平成二十一年東京都議会会議録第十七号

   午後五時五十一分開議

○副議長(鈴木貫太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番東村邦浩君。
   〔百七番東村邦浩君登壇〕

○百七番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して、知事、警視総監、消防総監並びに関係局長に質問いたします。
 初めに、去る十二月四日にご逝去されました元東京都議会議長川島忠一先生のご冥福を衷心よりお祈り申し上げます。
 さて、鳩山政権のもと、外交、安全保障について窮地に立たされている日本は、景気経済においても急激な円高がデフレを加速させるという厳しい局面に立たされています。
 今回のデフレは真性デフレの様相を呈し、需要不足でますます物価が下がるといわれています。これを打開するために、鳩山政権が本日取りまとめた追加経済対策には、エコポイント制度の延長や中小企業の信用保証枠を拡充するといった対策が示されましたが、いずれも既存の延長線の対策が中心であります。前政権の補正予算をわざわざ削減したのは何だったのでしょうか。前政権を否定したいがためのパフォーマンスによって、年明けの景気の二番底への懸念がますます強まっています。
 この第二次補正予算も、臨時国会を早々と閉じたために、通常国会を待たなければなりません。日々刻々悪化する経済の実態を前に、危機感もスピード感も極めて乏しいといわざるを得ません。新政権がこのままの姿勢をとり続けるならば、日本は沈没してしまいます。
 今、国民、都民は年末にかけて大変不安な気持ちにさいなまれています。こうしたときこそ、都民、国民の閉塞感を打破する決意で、日本の頭脳、心臓部である東京から、力強く政治と行政のあるべき姿を示していかなければなりません。
 東京から日本を変えていくという気概を持った石原知事に、新政権をどのように見ているのか、また、今後の都政運営に対する決意を伺い、以下、喫緊の都政課題について質問いたします。
 去る十一月五日に平成二十一年度の都税収入見込みが発表されたところであります。平成二十年度決算対比で約二割の大幅な減となり、減収額は過去最大の約一兆円と見込まれています。さらに、来年度予算は、現在の税収動向を前提とすると、このままでは約六千億円もの巨額の財源不足が生じてしまいます。
 この財源不足に対して、基金を初めとした財政の対応力をどのように活用していくかという点が今後の財政運営上の課題になってくると考えます。同時に、歳出全体をどのように効率的、効果的に見直すのか、こういった視点が従来にも増して重要になってまいります。
 現在、国においては、歳出削減の切り札として事業仕分けが活用されていますが、目の前の金額の多寡や当年度のコストのみに着目しており、政策と政策効果という視点が見失われ、短時間のコスト論のみで結論を出そうとすることは、まさに従来の現金主義会計の手法から抜け切れていないといわざるを得ません。
 事業仕分けは、我が党が最初に主張し、行政改革推進法に明確に規定されたものであり、その理念自体は正しいと考えますが、場当たり的に事業の廃止が決まっている現在の国の事業仕分けの手法には大きな疑問を持っております。
 都においては、国にはるかに先んじて財政再建に取り組み、さらに我が党が提唱した新たな公会計制度を活用しながら、事務事業評価の取り組みを推進することで、施策のむだを排し、実効性を高める取り組みを強化してまいりました。
 そこで、都から見た国の事業仕分けの課題と、平成二十二年度予算編成に向けた都の事務事業評価の取り組みについて見解を求めます。
 また、国は、民主党のマニフェストに掲げている子ども手当、高校授業料の実質無償化こそ、本来、事業仕分けの対象とすべきであります。
 これらの施策の実施に当たっては、制度創設に伴う確実な財源が確保されることが大前提であり、いうまでもなく、地方への負担転嫁は言語道断であります。仮に地方負担が求められたり、さらに検討の俎上に上っている自動車関連諸税の暫定税率の廃止に伴う代替財源が措置されない場合、都への影響額は相当大きくなると考えられます。
 その場合、子ども手当、高校授業料の実質無償化、暫定税率廃止に伴う影響額について、都の見解を求めます。
 次に、子ども手当の財源として、国は所得税に加えて住民税の扶養控除も廃止することを検討しています。廃止となれば、子ども手当が支給されない世帯にとっては、家計の負担は増大します。さらに、住民税の非課税ライン等を基準とした都の施策においても、都民生活の負担増になることは避けられません。
 そこで、例えば子ども手当の対象にならない二十三歳から六十九歳までの成人を二人扶養している世帯の場合、家計の負担はどれだけ増大するか、都の見解を求めます。
 あわせて、住民税の扶養控除が廃止された場合、特に福祉の分野で影響が大きいと考えます。そこで、具体的な影響について、都の見解を求めます。
 先日、石原知事が、二○二○年オリンピック・パラリンピック招致に向けたエントリーの意思表示をされたところであります。今後、四千億円のオリンピック・パラリンピック開催準備基金の取り扱いが課題になってくると考えます。
 このオリンピック・パラリンピック開催準備基金は、石原都政のもと、財政再建をなし遂げ、堅実な財政運営を行ってきた成果であり、今般のような厳しい経済状況においては、都民が必要とする施策に有効に活用されることを含め、適切に対応されることを要望いたします。
 次に、雇用対策について質問いたします。
 都は、昨年来の雇用情勢の悪化に対応し、東京緊急対策Ⅱで都独自の取り組みや区市町村補助金を打ち出し、続いて国の交付金による基金を活用して、緊急雇用創出に取り組んでいます。
 さらに、十一月の我が党の緊急要望を受け、都は、今回の補正予算でも切れ目ない対策に取り組もうとしています。雇用情勢の厳しさは来年度も続くことが予想されます。都は、集中的な人員投入で効果の出る事業を積極的に企画し、さらに緊急的な雇用創出に努めるべきであります。例えば、海の森での臨時的な植樹事業、緊急の緑化作戦、都内の河川敷のクリーン作戦、さらにはエコにつながる取り組みなど、グリーン・クリーン・プロジェクトともいうべき新たな雇用対策を実施すべきであります。
 まず今回の補正予算も含めた基金事業による都内の具体的な雇用創出と今後の新たな取り組みについて、見解を求めます。
 一方、失業した都民の側に立つと、さまざまな雇用創出事業が、いつ、どこで、どのように行われているのかよくわからないといった声が出ています。特に民間に委託した事業の場合、失業者の立場からは、この事業によって雇用がどれだけ生み出されているのかという実感が持てないとのことであります。したがって、都みずからが創出する新たな緊急雇用については、失業者に目に見える形でわかりやすく伝えるべきであります。
 また、緊急雇用は臨時的つなぎの雇用であり、失業者が正規雇用などの次の仕事を見つけられるような支援も重要であります。
 東京しごとセンターの就労支援メニューを具体的に紹介し、活用を促す対策を実施すべきであります。あわせて都の見解を求めます。
 去る十一月二十五日、都議会公明党が提案してきた新規大卒者のための首都圏合同面接会が池袋で開催されました。百四十社の企業が参加し、約千三百人の求人に対し、二千五百人以上の新規大卒者が面接に訪れました。我が党も面接会場を視察しましたが、大きな反響を目の当たりにいたしました。
 二月に再度、合同就職面接会を開催すると聞いていますが、高校生も対象としたり、開催形態を多様化するなど、さらに充実を図っていくべきであります。見解を求めます。
 また、都内で最大の年齢人口である三十代向けに、安定した雇用を拡大することも喫緊の課題であります。
 都は、昨年十一月の東京しごとセンターに続き、先月には東京しごとセンター多摩においても、正規社員採用、定着支援事業、いわゆるネクストジョブ事業をスタートさせました。三十代については、このネクストジョブ事業と職業訓練を連携させながら、質、量ともに拡大することが必要と考えます。
 特に職業訓練の職種の拡大を行い、新たな職種への雇用拡大を図ることが重要であります。例えば農業や環境など、新たな分野の拡大が必要であります。都の見解を求めます。
 次に、介護分野での雇用について質問します。
 介護分野では、就職をしても定着をしないということが大きな課題です。他方、求人ニーズ自体も非常に高い状態が続いています。介護分野の人材確保については、都は、本年三月にTOKYOチャレンジ介護を開設し、介護職場を目指す離職者等への支援を行ってきましたが、十分な人材確保に至っておりません。
 そこで、介護分野への雇用創出については、新たな取り組みを実施すべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、介護支援策について質問いたします。
 世界で類を見ない速さで超高齢社会を迎える東京は、六年後の平成二十七年には高齢人口は三百十六万人となり、要介護認定者数は五十万人を超えるものと見込まれています。
 そのような中、在宅介護については、家族が無理をしながら高齢者を支えている実態が顕著に増加をしています。
 例えば、身体介護に加えて認知症のある八十代の母親を、介護施設に入所させるまでに一年以上かかったために、一人娘が仕事を退職せざるを得なくなり、さらには二人の生活費と居宅介護サービス利用料などを支払うために退職金を使い果たし、ついには、その娘さんがうつ病になってしまったという実際の声も届いています。こうした事例は決して特別なケースではなく、日を追うごとに在宅介護を取り巻く状況は悪化しています。
