午後三時五十五分開議
○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百十三番川井しげお君。
〔百十三番川井しげお君登壇〕
○百十三番(川井しげお君) 平成二十二年第一回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
新政権は、地域主権を掲げてまいりました。しかしながら、八ッ場ダムの問題でも、関係自治体や長年苦労してきた地元の人々の意向を一切無視し、一方的に建設中止を強行しております。子ども手当についても、地方の強硬な反対論を押し切って、間答無用で地方に財政負担を負わせており、廃止されるべき児童手当制度を存続させるというこそくな手段を使ってまでマニフェストの実現を図るという無節操な姿勢からは、地域主権を本気で考えているとは到底思えません。
さらに、本来自由に行われるべき団体や地方自治体の国への陳情、要望活動を抑圧し、民主党幹事長室に一元化していることは、まさに民主主義の破壊であります。政党のフィルターをかけ省庁への接触を制限するというのは、政党による行政の私物化にほかならず、憲法に定められた国民の請願権すら侵すことになりかねません。
民主党は、地域主権などと美辞麗句を並べながら、実は法治国家としての基本を踏み外し、政府を支配し、地方自治体をも支配下にして、権力を壟断しようとしているのです。昨年の選挙で、国民は民主党に白紙委任をしたわけでもありませんし、独裁的に振る舞うことを許したわけでもありません。
加えて、親から十二億円を超える現金をもらいながら、知らなかったといっている総理や、秘書が三人も起訴されながら、秘書の責任にする与党幹事長。現下の政治情勢について、地方自治体のリーダーである石原知事に所見を伺います。
ハトが小まめに首を振るかのように、首相みずから発言がぶれ、よろず迷走する政権とは対照的に、都政では、「十年後の東京」計画で未来図をしっかりと描き、これを目指して揺るぎなく政策が進んでおります。
地球の未来がかかった温暖化対策として、国に先んじて、この四月からキャップ・アンド・トレード制度がスタートいたします。また、昨年、我が党が日本の将来を憂いて提案した少子化対策を正面から受けとめ、緊急対策に踏み出します。
このように、知事が十年先の東京を見据え、さらに日本と地球の行く未までも展望し、国に先んじた政策を展開していることは、この国の政治と行政のあるべき姿を示しています。
今後も、東京ならではの長期的な視座を持った政策展開を推し進めていかなければなりません。そのためには、計画や個々の施策の隅々にまで、先を見据える視点、意識をより徹底することが肝要です。全庁の総合調整機能を持つ知事本局に所見を伺います。
今回の予算案は、この厳しい環境の中にあって、石原知事就任以来、我が党が知事とともに行財政改革により、むだを省き積み上げてきた都財政の底力を余すところなく発揮されたものとなっており、高く評価するものであります。
その第一は、大幅な税収減の中、都民が現在直面している危機に加え、将来への展望が見えないことに対する不安にもしっかりと対応していることです。歳出総額が減少する中においても、一般歳出は増額を確保し、少子高齢化、雇用、中小企業対策など、足元の課題への対応に加え、東京の未来を切り開くハード、ソフト両面からの取り組みといった、都がなすべき課題に対し積極的に予算措置を講じています。
とりわけ特筆すべきは、経済成長や雇用創出の促進に高い効果を有する投資的経費を四・七%増加させ、石原都政初の八千億円台としたことであります。国が二割近くも削減したのとは対照的であります。
評価すべき第二点は、厳しい財政環境が続くことも想定される中にあって、あらゆる手を尽くして、将来を見据えた財政の健全性を堅持していることです。みずからを厳しく律し、むだを徹底して廃止した上、これまでの堅実な財政運営で培った財政の対応力を適切に活用することで、必要な施策を着実に推進しつつ、財源として活用可能な基金残高は一兆円を確保しております。今回の予算案は、我が党の思いをまさに具現化したものであります。
そこで、予算編成の基本的な考え方を知事に伺います。
一方、現下の厳しい財政環境は、景気の二番底のリスクが指摘されているなど、今以上に悪化する可能性も否定できません。そのような状況に置かれても、都がなすべき役割を継続して果たしていくための努力をさらに高めていくことが求められていると考えます。
これまで都は、財政再建の道のりの中で、厳しい施策の見直しを国に先駆けて積極的に行ってきました。その上で、それらの取り組みを事務事業評価という制度にして定着を図ってきました。今回の予算編成では、効率的で実効性の高い施策を構築するため、事務事業評価の取り組みをさらに強化しています。
今後起こり得るさらなる荒波にも対応していくためには、こういった取り組みをもう一段進化させることも必要ではないかと考えます。都民から預かった貴重な税金が効率的に使われているか常に検証していく視点が、これまでにも増して必要であります。
近年は、行政を補完する役割を担う行政のパートナーたる監理団体が行う業務なども増加しています。こうした分野なども含め、もう一段の進化を果たしていくべきと考えますが、見解を伺います。
我が党は、昨年の秋、新政権発足以降、国の予算編成や財政運営が地方行政に与える悪影響を強く懸念しています。現に二十二年度の予算においても、小中学校の耐震化関連予算を概算要求時から大幅に六割ほど削減し、地方に不安が広がるなど、少なからぬ影響を与えています。
さらに、国が借金に頼り切った財政運営を行う中にあって、今後、新たな地方負担が生じないという保証はどこにもありません。引き続き国の動向を注視し、都民に悪影響が及ぶようなことのないよう、必要な手を速やかに打っていかなければなりません。
さらに間題であるのは、かねてより我が党が即時撤廃を主張してきた法人事業税の暫定措置であります。これは、税の原則に反し、地方分権に明らかに逆行するものであり、都議会を挙げての働きかけにもかかわらず、今回の税制改正では撤廃を実現することができませんでした。
引き続き知事と議会が一体となり、強く訴えていく必要があると考えています。暫定措置の撤廃に向けた知事の決意を伺います。
都はこれまで、業務の民間委託や指定管理者制度の導入など、官民の役割分担を見直すとともに、職員の人材育成を推進するなど、少数精鋭の効果的な執行体制を構築してきました。今後とも、雇用や少子化への対応、環境対策など、山積みする課題や新たな行政ニーズに的確に対応していくためには、効率的な執行体制を維持していくことはもとより、都と監理団体、民間との役割分担を絶えず見直しつつ、三者が連携しながら、総体として質の高い行政サービスを提供していくことが必要です。
アウトソーシングについては、我が党はこれまで、真に住民サービスは向上しているのか、行政としてのコントロール責任は果たし得ているのか、実態に応じた検証を行い、必要であれば再整理を行うべきであると主張してきました。
昨年六月には、プロジェクトチームの検討結果をまとめたところであります。現在、都において進められている指定管理者制度の運用見直しについては、都の施策と連動性などの高い施設への監理団体の活用など、我々がまとめた検討結果とも軌を一にするものであり、都民サービスの安定的供給にも資するという意味で、評価に値するものと認識しております。
二十二年度未には、全体の八割近い約百六十施設で現行の指定管理者の指定期間が終了することから、来年度、新たな指定管理者の選定が始まることになります。これらの施設の次期管理者の選定に向けた見直しの内容とその効果についてお伺いをします。
指定管理者制度の運用見直しは、アウトソーシングの方向を改めて示すものですが、一方でアウトソーシングに関しては、行政のコントロール責任を果たすという視点も重要であります。
そのためには、発注者として業務を監督する都側の技術、ノウハウの継承や人材育成が不可欠ですが、都職員が業務経験を積む現場が少なくなっている状況においても、実際に業務を担う監理団体をより積極的に活用していくことが必要と考えます。
しかし、先日公表された包括外部監査報告書では、監査対象団体に対し、さらに適切な管理運営を行うよう厳しい指摘などを受けたところです。監理団体が都政の現場を担っていく以上、都民との信頼関係は必要不可欠であり、今回の指摘などを真摯に受けとめ、見直すべきところは見直すとともに、都は、これまで以上により適切な指導監督を行い、団体において、情報公開により都と同様の透明性を確保するなど、自律的に適正な運営を確保するための仕組みづくりが求められております。
加えて、監理団体が都の業務を着実に担っていくためには、核となる固有職員を確保、育成するなど、団体自身の事業遂行力を高めていくことも必要です。
今後、公の施設の管理運営にとどまらず、こうした多面的な観点から、都の事業全般においてどのように監理団体を位置づけ活用していくべきか、考え方を整理すべきと考えますが、見解を伺います。
また、国において、外郭団体に対する天下りなどの問題が盛んに議論されていますが、都の監理団体に関しては、都を退職し監理団体に再就職した課長級以上の職員の氏名等が既に公表されており、また、都の行政支援、補完の役割として、まさしく都政の現場を担う重要なパートナーであり、国の外郭団体とは性格においても大きく異なるものであります。
さらに民間企業への再就職についても、監理団体と同様に、都での在職中に培った知識や経験を社会に還元するものであり、意義があることと考えます。しかしながら、間違っても都政の公正な運営に疑念を持たれるようなことがあってはならないということはいうまでもありません。都幹部職員の再就職について、知事の所見を伺います。
次に、子育て支援について伺います。
政権交代による影響は、私立幼稚園にも及んでいます。都内の幼稚園の園児十七万人のうち、九割を超える園児が私立幼稚園に通っています。私立幼稚園園児の保護者負担軽減については、一定の所得以下の世帯を対象に、国の就園奨励費補助や、東京都の園児保護者負担軽減事業などがあり、園児の約三分の二が対象となっています。
国の就園奨励費については、自公政権のもと、対象となるすべての所得階層において補助単価を引き上げるとしておりました。しかし、民主党政権にかわると、子ども手当の創設を理由に低所得者への給付を重点化したため、七割に上る多くの世帯で補助単価が大幅に減額されることになりました。
この見直しに対して、保護者から悲鳴に近い要望が寄せられ、我が党としても、この理不尽な変更について、さきの定例会で、すべての世帯において負担増にならない配慮を国に求める意見書を提案しましたが、民主党の反対で断念せざるを得ませんでした。
政府予算案では、減額幅は若干圧縮されたものの、多くの世帯が約二万円もの大きな負担増となることに変わりはありません。これは国の制度変更によるもので、本来、国において是正を図るべきですが、我が党は、保護者の負担軽減の緊急性、重要性から、都に対して激変緩和のための事業を要望しました。
これを受け、都は、来年度予算案に総額九億二千五百万に及ぶ私立幼稚園等就園奨励特別補助を創設しています。
そこで、この事業の基本的な考え方と国制度の変更に対する今後の対応について伺います。
少子化は、経済的給付だけで解決する問題ではなく、子育てサービスの充実、働き方の見直し、仕事と家庭の両立支援などの施策を総合的に展開する必要があります。
昨年の第二回定例会における我が党の求めに応じ、都は、副知事をトップとする対策本部を設置、本年一月には最終報告を取りまとめたところであります。
我が党としても、昨年九月に少子・高齢化政策推進本部を立ち上げ、国、都、区市町村、民間事業者などとの積極的な意見交換も行いながら、党を挙げて施策を練り上げ、都に具体的な提言を行ったところであります。こうした経過を経て、都の来年度予算案には、実効性の高い多くの先進的施策が盛り込まれております。
都は、今後、少子化の流れにどのように対応していくのか、知事の所見を伺います。
国は、一月末に少子化社会対策の基本方針となる子ども・子育てビジョンを公表し、平成二十六年度までの五年間に、保育サービスを全国で二十六万人ふやすとしています。
都は、先般発表した少子化打破緊急対策の最終報告において、平成二十四年度までの三年間で保育サービス利用児童数を二万二千人ふやすとしました。現在策定中の後期の次世代育成支援行動計画では、潜在的な保育ニーズを踏まえて、今後五年間における保育サービスの整備目標を設定すると聞いております。
後期行動計画策定に当たっての理念及び保育サービスの目標量をどの程度と考えているのか伺います。
これまで国は、認可保育所のみを財政支援の対象としてきましたが、今年度から、認可基準を満たす認証保育所についても開設準備経費などが国の補助対象となりましたが、我が党が支援してきた認証保育所制度を国が一部認めたもので、大きな前進であります。
