平成二十一年東京都議会会議録第十七号

○議長(田中良君) これより質問に入ります。
 百二十一番酒井大史君。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

○百二十一番(酒井大史君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、川島忠一議員のご逝去に際し、謹んで哀悼の意を申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
 さて、十二月補正予算と二十二年度予算編成について伺います。
 景気後退局面にあった日本経済は、昨秋のリーマンショックでさらに景気を悪化させました。その後、国はことし六月に底打ち宣言を出しましたが、実体経済は生産、消費ともに低水準で、特に中小企業の仕事がふえず、大企業との景況判断の乖離幅は過去最大となっています。
 雇用も、失職が正社員に波及し始め、依然厳しい状況です。企業倒産は緊急保証制度など中小企業向け支援の効果で何とかとどまっている状況にあり、今後は企業の経費節減や冬のボーナスの減少による消費低迷が懸念されます。暮らしに余裕がない都民もふえ、デフレ状況と為替市場の急激な変動が都内経済に一層の影響を与えるおそれがあります。都はこのような状況で経済情勢をどう見ているのか、見解を伺います。
 都も企業の業績悪化により、地方法人税の過誤納還付金が二千百五十七億円と記録的に増加し、財政調整基金を取り崩し、補正予算を新たに組む事態となりました。都税収入も昨年度決算額と比較して大幅な減収となり、来年度も順調な景気回復を期待することが難しい状況にあると考えますが、この見通しについてお伺いをいたします。
 国は、デフレや為替市場の急激な変動に対応して、緊急保証制度の対象業種を拡大する中小企業対策や、職の維持と拡大に努める雇用対策、電気自動車を普及する環境投資の促進、地方支援といった新たな経済対策を策定するとともに、ワンストップサービスによる失業者支援を発表し、景気や雇用の下支えとする方針を打ち出しました。
 一方、都は、国の経済対策に伴う国庫支出金で十三基金を新設、増額する補正予算案を提出しました。この年末も多数の失業が予想され、消費が低迷すると見込まれる中、障害者雇用実態調査員や歩行喫煙パトロールなどのつなぎ雇用を創出していくことや、来年度から小児救急医療の運営費も助成をしていきます。今回、編成した補正予算にどのような効果を期待するのか、都の見解をお伺いいたします。
 東京は、急速な少子高齢化やいずれ来る震災対策など、将来に向けた課題が山積しており、これら都民のニーズに的確にこたえていかなければなりません。また、都内の経済の悪化に伴う中小企業支援や雇用対策なども喫緊の課題です。景気低迷に伴い税収の大幅減を見込む都財政においては、基金の活用や都債の計画的な発行などの財政対応と、行政改革の推進や適切な人員の配置、派遣などがさらに重要となります。
 翻って、来年度の各局の予算要求では、金融支援などの中小企業対策や雇用就業対策、福祉政策などに重点が置かれています。都は、財源の把握とさらなる収入確保を図り、必要、有益性の高い都民サービスを提供するとしていますが、中長期的な財政運営の中で、都税収入の大幅減という経済情勢の変化を受け、平成二十二年度予算案をどう位置づけ、予算編成をどのような基本方針で臨んでいくのか、知事の見解を伺います。
 社会状況がさまざまに変化していく中で、医師不足による救急搬送受け入れ困難事案や外来、分娩休止問題の発生、雇用や中小企業経営の不安、大地震などの災害による都市リスク、地球環境の異変、気候変動による災害などが顕在化し、そして深刻化しています。
 民主党は、それら諸課題に対して都が、ドクターカーの配置などの諸施策を組み合わせることで救急搬送時間を短縮することや、医師確保による小児ERの整備、出産一時金の引き上げなど安心して子どもを産める環境づくり、緊急雇用対策や中小企業融資の拡大、住宅耐震化に向けた意識啓発と助成対象地域の拡大、ゲリラ豪雨対策の推進などに一層取り組むよう求めています。そして、今後の予算編成に当たっては、都民の暮らしの豊かさに重点を置いた都民のための経済、都民の生活をしっかり守る予算を基本としていくべきと考えますが、見解を伺います。
 景気対策に関連して、東京湾の国際競争力の強化について伺います。
 先ごろ、国土交通大臣は、アジア諸港の躍進により相対的に国際的な地位の低下が著しい我が国港湾の国際競争力を抜本的に強化するために、日本港湾の中での新たな選択と集中を行い、重点投資を行うことを表明いたしました。今月中旬には、国際戦略港湾を全国で一つないし二つ選定するための検討委員会が立ち上がり、来年早々にも全国の港湾管理者である自治体等を対象に公募を行うと聞いています。
 報道によれば、国が一方的に選定すべきとの意見もあるようですが、戦後、我が国の港湾経営を自治体が担ってきたという歴史や地方分権推進の視点から、自治体の自発的な意思に基づき、公募による選定を行うことは当然であると考えます。
 東京都、川崎市、横浜市は、昨年から、東京湾の国際競争力を向上させるため、連携強化に取り組んでいるところであり、今回の公募については、この大都市港湾の主体的取り組みを生かすためにも、京浜港として応募することが適当であると考えます。
 今後、東京都としてどのように東京湾の国際競争力の強化に向け取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 二〇一六年招致は、ブラジルのリオデジャネイロ市が開催都市となりました。心からお祝いを述べるとともに、都には環境面での支援をお願いするものです。また、東京の招致活動に取り組んできた関係者の皆様を初め、多くの都民の皆さんのご支援に心から御礼を申し上げます。
 東京は今回、平和に貢献する、世界最高の環境のオリンピック開催を目指し、コペンハーゲンのIOC総会などで懸命にその意義を訴えました。しかし、石原知事は、都民の税金も含めた招致費用百五十億円の支出について、オリンピックをやることで東京の財政は痛くもかゆくもないと述べました。これは、招致活動に苦心を重ねてきた方々を初め、寄附をした皆さん、そして都の財政再建に取り組んだ職員の皆さんにも大変失礼な発言です。納税している都民の方からは、甚だ不愉快との意見も届いています。自治体の長としての感覚が麻痺し、スポーツマンらしからぬ言動です。かゆみは感じなくても、せめて痛さは感じていただきたいと思います。
 一六年招致の最高責任者、東京オリンピック招致委員会会長である知事に見解を伺います。
 最近のオリンピック招致を顧みると、二〇一二年招致に成功したロンドン招致委員長は陸上長距離、モスクワ、ロサンゼルス・オリンピックの金メダリスト、セバスチャン・コー氏です。また、今回、招致に成功したリオデジャネイロ招致委員会会長も、一九六四年東京大会でバレーボールに出場したIOC委員、カルロス・ヌズマン氏です。マドリードも、オリンピックムーブメントを救ったサマランチ前IOC会長が招致に乗り込みリオと接戦を演じるなど、国際スポーツ界の面々が活躍しました。
 一方、二〇〇八年招致で敗れた大阪は、磯村隆文市長が委員会会長を務めていました。同じく東京も石原知事が招致委員会会長として活動を行った結果、落選をいたしました。
 たびたび知事は、私も招致を終わってから知ったんだけど、一九六四年のオリンピックの前に、東京は一九六〇年のオリンピック開催に乗り出して敗れているんですと語っています。知事が、先人の歴史も知らずにIOC委員たちに支持を求めていたとすれば、あきれます。知事の見解を伺います。
 かつて東京は、アジア初のオリンピック、一九六四年の東京大会を開催するに当たって、アジア民族全体の感激であると述べるなど、アジアの中の日本という立場を重視してきました。石原知事は以前、東アジア諸国から反発を招きかねない発言をしていましたが、北京オリンピック開会式に出席するため、初の訪中をし、アジア・オリンピック評議会総会に出席するなど、アジア諸国に対する招致活動を行ってきました。
 東京は、民主党が求めてきたオールアジアのオリンピック構築のため、オリンピック開催国中国から賛同を得ること、アジアの国々への運動を展開していくことを行い、中国、韓国などアジアの同胞たちの支持を得ることができたのでしょうか。都の見解をお伺いいたします。
 IOCが行った東京のオリンピック支持調査の結果は五五・四%で、八四・九%のマドリード、八四・五%のリオデジャネイロより三〇ポイント近く低く、六七・三%のシカゴより下位となりました。IOCも相対的に低いと指摘をし、ロゲ会長は、歓迎されないパーティーには行きたくないと語り、大会開催における世論の重要性を指摘しています。
 東京の支持が高まらないのは、国民全体がスポーツを広く楽しんでいるとはいえないからだと考えます。マドリードやリオでは、競技リーグや市民が参加するスポーツクラブが盛んで、スポーツ、オリンピックに賛同する下地があります。東京も、健康、体力維持のため都民のスポーツ・レクリエーションへの参加、安全なスポーツ環境の整備を行うなど、地域のスポーツ振興に地道に取り組み、都民の共感を得るべきでした。支持率の向上に、イベントを中心とした事業だけに頼ってはいけません。都の見解を伺います。
 長野オリンピックの招致活動費は二十八億三千四百万円、招致に失敗した大阪市は、約四十八億円の招致活動費を投じました。二〇一六年招致の東京は、その三倍、総額百五十億円の費用をかけ、招致機運の低迷から、オリンピックムーブメント経費を新たに九十五億円で設定、都内市区町村などで多くのイベントを開催してきました。
 一方、民主党は、今までの招致活動の問題点を教訓化して、活動の簡素化を行うべきと訴えてきました。そして、都民の税金を使う観点から、事業提案を精査するとともに、石原知事・招致委員会会長がみずから汗をかき、JOCや各競技団体、オリンピック協力企業などにさまざまな協力を求めるべきだったと考えるのです。
 オリンピック特別委員会や決算特別委員会などでも、各議員から検証を求める声が出ています。そこで、招致費用百五十億円の徹底検証をし、結果を招致報告書に反映させるべきです。都の見解を伺います。
 二〇〇八年招致において大阪は、在阪経済五団体と経団連、日商から十一億七千八百万円の寄附を集め、大阪招致委員会に八億三千万円を交付しました。今回は、石原知事が会長を務める東京招致委員会は、その五倍近くに上る五十億円の寄附目標を設定、都の外郭団体三十社も招致委員会に総額一億円を超える寄附をした実態が明らかになりました。そして、委員会のホームページにおいて非公開とした団体が数多く見受けられ、このうち監理団体は新公益法人への移行を希望、申請していることから、その考え方を今後改めていくべきと考えます。
 しかし、寄附は予想に反して集まらず、七億円から十億円不足しているといわれていますが、これを安易に都民の負担をふやす一般財源での穴埋めは認められません。都の見解を伺います。
 二〇一六年オリンピック招致の総括なき石原知事が、手続のタイミングから、二〇二〇年オリンピックに名乗りを上げましたと述べた判断に、都議会議員の多くが、そもそも失敗の総括が終わっていないと異論を唱えました。たしか十月四日、知事は落選した直後、こう語りました。経験、データを詳細に発表し、都民に認識してもらった上で、民意をしんしゃくする、私たちが一方的に決める問題ではない、この発言はいともたやすく翻され、あとは次の政権が考えることと、二〇一一年四月に選出される新都知事に後始末を任せる態度をとっています。
 また、知事が、機運が高まったと所信表明で示した調査は、国が約二年ごとに行う体力・スポーツに関する世論調査結果であり、サッカーワールドカップなども含めた、国際大会を我が国で開催することへの賛否です。毎回八〇%以上の賛成結果で、必ずしも知事のオリンピック招致活動が反映されたものとはいえません。それよりも、十月、都に都民から寄せられたオリンピック招致に関する意見の六五%が批判的な内容であったことに、我が党としては大きく関心を持っています。そして、招致委員会の存続に関しても議論が必要です。
 そこでまず知事は、一六年総括のため、招致報告書の作成に汗をかき、みずからの言葉とともに公表、説明し、都民の意見を聞きながら十分な議論を行う姿勢に徹することが重要です。知事の見解を伺います。
 次に、医療について伺います。
 私たちは、東京都議会議員選挙におけるマニフェストの大きな柱の一つとして、救急搬送時間の短縮、三十分以内を目指すことを掲げました。これは単に時間だけの問題ではなく、東京が抱える医療から介護にまで及ぶ問題全般の解決につなげるための入り口です。一部に悪質なケースがあるとはいえ、多くの都民にとって、救急車を呼ぶときは、一生に一度といってよいぐらいの緊急時です。そのときに医師引き継ぎまで一時間弱かかるという事実は、小手先の対策で安心を約束するには大き過ぎる問題です。国における医療制度の抜本改革とともに、我々東京という自治体としても取り組んでいかなければなりません。
 民主党は、救急搬送システムの改善、医師の勤務環境改善、女性医師の継続支援、トリアージやクラーク導入支援、療養、在宅支援などの提案を行ってきました。平成二十一年度予算において実現したものも多くありますが、都内の医師不足は改善しておらず、救急に携わる医師も十分に確保されているとはいいがたい状況です。また、日本の医師は、医師でなくとも可能な事務処理等まで担っており、こうした事務補助者の育成、配置への支援による負担軽減も重要な施策です。
 そこで、都内の各医療機関における、さらなる医師確保策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、患者受け入れ体制の抜本的拡充について伺います。
 搬送先選定をスムーズにする司令塔機能の一環として、東京ルールが開始されました。これ自体は、都民にとっては、いざというときには医療機関が連携して受け入れてくれるという安心を確保するものであり、深刻な医師不足を直ちに解消できない中で救急医療を確保する趣旨と理解します。
 しかし、受け入れる二次医療機関の負担が大きくなり過ぎれば、最後のとりでである三次救急にも影響しかねないとの指摘も聞きます。実際に最終的な受け入れや地域内での調整を担当する地域救急医療センターでは、調整役の医師の多忙感、負担感が増しているとのことです。また、地域の中核的病院からは、可能であれば参画したいが、これ以上の負担を医師に求められないなどといった声も聞かれます。
 まずは一たん受け入れるという東京ルールの実施に伴って、実績を踏まえて次のステップとして、転院搬送(病院救急車)や後方病床の整備、ER型救急などの対策を検討していかなければなりません。救急患者を地域の救急医療機関が連携して受けとめる東京ルールの実効性を高めていくためには、さまざまな支援策が必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 重症化しやすい小児のワクチンも全員接種ではなく、量的にも全量確保されているわけではない中では、重症化を防ぐ迅速な初期医療体制の確保に加え、小児重症患者の治療に必要な医療機器や入院ベッドも不足することが懸念されています。民主党はこれまでも繰り返し、入院医療体制の確保に向けた取り組みを求めてきました。五月から九月までのくすぶり流行ともいわれる状況から、十月に入って本格的な第一波に見舞われており、冬場を迎えて大流行となるおそれもあります。こうした状況で、小児を含む重症者のための入院医療体制は確保されているのか、また、一層の確保に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 続いて、小児医療について伺います。
 私たちは、小児ER二十カ所整備ということを求めてまいりました。小児救急医療については、一人一人の診察時間が長くかかること、治療に入るまでの手間が多いことなどから、クラークやトリアージの導入効果も高いと考えたからです。特にトリアージについては、国立成育医療センターの救急患者トリアージの実績を見ますと、軽症の方が五〇から六〇%、中等症は約三〇%、重症が約六%から一一%、命にかかわる状態で診察まで三分という最重症の方も〇・六から〇・九%いらっしゃったということです。
 子どもは大人に比べ体力がないため、自家用車で来院したごく一般的な症状を訴える子どもでも、直ちに集中的な治療が必要となることが少なからずあるということです。また、子どもの場合、突発的な外傷による死亡も多くなっています。まず、病院で二十四時間子どもを受け入れられる体制を確保し、病院内で緊急度に応じて診察を行うことが理想と考えますが、こうした小児医療体制の構築に向けた都の見解を伺います。
 次に、都立梅ケ丘小児病院地域の今後について伺います。
 梅ケ丘小児病院の府中移転については、大塚病院の小児精神外来を都立病院における区部の小児精神科外来の窓口として位置づけていますが、九十五万の年少人口を抱える区部に対して医師二人では、かなり心もとないというのが率直なところです。梅ケ丘病院の外来患者数は、ここ数年増加を続け、平成二十年には約四万三千人となっており、その果たす役割をないがしろにすることはできないものと考えます。
 数少ない小児精神の専門病院が府中に移転することによる、区部の小児精神患者への影響をしっかりと調査しなければなりません。そして、外来機能の拡充を含め、都立病院が行う小児精神医療を向上させるべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 また、かの地には、他に類を見ないといってよい小児精神医療の拠点である都立梅ケ丘病院があったということも踏まえ、小児精神の外来医療や小児医療、療育医療、また子ども、福祉に関する事業など、公的活用がなされるよう都として最大限の取り組みをするよう求めておきます。
 都は、本年の第一回都議会定例会に、都立小児三病院の廃止統合などを主眼とした条例の改正を提案しました。都議会民主党は、小児三病院がこれまで担ってきた地域医療にかんがみ、移転後の地域医療を確保するまで存続させる修正案を提出しました。
 その後も、移転後の地域医療、特に清瀬市、八王子市、世田谷区における地域医療への影響について、現場の視察を重ね、さまざまな関係者から数次にわたるヒアリング等を行い、検討を続けました。その結果、都の計画は、地域医療、特に初期救急外来の確保対策が不十分であるとの結論に至り、去る十一月十三日に要請を行いました。
