平成二十二年東京都議会会議録第九号

○議長(田中良君) 二十八番淺野克彦君。
   〔二十八番淺野克彦君登壇〕

○二十八番(淺野克彦君) まず初めに申し上げます。
 さきの定例会において、青少年健全育成条例改正案が継続審議となった際に、都の職員であれば切腹だという一部報道がありました。これは、都が議会に提案した案件は完璧であり、そのまま通らなければならないという認識が当たり前になっているということだと思います。
 しかし、人にはミスがあるものですし、違った視点で見れば、もっといい案が見つかる場合もあるでしょう。その可能性を否定するような認識は非常に危険であります。行政の無謬性といいますか、修正や、場合によっては撤回するなどの柔軟な対応が、むしろ当たり前であることの方が、現代のような価値観の多様化した時点においては歓迎されるのではないでしょうか。今後、執行部も議会も、そしてマスメディア、一般都民の皆様も含めて、ぜひそういう考えも頭の隅に置いていただければと思っております。
 そのような考えに立ち、今回の補正予算について見ると、疑問を持たれるようなやり方は歓迎できるものではありません。今のような、一般都民からのチェックも厳しいときには、予算の組み方でさえ見られていることを意識し、ときにメッセージを込めたり、理念が反映されるような組み方にすべきだと思います。今回の補正予算は、見せ方というところに限っていうと、とても褒められたものではないといわざるを得ません。
 また、今年度当初予算においても、私の地元練馬区では、大江戸線の延伸を期待する住民の皆様は、都道二三〇号線の新規部分の予算計上が見送られたことで非常に落胆しておりました。今回のように、道路整備保全公社からの予期せぬ寄附があったのなら、そういう路線を復活させることもできたのではないかと思います。まだ社会資本整備基金に積み上げた分もあるようですから、ぜひご検討いただくことを強く要望して質問に入ります。
 まず、監理団体について伺います。
 東京都は、いわゆる公益法人改革に対応するため、監理団体は原則として公益法人に移行するよう指導しております。確かに監理団体が公益法人でない法人、すなわち一般財団法人になるということは、その監理団体が収益性のある事業を行うということですが、そうした収益性のある事業は、原則、民間に移譲すべきであると私は考えます。
 ところが、本議会で議論されている東京マラソンの運営主体は、監理団体でありながら、一般財団法人として始める予定だとのことです。きのうの我が党の代表質問に対し、都側は、監理団体に指定する意義を答弁しましたが、公益法人改革対応という視点に立てば、マラソンの運営主体は監理団体でありながら公益法人ではないという、極めて例外的なもののように見えます。東京都の監理団体で公益法人にならないのは、このマラソンの運営主体だけなのか、明快な答弁を求めます。
 一方、監理団体イコール公益法人ということになれば、それをもってしてすべてが丸くおさまるというものでもありません。政権交代により我が民主党が実現した行政刷新会議が事業仕分けという形で切り込んだように、国の公益法人は、今となっては民間でもできる事業を相変わらず公益事業としての理屈をつくり、天下りのために延々と事業を実施しているケースが極めて多いように思われます。
 要は、現時点では公益事業であったものが、今後の社会経済情勢の変化の中で、普通に民間企業が事業として行われるようになった、すなわち、公益性のある、なしをきちんと見きわめていくことが重要なのではないでしょうか。
 したがって、今の時点では公益法人である監理団体も、今後の社会状況の変化に伴い、公益事業が収益事業になる中で、一般財団法人に変わっていくことがあり得ると考えますが、東京都としては、そうした状況変化の中で監理団体をどのように指導していくのか、また、一般財団法人に移行した段階で監理団体の指定を外すのか、見解を伺います。
 そして、東京都として、道路整備保全公社に対して出された包括外部監査の指摘を受けて、今後、同様の視点での特定資産の内容と具体的な使途について、すべての監理団体に報告させるべきであると考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、学校における部活動支援について伺います。
 これまで都は、文化、スポーツの振興に力を入れてまいりました。今回、スポーツ振興局を新設することも、その流れの一環であると思います。そのやり方の是非はともかく、文化、スポーツの振興を推進することは大いに賛同するところであります。ただ、エリート育成だけが文化、スポーツの振興ではなく、生涯を通じて親しみやすい環境を整備することが大切です。
