平成二十二年東京都議会会議録第二号

○副議長(鈴木貫太郎君) 八十二番清水ひで子さん。
   〔八十二番清水ひで子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○八十二番(清水ひで子君) 日本共産党都議団を代表して質問します。
 経済危機と貧富の格差が深刻化する中で、都民生活は底なしに悪化しています。それだけに、今、都民の暮らし、福祉、命を守るために、東京都があらゆる手だてを尽くすことが求められています。
 ところが、石原知事の施政方針は、国政を批判するだけで、都政が都民生活の危機をどう打開していくのか、その戦略も決意も見るべき対策も示しませんでした。そればかりか、みずからの都政が危機に迅速に対処してきたとか、日本の新たな発展のよすがなどと自賛したのです。
 一体知事が進めてきた都政とは、どのようなものだったのでしょうか。何よりも、福祉はぜいたくといって、都民に痛みと負担を押しつけてきました。高齢者への福祉手当、医療費助成制度を廃止し、特養ホームに対する整備費補助を十一年間で五分の一にまで激減させ、歳出総額に占める老人福祉費の割合を全国最下位にまで後退させました。
 また、百数十に上る都立施設の廃止、民営化や、福祉事業への営利企業の参入を進めることなどによって、都民サービスを後退させるとともに、都の事業に携わる労働者の間に非正規雇用を拡大させ、大量のいわゆる官製ワーキングプアを生み出してきました。
 その一方で、国際競争力の強化、都市再生の名のもとに、三環状道路など幹線道路や超高層ビル建設を初めとした大型開発を優先するという、ゆがんだ財政と都市の構造をつくり上げてきたのです。
 知事、あなたが進めてきた都政は、自民党の小泉構造改革路線を都政において先取りしてきたものにほかなりません。こうした路線は、昨年の総選挙で国民によって退けられたものではありませんか。
 さらに都政を、国をあるべき航路へと引き戻す羅針盤とまで豪語したのにはあきれました。知事は、都の老人福祉費の割合を全国最低にしたこと、大量の官製ワーキングプアを生み出していることが、あるべき航路への羅針盤だというのですか。お答えください。
 本議会に提案されている来年度予算案も、全体としては都民の願いとはかけ離れたものです。教育庁予算はこの十二年間で最低に減らされました。福祉保健局予算は増額されたとはいえ、安心こども基金など、そのほとんどは国の事業を予算化したものにすぎません。緊急雇用創出事業についても、都独自の事業は充実どころか廃止するものになっているではありませんか。
 その一方で、一メートル一億円もかける外かく環状道路について、初めて事業化の予算を七十七億円も計上するなど、投資型経費は石原都政になって最高、全体で一兆円を上回る巨額なものとしています。
 私は、こうした予算案と都政の問題点をただし、都民の暮らし、福祉を充実させる立場から、以下の質問を行います。
 まず、築地市場問題です。
 都は、来年度予算案に豊洲新市場予定地の用地購入費用を含む千二百八十億円を計上しました。都議選で築地市場移転反対の審判が下されたにもかかわらず、あくまで市場移転を強行する予算であり、絶対に認められません。
 市場整備に当たって最も重視すべきは食の安全です。にもかかわらず、なぜ知事はわざわざ土壌汚染が存在している豊洲地区に市場を移すのですか。知事は、豊洲移転は自分が就任する前に決まっていたといい張っていますが、ごまかさないでください。豊洲移転は二○○一年二月の都議会で、知事自身が初めて新しい市場の候補として言及したのです。そして、知事の諮問を受けて、この年の十二月に豊洲移転が決定されたのです。だれがどう考えても、豊洲移転を決めたのは知事自身ではありませんか。
 しかも、移転決定の約一年前には、所有者である東京ガスが移転用地の土壌汚染を公表しているのです。にもかかわらず、豊洲移転を決めた知事の責任は重大です。少なくとも、知事は汚染の実態を全面的に調査し、安全な対策ができ得ることを確認するまでは決定すべきではなかったのです。それぞれ知事の明確な答弁を求めます。
 その後、高濃度の汚染が明らかになっても、知事はそれを極力隠し通し、おざなりの対策をとるだけで済まそうとしてきました。
 今も知事は、専門家会議の報告に基づき汚染土壌を掘削し、浄化すれば汚染はなくなるといっています。しかし、この立場は、環境学会を初め土壌汚染対策の専門家から厳しい批判を受けています。有楽町層を不透水層と称し、それより深いところは調査もせず、汚染は広がっていないと決めつけていることや、対策としても、大量の土壌処理や地下水の管理、浄化は技術的に困難であることから、絵にかいたもちだといわれているのです。
 専門家会議の平田座長も、この地域に埋設されている一万八千本余りのくいが土壌汚染の通り道になる可能性がないとはいえないと発言しています。専門家会議の報告を受けて技術会議が選定した工法についても、安価だが安全を確保できないと厳しく指摘されています。
 知事、多くの専門家がさまざまな異議、意見を表明しているのに、なぜこの声に耳を傾けないのですか。
 知事は批判に押されて、実証実験した上で進めるといい出しました。都も技術会議が定めた技術、工法を現地の汚染や土質状況に即して適用し、確実に無害化が可能であることを実証すると報告していました。しかし、実際に業者に示された仕様書では、実証実験はせず、適用実験をするとすりかえられてしまったのです。
 技術会議の矢木氏は、土壌を安全にできるかどうかを実証する実証実験とは違うとはっきりいいました。工事が順調にできるかどうかなどを実験するものだというのです。
 実証実験をやるという知事の都民に対する約束はなぜすりかえられたのですか。結果として知事の発言は偽りだったといわざるを得ないではありませんか。知事、答えてください。
 豊洲の土壌が安全になるかどうかのきちんとした実証実験もやらないで、用地購入を進めることは許されません。知事、計上された用地費購入の予算は撤回する決断をすべきです。
 私は、現地再整備を実施した札幌中央卸売市場を訪ねてきました。築地市場とのさまざまな条件の違いはありますが、業者間の合意形成を進め、ローリング方式で、一日も営業を休まず、十年で完成させました。すべての関連業者でつくる再整備委員会、小委員会で何度も審議を重ね、合意を形成したそうです。
 このほか、多くの地域で現在地再整備は成功しているのです。もちろん、かつて築地での再整備も、長い期間をかけて検討されてきたことは承知しています。しかし、技術は進歩しています。都のイニシアチブで民間を含めた公募を実施し、検討を行うならば可能なのです。
 これまでも、いろいろな提案があり、最近、民間団体も現地再整備案を提案しました。こういう案の検討も含め、都の責任で進めることが重要です。韓国の可楽市場では、現在地再整備のため、民間からの公募を十件受けて決定しています。