また、国においては、地方分権改革の観点から、保育所の設備基準などを都道府県の条例に委任することや、新たな保育制度設計のため、保育に欠けるという入所要件の見直しなどについて議論がなされています。さらに今般、認可保育所の定員弾力化に関する通知が発せられたところであります。
このような国の動きの背景にあるのが、待機児童解消という課題であります。待機児童の解消に向けて、都は、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。
次に、パートタイム労働者向けの保育サービスの拡大であります。
昨年四月、都内の待機児童七千九百三十九人の保護者の状況を見ると、約三分の二はパートタイム労働者や求職者であります。こうした方々を対象とする国制度の特定保育事業については、都内では十四施設でしか実施されていないという実情を踏まえ、都が独自の取り組みに踏み切ったことは評価するものであります。
そこで、改めて、都は本事業にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、学童クラブについてであります。
六時を過ぎて開所しているクラブは全体の二割程度にとどまり、子どもの小学校入学とともに保護者が働き方の見直しを迫られるなど、いわゆる小一の壁が問題となっています。
時間延長の実施率は、民設民営のクラブが約九割であるのに対し、公設公営のクラブは一割にも満たないと聞いております。また、指導員については、保育所のような資格基準は設けられておらず、サービスの質の確保に向けた課題もあります。
こうした状況を踏まえ、我が党は昨年十二月、開所時間延長に対応できる学童クラブの増設を緊急提案しました。
都は、独自の手法による学童クラブの増設に取り組むこととしていますが、本事業により期待される効果について所見を伺います。
次に、高齢化対策について伺います。
昨年、我が党が設置した少子・高齢化政策推進本部は、特別養護老人ホームにおける医療的ケアに対し、新たな支援策を講じるよう提言しました。これを受けて、都は、特別養護老人ホーム経営支援事業に医療対応強化のための加算項目を新たに設けることとしました。
ところで、昨年末、国は、特別養護老人ホームの入所申込者が全国で約四十二万人、東京で約四万三千人いることを明らかにしました。もちろん、申込者のすべてが入所を必要とするとはいえませんが、このうち、在宅で生活する要介護度四、五の重度の方が約八千五百人いるという事実は、しっかりと受けとめるべきであります。
現行の介護保険事業支援計画における約五千人分の特養整備では、これらの方々の入所希望にはこたえられません。引き続き、特養の着実な整備が必要であると認識しています。
加えて、特養に地域の高齢者が二十四時間安心して生活できるための仕組みを付加すれば、在宅高齢者に対するサービス拠点としての役割を果たせることを指摘しておきます。
さらに、我が党は、都民の多様な選択が可能になるような施策についても提言してきました。先般、都は、実行プログラム二〇一〇において、ケアつき住まいという新たな選択肢の整備促進を挙げました。着眼点としては時宜を得たものと考えております。団塊の世代が後期高齢者になる十五年後の平成三十七年を見据え、今から備えを固めることが政治の責務です。
そこで、特別養護老人ホームやケアつき住まいなど基盤整備をどのように進めていくのか、知事の所見を伺います。
我が党の少子・高齢化政策推進本部では、住みなれた地域で医療を受けながら暮らしを続けるための在宅医療の推進について、地域住民や医療関係者の生の話も聞き、検討を重ねてきました。
そこで見えてきたことは、十分な医療提供が可能なのか、特に、病院を退院し在宅療養生活に移行するに当たり、スムーズに医療が引き継がれるのかという、患者やその家族の不安にこたえていかなければならないということです。
そのためには、患者個々人の病状や生活環境に合った医療やケアが提供されるよう、病院が地域の医師や訪問看護師あるいは介護事業者などと円滑に連携することが重要であると考えますが、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
続いて、周産期医療体制についてであります。
都は、さきに出された少子化打破緊急対策の最終報告や「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇で、周産期医療体制を強化するとしており、具体的な取り組みを進めております。
その一つとして、周産期医療体制整備計画の策定が挙げられますが、計画作成の目的、ねらいについて伺います。
周産期医療体制を強化していくためには、NICU病床の増床に取り組むとともに、妊産婦や新生児のリスクに応じた医療体制の構築が必要です。そこで、二十二年度の具体的な取り組みを伺います。
次に、都立病院について伺います。
小児総合医療センターが、昨日、三月一日に開設しましたが、この開設に当たり、昨年の第四回定例会前に、民主党において、小児三病院の存続条例を提案する動きがありました。万が一、数の上でこの条例が通れば、小児総合医療センターの開設は大幅なおくれを来たし、多摩地域の小児医療の充実どころか、深刻な混乱と停滞を招いたであろうことは明白であります。
この計画が公表された当初から、地元医師会や議会、行政において、さまざまな議論がありました。しかし、我が党は、これまで一貫して、限られた医療資源を有効に活用して医療水準を確保するためには、一次、二次、三次の医療機関が互いに緊密な連携を図るべきと主張し、地域医療確保のための具体策を提案してきました。現実的な政策選択に目をそむけ、選挙民に耳ざわりのよい言葉を並べ立てるのは、政治的無責任以外の何物でもありません。
そのことを指摘した上で、今回の開設に当たり、都立病院改革の到達点をどう認識し、今後どのように展開していくのか、見解を伺います。
一方、ハード整備と一体不可分の医療人材の確保、育成も極めて重要であり、わが党が積極的に支援してきた東京医師アカデミーなど、これまでの取り組みをより発展させることが必要です。
そこで、都立病院における総合的な医療人材の確保、育成策について伺います。
次に、立川市立看護専門学校の廃止に伴う今後の対応について伺います。
立川市では、昨年十月に、看護専門学校の廃止条例を可決し、平成二十五年三月末、立川市立看護専門学校を廃止することになりました。同校は、これまで立川市を初めとする多摩地域を中心に看護師を送り出し、地域の保健医療に寄与してきました。しかしながら、看護人材育成を継承するには、一基礎自治体である立川市では、おのずと限界があること、また、現下の厳しい財政状況において、看護学校の運営は極めて厳しいことなどから廃止することとしたと聞いております。
立川市立看護専門学校は、移転した都立北多摩看護専門学校を引き継ぐ形で開校した経緯があるだけでなく、多摩の地域の医療に貢献すべく、これまで毎年卒業生を送り出し、その果たしてきた役割は非常に大きいものと考えております。
そこで、公的な看護師養成の継承という観点から、立川市立看護専門学校が果たしてきた役割を、今後、近接する都立北多摩看護専門学校に都として引き継ぐべきと考えます。都立北多摩看護専門学校の学生の定員増について、ご所見を伺います。
東京外かく環状道路について伺います。
外環は、昨年五月に事業化されましたが、その後、民主党政権のもとで、見直しにより、外環の用地・補償費が執行停止になり、事業の進捗に大きな影響が及んでいるところであります。
これに対して、超党派で構成する東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟は、政府などに対して、来年度予算の確保と事業説明会の早期開催など要請活動を行いました。これらの活動もあり、十二月には事業説明会が開催されましたが、九つの会場で、計二千名以上の参加者があり、外環の事業着手に対する地元の関心の高さがうかがえます。
さらに、本年一月からは、現地にて地質調査なども実施され、いよいよ事業が動き出しました。このような状況の中で、用地の買い取りを求める地権者の声が多く上がっていると聞いております。
国は、外環の重要性、地元住民への影響を十分認識し、来年度早期に用地取得を行い、整備促進を目指すべきであります。
そこで、外環整備について、今後、都の取り組みについて伺います。
次に、羽田空港の再拡張、国際化について伺います。
我が党は、知事と連携し、これまで羽田空港再拡張、国際化の推進を国に対して強く働きかけてきました。多くの困難な課題もありましたが、長年の努力が実を結び、本年十月には、新しい滑走路が供用開始の運びとなります。既に滑走路となる部分がほぼでき上がるなど、工事もいよいよ最終段階に入っています。新しい管制塔も完成し、一月からは、この羽田において、成田を含めた空域の一元的な管制が始まりました。
羽田空港は、我が国の成長力を高め、閉塞感を吹き飛ばすために必須の社会資本でありますが、本格的な国際空港として羽ばたこうとしている今、この羽田空港を、首都東京の基幹的なインフラとしてどのように生かしていこうとしているのか、知事の所見を伺います。
次に、港湾の国際競争力の強化について伺います。
港湾の国際競争力がますます激化する中で、日本最大の京浜港といえども、基幹航路を釜山港などに奪われ、貨物の積みかえの必要な枝線の航路しか寄港しない港、いわゆるフィーダーポートに転落するおそれがあります。こうした危機的な状況を打破するために、都は、知事のリーダーシップのもとに、既に二年前から川崎港、横浜港とともに三港連携に取り組んでいます。
一方、国は、最近になって、我が国港湾の国際競争力の強化に向けて、国際戦略港湾の選定に着手し、さらなる投資の重点化を図るとのことです。京浜港の先駆性やコンテナ取扱実績をかんがみれば、選定されてしかるべきと考えるが、こうした国の国際戦略港湾の公募、ひいては京浜港の国際競争力の強化に向け、どのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
また、先日、三港が発表した京浜港共同ビジョンでは、京浜港と欧米を結ぶ基幹航路を確保し、東アジアの国際ハブポートを目指すという具体的な目標を示し、さまざまな実践的方策を示しています。
そこで、今回の京浜港共同ビジョンの策定の意義について、都の見解を伺います。
次に、多摩振興について伺います。
多摩地域は、四百万人を超える都民が住むとともに、圏央道や多摩南北道路の整備を機に、埼玉、神奈川、山梨との連携が深まるなど、人、物、情報の結節点であり、さらなる発展と個性の発揮により、東京のみならず首都圏全体の発展のかぎをにぎる地域であります。
この多摩地域の振興の基本施策である多摩振興プロジェクトが策定されて一年が経過しました。この振興プロジェクトは、都が、ハード、ソフト両面にわたる諸課題を踏まえ、総合的な多摩振興策として取りまとめた施策であり、その着実な実現には、多摩地域三十市町村の都民が大きな期待を寄せております。
そこで、多摩振興プロジェクトについて、二十一年度の成果はどのようなものであったか、また、二年目となる二十二年度はどのような姿勢で取り組むのか、その基本的な考え方について伺います。
次に、産業、景気対策について伺います。
我が国経済は、アジアへの輸出の伸びなどにより、一部では、回復途上にあるとされているものの、都民の生活、中小企業の業況、雇用情勢、どれをとってみても景気回復の実感は全くありません。一昨年の世界的な金融危機から端を発した今回の不況も、世界が回復局面へ向かう中、我が国経済の深い落ち込みや回復力の弱さは、まさに国の経済政策、産業政策の問題であり、我が国経済の危機と認識しなければなりません。
加えて、緩やかなデフレ傾向が続いていることが、我が国経済の大きなおもしとなっています。マクロ経済のかじ取りは国の責務ですが、これまでデフレに有効な対策は打ち出されておらず、経済政策がないといわれる現政権のもとで、望むべくもありません。子ども手当のばらまきやマニフェストに書かれた政策だけでは、日本経済が陥っている状況を変えることはできないのは明らかであります。
しかし、こうした状況のもとでも、都は、都民や中小企業のために必要な施策をやり抜いていかなければなりません。
二十二年度予算案では、今年度に比べ、中小企業対策や雇用対策を担当する産業労働局の予算が二四%の高い伸びとなっています。厳しい経済状況のもとで、苦しんでいる都民や中小企業に温かい手を差し伸べるものであり、これまで我が党が繰り返し要望してきたことにこたえるものとなっていることを高く評価するものであります。産業、雇用就業施策は、首都東京の成長や日本経済全体の活性化の基盤となるものであり、まさに都政の大きな柱の一つといえるものであります。
そこで、来年度予算における産業、雇用就業施策に関する知事の基本的な考え方を伺います。
我が党は、一昨年秋の金融危機以降、中小企業への資金繰り対策や受注機会の増加策に加え、雇用対策においても、国に先駆けた雇用創出策など緊急対策を都に要請し、さまざまな施策の実現に大きく寄与してきました。
