午後六時三十六分開議
○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百八番中嶋義雄君。
〔百八番中嶋義雄君登壇〕
○百八番(中嶋義雄君) 公明党を代表して質問をいたします。
最初に、都財政について質問いたします。
このほど提示された平成二十二年度予算案の特徴は、二年間で一兆一千億円減収という前代未聞の厳しい財政環境の中にあって、一般会計の規模こそ対前年五・一%減となったものの、政策的経費である一般歳出総額では一・九%増の四兆六千二百八十九億円とし、さらに景気対策としても重要な投資的経費を四・七%増の八千百三十七億円としたことであります。
とりわけ、福祉と保健の予算が構成比で過去最高の二〇%とされたことを評価したいと思います。
我々は、この数字から、都民生活の現在と将来に責任を持つという都庁全体の意思を読み取りたいと思います。また同時に、厳しい経済環境の中で、なぜこれほどの積極的な予算が可能になったのかという点に注目すべきであると強調したいと思います。
いうまでもなく、それは知事を初めとした都庁全体の十年来に及ぶ行財政改革の努力の結果であり、またその果実が今年度、一兆三千億円にも上った活用可能な基金、そして七%台にとどまっている起債依存度、これらが示す財政の健全性であります。
そして、それを可能とした重要な要素の一つが、実は公会計制度の改革であります。都議会公明党が強く主張し、知事もかねてからその必要性を認識していた複式簿記・発生主義会計を東京都は国に先駆けて導入いたしました。いささか大げさにいえば、これは明治の太政官政府以来の抜本的な公会計制度の改革であります。
具体的には、バランスシートなどの財務諸表の導入、活用によって、一兆円を超えた、いわゆる都の隠れ借金を顕在化させ、さらにその原因の分析を通して解消策を見出し、平成十九年度には隠れ借金がゼロとなりました。同時に、発生主義会計の導入によって減価償却の概念を取り入れ、例えば公の建造物の更新費用を、企業の内部留保のように社会資本等整備基金に積み上げることが可能になり、その額は平成二十一年度末で四千五十七億円に上っております。
財政の健全性回復の背景には、こうした公会計制度の改革があったということを、ぜひ広く都民に知っていただきたいと思います。基金が積み上がったのは、使うべき資金を使わなかったからだなどという批判がいかに的外れであるか、明らかであります。
改めて知事に伺います。国に先駆けて複式簿記・発生主義会計の導入による公会計制度の改革を行って、都財政の再建を果たし、今また厳しい経済環境の中で、都が果たすべき役割を果敢に達成しようとする平成二十二年度予算案を提示された決意、あるいはここに至るまでの思いについて、まず答弁をいただきたいと思います。
一方、国は、二十二年度予算編成の過程において、事業仕分けを行いました。結果的にパフォーマンスとして注目を集め、予算編成過程に国民の関心を喚起した意義は認められましたが、むだの排除あるいは財源の発掘には十分な効果がありませんでした。
都は、既に二次にわたる財政再建プランを実行に移し、すべての事業を対象にして事業効果の点検、見直しを行ってまいりました。今後、さらにむだを排除し、財源を確保しながら施策を効率的に推進していくためには、事業の集中的な点検、検証を日常化し、その成果を継続的にすべての事業に反映させていく仕組みへと発展させる必要があります。
新たな公会計制度には、日々の会計処理自体にむだや非効率を排除する仕組みが内部化されているはずであります。これを活用しながら事務事業評価を進化させることが重要であります。
二十二年度予算編成における事務事業評価の活用の成果、また今後のさらなる制度の進化とその効果について、都の見解を求めたいと思います。
次に、雇用対策について質問いたします。
雇用全般に厳しい状況が続いています。中でも直近の問題は、かつての就職氷河期を上回るともいわれる新卒者の就職難であります。我々公明党は、さきの第四回定例会でも、この問題を指摘し、対策の強化を求めました。
中でも、深刻な状態にあるのが高卒者の問題であります。昨年十二月末時点の高校生の就職内定率は、前年同期比で七・五ポイント減の七四%にとどまり、四人に一人が内定をとれないという状況でした。働く意欲のある若者が社会の入り口で参加を拒絶されるなどということは、そもそもあってはならないことであります。
いよいよ三月を迎え、卒業式シーズンに入ります。苦境に立たされている高校の新規学卒者の支援について、都は対応を強化すべきであります。見解を求めます。
一方、大学生については、都議会公明党が提案した首都圏合同就職面接会の第二回目が二月十六日に開催されました。卒業まであとわずか一カ月半という時期にもかかわらず、二千四百人を超える大学生等が面接に訪れました。求人動向が厳しい中でも、百四十四社の参加企業と約九百人の求人を確保したことは評価したいと思います。
また、一月には多摩地域の大学と、しごとセンター多摩が連携して、新たな形態の合同就職面接会を実施しました。学生の就職状況の厳しさを各大学から聞き取り、しごとセンター多摩が大学と一体となって行ったこの取り組みは、画期的であります。
こうした都と大学の連携による就職支援は、二十三区でもエリアごとに行うなど、取り組みの拡大を図っていくべきであります。都の見解を求めます。
社会参加の重要な入り口が就職であります。これは何も新卒者に限りません。倒産、破産、リストラなどで再チャレンジが必要な人に対して、再度の社会参加のチャンスを提供することは、昨今の社会経済状況の中では、自治体にとって重要な仕事であります。
そこで、知事も施政方針で触れられましたが、国のハローワークなどの無料職業紹介事業は、地域の実情に精通している地方自治体に移譲すべきであります。改めて、都の見解を伺いたいと思います。
次に、地球温暖化対策について質問いたします。
地球温暖化は、もはや一刻の猶予もならない喫緊の課題であるにもかかわらず、政府の動きは依然として緩慢であり、二〇二〇年までに一九九〇年比二五%削減の目標の達成に向けたロードマップもいまだ示されておりません。
一方、都は、いよいよ四月から大規模事業所を対象にしたキャップ・アンド・トレードを開始いたします。オフィスビルなど業務系施設をカバーする制度としては、世界初の試みであり、全国レベルでのキャップ・アンド・トレードの制度設計をリードするものとなります。
都市の世紀といわれる今日、東京は世界への先進的な環境対策の発信拠点として、その存在感を示すべきであります。制度のスタートに万全を期すとともに、東京だけではなく、世界総体のCO2削減に向けての情報発信となるように体制を整え、さらに今後のシステムの洗練化に取り組むべきであります。見解を求めたいと思います。
次いで、都庁における環境対策について質問いたします。
都庁内全部局の中で、最も温室効果ガスを排出するのは下水道局であり、その割合は四〇%に上ります。既に下水道局は、アースプラン二〇一〇を策定し、二〇二〇年度までに対二〇〇〇年度比で温室効果ガスを二五%以上削減する目標を明示いたしました。
そこでまず、このアースプラン二〇一〇における温室効果ガス削減の手法について説明を求めたいと思います。
下水道局が排出する温室効果ガスで特徴的なのは、汚泥処理の過程でCO2の三百十倍の温室効果を持っているN2O、一酸化二窒素が発生することであります。このN2Oの発生抑制に取り組めば、大変に大きな効果が上がります。下水道局の見解を求めます。
続いて、住宅問題について質問いたします。
自治体は、保健、福祉、医療ほか、広範で多様な行政サービスを提供することが大きな責務であります。そして、そうした行政サービスの提供が意味を持つためには、居住の安定が不可欠であります。つまり、住宅はすべての行政サービスの基盤であるといっても決して過言ではありません。したがって、東京都に限らず、多くの大都市型自治体では、住宅難が一般化していた高度成長期から今日に至るまで、住宅困窮者用の住宅を公営住宅として建設し、供給してまいりました。
我々都議会公明党は、歴史的にこの都営住宅の整備充実の必要性を一貫して強調してまいりました。そして今、高度経済成長期の住宅難とは全く違った意味で、介護や子育て、雇用、就労対策、独居高齢者、高齢者のみ世帯支援などにおいて、住宅のセーフティーネットが強く要請されています。
研究者の報告によると、イギリスでは、一九八〇年代に公営住宅不要論が力を持ち、公営住宅の払い下げや地方自治体による建設供給制度が後退し、良質な公営住宅のストックが著しく減少したそうであります。
ところが、その後、二〇〇七年に出された住宅緑書、いわゆるグリーンペーパーでは、全く逆の提言がなされ、政策の方向は一転し、低所得者向け公営住宅の大幅な供給に取り組まざるを得なくなりました。つまり、都市生活の安定性の確保には公営住宅が必要であると、イギリスでは改めて認識されたということであります。
したがって、安定性、継続性が重要な住宅困窮者向け住宅の供給、子育てから介護までさまざまなニーズに適合した住宅の供給、さらに、福祉的な配慮を必要とする居住者への対応などを含め、都が直接建設し供給する都営住宅を柱にして住宅政策を組み立てることが最も妥当であります。
今後とも、住宅困窮者に対しては、都営住宅を中心とした住宅政策を展開すべきでありますが、都の見解を求めたいと思います。
また、今後、老朽化した都営住宅の建てかえが続きます。この建てかえの際こそ、介護、子育て支援住宅の都市モデルの構築、環境負荷の低いまちづくりや防災まちづくりなどを実現する絶好のチャンスであります。都営住宅の建てかえに当たっては、老朽化した住宅の更新だけではなく、環境、福祉、防災まちづくりに配慮しながら事業を推進するべきであります。都の見解を求めたいと思います。
ところで、現実の都営住宅の現場では、著しい高齢化に伴い、共益費の自主回収すら困難な状況になっております。従来、都営住宅では、共用部分の維持管理費用などを、共益費として自治会費と合わせて徴収してまいりました。その共益費の中から、例えば共用部分の電気代や補修費などを賄っているわけでありますが、そうした徴収の手間や、維持、補修にかかわる手続自体が、高齢化による自治機能の低下によって困難になっております。
こうした高齢化による自治機能低下を補う工夫が必要であります。共益費の回収負担の軽減やコミュニティ機能の維持向上のための支援策について、方針を明らかにしていただきたいと思います。
続いて、住宅と介護について質問をいたします。
住まいの観点から介護問題にアプローチするには、都営住宅の活用のほか、小規模多機能型居宅介護事業の充実が不可欠であります。我が党は、昨年十一月から十二月にかけて、全国の三千名を超える議員が介護総点検を実施し、在宅介護による家族の心身の負担や介護施設の不足に関する意見など十万件を超える声をまとめ、政策提言として、新・介護公明ビジョンとして発表いたしました。
