平成二十二年東京都議会会議録第八号

   午後一時一分開議

○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(田中良君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 平成二十二年六月四日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案一件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(田中良君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第百三十三号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(田中良君) これより質問に入ります。
 百二十一番山下太郎君。
   〔百二十一番山下太郎君登壇〕

○百二十一番(山下太郎君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 去る五月十四日、鈴木俊一元東京都知事がご逝去されました。鈴木元知事は、戦後日本の地方自治の礎を築かれ、さらに副知事、知事として、東京都の発展に偉大な貢献をなされました。同三十日には、戦後の日本のスポーツの発展に尽力された青木半治日本陸上競技連盟名誉会長がご逝去されました。ここに謹んで故人のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げます。
 さて、今月四日、前民主党都連会長であった菅直人衆議院議員が、第九十四代総理大臣に選出をされました。ここ東京から総理大臣が誕生するのは、鳩山一郎総理以来であり、多摩地域から初の総理大臣であります。私たち都議会民主党も、菅総理とともに、国民の生活が第一の政治の実現に努めることを表明させていただきます。
 初めに、補正予算について伺います。
 当初予算成立直後の補正予算は、都単独のものとしては珍しく、昭和四十八年以降、最小規模の増額補正となっています。今回は、緊急対応が必要なものに限って予算上の措置をするとして、東京マラソンの運営主体の法人化、上野動物園へのジャイアントパンダの導入、財団法人東京都道路整備保全公社からの寄附が上げられています。いずれも、今回の予算のみならず、都における監理団体のあり方や、動物園の運営などとも密接にかかわるものであり、将来の都政を見据えて、議論を深めていく必要があります。
 最初に、東京マラソンの運営主体の法人化について伺います。
 東京マラソンは、既に四回開催され、倍率も年々ふえ、本年度は八・九倍にも及ぶなど、都民の間で定着してきています。そうした中での法人化です。その根拠として、都は、運営主体を法人化することで安定した事業運営や責任の明確化、幅広い事業の展開などが可能になると説明しています。
 しかしながら、これまでも東京マラソンは成功裏に進められてきております。特段、運営に問題はなかったと考えられないでしょうか。あえて税金から八億円を出資し、運営主体を法人化するというのであれば、それだけの問題が今まであったということを示すとともに、法人化することで東京マラソンがどう変わるのか、その八億円に見合った都民へのリターンは何かをはっきりと都民に示す必要があります。東京都の見解を伺います。
 単にマラソンの運営主体を法人化する必要があるというのであれば、何も新たに設立せず、既存の団体を活用することはできないでしょうか。国においては、政権交代以降、事業仕分けによって独立行政法人や、公益法人に対する天下りや、それにかかわる随意契約、補助金の問題にメスを入れており、国民の関心は非常に高いものがあります。都においても、監理団体の廃止を含め、その見直しを進めてきました。
 このような折も折、新たに監理団体を設立することは、一見すると、これまでの行政改革の流れと逆行するかに見えます。現在の団体、東京都スポーツ文化事業団を活用すれば、管理費などを削減でき、より効率的な運営が可能になるのではないでしょうか。
 なぜ新たに団体を設立する必要があるのか、お伺いをいたします。
 新たに監理団体がふえれば、都の職員の再就職、いわゆる天下りに対する都民の懸念もあります。この点についても、ここではっきりとさせておく必要があります。新たな財団に都からの天下りはないといい切れるのでしょうか、お伺いをいたします。
 都議会民主党は、かねてから、監理団体について、その公益性を含めた見直しや経営情報の積極的な開示など、主権者である都民の視点に立った監理団体改革を推進していくことを求めてまいりました。しかし、現時点で、各監理団体がその使命を果たしているのか、税金のむだ遣いの温床になってはいないかという都民の懸念に十分にこたえているとはいえません。
 都は、マラソンの運営主体を法人化、監理団体化することで、責任の所在を明確にすると説明しますが、それは監理団体の改革が進むことが前提であります。そのためには、団体の自律性を高める天下りの削減や契約実態の公開の推進などを都民に対して、より示していかなければなりません。監理団体の改革をさらに進めていくために、都としてどのように指導監督していくのか、伺います。
 次に、道路整備保全公社からの寄附金に関連して伺います。
 去る二月に公表された道路整備保全公社にかかわる包括外部監査において、都有地の駐車場運営などの収益が原資となっている三十億円以上の積立金は、将来の使途が明確ではない特定資産であり、公益法人認定で遊休財産制限に触れる懸念があるとの指摘を受けました。今回の寄附金は、この指摘を受けて、道路整備保全公社が早急に事業計画を変更し、公益事業として都に十億円を寄附すると判断したものであります。
 では、公社は、どのような考えに立って、都に十億円を寄附するという判断に至ったのでしょうか、見解を伺います。
 道路整備保全公社は、本年度中に、五年間で電気自動車用急速充電設備の都内設置など、残額二十億円の使用計画を策定していくとのことですが、ここで改めて監理団体が行うべき事業、適当な事業とは何かを考える機会であると考えています。漫然と基金を積み立てるのではなく、事業計画を立て、団体の公共目的に沿って事業を実施していくことが重要と考えますが、監理団体が行うべき事業とは何か、都の見解を伺います。
 包括外部監査の対象となった道路整備保全公社以外にも、収益を積立金として抱え込み、有効に活用されていない、いわゆる都の埋蔵金は、他の監理団体にも存在するのではないでしょうか。
 監理団体は、本来、公共性の高い分野において、質の高いサービスを効率的かつ効果的に都民に提供するために存在するものです。こうした監理団体設置の趣旨からも、都の埋蔵金については、金額の大小にかかわらず、公益事業に使用する計画を明確に立て、しっかりと都民に還元していくべきであります。
 都は、こうした積立金、特定資産の実態を把握し、そのあり方はどうあるべきかと明確にしていく必要があります。そして、将来の使途が明確でない積立金の都への返還も含め、速やかに都民のために還元するよう監理団体に対して指導すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ジャイアントパンダの導入に関連して、動物園の運営について伺います。
 ことしは国際生物多様性年ということで、都立動物園においてもさまざまな啓発イベントが開催されているところであります。動物園は、小さな子どもから大人まで、生物の多様性を身近に感じられる絶好の場であり、より多くの都民に多様な動物に触れていただくことで、多様な生物とその生育環境を守り、これを将来に伝えていくことの重要性を理解していただくことにつながるものと考えます。
 今回のパンダ導入は、都民の皆様や地元の高い期待にこたえたものであり、上野動物園の入場者数増加の起爆剤となることが期待されていますが、一方で、パンダのような人気がある動物がいなくても、さまざまな展示の工夫によって、動物園の魅力を向上させることも大切です。都立動物園が都民だけでなく、より広く国民全体にとって親しみやすく、魅力あふれたものにするためには、今回のパンダの復活を契機に、園の創意工夫によって展示方法を一層魅力あるものにしていくなど、取り組みが求められると考えています。
 加えて、大幅な税収減に直面するなど、厳しい財政環境の中にあっては、入場者数の増加だけでなく、コストの見直しなど、都民の税金だけに頼らない、効率的で魅力ある動物園経営のあり方も問われており、より一層の経営努力が必要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 都は、これまでもスポーツ振興基本計画を策定し、スポーツ都市東京の実現に取り組んでまいりましたが、今回、各局に分かれているスポーツ関連部署を統合し、新たに条例局、スポーツ振興局をつくるとしています。都の調査によると、全くスポーツを行わない都民が二割を超え、その六割が仕事、家事などが忙しく時間がない、機会がないとしています。
 こうした中で、都は、運動、スポーツによる健康増進などのスポーツの持つ効果をどう都民に浸透させ、企業などにもその重要性を一層周知させていくかが課題といえます。また、子どもたちがスポーツに親しむため、学校との一層の連携も重要であります。
 この新組織は、都民の健康増進を図るなど、スポーツ振興の推進にどのような相乗効果をもたらすのでしょうか、都に見解を伺います。
 都では現在、平成二十五年開催予定の国体と全国障害者スポーツ大会の開催準備を担う体制づくりを行っており、今年度は開催の正式決定と実行委員会の設立を予定しています。
 また、地域振興の観点からも、両大会を契機として、多摩や島しょの市町村振興が一層推進されていくことも期待されています。
 都は、スポーツ振興と地域振興の双方から、両大会をいかにこれまでにない国内最高の総合スポーツ大会と障害者スポーツの祭典にしようと考えているのでしょうか。都は、スポーツ振興局を新設することによって、国体、全国障害者スポーツ大会にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、まちづくりについて伺います。
 現在、政府の地域主権戦略会議において、地域のことは地域に住む住民が決める地域主権の観点から、地域主権戦略大綱の策定に向けた検討が進められており、その中で、三大都市圏における用途地域等の決定などの事務権限を市町村に移譲することが挙げられています。
 しかし、私たちは、特別区においては、地域に身近なまちづくりの権限は既に相当部分が移譲されており、その上で、さらに広域の見地から決定すべき都市計画権限を都から特別区に移譲することは、市街地の連担する地域における良好な都市づくりに支障を来す可能性があると考えています。
 例えば、現行制度においても、区境において、一方の区では都市計画法による絶対高さ制限がかけられているにもかかわらず、もう一方の区ではそのような網がかかっていないことから、建物高さをめぐる建築紛争が発生するといった問題も現実に起こっています。