しかしながら、雇用情勢は依然として極めて厳しい状況です。今後も、国が有効な施策を打ち出さないまま、景気回復の足取りが弱い状況が続けば、企業がさらなる人件費のカットや人員削減に踏み切り、失業率が再上昇するおそれがあります。また、前途ある若者が就職できないという就職氷河期の再来は、我が国の未来に深刻な影響を及ぼしかねません。
こうした厳しい雇用情勢に対応していくためには、雇用創出の取り組みを一層強化し、都民の雇用の場の確保に努めるとともに、職業訓練や就業支援のさらなる充実が必要であり、一人一人の適性や状況を踏まえたきめ細かな支援を進める必要があると考えます。今後の都の緊急雇用対策について所見を伺います。
雇用の場の七割は中小企業が生み出しており、中小企業の活力維持は、雇用の確保という点からも極めて重要であります。しかしながら、長引く景気低迷の中、都内中小企業は、生き残りをかけた厳しい経営を迫られています。こうした状況を打開していくためには、中小企業の経営力を向上させ、企業体質を強化していくことが不可欠であります。
我が党の提案を受けて、都が今年度取り組んでいる経営力向上支援事業では、二千社の中小企業へ訪問して、経営力向上のためのアドバイスを行い、既に事業改善の取り組みに着手する企業が数多く出てくるなど、大きな成果を上げていると聞いております。
加えて、我が党の要望により、昨年六月から開始した受注開拓緊急支援事業は、多くの中小企業に利用され、来年度も継承してほしいと、強い要望もあります。これらの施策の成果を踏まえ、中小企業の経営力向上や受注開拓をより一層強力に支援していくことが必要であると考えますが、所見をお伺いします。
長引く景気低迷は、各地の商店街にも大きな打撃を与えています。商店街はこれまで、消費者ニーズの変化に対応するほか、大規模小売店との競争の激化などに打ち勝つため、アーケードやカラー舗装の整備、イベントの開催など、集客力の向上に取り組んできました。
また、都においても、我が党の継続的な要請を受け、施設整備による活性化やイベントに取り組む商店街に対し、新・元気を出せ商店街事業により多角的に支援をしてきました。商店街は、地域住民の消費生活を支えるとともに、地域コミュニティの核として重要な役割を担っています。商店街の活性化を図る取り組みを一段と強化していくことが、今まさに求められています。
東京には、すぐれた農林水産物、食品、工業製品などが数多く生産されています。我が党は、こうした東京の産品を商店街の魅力向上に活用すべきであると考えております。
例えば、都内産品を商店街の空き店舗で販売することにより、商店街としての品ぞろえに特徴と幅を持たせることができれば、商店街の大きな魅力となります。また、こうした取り組みは、商店街だけでなく都内の農林水産業者やものづくり中小企業にとっても、消費者への販路拡大という大きなメリットも生まれます。
そこで、都も、都内産品の商店街への新たな流通ルートの構築について支援すべきであると考えますが、所見を伺います。
一方、中小企業の資金繰り支援も重要であります。都は、我が党の要請を受け、数度にわたって補正予算を編成し、緊急保証に対応した融資枠の拡大、信用保証料補助の充実など支援の強化を図ってきました。
さらに、高い技術力などにより、この難局さえ乗り切れば、将来的に展望が開ける企業に対し、資金供給の促進を図るため、地域の金融機関と連携した新たな融資制度の取り扱いを昨年十月から開始し、取扱金融機関を順調に拡大してきました。
しかし、来年度になっても中小企業を取り巻く経営環境は厳しいと予想される中で、徐々に体力が奪われ、資金繰りが逼迫する企業も出てくるおそれがあります。今後とも、現在実施している制度融資の経営緊急を中心に、資金ニーズに一層的確にこたえていくとともに、地域の金融機関と連携した新たな融資制度の拡大が必要であります。
今後の金融支援の具体的取り組みについて伺います。
都が、厳しい経済雇用情勢に迅速に対応し、これまでにさまざまな緊急対策を進めていることは評価しますが、東京と日本の経済が新たな発展に向けて歩みを進めていくためには、産業政策を投資という観点でとらえ、中長期的な視点に立脚し、将来の経済成長に向けた政策を打ち出していくことが不可欠であります。
具体的施策の一つとして、我が国の財産ともいうべき中小企業の技術や創造力に着目し、新事業を生み出す活動を支援していくことが極めて重要であります。企業ニーズに的確に対応した技術支援や経営支援、さらに企業間の連携や交流を促進させるなど、積極的な産業振興策を展開していくことが今こそ求められています。
都内には、区部にも多摩地域にも、技術や経営にすぐれた中小企業が数多く存在しており、こうした中小企業の長所を最大限に発揮させる支援を積み重ねていくことが、産業の活性化に直結すると考えております。
都は、先月開設した産業サポートスクエア・TAMAを初め、二十三年度には区部の産業支援拠点の開設も予定しているなど、中小企業の支援を行うために、拠点づくりに取り組んでいます。今後、区部や多摩の拠点にどのような機能を持たせ、中小企業の支援に取り組んでいくのか伺います。
将来の産業発展には、中小企業の新技術、新製品の開発が大きな原動力となりますが、社会の変化や技術進歩を的確にとらえた開発を実施しなければ、事業化には結びつきません。このため、都が産業技術の動向を押さえた上で、中小企業にとって開発可能かつ有望な技術を示すことで、新製品、新技術開発を後押ししていくことが重要であります。
また、環境、安全・安心等の社会的課題に対する技術を示すことで、これらの課題の解決にもつながると考えます。
そこで、環境分野など特定の産業分野で、都が技術の発展動向を踏まえ、今後開発すべき技術を把握して、中小企業に示しながら、事業化を見据えた新製品、新技術開発を促進する新たな取り組みを構築すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、豊洲新市場整備について伺います。
豊洲移転に関する予算を審議するに当たり、まず、移転反対の主張に対し、その論点に沿って我が党の考えを申し述べます。
最初に、土壌汚染問題についてですが、都は、汚染が除去されることが、豊洲移転工事に着手する前提だといっています。そのためには、専門家の提言のもと、最先端技術に基づく土壌汚染対策方針を決定し、その有効性を確認するための現地での適用実験も開始しています。この実験方法に疑問があるならば、その検証の中で問題点を具体的に指摘すべきです。検証することもなく、予算案自体に反対というのでは、どのような有効な対策が施されても反対ということになり、はなはだ無責任といわざるを得ません。
次に、業界内に移転反対の意見があるという主張についてですが、業界団体の皆さんは、移転に必ずしも賛成でない人が団体の中にまだいることを十分承知した上で、合意に至ったのであります。それは、新市場の整備が、もはや待ったなしの状況だからです。
かつて美濃部都知事時代の橋の哲学を持ち出すまでもなく、一人でも反対があればというわけにはいかないのであります。普天間基地や八ッ場ダムの例を出すまでもなく、そこに政治、行政の意思決定の難しさと責任があるのであります。
既に、業界団体としての決定がなされ、残された時間がない中で、移転を前提としつつ、諸般の事情を十分考慮し、業界全体にとって最善策を真摯に考えることこそ、今、政治に求められているのではないでしょうか。
最後に、いわゆる築地ブランドという論点です。
東京市場は、昔から築地にあったわけではありません。江戸、明治、大正に至る三百年間は日本橋にあり、昭和十年に今の築地に移転したのです。日本橋の顔、魚河岸が築地に移転したことで、日本橋が寂れたのか、日本橋のブランド価値が廃れたのかというと、そんなことはなかったはずであります。すし、てんぷら、ウナギなど魚河岸ならではの名店が軒を並べ、老舗も数多く存在するなど、日本橋は今なおにぎわいを続けております。そもそも都市の発展とは、そういうものではないでしょうか。
都市は生き物であります。常に変貌し、新たな活力を得て成長していくのです。これから築地を一層すぐれたブランドとして成長させる方策を考え、努力していくことこそが、我々が求められていることなのです。
今大切なことは、新市場整備に向けて建設的な議論をし、政治の責任を果たしていくことであります。この都議会の場で議論の対象とできるような具体性のある案で、また残された時間が少ないという現実を踏まえたものであるならば、我々としても論議に参加する用意があることを申し上げておきます。
しかし、議会にいまだそのような責任ある対案が示されないまま結論だけを先延ばしされ、市場で働く方々は、これ以上もたないという悲鳴を上げております。市場業界の大多数は、現在地再整備について、机上の議論だ、過去の長い年月と費用をかけた経過から、現実的には無理なんだと話されていることは、現実を見据えた極めて重い発言であると考えます。
こうしたことを踏まえ、喫緊の課題である新市場整備のあり方について知事の所見を伺います。
次に、緑確保の総合的な方針について伺います。
東京をこれまでにない成熟した都市としていくためには、緑を一層重視したまちづくりを進めていく必要があることはいうまでもありません。都では、現在千ヘクタールの緑の創出に向け、着実に取り組んでおりますが、都内の屋敷林や崖線の緑など、地域に根差した貴重な緑を確実に守っていくことも重要であり、我が党はこうした緑の保全の必要性を繰り返し主張してきました。
昨年第三回定例会においても、我が党の質問に対し、都は、保全に有効な特別緑地保全地区の指定促進や、樹林地の所有者に対するさまざまな負担軽減策など、緑確保の総合的な方針を策定する中で積極的に検討していくと答えています。
本年二月には、我が党の主張を盛り込んだ、都と区市町村合同の方針案がまとまり、都民へのパブリックコメントを実施しているとのことですが、緑の保全策について、今後具体的にどう展開していくのか伺います。
かつて、国が太陽エネルギーの支援を打ち切り、普及率が低下したとき、我が党は、都が独自に支援する制度を提案し、都内における太陽エネルギー利用機器の普及が格段に進んだ経緯があります。
ところで、現下の厳しい経済情勢の中での温暖化対策について伺います。
温暖化対策は都政の重要課題でありますが、経済の活性化にも配慮する必要があります。無理を強いるだけの規制を行ったり、単なる補助制度を設けても、それらの規制や補助を受けた個々の企業や個人だけの取り組みにとどまりがちになり、なかなか社会全体としての対策に広がらないという問題があります。
都は、来年度予算案の柱の一つとして、環境施策の推進を通じた産業の活性化を掲げ、知事も予算案発表の記者会見で、産業活性化を目指した戦略的な政策を実行する旨の発言をされました。
こうした中、いよいよことし四月から世界初の都市型のキャップ・アンド・トレードがスタートします。この制度が実際に動くと、CO2削減のための設備投資の経済波及効果に加えて、排出量取引が糸口となり、義務を担う大規模事業者以外にも経済的効果が波及することが期待されています。中小企業や一般都民に普及がおくれている省エネ設備や太陽エネルギー機器等の導入に対して都が行う補助制度は、企業や個人の光熱費削減ばかりでなく、これらが生み出す環境価値を、義務を負う大規模事業所に譲渡することにより、新しい形で経済的メリットをもたらす点に着目した仕組みです。
こうした補助制度と都市型キャップ・アンド・トレードを組み合わせ確実に運用していくことが、新しいモデルを社会に具体的に示し、浸透させ、大都市東京の温暖化対策の推進と新たな経済の成長につながるものと考えますが、知事の所見を伺います。
次に、生物多様性の確保について伺います。
ことし、平成二十二年は国際生物多様性年と位置づけられております。生物多様性に対する関心が今後一層高まるものと考えております。この地球上で、生態系の破壊などにより絶滅に瀕している生物種は少なくなく、多様な生物とその生育環境を守り、これを将来の世代まで伝えていくことは、我々に課せられた大きな責務であります。
生物多様性の確保は、環境を考える上で地球温暖化対策と並ぶ重要な概念であります。都は、独自の生物多様性地域戦略を策定していく方針を明らかにしましたが、これまで取り組んできた緑の東京十年プロジェクトの実績なども踏まえた、東京ならではの戦略とすべきであります。策定に向けての基本的な考え方と今後の進め方について伺います。
次に、青少年健全育成条例の改正について伺います。
近年、児童ポルノ蔓延を初め、大人が青少年を性的対象として扱うあしき風潮が顕著であり、都内でも、母親が金と引きかえに我が子の児童ポルノ写真を撮影させるという許しがたい事件が発生しています。このような風潮は、自己の欲望を満たすためには子どもの心身に傷を負わせ、犠牲にすることもいとわない、大人のエゴにほかなりません。