 そもそも介護保険制度は、菅直人副総理が厚生大臣のときに十分な時間的検討を行わずに、拙速に導入した制度であります。そのため介護保険制度だけでは十分に高齢者を支える家族を支援し切れず、制度の枠組みからこぼれ落ち、精神的、体力的、そして経済的に限界に来ている家族の実態が生じています。
 このような家族介護の実態について、石原知事はどう感じておられるのか、率直な感想を伺います。
 一部の区市町村では、こうした家族介護者への支援をさまざまな形で行っている事例もありますが、都として、高齢者と家族が安心して暮らせる社会の実現のためにも、在宅家族介護者への支援に積極的に取り組むべきであります。
 そこで、都議会公明党は、在宅介護支援手当の創設を提案いたします。見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問いたします。
 都は、積極的に都内中小企業による販路の開拓や新商品の開発を促すとともに、みずからも新たな市場の開拓に向けて取り組むことが必要であります。
 海外への販路の開拓は、予期せぬトラブルに遭遇するリスクなどもあることから、すぐれた技術を持ちながらも、海外への挑戦をためらう中小企業も少なくありません。したがって、海外での販路開拓に関し、知識と経験をあわせ持つ専門家による支援が不可欠であります。同時に、信頼できる現地代理店との契約も効果的ですが、知的財産保護などの課題も含め、提携先の選択は容易でありません。
 都は、都内中小企業が進出しにくい海外においても、効果的に販路開拓が進むよう、支援の充実に取り組むべきと考えます。今後は、中国やインドも視野に入れるなど、対象国をふやすほか、新たに現地のサポートを担うコーディネート機能を整えるべきであります。都の見解を求めます。
 次に、新商品の開発を促す取り組みについてであります。
 中小企業が厳しい経営環境から抜け出すためには、将来の成長の核となるような新たな製品、新たな技術を生み出していくことが重要であります。
 しかし、中小企業は、大企業に比べて知名度や信用面で不利な立場に置かれており、新製品や新技術の販路を開拓する積極的な手助けが必要であります。その点、都が持つ信用力を背景に、受注実績の向上に協力し、新商品や新技術の有用性や認知度の向上に寄与することは、販売促進の効果を一層高めることにつながります。
 そうした効果をもたらす最たる取り組みの一つが東京トライアル発注認定制度であります。この制度は、都が認定した新製品、新技術を試験的に購入し、評価するものであり、今年度、その運用を開始いたしました。この制度の活用を促すためには、都は取り組み実績と効果を都民にわかりやすく発信する必要があります。あわせて、より使いやすい制度となるよう、その拡充を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、港湾の国際競争力強化について質問いたします。
 先ごろ、国土交通省が打ち出した成長戦略に、我が国港湾の国際競争力強化が柱として位置づけられ、スーパー中枢港湾施策で進めた選択と集中をさらに進めるとしております。
 港湾の国際競争力強化については、我が党は、長年大きな課題として取り組んでおり、昨年の東京、川崎、横浜、三港による連携強化についても支援をしているところであります。
 国の新たな港湾強化策はいまだ具体的な姿が見えず、今までの施策の延長では意味がありません。我が国港湾の真の国際競争力を高めていくために、自治体を代表する京浜港が積極的に政策提言を行っていくべきと考えます。見解を求めます。
 その上で、今後、京浜三港の連携をさらに強化していくべきであります。見解を求めます。
 次に、教育について質問いたします。
 各種の国際学力調査で、我が国の小中高生の学力低下が表面化してきておりますが、いわゆる国別ランキング以上に我々が直視しなければならないのは、日本の子どもたちの無回答率が高いこと、すなわち、少し難しそう、面倒だと思う問題を避ける、あるいは逃げる生徒がふえつつある点であります。
 劇作家の山崎正和氏は最近、新聞紙上で、大学生の学力が軒並み低下している我が国の現状について、大人になれない若者が実人生を先送りしているのが高学歴化の実態と喝破しております。
 一方、社会に通用する人材とするための教育は、多くの場合、企業や団体などが担ってきました。そうした人材育成は、多額な費用と長期間にわたる労力を要することから、社内教育を行う企業が減少し、即戦力となる派遣社員を受け入れている傾向も見受けられます。
 学校教育においても、基礎学力はもとより、規範意識、公共心等の徳性の育成を重視し、社会の構成員としての役割と責任を自覚して、社会に貢献できる人間を育成することが重要であると考えます。見解を求めます。
 また、これまで公明党は、小一問題や中一ギャップについて、再三にわたり取り上げてまいりました。早急に実効ある対策を講じなければなりませんが、最善の対応策は何といっても人的措置、すなわち入学直後を対象に教員配置を厚くすることであります。都議会公明党は、将来的には少人数指導に加え、複数担任制なども視野に入れて対応していくべきと考えます。
 その第一歩として、まずは一定の活力を維持できる学級規模への縮小あるいはチームティーチングの導入など、学校の実情に合った学級編制ができるようにすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、特別支援教育について質問いたします。
 東京都特別支援教育は来年度、第二次実施計画の最終年度を迎えます。都は、これまで着実に改革を進め、既に再来年度からの第三次実施計画の検討も始まっていると伺っております。
 その中で大きな課題になっているのが、特別支援学校の配置のあり方であります。都内では、知的障害のある子どもの在籍者がふえたことへの対応が求められる一方、視覚、聴覚障害のある在籍者が減り、教育活動をどう活性化させていくのかが課題になっています。こうした状況を受け、都は個々のニーズに応じた教育ができるよう、盲・ろう学校を含む特別支援学校の再編整備を進めています。
 しかし、学校の再編整備に伴い、障害のある子どもたちが、より遠方の学校に通学しなければならないなどの課題が出てきています。
 十一月二十六日の文教委員会では、大塚ろう学校城南分教室の小学部の募集停止が議題になりました。都は、分教室について、二年間続けて三名に満たない場合、募集を停止する条件を示していますが、我が党の質問に対して、都は、分教室の幼稚部についてはこの条件を適用しないことを答弁いたしました。
 今後、第三次実施計画を検討していくに当たっては、ろう学校に限らず、特別支援学校については、長距離通学、長時間通学を極力なくすような配置を行い、あわせて区市町村との具体的な連携により、特別支援教育の充実を目指すべきであります。都の見解を求めます。
 また、教員の専門性をどう向上させるのかも課題であります。特に、特別支援教育において、重度化、多様化が進む中で、一人一人の可能性を開いていく、より高い専門的な技術が求められています。
 その一方で、特別支援学校教諭免許状を取得するための大学が限られていることから、特別支援学校の教員のうち、免許取得者の割合は五六・九%にとどまっています。
 そういった中、東京都では、特別支援学校教諭免許状を取得していない教員を対象に、免許状の取得に必要な単位を取得するための認定講習を開講し、免許を取得するように促しています。
 今後は、特別支援教育を目指す学生の都教育委員会採用試験への受験者数をふやすことが求められます。都は既に、他県にある大学に出向き、小学校教員の採用試験の受験を呼びかけていますが、特別支援学校の教員についても、同様により多くの受験生を募るように努めるべきであります。見解を求めます。
 次に、都立小児総合医療センターの建設と清瀬小児病院、八王子小児病院の移転後の地域医療確保策について質問いたします。
 現在、平成二十二年三月のオープンを目指して、小児総合医療センター、多摩総合医療センターの準備が着々と進められています。
 都議会公明党も先月、でき上がったばかりの建物を視察してまいりました。今回、多摩総合医療センターと小児総合医療センターが一体となって整備されることにより、今までの小児病院だけでは対応できなかった医療が行われることになります。
 その一つが総合周産期母子医療センターであります。多摩総合医療センターには母体胎児集中治療室九床、小児総合医療センターには新生児集中治療室二十四床が整備され、一体となって運営されることにより、リスクを伴った母体、胎児が同じ病院の中で命を救われることになるわけであります。
 さらに、小児期に発症し、成人になっても診療が必要な患者さんに対しても、両センターが密接に連携して治療に当たるキャリーオーバー医療が行われることになり、成人してから新たな病院を探さなくて済むことになります。これらの医療はおくれていた多摩地域の医療を大きく前進させることになり、高く評価するものであります。
 今後、本格的な稼働が行われていく際には、スーパー総合周産期センターとして受け入れ体制を整備することを強く要望いたします。
 また、小児総合医療センターは、心と体の高度な専門医療を行うものでありますが、最近特に発症が増加傾向にあり、かつ多様化してきている小児アレルギー疾患に対する専門的な医療が求められています。
 我が党は昨年の第二回定例会の代表質問で、小児総合医療センターにおいて専門診療科としてのアレルギー科を開設することを求め、都は関連する他の診療科との役割分担を整理し、運営体制を構築する中で検討すると答えました。平成二十二年三月のオープンまで四カ月を切りました。アレルギー科の開設に向けた都の取り組みについて見解を求めます。
 他方、小児総合医療センターのオープンとともに課題となるのが八王子小児病院と清瀬小児病院の移転後の地域医療であります。