 そのため、私たちは、単純に検討されているような権限移譲を行うのではなく、市街地の連担性の観点から、メガロポリスとしての都市構造計画は東京都が担い、コミュニティのまちづくり、都市計画については特別区が担うよう、都市計画制度全体の事務権限を改めて整理し直す必要があるのではないかと考えています。
 このような用途地域等の決定などの事務権限の特別区への移譲に対する都の認識を伺います。
 都は、昨年七月に改定した東京の都市づくりビジョンを効率的に実現していくための指針として、先月、東京における市街地整備の実施方針を策定しました。この方針は、サブタイトル、公と民、公と民の連携によって実現する質の高いまちづくりに端的に示されているとおり、公共と民間のパートナーシップを重視しています。
 そこで、今後、市街地整備に当たっての公共と民間のパートナーシップのあるべき姿について、どのように認識し、都は、その中でどのような役割を果たそうとしているのか、お伺いをいたします。
 市街地整備の実施方針では、これまで市街地整備が事業完了までに重点が置かれていたことから、完了後における地区の魅力の維持増進を図る視点が十分でなかったとの反省に立ち、今後は質の高い市街地の形成と、その持続に向け、計画の初期段階から事業完了後の管理運営までを見据えてまちづくりを進めることが重要としています。
 そのために、事業を担う主体に対して、事業完了後は関係住民や企業が主体となって地域の管理運営を行っていくエリアマネジメントの導入を働きかけていくことが明示されました。
 私たちは、地域の良好なコミュニティの形成、再生という観点からも、この取り組みは極めて重要と考えますが、今後のエリアマネジメントの導入に向けた都の具体的な取り組みについて所見を伺います。
 次に、築地市場の再整備について伺います。
 築地市場については、平成二十二年度中央卸売市場会計予算に対する付帯決議に基づき、現在地再整備の可能性について検討することになっています。
 私たち都議会民主党は、より多くの都民の皆さんのアイデアを募るべく、去る四月十三日から募集を行い、その結果については、五月の三十一日に公表したところでありますが、実に四十五件ものアイデアが寄せられました。その内容も、本当に一人一人が築地市場のことを真剣に考え、築地市場のことを愛してやまないんだなということを実感させられるものでありましたし、建築の専門家を初め、市場関係者などからも本当に熱心なアイデアをいただきました。
 今後、私たち都議会民主党は、寄せられたアイデアを類型化しながら、都議会に提示し、検討材料として役立てていきたいと考えています。
 付帯決議では、知事は、議会における検討結果を尊重するとなっており、また、予算特別委員会の締めくくり総括質疑でも、石原知事は、議会における現在地再整備の検討結果について真摯に受けとめると答弁するとともに、執行機関として、現在地再整備の組織を設けていくと答弁されたところであります。
 そこで、東京都におけるこれまでの取り組みと今後の対応についてお伺いをいたします。
 私たちは、さきの予算特別委員会において、議会での検討結果が出され、その必要性が認められるまで、予算の執行についても凍結すべきであると主張し、これに対して石原知事も、議会の合意に示された意思を尊重する旨答弁されました。
 付帯決議にあるように、現在地再整備の可能性について検討し、一定期間内に検討結果を得るためには、付帯決議に賛成をした会派を初め、都議会の皆様方のご協力が不可欠であります。この場をおかりして、皆様方のご協力をお願いし、次の質問に入ります。
 次に、産業政策について伺います。
 東京都が平成十九年十二月に策定した産業振興指針は、三年目の今年度をもってその計画期間が終了することとなっています。この指針は、同年夏以降に顕著になったサブプライムローン問題や、翌二十年九月のリーマンショックがある中でも、それなりの意義のある指針であったと考えていますが、来年度以降、東京都の産業政策は、さらに目的の明確化を図り、選択と集中を強めていくべきだと考えます。
 政府においても、この六月に成長戦略を示すことになっていますが、環境、健康、観光といった分野へのさらなる重点投資がその一例であります。
 また、アジアを見据えた国際市場への対応、あるいは地域における産業の集積化、集約化の促進、そして、これらを実現するための税制やまちづくりなどを含めた総合的な支援も、より充実させていく必要があります。
 加えて、政府における中小企業憲章の制定を見据え、経済活力の源泉である中小企業がその力を思う存分発揮できるような施策の展開も求められております。
 私は、こうした視点を踏まえて、東京都の産業施策を積極的に展開していくべきと考えますが、今後の取り組みについて見解を伺います。
 次に、海外企業の誘致についてであります。
 国際社会における都市間競争が熾烈さをきわめる中で、東京が国際ビジネス拠点としての地位を高めていくためには、これまで以上に企業の誘致に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
 既に東京都では、外資系企業やその家族を対象に、ワンストップで相談、情報提供ができる東京ビジネスエントリーポイントを運営していますが、大阪府の外国企業誘致センター、O―BICが誘致実績を公表したり、静岡県浜松市が世界的なクラスターであるドイツのイエナ市との事業連携を進めているものに比べると、まだまだといった感があります。
 東京という都市が、国際ビジネス拠点としての地位を高めていくためには、先端産業の集積、高度化を国際的な視点から図っていくべきだと考えますが、外国企業の誘致に向けた取り組みについて見解を伺います。
 また、経済成長が著しく、将来の巨大マーケットとして期待されている中国を初めとするアジア市場について、販売ルートをつくり上げていく中小企業の取り組みを支援していくことも重要であります。
 現在、東京都では、海外販路開拓支援事業を立ち上げ、アジア地域を初めとする海外の情報収集力や販売ノウハウが不足する中小企業を支援しようとしています。しかし、海外に販路を拡大するといっても、取引先のいる現地情報の入手さえままならず、不安ばかりが先行し、なかなか商談に踏み切れない中小企業も多いと伺っております。東京都としても、中国などに現地事務所を設け、情報収集に当たらせるくらいの積極的な意気込みを示し、販路拡大の支援に取り組むべきではないでしょうか。
 私は、中小企業がアジアで販路を広げるためには、現地の情報収集にとどまることなく、さまざまな取り組みを幅広く展開することも重要と考えますが、今後、中小企業の海外販路開拓支援事業をどのように進めていくのか、見解を伺います。
 さて、我が多摩地域においても、アジアを代表する産業拠点を目指して多摩シリコンバレーの形成が求められています。二月二十二日にオープンした産業サポートスクエア・TAMAでは、この六月一日からインキュベーションオフィスの入居が始まり、先端的ものづくり分野や研究開発型企業の創業が進んでいます。
 一方、「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇では、今年度の取り組みとして、多摩シリコンバレーの中核となる研究開発型企業の世界的な集積に向けて検討することになっていました。
 私は、こうした取り組みを着実に進め、多摩シリコンバレーの形成を積極的に進めていくべきだと考えています。研究開発機能の強化も含めた多摩シリコンバレーの取り組みについて、見解を伺います。
 さらに、羽田空港の国際化を契機に、東京における国際コンベンションやイベント、見本市などの誘致をさらに積極的に進めていくべきと考えています。
 現在、東京都では国際コンベンションの誘致強化に向けて積極的に取り組んでおり、この間、国際コンベンションの開催回数は大きく伸びています。例えば、日本政府観光局が発表している国際会議統計でも、国際的な都市の比較において二十位後半を前後していた東京が二〇〇七年には八位、二〇〇八年には六位と大きく飛躍しています。
 しかし、昨今では、観光振興を図る観点から、MICEの必要性も指摘されています。MICEとは、企業等の会議を示すミーティング、企業の行う報奨研修旅行のインセンティブトラベル、国際コンベンションのコンベンション、イベントということで頭文字をとって訪日外国人の増加や経済効果などが見込めるものをもっと幅広く誘致しようというものであります。
 私は、羽田空港の国際化を契機に、こうした国際コンベンションを初めとするMICEの誘致に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京についてお伺いをいたします。
 五月二十一日、新銀行東京の平成二十二年三月期決算が発表されました。当期利益が十五億円と開業以来初の黒字を達成しましたが、本業の収益をあらわす実質業務純益は改善されているとはいえ、なお二十億円の赤字であります。信用コストの圧縮やリストラ等による経費削減もこれまでのように期待ができなくなる中で、寺井社長によれば、今年度の実質業務純益は若干の赤字で着地する計画と考えているとのことであります。
 では、一体、いつ新銀行東京のセカンドステージなるものが明らかになるんでしょうか。
 次の決算が明らかになるのは来年の今ごろであります。石原知事は、二〇二〇年の東京オリンピック招致については、次の知事が決めればいいといっておりますが、新銀行東京のセカンドステージも次の知事に任せるということでよろしいのでありましょうか。私たちは、事業譲渡や株式の売却などを含め、早期に新銀行から撤退することを強く求めておりますが、石原知事がセカンドステージと繰り返しておっしゃるのであれば、石原知事みずからが任期を終える前に新銀行東京を総括し、セカンドステージなるものを示すべきだと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 また、新銀行東京による旧経営陣二名に対する訴訟については、私たちも裁判を傍聴するなど、その行方を注視しているところでありますが、ややもすると石原知事の任期満了を待って和解してしまうのではないかといった不安さえよぎります。
 私たちは、この間、東京都としても失敗の原因と責任について徹底的に検証すべきだと主張してまいりましたが、都は、司法の場で明らかになることが重要だとしてこれを拒否してきました。
 一方、さきの予算特別委員会の締めくくり総括質疑では、旧経営陣と東京税務協会とが交わした顧問契約書が既に破棄をされていることが明らかになり、関連する書類の管理に大きな不安を抱きました。
 また、追加出資の際にも議論となった内部調査報告書の全文のように、都が閲覧しただけで新銀行に返却したとされるような書類も、いつ破棄されてしまうかわかりません。裁判の先行きや書類の管理などの状況を踏まえれば、私はこれらのすべての書類あるいは関係者の証言なども含め、まずは東京都の所管局が責任を持って収集し、適切に管理するとともに、あわせて失敗の原因と責任について徹底的に検証すべきだと改めて主張するものですが、見解を伺います。
 さらに、仁司氏及び丹治氏を除くその他の取締役七名に対する報酬の自主返納について、全員の返納が終わっていないことに対しても、東京都は、新銀行みずからが主体的に決めたことで、新銀行が引き続き全員の自主返納に向けて取り組んでいるので、この取り組みを見守っていくと答弁していました。