 多摩北部医療センターの小児医療体制については、医師、看護師を増員し、複数の救急受け入れ体制を構築し、需要数を見きわめた上で増床等の準備を進めること、八王子地域については、二つの大学病院に加え、小児の救急、入院機能を有する新たな病院を早急に整備すること、この二つの病院については、小児総合医療センターのサテライト病院と位置づけ、都が医師等を派遣し、小児医療体制が将来にわたって都の責任で維持されることが都民にわかる制度設計とすることの三点を申し入れました。これらの要請について、都の対応を改めてお伺いいたします。
 次に、介護施設などの整備について伺います。
 東京都の高齢者人口当たりの介護保険施設は全国最下位です。これに千葉、埼玉など首都圏が続き、最下位グループをなしています。民主党は、介護施設などを十五万七千人分にふやす必要があると考えています。超高齢社会を迎える東京において高齢者を支える基盤整備が最も立ちおくれている、この事実をはっきりと認識し、厳しい経済状況にあっても、しっかりとした取り組みを進めていかなければならないのです。
 都はこれまで、特養、グループホームなどの整備に対し特別助成を行い、整備促進に取り組んできました。厳しい財政状況のときにも必要な分野に対し投資を惜しまなかった姿勢は評価します。高齢化率の増加、高齢者数の増加に対応して、必要とされる介護基盤の整備促進の課題についてどのように認識し、どのように取り組む考えか伺います。
 医療崩壊が目の前の現実となる今、すべての人が必要な医療を受けられる体制を守っていくため、限られた資源を効率的に使い、病院の機能に応じた転院、退院後の在宅医療、在宅支援とのスムーズな接続はますます重要となっています。患者の退院調整をするメディカルソーシャルワーカーを増員し、レベルを上げたり、必要な医療機関情報を容易に取得できるようにすることも重要です。特に高齢者は、自宅療養への不安、家族の負担、再度悪化した場合への不安など、患者、家族にとっては大変な問題です。
 私たちは、先ほど申し上げた必要な病床、介護施設の整備に加え、地域の病院や介護施設などの連携といった体制整備を推し進めるため、患者支援を行うメディカルソーシャルワーカーの育成、配置への支援を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 民主党は、子どもを安心して産むことができるようにし、子育て負担の軽減を図ることを最重点課題の一つと考えています。中でも、出産、子育て、教育の費用負担を減らし、格差固定社会を是正することが必要です。そのため、地方自治体においては通常行われない現金給付ではありますが、総体的に収入の低い若年世帯については、国において恒常的な施策として子ども手当の支給、出産一時金の引き上げを行っていく、その上でさらに都として、大都市東京に必要な上乗せ、横出し補助を実施するという二段構えで経済的負担を軽減することを提案しております。
 まずは、子どもが誕生するときにかかる大きな出費、出産費用です。
 東京では、医療機関への支払いだけで平均五十一万五千円と、各種健康保険から支給される出産育児一時金の四十二万円では到底賄い切れない金額です。子どもが生まれるときには、ほかにもさまざまな出費がかさみ、親、さらに祖父母世代の収入も伸び悩む中では、重い負担です。出産育児一時金についても、都内の若年世帯の収入、出産に伴うコストを勘案し、必要な額を算出し、都独自の上乗せを行うことを検討すべきです。
 このような子どもを産み育てやすい環境づくりについて、都の所見を伺います。
 続いて、保育サービスの供給についてです。
 都は、都保育所整備の前倒し実施を表明し、緊急整備に取り組むとしました。リーマンショック以降、雇用不安、低迷する所得に対し、仕事を求める主婦がふえており、各自治体には保育の申し込みが殺到しています。こうした状況で、少しでも多くの保育所を早急に整備し、幼い子どもを抱えて困っている親を支援することは歓迎いたします。
 しかし、単に既存計画の前倒しに終わることなく、今後とも継続して保育所整備を進めるとともに、保育所を利用する必要に迫られている多くの都民ニーズにこたえるため、多様な保育サービスを拡充していくべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、高等学校教育についてです。
 民主党は、高等学校の実質無料化を掲げ、公立高校は無料化、私立高等学校の通学者にも授業料補助を行うこととしています。
 都内の私立高校の授業料の平均は約四十一万六千円であり、国において、公立高校と同等の約十二万円相当から低所得者に対して二十四万円の補助が実施されたとしても、全国平均の約三十五万円と比べ、なお高い負担額になります。都においては公私格差是正に取り組んでいることでありますので、この全国との差を埋めるために、都として少なくとも五万円の学費負担軽減補助を実施する必要があると考えております。
 私立高校の保護者負担に対する都の見解を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 十一月二十七日、総務省の発表によれば、ことし十月まで十二カ月連続して完全失業者数が前年同月比で増加し続け、派遣村が出現した昨年十二月よりも七十四万人増加しています。
 また、東京都が十一月二十五日に発表した調査でも、東京都の完全失業率は五・二%で、前年同期比で一・三ポイント上昇し、平成九年の調査公表以来、最大の上げ幅となっています。
 雇用状況が悪化の一途をたどる中、私たちは再三、緊急雇用対策の積み増しを訴えてきましたが、東京都が今回打ち出した国の補正予算関連の事業だけでは、現下の雇用情勢に十分対応し切れるとは思えません。
 私は、目前に迫っている年末、年度末に向けて、東京都として、緊急的、機動的に雇用の創出を図っていくとともに、緊急雇用対策の規模の拡大に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 十一月三十日、新政権の音頭のもと、十七都道府県のハローワーク七十七カ所でワンストップサービスの試行が行われました。昨年末からの年越し派遣村のような事態を招かないよう、国と自治体、社会福祉協議会などが連携して、失業者に対して就職と生活の支援を一括して行うものです。政府は、この三十日の試行結果を踏まえ、年末年始の実施や定例化に向けて検討しているところです。
 このような中、離職者に対する相談では、やはり住宅の確保に関する内容が多いとも聞いています。東京都としても、でき得る限りこれら要望にこたえていく必要があります。
 ことし三月の予算特別委員会などにおいて、私たちは建てかえ前の都営住宅の活用などを求めてきたのに対し、東京都は、介護職などへの就労支援事業の対象者に限りながらも、活用する戸数や具体的なスケジュールを検討し、四月以降、早期の実施に向け努めていくと答えていました。
 そこで、この介護職への就労支援事業の対象者に対する都営住宅の活用状況を伺うとともに、今後、こうした都営住宅を活用した取り組みをさらに拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、ワンストップサービスの実効性を高めるためには、こうした窓口が開設されていることを知らない人、あるいはあきらめて窓口に訪れようとしない人などに対しても、実際に窓口に来てもらえるよう、こちらから出向いて、需要を掘り起こしていく必要があります。
 十二月の実施に向けては、今後、区市町村との調整の上、参加、不参加の意向を国に伝えると聞いていますが、私は、年末でのワンストップサービスについては当然実施されるべきであり、また、アウトリーチ活動などを通じて、相談窓口の周知についても積極的に広報すべきと考えます。
 ワンストップサービスの今後の取り組みについて見解を伺います。
 一部に回復の兆しを見せ始めていた日本経済も、この間の急激な円高や株安、そしてドバイショックを受けて、またも先行きが不透明な状況になっています。
 新政権においても、金融猶予法による中小企業の資金繰りの支援を初め、緊急保証制度の期間延長や対象業種の拡大などの中小企業支援を初め、中小企業の厳しい資金繰りに対応するために積極的に取り組んでいるところですが、国、地方を挙げた対応こそ必要です。
 東京都は、二十一年度当初予算において、制度融資の融資目標額を一兆七千五百億円とし、その後、六月の補正予算によって、これを二兆二千億円にまで引き上げましたが、私たちは、さらに経営支援などのメニューの融資枠拡大を図るなど、中小企業の資金需要に適切に対応していくべきだと考えています。
 また、制度融資の拡充の原資となるのは、それぞれの金融機関に対する預託金ですが、私たちは、使わぬ基金を積んだまま放置するのであれば、一時的にでも金融機関に預託金として預け、中小企業の資金需要に役立てるべきだと考えています。
 制度融資の拡充による中小企業支援について、東京都の見解を伺います。
 制度融資に関連して、私たちは、中小企業の負担をより軽減する立場から、一%の利子軽減制度の創設や保証料補助の拡充などを求めてきました。百年に一度といわれる厳しい経済状況の中、また、昨今の先行き不透明な経済状況に適切に対応するために、中小企業の負担軽減は緊急の課題です。
 東京都としては、現在行われている保証料の二分の一補助について、緊急避難的に全額補助に引き上げるなど、中小企業の負担を軽減していくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、ことし九月に制度がスタートした、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援については、この間、私たちの要望に沿う形で、取扱金融機関も順次拡大しています。
 引き続き、地域の金融機関の審査と民間の保証機関による審査などを通じてデフォルト抑制に取り組むことは当然のこととして、金融機関ごとの情報公開などにも積極的に取り組んでもらいたいと思います。あわせて、今年度の目標として掲げている融資規模五百億円を今後さらに拡大するなど、資金繰りに苦しんでいる中小企業に積極的に対応していくべきだと考えています。
 地域の金融機関と都が連携をして実施する金融支援について、現在の取り組み状況と今後の対応について伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 十二月三日、各会計決算特別委員会において、新銀行東京への追加出資四百億円の執行が盛り込まれた平成二十年度東京都一般会計決算が不認定になりました。
 地方自治法二百三十三条第五項にかんがみれば、決算審査は、単なる数字の審査にとどまらず、事業の成果についても積極的に検討を加えることが期待をされています。
 都議会民主党は、開業わずか三年で一千十六億円という巨額の損失を計上するに至った新銀行東京に対し、その責任は一体だれにあるのかと指摘し続けてきました。
 しかし、石原知事は、旧経営陣に責任を押しつけるのみで、融資以外で失われた多額の損失を招いたみずからの責任については、今日においても、明らかにした、あるいは明らかにしようとしたとはいえない状況にあります。
 また、貸し出しの多くが国や大企業であったり、中小企業向けの無担保、無保証融資を事実上取りやめたりと、中小企業支援という新銀行東京の本来の使命を果たしているとは到底いえない状況にあります。
 十一月十八日、石原知事は、決算不認定の見通しが伝えられると、別に何の痛痒を感じるわけではないと語ったそうですけれども、余りにも無神経ではないでしょうか。改めて申し上げますが、かゆみは感じなくても、せめて痛みは感じていただきたいと思います。
 四百億円は都民の税金です。都民の痛みです。彼らがどれほどの苦労を重ね、どれほど都政に期待して税金を納めているのかに思いをはせれば、痛痒を感じないとはいえないはずです。
 東京都の決算が不認定となるのは初めてのことであり、この決定は、納税者である都民を代表した議会の意思でもあります。決算不認定の認識について、石原知事の見解を伺います。
 新銀行東京の中間決算について、石原知事は十一月二十日の定例記者会見において、本業で利益を上げていないことを質問され、大まかなことしかわからない、余り専門的なことは専門家に聞いてくれとの旨答えています。
 しかし、黒字は過去の引当金の戻り益で、本業で利益が出ていないというのは、現経営陣のみならず多くの人が認めている新銀行の大きな課題であり、また、新銀行東京の一千十六億円もの損出を踏まえれば、黒字だからよしというのは、いささか虫がよいようにも思われます。
 新銀行の経営については、これまで以上に東京都による監視が求められ、石原知事も、新銀行の再建こそが私の使命と決意を表明していましたが、その割には、表面上の数字に満足し、都合の悪いことには口をつぐむという姿勢は、過去と何ら変わっていないといわざるを得ません。
 本業で利益が出ていないことや中小企業への貸し出しが減っていることなど、現実を素直に見据えるべきだと考えますが、石原知事の中間決算に対する評価についてお伺いいたします。
 私は、新銀行東京への四百億円の追加出資は、今でも、すべきではなかったと考えており、都議選においても、新銀行からの早期撤退を訴えて戦ってきました。
 石原知事は、既存の融資先やその取引先、従業員、家族などの関係者に多大な影響を及ぼしかねないと金科玉条のごとく繰り返していましたが、であるならば、新銀行では既存の顧客などに対して重大な影響を及ぼすようなことはしていないのでしょうか。
 追加出資の際に影響を及ぼすとしていた一万三千社も、最近では一万社と答えていますが、この間、新銀行は、バルクセールを初め、既存顧客である中小企業の債権を売却したことがあるのか。ある場合、その規模はどの程度か。また、その中小企業の従業員や家族や取引先などの影響についてどのように考えているのか、見解を伺います。
 昨年二月の再建計画では、事業意欲が高い既存顧客等の継続的な支援として、一般融資や小口融資、新型保証の三つのメニューを示していました。
 このうち新型保証は、地域の金融機関が中小事業者に行う融資に対し新銀行が保証をするというもので、平年度ベースでの残高を二百億円とするなど、三つのメニューの半分を占める主要なメニューでありました。
 再建計画の発表以降、この新型保証の進捗状況は明らかではありませんが、一部報道では、提携していた金融機関が契約不履行を理由に新銀行を訴えるのではないかといった記事も見られ、再建計画が着実に進んでいるのか、それこそ適切な監視が求められます。
 そこで、新銀行東京における新型保証の取り組み状況はどのようになっているのか、追加出資以降の新規保証の実績などを含め、見解を伺います。
 十一月二十六日の経済・港湾委員会で、新銀行東京に関する報告事項に対して、参考人を招致することが決まりました。
 これまで都議会民主党は、参考人招致を求める動議を都合四回提出してきましたが、それに反対してきた会派からの提案は、今後、新銀行の責任問題を追及していく上で心強いばかりです。同会派においては、常任委員会だけではなく、特別委員会というさらに大きな場での参考人の提案をぜひともお願いをしたいと思っています。
 一方、新銀行による旧経営陣の訴訟について、東京都は、ことし九月の段階では、年内を目途に訴訟を提起すると聞いていると答えていましたが、結局、年内には間に合わず、年明けにずれ込むのではないかともいわれています。
 そこで、訴訟に向けた今後のスケジュールについて確認をしておきたいと思います。
 次に、築地市場について伺います。
 九月の代表質問において、私たち都議会民主党は現在地再整備を改めて検討するための検討委員会の設置を求めたのに対して、石原知事は、歴史的な推移を踏まえて考えてほしいと述べた上で、もし具体案があるのであれば早急に示してほしいと答弁しました。
 しかし、私たちが求めていることは、現在地再整備について改めて検討することであり、石原知事が、豊洲の土壌汚染を解決するために日本最先端の専門家や技術者を集めて検討したように、私たちも、現在地再整備について改めて日本の最先端の専門家や技術者を集めて再検討をすべきであるということにほかなりません。
 その上であえて具体案というのであれば、私たちは、例えば現在、市場関係者の有志の人たちで検討されている案が一つの有力案ではないかと考えています。すなわちそれは、現築地市場の至近に位置する晴海のオリンピックメーンスタジアム予定地などを活用し、築地市場から青果ないしは水産、あるいはその両方を一時的に仮移転させ、現在地で大きな種地を確保して、現在地再整備を実施するというものです。
 この案は、現在地での小さな種地で細かいローリングを繰り返すという、過去検討された案とは異なるものであり、市場関係者の有志の人たちが手弁当で検討してきた案であります。
 私は、こうした声を真摯に踏まえ、現在地再整備について改めて検討すべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。
 青果ないし水産だけを一時的に仮移転するということについては、青果や水産を買い回る買い出し人の利便性が低下し、顧客の市場離れが起こるというのが、これまでの東京都の見解でした。しかし、買い回りの利便性という観点から見た場合、豊洲の新市場も利便性が高いとはいえないのではないでしょうか。
 豊洲の水産仲卸の売り場は、水産の卸売り場から約五十メートル近く離れたところにあり、とても便利とはいえません。加えて、青果については、幹線道路に分断された、さらに遠いところにあり、とても歩いて買い回ることができるとは思えません。有志による案は確かに仮移転中は一時的に不便になりますが、豊洲移転では、買い回りの不便さは永遠に解消されることはないのです。
 東京都は、現在の築地市場において、青果や水産の買い回りを行っている買い出し人の実態はどのぐらいであると把握しているのか、また、豊洲新市場での買い回りについてはどのようになると計画しているのか、具体的な数値及び計画についてお伺いいたします。
 現在地再整備の検討に当たっては、環状二号線の整備を一時見送り、その構造も含めて再検討していく必要があります。
 環状二号線の中央区晴海四丁目から銀座八丁目までの区間は、もともと地下方式で計画をされていましたが、平成十三年十二月に策定された第七次東京都卸売市場整備計画で築地市場の移転が盛り込まれたことを受け、平成十九年九月十一日の東京都都市計画審議会において、地上化にすることが決められました。
 しかしながら、環状二号線を地上化のまま整備してしまっては、築地市場の敷地二十三ヘクタールのうち約一・七ヘクタールが削減されるとともに、敷地が分断されてしまい、現在地再整備は事実上困難になります。
 環状二号線は、二〇一六年の東京オリンピックでの晴海メーンスタジアムへの重要なアクセスとして、平成二十七年度の完成が至上命題でしたが、現時点ではその必要性は薄らいでいるのです。
