平成二十二年東京都議会会議録第九号

   午後三時四十一分開議

○議長(田中良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百四番大津浩子さん。
   〔百四番大津浩子君登壇〕

○百四番(大津浩子君) 介護ベッドで落下防止さくの六センチのすき間に首を挟まれ亡くなられた事故、ベビー用おやつ等を食べたにもかかわらず窒息死亡事故を起こした乳幼児。なぜ、寝ている間に、食べている間に、大切な命が失われなくてはならないのでしょうか。
 都では平成二十年、二千五百七十一人の方が、こうした不慮の事故で亡くなられています。この数には、交通事故による死者数三百三十七人の方々も含まれています。多いと見られている交通事故は全体の一割強なので、それを除く衣食住の中での事故の方が約七倍と圧倒的に多いことがわかるのです。
 私は、これまでも機会をとらえて、安全の問題について、使い捨てライター、毛染め、海上コンテナトラックの首都高速道路横転事故などを取り上げてきました。例えば、子どもの火遊びによる火災の七割以上はライターが原因で、相次いで幼い命が奪われています。
 このライターの問題は、形は小さいのですが、製品の安全規制だけではなく、我が国のものづくり、消費や廃棄のあり方、そして救命救急の取り組み、教育のあり方など、幅広い観点からとらえるべき問題として、安全、救急、物の廃棄、教育など、さまざまな角度から質問をさせていただきます。
 初めに、都民が安心して日常生活を営めるために、衣食住における身近な商品による不慮の事故を防止し、また消費生活上のさまざまな被害に巻き込まれることのないよう、都民の命と安全を守る首都東京づくりについて、石原知事の見解を伺います。
 都は、ライターの火遊びによる火災事故が起きたことを憂慮し、昨年十一月、いち早く国に対し法による安全規制を提言しました。国は都の提言を受け、経済産業省が検討を開始し、来年の夏からライターの着火ボタンに、子どもが簡単に操作できないようにするチャイルドレジスタンス機能を義務づけるよう安全規制を行うことになりました。海外では既に平成十八年からEU加盟国二十五カ国で、米国では平成六年に規制を義務化していますが、日本も世界基準となりました。
 しかし、消費生活の中には、介護ベッドやコンニャクゼリーなど、いまだに危険の芽が摘み取れない事例が幾つもあります。
 介護ベッドの手すりの六センチのすき間に首が挟まれ亡くなられた方は、製品評価技術基盤機構事故情報では、平成十四年から二十年の七年間で十名も亡くなられています。コンニャクゼリーを食べた窒息事故は、国民生活センターによると、平成七年から二十年までの十三年間で二十二名もの方が亡くなられました。一方、パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故では、昭和六十年から平成十七年までに二十一名が亡くなられましたが、年間の死亡事故頻度から比較すると、パロマよりも介護ベッドやコンニャクゼリーの死亡事故の方が一・五倍も多いのです。
 東京消防庁の統計からは、平成十八年から三年間に、介護ベッドにかかわる事故で百六十人の方が病院へ搬送されました。そのうち約九%近くは、手すりやさくや可動部に挟まれた事故で十四人にも上りました。
 にもかかわらず、介護ベッドは今も首が挟まれた手すりの六センチのすき間は変わらずに販売されており、昨年三月に手すり部分をJIS改正してもなお、悲しいことに、ことし五月、千葉県で介護ベッドの同じく手すりのすき間に首が挟まれた状態で発見されました。転落防止のための、そのさくによって、なぜ命を奪われなくてはならないのでしょうか。
 日本がものづくりの技術立国として、人の命と安全、環境への負荷を置き去りにしては、世界の安全性のグローバル規格からも取り残されることになるのです。業界団体への現時点での規制をちゅうちょしていることにより、製品、食品による事故で次々と人命を失うことは、行政の失態と業界団体、ビジネス界の失墜にもなりかねません。
 すべて安全なものだけが市場で販売されるべきです。安全のために消費者の声を製品の設計段階から反映し、良質な物を適正な価格で都民、国民へ提供する理念が企業のまことの繁栄につながってくるのではないでしょうか。
