午後一時一分開議
○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。
○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(田中良君) 昨日に引き続き質問を行います。
百番いのつめまさみさん。
〔百番いのつめまさみ君登壇〕
○百番(いのつめまさみ君) 国外で大地震被害が発生しています。地震をとめることはできませんが、命を奪われないよう、緊急に日本でも取り組みが必要です。
知事は所信表明の中で、緊急輸送道路沿道建物について、戸別訪問して耐震化を働きかけるローラー作戦を対象地域を拡大して展開いたしますと、地震から都民を守る強い意思を述べられました。
耐震化の必要な建物は耐震基準改正前に建築されたものです。対象建物の所有者は、耐震改修促進法第六条の規定により、耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うよう努めることとされています。
都では、平成二十年四月から、間接補助金制度を、耐震診断、補強設計、耐震改修に開始いたしました。台東区と私の地元新宿区では、診断と設計に対し助成をしています。診断、設計、改修すべて助成は、中央、港、墨田、大田、世田谷、渋谷、杉並、荒川、練馬、足立、葛飾、江戸川、江東、武蔵野市です。診断のみは、千代田、文京、品川、中野、豊島です。診断と改修に助成は、目黒、板橋です。この二十二区と一市以外は残念ながら助成制度を実施していないので、国や都の助成の受け皿がありません。新宿区の助成実績は、二十年度はゼロ、二十一年度は診断に一件です。新宿区は、実績が少ない理由を改修への助成制度がないからと判断し、来年度から始めると発表しました。
一刻も早く市区町村に助成窓口を開いてもらわなければ、ローラー作戦の成果も上がらないと思います。私たち議員も、自治体に働きかけ、汗をかかなくてはなりませんが、助成なくして知事のおっしゃる耐震診断の義務づけも困難です。
そこで伺います。ローラー作戦と助成制度についての見解をお聞かせください。
新宿駅東口のビルオーナーから、建てかえしたいが都駐車場条例の駐車場の附置義務がネックになっていると聞きました。新宿区周辺では平置き駐車場設置は不可能です。地下か屋上に駐車場を設置すると、車用エレベーターやスロープが必要になり、営業スペースを脅かしてしまいます。銀座や大・丸・有地域では、地域ルールにより駐車施設整備の特例を受け、建てかえが促進され、新築ビルがふえました。このことからも、駐車場附置義務がネックになっていることがよくわかります。しかし、地域ルールづくりは銀座で五年かかっており、なかなか容易ではありません。
知事は、駐車場附置義務は渋滞解消のため必要といわれていますが、新たな駐車違反の取り締まり制度により、まちから違法駐車は減少しています。都民の命を守ることを急ぐのであれば、附置義務をいっとき緩和したらどうでしょうか。見解を伺います。
また、平成二十三年に築三十年を経過するマンションは全国で約百万戸に達しますが、その中には既存不適格物件も多いと聞いています。建てかえ前より広い面積がとれる、還元率一〇〇%を超える物件もわずかと推測され、建てかえ物件の世帯主の平均年齢は七十歳といわれ、早くて二年間の一時転居資金が重い負担になっています。仮住まいの問題を解決しないと、マンションの建てかえは促進できません。マンションの建てかえにより地震に強いマンションにしていくための施策をお聞かせください。
次の質問に移ります。
新宿区下落合の目白通りと新目白通りの間、野鳥の森公園、おとめ山公園があり、タヌキや絶滅危惧種の猛禽類のツミの生息が確認される地域に、タヌキの森と呼ばれる屋敷跡地がありました。樹齢二百年のケヤキが茂るこの土地は旗ざお型です。さおの幅は、狭い部分は四メートル、長さ三十七メートル、旗の南側はがけで、都河川部が土砂災害危険箇所としています。この土地にはマンション建設は不可能、そして、都建築安全条例の規定により、千平方メートルを超える建築物はつくれません。
平成十六年十一月、地上三階三十戸の二千八百メートルの重層長屋を建設する計画が発表されました。住民は、トラスト基金を設立し、土地価格の三分の一に当たる二億五千万円を集め、五億円新宿区の負担で公園整備をという要請を区長に行いました。平成十六年十二月二十二日午後三時のことです。
