平成二十二年東京都議会会議録第九号

○副議長(鈴木貫太郎君) 六十八番宇田川聡史君。
   〔六十八番宇田川聡史君登壇〕

○六十八番(宇田川聡史君) 初めに、水道事業についてお尋ねをいたします。
 知事は今定例会の所信表明において、水道事業の国際展開について言及され、上水道、下水道ともに東京はトップクラスの技術を誇ると評価されました。
 第一回定例会の我が党の代表質問に対しても、世界最高の水道技術を海外で活用することによって、発展途上国の水事情改善に貢献するとともに、日本経済活性化のためにも、東京の技術を世界に示していきたいと大変前向きな答弁をされました。
 水道局は海外事業調査研究会を立ち上げるなど、積極的な取り組みを展開しておりますが、国は場当たり的発想の中で、人のふんどしで相撲をとっているような状況でしかありません。
 今後、日本の水ビジネスを軌道に乗せ、国際貢献を果たしていくためには、東京が先導し、手本を示していくことこそが重要だと考えますが、知事の率直なご見解をお伺いいたします。
 水ビジネスの市場規模は、十五年後には百兆円になるともいわれており、南アジアや中東、北アフリカなどの地域では年間の成長率が一○%以上、他の地域を見ても五%以上とのことです。
 これほどに高い成長が見込めるビジネスではありますが、先進国ではインフラ整備が進んでいるのに対し、開発途上国では資金力に乏しいなど、対象地域によってその環境は大きく異なるものと考えます。
 したがって、都はこのような観点もとらえ、対象地域に合致した戦略展開をしていくことが極めて肝要です。こうした地域戦略の基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 開発途上国では、安全な水を口にすることができず、そのために今なお多くのとうとい命が失われております。今後の経済発展や人口の増加によっては、一層の逼迫が懸念されます。所得水準が高くないこともあり、こうした国々の採算性は低く、水メジャー企業が撤退していった過去もあると聞いております。
 しかし、世界最高水準を誇る都の技術により、実情に合ったビジネスモデルを設定し、展開していくことは可能なことではないでしょうか。開発途上国のそれぞれのニーズ、実情に合ったビジネス展開をどのようにしていくのか、お伺いをいたします。
 さて一方で、都民に対して、より安全で、よりおいしい水を供給していくことも重要です。今まで行ってきた高度浄水処理や直結給水の普及、貯水槽の適正な維持管理を引き続きしっかりと進めていただきたいと思います。
 こうした取り組みの一つに、小中学校の水飲み栓直結化の推進があります。我が党は、直結給水化を私立学校にも拡大してほしいとの要望を踏まえ、推進していくべきだと主張をしてまいりましたが、その後の検討状況、実施に向けた都の対応についてお伺いをいたします。
 次に、地域医療についてお尋ねいたします。
 現在、都内においては、十一の病院が地域医療支援病院として承認を受けております。それぞれの医療機関がその機能を最大限発揮しつつ役割分担を行い、効率的な医療提供体制の構築を図ることを目的としている制度であり、承認を受けるための高いハードルが設定され、厳しい運営規定のもとで各病院は自主的に努力を重ねているところです。
 しかし、その目的を全うするためには幾つかの課題が存在し、地域の医療現場においては、残念ながら、この制度が定着するには至っておりません。病院が独自の開催で研修会などを実施し、地域の診療所、いわゆるかかりつけ医等に対し医療の効率的連携を呼びかけても、多くが集まることはなく、理解されていないのが現状です。
 この制度を有効に活用し、地域医療の充実に結びつけるためには、地域医療支援病院の重要性をしっかりと踏まえた上で、その目的や意義を広く各医療機関に周知徹底し、医療従事者の理解をきちんと得て、病診連携の推進を図ることが重要だと考えます。都のご見解を伺います。
 このような医療機関の効率的な連携のためには、ITを積極的に活用していくことも必要だと考えます。クリーブランドクリニックというアメリカ・オハイオ州にある病院は、独自のシステムの運用により、全米屈指の医療機関として多くの信頼を得ているとのことです。
 このシステムは、まちの診療所や離れた地域の医療施設、さらには患者ともネットワークを結び、ウエブを使って、すき間なく高度な医療サービスを提供するというものです。医療情報の共有は切れ目のない医療連携の推進とともに、島しょ医療などの遠隔地の対応にも非常に有効であり、限られた医療資源で効率的な医療提供をも可能にするものではないでしょうか。
 このようなITを活用した医療連携を都としても積極的に取り入れていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、スポーツ振興についてお尋ねをいたします。