今回の介護総点検で改めて必要性が浮き彫りとなったのは、特別養護老人ホームなどの介護施設の増設とともに、在宅介護を、通い、宿泊、訪問などのサービスでサポートする小規模多機能型居宅介護事業の拡充でありました。小規模多機能型施設や特別養護老人ホームの増設に向けた都独自の支援策を強化すべきであります。所見を伺います。
関連して、介護についていえば、療養病床の確保も重要であります。我が党は、これまで数次にわたり、その拡充を訴えてまいりました。こうした中で都は、平成二十四年度までに二万八千七十七床を確保するという目標を立て、独自に療養病床整備に対する助成を行っております。
しかし現状は、医療機関にとって余りにも不確定な要因が強く、積極的に整備に乗り出す環境にはなっておりません。したがって、医療機関の意欲を促す療養病床整備のための支援策が必要であります。都の見解を求めます。
さらに、介護に関連して、高齢の要介護者を生み出す最大の原因である脳卒中について質問をいたします。
脳卒中は六十五歳以上の患者が多いことから、今後の急速な高齢化、特に団塊の世代の高齢化に伴い、患者の急増が懸念されます。したがって、効果的な医療体制の整備など、脳卒中対策は喫緊の課題であります。
脳卒中における救命や後遺障害の軽減には、発症後の早期の対応が重要であります。特に脳卒中の七割近くを占める脳梗塞には、血栓を溶かすtPAという特効薬が登場し、発症後三時間以内の投与で、患者の約四割は後遺症を残さず、もとの身体状態に戻るとされております。したがって、脳卒中はまさに時間との闘いであります。
この闘いに勝つためには、患者となる本人や家族並びに周囲の人たちの脳卒中に関する正しい知識が不可欠です。そこで第一に、脳卒中の兆候についての知識やその確認方法の周知など、早期対応を可能とするための意識啓発や知識の普及に努めることが重要であります。都の見解を求めます。
また、脳卒中は、急性期の早期にリハビリテーションを開始し、引き続き回復期においても専門的なリハビリを集中的に行います。その際、急性期病院の入院期間は短く、すぐに転院を求められるケースが多く、患者と家族の不安を取り除くためには、順調に転院できる環境を整備しなくてはなりません。
都内の回復期リハビリテーション病床数は、人口十万人当たり平均二十九床。全国平均の四十一床と比べ、十分とはいえません。そこで、回復期リハビリ病床の増床に積極的に取り組む必要があります。見解を求めます。
また、患者や家族に安心感をもたらし、治療効果を上げるためには、急性期から回復期へ円滑に医療機関を移り、さらに在宅療養においても継続的な治療を保障するシステムが必要であります。そのための重要なツールが、脳卒中地域連携パスと呼ばれるものであります。これは、患者の病状の推移や治療の経緯、治療目標などの診療計画をデータとして記録し、医療機関や医師がかわっても、このパスを確認すれば、継続的で安定的な医療を受けられる仕組みであります。
しかし、残念ながら、こうしたパスの存在はほとんど知られておりません。この地域連携パスの活用を促進し、要介護高齢者の発生を防ぐためにも、パスを活用した医療機関のネットワークを拡大して、都民への周知を図るべきであります。都の見解を求めます。
次に、保育所待機児童の解消について質問をいたします。
都は、一月に少子化打破緊急対策を発表し、平成二十二年度からの三年間で二万二千人分の保育サービスをふやすとしています。
ところが、都の待機児童の状況を分析したデータによれば、都内の約一万人の待機児童は、その九割がゼロ─二歳児であり、さらに、その保護者の六〇%がパートタイム勤務や職探しの最中の方々であります。フルタイムの勤務ではないこうした方々は、入園のためのポイントが極めて低く、幾ら待っても入園できず、また逆に、入園の可能性を高めるために、あえて長時間労働に従事する例もあります。
こうした矛盾を解消するには、パートタイムや勤務時間の一定しない自営業者あるいは求職中の人々、さらに一時保育希望者などが利用しやすくて弾力的な保育サービスが必要であります。
そこで提案は、ゼロ―二歳保育を専門とし、ニーズに柔軟に対応することができる保育ママ、つまり家庭福祉員の活用であります。
保育ママは、自宅でも賃貸住宅でも保育することが可能であります。例えば、三人の保育ママが家賃補助を受けて三LDKのマンションを借り、時間が不ぞろいな定期利用のゼロ―二歳児を九人預かり、さらに各人が補助員を雇用すれば、合計で十五人の保育が可能となります。こうしたいわば合同保育室が各地域に設置されれば、即効性の高い待機児解消策になります。
これは、都の少子化打破緊急対策における定期利用保育事業と保育ママによる共同実施型モデル事業の二つの施策を組み合わせれば十分実現可能であります。見解を求めたいと思います。
また、いずれ待機児童の増加はピークを過ぎます。そのときに都や区市町村の施策が過剰とならないような配慮も必要であります。そのために有効な方策は、既存の施設の活用であります。
例えば品川区では、複数の小学校の余裕教室を利用して隣接する保育園の年長児を受け入れる、保育園、幼稚園、小学校連携の新たな取り組みが始まります。ここではプレスクールの意味も込めて学校給食も提供され、子どもたちがスムーズに学校生活に移行できるよう工夫されています。
さらに、五歳児が小学校の余裕教室に移行した保育園では、その部屋を一歳児用に転用することで受け入れ児童をふやし、待機児解消につなげる方針であります。
都は、こうした事例を広く周知するとともに、区市町村の取り組みを支援すべきであります。見解を求めます。
次に、我が党が一貫して取り組んできた社会的弱者に対する支援について質問をいたします。
まずは、盲ろう者支援であります。
石原知事は、三月号の雑誌「文學界」に、光と音を失い、盲とろうの二重の障害を持つ東京大学の福島智教授を題材とした小説「再生」を発表いたしました。凡庸な我々には想像もつかない障害を背負いながら積極的な生を営む人物に関する石原知事の感受性をうかがわせる作品であります。
二重の障害を持つ福島教授と知事との出会いから誕生したのがこの小説であり、もう一つが東京都盲ろう者支援センターであります。昨年五月に全国で初めて開設され、盲ろう者の方々の支援拠点として、さまざまな相談や訓練などの事業が行われています。既に今年一月までに二百六十件を超える相談があり、コミュニケーション訓練、生活訓練についても現在二十九名の方々が取り組んでいます。さらに、通訳・介助者派遣事業においても新たな利用者が増加し、開設以来の実績には目をみはるものがあります。
平成十八年の国の推計によると、盲ろう者の方々は全国で約二万三千二百人、都内ではその一割、およそ二千名を超える方々が存在すると考えられます。しかし現在、障害者手帳を持ち、継続的に通訳や介助等の支援を受けている方は都内で八十七人、依然として数多くの方々が支援の手から抜け落ちています。
そこで、今後取り組むべき課題は、支援センターの都内への複数配置であります。二重の障害を持って、例えば多摩地域から浅草橋の支援センターに通うには、負担が大き過ぎます。都内全域を視野に入れ、支援センターによるネットワークの形成に取り組んでいただきたいと思います。見解を伺います。
同時に必要なことは、コミュニケーション訓練や生活訓練を行う専門指導員の養成であります。国は来年度より宿泊型の盲ろう者支援のモデル事業を実施する方針です。これと連携し、盲ろう者のための専門指導員の養成と、その専門指導員養成の基準となる養成プログラムの開発を急ぐべきであります。都の見解と方針を明らかにしていただきたいと思います。
また、必要な人に必要な支援を行うために、区市町村と連携して支援センターの存在の周知を図り、支援の輪を拡大すべきであります。大田区では、区内在住の盲ろう者に対して個別に支援センターの案内を送付したところ、相談につながった事例が存在します。区市町村と連携しての支援拡大について、見解を伺います。
続いて、高次脳機能障害者支援について質問をいたします。
この障害は、交通事故など不慮の災害や脳血管疾患により脳が損傷を受け、その結果、言語や記憶等に障害が生じるものであります。外見からはわかりにくいため、周囲からの理解が得られにくく、見えない障害ともいわれております。
都議会公明党は、平成十年第四回定例会の代表質問において初めてこの問題を取り上げ、各種対策の実施を求めてまいりました。これを受けて都は、その後、二度にわたる実態調査やニーズ調査を実施し、支援のための冊子の発行、また診断・リハビリテーションマニュアルなどを発行し、さらに心身障害者福祉センターを支援拠点として活用する事業を行ってまいりました。
また、実態調査によると、平成十一年度では四千人余りだった障害者が、十九年度では、調査方法や対象が異なるとはいえ、約五万人となっております。こうした状況に対応するため、現在、新たにリハビリテーション拡充のためのモデル事業の実施が予定されております。
今後、地域におけるリハビリ提供体制を充実していくためには、医療機関や相談支援機関など関係機関の連携体制の強化が不可欠であります。新たに実施するモデル事業の内容並びに関係機関の連携強化について、都の見解を求めます。
さらに、高次脳機能障害者の相談に適切に対応していくためには、障害を持った経験のある人やその家族が相談員となる、いわゆるピアカウンセリングの活用が有効であります。見解を求めます。
次いで、多摩地域の小児医療体制の整備について質問をいたします。
昨日、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが本格的に業務を開始しました。今後大事なことは、統廃合される地元区市町村の小児医療体制を後退させないことであります。都議会公明党は一貫してこれを主張し、都も我が党の主張を受け、統廃合される地元区市とのたび重なる協議を行い、小児医療体制の支援策を明らかにしてまいりました。
昨年の第四回定例会においては、小児総合医療センターと各地元との医療連携を強く求めましたが、予算を審議する本議会においては、地元区市の小児医療に対する財政的支援も含めた総合的な支援策の実施を求めたいと思います。都の見解を伺います。
また、都は、梅ケ丘病院の移転に伴い、昨年十月一日、都立大塚病院内に新たな児童精神科外来を開設いたしました。二十三区内の発達障害、自閉症などの専門外来であり、半年近く経過した現在、初診の予約が殺到する状況が続いております。したがって、大塚病院内の児童精神科外来の体制強化と医師の増員を図るべきであります。局の見解を求めます。
