○議長(田中良君) 十二番西沢けいた君。
〔十二番西沢けいた君登壇〕
○十二番(西沢けいた君) 近年、官僚の渡り人事などに象徴されるような公務員の天下りに対しての厳しい声が高まっております。
こうした中、私はある局に、東京都では再就職のあっせんは行っていないのかと聞きますと、東京都ではあっせんはしていませんとのお答えでした。しかし、あっせんはしていませんが、問い合わせがあれば紹介はしていますともお答えいただいたわけであります。まさにこれこそあっせんというのではないでしょうか。
職員の方が退職してみずからハローワークに出向き、たまたま再就職した団体が結果として東京都と関係があったということならばまだしも、団体からの問い合わせを受けて職員を紹介するというのは、天下りのあっせんといわずして何というのでしょうか。
さきの第四回定例会でも、築地市場の豊洲への早期移転を求める要望書を提出された団体へ都庁OBが天下りをしている、このことが移転問題に何らかの影響があるのではないかということが議論になりました。
この要望書を提出された団体へ天下りが本当にあったのかを局に聞きました結果、監理団体でも報告団体でもないので実態を把握しておらず、一件一件電話で確認して実際に天下りがあったということをようやく確認した、今後同じような調査を続けるのは難しいということでした。
ここで問題なのは、これほど東京都の事業と密接に関係する団体であるにもかかわらず、再就職情報を東京都が容易に把握できる状況ではないということです。さらに、OB職員を関係団体からの求めに応じて東京都が実際に紹介している、すなわち事実上のあっせんが行われているというのであれば、実態を把握していないという説明では、なおさら都民は納得できないのではないでしょうか。
東京都での勤務経験、能力を民間でも発揮されるのは大いに結構なことだと思いますけれども、監理団体または報告団体であるかどうかにかかわらず、少なくとも東京都の事業と密接に関係する団体への再就職情報はきっちりと把握しておくべきだと考えますが、見解を伺います。
これまで、監理団体や報告団体の天下り状況の公開は、少しずつ進んできているところかと思います。また、石原知事就任直後には、監理団体の退職金を全廃する積極的な改革を進めてこられたと認識しております。しかし、改革を進めてこられた中で、監理団体を削減して、報告団体になった団体も数多くあります。監理団体の数は減っているにもかかわらず、報告団体の数は一時期ふえ、平成十七年度以降は横ばいです。
この中、監理団体の退職金は廃止されるという改革がなされているこの中で、報告団体の退職金はどのようになっているのか。私は、議会局を通じて各局へ報告団体のOB職員への退職金の支払い状況を調査しました。
その結果、五十二の報告団体のうち十三団体で退職金を支払っているという実態がわかりました。これでは、監理団体という退職金の出ない団体から退職金の出る報告団体へと、改革の名のもとに看板をかけかえたといわれても仕方がないのではないでしょうか。さらに、十一団体は回答を拒否しているという状況で、透明性も確保されておりません。
幾ら監理団体と報告団体とでは都の関与の度合いに違いがあるといっても、公的な要素を持つ団体に変わりはありません。天下りの批判が高まる中、このままでは都民の理解を得られないと思います。報告団体の退職金、廃止してはいかがでしょうか。見解を伺います。
オリンピック・パラリンピック招致活動について伺います。
先日、五百八十ページにも上る招致活動報告書が作成されました。この報告書には、日本がオリンピック・パラリンピック招致に再び挑戦する際の海図として活用されることを目的としたものでありますと書いてあります。再招致にも言及されているわけですから、あいまいな内容など都民が納得できない答弁であれば、今後の招致の是非にも大きく影響するとお考えいただいた上で、明確にご答弁ください。
今回の招致活動費は、東京都の招致本部とNPO法人である招致委員会で七十五億円ずつ、二つの団体を合わせて合計百五十億円の招致費用が使われる予定でした。招致委員会の予算七十五億円のうち二十五億円は東京都からの補助金であり、都民の皆様の税金であります。五十億円は企業などからの寄附や協賛金で賄う予定だったものの、経済の悪化によって予定していた収入は集まらず、結果として六・九億円が電通から借り入れるとのことです。
招致委員会は、この六・九億円の赤字について、委員会が今後行う事業収入で補い、都税で補てんすることはないとしています。そうであれば、当然、招致委員会自身がみずからの責任で今後の返済計画、そしてその前提として事業収入の見込みがあるはずかと思いますが、具体的な説明を求めます。また、逆に事業に失敗して返済がさらにおくれるような場合にどのように対応するのか、お答えください。