 知事は、土壌汚染対策については、世界に誇る最高の技術があるからできるといいました。であるならば、再整備でもそれは可能ではありませんか。知事自身、新しい案が出てきたら検証するにやぶさかじゃないと発言しているのです。知事、現在地再整備案の公募を実施すべきです。これさえやらないというのでは、都民は絶対に納得しません。お答えください。
 次に、都立三小児病院の問題です。
 都立三小児病院という都民の声は、おさまるどころか、ますます大きくなっています。駅頭での署名は、今でも一時間で二百筆、三百筆が集まり、きょうも都議会前では、子どもたちの命を守ってと、座り込みが行われました。
 私たちは、都立三小児病院を廃止したら、地域の医療、とりわけ小児救急やNICUに大穴があき、小児精神科医療の大後退が起こることを指摘してきました。今、三つの小児病院で病棟の縮小、外来の閉鎖が進められる中で、残念ながら既に指摘したとおりのことが起こっています。
 清瀬小児病院の代替といっている多摩北部医療センターは、今いつも込み合っています。電話がなかなかつながりません。やっとつながっても、百人くらい待っているといわれ、結局、四十度にも熱が上がった子どものそばで、心配しながら朝まで待つしかなかったお母さんもいます。既にこの地域の小児救急は、パンク状態にあるのではありませんか。
 八王子小児病院の代替とされている二つの大学病院も常に混雑しています。だから、これまでだって、大学病院で受けられない救急患者をむしろ八王子小児病院で受けてきたのです。この二月末まで八王子小児病院も二つの大学病院も、救急患者は受け入れられないという時間帯が生まれていました。これで八王子小児病院を廃止したら、一体どうなるのですか。南多摩病院に新たに小児科を設置するといいますが、休日、夜間救急のめどは立ったのですか。それぞれお答えください。
 小児総合医療センターができれば、多摩地域の小児医療は格段に向上するといいますが、事実をゆがめるものです。清瀬小児病院や八王子小児病院廃止であいた小児救急の穴は、小児総合医療センターができても解決しないではありませんか。
 ダウン症などで二十を過ぎた患者の行き場がないことも重大です。三小児病院なら、何歳になっても主治医がずっと診てくれました。しかし、小児総合医療センターでは二十以上は診ません。そもそも、大人の内科でダウン症を診る医師はいないのです。二十代の多くの方々が白内障であることや、女性は甲状腺、男性は痛風になる人が多いなど特有の問題がたくさんあります。だからこそ、小児病院で継続して診ていたのです。八王子小児病院の廃止で、二十を超えたダウン症の患者は行き場を失っています。この方たちは、府中のセンターでこれまでのような診療を受けられるのですか。
 梅ケ丘病院廃止の影響も重大です。児童、青年精神科の医療機関はもともと少ないのですから、病院探しは深刻です。発達障害を診てもらえるクリニックをやっと探したけれど、二十分で七千円もかかったことなども報告されています。世田谷区内のクリニックは、梅ケ丘病院の移転が公表された昨年の夏ごろから患者がふえ始め、現在は受診するのに半年待ちです。都は、この事態をどう受けとめているのですか。
 小児総合医療センターが開設されても、遠くて通い切れないことや、精神科の建物が独立していないための混乱が起きるなどの問題は解決しません。梅ケ丘病院の存続を求める家族と都民の会の皆さんは、先日、わずか二カ月で集まった八千七十九筆もの署名を東京都に提出し、梅ケ丘病院の場所に最低限のリハビリ施設と男女一病棟ずつでも残してほしいと求めたのです。世田谷のクリニックの医師も、外来だけでも残すことが必要だと述べています。これらは当然の願いではありませんか。ぜひこの声に耳を傾けてください。いかがですか。
 知事は、NICUを三百二十床にすると目標の引き上げを表明しました。しかし、その一方で清瀬小児病院と八王子小児病院の貴重なNICUをなくし、新たに空白地域をつくろうとしています。国の新しい整備指針でも、NICUの整備は二次医療圏ごとに整備することが望ましいとしているときに、知事がやろうとしていることは、まさに逆行です。
 小児総合医療センターにドクターカーが配備されても、生まれたばかりの赤ちゃんは分単位で容体が変わる、NICUが地理的に遠いのは重大だと、小児科の医師は一様に指摘しています。清瀬、八王子小児病院の廃止で生じるNICUの空白をどう埋めるのですか。それも示さずに廃止するなどということは許されません。お答えください。
 今の事態は、どこからどう見ても、何らかの形で三小児病院を存続しつつ、小児総合医療センターの診療規模は段階的に広げていくべきことを示しています。来年度の定数配置は、小児総合医療センターに医師百三十人、看護要員五百六十四人となっています。三小児病院より、医師四十八人、看護要員八十七人多いのですから、そのことは可能です。知事、いかがですか。
 東京は、大学病院などが集中する一方で、中小病院の閉鎖、縮小が進み、人口十万人当たりの一般病床数は全国で四十二位という深刻な事態です。とりわけ小児科の病院、診療所の減少は深刻で、二〇〇〇年以降、小児科は三十五施設以上も廃止しているのです。そんな中で、地域の中核病院としてしっかりと役割を果たしている八王子、清瀬小児病院と梅ケ丘病院を廃止することが、いかに誤りであり、巨大な小児総合医療センターだけにしてしまうことが、いかに逆行しているかは明らかです。
 今、公立病院の統廃合、拠点集約化の流れは、地域医療を破壊するものだという声が全国に広がっています。銚子市では、市民病院を休止した市長を市民がリコールし、市民病院の再開を公約した市長を当選させ、まず診療所から再開されることになりました。川崎市は、三つ目の市立病院を新たに設置しました。
 東京でも、小平市にある、地域で中核的な役割を果たしていた緑成会病院が医師不足と経営難で一時は閉鎖しましたが、再開しました。それは、民間病院であっても、やはり地域の住民の皆さんの再開の願いをしっかりと受けとめたからです。
 知事、地域医療を守るために、都立病院統廃合という方針を改める勇気を持つべきです。都民の切実な声に耳を傾け、都立三小児病院存続を願う圧倒的多くの都民の意思を受けとめていただきたいと思いますが、お答えください。
 次に、福祉の充実です。
 知事は、日本の現状について高福祉低負担だという、現実と正反対の発言を繰り返しています。高福祉も間違いで、低負担も間違いです。OECDも、日本の税と社会保険料の低所得者の負担は、イギリス、ドイツなどに比べて重く、給付は少ないことを指摘し、日本政府もこのことを認めざるを得なくなりました。知事はどう認識しているのですか。