 私は、築地市場の現在地再整備を検討するためにも、最低限、本区間の整備を一時見送るべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都議会民主党は、前回の代表質問において、マニフェストに基づき、シンポジウムや公開討論会など、都民の声を広く聞く場を設けるべきだと主張してきました。
 六月八日付の東京新聞の世論調査では、築地市場の豊洲移転について、支持しないと答えた人が六〇%ということでしたが、その後、十一月二十日の産経新聞でも、移転は必要と答えた人は三一%にとどまり、築地を再整備すべきと答えた人が六九%、豊洲の土壌汚染が不安と答えた人が七二%と、世論の多くが築地での現在地再整備を求めています。
 また、十二月四日には、市場を考える会が、豊洲新市場の移転中止を求める要請を石原知事あてに提出しましたが、短期間で集まった署名は約一万三千にも上ったそうです。
 ある政党は、さきの九月議会で、移転反対が大多数であるかのような主張は、事実を大きくねじ曲げるものだと声高に叫んでいましたが、こうした主張こそ、業界団体だけの声しか聞かずに、世論を大きくねじ曲げてきたことの証左ではないでしょうか。
 私たちの主張が事実を大きくねじ曲げるものだというのであれば、それこそ、東京都として、世論調査やモニターアンケートを実施するなど、築地市場移転問題について都民の意見を聞くべきだと考えます。東京都の見解を伺います。
 次に、入札契約制度について伺います。
 近年、公共工事の発注量が大幅に減少するとともに、各自治体では入札契約改革によって一般競争入札を拡大する動きが進んでいます。都の入札契約の現状は、ここ数年、低価格競争が激化し、一部の工事では最低制限価格に近い価格で応札し、全体の二割がくじ引きになっていると聞いています。
 これまで都は、公平性や透明性などの向上や、履行確保の厳格化、不良不適格企業の排除といった視点の改革を行ってきましたが、今回、環境の変化に伴い、品質確保を中心とした制度改革を進めています。
 そこで、都が目指す制度改善の方向性と、都民に信頼される入札契約制度を再構築していくことについて、見解を伺います。
 自治体は、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律において、情報の公表を講じ、公共工事に対する国民の信頼の確保と、請け負う建設業の健全な発達を図るとしています。
 自治体の契約は、入札が原則で、随意契約は限定とされています。現在、十府県が、競争性や透明性を高めるため、随意契約の選定理由、結果などを一覧表で公表し、説明責任を果たしています。特に滋賀県や大阪府などは、教育委員会や警察本部など全部局の随意契約の結果一覧を公表しています。
 一方、都は、随意契約の工事経過調書を個別に公表し、理由を部局での閲覧としているため、関係者以外に実態がわかりにくく、透明性は不十分です。
 そこで、都は、公正、透明性を高め、不正を排除するため、入札契約情報をわかりやすく公表し、都民と情報を共有していく必要があります。工事や物品、委託など随意契約の結果一覧を公表するなど、入札契約情報をさらに透明化していくことが重要です。都の見解を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 都は先月、少子高齢時代にふさわしい新たな「すまい」実現プロジェクトチーム報告書を公表しました。この中で、東京の特性を踏まえ、高齢者の安心・安全を確保した住まいとして、東京モデルが提案されています。
 その基本的な考え方は、高齢者が適切な負担で入居でき、緊急時対応や安否確認等の機能を備え、必要な場合には介護サービスなどが利用できる住まいであり、この考え方に異論はありません。
 しかし一方で、地価の高い東京において中堅所得者や低所得者の家賃負担を軽減し、経営者の事業コストも軽減させるために、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準とされる最低居住面積水準ぎりぎりの住宅面積が想定されているようであり、豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準とされる誘導居住面積水準には到底及びません。
 そこで、東京モデルにおける住まいの質の確保に関する基本的な考え方について所見を伺います。
 地域全体が、高齢者だけの世帯や極端な低所得者だけの世帯、あるいは社会的な援助を必要とする世帯だけで構成されると、隣同士の日常的な交流や地域活動が停滞し、地域全体の活力が失われる、コミュニティバランスの崩壊といわれる現象が引き起こされます。また最近では、公営住宅団地を中心とした、都心における限界集落化が懸念されてもいます。
 民主党は、平成十八年六月の定例会における代表質問で、住宅政策でのコミュニティバランスを回復させる視点の重要性について指摘しましたが、今回のプロジェクトチーム報告書では、コミュニティバランスの回復に向けた今後の取り組みの方向性が示されました。このことについては率直に評価したいと思います。
 都営住宅や公社住宅については、建てかえ等に当たって、都自身や公社がコミュニティバランスに配慮していくべきであることはもちろんのことですが、今後は、いかに民間による住宅供給の中で地域のコミュニティバランスの回復に向けた取り組みを促していくかが問われることになると考えます。
 例えば芝浦アイランドでは、住宅市街地総合整備事業などを活用し、分譲マンション以外にも、ファミリー向け賃貸住宅や高齢者向け賃貸住宅、有料老人ホームが整備されているほか、少子高齢化対応や地域コミュニティ向けの施設として、幼保一元化施設や児童館、福祉会館などもあわせて整備されており、自治会の活動も活発に行われています。
 このような民間の住宅供給における地域のコミュニティ形成を促していくための方策について、所見を伺います。
 次に、景観行政について伺います。
 近年、歴史的近代建築物の保全、活用が話題となることがあります。ことしは、都内でも、東京中央郵便局や歌舞伎座での建てかえが大きな話題になったほか、最近では、博報堂の旧本館や世田谷区役所の本庁舎について保存を求める声が上がっています。
 私は、都市計画制度等の柔軟な活用による近代洋風建築の保存、復元、文化財庭園等の周辺の景観誘導、個人や民間事業者所有の都選定歴史的建造物の保存支援の強化、歴史的な建造物等に関する普及啓発と利活用の促進などにより、歴史や伝統を受け継ぐ都市空間の保全を図っていくことが重要と考えています。
 また、このことによって観光資源としての活用を図っていくことも可能です。
 そこで、歴史的建造物の保存等による景観形成に向けた今後の取り組みについて所見を伺います。
 ことし九月、浅草の超高層マンション建設計画をめぐり、浅草周辺の下町の景観を損なうなどとして、浅草寺と周辺住民が東京都と民間の指定建築確認検査機関を相手取り、都に対しては容積率の規制を緩和した総合設計許可の取り消しを、指定建築確認検査機関に対しては建築確認の取り消しをそれぞれ求め、東京地裁に提訴しました。
 マンションの建つ周辺地域の住民や地元区からは、おおむね建設計画に対する同意が得られているようですが、私は、浅草の文化資源である環境に悪影響を与えるとする主張は心情的に理解できなくもありません。
 来年度予算要求では、都市整備局が歴史的建造物を中心とした景観形成事業を、産業労働局が歴史的建造物等を生かした観光まちづくり事業を新規事業として提案していることでもあり、私は、二つの事業が局間連携のもと進められていくことを期待しています。
 こうした中での訴訟でもあり、今後とも都市開発諸制度と景観行政の整合を緻密に図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、温暖化対策について伺います。
 都は、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みの一つとして、ことし四月から住宅用太陽エネルギー利用機器導入促進事業を開始し、来年度までの二カ年を事業期間として、年間二万世帯、合計四万世帯への太陽エネルギー利用機器の導入を目指しています。しかし、都の補助金に対する補助申請状況は、四月一日から十一月末までの約八カ月間で四千三百二十二件にとどまっています。
 第三回定例会で指摘した八月末までの五カ月間での実績二千百九十八件と比較すれば、一カ月当たりの申請件数は伸びつつあるとはいえ、現時点では目標の達成は困難であるように思われます。
 住宅用太陽エネルギー利用機器の導入拡大の目標達成に向けた今後の取り組みについて伺います。
 また、東京における太陽エネルギーの徹底した活用を進めるためには、住宅への太陽光発電普及にとどまらず、多くのCO2を排出するオフィスビル等業務用の大規模建築物における積極的な取り組みが必要です。
 東京では、今日においても、都心を中心に活発な都市開発が行われており、こうした東京の活力を太陽エネルギーの利用拡大に結びつけるべきです。業務部門における太陽エネルギーの普及に向けた取り組みについて伺います。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 犯罪被害者支援については、犯罪被害者等基本法が制定され、また、地方自治体でも条例が制定される中、国及び地方自治体での施策の充実が図られるとともに、マスコミも犯罪被害者の置かれた現状をさまざまな視点から取り上げるようになり、多くの国民もその現状を認識するようになりました。
 私がこの問題を取り組み始めた九年前と比較をすると、支援の充実について目まぐるしい進展があります。しかし、その一方で、刑法犯の認知件数自体は減少傾向にあるものの、悪質な飲酒ひき逃げ事件や凶悪事件は後を絶ちません。
 本日を含む十二月の十日までの一週間は、人権週間に位置づけられていますが、さまざまな人権問題の中で、犯罪被害者やその家族の被害からの回復や国民の理解を求めていくことは、喫緊の課題であります。
 人権週間に先立つ十一月二十五日から十二月一日までは、例年、犯罪被害者週間とされ、晴海での全国大会を初め、各地でさまざまなイベントが開催されました。
 都も、ことしは多摩市、また中野区とともに主催者となり、講演会を開催しましたが、犯罪被害者等支援推進計画を実施する中、啓発活動を積極的に推進していることをうれしく思っています。
 このように、犯罪被害者支援への取り組みが都においても一歩一歩進む中、都内の自治体では、条例制定も進みつつあります。従来の日野市や杉並区とあわせて、多摩市においても条例が制定され、これらの自治体では、犯罪被害者支援の取り組みが加速しています。
 その一方で、犯罪被害者団体ネットワークの調査では、相談窓口すら設置されていない自治体も多く存在するなど、都内においても地域によって支援状況に格差も生じています。一千三百万都民を抱える東京都として、犯罪被害に遭った都民がひとしく同水準の支援を受けることができるよう取り組むべきと考えますが、犯罪被害者支援施策の底上げについて、市区町村への支援も含め、都の考えをお伺いいたします。
 また、市区町村への支援の一例ですが、ことしより裁判員制度が導入され、裁判員となった方に対するサービスとして、一時預かり保育や介護サービスを提供している自治体もあります。新しい刑事司法制度の中では、裁判員のみならず、犯罪被害者の訴訟参加も認められるようになりました。犯罪被害者が訴訟に参加していくためには、裁判員と同様の自治体サービスを必要としますが、これについても自治体間で大きな格差が生じる懸念があります。保育や介護サービスは、基礎的自治体の責任ですが、都民がひとしくこれら制度を活用できるよう、都としても対策を講ずべきと考えますが、見解を伺います。
 以上、都内自治体における犯罪被害者支援サービスの格差解消について質問してきましたが、それぞれの自治体において、特色は持ちながらも、必要最低限のサービスは、広域自治体を担う東京都が責任を持って取り組むべきであると思います。
 そのためには、支援推進計画だけではなく、犯罪被害者支援に対する都の理念と施策方針等を明記した条例を制定し、都民や都内自治体に対し、都の姿勢を示していくことも必要と考えますが、見解を求めます。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を留保します。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の代表質問にお答えする前に、一言弔意を申し上げます。
 去る十二月四日、川島忠一元議長が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 それでは、質問にお答えいたします。
 まず、平成二十二年度予算編成についてでありますが、急激な景気の悪化に伴い、今年度の都税の収入は、前年度に比べて一兆円以上の大幅な減収が避けられない見通しであります。
 もとより都は、国とは異なって、これまで徹底した内部努力や施策の見直し、再構築など、身を切るような努力によって財政再建を果たしておりまして、今回の税収減がすぐさま深刻な事態を招くわけではありません。
 とはいえ、この不況がいつまで続くのかは予想がつかず、二番底の懸念もあるなど、先を見通しても、今後しばらくは都財政がますます厳しい環境のもとに置かれることは間違いありません。
 財政の健全性を維持しつつ、都政の諸課題にこたえていくという非常に難しい財政のかじ取りを覚悟しなければならないと思います。
 ゆえにも、改めて手綱を引き締め、歳入歳出を洗い直し、徹底してむだを排しつつ、効果の高い施策を厳選して来年度予算編成に当たるつもりであります。
 次いで、オリンピック・パラリンピック招致活動経費についてでありますが、都民、国民は、税金の使い道について極めて高い関心を持っていることはいうまでもございません。これまでも安全・安心の確保のため、東京、日本の発展のために最大限有効に使ってまいりました。
 また、現下の経済危機においても、福祉、医療、小零細企業への支援、雇用対策など、迅速に対処しなければならない課題に対して、都は既に手だてを尽くしております。
 一方で、緊急性や即効性を超えた未来への投資も重要だと思います。これを怠っていては、東京も日本もいずれ立ち行かなくなります。オリンピックの招致活動費がむだとの議論もございますが、このたびの招致活動は、二〇一六年のためだけではなく、今後、東京に限らず日本が次のオリンピック招致に再挑戦するためにも活用できる未来への投資にほかならないと思います。日本は今後一切オリンピックは行わないというならば、話は別でありますが。
 これまで都議会の協力を得ながら財政再建を果たし、一兆円を超える基金を確保することができました。これによって眼前の緊急課題に対処しながら、未来に向けた積極的な投資ができるようになりました。
 痛くもかゆくもないという発言でありますが、招致活動は、都としてやるべき施策を講じた上で財政を合理化し、そこから捻出した財源で進めておりまして、他の都民サービスには影響は全くないという意味で申し上げたものであります。もとより税の使い道については、その重みも十分かみしめ、適正に使っていかなければならないのは当然であります。
 次いで、今回の招致活動についてでありますが、私自身、招致委員会の会長として先頭に立ち、JOCを初めスポーツ界と一体となって招致運動に取り組み、最善の努力をしてまいりました。しかし、東京は、IOCの定めた要件をほぼ完璧に満たした計画を用意し、最終プレゼンテーションにおいても最高の評価を得たにもかかわらず、勝利には届きませんでした。
 我々の自己分析にすれば、試合には勝ったけれども勝負に負けたという心境であります。
 開催都市決定のメカニズムは、実は複雑きわまりなく、招致を獲得するための情報が不足していたことは否めません。私自身が一九六〇年のオリンピックに東京がアプライして失敗したという事情を知らなかったというのは非常に驚きでありましたが、質問した議員そのものはそれをご存じでしたでしょうか。あるいはJOCのメンバーでそれを覚えている人はほとんどいなかったと思います。
 いずれにしろ、開催都市のメカニズムは複雑きわまりなく、招致を獲得するための情報が不足していたことは否めません。それゆえに、もっと情報がわかっていればできたことがたくさんあったと思います。
 いずれにしても、 今回の招致活動の貴重な経験をきちんと記録に残し、また語り継ぎ、やがては日本でのオリンピック開催という大きな夢を実現したいと思っております。
 二〇二〇年の招致についてでありますが、東京は、計画の質の高さや開催能力を認められながらも、残念ながら勝利を手にすることはできませんでした。招致を通じて実に多くの経験をすることができました。
 現在、二〇一六年の招致活動を総括する報告書をまとめさせておりまして、今年度内に公表してまいります。
 このたびの二〇二〇年大会への意思表明は、次なる国内候補都市を選定する手続の時間的問題を勘案し、声を上げておくことが必要との判断から行ったものであります。
 再挑戦については、常々述べておりますように、都民、国民の意向を十分にそんたくし、都議会の皆さんとの議論も踏まえた上で、東京としての結論を出していくべきものとの認識はいささかも変わっておりません。
 今後、都議会においても大いに議論を深めていただきたいと思っております。
 次いで、決算不認定の認識についてでありますが、平成二十年度決算は、議会においても議論を尽くして成立をした予算を適正に執行した結果でありまして、これを議会の認定に付したものであります。こうした決算について不認定とされることは、やや奇異な印象を否めませんが、結果としてそういう結論が出るならば、しかと承るという以外ございません。
 新銀行東京の中間決算の評価についてでありますが、危機的な経営状況にあった新銀行東京が、懸命に再建を進め、第一・四半期に引き続き、中間決算でも黒字を計上しました。
 また、新銀行東京は、これまで大手銀行などが十分に行っていないリスケジュールを強化するなど、小零細企業支援に極めてきめ細かく取り組んでおります。これはまさに、さきに今回の政府で成立しました中小企業金融円滑化法の趣旨を先取りして実施しているものと思っております。こうした努力を重ね、赤字という出血をとめたという事実は、正当に評価すべきであります。
 このように、今回の中間決算は、小零細企業への支援に取り組みつつ、健全化に向かっている一つの立派な証左であると考えております。
 新銀行東京は、引き続き再建への努力を重ねてもらいたいと念じております。
 他の質問については、技監及び関係局長から答弁します。
   〔東京都技監道家孝行君登壇〕

