平成二十二年東京都議会会議録第九号

   午後一時一分開議

○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(田中良君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都人事委員会委員の選任の同意について外人事案件四件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(田中良君) 昨日に引き続き質問を行います。
 五十四番興津秀憲君。
   〔五十四番興津秀憲君登壇〕

○五十四番(興津秀憲君) それでは、一般質問をさせていただきます。
 昨日、民主党、菅直人内閣が発足いたしました。本日から本格始動が始まることと存じます。菅首相は最小不幸社会を目指すとし、政治の役割は貧困や戦争など国民や世界の人が不幸になる要素をいかに少なくしていくかだと意気込みを語っていらっしゃいます。まさしく国民の期待にこたえる内閣であろうと思いますし、私も微力ながら応援させていただくものであります。
 東京都知事におかれましても、国とのちょうちょうはっしの議論もさることながら、国と都が切磋琢磨し、都民の幸せをこれからも増進をしていただきたいと思います。東京都からの総理大臣は戦後二人目、多摩地域からは初めての総理大臣であります。多摩選出の都議会議員として、これほど力強く思うことはございません。
 それでは、多摩地域の諸課題から質問に入ります。
 多摩地域は、昭和四十年以降、急激な人口増加と都市化により、さまざまな問題が発生しました。市町村の懸命な努力にもかかわらず、行政サービスが都市化に追いつかず、区部との間に、都市基盤を初めとする生活の利便性においてさまざまな格差が生じました。
 昭和五十年に制定された三多摩格差八課題についてはかなりの部分で解消されたと思います。先人の永年にわたる努力に感謝するものです。
 しかしながら、現在、新たな行政課題、多摩格差ともいえる状況が生じているのではないかと思います。この行政課題は多種の施策にまたがるので、今回は幾つかの事例を示し、一点について質問したいと思います。
 まず、財政面の事例として、平成二十年度普通会計決算において、経常収支比率平均は特別区が七六・一%、市町村では九一・七%、財政調整基金の現在高は特別区合計が四千二百九十七億円余りで、住民一人当たりにすれば約五万円、市町村合計が七百三十一億円余りで、住民一人当たりにすれば一万八千円となり、大きな隔たりがあります。
 もちろん、一概に単純な比較はできない面もありますが、市町村は厳しい財政状況にあります。毎年、市長会などから、南北幹線道路などの道路整備、東京国体を契機とした多摩地域の発展支援、義務教育就学児医療費助成事業の所得制限など子育て環境の充実に向けて等、懸案事項に対する要望書が都知事あてに提出されています。
 このように、少子高齢化等の社会状況の変化や住民ニーズの多様化により、新たな行政課題が生じてきています。この状況において、都として、多摩地域の発展や魅力ある地域づくりに向けて、今後どのように多摩の振興に取り組んでいくのか。また、市町村が厳しい財政状況にある中、個性と魅力を生かしたまちづくりを実現するために、都は、市町村との緊密な連携を図りながら、引き続き、多摩の振興に向け財政面など効果的な支援を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、地域医療です。
 財団法人自警会という警視庁職員を会員とする団体があります。この団体は国分寺市と府中市にまたがる地に西東京警察病院という病院を経営されています。今般、自警会はその理事会において、この病院閉鎖を決定しました。非常に残念であります。しかしながら、この決定を尊重させていただき、今までの地域医療に貢献されたことに感謝を申し上げます。
 さて、この病院閉院を受け、地元国分寺市、国立市、府中市の三市長と三市議会から、それぞれ財団法人自警会に病院継続への要望書が提出されています。要望書は民間財団に提出されているので、都は関知するところではないのですが、三自治体からの要望書は非常に重い意味を持っていると思います。
 三市長は現行の診療体制のもとで存続されるよう要望する、三市議会は現在地での存続を求める要望とあります。また現在でも、多摩総合医療センターより年間七十人から百人程度の患者さんをリハビリ機能回復に向けて紹介されています。市長、市議会の要望は、あくまで現在地に病院を求めるということが願意であります。
 そこで質問ですが、今後、都として、この地に病院を継続して残せる可能性のある場合には適切な指導をお願いするとともに、喫緊の課題として、西東京警察病院に入院、受診されている方々の行き場がなくなり、さまようことのなきように、適切な対応をいただきたいと存じます。所見を伺います。