また、水着姿の幼い子どもの局部を執拗に強調する写真集に、我が子を売り込んで金を得る保護者がいたり、子ども相手の強姦や近親相姦を描いた漫画など、容易に子どもの目に触れる状況にあることも憂慮されます。考えられないことだからね。
今回の条例改正案は、こうした現況から青少年を守るためのものであると強く認識していますが、改正案に込めた知事の決意を伺います。
次に、青少年のインターネット利用の環境整備についてでありますが、都は、国や他の自治体に先駆けてフィルタリングの普及と青少年への教育啓発に力を入れてきたものと承知しています。しかしながら、いじめや誹謗中傷、自分の裸の写真の掲示など、保護者の関知しないところで、青少年がインターネットを利用して、被害者のみならず加害者ともなる例もいまだ多く見られております。
我が党としては、このような状況の改善のためには、青少年を監護する責任を負う保護者の役割が重要と考えますが、今回の条例改正案ではどのように対応しようと考えているのか伺っておきます。
次に、水事業について伺います。
日本では蛇口をひねれば安全な水を飲むことができますが、世界の水事情を見ると、衛生的な水を利用できない人口が、発展途上国を中心に十一億人に達していると国連は指摘しています。今後、世界の人口は急増し、十五年後の平成三十七年には八十億人に達する見込みで、途上国の経済発展に伴う水需要の増加予想に伴い、水問題の解決が急務となっております。
一方、世界の水ビジネス市場は、平成三十七年には約百兆円に達すると試算があります。民間企業が海外で事業を展開することができれば、不況にあえぐ日本経済の活性化にもつながります。しかし、日本の企業は国際展開するまでには十分な実績を有していないのが現状であります。
都では、これまで途上国の技術協力など国際貢献を行ってきましたが、こうした現状を踏まえ、新たに、株式会社である東京水道サービスと民間企業とが提携し、水ビジネスを含めた国際貢献を目指すことを打ち出しました。
これは、我が党が三、四年前から訴えていたことでございます。特にこのことは、将来起きるであろう食料難に対しても、その解決は水であろうかと思います。その水事業に対して、ODA等を通して、この東京が世界に対して、途上国中心にアジア、アフリカに対して貢献することは、やがて日本の経済、産業に必ず結びつくものと、こう思っての提案をしてまいりました。
この水ビジネスを含めた国際貢献を目指すことを打ち出した東京都、その東京の強みを生かしたこの新たな取り組みをぜひ成功させるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
アジア諸国では漏水率が軒並み三〇%を超えています。また、漏水防止対策が急務な国もあれば、水道水質の向上が課題となっている国もあると聞いております。その課題もさまざまでありますが、新たな国際貢献において、ニーズに合ったビジネスモデルを策定することが重要だと考えておりますが、見解を伺います。
本年一月に発表された東京水道経営プラン二〇一〇では、飲料水の直結給水モデル事業の対象を公立中学校に拡大するとともに、実施期間を二十八年まで延長することが明らかにされました。昨年の第三回定例会での我が党の提案を具現化したものであります。我が党は、十九年度の事業開始以来、このモデル事業を都と一体となって強力に推進してきました。今回の対象拡大により事業の対象となる学校は大幅に増加し、一層効果が期待されます。
一方、都内には、私立学校で学ぶ子どもたちも少なくありません。次世代を担う子どもたちに水道水のおいしさを実感してもらうという目的を推進するためには、公立だけでなく私立にも対象を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、東京国体について伺います。
平成二十五年、東京国体まで残すところ三年となりました。経済情勢も不透明な中にあって、五十四年ぶりに首都東京で開催する国体を成功させるためには、競技会場となる施設の整備など万全の準備を整えなければなりません。そのためには、都ももちろんのこと、競技会の運営を実際に担う区市町村においても着実に準備を進めていただく必要があります。
そこで、区市町村における競技施設の整備と都の財政支援状況について伺います。
東京国体の競技会場は、区市町村の施設ばかりでなく、メーン会場となる味の素スタジアムを初め、都のスポーツ施設として東京体育館や東京辰巳国際水泳場なども活用することになっています。これらのスポーツ施設は、東京国体の会場としてふさわしい機能を備えているのはもちろんのこと、多くの都民が身近にスポーツを楽しむ場所として重要な役割を担っています。
しかしながら、ユニバーサルデザインを採用しておらず、全体的に老朽化も見られ、特に年間百万人が利用する駒沢オリンピック公園総合運動場は、四十五年前の東京オリンピック以降、本格的改修がなされていません。
そこで、東京国体を契機にスポーツ施設を大胆に改修し、都のスポーツ振興の拠点として整備すべきと考えておりますが、所見を伺います。
次いで、優秀な教員の養成について伺います。
これまで我が党は、教員の資質向上の責務は任命権者にあるという考えのもと、一定の力量を持つ学生を採用し、職として安定させた上で、みずからの資質を一層向上させる教員免許の更新制を初め、優秀な教員を育成していくための施策を実現してきました。
しかし、民主党はこのシステムを全く逆転させようとしています。教員を目指す学生に個人の負担で資質向上させ、任命権者はそれを採用するだけという教員養成課程六年制をマニフェストに掲げました。これは任命権者としての責務を学生に押しつけているとしかいいようがありません。
学生は、二年間長く大学で学んだとしても採用が保証されるわけではありません。不安感は増大し、経済的負担も多くなることから、教員志望者が大幅に減少することが危惧されます。あわせて、開放制の教員養成が困難になることから、教員養成系学部以外の学部での教員志願者の減少につながり、多様な人材確保ができなくなります。
一方、延長された養成課程は実習を中心に行うといいますが、貴重な児童生徒の授業をまだ免許を持たない、教員になるかどうかもわからない学生が一年間も受け持つことになれば、保護者は一定の教育レベルが保証されるか不安になるでしょう。また、受け入れる学校も不十分な授業の補てんをしなければならなくなりますが、この補てんにも限界があります。
そもそも大学の教員養成課程は、四年間で一定の力量を確保して送り出すためにありますが、現実には大学の教員の専門領域を中心にした授業が多く、学校現場の課題に十分対応していない、講義中心で実習等が十分でない、教職経験者が授業に当たる例が少ないなど、実践的指導力の育成が必ずしも十分でないといった課題があると聞いています。教員の資質向上という目的のためには、現在の大学四年間の授業の質を向上させることこそが必要なのではないでしょうか。
都では、教員の大量退職に伴って、大量に採用される小学校教員の一定の力量確保が急務となっています。こうした喫緊の状況も踏まえ、都教育委員会は、大学の養成課程でどのような力を、どこまで身につけておくべきなのか、採用する側の立場として分析し、積極的に大学に対して発信していくべきであると考えます。教育長の所見をお伺いします。
以上で私の質問を終えます。五十六秒あるところでかねが鳴ったということは、後ほどまたゆっくり教えていただきたい、こう思っております。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 川井しげお議員の代表質問にお答えいたします。
まず、現下の国政の状況についてでありますが、随分の期待を受けて発足した政権でありますが、どうも期待にこたえているとはいえない感じがいたしますな。そもそも首相と与党第一党の幹事長がそろって、べらぼうな額の政治資金について国民の疑念を払拭し切れていないのは極めて異常な事態だと思います。その金権性に国民はとにかくうんざりしているのに、なぜ与党の中からはっきりした批判の大きな声が出ないのかなと思いますね。
私たち、同じ自民党でありましたが、田中角栄さんという、非常にすぐれてはいたけれども、とんでもない金権の政治をやった権勢並びなき、ある意味で恐ろしい存在であった総理大臣にあえて盾突いて、青嵐会を結成しましてね、金権を批判しました。その最初の論文を書いた私は告訴されましたが、それでも──ロッキードじゃないんです、田中さんが倒れたのはその批判で倒れたわけであります。まあ、今の国会の民主党にそれを期待できるのかできないのか、わかりませんが。
加えて、鳩山政権が掲げた地域主権、地方主権というのは、地方分権じゃなしに、地方主権という新しい強いイメージでありました。これにも随分期待しましたけれども、今となっては裏切られた思いがするのは、多分、地方の首長の中で私だけではないと思います。
一つの事例として、地方の時代に逆行して、税の原則にももとる、あの法人事業税の暫定措置を継続したことは、恐らく都議会の党派を超えて皆さんが容認できないと思いますね。長い知己でありました菅副総理に、私このことを申し込みましたが、菅さんも苦笑いして、何分急なことだったので、来年度にはとにかく努力しますということでしたが、議会の民主党の諸君も頑張って、国会でも随分たくさんの議員が、これ反対してやっているんです。議事録を持っていますけれども、私、菅君にもそれを見せましたが、こういったものは、本当に日本を壟断してきた財務省の役人が一方的に決めた、こういう悪法というものは、即時やっぱり廃止すべきだと私は思います。
また、現下の不況に対して、何もケインズを一々持ち出すつもりはありませんが、やはり経済の常識として即効薬となる公共事業を、費用対効果や経済の還流を吟味せずに大幅に削減した。この間、地方には全く相談もなく、現場では将来を見据えて進めてきた事業をこのまま続けることができるのかできないのか、懸念が広がっております。これでは、地方主権は単なるお題目でしかないんじゃないかと思いますな。
さらに、その財源のめどがつかないままに、高福祉低負担の幻想を振りまいている。これは、こんなことが常識で成り立つんでしょうか。これは何も現政権だけの問題でなしに、従来の自民党にも責任があるわけでありますが、私たちやっぱりこれは、国民は国民で権利もありますけど、責任があるわけですから、やはり税制の思い切った改革をしませんと、この国はもたないと思いますよ。
また、普天間基地の問題でも、どうもいうことがくるくる変わるし、発言があちこち出てきて、国民は戸惑うばかり。この国の安全保障の根幹にもかかわる日米問題を揺るがしかねない、非常に懸念を感じます。どうも現政権には確固とした国家観、あるいは国家運営の基軸というものがいささか欠けているんじゃないかという気がいたします。
参院選も近いようでありますけど、余りそれを意識した動きも好ましくない。現に、この間の長崎と町田市という大事な、大きな地方の選挙がありましたが、その後、投票者が、やってきた民主党の幹部たちが露骨な利益誘導をするのに辟易したというコメントを流していましたけど、これはやっぱり、私たちもっと自戒しなくちゃいけない大事な問題だと思います。
次いで、二十二年度の予算についてでありますが、今回の予算編成では、大幅な税収減に直面し、今後も厳しい財政環境が想定される中にあって、いかにして現下の閉塞感を打破し、将来を切り開く手だてを講じていくかが大きな課題でありました。このため、みずからを厳しく律した上で、これまで培ってきた財政の対応力を駆使して、東京の現在と将来に対して都がなすべき役割を積極的に果たすことを基本として予算を編成いたしました。
これによって二十二年度予算は、都財政の健全性を堅持しつつ、中小企業支援や雇用対策など都民生活の不安に対応する取り組みや、少子高齢化対策を初めとする国を先導する都独自の取り組みを進めるとともに、都市インフラの整備や環境施策の推進など、東京の可能性を引き出す戦略的な投資を行うなど、都民の期待に十分こたえるものになったと思っております。
また、必要な公共事業については、厳しい景気状況も考慮いたしまして、道路の維持補修、病院や学校の耐震化など、新たな需要の創出にもつながる事業を中心に積極的に推進することにいたしました。我が国全体が危機に直面している今だからこそ、この予算を原動力として、東京が先陣を切って、将来に向けた新たな活力を創造すべく全力を尽くしてまいりたいと思っています。
次いで、法人事業税の暫定措置でありますが、都税収入は二年間で一兆円以上も落ち込む中で、理不尽に東京の財源を奪い続けることはとても容認できるものではありません。これは従来の財務省の非常に典型的な場当たりのやり口でありまして、こういったものが存続すること自体が私は国政の大きなゆがみというものを象徴していると思います。
都財政をめぐる厳しい財政環境は今後も当分続くものと見込まれますが、その中にあっても我が国を牽引し続けることが都政の役割であると思っています。そのためにも、何としてもこの不当な制度を直ちに撤廃しなくてはならないと思います。