 きのうも知事は、スポーツと体育の違いについて熱弁を振るっておられましたが、学校における運動部は、体育のような教育とスポーツをつなぐ最適なものだと思います。
 一方で、部活動を受け持つ教職員には、相当の負担が生じるのも事実です。もちろん教職にある方々には熱意を持って取り組んでいただきたいものですが、熱意だけに頼っていては、いずれ疲れ果ててしまいます。教職員の方々が積極的に顧問を引き受けられるように、分業にして振り分けやすくするなど、さらなる支援体制を考えることも必要だと思います。またそうすることで、廃部、休部を減らし、新しい部が創設されやすくなることも期待できます。
 そこで、改めて、学校における部活動の位置づけと、部活動にかかわる教職員への支援について答弁を求めます。
 そして、部活動においては、主に技術的な専門指導を行う外部指導員の存在も大きくなってきております。運動部においては、特に技術指導において、選手生命の長さにも大きな影響が出るため一層重要な存在であります。そういった意味では、各スポーツや文化活動において、その外部指導員が指導員資格を持っているのかどうか確認をすることも必要だと思います。
 また、顧問ハンドブックや外部指導員のための指導の手引を見ると、外部指導員は、技術指導を担当するという印象が強いように思えます。しかし、技術指導を通して生徒と信頼関係が構築されますし、また教育効果も大きくなってくるという中で、それであるならば、外部指導員には教育理念をしっかりと持ってもらう必要があると思います。例えば、教育という観点での研修を受けることを義務化するなどの仕組みを考えてみてもいいのではないでしょうか。
 そこで、外部指導員に対して、技術面だけではなく、教育的側面についても指導していくべきではないかと考えますが、所見を伺います。
 また、今年度、地元の練馬区にあります都立大泉高校は、中高一貫教育への移行により、校舎などの工事を行っております。これにより、グラウンドなどの施設が、一部、長期間使用できなくなります。大泉高校にかかわらず、都立高校がさまざまな事情により工事を行う際に、工事期間中はどうしても部活動、特に運動部は活動への制約が発生します。
 そこで、都立高校の工事期間中の部活動に対してどのように支援しているのか伺います。
 次に、ペットと社会活動の共生について伺います。
 最近、ペットを飼う方がふえてきております。犬については、東京都動物の愛護及び管理に関する条例において、狂犬病対策として、犬が人をかむ咬傷事故の報告義務を飼い主に課しております。そして都も、この義務について周知徹底を図ってきたようでありますが、しかしながら、飼い犬を登録していない飼い主や、そもそも犬を飼っていない一般都民の皆様には、まだ十分に知られていないのが現状ではないでしょうか。
 また、水道、電気、ガスなどの検針員の方々、郵便や宅配業者など戸別訪問される方々の中には、咬傷事故や事故につながりかねない場合など、その対応に悩んでいるところがあるとも聞いております。
 事故が起こったのならともかく、企業としても把握し切れない、事故につながるおそれがあるような場合は、それなりに数がふえているのではないでしょうか。もちろんかませないようにすることが最も大切ですが、それを飼い主のマナーに頼るだけでは、いささか心もとないと思います。
 実際、咬傷事故の報告も、かまれた側からの方が割合が多いと伺いました。であるなら、かまれた側からも情報を得る努力をすべきでありますし、そうするためには、飼い主の報告義務について、罰則があることも含めて、飼い主以外にも広く周知する必要があると思います。そうすれば、仮に、狂犬病が発生した際にも、拡散防止になりますし、咬傷事故の発生にも大きな抑止力になると思います。その上で、将来的に必要であれば、被害者からの報告も義務化する、そういったことも検討していけばいいのではないでしょうか。
 まずは、各保健所を通じて、戸別訪問をするような業種を中心に、不適切な飼い方も含めた情報提供の協力を呼びかけてみてはいかがでしょうか。さらに労災申請の際など、行政として情報を得られる機会をどん欲に活用し、咬傷事故や事故につながりかねない案件の実態を把握するような取り組みを、今後さらに充実していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、島しょ地域の諸問題について伺います。
 本年四月に、民主党島嶼振興等調査会として、小笠原諸島の視察に行き、島民の方々が生活されている環境を直接見てまいりました。離島という環境ではありますが、同じ都民として、安心・安全は守る必要があります。
 その中で現在、小笠原の航空路については、PIでの協議を待つ形となっておりますが、交通アクセスの改善により解決が期待される諸課題については、PIの結論を待つだけでなく、積極的に解決のための実現可能性を探るべきではないでしょうか。
