という特殊な立地条件の中で、産婦人科、小児科、救急医療等の不採算部門の診療など、島民の多様な医療需要にこたえるべく医療を提供しているところですが、病院経営は非常に厳しい状況にあります。また、地理的条件などにより医師確保も難しい状況であるため、都による財政援助や人材確保のための支援を改めて強く感じたところです。
 島しょ町村は、町立病院や国保診療所を設置し、島民の期待にこたえておりますが、施設や医療スタッフの確保、高額化する医療機器の整備などの面で多くの困難な問題を抱えているのが実情であり、島しょ町村の脆弱な財政力では解決が困難となっております。
 都は、財政支援や自治医科大学卒業医師の継続的な派遣など、島しょ医療の充実に努められてきたことは十分承知しております。それでも、入院を必要とする医療や専門医療など、島しょ地域では対応できない医療については、本土に行き、入院や診療を受けることを余儀なくされています。急を要する場合は、私も経験いたしましたが、消防庁や海上自衛隊のヘリコプターなどで救急搬送されることもあります。
 昨年四月、知事は自衛隊による島しょの救急患者の搬送が昭和三十二年から平成二十年十一月までに千五百回に達したことから感謝状を贈呈されたと聞いております。こうした都を初めとする関係機関の取り組みもあって、島民は生活の中の安心を確保しているのであります。
 私は、島しょ選出の議員として、地域の医療の安定的な確保のために、今後とも引き続き都による財政援助と医師確保を中心とした島しょ医療の充実に努められることを強く望むところであります。
 石原知事は、島の振興に並々ならぬ力を注いでおられますが、島しょ地域の医療振興について、改めて基本的な認識をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、島しょ地域の交通基盤について伺います。
 昨今、公共事業の見直しが叫ばれ、一部の道路やダムについては事業が中止される例も見られます。しかし、事業の必要性などを厳格に検証すべきことは当然ではありますが、国民生活のために不可欠なインフラ整備は、不断に進めていかなければならないと思います。
 島しょの港湾も、厳しい自然条件の中で暮らしている島民の生活を支える、なくてはならない島の生命線ともいうべきインフラであります。今日まで計画的な整備が進められてきましたが、いまだに生活物資を運ぶ定期船が欠航になり、生鮮食品等が不足することもあります。複数の港がある三宅島や八丈島でさえ、年間三十日以上も定期航路が欠航となるのが現状です。島の方々にお会いしても、もっと風や波に強い港湾にしてほしいという切実な声が聞こえてきます。
 公共事業削減の風潮の中で、港湾の整備が進まなくなるのではないかと島の方々も不安を感じておられますが、定期船の就航率を向上させるため、今後とも計画的に整備を進めていく必要があると考えます。そこで、まず島しょにおける船の就航率向上に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、先日私は新島港船客待合所の完成式典に出席しましたが、そこでは待ち望んでいた施設の完成に対する島の方々の大きな喜びを感じることができました。島の住民にとって、船客待合所は最も親しみを感じる公共施設であり、島の顔として特別な重みを持った施設であるとともに、島への第一歩を踏み出す観光客にとっても、島の生きた観光情報などを入手できる観光の拠点となるべき施設であります。整備の仕方、利用の仕方を工夫することで、にぎわいの中心として島の発展にも大きく貢献することが期待できます。
 しかし、現在各島にある船客待合所は老朽化が進んでいるものや、多目的な利用にこたえられないものもあります。今後、船客待合所の建てかえに当たっては、観光やにぎわいづくりの拠点となるよう、地元の声や島の特色を生かしながら機能の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 島しょ地域の交通機関の中でも、航空路線は島民や観光客にとって高速アクセス手段として貴重な足であります。三宅島では、平成二十年四月に定期航空路線の一日一往復の運航が再開されましたが、その就航率は想定されていた約六〇%を大きく下回っています。私も何度も三宅島には行っていますが、一度も乗ることができず、残念な思いをしています。
