午後一時開議
○議長(田中良君) これより本日の会議を開きます。
○議長(田中良君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(田中良君) 次に、日程の追加について申し上げます。
一番小林健二君外百十四名より、オリンピック・パラリンピック招致特別委員会設置に関する動議が文書をもって提出されました。
また、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
○議長(田中良君) 昨日に引き続き質問を行います。
五十六番原田大君。
〔五十六番原田大君登壇〕
○五十六番(原田大君) 私からは、再生可能エネルギーの普及促進について、ITの活用と業務改善について及び河川感潮域における水質改善について質問いたします。
まず、再生可能エネルギーの普及促進に関して、エネルギー安全保障について伺います。
東京の持続可能な発展のためには、大都市のさまざまな活動を支えるエネルギーの確保が必要です。これまで人類は石油等の化石燃料に依存した文明を築いてきましたが、最近では、石油にかわる新しいエネルギー源として、太陽光、太陽熱や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーやメタンハイドレートなどの資源開発に注目が集まっています。
新エネルギー政策は、地球温暖化等の環境問題への対応という政策目的を持っていますが、同時に、石油からの脱却は、石油の確保をめぐって争われてきた従来の国際政治の枠組みからの脱却をも意味するのであり、安全保障上の意味をも持つのであります。よって、エネルギー政策を考える場合、環境のみならず総合的な観点を持つ必要があります。
諸外国の例を見ると、例えばアイスランドでは、同国内に豊富に存在する地熱と水力を活用し、水素の生産と燃料電池の活用を行うことによってエネルギー自給率一〇〇%を目指す取り組みが進められています。このアイスランドの新エネルギー政策には、エネルギー源を輸入に頼らないという明確なビジョンがあり、よって、バイオエタノールなど、同国として輸入に頼らなくてはならない新エネルギーは、最初から検討対象に入っていません。
東京都でもさまざまな新エネルギー支援策に取り組んでいますが、単に環境問題からの視点のみならず、安全保障等を含めた総合的な観点からのエネルギー戦略を持たねばなりません。知事は、都のエネルギー戦略についてどのようなビジョンを持っているのか伺います。
新エネルギーの中でも太陽光などの再生可能エネルギーは、鉱物資源に乏しい東京においても、自給がある程度可能なエネルギーです。新エネルギーの普及促進に当たっては、エネルギー自給率を高める観点からの取り組みが大切であり、再生可能エネルギーはその手段として位置づけることが必要だと考えますが、都では、再生可能エネルギーの普及促進に向けてどのような戦略をもって取り組んでいるのか伺います。
次に、スマートグリッドについて質問します。
これまで、電力の供給は国が中心となり、エンドユーザーには一方的に電力を届ける形で行われてきました。しかし、太陽光発電や風力発電によって、一般家庭も含めたさまざまな主体が電力の供給側に立てるようになったのです。東京都でも、さまざまな再生可能エネルギーに対する支援策を実施しておりますが、実用面でこれらを生かそうと思えば、再生可能エネルギーが既存の送電網の中にしっかり組み込まれるようにすることが必要であり、そのことを踏まえて再生可能エネルギーの普及策を構築する必要があります。
電気は、水が高いところから低いところに流れるように、電圧の高いところから低いところへ流れます。よって、例えば一般家庭が設置した太陽電池から送電網に電力を供給する場合、電力会社の系統よりも高い電圧にして既存の送電網に流すのですが、電気事業法施行規則では、家庭用百ボルト電源への供給側の電圧の上限は百七ボルトと定められています。よって、系統の電圧が上限の百七ボルトだと、太陽電池から系統に電気が流れません。この制約から、せっかく家庭で太陽電池を設置しても、思ったように電気が売れない、太陽電池パネルの設置コストが回収できないといった事態が実際に起こっています。こうした事態が続けば、風力を初めとした商業ベースの新エネルギー事業者の参入も妨げられてしまいます。
再生可能エネルギーの普及のためには、個別の技術分野に対する支援だけを行っていても効果は限定的であり、送電網の開放を関係各所に働きかけていくべきですが、都の取り組みについて伺います。