 東京の高齢者の四人に一人は年収百万円未満で、国民年金の平均額は月五万三千円にすぎません。ところが、特別養護老人ホームでさえ、新しい施設では月七万円から十五万円もかかる現実のどこが低負担なんですか。特養ホームの待機者が都内で四万三千人を超え、低所得者が行き場を失い、貧困ビジネスに頼らざるを得ない現実のどこが高福祉なんですか。知事は、日本の現状が高福祉で低負担だというみずからの発言は間違いであることを認めて、福祉の充実と所得の少ない人の負担軽減を進めることが必要です。知事の答弁を求めます。
 私がまず提案したいのは、国民健康保険料の軽減です。都民は、高い保険料に悲鳴を上げています。東京都の保険料収納率は全国最低で、滞納世帯は六十六万世帯を超え、加入世帯の二割に及びます。滞納で保険証がもらえない人や無保険の人がふえています。国民健康保険に加入している人は、不況に苦しむ中小業者、年金生活の高齢者、非正規や派遣の若者、リストラされた失業者です。にもかかわらず、二十三区では来年度一人当たり年額六千二百円に及ぶ大幅値上げが予定されており、怒りと驚きが広がっています。加入世帯の八割が値上げとなり、年収二百万円の給与所得者で年間十万四千円もの保険料になります。
 二十三区の今回の国保料の値上げは、後期高齢者医療制度とともに創設された前期高齢者交付金が多過ぎたため、国に二百億円を返納することになったうち、五十億円を保険料で賄うとしていることが理由です。都が二十三区に対し五十億円の貸し付けをすれば、保険料の値上げは避けることができます。どうですか。
 第二に、後期高齢者医療の保険料値上げをしないで済むよう手だてを尽くすことです。高齢者差別の医療制度に対する国民の厳しい批判の中で、民主党は廃止を公約したにもかかわらず、政権に着くと先送りにし、来年度の保険料は値上げにならない予算措置をするという約束まで破りました。二重の約束違反であり、絶対に許されません。
 都の対応が注目されましたが、財政安定化基金交付金の増額で均等割の値上げを抑えるにとどまりました。このため、加入者の四割が値上げになります。今でも東京の保険料滞納者は五万五千人に及び、滞納者の比率は全国最高で、五%を超えているのです。事態の深刻化は避けられません。群馬、茨城など多くの県が後期高齢者医療の保険料を据え置いています。埼玉県は、平均二千六百円の値下げを決めています。都として、全国のこうした動向をどう把握していますか。百五億円あれば、保険料を値上げしなくて済むのです。都として財政措置を求めるものです。
 また、保険料の滞納者に対する資格証発行の心配が広がっています。資格証となれば、窓口で十割払わなければならないのです。まさに、命にかかわる問題です。保険料が払えない人への資格証発行はしないよう、都と区市町村が力を合わせて取り組むべきです。それぞれ見解を伺います。
 雇用対策も急務です。今、正社員の有効求人倍率は、製造職では五人に一人です。製造現場で働いて職を失った人の再就職は極めて困難で、都内の失業者は三十四万人、前年よりも七万人以上ふえています。ハローワークに行って長時間並んで相談しても、ほとんどの人は職にありつけない、これが厳しい現実です。
 年末年始に国と都が取り組んだ公設派遣村にも、十八歳から八十歳まで約九百人が利用せざるを得なかったのです。そして、ボランティアなどの援助もあり、約五百人が生活保護を受け、生活再建に踏み出しました。
 私たちは何度も派遣村に行き、利用者の話を伺いました。トヨタの組み立て工場で派遣で働いていた青年は、ある日の朝礼で突然解雇を通告され、その日のうちに寮を出るようにいわれたそうです。アルバイトで何とか一年間つないできたものの、とうとう手持ちのお金を使い果たし、公設派遣村に来る数日前には路上生活となっていました。証券会社の契約社員をしていた男性は、病気になったら即解雇され、貯金も底をついたといいます。多くの人が不安定雇用のもとで苦しい体験を重ねており、何とか安定した仕事につきたいと希望していました。それでも、まず、住まいと当座の生活費がないと就職することもできません。体を壊しているのに、保険証がなく医者にかかれない人も少なくありませんでした。
 ところが、石原知事は、公設派遣村について、国から頼まれてやったことなどといい、利用者についても、つらい仕事は嫌だ、生活保護をくれというのは甘えた話だなどの発言を繰り返しています。知事、派遣や非正規で紙切れ同然に切り捨てられた人たちが、今度こそ安定した仕事につきたいと思うのは当然のことではありませんか。派遣切りやリストラで仕事も住まいもなくし、その日のお金も底をついた人が、生活保護を受けることなしにどうやって生活を立て直すのですか。援助が必要な人を冷たく突き放し、その上、むち打つような知事の発言は撤回し、深く反省することを厳しく求めるものです。それぞれ知事の答弁を求めます。
 都は、貸付偏重の第二のセーフティーネット制度などについては、その問題点を把握しているはずですが、いかがですか。都としても、住宅手当や就職支援資金の支給など、今日の失業者の実態に見合った支援策を打ち出すことを求めます。住宅を失った人に、せめて他の道府県並みに都営住宅を提供することはもちろん、公社住宅、民間住宅などを借り上げて提供してはどうでしょうか。
 雇用を創出するために企業に働きかけるとともに、都独自に緊急雇用創出事業を進めることが不可欠です。高卒、大卒未内定者などを都として一定期間雇用し、実習体験や職業訓練を行いながら、ハローワークとも連携して就職につなげる事業を立ち上げてはいかがですか。
 緊急雇用創出事業については、全国の自治体がやっているようにホームページでリアルタイムに募集状況、連絡先を情報提供してはどうですか。
 また、東京都が正規職員の採用をふやすとともに、臨時や非常勤の職員の時間給、時間単価を引き上げ、通勤手当を支給するよう求めるものですが、答弁を求めます。
 次に、ものづくりの技術を守る問題です。
 我が党は、日本が誇るものづくりの集積地である大田区の工場や企業の実態を伺いました。金属加工一筋で頑張ってきたが、売り上げは以前の二割も出ない、近くの貸し工場で金属加工をやっている人が、もう家賃も出ないといって今月廃業してしまったなどの声が多数寄せられました。仕事が激減している上、大田区のまち工場の半数近くは貸し工場であるため、家賃や機械のリース代などが払えずに廃業に追い込まれる工場がふえているのです。
 ある業者は、二台ある機械のうち一台はリース代で月二十八万、もう一台は融資の返済で月十四万円、工場の家賃が月二十七万円、これらの固定費だけで約七十万円かかるといいます。ところが、仕事がピーク時の半分になってしまった上、単価が切り下げられ、月の売り上げは百五十から二百万円でしかない。このため、自分たちの給料はほとんどない状態だと話しています。このままでは、廃業に追い込まれてしまう都内の業者が続出します。今後景気が回復しても、技術は失われたということになりかねません。
 この問題を我が党の志位委員長が取り上げたところ、鳩山首相は、まち工場は日本の宝であり、灯を消してはならないと答え、工場の家賃や機械のリース代などの固定費に対する直接補助に踏み出すべきだとの求めに対しては、まち工場の機械リース代への支援を検討してみたいと答えました。
