平成二十一年東京都議会会議録第十八号

○議長(田中良君) 九番くりした善行君。
   〔九番くりした善行君登壇〕

○九番(くりした善行君) 私からは、まず、二〇一六年のオリンピック招致活動に関する質問をさせていただきます。
 周知のとおり、十月二日のコペンハーゲンにおけるIOC総会で、二〇一六年のオリンピック開催都市がリオデジャネイロに決まりました。東京都はこの結果を受けて、招致費用の再検証を行っていくことを表明しました。その一端についてお伺いいたします。
 まず、オリンピック招致関連事業の妥当性、公平性についてお伺いいたします。
 東京都及びオリンピック招致委員会は、招致レースに際して多くの事前活動を行ってきました。その中で使われた総額百五十億円の費用のうち、少なくとも五十三億円以上の事業が電通に発注をされており、さらに、そのうちの九九%以上、ほとんどすべてが特命随意契約という入札による競争性を除いた形で契約されております。
 特命随意契約は価格の妥当性を確保することが困難なことから、特定企業が特許を持った物品、技術等を伴う場合を除いては、できる限り競争入札に付するよう配慮されるのが一般的であります。
 しかし、とりわけオリンピック招致活動の中において、その企業しか遂行することができないという部分に対しての解釈はあいまいで、必ずしも電通でなければできないわけではなく、電通が行った方が便宜上都合がよいためといった性質のものも混在しております。
 決算委員会の中において、都営バスのラッピング広告事業は電通に特命随意契約がなされたものの、結果的に作業は他の企業に丸投げをされており、電通でなくてもよかったのではないかと指摘をされました。
 招致活動のプランを立てるオリンピック・パラリンピック招致委員会には電通から四人の社員が出向しており、都民が都の招致活動のあり方並びに公共活動のあり方に対して疑念を持つことは避けられないのではないでしょうか。
 東京都のオリンピック・パラリンピック招致本部及び招致委員会において、なぜこのように電通に発注される事業の割合が極端に高くなってしまったのか、まず伺います。
 次に、コペンハーゲンでのIOC総会における最終プレゼンテーションについてお伺いをいたします。
 プレゼンテーション実施における背景スライドや映像の作成作業、スピーチ原稿の翻訳等を含めた全体のプロモーション活動は、やはり一括して電通を通して行われました。
 この事業においては、実施前に総額七億五千万円という試算が招致委員会によってなされており、その内訳として、大きなものでは、プレゼンテーションに活用された約十分間の映像作成費用が五億円、プレゼンテーションのコンサルタント費用が四千万円という額で見積もられておりました。
 この価格をもとに電通と交渉を行ったわけですけれども、果たしてこの価格を決める上で、価格の妥当性については十分に検証されたのでありますでしょうか。
 まず、映像に関して、招致委員会が五億円の見積もりの検証材料としているのは、電通の出した見積もりと、二〇一二年のオリンピック招致に成功したロンドンは約五億円の映像作成費用をかけたという招致活動コンサルタントの口頭による情報であります。さらに、実績としては、みのもんたさんの出演した東京五輪のCM作成費用が三十秒間約四千万円であった例であるそうですが、事実でしょうか。伺います。もし事実だとすれば、正確な情報及び適切な比較対象を持たずに見積もりを行ってしまったという印象を否めません。
 私は、この費用額について、ロンドン・オリンピック招致の際に映像を作成したロンドンの企業に直接問い合わせてみましたけれども、約十四分間の映像で計百二十八万ユーロ、つまり一億七千万円の価格で契約をされたそうです。映像の長さを加味すれば、もっと安い価格でできる可能性もあるのではないでしょうか。
 同社が二〇一二年ロンドン・オリンピックのプレゼンテーション映像を作成している事実はホームページでも大々的に載っております。価格についても、問い合わせれば親切に答えてくれます。
 また、実際にコペンハーゲンで使われた映像をもとに大手広告代理店に見積もりを依頼したところ、かなり余裕を持たせた上で計約一億九千八百万円という見積もりが出てきました。スタッフの宿泊費用を一日十万円で見積もった場合でも、この価格でできるそうです。
 これらの情報から、どんなに余裕を持たせても三億円を超える見積もりは考えられないと思いますが、いかがでしょうか。その他に関連業界の方々にもお話を伺いましたが、五億円が妥当だとする人は一人もおりません。