一方、開設された小児総合医療センターは、小児専門のERや集中治療室を新たに設け、小児救急医療の拠点となる子ども救命センターの役割を果たすことになります。また、隣接する多摩総合医療センターの産科と連携をして、ハイリスクの母体搬送の受け入れから新生児の管理までを横断的にケアをする、都内最大の総合周産期母子医療センターの機能も果たすことになります。
そこで重要なのは搬送手段であり、その役割を果たすのが小児ドクターカーと新生児ドクターカーであります。しかし、二十三区の二倍以上という広大な面積の多摩地域では、ドクターカーとあわせ、東京消防庁の東京型ドクターヘリの活用を我が党は強く主張し、都においても開業当初から活用できるよう準備を行ってまいりました。
ところが、一部のマスコミが、東京型ドクターヘリの活用は開業に間に合わないとか、ドクターヘリとしての機能を果たさないなどとの報道がなされたため、一部から不安の声が上がりました。そこで改めて、東京型ドクターヘリの活用と有効性について、都の見解を明らかにすべきであります。
また、「十年後の東京」実行プログラムには、多摩地域にスーパー総合周産期センターを設置すると明記されています。まさに多摩総合医療センターと小児総合医療センターこそ、スーパー総合周産期センターの一翼を担うべきであります。都の見解を求めます。
さらに、小児総合医療センターには、新生児集中治療室、NICUが二十四床整備され、従来よりも九床増床となります。今後、都は、さらに多摩地域のNICUの整備に力を注ぐべきと考えますが、都の見解を求めたいと思います。
続いて、がん対策について質問をいたします。
日本人の男性は二人に一人、女性は三人に一人ががんになるといわれ、もはやがんは日本の国民病といっても決して過言ではありません。したがって、がん医療の充実は焦眉の急を要する喫緊の課題であります。
我々はこれまで、さまざまな角度からがん対策の強化を主張してきました。そこでまず第一に、開設された多摩総合医療センターにおける今後のがん医療の強化について、まず答弁をいただきたいと思います。
また、公明党は、地方議会と国が連携をして、がん予防のための検診体制強化を一貫して求めてまいりました。その結果、無料クーポンによる乳がん、子宮がん検診の受診促進策の実現やマンモグラフィー機器の整備など、近年特に女性のがん予防対策を強力に具体的に推進してまいりました。
特に子宮頸がんについては、その原因であるヒトパピローマウイルスに対するワクチンが発症予防に有効であり、ワクチンの販売開始とあわせて、接種費用の助成を行うべきであると議会でも繰り返し主張してまいりました。昨年十二月、ようやくこのワクチンの国内販売が開始されました。したがって、接種費用の助成を早期に実施すべきであります。
子宮頸がんは、二十歳代、三十歳代の若い女性の発症が増加しており、全国で毎年約二千五百人の女性が亡くなっています。このことを重くとらえ、都議会公明党は、子宮頸がん予防ワクチン接種に対する公費助成を強く訴えてまいりました。先日も申し入れを行ったばかりでありますが、平成二十二年度中にも都内の一部区市町村でワクチン接種に対する公費助成が開始されます。都は、接種促進のため、区市町村に対する財政支援を速やかに実施すべきであります。答弁を求めたいと思います。
次に、都立高校改革について質問いたします。
都はこれまで、総合学科高校、チャレンジスクール、中高一貫教育校など新しいタイプの学校を設置するとともに、既設校を進学指導重点校やエンカレッジスクールに指定するなど、都立高校改革を進めてまいりました。
その間、各学校の個性化が進み、また中途退学者が減少するなど、成果も上がっています。そして、都立高校改革はいよいよ総仕上げの段階を迎えますが、これまでの成果と今後の高校改革の取り組みについて、方針を伺いたいと思います。
さて、新たなタイプの高校の中でも評価と人気が高いのがチャレンジスクールであります。平成十九年に教育庁は、新しいタイプの高校における検証委員会報告を発表しましたが、その中でもチャレンジスクールは、不登校傾向のある生徒が立ち直るなど、その役割が評価されております。
しかし同時に、課題も指摘をされています。不登校や退学経験のある生徒に関しては、校内での相談事例にしても解決が困難なケースが多く、それに対応できるスクールカウンセラーの配置などが求められています。
また、学校運営が、生徒は三部制、教師は二部制のため、放課後に生徒が相談しようとしても教師が授業中で対応できないという、三部制ならではの課題もあります。
こうした学校運営の難しさ、生徒の相談内容の重さなどから、今後はさらに教職員の質的向上が必要とされています。高校改革十年目を迎え、チャレンジスクールなどの課題解決に向けた都の取り組みについて見解を求めます。
また、都立高校改革における今後の重要な課題は学力向上であります。都教育委員会は、都内の公立小中学校においては都独自に学力調査を実施し、授業改善推進プランを作成するなど、児童生徒一人一人の学力向上に取り組んでいます。都立高校においては、進学指導重点校などの指定を行い、学力向上に取り組んでいますが、それ以外の高校においても小中学校と同様、生徒がどれだけの学力を身につけたのかを検証して、実効性のある学力向上対策を実行すべきであります。都の見解を求めます。
次に、青少年健全育成条例の改正について質問をいたします。
昨年、児童ポルノ犯罪の摘発件数は、全国で前年比約四割増の九百三十五件と過去最多となりました。児童ポルノの根絶は今や一刻の猶予も許されない課題であります。ところが、他人への提供を目的としない、いわゆる単純所持が処罰の対象とならないのは、G8では日本とロシアのみとなってしまいました。
我が党は、単純所持処罰化のための児童ポルノ法改正法案を自民党とともに国会に提出するなど、児童ポルノの根絶に向けて党を挙げて取り組んでまいりました。確かに単純所持の処罰化は国民合意のもとに実施されるべきであります。しかし、この瞬間にも、児童ポルノの被写体となり心身に傷を負う子どもがいることを、手をこまぬいて見ているわけにはまいりません。
今回の条例改正案には、何人も児童ポルノを所持しない責務を有するとの規定を初め、児童ポルノの根絶に向けた意欲を強く感じます。さらに、今後は罰則規定の導入などを検討すべきであります。改めて知事の所見を伺います。
次に、昨年四月に施行された青少年インターネット環境整備法においては、青少年が利用する携帯電話については原則としてフィルタリングを提供することとしていますが、法施行後もフィルタリングの使用率は都内の中学生で約五四%にとどまり、子どものいいなりにこれを解除する親すら見られます。
こうした状況を改善し、より一層のフィルタリングの普及定着を図るため、都の実効性のある取り組みが不可欠であります。特に首都圏においては、通学等による都県を越えた移動も多く、近隣三県とも連携をとりながら、広域的な取り組みを行っていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
次に、羽田空港の国際化について質問をいたします。
ことし十月、いよいよ羽田空港の四本目の滑走路や国際線旅客ターミナル、国際貨物ターミナルが供用開始となり、国際定期便は昼夜合わせて年間約六万回の増便となります。また、昨年十二月にはアメリカとの就航が決まり、欧米やアジアとの間で人、物、情報が活発に行き交うようになります。羽田に国際貨物ターミナルも新たに整備され、生鮮食品や高付加価値の製品の行き来が活発化し、物流面でも高い効果が期待できます。
まずは、改めて最近の情勢の変化も踏まえ、羽田の国際化、ハブ空港化に対する知事の所見を伺いたいと思います。
ところで、現在の臨海部のインフラ整備は、実は羽田空港の四本目の滑走路は前提に含まれておりません。新滑走路の運用開始後は、昼間の発着枠で約四十万七千回、深夜、早朝で約四万回に達します。これにより、新たに年間一千万人近い方々が羽田空港を利用すると想定され、その結果、羽田へのアクセスを初め、臨海部のインフラは限界を超えるおそれがあります。
こうした事態へ対応するためには、臨海部のインフラ整備の新たな青写真を描く必要があります。これは極めて有効な公共事業であり、高い経済効果が期待できます。そこで、まず羽田空港の国際化に伴う経済効果と雇用拡大について、展望を示していただきたいと思います。都の所見を伺います。
また、これは観光振興の絶好の機会でもあります。都は、二〇一六年に一千万人の外国人旅行客を迎え入れることを目標にしていますが、今こそ観光都市東京の多彩な魅力を効果的に海外に発信すべきであります。所見を伺います。
観光客の受け入れ体制を整備するためにも、交通アクセスの改善は避けて通れません。具体的には、広域幹線道路である国道三百五十七号線の延伸、大鳥居交差点の立体交差化、そして臨海副都心とのアクセスの改善が急務であります。
さらに、都営浅草線の東京駅への接続、東京駅までのモノレールの延伸など検討すべき課題は山積しています。空港アクセスの改善について、都の取り組み状況を伺いたいと思います。
次に、駐車違反取り締まりについて質問をいたします。
話題を呼んだ民間の駐車監視員による駐車違反確認事務が始まって四年になります。実施に当たっては、悪質、危険、迷惑な違反を重点的に取り締まるとし、また結果としては交通事故件数の減少など一定の効果があったと認識しておりますが、これが警視庁の警察活動全般に対してどのような効果があったのか、警視総監の見解をまず伺いたいと思います。
我々の調査によると、交通事故件数の減少など一定の効果は認められるものの、極めて短時間で確認標章が張られてしまい、配送業務等に支障を来し、どのように対処すればよいか困惑しているという物流業者を初め、業務車両を運行する多くの事業者から困惑する声が寄せられているところであります。
また、タクシー事業者からは、うかつにトイレにも行けないなどの悲鳴にも似た訴えや、子どもの出産にかかわる助産師からは、急な往診に対応できないなどの苦情も寄せられています。
こうした声を受け、都議会公明党はたびたび規制緩和の要望を重ねてまいりました。現在、警視庁では、こうした要望を受け、配送業務等の駐車禁止規制の見直しを進めていますが、その内容及び進捗状況について明らかにしていただきたいと思います。また、あわせて東京における今後の駐車規制の見直しについて所見を伺います。
昨日、バンクーバー・オリンピックが閉幕し、近くパラリンピックが開幕になります。時節を合わせたかのように、都では過日、二〇一六年オリンピック・パラリンピック競技大会の招致活動報告が公表されました。そこでまず、報告書で分析している活動の成果や課題、さらに再度招致を目指す場合には、今回の教訓をいかに生かしていくべきか、まず知事の見解を伺います。