 東京マラソンは、最高位の格付ゴールドラベルを獲得したように、今や日本を代表するスポーツイベントに成長しました。私もこのマラソンに二度ほど参加をさせていただきましたが、当日の盛り上がりはいうまでもなく、都民のスポーツ振興を図る上では絶好の機会だと考えます。
 しかし、年齢制限などにより、スポーツの楽しさや感動を直接子どもたちに体験させることができないのが残念でなりません。
 ことしの大会では、東京マラソンファミリーランを開催し大変に好評でしたが、このように、子どもたちが参加し、感動や現場の臨場感を味わえる、夢を与えることができるような取り組みを今後とも継続していくことはもちろんのこと、さらに拡充すべきだと考えますが、所見を伺います。
 東京マラソンをきっかけにランナーが飛躍的に増加し、過去、地味な存在だったランニングに日が当たりました。このような、だれにでも気軽に始められる身近なスポーツは数多く存在しています。
 例えば、ローラースケート。ほとんどの方は、子どものときに一度は体験したことがあると思いますが、レクリエーションとしてだけではなく、競技としても欧米ではメジャーなスポーツであり、スピード、フィギュア、ホッケー、スラロームなど多様性を備え、ロンドン・オリンピックの競技選考にも最終段階まで残っていたほどです。
 日本国内での競技人口は寡少であっても、潜在的な人口が見込める気軽なスポーツはほかにもあり、競技環境の整備なども必要です。
 このような気軽に楽しめる身近なスポーツとの出会いや、触れ合うことができるさまざまな機会を創出していくことも、スポーツ振興にとって大変に重要だと考えます。都のご所見を伺います。
 先ほど東京マラソンについて申し上げましたが、ローラースケートマラソンもヨーロッパでは人気競技の一つです。フルマラソンの記録は五十分台、そのスピード感は見ている人たちにも爽快感が生じることだと思います。いつの日にか東京マラソンの場でローラーマラソン大会も同時開催をとの願いもありますので、要望とさせていただきます。
 次に、耐震化について伺います。
 緊急輸送道路の沿道建築物は、一たび倒壊すれば通行が遮断され、避難、救急、物資輸送、復旧活動などに多大な影響を及ぼし、その耐震化は極めて重要です。
 さきの予算特別委員会の我が党の質問に対して、これまでの普及啓発や財政的支援に加え、耐震診断の義務化など、一歩踏み込んだ規制誘導策を検討し、年内に取りまとめを行うことを明らかにいたしました。都民の生命と財産を守るためには、早期の検討と推進が必要です。
 一方で、沿道建築物の所有者の負担軽減や規制誘導策の実効性確保など、課題もあるのが現状です。専門家の意見を聞くなど、耐震化施策に関する議論を重ねているとのことですが、どのような方向で検討が進んでいるのか、お尋ねをいたします。
 最後に、港湾の機能強化、国際競争力強化についてお尋ねいたします。
 東京港は首都圏四千万人の経済を支えている重要なインフラ施設です。海に囲まれた我が国において港湾はまさに生命線であり、アジア諸港の目覚ましい躍進の中で、港湾の国際競争力強化は喫緊かつ大変重要な施策の一つです。
 都は、既に東京港埠頭を民営会社とし、効率化を図ったところではありますが、国際競争力強化のためには、経営面で独立した港湾経営体、いわゆるポートオーソリティーの構築を早期に行い、さらに規制緩和など自由競争を進める必要もあるのではないかと考えます。このような基本的構想、港湾の全体戦略について、都はどのようにお考えなのか、ご見解を伺います。
 釜山港や上海港などアジア主要港は広大な港湾用地を備え、大量の新規ふ頭整備を計画し、さらなる貨物獲得のために積極的な展開をしております。
 一方、狭小なる我が国においては、このような広大な新規ふ頭整備は不可能であり、個々のふ頭の生産性を高め、質で勝負していくしかありません。
 世界同時不況により伸び悩み状態だった貨物量も徐々に増加傾向となり、一時鎮静化していたふ頭周辺の交通渋滞も再び顕在化しております。大井ふ頭も青海ふ頭も施設容量は限界に来ており、もはや抜本的な解決策をとらなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
 今後、中央防波堤外側埋立地及び新海面処分場に計画されているコンテナふ頭を整備することを契機に、老朽化が目立ってきた既存ふ頭の根本的な再編による物流の確保、機能強化にしっかりと取り組んでいくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、ふ頭の生産性向上と同時に進めるべきは、コストの縮減です。アジア諸港と比べ高い港湾コストがかかっている現状を打破していくためには、港湾関係者ともきちんと協議を重ねていく必要があります。ペーパーレス化などとともに、その低減をしていく必要性についてもあわせて見解を伺います。