 そこで、報酬の自主返納についてどのような状況になっているのか、何を理由に報酬の自主返納を拒んでいると聞いているのか、見解を伺います。
 次に、環境政策について伺います。
 本年四月、都は国内では初めて本格的なキャップ・アンド・トレード方式による温暖化ガス排出量取引制度をスタートさせました。対象は都内の約千三百事業所となっていますが、本制度は事業所に対して義務を課すものであり、制度に対してうまく対応できている事業所もあれば、何をすればいいのか戸惑っている事業所もあるのではないかと推察され、都も円滑な義務の履行に向けたバックアッププロジェクトを実施しています。キャップ・アンド・トレード方式による温暖化ガス排出量取引制度は開始してまだ二カ月余りでありますが、本制度の対象となる事業者の反応について、都の見解を伺います。
 さて、国におけるキャップ・アンド・トレード方式の導入に関する議論は、環境大臣の諮問機関、中央環境審議会の国内排出量取引制度小委員会で行われていますが、この小委員会で今月一日、東京都などからのヒアリングが実施されました。この場で都は、温室効果ガス排出枠の設定方法について、エネルギー効率の改善を義務づける原単位方式ではなく、排出量そのものを減らす総量削減義務の導入などを改めて提案しています。
 一方で、同じ日に行われた石油連盟などの産業界からのヒアリングでは、国内排出量取引制度の導入について懐疑的な意見が相次いだとも報道されています。温室効果ガスの排出量取引制度設計には、産業界の協力と理解が不可欠ですので、都独自の制度設計の経験やノウハウを踏まえ、国への提言を積極的に行うべきと考えますが、所見を伺います。
 また、都は、本年四月から、CO2排出総量削減義務のない中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度によって自主的な対策を促すほか、省エネ設備の導入を支援する省エネ促進・クレジット創出プロジェクトを開始しています。このプロジェクトでは、中小企業の省エネ設備購入に補助金を出すことにより、中小企業のCO2削減対策を普及させることをねらいとしていますが、制度がどれだけ活用されるのかが極めて重要であります。
 そこで、中小企業がこの事業によって具体的にどのようなメリットが得られるのか、また現時点において事業の状況を、あわせて所見を伺います。
 次に、若年者の精神保健福祉と教育について伺います。
 精神疾患は生涯を通じて五人に一人はかかるといわれており、健康推進のための主要課題の一つであり、早期発見、早期受診が必要であります。にもかかわらず、私たちの多くは、精神疾患をタブー視してはいないでしょうか。
 例えば、私たちは友人や同僚の様子が気になれば、ごく自然に、病気じゃない、早目に病院に行った方がいいよといいます。しかし、知識不足もあり、心の病気じゃない、早目に精神科に行った方がいいよとはいいにくいですし、仮に自分がいわれたら侮辱と受けとめる人も多いのではないでしょうか。
 こうしたことは、我が国に限らず先進諸国共通であり、中でも若者の精神病知識の不足、ドラッグやアルコール依存の低年齢化、自殺などへの対応を進める上で乗り越えなければならない課題とされてきました。
 そこで、疫学調査で得られた、一、精神疾患が初めて発症する時期は、十代から二十代前半に集中している、二、統合失調症患者の多くが十代早期から精神病理的問題を抱えていた、三、早期支援がより重要な若者が最も助けを求めたがらないといった事実に基づき、若者を対象とした精神保健啓発を非常に重要視した取り組みを開始しているとの報告もあります。
 例えばイギリスではワン・イン・フォーというキャッチコピーにより、若者の四人に一人は精神疾患を抱えているとの啓発キャンペーンを行いました。さらに、一時的なキャンペーンにはとどまらず、若者に対する啓発を最重点課題とし、学校教育での一貫したカリキュラムを構築しました。
 また、WHOでは、二〇〇四年に、学校に通う十五歳のすべての若者が精神病に対処し得る知識を身につけるべきであるという宣言を出し、各国の取り組みを促しています。
 知識不足という点で日本の若者は例外ではありません。学習指導要領には、精神疾患に関する教育内容について明確な記述がなされていないこともあってか、十分な教育が行われておりません。しかし、成人の精神障害者の約七〇%が十八歳までに、約五〇%が十五歳までに精神病理的問題を抱えていたとの調査結果があり、年齢に応じた精神病知識の付与が喫緊の課題であります。学校でのメンタルヘルスリテラシーの育成が急務と考えますが、所見を伺います。
 高知県で高校生を調査したところ、過去六カ月以内に苦痛感を伴う幻覚、妄想症状を複数回経験している若者が全体の約三・四%おり、そのうち三九%は保健室を複数回利用していたそうであります。しかし、みずから進んで保健室の先生や担任に相談する子どもはそのうち約六%にすぎず、問題を自覚していながらもだれにも相談できていない子どもは三四%もいるということであります。
 しかし、現状では、精神疾患の知識を持つ教員やカウンセラーは少なく、学校医も内科医がほとんどであります。保健室を複数回利用する子でも、あるいは学校で気になる子や問題児として幾ら一生懸命相談に乗ってあげたり指導しても、精神的不調や精神疾患を抱える子どもに必要な助言や支援はできず、対処できないほど悪化して初めて周囲も気づき、精神科を受診することにならざるを得ません。
 早期発見、早期支援を行っていくためには、教師やカウンセラーが精神疾患を正しく理解し、正しい知識を持っていかなければなりません。さまざまな研修の中で、こうしたカリキュラムを実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
 現在、都内を見渡してみても、若者への早期支援を行うための地域医療機関や福祉サービス資源、サポート体制がほとんどありません。
 メタボや介護の予防は、その効果に対する評価は別として、近年大規模な予算を投入して実施されてきました。しかし、精神疾患については、早期発見と軽度の人への支援、精神的不調の発生から医療機関受診までの期間をなるたけ短くしていく予防への対応が十分とはいえないのではないでしょうか。これは当事者の生活の質改善と同時に、社会的損失を抑制することにもつながるものと考えます。都の精神保健における予防、増悪を防止するための取り組みについてどのように考えているのか、見解を伺います。
 どんな病気でも、ここまで進行する前に受診してくれたらというケースはあると思います。精神科医療では特に受診のおくれが目立つといわれ続けてきました。冒頭申し上げたとおり、生涯を通じて国民の五人に一人がかかる疾病ではありますが、だれもがかかる可能性のある疾病として位置づけられた体制がありません。子どもの発達に沿った、家庭、学校、地域、一般クリニック、精神科クリニック等での早期発見、早期支援体制の構築が急務と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、医療政策について伺います。
 東京都はこれまで多摩の小児医療再編計画の中で、限られた医療資源の中で、一次、二次、三次医療機関がそれぞれの役割を果たし、連携し合うことが必要であるとしてきました。もちろん連携が重要であることは間違いありませんが、私は本当の連携というのは、ただ単に東京都が担ってきた役割を地域病院や開業医に担わせるということではなく、それぞれがお互いの要望を話し合い、助け合うことだと思っております。
 そこで、何点かご提案させていただきたいと思います。
 まず、いうまでもなく、小児医療は保護者に負担が非常に大きく、それを軽減するためにも地域で診療が完結することが理想であります。しかし、今すぐ重症症例に対応する三次医療機関を全地域に設立することは困難であり、地域中核病院で重症化している患者さんは速やかに多摩小児総合医療センターに搬送し、また容体が落ちついたら地域に戻すというシステムづくりが求められていると考えています。
 周産期医療について申し上げれば、既存のNICUを増床する努力はもちろんですが、あわせてNICUから出られた子どもを収容する後方病床、いわゆるGCU機能を地域中核病院に確保すべきであります。また、GCU機能を地域病院に移転することで、多摩小児総合医療センターにも余裕ができ、NICU機能強化にもつなげることができます。既に欧米では一般化しているシステムではあります。都としても積極的に推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、地域中核病院と開業医との連携で申し上げれば、この十数年の間に、多摩地域では小児科を標榜する医療施設は、病院で二十二、診療所で百施設も減少していることからも、地域に診療所を誘致する方法や、今後流行が懸念される強毒性インフルエンザ対策などについて、地域中核病院の観点からの診療所に対する要望や、反対に開業医から中核病院に何を望むかなど積極的に話し合い、検討するためにも、地域中核病院や地区医師会などの代表で構成する委員会を立ち上げるべきと考えますが、所見を伺います。
 都議会民主党は、都立八王子小児病院、清瀬小児病院の統廃合に伴い必要となる各地域での医療機能確保を強く求めてまいりました。一方の当該地である八王子市においては、八王子小児病院跡地の移転登録が完了し、小児救急、重症心身障害児通所施設や発達障害者支援事業の実施に向けて着実に進捗していると伺っております。
 また、NICUについては、先ほど申し上げたとおり、機能強化のための取り組み、地域の皆様の安心をしっかりと確保していただくことが絶対に必要だと申し上げておきます。
 さらに、市内での新たな救急整備についても、六月一日より南多摩病院に小児救急がオープンするなど確実に実施してきています。こうした後医療について地元としっかり連携し、今後の実施状況を注視して地域医療の強化に全力を挙げていただきたいと思います。
 清瀬小児病院の後継医療機関としての多摩北部医療センターは、入院を必要とする救急搬送等への対応、夜間救急外来への対応、そして軽症のケースでの救急受診を減らすための地域貢献という三つのニーズへの対応が求められています。
 まず、入院についてでありますが、小児の入院病床をふやし、医師、看護師を増員するなど、救急患者の受け入れ体制を強化し、多摩小児総合医療センターの特別連携病院となり、その実績も、昨年六月には二十人強だったものが十月には百人を超えるなど、増加しています。
 さらに、内分泌、代謝、呼吸器、腎臓、アレルギー外来を開設、また福祉支援医療として重症心身障害児を積極的に受け入れるなど、地域医療に大きく貢献しようと努力されています。
 しかしながら、こうした地域医療への貢献がこれまでさまざまな小児医療現場で起きてきたような医師の数十時間にわたる連続勤務や看護師の休憩時間の短縮など、現場の犠牲によるものであってはなりません。北部医療センターでしっかりと小児の地域医療を診てくださる常勤医師を増員する必要があると考えますが、所見を伺います。