 知事、大田区を初めとするものづくりを担う中小零細企業の現状をどう認識していますか。都として、機械のリース代支援、家賃の支援などの直接補助に踏み切ることを求めるものです。
 東京都には、都民要望にこたえた施策を展開する力は十分にあります。来年度の都税収入が減る見込みであるとはいえ、なお石原都政十二年間の平均的都税収入に匹敵する四兆三千四百七十一億円と巨額です。しかも、二〇一六年オリンピック招致のためにため込んだ四千億円を初め、都民のために使うことができる基金も一兆円以上あるのです。これを計画的に使えばよいのです。問題は、知事と議会がその気になるかどうか、むだ遣いを一掃し、不要不急の事業にメスを入れられるかどうかにかかっているのです。この立場から、私は二つの問題に絞って質問します。
 第一は、知事が都民の批判の強い外かく環状道路建設を初めとする三環状道路建設などの骨格幹線道路や、国が中止を打ち出している八ッ場ダム建設に千七百億円もの予算をつけたことです。
 三環状道路についていえば、裁判所も三つの高速道路が必要なのかと疑問を投げかけ、東京都自身、外環道がなくても、ほかの二つができれば都内は渋滞もなく、正月のようにどこでもすいすい車が走れるとしていたのです。全体で三兆五千億円以上もの財源を投入する外環道建設はやるべきではありません。むしろ、国際競争力とか都市再生の名でオフィスビルを乱立させ、人も、物も、お金も、車も東京に集中させる高度成長期の遺物ともいうべき政策を改めることこそ求められていると思いますが、どうですか。
 第二の問題は、オリンピック招致の名によるむだ遣いをきっぱりやめることです。東京都とオリンピック招致委員会は、先日、二〇一六年オリンピック招致の活動報告書を発表しました。私は、大きくいって二つの重大な問題があると思います。
 一つは、招致関連活動に湯水のごとくお金を使い、浪費を続けてきたことに都民の批判が高まっているにもかかわらず、その実態は明らかにしないばかりか、一言の反省もないことです。
 招致経費は、当初ロンドン・オリンピック並みの五十五億円とされていましたが、盛り上がらない招致機運の引き上げを図るため百五十億円にも膨れ上がり、それでも足らないため、スポーツイベントの開催などの名目でさらに五十億円、実質的には合計二百億円にもなったのです。知事などの海外出張だけで二億円、IOC総会でのプレゼンテーションで一回しか使わない高額なスーツを購入し、十分間の映像の制作費に五億円、区市町村へのばらまきなど、際限のないむだ遣いが行われました。
 にもかかわらず、知事と招致委員会が、次の招致活動を勝利に導くための貴重な投資であったと正当化していることは、断じて許されません。正しかったといい張るのなら、二百億円のお金の使い道の詳細な中身をなぜ明らかにしないのですか。知事、お答えください。
 報告書自身、問わず語りにむだ遣いを認めた部分があります。例えば、国際コンサルタントの活用について、縮小できると述べています。どのような理由で、どの程度縮小できるのですか。
 二つ目の問題は、報告書を二〇二〇年オリンピックへの日本の再挑戦の海図だと位置づけて、再立候補への道を開こうとしていることです。知事、都民の暮らし支援に少しでも多くの財源を振り向けるべきときに、またまた招致活動に湯水のように税金をつぎ込むことが許されると思っているのですか。
 しかも知事は、都の長期計画である「十年後の東京」計画の推進とオリンピックは一体として位置づけ、オリンピック招致の名で外環など都市インフラの整備を推進しようとしてきました。二〇二〇年招致をてことして、外環道を初めとする八兆円から十兆円にもなる大型開発をごり押しすることは、断じて許されません。
 オリンピックを口実に積み立ててきた四千億円の基金は温存するのではなく、直ちに目的を変え、都民の暮らし、雇用、医療、福祉を守るために計画的に使うべきですが、どうですか。
 再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 清水ひで子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都政運営についてでありますが、その前に、何をもって構造主義といわれているのかわかりませんが、小泉君がやった構造改革の基盤にあるものは、市場原理主義と心得ております。私は本来、市場原理主義には非常に批判的でありました。私の発言を踏まえてお考えになっていただきたいと思いますが、昨年の政権交代をとらえて、自分たちの構造改革路線批判が正しかったといわんばかりの共産党の主張は、いささかご都合主義ではありませんかな。
 ならば、昨年の都議選で十三議席から八議席に議席を激減させた日本共産党東京都議団は、ただいまの質問の論法をレトリックに倣えば、都民によって、その主張を退けられたことになりますね。いずれにして、いわれなく他人に向かってつばを吐くと、結局自分にかかってきますよ。
 いずれにせよ、構造改革路線にせよ、コンクリートから人にせよ、スローガンが踊るのではなく、行政というものは、実効性のある政策をいかに実現するかが問われているわけでありまして、国とは異なり、都は財政破綻のふちからよみがえり、国と比べてはるかに健全な財政状況にあります。同時に、動きの遅い国を待つことなく、共産党はいまだに反対しておりますが、都民には大変喜ばれている認証保育所の創設など、民の力も生かしながら都民のニーズに確かにこたえてきました。今後も直面する危機に迅速に対処し、都民、国民の未来を開く手だてを揺るぎなく講じてまいります。
 また、共産党はかたくなに認めようとしませんが、都民福祉をさらに向上させるためにも、三環状道路の整備などは費用対効果の高い投資が必要であります。金の卵を産む鶏である東京を、より機能的で快適な都市にすることで我が国経済は発展し、都民福祉の裏づけでもある財政も強化されるわけであります。こうして東京から日本を変える挑戦をさらに推し進め、この国の羅針盤ともなっていくと。共産党には、批判のための批判ではなく、建設的な議論を求めたいと思います。そうでないと、政党としてそのうち消滅してしまいますぞ。
 次いで、豊洲移転の決定についてでありますが、築地市場の現在地再整備については、老朽、狭隘化等の問題を解消するため、平成三年から四百億円を投じ工事を推進してきましたが、営業への深刻な影響からあきらめました。平成十年に、市場業界団体から臨海部への移転可能性についての検討要望があり、その後も業界と協議を重ねて、最終的に都として平成十三年に豊洲地区への移転を決定したものであります。
 このように、大きなプロジェクトは独断で決定したり実現できるものではありません。築地市場の問題は、鈴木都政の時代から二十年をかけて議論し、都議会でも十分審議した上で豊洲地区への移転を決定したものでありまして、この問題に対する経緯をよく認識していただきたいと思います。