○東京都技監(道家孝行君) 環状第二号線の整備についてお答えをいたします。
 現在、未整備である豊洲から虎ノ門までの区間で事業を進めております。この区間の整備は、都心部と臨海部との連絡強化や地域交通の円滑化を図るとともに、緑豊かな都市空間ネットワークを形成する上でも極めて重要であります。
 環状第二号線沿線の臨海副都心や晴海、勝どき、新橋・虎ノ門地区などでは新たなまちづくりが進んでおり、これらの開発に伴い発生する交通需要に対応するためにも、早期整備が必要であります。
 このため、お尋ねの晴海四丁目から銀座八丁目までの区間のうち、晴海地区では、東京都施行の区画整理事業などにより整備を進めており、また、勝どきから銀座八丁目までの区間では、平成十九年度から用地の取得を進め、今年度から晴海と勝どきを結びます朝潮運河にかかる橋梁工事にも着手いたします。
 今後とも、環状第二号線の平成二十七年度の全線開通を目指しまして、整備に取り組んでまいります。
   〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、現下の経済情勢についてでございますが、先月の月例経済報告で、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があると示されておりまして、景気の先行きについては、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ、デフレや金融資本市場の変動などによる都内経済への影響が心配される状況でございます。
 さらに、こうした状況に追い打ちをかけるように、世界的な株安や急速な円高の影響が生じてきておりまして、二番底のリスクも懸念されております。
 したがいまして、都財政を取り巻く環境はこれからますます厳しくなるものと覚悟した上で、今後の財政運営に当たらなければならないと考えております。
 次に、今回の補正予算についてでございます。
 この予算は、国の経済危機対策のうち子育て支援や雇用創出、福祉、医療施設の耐震化や介護基盤の整備促進などのために基金を創設し、その具体化に向けて、国から交付される資金を積み立てるとともに、その基金の一部を取り崩して、実施可能なものについて速やかに事業化を行うものでございます。
 今回の補正予算によりまして、雇用や医療、介護など、緊急課題に対応する措置を新たに講ずることは、経済危機下にある都民生活を支えていく上で意義あるものと考えております。
 次に、今後の予算編成についてでございます。
 都はこれまでも、福祉、医療、雇用、中小企業対策、環境、都市づくりなど、都民の負託にしっかりとこたえた予算を編成してきております。このことは今後も同様でございます。
 同時に、厳しい財政環境のもとでの予算編成でございまして、また、国の予算編成の動向が不透明で、かつ、その結果によっては新たな財政負担も生じる懸念もあるなど、非常に難しい編成作業になることは避けられないと考えております。
 知事からは、頑張って知恵を出し、汗をかいて都民が直面する諸課題に取り組めと指示を受けております。したがいまして、従来にも増して施策の点検を徹底しつつ、事業の効果や将来への影響を見据え、都としてなすべき役割を果たすべく、年明けの知事査定に向けまして、私どもとしては予算編成作業に全力を傾けてまいります。
 次に、入札契約制度改革についてでございます。
 公共調達は、納税者である都民の負担により実施されており、また、質の高い社会資本整備を目的としております。したがいまして、入札契約制度改革におきましては、調達手続の過程やその結果について、透明性、競争性、品質確保という三つの社会的要請のバランスを確保できる仕組みとしていくことが重要でございます。
 東京都は、入札契約制度を適切に機能していくため、これらの社会的要請を踏まえまして、いち早く発注見通しや指名理由などの入札契約情報の公表、総合評価方式や工事成績評定制度の導入など、さまざまな制度改革に取り組んでまいりました。
 さらに、昨今、経済状況の悪化に伴いまして、事業者間の激しい受注競争による過度な低価格競争が工事品質に悪影響を及ぼすことが懸念される状況となっており、これを踏まえて、改革をさらに現在進めております。
 具体的には、総合評価方式の適用工事の拡大や特別重点調査を初めとする低価格入札対策など、十項目から成る実施方針を定めまして、現在、順次実施に移しているところでございます。
 公共調達の基本である透明性の高い、公平、公正な手続のもとで適正な価格と良好な品質のバランスがとれた入札契約の確保のために、引き続き取り組んでまいります。
 最後に、入札契約情報の透明化についてでございます。
 都における契約件数は、全体で十四万件余りに及んでおりまして、入札契約情報の公表の拡大を電子調達システムの整備に合わせて推進していくこととしております。
 現在は、競争入札案件と工事における随意契約案件を中心に、インターネット上での公表と入札経過調書の閲覧の二通りの方法による公表を実施しております。
 物品、業務委託における随意契約の結果につきましては、開示請求による情報提供に加えまして、今後、透明性の一層の向上に向け、電子調達システムの再構築により、工事契約案件も含め、結果の一覧など、入札契約情報の公表の拡大を進めてまいります。
 物品、業務委託における少額契約案件以外の随意契約につきましては、経過的な措置として、来年度を目途に入札経過調書の閲覧による公表拡大を実施することとしておりまして、既に準備を進めております。
   〔主税局長熊野順祥君登壇〕