送電網の開放を促していくためには、送電網の安定を保つためのインフラ整備も重要です。IT技術を駆使して電力の需給調整を行うスマートグリッド、スマートメーターの導入はもちろん、送電網の中に電気に絡む新技術、例えば電気自動車などを絡めていくことも効果的です。
電気自動車は大型のバッテリーを搭載しており、充電中で送電網に接続された電気自動車は、電圧の変動を和らげるための市中のバッテリー設備として大きな役割を果たし得るのであります。本年、複数のメーカーから電気自動車が一般向けにも発売されました。まだまだ普及台数は少ないですが、プラグインハイブリッド車も含めて、今後、台数の増大が見込まれます。
東京都も電気自動車等に対する支援を行っているところではありますが、単に自動車施策の枠内で施策を完結させるのではなく、再生可能エネルギーの普及に向けての東京の送電インフラ整備という視点も含めて、電気自動車を広く普及させていくべきだと考えますが、所見を伺います。
次に、ITの活用と業務改善について質問します。
まず、CIOの活動とIT統制について伺います。
東京都では、平成十九年四月に副知事をCIO、情報統括責任者とし、七月にシステム評価委員会がつくられました。
IT戦略は、業務改善と一体であることが重要です。私は平成十八年第一回定例会の一般質問において、IT化による改革とは、今までの業務プロセスを最新の技術を駆使して根本的に見直すことであり、既存の業務プロセスを単純にコンピューターを利用したプロセスに置きかえるものではないこと、したがって、IT化を担当する責任者は、単にコンピューター技術者のトップではなく、情報化戦略を組織全体の経営戦略に組み込んでいく役割を果たすべきことについて申し上げ、都の対応をただしました。
その後、計画段階では理事級とされていたCIOに、部局の壁を超えた副知事級がなったことは、大変意味のあることであったと評価しております。
そこで、副知事がCIOとなったことにより、実際にどのような効果があったのか、副知事がどのような役割を果たしてきたのか伺います。
次に、IT調達について質問します。
平成二十年六月にはシステム評価委員会の取り組みが報告され、現在は、全庁最適化計画、個別最適化計画の策定に向けての作業が進んでいます。今後、最適化計画に基づいて、さまざまなシステムの調達が行われることとなります。
私は、平成十八年第一回定例会では、知事部局と公営三企業、警視庁、東京消防庁において、共通化できるシステムは共通の仕様を設定する、あるいはハードについては調達を一元化するなど、総合的な視点で調達を行う取り組みが必要と指摘し、対応を求めました。
そこで、今後の最適化計画策定に当たって、これらの業務改善について現在の具体的な進捗状況及び今後の見通しについて伺います。
IT調達については、公共工事の入札ほど制度が整っておらず、過去にもITゼネコンによる不適当に高額の契約が見受けられました。例えば、開発段階で請負業者が自社にしか対応できない仕様を盛り込むなどにより、保守運用をその業者しか請け負えないような状況とし、開発ではいわゆる一円入札を行って、その後の保守運用で稼ぐというビジネスモデルがまかり通っていました。
こうした状況を排し、適切なIT調達制度を構築するために、新たな調達、契約制度の構築を見据え、システム調達、運用の各プロセスで競争が働く仕組みづくりを行うことが重要でありますが、所見を伺います。
次に、国や自治体との関係について伺います。
麻生政権下の平成二十一年度補正予算で、突如、自治体クラウド構想が登場しました。クラウドとは、利用者が情報システムをみずから開発、保有、管理することなく、外部に構築された情報システムを、インターネット等を通じてサービスとして利用する形態であります。課題はあるものの、外部に構築されたシステムを複数の利用者が共同で利用することにより、各利用者にとって、情報システムの開発、管理のコストの大きな低減が図られるとともに、利用者間で業務、サービスが標準化、共通化され、相互の連携も容易になることから、利用者全体でサービスの向上、業務効率化が進むといわれています。
このように、クラウドという考え方そのものについてはメリットがあるものの、総務省主導の事業に安易に乗るのは、e─JAPAN戦略で行われた、むだで非効率なIT公共事業の再来になりかねず、クラウド化については、自治体としてIT投資戦略をしっかりと持った上で取り組むべきと考えます。
そこで、都として国の自治体クラウド構想をどのようにとらえているか伺います。あわせて、ITを活用した自治体間の連携による行政の効率化について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