今回の招致活動においては、当初に比べ、しり上がりに機運が高まりました。その影響もあり、既に東京商工会議所は、二〇二〇年の招致に再挑戦するよう求める決議を行っております。今後、改めて招致を目指す場合は、行政だけでなく、こうした民間の主体性を最大限に尊重する運動論が展開されていくべきであります。知事の認識を伺います。
招致活動費については、先般の本会議で、一般財源分の百億円に関しては、東京都監査委員から、特定業者に契約が集中しており、業者選定方法について慎重に検討すべきなどの留意事項はあったものの、おおむね適正に執行されていることが認められたと報告がありました。
一方、民間資金の四十九億円については、外部監査法人の公認会計士による監査が行われておりますが、現段階における年度別の監査状況を明らかにしていただきたいと思います。
さらに、民間資金については、当初計画どおりの寄附が集まらず、六億九千万円の借り入れを行うとしております。この返済方法についても明らかにすべきであります。都の説明を求めたいと思います。
今回の招致活動を通し、スポーツ振興に対する都民の関心が高まったことは大きな財産にほかなりません。都は、今回の招致活動を通して得た財産を生かすために、スポーツに対する関心が高まっている今こそ、スポーツ振興策を総合的に推進し、日本全体のスポーツ振興をリードすべきであります。都の見解を求めます。
次に、築地市場の整備について質問をいたします。
過日、築地市場の現在地再整備案なるものが記者会見で示されたと聞いております。これは果たしてだれが責任を持って提示した案であるのか、また工期や費用の算定の根拠は示されているのかどうか、我々には全くわかりません。
ただ、その内容を仄聞すると、晴海への仮移転が前提となっているそうであります。そうすると、晴海での環境アセス、土壌調査、住民合意の形成などの課題が当然出てまいります。局の見解はいかがか。
あるいはまた、仮移転した後は、築地における再整備のための同様の作業が必要となると考えられます。とりわけ土壌調査が問題となりそうでありますが、これについても局の見解はいかがか。
いうまでもなく、開設から七十五年を経た築地市場は、昨年十一月の震度二の地震による鉄製ガラリの落下、同じく十二月の大雨によるひさしコンクリートの崩壊などを挙げるまでもなく、耐震性の脆弱さ、老朽化、狭隘化で限界状況を呈しています。
また、高度な品質、衛生管理が困難であり、多くの制約から市場機能の強化を図ることができず、生鮮食品の取扱量は大きく減少をしています。
築地市場の問題は、こうした客観的な事実、具体的な状況認識に基づいて議論を重ね、単なる引き延ばしに終始することなく、合理的な判断を下すべきであります。
また、新たに整備される市場は、向こう五十年間は使用される施設であります。この議場にいる我々の大多数が存在しなくなる時代まで続く施設の整備であります。それを決める我々の責任は極めて重大であります。間違っても都知事選挙の争点にするなどといった無責任な姿勢で議論すべきではありません。
事の発端は土壌汚染であります。食の安全から万全を期すことは当然であり、その意味で、技術会議、専門家会議、汚染処理の施工例を持つ手法の公募、そして屋上屋をいとわずに決めた汚染土壌処理の実証実験、これらの一連の流れは、率直に見れば十分に評価に値します。あとは、実験の結果とそのデータをありのままに公表することであります。
このような我々のごく当然の見解を踏まえ、新市場整備に関する展望、所見を伺い、代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
まず、二十二年度予算についてでありますが、今回の予算編成では、大幅な税収減に直面する中にあって、いかに現下の閉塞感を打破し、東京都を衰運に赴かしめないように将来を切り開く手だてを講じていくかが大きな課題でありました。
二十二年度予算は、東京の現在と将来に対し、都がなすべき役割を積極的に果たすべく、現下の危機に的確に対処するとともに、東京の可能性を引き出す戦略的な投資を行うなど、都民の期待に十分こたえるものになったと思っております。
このような予算を編成できたのも、今までに都議会の協力を得ながら財政再建を達成し、その後も堅実な財政運営に徹することにより、強固な財政の対応力を培ってきたからにほかならないと思います。
その過程で導入した複式簿記・発生主義による新しい公会計制度は、長い目で見て、役所の本質を一変させ、おっしゃったように、明治の太政官制度以来続く、官の主導のこの国のあり方そのものを本質的に変える起爆剤としての役割を果たし得るものだと思っております。
これがあれば、国も今さら事業仕分けなどせずに、新しい会計制度できちっとした財務諸表が出てくるわけでありますから、余計な苦労をせずに済むわけですから、そういうことで、私も政権が変わりました後、長い知己であります菅副総理、それから地方自治体の所管をしております原口総務大臣にも、ぜひ新しい政権で思い切って、財務省にいろいろな抵抗はあるかもしれないが、とにかく先進国でどこでもやっている、日本だけやっていない新しい会計制度を取り入れるべきであるということを建言いたしました。
今後とも、都政に課された使命を将来にわたり確実に果たしていくために、新しい会計制度も活用して、さらなる財政体質の強化に取り組み、積極果敢に都政を展開すべく全力を尽くしていきたいと思っております。
次いで、児童ポルノの根絶についてでありますが、児童ポルノは、青少年に対する性犯罪や性的虐待の現場を写したものにほかならず、その存在自体が許されるべきものでは絶対にございません。
この問題については、国においても議論がなされておりますが、その間にも児童ポルノの被害者児童は大きく数として増加しておりまして、これ以上、こうしたポルノの蔓延を放置し、被害を受けた青少年の苦しみを看過することはできないと思います。
まずこの東京から、児童ポルノは絶対に許さない、青少年をその被害に遭わせないという毅然とした態度を示して、その根絶に先鞭をつけるために、青少年健全育成条例の改正案を提案したものであります。
なお、いわゆる単純所持の処罰化については、問題の国際性や、インターネット上のはんらんを効果的に規制する観点から、国が全国一律に実施する必要がありまして、都としては、国に対し、その責任を果たすよう強く求めてまいります。
次いで、羽田の国際化、ハブ空港化についてでありますが、羽田空港は、我が国の経済を活性化し、国際競争力を強化するなど、我が国の将来を左右する極めて重要なインフラであります。
羽田が成田と一体となってということは、成田にも国内線を飛ばす、そしてそこで乗り継いで国際線に乗るという、そういう機能を成田も受け入れるべきだと思いますし、そういう意味で、成田と一体となって、欧米、アジアの主要都市へのアクセスの拠点となり、国際ハブ空港として機能を高めることが絶対に必要だと思います。
先ほども申しましたが、先進国が日本に強く要求しているオープンスカイというのは、当然この首都圏にフォーカスをしたものでありまして、そういう意味でも、羽田というものはその意味合いで重要な意味を持ってくると思います。
いずれにしろ、羽田のまだ配分先が決まっていない昼間の発着枠の活用や、さらなる空港容量の拡大によりまして、昼間の国際線を極力ふやして就航都市を拡大する必要があります。
また、供用開始時には、国際線貨物ターミナルも開設されまして、新たに年間五十万トンの国際航空貨物を取り扱うことが可能になります。これにより、深夜、早朝時間帯にも運航できる羽田の特性を生かし、速達性を求められる航空物流において大幅な時間短縮を実現できると思います。
この羽田の機能を生かすには、首都高速道路など広域的な道路ネットワークの整備をあわせて促進することが不可欠であります。
旅客と物流の両面において、二十四時間利用が可能で、都心に近く、世界に比類のない便利な空港でありますから、この羽田の優位性を生かして、国際競争力の向上など首都東京の活性化につなげていきたいと思います。
なお、ついでに申しますと、エネルギーの節約のためにほかの国がやっている夏時間を日本ができないのは、成田が結局、飛行時間に非常に厳しい制約を要求しているもんで、そういう意味では、羽田が国際的に活用されれば、ぎりぎりでひっかかる、羽田にやってくる航空便は羽田で乗りかえるということで、日本全体がエネルギーの削減のためにも、夏時間ができることになると思います。
次いで、パラリンピック・オリンピック招致についてでありますが、今回の招致活動は、開催権こそ獲得できませんでしたものの、日本の未来につながる重要な役割を果たしたといいますか、いろんな収穫があったと思います。
招致活動を通じて、都民のスポーツ振興やアスリートとの交流による青少年の健全育成、世界に対する地球温暖化対策のアピール、最先端技術や文化の発信による東京、日本のプレゼンスの向上など、さまざまな分野で多岐にわたる成果を得られたと思います。
今後、これらの成果を跳躍台として、二十一世紀の都市モデルの造形を一層進めていくことが重要であると思います。
一方、招致は、さまざまな見えざる力が働く、国同士の熾烈な、しかし陰にこもった戦いでありまして、各界が総力を結集し、国としての一体感をもって取り組んでいくことが絶対に必要であると思います。
また、日本発祥のスポーツである柔道を初め、国際競技連盟における日本人の会長職は今やゼロになりました。先ほど申しましたが、そういうことで、柔道も実体を本質的に変えてしまいましたし、卓球は、東洋人が得意だということで、卓球台を高くしろとか、それから日本人が得意なスキーのジャンプなども勝手にルールが変えられて、日本がいろんなハンディキャップを負うようになった。オリンピック競技ではありませんけれども、F1もそうであります。
ということなら、私にいわせれば、背の高い外国人が得意なバスケットボールなんか、あのかごを三十センチ高くしたら、ダンクシュートができなくなるわけですから、それぐらいの反論をするような政治力といいましょうか、そういう主張する力というものをIOCという大事な場で持つような、そういう整備というものを日本のスポーツ界全体がしませんと、なかなかこういった問題に対する日本の優位というものは獲得できないんじゃないかという気がいたします。
昨年十月のIOC総会前後に行われた内閣府の調査では、オリンピックなどの国際競技大会を我が国でも開催することを望む国民の割合が何と九〇%となりました。調査を開始した平成三年以降、過去最高となっております。
先日の東京マラソンでも三十一万人の応募がありましたし、沿道には何と百六十万人以上の観衆が集まりました。まさに東京が一つになった日でありまして、都民、国民のスポーツへの関心の高さがうかがえました。
