平成二十一年東京都議会会議録第十八号

○議長(田中良君) 四十三番中屋文孝君。
   〔四十三番中屋文孝君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○四十三番(中屋文孝君) まず冒頭に、我が党の川島忠一先生のご逝去に心からご冥福をお祈り申し上げます。
 今後も、川島先生が築き上げた伝統ある都議会自由民主党の名に恥じぬよう、しっかりと頑張っていくことをここにお誓い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 私は、四年ぶりに都議会に戻り、そのさま変わりに大変驚いております。かつて石原都知事は、東京から日本を変えると宣言をし、混迷する都政を夢と希望に満ちた元気な東京に再生をいたしました。ディーゼル車規制を初めとする先進的な環境政策など、国を先導する政策を数えれば切りがありません。
 しかし、昨今、オリンピック招致をむだといい、対案もなく新銀行や市場移転に反対するなど、都議会において建設的な議論がされず、こうした政治に翻弄された都政も、かつての輝きを失いつつあるのではないかと思うのです。
 さらに、国では政権がかわり、日々ぶれまくる首相の発言に国民の不安と不満が募り、失望感が増すばかりとなっております。今なすべきは、しっかりと将来を見据えた議論と本質論なのであります。
 石原知事には、国の雑音に惑わされることなく、世界に通用する都市づくりに邁進してほしいと考えますが、見解を伺います。
 次に、都財政について伺います。
 先日公表された税収見込みの中で、二十年度決算と比べて一兆円を上回る減収となり、経済情勢のさらなる悪化が及ぼす都財政運営への影響が懸念されます。
 今後、難しいかじ取りが求められますが、都税収が減少となれば、財政確保の手段として、基金の取り崩しと都債の発行がその選択肢として考えられます。現在、活用可能な基金残高は一兆円を超える水準が確保されております。これらは、石原知事が財政再建を達成する中で、将来の財政負担を考慮した知事の卓越した財政運営の成果といえます。
 一方で、深刻な経済情勢がある程度見込まれるとすれば、ますます中長期的な視点が重要となってまいります。そうした観点で、私は、これまで培った財政の対応力をバランスよく活用することが大事ではないかと考えます。
 そこで、今後、可能な基金残高や都債の発行余力といったものをどのように活用していくつもりなのか伺います。
 景気悪化が進み、税収が減少する中にあっては、税以外の財源を確保していく取り組みが不可欠です。既存税収の中でも宝くじ収入は、本来、不況に強いといわれており、このようなときにこそ増収を図ることが重要であります。例えば、インターネットを使い宝くじを購入できるようにするなど、売り上げを向上させるための工夫が必要であります。
 海外では、ニューヨークやオハイオといった東京と同等の人口規模で、一等賞金五億円から七億円という宝くじが発売されており、東京都でも一等賞金五億円程度の宝くじを発売できるのではないかと考えます。五百円宝くじで高額が当たる新しい商品開発と販路を進めることが必要であります。
 宝くじの売り上げ向上のためにどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、東京マラソンにおける救護活動について伺います。
 来年二月に開催される東京マラソンは、国際陸上競技連盟からゴールドラベルを取得し、世界最高位のマラソン大会として格付され、大変な注目を集めています。このように東京マラソンが高く評価されたのは、一万人を超えるボランティアが多種多様に参加し、大会運営を支えていることが大きな要素を占めているからであります。
 フルマラソン、十キロメートルの各フィニッシュ会場においては、柔道整復師が、ボランティア活動の一環として、走り終えたランナーに対して、マッサージやテーピング等の応急処置などの分野で活躍しております。実際に受けたランナーからは、たくさんの感謝の声が寄せられております。
 この活動はマッサージブースで行われておりますが、この名称が他の国家資格と混同され、ランナーに誤解を招くことも懸念されます。そのため、この活動の実態をよりアピールできる名称とすべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、まちづくり関連事業についてお聞きします。
 国では、民主党が二百を超える項目について事業仕分けを行い、非常に短い時間で一方的に評価を下しました。こうしたやり方自体に問題があり、現場の声を無視した判断に大きな危惧を抱かざるを得ません。