 都議会公明党は、この間、移転後の地域医療について、本会議や予算特別委員会、さらには厚生委員会で取り上げ、地域医療確保に向けた提案をしてまいりました。
 その結果、八王子地域においては、小児病院の跡地において、小児の外来診療及び重症心身障害児者の通所事業や医師会協力のもと、小児準夜間救急診療を実施することになりました。入院についても、平成二十一年度中に東海大学八王子病院と東京医科大学八王子医療センターに新たに小児病床を十二床ふやすことになりました。
 さらに、八王子市が本年六月より働きかけてきました南多摩病院に小児病床を新設する方向で検討が行われています。また、北多摩北部地域については、多摩北部医療センターの小児病床を十三床から三十五床に拡充し、清瀬小児病院からもチームによる小児科医が既に三名派遣されています。
 今後は、両地域の中核病院と小児総合医療センターが強力な連携、ネットワークをつくることが重要となります。都として、両地域の中核病院が必要とする人材の確保や診療上の技術的な支援など、連携体制を構築していくべきであります。都の見解を求めます。
 現在、新型インフルエンザが依然として警報レベルにあるなど猛威を振るっており、小児病院の移転を控え、地元住民の間から不安の声も聞かれます。新型インフルエンザのようにパンデミックを引き起こす場合、地域の中核病院だけでなく、初期救急も含めた地域医療対策が必要であります。
 そこで、新型インフルエンザ対応を初めとした小児病院移転に伴う地域医療に対する都の支援策について見解を求めます。
 両地域の地元住民からは、何よりもNICUがなくなることが不安であるという声をお聞きします。リスクの高い妊婦は、出産前に新しくできる総合周産期母子医療センターの母体胎児集中治療室で受け入れることになります。また、妊婦健診を受けずに、出産後に初めて超低出生体重児などであることが判明する場合でも、今までの事例ではドクターカーで対応することができます。ただ、広大な多摩地域を考えた場合に、万が一、ドクターカーで間に合わないようなケースが出てくるのではないかと心配されている方もいらっしゃいます。
 都議会公明党は、このことを想定して、東京型ドクターヘリの活用を提案し、都も小児総合医療センターのオープンを目指して検討すると答えました。多摩地域の住民の不安を一掃するためにも、東京型ドクターヘリの活用をオープンに間に合わせるべきであります。都の見解を求めます。
 次に、救急医療機関の耐震化について質問いたします。
 災害時において、適切な医療体制を維持するためには、救急医療機関の一〇〇%耐震化は急務であります。都は、「十年後の東京」の中で、耐震化の早期完了を目指すとしています。現在、都内の救急医療機関で耐震化されている病院は、およそ八割までになりました。しかし、残された二割の救急医療機関の耐震化が非常に難しいといわれています。特に、現在地での耐震化が不可能な病院については、代替地を探して建てかえをしなければならず、多額の資金が必要となります。
 こういった状況を踏まえ、都は、さきの国の補正予算を活用して、耐震補強だけではなく、耐震化を目的とした新築建てかえも対象とし、国が八分の四、都が八分の三、合わせて八分の七まで補助をする医療施設耐震化緊急整備事業を創設いたしました。
 そこで、この事業により、都内の救急医療機関の耐震化はどこまで進展するのか、都に説明を求めます。
 今回都が創設した制度は、国の補正予算を活用した制度のために、平成二十二年度中に着工する病院を対象とするなど期間が限定されております。また、国からの補助金が当初予定していた額よりも大幅に減額となったと仄聞しております。このままでは、救急医療機関、特に二次救急医療機関の耐震化は進展いたしません。こういった状況を打開するためにも、東京都が独自に救急医療機関の耐震化に向けた取り組みを行うべきであります。都の見解を求めます。
 次に、今や国家的課題となった自殺予防策について質問いたします。
 日本人の自殺者の数は、年間約三万人と、ここ数年横ばいの状況で、減少する傾向にありません。東京においては、平成二十年に二千七百七十六人の方が自殺をし、全国の九%を占めています。
 こういった中、先日、NHKが、命をみんなで守るという報道特集を行っていました。その中で参考となったのが、サンタの国の奇跡と呼ばれているフィンランドの自殺予防策の報道でありました。
 フィンランドの自殺者は、一九九〇年をピークに、この二十年間で三〇%減少しました。一九八六年から四年間かけて、遺族や病院、警察などから徹底した実態調査を行い、原因を究明し、その結果、自殺者の九三%が、最後はうつ病などの精神疾患を患っており、しかも、医師の適切な治療を受けていなかったということが明らかになりました。こういった事態を踏まえ、フィンランドは、医療や教育現場において、具体的な対策を講じました。
 医療分野での第一番目の対策は、うつ病などの早期発見、適切な治療を行えるように、かかりつけ医に対して、うつ病などの精神疾患の知識を向上させるための精神科医による講習を行ったことであります。
 東京都も、東京都医師会に委託をし、うつ病診療の知識や技術、精神科専門医との連携方法をかかりつけ医に対して研修していますが、平成二十一年度の実施は、新宿区や八王子市などの六つの地域に限られています。この研修制度を都内の全区市町村に拡充していくことが自殺予防の第一歩になると考えますが、都の見解を求めます。
 第二番目の対策は、かかりつけ医をバックアップするために、看護師の役割を強化したことであります。具体的には、研修を受けたうつ病専門のデプレッションナースを配置し、多忙な医師にかわって、うつ病患者の自宅を訪問して、話を聞き、心の状態を把握し、気持ちを和らげるという取り組みを行っています。こうした取り組みを行うだけで、自殺しようと考えていた人がとどまっているとのことでありました。都は、こういった制度を検討していくべきであると考えますが、見解を求めます。
 また、若い人の自殺者を防ぐために、教育の分野では、専門家の助言を受け、うつ病が十四歳から十五歳に発症することが多いことに着目をし、スクールナースが中学二年生を対象に、チェックシートによるうつ病の判定を行っています。その上で、うつ病になる傾向性のある生徒は、ストレスの対処法をスクールナースとソーシャルワーカーの指導のもと学習をするという、うつ病の早期発見、早期治療を行っています。こういった取り組みは、うつ病の再発を防ぐことにつながると、専門家も述べておりました。
 都は、現在、すべての中学校にスクールカウンセラーと養護教諭を配置しています。子どもの異変に気づいた場合、担任の先生がスクールカウンセラーにつなげて対応しています。そのため、異変に気づくかどうかは、先生の力量にかかってきております。
 そこで、うつ症状の生徒をすべてケアするためにも、メンタルヘルスケアを専門とするスクールカウンセラーが早期発見、早期カウンセリングを行える体制を整備していくべきであると考えます。都の見解を求めます。
 フィンランドは、このほかにも、失業後何年も就労できずにうつ病になる人への支援策など国家を挙げて総合的に自殺予防策に取り組んでいます。
 日本も本来は、国が国家的戦略として自殺対策を行っていくべきでありますが、一日に七人から八人の自殺者が出ている東京の知事として、自殺防止に向けての決意を伺います。
 次に、八ッ場ダムについて質問いたします。
 ダム建設は、都民の命、財産を洪水や渇水の被害から守る重要な事業であります。しかし、なぜ多くの費用と年月をかけて、吾妻川流域にダムを建設する必要があるのかという点について、都民には十分に説明されていません。
 そこで、治水、利水上の効果について八ッ場ダムの必要性をわかりやすく都民に説明すべきであります。都の見解を求めます。
 十月二十七日、前原国土交通大臣は、一都五県知事に対し、予断を待たず再検証を行うと明言しました。その一方、ダム建設中止の方針自体はいまだに撤回されておりません。
 そもそも、今回の混乱は、大臣みずからが加わっていた自民・社会・さきがけ政権当時に、ダム建設の住民合意を取りつけておきながら、今回、事前の説明や意見聴取もなく、いきなり中止決定を公表するという姿勢に混乱の原因があるわけであります。
 政府の正式な意思表示となれば、責任ある態度で、慎重な手続を踏むべきであります。前原大臣はダムに頼らない治水、利水への政策転換を公言しています。しかし、山の保水力を高めるということが、具体的にどういった取り組みを行い、どんな効果があるのかが不明確です。
 そこで、前原国土交通大臣が言及している緑のダムは本当に実用可能なのか、都の見解を求めます。
 一方、河川の堤防の強化だけをすれば、ダムを建設せずとも、利根川水系の治水の安全が図れるという見方にも、強い不安を覚えます。現に、国がダムにかわる河川堤防の強化プランを示したという話も聞きません。こうした点について、都の見解を求めます。
 また、こういった状況を踏まえ、八ッ場ダム建設に対する知事の見解を伺います。
 次に、多発している高齢者や女性をねらう振り込め詐欺やひったくりについて伺います。
 振り込め詐欺については、本年、重点月間を設け、集中警戒を実施したと聞いております。二月及び十月の年金支給日には、それぞれ約一万人の警察官を金融機関に派遣をし、集中警戒を実施したほか、声かけ共同訓練や家族の合い言葉運動を初め、三つの運動を推進し、一定の成果を上げてきたところでありますが、十月末現在で一千百七件が認知されており、十八億円を超える多大な被害が出ているのであります。
 手をかえ品をかえ、次々と新しい戦術で高齢者、女性がねらわれています。こうした新しい振り込め詐欺に対して、一歩踏み込んだ警戒態勢が必要と思いますが、今日までの対策と今後の取り締まりの強化について、警視総監に見解を伺います。