 プレゼンテーションの費用について伺います。
 プレゼンテーションのコンサルタント費用約四千万円の積算根拠は、プレゼンテーションのコーチングを行うコンサルタントが日給約六十一万円、その他のコンサルタント四人がおのおの日給三十万円、その他、旅費や宿泊費用を七百万円と見込んで計四千万円だとのことですが、コンサルタント費用の日給約六十一万円、三十万円は、一般的な感覚から見てかなりの高額ではないかと感じるのですが、これらはどのように見積もった価格なのでしょうか。お伺いします。
 これらは見積もりの段階でのお話ではありますが、発注者側から見積もりが出されたら、受注する企業としては、その見積もりを基準に合わせてくるのは当然のことであり、見積もりを出すに当たっては、正確な情報をもとに多角的な検証を行うべきではなかったのでないでしょうか。
 見積もりの内容を伺う限り、十分にコストの妥当性について検証できていたかというと、とてもではないが都民を納得させることはできないレベルだと私は考えております。こういった配慮を十分行わず、一方的に都民に協力を求める姿勢が、オリンピック開催に世論がついてこない大きな原因になっているのではないでしょうか。
 最終プレゼンテーションに関しては、不確定要素が多数存在し、正確な見積もりを算出するのが困難なことは理解のできるところではありますが、都民の税金を扱うわけですから、価格の公正性を守る上でできる限りの工夫がなされるべきであります。
 それについては都も同様の認識と思いますが、見積もり時に十分な情報が用意されていたかについてどうお考えなのでしょうか。都の見解を伺います。
 次に、知事に伺います。
 東京都及びオリンピック・パラリンピック招致委員会は、電通が深く関与した上で、各地域でのイベント振興や広告宣伝に力を入れてきましたが、招致レースの重要な指標となるIOCによる支持率調査では、東京の支持率は、二〇〇八年六月、五九%から、二〇〇九年二月、五五・五%と逆に低下をする結果となってしまいました。
 さらに、少なくとも最終プレゼンテーションにおいては、招致関連事業に対しての情報が不足していたことから、知識、経験にまさる企業側にリードされてしまった可能性が高いかと思われます。
 私は、招致活動においてもっと自由競争が働くよう配慮を行えば、価格の適正を確保するとともに、切磋琢磨によるクオリティーの向上も望むことができたのではないかと考えます。
 都知事自身も、作成された最終プレゼンテーションの映像に関して、直前の記者会見で、情けないぐらいだめだねというコメントをされていますが、知事はこのたびの招致レースを振り返って、IOC総会を初めとするプロモーションの内容及び費用については妥当と考えているのか、お伺いをいたします。
 次に、東京都における財政改革に関連して質問をいたします。
 都は、平成十年度の決算収支が約一千億円の赤字を記録する等、財政の危機的状況に対して、平成十二年度から十八年度にかけて二次にわたる財政再建推進プランを策定し、人員の削減、事業の見直しを率先して行い、都財政の健全化に尽力してきました。
 その結果、平成十八年には、景気の回復による税収増にも助けられ、収支を十六年ぶりに黒字に転じることができました。それ以降、国の景気も堅調であったことから、都の財政はより健全な方向へと推移してきました。
 しかし、昨年のリーマンショックに端を発した景気の急激な悪化に伴い、今年度は一兆円以上の税収減が予測されております。いまだ景気の先行きも不透明なことから、支出の見直しについては急務であると知事も見解を示されました。
 ついては、一時的な対応だけではなく、むだの少ない財政体質をつくり上げていくために、事業の見直しによる経費削減は不可避であると考えますが、都の見解を伺います。
 そこで、事業見直しの一つの手段として、都での事務事業仕分けを提案したく、続けて質問します。
 先月、国政において、各省庁の事業の必要性について、民間の有識者も含めて開かれた場で議論を展開する事業仕分けが行われ、国民の大きな注目を集めました。
 各メディアの世論調査でも、前政権下においては国民の目に触れることのなかった議論が明るい場所で行われることに対しては、取り組みを評価するとの声が多数を占めております。
 行政サービスのいわば株主である国民が、そのサービス内容について触れることができなかったことに対して、いかに不満や不信感を募らせていたのかがうかがい知れるところであります。
