平成二十一年東京都議会会議録第十八号

○議長(田中良君) 二十二番鈴木隆道君。
   〔二十二番鈴木隆道君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十二番(鈴木隆道君) 私は、アジアにおける都市間交流について伺います。
 二〇一六年オリンピック・パラリンピックはリオデジャネイロで開催されることとなりました。その成功を心から祈念しますとともに、東京はできる限りの協力を行うべきであると考えます。今回の招致活動を通じ、東京は、スポーツの振興や環境への果断な取り組みなど、多くの成果を得ることができました。この成果を確実に継承し、今後の招致レースに再び名乗りを上げるべきと私は考えます。
 このたびの招致活動の一環として、私自身も、同志とともにアジアの諸都市を訪れ、その中で特に実感したことは、アジアの東京に対する評価が極めて高いということであります。東京に対して大いなる関心と期待を寄せているという現実であります。
 私は、現地で触れたアジアの国、都市、人々の期待にこたえるためにも、今まで以上に東京がアジアの中でその役割を十全に果たし、プレゼンスを高めていくことが不可欠であると再認識をいたしました。
 また、国家対国家の外交では、国益のぶつかり合いや過去の歴史の問題もあり、難しい部分も少なくありませんが、それを乗り越えて草の根で心の交流ができるのが都市対都市の外交であります。都市外交の積み重ねが、国対国の友好を強く、深くするのであります。
 石原知事が高い志を掲げて進めてきたアジア大都市ネットワーク21は、まさに都とアジア諸都市が手を携え、お互いにとってウイン・ウインの関係を構築するための貴重なネットワークであります。都は、ネットワークをリードする立場から、これまで以上に積極的な取り組みを展開し、アジアの発展に貢献すべきであり、こうした取り組みが東京に対する理解の促進につながるものと考えますが、知事の所見を伺います。
 都は、アジネット諸都市との連携により、さまざまな行政課題に協力して取り組んでいるところでありますが、一方で、アジア地域の経済が世界に占める比重が高まっている状況を踏まえますと、都内中小企業にとってもアジア市場は無視できないものとなりつつあります。
 このような状況をかんがみれば、アジア諸都市と中小企業の交流促進に当たっては、経済分野での協力関係を強力に推進することが肝要であります。
 都内には、他の国の企業がまねすることのできないすぐれた技術を持つ中小企業が多数存在をしています。
 先日、東京ビッグサイトで同時開催された産業交流展及び東京国際航空宇宙産業展においても、ベンチャー技術大賞の受賞企業や航空機産業に参入しようとする企業が数多く出展し、会場は活気にあふれておりました。きら星のごとく輝く東京の中小企業の技術の底力を改めて実感したところでもあります。
 このような企業のすぐれた技術と製品がアジア市場で認知され、活用されることは、国内産業の活性化につながるとともに、アジア地域の一層の発展にも貢献できるのではないかと考えます。
 ベンチャー技術大賞の表彰式において、知事からも、海外出張の際に受賞企業の技術をみずから紹介されているとの話がありましたが、都として、ベンチャー技術大賞の受賞企業を初めとした、東京が誇れるすぐれた技術を持つ企業とアジア都市との経済交流のさらなる促進に向けて、より一層の努力をしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 東京がアジアの発展に貢献していくに当たり、礎となるのは人であります。人と人の交流を通じ、互いの理解を促進すること、また、直面する課題をみずからの手で解決し、都市の発展を担うことのできる人材を諸都市の中に育成していくことこそが、将来を見据えたアジアの発展に必要不可欠なものであると考えます。
 残念ながら、日本はこうした人材交流、人材育成の面で、米国、EU等にはるかにおくれをとっており、アジアの優秀な人材の多数が、教育や技術の向上のために、日本ではなく欧米を目指しているのが現状であります。
 産業や大学が集積する東京には、さまざまな分野において豊富な知識と経験を有した人材がいます。この人的資源を活用し、国レベルではなくても都市のレベルにおいて東京が責任を持ってアジア諸都市との人材交流を担っていくことは、世界における東京の存在感を高める上にも大変重要なことであります。
 一方、我々自身も、アジアの中でこうした役割を求められている認識を改めて持つべきであります。都が、人材交流や人材育成を行うことで、アジア諸都市の課題解決に貢献していくことが今後より求められていくと考えますが、所見を伺います。
 続いて、中高一貫教育校についてであります。
 私の地元である目黒区には、都立桜修館中等教育学校があります。毎日生徒たちが活発に活動をし、地域からの信頼も得ております。都立の中高一貫教育校は、これまでに六校が開校し、来年四月にはさらに四校が開校して、都立高校改革推進計画で計画した十校すべてが開校となります。