ところが、何とこの日の午前九時、都建築安全条例第四条三項の特例を使っての認定処分が区長名で出ていたのです。安全認定の事案決定区分は課長決定でしたから、新宿区長は認定交付を交付前に知らなかった可能性があります。面会直前の認定交付はとても偶然とは思えません。認定がおりた途端、業者は土地の価格を三億円ほどつり上げ、買い取りの交渉は成立しませんでした。緑の保全が難しく、わらをもすがる思いで住民は、平成十七年三月二十五日に、都知事あてに下落合旧遠藤邸の屋敷と森の保存を求める要望書を出しました。可能であれば隣地からご視察をいただきたい、無礼なお願いと存じますが、保存、公園化に対し、何とぞご支援賜りたくお願い申し上げますと切実な思いが込められています。
その後、新宿区建築審査会は住民が何度訴えても審査請求を却下し、とうとう住民は東京地裁へ提訴しました。それにもかかわらず、平成十八年一月三十日、業者は建築確認の申請を提出、平成十八年二月八日に、建築主事である建築課長は、業者に建築基準法第六条五項の規定による期限内に確認できない旨の通知を出し、法適合性に疑義があるとしています。この建築課長は東京都から人事交流で新宿区に行っており、三月三十一日に東京都に戻ってしまいました。その後、六月三十日、消防同意が求められ、係争中であるのに判決を待たず、七月三十一日に建築確認がおりるのです。もし東京都に戻った建築課長が新宿区にいたら、事態は変わっていたかもしれません。
平成十八年九月二十日の新宿区議会の議事録を見ますと、災害発生時、新宿区は責任がとれるかの質問に対し、都市計画部長は、消防署の指導により、建物外周辺部に連結送水管を設けており、ご指摘の地域の安全性は十分確保されていると考えておりますと答えています。この都市計画部長も都から行っていた方でした。
その後、平成二十一年一月十四日に、東京高裁判決は原告である周辺住民の全面勝訴、同十二月十七日、最高裁判所は新宿区の訴えを棄却する判決主文がいい渡され、特例認定後五年目にして住民側の完全勝利で決着したのです。現在、重層長屋の建築工事は七割完成し、とまっています。区民は、自分たちの税金が損害賠償に使われるのではないかとタヌキの森に注目をしています。
これまで長期間、東京都と自治体で人事交流が行われています。タヌキの森のときも、建築課長と都市計画部長が新宿区へ行っていました。建築主事は責任が重い職で、自治体のプロパーで充てるべきです。期間限定の人事交流には適さないと思います。また、再開発絡みでは、都市計画部長が都に戻ると、再開発の話が二年前の振り出しに戻ってしまうとの声が聞こえます。都の人事交流への見解を伺います。
この皆さんから出された知事への要望書に対して、視察はおろか返事もなかったとのことです。知事はこの要望書のことを覚えていますか。見解をお聞かせください。
重層長屋の消防同意がどのような内容だったのか、建物外周辺部に連結送水管を設けるよう指導されたのかどうかも含めて伺います。
次に、広告つきバス停留所について質問いたします。
バス停留所に上屋を設置し、広告をつけ、広告収入で維持管理する広告つきバス停留所の整備が平成十九年度より始まりました。快適性、利便性及び景観の向上、夜間も明るく安全で、評価をいたします。岡山市、横浜市など、他の都市はすべて民間委託で事業化しており、私も、都は利用料金の資本投下なしで進めるべきと主張してまいりました。なぜなら、自治体が行うと設置費用が高くなりますし、広告販売に影響を与えるからです。
今パネルでお見せいたしますが、これ、ごらんになってください。試作した、最初につくった第一庁舎前は何と一千三百万円、小さな住宅が建つ価格です。次は、十九年度の落札価格が一千万円、最近は五百万円と節約の努力が見えます。(「見えないよ」と呼ぶ者あり)見えても余り変わりばえがしないので大丈夫です。しかし、民間の設置費用はもう少し──これも民間です。これも民間ですが、もっと安いといわれています。
三年間で百基整備の予定でした。現在までに五十一基が完成し、三月中に急いで二十九基が整備され八十基と、二十基足りません。交通局は、歩道幅員の制約が厳しいことが設置のおくれといっています。私の調査では、平成十九年に四十カ所、設置可能か否か、交通管理者に実査を依頼したところ、二十七カ所には了解、十三カ所はノー、平成二十年度は実査ゼロ、二十一年は、二月に七十五カ所実査で、了解が六十四、ノーは十一、九月には二十五カ所実査で、了解が八、ノーが一、了解を得られなかった理由は、交差点が近い、自転車通行区分であったなどですが、バス停が臨時移動中で実査ができなかった箇所があったと聞いています。交通局は、交通管理者に実査を依頼する前に、もっと局内でしっかり調査をする必要があります。この事業の進捗状況の見解を伺います。
当初、広告販売稼働率を八〇%、設置費用は五年で回収できるとしていたのに、二十年度は六二%、二十一年度は五〇%の見込みとなっています。景気の悪化が原因と思われますが、このままでは回収におくれが生じます。基数増加により、広告販売価格が現在の販売方法だと高くなり、稼働率が下がる懸念があります。交通局は改善策を検討されていますか。見解を伺います。