今日、地方は困窮しておりますが、だからといって都市から奪った財源を地方に回しても、何ら問題の解決にはなりません。今問われているのは、地方の税財政制度を抜本的に改革し、地方が自立して自治体の役割を果たせる仕組みをいかにつくるかであります。その意味で、暫定措置の撤廃は地方主権の理念を実現する上でも極めて重要なものと思っております。
民主党も含めて、都議会の皆様から、この課題の実現に向けて、従来、力強い支援をいただいておりますが、今後とも皆さんと手を携えて、法人事業税の暫定措置の即時撤廃に向けて、ともに邁進していきたいと思います。民主党も頼みますよ。
都幹部職員の再就職についてでありますが、都の幹部職員が退職後、在職中に培った知識や経験を社会のさまざまな分野で活用することは、極めて意義あることと思います。
監理団体や地方独立行政法人は、いずれも都の行政運営を支援、補完する重要な機能を持っておりまして、また、報告団体は、その公益性にかんがみて都が出資等を行っている団体でもあります。これらの団体については、その適切な運営に寄与するよう都の判断で適切な人材を推薦していきたいと思っております。
なお、都は、国と異なりまして、監理団体の適正かつ効率的な運営を確保するため、包括外部監査を活用しております。これは国はやっておりません。従来やっておりません。やっているのは会計検査院の監査だけでありますから。これはとてもじゃないが、こんなものは物足りない。自分たちで法律をつくって地方に押しつけておきながら、国は外部監査をやらない。こんなばかな財政運営ってあるんでしょうかね。
一方、民間企業等への再就職については、いわゆる天下りを押しつけているというような懸念を持たれることのないように、また、公正な都政運営を損なうことがないように十分に配慮することが必要であります。
今後はこうした企業などへの再就職の状況について、相手先の意向などを勘案しつつ、一層透明性を向上させるとともに、都庁版の人材バンクを整備することでその手続も明らかにし、都民に対する納得性を高めていきたいと思っております。
次いで、今後の少子化対策についてでありますが、少子化は現金給付的な施策だけで解決できるものではなくて、都民が選択できるサービスを質、量ともに拡充していかなければならないと思います。
都議会自民党からは、待機児童解消に向けた認証保育所の定員拡大や開所時間延長に対応できる学童クラブの増設など、貴重な提言をいただきました。これをやりますと、一挙にまず二千人の児童を収容することができますので、ぜひやりたいと思っております。これを平成二十二年度の予算にも盛り込みました。
国家の行く末を案じ、互いに知恵を絞り議論を深め、保育、医療、雇用、住宅などの施策を束ねて緊急対策を講じることができたと思います。今後この対策を着実に進め、国に対しても省庁の縦割りを超えた対応を迫りまして、すべての都民が安心して子どもを産み育てられる東京を実現していきたいと思っております。
特別養護老人ホームなどの基盤整備についてでありますが、都においては、世界に類を見ないスピードで高齢化が進展しておりまして、特別養護老人ホームやケアつき住まいなどの整備を急いで進めなければならないと思います。都は、独自の補助制度により施設整備に努めてきましたが、これからは従来の、住宅か、施設かとかいう選択肢に加えて、猪瀬副知事からの発案を踏まえまして、大都市の実情に応じた基準を設け、新しい高齢者の住まいを実現していきたいと思っております。
今後、住宅政策と福祉政策に横ぐしを通して、民間の力も活用しながら基盤整備を進めるとともに、在宅の高齢者を二十四時間体制で支援するなど、高齢者が安心して生活できる都市モデルを創造していきたいと思っております。
羽田空港をどのように生かすかについてでありますが、羽田は、国際線と国内線をあわせたハブ空港として我が国の経済を活性化し国際競争力を強化するなど、我が国の将来を左右する極めて重要なインフラであります。
森内閣のころでありましたが、政調会長をしております亀井静香君と話しまして、彼の部屋から国交省に電話しまして、半ばおどして、最初は航空局長は抵抗しましたが、次官を呼び出しておどしまして、予算の編成期でありましたけど、調査費を四番目の滑走路のためにつけさせました。これは三十分で済んだんですが、その後、決まった工事をどういう工法で行うかで時間がかかり過ぎました。これは業界がみんな思惑で談合して、三つ工法があったんですけどね、どの予算を聞いても同じ額が出てきて、本当に判断がつかない。
それで、座長に、当時IBMの会長ですが、顧問でした椎名さんを頼みまして、椎名さんも往生しましたが、この工法を決めるのに時間がかかり過ぎて今日になったわけであります。本来ならもっと早く、あれは完成しているわけでありますが、その時点で実は、やっぱり国際線も飛ばして、要するに、日本で確固としたハブ空港にしようということを国交省とも内々決めて臨んできました。とにかくダウンタウン、中心街に、これほど至近でアクセスも備えている空港は、世界にめったにないと思います。
今、アメリカを初め各国が日本に、オープンスカイという、つまり、もっと航空機を入れろという要求をしております。既に四十カ国ぐらいがウエーティングしておりますが、アメリカやほかの先進国はもっと便数をふやせといっておりますけれども、これはなかなか、いうに易しいが実際行うに難しいものでありますけれども、特に彼らがいっているオープンスカイというのは、これはあくまでも首都圏の空なんですね。幾ら、名古屋に新しい飛行場をつくったり関西につくっても、これだけ集中、集積が進んでしまった首都圏に主なビッグビジネスがあるわけでありますから、やっぱり首都圏がその気になってやらないとだめなんです。
ということで、横田の問題も手がけてきましたが、これはなかなか壁が厚くて、最後にはアメリカは本音でしょうけれども、あの飛行場は使ってないかもしれないが、第二次世界大戦の戦勝品だということまではっきりいうんです。そういう相手ですから、なかなかとにかく難しいと思いますけれども、粘り強く続けていく必要がございます。
いずれにしろ、羽田にはまだまだスペースがありますから、四番目の滑走路もつくり、さらに今のCランでしょうか、あれを延伸して、フルにお客を乗せ、満タンにした飛行機が北米の東海岸まで飛んで行けるような、そういう整備もしなくてはならないと思っております。
先日、新しい管制塔の管制室から空港全体を見渡しましたが、羽田が大きく変わりつつあることを実感いたしました。
昨年十二月の日米航空協議によって、羽田に、日米双方で一日八便就航することが合意されました。あわせて、航空会社が原則自由に路線の設定等ができる、いわゆるオープンスカイがようやく実現、いささか実現することになったと思います。
これにより、航空会社間の競争が進み、路線やダイヤの自由度が増すなど、我が国に発着する国際線が利用者にとって、より利便性の高いものになると期待されております。
生まれ変わる羽田空港により、米国のほか、欧州やカナダ、シンガポール、香港、台湾、韓国など世界の多くの都市と首都東京とをダイレクトに結びつけることが可能になりました。観光、ビジネスの両面でも、その果たす効果ははかり知れないと思っております。
羽田空港の一層の活用を図るには、先ほど申しましたが、C滑走路の延伸工事の完成や、さらなる容量拡大を早期に実現するなど、世界との行き来をより円滑なものにしていくとともに、外環を初めとする広域的交通ネットワークを有機的に連携しませんと、肝心の飛行場が生きてこないと思います。
都心に近く、世界で比類のない便利な空港でありますから、この羽田の価値を最大限に発揮できるよう、それに付随したインフラの整備も鋭意進めていきまして、首都東京の国際競争力を一層高めていきたいと思っております。
次いで、京浜港の国際競争力の強化についてでありますが、日本の港湾がアジアの諸港との熾烈な競争にさらされる中で、これまで国は京浜港、伊勢湾、阪神港をスーパー中枢港湾に指定する一方で、全国にくまなくコンテナターミナルを整備するというちぐはぐな港湾政策に終始してきました。
こうしたことから、日本を発着するコンテナ貨物約百万個が釜山を経由して積みかえられておりまして、我が国の港湾の地位の低下に拍車をかけております。
これは荷主にとってみますと、釜山で積みかえて──わざわざ釜山まで運んで積みかえる方が、アメリカを例えば例にとりますと、アメリカの西海岸に行くにも二日ぐらいおくれるそうでありますけれども、何しろ、向こうの方の一箱分のコンテナ分の単価が安いというので、結局、そっちが事を優位に進めて、我が国が劣勢にさらされているわけであります。
今般、国が進めている国際戦略港湾については、全国のコンテナ取扱量の四割を占め、既に三港連携に取り組んできている京浜港が最もふさわしいことは自明でありまして、本来、改めてこんな公募をするまでもないことだと思います。現に民間の事業者から、何でまた今さら屋上屋を重ねるようなことがあるんだと、わけのわからない港が名乗り出てきて、ますます混乱するじゃないかという声が、東京だけじゃなしに、名古屋やあるいは阪神の港の当事者からも上がっているんですが、こういったものが果たして今の政府にどれだけ通じるかどうか、これからのことだと思います。
既に国としての公募を開始したとのことでありますが、実施するならば、港湾経営の現場をよく知る地方自治体の提案を真摯に受けとめて、その実現に最大限努力をすべきであると思います。
いずれにしても、釜山港とのコスト差を埋めるのは容易ではありませんが、官民の知恵を結集してコスト縮減と港湾機能の向上を図り、東アジアのハブポートを目指し、アジア諸港との競争に勝ち抜いていきたいと思っております。
次いで、産業、雇用就業施策についてでありますが、東京の活力の基盤は、高度な技術を持つ小零細企業や優秀な人材の集積であります。
我が国は現在、深刻な経済危機からの回復軌道を見出せずにおりますが、日本の頭脳部、心臓部であります首都東京の産業力を維持し、現在の危機から、脱却と未来の成長の道筋を見出していくためには、必要な産業、雇用就業施策を適時的確に実施していくことが求められております。
このために、厳しい雇用情勢に対応した雇用創出や就業支援、小零細企業に対する資金繰り支援など、足元の対策に万全を期すとともに、環境、医療を初めとする成長性の高い産業分野の育成や技術開発の促進など、将来の成長を見据えた施策を積極的に展開し、多面的、重層的な取り組みを行っていきたいと思います。
次いで、新市場整備のあり方についてでありますが、築地市場の老朽化は、先日わずかな地震でも崩落事故が発生したように、既に限界に達しております。災害時における耐震性やアスベストなど、安全性の面からももはや一刻の猶予もならない状況であると思います。
豊洲地区への移転は、二十年をかけて、再整備を含めて、その間、先ほど申しました四百億も結局むだなお金をかけてさまざまな案を検討し、議論を尽くした結果、関係者の大多数が、経済性も考え、最も合理的な選択肢として最終的に合意したものであります。
こうした状況を踏まえると、結論を先延ばしするのではなく、現実的な判断をするのが行政の責任を果たすことになると思います。
新市場予定地の土壌汚染対策については、各分野の最高権威の学者の方々で構成される技術会議で、日本の先端技術を活用した、安全性に不安がなく信頼性の高い対策をまとめていただきました。現在、現地での実験を行っているところでありまして、この実験の結果を踏まえて、次のステージに進むべきであると思います。
都としては、対策の有効性を確認した上で、速やかに平成二十六年度中の開場に向け、豊洲新市場を新たな基幹市場として整備していきたいと思っております。
次いで、地球温暖化対策についてでありますが、気候変動の危機回避に向けて着実にCO2削減を実現するためには、企業などの行動を確実に低炭素型社会への転換につなげるよう、規制と誘導の両面から強力な施策を導入しなければならないと思います。
大規模事業所に対するキャップ・アンド・トレードは、削減目標を明確に示すことにより省エネ投資を活性化させ、我が国の環境技術を十二分に活用する契機となり、新たな環境産業や経済成長を生み出す源泉ともなるものであると思います。
また、中小規模の事業所への省エネ機器導入補助等と連動した環境価値創出の仕組みは、温暖化対策に弾みをつける重要な役割を果たすものであると思います。
都は、国に先駆けて導入した、規制と誘導を総合するこれらの手法を活用しまして、環境の世紀のトップランナーとして経済の成長を生み出しながら、地球温暖化対策を進める低炭素型の都市のモデルを示していきたいと思っております。
次いで、青少年健全育成条例の改正についてでありますが、児童ポルノや子どもへの強姦などを描いた漫画の蔓延を、見て楽しむだけなら個人の自由である、いかなる内容であっても表現の自由であると許容することは、これらの自由の履き違えでまさにありまして、青少年を守り育てる大人としての責任と自覚を欠いた未成熟な人間の自己保身にほかならないと思います。