 例えば、航空路であれば、ヘリの活用というところの案もあるようです。海上自衛隊が持つ最大の輸送ヘリは、航続距離が最大で二千七十キロ可能であるという情報もございます。またあるいは、航空路だけでなく、このたび海底光ケーブルの設置を受けて、インターネットを活用した産業振興や遠隔医療のさらなる充実など、改善できるところはまだ多いと思います。
 今挙げたのは一つの事例でございますが、こういったさまざまな情報を主体的に集め、必要ならPIに提案する、もしくは暫定措置として活用するなど、前向きな取り組みを期待したいところであります。
 そこで、このような提案を踏まえて、これまでの小笠原への取り組みの成果と今後の展望について見解を伺います。
 次に、硫黄島について伺います。
 現在、硫黄島は、自衛隊の基地となっており、その管理は防衛省の所管となっております。一方、硫黄島にはまだ約一万三千柱のご遺骨が残されており、遺骨収集については厚生労働省が所管しております。いうまでもなく、この残されたご遺骨の収集については、国が第一義的な責務を有しており、防衛省、厚生労働省にわたる調整も含め、官邸主導での早期解決が必要だと私は考えております。
 このたび東京から新しく首相になられた菅直人総理は、平成十八年に硫黄島を直接視察されており、アメリカ公文書館に対しても、占領下におけるご遺骨の処置について、精力的な調査をされておりました。早期解決に向け、これ以上ない内閣の誕生であると私は期待するところでもあります。
 また同じく、平成十八年の第三定例会において、知事は、我が党の西岡議員の質問に対し、硫黄島の歴史を語り継ぎ、島全体が国民にとっての象徴的な慰霊の地となるようにすべきと答弁しております。またさらに、硫黄島に対する国としての位置づけも、基本的に考え直す必要があるとも述べられておりました。
 私自身、この四月に小笠原諸島に視察に行き、ご遺族の方から直接お話を伺う中で、さきの知事の答弁にありましたような、象徴的な慰霊の地という考え方には賛同できるところであります。
 そこでまず、平成十八年の知事答弁を受け、この四年間、遺族や関係者の要望も踏まえた中で、都としてどのように慰霊の充実を図ってきたのか、その成果をお答えいただきたいと思います。
 また、ご遺族の高齢化が進む中で、これまで以上に早く遺骨収集を完了させなければなりません。本年度の国の予算においても、前年比で二倍の予算を計上されており、国としてもその姿勢を示していると思います。その中で、自衛隊の滑走路など、まだまだ取り組むべき場所も残されております。国の責務ということではありますが、都としても早期の遺骨収集を政府に積極的に働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、諮問機関について伺います。
 都では、知事の諮問機関として、さまざまな審議会などを設置しておりますが、その委員の方々は、専門的な知見を活用して都の施策に反映させるために、都の委嘱に基づいて委員に就任していただいたはずでございます。審議会などの諮問機関を設置する趣旨からすれば、各委員の方々には、みずからの知見に基づいて自由に意見を表明していただくことこそが重要なことであります。
 しかしながら、昨今、青少年健全育成条例や市場移転の問題に関連しまして、審議会などの委員の方々が、ネット上でいわれのない中傷にさらされている事態が生じてしまいました。
 私は、ネットを利用した個人の中傷は絶対にあってはならないと考えております。ただ、今回のネット上の書き込みを見ますと、委員の選任にバランスを欠いていたという主張がなされており、またそのような協議会の出した答申内容は信頼がおけないという論調になっておりました。もちろん選任された委員の方々が自由な意見表明を行うことは当然であります。
 今回の問題については、都が委員選任の公平性について十分な説明をしないことが、結果としてネット上での個人攻撃にまでつながってしまったものだと考えます。
 協議会や審議会の委員については、客観的に見て公正な議論がなされていたことを担保するためにも、偏りのない公正な選任がなされるべきであると考えております。価値観が多様化する現代、審議会などの委員の選任に当たっても、今まで以上に、透明性、客観性を確保することが求められております。
 都は、公平性を担保するための取り組みを行うべきだと考えますが、見解を伺いまして私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 淺野克彦議員の一般質問にお答え申し上げます。
