平成二十二年東京都議会会議録第八号

   午後三時十分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十一番こいそ明君。
   〔百十一番こいそ明君登壇〕

○百十一番(こいそ明君) 質問に先立ちまして、元東京都知事、鈴木俊一さんのご逝去に当たり、心からお悔やみ申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。
 それでは、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 あの政権交代から八カ月、迷走、逆走、そして暴走をし続けた民主党鳩山政権はついに首相の座を投げ出しました。沖縄普天間問題に見られるように、国家を背負うはずの政権が、日本をいかにして守るかという理念も、安全保障に関する哲学もないことに、国民の多くは大きく失望をしてしまいました。
 まさに我が国は危急存亡のときにあります。マニフェスト至上主義に拘泥され、高速道路料金の無料化、子ども手当に代表される放漫きわまりない政策は、国民に国家の将来への強い不安を与えています。前のめりの政治主導や場当たり的なパフォーマンスを国民は既に見抜いています。根本的な社会資本整備や社会保障制度への定見も持たずに、軽佻浮薄なスローガンを掲げるだけでは、とても政治とはいえず、政権など運営できるものではありません。
 我が党は、新たに誕生する民主党菅政権にも、政治とは、国家の運営とはを厳しく追及してまいります。
 国のあり方を左右するような重大な決断は、政治というものの持つ責任をしっかりと意識して実行されるべきものであり、我が国の進むべき方向性の理念や哲学をもとに、数々の重大な問題に対処しなければならないのであります。
 政治とは、まさに決断と判断の重さにそのすべてが凝縮されているものであります。孟子に、みずから省みてなおくんば、千万人といえども我行かんという言葉があります。まさに揺るぎなき政治哲学と責任感を持ち、真剣に事に当たる覚悟こそが、我々が政治を行う上での行動規範であります。
 これは都政においてもしかりであり、我が都議会自民党は、石原与党として都政に明確な責任を果たしてきました。今回の首相交代劇を見るにつけ、改めて政権とは何たるや、執行権を有する為政者として、その覚悟とは何たるやについて、まず知事の所見をお伺いいたします。
 民主党政権が美辞麗句を並べながら、我が国存立の礎石に亀裂を入れ、崩壊させようとしていることに極めて強い危機感を感じます。
 例えば、夫婦別姓です。この制度が自由で合理的との主張がありますが、家族のきずなという日本社会の土台を崩壊してしまいます。
 外国人への地方参政権付与も同様で、国民主権という国家の最も根源的部分を改悪しようとしています。この地方分権の時代に、本当にこんなことをしていてよいのでしょうか。
 既に各地方議会や全国知事会において、極めて強い懸念が、また反対の声が広がっています。四月十七日には、全国地方議員緊急総決起集会が開催されました。また続き、武道館に一万人を超える各界各層の国民の皆さんが集まり、断固反対という意思表示がなされました。
 税金を払っているとの声もありますが、税金は行政サービスの対価にすぎません。みんな仲よくしようといっても、国民主権にかかわる参政権は次元が別です。地域主権を掲げる民主党政権ではありますが、皮肉なことに地域の意味、主権の意味を全く理解していません。
 かつて知事は、沖ノ鳥島の重要性を訴え、周辺海域での漁業活動などを支援してこられました。日本の最南端、沖ノ鳥島や最東端の南鳥島があってこそ、領土の面積は世界第六十位のこの日本が、領海とEEZ、排他的経済水域を合わせた広さでは世界第六位になります。
 鉱物資源や漁業資源など、海にははかり知れない可能性があり、これに目を向けさせ現場から国を動かしたのが、この石原知事と我々都議会自民党であります。
 去る五月二十六日には、遅まきながらでありますけれども、日本の国益を守るため、沖ノ鳥島等の保全を図る新しい法律が全会一致で可決成立しました。
 このように知事や我々地方議員が、現場感覚、皮膚感覚に基づいて国にメッセージを発信し、果敢に行動しなければ、この日本を真に守ることはできません。
 そこで、これまで常に国家の行く末、都民、国民の安全と安心のために力を尽くされてきた石原知事に、日本を根幹から揺るがしかねない外国人への参政権の付与について所見を伺います。
 次に、中小企業支援について伺います。
 現在、我が国の経済は、一時期の低迷期を脱しつつあるものの、諸外国に比較して立ち直りの速度が緩慢であり、中小企業は依然として厳しい状況にあります。
 これに対して、都は我が党の主張を踏まえて、中小企業経営力向上支援事業により、中小企業診断士などによるきめ細かい経営の改善向上に取り組むとともに、新たな販路開拓に向けた展示会出展等を支援する受注開拓緊急支援助成事業にも取り組んできました。
 これらの支援を受けた経営者から、我が党に対して数多くの感謝の声が寄せられるほどの反響の大きい事業となっておりますが、なお中小企業は景気の回復を感受するには至っておりません。
 都は、本年度も、目指せ中小企業経営力強化事業により、経営力の強化や販路開拓の支援を継続して行うとのことでありますが、昨年の成果を踏まえ、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 販路開拓は、事業再生を目指す企業にも必要な支援であり、再生を目指す企業は、経営の効率化に向け血のにじむような努力をしていますが、それにも限界があります。新たな取引先をふやす努力も必要であり、そうした取り組みなくしては、事業の継続、売り上げの拡大などは困難であります。
 回復への光明が差し始めている今こそ、都は、目指せ中小企業経営力強化事業の中で、事業再生を目指す中小企業をも販路開拓支援の対象に含めて支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、産業振興に当たっては、アジアの成長を取り込むことも大きな課題であります。実際に都内の中小企業では、市場の拡大が期待されるアジアにビジネスチャンスを見出そうという機運が高まっています。
 しかし、中小企業にとっては、アジア市場へのアプローチは大きなリスクを伴うという厳しい現実も見なければなりません。輸出や海外進出を行った中小企業の中には、生産性や利益の向上などの成果を得る企業がある一方、法制度や商慣行などさまざまな課題に直面した企業も多いと聞いています。
 アジアの市場拡大を確実に都内中小企業の発展に結びつけていくには、海外販路の開拓に当たって、事前の情報収集や取引のリスク回避など、きめの細かい支援が重要であると考えます。具体的にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 次に、来週十八日に完全施行される改正貸金業法について伺います。
 この改正内容により、貸金業者に対する規制が厳しくなる一方で、利用者に対しては、上限金利の引き下げとともに、年収の三分の一を超える額の新規借り入れができなくなってしまいます。
 千二百万ともいわれる利用者に大きな影響を及ぼす法改正にもかかわらず、その中身は十分知られていないのではないでしょうか。改正貸金業法の完全施行を控えて、都の対応についてまず伺います。
 貸金業の利用者である消費者や個人事業者を取り巻く環境は、依然厳しい状況です。都内中小企業者は、いまだ不況を脱せず、深刻な雇用状況のもとで、個人の給与も不安定で、今回の完全施行の影響が危惧されます。
 新聞報道によると、貸金業者においては貸し渋りが起こっており、昨年度の成約率は三割に低下したとのことであります。収入がない専業主婦の方などに対しては、大部分の大手の貸金業者は貸し出しから撤退するとしています。このように、資金調達が今後さらに厳しくなる事態も懸念されます。
 都は、こうした状況をどのように認識をされているのか。とりわけ、貸金業を利用している個人事業者を含め、東京の経済を支える中小企業者に与える影響について所見を伺います。
 そもそも改正貸金業法は、多重債務問題の解決を図るためのもので、国においては、附則第六十七条に基づき、完全施行後の影響も含めて、改正後の規定を円滑に実施するために講ずるべき施策の必要性について検討されてきました。
 しかしながら、現状を見る限りは、利用者や貸金業の業者の実態を十分に把握しているか疑問であり、議論が不足しているといわざるを得ません。また、今後講ずるとされている方策についても、利用者に対して十分な説明と配慮がされているとは思えません。
 したがって、我が党としては、改正貸金業法の完全施行により、資金の借り手への影響が抑えられ、円滑な実施の見通しが立つまでは、完全施行を見合わせることが必要であることを表明しておきます。
 次に、新銀行東京についてであります。
 先月末に発表された新銀行東京の平成二十一年度決算は、十五億円の黒字でした。新銀行東京の再建に際し、四百億円の追加出資を決断したのは、石原知事も我が党も苦渋の選択でありましたが、新銀行東京の努力によって、再建計画二年目で通期黒字決算となりました。
 新銀行東京の懸命な努力を評価するとともに、これまでの無責任な意見に対する明快な、これは答えだと思います。
 一方で、中小零細企業の支援を十分に行うことこそがこの銀行の本来の使命であることを、これも肝に銘じなければなりません。そのためには、着実に新銀行東京の再建を進めることが必要です。本業の収支を示す実質業務純益は、改善傾向ではあるものの、依然として赤字です。まずは実質業務純益の黒字化に全力を傾けることが重要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、スポーツ振興局について伺います。
 スポーツを通じた成功、挫折の体験や、家族や地域の指導者とのコミュニケーションの促進は、子どもたちの心身の成長を促すとともに、希薄となってしまった家族のきずなや地域のきずなを再生へと導きます。スポーツ振興は、個人の健康増進はもとより、子どもの健全育成や地域の活性化という観点からもその重要性を増しています。
 とりわけ、国体開催を三年後に控えたこの時期にスポーツ振興を一層推進することは、多摩・島しょ地域を大きく活性化させます。
 都は、一体的に開催される障害者スポーツ大会を含めて、準備体制を十全に整え、国体成功に向けて全力で取り組んでいただきたい。
 また、スポーツ振興策を進めるに際しては、幅広い対象者に対して、ソフト、ハード両面からの施策を有機的に連携させながら展開することが肝要です。都が関係部署を一元化してスポーツ振興局を設置し、スポーツ施策を一層充実することは大いに意義のあることであります。
 そこで、改めて今回のスポーツ振興局の設置の意義と、今後のスポーツ振興策の展開について、知事の所見を伺います。
 次に、東京マラソンの法人化について伺います。
 知事の強いリーダーシップのもと、二〇〇七年に誕生した東京マラソンは、四回目となる二〇一〇年大会では三十一万人を超えるランナーが申し込むほどの人気の大会になりました。この機会をとらえ、この大会をさらに発展させていくことが重要であります。
 今回の法人化によって恒常的な組織が整備され、年一回のマラソン大会のみならず多様なニーズにこたられるような取り組みが期待されます。
 さらに、海外のメジャーなマラソン大会では、法人が年間を通じてさまざまなイベントを開催していると聞いています。今回の法人化は、東京マラソンを発展させる上で、まさに時宜を得たものだと思います。
 そこで、法人化を契機に、東京マラソンをどのように発展させていくのか、知事の所見を伺います。