 火山ガスは放出量が減少したとはいえ、現在も噴出し続けています。安全を最優先にすることは当然のことではありますが、復興にかける三宅島の方々の気持ちを考えれば、就航率を向上させることが最重要の課題であります。そこで、三宅島航空路線の就航率の向上に向けた都のこれまでの取り組みと今後の進め方について伺います。
 なお、島しょ地域の海上交通については、現在就航している船舶の更新も大きな課題です。伊豆諸島航路、小笠原諸島航路に就航している貨客船の多くは法定の償却期間を超え、老朽化が進みつつあります。今後一斉に更新が必要となることが想定されるため、都においては、更新に対する十分な支援を計画的に行っていただきたい旨、申し添えておきます。
 また、小笠原の航空路線については、都と村で設置した小笠原航空路協議会で航空路案の調査検討を進めていると聞いておりますが、今後も協議を通じて関係者間の円滑な合意形成に努めていただくことを希望します。
 次に、島しょ地域の観光振興について伺います。
 島しょ地域には豊かな海洋資源、変化に富んだ自然景観、固有の歴史と文化など、さまざまな観光資源があります。そして、経済面では農林水産業と観光産業に大きく依存しており、島の振興にとって観光産業の活性化が不可欠であります。
 島しょ地域への旅行者の入り込み数は長期的に減少傾向にあり、厳しい状況が続いていますが、魅力的な観光資源の活用や工夫次第で旅行者の増加を図ることが可能と考えております。そこで、これからの島しょの観光について都の見解を伺います。
 次に、小笠原の世界遺産登録について伺います。
 東京都議会第二回定例会のポスターには、小笠原諸島母島南崎の写真を背景に、東京の貴重な自然を次世代にと書かれています。来年夏の世界遺産登録を目指す小笠原諸島を紹介していただき感謝申し上げるとともに、東京都議会を挙げてのさらなる応援をお願いしたいと思います。
 さて、小笠原諸島は、世界自然遺産の項目のうち、地質・地形、生態系、生物多様性の三つもの項目に該当するといわれています。この世界的にもたぐいまれな小笠原の自然を適正に保全管理していくため、世界自然遺産登録の推薦に当たり、小笠原諸島管理計画が策定されました。
 その中では、外来種の駆除や侵入拡散の防止、東京都版エコツーリズムによる利用人数制限など、行政の施策に加え、小笠原諸島にふさわしい自然共生型のライフスタイルと産業の確立に向けて、農業やペットの飼育の際の外来種対策など、村民生活にかかわる事項も記載されています。
 この管理計画に掲げられている取り組みを着実に推進していくことが必要ですが、その際、村民の暮らしと自然環境の保全との両立を図っていくことが重要であり、そのためには行政機関だけではなく、村民やさまざまな関係者の協力が欠かせないものとなります。今後、どのように関係者の理解と努力を得ながら、世界遺産にふさわしい小笠原諸島の自然を守っていくのか、所見を伺います。
 次に、島しょ地域の農業、水産業の振興についてお尋ねします。
 島しょ地域では、農業と水産業が島の基幹産業となっています。しかし、強風や高波で農作物や漁業施設などがしばしば被害を受け、また輸送が安定しないなど、厳しい状況に置かれています。
 島しょ地域の農業者や漁業者は、このような厳しい自然環境のもとでも、みずから土地を耕し、漁に出て、生産を向上させ、生活を豊かにすることが、家族と島を守ることであると信じ、一生懸命に取り組んでいます。私は、こうした人々の営みをしっかり支えていくことが、島の産業振興にとって何より重要であると考えています。
 そこで、厳しい自然環境のもとで営まれている島しょ地域の農業に対し、都はどのような支援を行っているのか伺います。
 次に、水産業について伺います。
 島しょ地域では、昭和六十年代に比べ漁獲量が半減し、さらに価格の低迷などにより水産業は厳しい経営を強いられています。
 都では昨年三月に水産業振興プラン(海編)を改定しましたが、現在どのような取り組みを行っているのか伺います。