 都教育委員会が中高一貫教育校を設置する意義とねらいについては、私は、平成十九年第一回定例会で質問していますので、都立の中高一貫教育校が、六年間の継続教育の中で教養教育を行い、確かな学力と豊かな教養を身につけ、社会のさまざまな場面や分野において、人々の信頼を得て、リーダーとなり得る人材の育成を目指していることは承知をしております。
 中高一貫教育校では、高校受験の影響を受けることなく、六年間の計画的、継続的な学習指導や進路指導を展開できるので、生徒はゆとりのある安定した学校生活を送ることができます。
 六年間という継続した時間の中で、学校は生徒の可能性を引き出すさまざまな体験や機会を提供できますし、生徒はそれらの中から自分の将来の進むべき方向も見出すことができます。
 十三歳から十八歳までの人生で最も多感な時期に、一年生から六年生までの幅広い年齢層の生徒たちが一つの学校でさまざまな活動をともにするわけでありますから、そこから生徒たちは、青春の一ページとなるかけがえのない思い出をつくり、厚い友情をはぐくみ、互いに認め合い、思いやる心や愛校心、地域を愛する心が育っていくものと考えます。これこそが、都民が都立の中高一貫教育校に期待するところだと私は確信をしています。
 このような都民の期待にこたえて、都立の中高一貫教育校では、さまざまな特色ある教育活動が行われていると思います。
 そこで、現在開校している都立の中高一貫教育校においてどのような特色ある教育活動を行っているか、伺います。
 都立の中高一貫教育校においてさまざまな特色のある教育活動を行うためには、生徒を指導する教員の資質、能力の向上が不可欠であります。生徒にとってかけがえのない六年間を教師も一緒に過ごすわけでありますから、従来の中学校や高校以上に教師の人間性が生徒に大きく影響してきます。
 我が国の将来を担うリーダーを育てるという高い志を持ち、生徒の夢や希望を実現させるために、生徒と真剣に向かい合い、学習の場面や学校行事などさまざまな活動の場面において生徒の可能性を引き出す指導を行う教員が求められていると思います。そのような教師の姿に生徒が敬愛の念を抱き、信頼を寄せるのであります。
 そのためには、研修等により、中高一貫教育の理念や特色を理解し、教科指導はもちろんのこと、六年間を見通した生活指導や進路指導等に関する資質、能力を向上させるための取り組みを充実させることが必要であると考えます。
 そこで、都教育委員会は、都立の中高一貫教育校に勤務する教員の資質、能力の向上にどのように取り組んでいるか、伺います。
 都立の中高一貫教育校への応募倍率は依然として高く、このことからも都民の期待が依然として高いことがうかがえます。ホームページを見ますと、各学校にさまざまな教育活動が展開されていることがうかがえます。
 先ほどお話しした桜修館中等教育学校においても、生徒が日本学生科学賞で最優秀賞を受賞したり、総合的な学習の時間の一環として、地元の小学生を学校に招いて、ようこそ小学生というワークショップを開催し、生徒の活躍の様子が地域にも伝えられています。
 都立の中高一貫教育校において、まだ卒業生は出ていないと承知をしておりますが、現時点でどのような成果が上がっているのか、伺います。
 次に、犯罪防止対策について伺います。
 都内のインターネットカフェでは、匿名性の高さに目をつけた危うい利用が横行をしています。報道によれば、都内に八月末時点で計五百六十一店舗あったインターネットカフェのうち、本人確認を実施している二百十四店では、刑法犯の発生件数が一店舗当たり〇・七三件だったのに対し、未実施だと確認できた三百二十三店では、二倍以上の一・五六件でありました。二十四時間営業の店が八八%を占め、若者のたまり場になっているなどの問題点が指摘をされています。
 また、警視庁によれば、ことしの一月から八月までに都内のインターネットカフェで起きた刑法犯は六百七十九件で、このうち五百五件が本人確認を実施していない店で起きたとのことであります。
 都民が、インターネットカフェを悪用した犯罪の被害に遭うことなく、安全で安心してインターネットカフェを利用することができるようにするため、何らかの犯罪防止策が必要であると考えられます。
 別の新聞報道によれば、警視庁は、個室を備えたインターネットカフェに利用者を身分証で本人確認することなどを義務づけるインターネット端末利用営業の規制に関する条例(仮称)案を、早ければ来年初めの都議会へ提出する方針であることも報じられています。インターネットカフェの現状と今後の対策について、警視庁の見解を伺います。
 次に、総合設計制度について伺います。
 本年七月に改定された都市づくりビジョンでは、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京の創造を新たな基本理念としてこれからの都市づくりを進めていくことが示されました。