 また、東京マラソンは、単なるマラソン大会の枠を超えて、日本を代表するビッグイベントに成長し、東京の観光振興や地域振興に極めて大きな意義を持つものと考えます。今回の法人化により、大会は財団が責任を持って安定的な運営をすることとなると考えます。都は、財団と連携を図り、この東京マラソンというイベントを全力で支援し、都民の期待にこたえていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、首都大学東京について伺います。
 知事は、旧弊を廃した新しい東京の実現を目指して、平成十七年に公立大学法人首都大学東京を立ち上げました。以来、課題解決能力の養成をねらいとした現場重視型教育の実践や、大都市の課題を踏まえた新たな分野への進出など、首都東京の将来を支える人材を育成するため、意欲的な取り組みを進めてきました。
 今回、首都大学東京の今後の方針となる中期目標が示されましたが、国立大学が不透明な財政運営を余儀なくされる中で、都として法人が目指す目標を明らかにしたことは、在学生や都民にとって心強いことと思います。
 この目標のもと、地域の環境保全活動からアジアを初めとする大学との交流まで、都が設置した大学として世界をリードする先進的な取り組みを行い、意欲と個性あふれる自立した人材を育成してくれることを期待します。
 そこで、これまでの成果を踏まえ、今後、首都大学東京に何を求めるのか、中期目標における都の考え方を伺います。
 次に、体力向上について伺います。
 報道によると、文部科学省の全国学力調査は本年度から三割程度に、全国体力テストは二割以下の抽出調査に縮減されました。
 学力と体力で抽出割合が異なり、しかも学力テストは希望すれば参加することは可能ですが、体力テストは抽出調査による参加のみしか認められていません。こうした統計調査は、国が全面的傾向を把握するためであれば抽出で事足りるものでありますが、都道府県や区市町村、そして学校や子どもの現状を把握することはできません。
 統計調査が悉皆になったり抽出になったりと、時々の考えに左右されれば、困るのは学校現場と教師であり、子どもたちも甚だ迷惑な話です。たとえ国が全国体力テストの規模を縮小しても、都独自に昨年度と同規模に実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 これまで都教育委員会は、学校体育の充実を通して、子どもの体力向上に取り組んできました。都内のある中学校では、体力テストの結果が都平均より相当低かったことから、学校を挙げて持久力向上に取り組んだ結果、東京都平均値を上回るだけではなくて、全国平均に迫るところまで向上したと聞いています。
 我が党は、この中学校のように、都内の小中高校すべての学校が問題意識を持って取り組むことが大切であると考えます。そのためには、すべての学校で体力テストを実施し、体力向上の取り組みを評価し、子ども一人一人の体力の向上を図るべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、特別支援教育について伺います。
 平成十九年の学校教育法の改正により、我が国は特殊教育から特別支援教育へと移行しました。特別支援教育では、視聴覚障害、聴覚障害などの従来の障害種別に加えて、小中学校、高等学校の通常の学級に在籍する学習障害、注意欠陥多動性障害やアスペルガー症候群といった発達障害も対象に含まれることになりました。
 また、障害のある子どもたちの教育の場も、養護学校などの特別な場だけではなく、通常の学級も含めて、すべての学校で実施することが示されました。これは、養護学校義務制の実施に次ぐ新たな時代の到来ともいえます。
 これまで発達障害のある子どもたちは、クラスの中では手間のかかる子ども、困った子どもとして扱われ、ややもすると学級崩壊の一因にと誤解されるなど、子ども自身も保護者も疎外感や焦燥感を感じてきました。
 こうした発達障害のある子どもたちのために、週数時間の特別な指導を行う通級指導学級の整備や教育内容、方法の充実が図られています。本年じゅうに策定予定の東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画においては、発達障害のある子どもたちへの適切な指導と必要な支援をより一層充実する方策を明確に打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
 近年、知的障害特別支援学校の児童生徒が急増傾向にあり、深刻な教室不足の状況にあります。障害の程度に応じた専門的な教育を行うことは、都の当然の責務であり、新たな学校の設置や特別支援学校全体の再編整備を含めて、教室確保対策に全力で取り組むべきと考えます。その際、児童生徒の通学時間にも十分に配慮することはいうまでもありません。
 第三次実施計画においては、必要な教室の確保のため、抜本的対応策を明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、我が党がこれまでも主張してきた肢体不自由特別支援学校における外部人材の導入について伺います。
 肢体不自由特別支援学校に在籍する障害の重い子どもたちに対して、適切な指導と必要な援助を行っていくには、教育と福祉、保健、医療等の専門家の連携による指導体制を構築することが大切であると考えます。
 現在、都教育委員会では、我が党の主張を踏まえて、永福学園などで介護などの複数の分野の専門家と教員が連携し、協力した指導体制の試行を行っています。従来の教員のみの教育現場に多様な分野の専門家を導入することは、教育内容、方法の充実の観点から意義あることです。
 第三次実施計画において、こうした取り組みをさらに広げるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、救急医療の東京ルールについて伺います。
 昨年八月から取り組みを開始した東京ルールは、地域で救急患者を受けとめ、救急医療を守るため、都民、医療機関、行政機関が協力、協働して取り組んでいくものです。
 開始後九カ月が経過し、地域救急医療センターを中心とした医療機関相互の連携や、救急患者受け入れコーディネーターによる広域調整などの仕組みが着実に定着していると聞いております。
 安心できる医療供給体制の確立に取り組む我が党としても、救急医療の迅速的確な運営は不可欠と考えており、東京ルールの運用について随時確認していきたいと思います。
 そこでまず、東京ルールのこれまでの実績について伺います。
 さて、東京ルールは、搬送困難な患者の受け入れ促進だけを目的に創設されたものではありません。救急医療の現状は、限られた医療資源の中で個々の緊急医療機関の使命感や努力のみでは限界があることを直視し、真に必要とする患者に迅速かつ的確な医療を提供すること、そして、緊急医療全体の底上げを図ることであったと認識をしております。
 今後、東京の救急医療が東京ルールによってどう向上したのか、課題はあるのか、全体の状況を含めた実証、検証が必要であると考えますが、所見を伺います。
 次に、小児医療について伺います。
 都が地域の医療課題の解決に向けて、昨年度策定した地域医療再生計画にも多くの小児医療施策が盛り込まれ、一層の充実強化を図ることとしています。
 こうした取り組みの柱の一つとして、こども救命センターの創設が挙げられます。昨年の第四回定例会では、高度な三次救急医療施設として、二十四時間体制で重篤な状況となった子どもの救命治療を行うとともに、小児救急医療の中核としての役割を担っていくと答弁をいただきました。
 新たに創設するこども救急センターと救命救急センターが連携して、お互いの機能を十分に発揮していくことが、子どもの命を守るためにも重要であります。都としてどのような取り組みを行っているのか、伺います。
 改めていうまでもなく、多摩地域の小児医療水準は、都立小児総合医療センターの開設により、地域全体として向上しています。しかしながら、高度専門的な医療提供を行う小児総合医療センターの円滑な運用とあわせて、二つの小児病院が移転した地域の小児初期及び小児二次の救急医療体制が十分確保されていることも必要です。
 都立小児病院再編後の医療提供体制はどのように確保されているのか、伺います。
 近年、我が国の医学の進歩、医療水準の向上は目覚ましいものがあり、病院の医療機能は一層の高度化、専門化が進んでいます。こうした中、都立病院は多摩総合医療センター、小児総合医療センターをことし三月に開設したほか、駒込病院、松沢病院で再編整備事業を推進するなど、小児救急医療、周産期医療、がん医療、感染症医療、精神医療といった都民にとって欠かせない高度専門医療の充実を図っております。
 一方、公社病院は、昨年四月に移管した豊島病院を除く五病院が地域医療支援病院の承認を受け、その設立目的である地域医療連携を一層推進し、地域の中核病院としての機能を強化してきました。
 こうした都立病院と公社病院とが互いの強みを生かして機能的に連携すれば、それぞれの医療資源をより効果的に都民に提供できるものと考えます。現に私の地元にある公社多摩南部地域病院は、消化器内科、リューマチ膠原病科などの分野で都立多摩総合医療センターと人材交流を進め、相互に医療機能を有効活用していることを承知しています。
 このような医療連携の取り組みをぜひ都立、公社病院全体に拡大して、都民の期待にさらにこたえてほしいと考えます。
 そこで、都立病院と公社病院の連携を今後どのように進めていこうとしているのか、伺います。
 また、とりわけ都民の関心が高い周産期医療の分野では、墨東病院や大塚病院を核とした地域医療連携が進んでいると聞いています。産科医師、助産師の絶対的な不足など、医療資源が極めて限られた状況の中で、地域と連携した都立病院の取り組みは高く評価できるものです。
 しかしながら、都民が真に安心できる周産期医療体制を実現するためには、都立病院として一層の体制の充実を図る必要性があります。
 そこで、今後の都立病院における周産期医療の充実に向けた取り組みについて伺います。
 次に、子育て支援策について伺います。
 我が党は、少子化問題は経済的給付だけで解決する問題ではなく、子育てサービスの充実や働き方の見直し等も必要であるとの認識に立ち、国、都、区市町村、民間事業者などと積極的な意見交換を行い、都に具体的な提言を行ったところであります。
 その中の一つが、待機児童解消に向けた認証保育所の定員拡大であり、認証保育所運営費補助の単価区分の細分化と、最も有利とされる定員三十人までの運営費補助単価を定員四十人までの事業所に拡大適用することでありました。
 都は、我が党の提案を受けた取り組みを平成二十二年度から展開していますが、その進捗状況について伺います。
 ところで、知事は先日の庁議において、縦割りに陥りがちな行政に横ぐしを刺すことの大切さを述べられておられました。少子化について、局横断的な対策本部を存続することは無論でありますが、対策のかなめである福祉保健局がその事務機能を一層充実し、事業の進捗状況を把握するとともに、各局と連携して施策の推進に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
 少子化の流れを反転させるには、長時間労働の解消、育児休業を取得しやすい職場づくりなど、労働環境の整備を進める必要性があります。特に我が国は、出産、子育てと仕事の二者択一を迫られ、子育て期に離職する女性の割合が高いのが現実です。
 育児休業が取得できる乳児期において、家庭や地域で安心して子育てを行い、育児休業取得後も円滑にもとの職場に復帰できることが極めて重要であり、このことにより、一つは家庭、地域での子育てを通じて、家族とのきずなや愛をはぐくみ、地域のつながりを深め、もう一つは優秀で多様な人材を確保して、企業の力を高めるという二つを同時に実現できるのではないかと考えます。
 我が党の主張を受け、都は新たに企業の先進的な取り組みに光を当て、それを支援することで、社会全体に波及させていく働き方の改革、東京モデル事業を本年度から実施しています。