この報告書は、既に二〇二〇年のオリンピック招致を目指すことに言及しております。うがった見方をすれば、招致委員会を存続させ、もし二〇二〇年のオリンピック招致を行うことが決まった場合、東京都から改めて招致委員会に補助金が投入され、結果として都税での補てんになりかねません。見解を伺います。
今回、私ども都議会民主党としても、オリンピック・パラリンピック招致検証ワーキングチームを発足させ、意見交換やヒアリングを繰り返し行ってまいりました。招致活動費の使われ方を検証する際の資料要求にしても、NPO法人である招致委員会は別団体であるとの理由で要求に応じていただけないケースもしばしばございました。
しかし、二十五億円もの都税が投入された団体のお金の使われ方を都民の代表たる議会がチェックできないというのは納得ができません。招致委員会をNPO法人として設立して招致活動を行ったことをどのように評価しているのか、また、次回招致を目指すことになったとしたら、今回と同様な組織形態で活動すべきとお考えでしょうか、伺います。
この報告書と同日に発表された監査結果でも、招致本部による特命随意契約の九一%が電通との契約であり、慎重にすべきとありました。招致委員会を合わせた招致経費百五十億円全体の中で見ても、そのうち五十三億円以上がほとんど随意契約で電通と契約している実態があります。
こうした電通との関係をさまざま指摘される中、私ども都議会民主党は、文書にて電通に幾つかの質問をさせていただきましたところ、招致委員会の職員の中に電通からの出向職員が五名いたことがわかりました。
招致活動のノウハウや人脈等それなりの理由があったのかもしれませんが、発注する側の団体に受注する側の企業が職員として勤務しているのは、公平公正の点からいかがなものかと考えます。特に、電通が制作した最終プレゼンテーションに活用された十分間の映像が五億円もしたことについては、高額ではないかと関心を集めました。電通からの出向職員を抱えていたことは、公平公正な組織運営上、問題がなかったとお考えになりますでしょうか。見解を伺います。
昨日の我が会派の代表質問において、二〇一六年の招致における総括と課題についての質疑を行いました。このとき知事は、招致に向けた機運の醸成についても、都民、国民がみずから主体的に招致に賛同して応援していくことが大きな力になりますと発言をされました。
しかし、二〇一六年招致の現実は、世論の喚起に九十五億円を投入したにもかかわらず、IOCの世論調査では四都市中最下位の支持率の結果が出て、IOC委員の投票行動にネガティブなイメージを与えてしまった。報告書でも書いているわけでございます。
また、日本人の国民性や成熟国家日本の現状から、圧倒的多数の賛成を得るのは難しいと分析していますが、果たしてこれが総括として妥当なものだったのか。自分は頑張ったが、都民、国民が盛り上がらないのが悪いのである、失敗したのは都民、国民の責任であるというように受け取れます。知事に都民、国民の納得できる敗因を伺います。
次に、事業を検証するための新たな視点や手法の導入について伺います。
民主党政権のもと、国においては事業仕分けの実施により徹底したむだの排除を進め、七千億円もの財源を生み出すなど、歳出削減の切り札として一定の効果を上げました。四月には公益法人や独立行政法人が行う事業について第二弾として改めて仕分けを実施するとしており、そのあり方にまで踏み込んだ改革を進めることとされています。
事業仕分けのポイントの第一は、さまざまな事業の必要性について、外部の第三者によって公開の場で議論されたことです。連日のマスコミ等の報道により、さまざまな事業への国民の関心が高まったのも事実であります。私が聞く多くの声も、初めて税金の使途や事業の効果についての議論を見聞でき関心が高まった、新たな政治手法として新鮮に感じることができたというものでありました。
ポイントの第二は、さまざまな事業についても、そもそも必要なのか、必要ならば国、都道府県、市町村、そして民間の中でどこがやるべきなのかについて、役割分担の視点にもしっかり踏み込んで検証することであります。確かにそのプロセスでは、教育のあり方や外交など国家の基本戦略にまでかかわる事業にそもそも事業仕分けがなじむのかという見方や、科学技術関係予算を見直しといった判断結果などについて幾つかの課題が指摘されており、私自身も今の仕組みがベストなものだとは考えておりません。
しかし、事業仕分けにおける議論の中では、縦割り弊害の、事業の効果そのものについての疑問など、第三者の視点も加わることで、これまで行政内部の議論だけでは明らかにされなかった本質的な課題も多く指摘されたのも事実であります。
この事業仕分けは、既に都道府県で十二団体、市町村で三十四団体の取り組みが見られ、自治体としても新たな取り組みとして定着しつつあります。
東京都では、これまで二度にわたる財政再建推進プランの取り組みにより、あらゆる施策について点検、見直しを行うことで八千億円以上の財源を確保し、財政再建を達成しました。その後も、事務事業評価の取り組みによって毎年継続的に施策を検証しており、二十二年度予算でも、施設整備や情報システムなど新たな分野にも切り込み、百四十件の見直しを行ったことは高く評価できるものであります。