 極めて厳しい国の財政状況においては、非常に高いコスト意識を持って仕分けに臨まねばならず、その議論内容と仕分け結果に対しては、評価が二分していることは事実であります。
 結果をどう生かすのかについては、現在慎重な議論が進められているところではありますが、行政サービスに対する評価について、透明性を確保するとともに、サービスを享受する国民がより多くの判断材料を持てるようになったという意味では、間違いなく日本の民主主義が前進をしたと私は確信を持っております。
 先日、東京都の財政委員会において、都でも事業仕分けを導入したらどうかという提案がなされました。都はそれに対し多くの課題を示しました。
 その課題の一つとして、すべての事業において既に点検を行っているというものがありました。しかし、現在、実質的な事業見直しの議論は各局にゆだねられ、評価プロセスが義務化されているわけでもありません。これでは能動的に不必要な事業の洗い出しを行っていくことは難しく、予算が狭まらない限りは、多くの場合、事業継続の判断がとられる傾向にあります。
 各局の決めた事業見直し内容の一部に財務局の見解を加えて一般公開する事務事業評価という取り組みもされておりますが、財務局の評価は、同じ行政としての目線で局の意見を補助、補完する性質のものが多く、さらに、対象となる事業数は全体からすると小さく、平成二十年度は都全体約五千事業中の百二十六事業にしか行われておりません。どの事業について評価内容を公開するのかというところに対しても、担当局と財務局の判断になるため、透明性も担保されるとはいえません。
 現在の評価方式に欠けている客観的な視点、そして、透明性を確保するために民間人を入れて各事業に対する評価を行うことは有効であると考えますが、都の見解を伺います。
 それ以外に、都は、限られた制約の中での評価に疑問がある、市民を代表していない仕分け人による評価に妥当性はあるのか、仕分け人には政策的方針がなく、評価の基準が不明確との課題を挙げましたが、事業仕分けの結果を一〇〇%予算に反映させるということであれば、あるいはそういった懸念もあるかもしれません。
 しかし、仕分けの結果や議論内容については、それ自身が拘束力を持っているものではありません。それらの情報をもとに、予算の決定はあくまで市民を代表する知事が、それに対する確認は我々議員が、それぞれ検証を徹底した上で行います。
 であれば、前述のような問題は克服することができるのではないでしょうか。仕分け人が政策的方針を持たないのはむしろ健全なことであり、それらの方々の意見に対して、政策的方針を持って実現をしていくのが我々政治家の仕事でございます。
 残念ながら、現在、都の膨大な事業に対して、議員が事業レベルでの調査を網羅的に行うことは現実的に不可能であります。それに対して、都民や有識者目線の情報量をふやすことによって、従来我々の目の十分に届かなかった行政サービスの内容について、より細やかに提案を行えるようにしていく、これは多くの国民が支持する政治主導を実現する一つのステップでもあります。
 議員がより多くの情報を集める上で事業仕分けは有用であると考えますが、都の見解を伺います。
 事業仕分けは、使い方を間違えなければ、行政に透明性と市民の声をもたらしてくれる強力なツールになり得ます。日本の最先端を行く東京都としては、国民から大きな期待を受けている事業仕分けについても意欲的に活用を検討いただけるよう強く要望をいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕
   〔発言する者あり〕

○知事(石原慎太郎君) みんなあんまり興奮しないで。
 くりした善行議員の一般質問にお答えいたします。
 オリンピック・パラリンピックの招致活動経費についてでありますが、招致活動は国家間の熾烈な競争でありまして、国やスポーツ界はもとより、専門にたけた企業の力を最大限活用し、総力を挙げて取り組む必要があります。
 二〇一六年の招致活動においては、その一つとして、オリンピックを初め国際的なスポーツ大会の招致や運営に実績のある電通を活用いたしました。
 IOC総会は最後の決戦の場でありまして、全力を挙げて最終プレゼンテーションの準備を行い、本番に臨んだ結果、IOC委員や総会出席者から高い評価を得ることができました。このプレゼンテーションについては、過去の立候補都市の例など、必要な情報を収集するとともに、最少の経費で最大の効果が得られるように工夫を凝らしたつもりでございます。