こうした期待の高まりにこたえて、今回の招致活動で得た貴重な経験や教訓を生かして、日本でのやがてオリンピック・パラリンピック開催という大きな夢を実現していくことを願っております。
次いで、招致運動の盛り上げについてでありますが、今回の招致では、当初、世論の支持は必ずしも高くありませんでした。結果として、最近、東京商工会議所を初めとする経済団体や運輸、観光、流通業界など多くの団体に主体的に取り組んでいただくことで、IOC総会直前には世論の高い支持を得ることになりました。
こうした経緯を踏まえると、再度招致を目指す際には、自発的な行動を起こすさまざまな民間団体が早い段階から相互に連絡を取り合って、幅広く招致機運を醸成することが大切であると思います。それがやがて大きなうねりとなって、都民、国民の盛り上がりを加速させ、招致獲得の力強い後ろ盾になると思います。
なお、質問にはありませんでしたが、都内に二千人、全国で二万人いるという目も見えず、耳も全く聞こえない盲ろう者がいるということを、質問者であった中嶋幹事長のおかげで、私、その象徴的な人物であります福島智さんにお目にかかることで、今までそういうものに見えなかった目が開かれました。
都としては、ささやかではありますけれども、そういう人たちのために日本で初めてああいう施設をつくることができました。これは本当につくづくよかったなと思いますし、都としても満足のできる奉仕だったと思います。この場をおかりして感謝いたします。
他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔警視総監池田克彦君登壇〕
○警視総監(池田克彦君) 道路交通法の改正による効果など三件のご質問にお答えいたします。
初めに、道路交通法の改正による効果についてであります。
駐車監視員制度の導入により、警察官は、より悪質、危険な交通違反を重点的に取り締まることが可能となったほか、振り込め詐欺、ひったくり対策など、都民が不安に感じている重要で身近な治安課題への対応に、より多くの時間を充てることができるようになりました。
その結果、依然として厳しい状況であるものの、都内における交通死亡事故死者数や刑法犯認知件数などが、従前に比べて減少するなどの効果があらわれているところであります。
次に、駐車禁止規制の見直しに関する取り組み内容と進捗状況についてであります。
物流車両等に配意した駐車規制の緩和に関しましては、平成十八年六月の新駐車対策法制が施行される以前から、交通実態等を踏まえた、めり張りのきいた駐車規制となるよう見直しを行い、これまでに築地市場、日本橋問屋街など十三地区において、貨物自動車等を対象に段階的に規制緩和を実施してきたほか、裏通りなどにおける駐車規制の解除を行ってきたところでございます。
しかしながら、さらなる規制緩和の要望があることを受け、昨年、都内一円を調査いたしました結果、荷さばきなどの需要が多く、緩和の必要性が高いと思われる約四十区間が浮上し、現在、規制緩和の可否等について、さらに詳細な調査を行っているところであります。
今後、道路利用者及び地域住民の皆様のご意見を踏まえながら、規制緩和が妥当と判断された場所において、貨物自動車等を対象に規制時間を緩和する方向で準備を進めてまいりたいと考えております。
最後に、東京における今後の駐車規制の見直しについてでございます。
駐車規制は、必要不可欠な駐車需要に配意しつつ、良好な駐車秩序を確立し、交通の安全と円滑を確保するため実施しているものでございます。
その見直しに当たりましては、都内の限られた道路空間が秩序正しく適正に活用されるよう、道路利用者及び地域住民の皆様のご意見を踏まえながら、交通状況、駐車需要等に応じたきめ細かな配慮のもとに行ってまいりたいと考えております。
また、関係機関等に対し、道路外の駐車スペース整備の働きかけを継続するとともに、物流業界が進めている共同配送などの取り組みなどとも連携し、交通の安全、円滑を図ってまいる所存でございます。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
まず、これまでの都立高校改革の成果と今後の取り組み方針についてでございます。
都教育委員会は、都立高校改革推進計画に基づき、新しいタイプの高校の設置や既設校の特色化、学校経営計画の策定、学校施設の整備拡充など数々の施策を実施してまいりました。これにより、応募倍率の上昇、入学辞退率や中途退学率の低下、進学指導重点校における難関国公立大学合格者数の増加など、着実に成果を上げてまいりました。
平成二十二年四月には、中高一貫教育校四校など合計七校を開校することで、新しいタイプの高校の設置は残すところ一校のみとなります。また、多くの高校において初めての卒業生を輩出することから、これを機に新しいタイプの高校における成果検証を実施いたします。
このように、都教育委員会は、都立高校がそれぞれの特色に応じて進めてきた改革の具体的な成果を検証した上で、明らかになった課題の改善を図り、さらなる質の向上に取り組むことで、今後も都民の期待にこたえる高校づくりを一層推進してまいります。
次に、チャレンジスクールの課題解決に向けた今後の取り組みについてでございます。
チャレンジスクールは、不登校や中途退学を経験した生徒等を主に受け入れる高校であり、開校以来、個に応じた指導内容、方法の充実、体験学習の重視、スクールカウンセラーの優先配置等に取り組んでまいりました。
こうした取り組みにより、学習進度に応じたわかる授業、興味、関心を引き出す体験学習やボランティア活動は着実な成果を上げており、生徒も高く評価しておりますが、引き続き学力レベルの個人差への対応や、単位の確実な取得に向けた指導の徹底などに取り組んでいく必要がございます。
都教育委員会は、今後も各校が創意工夫し、生徒の特性に応じた指導の実施、スクールカウンセラーと養護教諭、教員が連携した相談体制の充実を図りますとともに、教員の資質向上のため、校内研修の充実に取り組むことで、生徒が目標を持ち、充実した学校生活が送れるよう支援してまいります。
次に、都立高校における総合的な学力向上策についてでございます。
多様な進路希望を持って都立高校に入学してくるすべての生徒に対して、一人一人の希望が実現できるよう学力を向上させることは、保護者、都民の切実な願いでございます。
これまで都教育委員会は、都立高校改革を着実に進め、進学指導重点校やエンカレッジスクールを指定し、進学指導の充実や基礎学力の定着に取り組んできたところでございます。
今後は、お話のようにすべての都立高校で入学から卒業までの到達目標を明らかにして、生徒の学力を向上させる取り組みを進めていく必要がございます。
このため、都教育委員会は、来年度新たに、学力向上に向けて実践的な研究を行うモデル校として、学力向上開拓推進校を指定いたします。推進校においては、高校入試の成績や各学校で開発した学力調査問題の実施結果を踏まえ、到達目標を定めた学力向上推進プランを作成し、これに基づいた授業を実践してまいります。
平成二十三年度には、すべての都立高校が推進校の成果をもとに学力向上推進プランを作成して、生徒の学力を向上させる取り組みを組織的、計画的に行うよう一層支援してまいります。
〔財務局長村山寛司君登壇〕
○財務局長(村山寛司君) 事務事業評価の活用の成果と今後の取り組みについてのご質問にお答えをいたします。
二十二年度予算編成におきましては、今後想定される厳しい財政環境も踏まえ、事務事業評価の取り組みを強化いたしたわけでございますけれども、その主な点は次の三つの点でございます。
一つは、各局と連携し、評価結果を公表する対象事業を前年度比で二倍を超える二百七十一件にふやしたことでございます。また、評価の結果、見直し、あるいは再構築を行った事業数も前年度に比べ大幅に増加して百四十件となり、これにより約二百億円の財源確保につながっております。
もう一つは、事務事業評価の切り口を多面化させたことでございます。具体的には、現在十年計画で進めております施設の改築、改修プロジェクト、それに今や業務遂行上のいわば不可欠なインフラとなっております情報システムの開発及び運用、この二つの事業につきまして、担当部署と連携しながら、専門的な見地から検証を行うこととしております。
第三には、新しい公会計手法の活用を拡大したことでございます。マクロ的な視点での活用はもとよりでございますが、個別事業ごとのいわばミクロ的視点からの検証におきましても、事業の特性に応じ、従来にもまして積極的な活用を図りました。具体的には、民間との比較における効率性の検証や人件費も含めたフルコストの把握、あるいは財産利活用効率の分析などにおきまして、新しい公会計手法をより有効に活用しております。
このように、現在、事務事業評価は、二次にわたる集中的な事業の点検、見直しを、お話のように日常化させて、継続的な事務事業改革に発展させていくという、いわば事後検証システムとして定着しつつございます。
今後は、次のステップといたしまして、監理団体等を通じて実施している都の事業や、あるいは特別会計を評価対象に加えるなど、対象範囲を拡大するとともに、内容面でも充実をさせてまいります。その際には、新しい公会計をいかに一層多角的に活用するかということが大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
今後とも、こうした観点に立って、各局と密接に連携しながら、事務事業評価制度をさらに発展させ、これを活用することによって、都が実施する一つ一つの施策が都民にとって一層役に立つものになるよう、積極的に取り組みを進めてまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
○産業労働局長(前田信弘君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、高校新規学卒者の就職支援についてであります。
高校生の就職活動につきましては、学校現場がハローワークと連携して行っております。産業労働局としては、これまでもしごとセンターによる進路指導者向けセミナーの開催など、学校と連携した支援を実施してまいりました。
しかしながら、今春卒業の高校生の就職状況は厳しく、さらなる緊急支援が必要と認識しております。このため、来週三月九日と十日に実施する特別相談会では、高校三年生や保護者の方々などを対象に、今後の就職活動の進め方等に関し、面談及び電話により相談に応ずることとしております。
さらに、三月中にも飯田橋と多摩のしごとセンターそれぞれに新卒緊急応援窓口を新たに設けまして、卒業後も就職活動を継続する高校新卒者に対しまして、一人一人に応じたきめ細かい緊急支援を実施いたします。