 小児病院の統合と小児総合医療センターの開設についてでありますが、国の医療政策の失敗が招いた全国的な医療人材不足の中で、とりわけ小児科医の不足は深刻な状況にあります。こうした中にあって小児医療水準の向上を目指すには、限られた医療人材を集約し、それを最大限有効に活用することが必要でありまして、小児総合医療センターは、この考え方を具現したものであります。
 この病院では、都内最大規模の総合周産期母子医療センターを開設するとともに、我が国初の小児ERを運営するなど、日本を代表する小児専門医療機関となります。昨日オープンしたこの病院の能力を十分に生かし、これまでの方針どおり、東京の小児科医療水準の向上を実現してまいります。
 次いで、我が国の社会保障制度についてでありますが、急速な高齢化による問題を乗り越え、日本が成熟した国家として存続していくためには、負担と給付のバランスの議論を避けて通ることはできません。
 昨年の第二回定例会でも答弁しましたが、高福祉低負担の発言は、こうしたことに言及したものでありまして、その上で、生活向上への意欲があるにもかかわらず、低所得の状態からなかなか抜け出せない方々に対しては支援が必要であると考えております。都は、独自に生活安定化総合対策など各種の支援策を講じております。
 次いで、年末年始の生活総合相談の利用者に関する発言についてでありますが、失業した場合は、雇用保険の給付、次いで新設された第二のセーフティーネットで受けとめ、さらに食や住まいに困窮した場合の最後のセーフティーネットとして生活保護があります。その第二のセーフティーネットで仕事をいろいろあっせんしても、あれは嫌、これは嫌ということでは、これはどうにもならない。
 この生活保護にあっても、就労して自立できる方には自立していただくことが基本理念でありまして、私の発言はこのことを申し上げたにすぎません。発言を撤回するつもりは毛頭ありません。
 次いで、ものづくりを担う中小零細企業の現況についてでありますが、東京には高度で多様な技術を有する小零細企業が数多く集積しておりまして、東京のみならず、日本の経済を牽引していく原動力となっております。
 しかし、長引く不況の影響により、小零細企業は資金繰りの悪化や受注の減少など厳しい状況にあります。このまま放置すれば、東京の活力は失われかねません。こうした状況を踏まえ、これまでも制度融資を初め小零細企業の資金繰りに万全を期するとともに、新たな取引先の開拓も強力に支援してまいりました。今後とも企業現場の実情に即した施策を展開し、東京の産業力を維持強化してまいります。
 次いで、オリンピック招致についてでありますが、招致活動経費の総額は、招致活動報告書にも記載のとおり約百四十八億五千万円でありまして、既に監査を受け、適正に執行しております。各局がみずからの事業を実施する上で、都政の最重要課題であるオリンピック招致に協力することは当然のことでありまして、各局の事業経費まで招致活動費に含めるべきではありません。
 次いで、二〇二〇年の招致についてでありますが、再挑戦については、都民、国民の意向を十分にそんたくし、東京都として結論を出していくべきものと考えております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 外環の建設についてお答えをいたします。
 首都圏の広域的な高速道路ネットワークを構成する三環状道路の一つである外環は、東京の最大の弱点であります交通渋滞の解消のみならず、我が国の国際競争力の向上や首都圏の環境改善など、ひとり東京のためだけではなく、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であり、まさに必要な道路でございます。
 外環の関越道から東名高速間は、昨年五月に整備計画が決定し、その概算事業費一兆二千八百二十億が示され、事業化に至ったものでございまして、十二月には事業説明会が開催され、一月からは現地において測量、地質調査などが行われております。地元地権者からは用地の買い取りを求める声が多く寄せられており、都は、国と連携して用地取得を重点的に行い、外環の早期完成に向け全力で取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) まず、老人福祉費の割合についてでありますが、各都道府県の歳出規模は、行財政制度や大都市としての特性などの違いに加え、その時々の行政需要や税収、財政運営上の判断により大きく変動するものであります。したがいまして、決算額に占める老人福祉費の割合を比較することや、その割合によって都道府県の順位づけを行い、福祉水準を論ずることに全く意味はないと考えております。
 都の政策は、予算編成の過程を通じて具現化されますが、平成二十二年度予算案におきましては、福祉と保健の予算割合は二〇・〇%で過去最高となっております。その中で高齢者分野では、都独自の補助制度による認知症高齢者グループホームの大幅増設や、新しい高齢者の住まいの整備、地域における二十四時間三百六十五日ワンストップサービスの窓口となるシルバー交番(仮称)などさまざまな施策を展開しており、福祉の後退という主張は全く当たらないと思います。
 次に、南多摩病院についてでありますが、同病院は、外来、救急、入院医療を行う小児科を来年度早期に開設できるよう、現在、施設設備の整備等準備を進めております。
 次に、NICUについてでありますが、都は、東京都全域を一つの圏域として、平成二十六年度末までに三百二十床に増床することとしております。今般開設した都立多摩総合医療センター及び小児総合医療センターでは、NICU二十四床を備えるとともに、M-FICU九床を新たに整備し、都内最大の周産期医療機能を持つ病院となります。また、新たに新生児も搬送できる小児用ドクターカーを小児総合医療センターに配備し、多摩全域を網羅いたします。
 さらに、多摩地域においては、周産期連携病院の指定を拡大するとともに、NICUの管理を必要としませんが比較的リスクの高い新生児を受け入れる病院を、多摩新生児連携病院として新たに指定いたします。
 これらも含め、総合周産期母子医療センターが中心となり、多摩全域を対象としたネットワークグループを構築し、リスクに応じた役割分担と連携を推進します。こうした取り組みにより、多摩地域を含め都における周産期医療体制の一層の充実を図ってまいります。
 次に、高福祉低負担についてでありますが、先ほど知事がお答えしたとおり、将来にわたって安心できる社会を実現するためには、根本的な課題として、我が国の社会保障制度における負担と給付のバランスの議論は避けて通ることができないものと考えております。
 また、福祉の充実につきましては、都は来年度予算案の一般歳出ベースで過去最高の福祉保健費を計上し、高齢者の住まいの整備や保育サービスの拡大など独自施策を盛り込んでおります。低所得者の負担軽減についても、国の軽減策に加え、都独自に介護保険や障害者サービスの利用者負担の軽減などを実施しております。