 しかしながら、中小企業については取り組みが十分進んでいないという調査結果もあります。出産、子育てと仕事の両立を図り、真に働きやすい社会を実現するには、中小企業の取り組みにつなげていくことが重要です。
 都は、東京モデル事業を通じて、働き方の見直しをどのように浸透させていくのか、伺います。
 次に、高齢化対策について伺います。
 介護保険制度は、発足から十年が経過し、介護を必要とする高齢者を社会全体で支える仕組みとして定着したところです。
 今後、高齢化のピークは団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年ごろと予測されており、財政面の裏づけをもって介護基盤の整備を着実に推進するとともに、地域の見守り機能の充実に努めていく必要性があります。
 平成二十四年度は、診療報酬と同時に介護報酬の改定年度であり、介護保険制度の大改正も想定されています。
 そこで、次期報酬改定を含めた今後の制度改正に向けて、都はどのように考えているのか、所見を伺います。
 次に、元気高齢者についてですが、高齢者が望んでいる活躍の場は、本格的な就労に加え、地域での短時間の就労、ボランティア活動への参加などさまざまであります。ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者が急増し、社会全体で見守り、支える体制を強化する必要性がある中、地域活動に意欲があり、かつすぐれた経験やノウハウをお持ちの高齢者は貴重な存在です。
 地域社会の担い手として、元気高齢者の知識と技術を活用すべきであると考えますが、所見を伺います。
 次に、用途地域の権限移譲について伺います。
 国が設置した地域主権戦略会議において、現在都が持つ用途地域等の決定権限を区市町村に移譲する動きがあると聞いています。住民に身近なまちづくりを進めるために、地区計画や高度地区など、相当程度の制度が既に区市町村が決定主体となり、地域の意向を反映した運用が行われています。
 一方、用途地域等は、広域的な視点に基づき、市街地の土地利用を方向づける都市計画であり、都市全体が一体的な機能を発揮できるように、これまで都が決定、運用してきました。
 仮に区市町村ごとの方針でこの制度が運用されると、都市全体のバランスを考慮した広域拠点の形成なども困難となり、都市の一体性が損なわれ、東京ひいては日本全体の国際競争力が失墜することにもなりかねません。
 用途地域等の権限移譲に関する国の動きに対して、的確な対応が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、東京外かく環状道路について伺います。
 外環は、ひとり東京のみならず、広く国全体に便益が及ぶ重要な幹線道路であります。昨年十二月に事業説明会が開催され、本年一月からは現地について地質調査などが実施されましたが、平成二十二年度の当初予算の配分がなされませんでした。
 これに対して、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟は、東京商工会議所を初めとした民間団体とも連携し、政府に対して平成二十二年度予算において、用地買収などに必要な事業費を早期に配分するよう強く求めてまいりました。
 これらの要請活動もあり、本年四月には、生活再建と事業促進の観点から、国の直轄予算約五十八億円が措置されたところであります。
 地元においては、予算がついたことで外環整備への期待が高まっており、早期の用地買い取りを求める声も強く上がっております。
 国は、外環の重要性、地元住民の生活再建への影響を十分認識し、国の責任において整備を加速させるべきであり、都においても地元の声に早期にこたえていくべきと考えます。
 そこで、外環整備に対する都の取り組みについて伺います。
 次に、羽田空港のさらなる機能強化について伺います。
 羽田空港は、新しい滑走路が十月二十一日に供用開始され、その十日後に国際定期便が就航することになり、本格的な国際空港として新しいスタートを切ることになりました。
 国土交通省は、さきの成長戦略会議において、昼間の国際定期便をさらに年間三万回上積みをして、世界の主要都市に就航させる方針を提示しました。多くの課題を乗り越えて羽ばたこうとしているこの羽田空港を、今後は我が国の国際競争力の強化などの観点から、しっかりと活用していくことが肝要です。
 まさに現在、羽田の再拡張が成り、国際化がここまで進展してきたのは、知事が先頭に立って尽力してきた結果だろうと思いますが、知事はこの状況をどのように受けとめ、さらにその上で、羽田空港の機能強化をどのように進めていこうとしているのか、所見を伺います。
 次に、東京における市街地整備について伺います。
 東京は、区部全体の四分の一が区画整理や再開発等により市街地として整備され、産業の発展や都民生活の向上に大きな役割を担ってきました。
 さきの予算特別委員会で、首都高の大橋ジャンクションについて知事が答弁されたように、東京のような稠密な市街地で大規模な都市基盤を整備するには、再開発などまちづくりと一体となって進めることが不可欠です。
 また、密集市街地において、延焼遮断帯となる道路を整備する場合にも、道路単独ではなく、沿道建物共同化など、地域のまちづくりと一体となって進めることで、より防火性にすぐれた質の高いまちを実現できます。
 さらに、都が目指す環境先進都市を実現するには、環境や景観といった新しい課題にも十分対応しながら、東京の市街地の再生に取り組むことが必要と考えます。
 こうした中、都は東京における市街地整備の実施方針を発表しましたが、策定の意義と今後の方向性について伺います。
 次に、住宅を中心としたまちづくりについて伺います。
 我が党は、成熟都市東京の実現に向け、住宅まちづくりを積極的に進めることが必要とこれまでも訴えてきたところであり、このために東京都、東京都住宅供給公社、都市再生機構等の公的主体の取り組みに加え、民間事業者など、さまざまな主体による重層的、継続的な取り組みが不可欠だと考えます。
 まず都営住宅についてでありますが、経済の低迷が長期化する中、住宅に困窮する世帯に対し、都営住宅を供給することが一層重要になっています。少子高齢化も急速に進んでおり、子育て世帯や高齢世帯が安心して暮らしていく上で、都営住宅には大きな期待が寄せられています。
 我が党はこれまでも建てかえ事業について、昭和四十年代建設の住宅まで対象を拡大し推進すること、子育てしやすいように間取りなどの見直しを行うこと、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を拡大することなどを提言し、実現させてきました。
 今後、少子高齢化が一層進んでいくことを踏まえると、子育て世代の入居機会をさらに拡大することが必要です。また、建てかえに当たり、高齢世帯の生活実態などにも対応した、より使いやすい間取りの住宅を供給するとともに、福祉や環境対策など、地域のまちづくりに貢献していくことが必要と考えます。今後の都営住宅の供給や整備のあり方について、見解を伺います。
 次に、大規模な分譲団地の建てかえについてであります。
 都内では、今後、老朽マンションが急増すると予想され、まちづくりの上では、これらマンション、とりわけ大規模団地の建てかえの円滑化が重要と考えます。しかしながら、複数の住棟から成る大規模団地の建てかえでは、団地全体の決議とともに、棟ごとにも決議を経なければなりません。
 建てかえに対する考え方や世帯構成、年齢、経済状況も異なる多くの居住者の意見を取りまとめ、建てかえに向けた合意形成を図りながら建てかえを進めていくためには、居住者への説明や情報提供、居住者が抱くさまざまな不安への対応など、管理組合によるきめ細やかで粘り強い取り組みが不可欠であり、その際に外部の専門家の活用も必要となるなど、管理組合の人的、財政的負担も少なくありません。
 こうしたことから、都は、大規模団地型分譲マンションの建てかえの円滑化を図るため、管理組合を積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、核都市である多摩ニュータウンにおけるまちづくりについてですが、稲城、多摩、八王子、町田市の南多摩四市にまたがる多摩ニュータウンは、東京の人口急増による住宅難への対応と、区部周辺部のスプロール化防止を目的として、大量、良質な住宅供給とともに、道路、公園等の都市基盤が整備され、良好な市街地が形成されました。
 しかし、今日では、整備の当初段階には想定されなかった新たな課題が発生しています。多摩ニュータウンの高齢人口は、この五年間で五割も増加しています。特に多摩市の諏訪、永山といった初期入居地域は、高齢者人口比率が昨年十月で二四%に達し、都平均を上回っています。
 こうした状況の中、階段や急なスロープの多い道路やエレベーター未設置の住宅など、高齢者を初めとする生活者にとって必ずしも暮らしやすい住環境となっていません。さらに、活力を失いつつあるまちの再生や、世代を超えた交流促進に向けて必要な機能更新を進めるなど、時代のニーズに対応したまちづくりに取り組むことも重要です。
 そこで、都は、このような多摩ニュータウンのまちづくりの新たな課題について、どのように認識し取り組んでいくのか、所見を伺います。
 さて、まちづくりについては、多摩ニュータウンに限らず、三多摩地域の市町村においても、さまざまな努力や取り組みが進められているところであります。昨今の経済環境、雇用情勢の悪化などから、市町村を取り巻く状況はこれまで以上に厳しいものとなっています。
 都は、多摩地域の一層の振興に関し、本年の第一回定例会における我が党の代表質問に対して、多摩振興プロジェクトに関する事業促進に向けた国等への働きかけや市町村への支援とあわせて、都庁一丸となって取り組んでいくことの決意を述べました。
 このようなときにあるからこそ、都は率先して多摩振興プロジェクトの着実な推進に努めるとともに、これまで我が党が拡充を図ってきた市町村総合交付金などを活用し、効果的な財政支援を図りながら、市町村に対して適切に対応していくことが求められます。改めて、多摩振興の取り組みについて強く要望しておきます。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 現在、地球温暖化対策基本法案が国会で審議されていますが、その柱の一つである温室効果ガスの二五%削減目標は、すべての主要国が公平で意欲的な削減目標で合意することを前提条件としており、国内排出量取引制度の創設についても総量削減を基本としつつ、原単位方式も検討するとしているなど、法案はいわば基本的な方向が定まらないまま、目標数字や排出量取引という言葉だけが先走ったものとなっています。
 一方、都は、平成十九年六月に策定した気候変動対策方針において、大規模CO2排出事業所を対象としたキャップ・アンド・トレードの導入を提起し、本年四月には、日本初となる総量削減義務と排出量取引制度をスタートしました。
 制度構築では経済界とも幾度となく議論を重ね、東京をいち早く低炭素型都市へと転換し、省エネ技術の開発促進や需要拡大により、東京の成長活力をさらに高めようとしてきたのであります。
 また、国に対しては、国際的合意の有無にかかわらず、高い削減目標を明確にすることや、総量削減を中核とする実効あるキャップ・アンド・トレード制度を実現することなどを提言してきました。
 私は、こうした東京都の先駆的な取り組みを国際的にも発信し、世界の気候変動対策に貢献していくべきと考えます。来る六月十五日には、都市として初めて加盟したICAP、国際炭素行動パートナーシップ東京会議が開催されます。このICAP東京会議の開催を含め、都は今後、世界の気候変動対策にどのように貢献していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、自然の水循環を回復するための取り組みについて伺います。