 また、ひったくり犯罪については、経済的に厳しい昨今、増加傾向にあり、高齢者や女性がねらわれているとのマスコミ報道がありました。特に、高齢者が肩からかけているバッグ等は、ひったくりに遭った場合、引きずられ、命にかかわるような事態になりかねないこともあります。
 そこで、これら事件を起こした犯人は必ず捕まえるとの強い警察力を発揮していくことが犯罪を抑止することにつながると考えます。年末に増加が予想されるひったくり対策について、警視総監の決意を伺います。
 次に、防火対策について伺います。
 年末を控え、各地に死者の出る火災が発生しております。先月二十二日には、杉並区高円寺の居酒屋で火災が発生し、四人の方が亡くなるという惨事がありました。報道によりますと、この火災は炎が調理器具にたまった油に燃え移り、その炎が上部のダクトの壁にしみついた油などに引火し、さらには天井の装飾用布などを伝わって、店内に一気に燃え広がったとされております。
 東京消防庁はこの点について、類似火災を再び発生させないよう、早期に防火管理や出火防止対策の指導を改めて徹底すべきであります。本火災の被害をもたらした原因を精査し、防火安全対策について検討すべきであります。今後の対応について、消防総監に見解を伺います。
 最後に、東京多摩国体について質問いたします。
 今から四年後の平成二十五年、多摩・島しょを中心に東京多摩国体が開催されます。スポーツへの関心をより高め、生涯スポーツ社会の形成を果たす上で、国内最大の体育、スポーツの祭典である国体の開催は、大変有意義なことであると思います。
 今回の国体は、これまで二十年以上にわたって、区市町村、とりわけ多摩・島しょの市町村の熱い要望活動が継続して行われたことの結果として開催することとなったものであり、都民もその開催を待ち望んでいるところであります。いよいよ本格的な準備を進めるときに来ております。
 オリンピック・パラリンピック招致の計画においても、環境が最も重要なキーワードの一つとなっていましたが、国体においても環境に配慮した大会運営を行うことは不可欠であります。国体については、環境負荷の最小化を求め、再生可能エネルギーの活用、最先端の省エネ技術、電気自動車による選手の移動など、東京多摩国体ならではの環境対策を講じていくべきでありますが、都の見解を求めます。
 東京多摩国体は、首都東京で開催する大会であり、多摩・島しょを中心に地域の発展の契機ともなる大会であります。さらに、観光産業の活性化、文化芸術の発信についても、東京ならではの工夫を凝らし、東京の魅力を全国にアピールするような大会として開催すべきであります。
 都の見解を求め、私の都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新政権の動向と今後の都政運営に対する決意でありますが、昨今の政権の動きからは、日本経済をいかに発展させるのか、ひいては日本をどこに導こうとしているのか、いまだに判然とはしてまいりません。
 デフレ対策が急がれているにもかかわらず、臨時国会が終わってから第二次補正予算を取りまとめている状況でありまして、新政権は日米関係を大きく左右する普天間基地問題でもいささか混迷をしておりまして、日本の置かれた厳しい現実を直視し、もっとスピード感、危機感を持って国家のかじ取りに当たってほしいと思っております。
 もとより、政治はただ時流に便乗するばかりではなく、将来をしっかり見据えながら打つべき手を時期を失することなく打っていかなければならないと思います。このリセッションの時代に、環流性の極めて乏しいばらまきの予算というものは、いささか危惧の対象になり得るんじゃないか。かつて、ばらまきで人気を集めた美濃部都政が全国版になって到来すると、これはやはり大変国家が危機に瀕するんじゃないかという危惧を抱かざるを得ないと思います。
 これまでも、都政は、経済危機に直面し苦しんでいる小零細企業の資金繰りを支え、新型インフルエンザにも国に先駆けて備えを尽くすなど、積極的に危機に対応してまいりました。今後も、我々の未来がかかる地球環境問題で、環境先進都市を造形し、二十一世紀にふさわしいさらなる成熟を遂げた社会のありようを示すなど、国政を先導する取り組みを東京から一段と加速していきたいと思っております。都政が果たすべき役割を明確に認識しながら、立ちはだかる難問に引き続き迅速かつ果断に挑んでいきたいと思っております。
 次いで、家族介護についてでありますが、老いを充実して過ごし、ある日突然に逝くというのが理想的な老年であると思います。シーザーの残した言葉にも、理想の死とは突然の死であるという言葉がありますが、しかし、こういう高齢化社会になりますと、例えば認知症のような問題が出てまいりまして、認知症になって、妄想を抱いたり、徘回などの症状が出るなど、それを囲む家族の負担は決して少なくないと思います。
 また、少子高齢化が進行しまして、家族だけで高齢者の介護を支えることは一層困難になります。これからは、近隣同士の助け合いの仕組みなど、地域の力を活用していくことが必要であると思います。
 今後、社会全体で高齢者を支え、安心して生活できる超高齢社会の都市モデルを東京から創造していきたいと思っております。
 次いで、自殺対策についてでありますが、みずから自分の生命を断ち切るという自殺、これが年間三万人を超えるという事態は極めて深刻であり、かつまた異常な気がいたします。現在の経済の低迷や社会の閉塞感がこうした事態に拍車をかけている懸念もございます。
 これは極めて深刻な問題だと思いますが、私の友人の斎藤環という非常に若いけれどもすぐれた精神病学者にいわせますと、日本人の過半には潜在的に対人恐怖症があるというそうでありますが、非常にこの自己閉鎖症が強いという性格を日本人は持っているようですけれども、いずれにしろ、他者との交流、コミュニケーションがあれば、これだけ自殺はふえないと思うんですけれども、どうもそういう他人との交流というものが途絶されがちな社会になっているんじゃないかと思います。
 自殺の要因は複雑でありまして、その解決は容易ではないと思いますが、フィンランドの国家的取り組みは大きな示唆を与えるものだと思います。ただ、冬季の日照時間が四時間足らずという北欧の状況と、四季の変化が激しくても、日本のような気象の国家社会では条件もかなり違うと思いますし、そういったものも勘案しながら、国は自殺対策百日プランを策定しましたが、雇用、景気なども含めて、国を挙げた取り組みをこれからも進めてほしいと思っております。
 都としましても、東京会議を設置し、総合的な対策に取り組んでおりまして、医療、福祉、教育、産業など、さまざまな分野の関係者の英知を結集して、自殺対策に粘り強く取り組んでいきたいと思います。
 先般、テレビでちょっと見ましたら、東尋坊で自殺者を引きとめる役をしているボランティアの人たちが、とにかく怪しいなと思って、声をかけるだけで非常に強い反応があると。そういう習慣を私たちはやはりこれから持ちたいと思いますが、しかし、東尋坊とか、青木ヶ原とか、限られた地域じゃなしに、このごろは集団で図り合って自殺するという、そういう傾向もありまして、これはなかなかとにかく抑制しにくい異常な現象だと思います。いずれにしろ、繰り返して申しますけれども、さまざまな関係者の英知を集結して、自殺者対策に粘り強く取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、八ッ場ダムへの取り組みでありますが、十月末に国交大臣と関係都県知事が話し合いを行った中で、マニフェストにうたった際にどのような検証を行ったかはつまびらかにいたしませんでした。大臣は、ともかく八ッ場ダムの必要性について改めて検証すると明言いたしました。
 国は、今月三日に今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置しましたが、会議の設置目的には、利水に関して検討する視点が盛り込まれておりません。個別事業の検証も来年度以降に先送りされていまして、多目的ダムである八ッ場ダムがどのように検証されるかは明らかでありません。
 既に国に申し入れておりますが、中止を前提として検証するのではなくて、関係都県や地元住民など、だれもが納得できる結論を早急に出すべきであると思います。引き続き、他の県知事と一致団結して、政策転換に伴うダムの見直しが首都圏における洪水や渇水のリスクを放置することにならないように、国に強く要請してまいりたいと思います。
 他の質問については、警視総監、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔警視総監米村敏朗君登壇〕

○警視総監(米村敏朗君) これまでの振り込め詐欺対策と今後の取り締まり強化など、二件のご質問にお答えをいたします。
 初めに、これまでの振り込め詐欺対策と今後の取り締まり強化についてでありますけれども、この振り込め詐欺というのは、平成十五年ころから都内及び全国的に被害が拡大をしてまいりました。
 実は、私は当初は、この振り込め詐欺については、詐欺の手口、これを徹底的に周知する。被害に遭われる方にいろいろなツールを使って、振り込め詐欺とはこういうもんなんですよということを徹底すれば、恐らく抵抗力というのか、それができて、何とか抑えられるんではないかというふうに思っておりました。しかし残念ながら、実は都内でもこの数年、年間で約六十億に上る被害が発生しているという状況であります。