○主税局長(熊野順祥君) 都税収入の見通しについてお答え申し上げます。
 今年度の税収につきましては、直近の収入実績等を踏まえ、当初予算対比でおおむね五千億円程度、前年度に比べ一兆円以上の減収との見込みを先日発表いたしました。
 現時点でこの見込みを大きく変更すべき状況にはありませんが、税収に大きなウエートを占める十一月末の三月決算法人の中間申告の動向を見きわめた上で、改めて精査してまいります。
 また、来年度の税収につきましては、企業業績の回復テンポが極めて緩やかであること、円高やデフレの影響に加え、法人事業税の一部国税化の平年度化に伴う減収もあり、厳しい状況が続くものと認識しております。
 今後、こうした状況を踏まえ、国の税制改正等の影響も考慮しつつ、的確に算定してまいります。
   〔港湾局長比留間英人君登壇〕

○港湾局長(比留間英人君) 東京湾の国際競争力強化に向けた取り組みについてでございます。
 東京港、川崎港、横浜港で構成する京浜港は、全国のコンテナ貨物取扱量の約四割を扱い、また、工業港の機能をあわせ持ち、首都圏四千万人の生活と産業活動を支える、名実ともに日本一の貿易港でございます。
 既に京浜三港は、各都市の議会のご支援を得ながら、国に先んじて国際競争力強化に向けた取り組みを開始しており、国が選択と集中を図るのであれば、スケールから見てもこれまでの先駆的な取り組みから見ても、京浜港は、国際戦略港に最もふさわしいものと考えております。
 また、港湾の経営は、生産拠点、消費地との円滑な物流の確保や、背後のまちづくりと密接な関連を有しており、自治体が主体となって大都市経営と一体的かつ広域的に取り組むことが必要でございます。
 こうしたことから、都は、三都市の連携のもとに、京浜港として、今般の国の国際戦略港湾公募に応募し、選定を得ることで、国による重点的な投資を促進させてまいります。
さらに、これをてことして、港湾機能を一層拡充するとともに、あわせて京浜港への貨物集荷を図るなど、東京湾の国際競争力を強化してまいります。
   〔東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川満君登壇〕