以上、ここまで申し上げてまいりましたとおり、業務の見直しを行なわないIT化は、無意味などころか税金のむだ遣いであります。産業技術総合研究所の微生物の特許出願に関する電子申請システム、外務省の旅券電子申請システムなど、数千万から数十億円をかけながら、既存の方法の方がいい、もしくは電子申請だと余計に手間がかかる等の理由で、利用件数がゼロ、もしくは数えるほどといった事例が山のようにあります。
また、組織ごとに類似の情報システムを整備することは、二重投資につながるものであり、縦割りの弊害でもあるため、改善していくべきであります。
さらに、システム開発会社主導のシステム導入は、システムありきとなりがちで、使われない機能や冗長なシステム構成など、過剰投資を生み出す要因となっています。
これらの問題点を踏まえながらも、ITを活用し、業務プロセスを職員と都民にとってよりよいものにしていくことは大変大きな課題であります。それでも課題を乗り越え、行政サービスの質と量の向上、都民満足度の向上を図っていかなくてはなりません。
そのためにはCIOである副知事のリーダーシップが重要ですが、今後、ITを活用した業務改善にどのように取り組んでいくのか、CIOである菅原副知事に伺います。
次に、河川感潮域における水環境の改善について質問します。
河川の水環境は、ここ数年あるいは十数年でかなり改善してきました。しかし、流れの部分の水環境はそれなりによくなってきていますが、潮の満ち干の関係で水の流れが滞る河川感潮域の水環境にはまだまだ問題が目立ちます。実際、北区の石神井川、品川区の立会川などでは取り組みが進められています。河川感潮域の水環境悪化問題の解決のためには、都が積極的な取り組みをする必要があると考えます。
そこで、河川の水環境の改善に当たっては、特に感潮河川の環境改善に向け、臭気対策を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
私の地元、北区の石神井川では、これまでも夏場を中心ににおいが発生し、周辺の住民の方々から多くの苦情が寄せられておりました。そうした中、ことし三月にJR王子駅の汚水流入問題が判明したわけですが、そもそもこの場所は感潮域であって、余り水が流れない、あるいは下流の隅田川から流れが逆流してきているのではといった憶測から、汚水流入という事態の発見がおくれたという事情もあるのであります。また、実際に、汚水の流入がなくなった現在でも、気象条件等により相変わらず臭気の発生等が見られます。
現在、北区では、水質の詳細な調査と対策の検討等について取り組みを進めておりますが、都としてもこの問題に積極的に取り組むべきであります。
そこで、石神井川の臭気対策に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
さきに申し上げましたとおり、河川の水環境は、ここ数年あるいは十数年でかなり改善してきましたが、それは通常時の水環境についてであります。河川感潮域においては、雨天時には合流式下水道から流入した汚水がたまる、あるいは夏季には悪臭が多発するなど、住民は実感としてはまだまだという印象を持っています。
汚れがたまりやすい河川感潮域では、汚水の流入がより大きな影響を生じるであろうことから、こうした区間においては、合流式下水道から河川への流入について特に改善対策を進めるべきですが、所見を伺います。
石神井川下流域においては、王子第二ポンプ所の建設など、合流式下水道の改善等が計画されています。これらの対策によって、どのような改善効果を見込んでいるのか伺います。
環境局が水質汚濁防止法に基づき行った平成二十年度の都内河川の水質調査結果を見ると、BODを指標として、すべての河川で環境基準を達成したとされています。しかしながら、石神井川や立会川などの感潮域付近の住民は、川がいまだにきれいになってはいないと感じています。BODを測定することによって観測されている水質と、住民の水のきれいさの感覚にずれが生じています。
こうした水質を初めとする環境測定は、河川の現状を把握し、問題点を突きとめ、改善につなげていくところに意味があります。そこで、このような感潮河川の水環境の現状についてどのように把握し、考えているのか伺います。
河川の水環境改善には、河川全体を考慮した取り組みが必要です。悪臭等が問題となっている河川において、特定の区間だけを抱える地元区ばかりに任せていては、区域を越えた全体的な取り組みができません。
河川の水環境改善のための水質浄化実験を行っている区もありますが、抜本的な対策には、悪臭等が発生する河川のメカニズムの解析や、それを踏まえた水質改善対策の立案が不可欠です。水環境に関する情報の把握や区に対する情報提供、技術支援などを行うべきと考えますが、所見を伺います。