 また、昨年十一月に、私たちが行った多摩地域における小児医療に対する緊急要望に対し、病院経営本部は三月一日から小児救急を平日夜間、休日の救急二系列体制を整備すると回答され、その言葉どおり二系列が整備をされ、現在も維持されています。このことは、いまだ清瀬小児病院廃止後の地域医療を心配されている住民が非常に多い中で、本当に清瀬小児病院が果たしてきた役割を担うことができるのか、北部医療センターは本当に信頼できるのかなどの声にこたえるために必要な条件であります。
 また、清瀬小児病院が受け入れてきた患者数からすると、まだまだ潜在化しているニーズもあると考えられ、今後も、私たちに約束した救急二系列維持が地域住民の安心確保のためにもしっかりと継続されるべきと考えますが、所見を伺います。
 さらに、従前の清瀬小児病院の救急にかかっていた方のニーズとして忘れてはならないのは、結果として軽症かもしれないけれど、不安なので診てもらいたいという方々であります。コンビニ受診だからけしからぬという話で終わらせてはならず、根本的な解決のためには、疾患や救急時の対応に対する保護者の知識不足を解消する必要があります。シャープ七一一九などの電話対応だけでは、保護者の責任で判断しなければならないという現実があり、ふだんから保護者に知識を提供していくことが不可欠であります。
 そこで、小児医療病棟のスタッフに余裕を持たせ、勤務として地域の啓発活動に従事してもらい、医療知識の啓発や子育て支援に当たっていただくことで、地域住民のさらなる安心につなげることができないか、お伺いをいたします。
 次に、不妊治療について伺います。
 現在、全夫婦の約一〇%から一五%が不妊症だといわれています。二年以上正常に夫婦生活を営んでいるカップルでありながらも妊娠せず、タイミング療法などの一般不妊治療を行っても妊娠が困難と診断された方が体外受精や顕微授精、いわゆる特定不妊治療を行うわけですが、結婚年齢の上昇や特定不妊治療の費用の高さから、高齢になって治療を受ける方が少なくないと伺います。
 また、特定不妊治療は夫婦双方に体力的、精神的、経済的な負担を伴います。特に女性にとっては毎日注射を打つなど肉体的な負担が非常に重くなります。さまざまな負担を背負って治療して、結果的に子どもが生まれる確率は約一四%であります。元気な子どもを抱くことができれば困難を乗り越えたがゆえに喜びも一層大きいでありましょう。しかし、十四組の幸せな夫婦の陰には、大変な治療を頑張って乗り越えても着床しない方や、着床しても流産や死産といったつらい体験をされる八十六組の夫婦もいるのが現実であります。
 このように、特定不妊治療は大きな負担や困難が伴う治療でありながら、助成を受ける指定医療機関となるための設置基準のみで、治療の対象や方法、回数については統一した基準がなく、各医療機関の判断にゆだねられております。治療費も九万円から六十三万円まで非常にばらつきがある自由診療となっております。
 そこで、まずは安心して治療を受けていただくためにも、しっかりとした診断基準や治療方法を確立し、保険の適用範囲を一層拡大することを国に求めることが必要だと思いますが、都の所見を伺います。
 保険適用を拡大することは目標でありますが、その前提として、診断、治療方法の確立が必要であり、時間がかかります。しかし、就職超氷河期を経験し、非正規雇用の増加、派遣切りといったような過酷な時代の波にもまれ、結婚や妊娠、出産を先延ばしにしたといわれる団塊ジュニア世代が妊娠可能性の高い年齢を超えてしまうまでには時間的猶予が余りありません。
 子どもが生まれた後には、子ども手当や保育所整備、無償の義務教育、高校無償化などさまざまな支援策が行われております。子どもの誕生を切に願う不妊カップルに対して、せめて経済的な負担を都が国に先んじてさらに軽減してあげることができないものでありましょうか。
 特定不妊治療助成は、現在、国事業で年二回まで、一回十五万円で通年五年までとなっていますが、平均の治療費は約三十四万円であります。これに対し、都独自に上乗せをし、負担を軽減することを求めるものでありますが、所見を伺います。
 次に、メディアリテラシー、情報モラル教育について伺います。
 多様な価値観と情報ツールが錯綜する高度情報通信ネットワーク社会において、メディアリテラシーと情報モラルを早期に子どもたちに身につけさせるための教育施策を東京都は高いプライオリティーを置いて取り組んでいくべきと考えています。
 情報の受け手として身につけていくべきメディアリテラシーは、メディアを通じて流れる情報はすべて発信者によって加工されているものであることを前提としてとらえ、特に重要と思われる情報に対しては、5W1Hをもとに、あらゆる角度から情報を分析し、その情報が正しいかどうかを判断する能力、本質を見抜く力であると考えます。
 知事は今議会の所信表明において、若者の活字離れと多くの若者がはんらんする情報におぼれている環境にあることを指摘されました。まさにこのような状況で、子どもたちが情報の本質を見抜く能力、メディアリテラシーを身につける必要があると思いますが、知事の見解をお伺いいたします。
 近年、フィルタリング規制やネット監視等の対策は進んでいるものの、依然として出会い誘引を含む投稿や、顔写真を初めとした個人情報の安易な投稿、青少年がわいせつな動画を公開する等の問題が存在し続けており、規制による対策だけでは限界があります。
 より重要なことは、情報を発信する側として、子どもたちに相手の立場を思いやるマナーや、不用意に個人情報を流さないといったルールを身につけさせる情報モラル教育をメディアリテラシー教育とあわせて徹底して行っていくことが必要と考えます。それが学校の使命であると考えますが、教育長の所見を伺います。
 さきの平成二十二年第一回定例会の代表質問で、都教育委員会におけるメディアリテラシー、情報モラル教育の取り組みについて質問しました。
 情報に特化した教科は高校にしかなく、現在、情報A、B、Cという三つの教科で構成されているようですが、平成二十五年度からは新学習指導要領に従って、「社会と情報」、「情報の科学」で構成されると聞いております。すべての高校生に必要なメディアリテラシー、情報モラルに関する教育は、今後「社会と情報」、「情報の科学」という科目の中でどのように行われていくのかお伺いいたします。
 メディアリテラシーと情報モラルは、子どもたちにとって欠くことのできないものであります。その重要性を認識していただき、さらなる取り組みを要望いたします。
 次に、特別支援教育について伺います。
 東京都は本年度、東京都特別支援教育推進計画の第三次実施計画を策定していく予定であると伺っております。都立の知的障害特別支援学校では、在籍する子どもたちが年々増加してきたことから普通教室が不足しており、特別教室を普通教室として利用したり、カーテンなどで間仕切りすることで教室の確保を行っている状況があります。教育活動の場となる教室は、学校教育における最も基本的な教育条件であり、知的障害、特別支援学校の教室整備は、第三次実施計画の最重要課題であると考えます。
 都教育委員会はこれまで、第一次、第二次実施計画を策定するたびに、児童生徒数の将来推計を実施してきましたが、いずれも実際の子どもたちのふえ方は推計値を大幅に上回っております。第三次実施計画においては、これまでの増加傾向を踏まえ、知的障害特別支援学校の在籍数の将来推計を精緻に行い、今後の子どもたちの増加に十分対応できる教室数の確保を行っていくべきであります。
 その場合、第三次実施計画で予定されている三年という計画期間では、その後の知的障害のある子どもたちの増加に対応できないことも予想されることから、計画期間の延長も視野に入れて、今後の子どもたちの増加に対応した具体的な教室確保策について検討を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、島しょ振興策について伺います。
 現在、伊豆諸島は、平成二十四年度までを対象期間とする離島振興計画のもとで種々の事業が実施されています。この計画のもと、平成十七年度から年間二百億円を超える事業費が計上されておりますが、ハード関連事業に偏重しており、保健、医療、福祉サービス、生活環境、産業の振興などは手薄になっています。
 これは、これまでの離島振興策が本土との格差是正を目的に主にハード面の社会資本整備にウエートが置かれてきた結果なのですが、現計画では伊豆諸島全体を非日常的いやし空間とも位置づけ、地域資源のポテンシャルを引き出し、活用していくとともに、持続的に発展させ、地域の自立を実現していくこととしています。
 しかし、現在実施されている離島振興施策が計画目標としている地域の自立的発展を期間内に達成できるとはいいがたい状況であります。
 真の島しょ振興を実現するためには、港湾整備など引き続き必要がある事業ももちろんありますが、ハード関連事業に偏ることなく、医療、保健、福祉など生活関連や産業振興の施策もバランスよく織りまぜることが重要だと考えます。
 東京の島々が自立的な発展と持続可能な地域社会を築き上げていくためには、島しょ地域に暮らす住民の方々が、まず、みずから果たすべき役割を認識していただいて、自助努力を尽くしていただくとともに、各町村が連携して地域づくりに取り組んでいくことが必要だと考えます。また同時に、都がそれぞれの町村の実態に即したきめ細やかで、より実効性の高い支援策を積極的に講じていく必要があると考えています。
 そこで、より地域住民の生活の視点に立った、島の自立的発展に向けて、今後どのような島しょ振興策を行っていくのか、都の基本的な見解を伺います。
 次に、島しょ貨物運賃補助について伺います。
 この貨物運賃補助は、島の暮らしに実効性のある支援策として、現在、島しょ地域で高い評価を得ています。ついては、従来から多くの島しょ町村が要望し続けているガソリン等に対象品目を拡大し、時代の要請に即したものに見直していくことが必要だと思いますが、見解を伺います。
 次に、小笠原諸島における課題について申し上げます。
 私たち都議会民主党は、世界自然遺産登録の候補地である小笠原諸島に視察団を派遣しました。来月にはユネスコの世界遺産委員会の諮問機関、国際自然保護連合が小笠原の現地調査を行う予定であり、私たちは国や都、小笠原村の取り組みを見てまいりました。日本の世界自然遺産は、森林生態系の博物館である白神山地や、亜熱帯から亜高山帯までが凝縮された屋久島、そして、海から山まで生命のつながりをはぐくむ知床の三カ所が登録されており、屋久島では、世界自然遺産の島に生活している自覚を島民に普及させ、自然資源の恵みを生かした循環型社会のまちづくりを進めるといったビジョンを持っています。
 一方、ことしの一月、国は世界遺産委員会あてに、小笠原の世界遺産としての価値を掲げた推薦書を提出しました。小笠原においては、今までも議論を重ね、管理計画やアクションプランを作成しましたが、国や都、小笠原村はこれらを踏まえ、具体的なビジョンを持って島づくりをしていくことが重要と考えます。中でも世界自然遺産登録を契機に、その価値を生かして発展が期待される観光振興に当たっては、エコツーリズムの推進など、環境に配慮した小笠原独自の取り組みが必要と考えますが、都はどのような取り組みを進めていくのか、見解を伺います。