○東京オリンピック・パラリンピック招致本部長(荒川満君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、オリンピック・パラリンピック招致におけるアジア諸国に対する活動についてでございます。
 アジアは、まさに五輪の輪の一つを構成し、二〇一六年の場合、アジアを代表する唯一の立候補都市が東京でございました。そのアジアの基礎票を固めるために、昨年は北京オリンピック・パラリンピック大会や韓国釜山でのスポーツ・教育・文化フォーラム、マレーシアでのスポーツ・フォー・オール会議、ことしもシンガポールでのアジア・オリンピック評議会総会など、アジアでのスポーツ大会や国際会議の機会をとらえました。また、アジア大都市ネットワークなど、東京都の有する外交チャンネルを活用するなどしまして、招致委員会を中心に、都議会やJOC、競技団体、外務省等と連携しまして、アジアのIOC委員やスポーツ関係者に対し、積極的に働きかけを行ってまいりました。
 その結果、アジア・オリンピック評議会の会長であり、IOC委員でもあるクウェート出身のアハマド会長が評議会を代表して東京支持を表明するなど、多くのアジア関係者から東京への支持を表明していただきました。
 また、IOC委員がたくさん集まります陸上や水泳などの世界大会やIOC総会の場において、知事を初め招致委員会のメンバーは、最後の最後まで、アジア諸国を中心にIOC委員と会い、東京への支持を求めました。
 十月二日のIOC総会における投票は、機械による無記名投票のため、詳細は不明でございますが、ただいま申し上げたように、アジアに重点を置いた招致活動を展開しましたので、アジア諸国のIOC委員からは、大きな支持をいただいたものと確信しております。
 次に、招致に対する都民の共感を得るための取り組みについてでありますが、都は、平成十八年十二月に、「十年後の東京」計画を策定し、スポーツを通じて次代を担う子どもたちに夢を与えることを目標の一つに掲げ、地域でのスポーツ振興に取り組んでまいりました。
 具体的には、だれもが身近にスポーツを楽しめる環境を整備するため、地域スポーツクラブの設立を促進するとともに、東京マラソンの開催、都内各地でのウオーキング大会、ジュニアスポーツ大会の実施などにより、都民や子どもたちがスポーツのすばらしさを共有できる機会をふやしてまいりました。
 さらに、東京二〇〇九アジアユースパラゲームズの開催など、障害者スポーツの振興にも取り組んでおります。
 このたびの招致活動は、各局におけるこれらスポーツ振興策と連携を強め、取り組んでまいりました。
 また、招致本部あるいは招致委員会主催の事業におきましても、オリンピアン、パラリンピアンが参加したスポーツ教室を多数実施して、子どもたちを初め、多くの都民、国民の皆さんが一流選手と一緒にスポーツを体験し、楽しんでもらう機会を提供し、スポーツの大切さ、オリンピズムにつながる精神を伝えていくよう努めました。
 これらの取り組みのまさに成果だと考えますが、都民が週一回以上スポーツを実施する率は、この二年間で三九%から四三%に高まるとともに、招致に対する支持率も、IOC総会に向けて確実に高まってきたと考えております。
 成熟国家における国民の志向は多様化しておりまして、一つの事柄に高い支持率を得るのはなかなか難しいのが現実ですが、ご指摘のように、地域のスポーツ振興に地道に取り組むことは、都民の共感を得る上で大切であると考えます。
 次に、招致費用の検証と招致活動報告書についてでございます。
 招致活動においては、活動に必要な事業をきちんと計画化し、また、実際に事業実施していく際には、効率性、有効性などの観点から各事業を精査するとともに、JOCを初め関係団体、企業とも連携をして、内容の充実を図ってまいりました。
 招致は成功しませんでしたが、開催計画やプレゼンテーションを初め、取り組んだ活動については、IOC関係者からも高い評価を得ることができました。
 いずれにしても、事業の内容、成果、百五十億円の収支等につきましては、多角的に検証し、また監査も受け、その結果や今後の課題を、将来に役立つ招致活動報告書として、できるだけわかりやすく、かつ詳細に都民に明らかにしてまいります。
 報告書は、先ほど知事の答弁にもございましたように、年度内に公表いたします。
 最後に、民間資金と都からの補助金による招致委員会の活動費の収入、支出についてですが、現在、債権、債務の確定など最後の詰めの作業を行っており、鋭意精査しているところでございます。
 約二年前の平成二十年第一回都議会定例会においてお示ししました招致推進活動経費の総額百五十億円及びそのうちの一般財源投入額の百億円については、守っていくことが基本であると考えております。
   〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答えを申し上げます。
 まず、医師確保についてでございますが、救急医療や小児、周産期医療などの分野において、医師不足は深刻な状況にございます。
 このため都は、病院勤務医の定着を図るため、医師の交代制勤務や短時間勤務の導入などを支援するとともに、救急勤務医師に対する手当を創設し、処遇の改善を促進しております。
 また、医師養成の取り組みとして、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大し、医師奨学金制度を創設するとともに、都独自に、都内十三大学の医学部の五、六年生に対しても奨学金の対象といたしました。
 さらに、来年度から、定員枠を拡大する大学医学部の追加指定を行う予定であります。
 こうした重層的な取り組みにより、一人でも多くの医師を確保してまいります。
 次いで、東京ルールについてでありますが、救急医療機関が互いに連携し、救急患者を受け入れる東京ルールのかなめは地域救急医療センターでありまして、都は現在、センターに対し、救急患者の受け入れ調整に必要な医師の確保やトリアージ機能に対する支援を行っております。
 また、地域救急会議を圏域ごとに設置し、センターを中心とした連携体制の構築に努めております。
 今後とも、東京ルールの運用状況を踏まえながら、地域救急医療センターが十分機能するよう適切な支援を行ってまいります。
 次いで、新型インフルエンザの入院医療体制についてでありますが、今回の新型インフルエンザは小児患者が多いことから、小児の入院医療を行う医療機関に対して受け入れの要請を行うとともに、重症の小児患者の受け入れが可能な病院を東京消防庁の救急医療情報システムに表示するなど、円滑な受け入れ体制の確保を図りました。こうしたことにより、現時点においては、入院医療体制は確保できております。
 この間の全国の流行状況でございますが、国が八月に示しました新型インフルエンザの流行シナリオの中位推計と、十一月に発表した発生動向の実績を比較いたしますと、入院率が推計一・五%程度に対し、実績は〇・〇八%程度、重症化率が推計〇・一五%程度に対し、実績は〇・〇〇六%程度と、いずれも低い数値となっております。
 いずれにいたしましても、今後も新型インフルエンザの発生動向を的確に把握し、感染拡大の防止に取り組んでまいります。
 また、入院医療体制につきましては、今後、小児患者が急増した場合や小児以外の年齢層に感染が拡大してきた場合には、速やかに各医療機関に対し、入院患者の受け入れに向け、すべての診療科を挙げて対応するよう、改めて要請をしてまいります。
 次いで、小児医療体制についてでありますが、都はこれまで、区市町村が実施する小児初期救急事業に対する支援を行うとともに、入院が必要な救急患者に対し、二十四時間体制で診療を行う小児の二次救急医療機関を四十八施設確保してまいりました。
 これに加え、重篤な小児救急患者を二十四時間体制で受け入れ、救命治療を行う、仮称子ども救命センターを新たに都内四カ所に設置して、高度な三次救急医療体制を確保することといたしました。
 今後は、子ども救命センターを中核とし、初期から三次の医療のより緊密な連携を構築し、安心・安全な小児医療体制を確保してまいります。
 次いで、介護基盤の整備促進についてでありますが、都は、保険者である区市町村が地域の介護ニーズを踏まえて推計した介護サービス量に基づき、計画的な整備に努めております。
 また、特別養護老人ホーム等の整備に当たりましては、地域バランスを勘案しながら整備の促進を図るため、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、独自の支援を行っております。
 今後とも、増大する介護ニーズにこたえるため、本定例会に提案しております基金事業も活用しながら、介護基盤の整備促進に努めてまいります。
 次いで、退院調整に係るメディカルソーシャルワーカーの育成等についてでありますが、患者が退院後も円滑に適切なケアを受けるためには、病院みずからが転院先や退院後の受け入れ先と十分な調整を行う必要があります。
 このため、都では、病院で退院支援業務を担うメディカルソーシャルワーカー等を対象に研修や情報交換会を行い、退院調整の知識や技術の向上に努めております。
 さらに、急性期や回復期から在宅療養に至るまで、切れ目なく医療が提供されるよう、都は、地域連携パスの活用や症例検討会等の取り組みを通し、医療機関等の連携づくりを推進しております。
 今後とも、都民が安心して療養できるよう、関係機関による緊密な協力関係の構築を支援してまいります。
 次いで、子どもを産み育てやすい環境づくりについてでありますが、出産育児一時金といった経済的な負担の軽減は、基本的には、国が社会保障制度全体の中で対応すべき課題であると認識をしております。
 都が担うべき役割は、保育サービスの充実や周産期医療体制の整備などにより、都民が安心して子どもを産み育てられる環境を整えることにあると考えております。
 次いで、保育サービスの拡充についてでありますが、都は、待機児童の解消に向けて、認可保育所、認証保育所、認定こども園など、多様なサービスを組み合わせた保育サービス拡充緊急三カ年事業に取り組んでおりますが、保育ニーズの増大に対応するため、今年度は当初の整備目標をさらに引き上げました。
 平成二十二年度以降につきましては、今年度策定する次世代育成支援後期行動計画の中で数値目標を設定し、これに基づき整備を進めてまいります。
 最後に、ワンストップサービスの今後の取り組みについてでありますが、政府が取りまとめた緊急雇用対策の一環として、去る十一月三十日に、区市及び関係機関の協力のもと、都内全ハローワークにおいてワンストップサービスデーが試行実施をされました。
 現在、国から、年内の再実施に向けた意見、意向を求められており、区市等との協議がまとまり次第、回答することにいたしております。
 都としては、今後、国、区市及び関係機関と連携して適切に対応してまいります。
   〔病院経営本部長中井敬三君登壇〕

○病院経営本部長(中井敬三君) 小児病院に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院における小児精神医療の向上に対する取り組みについてでありますが、小児総合医療センターは、これまで我が国の小児精神医療に重要な役割を果たしてきた梅ケ丘病院の医療機能を引き継いだ上で、さらなる充実強化を図っていくこととしております。
 具体的には、自閉症等の広汎性発達障害や注意欠陥、多動性障害など、これまで手がけてきた小児精神医療の一層の充実を図るとともに、心の疾患を持つ子どもの体の合併症や、慢性的な体の疾患を持つ子どもの心理的問題への対応など、心と体の両面から見る総合的な高度専門医療を提供してまいります。
 また、梅ケ丘病院転出後の区部における小児精神医療の外来機能を確保するため、本年十月に、大塚病院に児童精神科外来を開設したところであります。
 今後は、都立病院が行う小児精神医療の確保を図る観点から、大塚病院や開設後の小児総合医療センターの患者動向、さらに梅ケ丘病院に通院している患者の円滑な移行等について注視をしてまいります。
 また、小児総合医療センターと関係機関の連携や支援体制の構築、専門的人材の育成など、新センターの機能を十分に発揮する取り組みも積極的に行ってまいります。
 次に、多摩地域における小児医療に対する緊急要請への対応についてでありますが、小児病院の移転統合に当たっては、転出後においても地域の住民の方々が安心できる小児医療体制を確保することが重要であると認識しております。
 こうした観点から、今回の都議会民主党からの緊急要請を受けとめ、一層の体制強化を行ってまいります。
 まず、北多摩北部地域については、多摩北部医療センターにおいて、医師、看護師等の増員を行い、現行の救急医療体制を超える需要への備えを強化することとし、具体的には、清瀬小児病院移転時には、小児救急を二系列で行える体制を整えるとともに、今後の入院患者の需要を見きわめ、その動向に応じた病床運用ができるよう、人員の確保や院内体制の整備を図ってまいります。
 八王子地域については、市内の医療機関において、外来、救急、入院医療を行う小児科の新たな開設を来年度早期に実施できるよう、都として最大限の努力を行ってまいります。
 北多摩北部地域、八王子地域において引き続き小児医療を担う中核的医療機関に対しては、小児総合医療センターとの間で人材の確保、人材育成及び医療連携の取り組みなど多様な連携策を構築し、将来にわたって協力、支援関係を形成してまいります。
 とりわけ多摩北部医療センターについては、随時の人材交流を行うなど、小児総合医療センター特別連携病院と位置づけ、その名称を都民にわかりやすく周知してまいります。
 今後とも、多摩地域における小児医療の一層の充実に、関係局とともに全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 私立高校生の保護者負担軽減についてでございますが、都では、保護者の経済的負担軽減策の一つといたしまして特別奨学金制度を実施しておりまして、都内における公私格差の是正を図ることを目的に、一定の所得以下の保護者を対象として授業料の一部を補助しているところでございます。
 お話の五万円の補助でございますけれども、全国と都との私立学校の平均授業料の差を埋めるために、都独自で私立高校生の保護者に一律に行うとのことでございますが、この補助に要する経費として、特別奨学金の今年度当初予算のおおむね二倍に当たる約六十億円の財政負担が生じる一方で、高額所得者に対しても、月額にして約四千円の補助を行うことになるなど、費用対効果に疑問があるものというふうに考えております。
 現在、国において新たな就学支援金制度の導入が検討されておりますが、いまだ支給対象者を初め、その内容が確定していない状況にあり、都といたしましては、特別奨学金制度や育英資金など、現在実施している幅広い施策を総合的に活用し、保護者負担の軽減に努めていく考えでございます。
   〔産業労働局長前田信弘君登壇〕