 私の地元の文京区後楽地区を初め、都内では数多くの市街地再開発事業や土地区画整理事業などが国の補助金を活用して実施されています。これに対し、行政刷新会議の事業仕分けによって、実施は各自治体または民間の判断に任せるとされました。これが来年度の国の予算編成に反映されるとなれば、例えば、事業に協力をした権利者が長期間不便な生活を強いられたり、事業そのものの存続が脅かされるなど、その影響ははかり知れないと考えますが、所見を伺います。
 次に、駅施設の改良や駅周辺の基盤整備について伺います。
 地球環境問題が深刻化する中、鉄道利用を促進していくことが重要であると考えます。東京における鉄道は、世界に類を見ない高密度で正確、安全なネットワークが形成されております。一方、駅周辺の開発が進み、都市基盤の不足が顕在化しているケースが見受けられます。
 そこで、こうした駅施設の改良や駅周辺の基盤整備について、幾つか質問します。
 まず、JR御茶ノ水駅について伺います。
 御茶ノ水駅は、まちの玄関となる駅前広場が確保されておりません。また、駅周辺には医療機関が数多く集積しているにもかかわらず、駅にはいまだエレベーターが設置されておりません。一日も早く駅のバリアフリー化や駅前広場整備を進める必要があると考えますが、都としての取り組みについて伺います。
 次に、大江戸線の勝どき駅と周辺のまちづくりについて伺います。
 昨年の四定において、我が党の立石晴康先生が、勝どき駅について、周辺開発の進展により駅混雑は極めて深刻な状況にあり、駅改良の必要について質問しました。これに対して、都はホームの増設を含め、駅の抜本的な改良について検討していくと答弁しております。
 勝どき駅周辺では、引き続き活発な開発が進むことが見込まれております。そこで、駅周辺のまちづくりと駅の改良について所見を伺います。
 また、私の地元文京区の区民も利用する飯田橋駅は、JR線のほかに四路線の地下鉄駅があり、一日約四十万人もの人が利用する交通の結節点であることに加え、外堀、目白、大久保通りなど幹線道路が交差する要衝となっております。しかしながら、飯田橋駅と周辺地域を結ぶ飯田橋交差点に設置されている歩道橋は、バリアフリー化がされていない、狭いとの意見も出ております。
 このため、地元では、歩行者デッキの構想を提案するなどの取り組みを進めておりますが、三区にまたがることから、調整が容易に進まない状況にあります。地元では、こうした課題の解決に向けて、広域自治体である東京都の支援に大きな期待をしておりますが、どのように対処していくのか伺います。
 平成十三年に都立公園として開園して以来、多くの都民が来園しております都立旧岩崎邸庭園についてお伺いいたします。
 隣接する池之端文化センターの跡地について、地元から都立公園化の要望が出されております。このように貴重な用地を旧岩崎邸庭園として整備していくことは、千載一遇の機会であり、文京区や台東区のまちづくりにおいても大変意義のあることであります。
 そこで、当該地の公園化に向け、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、教育について質問いたします。
 まず、昨日の代表質問でも取り上げました小一問題です。
 教師の話を聞かない、指示どおり行動しない、勝手に授業中に教室の中を立ち歩くなど、授業規律が成立しない状態が起きております。こうした問題の要因としては、小学校入学時の児童に基本的な生活習慣が身についていないことが一つの問題となっております。
 そこで、これまで就学前教育を実施させるためにどのような取り組みを行ってきたのか伺います。
 また、小一問題の解決には、幼稚園や保育所における就学前教育の充実はもちろんのこと、幼児期に基本的な生活習慣や規範意識を身につけさせるなど、人間形成の基礎を培う家庭の教育力の向上を図っていくことが重要であると思います。
 そこで、これまで都教育委員会において家庭教育を支援するためにどのように取り組みを行ってきたのか、お聞きいたします。
 さらに、これまでの取り組みを踏まえて、幼児が小学校入学時から学校生活に円滑に対応できるようにするために、今後どのように家庭教育の支援や就学前教育の充実に取り組んでいくのか、所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中屋文孝議員の一般質問にお答えいたします。
 世界に通用する都市づくりについてでありますが、大都市のあり方が国家の将来を決定づける都市の世紀にあって、東京のありようを正当な文明批判の視点からとらえて策定した「十年後の東京」計画では、東京が目指すべき世界の範となる都市の姿を明らかにしております。この具現化に全庁を挙げて取り組んでおりまして、既に先進的な環境政策が評価され、都市としては世界で初めてICAPにも加盟をいたしました。