 次に、東京都における個人情報の漏えい、紛失事故について申し上げます。
 この問題については、私は平成十九年第四回定例会において、さらには昨年の予算特別委員会において繰り返し取り上げてまいりました。しかしながら、東京都における個人情報の流出、紛失事故は平成十九年度三十件、二十年度十八件、二十一年度は二十五件と、一向に減少する気配がありません。これだけの情報社会の中で、本来民間を指導監督する立場の東京都が、都にしか持ち得ない個人情報を一体どれだけ垂れ流し続ければ気が済むのでしょうか。私には全く理解ができません。もし、自分もしくは自分の家族、友人、恋人などの身近で大切な人の個人情報が紛失もしくは流出してしまったとしても、同じように何の反省もなく事故を繰り返すことができるのでしょうか。
 東京都におけるこれらの事故は、その多くが学校現場や医療機関で起きています。つまり、テストの成績や単位の取得状況など、生徒の将来に大きくかかわる個人情報や、患者の病名、投与した薬、病気の進行状況などの命にかかわる情報が、大変多く流出または紛失しているということであります。
 とりわけ、ことしに入ってからは、都立松沢病院において、医師が患者の氏名、生年月日、性別、病名、治療概要、投薬内容などの個人情報を紛失した事故を初め、医療現場において、二月、三月、四月、五月と、毎月一件ずつ事故が起き続けています。しかし、これまでの事故の当事者に対する都の対応は、口頭注意や、訓告を行ったにすぎません。ましてや、その責任者の緊張感はほとんどうかがえないと申し上げておきたいと思います。
 責任者の陣頭指揮のもと、情報管理システムの早急な改善とともに、個人情報を取り扱う職員一人一人の意識改革が求められています。私は、事ここに至っては、各組織の責任者の謝罪はもちろんのこと、その責任者や、事故を起こした当事者への減俸など、実質的なペナルティーを強化することから始めること以外、方法はないのではないかとすら考えています。所見を伺います。
 最後に、青少年の健全育成について述べます。
 条例改正案は、青少年にとって、携帯電話を介したインターネット上の有害情報や、書店における図書類での性表現などは憂慮すべき問題として、都が対策としてまとめたものであります。ところが、石原知事自身は、改正案が継続審査となると、実は精読していなかったと告白するとともに、非実在青少年という言葉はわけがわからない、どんどん変えるべきだと発言をされています。要するに、この改正案は、知事みずからが責任を持てないものを議会に提出したということと同じことになります。余りに無責任に過ぎるといわなければなりません。私たちは、こうした知事みずから不備を認める議案については、これを撤回し、改めて責任の持てる案を提出するよう求めるものであります。
 また、私たちは、子どもたちが社会で健全に育つことを願い、携帯電話販売店や、フィルタリング会社、モバイルサイトの審査機関、書店などを視察し、現状調査に努めるとともに、出版業界に対し、自主規制の徹底や、青少年の健全育成に対する新たな取り組み、児童ポルノによる青少年被害者の救済に努力するよう求めました。
 出版業界からは、本日、児童ポルノをつくってはならない、あってはならないという共通認識のもと、性表現が過激なコミックがほかのコミックとまざった状態で販売されている現状を認識し、より一層自主規制を徹底していくこと、区分陳列のためのきめ細かいレーティングの検討をしていくこと、警視庁が新設をする児童ポルノの情報を求めるホットラインに協力していくことなど、青少年の健全育成に対して今後とも努力を尽くしていくとの返答を得ました。
 都議会民主党は今後も、青少年の健全育成のために取り組んでまいります。都には改めて、改正案の速やかな撤回を要望するものであります。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えます。
 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山下太郎議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京の再建計画は、もともと平成二十三年度までを目標に取り組んでいるものであります。現経営陣は、大銀行と異なり、親身に取引先の経営相談に乗るとともに、大手が余り行っていない貸付条件の変更を行うリスケジュールを先駆けて積極的に実施するなど、小零細企業への支援を行いながら、懸命に再建に取り組んでおります。
 こうした渾身の努力の結果、平成二十一年度決算において開業以来初の黒字を達成するなど、再建は順調に進んでおります。
 今、我々がなすべきことは、小零細企業を支援するという役割を再び十全に果たせるように、新銀行東京の再建を進めることであります。
 なお、そのためのセカンドステージの姿についてのご質問でありますが、これは幾度聞かれましても、外国資本を含めて、他の金融セクターとのかかわりがあります。それゆえに、その性格上、お答えできるものではありません。
 次いで、情報の本質を見抜く能力についてでありますが、情報がはんらんする現代では、子どもは、現実の世界ではなくバーチャルな世界で多くの疑似体験をしているにすぎません。その結果、自分が、それぞれが非常にたくさんのものを知って、認識しているつもりでおりましても、実は本質的に何もとらえてないという、非常にこっけいな、危険な現象が起こっております。
 例えば、子どもたちは、過剰に摂取した情報の整理、価値判断までも情報に頼るという、いわば判断停止の状況に陥っております。その結果、若者たち、子どもたちが健全な思考、したたかな思考を遂げていくために必要な、その過程で当然起こり得る考え違い、思い違いというものが、これが淘汰されてしまう。
 ゆえにも、次代を担う子どもたちに大事なことは、自分の足で現場に立ち、自分の目で現実の世界を見定めることであります。それによって培われた強い個性、強い感性は、これからまみえる社会的現実との戦いの中で子どもたちを支えるものとなります。
 子どもたちは、現実世界で戦っていく上での心の血液ともいうべき知識を、読書を通じて得た経験により摂取でき、自分で考える力を養い、豊かな感性や情操をはぐくむことができるわけであります。
 したがって、活字離れ対策は、子どもに読書習慣を付与する上で非常に重要であると思います。
 他の質問については、副知事、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事佐藤広君登壇〕

○副知事(佐藤広君) 中央卸売市場の再整備についてでございますが、平成三年から八年の六年に及びまして、築地市場の現在地再整備に四百億円という経費を投じて実施をいたしましたが、結局中断することとなりました。その後、業界の方々を交え、さまざまな検討を行い、最終的に豊洲移転の方針を決定したものでございます。
 築地市場の老朽化などの待ったなしの状況を踏まえると、早期に新市場を開場する必要がありますが、実現するに当たっては、なお解決すべき課題が多いことから、議会として現在地再整備の可能性について、大方の事業者の合意形成に向け検討し、一定期間内に検討結果をまとめるものとすることとされたところでございます。
 都は、議会での検討に協力をするとともに、議会の審議に対応し、執行機関として必要な検討を行うために、四月十六日に私をチームリーダーとする市場再整備検討チームを設置いたしました。今後、議会としての検討結果が早期に取りまとめられることが何よりも重要と考えております。その立場から、議会の検討に協力してまいります。あわせて、市場事業者の合意形成など、新市場整備が直面しているさまざまな状況を打開するための有効な方策を検討してまいります。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、年齢に応じた精神病知識の付与についてでございます。
 高等学校の学習指導要領におきましては、精神の健康の学習内容の一つである大脳や神経系の機能については、必要に応じて扱う程度にとどめることとされており、医師による高度で専門的な診断を必要とする精神病の個別の疾患名や症状等につきましては、学習することにはなっておりません。
 しかしながら、学校においては、児童生徒が、国民の疾病構造等の変化にかかわって深刻化している心の健康問題を初めとして、心身の健康の保持増進のための基礎を学習することは重要でございます。小中高校の学習指導要領においては、児童生徒に、生涯を通じてみずからの健康を適切に管理し改善していく資質や能力を育成することとされております。このため、既に小中高校の保健の授業において、児童生徒は、精神機能の発達、心と体の関係、欲求やストレスへの適切な対処方法等の精神の健康について学習をしております。
 今後とも、都教育委員会は、こうした学習指導要領の趣旨に基づき、精神の健康に関する学習を適切に行うよう学校を指導してまいります。
 次に、教員に対する研修等の支援についてでございます。
 学校においては、教職員が児童生徒一人一人の言動や様子等を観察し、心や体の変化、子どもの発するさまざまなサイン等を受けとめ、適切に対応することが重要でございます。このため、東京都教職員研修センターにおきましては、思春期・青年期の心理の理解と児童・生徒対応の事例研究という研修講座を初めといたしまして、児童生徒の精神保健に係る問題への対応について、教員研修の充実を図っております。
 また、文部科学省の事業を活用して、精神科医を都立高校に派遣し、担任教員や養護教諭などに対し、精神保健に関する講演や具体的なケースに対する助言を行いますほか、学校が組織的に対応できるよう、校内連携の援助を行っております。
 今後とも、こうした教員研修や精神科医の派遣を通じまして、児童生徒の心の健康課題の改善が図れるよう、学校を支援してまいります。
 次に、情報リテラシー、情報モラル教育についてでございます。
 高度情報化社会に生きる現代の子どもたちには、メディアから得られる情報を適切に評価し、必要な情報を主体的に選択し、適切に活用できる能力を身につけさせることが必要でございます。小学校の学習指導要領では、児童がコンピューターになれ親しむとともに、その基本操作や情報モラルを身につける学習活動を行うことが、中学校の学習指導要領では、生徒が情報モラルを身につけるとともに、コンピューターを主体的、積極的に活用できるようにするための学習活動を行うことが、それぞれ示されております。
 例えば、小学校では、総合的な学習の時間でのインターネットを活用した調べ学習ですとか、道徳の時間でのコンピューターの扱い方についての学習を行っております。中学校では、技術・家庭の時間での個人情報や著作権の保護に係る学習や、理科の時間での実験結果のデータ処理、グラフ作成などの学習を行っております。
 また、都教育委員会は、すぐれた実践を指導事例集やリーフレットにまとめ、教員研修などにおいて広く普及啓発を図っております。
 今後とも、子どもたちがみずから考え、行動していくことのできる自立した個人として、たくましく生き抜いていけるよう、情報に係る教育を推進してまいります。
 次に、情報に関する新科目についてでございます。