 都心では、冷暖房や車の排熱、雨水浸透機能の低下等によりヒートアイランド化が進み、その湿度は世界の乾燥地帯に近づこうとしています。こうした気温上昇を抑えるため、水の循環は重要です。
 昭和三十年代まで東京にも大規模な水田があり、玉川上水を通じて山々で涵養された水が農業用水、水道用水となり、多摩の山々から皇居、東京湾へという自然の水循環が存在をしていました。「十年後の東京」計画で示した水と緑の回廊を実現するためには、こうした自然の水循環を現在に回復させるための取り組みを推進することが必要です。
 都はこれまで、荒廃した森林を整備し、保水機能の高い森へと生まれ変わらせるための森林の再生事業、地下水、湧水の保全、涵養のための雨水浸透対策の推進など、さまざまな施策に取り組んできました。
 しかし、さらに自然の水循環の回復のためには、こうした取り組みを推進すべきと考えます。改めて、望ましい水循環の形成に向けた考え方について伺います。
 山から清流水がわき出、玉川上水を通じて皇居のお堀に流れ込む、さらに東京湾へと注ぐという自然の水循環の回復は、東京の環境という観点からも極めて有意義な施策です。しかし、現在の皇居のお堀は水量が少なく、アオコが発生するなど、水質も極めて悪いといわざるを得ません。また、玉川上水からお堀には導水されていません。
 玉川上水が復活できれば、何百年もの歴史を経た上水路として、世界遺産の可能性すら秘めた、夢のある事業であります。夢を現実のものにするために、また、みずみずしい首都東京の実現のためにも、関係各局の密接な連携のもと、各局横断的な取り組みを強く要請しておきます。
 次に、硼素、弗素の排水規制について伺います。
 メッキ産業は東京のものづくりを代表する地場産業であり、各企業も環境対策に努力していますが、狭隘な施設で事業を営んでいるため、新たな排水処理スペースが見出しにくい状況です。
 そのため、平成十三年に水質汚濁防止法に硼素、弗素の一律排水基準が設定されましたが、メッキ産業などは直ちに適用は困難だとして、三年の暫定基準が設定され、その後、二回にわたって延長されてきました。さらに今般、暫定基準が三年延長されることとなり、都でも環境確保条例の改正案が本定例会に緊急提案されることとなりました。
 中小企業が中心の東京のメッキ業界の現状にかんがみると、今回の延長は極めて妥当であると評価するところでありますが、このままでは三年後に暫定基準が終了し、より厳しい一律基準が適用されることになります。
 そこで、今回の暫定基準の延長に至る経過と、それが終了する三年後に向けての対応について伺います。
 次に、多摩地区水道の経営改善について伺います。
 都は、市町への事務委託を順次解消し、長年にわたり取り組んできた都営一元化が間もなく一応の完成を見ます。ここに至るまでの各市町や水道局関係者の努力に敬意を表します。
 これまで、管網等について市町域単位で整備を行ってきたため、市町境を越えた広域的な取り組みを十分に行うことができませんでした。その結果、バックアップが不十分なため、事故時には広範囲に断水や濁水が発生するおそれがあるなど、区部とは大分格差があります。また、エネルギー的にも非効率な水の配り方をせざるを得ない状況であります。
 都への業務移行が平成二十三年度末に完了することを踏まえ、給水の安定性の向上や省エネルギーに本格的に取り組むべきと考えます。
 また、市町ごとに料金収納など、業務水準が大分異なっていると聞いています。市町の業務を受け入れる過程で顕在化した新たな課題にも、しっかりと取り組む必要性があります。今後、どう経営改善に取り組むのか、所見を伺います。
 今後本格化する施設整備に、市町の水道を支えてきた地元事業者の協力は不可欠です。現在は、我が党の要請により、原則として市町の契約方法を平成二十三年度まで継続することとなっています。
 しかし、平成二十四年度以降、一気に現行契約方法を見直した場合、経営基盤が脆弱で、都の業務の習熟過程にある多摩地区の事業者を排除することになりはしないか、多摩の水道の将来について本当に不安を感じざるを得ません。
 そこで、事務委託完全解消後の地元事業者の活用について、所見を伺います。
 次に、下水道事業における震災対策について伺います。
 我が党は、都民の安全・安心確保のため、繰り返し震災対策の必要性を訴えてきたところです。ことしは一月にハイチ地震、二月にチリ地震、四月に中国青海省地震と大地震が発生しました。
 もし東京で大地震が発生し、生活に直結するライフラインが寸断されれば、都民の生命が脅かされることになります。阪神・淡路大震災や中越地震では、被災者が多く集まる避難所などで、トイレ不足から被災者が水摂取を控え、エコノミークラス症候群を発症するなど、大きな社会問題となりました。
 こうした被害を繰り返さないよう、下水道管の耐震化を進めていくべきと考えますが、その取り組みについて伺います。
 また、中越地震では、地盤の液状化により、千四百カ所の下水道のマンホールが浮き上がりました。車両の通行が阻害され、救助活動などに支障を来しました。
 地盤の液状化によるマンホールの浮上抑制対策について、下水道局の取り組みを伺います。
 次に、防火安全対策について伺います。
 昨年の十一月に、杉並区高円寺の小規模雑居ビルで、不幸にも四人のとうとい命が失われる火災が発生しました。この火災事故から半年が過ぎ、東京消防庁では、これまで緊急の立入検査や関係業界への安全指導、同種事故の再発防止のための検討を行ってきたと聞いています。
 小規模雑居ビル対策については、平成十三年、新宿区歌舞伎町ビル火災発生後にも一斉立入検査が実施され、二年後にはすべての違反が是正されていました。
 しかし、大都市東京の雑居ビルにおけるテナントの入れかわりは頻繁で、新たな事業者が運営していることもあり、今回の立入検査の結果では、再び多数の違反が見られたのであります。また、こうした雑居ビルのテナントでは、防火管理体制の不備が多いことも明らかとなりました。
 これらの実態から、小規模雑居ビルにおける防火安全を考える上で、速やかに建物の使用状況を把握し、事業者の防火管理意識を向上させるとともに、違反の是正が見られない事業者には、強い姿勢で臨むことが重要と考えます。
 小規模雑居ビルの安全を確保するため、実効性の高い取り組みを実施していくべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例について申し上げます。
 この改正案の主な内容は、子どもを相手とする悪質な漫画等を書店等で成人コーナーに区分陳列し、子どもに見せない、売らないようにするものであります。さきの定例会で、やむを得ず継続審議とした本件について判断することは、議会として当然の責務であります。
 我が党は、この改正案に賛成の立場から、都民のため、条文をよりわかりやすくすること及び本制度のあり方を三年後に検証するなどを内容とする修正案を都議会公明党の皆様とともに作成しました。今後、各会派の賛同を呼びかけてまいります。
 昨日、お子さんを持つ親御さんを中心とした皆様から、改正案の早期成立を求める四万五千人近い署名が議長あてに提出されました。次代を担う子どもたちを守るため、都民の負託を受けた都議会として、良識ある判断をすべきであることを申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) こいそ明議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、政治をつかさどる者の覚悟についてでありますが、民主党の前政権は、残念ながら国家観も国家運営のてにをはも持たぬままに、迷走し続けた感は否めないと思います。理念ならぬ、ただのセンチメントに飾られたマニフェストに呪縛された財源の裏づけのない歳出拡大にせよ、感情を吐露するだけで一向に説得力のない言葉の羅列ばかりでありました。官僚支配を廃すという政治主導のかけ声だけでいたずらに役人を遠ざけ、これをうまく使いこなすこともできませんでしたな。
 かつての日本の国政は、非常に重要な歴史の岐路にあって、置かれた現実を冷静に把握し、将来を見据えた決断を行ってきたものでした。日清戦争後の三国干渉に直面した、時の外相の陸奥宗光は、他策なかりしを信ぜむと欲すとの決意で事態にも臨んだものです。
 鳩山首相がもてあそんで傷つけてしまった日米安全保障条約も、五十年前、当時の岸信介首相が安保闘争の騒乱の中で、テロの白刃に襲われながら、みずからの生命をかけて、さらに国運をかけて成立させたものでありました。こうした国を背負った決断の積み重ねによって、日本は曲がりなりにも現在の地位を重ねてきたわけであります。
 政治をつかさどる者に必要なのは、ただ周囲に好かれようという八方美人な態度ではなく、国を思い、国民を説得し、国家の針路、ありさまを示していく強い覚悟であると思います。選挙を前にして、政権の表紙は変わったようでありますが、そうした強い覚悟を新政権が持たなければ、日本は衰退の一路をたどるしかないような気がいたします。(発言する者あり)黙って聞け。
 次いで、外国人への地方参政権の付与についてでありますが、私は、外国人への地方参政権付与には、絶対に、絶対に、絶対に反対であります。この問題にかまけて鳩山総理は、この日本列島は日本国民だけのものではないといいました。これは恐ろしい発言ですね。一国の最高のリーダーというものが自国の領土に関してこういう発言をする。
 さらに、私が普天間の問題にかまけて全国知事会で質問しました。そのときに、かねて中国や台湾が途中から主権を主張してきている尖閣の問題について、この際はっきりと問い詰めたらどうだということをいいましたら、この問題については日中でこれから協議すべきだといいました。これは一体、一国をあずかる宰相のいうべき言葉でありましょうか。
 いずれにしろ、間もなく参議院の選挙が始まりますが、日本の安危を左右しかねないこの問題について何が争点になるか、もう一回この問題を皆さん、国民が思い返して、今度の選挙の争点こそ、永住外国人に地方の参政権を与えるかどうかというものを国民に問うべきだと私は思います。
 地方の時代といわれる今日において、地方の行政機能が国家の命運に関する問題が多々あります。例えば、原発の問題あるいは基地の設置の問題、かつて下北半島の本当に僻地につくられました再処理の施設も、あれがなければ日本の原子力行政は進みませんでしたが、これは賛否両論ありましたけれども、かろうじてあの地で受け入れられて今日稼働しております。
 この地方というものは、国運を左右しかねない大きな、つまり政治的なイベントというものを地方だけの意思で左右するということは、私は非常に恐ろしいと思います。わずか数百票というレベルで地方の意思決定が行われる可能性がありまして、外国人の意思が自治体の意思を決め、ひいては国家の利益を左右してしまう、この制度を断じて許すわけにはいきません。
 ちなみに、今、日本に永住している特別永住者、外国人、北鮮の人、韓国の人、中国の人含めてこれが四十二万人。一般永住者が四十九万人。合わせて百万近い人がいるわけですけど、この人たちが仮に自分たちが国籍を持っている国の利益にかかわりかねない地方の問題について移動して投票したときには、そういう問題を決めかねない地方の行政というものをこの投票によって左右される。
 ちなみに、IAEAも監視している六ヶ所村の再処理、あれを設けた六ヶ所村の村議会というのは、有権者がわずか九千三百五十人ですから、この定数の過半数の十三人は四百票以下で通るわけです。
 政府はようやく腰を上げたかどうか知りませんけど、中国が領有を主張して、日本の領土でないといっている沖ノ鳥島。私、先んじてここに漁業基地をつくって魚礁を設けて、非常に漁獲が上がっているため、このごろ台湾、朝鮮、中国、韓国の漁船が来なくなりましたが、ここに何らかの基地をこれからつくろうという意向があるようであり、この間相談を受けましたけれども、この発進基地になる小笠原村の村長の選挙は有権者千九百人弱でありますから、村長の選挙はわずか七百十九票で決まっちゃうんです。こういう状況というものを私たちは看過するわけにはいかないと思います。