 東京港は、もはや日本国内での争いをしている場合ではありません。釜山、上海、高雄、シンガポールなど、大型船対応の整備を進め目覚ましい発展を続けるアジアの有力港をしっかりと視野にとらえ、ハード、ソフトの整備充実はもとよりですが、国際基幹航路は今後東京港が支えていくんだ、こういった大きな気概を持って取り組んでいかなければなりません。
 世界に誇れる港湾としての高い目標を据え、時期を逸することなく、しっかりと推進を進めていただきたい、このことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 宇田川聡史議員の一般質問にお答えいたします。
 水ビジネスにおける東京の役割についてでありますが、日本には世界に比類のない技術が多くありながら、それを展開する戦略がなく、国際競争でも苦戦を強いられております。水ビジネスでもしかりでありまして、国はスピード感もなく、なかなかその重い腰が上がりません。
 水というのは本当に人間の生命存続、人生にとって非常に不可欠な、非常に貴重なものでありまして、例えばその証左に、いつかテレビで見ましたが、アフリカのある部落で神様のようにあがめられている、日本のNPOでしょうか、とにかく、海外協力隊でしょうか、一人の女性がいまして、その女性が非常に死亡率の高いその村に行きまして、何を寄附したかというと、鋳物でできている蛇口ですね。これをたくさん持っていきまして、それで水がめみたいなのがあるわけですけど、そこで使われている水は、家畜のし尿も流れている近くの川の水をそのまま持ってきているわけで、一たんそれを煮沸させて、その水がめにためて、そして、その蛇口を使って飲料のものだけをそこから摂取するという、それを教えただけで子どもの死亡率は激減したということで、神様のようにあがめられておりましたが、もうすべて、水というのはそれほどの致命的な、大事なものだと思います。
 とにかく水道に限りましても、蛇口をひねって、そのまま水が安心して飲める国というのは、世界で十一カ国しかございません。日本もその一つでありますが、最近の経産省の報告によりますと、地球上の水を家庭用のふろに張った水に例えると、人類が利用可能な淡水源、つまり河川や地下水は大さじ一杯のものでしかない。その非常に貴重な水の活用、利用について、やはり地方自治体も国もタッグを組んで、せっかく持っている技術を人類のために活用するための努力をもっと積極的にすべきだと思います。
 とにかく東京の水道水には、世界に誇る高い技術力やノウハウに裏打ちされた総合力があります。現にビジネスの場でも高く評価されていまして、オーストラリアでコンサルティング業務を手がけることになりました。
 今後も東京の水道の持つ可能性と潜在力を武器に、民間企業とチームを組んで世界の水道事業に参画し、東京が先頭に立って日本を牽引することで国際社会に貢献するとともに、東京と日本の経済を活性化していきたいと思っております。
 案外、本当に今まで気づかなかったのでありますが、水というものは一つのそれを供給する事業としても、高度の技術というものを添えれば大きなビジネスになるということを最近痛感しております。
 先般、ニューヨークで行われましたC40の会議に行きましたが、非常にみんな観念的にしかいっておりませんでしたけれども、東京から同伴しました水道局長が東京の水道についてるる説明をしましたら、みんなが襟を正して聞き入って、彼に質問が集中したのを非常に印象的に覚えています。
 いずれにしろ、私たちの持っている努力の結果である技術を持ちぐされにしないような、これを世界に普遍することが、何といいましょうか、日本が掲げている国際関係の理念というものを成就していくための大きな手だてになると思っております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 耐震化に関する新たな規制誘導策についてのご質問にお答えいたします。
 現在、学識経験者等から成る専門家会議を設置いたしまして、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化をより一層促進するための施策について、さまざまな議論を行っているところでございます。
 専門家会議では、耐震化施策の全体状況の把握を行うとともに、耐震診断の義務づけなど新たな施策の有効性や、それを導入した場合の法的な課題、建物所有者への支援策のあり方など、幅広い検討を進めております。