 新たに告示されました高等学校学習指導要領では、これまでの教科「情報」における三つの科目が、「情報の科学」と「社会と情報」の二つの科目に再編されます。生徒は、学校が設定するいずれか一科目を選択し、ご指摘のありました情報モラルとか情報リテラシーを学習することになります。
 新科目「情報の科学」では、情報化が人間に果たす役割と及ぼす影響ですとか、あるいは情報社会の安全性を高めるために個人が果たす役割と責任について、また新科目「社会と情報」では、情報の特徴とメディアの意味と理解や、情報の信頼性、信憑性及び著作権などが新たに学習する内容として示されております。
 特に新科目「社会と情報」におきましては、情報化の影の部分の影響を少なくし、光の部分の恩恵をより多く享受するためには、情報技術の適切な活用、法律の整備とその遵守、制度上のさまざまな工夫が必要であることを生徒に理解させることになります。
 次に、知的障害特別支援学校における教室確保策についてでございます。
 都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画第一次及び第二次実施計画における児童生徒数の推計と実際の児童生徒の増加数が乖離していることなどを踏まえまして、第三次実施計画の策定に向けて、改めて将来推計を行っております。その推計に基づき、各学校で必要な教室数の見込みを立て、学校の再編整備、通学区域の見直しによる学校間の教室の過不足の調整や校舎の増改築など、教室確保のためのさまざまな対応策を第三次実施計画において具体化してまいります。
 なお、児童生徒の増加傾向が当初の想定を超えて長期間になる見込みでございますことや、校舎の増改築には、設計期間を含め、工事施行に当たり相応の期間を要することなど、三年間という実施計画期間では適切な教室確保が困難であることも予想されますことから、その延長についても考慮してまいります。
   〔東京都技監河島均君登壇〕

○東京都技監(河島均君) まちづくりに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、用途地域等の権限移譲についてでございますが、国が設置した地域主権戦略会議では、基礎自治体への権限移譲等が議論されておりまして、現在、都が持つ用途地域等の決定権限につきましても移譲が検討されております。
 都市計画は元来、地域のまちづくりから広域的な都市づくりまで、対象が多岐にわたるため、都道府県と区市町村が法に基づく適切な役割分担のもとで定めることになっております。特に用途地域等につきましては、都市のあり方を方向づける基本的な都市計画でございまして、現行法では、広範囲にわたり一体的な市街地が形成されている三大都市圏においては、都府県または政令市が決定、運用することとなっております。
 これまで都は、地元自治体による地区計画の策定などに合わせて協議や調整を行い、東京全体のバランスを考慮しながら用途地域等を決定してまいりました。このような運用により、地域の意向を反映しながら、大都市東京の一体性を確保する都市づくりが効果的に進められておりますので、現在のやり方は変える必要はないと考えておるところでございます。
 次に、市街地整備に当たっての公共と民間のパートナーシップについてでございますが、東京の市街地整備は、組合施行の区画整理や再開発などのように、その多くが公と民の連携で進められてまいりました。今後、環境や景観といった新たな課題に対応しながら、安全で活力と魅力ある、より質の高いまちづくりを進めるためには、公が民に働きかけ、民間部門の持てる力を最大限に引き出していくことが一層重要となります。
 このため、例えば都が事業の種地として都有地を提供し、これを受けて民間事業者が、防災性の向上や緑の確保といった地域の課題解決に協力しながら迅速な事業展開を図るなど、公と民が協調または補完し合う取り組みをこれまで以上に強化していく必要があると認識しております。
 このような認識のもと、都は、関係者の利害を調整し計画を取りまとめる機能を十二分に発揮するとともに、事業施行者としての経験やノウハウ、さらには技術力を備えた人材の活用により、民間事業者等の取り組みを支援することを通じて、公と民の連携による市街地整備を一層推進してまいります。
 最後に、事業完了後のエリアマネジメントの導入についてでございますが、区画整理や再開発などによって整備されたそれぞれの市街地において、事業完了後も良好な環境を維持し、まちの価値を高めていくためには、地域が主体となってまちの運営に取り組むことが重要でございます。
 これまで都内においては、地権者から成るまちづくり組織が道路の管理を初め地域のイメージアップに取り組んでいる汐留地区や、防災訓練、防犯パトロールに地区を挙げて取り組んでいる白鬚西地区などで先駆的な活動が行われております。
 都は今後、こうした地域の活動が他の地区にも広く普及することを目指して、先進事例の情報提供や推進役となる人材の育成など、エリアマネジメント促進のための取り組みを進めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長並木一夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(並木一夫君) 補正予算に関します三点の質問にお答えいたします。
 初めに、東京マラソンの法人化の意義についてでございますが、平成十九年に誕生いたしました東京マラソンは、三十一万人を超えるランナーから申し込みがあり、国内外からも注目を集める、日本を代表するスポーツイベントに成長いたしました。
 この東京マラソンを将来にわたって安定的に開催いたすとともに、さまざまな要望や期待にこたえ新たな事業展開を図り、さらに発展させていくためには、これまでの実行委員会方式の課題を見直し、機動的な運営体制の確保を初め、自律的な財政基盤の確立、都民の理解を得るための大会運営の透明性の向上が不可欠でございます。今回の法人化は、こうした課題にこたえ、世界標準の大会運営を実現するために行うものでございます。
 法人化による具体的なメリットといたしまして、第一に、恒常的な組織を整備することにより、年一回のマラソン大会だけでなく、年間を通じた多彩なランニングイベントを開催し、三万五千人という定員の制約から参加できなかった多くのランナーのニーズにこたえることができます。また、ボランティアや医療救護など、東京マラソンが持つノウハウを他のマラソン大会に提供したり、収益の一部を地域のスポーツ振興に役立てるなど、大会の価値を広く社会に還元していく取り組みも可能となります。
 第二に、法人化によりまして、運営主体の対外的な信用力が確立するとともに、大会の主催と運営を東京マラソン財団に一元化し、責任体制が明確となることで、経営の自律化や効率化が促進され、都の財政負担の縮減が図られます。
 第三に、都の指導監督が及ぶ監理団体となることで、現在の組織委員会では対象とならない契約に関する情報などにつきましても情報公開の対象となるとともに、都の監査や議会報告を通じまして、都民への説明責任を果たしてまいります。財団が行う契約につきましても、公正なルールに基づきまして実施してまいります。
 このような取り組みを通じまして、大会をより一層活性化させ、これまで以上に多くの都民が参加し、楽しめるイベントとなるよう、東京マラソンの魅力をさらに向上させてまいります。
 次に、新たに監理団体を設立する必要性についてでございますが、東京マラソンは、三万五千人の大規模市民マラソンと世界のトップランナーによるレースが融合した大会であり、東京都を初め日本の陸上競技を統括する日本陸連、テレビ放映など報道を担う共催メディアが一体となって開催することで成立しております。
 このうち、トップランナーによるレースは、前身の東京国際マラソンの時代には日本陸連とメディアが主催しており、現在でもその存在が大会価値の向上と協賛企業の獲得に貢献しております。
 大規模市民マラソンとの融合に当たりましては、こうした経緯を踏まえ、都、日本陸連やメディアが中心となって構成する組織委員会が大会を運営してまいりました。今回の法人化に際しましても、これまでと同様、都、日本陸連、メディアを中核とする理事会が大会の重要事項の決定に当たることが不可欠でございます。
 お話の東京都スポーツ文化事業団のような既存の団体では、このような東京マラソンの持つ特性を踏まえた枠組みを受け入れることが困難であることから、新たに東京マラソンの開催を目的とする法人を設立することといたしました。
 最後に、新たな団体への都からの再就職についてでございますが、監理団体などには、都で培った知識、経験、能力などを生かし、団体の適正な運営に寄与するよう、都の判断で適切な人材を推薦しております。
 一方、今回設立いたします東京マラソン財団は、多彩な事業展開を通じまして東京マラソンの発展を目指すことを目的としており、有給の役員には、世界のマラソン大会やランニングスポーツに高い見識を持つ人物を充てることにしております。したがいまして、都職員の退職者が財団に再就職することはございません。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 七点のご質問にお答えします。
 まず、監理団体改革推進のための指導監督についてでございますが、監理団体改革につきましては、団体の統廃合、都の財政支出や都派遣職員数の削減、役員退職金の廃止、役員報酬の引き下げなど、行財政改革の大きな柱の一つとして積極的に推進してまいりました。
 監理団体は、都政の現場を担うパートナーでございまして、行政運営を支援、補完する重要な機能を担っていることから、都政で培った知識や、さまざまな経験を有する都OBの活用は意義のあることと考えております。
 一方で、都からの受託事業に係ります契約情報につきましては、都並みに透明性を高めていく必要があると考えており、個人情報の保護等にも留意しつつ、その対象の範囲など、都に準じた情報公開をさらに推進してまいります。
 今後とも、こうした観点から、団体ごとの存在意義を検証した上で活用方針を策定し、一層の公共性を発揮させることによって、都民に貢献する団体となるよう改革を進めてまいります。
 次に、監理団体が行うべき事業についてでございますが、監理団体は都政の一翼を担うものであり、具体的には、都の行政目的達成に必要な公共性の高い事業や、民間市場が未成熟で、現時点では民間にゆだねては都民に必要なサービスが十分に提供されないおそれがある、こういった事業等を主として行っております。
 こうした団体の事業を着実に進めるために、具体的な使途を定めて計画的に基金を積み立て、活用することは当然でございますが、加えまして、新たなニーズや不測の事態への柔軟な対応のためには、一定の余剰資産を保有することは団体の健全運営には不可欠でございます。
 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律におきましても、法人の収入源が途絶えた場合でも一年程度は公益目的事業が継続できるよう、公益目的事業費一年分相当額までは、使途の定まっていない財産を保有することが認められております。