 事故が起きて人が亡くなってからの後追いの対策では遅いのです。そのための消費者行政の役割は大きい。都は、日常生活に潜んでいる身の回りの危害、危険を未然に防止するため、中立の立場から行政権限をフルに行使するなど、さらに一層、強力に取り組んでほしいと都民は期待していますが、所見を伺います。
 そして、大人が目を離しても子どもが危険な行動をしない体制づくりのためには、その根底にある教育に目を向けるべきではないでしょうか。普段の消費生活においても、子どもたちが成長し、消費者意識やモラルの高い大人たちがどんどんふえていくことが、将来的に消費者保護行政にかかるコストを少なくさせる要因にもなると考えます。
 子どもたちの発達段階に応じた消費者教育が重要と思いますが、見解を伺います。
 実は、ライター火災は、子どもの火遊びによる火災だけではありませんでした。渋谷区内で平成二十年十二月、二五〇ccのスクーターから出火、幸い煙に気づいて消しとめられた火災がありました。出火原因は、運転者が電子ライターをしまっていた座席シート下の収納ボックスの中に、ヘルメットを収納し、そして、ふたを閉めた際に、ヘルメットが勝手に電子ライターのスイッチを押して着火をした火災でした。
 衣食住での思いがけない事故に真っ先に駆けつけてくれる救急隊。事故の現場にこそ予防策のかぎが隠されているのです。
 救命救急の観点から、こうした都民生活において生じる事故を防止するため、救急の立場から貴重な事故情報をどのように危険予防に活用されているのか、危険の芽を摘み取り、事故を防止していくための東京消防庁の取り組みについて、消防総監に伺います。
 最初から危ない物は最後まで危険なのです。ライターの処分ですが、二十三区では不燃ごみとして排出をされ、小型プレス車で搬送され、東京湾埋立地にある不燃ごみ処理センターで破砕処理されます。多摩の市町村では、主に有害ごみの区分として排出され、平ボディー車やパッカー車などで運搬され、各市町村の中間処理施設で分解や破砕処理されます。これら最後の出口でも、ライターによる火災が起きていたのです。
 ライター等の不燃ごみまたは有害ごみを収集搬送する清掃車の火災です。件数を見ると、平成十八年から二十年の三年間で五百件もあり、うちライターによる火災は一〇・八%も占めていました。清掃車火災の主な出火原因は、エアゾール缶四三・八%、カセットボンベ二七・二%、そして、ライターが三位であったことが消防庁の統計でわかりました。
 廃棄物の現場で働く人の命と安全も守らなくてはなりません。使い捨てライターは日本に年間六億四千万個流通しており、国民一人当たり六本所有している計算になります。現在のチャイルドレジスタンス機能のないライターは来年夏から販売規制がかかるため、今後、大量の旧タイプのライターが処理場へ運ばれてくることが予想されます。
 そこで、消費された物の出口からさかのぼって、ものづくりのあり方を、生産から処理処分、リサイクルまでのライフサイクルととらえ、都が積極的に区市町村、関係業界をリードできる廃棄物行政であってほしいと考えます。所見を伺います。
 教育と社会生活は深い関係にあり、消費者行政がうまく機能するかどうかは、幼少期からの、特に家庭、そして学校、社会での教育がかぎを握ってくるのです。記憶偏重の日本の教育ですが、こうしたらどうなるのかをみずから考える力、これを徹底して教育することにより、犯罪の起きない国、事故に遭わない社会生活を持続可能にしていく成熟した社会をつくり出すこと、これが東京の今後の重要な方向性ではないでしょうか。
 消費者教育とも通じますが、犯罪も同様で、ただやってはいけないと教え込むのではなく、なぜ犯罪を犯してはならないのか考えさせる教育が必要と考えますが、都の教育委員会の認識を伺います。
 次に、東京独自の生物多様性と川について質問します。
 ことしは国連の生物多様性の年であり、十月には名古屋で生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10が開催されます。