 次いで、国民健康保険についてでありますが、国民健康保険事業は、保険者である区市町村の判断により運営されており、来年度の保険料については、既に特別区長会で了承されております。都として、保険料の値上げを避けることを目的とする資金貸付を行う考えはございません。
 次いで、長寿医療制度の保険料改定の動向についてであります。
 本年四月以降の保険料については、既に決定した広域連合もあれば、いまだ審議中の広域連合もございます。各広域連合の保険料については厚生労働省において集約をしておりますが、現在のところ、その結果は公表されておりません。
 次いで、広域連合に対する財政措置についてでありますが、保険料は東京都の広域連合が自主的な判断により設定するものであります。都は、既に国や区市町村とともに応分の負担を行っており、新たな財政支援を行う考えはございません。
 次いで、長寿医療制度の資格証明書についてでありますが、高齢者の医療の確保に関する法律において、被保険者が特別な事情なく保険料を滞納している場合には資格証明書を交付することとされており、十分な収入等があるにもかかわらず保険料を納付しない悪質な場合に限って交付するよう、国から運用について通知が出されております。現在まで、都広域連合において資格証明書が交付された事例はございません。
 次いで、住居を失った離職者の生活支援についてでありますが、国は、住居を喪失した就労意欲のある離職者等に対し、住宅手当などの第二のセーフティーネットを整備したところであり、都は、こうした制度や生活安定化総合対策事業など国に先駆けて講じた支援策で対応しております。さらに、第二のセーフティーネットでは、生活の立て直しが困難で困窮している場合には、生活保護で対応しております。
 次いで、第二のセーフティーネットについてでありますが、都は既に、第二のセーフティーネットが一層機能するよう国に対して緊急提案を行い、住宅手当の収入要件の緩和などが行われました。お尋ねのようなセーフティーネットは、基本的には国の責任で対応すべきと考えます。
 最後に、住居を失った離職者への民間住宅等の提供についてでありますが、都は、ホームレスの自立支援センターにおいて民間住宅を借り上げるとともに、介護人材育成確保緊急対策において、民間住宅にあわせて都営住宅などの公的住宅の活用により当面の住宅を確保し、生活、就労にかかわる一貫した支援を実施しているところであります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、官製ワーキングプアについてでございますが、都では、個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、非常勤職員、臨時職員、人材派遣等を適切に活用し、スリムで効率的な執行体制を確保しております。いわゆる官製ワーキングプアを生み出しているとの指摘は当たらないと考えております。
 次に、都職員の採用等についてでございますが、都の事業は、ご案内のとおり基本的に都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。
 この考えを基本に据えまして、まず職員の採用についてでございますが、事業執行に必要な人員の確保や職員の退職動向などを総合的に勘案して行っており、今後の採用につきましても適切に対応してまいります。
 次に、臨時職員の賃金でございますが、毎年度の予算見積もりにおきまして、通勤費相当分を含む適切に算定した賃金の参考単価を財務局が各局に通知しております。
 最後でございますが、非常勤職員の報酬につきましては、職務内容や職責等を踏まえ適切に設定しており、通勤費相当につきましては、正規職員に準じて支給しております。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲新市場予定地における安全性の確認についてです。
 東京ガス株式会社は、平成十年から十一年にかけて、当時の環境庁の土壌・地下水汚染に係る調査・対策の指針などに基づき土壌汚染調査を実施し、環境基準を超える土壌汚染について都に報告するとともに、平成十三年一月に、その調査結果と対策の内容を公表しております。
 同年四月には、東京都卸売市場審議会から、豊洲地区を移転候補地として検討する旨の答申がなされました。都はこの答申を踏まえ、東京ガス株式会社が環境局の指導を受けて土壌汚染対策を進めており、その安全性が確認できること、さらに四十ヘクタールの敷地の確保、良好な交通アクセス、築地の商圏との継続性などの諸条件を総合的に勘案し、十三年十二月に、第七次東京都卸売市場整備計画におきまして築地市場の豊洲地区への移転を決定したものです。
 次に、さまざまな意見などに耳を傾けることについてです。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策は、我が国を代表する学識経験者により構成された専門家会議、技術会議という二つの会議体が、科学的見地から複合的、重層的に検討を行い、まとめていただいたもので、市場用地としての安全・安心を十分確保する万全な対策であります。この土壌汚染対策に関する調査や対策の内容につきまして意見があることは承知しており、先日の参考人招致におきましても、複数の専門家からさまざまな意見を伺いました。
 さまざまな意見に耳を傾けないのかとのお尋ねでございますが、都はこれまで、専門家会議での意見交換や提言に対する意見募集、専門家からの質問に対する回答、議会での論議などを通じて対応しております。今後とも、都に寄せられた意見につきましては可能な限り回答するなど、引き続き都の土壌汚染対策に対する理解を求めてまいります。
 次に、豊洲新市場予定地における実験についてです。
 豊洲新市場の整備におきましては、土壌汚染対策の有効性を確認した後、速やかに事業を推進することとしております。この有効性を確認するために行う今回の実験は、実際の土壌汚染対策と同様に、汚染物質の種類などに応じまして都が採用する技術などを適用し、汚染物質の最適な処理を行うための諸条件を把握するとともに、確実に無害化することが可能であることを具体的なデータにより確認するものであります。
 したがいまして、実験の目的は当初から何ら変わっておらず、契約の仕様書におきましても、現地の汚染や土質状況に即して、技術会議が定めた技術、工法を適用し、汚染物質を処理し、所期の効果を事前に確認することと明記されております。
 次に、用地購入費の計上についてですが、今回の予算案は、現在実施している実験において土壌汚染対策の有効性を確認した後、速やかに事業に着手し、二十六年度中の開場ができるよう必要な予算を計上したもので、撤回する考えはありません。