以上で私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 原田大議員の一般質問にお答えいたします。
エネルギー政策についてでありますが、現代文明は、化石燃料のもたらす膨大なエネルギーを消費し、今日の便利で豊かな生活を実現してはまいりました。しかしながら、化石燃料への依存は、温暖化による気候変動の危機をもたらすとともに、資源の枯渇と国際供給体制の不安定化によりまして、国際的な平和や安全をも脅かすという事態を引き起こしているわけであります。
再生可能エネルギーへの転換を軸とする低炭素型社会の実現こそ、現代文明が直面するこれらの問題を解決する最大の方策であると思います。
都は、こうした観点から、太陽エネルギーの利用拡大を初めとする先駆的な再生可能エネルギー施策を展開し、今後とも低炭素型社会への転換を先導していきたいと思っております。
東京が世界の中で都市として唯一参画しましたICAPは、これはヨーロッパの首相によるCO2削減のリーグでありますけれども、先般、オリンピック招致のためにIOCの委員の集まる世界陸上に参りましたときに、ドイツ、ポーランドの上を飛びましてつくづく感じましたのは、やっぱりヨーロッパはこの問題で相当強い危機意識を持っている。
例えば、平野という非常に恵まれた条件もありますけれども、至るところに非常に数の多い風力発電の風車が見えました。それから、自転車の普及率というのは、少なくともドイツに関しては恐らく東京の数倍の自転車が普及しているので、感心もいたしました。
一方、私、運輸大臣のときに手がけて、現在の実験線に移しました、山梨県に移しましたあの日本の誇るべき低温超電導の技術は、これはリニアモーターカーのために開発したものでありますけれども、専門家に聞きますと、現在の送電線による電力の供給というのは非常に途中でロスが多いそうですけれども、これを活用しますと、非常に高度な、ほとんど漏電のないバッテリーができるようでありまして、例えば一万トンの船そのものをバッテリーにすることで、電力のない僻地にその船を横づけすることで砂漠に電力がもたらされるといったような、そういった効用もあるわけでありますが、いずれにしろ、私たち、こういったものを総合的に活用しまして、エネルギー対策をすることでこの地球の危機というものを救うべきだと思っております。
他の質問については、副知事、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔副知事菅原秀夫君登壇〕
○副知事(菅原秀夫君) ITを活用いたしました業務改善への取り組みについてお答えを申し上げます。
IT化は、業務の効率化あるいはコスト削減、コミュニケーションの円滑化、情報の共有化に大きな効果をもたらすことから、官民を問わず経営に不可欠な手法となっております。
一方、都におきましては、これまでの紙ベースの業務をそのままIT化するなど、仕事の進め方の見直しが不十分でございまして、業務の効率化には限界がございました。そのため、全庁横断型の戦略会議といたしましてIT業務改革会議を設置いたしまして、情報統括責任者といたしまして、業務改善を踏まえた戦略的なIT化への取り組みを進めてまいりました。
取り組みに当たりましては、単に業務をシステム化するのではなくて、既存業務をより効率的な形に見直すとともに、知事部局、公営企業局の垣根を超えた、最も望ましい情報システムへと整備をしていくこととしております。
情報システムを組織のあり方、仕事の進め方を抜本的に変えていく戦略的な手法と位置づけをいたしまして、情報統括責任者といたしまして、引き続き業務と情報システムの最適化の取り組みを進めてまいります。
〔東京都技監道家孝行君登壇〕
○東京都技監(道家孝行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、感潮河川における臭気対策についてでありますが、潮の干満の影響からヘドロが堆積しやすい感潮河川においては、しゅんせつなどの対策によって臭気の発生を防止することが重要であります。今年度は目黒川など五河川で、河川管理者である地元区が臭気対策としてしゅんせつを実施する予定であります。
一方、都におきましても、船舶による機械施工が可能な隅田川などの四河川におきまして既にしゅんせつを実施しており、引き続き日本橋川など六河川で順次実施してまいります。
今後とも、都と区は連携し、それぞれの役割分担に基づき計画的にしゅんせつを行い、良好な河川環境の確保に努めてまいります。