 今後とも、監理団体が行政支援、補完機能を発揮する都政の重要なパートナーとしての質の高いサービスを効率的かつ効果的に提供していけるよう、指導してまいります。
 次に、監理団体の積立金、特定資産等についてでございますが、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則におきましては、公益目的事業を行うために必要な財産の保有や、将来の特定の事業費、管理費に充てるために積み立てる資金も認められております。
 また、さきに述べましたとおり、公益法人は、公益目的事業費一年分相当額までは使途の定まっていない財産を保有することが認められております。
 このたび、平成二十一年度の包括外部監査の結果を踏まえ、各監理団体につきまして、これらの公益認定要件を念頭に、基金、積立金等の調査を実施したところ、現時点で、道路整備保全公社以外は保有限度額を超えるおそれがないことがわかりました。
 総務局では、今後とも、監理団体の公益法人移行に向け、団体の自主性を尊重しつつ、法の趣旨を踏まえ、指導を継続してまいります。
 次に、スポーツ振興局の設置によるスポーツ振興の推進への効果についてでございますが、都はこれまでも、都民のだれもが、いつでも、どこでもスポーツを楽しむことができる社会の実現に向けまして、スポーツ振興に取り組んでまいりました。
 スポーツ振興局は、スポーツの重要性と本年七月に正式決定される東京国体の開催準備の本格化を踏まえまして、スポーツを所管する組織を可能な限り一元化し、条例局として設置するものでございます。
 スポーツ振興局の設置を契機に、統合する各部門の連携を一層緊密なものとするとともに、福祉部門、教育部門など関連する部署との連携を強化してまいります。スポーツ都市東京の実現に向けた総合的、体系的なスポーツ振興策を展開するべく、組織統合によるメリットを最大限に発揮してまいります。
 次に、スポーツ振興局の設置による東京国体及び全国障害者スポーツ大会への取り組みについてでございますが、平成二十五年に開催される東京国体及び全国障害者スポーツ大会は、スポーツ振興はもとより、多摩・島しょ地域の振興を図る上でも極めて重要な役割を担っております。
 スポーツ振興局の設置に際しましては、両大会の開催準備の本格化にあわせまして、競技運営や施設整備等の準備業務に適切に対応するために必要な体制を着実に整備してまいります。
 今後は、スポーツを所管する組織を一元化することによる相乗効果を十全に発揮するとともに、引き続き地域振興に向けた関係部署間の連携協力を図り、最大限の環境配慮や、両大会を一つの祭典として開催することなど、東京ならではの大会の開催を目指し、開催準備を確実に進めてまいります。
 次に、島しょ地域の振興についてでございます。
 島しょ地域の自立的発展のためには、豊かな自然環境を初めとする地域資源を活用し、観光産業と農水産業などの連携を強め、産業の活性化に取り組むことが重要でございます。
 加えまして、島しょ地域特有の台風や冬の強い季節風、平たん地が少ない、こういった厳しい自然環境の中では、島民生活の安定や産業の振興を推進していく上で、港湾や道路、防災などの基盤整備を進めていくことが必要不可欠なものと認識しております。
 都はこれまで、町村の意見を十分踏まえ、町村が主体となって取り組むべき自立した島づくりのために離島振興計画を策定し、ハード関連事業だけではなく、観光や医療、福祉分野にも積極的に取り組むことで、島しょ地域の自立的発展に必要な成果を着実に上げてまいりました。
 今後とも、町村や国などと連携を図りながら、離島振興計画に沿いまして、厳しい自然環境にある島しょ地域の自立的発展のために積極的に取り組んでまいります。
 最後に、個人情報の紛失事故についてでございますが、都は、個人情報の適正管理及び情報セキュリティー確保を徹底する視点から、電子情報の暗号化など情報管理のルールづくり、内部監査、自己点検の実施、職員の意識啓発のための説明会などの取り組みを行ってまいりました。
 紛失事故が発生した際には、速やかに事実関係を公表し、組織の責任者が謝罪を行うとともに、平成十九年度には懲戒処分の指針を改正し、当該職員に対しては、非違行為の内容に応じまして、停職、減給などを含めた地方公務員法上の懲戒処分を実施してまいりました。
 しかしながら、学校現場や医療機関を中心に、いまだに個人情報の紛失事故が発生していることにつきまして、当該情報の対象となる方々にはおわび申し上げるとともに、広く都政の信頼を損ねるに至ったことを反省しております。
 今後も、職員一人一人の意識改革を促し、再発防止策に取り組むとともに、職員に対する懲戒処分につきましては、民間企業における対応など社会情勢の変化も踏まえながら、適正に対応してまいります。
   〔建設局長村尾公一君登壇〕

○建設局長(村尾公一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、財団法人東京都道路整備保全公社からの寄附金についてでございますが、今回の寄附金は、東京都における道路行政を補完する公社の設立趣旨に沿って、都民生活と社会へ貢献するため、広域的な都民還元に資する公益事業として、道路事業に充てるよう使途が指定されたものでございます。
 公社は、包括外部監査の結果及び公益財団法人の認定要件を考慮し、積立金の活用計画として、電気自動車用急速充電器の都内設置などとともに、道路施設の改修など、広域的な都民還元としての公益事業による活用を検討してまいりました。
 その結果、道路施設の改修などの工事は、道路管理者である東京都が行う方がより広く都民に還元できると判断し、積立金の一部を道路事業へ指定寄附することとなったものでございます。
 都としましては、公社からの寄附金を目に見える形で迅速に都民に還元するため、当初予算で計上しております安全性の向上や環境改善に資する歩道や自転車走行空間の確保など、交通安全施設事業などの実施に活用してまいります。
 次に、都立動物園の経営努力についてでございますが、都立動物園は、種の保存、調査研究、教育普及、レクリエーションの四つの機能を有し、とりわけ種の保存及び調査研究において日本の動物園の中心的役割を果たしております。
 例えば、国のトキの保護増殖事業に長年にわたり指導的立場で取り組み、平成二十一年九月、都立動物園生まれの四羽を野生復帰させました。
 また、これまで明らかになっていなかった冬眠中のツキノワグマの生態を日本で初めて解明し、これを活用して冬眠中の姿を展示することに成功いたしました。
 さらに、水族園では、クロマグロの水槽内産卵に世界で初めて成功し、現在、その技術を特許出願中でございます。
 一方、より多くの方々に野生動物について楽しみながら学んでいただくことが重要であることから、入園者増にも取り組み、平成二十一年度入園者数は、前年度に比べ、四園で約二十一万人増加させることができました。
 現在、ビジット・ズー・キャンペーンを展開し、観光資源としての動物園のさらなる魅力向上を目指し、開園時間の延長、開園日数の拡大などを初めとして、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、都立動物園、水族園の新たな魅力創出に努め、生物多様性保全への貢献と環境教育を推進することにより、日本の動物園のリーダーとしての役割を果たしてまいります。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 七点のご質問にお答えいたします。
 初めに、産業施策における今後の取り組みについてでありますが、東京の産業力を維持し、今後の発展を実現していくためには、産業力の源泉であります中小企業の経営基盤をより強固なものにするとともに、将来の成長に向けた施策を重層的に展開していくことが重要であります。
 このうち、将来の成長に向けた施策については、環境、健康、航空機などを成長産業分野として位置づけ、重点的かつ戦略的に育成しております。
 また、経済成長著しいアジアを中心に、国際市場へ積極的に対応を図ることといたしまして、海外への販路開拓を目指す中小企業への支援等を展開しております。
 引き続き、東京の産業力の維持強化に向け、多面的かつ重層的な施策を着実に展開してまいります。
 次に、海外企業の誘致についてであります。
 海外の企業を東京へ誘致することは、都内中小企業のビジネスチャンスを広げ、産業の活性化につながる重要な取り組みであると認識しております。そのため、都はこれまでも、東京のすぐれたビジネス環境をPRする海外企業誘致セミナーを海外で開催し、東京への進出に関心のある企業の発掘を行うとともに、そうした企業が都内中小企業と商談を行う機会を設けるため、産業交流展への出展を継続的に働きかけるなどの工夫を進めてまいりました。
 さらに、東京ビジネスエントリーポイントで、年間七百件を超える相談を通じまして、東京への進出に必要な情報提供や商談のアレンジ等を行うとともに、定着に向けたサポートなど、きめ細かな対応を行ってまいりました。
 今後とも、海外企業の誘致に向けた取り組みを効果的に行ってまいります。
 次に、中小企業の海外販路開拓支援についてであります。
 近年、中国、インドなどを初めとするアジア諸国の成長は著しく、世界経済において重要な地位を占めつつあります。そのため、都は今年度から、アジア市場を目指す中小企業を支援するため、現地の市場動向の情報収集や提供などをタイムリーに行う体制を商社のネットワークを活用して整備するとともに、商材の目ききや取引先の発掘などを担う専門家を配置するなどの取り組みを展開しております。
 こうした取り組みにより、すぐれた技術力や製品を持つ都内中小企業のアジアにおける販路開拓をきめ細かく支援してまいります。
 次に、多摩シリコンバレーの取り組みについてであります。
 多摩地域は、大学や研究機関、先端技術を有する企業が多数集積しておりまして、こうしたポテンシャルを最大限引き出して産業の活性化を図ることが重要であります。
 このため、本年二月に開設いたしました産業サポートスクエア・TAMAにおきまして、多摩地域の産業特性に応じた最新鋭の機器を導入するとともに、計測・分析器などの産業分野で、企業、大学、公的機関及び金融機関によるネットワークの形成を図るなど、地域の研究開発機能を高めながら、新事業の創出に向けた支援を強化したところでございます。
 こうした取り組みを展開することで、多摩シリコンバレーの形成を目指してまいります。
 次に、MICEの誘致についての取り組みについてでありますが、国際コンベンションを初めとするMICEの誘致は、東京の国際的な存在感の向上が図られるとともに、訪都外国人旅行者の拡大や大きな経済波及効果が期待できます。
 都はこれまでも、国際コンベンションの誘致資金や開催資金の助成制度を創設し、その誘致を図るとともに、誘致のための専門知識やスキルを備えたMICE人材の育成を通じて、海外企業の会議や報奨旅行などの誘致を積極的に支援してまいりました。
 こうした取り組みの結果、例えば一万人規模の参加者が見込まれる国際建築家連合大会の二〇一一年東京開催が決定されるなど、大規模な国際コンベンションの誘致に成功しております。