 次に三番目、道路問題です。
 多摩地域の都市計画道路の整備率は五三%と、区部の六〇%と比較しておくれております。都民の安全で快適な生活を支える幹線道路の整備が喫緊の課題となっています。
 一点目として、多摩地域の総合的見地に立って、幹線道路ネットワーク整備の取り組みについてお伺いいたします。
 二点目として、国立市、甲州街道の日野バイパス入り口以西は、道路管理を国から東京都に移管され都道となりました。ここはかつて二車線から四車線へと変更された道でありますが、歩道が非常に狭く、日曜日のテレビ番組でも取り上げられたほどであります。
 都としても、現状道路、歩道の改善の必要性は認識していると伺っています。地域住民からはこの四車線道路を以前の二車線へと戻し、人に優しい道路としていただきたいと国立市議会に陳情書が出され、採択もされています。平成十五年十二月の多摩北部地域の幹線道路検討会報告書にも、将来の二車線化が報告されており、地元市民の期待は大変高いものがあります。
 都では、二車線化に向けての現状を機会をとらえて説明をしているとしていますが、歩道の改善などを含んで目に見える改善は図られていないため、地元市民の理解を得られず、都に対し不信感を抱いている状態であります。当該区間の二車線化について、今後の対応をお伺いいたします。
 次に、中小企業支援です。
 また、今、中小企業に求められている施策は、事業資金の融資制度、企業合併、買収、事業継承、創業、ベンチャー支援、事業転換時の支援、ビジネスマッチング、技術、製品の国際標準化の積極的推進、海外展開推進支援、インキュベーション支援、そして人材育成など、多岐にわたります。
 企業にとって効果的な支援策を打ち出すためには、本当に必要で真に役立つ支援を、中小企業に寄り添う発想を持って施策を実施することが重要であります。
 都は「十年後の東京」等を策定し、毎年のようにローリングし、アップ・ツー・デートすることにより、戦略的な中小企業支援策を先んじて行っていくべきであると思います。
 そこで第一点目は、現在行われている都の中小企業支援策が非常に多岐にわたり、一定の成果も上がっていると思います。それであればこそ、この支援策をもっと知らしめるべきであると思います。
 都ではインターネット等で告知しているとしていますが、具体的な事例が相談者の身の回りで起きない限り、この施策を感じることはないでしょう。都の中小企業支援策を知ってもらい、利用しやすくし、利用してもらうためには、より一層の工夫を求めますが、いかがでしょうか。
 二点目に、地域の商店主さんなどは、中小企業振興公社のある秋葉原まで相談に出かけるのでも、ほぼ一日仕事になってしまう場合もあります。例えば、現在行っている中小企業診断士の経営診断、相談などを、いわゆる出前事業として現場の商店まで出かけて、診断、相談するなど、より細やかな施策が求められると考えます。
 企業には、大小を問わず、必ず存在の意義、社会性があると私は信じていますが、企業の立場に立って施策を実施するのであるならば、企業を訪問し、実態を把握した上で各種相談をし、企業にとって実効性のある支援を行うことが重要と考えます。この出前事業の推進は有効な施策であると思いますが、今後の方針を伺います。
 三点目として、今聞こえてくるのは、仕事がない、仕事が欲しいという、まさしく直線的な要求となっています。仕事を確保するために必要なことは、既存の販路の保全と拡大、それとともに、販路拡大に向けて新しい得意先の確保も必要であります。仕事を供給する観点からビジネスマッチングも求められています。東京都はこの企業の声を踏まえ、中小企業の販路拡大、販路開拓支援に力を入れるべきだと思います。所見を伺います。
 四点目として、都は、中小企業融資制度として、信用保証協会を通じて大きな役割を果たしています。この経済状況の中、優秀な企画あるいは技術を持っているものの、資金繰りに苦しんでいる中小企業を速やかに支援する必要があります。
 現在では、地域の金融機関と連携した新たな融資制度が昨年十月より始まっていると聞いています。そこで、資金調達が困難な事業者に対して、どの程度資金供給がなされたのか、その実績についてお伺いいたします。
 五点目として、この制度は、国の信用保証補完制度によらない都独自の制度でありますが、地元企業から金利、保証料が高いと指摘されています。実態を伺います。