 今回の招致活動で得た成果は将来への貴重な資産であり、後々に引き継いでいくため、現在、活動報告書をまとめさせております。経費全体の使途についても、監査を実施した上で明らかにしてまいります。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) まず、株式会社電通との契約についてでありますが、オリンピック招致は、熾烈な国際競争を勝ち抜くという特殊な目的を持っている事業でございます。IOCから高い評価を得るためには、招致について実績とノウハウを持つ企業を活用することが不可欠でございます。
 電通は、長野オリンピックの招致、運営に実績があること、IOCの公式スポンサー業務を行っていること、オリンピック・パラリンピック招致に関して人的なネットワークを持っていること、オリンピック以外にも陸上、水泳、サッカーなどの主要な世界大会の運営や国際的なマーケティングにかかわっていることなど、同業他社にはない実績とノウハウを有しております。実際にも、案件に応じて同業他社を入れた企画コンペを実施したことがありますが、企画提案の内容には大きな差があったというのが実態でございます。
 こうしたことから、計画策定や国際招致活動など招致に関する根幹的な業務について電通と特命随意契約を締結することが多くなり、しかも、こうした業務の一件当たりの事業費が大きいことから、委託契約における受注の割合が高くなったものでございます。
 なお、お話のありました丸投げという契約の実態はございません。
 次に、映像制作経費の見積もりについてでございますが、十月二日のIOC総会で行われました最終プレゼンテーションのかなめはプレゼンターによるスピーチと映像でございまして、とりわけ映像は、オリンピック・パラリンピックの開催を強く望む日本国民の熱い思い、開催計画のポイントを、限られた時間でIOC委員に音と視覚で訴えることができる手段でございまして、招致戦略上、極めて重要でございました。
 そのため、都と招致委員会では、最終プレゼンテーションに向けまして四本の映像、つまり、一つは一九六四年の東京大会で活躍した日本人の姿、二つ目はスポーツにかける日本の若者たち、三つ目は二〇一六年東京大会の競技会場、そして四つ目は世界を結ぶスポーツの力、この四つをテーマにした映像を作成することとしまして、過去の立候補都市の実績やコンピューターグラフィックスを使用したことを加味しまして独自に積算を行ったものでございます。
 積算に当たりましては、二〇一二年のオリンピック招致で最高の計画と称されましたパリの招致メンバーで映像作成にかかわった専門家や、パリを逆転し開催をかち取ったロンドンと契約した専門家を東京のコンサルタントとして契約し、これらの者から映像制作費用に関するアドバイスを受けるとともに、東京都が作成した映像の契約実績をも参考にいたしました。また、委託業者からも、概算額の聴取をあわせて行いました。最終プレゼンや、あるいは国内プロモーション映像、こうしたこと全体を合わせまして、総合的に経費を検討したものでございます。
 次に、最終プレゼンにおけるスピーチに係る経費についてでございますけれども、オリンピック・パラリンピック招致は、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリードといった世界の有力都市との間の競争であり、どの都市も招致獲得に向けて世界最高レベルの海外コンサルタントを集め、活用いたしておりました。
 今回、東京の招致チームには、ロンドンやソチなどの過去の大会をかち得た経験を持つ海外コンサルタント五名をスピーチの専門家として雇い、延べ三週間にわたり日本国内で専門的な指導を行ったほか、現地においても連日、総会直前までプレゼンターに対してスピーチに関する技術指導を行いました。
 その費用の積算に当たりましては、海外コンサルタントから事前に費用提案を受けておりまして、加えて、これまでの招致活動で活用した海外コンサルタントとの契約事例と比較するなどしまして、適正に積算を行ったと考えております。
 最後に、最終プレゼンテーション経費の見積もりの際の情報収集についてでありますけれども、招致活動自体、東京都としては五十二年ぶり、我が国としましても大阪以来の八年ぶりのことでございまして、かつ、過去の活動記録も十分でないために情報も存分に集められない状況であったことは事実でございます。