 都としては、専門家会議での検討に加え、区市町村とも連携して基本的な考え方を整理した上で、秋ごろを目途にパブリックコメントを実施するなど、都民や関係団体等の意見の反映に努めてまいります。
 今後とも、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促進するため、実効性のある規制誘導策の構築に向けて鋭意取り組んでまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域戦略の基本的な考え方についてでございますが、四月に設置した海外事業調査研究会におきまして、民間企業や政府系機関など五十社へのヒアリングを実施し、海外の水事情や水ビジネスのさまざまな実態がより明らかになりました。
 先進国や一部の新興国では、既に水メジャーと呼ばれる欧州の巨大企業が進出しており、東京水道が参入していくためには、技術力、経営力はもとより、地域に精通した人とのつながりや情報力が極めて重要となります。
 一方、開発途上国では、今なお安全な水にアクセスできない人々が多い状況の中で、東京水道の強みである漏水防止技術、浄水処理技術及び運営ノウハウなどに対し、途上国からの期待が極めて高いことが改めて判明いたしました。
 こうした国々の実情を踏まえ、関係局と連携した都市間レベルでの情報収集に加え、商社などヒアリング実施企業のネットワーク網を最大限活用していくとともに、当面は東南アジアや南アジアを中心とした途上国におきまして、国際貢献ビジネスを積極的に展開してまいります。
 次に、開発途上国のニーズ、実情に合ったビジネス展開についてでございますが、途上国の中には、水源の不足や脆弱な技術力などによる高い漏水率のため、時間給水を余儀なくされ、コストに見合った料金収入が得られず、経営効率の悪い国もございます。
 その結果、投資資金が不足し、施設の改善が進まないなど、事業運営上の負の連鎖を生じております。
 そこで、東京水道の強みである技術、ノウハウを生かした漏水率の低減策などを講じ、二十四時間給水といった給水サービスの向上と、水道料金の増収による事業収支の改善を図ることによって、計画的な設備投資などにつなげていきたいと考えております。
 今後、こうした成長型のビジネスモデルをベースに、途上国のニーズ、実情に合ったモデルを設定し、八月以降に派遣を予定している東京水道国際貢献ミッション団で広く提案してまいります。
 最後に、水飲み栓直結給水化モデル事業の私立学校への取り組み状況についてでございますが、本事業は、安全でおいしい水を一層浸透させるための施策の一環として、平成十九年度から公立小学校を対象に実施してまいりました。
 これまで実施した学校の子どもたちや教職員から高い評価を得たことや、区市町からの要望等も踏まえて、公立中学校も対象に加えるなど、順次拡充してきたところでございます。
 ご指摘のとおり、直結給水化された水のおいしさを、私立学校で学ぶ子どもたちにも実感してもらうことの重要性を踏まえ、対象を私立学校にも拡大することとし、この夏休みに工事を希望する学校に対応できるよう取り組んでおります。
 これらを着実に実施することにより、蛇口から直接、水を飲むという日本が誇る水道文化を次世代へ継承してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 二点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、地域医療支援病院についてでございますが、都は、病院とかかりつけ医との医療連携を地域に定着させるため、その中核を担う地域医療支援病院の確保を図っております。
 この地域医療支援病院は、脳卒中などの疾病別医療連携や救急医療体制の推進においても、連携の核となる重要な役割を果たしております。
 また、それぞれの地域において、高度医療機器の共同利用や症例検討会等を実施しております。都は、東京都医師会の協力を得まして、こうした取り組みにかかりつけ医が積極的に参加するよう働きかけてまいります。
 さらに、地域医療支援病院の果たす役割や機能を十分周知し、緊密な病診連携の一層の推進に取り組んでまいります。
 次に、ITを活用した医療連携についてでございますが、都は、脳卒中など疾病別の医療連携を支援するため、インターネットによる医療機関案内サービス「ひまわり」の医療関係者向けサイトにおきまして、各医療機関の専門分野や実施可能な治療方法等の情報を提供いたしております。
 また、連携の促進にも資する電子カルテの導入など、医療機関のIT化につきまして一層の推進を国にも働きかけております。
 また、島しょ地域におきましては、都立広尾病院と島しょの医療機関とを結ぶ画像伝送システムを整備いたしまして、専門医がエックス線画像を通じた診療支援を行っております。