 ところで、近年、魚離れが進んでおり、水産物の消費も低迷しています。このような状況の中、島しょ地域の関係者は地元水産物の消費拡大を図るため、既に加工品の開発など、独自の取り組みを進めています。都としても、魚の食べ方やその魅力などについて情報を発信するなど、こうした島の取り組みを後押しすべきと考えます。
 そこで、都では、島しょ地域の水産物の消費拡大を図るため、どのような取り組みを進めているのか伺います。
 最後に、都市緑化について伺います。
 島から飛行機で調布飛行場に向かいますと、都会のところどころに緑が見られますが、その一つが都立神代植物公園です。都市の緑化を推進するためには、植物に親しみ、植物に対する知識を伝え、都市緑化の必要性を多くの都民に理解してもらうことが必要です。
 神代植物公園は昨年六月、世界バラ連合から優秀庭園賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を得ている植物園であり、年間七十万人もの来園者があると聞いています。こうした神代植物公園を活用し、都市緑化の重要性を伝えることは大変意義のあることと考えますが、所見を伺いまして質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 三宅正彦議員の一般質問にお答えいたします。
 島しょ地域の医療についてでありますが、島しょ地域の医療は、遠隔地であるという地理的条件や、人口が極めて少ないなどの社会的条件による制約もありまして、非常に厳しい環境に置かれており、医師、看護師等を確保し救急医療、専門医療を提供していくためには、島しょ町村みずからの努力に加えて、やはり都の広域的な支援が必要であります。
 それにしても、島という天候次第によっては孤立する地勢的な条件がありまして、例えば私が非常に親しくしておりました八丈島在住の陶芸家の青木先生などは、心臓の病で倒れたんですけれども、ヘリが緊急に飛べずに一日待ったことで残念ながら亡くなったという経験もございます。
 このため、都は、大学病院等の協力による医師の派遣、東京消防庁や海上自衛隊のヘリを活用した救急患者の迅速な本土への搬送、画像伝送システムによる専門診断などの支援を行っております。
 引き続き、島しょの町村と連携して、医師確保はもとより、専門的、財政的支援を行うとともに、まさに都民の命綱ともいえる救急医療を支えるなど、島しょ地域に生活する方々の安全・安心を確保していかなくてはならないと思っております。
 やはり、同じ東京に住む同じ都民でありますが、島に住んでいらっしゃる方々が背負っているハンディキャップといいましょうか、そういうものを私たちも理解しなくちゃいけませんが、例えば、島の急患を受け入れる都立広尾病院など、せっかくヘリポートをつくっても、周りの住民が、ヘリが飛んでくるとやかましいからやめろという、ばかな要するにクレームがつきまして、それははねのけましたが、それ以前は、とにかく島から運んできた急患をわざわざ羽田でおろして、羽田から救急車で運ぶというばかなことをしておりました。
 これはやっぱり、同じ都民であります周りの住民の理解がそういうバリアをつくったわけでありますけれども、こういったものも反省して手直しいたしましたが、いずれにしろ、やはりいろいろなハンディキャップを背負って住んでいらっしゃる方々を同じ都民として、同じ国民として、市民として共感して支え合うことが私は必要だと思います。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、定期船の就航率向上の取り組みについてでございます。
 都はこれまで、一つの島に二つの港を、または一つの港に二つの突堤式岸壁を設け、風向きや波の大きさに応じて使い分けができるよう港湾整備を推進してまいりました。
 しかし、伊豆・小笠原諸島は、我が国でも特に厳しい気象海象条件のもとにあり、他県の離島と比較しても、交通アクセスの利便性はなお低い水準にあります。このため、利島、神津島では、岸壁を囲む新たな防波堤を整備し、高速船の就航率の向上を図っていきます。また、八丈島などでは、既存の防波堤を屈曲させて延伸するとともに、地形的に港湾の整備が困難な青ヶ島でも二本目の岸壁整備に着手し、貨客船の就航率を高めていきます。