○産業労働局長(前田信弘君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、緊急の雇用対策についてでありますが、都は本年度、独自の区市町村補助事業を実施するとともに、国の交付金による緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業に取り組んでおりまして、これら三つの事業を合わせて七十億円の事業費を確保しております。
 しかしながら、雇用情勢は依然として厳しく、一層の取り組みが求められる状況にありますことから、本定例会に提案しております補正予算により、緊急雇用創出事業の基金を大幅に拡充するとともに、事業費として三十三億円を追加計上し、本年度合計で百億円を超える事業規模といたしました。これにより、緊急雇用創出事業において、約一万人の雇用創出を図ってまいります。
 このように、必要な対策を講じているところでありまして、今後とも、雇用情勢に適切に対応し、今回拡充いたしました基金の最大限の活用などにより、切れ目のない雇用の創出に取り組んでまいります。
 次に、制度融資の拡充についてでありますが、都は、制度融資の運営に当たりましては、利用実績はもとより、各種の景況調査や信用保証協会及び金融機関などとの意見交換を踏まえて、都内中小企業の生産、売り上げや資金繰り等の動向をとらえ、資金需要の的確な把握に努めております。
 本年六月補正予算におきましても、国の緊急保証制度に対応した融資メニューであります経営緊急の利用が依然高い水準で推移していることから、経営緊急を含む経営支援融資の目標額を二千五百億円から七千億円に拡大し、預託金を四百七十億円積み増すなど、必要な経費を確保したところでございます。
 今後の都内中小企業の資金需要につきましては、設備投資の動向など不透明な部分が多くございますが、都としては、都内中小企業の資金需要を的確に見きわめ、対応してまいります。
 次に、中小企業の資金調達に係る負担の軽減についてでありますが、都は昨年度から、経営支援融資や小口資金融資におきまして、小規模企業者に対して保証料の二分の一を補助するという、過去最高水準となる独自の対応を行っております。
 また、制度融資の最優遇金利は、金融機関が最も信用力のある企業に適用する貸出金利であります短期プライムレートとほぼ同水準であり、本年四月には、この間の金利動向に合わせて、最優遇金利をさらに〇・四%引き下げたところでございます。
 このように、都は、他の道府県と比べても格段に手厚い措置を既に講じているところでございます。
 現下の厳しい経済状況のもと、引き続き都内中小企業の負担の軽減を図ってまいります。
 次に、東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援についてでありますが、都は、新たな保証つき融資制度につきまして、地域の金融機関や保証機関との間で協議を進めてまいりましたが、本年十月から、準備が整った金融機関において、それぞれの窓口での取り扱いが開始されました。
 現在、六つの金融機関において融資の受け付けを行っており、他の金融機関につきましても、順次、取り扱いを拡大してまいります。
 都内中小企業を取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況にあり、引き続き本制度の利用を促進することによりまして、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等を持ち、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業を資金面から支援していく考えでございます。
 次に、新銀行東京における債権の売却についてでありますが、新銀行東京は、融資返済に苦しむ中小零細企業一千六百二十社に対しまして、延滞や倒産防止の観点から、与信期間の延長を行うリスケジュールに応じるなどの取り組みを、再建計画実施以降、強化しております。今回の中間決算では、この点についても明らかにしたところでございます。
 新銀行東京が債権売却を実施しているのは、事実上経営破綻の状態にある取引先などでございます。金融機関の経営判断として、債権の回収が困難または極めて長期化したものを売却しております。
 なお、債権売却の実績につきましては、重要な経営情報でありますことから、他の金融機関と同様に、新銀行東京においても、現在明らかにしてございません。
 次に、新銀行東京の新型保証についてでありますが、経済情勢の急激な悪化の影響などにより、新型保証につきましては、現在のところ、商品化には至っておりません。
 しかしながら、銀行の経営については、再建計画に基づきながらも、その時々の金融経済状況に柔軟に対応していくことが当然であります。そうした努力の結果、平成二十一年度中間決算におきまして、開業以来初の黒字を計上し、通期においても、計画を約三十億円上回る十三億円の黒字を見込んでおります。
 都としては、今後とも、新銀行東京の再建に向け、適切な経営監視に努めてまいります。
 最後に、旧経営陣に対する訴訟についてでありますが、新銀行東京は、既に旧経営陣に対して訴訟を提起する方針を決定し、これまで周到に準備を進めてまいりました。
 新銀行東京は、去る十一月二十日の中間決算発表の記者会見におきまして、現在、訴訟代理人の選任を終え、訴訟に関する詰めを行っており、年内に訴訟を提起することを想定しているが、遅くとも年明け早々には実施すると述べております。
   〔都市整備局長河島均君登壇〕

○都市整備局長(河島均君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、離職者に対する都営住宅の活用についてでございますが、都営住宅は応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないということに加えまして、高齢者や障害者などの入居希望者も多数おられることから、離職者というだけで都営住宅を提供することは極めて困難でございます。
 現在、離職者のうち、介護職への就労支援事業の対象者の一時住宅といたしまして、本年七月より、都営住宅を十戸提供しております。
 今後も、本来の入居対象者の入居に支障を及ぼさないことなどを条件に、適切に対応してまいります。
 次に、少子高齢時代の新たな「すまい」PTによる東京モデルについてでございますが、高齢者が安心して暮らすことのできる住まいの実現のためには、バリアフリーなど建物としての住宅の質に加え、提供されるサービスの質をあわせて確保していくことが重要であると認識しております。
 東京モデルは、急速に高齢化が進展する中で、地価の高い東京におきまして、民間事業者の意欲を喚起し、高齢者向け住宅や福祉施設等のケアつき住まいの整備の促進を目指すものでございます。
 このため、バリアフリーや耐火性能などの住宅の質やサービスの質を確保しつつ、限られた土地資源、既存ストックの有効活用の観点から、国の定める全国一律の面積基準を緩和し、事業コストや入居者負担の軽減のための環境整備を図ることといたしました。
 今後とも、ケアつき住まいの整備の促進を図り、高齢者が安心して暮らすことのできる住まいの実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、住宅供給における地域のコミュニティ形成を促していくための方策についてでございますが、年齢や世帯構成、所得等に偏りのない、バランスのとれたコミュニティを形成することは、地域活力の維持向上などに寄与するものと認識しております。
 これまでも、都営住宅や公社住宅におきましては、当選倍率の優遇制度の活用などにより、子育て世帯の入居機会の拡大を図っております。
 また、都営住宅の建てかえに当たり、創出した用地を活用いたしまして、地域特性に応じて民間事業者による住宅や保育所、高齢者福祉施設を整備するなど、コミュニティバランスに配慮した取り組みを行っております。
 さらに、民間事業者が整備する高齢者向け優良賃貸住宅の建設におきましても、保育所等の子育て支援施設の併設を誘導するなど、多世代の共生を促進する取り組みを進めております。
 今後とも、こうした取り組みを通じ、多様な人々がともに暮らす、バランスのとれた地域コミュニティの形成に努めてまいります。
 次に、歴史的建造物の保存による景観形成についてでございますが、歴史的な価値を持つ建造物は、都市の記憶を引き継ぐ貴重な資源でございまして、その保存、活用を図ることは、東京の魅力を高めていく上で重要でございます。
 都はこれまでも、重要文化財である三井本館や明治生命館など、都市開発諸制度等を活用した歴史的な建造物の保存とともに、国会議事堂や東京駅丸の内駅舎など、首都を象徴する建造物を中心とした眺望の保全に努めてまいりました。
 今後とも、歴史的な建造物の保存、活用等を通じて、東京の魅力ある景観づくりを進めてまいります。
 最後に、都市開発諸制度と景観行政の整合についてでございますが、東京が活力ある都市として一層発展していくためには、都市再生などを積極的に進め、その取り組みを通じて、景観を重視した東京ならではの都市づくりを行っていくことが必要でございます。
 このため、都は景観条例に基づき、都市開発諸制度を適用した大規模建築物等を対象に、独自の事前協議制度を創設いたしまして、都市計画の手続等に入る前の早い段階において、周辺のまち並みとの調和や歴史的資源への配慮など、さまざまな視点からの協議を進め、景観形成を図ってまいりました。
 引き続き、都市づくりと連携した景観施策の展開に努めてまいります。
   〔中央卸売市場長岡田至君登壇〕