こうした取り組みを着実に進めることにより、一人でも多くの高校新卒者が早期に就職できるよう、適切に支援してまいります。
次に、大学と連携した合同就職面接会の拡大についてであります。
一月に初めて開催いたしました多摩地域大学合同企業説明会は、しごとセンター多摩が開設以来進めてまいりました大学との連携を基礎といたしまして、また大学生の厳しい就職環境への対応を求める多摩地区の大学の強い意向を踏まえて実施したものでございます。約二百人の学生さんが参加し、企業との面接に臨まれました。
こうした取り組みの二十三区への拡大につきましては、各大学の意向等を踏まえながら今後検討してまいります。
次に、無料職業紹介事業についてでありますが、職業安定法においては、雇用対策としての無料職業紹介事業については国のハローワークの所管とされ、地方自治体が実施する場合には、福祉サービスなどの施策に附帯する業務として限定的に認められることとなっております。
しかし、地域のニーズに即した就業支援を行っていくためには、地域の産業施策や福祉施策を担う地方自治体が一元的に実施していくことが効果的かつ効率的であります。都は、国に対して無料職業紹介事業を移譲するよう提案要求してまいりました。
現在、国においては、国の出先機関の改革を含む地域主権の確立に向けた検討を進めておりまして、都としては、国のこうした動向を注視していくとともに、引き続き提案要求を行ってまいります。
最後に、羽田空港の国際化に合わせた観光振興の取り組みについてであります。
これまで順調に増加してまいりました訪都外国人旅行者数が、世界的な景気後退などの影響を受け伸び悩む中、ことし十月の羽田空港の再拡張、国際化は、外国人旅行者拡大の好機であります。
このため、観光プロモーションや八つの言語によるウエブサイトなどにおきまして、羽田空港の国際化による利便性の向上など、東京の魅力のPRを充実するとともに、四つの言語の表記による案内標識の増設を初めとした受け入れ体制の整備などをさらに展開してまいります。
また、羽田空港の再拡張、国際化に合わせまして、観光情報センターを新国際線ターミナルビルに移設し、その営業時間を延長するとともに、案内窓口ではこれまでの英語に加え、また中国語及びハングルによる対応を行います。さらに、開設の十月には国際化を記念したイベントを実施することとしております。
こうした取り組みにより外国人旅行者数の増加を図り、東京の観光振興を一層推進してまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) キャップ・アンド・トレード制度についてお答えいたします。
都は、大規模事業所に対しまして各種説明会の開催や、ヘルプデスクによる個別相談の実施など、着実に準備を進めてきており、現在、総量削減義務の対象となる事業所の指定作業を三月末の完了を目指して行っております。
既に事業所側では、既存の同規模のオフィスビルに比べCO2を五○%削減する次世代オフィスビルの建築が始まるとともに、既存のビルでも省エネ改修の試みが始まっております。また、オーナーとテナントが協議会をつくり、CO2の大幅な削減を目指すなどの取り組みも進められております。
都はこれまで、都市型キャップ・アンド・トレードの先駆者として、国内のみならず海外の多くの地方政府等の求めに応じまして、大都市における温暖化対策のノウハウを提供してきました。
今後、この制度によって確実に削減実績を上げまして、その成果をもってキャップ・アンド・トレードのノウハウを積極的に国や世界の都市に提供してまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
○下水道局長(松田二郎君) 下水道事業の温暖化対策についての二つのご質問にお答えいたします。
まず、アースプラン二○一○における温室効果ガスの削減についてでございますが、今回新たに策定したアースプラン二○一○では、二○二○年度までに温室効果ガスを二五%以上削減することを目標としております。
この目標達成に向けて、下水汚泥の処理過程で大量の温室効果ガスを発生させていることから、これを大幅に削減するために、日本初となる汚泥ガス化炉や、新たに開発した燃焼方式による多層型流動焼却炉などを導入するとともに、汚泥を火力発電所の代替燃料などとして活用する炭化炉を増設いたします。
さらに、汚泥の水分を効率よく減少させることで電力消費量を大幅に削減できる汚泥脱水機など省エネ型機器の積極的な導入や、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用にも努め、二五%以上の削減に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
次に、N2O、一酸化二窒素の排出抑制についてでございますが、ご指摘のように、CO2の三百十倍の温室効果を持つN2Oの削減が極めて重要であることから、これまで下水道局では、汚泥の高温焼却などによりN2OをCO2換算で一九九○年度の五十六万トンから三十九万トンまで大幅に削減し、京都議定書が目標とする六%以上の温室効果ガス削減に大きく貢献をしてまいりました。
温室効果ガスの二五%以上の削減に向けては、汚泥処理過程で発生するN2Oをこれまで以上に削減できる最新技術の先導的な導入とともに、これまで未解明であります水処理から発生するN2O排出抑制技術についても研究開発を進めてまいります。
これによりまして、二○一○年度から二○二○年度までの間にN2Oでさらに十一万トン削減し、CO2と合わせて十三万トンの温室効果ガスを削減し、温暖化対策を着実に進めてまいります。
〔都市整備局長河島均君登壇〕
○都市整備局長(河島均君) 五点のご質問にお答えいたします。
初めに、住宅困窮者に対する都営住宅を中心とした住宅政策の展開についてでございますが、都営住宅につきましては、現在、老朽化した住宅の建てかえを年間三千二百戸実施するとともに、入居者の募集を年間七千戸行っております。
少子高齢化が進展し、厳しい経済状況が続く中で、これらの取り組みにより、市場において自力で適切な水準の住宅を確保することが困難な世帯に対して、確実かつ継続的に住宅を供給し、居住の安定を確保することは重要であります。
今後とも、都営住宅につきましては、建てかえ等により年齢や世帯構成に応じた良質な住宅の供給を推進するとともに、子育て世帯の入居機会を拡大することなどにより、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。
次に、都営住宅の建てかえによる地域のまちづくりへの貢献についてでございますが、都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、建てかえを適切に進めるとともに、敷地の有効活用により用地を生み出し、地域のまちづくりに活用する必要があると認識しております。
こうした考えから、建てかえにつきましては、管理戸数の抑制を図りながら、昭和四十年代以前に建設された住宅を対象といたしまして事業を推進しておりますが、これにより、バリアフリー化された住宅への更新を進めるとともに、創出用地の活用による社会福祉施設などの整備を支援しているところでございます。
来年度は、事業規模を三千四百戸に拡大する予定でございまして、建てかえに合わせた敷地の有効活用をさらに促進いたしまして、地元の区市とも連携しながら、緑の創出、子育て支援拠点の拡充、木造住宅密集地域の整備など、地域のまちづくりに寄与してまいりたいと考えております。
次に、都営住宅の居住者の高齢化に伴うコミュニティ機能支援のための取り組みについてでございますが、近年、都営住宅では、居住者の高齢化が進行し、共用部分の清掃などを担ってきた自治会の活動に参加する人が減少するなどの影響が生じております。
こうしたことから、都は、これまでも巡回管理人を設置し、窓口にみずから出向くことができない高齢者に対する相談や申請書類の取り次ぎなどのほか、希望者に対する定期訪問、自治会役員との連絡調整、居住者の住まい方についての調査確認などの取り組みを行っております。
今後も高齢化の一層の進展が予想されることから、都営住宅のコミュニティ機能を支援するための仕組みづくりに向けまして、巡回管理人の業務内容や共用部分の管理に要する経費のあり方などにつきまして、地元区市町や自治会等との適切な役割分担のもと、それぞれの団地の実情を勘案しながら、幅広く検討してまいります。
次に、羽田空港の国際化による経済波及効果と雇用拡大の効果についてでございますが、国土交通省では、再拡張、国際化に伴う地域への経済波及効果につきまして、平成十五年に空港関連産業の売り上げや外国人の消費なども含めまして総合的に試算しております。
それによると、羽田空港に年間三万回の国際線を導入した場合、年間生産額は都内で約一兆六百九十億円、一都三県で約一兆二千億円、雇用は都内で約七万五千人、一都三県で約十一万二千人、それぞれ増加するとしております。
その後、国は、都の強い要請を受けて、試算時よりも多い年間六万回の国際線を就航することを決定しておりまして、国土交通省の試算をさらに大きく上回る経済波及効果や雇用拡大の効果が発生するものと推測しております。
最後に、羽田空港のアクセスの改善についてでございますが、羽田空港は都心から至近距離に位置し、高い利便性を誇る空港でございまして、このポテンシャルを十分に生かすためには、幹線道路や公共交通など空港アクセスの一層の強化が重要でございます。
このため、環状八号線と国道一五号との南蒲田交差点で国が実施している立体交差事業を促進するとともに、羽田空港周辺の道路の拡幅整備を図るなど、アクセス道路の改善を進めております。
羽田空港と臨海副都心などを結ぶ幹線道路であります国道三五七号は、今年度、東京港トンネル部が本格着工しておりまして、引き続き整備促進を国に強く要請してまいります。
また、公共交通につきましては、鉄道輸送力増強のため、京急蒲田駅の改良事業を進めているほか、京浜急行及び東京モノレールの国際線ターミナル新駅も、十月の供用開始時に合わせて開設される予定でございます。
深夜、早朝時間帯の利用者への対応につきましても、公共交通の運行時間帯の拡大や本数の増加などについて、国が中心になり、都も参画して検討を進めております。
今後も引き続き、国や関係自治体との連携を図りながら、羽田の機能強化や広域ネットワークの形成も視野に入れた空港アクセスの強化に着実に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) まず、小規模多機能型居宅介護や特別養護老人ホームの整備についてでありますけれども、小規模多機能型居宅介護は、高齢者やその家族の安心感を確保しながら、高齢者の住みなれた地域での生活を支える有効なサービスであります。