 実際、被害に遭った方にいろいろ聞いてみますと、実は、振り込め詐欺というのは知っていましたかというと、知っていましたと。しかし、あのとき全く思いつきませんでしたというのがほとんどなんですね。この犯罪のいわば極めて心理的な巧妙さというものを痛いほど感じている次第であります。しかし、何とかしたいということで、警視庁におきましては、昨年の八月に振り込め詐欺緊急対策本部というものを設置いたしまして、とにかく全庁挙げて振り込め詐欺の撲滅に向けた取り組みを強力に推進してまいりました。
 特に、昨年の十月、あるいは本年の二月、さらには本年十月十五日から一カ月間、三回にわたりまして、振り込め詐欺撲滅月間、こう位置づけまして、東京都を初めとする行政機関、金融機関等々の関係団体、あるいは地域ボランティアの方々との連携を図りながら、検挙と防犯の両面からもろもろの対策を強力に推進してまいった次第であります。
 この間、議員ご指摘のとおり、都内の約一万一千カ所のすべてのATMに対する集中警戒、警察官を張りつけたりして、高齢者の方に対する声かけをするとかいったような対策も繰り返し行ってきたところであります。さらには、専従班を設けて、この振り込め詐欺の助長罪も含めて何とか徹底して検挙をするということで、この検挙の面でも強力に推進をしてまいった次第であります。
 その結果、本年十一月末現在の認知件数は千二百件、被害額は約二十億三千万円ということでありますけれども、昨年の同時期に比べて、件数、被害額とも、約三分の一に減少したというのが現状であります。検挙件数の方は、千九百十二件ということで、これは昨年の同時期の一・八倍を検挙しているという状況であります。
 こういった対策をとることによりまして、先ほど申し上げました本年十月十五日からの一カ月間の期間、金融機関の窓口等においてさまざまな声かけを促進いたしましたところ、この期間だけでも、実は五千万円ほどの、近くの被害が未然に防止されたという面もございます。
 しかしながら、今申し上げましたとおり、この振り込め詐欺については、一方、犯人グループの方、この犯罪を行うグループの方がほとんど罪障感がない、罪の意識がないということでありますし、いわば匿名性が確保されているという状況の中で、リスクの少ないという面もございます。決して手を緩めることなく、強力に防犯、あるいは検挙の対策を継続してまいりたいというふうに考えております。
 次に、ひったくりの対策についてでありますけれども、これも議員がご指摘のとおり、ひったくりというのは、これまた弱い立場の人、女性あるいは高齢者などをあえてねらう卑劣な犯罪であります。しかも、一歩間違えれば強盗致傷事件に発展するなど、悪質で危険な犯罪であります。
 実は、このひったくりも、これまた平成になってからふえた犯罪であります。参考でありますけれども、昨年の一年間の警視庁、いわゆる東京都内での刑法犯の認知件数というのは二十一万二千百五十二件、私、これ昭和四十年代、東京都が世界一安全な都市だといわれていたときと比べますと、昭和四十年代の刑法犯の認知件数は二十一万二千八百六十二件ということですから、ほぼ昭和四十年代の治安水準に回復したなと思っておるわけであります。
 ただし、中身が相当違ってきているということであります。侵入窃盗、いわゆる忍び込みとか、あるいは空き巣とか、あるいは事務所荒らしとかというのは、実は去年は都内で一万一千四百三十四件発生しています。これ一日にしますと三十一件ということで、多いかなと思われるかもしれませんが、実は昭和四十年代はこの侵入窃盗というのは年平均六万二百三十件、つまり一日平均にしますと百六十五件発生しているものであります。八〇%以上減ってきているという部分があります。これは、平成十五年以来犯罪抑止対策ということで、警察だけでなくて、行政機関、あるいはボランティアの方、すぐれてボランティアの地域の方々の協力のたまものだろうというふうに思っております。
 そうした中で、このひったくりというのは、昭和四十年代に大体八百九十件ぐらい、年平均ですね。それが五十年代には七百五十件ぐらい、それが平成になってからぐっと上がりまして、平成十年から十五年ぐらいで大体年間五千件ぐらい発生しておりました。ピークの平成十一年には七千件ほど発生しておったわけでありますが、これまた犯罪抑止対策ということで、徹底的にこれは防犯と検挙の面で取り締まってきたわけであります。その結果、平成十六年以降減少傾向にあったひったくりでありますけれども、残念ながら昨今の経済情勢等を反映して、昨年の秋ごろから急増してまいりました。その結果、本年の五月と六月にひったくり緊急対策ということで、検挙と防犯の両面で諸対策を強力に推進をしてまいったという次第であります。
 その結果、現在は増加傾向に一定の歯どめをかけることができたというふうに考えておりますが、年末十二月は、やはり昨年も二百二十五件という一年で一番多くひったくりが発生しております。ことしも年末にかけて増加が懸念されるということでありますので、私ども警視庁としては、こういった実態を踏まえて、特別警戒を実施するなど、積極果敢な街頭警察活動を展開し、未然防止と被疑者の検挙に向けた取り組みを強化することといたしております。
 具体的には、ひったくりの約七割、これは犯人側が二輪車を使用しているということでありますので、二輪車に対する検問、取り締まり、あるいは多発地点、多発時間帯に合わせた重点的な警戒活動等々を推進してまいりたいということであります。被害者のほとんどが帰宅途中の女性、あるいは高齢者の方であります。
 したがいまして、二十代から三十代の女性、あるいは高齢者の方を対象にいたしまして、バイクの音がしたらぜひ振り向いてほしいと、振り向いて確認をしてほしい、あるいは歩くときはバッグを建物側に持つ、あるいは自転車の前かごには防犯ネットをつけていただきたいというようなことの三つの用心も含めて、さまざまな対策の普及浸透を図ってまいりたいというふうに考えております。
 このほか、緊急雇用創出事業臨時特例交付金を活用した、ひったくり多発地帯への警備員の派遣を行うということもやってまいりたいというふうに考えております。いずれにせよ、あらゆる検挙、防犯対策を強力に推進をして、年末における都民の皆様の安全と平穏を確保してまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
   〔教育長大原正行君登壇〕

○教育長(大原正行君) 五点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、社会に貢献する人間の育成についてでございます。
 子どもたちが夢や希望を持ち、将来、社会で自立して生きていくためには、お話のように、規範意識や公共心、思いやりの心などを学校、家庭、地域が協力して育成していくことが極めて重要でございます。
 これまで都教育委員会では、中学生による五日間の職場体験の実施や都立高校における教科「奉仕」の授業などを通して、子どもたちが自分のよさや可能性に気づき、社会の一員としての自覚を高める教育を推進してまいりました。
 また、すべての小中学校において、道徳の時間を公開し、教員が保護者や地域住民と意見交換を行う道徳授業地区公開講座の実施を通して、家庭、地域と一体となった心の教育を進めてまいりました。
 今後とも、都教育委員会は、こうした取り組みを一層充実するとともに、平成二十年五月に策定した東京都教育ビジョン(第二次)に基づき、学校教育において社会に貢献できる人間を育成する教育を強力に推進してまいります。
 次に、小一問題や中一ギャップへの対応についてでございます。
 小一問題及び中一ギャップは、小学校及び中学校への入学直後に発生するため、子どもたちがその後充実した学校生活を送ることが困難になりかねません。本年七月に実施をした実態調査で明らかになったこの問題については、都教育委員会として、現実に即した実効性ある対策を講じなければならない重要で深刻な課題であると認識しております。
 都教育委員会としては、この問題を予防、解決するためには、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくることが必要であると考えており、お話の教員の加配について、早急に具体的な検討を進めてまいります。
 加配された教員の活用に際しましては、地域や現場の実態を踏まえ、ご提案の生活集団としての学級の教育効果を考慮した学級規模の縮小やチームティーチングの導入など、学校の実情に合った最適策が選択される仕組みを検討してまいります。
 次に、都立特別支援学校の配置のあり方などについてでございます。
 都教育委員会はこれまで、東京都特別支援教育推進計画第一次、第二次実施計画を通じて、特別支援学校の規模と配置の適正化を推進するとともに、教育諸条件の整備に努めてまいりました。
 障害の重度重複化、多様化や通学負担の軽減などに対応するため、複数の障害教育部門を併置した新しいタイプの学校等の設置、通学区域の見直しや地域バランスに配慮した学校配置をこれまで進めてまいりましたが、さらに、幼児、児童生徒の地域におけるかかわりも重視いたしまして、障害特性や発達段階に応じた特別支援学校の規模と配置の適正化を図る必要がございます。
 また、地域における特別支援教育の充実のため、特別支援学校のセンター的機能の強化などにより、小中学校の特別支援教育に対する都の一層の支援が求められております。
 こうした課題や知的障害のある児童生徒が著しい増加傾向にある状況などを踏まえまして、現在、第三次実施計画の策定に向け、課題ごとに検討組織を設置し、検討を行っているところでございまして、特別支援学校の教育条件の整備や地域における特別支援教育の充実策などについて計画に反映させてまいります。
 次に、特別支援教育を目指す学生の採用についてでございます。
 障害のある幼児、児童生徒の個に応じた指導を充実するためには、資質の高い教員を確保することが重要であり、都の採用試験受験者の一層の増加を図っていく必要があると考えております。