また、保護者が幼い子どもを性的写真集の被写体として売り渡す行為も、子どもを使って自己の欲望や利益を満たそうとする、大人として親として、卑劣というかあるまじき下劣な行為であると思います。
このような、児童ポルノや青少年をみだりに性の対象として扱う風潮から、次代を担う青少年を守らなければならないと思います。このため、青少年健全育成条例を改正し、児童ポルノの根絶とこの種の図書類の蔓延の防止に向けて、都が、都民、事業者と一体となって取り組み、現存のおぞましい状況にこの東京から決別していきたいと思っております。
次いで、水道事業の国際貢献についてでありますが、日本には原子力発電や電子技術など、世界に誇るべき比類のない技術があります。海外に日本の力を示すことができるのは、まさにこうしたすぐれた技術でありまして、それを活用して国の進展を図ることこそが国家の役割であると思います。
日本のODAは、建設資金を拠出するのみで、日本の貢献がよく見えない。水道に限っていいましても、世界で、蛇口をひねって安心して水が飲める国はわずか十一カ国しかありません。たった十一カ国です。
東京は、漏水率三・一%を達成した漏水防止技術や、世界に誇る高度な水質管理の技術を有しております。先般も申しましたが、先年、ニューヨークのC40の会議に招じられてまいりました。
内容のない会議で、私はこんな会議をやって意味がないんじゃないかといって、例えばということで、私たちが売り出している「東京水」、これは水道の水を売っているんだ、買う人がたくさんいるんだ、ミネラルよりずっと安いんだ、ずっと安全なんだ。そして、あと水道局長にディテールを話させましたら、そのときだけえらいみんな感心して、メモをとりながら聞いていましたがね。
日本のそういう水道技術というものは、本当に世界最高のものと思います。そういった技術を持ちながら、総体的な評価というものは非常に乏しい。
これらの技術を海外でも活用することによって発展途上国の水事情の改善に貢献するとともに、日本経済の活性化のためにも、東京の技術力を世界に示していきたいと思っております。
他の質問については教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 大学の教員養成課程の見直しについてでございます。
都教育委員会は、優秀な教員の確保、育成という観点から、大学における四年間の養成課程、採用、そして採用後の育成を一体のものとしてとらえて検討すべきと認識しております。
このため、都教育委員会は、採用選考における他県との連携や、若手教員を三年間で育成していくための研修体系の改善など、任命権者の責務として採用選考及び採用後の育成の充実に着手をいたしました。
教員養成については本来大学が行うものでありますが、これまで都教育委員会は、各大学の要請に応じて、指導主事を派遣して特別講義を行うなどの支援を行ってまいりました。しかしながら、大学を卒業してすぐに学級担任となる小学校教員については、お話のように、大量退職に伴う大量採用が続くために、質の確保が喫緊の課題であることから、大学が、教員養成課程の段階から早期に実践的な指導力を身につけさせていくべきであると考えます。
そこで、都教育委員会は、小学校の新人教員が現実に抱えているさまざまな課題を解決し、養成段階のさらなる改善充実を大学とともに進めていくために、本年二月、検討委員会を設置したところであり、今後、八月を目途に各大学に対して、学部四年間の具体的なカリキュラムの改善に係る方策を提言していくこととしております。
〔東京都技監道家孝行君登壇〕
○東京都技監(道家孝行君) 外環の整備に向けた都の取り組みについてお答えをいたします。
外環は、東京の最大の弱点である交通渋滞の解消のみならず、我が国の国際競争力の向上や首都圏の環境改善など、ひとり東京のためだけではなく、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であります。特にCO2排出量は一都三県において年間約三十万トンが削減され、東京が目指す環境先進都市への飛躍にもつながるものであります。
石原知事就任後、直ちに外環の整備を都政の最重要施策として位置づけ、平成十三年には扇国土交通大臣とともに現地視察を行い、長年の事業凍結を解除いたしました。これまで地元との話し合いを四百八十回以上も重ね、昨年五月に事業化に至り、十二月には事業説明会が開催され、一月からは測量、地質調査などが始まり、いよいよ現地において事業が動き出しました。
こうした中で、地元地権者の皆様からは用地の買い取りを求める声が多く寄せられており、都としては執行体制を整え、国から受託する大泉ジャンクション部の用地取得を積極的に進めてまいります。
今後とも必要な事業費の確保を国に強く求めるとともに、国と連携して、用地取得を重点的に行い、早期着工、早期完成に向け全速力で取り組んでまいります。
〔知事本局長吉川和夫君登壇〕
○知事本局長(吉川和夫君) 長期的な視座を持った政策展開についてでありますが、ご指摘のとおり、計画や個々の施策を立案する上では、将来を見据える視点を常に持つことが重要でございます。「十年後の東京」計画は、まさにこうした考え方に立って、二〇一六年の東京の姿とそれに向けた政策展開の方向性を明示した都市戦略でございます。
今回策定した実行プログラム二〇一〇におきましても、計画で描いた近未来図を実現するために、これまでの取り組みを緻密に検証し、真に実効性のある施策を重点的に展開することとしております。
また、知事が施政方針演説で述べましたように、東京の未来のためには、今後とも常に十年先を見据えながら、五十年先、百年先にもつながる取り組みを進めていくことが必要でございます。
そのために、国に先駆けて導入した複式簿記・発生主義会計から得られます資産、負債等のストックの状況や、将来にわたるコストパフォーマンスの分析結果なども活用しながら、計画や施策の隅々にまで将来を見据える視点を徹底するよう、関係各局と連携し、全庁的な調整を行ってまいりたいと思います。
〔財務局長村山寛司君登壇〕
○財務局長(村山寛司君) 事務事業評価の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
都は、石原知事就任後、財政再建に取り組む過程におきまして、二次にわたる集中的な事業見直しを実施し、合わせて八千億円の財源を確保してまいりました。これが今日の都の財政対応力の礎を築いたものと考えております。
事務事業評価は、この事業見直しの努力を財政再建の後も継続して実施していくための制度として立ち上げたものであり、定着に向け、この間取り組んできております。
この取り組みは、都が実施する事業を、その仕組みや実績等の分析に基づき、一つ一つ事後検証し、その結果を事業の見直しや改善につなげていくというものでございまして、根気の要る地道な作業ではございますが、事業を担当する各局の協力を得ながら、ここに来て何とか予算編成過程における重要なツールとして定着させることができたと考えております。
同時に、お話のように、今後都が継続的、安定的に果たすべき使命を考えると、この事務事業評価制度の持つ、都民から負託を受けた貴重な税金が効率的、効果的に活用されているのかを検証する機能を高めるために、今後、評価対象のさらなる拡大や評価手法の一層の充実など、もう一段のステップアップが求められております。
具体的には、例えば、従来、評価対象は、都が直接実施する事業としておりましたが、今後は、これに加えて、監理団体等を通じて実施している都の事業についても、関係局と連携しながら評価を行ってまいります。また、一般会計と区分して計理されている二十二の特別会計について、そのあり方などを検証してまいります。さらに、従来、歳出が評価の中心でございましたが、歳入につきましても、新たな視点から検証を行ってまいります。
こうした努力を積み重ねることによりまして、今後とも各局と密接に連携しながら、事務事業評価を活用して、都が実施する一つ一つの施策が都民にとって一層役立つものになるよう、積極的に取り組みを進めてまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) 四点のご質問にお答えします。
まず、指定管理者制度の運用見直しについてでございますが、公の施設の管理運営に民間の能力を活用する指定管理者制度の運用におきましては、経費の節減のみならず、都民サービスの向上という観点が重要であると考えております。
そのため、指定管理者の候補者を選定するに当たりましては、おのおのの施設の特性を踏まえた適切な管理がなされるよう、これまでの議会での議論を踏まえ、制度運用の見直しを進めております。
主な内容といたしまして、施設の機能を最大限発揮させるため、都との密接な連携による運営が求められ、かつ民間では対応困難な場合などにつきましては、行政支援、補完機能を有する監理団体を特命で選定できるものとする。また、より良好な運営へのインセンティブと優良な管理者の再選定につなげるため、管理運営状況評価の実績を次期選定の審査に反映する、こういった内容でございます。
これらの見直しを行うことによりまして、施設の良好で安定的な管理運営による一層のサービス向上とともに、指定管理者による長期的視野に立った人材確保や育成等にも資するものと考えております。
以上の内容を踏まえまして、本年度内に見直しを行い、平成二十二年度末に指定期間が終了いたします多くの施設の次期指定管理者の選定から実施してまいります。
次に、監理団体の考え方についてでございますが、監理団体は公共性の高い分野などにおきまして、質の高いサービスを効率的かつ効果的に提供し、行政支援、補完機能を発揮する都政の重要なパートナーであり、都と同等の信頼性の確保が求められているものと認識しております。
そのため、今般、包括外部監査でいただきました指摘、意見につきましては、対象団体にとどまらず、他の団体も含め検証し、正すべき点は正すことはもとより、都からの受託事業にかかわります契約情報や職員給与の支給状況などにつきましても、団体の柔軟な経営などに留意しつつ、都に準じた情報公開を推進し、透明性の向上を図ってまいります。
また、ご指摘の監理団体の固有職員の育成につきましても、都が実施いたします研修にも参加できる機会を設けるなど、監理団体の行政支援、補完機能をより一層強化する観点から、今後も引き続き支援してまいります。
こうした取り組みにあわせまして、これまでの都、監理団体、民間の役割を改めて検証し、その存在意義と各団体に対します指導監督のあり方を明確にいたします監理団体活用方針を本年夏を目途に策定いたします。
次に、多摩振興プロジェクトについてでございますが、多摩地域はその特性やポテンシャルを生かし、「十年後の東京」計画で描きました首都圏の中核拠点としての発展が期待される地域でございます。
二十一年度は、JR中央線の三鷹─国分寺間で踏切を解消するとともに、産業支援拠点でございます産業サポートスクエア・TAMAや、多摩総合医療センター、小児総合医療センターを開設するなど、さらなる振興に向け、基盤の整備や医療福祉の充実などを着実に進めてまいりました。
二十二年度におきましては、その発展を加速させるため、西国分寺─立川間の踏切解消や多摩南北道路の整備などのほか、森林の循環再生や地域医療体制の強化、スポーツ振興など幅広い分野におきまして、市町村とも十分連携しながら、多摩プロジェクト事業を積極的に推進してまいります。
今後とも、事業促進に向けた国等への働きかけや市町村への支援とあわせまして、多摩地域の一層の振興に都庁一丸となって取り組んでまいります。
最後に、東京国体の競技会場施設整備についてでございますが、東京国体は多摩・島しょを中心に、東京都全域で開催することとしており、多くの区市町村におきまして、競技会場の整備を進めていただいております。
既に平成二十一年度までに整備を終了した施設もあり、来年度以降、さらに多くの区市町村で施設整備に着手していくこととなっております。
都におきましては、区市町村の競技施設整備に対する財政支援を実施しておりまして、二十一年度からは、福祉のまちづくりにつながるような整備につきましても、財政支援の対象に加えるなど、きめ細かい対応に努めております。
今後も、区市町村の整備計画を詳細に伺いまして、平成二十五年の国体開催に向け、万全の準備を整えてまいります。
〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、私立幼稚園等就園奨励特別補助についてでございますが、都は、私立幼稚園に対する経常費補助により、教育条件の維持向上と保護者負担の軽減を図るほか、一定所得以下の園児保護者に対して、所得状況に応じて保育料の一部を補助する私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業を実施し、国の幼稚園就園奨励費補助などとあわせて、これまで保護者の負担軽減を図ってきたところでございます。