 最後に、現在地再整備案の公募についてです。
 卸売市場は、生鮮食料品などの円滑な流通のために市場業者が営業活動を行う業務施設であることから、その整備に当たりましては、業界の理解や意向を踏まえずに行うことはできません。築地市場の現在地再整備につきましては、平成三年から約四百億円を投じて工事を推進いたしましたが、営業への深刻な影響などから、平成八年中断いたしました。その後もさまざまな案を検討したものの、再整備は実現困難との結論に至り、業界の大多数は、最終的に豊洲への移転に合意したものであります。
 また、築地市場は老朽化が既に限界に達し、耐震性やアスベストなど安全性にも問題があり、一刻の猶予もない状況にあることから、早期移転による抜本的な改善が必要となっております。そのため、先ほども述べましたが、現在実施しております実験において土壌汚染対策の有効性を確認した後、速やかに事業実施することができるよう、来年度予算案に必要な経費を計上いたしました。このことから、現在地再整備案の公募については考えておりません。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児病院に関する七点の質問にお答えいたします。
 まず、北多摩北部地域における小児救急医療体制についてでありますが、多摩北部医療センター小児科では、これまで清瀬小児病院が実態として担ってきた地域の小児医療を確保するため、二次医療の拠点として、昨年から病床の拡充や医師の確保など体制の整備を進めてまいりました。また、地元自治体や医師会、他の中核病院との連携協力も密に行っております。
 清瀬小児病院は、二月二十八日に府中に移転しましたが、この移転前後から昨日にかけて、多摩北部医療センターでは、休日、昼夜を通して小児救急の患者さんを問題なく受け入れ、診療できている状況にあります。お話にあった患者さんが百人も待つといった状況は、もちろんありません。地域の小児救急はパンク状況にあるといった指摘は当たりません。
 次に、八王子地域における小児救急医療体制についてでありますが、八王子市と協力し、来月から中核病院である二つの大学病院で新たに小児病床を十二床ふやすとともに、小児総合医療センターから医師を派遣するなど、二次救急医療体制の強化を図ります。また、八王子小児病院の近くにある南多摩病院において新たに小児科が設置されるほか、八王子市も小児病院跡地を活用した小児医療体制の整備に取り組んでまいります。
 このように、地元市や医師会、大学病院等との連携協力により、地域の小児医療体制の確保は十分に図られます。
 次に、二つの小児病院転出後の地域の小児救急医療体制についてでありますが、都は、地元市や医師会、中核病院などと連携協力を行いながら、それぞれの地域の小児医療体制の確保策を講じてまいりました。その結果、小児病院の転出前後において、両地域における患者さんの受け入れ、診療等に大きな問題は生じておらず、安定的に状況は推移しております。
 一方、昨日、小児総合医療センターが開業したことにより、周産期や小児救命救急など多摩地域の小児医療水準の向上は、いよいよ現実のものとなります。事実をゆがめるとの指摘は当たりません。
 次に、八王子小児病院の成人のダウン症患者さんへの対応についてでありますが、年齢や疾病にかかわらず、八王子小児病院を受診している患者さんについては、病院の医師が患者さんの症状などを踏まえ、ご家族とよく相談しながら、小児総合医療センターや地元の医療機関、福祉施設等を紹介しております。これらの調整を通して、府中の医療センターで診療することになるケースは当然あり得ます。
 次に、梅ケ丘病院移転の影響についてでありますが、都は、梅ケ丘病院移転に先立って、昨年十月、大塚病院に児童精神科外来を開設し、これにより区部の外来需要の受け皿を整えました。また、世田谷区でも昨年四月に、発達障害の支援を推進するための中核的な拠点施設を開設しており、区内における発達障害児への施策の充実も図られております。
 なお、現在梅ケ丘病院を受診している患者さんについては、八王子小児病院と同様、病院の医師がご家族等とよく相談しながら、個別に適切な対応を行っております。
 次に、梅ケ丘病院の一部機能の存続についてでありますが、入院を含む小児精神科の医療体制については、小児精神を専門とする医師等が極めて少ないことや医療レベルの確保といった観点から、府中と梅ケ丘に分散配置することは望ましくありません。また、梅ケ丘病院移転に伴う区部の小児精神科外来機能の確保については、昨年十月、大塚病院で児童精神科外来を既に開設しております。
 最後に、小児総合医療センターと小児三病院の併存についてでありますが、この案には数々の問題がありますが、一例を挙げますと、三病院を併存させた場合、小児総合医療センターに配置できる新生児科や救急、その他特定分野の専門医は、皆無もしくは極めて少数となり、多摩地域の方々が待ち望んでいた周産期医療や救命救急医療、その他の専門医療の立ち上げが困難となります。小児三病院併存案は多摩地域の小児医療を低迷させるものであり、とり得るものではありません。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、派遣等非正規労働者の解雇についてでありますが、派遣等非正規による働き方は、労働者のそれぞれの事情などにより選択されたものと考えますが、非正規労働者の解雇が安易に行われることは好ましいことではなく、軽々に行うべきではないと考えております。
 次に、新規学卒未内定者に対する就職支援についてでありますが、都は、既に企業に対して都内の経済団体を通じて採用拡大の要請を行ったほか、二回にわたって合同就職面接会を開催しております。さらに、しごとセンターにおいて新たに新卒緊急応援窓口を設置し、支援を行うこととしております。また、緊急雇用創出事業において実施する人材育成事業では、新規学卒未内定者も対象としております。
 次に、緊急雇用創出事業の情報提供についてでありますが、緊急雇用創出事業として実施する事業につきましては、都のホームページにおいて、すべての事業計画の内容、実施期間、募集人数、連絡先等の情報を掲載しておりまして、適宜更新しております。引き続き、わかりやすい情報提供に努めてまいります。
 最後に、貸し工場の家賃助成などについてでありますが、都は既に、経営困難な中小企業に対しまして、事業承継・再生支援事業で相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資により対応しております。したがいまして、お話の家賃補助などについて行う考えはございません。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 都市再生などの都市づくり政策についてお答えいたします。