 六点目、今回の制度は申し込み時点において、取扱金融機関とのお取引が一年以上あることが条件とされています。つまり、地元の金融機関に一年以上の取引の実績のない企業は、この制度の活用ができないということでもあります。したがって、より多くの都内の中小企業がスムーズに使える制度にするためにも、それぞれの中小企業の地元の金融機関を速やかに増大させるべきであると考えます。今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、教育問題です。
 本年二月、私も含めまして都議会民主党五名は、フィンランドを初めとする欧州諸国の教育問題等を視察いたしました。現在、報告書は印刷に入っていますので、もう少しでお届けできると思います。
 PISA世界一となったフィンランドの特徴は、〔1〕、教員養成の充実、〔2〕、個のニーズに対応した教育、〔3〕、学習面でつまずいてしまった子どもへの個別教育対応の充実の三点が特筆する内容でありました。この三点目の学習面でつまずいてしまった子どもたちへ、学習の楽しさ、おもしろさ、そして学力が伸びていくことによる個人の自己実現を助けていくことは、都の責務であると考えます。
 葛飾区葛美中のがんばらナイト、大阪府の公立小中学校では、地域の人材が中心となって、ボランティアとしての補習を行うなど、地域が参画した取り組みが行われています。都教育委員会では、子どもたちの学力向上に向けて、公立小中学校土曜日補習の充実にかかわる外部指導者活用支援事業もまさにスタートしたところであります。学校だけでなく地域も積極的に参画しながら、子どもたちの育成を図っていくことが必要であると考えます。
 そこで、学校支援ボランティア推進協議会を設置し、地域の教育力を積極的に導入する取り組みが行われていると聞いていますが、この取り組みについてお伺いいたします。
 本年は、定時制高校の追加募集が行われました。例年にはない追加募集であり、急遽の対応に追われた都教育委員会、受け入れ校の努力に感謝を申し上げます。
 本年、定時制高校一次募集の入学試験では、定員数に応募数が届いていない状況であり、さらに二次から四次募集も実施したと事前説明を受けました。しかしながら、入試で残念な結果になってしまった子どもが、多摩地区では定時制の追加募集は普通高校定時制はなく、商業高校一校となり、地域的に通うことが難しい場合等もあり、進学に希望が持てないということはいかがでしょうか。
 高校授業料実質無償化となる現在、公立高校に与えられた使命は高いものがあるはずです。次年度に向けて、高校進学を希望する者の努力が、高校進学を可能とするように要望いたしますが、所見をお伺いいたします。
 今や一千三百万人という人口を抱えている東京は、世界第一位の域内人口規模であり、域内総生産、GRPも、二〇〇八年調査において世界一、さらに二〇二五年の都市別予測GRPにおいても東京が世界一であります。
 現在の東京を世界的に俯瞰したとき、国際都市東京として発展させていくという責務が都にはあります。東京の都市づくりビジョンには、今後の課題として国際競争力の強化が示されています。国際都市東京として、世界の都市間競争に勝ち抜くための戦略的施策を具体的に進めていくべきであろうと考え、何点かお伺いいたします。
 一点目として、航空運輸施策において、アジアのハブ空港の地位を韓国の仁川空港に奪われつつある現状から見れば、東京の地位は相対的に下がりつつあるのではないでしょうか。一度そのようなハブ化への動きが加速してしまうと、その動きをとめることは容易ではありません。国際都市として、いかに維持発展させていくかとの観点から、アジアの国際ハブ空港の中で仁川空港と比較した首都圏空港の現状について見解を伺います。
 二点目として、世界からのアクセス能力の低い空港では、観光業の発展など望みようもありませんし、人、物、金、そして情報の集積、経済活力の確保、文化交流は制限されてしまいます。
 本年十月二十一日、羽田空港D滑走路の供用開始に伴う二十四時間国際拠点空港化を生かし、成田空港との連携も含めて、首都圏の空港のハブ機能をどのように高めていくべきと考えるか、都の見解を求めます。
 三点目として、アジア各国への乗り継ぎ便で、羽田空港でストップオーバーし、東京で短期滞在する外国人旅客をふやすことは有効な施策と考えます。
 東京都の調査によると、平成二十年に東京都を訪れた外国人旅客は約五百三十四万人に上り、過去最高を記録しました。都内で消費した金額は三千三百四十七億円となり、一人単価は六万二千円にもなります。
 こうした経済効果の高い外国人旅客誘導に対して、その利便性を高めるためには、空港二十四時間化に伴う早朝、深夜の遠距離移動手段の確保等、空港アクセス整備、深夜の空港周辺の宿泊環境の整備が求められる施策であると思います。これら具体策に対する都の取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、文化の視点からお伺いいたします。