しかしながら、国の補助制度については、来年度予算案で、対象となる四つの所得階層のうち、年収三百六十万円を超え六百八十万円以下の世帯の補助単価だけが三割も減額される事態となっております。
この所得階層は、補助対象園児の七割を超える最大の階層でございまして、補助単価の減額は、現下の経済状況の中、多くの保護者にとって大きな負担増となり、深刻な影響を与えるものと受けとめております。
また、ただいまご質問の中でお話がございましたとおり、私立幼稚園関係者の方々や都議会からも負担増に対する激変緩和の要望が寄せられておりますことから、都としては、緊急的、臨時的措置として、私立幼稚園等就園奨励特別補助を創設することといたしました。
この事業は、従来の都の補助制度とは別に、国の制度変更による保護者負担の激変を緩和するために行うものでございまして、具体的には、負担増となる世帯に負担増額の三分の二に相当する一万二千四百円を補助するものでございます。
今回は、都として新たな補助制度を創設いたしましたが、そもそも国の制度は、負担増となる所得階層の年収幅が三百六十万円から六百八十万円を一くくりとし、著しく広いため、対象者も多く、きめ細かい補助を必要とする現場の実態に合っていないものというふうに考えております。
そのため、今後国に対して、所得階層の分割とあわせて、補助対象であるすべての保護者について負担増とならないよう、補助制度の改善を強く要望してまいります。
次に、スポーツ施設の整備についてでございますが、東京体育館や東京辰巳国際水泳場などの都立スポーツ施設につきましては、全体に老朽化が見られるため、東京都スポーツ振興基本計画や主要施設十カ年維持更新計画に基づきまして、改修を実施してまいります。
改修に当たっては、ユニバーサルデザインの導入はもちろんのこと、東京国体の競技会場となることから、先月策定された環境指針に基づき、再生資材の活用や省エネタイプの設備の採用など、環境にも十分配慮していく計画でございます。
とりわけ東京国体のテニス及びソフトテニス会場となります駒沢オリンピック公園総合運動場につきましては、築四十五年以上が経過し、老朽化が著しいことから、来年度初めには十年程度を実施期間とする改修計画を策定する予定でございます。
今後も、スポーツ都市東京の実現に向けて、都立スポーツ施設をスポーツ振興を支える重要な拠点として位置づけ、着実に整備をしてまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答えを申し上げます。
まず、後期の次世代育成支援行動計画策定に当たっての理念等についてでございますが、本計画は、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ、かつ育成される社会の形成を目指すとの考えに立って策定をしております。また、これまでの実績や社会情勢の変化を踏まえて、新たな重点課題として、ワークライフバランスの実現、在宅子育て家庭を含むすべての子育て家庭に対する支援等を取り上げております。
保育サービスの目標量につきましては、本計画の最終年度である平成二十六年度までの五年間で利用児童数を三万五千人ふやすという目標を検討しております。
また、この目標は、潜在需要も考慮した上で、国の新待機児童ゼロ作戦の最終年度である平成二十九年度までに、就学前の子どもの保育サービス利用率を現在の三〇・五%から四四%程度に引き上げることを目指しているものであります。
続きまして、待機児童の解消についてでありますが、都は、保育サービス拡充緊急三カ年事業により、保育所等の整備を着実に進めておりますが、今年度からは事業者と区市町村の負担を大幅に軽減する独自の支援策を講じております。
来年度も新規施設の設置を促進するとともに、新たにパートタイム労働者向け保育サービスの拡大や、認証保育所補助単価の見直しによる定員拡充など取り組みを強化してまいります。さらに、認可基準の範囲内で、定員を超えて入所を受け入れる定員弾力化の活用も、区市町村及び事業者に働きかけてまいります。
引き続き、東京ならではの多様な手法を総動員し、待機児童の解消に向けて積極的に取り組んでまいります。
続きまして、パートタイム労働者向けの保育サービスの拡大についてでありますが、待機児童の解消を図るためには、待機児童の保護者の過半を占めるパートタイム労働者や求職者に対する保育サービスの充実も不可欠であります。
一方、これらの方々を対象とした国の制度である特定保育事業は、実施主体が認可保育所等に限定をされておりますことなどから、十分な整備が進んでおりません。
このため、都は、認証保育所や家庭福祉員などに実施場所を拡大するとともに、パートタイム労働者の就労実態に合った保育時間及び保育料の設定ができる定期利用保育事業を独自に開始をいたします。
今後、区市町村と連携して本事業を強力に推進することにより、都民一人一人の働き方に応じた適切な保育サービスを提供してまいります。
続きまして、都型学童クラブ創設の効果についてでありますが、都型学童クラブは、保護者の時間延長ニーズに対応し、午後七時以降までの開所とあわせ、指導員に保育士等の有資格者を配置することなどを義務づけ、その運営に係る経費を都独自に補助するものであります。
ご指摘のような小一の壁問題に加え、利用希望者が増加している現状もあり、今回の新たな制度により、民間事業者の参入を促し、学童クラブの量的、質的な拡充を図ってまいります。
これにより、子どもが一層安心・安全に放課後を過ごせる場所を確保し、就学前に引き続き、就学以降も切れ目のない保育サービスを提供する体制を整備してまいります。
次に、在宅医療についてでありますが、都は、これまで地域の病院が中心となって、在宅医療を担う医師や訪問看護師、ヘルパーなどの連携を支援する取り組みや、病院のスタッフと在宅医師との相互理解を図るための研修などを実施してまいりました。
今後、さらに在宅医療を充実していくためには、地域に医療や介護資源を十分把握した窓口を設け、病院やケアマネジャー等からの相談を受け、各患者に最適な在宅医療を提供できるよう調整する仕組みが必要であります。
このため、都は、来年度、地区医師会や訪問看護ステーションなどに調整窓口を設置するモデル事業を都内四カ所で実施をし、入院患者が在宅療養に円滑に移行し、療養生活を継続できるよう支援をしてまいります。こうした取り組みの検証や普及を通じ、それぞれの地域に合った在宅療養生活を支える仕組みを築いてまいります。
次に、周産期医療体制整備計画についてでありますが、この計画は、地域における周産期医療の適切な提供を図るため、都として中長期的な周産期医療体制の整備方針を示すものであります。
その中心的な内容であるNICU病床の整備につきましては、出生一万人対三十床を基本に、平成二十六年度末までに三百二十床に増床する目標を本計画に位置づけてまいります。
さらに、今後、診療機能や連携等の実態調査を実施するとともに、周産期医療協議会の意見を伺いながら、本年夏ごろを目途に、母体、新生児搬送調整の機能強化や、NICUに長期に入院している新生児等に対する退院支援などを含め、周産期医療全般に係る計画を策定してまいります。
次に、周産期医療における平成二十二年度の具体的な取り組みについて申し上げます。
都は、NICUの安定的な運営及び整備促進を図るため、運営費補助や増床を伴う場合の整備費補助を大幅に拡充をいたします。
回復途上の新生児を受け入れるGCUについても、新たに補助制度を創設するなど、周産期母子医療センターに対する支援を格段に充実してまいります。また、スーパー総合周産期センターの指定を三カ所から四カ所に拡大するとともに、周産期連携病院についても、指定の拡大を図ってまいります。
多摩地域におきましては、NICUによる管理は必要としませんが、比較的リスクの高い新生児を受け入れる病院を、新たに多摩新生児連携病院として指定をいたします。
さらに、それぞれの地域においてネットワークグループを構築し、リスクに応じた役割分担と連携を進めてまいります。
こうした取り組みを通じて、安心して妊娠、出産できる医療提供体制の強化に努めてまいります。
最後になりますが、立川市立看護専門学校についてお答えを申し上げます。
これまで同校は優秀な人材を送り出し、多摩の地域医療体制を支えてまいりました。
また、ご指摘のとおり、都立北多摩看護専門学校が東大和市に移転したことに伴い、その施設を引き継ぐ形で開校したという経緯もあります。
こうしたことから、立川市立看護専門学校の廃止時期を踏まえつつ、都立北多摩看護専門学校の定員増について検討してまいります。
〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕
○病院経営本部長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都立病院改革の到達点と今後の展開についてでありますが、一連の再編整備事業の中でハード面で最大規模となる多摩・小児総合医療センターの開設は、周産期医療や救急医療の充実など、現下の都の医療課題に的確にこたえるものであり、平成十三年の都立病院改革マスタープランの策定以来、都議会のご支援をいただきながら進めてきた都立病院改革の大きな成果であります。
今後は、子どもから大人に至る幅広い医療の提供など、両病院の特性を十分に発揮しながら、これまでもご指摘いただいてきた地域の医療機関等との緊密な連携を着実に進め、多摩地域の医療水準の向上に寄与していく考えでございます。
さらに、現在、順次ハード整備を進めている駒込病院、松沢病院において、がん、精神科に関する高度専門的な医療水準の一層の向上を図るとともに、合併症医療や緩和医療など、近年の医療ニーズ動向を踏まえた医療サービスの充実にも努めてまいります。
今後とも、各都立病院がそれぞれの医療分野や地域において、先導的、中核的役割を果たせるよう全力で取り組んでまいります。
次に、都立病院における総合的な医療人材の確保、育成策についてでありますが、都立病院が行政的医療を初め、都民ニーズを踏まえた幅広い医療を提供するためには、ご指摘のとおり、ハード面の整備に加え、質、量ともに十分な医療人材を安定的に確保していく必要があり、これまでさまざまな取り組みを行ってまいりました。
その結果、医師については、東京医師アカデミーの創設により、来年度には、全国的に不足状況にある産科について十六名、小児科について四十三名の研修医を擁する見込みとなるなど、明るい材料がふえつつあります。
今後は、一段と高い臨床能力、研究能力を兼ね備えた人材を育成するクリニカルフェローコースを平成二十三年度に開講し、人材育成体制の一層の強化を図ってまいります。
また、看護師についても、組織を挙げた取り組みにより、本年四月には例年の約二倍の看護師を採用できる見通しとなっております。
さらに、来年度は専門試験の廃止や年齢制限の緩和等、選考の実施方法を大幅に見直すとともに、資格取得支援の充実などを図る東京看護アカデミーの運用を開始し、看護師の人材確保、育成体制の一層の充実を図ってまいります。
医療人材の不足は、依然として深刻な状況にありますが、都立病院の使命を十全に果たすため、今後とも医療人材の確保、育成に、都立病院の総力を挙げて総合的、重層的に取り組んでまいります。
〔港湾局長比留間英人君登壇〕
○港湾局長(比留間英人君) 京浜港共同ビジョンの策定の意義についてでございます。
これまで国の港湾政策は、施設整備中心の施策体系でございまして、我が国港湾の国際競争力の強化には必ずしも結びついているとはいえませんでした。
アジア諸港の躍進に伴い、京浜港への国際基幹航路の寄港数が減少する中で、都は、一昨年、危機感を共有した川崎市、横浜市とともに、京浜三港連携を開始し、コンテナ船の入港料の一元化を初めとして、さまざまな取り組みを展開してまいりました。
今般策定した共同ビジョンは、京浜港の国際競争力強化に向けて、国内貨物の集荷を図るため、地方港との連携強化により内航海運を活性化すること、広域幹線道路の整備促進を国に働きかけ、京浜港の背後圏をより広域化することなど、国内貨物輸送網全体を視野に入れた具体性のある総合的な対策でございます。
このような構想を、地方自治体が連携して、新たに打ち出したことに意義があると考えてございます。
今後、この共同ビジョンに基づき、国際戦略港湾の指定を受け、激化するアジア諸港との競争の中で、京浜港の存在を確固たるものにすべく全力で取り組んでまいります。
〔産業労働局長前田信弘君登壇〕
○産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、緊急の雇用対策についてでありますが、都は、これまでも厳しい雇用情勢に対応し、国に先駆けた雇用創出に取り組むとともに、職業訓練の大幅な拡充や求職者に対する就業支援の充実など、さまざまな対策を講じてまいりました。しかしながら、雇用情勢は依然として厳しく、一層の取り組みが求められております。
このため、まず、雇用創出事業については、本年度最終補正予算において、緊急雇用創出事業臨時特例基金をさらに拡充し、平成二十二年度には、緊急雇用創出事業とふるさと雇用再生特別基金事業を合わせて、本年度の約一万人を大幅に上回る約一万七千人の規模で雇用創出を図ってまいります。