○中央卸売市場長(岡田至君) 三点のご質問にお答えいたします。
 仮移転による現在地再整備の検討についてですが、まず、現在の築地市場において、新市場に必要な機能を盛り込み、さらには環状第二号線を整備するという条件のもとに現在地再整備の施設配置を考えた場合、水産が一階から三階、青果が四階とならざるを得ないなど、実現可能な配置案を作成することはできません。
 仮に築地市場の仮移転を行う場合、移転先におきましても、生鮮食料品を安定供給する基幹市場としての機能が十分発揮できるよう、効率的な物流や衛生管理の確保を可能とする施設整備が必要となります。
 晴海地区では、都有地は、客船ターミナル、ふ頭、公園、道路に使用され、清掃工場や既成市街地に隣接しているため、仮移転先としての用地は限られています。
 このため、水産のみ、あるいは水産、青果の両方を仮移転する場合は、市場基幹施設を平面配置することができません。たとえこれらの施設を高層化したとしても、荷の搬出入や場内搬送に時間を要し、深夜から早朝の限られた時間内に大量の荷をさばくことができないなど、市場としての機能が確保できません。
 また、青果を晴海地区に仮移転し、築地市場において施設を重層化することであえて再整備を行ったとしても、営業を続けながらの長期間の工事となります。
 さらに、工事に伴い、騒音や振動が発生し、慎重なアスベスト対策も行う必要があるため、市場の営業活動に深刻な影響を与え、顧客離れの懸念が生じます。
 加えまして、仮移転による再整備では、建設費が増大することから、市場業者の使用料負担も重くなります。また、業界が整備する冷蔵庫やリサイクル施設、通勤駐車場などの施設や移転の経費も二重にかかることになり、市場業者の経営をなお一層厳しくすることから、理解が得られません。
 さらに、晴海周辺において、深夜から早朝にかけて、車両の混雑や騒音の発生の影響も懸念されます。
 このように、晴海地区への仮移転を伴う再整備案につきましては、業界との合意形成も含め、解決困難な多くの課題があり、実現は極めて難しいと考えております。
 次に、豊洲新市場での買い回りについてであります。
 築地市場は、敷地が狭隘で、買い出し人の駐車場が不足しているため、車両の入場待ちが発生し、場内に入り切れない車両が、やむなく路上での荷の仕分けや荷おろしを行っている状況にあります。
 このため、豊洲新市場では、十分な荷さばきスペースや駐車場の確保、車両誘導システムの導入などによりまして、買い出し人にとりましても荷の円滑かつ迅速な搬送が可能となるような施設計画としております。
 また、築地市場は水産と青果を扱う総合市場であり、その立地特性から、都心部に集積する飲食店やホテルなどが多く利用しております。買い回りの形態は多種多様で、日々変動していることから、実態について具体的な数値を把握することは困難でありますが、その買い出し人の多くは、水産、青果の両方の店舗から仕入れを行っているため、業界団体から、豊洲新市場におきましても買い回りについて考慮するよう要望を受けております。そのため、新市場の施設計画の策定に当たりましては、こうした業界団体からの意向も反映させております。
 具体的には、徒歩で買い回る買い出し人が街区間を行き来しやすいよう、市場前駅と各街区を結ぶ歩行者専用通路を設置しています。また、買い回りした荷を水産と青果の間で車両搬送するため、街区を隔てる環状第二号線の下にアンダーパスを設けるほか、水産卸売場と水産仲卸売場の間の補助三一五号線の下に連絡通路を確保することにより、荷のスムーズな移動を可能としております。
 さらに、青果から水産に搬送される買い荷の集積のしやすさに配慮し、荷さばき場の位置を変更いたしました。
 このように、豊洲新市場の整備は市場利用者の利便性に十分配慮していることから、買い出し人などの団体は一刻も早い移転整備を求めております。
 都といたしましては、引き続き、豊洲新市場の買い回りを含む場内物流につきまして、市場業者と協議を進め、さらに利便性の高い運用方法を検討してまいります。
 最後は、都民の意見を聞くことについてであります。
 築地市場の移転整備に関し、都に寄せられた意見では、賛成の理由としては、築地市場の狭隘性や衛生面の問題などが挙げられております。一方、反対の理由といたしましては、文化施設や観光名所としての築地の存続や、新市場予定地の土壌汚染に関することなどとなっております。
 都はこれまで、地元説明会を開催するほか、ホームページやパンフレットなどを活用し、移転整備の必要性や土壌汚染調査、対策の内容をきめ細かく情報提供しておりますが、築地市場の現状や市場本来の役割、機能が十分理解されていないことや、土壌汚染対策についても、専門性が高いため、対策を講ずることによりまして安全性が確保できることが正確に理解されていないことなど、豊洲移転に関する情報が効果的に都民に伝わっていない面もあると考えられます。
 こうしたことから、築地市場は老朽化、狭隘化が既に限界に達しており、一刻も早く抜本的な改善を行い、品質管理の高度化など市場機能の強化を図る必要があること、新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、我が国最高権威の学識経験者により、信頼性の高い万全な対策を講じ、安全性に不安がないこと、さらに、新市場では、築地で培われた伝統を継承し、新たな観光拠点となるにぎわい施設を整備することなどを都民に正確に、かつ十分理解していただけるよう、一層工夫した広報活動を進めていく必要があると考えております。
 このため、都民を対象とした説明会では、土壌汚染対策の内容を、模型やアニメーションを活用してわかりやすく説明し、質疑応答の時間も十分設け疑問の解消を図っていくとともに、ホームページを、写真やイラストなどを用いましてよりわかりやすく改善するなど、情報提供を充実してまいります。
 また、各市場におきましても、市場関係者への説明会の実施のほか、地域や見学者への情報提供など、あらゆる機会をとらえまして広報活動を行っていきます。
 都といたしましては、こうした取り組みを積極的に進めることによりまして、都民の一層の理解が得られるよう努力してまいります。
   〔環境局長有留武司君登壇〕

○環境局長(有留武司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅用太陽エネルギー利用機器の普及に向けた取り組みについてでございますが、補助金の申請数は、月を追って順調に増加してきておりまして、国による新たな買い取り制度が開始された十一月の月間申請数を八月と比較しますと、四割近くもふえております。
 また、秋以降、家電量販店等における販売も本格化し、異業種からの参入も始まるなど、販売ルートも多様化してきております。
 今月中旬には、太陽光発電のユーザー団体との共催により、実際に使用した際のメリットを都民にわかりやすく伝えるイベントの開催も予定しております。
 今後とも、こうしたさまざまな取り組みを進め、積極的に普及拡大を図ってまいります。
 次に、業務部門における太陽エネルギーの普及に向けた取り組みについてでございますが、大規模建築物を新築する際に、建築主に環境配慮を求めるため、都は平成十四年に、延べ床面積一万平方メートルを超える建築物を対象として建築物環境計画書制度を開始いたしました。
 この制度の強化を図るため、昨年、環境確保条例を改正しまして、その中で、太陽エネルギー等の利用促進のため、再生可能エネルギー導入の検討を義務づけました。来年一月からの条例の施行によりまして、建築主は、日照条件や設置場所の確保など、太陽エネルギー導入の検討を行うことになります。
 条例によるこの制度を徹底しまして、業務用の大規模建築物への太陽エネルギーの利用促進を図ってまいります。
   〔総務局長中田清己君登壇〕

○総務局長(中田清己君) 犯罪被害者等支援に関します三点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村におきます犯罪被害者等支援についてでございますが、犯罪被害者等支援を進めていくためには、都だけではなく、都内のすべての区市町村において支援に取り組んでいく必要があると考えております。
 このため、都は犯罪被害者等支援推進計画に基づきまして、都内全域での連携体制を構築するため、支援担当者によります会議等を設置し、それを通して、区市町村に対しまして、被害者等支援を行う担当窓口の開設を働きかけてまいりました。この二年間で、担当窓口を設置した区市町村は二十七団体から四十三団体となりまして、全区市町村のおおむね三分の二まで拡大しました。都としては、引き続き、担当窓口の開設を区市町村に働きかけてまいります。
 次に、区市町村に対します都の支援についてでございますが、地方公共団体による被害者等支援への取り組みは緒についたところでございまして、早期に区市町村の取り組み体制を整備していくことが重要であると考えております。
 このため、都は区市町村に対して、先ほど申しました担当窓口の開設を強く働きかけるとともに、相談事業や福祉サービスなどによる被害者等への支援が進むよう、職員の研修の実施や相談対応マニュアルの提供などを通じまして区市町村を支援してまいります。
 お話のような、保育などにつきまして、既存の施策を柔軟に活用して被害者等支援を進めていくことは効果的な方法であると考えております。
 都としては、このような先進的な事例を区市町村に積極的に紹介することなどによりまして、多角的な取り組みが進むよう働きかけてまいります。
 最後に、被害者等支援のための条例の制定についてでございますが、都においては、犯罪被害者等基本法の趣旨を踏まえまして犯罪被害者等支援推進計画を策定し、計画に基づくさまざまな事業を実施しており、今後も、計画を着実に推進していくことにより、犯罪被害者等を支援してまいります。
 都における計画は平成二十二年度末に見直しを予定しているところでございまして、現行計画の成果を検証するため、今年度中に、都内における被害者等支援の実態につきまして調査を実施する予定でございます。
 都としては、この調査結果等を踏まえまして、被害者等への支援がより一層充実したものとなるよう、今後、支援の取り組みについて検討してまいります。
   〔百二十一番酒井大史君登壇〕

○百二十一番(酒井大史君) それでは、再質問をさせていただきます。
 まず、オリンピックについてでございますが、ただいまの答弁では、知事は、一九六〇年大会の東京招致をJOCのメンバーで覚えていた人はいなかったはずとの指摘をされました。
 しかし、JOCのホームページ「東京オリンピック」の中に、一九五二年五月には、一九六〇年に開催される第十七回大会を東京に招致する意向を表明──中略をさせていただきますが、日本は第十七回大会の東京招致のための活動を積極的に行った、しかし、それは時間的にIOC委員に理解をもらうための時間が少な過ぎたと述べられています。ですから、JOCは一九六〇年大会招致を認知していたと考えるものです。知事には、JOCへの憶測による指摘はやめるよう申し上げます。見解を伺います。
 次に、新銀行東京の中間決算に対する質問についてでございますが、知事におかれては質問の趣旨をご理解いただけなかったようですので、改めて質問をさせていただきます。
 私たちの質問に対し、石原知事は、第一・四半期に引き続き中間決算でも黒字を計上というだけをもって新銀行を評価しています。
 しかし、私たちは、本業で利益が出ていないことや、中小企業への貸し出しが減っていることなど、現実を素直に見据えるべきだとした上で、石原知事の中間決算に対する評価を聞いているのです。
 石原知事は、答弁の中で、現在、取引先にきめ細やかな対応を図るなど、小零細企業支援に取り組んでおり、こうした事実は正当に評価をすべきという趣旨の答弁をされておりますけれども、そもそも知事は、いつからリレーションシップを評価するようになったのでしょうか。これこそ、石原知事の掲げたスコアリングモデルによるビジネスモデルが破綻をしたことの証左です。表面上の数字に満足し、都合の悪いことには口をつぐむという姿勢は改めるべきです。決して石原知事はそのような方ではないと信じております。
 本業で利益が出ていないことや、中小企業への貸し出しが減っていることなど、現実を素直に見据えた中間決算に対する評価について、石原知事に改めてお伺いをいたします。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) まず、オリンピック関係についてお答えいたしますが、JOCのメンバーが覚えていなかったというのは、私はいい過ぎかもしれませんが、少なくとも、一九六〇年に東京がアプライして失敗したということを私に告げてくれた人は一人もいませんでした。私はそれから重ねて愛知オリンピックあるいは大阪がアプライした──名古屋と大阪、このときの失敗はどういうわけだったんですかと聞いても、答えは来ませんでした。
 そういうものが詳細にレポートとして残されていれば、私たち、いろんな形でもう少し作戦も立てられたと思いますが、そういったやっぱり情報というものをきちっと残して伝えることが必要だと思いますから、私は今回の敗戦の経験というものをレガシーとしてきちっと残すべきだと思っているわけであります。
 次いで、銀行の件でありますけれども、もう少し物事を複合的、重層的に考えていただきたい。銀行が痛手を負って重病人になった、この責任はいろいろ問われるべきでしょう。ですから裁判も起こしますが、しかし、今、銀行に必要なことは、当初の目的であります小零細企業──私がつくった、要するにハイリスク・ハイリターンの、アメリカでいう、いわゆるジャンクボンドのマーケット、これは一兆円ぐらいになりました。そのおかげで八十社の会社が上場もしました。しかし、そういう対象になり得ない、本当に小零細企業に手当てをするためにこの銀行をつくったわけですけど、残念ながら失敗しました。
 しかし、何とか立ち直る兆しを見せてきたので、これを今の限りとにかく努力をして、ですから、ほかの銀行がやっていないようなレギュレーションというものを試みて、とにかく要するに赤字を減らしてきた。これは今の第一段階でしょう。これでもし通年で黒字が出れば、これはやっぱりその信用というものを踏まえて、再三申してきましたけど、第二段階として、東京の活力、ポテンシャルを非常に信じている外国のファンドはたくさんございますから、そういったものと組んでいっても積極的な再建に向かえるはずでありますけれども、要するに単年度黒字を出すための努力を、今新しい経営陣が必死にしているわけですから、これは私は十分評価すべきだと思いますね。
 それがわからないで、銀行を是か非かという論じ方は乱暴ですし、いたずらに犠牲を強いるだけの話でして、もうちょっと冷静に、複合的に物を考えていただきたい。

○議長(田中良君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

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