 まず、部活動の位置づけと教職員への支援についてでございます。
 部活動は、生徒の個性や豊かな人間関係をはぐくむ上で重要な教育活動であり、都教育委員会では、東京都立学校の管理運営に関する規則において、部活動を教育活動の一環と位置づけております。
 教職員が、土曜日や日曜日などに部活動指導を行った場合には、週休日等を振りかえることを可能としているほか、やむを得ず週休日の変更を行うことができない場合などには、部活動指導手当を支給しております。
 なお、この部活動指導手当につきましては、本年四月から額を引き上げたところでございます。
 次に、外部指導員の教育的指導についてでございます。
 学校で顧問教諭とともに生徒の指導育成に携わる部活動の外部指導員は、単に専門的な知識や技術だけでなく、生徒の人格形成に資するための豊かな人間性が求められますために、部活動の教育的意義を十分に理解した上で指導に当たることが大切でございます。
 このため、都教育委員会は、外部指導員に対しては、部活動の適切な指導のあり方を示した外部指導員のための部活動指導の手引を、顧問教諭に対しては、外部指導員との協力のあり方を示した部活動顧問ハンドブックを、それぞれ配布し、指導力の向上に努めてまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを通して、外部指導員が顧問教諭と連携して、生徒の指導育成に当たるよう各学校に働きかけ、指導員の資質、能力の向上に努めてまいります。
 次に、都立高校の工事期間中の部活動に対する支援についてでございますが、工事により部活動に一定の支障や制限が発生するために、可能な限り最短の工事工程となるよう計画しております。
 工事により、グラウンドや体育館が使用できなくなる場合、これらを使用する部活動は、学校敷地内の他のスペースを活用したり、他校での合同練習をしたりするほか、近隣の運動施設などを借用し、可能な限り活動の場所を確保しております。外部の有料施設を使用するための経費は、都教育委員会から学校に配布し、継続して部活動ができるよう支援しているところでございます。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、監理団体の経営形態についてでございますが、監理団体は、都政の一翼を担うとともに公共性の高い事業を行ってきていること等から、現在、監理団体に指定している財団法人は、公益財団法人への移行に向け準備中、もしくはこれを完了しており、団体ごとの実情に応じた指導、支援を行っております。
 東京マラソン財団は、大規模市民マラソン大会を主催、運営する日本で初めての法人となるため、その運営を柔軟に行っていく必要性から、一般財団法人として設立するものでございます。
 しかし、新たな公益法人制度のもと、一般財団法人となっている団体であっても、その事業が都の施策と密接なかかわりを有していれば、監理団体に指定し、都の行政目的を達成するために活用することは何ら問題がないものと考えております。
 監理団体は、都の行政支援、補完機能を果たすという役割を十分に発揮していくために、公益財団法人、一般財団法人、株式会社など、さまざまな経営形態で運営されることが望ましく、今後も、その団体の特性に応じた指導監督を都として適切に行ってまいります。
 次に、今後の監理団体の経営形態の変化に伴う指導及び指定についてでございますが、監理団体は、都政の一翼を担うものであり、具体的には、都の行政目的達成に必要な公共性の高い事業や、民間市場が未成熟で、現時点で民間にゆだねては都民に必要なサービスが十分に提供されないおそれがある事業、こういったものを主として行っております。こうしたことを踏まえまして、監理団体に対しましては、常にみずからの存在意義を確認するとともに、状況の変化に対応して、実施すべき事業の見直しを行っていくよう指導しております。
 なお、先ほども答弁したとおり、監理団体の指定に関しましては、一般財団法人、公益財団法人等の経営形態にかかわらず、主として団体が実施している事業が、都の施策と密接なかかわりがあるか否かといった観点に着目して実施しております。
 次に、監理団体の保有する特定資産の内容と使途の報告についてでございますが、公益法人は、法令によりまして公益目的事業を行うために必要な財産の保有や、将来の特定の事業費、管理費に充てるために積み立てる資金とともに、公益目的事業費一年分相当額までは使途の定まっていない財産を保有することが認められております。
 平成二十一年度の包括外部監査の結果を踏まえまして、各監理団体につきまして、こうした法の趣旨を念頭に、基金、積立金の調査並びに使途の特定等の指導を実施したところでございます。現在、公益財団法人への移行を準備している監理団体に対しましては、今後とも、この公益認定要件を踏まえた指導を継続してまいります。