十九年度の公営企業委員会で私が、上屋の維持管理はだれが行うかに対し、交通局が民間事業者に委託しましてと答弁されましたが、現在は電通に清掃委託まで含めて管理委託しています。四年目からの広告料収入を一億九千二百万円と仮定し、販売手数料二〇%で三千八百四十万円、このうち八〇%が電通による販売です。そして、管理委託手数料は、清掃委託料と合わせて四千五百九十万円、電通には毎年七千六百六十二万円ずつ入っていく計算になります。オリンピック招致で都と電通の関係を好ましく思っていない都民がいます。一社だけに頼らない広告販売に努力すべきと考えます。今後の広告販売についての見解を伺います。
最後に、築地市場の移転問題について伺います。
石原知事はさきの施政方針で、もとより豊洲への市場移転は移転地の土壌汚染の除去が前提だと述べ、世界に誇る日本の最先端技術を活用した汚染対策の実験結果を踏まえ、都民、国民や市場関係者が安心できる十分な対策を着実に講じると述べました。
技術会議の結果によって、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策経費は五百八十六億円と見積もられています。また、参考人質疑では、専門家会議の平田先生が、恐らく液状化対策をやるときに、かなりの部分、有楽町層の中まで入らざるを得ないと答えています。さらに、技術者会議の安田参考人は、粘土層の下にある砂というのは、本当に液状化するかどうかは実際に調査してみないとわからないと答えています。
そこで、五百八十六億円の土壌汚染対策経費は今後増大するおそれはないのか、その妥当性について見解を伺います。
また、豊洲新市場の事業費四千三百十六億円のうち、建設費用を九百九十億円としていますが、この建設費についても、今後大きくふえることはないのか懸念されます。そもそも東京都は、豊洲の建設費について、平成十八年十月十七日の経済・港湾委員会での説明の際には九百二十七億円と説明していましたが、それがどうして九百九十億円に膨らんでしまったのでしょうか。
そこで伺いますが、この九百二十七億円と九百九十億円の違いは何なのか、また、九百二十七億円と九百九十億円との積算時で積算方法に違いがあるのか、違うのであれば、それぞれの積算根拠の算出方法の見解を伺います。
また、石原知事は、築地市場は老朽化が激しく、わずかな地震の揺れでも屋根の一部が落下することまでも発生していると繰り返し述べています。私は、もとより築地市場の老朽化を否定するつもりはありません。しかし、例えば、平成二十年三月に東京都がまとめた、東京都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震性に係るリストによると、築地市場ではIs値が最も低いのは水産物部第一卸売業者売り場の〇・四ですが、これより耐震性が低い施設もあります。私の選挙区の淀橋でも、低い〇・三八であり、現在、リニューアル事業が着実に進んでいます。
移転の是非に関係なく、現在の築地市場は引き続き市場としての役割を求められています。殊さら危険性を強調するよりも、しっかりと耐震対策を実施していくことが築地市場にとってまず何より必要であると考えますが、見解を伺います。
答弁によっては再質問を留保させていただき、質問を終わります。(拍手)
〔都市整備局長河島均君登壇〕
○都市整備局長(河島均君) いのつめまさみ議員の一般質問にお答えします。
四点のご質問にお答えいたします。
まず、耐震化のためのローラー作戦と助成制度についてでございますが、いわゆるローラー作戦は、緊急輸送道路沿道におきまして、戸別訪問等により、建物所有者に耐震化に向けた主体的な行動を促すものでございます。耐震化を促進するためには、ローラー作戦の取り組みとともに、所有者が費用負担の軽減を図る助成制度を活用できるようにすることが重要でございます。
このため、都は、助成制度を設けていない区市に対して早期の制度化を要請した結果、平成二十年度の十三区市から、今年度は二十三区市に増加しております。今後とも、区市町に対し制度の働きかけを行うとともに、ローラー作戦の取り組みを強化してまいります。
次に、建物の建てかえと駐車場の附置義務についてでございますが、建てかえが進まない要因といたしましては、資金不足、権利関係の錯綜、借家人への対応などさまざまなものが挙げられます。一方、駐車場の附置義務は、建物から発生する駐車需要に対応することを目的としておりまして、東京の弱点でございます交通渋滞の緩和に必要なものであるため、附置義務を一時的であっても一律に緩和することは適切ではないと考えております。
なお、新宿区では、新宿駅周辺地区につきまして、駐車場の附置義務に関する地域ルールの策定も視野に入れ、駐車場整備計画の改定に向けた検討を既に始めております。