 森記念財団が先般発表しました世界の都市総合力ランキングでは、東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリに続き四位にランクをされております。
 ヨーロッパで非常にハイブラウな雑誌として有名な都市の専門誌の「モノクル」の調査でも、世界の住みやすい都市のランキングでは、東京は二年続けて三位であります。ちなみに、昨年はコペンハーゲンが一位、ミュンヘンが二位、三位が東京、ことしはチューリッヒが一番、二位がコペンハーゲン、三位が東京ということでありますが、この四月に来ました、「モノクル」の編集長が私にいっておりましたけれども、これらの都市は、人口は三、四十万の中都市でありますけれど、東京は昼間人口を入れれば二千万に近い大都市で、その東京が示しているありようというものは、私からいえば実質的に世界一位だということをいってもくれました。
 こうした東京の世界に誇る都市としての底力、魅力をさらに伸ばしまして、五十年先、百年先を見据えた政策を進めることは、ご質問にある将来を見据えた議論、本質論を、都政から国政に敷衍していくことにもなると考えております。
 国政の混迷による影響も懸念されますが、今後はこれまで同様、東京が変革の起点となり、この国の進路を示す気概で、二十一世紀の世界に通用する都市づくりを皆さんと力を合わせて、渾身、進めていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長、東京都技監、関係局長から答弁いたします。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの就学前教育の取り組みについてでございます。
 幼稚園や保育所で過ごしてきた子どもたちが、小学校入学時の生活に適応し、充実した生活を送るためには、就学前教育と小学校教育とを円滑に接続していく取り組みが必要でございます。
 そこで、都教育委員会では、平成十六年に策定いたしました東京都教育ビジョンに基づき、就学前教育を充実させる取り組みを推進してきたところでございます。
 具体的には、二カ所の地域を指定して就学前教育の推進モデル事業を実施し、日々の実践を通して小学校への円滑な接続のあり方について研究を行いますとともに、幼稚園と小学校の教員が共同で、指導内容や方法の効果的な連携について研究開発を行いました。
 これらの成果をまとめまして、小一問題対応のための手引書を作成し、幼稚園や保育所、小学校に配布して周知を図ってまいりました。
 また、平成二十年に策定いたしました東京都教育ビジョン(第二次)におきましても、就学前教育の充実を重点施策として、本年度は、幼稚園、保育所と小学校との具体的な連携の方策を明らかにする就学前教育プログラムの開発に取り組んでおります。
 あわせて、こうした取り組みの効果検証を行うモデル地域事業を都内二カ所で展開するなど、就学前教育と小学校教育との円滑な接続に努めてきたところでございます。
 次に、家庭教育を支援するためのこれまでの取り組みについてでございますが、子どもの夜更かしや朝食の欠食など、基本的生活習慣の乱れが小一問題発生に影響を与えていると考えられます。
 このため、都教育委員会は、平成十八年度から、医師会、保健所、幼稚園などと連携を図り、子どもの生活習慣確立プロジェクトを実施してまいりました。
 このプロジェクトでは、基本的な生活習慣の確立の必要性をすべての親に伝えるために、早起き、早寝、朝ご飯をテーマに、テキストやDVDなどを作成し、入学説明会等の機会をとらえて啓発に努めてまいりました。
 また、人間形成の基礎を築くためには、乳幼児期からの子どもの教育が重要という東京都生涯学習審議会の答申を受け、平成二十年度から新たに、乳幼児期からの子供の教育支援プロジェクトに取り組んでおります。
 本プロジェクトでは、子どもの発達に関する科学的知見を踏まえた保護者向け資料、「乳幼児期を大切に」を作成し、ゼロ歳児健診などの機会をとらえて、すべての親に配布するとともに、地域において子育て支援に携わる人材の養成研修を実施するなど、引き続き家庭教育を支援しているところでございます。
 次に、家庭教育支援や就学前教育の今後の取り組みについてでございますが、小一問題を解決するためには、小学校での取り組みに加えて、小学校生活に円滑に適応できる力を育てる就学前教育と人間形成の基礎を培う家庭教育をより充実させていく必要がございます。