 現在、都教育委員会では、特別支援学校教諭免許状の取得、または取得見込みの大学生を対象に、大学推薦制度を実施しております。さらに、今後、地方においては、特別支援学校の教員を目指しながらも、採用枠が小さいために、地元県では合格とならなかった優秀な人材が多数おりますことから、このような人材が都の採用試験を受験するよう、地方の大学関係者へ積極的に働きかけてまいります。
 最後に、児童生徒の自殺予防のためのスクールカウンセラーの活用についてでございます。
 児童生徒の自殺行為の背景には、うつ病など、深刻な心の病が存在することもあり、気分が沈む、注意が散漫になるなど、うつ病の症状に気づいた場合には、学校は専門家による治療を受けさせることが重要でございます。
 都教育委員会が現在、中学校全校に配置をしておりますスクールカウンセラーは、生徒の不安や悩みへのカウンセリングなどを行える高度に専門的な知識や経験を有する臨床心理士でありまして、定期的な授業での観察や日常的な触れ合いを通して、子どものうつ病などの心の病の症状を早期に発見し、専門機関との連携を図るなど適切に対応してまいりました。
 また、都教育委員会は、子どもの自殺予防に向けて、校内の指導体制の整備を促す指導資料をすべての教員に配布するなど、教職員の啓発を図ってまいりました。
 お話のように、学校の教員がスクールカウンセラーと連携して対応することが重要でありますことから、今後とも、都教育委員会は、この指導資料の活用を一層促進いたしますとともに、区市町村教育委員会と連携して、スクールカウンセラーの専門的視点を生かし、生活指導主任、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー等で構成する学校内の教育相談連絡会を活用して、早期発見し、対応する校内体制を構築するよう支援してまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都から見た国における事業仕分けの課題についてでございますけれども、事業仕分けは、個別の事業の必要性などを根本から見直そうという問題意識自体意義あるものでございます。ただ、国で実際に行われている事業仕分けの状況からは、少なからぬ課題も明らかになっているようでございます。
 まず、手法上の問題点としては、例えば仕分けの対象事業の選定基準が明確でないこと、仕分け人の選定基準が明確でないこと、あるいは短時間の議論で真に有効な評価が可能なのかどうか疑問もあることなどの点でございます。
 しかし、これらいわゆる手法としての問題とともに、より本質的な問題点もあるかと思われます。それは、事業を評価する際の大前提として不可欠な、その政策分野について国として何を目指すかという大きな政策判断が必ずしも明らかにされていないようであるということでございます。その結果、仕分け人たちの間で事業を評価する基準自体が共有されないままに個別施策の議論に入ってしまっているという場合もあるのではないかというふうに思われます。
 東京都が石原知事就任以来実行してきました大幅な事務事業の見直しにおいては、その点が異なっておりまして、今回国で行われている事業仕分けのその点で大きな相違があるように思われます。
 例えば、都が実施した福祉改革におきましては、まず、改革の基本方向につきまして、石原知事の方から所得格差の是正や所得保障は国の責任が基本、福祉サービス基盤の質、量の充実こそ東京都の役割であるという明確な政策判断が示され、その評価基準に基づいてそれまで実施してきた個別施策全般についての統一的な総括、検証が行われ、新たな施策構築がなされたものでございます。
 そして、この取り組みの中から、認証保育所や区市町村への包括補助など、先導的な新規施策が生まれてきたのであります。都における事務事業評価制度は、こうした過程で形成されたものでございまして、事業の効果や効率性を、新たな公会計手法などを活用して、時間軸の中で多面的に事後検証を行い、予算編成に活用していこうというものでございます。
 厳しい財政環境に直面する中で、限られた財源をむだなく活用していくための手法として、事務事業評価の取り組みは、従来にも増して重要になっております。来年度予算編成におきましては、新たな公会計手法を評価手法として一層活用するとともに、評価結果の公表も充実し、都民に役立つ施策を構築するための手法として発展させていきますよう、各局と連携して、全力で取り組んでまいります。
 次に、子ども手当、高校授業料の実質無償化、自動車関連諸税の暫定税率の廃止のそれぞれの都への影響額についてでございますが、仮に、幾つかの仮の前提を置いて試算しなければならないわけでございますが、その場合、子ども手当の創設に伴う所要額は平年度ベースで全国でおよそ五兆三千億円程度とされておりますが、都内全体ではおおよそ四千九百億円程度になろうかと試算されます。
 したがいまして、仮に、現行の児童手当と同様の負担率三分の一を都が負担した場合の影響額について試算いたしますと、平年度ベースで都と区市町村の負担額はそれぞれおおよそ千六百億円程度、合わせて三千二百億円程度になる見込みでございます。
 現行の都の児童手当の負担額が百八十二億円であることを踏まえれば、その財政負担の大きさは相当大きいと、比較にならないぐらい大きいといわなければなりません。
 高校授業料の実質無償化につきましては、公立高校、私立高校あわせて、その所要額を全額負担した場合、都の負担額はおおよそ五百億円程度と試算されます。
 また、自動車関連諸税の暫定税率が廃止され、仮に代替財源が措置されない場合には、地方税への影響に加え、地方への国庫補助金等にも影響が及ぶことから、これらを勘案いたしますと、都への影響額はおおよそ七百六十億円程度、都内全体への影響額はおよそ一千五十億円程度となる見込みでございます。
 このような巨額の費用について、地方が負担することは困難な状況でございます。また、仮に地方交付税によって地方自治体に対して財源措置をしたとしても、東京都とすべての特別区、そして都内十六の市町は不交付団体でございますので、全く実質的な財源措置とはならず、極めて深刻な事態に直面することとなります。
 いずれにいたしましても、巨額の費用を要する制度の創設や見直しを国策として実施する場合には、地方に負担を転嫁することなく、あくまで国の責任において確実に財源を確保するべきものと考えております。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 所得税と住民税の扶養控除が廃止された場合の税負担についてお答え申し上げます。
 扶養控除は、十五歳以下及び二十三歳以上六十九歳以下の扶養親族一人当たり、所得税で三十八万円、住民税で三十三万円を所得から控除するものであります。
 ご質問にありました二十三歳以上六十九歳以下の成人を二人扶養している給与所得者の世帯で試算した場合、仮に扶養控除がすべて廃止されますと、所得税と住民税を合わせた年間の負担は、年収三百万円の場合約十万円、年収五百万円の場合約十二万円、年収七百万円の場合約十八万円の増となります。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点についてお答えを申し上げます。
 まず、住民税の扶養控除廃止による影響についてでありますが、福祉保健分野では、例えば国民健康保険や介護保険の保険料、認可保育所の保育料などのように、税額や課税の有無に応じて負担額が増減する仕組みを取り入れているもののほか、ひとり親家庭等医療費助成のように、そもそも住民税非課税の場合には負担がなく、課税の場合に負担が生じる事業がございます。このように、住民税の扶養控除が廃止されると、自己負担が生じたり、あるいは負担額がふえるケースが出てまいります。
 次に、介護分野における雇用創出についてでありますが、都は本年三月に開設したTOKYOチャレンジ介護において、離職者及び低所得者を対象に、介護資格取得費用の助成や福祉人材センターによる介護職場への就労支援等を実施してまいりました。
 さらに、国内の失業率が五%台で推移している現在の厳しい雇用情勢にもかかわらず、介護分野での人材確保が困難な状況であることを踏まえ、都は緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、離職者等が介護施設などで働きながら介護福祉士やホームヘルパー二級の資格を取得することを支援してまいります。
 今後とも、離職者等に対し、事業の趣旨、内容、利用方法について情報提供や広報に努め、介護分野における雇用の拡大と人材の確保、育成を進めてまいります。
 次いで、在宅介護支援手当についてでありますが、介護保険制度は、従来家族が担っていた高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設され、低所得者に対しさまざまな面で配慮がなされております。
 例えば、利用者負担が過重とならないよう世帯当たりの負担上限額を定める高額介護サービス費の仕組みが設定され、また昨年度からは医療費の自己負担額との合算による軽減制度も導入されております。
 都としては、今後とも、在宅介護を担う家族の負担を軽減するため、地域に密着した小規模多機能型居宅介護やショートステイを初めとする在宅介護サービス基盤の整備に着実に取り組んでまいります。
 次いで、小児総合医療センターの開設に合わせた東京型ドクターヘリの運用についてでありますが、これまで東京消防庁、病院経営本部と、新生児の特性に応じた搬送について協議を重ねており、現在、ヘリコプターの振動に耐えられるモニター等、搭載する資器材の選定や、保育器の安全な装着方法など、最終的な詰めを行っております。