次に、地震に強いマンションにしていくための施策についてでございますが、昭和五十六年以前の旧耐震基準のマンションにつきましては、耐震診断を実施し、耐震性が不十分な場合には耐震改修や建てかえを進める必要がございます。都は、耐震診断や耐震改修への助成のほか、建てかえに際して共用部分の工事費等の一部を助成しております。しかし、建てかえには専門的知識が必要であることや、区分所有者の合意形成が困難であることなどの課題がございます。
そのため、都は、ガイドブックによる管理組合への情報提供や、区市と連携した相談体制の整備、仮移転先としての都営住宅の提供等さまざまな支援を行っております。今後とも、これらの取り組みにより、マンションの耐震性の向上を図ってまいります。
最後に、平成十七年三月二十五日付の要望書への対応についてでございますが、この要望書は、下落合にある古い民家の屋敷と森の保存のために、当該土地の公園化について都の支援を求めたものでございます。
内容について調査いたしましたところ、区が公園化を視野に入れ、所有者と土地購入の交渉を進めているとのことでございました。十ヘクタール未満の公園につきましては区が設置管理を行うこととなっておりまして、この土地は〇・一八ヘクタールの規模であることから、新宿区で対処することが適当であると判断したものでございます。今後も、こうした都民からの要望に対しましては適切に対処してまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 都区間の人事交流につきましてお答えさせていただきます。
都区間の人事交流は、昭和五十年以降、配属職員制度、この制度は、当時の都区制度におきましては、区は都の内部的団体として位置づけられておりましたので、都の職員を、身分は都に属したまま、区長の命を受けて区の業務に従事させるための制度でございましたが、この制度の廃止に伴いまして、都区行政の連携強化のために実施してきたものでございます。特に技術系の管理職につきましては、区の人事状況も踏まえまして、区からの要望に基づきまして――この点を強調したいんですけれども、区からの要望に基づきまして人材を派遣しております。
お話のケースのように、自治体が建築確認を行うためには、建築主事という特別の資格を持つ職員が必要でありまして、こうした体制が整わない区には都からの人事交流が不可欠でございます。また、部長任用資格を満たす技術系の職員が区にいなければ、部長級の交流も必要となってきます。今後とも、各区における人材の育成状況等を踏まえまして、都区双方の行政運営が円滑に行われるよう、人事交流を適切に進めてまいります。
〔消防総監新井雄治君登壇〕
○消防総監(新井雄治君) 重層長屋の消防同意についてでありますが、消防同意は、建築主事などが行う建築物の新築、増築の確認などに対しまして、消防機関が、消防法令を初めとする防火に関する規定について、その適合状況を審査する制度であります。
本件は、防火に関する規定に適合していることから同意することとし、区の建築主事へ通知をしております。その際、連結送水管の設置指導は行っておりませんが、当該建築予定地は消防活動が困難な地域でありますことから、敷地内の消防活動を考慮した対策を建築主に指導していただきたい旨の意見書を付したものでございます。
〔交通局長金子正一郎君登壇〕
○交通局長(金子正一郎君) 広告つきバス停留所に関する三点のご質問にお答えします。
まず、事業の進捗状況についてですが、交通局では、平成十九年度から三年間で百基を目標に広告つきバス停留所の整備を進めてまいりました。しかしながら、東京の交通事情から、他都市に比べてより広い歩道幅員が求められたこと、設置に支障となる地下埋設物が多かったことなどから、本年度末での設置見込みは合計で八十基となっております。残りの箇所につきましても、現在、関係機関との協議を進めており、早期の目標達成に向け努力をしてまいります。
なお、設置費用につきましては、当初は、極めて高い品質を追求した試作品のデザインや材質を可能な限り踏襲したため、工事費を含め、一基約一千万円でしたが、平成二十年度に躯体の材質の見直しなど大幅なコストの縮減を行い、一基約五百万円と低廉化を図ったところでございます。
次に、広告の稼働率の改善策についてですが、稼働率は、平成二十年度の六二%から、平成二十一年度は五〇%となっております。これは、世界的金融危機の影響で景気が低迷し、広告業界全体の売り上げが大きく減少したことが主な原因であると考えております。
なお、設置費用を削減したことにより、仮に稼働率が平成二十年度と同程度の六〇%であった場合でも、耐用年数の二十年を大幅に下回る八年で費用回収できる見込みでございます。今後、新しい広告媒体である広告つきバス停留所をより一層PRするなど販売努力を重ね、稼働率の向上と収益拡大を図ってまいります。