 東京には上野文化会館、池袋芸術劇場、サントリーホールなど、数々の世界に誇れるホールが整っています。また、都には、国内で一定の評価のある東京都交響楽団があります。この都響を文化資源として積極的に活用し、アジア地域等、海外からの観客を呼び込めるように、有名な指揮者の招聘、優秀な楽団員の育成などの支援を行ったらどうかと思います。
 これには時間もかかるし、財源もかかります。しかし、評価の高いオーケストラに成長すれば、通年で数多くの聴衆が海外から東京にお越しになるでしょうし、経済効果もあり、文化交流の地、世界の東京が実現できると思います。海外においても評価の高いオーケストラに育てるべく支援を行ったらどうかと思います。所見をお伺いいたします。
 最後に、私をこの場にお送りいただきました方々に感謝の気持ちを持ちながら、一般質問とさせていただきました。ありがとうございます。(拍手)
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 興津秀憲議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、学校支援ボランティア推進協議会についてでございますが、変化の激しいこれからの社会において、確かな学力、豊かな人間性、健康、体力など、子どもたちの生きる力をはぐくむためには、地域が持つ教育力を学校の教育活動に効果的に取り入れ、多様な体験活動など、幅広い教育を行うことが重要でございます。
 学校支援ボランティア推進協議会は、地域全体で小中学校の教育活動を支援することを目的として区市町村が設置するものでございまして、地域住民が学校支援ボランティア、または地域コーディネーターとして配置されております。
 学校支援ボランティアは、国語や算数の授業の補助のほか、読み聞かせ、子どもの安全確保などの活動に参加し、地域コーディネーターは、学校ニーズに応じた地域人材の発掘、紹介、学校との調整などの役割を担っております。
 都教育委員会では、広域的な観点から、地域コーディネーターの養成を行いますほか、先進的な活動事例や、企業、NPOと連携した教育支援プログラムの情報提供などを行っており、今後とも多くの学校で地域の教育力を活用した教育活動が行われるよう、区市町村を支援してまいります。
 次に、都立高校における生徒の受け入れについてでございます。
 都立高校は生徒の多様な適性や能力に対応できるよう、全日制、定時制を問わず、さまざまな学科やコースを設置しております。
 今回、定時制の第二次募集において、応募人数が募集枠を上回ったのは、公立、私立の全日制高校不合格者が、例年以上に定時制の第二次募集に応募したためでございます。
 定時制においては、一人でも多くの生徒を受け入れるよう、欠員の状況により、第二次募集から第四次募集まで実施しているところでございますが、今年度はさらに追加募集を行うなど、中学生の受検の機会を確保し、生徒の受け入れに努めたところでございます。
 都教育委員会は、各都立高校の教育活動の特徴や具体的な入学者選抜方法等について情報提供を行い、適切な進路選択を支援いたしますとともに、生徒数の推移や中学生の志望傾向等を踏まえて、一人でも多くの生徒を受け入れることができるよう、募集枠の設定に努めてまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、甲州街道の二車線化についてでございますが、甲州街道の日野バイパスから新奥多摩街道までの区間につきましては、平成十五年の多摩北部地域の幹線道路検討会報告書において、周辺道路の整備が進み、交通の転換が図られれば、将来、二車線での再整備が可能であるとしております。
 平成十九年に日野バイパスが開通し、交通の一部転換が図られましたが、甲州街道の本区間の一日当たり交通量はいまだ三万二千台と、二車線で処理できる交通量を大きく上回っているため、現段階で二車線化する状況にはございません。
 都といたしましては、今後も多摩地域の道路ネットワーク形成を積極的に進め、これによる交通の転換状況を見きわめた上で、将来の再整備の方向性を決定してまいります。
 次に、アジアの中の首都圏空港の現状についてでございますが、首都圏の羽田空港と成田空港が一体となって、国際ハブ空港としての機能を担うことは、我が国の経済を活性化させ、国際競争力を高める上で重要であります。
 韓国の仁川空港と、成田、羽田を合わせた首都圏空港の機能を、平成二十年のデータで比較いたしますと、国際線旅客数は、成田、羽田が約三千五百万人で、仁川の約三千万人を上回っており、国際線から国際線への乗り継ぎ客は、成田、羽田が仁川の約一・三倍となっております。国際線の就航先について見ると、仁川はアジアへの路線が多く、成田は欧米やオセアニアへの路線が多いという特徴を有しております。