 今後、ヘリの離発着訓練や医療スタッフによる実地訓練などを行い、来年三月の病院開設と同時に運用を開始できるよう準備に万全を期してまいります。
 次いで、救急医療機関の耐震化についてでありますが、お話の耐震化緊急整備事業は、これまで対象となっていない建てかえも対象とするなど、支援内容が充実したものとなっておりまして、これをきっかけとして、多くの医療機関で耐震化の検討が行われました。今回、この事業を活用して、新たに救命救急センター及び災害拠点病院の五つの医療機関が耐震化される予定であります。
 次いで、都独自の耐震化に向けた取り組みについてでありますが、都は今年度から救急医療機関に対する耐震化施設整備費の補助率を引き上げるなど、その促進を図っておりますが、さらに、ただいま申し上げたように、多くの医療機関で耐震化に向けた取り組みが検討されておりますので、こうした動きを都としても受けとめ、耐震化をより一層推進するため、救急医療機関に対する新たな支援について検討しております。
 次いで、自殺予防についてでありますが、自殺の大きな要因の一つであるうつ病等の精神疾患につきましては、内科医等のかかりつけ医と精神科医が連携して診療を行うことが重要であります。このため、都は平成十九年度からかかりつけ医等がうつ診療に関する専門的な知見等を得られるよう、うつ診療充実強化研修事業を開始いたしました。平成二十年度までに四地区で実施をし、平成二十一年度は六地区で実施をいたします。
 本事業につきましては、うつ病診療におけるかかりつけ医の役割の重要性にかんがみ、実施地区のさらなる拡大を検討してまいります。
 次いで、最後になりますが、うつ病専門の看護師、デプレッションナースについてでありますが、うつ病等の精神疾患の病状の悪化を防ぎ、自殺を予防するためには、カウンセリングや服薬管理等を適切に行うことが重要であります。
 このため、現在、こころといのちの相談・支援東京ネットワークの中で、専門医やかかりつけ医、地域の保健、医療、福祉機関との連携によりまして、うつ病患者等に対する支援に取り組んでおります。
 うつ病専門のデプレッションナースについては、我が国の保健医療体制における位置づけなどの課題について検討する必要があると考えてございます。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、基金事業による雇用の創出についてであります。
 都は本年度、緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業におきまして、合わせて約二百五十の事業を実施し、約四千人の新規雇用を見込んでいたところでございます。
 さらに、雇用情勢が依然として厳しく、一層の取り組みが求められる状況にありますことから、本定例会に提案しております補正予算により、緊急雇用創出事業の基金の拡充を行うとともに、三百を超える事業を追加し、約六千人の新規雇用の創出を図ることといたしました。これによりまして、年度内に合計で約一万人の雇用創出に取り組みます。
 これらの雇用創出事業では、学校におけるICT教育の推進、介護人材の育成などの事業に加えまして、公園の整備、河川の清掃、間伐による森林の保全など、多様な事業を実施いたします。
 今後とも、ご指摘を踏まえ、各局連携のもと、創意工夫により雇用創出効果の高い事業を展開し、切れ目のない雇用の創出に積極的に取り組んでまいります。
 次に、失業者に対する支援の態勢等についてであります。
 緊急雇用創出事業は、仕事を失った方々に臨時的なつなぎの雇用を提供するものであり、わかりやすく的確に情報を伝えることが重要であります。このため、この事業による求人については、ハローワークやしごとセンターを通じて広く公募しているほか、事業の一覧を東京都のホームページに掲載しております。
 今後、ホームページに掲載する情報の充実を図るほか、しごとセンターに求人情報を提供するコーナーを設けるなど、緊急雇用の求人を失業者の方々から見てわかりやすい形で提供してまいります。
 さらに、正規雇用など、次の仕事へつなげる取り組みも重要でありますことから、都の就業支援策をまとめたパンフレットを緊急雇用の事業に従事する方々に配布して、しごとセンターの利用を促すなど、きめ細かい支援を行ってまいります。
 次に、新規学卒者向け合同就職面接会の充実についてでありますが、大学生の就職内定率が十月時点で前年同期を七・四ポイント下回る六二・五%にとどまるなど、新規学卒者の就職環境は極めて厳しい状況にございます。
 来春卒業予定の大学生、高校生等の就職支援につきましては、都と国が連携し、就職面接会やセミナーの実施など、支援態勢の強化を図るとともに、都内経済団体に新卒者採用の要請等を行ってまいりました。
 また、本年度の新規事業として、都が十一月に開催いたしました新規大卒者などを対象とする合同就職面接会には、内定を得られずに就職活動を続けていらっしゃる多くの学生の方々が来場されました。
 さらに、来年二月十六日には合同就職面接会を再度開催し、未内定の学生に企業との面接の機会を提供いたします。この第二回目の開催に当たりましては、求人動向が厳しい中にありましても、参加企業及び求人数を確保するとともに、新たに個々の学生の状況に応じて就職活動のアドバイスや相談窓口の情報提供を行うなど、きめ細かく対応してまいります。こうした取り組みによりまして、一人でも多くの学生を就職に結びつけてまいります。
 次に、三十歳代の方々への職業訓練についてであります。
 現下の厳しい雇用情勢のもと、三十歳代を初めとした多くの求職者の方々を就職に結びつけていくためには、職業訓練を積極的に活用する必要がございます。現在、都では機械、電気系やIT、介護など、多種多様な職業訓練を実施しておりまして、三十歳代の方々が数多く受講していらっしゃいます。
 また、ネクストジョブ事業の対象者など、就職氷河期を経験し、非正規雇用で働く方々に対しては、しごとセンターと連携した訓練を実施いたしまして、正社員への就業を支援しております。
 さらに、今後は環境関連など、今後の成長が期待でき、雇用の拡大が見込まれる産業を視野に入れまして、新たな分野での職業訓練の展開などにより、求職者を安定的な就業につなげてまいります。
 次に、中小企業への海外販路開拓の支援についてでございます。
 経済のグローバル化が進む中で、中小企業が活路を切り開いていくため、海外に新たな販路を開拓することは重要と認識しております。
 都はこれまでも、海外展開に必要な知識やノウハウを提供するセミナーを開催するとともに、海外展開推進員を配置し、直接現地で交渉に立ち会うなど、これまでベトナムを中心に中小企業のサポートに努めてまいりました。こうした販路開拓支援により、視覚障害者用点字プリンターの販売など、着実に実績を上げているところでございます。また、海外見本市への出展を支援し、代理店契約や商談成立などの実績も上がっております。
 今年度からは、これに加えまして、現地の投資環境や市場に関する情報をタイムリーに収集できる体制を構築するとともに、さらに英語版のウエブサイト作成支援を開始するなど、一層の施策の充実を図っているところでございます。
 今後は、これまでに得たノウハウを生かしつつ、東アジアや東南アジア等の全域を視野に入れまして、機械や金属など、製品分野ごとに商社OBの専門家を活用するなど、現地でも支援する新たな仕組みを検討し、海外に販路を求める中小企業を支援してまいります。
 最後に、新商品の開発を促す取り組みについてでございますが、都では本年度、新規性の高い中小企業の新製品を認定し、その一部を試験的に購入して使用、評価を行う東京トライアル発注認定制度を創設いたしました。事業者の方々からは二百を超える応募がありまして、このうち日常で用いる生活雑貨から最先端の計測機器まで幅広い分野に及ぶ六十四の製品を認定いたしました。
 これらの認定製品について、製品内容を詳しく紹介するカタログやホームページを作成するとともに、認定書の交付式や認定製品の展示会を行うなど、さまざまな場面を通じてのPRに取り組んでおり、各種メディアに取り上げられるなど、大きな反響がございました。
 また、認定製品の一部を都が試験的に購入し、使用、評価する取り組みについて、都に加えて東京都監理団体等の一部にもその参加を可能とするなど、制度の拡充を進めております。
 都は、このような取り組みによりまして本制度がより広く活用され、すぐれた技術を持つ中小・ベンチャー企業による新製品、新技術の開発の促進につながるよう、一層支援を強化してまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国の新たな港湾強化策への政策提言についてでございます。
 近年、日本へ寄港する国際基幹航路数が減少し続けるなど、これまでの国の港湾政策は、国際競争力強化という重要課題に対し成果を上げているとはいえない状況にありました。我が国の港湾が世界の海運界における熾烈な競争の中で存在を発揮していくためには、従来の国内に六十を超えるコンテナふ頭を整備する分散投資や施設整備中心の施策体系などを改め、京浜港などの主要港へ貨物を集中させるような大胆な政策転換を図ることが必要でございます。
 このため都は、国の新たな政策が国内海上輸送の活性化や鉄道によるコンテナ輸送の促進、広域幹線道路の整備によるトラック輸送の効率化など、国内貨物集荷に資する総合的な物流政策となるよう、横浜市、川崎市と連携し、京浜港として国に対して積極的に提言をしてまいります。
 次に、京浜三港の連携強化についてでございます。
 京浜三港は、昨年三月の基本合意以降、まず貨物集荷に向け、内航コンテナ船の入港料の減免や共同ポートセールスなどの取り組みを実施してまいりました。本定例会には、地方自治法に定める協議会の設置について提案をしておりますが、この協議会の場において実質的な一港化に向けた議論を深めてまいります。