 そこで、まず、家庭教育支援の取り組みについては、乳幼児期からの子どもの教育の重要性に関し、引き続き啓発に努め、幼稚園教諭や保育士、保健師等、家庭教育支援にかかわる専門的指導者に対する研修を充実させ、その資質向上を図ってまいります。
 あわせて、孤立しがちな親と、身近な子育て経験者や子育てサークルなどとのつながりをつくる地域人材を養成してまいります。
 次に、就学前教育の取り組みについては、本年度に作成いたします就学前教育プログラムを踏まえまして就学前教育カリキュラムを開発し、その内容を都内の幼稚園や保育所、小学校に周知する説明会を、関係局と合同で開催することを検討いたします。
 この就学前教育カリキュラムでは、あいさつをする、決まりを守るといった社会生活における当たり前の習慣や態度、感じたことや考えたことを自分なりに表現する力、身近な環境に対する探究心や豊かな感性など、幼稚園や保育所において小学校生活の基礎となる力をはぐくむ指導内容やその方法を具体的にお示ししたいと考えております。
 こうした取り組みを、区市町村や関係局とより一層連携を深めまして、着実に推進してまいります。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 旧岩崎邸庭園の隣接地の公園化についてお答えいたします。
 旧岩崎邸庭園は、鹿鳴館の設計者であるジョサイア・コンドルの設計による洋館や撞球室など国の重要文化財に指定されている建物と、広がりのある芝生の庭を持つ貴重な文化財庭園でございます。
 庭園に隣接する池之端文化センター跡地は、岩崎家の本邸の芝生の庭の一部を構成していた場所であり、旧岩崎邸庭園の景観を構成するために重要な土地であります。
 これまで都は、当該地を公園化するため、地元の文京区や台東区と調整を重ね、本年八月には、両区と連携して都市計画変更のための住民説明を行うなど、精力的に取り組んでまいりました。
 この結果、両区の都市計画審議会を経て、十一月に都市計画変更が行われたところでございます。
 今後、積極的に整備に取り組んでまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、財政再建の成果の活用についてでございますが、都は、これまでの身を切るような財政再建の努力を通じて、活用可能な基金残高をふやし、都債の発行余力を培ってまいりました。これは、都財政の構造的特徴である税収の大きな変動に備えるためのものでございます。
 そうした中で、今年度の都税収入は、前年度に比べ一兆円を超える大幅な減収となる見込みとなりました。
 過去における単年度の最大の減収幅が平成四年度の約四千七百億円であったことからも、今年度の減収はその倍以上の落ち込みでございます。しかも、今後しばらくは、都財政がますます厳しい環境のもとに置かれることは間違いないことから、非常に難しい財政のかじ取りを覚悟しなければならない状況でございます。
 したがいまして、ご指摘のとおり、これまで備えとして培ってきた財政の対応能力の活用についても、従来にも増して、中長期的な視点に立って計画的に進めていかなければならないと考えております。
 同時に、環境の厳しさを踏まえれば、財政の対応力の活用の前提として、改めて歳入歳出を徹底して洗い直すことが不可欠でございます。財政の健全性を維持しつつ、都政の諸課題にこたえていくべく、改めて気を引き締め、堅実な財政運営に全力で取り組んでまいります。
 次に、宝くじの売り上げ向上についてでございますが、平成二十年度の宝くじの収益金は六百十八億円でございまして、東京都にとって貴重な財源でございますが、ここ二年間、宝くじの売り上げは前年実績を下回るなど厳しい状況にございまして、今後どのように宝くじの売り上げを向上させていくかという課題がございます。
 そのためには、魅力ある商品づくりが重要でございまして、一等賞金の引き上げや、逆に、一等賞金は低いけれども当たりやすいくじの開発といった方策が考えられるわけでございますけれども、海外のような大型賞金のくじをつくることは、法の制約もあり、難しい状況でございます。
 そうした中ではございますが、現在、東京都が中心となって、他の自治体とも協力しながら、来年度に向けた魅力向上策を検討しておりまして、その中では、例えば、多様な賞金設定ができる一枚五百円の宝くじ、あるいは一等賞金を一千万円程度にして多くの方が当せんできる宝くじなどの案が出されておりますが、今後さらに検討を進めまして、その結果を踏まえ、実行に移していきたいと考えております。