ただ一方で、包括外部監査報告で指摘された事業や広報活動、印刷物の製作などについて、まだまだ見直すべき事業もあるのではないでしょうか。さらにもう一歩踏み込んだ事業の見直しを進めるためには、行政内部による見直しによるのではなく、むしろ第三者から新たな視点で厳しく指摘をしてもらうことも十分に考慮すべきではないかと思います。
この先の景気の動向を見ても、大幅な好転は期待できない状況にあり、都税収入もさらに落ち込むリスクを抱えています。都は、今の事務事業評価の取り組みをもう一歩も二歩も進め、その評価のプロセスに外部からの視点も取り入れることなどによって、新たな切り口から事業を検証することが必要だと思われます。
もう財政再建を達成しているからやらないのではなく、もう一段の見直しが必要だからこそ、新たな取り組みが必要なのではないでしょうか。自治体のリーダーであり、財政再建を達成した都だからできる、まさに東京版事業仕分けともいうべき、事業を検証するための新たな視点や手法の導入について検討すべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、青少年健全育成条例の改正案について伺います。
青少年が被害者となる悲惨な児童買春や虐待などの行為を野放しにしていいわけがありません。また、青少年の健全な育成に向け、有害な情報のはんらんも防がなければなりません。
こうした中で、今回の改正案には、規制の対象となる図書類等について、青少年をみだりに性的対象とする悪質な漫画が追加されており、その定義の中で、非実在青少年という新たな概念が盛り込まれております。年齢または服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示または音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの、これを非実在青少年というようでありますが、青少年を描写した漫画やアニメのことを指すものと思われます。
過激な表現が描写されているものは当然規制すべきかと思いますが、こうした新たな概念が具体的にどのようなものか明確ではなく、あいまいです。解釈のしようによっては、青少年を描写した漫画やアニメのほとんどが適用されてしまうのではないかという懸念を持つ方もいます。その他含め、出版物が有害かどうかを行政が判断することになることには慎重な意見もあります。国での議論がこれから進められる問題でもありますが、見解を伺います。
なお、答弁によっては再質問も留保させていただきまして、終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 西沢けいた議員の一般質問にお答えいたします。
オリンピック・パラリンピック招致の敗因を踏まえたこれからの課題についてでありますが、これは有形無形、複合的なものでありまして、昨日も大沢議員の質問に答えたとおり、この招致運動には、さまざまな見えざる力が働く、国同士の陰陽の非常に熾烈な戦いであります。国やスポーツ界、経済界などの各界が総力を結集し、国としての一体感を持って臨んでこそ初めてかち得るものだと思いました。
各種スポーツ団体の国際競技連盟における日本人の会長職は今やゼロでありまして、IOCや国際競技連盟の要職に発言力のある強力な人材を送り込み、国際的な影響力を高めていかなければ、招致の獲得は非常に難しいと思います。
また、招致に向けた機運の醸成についても、都民、国民がみずから主体的に招致に賛同し、応援していただくことが大きな力となるはずであります。オリンピックで多くのメダルを獲得した国と日本とでは、選手強化にかける費用がけた違いであります。国家としての連帯感を養うためにも、スポーツ予算を大幅にふやすことが必要ではないかと思います。日本人選手が活躍すれば、招致に対する機運も盛り上がるでしょう。
昨年十月に行われた内閣府の調査では、オリンピックなどの国際競技大会を我が国で開催することを望む国民の割合が九割となっております。先日の東京マラソンでも、三十一万人の応募があり、沿道に百六十万人以上の観衆が集まりました。こうした都民、国民のスポーツへの期待にこたえ、今回の招致活動で得た貴重な経験や教訓を生かし、日本でのオリンピック・パラリンピック開催という大きな夢をやがて実現していくことを願っております。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 二点のご質問にお答えします。
まず、都幹部職員の再就職情報についてでございますが、都はこれまで、すべての局長級職員並びに監理団体及び報告団体に再就職した部課長級職員につきまして、その実情を把握し、氏名、役職等を公表してまいりました。