 今後、年度内に、さらなる貨物集荷や港湾機能向上のための施策の方向性を示す京浜港共同ビジョンを策定いたします。これをもとに、各港の港湾計画の基本となる京浜港の総合的な計画を平成二十三年度を目途に作成するなど、京浜三港の連携を一層強化し、東京湾の国際競争力を向上させてまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児総合医療センターに係る三点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児総合医療センターにおけるアレルギー科の開設についてでありますが、近年、アレルギー性疾患の症状を有する患者は増加してきており、小児医療においても、その診療の重要性はますます高まっております。
 このため、小児総合医療センターでは、アレルギー医療を専門医療として重点的に行うこととし、体の専門診療部にアレルギー科を開設いたします。
 これに伴い、アレルギー科における診療の中心を担う小児アレルギーの専門医を新たに確保し、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患について、高度な医療を提供してまいります。
 次に、八王子及び北多摩北部地域の中核病院と小児総合医療センターの連携についてでありますが、医療人材など、限られた医療資源を最大限に活用して、多摩地域全体の小児医療水準を向上させるためには、医療機関相互の連携と地域的なネットワークを構築することが重要であります。
 このため、両地域の中核病院と小児総合医療センターとの間で人材確保、育成など、多様な連携策を構築してまいります。
 具体的には、八王子地域の二つの大学病院に対して若手医師を派遣し、人材の確保と医療連携の強化を図っていくとともに、多摩北部医療センターと小児総合医療センターとの間で情報システムを活用した診断支援などの取り組みを実施してまいります。
 最後に、小児病院移転に伴う地域の小児医療に対する都の支援策についてでありますが、小児病院の移転を控えた中にあって、新型インフルエンザ対応など、地域の方々が安心できる体制を確保していくことは非常に重要であり、都はこの間、患者動向等を注視しながら支援策の検討を行ってまいりました。
 その結果、特に小児救急患者が多い時間帯への対応として、今月から八王子市が実施している夜間救急診療所の日曜、祝日の準夜帯に八王子小児病院の医師を新たに派遣することといたしました。また、多摩北部医療センターにおいても、土曜準夜帯及び日曜、祝日の日勤、準夜帯の当直体制を強化するために、清瀬小児病院から必要な医師の派遣を新たに開始いたしました。
 今後とも、小児病院が転出する地域の住民に安心していただけるよう、都として全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、八ッ場ダムの必要性についてでございますが、八ッ場ダムは、利根川上流の全流域面積の約四分の一を占める吾妻川流域において、初めて計画された多目的ダムでございます。
 まず、治水の面から見ますと、その洪水調節容量は利根川上流のダムの中で最大でありまして、既設六ダム全体の約六割にも相当いたします。八ッ場ダムが完成すれば、上流部の三つの流域すべてにおいて洪水調節機能を持つダムが整備されることとなり、他の既設ダムと相まって、利根川上流部のさまざまな降雨パターンへの対応が可能となります。
 国の試算では、過去に洪水をもたらした三十一の降雨パターンのうち二十九について八ッ場ダムの洪水調節効果があるとしております。また、平成十八年に公表された中央防災会議の資料によれば、今、昭和二十二年のカスリーン台風と同規模の洪水が起こり、当時と同一の場所で堤防が決壊した場合、被災人口は約二百三十万人に及ぶと想定されております。八ッ場ダムが完成すれば、利根川水系全体の洪水被害を軽減することができるのであります。
 一方、利水の面から見た場合、利根川流域では平均して三年に一回は渇水が発生して、取水制限を行っている実態がございます。平成六年や八年の渇水では、工場の生産ラインの縮小、プールの使用時間の短縮を余儀なくされるなど、社会的な影響も発生いたしました。八ッ場ダムは、こうした渇水発生のリスクの軽減にも大きな効果を発揮いたします。
 国が公表した資料によれば、平成八年を例にとると、年間百十七日の取水制限が実際に行われましたが、仮に八ッ場ダムがこのとき完成していれば、取水制限日数は百日少ない十七日に減少させることができたのであります。
 八ッ場ダムは、東京はもとより、利根川流域の五県にとりまして、治水、利水の両面において必要不可欠な施設でございまして、早期に完成させる必要がございます。このような八ッ場ダムの必要性について、今後さらに都民への説明に努めてまいります。
 次に、いわゆる緑のダムについてでございますが、平成十二年に日本学術会議は農林水産大臣から森林の機能について諮問を受けましたが、その答申において、森林の多面的な機能を評価する一方で、洪水緩和機能については限界があることを指摘しております。
 すなわち、答申の中で、治水上問題となる大雨のときには、洪水のピークを迎える以前に流域は流出に関して飽和状態となり、降った雨はほとんど河川に流出する状況になる、森林は大洪水においては顕著な効果は期待できないと述べております。
 都は、住民訴訟におきまして、この見解を踏まえた主張を行っております。なお、国土交通大臣も、本年十一月六日の参議院予算委員会において、集中豪雨の際に森林の保水能力は余りないと答弁されております。
 最後に、堤防強化による治水対策についてでございますが、利根川のような大規模な河川では、上流域でダムなどの洪水調節施設を整備することにより、洪水時における下流の水位を安全に低下させて、堤防決壊等による被害を軽減させることが重要でございます。特に、近年の気候変動に伴い頻発する豪雨は、流域のいずれの地点でも発生する可能性があり、流域全体での対策が必要不可欠となっております。
 利根川の堤防は、長年にわたって土砂のかさ上げを繰り返して盛ったものが多く、弱点が実際どこにあるかの把握が困難でございます。その抜本対策として、国では、決壊しないスーパー堤防の構築を進めておりますが、埼玉県内の例では、平成元年度から着手し、約七・二キロメートルの整備に約一千三百四十億円を要しております。左右両岸で約四百八十キロメートルの延長を持つ利根川の堤防全体を決壊しないように強化するためには、莫大な時間とコストがかかることになります。
 なお、国会において本年十一月十六日に提出された八ッ場ダムに関する質問主意書において、平成二十七年度までに八ッ場ダムの本体工事費に相当する支出の範囲内で、ダムと同等またはそれ以上の堤防強化の具体的プランはあるかとの質問が出されましたが、これに対して政府は、そのようなプランはないと回答しております。
   〔消防総監新井雄治君登壇〕

○消防総監(新井雄治君) 高円寺の火災を踏まえた対応についてでありますが、東京消防庁では、本火災により四名ものとうとい人命が失われたことを重く受けとめております。
 このため、特別査察推進本部を設置し、飲食店が存する二千の雑居ビルに対しまして、緊急に立入検査を実施し、火気設備の適正な維持管理や避難障害となる物件の除去などの徹底を図っております。
 あわせまして、飲食店関連業界十四団体に対し、防火安全対策の徹底を指導いたしました。また、本火災の出火原因や延焼経路などについて調査を実施しているところであり、今後、天井装飾用の布を含めた店内装飾が延焼拡大に及ぼす影響や火気設備、防火管理の状況などを精査いたしまして、防火安全対策を総合的に検討することとしております。
 当庁では、この検討結果を踏まえまして、都民の安心・安全の確保に向け、飲食店などにおける火災の防止に取り組むとともに、年末年始の火災安全対策を東京消防庁職員及び消防団員が一丸となって推進してまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 東京国体に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京国体におけます環境対策についてでございますが、東京国体におきましては、環境への配慮を重要な柱と位置づけ、人と環境に優しい国体を目指してまいります。運営に当たっての廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進、環境配慮型のシャトルバス等の利用など、さまざまな環境対策に取り組むとともに、国体開催が環境問題を考えるきっかけとなるような取り組みを検討し、その内容を東京国体環境指針として、今年度中に取りまとめる予定でございます。
 この中では、大会開催に伴う環境負荷の、いわゆる見える化を図ることで、温室効果ガスの排出及び削減実績を明らかにしていくなどの先駆的な取り組みも検討し、環境先進都市にふさわしい大会を実現いたします。
 次に、国体による東京の魅力のアピールについてでございますが、多摩・島しょを中心に開催する東京国体は、地域社会の活性化を促し、さらには東京の多様な魅力を発信する絶好の機会でもございます。開催時には、全国から多くの関係者や応援団が東京を訪れるため、区市町村などと連携して地域の観光資源をアピールし、東京ならではのおもてなしを工夫して、訪れる方々をお迎えいたしたいと思っております。
 さらに、国体における郷土文化の普及事業として展開する文化プログラムを活用するなど、単なるスポーツイベントにとどまらない祭典として開催いたします。

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