 東京は、東西約千九百キロ、南北はニューヨーク市の約四十倍もある約千七百キロメートルにも及ぶエリアを有し、年平均気温は、小河内十一・九度から父島二十三・三度と気温差が十二度も広がる、世界でもまれな首都です。都も生物多様性地域戦略の策定に着手していますが、単に国のガイドラインに従うことなく、シカやツキノワグマの生息する奥多摩からクジラの回遊する小笠原諸島までの地理的、歴史的、文化的側面など、東京の独自性を生かした戦略とすることが必要です。
 また、都はシンポジウムの開催、普及啓発に努めるとしております。しかし、イベントの開催や情報提供も大切ですが、それにとどまることなく、この機会をとらえて、都民や企業が、多様な生物や生育環境を守る、実際の行動に結びつけていくための参加型の戦略づくりとする視点も必要と考えますが、所見を伺います。
 人類や多様な生物が生きる基盤である川。東京は多摩の森林づくりなど、川上から川下、そして東京湾までを一体として水循環をとらえ生物多様性を意識した都市のまちづくりをしていくことができるのです。
 コンクリート三面張りで五〇ミリ降雨整備を行っている東京の中小河川は、渋谷川、目黒川、八河川もあります。渋谷川は落合水再生センターからの下水高度処理水であり、ドジョウやヒメダカなどが確認されましたが、三面コンクリートの表面はアルカリ性になるために、生物は繁殖をできません。
 アオコを出さない方法として、炭と鉄を接触させ水中の燐濃度を下げることの、その技術の開発に成功した国立群馬高専の小島教授に、繁殖条件を尋ねました。それには、川底や壁は生物親和性の素材で、かつ生物が生息しやすい穴やすき間が不可欠な条件ということでした。
 生物親和性が豊かで、住みやすい穴を持つ素材、例えば炭素材、木炭、活性炭、軽石、溶岩などを使い、安全で力強い土木技術とのコラボレーションで、渋谷川が唱歌「春の小川」の面影を少しでも感じられるような河川復活を望む声が大きいのです。
 水害から都民の命を守りながらも、川底を自然に近づける検討を進めていただきたいと思いますが、見解を伺います。
 そして、二年前の平成二十年第二回定例会で、渋谷川の拠点整備について質問したところ、区立恵比寿東公園などの河川と隣接する公共用地の活用を検討するとの答弁をもらい、三月に工事が始まりました。この都会のいやされる空間となる河川の環境づくり、そこで、恵比寿東公園と一体となった河川整備の状況について伺います。
 続いて、水道事業の世界展開について質問いたします。
 東京の水道は、漏水率が三・一%など、世界に誇る高い技術を有しています。一方、世界の十億人以上が安全な水が利用できません。こうした都が誇る水道技術は大いに推進すべきと考えますが、都民が支払ってきた水道料金で培ってきた人と技術の水道事業でもありますので、スポンサーである都民の理解と協力こそが、世界展開への推進力になると考えます。
 その上で、水道としては、いうまでもなく都民に安くて安全でおいしい水を将来にわたって供給し続けることが第一でなければならないと思います。海外への事業展開が都民にどのような恩恵をもたらし、また、事業に伴うリスク評価を具体的にどのように行うかなど、わかりやすく情報提供していくことが重要と考えますが、所見を伺います。
 次に、安くて安全でおいしい水道を供給する上で、近い将来、上水道の古くなったインフラの更新時期を控え、一層、効率的、効果的な事業運営と技術力の継承と、例えば水道管から水の漏れる音を聞き分けるのに十年はかかるといわれる音のたくみの職員などの人材の育成が急務と考えます。どのように対応されるのか、都の見解を伺います。
 最後に、交通政策についてお伺いいたします。
 先日、都内の車両駐車の実態を見てまいりました。都会の朝は、歩行者、自転車、バイク、車、貨物車、トラックと、あらゆる動線が慌ただしく交錯しておりました。
 我が党の交通政策の質問に、昨年十二月、駐車禁止規制の見直しを行っていきたい、ことし三月、規制緩和の要望を受け、規制緩和の必要性の高い四十区間を抽出し、さらに詳細な調査を行っている――この進捗状況並びに悪質、危険性、迷惑性の高い違反の取り締まり推進状況、そして歩行者の安全確保、公共交通に支障を来さないことを前提に、規制緩和の要望地域をどこでどのように集約されているのか、以上を警視総監にお伺いをいたします。