最後に、広告販売施策についてですが、広告つきバス停留所は、首都東京の景観やまち並みにふさわしい新しいデザインの停留所と、それにマッチした質の高い広告展開を目指すものでございます。この目的を達成するため、交通局では、平成十八年度に、デザインのクオリティーの高い広告主を確保できること、継続的な媒体価値の維持向上が図れること、収益性が高いことなどを審査基準とし、広告代理店六社の参加を得て企画コンペを行った結果、その中で最もすぐれた提案をした株式会社電通が選定されたものでございます。広告の販売につきましては、選定された代理店が半数の広告枠を優先販売し、残りの広告枠については、交通局の三十三社の指定代理店すべてが販売可能となっております。広告販売実績の約八〇%が株式会社電通となっておりますのは、こうした代理店間の競争の結果であると考えております。
なお、ご質問の中で、ある種の仮定を置いて計算された金額を述べられましたが、受託者には、あらかじめ契約で定めた適正な手数料と実費など必要経費を支払うこととしております。
今後も、引き続き多様な販売方法を設定するなど、代理店各社と協力し、広告販売に努めてまいります。
〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕
○中央卸売市場長(岡田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、土壌汚染対策経費の妥当性についてです。
豊洲新市場予定地の土壌汚染対策経費は、技術会議で定めた準備工事、汚染地下水対策、汚染土壌対策、液状化対策、埋め戻し、盛り土及び地下水管理の対策工事ごとに算定をしております。
算定に当たりましては、都の積算単価などと、詳細調査、土壌ボーリング調査、地質調査、地下水位調査などの結果により、汚染土壌を汚染物質の種類に応じて分類し求めた処理土量を用いております。
また、液状化対策につきましては、地質調査により、液状化の可能性がある位置を確認した上で、盛り土など液状化しない層の厚さ、不透水層の位置などから工法や対策範囲を定めております。
新市場予定地の液状化につきましては、先日の参考人招致で、専門家の方から、粘土層の下にある砂というのは、本当に液状化するかどうかというのは実際に調査してみないとわからないが、普通の感覚からいくと余り液状化することはない、万が一液状化したとしても、表層に液状化しない層が厚くあるので、地表に噴出することはないとの意見をいただいており、対策範囲を変更する必要はないと考えております。
このように、土壌汚染対策経費は、新市場予定地に対する詳細な調査の結果や専門家の科学的知見に基づき積算しており、この積算の考え方に大幅な変更がない限り変動するおそれはなく、妥当なものと考えております。
次に、豊洲新市場の建設費についてです。
建設費九百二十七億円は、平成十八年に、PFI事業費を算定するため、基本設計相当の施設計画に基づき東京都が定めた単価及び市場単価などを参考に積算したものです。
また、建設費九百九十億円は、平成十八年と同様の積算方法で算出したものであり、この建設費の増加は、建築物の断熱性能の向上や自然エネルギーの利用等の環境対策及び雨水貯留や維持管理等を考慮した基礎構造の見直しなどによるものです。
豊洲新市場の建設費につきましては、極力コストの縮減を図りながら、市場業界との協議による施設計画の変更等を踏まえて、今後の基本設計及び実施設計において確定してまいります。
最後に、築地市場の耐震対策についてです。
築地市場は、開場から七十年以上が経過し、老朽化が進み、耐震性のほか、建築躯体や給排水設備の劣化など、安全面で多くの問題を抱えております。
都では、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づきまして、これまで、都有施設で千平米以上かつ三階建て以上の建物を対象に耐震診断を行い、耐震対策を実施してまいりました。
築地市場では、耐震診断の結果、耐震対策が必要な十棟につきまして、市場業務に支障のない方法でできる限り耐震改修工事を行ってまいりました。
その結果、四棟につきましては耐震基準を満たすことができましたが、六棟につきましては、市場業者の仮施設への移転が必要なこと、あるいは卸売場が壁で分断されてしまうことなど、市場業務に深刻な影響を及ぼすことから、耐震基準を満たす工事は実施できませんでした。
このように、老朽化、狭隘化の著しい築地市場では、市場業務を続けながらの耐震対策には限界があり、一刻も早く移転整備をすることが必要と考えております。
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