今後、この件につきましては、既に知事から指示を受けておりますが、相手先の意向等を勘案しつつ、再就職状況をこれまで以上に明らかにし、一層透明性を向上させてまいります。
次に、報告団体の退職金についてでございますが、監理団体は、都政の現場の一翼を担うなど、行政支援、補完機能を発揮することから、全庁的な指導監督が必要な団体でございます。一方、報告団体は、公益性の観点から都が出資等を行っているものの、都との関連性は監理団体ほどではなく、より自主的な経営を行う団体でございます。
そのため、報告団体の退職金の支給の可否につきましては、個々の団体がみずからの経営責任のもとで判断すべきものであると考えております。
なお、お話の中に、改革の名のもとに、退職金支給に関連しまして監理団体から報告団体に衣がえをしたと、こういった内容のお話がありましたけれども、監理団体から報告団体に変更したのは、団体と都政との関連性などの、こういった状況の変化に応じて行ったものであります。
同じ理由で、逆に報告団体から監理団体の位置づけの変更も行っております。お話は、当たらないと考えております。
〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕
○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) まず、招致委員会の借入金についてでありますが、招致委員会では現在、来年度の事業計画について検討を行っております。
今後は、蓄積した財産を活用して、民間ベースで東京、日本のスポーツ振興のための事業を実施するとともに、この活動の趣旨に賛同する企業、団体からの寄附金収入や事業収入により借入金を返済していく予定でございます。
最終的な法人の意思は、今後開催される理事会で決定される予定でございます。
次に、借入金の公費での補てんについてでありますけれども、現在、招致委員会では、二〇二〇年招致の有無にかかわらず、公費での借入金返済を行わないことを前提に、来年度の事業計画について検討を行っており、公費の投入は全く考えておりません。
次に、招致委員会の組織形態についてでありますが、招致委員会は、民間団体としての創意工夫を前提に、柔軟で機動力のある運営を行うことを期待してNPO法人として設立いたしました。
今回の招致活動を通じて、招致委員会には、招致のノウハウや海外とのネットワークなど、さまざまな財産が蓄積されました。
現在、招致委員会では、これらの財産を生かす来年度の事業計画について検討を行っているところでございます。将来、我が国が二〇二〇年招致を行う場合は、民間団体としての利点を生かして、より一層柔軟で効果的な機能を持つべきと考えます。
なお、お話のあった、招致委員会に投入された都税による補助金につきましては、都議会の議決を受けて執行を行っており、また都監査委員による財政援助団体監査を毎年度受けておりまして、適切であるとの監査結果を受けております。
最後に、招致委員会への出向職員についてでありますが、招致委員会では、東京都、JOC、地方自治体、民間企業など、さまざまな団体、企業から職員を受け入れ、運営を行ってまいりました。その中で、オリンピックや国際スポーツ大会の招致、運営の実績とノウハウを持つ電通からも、専門スタッフを複数受け入れてまいりました。
このように、組織の中に電通出身のスタッフが在籍しておりましたが、招致活動における個々の事案は、理事会で議決された事業計画及び予算並びに決定手続を定めた処務規程に基づきまして、事務総長などが適切に決定をしておりますので、当該企業に有利になるような運営は行われたことはございません。
〔財務局長村山寛司君登壇〕
○財務局長(村山寛司君) 事業を検証するための新たな視点や手法の導入についてお答えをいたします。
事業仕分けと事務事業評価、いずれも個別の事業の必要性や効果などを検証して、よりよいものにしていくということを目的としております点では共通しております。
ただ、違いもあります。昨年、国において実施された事業仕分けは、政権交代を踏まえ、既存施策を全面的に白紙状態から見直そうという取り組みでございまして、その点では、それまでと異なる外部の視点で検証するということが、いわば手法上の前提となっていたというふうに思います。
これに対しまして都の事務事業評価は、お話にもございましたように、石原知事就任後、二次にわたり集中的に実施された事務事業の見直しの到達点を踏まえまして、この見直しの努力を財政再建達成後も組織として継続して実施していくための制度として立ち上げたものでございまして、いわば改革を都庁組織に内在化させ、行政自身の体質を変革しようとする取り組みでございます。
したがいまして、都が実施する事業を、他人ではなく、みずから厳しく評価してこそ意味があるのでございまして、このプロセスに外部の人材を活用することは、制度の性格上、なじまないものと考えております。