 このビジョンに基づき、東京を世界の範となるような、さらにレベルの高い成熟都市に進化させるためには、基幹的な道路の整備や踏切対策などを推進し、人や物の移動について一層の円滑化を図るとともに、都市空間の形成に大きな影響を与える大規模な建設計画について、都市開発諸制度を効果的に活用し、適切に誘導していくことが必要であります。
 敷地内に公開空地を設けるなどを条件に行政の許可により容積率等の緩和を認める総合設計制度は、これまで都内で七百件近い適用事例があり、東京の都市づくりに寄与してきたと評価をしていますが、この制度についても、低炭素型都市の実現や緑の充実など、これからの都市づくりを推進するためのツールとしていくことが重要と考えます。
 本年三月の予算特別委員会においても、我が党として、総合設計制度の再構築を図るべきとの観点から質問をいたしました。
 これに対し、都からも、新たな制度を検討する旨の答弁がありましたが、その後の検討状況はどのようになっているのか改めて伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 鈴木隆道議員の一般質問にお答えいたします。
 アジア大都市ネットワーク21への取り組みと東京への理解促進についてでありますが、アジア大都市ネットワーク21では、平成十三年の発足以来、大都市が直面するいろいろな課題の解決に向けまして、危機管理や環境対策、航空機の開発促進など、幅広い分野で各都市が協力し、実績を重ねて、成果も上げてまいりました。
 ネットに限らず、東京は、こうした共同事業の推進や現場レベルでの情報交換の積み重ねを通じて各都市との信頼関係を培い、アジアの繁栄と発展に大きく貢献してきたと思っております。
 先般も、北京市の交通の整備、それから環境、危機管理担当の副市長が来まして、長らく東京に滞在しまして、環境の施設を見て、非常に感銘を受け、また感謝をして帰られました。
 今後とも、これまで培ったアジアの諸都市とのきずなをより強固なものにして、新型インフルエンザや地球環境問題など、世界規模での諸課題の解決に向けた取り組みを牽引していきたいと思っております。
 また、来年、東京で開催する総会の機会をとらえまして、先端技術や多彩な文化などを発信し、東京の持つ魅力や潜在力に対するアジア諸都市の理解を一層深め、国際社会における東京の存在感を高めていきたいと思っております。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) インターネットカフェの現状と今後の対策についてお答えをいたします。
 インターネットカフェ、ただいま議員が申されましたとおり、大体五百六十店舗ほどございますけれども、低価格で気軽にインターネットが利用できる、そういう意味では大変便利なものだなというふうに思います。
 しかしながら、その一方で、多くの店舗で利用者の本人確認が行われていない、そういう現状から、店舗内のコンピューターを悪用したいわゆるハイテク犯罪、これは後ほど申しますけれども、後を絶たない状況にありますけれども、そうしたハイテク犯罪が行われた場合に犯人がなかなか特定できないという現状があります。
 それから、利用者がコンピューターに入力をしたIDあるいはパスワード等をほかの利用者が不正に入手するという事案が発生しておりますが、この種の事案の発生がさらに懸念をされるという点もございます。
 また、二十四時間営業の形態をとる店舗が多いわけでありますけれども、その結果、家出や深夜徘回をする少年のたまり場となっているほか、多くの店でフィルタリング機能が導入されておりません。その結果、少年がそうしたコンピューターを使って違法、有害情報に触れるおそれが大きいということがあります。そういった問題点があるわけであります。
 現に、密室性の非常に高い個室を備えた店舗におきましては、いわば匿名性を利用したハイテク犯罪が、今申し上げましたとおり、後を絶たないということでございます。例えば、自分がかつて勤めていた会社の管理している認証サーバーコンピューターに、その会社の顧客企業のID、パスワード、これを入力して不正アクセスをする。そして、メールアドレス等の情報、約十八万件を不正にダウンロードして入手をする。かつ、これらの個人情報を出会い系サイト事業者に譲り渡すという事案がございましたけれども、こうした事案は後を絶たないということでございます。
 さらに、密室性の高い個室ということでございますので、そうした場での窃盗あるいは性犯罪、さらには青少年の健全育成を害する多くの事案が発生をしているというのが実態であります。
 そこで、私ども警視庁では、かねてより各警察署において事業者による防犯協力組織を設立するなどして、何とか各種の防犯対策の自主的な実施を促してきたところであります。
 しかしながら、利用者の本人確認を初め、犯罪者が犯罪を行いにくい環境の整備はいまだ極めて不十分であるというふうに考えております。そういう意味では、事業者の方の自主努力には限界も見受けられるということであります。