 本年十月の羽田空港の国際化を機会に、さらに都内民間事業者等との連携を強化し、MICEの東京誘致に向けた取り組みを促進してまいります。
 次に、新銀行東京に関する文書の管理と経営悪化の検証についてでございます。
 まず、文書の管理については、新銀行東京が経営再建中であることや、旧経営陣に対し損害賠償請求訴訟を提起したことなどを踏まえまして、当局において必要なものは適切に管理しております。
 次に、経営悪化の検証につきましては、新銀行東京が本年一月二十九日に旧経営陣に対し損害賠償請求訴訟を提起しており、現在、裁判所で審理が進められております。
 都として、司法の場で明らかになることは重要であり、改めて検証を行う必要はないと考えております。
 最後に、新銀行東京の旧経営陣の責任についてでありますが、新銀行東京は、当時の取締役に対して報酬の自主返納を求めておりますが、現時点では全員の返納が終わったとの報告は受けておりません。
 また、個別の理由につきましては、株式会社新銀行東京とその経営陣であった当事者との問題であることから、都としては承知しておりません。
 新銀行東京は、自主返納を求めることをみずから主体的に決定し、今後も重ねて返納を働きかけていくとしておりまして、都としてはこれを見守ってまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 キャップ・アンド・トレード制度における事業者の反応についてでありますが、都は、数々の説明会を開催し、制度の周知を図ってきましたが、これまでに延べ一万五千名という多くの事業者の皆さんに参加をいただいております。また、具体的な制度運営にかかわるさまざまなご質問も寄せられており、ヘルプデスク等の場におきまして、きめ細かな対応を行ってきております。
 既に対象事業所では、既存のビルに比べ、CO2排出量を五〇%削減する次世代型省エネビルの建設や、既存の事業所での高効率な設備機器の導入による省エネ改修など、積極的な取り組みも始まっております。
 今後とも、省エネセミナー等を通じた対策事例の紹介など、さまざまなバックアッププロジェクトを実施し、対象事業所の義務履行をサポートしてまいります。
 次に、キャップ・アンド・トレード制度に関する国への提案についてでありますが、都は、二〇〇七年六月に気候変動対策方針で、キャップ・アンド・トレード導入の方針を提起し、その後、経済界、NGO、学識経験者等の参加を得たステークホルダー会議での議論を踏まえ、実効ある制度を構築してまいりました。
 現在、全国的な制度のあり方について、中央環境審議会の国内排出量取引制度小委員会で議論が行われていますが、都は、国からの要請を受け、同小委員会への審議にも参加しております。
 都は、国に先んじて、実際にキャップ・アンド・トレード制度を構築し、運用を開始している経験を生かしまして、この小委員会の議論に積極的に貢献するなど、実効ある全国制度の実現のために努力してまいります。
 次に、省エネ促進プロジェクトにおけるメリットについてでございますが、省エネ設備導入には、本来、光熱費の節減というメリットがありますが、その効果の大きさは十分に知られておらず、中小企業の省エネ対策は立ちおくれた状況にあります。
 今回のプロジェクトは、対象となる中小企業に対し、最大四分の三の高率な助成を行うことにより、中小企業の省エネ改修に弾みをつけることを目指しております。本プロジェクトの実施を通し、省エネ投資には継続的な光熱費節減のメリットがあることを明らかにしてまいります。
 先日、募集説明会を開催し、千五百名以上の事業者の参加がありました。今後、都内中小クレジット事業化サポートセミナーの開催や、業界団体等と連携した事業周知を進め、この八月から募集を開始する予定であります。
 最後に、小笠原における環境に配慮した取り組みについてでありますが、小笠原諸島の自然環境を守るためには、自然に配慮した観光を推進していく必要があり、世界自然遺産登録を機に、さらに充実させていく考えであります。
 このため、自然ガイドの質の向上を目指し、講習で遺産価値と保全策を十分習得させるなど、南島などで実施している東京都版エコツーリズムを一層推進してまいります。
 また、ホエールウオッチングのルールなど、自主ルールの遵守の徹底とともに、自然環境の理解促進を図るため、自然体験やボランティア活動などを組み込んだ参加型の観光や案内人つきツアーの奨励などを進めてまいります。
 今後とも、村や観光事業者と連携しまして、環境に配慮した独自の取り組みを推進し、小笠原の貴重な自然を保全してまいります。
   〔福祉保健局長杉村栄一君登壇〕

○福祉保健局長(杉村栄一君) 六点のご質問についてお答え申し上げます。
 まず、若年者の精神疾患の予防等についてでございますが、精神疾患の予防や悪化防止のためには、都民に正しい知識を普及し、適切な相談支援を行うことが必要でございます。
 こうしたことから、都では、疾患ごとの症状や相談機関などを区市町村の窓口等を通じて周知に努めております。
 また、精神保健福祉センターや保健所において、本人及び家族を対象とした思春期、青年期相談を実施し、対人関係や、ひきこもりの問題等について助言指導を行っております。
 今後も、さまざまな機会をとらえて普及啓発を行い、心の問題を抱えた若者が早期に相談機関や医療機関につながるよう取り組んでまいります。
 次に、精神疾患の早期発見、早期支援についてでありますが、若年の精神疾患の方を早い段階で支援に結びつけていくためには、関係機関の連携や対応能力の向上が重要であります。
 このため、精神保健福祉センターでは、区市町村職員や教職員等を対象として、ネットワークづくりやスキルアップを目的とした研修や事例検討会を開催いたしております。
 また、現在、東京都地方精神保健福祉審議会におきまして、地域における精神科医療提供体制の整備について審議しており、この中で、精神疾患の早期発見、早期支援に向けた、より効果的な取り組みについても検討を行っております。引き続き、関係機関の連携に努めてまいります。
 次に、多摩地域における新生児医療についてでありますが、低出生体重児などのハイリスクの新生児については、NICUでの集中治療の後、GCUでの回復、地域の医療機関等への転院を円滑に行うことがNICUの機能を確保するためにも重要でございます。
 このため、現在、多摩地域においても、急性期の医療とその後の医療を切れ目なく確保することを目的に、総合周産期母子医療センターを中心に、病院や診療所がネットワークグループを構築しており、今後、新たに指定する多摩新生児連携病院の機能も活用して、リスクに応じた連携に取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、周産期母子医療センターのNICUの機能を強化してまいります。
 次に、地域の中核病院と開業医との連携についてでありますが、限られた小児医療資源を最大限活用していくためには、初期、二次、三次の小児医療施設がその機能を十分に発揮するとともに、それぞれの役割に基づき重層的に連携することが重要でございます。
 このため、都は、医療機関、区市町村及び東京都医師会等の参加を得て、新たに設置する東京都小児医療協議会のもと、こども救命センターを中心とした四つのブロックごとに部会を設け、それぞれの地域における連携の仕組みづくりなど、具体的な取り組みを進めてまいります。
 さらに、多摩地域においては、都立小児総合医療センターと多摩北部医療センターとの間で遠隔診断支援システムの導入などを図るとともに、地域の中核病院と診療所等とがお互いに話し合い、連携を深めるためのネットワーク会議や症例検討会を実施する小児医療ネットワークモデル事業に取り組んでまいります。
 次に、不妊治療に対する医療保険適用についてでありますが、都はこれまでも、大都市衛生主管局長会等を通じて、不妊治療について医療保険適用の範囲を拡大するよう要望してまいりました。
 また、本年一月に取りまとめた少子化打破緊急対策最終報告におきましても、特定不妊治療等の治療内容及び費用の標準化を図った上で、公的医療保険の適用対象とするよう国に求めており、引き続き、提案要求を行ってまいります。
 最後に、特定不妊治療費助成事業についてでございますが、ただいまお答えしたように、都としては、不妊治療を必要とする人が安心して治療を受けられるよう、国において特定不妊治療等の有効性等についてさらに検討した上で、治療内容及び費用の標準化を図り、医療保険の適用対象とすべきものと考えております。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩北部医療センターにおける常勤医師の確保についてでありますが、当センター小児科では、現在、保健医療公社の常勤医師六名のほかに、小児総合医療センターから三名の医師の派遣を受け、診療体制を確保しております。
 今後とも安定した診療体制を維持するためには、公社常勤医師をふやしていくことが望ましいと考えており、引き続き、公社と密に連携をとり、常勤医師の確保に向けて取り組んでまいります。
 次に、多摩北部医療センターの救急医療体制についてでありますが、清瀬小児病院移転後の地域の小児医療を確保するため、都は、当センターの夜間、休日の救急診療を含め、さまざまな対策を講じ、万全の体制で臨んでまいりました。
 今後も救急二系列の継続を初め、地域住民の安心が確保されるよう、適切に対応してまいります。
 最後に、多摩北部医療センターの地域啓発活動についてでありますが、当センターでは、これまでも、地区医師会との症例検討会や学校関係者等を対象とした研修会など、地域に向けた普及啓発の取り組みを積極的に行ってきております。
 さらに、これに加え、地域住民からの電話による受診相談に看護師が適切なアドバイスをするなどして、住民の不安解消等にも努めております。
 今後も、医療スタッフによる啓発活動に一層の工夫を行い、例えば、保育園の行事等の機会に看護師が育児相談を受けるなど、地域住民の安心につながる具体的な取り組みを引き続き行ってまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 島しょ貨物運賃補助対象品目の見直しについてでございます。
 貨物運賃補助の対象となる品目は、島民の日常生活に不可欠な品や、島の産業を支える特産品の中から、補助の効果が高く、かつ、その効果が幅広く島民に還元される品を地元町村など関係者と調整の上、指定をしてございます。
 ガソリンにつきましては、島と本土との価格差のうち、貨物運賃が占める割合は、価格差が大きい御蔵島、三宅島などで三〇%程度と小幅であり、価格差の大宗は、販売量の少ない島向けに小口輸送するための経費や、小売り段階での手数料などにより生じてございます。このため、運賃補助の効果が小さいことから対象品目としてこなかったものでございます。
 今後とも、貨物運賃補助制度の運用に当たりましては、各島の理解が得られるよう努めてまいります。

○議長(田中良君) この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十九分休憩

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