都はこれまで、宿泊定員数に応じた整備費補助など独自の制度により、事業の実施主体である区市町村を支援するとともに、安定した事業運営が行われるよう、認知症高齢者グループホームにあわせて整備する場合に加算措置を講じてまいりました。
来年度からは新たに、区市町村みずからが公有地を貸し付け、特別養護老人ホーム等と併設して整備する場合、包括補助制度を活用して支援を強化するなど、今後とも積極的に区市町村を支援してまいります。
また、特別養護老人ホームについても、区市町村有地活用による加算の充実を図るなど、多様な手法により整備の促進に努めてまいります。
続きまして、療養病床の整備についてでありますが、都はこれまでもその増床に取り組んでまいりましたが、数度にわたる国の方針転換があり、経営見通しが不透明なことなどから、一般病床からの転換等が進んでおりません。
そこで都は、独自の施設整備費補助について、来年度、補助率を現行の二分の一から四分の三に引き上げることといたしました。また、療養病床を有する医療機関が患者の多様なニーズにこたえるための機能を強化し、あわせて経営の安定化も図れるよう、がん患者の疼痛管理や在宅療養患者の緊急入院受け入れなどに関する研修の充実に努めてまいります。
さらに、今回の診療報酬改定の影響を把握するとともに、国に対して明確な方針を示すよう求めるなど、必要な働きかけを行ってまいります。
続きまして、脳卒中対策についてでありますが、まず普及啓発についてであります。
脳卒中の患者の救命や後遺症の軽減を図るためには、発症後、速やかに一一九番通報し、適切な専門治療につなげることが重要であります。
そこで都は、脳卒中の発症が疑われる具体的な症状、例えば突然あらわれる顔のゆがみや手足の麻痺などをわかりやすく示したポスターを、東京都脳卒中医療連携協議会の専門家の監修のもとに作成し、今月末から医療機関や公共施設、健康保険組合などの医療保険者に協力を呼びかけ、広く都民に広報する予定であります。
また、再発リスクの高い患者とその家族に対し、かかりつけ医が効果的に指導を行うためのリーフレットも作成して、東京都医師会と連携しながら普及啓発を推進してまいります。
次いで、回復期リハビリテーションの病床についてでありますが、都は、回復期におけるリハビリテーション医療を確保するため、今年度から独自に病床整備費補助を開始いたしました。
また、診療報酬の改善などを国に提案要求してまいりましたが、今回の診療報酬改定で亜急性期病棟における回復期リハビリテーションが新たに評価されるなど、リハビリ関連の診療報酬が引き上げられ、医療機関が増床に向けて前向きに検討することが期待できます。
都は、こうした機会をとらえ、独自の施策である病床整備事業の活用を医療機関に対して積極的に働きかけ、回復期リハビリテーション病床を確保してまいります。
次いで、地域連携パスについてでありますが、地域連携パスは患者の状態に応じて切れ目なく医療を提供するための効果的なツールであります。都内では、複数の脳卒中医療機関が独自に地域連携パスを開発し、それぞれにネットワークを形成しております。
このネットワーク間相互の連携が、患者の転院や在宅への移行を円滑なものにすることから、都は、パスを活用するすべての医療機関を対象に合同会議を開催し、顔の見える関係を築いてまいりました。
引き続き来年度も、都内全域におけるネットワーク間の連携を充実強化してまいります。
あわせて、都民に対し、地域連携パスの仕組みやパスを活用している医療機関について、都のホームページや都民向けの小冊子「暮らしの中の医療情報ナビ」などでわかりやすく紹介してまいります。
次いで、保育所待機児童の解消について、まず、家庭福祉員を活用した定期利用保育事業の実施についてでありますが、パートタイム労働者向けの定期利用保育事業は、認可保育所に限らず地域のさまざまな場所で、一時預かり事業など他の施策とともに実施をすることとしております。
また、待機児童の九割以上が三歳未満児でありますことから、こうした児童を対象にして保育を行っております家庭福祉員が、定期利用保育事業に取り組むことも有効であります。
このため、来年度から実施するパートタイム労働者向けの定期利用保育事業と共同実施型家庭福祉員モデル事業とを組み合わせて行うことについても、区市町村に対して積極的に働きかけてまいります。
次いで、区市町村独自の保育サービスについてでありますが、都内では、待機児童解消に向けて既存の施設等を活用して保育サービスの整備を行う自治体もふえております。例えば、お話のような小学校の余裕教室を利用して、隣接する保育所の年長児を保育する試みや、区が所有する施設等の空きスペースを活用した小規模保育室の設置などがございます。
都は、区市町村が独自に行う取り組みについて、他の区市町村にも情報提供するとともに、待機児童解消区市町村支援事業により整備費を補助しております。
来年度は、さらに区市町村が独自の取り組みにより定員増を図る場合にも、この支援事業の中で積極的に評価をして、補助率を引き上げるなど支援を強化してまいります。
次に、東京都盲ろう者支援センターについてでありますが、昨年五月に事業開始した支援センターでは、通所による各種相談、訓練を実施するほか、手話や指点字などのグループ学習会及び交流会などを都内各地域で実施しております。また、利用者の希望や訓練内容によっては、利用者の自宅などで訓練を行うこともあります。
今後、区市町村と共同した学習会や交流会の開催、職員を対象とした講習会を実施することなどにより、身近な地域での相談、支援に応じられるよう区市町村と連携を深めてまいります。
次に、盲ろう者のための専門指導員の養成等についてでありますが、支援センターにおいて通訳技術のレベルアップや、歩行訓練等のリハビリテーション指導などの専門研修を開始し、現在、約五十人が必要な技術の習得に取り組んでおります。引き続き、盲ろう者のニーズに合った支援ができる人材の養成を進めてまいります。
また、支援センターでは、学識経験者や盲ろう当事者の参加も得て、専門人材養成のためのプログラム開発に着手しており、平成二十二年度は、お話のありました国のモデル事業とも連携して、全国で初めてとなる体系的な人材養成プログラムの作成に取り組んでまいります。
次に、盲ろう者支援センターの周知についてでありますが、支援センター開設以来、盲ろう者の方々に直接対応する区市町村や民生委員、児童委員に対しまして、さまざまな機会を活用して普及への協力を働きかけてまいりました。
今後は、拡大文字や点字による利用案内など、盲ろう者本人や家族に直接情報が伝わるよう工夫するとともに、区市町村との連携を一層密にし、多くの方々に支援センターを利用していただけるよう福祉保健局として最大限努力してまいります。
次に、高次脳機能障害についてでありますが、まずリハビリテーションの普及モデル事業についてであります。
この事業は、区部及び多摩の二つの二次保健医療圏におきまして、高次脳機能障害者のリハビリテーションを担う中核病院が専門スタッフを配置し、地域の医療機関等に対する技術的指導や専門職種に対する研修を実施するほか、医療機関や福祉サービス事業所等との連携強化のための連絡会の開催などを行うものであります。
今後、モデル事業を通じてリハビリテーション技術の普及や人材育成を進めるとともに、関係機関の連携を促進することにより、地域におけるリハビリテーション提供体制の充実を目指してまいります。
次に、ピアカウンセリングの活用についてであります。
高次脳機能障害のように、周囲から理解されにくい障害者への支援手法としてピアカウンセリングは有効とされております。このため、心身障害者福祉センターにおいて、従来から実施している専門相談事業に加えて、平成二十一年度から当事者及び家族による特別相談事業を実施するとともに、同様の取り組みを行う区市町村に対しても財政支援を実施しております。
ご指摘の趣旨を踏まえ、身近な地域でピアカウンセリングが受けられるよう、引き続き各区市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、小児医療体制の整備について、まず地域の小児医療確保への支援についてでありますが、都はさまざまな取り組みを行っております。
まず昨年、多摩北部医療センターにおきましては、平日準夜帯での初期救急医療を週三日から週五日に拡大するとともに、小児病床数を十三床から三十五床に拡充いたしましたが、今月から小児救急を二系列で実施しております。
さらに、小児総合医療センターと多摩北部医療センターの間で、情報システムを活用した診断支援などの医療連携に取り組んでまいります。
また、八王子市の中核病院に対しましては、設備整備の補助を行うなど、新たに十二床の小児病床を確保いたしますが、さらに市内の南多摩病院が外来、救急、入院医療を行う小児科を来年度早期に開設できるよう、都としても施設、設備整備や医師確保について財政的な支援を行います。
あわせて、八王子市が小児病院の跡地と建物を活用して行う、小児初期救急医療や重症心身障害児通所事業の整備について補助を実施するとともに、八王子小児病院が担ってきた地域の小児医療機能を実質的に承継することになる小児外来診療や、障害者歯科診療を実施するための整備についても、包括補助制度等を活用して支援を行ってまいります。
また、世田谷区では、梅ケ丘病院の跡地を利用して保健医療福祉サービスの拠点整備を計画しており、その計画が具体化された場合は、都としても協力してまいります。
今後とも、都民の方々が安心できる小児医療体制の確保に全力で取り組んでまいります。
次に、東京型ドクターヘリについてでありますが、都におけるドクターヘリは、他県で運用されている小型ヘリと異なり、東京消防庁航空隊のヘリコプターを活用することにより、遠距離運航や夜間飛行、複数患者の同時搬送を行うことが可能であり、二十四時間三百六十五日の運航を行っております。
ヘリに添乗する医師については、都立病院のほか十カ所の協力病院と協定を結び、円滑な確保を図っております。
多摩地域について申し上げますと、立川に常時配備したヘリコプターがいつでも出動できる体制を整えております。
また、小児総合医療センターでは、ヘリの離発着訓練や医療スタッフによる実地訓練などを既に行い、三月一日の開設と同時に、ヘリコプター搬送による患者受け入れが可能となっております。
この小児総合医療センターにおける東京型ドクターヘリによる搬送受け入れ体制については、リーフレットを作成し、本年二月に多摩地域の住民に対し新聞折り込みを初めとした広報を行っております。