 終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 大津浩子議員の一般質問にお答えいたします。
 消費者行政の重要性についてでありますが、国は消費者庁を設置し、消費者行政の司令塔としての役割を打ち出しましたけれども、既存省庁の縦割りの壁を突破することができずに、いまだに具体的な成果を上げてはおりません。
 我が国最大の消費地であります首都東京には、悪質商法による消費者被害や中国産冷凍ギョーザ事件など、商品の安全性に対する信頼を揺るがす事件が顕在化しておりまして、消費生活の安心と安全を確保することは、都政の最も基本的な役割であると思っております。
 都はこれまでも、縦割りに陥りがちな行政に横ぐしを刺して、警視庁や関係各局の連携協力体制のもと、悪質事業者の取り締まり強化や、調理冷凍商品の原料原産地表示など、国に先駆けた施策を展開してまいりました。また、消費者行政は、現場に根差し、都民、国民の求めに応じて機動力を発揮してこそ、その使命を果たし得るために、最前線の現場である消費生活総合センターの相談機能を充実し、強化してまいりました。
 今後とも、現場を持つ都の強みを最大限に発揮しまして、だれもが安心して生活できる東京を実現していきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長並びに関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監池田克彦君登壇〕

○警視総監(池田克彦君) 三件のご質問にお答えいたします。
 初めに、駐車規制の見直しについてでございます。
 既に会派に経過説明しておりますとおり、荷さばき車両に配意した駐車規制の見直しにつきましては、これまでに浮上している規制緩和の必要性が高いと思われる約四十区間について、実施の可否等を詳細に調査してまいりました結果、必要な調査はほぼ終了したところでございます。
 その過程で実施が困難な場所も見受けられましたが、今後、規制緩和が妥当と認められた区間について、地域住民及び物流事業者等との意見調整を行い、荷さばき駐車のルールなどに関する合意が整った区間から、順次、実施していくこととしております。
 次に、違法駐車取り締まりについてでございます。
 違法駐車につきましては、従来から、重大交通事故を誘発する違反や著しい交通渋滞を招く違反などの、悪質、危険性、迷惑性の高い違反に重点を指向した指導取り締まりを行ってまいりました。
 また、新たな駐車対策法制が施行された平成十八年六月からは、このような違反に、より重点指向するため、駐車実態に応じた取り締まり活動ガイドラインを策定し、このガイドラインに沿った指導取り締まりに努めているところでございます。
 今後とも、交通の安全と円滑を図るため、悪質、危険性、迷惑性の高い違反に重点を指向した違法駐車の指導取り締まりを推進してまいります。
 最後に、規制緩和の要望の集約についてでございます。
 規制緩和につきましては、交通関係機関、団体、物流事業者及び地域住民の方々が参加する会合等の機会に幅広くご意見を伺っているところでございます。このようにして寄せられたご意見、ご要望は、すべて警視庁交通部において集約し、必要な検討を行い、適切に処理しているところでございます。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 犯罪について考えさせる教育について、お答え申し上げます。
 日常生活において、安全と安心を実感する社会を実現することは、すべての都民が望んでおられることでございます。これまで都教育委員会は、犯罪は犯してはならないと指導することを基本とした非行防止・犯罪被害防止に係る指導資料を各学校に配布し、児童生徒の発達段階に応じた具体的な指導事例を示すなどして、犯罪防止教育を推進してまいりました。
 犯罪防止等の指導に当たりましては、幼少時から、悪いことは悪いと毅然として繰り返し教えることが大切でございます。こうした指導に加えて、お話がありましたように、児童生徒に、みずからの問題として気づかせる工夫も重要でありますことから、都教育委員会は本年三月、児童生徒がみずから考える活動を取り入れた参加型のDVD教材を、全国で初めて作成し、すべての公立小中学校等に配布いたしました。