 なお、公益認定を取得した監理団体につきましては、毎年、財産目録等、所定の書類を行政庁に提出することが義務づけられておりまして、これに基づき、必要に応じて指導してまいります。
 次に、小笠原振興のこれまでの成果と今後の展望についてでございますが、都は、昭和四十三年の小笠原諸島の返還以来、島民の生活に必要な社会基盤整備を重点的に進めてまいりました。
 現在、平成二十一年十二月に策定しました小笠原諸島振興開発計画のもと、国や村と連携しつつ、航空路を含む交通アクセスの検討、産業振興や医療、教育の充実など、さまざまな施策を展開しております。
 重要な課題でございます航空路の検討に当たりましては、透明性、客観性の確保や、関係者との円滑な合意形成を図るため、国土交通省のガイドラインを踏まえましてPIを実施することとしております。
 PIに諮る各航空路案につきましては、自然環境への影響、費用対効果、運航採算性、安全性などを十分に調査研究し、慎重に検討を進めております。
 一方、産業振興などにつきましては、現在整備中の海底光ファイバーケーブルにより、大容量かつ高速通信が可能となることから、観光PRの充実、島内産品の販路の拡大、遠隔医療の充実などの活用策につきまして、村を初めとする関係機関と検討を進めております。今後とも、自然環境の保全と産業振興の両立による自立的発展を目指し、小笠原諸島の振興を積極的に実施してまいります。
 最後に、審議会等の附属機関の委員の選任についてございますが、都の附属機関は、専門知識の導入や公正の確保、民意の反映等を特に必要とすることから設置されるものでございまして、附属機関の委員の選任に際しましては、その設置の趣旨に照らし、公正性が担保されることが必要であると考えております。
 このため、都は、附属機関等設置要綱及び同要綱の取り扱いに係る通知におきまして、委員の選任につきましては、委員が特定の団体に所属する者に偏るなど、附属機関の公正性を疑われるような委員の選任をしないように十分留意することと定めております。また委員の長期在任の回避についても規定しております。
 今後とも、附属機関の委員の選任の公正性が担保されるよう、同要綱の趣旨を関係局に周知徹底してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 三点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、飼い犬による咬傷事故についてでございますが、都内では、動物愛護条例に基づく咬傷事故の届け出が年間約四百件前後ございますが、このうちお話の検針員や宅配業者などの戸別訪問時の事故は一割程度となっております。
 都は、事故の届け出や事故につながりかねない飼い犬の情報を受けた場合には、飼い主に対し速やかに犬のしつけの徹底や防護さくの設置の指導を行っているところでございます。また、戸別訪問を行う事業者からの求めに応じまして、咬傷等の被害防止対策や事故発生時の対応につきまして講習会を実施いたしております。
 今後とも、飼い主に対しまして、咬傷事故の発生防止を指導するとともに、事業者などから事故や不適切な飼育に関する情報の収集に努めてまいります。
 次に、硫黄島における慰霊の充実についてでございますが、第二次世界大戦の大激戦地であった硫黄島で戦没者を慰霊し、その歴史と追悼の思いを次世代に伝えることは、私たちの重要な使命でございます。
 都におきましては、戦没者追悼式の実施に当たりまして、従来の配偶者、父母、兄弟、子に加え、歴史を次世代に語り継ぐという観点から、戦没者の孫についても参列できるよう、対象者の拡大を図っております。また、国の慰霊巡拝では、平成十九年から民間機を利用し、より多くのご遺族が参加できるよう配慮しております。
 今後とも、ご遺族や関係者のご意見を踏まえまして、より一層の慰霊の充実が図られますよう、引き続き国に働きかけてまいります。
 最後に、硫黄島での戦没者の遺骨収集についてでございますが、これまで国は、滑走路等を除くほぼ全地域で調査、収集作業を実施しております。しかし火山活動による地形の変化などによりまして、遺骨が埋没している地下ごうの発掘が難しく、また、高い地熱により地下ごう内の作業が困難であることから、収集の実績は戦没者の四割程度にとどまっておりまして、都はこれまでも国に対し、調査漏れ箇所の解消を要求してまいりました。
 現在、国におきまして、調査の行われていない滑走路地区の遺骨収集について検討していると聞いておりまして、都といたしましても、引き続き遺骨収集の促進を国に働きかけてまいります。

ページ先頭に戻る