 今後とも、港湾機能のさらなる向上に計画的に取り組み、島民の安全・安心で豊かな生活の実現に寄与してまいります。
 次に、船客待合所の機能の充実についてでございます。
 都では、港湾等の施設を最大限に活用し、観光振興やにぎわいの創出などを図るため、船客待合所の建てかえに当たり、さまざまな機能を持たせる取り組みを進めております。
 来月オープンする新島港船客待合所は、イベント等に利用できる開放感あふれるホールを設けるとともに、観光案内所の設置など、サービスの機能の充実を図ったところでございます。
 現在建てかえを検討中の三宅島阿古漁港の船客待合所では、二十五年度開催の東京国体でトライアスロン会場になることから、島のイメージアップが図れるようデザインに工夫を凝らすとともに、村の研修施設を合築し、島民等の交流拠点としての機能をあわせ持った施設といたします。
 今後、船客待合所の建てかえの際には、地元の要望や島の特性を生かし、島の活性化に寄与するよう努めてまいります。
 次に、三宅島航空路線の就航率向上についてでございます。
 都は、火山、気象などの学識経験者や運航事業者などから成る三宅島空港安全運航検討会を設置し、就航率の向上策について調査検討してまいりました。この結果、本年六月には、火山ガス情報提供システムをガス放出量の減少傾向を踏まえ改良し、ガス拡散予測シミュレーションをより実態に即した精度の高いものにいたしました。また、運航事業者である全日本空輸株式会社も運航判断時の予測時間短縮などを八月から行う予定であります。
 さらに今年度、ガス放出量をより正確に把握するため、ガスの常時観測など、観測体制強化を検討するとともに、ヘリコプターによるガス拡散状況観測を実施し、情報提供システムのさらなる改良に取り組んでまいります。
 就航率を大幅に改善するためには、ガスの放出量のより一層の低減が必要でございますが、現状でとり得るさまざまな方策を講じることにより、就航率の向上に努めてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、これからの島しょの観光振興についてであります。
 島しょ地域は、ダイナミックな自然景観と豊かな生態系、島ごとに異なる歴史、文化など、多様な観光資源を有しております。
 今後、さらに島しょの観光を振興するためには、それぞれの島が特徴ある観光資源を生かした個性的な取り組みを一層展開していくことが重要であります。既に新たな観光資源として活用し得る、例えば大島のジオパーク認定や小笠原諸島の世界自然遺産の登録などの取り組みが各島で始まっております。
 都では、こうした各島の取り組みを支援するという考え方に基づき、これまでも島の個性的な魅力を生かして開催される各種イベント、郷土料理づくりなどの体験プログラムの開発、遊歩道の整備などについて、町村や団体が行う主体的な取り組みを支援してまいりました。
 今後とも、島しょ観光の活性化のため、新たな観光資源を活用したツアー開発やアドバイザーの派遣、施設整備などのハード、ソフト両面からの取り組みに対し、きめ細かな支援を積極的に行ってまいります。
 次に、島しょ地域の農業に対する都の支援についてであります。
 島の基幹産業である農業の振興は重要であり、厳しい自然環境に対処するとともに、生産性向上や安定出荷へ向けた対策を進めていく必要があります。このため、都では、農道や農地、農業用水の整備による生産基盤の強化、栽培用施設の設置による強風被害の緩和、保冷施設や輸送用の保冷コンテナの整備による出荷時の品質保持などの取り組みを支援しております。
 また、島しょ特産のアシタバにつきましては、価格が下落した場合に補給金を支払う都独自の支援を行っております。
 今後とも、各島の気候風土に適した農作物の導入支援や栽培加工技術の普及指導などにより、島しょ地域の農業振興を図ってまいります。
 次に、島しょの水産業の振興についてであります。