 いずれにしろ、国政は正当な認識に立って、みずからの持つ権力がどのような作用をもたらすか、情緒や感傷だけではなく、しっかりした理念を構築して、現実感を持ってこの問題を進めるべきだと思います。
 いずれにしろ、友愛か何か知りませんが、もちろん外国人と私たちは友好の関係を持たなくちゃいけませんけど、そうしたセンチメントと理念は全く違うということを銘記すべきであります。
 私は、日本の帰化に関する法律はそれほど厳しくないと思います。もし日本の政治というものに、地方に限らず、国政においても参加したいと思うなら、その方々は帰化したらよろしい。帰化するということは、たとえ一見して出生地はアフリカであるとわかっている真っ黒な顔色の人も、明らかに顔つきが日本人と違う人も、現に国会議員になった人が北欧の出身でいますが、この人たちはどうして帰化したか。明らかに私たちが培ってきた、この日本人が培ってきた伝統と文化というものに敬意を持ち、そして愛着を持っているから日本人になったんでしょう。私はそういう人間でなければ、いかなる部分であっても国運を左右しかねない地方の行政に参加する資格はないと思います。
 続いて、新銀行東京についてでありますが、二十一年度決算が開業以来初の黒字となったことは、新銀行東京のスタッフが渾身の努力をしてくれた成果でありまして、再建への道が開けたと考えております。
 新銀行東京の取引先には、現在も他の金融機関では支援がしがたい赤字、債務超過先が多数含まれておりまして、さらに、中小企業等の金融円滑化法に先んじてリスケジュールを実行するなど、多くの小零細企業を支援しております。
 このリスケジュールも銀行に課せられた大事な業務でありますけれども、率直にいって、大手の銀行はほとんどやっていませんね。何をやっているかといったら、実態には、見殺しにして倒産させて面倒くさい作業を避けているんですよ。
 このごろ金融庁に督促されてどれほど動いているか知りませんが、少なくとも大手の銀行に比べて、新銀行東京は実に綿密に小さな経営者たちと相談して、金融円滑化をすべく知恵を凝らしてまいりました。
 こうした支援を継続するとともに、お話の実質業務純益の黒字化に向けて、さらなる経営努力を重ねることが必要と考えております。
 新銀行東京が再建を果たし、設立した当初の目的どおり、小零細企業の金融機関としてその役割を果たすように、セカンドステージへのてこ入れも含めて、これからも全力を挙げてまいります。
 次いで、スポーツ振興局の設置の意義と今後のスポーツ振興策の展開についてでありますが、体育という項目が教育の中にあるのは恐らく日本だけだと思いますね。これは、クーベルタン男爵と非常に共感を分かち合った日本の指導者の一人であります嘉納治五郎先生がいい出したことでありますけれども、体育とスポーツは違います。明らかに違います。
 私たちが問題にしているのはスポーツでありまして、恐らく運動会をやったり、それから体育の時間に全員が並んで運動したり、そういうしきたりを持っているのは日本だけだと思いますが、これは結構だと思いますけれども、これとスポーツの振興とは違います。スポーツそのものは、他者との戦い、相克にも耐え得る肉体と精神を鍛え、協調性や忍耐力を涵養するなど、豊かな人間形成を促進するために欠かせないものであります。
 また、教育や医療、高齢者、障害者福祉など多様な分野の政策との相乗効果を発揮することで、多岐にわたる問題の隘路を切り開き、首都東京に変革をもたらす大きな可能性を秘めております。
 一方、二○一六年オリンピック・パラリンピック招致活動を通じて、都民のスポーツに対する意識の高まりやスポーツ界との関係の深化など、スポーツ振興を一層促進するための苗を植えることができました。加えて、三年後に控えた東京国体の準備体制を万全に整え、これを確実に成功させなければなりません。
 このようなスポーツの有する重要性と都の現状を踏まえて、ソフト、ハードの両面から総合的、体系的なスポーツ振興策を展開するため、国に先駆けてスポーツ振興局を設置することといたしました。
 スポーツを日本の未来を切り開く起爆剤とするべく、今後も国を先導するスポーツ行政を展開していかなくてはならないと思っています。
 このごろの若者、特に男の若者が草食化したということをいわれることしきりでありますけれども、これは言葉の解釈はいろいろあるでしょうが、私は、やっぱり気骨のあって、気概のあって、忍耐力があって、活力のある若者がいてくれなければ、この国は衰退すると思います。
 そういった若者を養成していくためにも、スポーツはとにかく有効な手段の一つである。これは、決して私は体育を否定するものではありませんが、スポーツと体育はおのずから違うということもわきまえた上で、私たちはスポーツに一層の力を入れていくべきだと思っております。
 次いで、東京マラソンの法人化についてでありますが、東京マラソンは三万五千人のランナー、大会を支える一万人のボランティア、そして沿道で応援する百六十万、ことしもそうでしたが、百六十万人を超える観衆が一体となったお祭りでありました。まさに東京が一つになる日として定着した感がございます。
 また、昨年九月には国際陸上競技連盟のゴールドラベルを取得し、日本では、びわ湖マラソンに次いでこの東京が、二つだけがゴールドラベルを獲得しておりますけれども、海外からも高い評価を得る大会に成長しました。
 今や三十一万人を超えるランナーが応募する東京マラソンには、さらなる発展に向けて、さまざまな要望や期待が寄せられておりまして、今回、この大会の価値を最大限に活用し、機動的な運営を実現するために、法人組織に移行することといたしました。ニューヨーク、ロンドンあるいはボストン、ベルリンといった海外の主要マラソンはいずれもこうした法人組織で運営しております。
 今回の法人化を契機に、例えばチャリティーの実施による収益を社会に還元する取り組みや、年一回のマラソン大会だけではなくて、年間を通じて多彩な事業を展開するなど、東京マラソンの魅力を一層高め、多くの人々にアピールしていきたいと思っております。
 こうした取り組みを通じて、ニューヨークやロンドンなど、海外のメジャーマラソンを超える、名実ともに世界最高峰の大会へと進化させていきたいと思っております。
 次いで、用途地域等の権限移譲についてでありますが、東京は首都でありまして、政治、経済、文化など多様な機能が高度に集積している世界的にも例を見ない大都市であります。この特殊性をしんしゃくしないで、用途地域等に関する都市計画の決定権限を機械的に全国一律の考え方で区市町村に移譲すると、東京は機能的にばらばらの都市になってしまいます。
 これまで都は、区市町村と連携して、東京全体のバランスを考慮しながら、用途地域等を決定、運用し、機能集積のメリットの発揮や首都としての風格ある景観形成を進めてまいりました。このやり方は、日本の成長エンジンである東京の都市づくりを進める上で十分機能していると思います。
 ちなみに、今の政府は、基礎自治体に全部こういった権限を移譲するといいますけれども、東京の二十三区という世界で最も集積、集中が進んだ高度な機能を持ったこの地域と、神奈川県においては基礎自治体の一つになります横浜市とほとんど同じ大きさです。大阪市もほとんど同じ大きさです。これを一緒くたにして、とにかく基礎自治体ということで東京の二十三区それぞれにこういった権限を分与しますと、これは都市計画というよりも収集のつかないことになりかねないということを私は懸念しているわけです。
 先月、国に対しても、東京の実情を踏まえた適切な対応をとるように申し入れを行うとともに、さきの関東地方知事会でも、この問題に関する緊急アピールを提案し、全知事の賛同も得ました。今後もあらゆる機会をとらえて、都の主張が受け入れられるように国に対して強く働きかけてまいります。
 先般突然招集された全国知事会でも、臨席しておりました原口総務大臣に、この問題について、地図の上ではかってみてもらいたい、東京の二十三区と、青葉区、何区、たくさん設けている横浜市と、あるいは大阪市とほとんど同じ大きさなのですよといいましたら、なるほど、そうですなといっていましたが、これが認識としてどういうふうに反映されるかは、これから私たちもなお努力しなくちゃいけないことだと思います。
 次いで、羽田空港のさらなる機能強化についてでありますが、羽田の再拡張、国際化は、知事就任以来というか、私が運輸大臣のときから考えたことでありまして、最重要課題として取り組んではきましたが、いよいよこの十月に新しい滑走路と国際線ターミナルの供用が開始されます。
 国は最近になって、昼間の国際線発着を数年後に六万回まで拡大する方針を打ち出しましたが、これに沿って、深夜、早朝のみならず、昼間の時間帯にも需要が多く、ビジネスニーズの高い欧州や米国、長距離アジアの首都、主要都市へと就航することになります。羽田空港が本格的な国際空港として生まれ変わり、それが有為に活用されるのは大きな前進でありまして、まさに当初からねらったとおりになってきたと思います。
 ですが、首都圏の国際線の発着はまだ十分でなく、さらに近い将来、首都圏の航空需要が空港容量を大きく上回ってしまうことが見込まれております。これらを解決するには、なお残る羽田の昼間の発着枠二万七千回についても、極力国際線に振り向けるとともに、平時は余裕のある横田の滑走路の有効活用を含め、あらゆる角度から容量拡大策を検討することが必要であります。
 羽田はもとより首都圏の空港が我が国の繁栄の牽引車として十二分に機能し、活用されるよう、さらなる空港機能の充実を国に求めてまいります。
 一方、皆さん、一つこれを想起していただきたいんですが、JR東海のリーダーの葛西君が、とにかく単独でも東京、大阪を瞬時に結ぶリニアを費用調達してつくるといっていますが、私のときに、あの試験線を宮崎から山梨県に移しました。もしこれが完成したら、多分、長野を経てでしょうけど、ワンストップで、ドア・ツー・ドアで、東京―大阪間が一時間弱で結ばれるわけです。多分発進地は、東京では品川、大阪はどこでしょうかね。そう郊外に置くわけにいかないとなると、東京―大阪間の一番頻度の高い、一番需要の多い航空機の需要はなくなりますね。
 そうするとまた、国内線の要するにあんばいというものはかなり大きく変わってくる。これは、やっぱり日本の技術があってこその新しい局面だと思いますけど、私たちは、やっぱり、いつの日かの将来、日本の開発した技術が東京―大阪という大経済圏を結ぶアクセスとして完成されるときには、航空機の需要という形も随分変わってくるということは、やっぱり今から銘記しておく必要があるんじゃないかと思います。
 次いで、世界の気候変動対策への東京都の貢献についてでありますが、国際社会はCO2削減に関する枠づくりで混迷を深め、新たな合意への展開は一向に開けておりませんけど、地球温暖化は間違いなく予測を超えて進行しております。
 現に、太平洋の赤道近辺の、ツバルも含めてフィジーその他ですけど、こういった島国はどんどんどんどん浸食されておりますし、繰り返して申しますけれども、NASAの主任教授でありますハンセン博士は、あと十六、七年で、いわれてから十七年から切りましたが、だから十五、六年で北極海の氷は全滅して解けるだろう。航路が開けて結構だという人もいますけど、これはかなりゆゆしき問題でありまして、これは何も北極圏の氷だけではなくて、ヒマラヤも含めて地球の極地の氷というものが壊滅して流れると。
 こういった気候変動の危機を回避するには、対策に取り組む意思と能力を有する者が率先して取り組みを強化していかなければならないと思います。
 ICAP東京会議は間もなく開かれますけれども、各国、地域の気候変動対策の中核的施策でありますキャップ・アンド・トレードの成果と教訓を内外に明らかにする意義深い会議となると思います。