次に、石神井川における臭気対策についてでありますが、都では、建設局を初め関係各局が、河川管理者である北区とともに、石神井川の河川環境の改善を図るため、臭気対策の検討会を開催し、今後の取り組み内容と役割分担を取り決めてまいりました。これに基づき、まず都は、臭気対策として、緊急に河川しゅんせつを実施し、七月に完了させました。
現在、北区は、臭気の発生原因調査を都の特例交付金によって行っており、この調査結果をもとに、平成二十二年度から二年にわたり、臭気対策実験を行う予定でございます。
都は、これまで得た技術的な知見を用いて、調査や実験の方法について支援を行っております。
今後とも、都は河川管理者である北区と連携いたしまして、臭気対策に取り組んでまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 五点についてお答えいたします。
まず、再生可能エネルギーの普及とエネルギー自給率の向上についてでございますが、都は、再生可能エネルギーの普及拡大を気候変動対策の重要な柱と位置づけ、取り組みを進めております。中でも太陽エネルギーや都市の廃棄物を活用したバイオマスは、CO2を増加させないクリーンなエネルギーであると同時に、都外に供給を依存しない、いわば地産地消のエネルギーでもあります。こうした観点を含め、東京の持続可能な成長を実現するため、再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。
次に、再生可能エネルギーの普及における送電網への優先接続についてでございます。
風力発電などが事業として成立するためには、電力の送電系統への接続が必要であり、これを保障する送電網への優先接続の仕組みの確立が再生可能エネルギーの安定的な供給拡大を図る上で極めて重要であります。しかしながら、我が国においてはこうした優先接続の仕組みが確立されておらず、再生可能エネルギーのポテンシャルが十分に生かされておりません。
都は、既に国への提案要求の中で、国のエネルギー政策の中に送電系統への優先接続を位置づけるよう要請しており、今後とも、八都県市とともにこうした働きかけを続けてまいります。
次に、電気自動車の普及についてでありますが、電気自動車は走行中に二酸化炭素排出がなく、環境負荷が小さいことから、その普及を図ることは地球温暖化対策を進めていく上で重要であります。そのため都は、各種支援策等を講じて電気自動車の普及を図っております。
また、電気自動車の普及は始まったばかりでありますが、民間事業者においては、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、電気自動車などが持つ蓄電機能に着目しまして、その機能を活用した電力の安定供給を図るシステム構築を目指す実験の動きもあります。都としては、こうした取り組みの動向も見守りつつ、電気自動車の幅広い普及促進に努めてまいります。
次に、河川における水環境についてでございますが、都内の五十二河川で毎月実施している水質測定の結果、平成二十年度は、石神井川や立会川など、都内のすべての河川において、水の汚れの指標である生物化学的酸素要求量、BODが環境基準を達成しておりまして、経年的に見ても水質の改善は着実に進んでおります。
しかし、地形の関係で流れが悪いところは、流れがあるところと比較しまして泥やごみがたまりやすいことから、悪臭等が発生し、住民にとって必ずしも快適な水環境とはいえない場所が生じることは承知しております。
最後に、水環境に関する区への情報提供等についてでございますが、都は、流域の自治体による水質情報の共有化を図るため、都及び区市町村それぞれが行っている水質測定の結果を取りまとめるとともに、必要に応じて解析し、区市町村に提供しております。
また、立会川など城南地区の河川で地元区が行っている浄化実験や石神井川で北区が行っている臭気発生の原因調査等の取り組みにおきまして、関係区に対し、採水地点、分析項目などの調査方法や浄化手法等に関する技術的な支援を行っております。
今後とも、都内河川の水環境の改善に向けて、区市町村に対し、こうした情報提供や技術的な支援に努めてまいります。
〔総務局長中田清己君登壇〕
○総務局長(中田清己君) ITに関します四点のご質問にお答えします。
まず、副知事がCIO、情報統括責任者となったことによる効果と役割についてでございますが、副知事の情報統括責任者のもと、全庁横断型のIT・業務改革会議を設置し、業務改善を踏まえた都のIT化全体の最適化に取り組む体制が整備されました。
また、外部の専門家も入れたシステム評価委員会におきまして、現在稼働している主要な情報システムを対象としたシステム総点検を実施し、システムの更新時期を踏まえた類似システムの統合や費用対効果を高める道筋を示しました。