 本年十月には、このシステムの画質や伝送速度を向上させるとともに、ウエブ会議機能を新設いたしまして、リアルタイムでの症例検討会を可能とする予定でございます。
 また、多摩地域におきましては、小児医療確保への支援のため、小児総合医療センターと多摩北部医療センターとの間で、情報システムを活用した診断支援などの医療連携にも取り組んでまいります。
 このように、医療におけるIT活用は、連携手段として今後ますます重要となると考えておりまして、引き続き積極的に推進してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、東京マラソンへの子どもたちの参加についてでございますが、次代を担う子どもたちに東京マラソンのすばらしさを体験してもらうことは重要でございます。
 本年二月の東京マラソンでは、今回初めて、大会当日に小学生と保護者のペアで、実際に東京マラソンが行われているコースの一部を走ることができる、東京マラソンファミリーランを開催いたしました。五百組千人の定員に対しまして十倍を超える応募があり、実際に参加した親子からは大変好評でございました。
 今回の法人化を契機に、ご提案の東京マラソンファミリーランの参加定員の拡大や、新たに中学生や就学前の子どもを対象といたしましたイベントの開催を検討するなど、一人でも多くの子どもたちに東京マラソンの魅力を感じてもらう機会の創出に努めてまいります。
 次に、スポーツに親しめる機会の創出についてでございますが、都民がスポーツを気軽に楽しめる環境を整えることは、スポーツ都市東京を実現するために重要でございます。
 都は、平成二十年に東京都スポーツ振興基本計画を策定いたしまして、スポーツに親しむきっかけや環境づくりに取り組んでおり、これまでに東京の魅力を体験しながら歩くTOKYOウオーク、多彩なスポーツを体験することのできるスポーツ博覧会など、都民参加型スポーツイベントを開催してまいりました。
 今後もお話のローラースケートを初め、気軽に楽しめるさまざまなスポーツに触れる機会をスポーツ博覧会や東京大マラソン祭りにおけるランナー応援イベントで提供するなど、都民がスポーツを始めたくなるきっかけづくりを図ってまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 東京港に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、東京港の国際競争力強化に向けた基本的な戦略についてでございます。
 躍進著しい東アジア諸港と競い、基幹航路を維持していくためには、貨物量の増加を図ることが不可欠でございます。東京、横浜、川崎の京浜三港は、我が国のコンテナ貨物取扱量の約四割を扱う国内首位の港でございまして、京浜三港が協働し、さらなる貨物集荷に努め、まず、釜山港に対峙する日本のハブポートを目指していくことが重要であります。
 そこで、今後、三港連携の取り組みを一層深め、将来のポートオーソリティーの設立も視野に入れ、京浜港を一体的に経営する港湾経営主体の構築を図り、スケールメリットの発揮と適切な機能分担による投資の最適化を実現していきます。
 また、利用者ニーズにこたえ、マーケティング力や営業力の向上を図り、効率的な経営を実現するため、京浜港の港湾経営主体に、民間人材の登用を初め可能な限り民間活力を導入してまいります。
 次に、既存ふ頭の再編とコスト縮減についてでございます。
 東京港の主力ふ頭である大井ふ頭及び青海ふ頭は、貨物量が増大する一方で、用地の制約、経年による施設機能の低下により処理能力が限界に近づいており、このため周辺地区に交通渋滞が発生するなどの課題が生じております。
 このため、現在、中央防波堤外側に新たなコンテナふ頭を整備中であり、完成後は、大井ふ頭と青海ふ頭と一体となって、東京港の貨物量の増加に対応してまいります。
 さらに、新たなコンテナふ頭の整備を契機に、ふ頭全体の再編に着手し、一バース当たりの面積の拡大と必要な施設の更新を行い、ふ頭機能の高度化と生産性の向上を実現していきます。
 また、港湾の国際競争力の強化を図るには、港湾コストの縮減が不可欠でありますことから、東京港埠頭株式会社や民間事業者とともに努力をし、ターミナル賃料等の低減を早期に具体化してまいります。
 あわせて、お話の港湾諸手続のIT化の推進、強制水先案内の規制緩和などにつきまして、横浜港、川崎港と連携をして取り組んでまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十二分休憩

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