もとより、事務事業評価の結果や、それに至る考え方はすべて公表し、すべて都民の目にさらされます。また、評価結果のみならず、各事業自体、都議会の皆様の審議の過程で恒常的に厳しく評価されております。また、民間の公認会計士による包括外部監査のチェックの仕組みもあるなど、事業のあり方を都の行政組織外の視点から見直す仕組みが存在しております。
都は、将来にわたって継続的、安定的に果たすべき使命を持っておりますので、都といたしましては、今後、評価対象を拡大するとともに、新しい公会計手法を一層活用するなど、評価手法の充実も図りながら、事務事業評価制度が持つ事業を検証する機能をさらに高め、都の行政組織の自己改革力を向上させるべく、継続した努力を続けていく決意でございます。
〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕
○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 青少年に係る漫画等の規制についてでありますが、今回の青少年健全育成条例改正案におきましては、漫画等において明らかに青少年として表現されているものを非実在青少年と定義した上で、その性交または性交類似行為に係る姿態を、正当な理由なく性的対象として肯定的に描写した漫画等について、青少年に対する販売等の自主規制及び不健全図書指定の対象に追加しようとするものであります。
これは、このような漫画等を青少年が閲覧することにより、青少年の健全な性的判断能力の形成を阻害するおそれがあることによるものであります。したがいまして、単に子どもや、その裸の描写が含まれる漫画やアニメを規制するものではなく、また広く成人に対する流通一般を規制するものでもありません。
なお、本条例には、昭和三十九年の制定当時から、青少年が閲覧することで、その性的感情を刺激するなど、青少年の健全育成を阻害するおそれがある漫画などの図書類について、青少年の目に触れないようにするための規定が設けられております。
具体的には、出版関係者による青少年への販売等の自主的な規制を基本としつつ、著しく悪質なものに限り、青少年健全育成審議会に諮問の上、都が不健全図書として個別に指定し、青少年への販売等を制限するものであり、こうした仕組みにより、青少年の健全育成を図ってきたところでございます。
今回の改正案につきましても、慎重な手続を経て運用されることに何ら変更はございません。
〔十二番西沢けいた君登壇〕
○十二番(西沢けいた君) 知事に敗因を聞いているわけであります、オリンピックに関しまして。盛り上がらなかったのは、都民、国民が能動的に招致に動かなかったことと認識した上での答弁なのか、それとも都民、国民もオリンピック招致に向けて、十分主体的に頑張ったとお考えの上での答弁なのか、そこを確認したいので、質問させていただいたわけであります。
以上です。知事、お答えください。(拍手)
〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕
○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 報告書にもかかわる質問でございますので、私の方から答弁させていただきます。
最初の質問あるいは現在の質問でもございましたけれども、日本人あるいは都民の資質に関するものだと思います。
結果としまして、東京は招致を獲得できませんでしたけれども、ただいま知事が答弁しましたように、第一に、国やスポーツ界、経済界などの各界が総力を結集し、国としての一体感をもって臨む必要があること、第二に、日本のスポーツ界がIOCや国際競技連盟の要職に、発言力のある強力な人材を送り込み、国際的な影響力を高めていく必要があること、第三に、招致に向けた機運の醸成について、都民、国民がみずから主体的に招致に賛同し、応援していただくことが大きな力となることでございまして、報告書でも基本的に同様の記述をしております。
世論の支持につきましては、IOCから、他都市と比べて低いとの指摘がございましたけれども、その後、次第に高まりまして、評価委員会来日時には八割、それからIOC総会前後には九割まで達しておりまして、こうした国民、都民の高い期待を維持していくことが大事であると報告書でまとめております。
今後、これらの課題に対しまして、早い段階から各界の協力を得て、都民、国民の理解、賛同を得ながら、アスリートも参加した地域スポーツの振興やスポーツムーブメントの醸成に取り組んでいくとともに、国際的なスポーツ大会や関係会議の日本への招致などを計画的に進めていく必要があると思います。
そのためにも、今回の招致活動で蓄積した財産を活用し、東京、日本のスポーツ振興を推進するための機能を存続、強化させていくべきであるというふうに考えております。
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