これらは、副知事が情報統括責任者の役割を担い、縦割りを打破し、組織全体を見渡すことにより達成できたものと認識しております。
次に、業務改善に係る進捗状況及び今後の見通しについてでございますが、事務用パソコンにつきましては、これまでも都全体で利用している端末の一括調達を行っているほか、標準仕様書をもとに、本年度は都立学校の教員向け端末につきましても一括調達を行いました。
また、複数の局で個別に運営している電子調達システムの統合など、既存の情報システムにつきまして、局横断的な共通利用の実現に向け支援するとともに、新規に導入する場合のパッケージソフトの推奨など、より低廉で高品質な情報システムの導入を支援しております。
引き続き各局に対します支援を行うとともに、これらの取り組みを今後策定する最適化計画に反映させてまいります。
次に、システム調達、運用の各プロセスで競争が働く仕組みづくりについてでございますが、システム調達の段階におきましては、将来の更新時にも適正な競争が働くよう、調達に必要な項目を明確にした参考仕様書を整備して各局に提供しております。
また、運用段階におきましては、維持管理経費が高どまりすることがないよう、運用業務の内訳を精査するとともに、具体的な業務項目を明確化することにより競争性を確保する取り組みを進めております。
あわせまして、これらの取り組みに当たりましては、外部の専門家を入れたシステムアセスメント制度の中で、費用対効果の観点などから、客観性を担保するとともに、妥当性につきましても評価を行っております。
最後になりますが、自治体クラウド構想等についてでございますが、国の自治体クラウド構想は、財政面等の脆弱な小規模自治体などが情報システムを共同利用することによりまして、住民サービスの向上と行政運営の効率化を低コストで実現しようとするものであると認識しております。
都におきましては、同様の趣旨で、既に平成十六年度から都内区市町村とともに電子申請システムなどの共同運営事業を実施しております。
都としましては、ITを活用した自治体間の連携につきまして、当面この都内の自治体との共同運営事業をさらに充実させていきますが、一方、自治体クラウドの開発実証で試みられる都道府県域を超えた共同利用に関しましても、費用対効果やセキュリティー対策など、その成果と課題を見きわめた上で適切に対応してまいります。
〔下水道局長松田二郎君登壇〕
○下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えをいたします。
感潮域における合流式下水道の改善対策についてでございますが、合流式下水道から一年間に放流される総汚濁負荷量を分流式下水道と同程度とすることを目標として、合流改善対策を進めております。この対策を進めることにより、潮の影響を受け、よどみやすい水域も含め、水質改善に寄与してまいります。
具体的には、雨天時において河川などに放流される汚水まじりの雨水の量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすための下水道の幹線の増強や、はけ口におけるごみやオイルボールの流出を抑制するための施設の改善、降雨初期の汚れた下水を貯留し処理する貯留池の整備などに取り組んできております。
水再生センターでの処理量をふやすための幹線の増強についてはおおむね完成しておりまして、はけ口における施設の改善についても、来年度末にはおおむね完了いたします。
貯留池については、これまでに約八十三万立方メートルが稼働しておりますが、さらに整備を進めてまいります。
今後とも、地元区、河川管理者と連携を図り、合流式下水道の改善対策に取り組んでまいります。
次に、石神井川下流域の対策の効果についてでございますが、王子駅から下流側の石神井川には四つのはけ口がありますが、そのうち三つのはけ口の対策としては、王子西一号幹線、堀船一号幹線や王子第二ポンプ所を新たに整備いたします。この整備により、雨天時に放流される汚水まじりの雨水を石神井川を経由することなく直接隅田川へ放流するとともに、王子第二ポンプ所には、降雨初期の汚れた下水を貯留し、みやぎ水再生センターに送水して処理するための貯留池を整備いたします。
残る一つのはけ口の対策としては、貯留池を計画しており、新たに用地の確保が必要であることから、地元区などの協力を得ながら整備を進めてまいります。
これらの対策により、雨天時に石神井川へ放流される汚濁物質の大幅な削減が可能となります。今後とも、石神井川の水質改善に向け、施設の整備を進めてまいります。
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