 ただし、国際線旅客数の伸び率は最近の六年間で、成田、羽田の約一〇%に対して、仁川が約四四%と上回っており、このままの状態が続けば仁川が成田、羽田をしのぐという状況にあると認識しております。
 次に、首都圏空港の国際ハブ機能の強化についてでございますが、羽田空港は本年十月に、昼夜各三万回、さらに数年後には昼三万回増加して、計九万回の国際定期便が就航することになります。また、その就航先はアジアのみならず、欧米にも広がることになり、都心との近接性を生かした二十四時間利用可能な国際ハブ空港としての機能を備えることとなります。
 一方、成田空港の発着枠につきましては、現在の二十二万回を三十万回にふやすことについて地元協議が行われており、これが実現すれば、従来からの国際ハブ空港としての機能がさらに強化されることになります。
 このような羽田と成田の両空港がそれぞれの特徴を生かしながら、一体的な運用を図ることにより、国際的にも競争力のある首都圏における国際ハブ空港としての機能を一体的に高めていくことができると考えております。
 最後に、羽田空港の二十四時間化への対応についてでございますが、羽田空港では、本年十月から深夜、早朝時間帯にも多くの国際線が発着することとなります。このため、バスを含めた公共交通の運行時間帯の拡大や本数の増加などについて、国が中心となって、交通事業者や都も参画して設置されたワーキンググループにおきまして、検討、調整を進めており、十月の供用開始に合わせて、深夜、早朝便に対応した使いやすい公共交通を確保していく予定でございます。
 また、深夜、早朝時間帯などの宿泊ニーズに対応するため、国際線ターミナルに隣接する空港跡地において、宿泊施設の導入を検討するとともに、空港周辺地域でも開発などに合わせて、宿泊機能を含め、空港と連携する機能の導入を促進する必要がございます。
 今後とも、国や地元区とも連携を図りながら、羽田空港の二十四時間化に伴って求められる機能の確保充実に取り組んでまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 多摩振興と市町村への支援についてお答えいたします。
 都は、都市基盤の充実など、多摩地域のさまざまな課題を踏まえ、多摩振興プロジェクトや、「十年後の東京」への実行プログラムにおきまして、首都圏の中核拠点としての発展に向けた取り組みを推進してまいりました。
 また、多摩の発展のためには、都と市町村が有機的な連携を図りながら施策を展開するとともに、地域の特色を生かしたまちづくりなどに対し、適切な支援を行うことが重要であると認識しております。
 今後とも、多摩振興プロジェクトなどにかかわります事業を着実に実施するとともに、市町村の実情を踏まえながら、効果的な財政支援などを通じ、引き続き多摩地域の振興を図ってまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 西東京警察病院についてでございますが、都はこれまでも、病院の廃止に当たりましては、入院あるいは通院されている患者さんの医療が継続して確保されるよう、病院の開設者に対し、他の医療機関への転院や紹介を行うよう指導しており、西東京警察病院におきましても適切に対応してまいります。
 なお、同病院が所在する北多摩西部医療圏内で、新たに病院開設を希望する医療法人等があれば、医療法の規定に基づいて病院開設等を指導してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 多摩地域の幹線道路ネットワーク整備の取り組みについてでありますが、多摩地域の道路整備は、交通の円滑化はもとより、多摩地域の自立性向上や都市間連携の強化を図る上でも重要です。
 このため、都は、三次にわたる都市計画道路の事業化計画などを策定し、南北主要五路線を初めとする骨格幹線道路や、多摩川中流部橋梁の整備、連続立体交差事業などを重点的に実施してまいりました。
 一方、国の公共事業予算が大幅に削減されるなど、道路整備の財源は極めて厳しい状況にありますが、引き続き必要な財源の確保に努め、地元の理解と協力を得ながら、多摩地域の幹線道路ネットワーク整備に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 中小企業支援に係る六点のご質問にお答えします。
 都の中小企業支援施策の周知についてでありますが、施策の利用を進め、その効果を高めていくためには、それぞれの中小企業のニーズに合わせた支援策を的確に紹介していくことが肝要であります。