 なお、事業者の方の中には、本人確認もし、フィルタリングも導入し、あるいは防犯措置もとるというような事業者もいらっしゃるわけでありますが、かえってそういう事業者の方が割を食っているというのも実態かというふうに思います。
 そういう意味で、このたび、業界団体の代表も含めた有識者懇談会というものを設置いたしまして、このインターネットカフェ等を利用した犯罪の防止対策について議論を重ねてきたところであります。
 その結果、本人確認義務を初めとする法的規制あるいは事業者に対する継続的な支援、指導、そういった対策が必要であるという報告書を取りまとめいただいたところであります。
 なお、匿名性の問題について一言申し上げたいと思いますが、私は、今日の犯罪の大きな特徴が匿名化であろうというふうに思います。九〇年代の後半から、ネット社会がどんどん発展する中で犯罪の匿名化というのが進んできているということだろうと思います。私は、ネット社会そのものは極めて大切でありますし、これは切っても切れないものだろう、こう思います。
 かつて、ジンバルドという心理学者が匿名性について分析したテーマがございまして、人がみずからの匿名性が保証された状況にありますと、行動の特性として自己規制意識というものが低下をする。その結果、行動が極めて情緒的あるいは衝動的、あるいは非合理的な行動が出る。また、いわゆる没個性化ということで、周りの環境に容易に感染しやすいというのがこの理論でありますけれども、現在ネット上ではんらんする違法、有害情報もさることながら、ネット上でのいわゆるブログ炎上というようなものも、その特徴を明らかに示しているのではないか、こう思います。
 いずれにしても、匿名化された犯罪にどう対処していくのかというのが、私どもにとって、都民の安全・安心を守る、あるいはネット社会の発展につなげるという意味でも、必要なことではないかというふうに考えております。
 そうした意味で、今般、さきの報告書の内容を受けまして、本人確認義務等を内容とする条例案、インターネット端末利用営業の規制に関する条例、これは仮称でありますけれども、その策定を検討しているというところであります。
 現在パブリックコメントを行っているところでありますが、今後、このパブリックコメントの結果等を踏まえた上で、早急かつ積極的に必要な手だてを講じてまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立の中高一貫教育校における特色ある教育活動についてでございます。
 現在開校している都立の中高一貫教育校におきましては、それぞれ母体となる高等学校の伝統や地域の特色を生かしまして、日本の伝統文化理解教育、理数教育、国際理解教育の推進、国語力や実践的なコミュニケーション能力、論理的思考力、グローバルな視点から諸問題を解決する能力の育成など、さまざまな特色ある教育活動を行っております。
 また、文化祭や体育祭などの学校行事や部活動を中学生と高校生が合同で企画、運営するなど、中高一貫教育校ならではの異年齢交流や、学年進行に合わせ、それぞれの学年で必要とされる目的を達成するために、ホームルーム合宿、自然体験、海外研修などの宿泊行事を実施し、集団生活を通して生徒に思いやりの心やリーダーシップなどを身につけさせております。
 こうした特色ある教育活動を行う都立の中高一貫教育校では、中学三年間、高校三年間という従来の校種間の区分によらず、生徒の発達段階に応じたきめ細かい教育活動を行うために、例えば六年間の学校生活を二年ずつ、基礎力養成期、充実期、発展期というように、三期に分けて指導を行うなど、中高一貫教育校の特性を最大限に生かした教育活動を実践しております。
 次に、都立の中高一貫教育校に勤務する教員の資質、能力の向上についてでございます。
 中高一貫教育校におきましては、中学校の教員が高校生を指導したり、逆に、高校の教員が中学生を指導したりということがございます。このために、それぞれの教員が生徒の発達段階に応じた特性を理解し、一人一人の個性を伸ばすことができるよう、教員の資質、能力の向上に取り組むことが重要でございます。
 そのために、都教育委員会は、中高一貫教育校の開校に先立ちまして、平成十六年度から、中高一貫教育校への配置を希望する教員を対象に、教職員研修センターにおきまして、教育課程の編成、学習指導や生活指導、進路指導のあり方、異校種の学校での授業研究等の研修を実施してまいりました。
 また、現在、中高一貫教育校に勤務する教員に対しましても、六年間を見通した計画的な指導体制による組織的な学校運営を行うために、教務や進路指導の担当者などを対象とした研修ですとか、教科の指導力向上を図るための他校の授業見学などを実施しております。
 今後も、都教育委員会は、生徒の実態や発達段階を踏まえた指導が行えるよう研修の充実を図り、中高一貫教育校の教員の資質、能力の向上に努めてまいります。