 都はこれまで、三環状道路の整備や空港機能の強化、都心部の更新など、首都圏全体を視野に入れ、集積のメリットを最大限に生かす環状メガロポリス構造の実現に取り組んでまいりました。特にセンター・コア・エリアでは、質の高い業務や商業、文化、交流機能などが高密度に集積した拠点の形成を図り、活力やにぎわいのある市街地の再編を進めてまいりました。
 今後も引き続きこうした取り組みを積極的に推進し、東京を、国際競争力はもとより、成熟した都市にふさわしい、環境、文化、生活など多様な魅力を備えた都市へと再生してまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック   招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 招致推進活動経費についてお答えいたします。
 このたびの招致活動は、過去の招致ノウハウの継承が必ずしも十分でない中で、国同士の熾烈な競争を勝ち抜くために、費用対効果を勘案の上、実施すべきと考えられるものは可能な限り実施してまいりました。そして、こうした取り組みを通じまして、招致のノウハウ、国際スポーツ界との人的ネットワーク、映像等の成果物など、多くの有形無形の財産を蓄積することができました。
 海外コンサルタントにつきましても、今回の招致活動で築き上げた海外とのつながり、人脈を活用して、今後はみずから情報収集することができ、また、コンサルタント料の国際的な相場やコンサルタントを活用すべきタイミングも経験的にわかりましたので、今後、効率的、効果的な活用が可能でございます。
 将来、我が国が招致に再び挑戦する際には、こうした経験と判断に基づいて、より一層費用対効果の高い活動を選択し、招致推進活動の経費の総額も相当程度圧縮することが期待できると考えております。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の取り扱いについてでございますが、これにつきましては、オリンピック・パラリンピック再挑戦についての今後の論議などを見定めつつ、適切に対応してまいります。
 なお、都は、福祉、医療、教育はもとより、中小企業対策や外環道の整備等の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策に的確に財源を振り向け、都民の期待に十分にこたえてきておりまして、二十二年度予算においても同様でございます。
   〔八十二番清水ひで子君登壇〕

○八十二番(清水ひで子君) まず、知事に再質問します。
 三小児病院廃止について、知事の答弁は、医師不足だから仕方ない、医師不足は国の責任だという情けないものでした。
 第一に、最近になって医師不足を口にしますが、都立病院再編の理由は財政問題にあると、二〇〇〇年の知事の諮問文に書いてあります。要は、お金を出したくないということじゃないんですか。違いますか、お聞きします。
 第二に、しかも今後、医師不足が打開できても、そのときは地域に病院がないことになります。これでは、地域医療の立て直しができないではありませんか。
 知事、以上二点についてお答えください。
 次に、NICUについて、局長の答弁は、多摩地域でふやしていく姿勢が全くありませんでした。府中のセンターでふやしても、まだ五十床を多摩でふやす必要があります。どうやってふやすのか今後検討するとさえいえないのですか、答弁を求めます。
 築地市場について、知事が豊洲の土壌汚染対策について実証実験をするという約束を違え、適用実験にすりかえてしまったことを私がただしたのに対し、市場長は、実験の目的は変わっていないと強弁しました。あなた方自身、議会に対して、技術会議が定めた技術、工法を現地の汚染や土質状況に即して適用し、確実に無害化が可能であることを実証すると報告していたじゃありませんか。
 ところが、技術会議の報告は、実証実験はしないといっているんです。仕様書も、適用実験としかいっていないのです。変わっていないというなら、都が今やっている実験は、無害化を証明する実証実験なのか否か、はっきり答えてください。
 最後に、昨年の都議選では七十万人を超える都民が日本共産党に支持を寄せていただいたことを述べておきます。
 終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 多摩三病院の廃絶についてであります。
 別にお金が惜しくてじゃないんです。幾ら箱をつくっても、中身が伴わなきゃしようがないじゃないですか。多摩地域は広いようで狭い、狭いようで広い。ですから、そのために運搬というものを考えて、要するに患者さんの医療に効率を上げるために新しい病院に集約したわけでありまして、決してそれによって地域医療が無視されることはございません。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) NICUについてお答えいたしますが、都は、東京都全域を一つの圏域として、平成二十六年度末までに三百二十床に増床することとしておりまして、府中では新たに今回の整備によりまして、都内最大の周産期医療機能を持つ病院となるわけであります。これに小児用ドクターカーを加え、さらには多摩新生児連携病院も新たに指定し、ドクターヘリも用意し、これらも含めて周産期母子医療センターが中心となって、多摩全域を対象としたネットワークグループを構築して、リスクに応じた役割分担と連携を推進してまいります。
 また、今般はNICUの安定的な運営を図るための運営費補助や増床する場合の施設整備費補助を大幅に拡充をしたところでございまして、こうしたことも整備に対する後押しになるというふうに考えております。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) お答え申し上げます。
 技術会議で実証実験は必要はないと、こういうふうになっておりますが、これは提案された技法につきまして、これは既に実証性があり、実績があるものということになりまして、具体的に提案された場合につきましては、実証データをつけることを条件にしておりまして、それをそれぞれの専門家が判断し、最もふさわしい工法を選定したということですので、技術会議では実証実験は要らないというふうになっております。
 また、原島座長はさきの参考人招致におきまして、この工法を用いれば確実に汚染物質が除去できるというふうにいっております。今回、私どもが実際に実験としてやっておりますものは、現地の汚染や土質に即しまして技術会議が定めた技術、工法を適用して汚染物質を処理し、確実に無害化が可能であることを具体的なデータにより確認するものと、こういうものが実験でございまして、適用なのか実証なのかという言葉ではなく、この実験の目的、このものがどうであるかということでご理解いただければと思います。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後九時四十二分散会