 具体的には、商工会議所を初めとする中小企業支援機関が、経営相談などを通じて、個別の中小企業の実情を把握した後、その実情に合った各種助成など適切な事業メニューを提供することが重要であります。このため、各支援機関へ都の支援策の周知徹底を図るなど、さまざまな取り組みにより施策が効果的に活用されるよう努めてまいります。
 次に、経営診断や経営相談の進め方についてであります。
 中小企業を取り巻く環境が厳しい中、個々の企業を直接訪問し、その実情を把握し、経営上の課題の解決に結びつけることは重要であると認識しております。
 都はこれまでも、中小企業支援機関と連携し、企業に対する巡回指導を実施してまいりましたが、昨年度は新たに、商工会議所等の経営指導員が中小企業診断士とともに企業に出向いて経営診断を行いました。これにより、企業の経営課題の解決が進むなど、着実に成果が上がっております。
 今年度も引き続き訪問診断を実施するなど、中小企業の実情を的確に把握し、きめ細かい経営支援に取り組んでまいります。
 次に、中小企業への販路開拓支援についてであります。
 アジアを中心とした景気回復に比して、我が国の回復速度は緩慢であり、中小企業の経営環境は依然として厳しいことから、販路を開拓し、新たな仕事を確保することが重要となっております。
 都はこれまで、八都県市合同商談会や中小企業支援機関等と協力した商談会を開催するなど、販路開拓の機会の確保に努めてまいりました。
 また昨年度から、中小企業の経営診断を実施し、その結果、新たな販路開拓が必要とされた企業に対しまして、展示会出展等の助成を行っております。
 さらに今年度は、アジアでの販路開拓に取り組む企業に対し、情報提供などの支援も開始いたしました。こうした取り組みにより、中小企業の販路開拓支援に努めてまいります。
 次に、地域の金融機関と連携した新たな保証つき融資制度についてであります。
 本制度は、地域の金融機関の目ききの力と保証機関の審査ノウハウを活用しながら、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等を有しているにもかかわらず、当面の事業継続に必要な運転資金等の確保に困窮する中小企業の資金需要にこたえるため、都独自に創設したものであります。
 昨年十月の取り扱い開始から本年三月末までの保証承諾実績は九百九十七件、九十億円となってございます。
 次に、本制度の金利、保証料についてであります。
 厳しい経営環境の中、緊急保証制度をもってしても十分な資金調達が困難な中小企業が存在しておりまして、本制度はそうした中にあって、将来的に展望が開ける企業を見出し、資金面から支援していくことを目的としております。
 このように比較的信用リスクが高い企業をも対象としているため、一般的に金利、保証料は高くなりますが、本制度では都から取扱金融機関に対して貸付原資を預託するとともに、個別の債務不履行が発生した場合には、都が損失を補助することによりまして、金利や保証料の軽減を図っております。
 その結果、金利、保証料を合わせました中小企業が負担するオールインコストは、三%前半から五%後半の水準に抑制されております。
 最後に、本制度におけます取扱金融機関の拡大についてであります。
 本制度は都内に本店を置く地域の金融機関を幅広く対象としており、準備の整った金融機関から順次取り扱いを開始し、現在、十五の金融機関において融資の受け付けを行っております。
 景気は持ち直しの動きが見られるものの、都内中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にございます。したがいまして、引き続き取扱金融機関の拡大を図り、都内中小企業を資金面から支援していく考えであります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 東京都交響楽団への支援についてでございますが、東京都交響楽団の評価を海外においても高めることは、東京のプレゼンスの向上に寄与するとともに、都民の誇りともなり得るものでございます。
 東京都交響楽団は、これまで国や民間からの資金の獲得や、能力、業績を反映する人事制度の導入など、さまざまな改革を実施してまいりました。こうした改革により、エリアフ・インバル氏の常任指揮者への就任、ヨーロッパで活躍中の大野和士さんなどの著名な指揮者の招聘、優秀な楽団員の確保が実現され、昨年、ソウルとシンガポールでの公演を成功させまして、アジアなど海外での評価を高めてまいりました。
 都といたしましても、こうした体制強化の取り組みを今後とも支援してまいります。

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