 いずれにしろ、世界でこの東京だけが都市としてこのICAPに資格を得て参加しているまちであります。これまでの東京の取り組みで蓄積したノウハウを志のある国や州、都市に積極的に提供して、世界の気候変動対策に貢献していきたいと思っております。
 他の質問については教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、昨年度と同規模での体力テストの実施についてでございます。
 平成二十年度から始まりました全国体力・運動能力、運動習慣等調査におきましては、小学校五年生と中学校二年生を対象とし、参加校を募って実施したものでございます。
 東京都では、平成二十年度には小学校の七三%、中学校の七四%の学校、合計七万五千人の児童生徒が参加し、平成二十一年度には、小学校、中学校ともに学校数で八八%、児童生徒数で合計九万八千人が参加して実施されました。
 お話のとおり、平成二十二年度においては、文部科学省が抽出調査に縮小した結果、東京都では、小学校で七%、中学校で八・七%の学校、合計一万四千人の児童生徒の参加にとどまることとなりました。
 そもそも体力テストは、毎年同じ種目を同じ方法で実施するために、体力の経年変化や学級、学校等の集団の傾向を確実に把握できるという意義がありますが、規模を縮小した抽出調査では、区市町村や学校単位の現状等を把握することや、学年ごとの児童生徒の経年変化等を比較することができず、有効な対策を講じることが難しくなるという問題がございます。
 このため、都教育委員会は、文部科学省に対して、対象となる学年のすべての児童生徒が参加できる全国体力・運動能力、運動習慣等調査を継続して実施するように要望いたしますとともに、今年度については、東京都独自に、昨年度と同規模で小学校五年生と中学校二年生を対象とした体力テストを実施いたします。
 次に、全校における体力テストの実施についてでございます。
 お話のとおり、児童生徒の体力向上のためには、一人一人の体力の現状と課題を明らかにした上で、学校としての取り組みを推進することが大切でございます。
 今後、都教育委員会は、すべての小学校から高校までの児童生徒の体力の把握に努め、その結果を児童生徒に還元いたしますとともに、その評価、分析に基づく授業改善等を推進してまいります。
 また、小学校から高校までのすべての学校において、児童生徒の個々の実態を踏まえ、具体的な目標に到達するための実効性のある一校一取り組み運動を開始し、すぐれた学校を顕彰してまいります。
 こうしたことにより、より一層、東京都の子ども一人一人の体力の向上に努めてまいります。
 次に、発達障害のある子どもたちに対する支援についてでございますが、平成十九年度の学校教育法改正により、小中学校や高等学校の通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒も特別支援教育の対象に位置づけられたことを受け、こうした児童生徒に対する支援体制の整備と教育内容の充実を図ることが教育行政の新たな責務となりました。
 都教育委員会はこれまで、小中学校の通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒のために、週数時間の特別な指導を行う通級指導学級の整備を進めたところでございますが、今後は、発達障害のある児童生徒にとってより身近な教育の場である在籍校や在籍学級における指導内容、指導体制の充実を図り、すべての学校において適切な指導と必要な支援を実施できる特別支援教育の推進に努めることが重要であると考えております。
 このため、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、区市町村と連携した小中学校における校内支援体制の構築や、高等学校における個別指導計画を活用した指導の充実など、発達障害のある児童生徒に対する教育の充実策について計画化し、推進してまいります。
 次に、教室不足解消のための抜本的な対応策についてでございます。
 都立の特別支援学校と区市町村立の小中学校は、適切な役割分担のもとに、障害のある児童生徒の教育の場を確保することとしており、知的障害の児童生徒数が増加する中で、都立知的障害特別支援学校においては、この役割分担を踏まえて教室確保を図っていく必要がございます。
 このため、第三次実施計画において、小中高等部の学部改編や重度重複障害に対する指導効果を踏まえた他の障害種別の学校との併置化、さらに校舎の増改築など、特別支援学校全体の再編整備を進めながら、必要な教室の確保を図ってまいります。
 また、学校ごとの教室の整備状況を踏まえ、通学区域の調整等を通して、特定の学校への児童生徒数の偏りを是正していくことによる教室の確保にも努めてまいります。その際は、ご指摘のとおり、通学時間について十分配慮してまいります。
 肢体不自由特別支援学校における外部専門家の活用についてでございます。
 児童生徒の障害が重度重複化する中で、教員だけではなく、ご指摘のように、福祉、保健、医療等の分野の専門家を導入することで、肢体不自由特別支援学校における教育体制の充実整備を図っていくことが重要でございます。
 そのため、都教育委員会では、現在、理学療法士や作業療法士等の肢体不自由特別支援学校への導入を進めているところでございます。
 また、永福学園と青峰学園におきましては、理学療法士等に加え、介護の専門家を導入し、教員と医療、介護等の各分野の専門家の役割分担を明確にしつつ、それぞれの専門性を発揮したチームアプローチによる指導体制を試行しております。
 都教育委員会といたしましては、試行の成果を検証しつつ、第三次実施計画において外部専門家の活用の拡充を図ってまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) 都市整備に関する五点のご質問にお答えいたします。
 まず、市街地整備の実施方針の策定意義と今後の方向性についてでございますが、区画整理や再開発などの市街地整備事業は、これまで活力ある東京の実現に大きな役割を果たしてきました。しかしながら、環境、景観といった新たな課題への対応や財源確保など、事業を取り巻く状況は大きく変化しております。
 この実施方針は、市街地整備の分野で目指すべき方向や重点的に取り組む施策を明らかにし、地元自治体や民間部門の行動を促すことによって、より質の高い都市づくりを進めることをねらいとして策定したものでございます。
 今後の市街地整備では、民間の力を最大限に引き出し、スピード感を持って進めることが重要でございまして、基盤整備を促進する視点や拠点形成を促進する視点、また、道路整備と沿道まちづくりを一体的に進め防災性の向上を図る視点等に立って、事業の重点化を図ってまいります。
 その際、都は、関係者の利害を調整し計画を取りまとめる機能を十二分に発揮するとともに、これまで施行者として蓄積してきた経験やノウハウ、さらには技術力を備えた人材を活用することで、地元自治体や民間事業者等の取り組みを支援してまいります。
 今後、この方針に沿って具体的な取り組みを進め、東京をより一層活力と魅力にあふれた都市へと再生してまいります。
 次に、今後の都営住宅の供給や整備のあり方についてでございますが、少子高齢化が進行し、厳しい経済状況が続く中、子育て世帯や高齢世帯を初め、市場において自力で適正な水準の住宅を確保することが困難な世帯に対して、的確に都営住宅を供給し、居住の安定を確保していくことが重要でございます。
 これまでも、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居募集を拡大し、実施してまいりました。また、建てかえ事業において、子育てに配慮し、小規模世帯向け住宅の間取りを見直すとともに、建てかえ戸数の段階的な拡大にも努めてまいりました。
 今後は、若年ファミリー世帯向け期限つき入居の一層の推進を図るとともに、建てかえで供給する住宅について、高齢の単身世帯が介護を必要とする場合なども考慮し、間取りの見直しを検討してまいります。
 さらに、建てかえ事業の推進に合わせ、福祉施設や防災施設の整備、緑の創出等にも積極的に取り組んでまいります。
 これらの取り組みにより、多様な世帯にとって一層住みやすい都営住宅を整備し、供給するとともに、地域のまちづくりに寄与してまいります。
 次に、大規模な団地型分譲マンションの建てかえについてでございますが、大規模団地において円滑な建てかえを促進することは、良質な住宅ストックの形成を図るとともに、周辺との一体的なまちづくりを誘導する上でも重要であります。
 一方で、大規模団地の建てかえには、区分所有者が極めて多いことなどから、ご指摘のような合意形成を図る上での特有の課題がございます。
 これまでも都は、マンション建てかえの円滑化を図るため、管理組合への情報提供や仮移転先としての都営住宅の提供、都市居住再生促進事業による建設工事費等の一部助成などの支援を行ってまいりました。
 これらに加え、今年度からは、大規模団地の建てかえに際し管理組合等が行う説明会の開催や専門家への相談など、合意形成を図るためのさまざまな取り組みに対し助成する、都独自のマンション建てかえ円滑化モデル事業を創設し、管理組合等を支援してまいります。
 次に、多摩ニュータウンのまちづくりの新たな課題についてでございますが、多摩ニュータウンは、東京の急速な人口増加による住宅難への対応とスプロール化の防止を目的として、昭和四十一年に事業が開始されました。その後、職と住のバランスのとれた複合型の拠点として整備が行われ、多摩の核都市として発展してきております。
 その一方で、入居開始から約四十年が経過し、この間の社会経済情勢や都市づくりを取り巻く環境が大きく変化しております。
 こうした中で、ご指摘のとおり、高齢化対応や地域の活性化など、さまざまな課題が顕在してきていると認識しております。
 都としては、昨年公表した東京の都市づくりビジョンや、多摩の拠点整備基本計画を踏まえつつ、地元市などとの適切な役割分担を基本に、相互に連携を図りながら、時代の変化により生じたこうしたまちづくりに関する課題に取り組んでまいります。
 最後に、望ましい水循環の形成についてでございますが、水は、循環して生態系を支え、蒸発散を繰り返すことにより気温の上昇を緩和するとともに、景観に潤いを与える水辺を形成するなど、良好な都市環境をはぐくむ上で大切な役割を果たしております。
 こうした観点から、都は、森林や樹林地の保全、公園緑地における雨水浸透施設の整備等により、地下水の涵養を図ってまいりました。
 また、湧水、河川の水量維持、水路における清流復活等により身近な水辺を創出するなど、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 今後とも、関係局が連携して、水循環の視点も含め、水にかかわる多様な施策を効果的に展開し、「十年後の東京」計画で示した水と緑の回廊の実現に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の経営力の強化と販路開拓に対する支援についてであります。
 厳しい経営環境が続く中、都は昨年度、中小企業経営力向上支援事業等によりまして、二千十六社の都内中小企業に対して、経営診断やその結果明らかとなった課題の解決に向けたアドバイスを行うとともに、販路開拓が必要とされた三百五社の企業に対し、展示会出展等の助成を行いました。
 こうした支援を受けた企業からは、経営の問題点やその解決策が明らかになるとともに、商談が成立して新たな顧客開拓につながったとの報告が寄せられるなど、本事業の成果は着実に上がっております。
 しかし、中小企業を取り巻く状況は依然として厳しく、引き続き経営力の強化に向け、目指せ中小企業経営力強化事業により新たな支援を行うことといたしました。