 この教材では、子ども同士の暴力や器物損壊などの暴力行為、悪いことだとはわかっていてもつい犯してしまう万引きや自転車盗という三つの犯罪を取り上げ、子どもたちが被害者の気持ちになって話し合ったり、ドラマの主人公に手紙を書いたりする活動を取り入れるなど、考える力を育てるための工夫をしております。
 今後は、小学校五年から中学校三年までの道徳や学級活動のほか、保護者会や地域懇談会の場においてもこの教材を活用し、家庭、地域と一体となって犯罪防止教育の充実を図るよう、区市町村教育委員会と連携して各学校を指導してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、商品などに起因する危害、危険防止についてでございますが、都はこれまでも、子ども用衣料、アクセサリー、折り畳みいす、ベビー用おやつ、使い捨てライターなど、身の回りの商品に起因する事故を分析いたしまして、国や業界団体等に提案、要望を行うとともに、都民にも注意を喚起してまいりました。
 今回、消費者安全法の制定により、重大事故が発生した場合、これまで法規制が及んでいなかった、いわゆるすき間事案について、知事は、業者に対する立入調査等を行うことができることとなりました。都としては、今後、こうした知事の権限を有効に活用するとともに、緊急課題に迅速的確に対処するため、商品等の安全対策についても、関係局と連携して横断的に特別対策班を設置し、消費者生活におけるさまざまな危害、危険の排除に努めてまいります。
 次に、子どもたちの発達段階に応じた消費者教育についてでございますが、商品事故、契約トラブルなどの被害を未然に防止するためには、幼少期から消費者教育を行い、みずから考え、主体的に行動できる消費者を育てることが重要でございます。
 このため、都は、小中学生に正しい消費者意識を身につけてもらうことを目的といたしまして、昨年度から金融経済教育モデル事業を開始いたしました。具体的には、小中学生向けの教材を開発し、区市の協力を得てモデル校を選定いたしまして、金銭の価値や契約の意味などについて授業を行ってまいりました。今年度は、事業の効果を検証するとともに、さらに規模を拡大して実施いたします。
 今後もこうした取り組みによって、幼少期から消費者教育についても積極的に取り組んでまいります。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

○消防総監(新井雄治君) 都民生活において生じる事故を防止するための取り組みについてでありますが、東京消防庁では、製品にかかわる火災や日常生活で発生する救急搬送事案など、年間約十一万件の事例から、重大な事故や同種事案の発生が危惧されるものを抽出して、速やかに情報を発信し、その再発防止に努めています。
 これまでに、子どものライターによる火遊びなどの火災を初め、エスカレーター、遊具などによる事故の発生状況を調査分析し、事故防止のポイントをマスコミやホームページを通じて広く都民にお知らせするとともに、関係機関や業界団体等に通知し、製品の改良やより安全な環境づくりを促してまいりました。
 また、幼児期からの発達段階に応じた災害対応力や危険回避能力を育てるため、当庁が推進しております総合防災教育において、火災や事故の調査分析結果を反映させた教材を活用し、子どもたちに直接、その危険性や身を守る動作などを指導しております。
 今後も、関係各局や国等と十分に連携し、都民生活において生じる事故の未然防止に積極的に取り組んでまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、廃棄物行政についてでありますが、製品の生産、使用、そして廃棄、リサイクルまで、一貫したライフサイクルとしてとらえることは、今後の3R施策を進め、循環型社会を形成する上で重要な観点と認識しております。
 都はこれまでも、拡大生産者責任の考え方に基づきまして、エアゾール缶の業界に働きかけ、缶に残ったガスを簡単に排出できる仕組みとするなど、環境や安全性に配慮した製品開発を促進してまいりました。
 また、デジタルカメラなどに使われている充電式の電池につきましても、事業者による回収、リサイクルを業界と協力して進めてまいりました。