 宝くじは、国民の健全な娯楽であり、今後とも、魅力ある商品づくりや顧客の利便性に配慮した販売チャンネルの拡大など、売り上げの向上を図りまして、貴重な財源である宝くじ収益を確保してまいりたいと思っております。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 東京マラソンの救護活動についてでございますが、三万五千人が参加する大会を安全に運営するためには、ランナーに対するケアは極めて重要であるという認識をしております。
 柔道整復師の先生方には、ボランティアとして、マッサージブース内におきまして、マッサージのほかにテーピング等の軽度外傷の手当てを行っていただいておりますが、ご指摘のとおり、活動の実態とマッサージというブースの名称が必ずしも一致していないという状況にございます。このため、ランナーにとってわかりやすい名称となりますよう、ブース名称の変更を検討してまいります。
 来年二月に実施される大会も、柔道整復師を初めとする多くのボランティアの皆さんにご協力をいただきまして、東京が一つになる日というキャッチフレーズにふさわしい、すばらしい大会としてまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、行政刷新会議の事業仕分けが、まちづくり関連事業に及ぼす影響についてでございますが、都内では、現在、お話の民間による再開発や環状第二号線新橋・虎ノ門地区の都施行再開発事業など、東京の都市再生にとって非常に重要なまちづくり関連事業が数多く行われております。これらは、いずれも長い時間をかけて関係者の合意が図られ、国の補助金を前提として進められているものでございます。
 実施は、各自治体または民間の判断に任せるという事業仕分けの評価結果に基づき、仮に制度の見直しが行われ、補助金の導入ができなくなると、権利者の生活再建はおろか、事業そのものが立ち行かなくなり、大きな社会不安につながりかねません。このような事態は、絶対に避ける必要がございます。
 このため、都としては、国に対し制度の存続を求めるとともに、必要な財源を安定的に確保する方策を国の責任において確実に講ずるよう、より一層強く要請してまいります。
 次に、JR御茶ノ水駅の整備についてでございますが、御茶ノ水駅は、地下鉄、バス等との乗りかえ駅として、一日約二十一万人が乗降している主要な交通結節点でございまして、医療機関を利用する乗降客も多い駅でございます。そのため、駅のバリアフリー化や駅周辺の歩行者空間の整備は不可欠でございますが、地形的条件等から検討が進まず、長年の懸案となっておりました。
 こうした中で、周辺のまちづくりを契機に、都も参加し、駅のエレベーターや聖橋口の駅前広場の整備についての検討が開始され、現在、千代田区やJRなど関係機関で事業スキーム等の調整を行っております。
 今後とも、駅のバリアフリー化や周辺の歩行者空間の整備が早期に進められるよう、積極的に国庫補助の導入を図るなど、関係機関の取り組みに対して支援してまいります。
 次に、勝どき駅周辺のまちづくりと駅の改良についてでございますが、勝どき地区や晴海地区では、都心に近接した利便性やウオーターフロントの特性を生かした、多様で魅力的な複合市街地の形成が進んでおりまして、その玄関口となっている勝どき駅では、利用者が大幅に増加し、大江戸線の中でも特に混雑が激しくなっております。
 今後も駅を中心に周辺開発が進み、利用者の一層の増加が見込まれますことから、駅施設の拡充が喫緊の課題となっております。
 このため、ホームの新設やコンコースの拡張等、駅を改良するために必要な都市計画の変更を、平成二十二年の夏を目指し行うことといたしております。
 このような周辺開発に対応した駅の改良を進めることで、交通拠点としての機能を強化し、鉄道利便性の向上や地域の活性化に取り組んでまいります。
 最後に、飯田橋駅周辺における地元の取り組みへの対応についてでございますが、本地域は、JR線や都営地下鉄、東京メトロなど複数の路線が集まり、交通利便性を生かした再開発事業が進むなど、拠点としての発展が期待されております。
 また、お話のとおり、地元町会や自治会では、三区にまたがる交差点と飯田橋駅前広場の一体的整備の実現を目指し、自主的な勉強会が進められてまいりました。
 地元の考える構想の具体化に向けては、まず、地元の三区が駅周辺地域のまちづくりの方向性を定め、その上で、駅前広場などの基盤整備のあり方を検討する必要がございます。
 都としては、広域的な観点から、関係区と地元が行う取り組みに対しまして、技術的な支援を行ってまいります。

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