 具体的には、昨年度に実施した企業からの要望や意見を踏まえ、経営診断で使うチェックシートの内容を絞り込んで重点化したり、診断の際の会社訪問の回数をふやすなどの仕組みの充実を図っております。また、複数の企業による共同出展がよりPR効果等も高いことから、グループでの出展に対する助成を充実する工夫を行っております。
 こうしたさまざまな取り組みを重ね、中小企業の経営力強化と販路開拓への支援を充実してまいります。
 次に、事業再生にかかわる販路開拓支援のあり方についてであります。
 都はこれまでも、中小企業振興公社において再生支援に係る窓口相談を実施するとともに、より専門的な支援が必要な案件は、弁護士などの専門家で構成する事業承継・再生支援委員会が再生方針案を策定いたしまして企業に提案するなど、事業再生に向けた支援を着実に行ってまいりました。
 同委員会が策定した方針案のうち、事業再生に当たって販路開拓が効果的とされる案件は全体の約六割を占めており、事業再生には新たな販路の開拓が不可欠な状況にございます。
 このため、同委員会で販路開拓が必要とされた案件につきましては、目指せ中小企業経営力強化事業における展示会出展等の助成対象とすることで、より効果的に事業再生が図られるよう、強力に取り組んでまいります。
 次に、海外販路開拓支援に関する具体的な取り組みについてであります。
 アジア市場の発展は目覚ましく、今後も大きな成長が続くと見込まれることから、都内中小企業の販路開拓をさらに支援していくことは重要であります。
 こうした中、中小企業振興公社が約一万社を対象に実施した調査では、海外取引に取り組む企業の割合は二年前と比べ倍増しております。アジア市場での販路拡大に向けた中小企業の関心は高まっております。
 その一方で、中小企業が単独で海外市場の情報収集やマーケティングを行い、さらには現地で信用のできる取引先を見出すことは困難な場合が多くなっております。
 このため、都は、今年度から海外販路開拓支援事業を開始いたしまして、商社のOB等による海外販路ナビゲーターが、お話のように現地でのマーケティング情報の収集及び提供や、取引上のリスクを回避するためのアドバイスを実施するなど、中小企業の販路開拓に不可欠なさまざまな支援をきめ細かく行うことといたしました。
 既に、アジア七カ国にネットワークを持つ商社と連携し、現地の情報をタイムリーに収集するなど、海外販路ナビゲーターをサポートする体制も整備いたしました。
 これらの取り組みにより、すぐれた技術力と製品を有する都内中小企業のアジアにおける販路拡大を強力に支援してまいります。
 次に、改正貸金業法の完全施行についての対応でありますが、同法につきましては、その内容についての認知度が低いとの指摘も多く、都としては、同法の円滑な施行に向け周知、広報を行っております。
 貸金業者に対しましては、先月五回にわたり、関東財務局と連携して説明会を開催しております。およそ六百者の参加のもと、総量規制の概要を中心に、例えば個人事業者が提出する事業計画等の記載事項の簡素化などの内閣府令の改正などの周知を図っております。
 また、資金の借り手に対しては、「広報東京都」などを活用した広報活動を行うとともに、区市町村の広報誌や中小企業振興公社の機関誌などへの掲載も進めております。
 引き続き改正貸金業法の内容について周知、広報に取り組んでまいります。
 次に、貸金業の利用者に与える影響でありますが、改正貸金業法につきましては、ご指摘のとおり、上限金利の引き下げなどにより、貸金業者の貸出姿勢に影響が出るおそれがあるとする報道があることは承知しております。
 都としては、これまでも国に対して、完全施行を控えての貸金業者の準備状況等を伝えてまいりましたが、完全施行後においても引き続き貸金業者の動向などを国に伝えてまいります。
 また、お話のありました個人事業者については、資金繰りなどで貸金業を利用している実態がございますことから、国においては、完全施行を円滑に実施するための十の方策において、こうした個人事業者を総量規制の例外とするなどの措置を講じることとしております。
 法人形態である中小企業者につきましても、代表者個人が貸金業を利用している実態があると聞いておりまして、都としては、完全施行後においても、個人事業者を含む都内中小企業者による事業資金の調達が円滑に行われるよう、法の施行状況を注意深く見守ってまいります。
 また、中小企業振興公社に特別相談窓口を設置し、中小企業者に対し、法の改正内容の案内や経営全般について相談を行ってまいります。
 最後に、東京モデル事業を通じた中小企業における働き方の見直しについてであります。
 少子化を打破するためには、仕事と出産や子育てが両立できる雇用環境の整備が不可欠でございます。このため、都は、働き方を見直す企業の先進的な取り組みをモデル事業として支援し、広く社会に発信する、働き方の改革東京モデル事業を今年度から新たに実施いたします。
 特に、中小企業におきましては働き方の見直しについてノウハウが不足している等の課題がありますことから、事業の実施に当たっては、中小企業が関心を持ち、取り組むきっかけとなるような波及効果の高いプロジェクトを選定してまいります。
 また、取引先企業も含めたグループや複数の企業が連携して行うプロジェクトも支援対象といたしているほか、補助率の上乗せを行うなど、中小企業が参加しやすい仕組みとしております。
 この事業のモデルとなった事例は、成果だけでなく実施状況や課題についても、他の企業の参考となるよう、ホームページやさまざまな広報媒体を活用して広く周知を図り、中小企業に働き方の見直しを促してまいります。
 これらを通じて、子育てをしながら働き続けられるよう、雇用環境改善の機運を中小企業に浸透いたしまして、東京から働き方の改革を先導してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 東京マラソンに対する都の支援についてでございますが、本年二月に開催された東京マラソンでは、沿道に約百六十六万人観客が訪れ、都内各地から百五十団体がさまざまな応援イベントに参加するなど、東京の観光振興や地域振興に大きな意義がございました。
 今回の法人化により、機動的な組織が整備され、年一回の大会のみならず、年間を通じて幅広い世代の人々が楽しめるさまざまなランニングイベントなどを展開することが可能となり、東京マラソンをさらに発展させることが期待されております。
 都は、こうした財団の取り組みを支援するために、引き続き東京大マラソン祭りを実施するとともに、財団が行うファミリーランなどの事業が円滑に進みますよう、都民へ広報を初め、商店街や町会との連携支援など、都の役割を積極的に果たしてまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 首都大学東京の中期目標についてお答えいたします。
 平成十七年の開学以来、首都大学東京では、都市課題に応じた新コースの設置、自治体や企業における現場実習など、既存の大学にはない新しい取り組みを行ってまいりました。また、経営努力により生み出した財源を活用し新たな研究棟を開設するなど、法人化のメリットを生かして教育研究の充実を図ってまいりました。
 こうした成果を踏まえまして、平成二十三年度以降、第二期の中期目標では、自律的かつ安定的、弾力的な法人運営のもと、これまでの取り組みを継承、発展させるとともに、社会状況や学生像の変化などに柔軟に対応した事業展開を行っていくことを基本的な方針としております。
 第二期におきまして、法人が都の施策を踏まえ、環境問題など大都市共通の課題に戦略的に取り組み、国内外の研究機関等との人材交流や共同研究の拠点として、国際的に通用する人材を育成することにより、その存在意義を一層高め、都民の期待にこたえていくよう、法人に求めてまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 八点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、救急医療の東京ルールについてでございますが、昨年八月に開始した東京ルールは、医療機関の連携により、受け入れ病院を迅速に選定するなど、地域全体で救急患者を受けとめることを目指した取り組みであり、現在、都内十二圏域のうち十圏域で救急患者の受け入れ調整等を担う地域救急医療センターを指定しております。残りの二圏域につきましても、今月中にセンターを指定し、運用を開始する予定でございます。
 本年三月末までに東京ルールに基づいて受け入れ病院を選定した事案は六千六百八十件であり、一日当たり三十一・四件となっております。
 次に、救急医療の検証についてでございますが、東京ルールに基づく搬送調整の対象となった患者の約八割は、圏域内の医療機関で受け入れられており、地域救急医療センターを中心としたネットワークが機能していると考えております。
 一方で、東京ルールに基づく搬送調整事案の中には、困難な背景を有することから、地域救急医療センターなどが患者の受け入れ調整に時間を要するケースもございます。こうしたことから、現在、東京消防庁と協力をして、東京ルールを含めた救急医療全体の状況の検証を進めております。
 今後、その評価を行った上で、地域救急医療センターを初めとした医療機関等と連携を図りながら、都における救急医療体制の一層の充実に努めてまいります。
 次に、こども救命センターの取り組みについてでございますが、ご指摘のとおり、こども救命センターと救命救急センターがその機能を十分に発揮することが重要であり、都は、それぞれのセンターの役割分担や連携の仕組みなどについて検討を行い、子ども救命搬送システムとして定めたところでございます。
 本システムでは、重篤な小児救急患者をまず直近の救命救急センターに搬送し、迅速に初期の救命治療を行い、引き続き集中治療管理などを要する場合には、こども救命センターへ搬送することで、より充実した救命救急医療を提供するものでございます。
 今後、この夏にも四カ所のこども救命センターを指定するとともに、子ども救命搬送システムの運用を開始し、小児救急医療体制の一層の充実を図ってまいります。
 次に、都立小児病院再編後の医療体制についてでございますが、北多摩北部地域については、多摩北部医療センターで実施している平日準夜間帯での小児初期救急医療を週三日から週五日に拡大するとともに、小児病床数を十三床から三十五床に拡充いたしました。さらに、都独自に小児科医師の確保支援などを行い、同センター及び公立昭和病院の小児科の体制を強化いたしました。
 八王子地域につきましては、小児病床を二つの大学病院で合わせて十二床ふやすとともに、都立小児総合医療センターから医師を派遣するなどの医療提供体制の確保を図っております。
 また、新たに南多摩病院においては、四月に小児科外来を開設し、六月一日からは入院医療を開始するとともに、大学病院と連携して、救急患者の受け入れも行っております。これに加えまして、近隣の日野市立病院、日本医科大学多摩永山病院、稲城市立病院の各病院についても、小児科病床の拡充など体制強化を図っております。
 今後とも、地域の方々が安心できる小児医療の充実に取り組んでまいります。
 次に、認証保育所の定員拡大についてでございますが、待機児童の解消に向けては、新規施設の設置だけではなく、既存施設の定員規模の拡充も有効でございます。このため、認証保育所の運営費補助単価の最も高い適用区分を、従来の定員三十人までから四十人までに広げ、区市町村と連携しながら、事業者や関係団体に定員拡大を促しております。
 本年四月一日には、新規開設による千二百五十二人の定員増に加えまして、既存施設においても四百二十八人分の定員拡大が行われ、合計で千六百八十人分の増加となっております。
 今後とも、認証保育所の設置促進や既存施設の定員拡大はもとより、多様な手法を総動員し、待機児童の解消に積極的に取り組んでまいります。
 次に、少子化対策への取り組みについてでございますが、今回の少子化打破緊急対策では、これまで展開されてきた施策を束ね、社会全体で子育てを支える体制へと集中し、保育、医療を初め、働き方や住宅などの施策を重層的、複合的に実施しております。