 次に、都立の中高一貫教育校の現時点での成果についてでございます。
 都立の中高一貫教育校に学ぶ生徒は、さまざまな分野で活躍し、都民から高い評価をいただいており、全国的にも注目を集めております。
 例えば、日本の伝統文化理解教育を特色とする学校では、日本太鼓ジュニアコンクール全国大会への出場、国語力の育成を特色とする学校ではディベート甲子園全国大会に出場、理数教育を特色とする学校では日本ジュニア数学オリンピックにおいて上位入賞、論理的思考力の育成を特色とする学校では全国中学生人権作文コンテストでの作文委員会賞受賞など、顕著な成果が見られます。
 また、多くの生徒が英語検定二級を初めとした各種検定にチャレンジし、高い合格実績を上げております。
 さらに、奉仕体験活動などを通して社会に貢献しようとする心が育ち、また、六年間の一貫教育の利点を生かした中学生と高校生の交流により、高校生には思いやりやリーダーシップが、中学生には早くからの進路に対する意識や努力する態度が育つなど、社会で活躍するリーダーに必要な資質の育成が図られております。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) アジア諸都市との経済交流の促進に関するご質問にお答えいたします。
 都内にはベンチャー技術大賞の受賞企業を初めとして、すぐれた技術を持つ中小企業が数多く存在しております。これらの企業が集積する東京とアジア諸都市との間で経済交流が活発になることは、技術や製品の流通拡大を通じて都内産業の活性化につながるとともに、アジア諸都市の経済的な発展にも貢献すると考えております。
 こうした交流の促進には、各都市の企業が相互に製品や市場を理解し、ビジネスにつなげていくことが重要でありまして、行政にはそのきっかけをつくる、こういったことが求められております。
 既に知事の指示によりベンチャー技術大賞の受賞企業の技術を紹介する英語の冊子を作成し、アジア大都市ネットワーク21の参加諸都市などに配布しております。このように、都はすぐれた技術を持つ都内中小企業を海外へ積極的に紹介してまいりました。
 さらに、今後、産業交流展の場を活用してベンチャー技術大賞の受賞企業を初めとした都内中小企業を発展著しいアジア諸都市に紹介し、交流の機会を設けることを検討するなど、経済交流の拡大に引き続き努力してまいります。
   〔知事本局長吉川和夫君登壇〕

○知事本局長(吉川和夫君) 人材交流や人材育成を通じた、アジア諸都市への貢献についてでございますが、アジア大都市ネットワーク21を通じて、東京都は感染症や都市づくりなど、各行政分野における専門家を有効に活用し、研修や共同研究を実施することによりまして、都が持つすぐれた技術や専門知識をアジア諸都市に提供してまいりました。
 北京市との間におきましても、本年九月に水や環境分野におけます技術協力の協定を締結いたしまして、先ほど知事もお話をされましたが、先月末に北京市の視察団を受け入れまして、専門的な見地からの意見交換を行いました。
 また、昨年にはアジア人材育成基金を設置し、首都大学東京にアジアの留学生を受け入れて実施する高度先端的な研究や、災害救助の専門家を現地に派遣した技術指導などの新たな施策を本格的に始動いたしました。
 今後とも、これらの施策を着実に推進するとともに、アジア諸都市のニーズを十分に把握し、基金を一層活用することによりまして、東京の各種研究機関や民間企業等の豊富な人的資源を生かしたアジアへのさらなる貢献策について検討してまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 総合設計制度改正の検討状況についてでございますが、都は現在、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京を目指しまして都市づくりに積極的に取り組んでおりますが、総合設計制度の運用に当たりましても、これまで以上に環境負荷の低減や豊かな緑の創出、防災性の向上等を図ることが必要でございまして、こうした視点を重視して、現在、制度の改正に向けた検討作業を進めております。
 具体的には、現在、設計の際に求めております建築物の断熱性や設備の省エネ性能を上回る高次の環境性能を確保する場合や緑の質と量について一層の向上を図る場合に、これらの取り組みをしない場合と比べてより多くの容積率の緩和を受けられるようにしてまいります。
 あわせて高齢者住宅の整備、緊急輸送道路沿道の耐震化、まち並み景観への配慮など、地域のまちづくりと調和したプロジェクトを促進できるような仕組みを検討しておりまして、これらを通じてより質の高い建築計画を誘導してまいります。
 今後、民間事業者等の意見を聞きながらさらに検討を進め、年度内には制度の改正を行う予定でございます。

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