 都では、都民の食を支え、その生活を豊かにする水産業を目指して、昨年、水産業振興プラン(海編)を改定し、島しょの水産業振興に取り組んでおります。本プランに基づき、水産物の鮮度を維持するための冷凍冷蔵施設や保冷コンテナの整備、魚を集め漁業操業の効率化を図る魚礁の設置、水産資源の維持増大を図るための貝類、魚類の種苗放流などの取り組みに支援を行っております。
 さらに、新たな漁場開拓や漁業資源の調査研究、また、悪質化、多様化する違法操業を防止するための船舶、航空機による漁業取り締まり等にも努めております。
 今後とも、各島の置かれている自然環境や漁業の実情に応じてきめ細かな対策を講じ、島しょの水産業の振興を図ってまいります。
 最後に、島しょ地域の水産物の消費拡大についてであります。
 水産物の消費拡大を図るためには、魚離れの進んでいる若年層を中心に、魚を対象とした食育活動を進めていくことが大切であります。このため、都では昨年度から、水産業振興プランに基づき、区部、多摩地域を中心として、主婦層や子どもたちなどを対象に東京産水産物の魅力を直接伝えるぎょしょく普及事業を展開しております。
 このうち、島の魚を使った料理教室を行う東京の魚の食べ方プロデュースでは、主婦層を中心に千人を超える参加がございました。また、八丈島漁業協同組合の女性部の方々が講師となり、魚のさばき方や漁村の文化等を小学校の子どもたちに伝える、浜のかあさんと語ろう会では、五校で五百人以上の子どもたちに授業を行っております。いずれも好評でありまして、今年度は開催回数をふやすなど事業の充実を図っているところでございます。
 今後とも、東京産水産物の情報を直接都民に発信し、その魅力を伝えていくことで、将来の消費拡大につなげてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 小笠原の世界自然遺産登録についてお答えいたします。
 小笠原の貴重な自然を守るためには、村民や事業者のだれもが、そのすぐれた自然環境の価値とその保全管理の必要性を深く理解し、自然と共生したライフスタイルを推進していくことが必要であります。
 このため、世界遺産の推薦に当たり策定した管理計画の実施に当たりましては、村民や事業者などから意見や提案を幅広くお聞きし、自然環境の保全と暮らしとの両立が図られるよう調整していくとともに、地域連絡会議などのさまざまな機会を活用しまして、村民や事業者などの深いご理解と協力を得てまいります。
 こうした活動を通じまして、お話のように、関係者が共同して管理計画に掲げられた取り組みを着実に進め、小笠原の自然環境が適正に保全されるよう努めてまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 神代植物公園を活用した都市緑化の重要性の普及についてでございますが、都市緑化は、都市に安らぎと潤いを与え、ヒートアイランド現象の緩和や温暖化対策など、快適な都市環境を創出する上で不可欠でございます。
 神代植物公園は、バラや江戸時代に品種改良された貴重な園芸植物など四千八百種、十万本の植物を有している国内屈指の植物園であり、中でもバラの栽培技術は、四十一カ国が参加した世界バラ会議において最も栄誉のある優秀庭園賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けております。こうした技術を活用し、庭園や生け垣の見本展示、植物栽培に関する講習会を実施するなど、都市緑化の普及に大きな役割を果たしております。
 また、神代植物公園がこれまで取り組んでまいりました小笠原の絶滅危惧植物を守る活動を紹介する企画展や、花や緑の魅力を来園者に直接伝えるガイドツアーなどにより、一層魅力向上に取り組んでまいります。
 平成二十二年度は、限られた歩道空間にも植栽できる街路樹など、さまざまな需要にこたえる新たな樹種を展示する街路樹モデル園や、地産地消を奨励する都内産植木の市のための場を提供し、都市緑化のさらなる普及に努めてまいります。
 今後とも、神代植物公園のフィールドと技術力を一層活用し、都市緑化の重要性を広く伝えるとともに、その推進に貢献してまいります。

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