 今後とも、区市町村と連携して、廃棄物の視点からさかのぼって上流の製造事業者や国に積極的に働きかけてまいります。
 次に、多様な生物を守る取り組みについてでありますが、東京における多様な生物とその生育環境を守り、これを将来世代へ伝えていくためには、さまざまな主体の参画による幅広い取り組みが必要であります。
 そこで、例えば、東京における野生動植物の状況を把握する東京都版レッドデータブックの改訂作業に当たりましても、都民、NPO等から広く情報を募集し、より広範なデータの収集を行っております。
 また、生物多様性に係る最新の動向や、企業の取り組み事例などの把握に当たりましては、生態系、まちづくり、経済など、幅広い分野の有識者や産業界との意見交換を進めております。
 今後、生物多様性に関する理解を深めていただくよう、都民が参加する身近な生き物調査なども実施してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 河川についての二点のご質問にお答えします。
 初めに、川底を自然に近づける検討についてでありますが、渋谷川は都市化が進んだ限られた空間の中で、一時間五〇ミリの降雨に対応するため、川底をコンクリート構造とし滑らかにすることにより、流下能力を確保してまいりました。
 一方、魚や鳥などの生息環境の向上や水辺における生物多様性確保の観点から、川底を自然の状態に近づけることは有効な手段であります。
 今後とも、地元区などと連携を図り、住民の意見を聞きながら、その可能性を検討してまいります。
 次に、公園と一体となった河川整備の状況についてでありますが、河川の整備においては、治水機能を確保しつつ、潤いのある豊かな水辺空間を創出することも重要であります。渋谷川の恵比寿東公園沿いでは、護岸の表面を、溶岩を使って仕上げることにより、植物が生育しやすい環境を整えるとともに、公園用地を活用して階段を設けるなど、水辺に親しめる護岸を整備することとしております。
 現在、渋谷区による公園の再整備と時期を合わせて事業を進めており、河川については、平成二十二年度末の完成を予定しており、また、区立公園については二十三年度の完成と聞いております。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、海外展開における都民の皆様の理解についてでございますが、今回の国際貢献ビジネスは、深刻化する世界の水問題に対し、ビジネスベースでの貢献を行うものでございます。
 このため、事業展開に当たりましては、事業収支計画の精査により、損失の回避を図るとともに、さまざまなリスクの分析、評価を実施し、必要に応じて、相手国政府の債務保証や貿易保険の活用等、リスク回避のための方策を講じてまいります。
 また、その成果につきましては、東京水道における給水サービスの向上に生かしてまいります。
 今回の取り組みに当たりましては、その内容をプレス発表やホームページを活用して公表してきましたが、今後とも、都民の皆様に対する適時適切な情報提供に努めながら、国際貢献ビジネスを推進してまいります。
 次に、水道技術の継承、人材育成についてでございますが、水道局では、約百年前から数世代にわたり引き継ぎ向上させてきた音聴技術や、独自開発した漏水発見機器に加え、管路の効率的な取りかえ等、体系的な漏水防止技術を確立してきました。また、あらゆる水質に対応できる浄水処理技術等を培ってまいりました。
 これらの技術は、首都東京の都市活動と都民生活を支えることはもとより、国際貢献ビジネスを進める上での東京水道の強みであることから、将来にわたり継承していくことが重要であると認識しております。このため、高い技術を持つ経験豊富な職員を認定し、将来を担う若手職員の育成に活用する、東京水道技術エキスパート制度等の取り組みを行っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、東京水道が有する高度な技術の継承と人材育成に努めてまいります。

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