 安心して子どもを産み育てられることができる東京を実現するためには、それぞれの取り組みを着実に進めることに加え、局を超えて連携し、一層効果的な施策の展開を図る必要がございます。
 お話にありましたとおり、子育て施策の中心を担う福祉保健局として、関係事業の進捗状況等を総合的に把握することはもとより、国の動向等も見定めつつ、各局の先頭に立って施策の推進に取り組んでまいります。
 次に、介護保険制度の改正に向けた対応についてでございますが、都は、高齢者保健福祉計画に基づき、認知症高齢者グループホームや特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備を進めるとともに、介護保険制度の適正な運営に努めております。
 また、高齢者が安心して生活できる都市モデルを創造するため、国に対し、地価の高い都市部において、居室面積基準などの緩和を求め実現をいたしました都市型軽費老人ホームなどのケアつき住まいや、在宅の高齢者を支援するシルバー交番設置事業にも新たに取り組んでおります。
 こうした取り組みを踏まえ、大都市にふさわしい施設の基準や、介護報酬のあり方を含め、地域包括支援センターの機能強化や介護予防の効率的な実施など、制度全体の見直しについても、国に対し時期を逸することなく提案をしてまいります。
 最後に、元気高齢者の知識と技術の活用についてでございますが、都は、本年三月、団塊世代・元気高齢者地域活性化推進協議会から、元気な高齢者が多様な社会貢献活動を行い、地域社会の担い手として活躍していくための取り組みについて提言を受けました。
 都はこのような取り組みを促進するため、地域で活動する団体や企業の事例等を紹介するTokyoシニア情報サイトを運営するとともに、高齢者の地域活動やネットワークづくりなどについて区市町村包括補助制度により支援を行っております。
 今後、団塊の世代が六十五歳以上となる超高齢社会に向けて、高齢者の豊富な経験や知恵を生かし、豊かな地域社会を目指す取り組みを、区市町村とも連携をして積極的に進めてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 都立病院等に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院と公社病院の連携についてでありますが、医療人材など限りある資源を最大限有効活用し、都民が必要とする医療サービスを的確に提供するためには、ご指摘のとおり、都立病院と公社病院の連携を推進することが重要であると認識しております。
 このため、お話にあった多摩南部地域病院の取り組みのほか、小児総合医療センターの医師を多摩北部医療センターに派遣し、地域医療の確保を図るとともに、人材育成に役立てるなどの取り組みを進めてまいりました。
 また、これと並行して、昨年十月には都立・公社病院連携推進協議会を設置し、都立、公社病院全体の具体的な連携策の検討を開始したところでございます。
 今後は、例えば都立駒込病院を基点に、がん医療の連携体制を強化していくなど、それぞれの病院の強みを生かした多様な連携策を構築し、都立、公社病院の医療サービスの一層の充実につなげてまいります。
 次に、今後の都立病院における周産期医療の充実に向けた取り組みについてでありますが、これまで都立病院においては、医師の処遇改善や大学への働きかけを強化するなどして、産科医師の増員、体制整備を着実に行ってまいりました。
 また、地域との医療連携も推進してきており、この五月からは、大塚病院において、妊娠経過や疾患の状況に応じ、地域の産婦人科医師と機能分担して診療に当たる、産婦人科地域医療連携システム、いわゆる大塚モデルの運用を開始いたしました。
 今後は、産科、新生児科医師の確保、育成を引き続き行うとともに、多摩地域の周産期医療の中核として、この四月に総合周産期母子医療センターの指定を受けた多摩総合医療センター、小児総合医療センターにおいて、スーパー総合周産期センターの指定を視野に入れた医療体制の一層の充実に取り組んでまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 外環整備に対する都の取り組みでございますが、外環は東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、首都圏の環境改善など、ひとり東京のためだけでなく、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であります。
 特に、近年のアジア諸国の急速な成長の中で、国際競争力を高め、我が国経済を成長軌道に乗せていくことは喫緊の課題であります。外環の整備はその切り札となります。そのため、これまでも国に対しては、必要な事業費の確保と早期完成を強く求めてまいりました。
 新年度に入り、ようやく国の直轄事業予算が措置されたことから、都は、多くの地権者の方々からの用地買い取りを求める声におこたえするため、東京都建設局外環大泉事務所を開設いたしました。さらに、用地取得を進めるため、受委託契約を国と締結し、地元地権者の方々からの具体的な質問や相談にお答えするなど、積極的に取り組んでまいりました。
 今後とも、これまでも都が道路整備で培ってきた現地、現場に根差した全国屈指の用地取得の経験と実績を最大限に生かし、外環事業を全力で推進し、早期完成に結びつけてまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 硼素、弗素の排水規制についてお答えいたします。
 環境省の検討会で実態把握を行ったところ、メッキ産業などにつきましては、排水処理技術がいまだ十分に確立されていないことなどから、水質汚濁防止法の規定に基づく暫定排水基準を三年間延長することとなり、六月一日に環境省令が改正され告示されました。
 これを受けて、都としても、都内の状況もかんがみまして、環境確保条例の暫定基準を三年間延長するための改正案を急遽ご提案いたしました。
 しかし、このままでは三年後に一律基準が適用され、メッキ産業などでさらなる排水処理の改善が必要となります。中小企業が導入可能で低廉な排水処理技術は、国が主体となって開発誘導すべきものであることから、庁内各局とも連携しまして、国に対して早期に開発するよう引き続き強く要求してまいります。
   〔水道局長尾崎勝君登壇〕

○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の経営改善への取り組みについてでございますが、多摩地区の給水安定性を高めるためには、ご指摘のとおり、広域的なバックアップ機能の強化が不可欠でございます。
 そのためには、これまで十分に整備できなかった市町境を越えた配水管ネットワークを形成して、高低差のある地形特性を生かした配水区域に再編してまいります。これにより、広域水道のメリットの発揮とエネルギー効率の向上を図ってまいります。
 また、業務移管に伴い、施設管理や検針、収納などの業務水準が市町ごとに異なることが明らかとなったことから、これらの改善、統一化にも取り組みます。
 今後の経営改善を着実に推進するため、新たな五カ年計画を早急に策定して、積極的に取り組んでまいります。
 次に、地元事業者の活用についてございますが、地域の水道を支えてきた地元事業者の活用は、今後とも重要であると認識しております。現在、メーター引きかえや水道管維持補修の工事請負単価契約におきまして、市町の業務移管が完全に終了する平成二十三年度末までは、原則として市町が行っていた契約方法を継続していくこととしております。
 平成二十四年度以降は、都の契約方法に見直していくこととなりますが、資格要件等が異なるほか、零細な事業者が多いため、技術力の向上や都の業務への習熟に一定期間が必要であります。このため、都の契約方法への見直しに当たりましては段階的に行うこととし、その間に講習等により地元事業者の育成に取り組んでまいります。
   〔下水道局長松田二郎君登壇〕

○下水道局長(松田二郎君) 下水道事業における震災対策についての二つのご質問にお答えいたします。
 まず、下水道管の耐震化の取り組みについてでございますが、阪神・淡路大震災では、口径の小さい下水道管とマンホールの接続部に多くの被害が確認をされました。このことから、震災時においても下水道機能を確保するためには、接続部を耐震化することが重要でございます。
 具体的には、接続部を柔軟性のある構造に改良することが有効でございます。この取り組みを、震災時に多くの人が集まる避難所や災害拠点病院などの排水を受けている下水道管に重点化して進めております。
 区部においては、平成二十一年度末までに対象施設二千カ所のうち約千五百カ所の耐震化が完了いたしました。
 今後は、地域防災計画の避難所等の見直しにあわせ、対象施設を二千五百カ所に拡大し、平成二十七年度末までに対策を完了させてまいります。
 また、多摩地区においても耐震化の取り組みが促進されるよう、口径の小さい下水道管を管理する市町村に対し、技術的な支援を行ってまいります。
 次に、地盤の液状化による下水道のマンホール浮上抑制対策についてでございます。
 震災時の迅速な救助活動や応急復旧活動の支障にならないよう、液状化のおそれがある地域の緊急輸送道路や避難道路約五百キロメートルを対象に、平成十九年度より既設のマンホールの浮上抑制対策に取り組んでおります。
 具体的には、浮上の原因である地下水圧の上昇を抑えるため、地震時に地下水をマンホールに取り込む改造を、道路を掘ることなくマンホール内で行うものでございます。この技術は当局が民間と共同で開発をしたもので、他の自治体でも導入が進められております。
 平成二十一年度末までに約百五十キロメートルで対策が完了し、残る区間についても今年度中の完了に向け、関係機関と協力し鋭意取り組んでいるところでございます。
 さらに、今後は、避難所などにつながるアクセス道路約千五百キロメートルに対象を拡大して、浮上抑制対策を進めてまいります。
 こうした対策を推進し、震災時における下水道機能の確保に向けて全力で取り組んでまいります。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

○消防総監(新井雄治君) 小規模雑居ビル等の防火安全対策についてでありますが、高円寺南雑居ビルの火災後に実施いたしました緊急一斉立入検査の結果、平成十三年の新宿歌舞伎町の火災当時に比べ、消防用設備等の未設置などの重大違反は減少したものの、テナントの入れかわりが頻繁で関係者の防火意識が希薄なため、防火対象物の使用を開始するに当たって届け出がなされず、同一対象物に防火管理に係る消防法令違反が繰り返されている状況が認められております。
 こうした小規模雑居ビル等の安全を高めていくためには、ご指摘のとおり、使用実態を的確に把握し、関係者の防火への意識づけと法令遵守を徹底する対策が必要であると認識しております。
 このことから、小規模雑居ビルの実態調査を初め、テナントの変更状況を早期に把握する方策をより積極的に講ずるとともに、二十四時間専従の職員による機動査察体制を確立するなどして、防火意識の低い対象物に徹底した査察を実施することとしています。
 また、都民が建物の安全情報を把握できるよう、法令違反を繰り返している対象物について、条例改正も視野に入れ違反内容を公表する制度の創設を検討しております。
 今後とも、関係行政機関や地域の商店街などとより積極的に連携しながら、防火安全対策の万全を期してまいります。

○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十七分休憩

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