 しかしながら、ただいま答弁いたしましたように、ロンドンやパリなどの最近の立候補都市の例や、海外コンサルタントからのアドバイス、また、これまでの類似事例の実績など、参考となる情報をできる限り収集いたしまして積算を行ったものでございます。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今後の財政運営についてでございますが、これまでの二次にわたる財政再建の過程の中で、都が基金や都債といった財政の対応力を培ってきたのは、まさに常に大きな財政環境の変動にさらされる都財政にあって、都としてなすべき役割を着実に果たすための備えでございました。したがって、現下の状況の中でこれらの対応力を活用するのは当然でございますが、その前提として、さらに事務事業評価に基づく施策点検を改めて行いまして、むだをなくし、一層の効率化を図っていくことは重要でございます。
 来年度予算編成に向けましては、この事務事業評価を編成の大きな柱の一つと位置づけておりまして、厳しい財政環境のもとにありましても、真に都民に役立つ施策を構築するべく、各局と連携しながら施策を再構築して、練り上げてまいります。
 次に、事務事業評価における客観性、透明性の確保についてでございますが、まず確認をしておかなければならないことは、現在、私どもが行っております事務事業評価という制度につきましては、これは石原知事就任以来、二次にわたる財政再建という非常に徹底した厳しい、全事業にわたる事務事業の見直しを一回実施したというところがございます。その上に立って八千億もの財源を生み出して今日があるわけでございまして、それは先ほどご評価いただいたとおりでございます。
 その成果の上に立って、次にどのように事務事業というものを新しい会計制度などを使いながら時間軸の中でしっかりととらえていこうかという、新しい手法として、今、徐々につくり出しているのが、この事務事業評価制度でございます。
 そういうものとしてご理解をいただいた上で、事務事業評価における客観性、透明性の確保についてでございますけれども、都におきましても、事務事業評価の客観性、透明性は当然のことながら重要な課題と位置づけておりまして、事業の効果などを明らかにし、また、公会計手法を活用したコスト、ストック分析などを取り入れるとともに、具体的に評価の視点を示すことで客観性の確保に努めております。
 また、事業を実施するに当たりましては、民間の専門家の方々の意見を伺い、また重要な計画の策定、改定に当たりましては広くパブリックコメントを実施するなど、民間の視点も施策に反映するように努力をいたしております。今後とも、事務事業評価における客観性、透明性の向上に取り組んでまいります。
 なお、ご質問は、東京都の事務事業評価制度というのは財務局と各局の間でやっているので、同じ行政マン同士なので厳しさに欠けるのではないかという趣旨にも聞こえるようなニュアンスがあるわけでございますが、残念ながら現実には、財務局主計部は都庁全体の嫌われ者でございまして、その点はご懸念には及ばないのかと思っております。
 最後に、議員活動に資する情報収集の手法についてのお尋ねでございますが、事業仕分け、あるいは事務事業評価、いずれも個別の事業の必要性や効果などを検証して、よりよいものにしていこうという目的でしているという点では、共通だと思っております。
 議員活動に資する情報という点につきましては、都においても、さまざまな手だてによって多面的に行っておりまして、地方自治法でもいろいろ資料が定められておるわけですが、東京都の場合には、それ以外にも、都独自のデータとして毎年度、年次財務報告書を作成し公表、議会にも報告させていただいておりますし、この中では、東京都が開発した新たな公会計手法を活用して、東京都全体の財務状況について事業コスト情報、財務ストック情報、キャッシュ・フロー情報などを明らかにして、きめ細かい分析を行ってお示しをいたしております。
 これをさらに個別事業に細分化して、第三回定例会にも出させていただきましたけれども、主要施策という中で、事業ごとの財務状況としても公表いたしております。あわせて、事務事業評価制度を活用することできめ細かい事業別のコストや成果の分析を行っておりまして、この結果についても公表いたしております。
 今後とも、こうした点も含めまして、財務情報については、事業情報も含めて、これまでの取り組みを的確に進めるとともに、事務事業評価の公表などについても、より充実を図っております。よろしくお願いいたします。

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