また、離職者に対する職業訓練については、人材需要の高い介護分野の定員をふやすとともに、多様なメニューを展開するなど、より多くの就職に結びつくよう効果的に実施してまいります。
さらに、新規学卒者の採用動向は予断を許さないことから、未内定の学生さんを対象とする合同就職面接会については、来年度、参加企業の規模を拡大するほか、キャリアカウンセラーを配置した個別相談コーナーを充実させるなど、きめ細かく対応してまいります。
今後とも、雇用創出に加え、職業訓練、就業支援などの対策を適切に講じることにより、求職者一人一人の適性や状況に応じた支援を行ってまいります。
次に、中小企業の経営力向上と受注開拓支援についてであります。今年度から開始した経営力向上支援事業では、都内中小企業二千社を対象に、商工会議所等の経営指導員と中小企業診断士が直接企業を訪問し、経営課題の改善に向けた助言を行っております。
また、この助言を行う中で販路開拓が必要な企業については、受注開拓緊急支援事業を活用して、既に三百社以上の中小企業が展示会に出展するなど、新たな取引先の拡大につなげてまいりました。
しかし、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しく、都内の中小企業からも一層の支援を求める声をいただいております。このため、来年度も延べ一千社を対象に経営力向上を支援してまいります。
実施に当たりましては、これまでの取り組みを踏まえ、より効果的かつ迅速な経営改善が図られるよう、経営診断時に活用するチェックシートの内容を見直すとともに、フォローアップが必要な企業には、個々の経営課題に即した専門家の派遣など、さらなる支援を行ってまいります。
今後とも、都は、東京商工会議所などの中小企業支援機関と密接な連携を図り、経営基盤の強化に向け努力を続ける都内中小企業に対し、経営改善から販路開拓まで、切れ目なく強力に支援してまいります。
次に、都内産品を活用した商店街の活性化についてであります。
にぎわいと活気に満ちた商店街づくりには、これまで支援してまいりました施設整備やイベントなどの実施に加えまして、個々の商店街が魅力的な商品を数多く取りそろえることで集客力を高めることが重要と考えております。
そのため、都内にある優良な農林水産物や工業製品などで、販路に課題があった都内産品の新たな流通ルートを開拓し、これを商店街の活性につなげていくことは、ご指摘のとおり大変有効な方策であります。
そこで都は、平成二十二年度から、都内産のすぐれた商品の販路開拓を支援する都内産品販売活動支援事業を実施いたします。
具体的には、商店街の空き店舗などを活用し、都内産品の販売に取り組む事業者やバイヤー向けの展示即売会を開催する事業者に対して支援を行います。こうした民間事業者のノウハウを活用し、都内産品の新たな流通ルートの開拓と商店街のにぎわいを創出することで、地域経済の活性化を図ってまいります。
次に、今後の中小企業に対する金融支援についてでありますが、制度融資では、国の緊急保証制度に対応し、最優遇金利を適用した経営緊急を中心に、厳しい経営環境にある中小企業を資金面から支援してまいりました。
本年度における一月末までの経営緊急の保証承諾実績は七千八百六億円となり、多くの中小企業の資金繰りに役立っております。来年度も、引き続き経営緊急を中心に、制度融資を積極的に推進してまいります。
また、地域の金融機関と連携して都が独自に実施している新たな保証つき融資制度についても、現在、十三の金融機関において取り扱いを開始しており、本年一月末までの約三カ月間で保証承諾実績は七百六十三件、六十九億円となっております。
引き続き、取扱金融機関の拡大を図るとともに、来年度の融資規模を拡大し、利用促進を図ってまいります。
ご指摘のとおり、中小企業を取り巻く経営環境は引き続き厳しいものと予想されますので、これらの金融支援策により、中小企業の資金繰りの対応に万全を期してまいります。
次に、区部や多摩の拠点での中小企業支援についてであります。
都は、東京の発展を支える産業力の強化を図るため、都内中小企業の技術開発を支援する中核的機能を担うものとして、区部と多摩にそれぞれ産業支援拠点を整備することとしております。
平成二十三年度に、臨海部に開設予定の区部の産業支援拠点では、現在、北区にございます都立産業技術研究センターを再編し、超精密技術等の先端技術の支援や最新評価機器を駆使した基盤的技術支援、企画から試作、製品化に至るまでの総合的なデザイン支援の充実を図ってまいります。
また、先週開設いたしました多摩地域における産業支援拠点、産業サポートスクエア・TAMAでは、エレクトロニクス分野など多摩の産業特性に対応した技術支援を行うとともに、平成二十三年度に開設予定の多摩職業能力開発センターと既設の東京都農林総合研究センターをあわせて、商工、雇用、農林の各支援機関が緊密に連携し、経営、技術、人材等の課題解決に向けてワンストップサービスを展開してまいります。
さらに、圏央道の全線開通等を見据え、都域を超えた広域的産業交流や産学、産産連携の促進を図るため、八王子市に産業交流拠点の整備を計画しております。
今後、これらの拠点を中心として、都内外の支援機関と連携を図りながら、区部や多摩の中小企業のニーズに的確にこたえ、経営力向上や新技術、新製品の開発、新産業の創出等に向けて総合的な支援を行い、東京の産業の持続的な成長を実現してまいります。
最後に、中小企業の新技術開発を促進する新たな仕組みについてであります。
個々の中小企業にとって、将来の産業技術の発展動向を見きわめて、新製品、新技術の開発テーマを選定し、実行するということは容易なことではございません。このため、将来、事業化が有望な開発テーマを都が示すことは、中小企業の技術開発の促進などに大きく資するものと考えております。
また、開発テーマは、環境、少子高齢化、安全・安心など、都政の課題解決につながるものとすることで、庁内の各局と連携した成果の普及促進も可能となります。
このため、都では、来年度から都市課題解決のための技術戦略プログラムを実施いたします。
まずは環境分野において、都政の現場の声や首都大学東京等の知見などを集約し、開発テーマや目標を定めた技術戦略ロードマップを平成二十二年度前半を目標に都が策定、公表いたします。
これに沿った中小企業の新製品、新技術の開発及び事業化を、庁内各局との連携を深めながら重点的に支援してまいります。
〔都市整備局長河島均君登壇〕
○都市整備局長(河島均君) 緑確保の総合的な方針の具体的な展開についてでございますが、この方針では、都内に残された屋敷林や崖線などを対象といたしまして、将来に引き継ぐべき緑を選定し、このうち三百ヘクタールにつきましては、今後十年間かけて都と区市町村が確実に守る手だてを講じるとともに、保全を推進する新たな施策を展開することといたしました。
具体的には、民有地の緑の保全に有効な都市計画の特別緑地保全地区につきまして、土地の買い取りが生じた場合には、区市町村の財政負担を軽減する一定の補助を都が行うことにより、指定の拡大を図ってまいります。
また、樹林地の維持管理につきましても、所有者の負担を軽減するため、都と協定を結んだ民間基金から市民団体に活動費を助成できる仕組みをつくりまして、落ち葉の清掃等の活動を支援してまいります。
これに加え、遊休化した農地を借り上げて、市民農園よりも区画が大きく、菜園に限らず、ガーデニングも楽しめる新たな都市型農園の仕組みづくりを進め、農地の活用と保全を図ってまいります。
今後は、現在実施しておりますパブリックコメントでの都民の意見等を踏まえ、本年五月に最終的な取りまとめを行い、本方針に基づき、区市町村とともに緑の保全に積極的に取り組んでまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 生物多様性についてお答えいたします。
多様な生物とその生育環境を守り、これを将来世代に伝えていくことは、人々が安心して健康的に暮らす基盤の確保ともなる重要な取り組みでございます。
都は、生物多様性東京戦略の平成二十三年度策定に向けまして検討に着手しましたが、策定に当たりましては、お話のように、世界有数の大都市でありながら、一方で多摩地域や島しょを中心に豊かな自然が残る東京の特性を生かした戦略といたします。
また、これまでの緑施策などを踏まえた具体性のある内容とするとともに、他の環境施策はもちろんのこと、庁内の各施策とも連動した複合的な取り組みとし、さらには発信力があるメッセージ性の高いものとしてまいります。
そのため、今後、有識者等からも意見を聞くなど、幅広い検討を進めるとともに、シンポジウムの開催などにより、都民、事業者を巻き込んだ普及啓発を展開してまいります。
〔青少年・治安対策本部長倉田潤君登壇〕
○青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 青少年健全育成条例改正案における青少年のインターネット利用環境に係る保護者の役割についてでありますが、保護者の多くは、青少年のインターネットの利用状況や、その危険性についての関心や知識が不十分であったり、またインターネットに係る青少年の被害やトラブルを回避するために有効なフィルタリングを安易に解除したりしがちであります。
このため、改正案においては、保護者がその責任を自覚し、青少年のインターネット利用を適切に監督する責務を定めるとともに、フィルタリングの安易な解除を防止するため、解除手続の厳格化を図ったところであります。
また、青少年の健全育成に配慮した携帯電話の推奨制度を創設するなどして、保護者の適切な監督を支援していくこととしております。
〔水道局長尾崎勝君登壇〕
○水道局長(尾崎勝君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、水道事業の国際貢献におけるビジネスモデルの設定についてでございますが、当局では、これまで海外研修生の受け入れや職員派遣等の国際貢献に取り組んでまいりました。今後は、こうした取り組みに加え、世界的な水問題への対応など、我が国の水道技術に対して高まる期待を踏まえ、株式会社である東京水道サービスを活用した新たな国際貢献を実施していくことといたしました。
アジア諸国では、漏水防止が急務な国、水道水質の向上が必要な国など、さまざまなニーズがあり、また風土や国民性、財政状況も国によって異なっております。
このため、今後、ミッション団を派遣し、各国の実情を調査するとともに、海外事業調査研究会におきまして国内外の情報を精力的に収集、分析してまいります。
さらに、対価の支払い方法などの契約条件の工夫や、リスクを最小限に抑えるための政府保証の活用を検討するなど、幅広い視点でニーズと実情に応じたビジネスモデルを設定してまいります。
このような取り組みを通して、新たな国際貢献を積極的に推進してまいります。
次に、水飲み栓直結給水化モデル事業の私立学校への対象拡大についてでございますが、本モデル事業は、蛇口から水を飲むという水道文化を次世代を担う子どもたちに継承することを目的として、平成十九年度から公立小学校を対象に実施してまいりました。
これまでに実施した百九十八校の児童や教職員から、おいしい、安心、冷たい等の高い評価をいただいております。
こうした声や区市町からの要望等を踏まえ、平成二十八年度まで期間を延長するとともに、公立中学校においても事業を実施することといたしました。
本モデル事業は、実効性を考慮し、区市町との連携が可能な公立学校を対象としてまいりましたが、ご指摘のとおり、公立、私立にかかわらず、子どもたちに直結給水化された水のおいしさを実感してもらうことは、事業の意義をより高めるものと考えられることから、私立学校におきましても本モデル事業を実施することを検討してまいります。
○副議長(鈴木貫太郎君) この際、議会局長から発言の申し出がありますので、これを許します。
○議会局長(白石弥生子君) お許しをいただきまして発言の機会をいただきました。
ただいまの自由民主党川井議員の代表質問の際に、質問時間の終了を知らせる振鈴を、五十六秒間残り、終了時間に到達していないにもかかわらず、鳴らしてしまいました。
誤りのない議事運営──をつかさどるべき議会局長といたしまして、このような重大な間違いをいたし、川井議員はもとより、議場の先生方に多大なご迷惑をおかけし、大変申しわけございませんでした。深くおわびをいたします。
今後、このようなことがないよう十分注意してまいります。本当に大変申しわけございませんでした。
○副議長(鈴木貫太郎君) 以上をもって発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後六時十六分休憩
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