今後とも、適切な患者搬送体制の確保に努めてまいります。
次に、スーパー総合周産期センターについてでありますが、今般開設した都立多摩総合医療センター及び小児総合医療センターは、母胎、胎児を集中管理するM―FICU九床とNICU二十四床を備え、都内最大の周産期医療機能を有するものであります。
今後、東京都周産期医療協議会に諮り、来年度早期には、多摩地域で二番目となる総合周産期母子医療センターとして指定してまいります。
スーパー総合周産期センターについては、区部で既に運営している三つのセンターとの役割分担などを勘案した上で、多摩地域におけるスーパー総合周産期センターとして指定してまいります。
次に、NICUの整備についてでありますが、都は、低出生体重児の増加などを踏まえ、NICU病床を出生一万人対三十床を基本に、東京都全域を一つの圏域として、平成二十六年度末までに三百二十床に増床することとしております。
今後、NICUの安定的な運営を図るための運営費補助や、増床する場合の施設整備費補助を大幅に拡充するとともに、回復途上の新生児を受け入れるGCUについても新たに補助制度を創設するなど、周産期母子医療センターへの支援を格段に充実し、NICUの整備を加速してまいります。
さらに、多摩地域については、スーパー総合周産期センターや周産期連携病院の指定を拡大するとともに、NICUの管理を必要としませんが、比較的リスクの高い新生児を受け入れる病院を、多摩新生児連携病院として四カ所指定いたします。これらの医療機関が中核となり、ネットワークグループにおけるリスクに応じた役割分担と連携を推進してまいります。
こうした取り組みにより、多摩地域を含め、都における周産期医療提供体制の一層の充実を図ってまいります。
最後になりますが、子宮頸がんについてお答え申し上げます。
子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスのワクチン接種の促進については、お話のように、これまでも都議会等においてたびたびご提案、ご要請をいただいてまいりました。
ワクチンの接種とがん検診の受診をあわせて促進することにより、子宮頸がんによる死亡率の減少が期待できます。このため、子宮頸がん予防ワクチンの接種について、公費による助成を行う区市町村に対して、包括補助事業の活用も含め、都として支援を行うことを検討してまいります。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都立大塚病院の児童精神科外来についてでありますが、大塚病院では、梅ケ丘病院の小児総合医療センターへの移転統合に伴い、区部における小児精神科医療の確保を図るため、昨年十月一日から児童精神科の外来診療及びデイケアの運営を開始いたしました。外来診療については、開設後間もないこともあり、診療に長時間を要する初診患者が多い状態となっております。
こうした状況を踏まえ、今後、初診、再診の診療枠の設定の仕方など運営方法の工夫を図るとともに、専門医師の増員など診療体制の強化に向けた検討を行ってまいります。
次に、多摩総合医療センターにおけるがん医療についてでありますが、がんは、長年、日本人の死因のトップを占め、ご指摘のように、統計的に多くの都民ががんにかかる可能性を有するなど、都民の関心は極めて高いものがあります。
そのため、新センターの建設に当たっては、がん医療の充実に資するハード面の整備に力を入れてまいりました。
具体的には、需要が増加している外来化学療法に対応するため、ベッド数を八床から二十七床に大幅にふやし、外来化学療法センターとして運営していくことといたしました。
また、リニアックを一台増設して二台体制とし、さまざまな放射線治療を実施できる体制を整えております。
これに加え、がん治療のデータを整理、集積する院内がん登録を府中病院時代の平成二十年度から開始しておりますが、引き続き取り組んでまいります。
今後は、これらハード、ソフト両面からの取り組みを着実に発展させ、多摩地域のがん医療の水準の向上に貢献してまいります。
〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕
○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 携帯電話のフィルタリングの普及定着のための広域的な取り組みについてでありますが、子どもの求めに応じて安易にフィルタリングの解除を申し出る保護者が多いことから、今回の条例改正案では、保護者に対し、解除の申し出に際して、青少年が有害情報を閲覧しないよう監督するなどの正当な理由を記載した書面を提出する義務を課すこととしております。
ご指摘のとおり、首都圏では通学などで都県境を越えた移動が常態化しており、この規定の実効性を向上させるためには広域的な取り組みが不可欠であります。
今般、埼玉県と連携し、同県も同様の条例改正を議会に提案したところであります。今後、千葉、神奈川の両県とも連携を進め、一都三県の広域的取り組みにより、フィルタリングの確実な普及定着を図ってまいります。
〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕
○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 招致委員会の外部監査及び借入金についてお答えいたします。
招致委員会では、役員であります監事による監査に加え、平成十九年度から外部の監査法人と契約しまして、会計事務について助言指導を受けますとともに、平成二十年度からは本格的な監査を受けて会計事務を適正に処理してまいりました。
平成二十一年度につきましても、活動報告書を作成するに当たりまして、主要な契約、会計処理について検証を受けたところでございます。その結果、契約及び会計処理は適正に行っており、書類の紛失や使途不明金のような問題はございません。
また、招致委員会においては、蓄積した財産を活用し、民間ベースによる東京、日本のスポーツ振興事業を実施するなど、来年度の事業計画について、現在、検討を行っているところであります。
借入金につきましては、これらの活動の趣旨に賛同する企業、団体からの寄附金収入や事業収入により返済していく予定であり、東京都が借入金返済のための公費の投入を行うことはございません。
最終的な法人の意思は、今後の理事会で決定する予定であります。
〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) スポーツ振興施策の推進についてでございますが、都は、平成二十年七月に東京都スポーツ振興基本計画を策定し、身近でスポーツに親しむことのできる環境づくりから、世界レベルで活躍できる選手の育成や国際的なスポーツ大会の開催まで、さまざまなスポーツ振興事業を総合的に実施しているところでございます。
具体的には、身近にスポーツを始められる場として、地域スポーツクラブの設立支援を進めておりますが、来年度は、新たにアドバイザー制度を導入いたしまして支援策を拡充してまいります。
また、人々に感動を与えるオリンピックなどでの選手の活躍を目標に、今年度、ジュニアアスリートとして発掘した中学二年生を対象としまして、来年度から東京版アスリート育成事業を実施していくとともに、ジュニアスポーツアジア交流大会などのスポーツを通じた国際交流も引き続き実施していく予定でございます。
さらに、都は、全世界が熱狂するサッカーワールドカップの二○一八、二○二二年大会の国内開催都市として立候補しておりまして、日本への招致に向けた活動に協力していく考えでございます。
今後とも、関係各局や競技団体などとの連携を強め、総合的なスポーツ振興施策を積極的に推進してまいります。
〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕
○中央卸売市場長(岡田至君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、晴海への仮移転を前提とした現在地再整備についてです。
晴海に仮移転する場合には、利用できる用地が限られており、売り場などの基幹施設を一体配置することはできず、市場としての基本的な機能が確保できないことに加えまして、業界が整備する施設や移転の経費が二重にかかることから、市場業者の負担がふえ、業界の合意を得ることは困難であります。
手続面では、市場の整備による周辺地域に対する環境影響評価などが必要になり、これらに係る調査、分析、評価には相当の時間が見込まれます。
さらに、幹線道路から市場へアクセスする道路が限られておりまして、市場の搬出入車両が深夜から早朝にかけてこの道路に集中するだけでなく、清掃工場が隣接しているため、清掃車両と市場の車両が錯綜し、近隣における交通混雑や騒音の影響も懸念されます。
こうしたことから、晴海地区周辺の住民の理解を得ることは大きな課題となることが想定されます。
また、築地で現在地再整備を行う場合は、同様に環境影響評価の手続が必要となるほか、三千平米以上の土地の改変となるため、環境確保条例、土壌汚染対策法に基づき、土地利用の履歴により土壌汚染調査が求められることになります。
次に、新市場整備に関する展望についてであります。
築地市場は、既に施設の老朽化、狭隘化が限界に来ており、震災時における耐震性やアスベストの問題に加えまして、高度な品質、衛生管理が困難など、多くの課題を抱えており、このままでは、生鮮食料品を安定供給する役割を十分果たせなくなるおそれがあります。このため、一刻も早く移転整備を進める必要があります。
新市場の整備に当たりましては、そこで営業活動を行う市場関係者の要望を取り入れていくことが重要であるため、基本構想から各段階におきまして、都は業界と協議を重ね、その意向を反映させた上で、五十年先を見据え、時代のニーズにこたえる新たな機能を備えた基幹市場として施設計画を取りまとめてまいりました。
具体的には、施設を温度管理のできる閉鎖型とし、品質、衛生管理の高度化を図るとともに、駐車場、荷さばきスペースを十分確保することなどにより、効率的な物流を実現してまいります。さらに、顧客ニーズに対応するため、加工、パッケージ施設などを整備してまいります。
こうした市場機能の強化によりまして、集荷、販売力を高めるとともに、国内最大級の屋上緑化や太陽光発電の導入など、環境対策にも積極的に取り組んでまいります。
都といたしましては、万全な土壌汚染対策を確実に講じた上で豊洲新市場を整備していくことが、将来にわたり都民への責任を果たすことになると考えております。
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