平成二十一年東京都議会会議録第十二号

平成二十一年九月七日(月曜日)
 出席議員 百二十七名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番吉住 健一君
四番桜井 浩之君
五番野田かずさ君
六番鈴木 章浩君
七番福士 敬子君
八番山内れい子君
九番くりした善行君
十番西沢けいた君
十一番中村ひろし君
十二番田中  健君
十三番関口 太一君
十四番小山くにひこ君
十五番畔上三和子君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤 興一君
二十番きたしろ勝彦君
二十一番田中たけし君
二十二番鈴木 隆道君
二十三番神林  茂君
二十四番早坂 義弘君
二十五番星 ひろ子君
二十六番柳ヶ瀬裕文君
二十七番淺野 克彦君
二十八番新井ともはる君
二十九番佐藤 由美君
三十番たきぐち学君
三十一番田の上いくこ君
三十二番島田 幸成君
三十三番しのづか元君
三十四番滝沢 景一君
三十五番大島よしえ君
三十六番大松あきら君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番松葉多美子君
四十番高木 けい君
四十一番石森たかゆき君
四十二番高橋 信博君
四十三番中屋 文孝君
四十四番村上 英子君
四十五番矢島 千秋君
四十六番高橋かずみ君
四十七番西崎 光子君
四十八番中谷 祐二君
四十九番笹本ひさし君
五十番山下ようこ君
五十一番神野 吉弘君
五十二番鈴木 勝博君
五十三番興津 秀憲君
五十四番岡田眞理子君
五十五番伊藤 ゆう君
五十六番原田  大君
五十七番古館 和憲君
五十八番かち佳代子君
五十九番中山 信行君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番野上 純子君
六十四番山加 朱美君
六十五番山田 忠昭君
六十六番山崎 一輝君
六十七番菅  東一君
六十八番宇田川聡史君
六十九番林田  武君
七十番三宅 茂樹君
七十一番佐藤 広典君
七十二番尾崎 大介君
七十三番山口  拓君
七十四番松下 玲子君
七十五番伊藤まさき君
七十六番野上ゆきえ君
七十七番西岡真一郎君
七十八番今村 るか君
七十九番吉田康一郎君
八十番斉藤あつし君
八十一番たぞえ民夫君
八十二番清水ひで子君
八十三番小磯 善彦君
八十四番長橋 桂一君
八十五番藤井  一君
八十六番ともとし春久君
八十七番遠藤  衛君
八十八番三原まさつぐ君
八十九番吉原  修君
九十番野島 善司君
九十一番鈴木あきまさ君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番古賀 俊昭君
九十五番泉谷つよし君
九十六番くまき美奈子君
九十七番大西さとる君
九十八番増子 博樹君
九十九番いのつめまさみ君
百番門脇ふみよし君
百一番小沢 昌也君
百二番花輪ともふみ君
百三番大津 浩子君
百四番相川  博君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番東村 邦浩君
百八番中嶋 義雄君
百九番木内 良明君
百十番吉野 利明君
百十一番こいそ 明君
百十二番服部ゆくお君
百十三番川井しげお君
百十四番宮崎  章君
百十五番比留間敏夫君
百十六番川島 忠一君
百十七番石毛しげる君
百十八番大塚たかあき君
百十九番和田 宗春君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番中村 明彦君
百二十四番土屋たかゆき君
百二十五番馬場 裕子君
百二十六番田中  良君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事菅原 秀夫君
副知事佐藤  広君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
東京都技監建設局長兼務道家 孝行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長河島  均君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長前田 信弘君
港湾局長比留間英人君
会計管理局長新田 洋平君
交通局長金子正一郎君
水道局長尾崎  勝君
消防総監新井 雄治君
下水道局長松田 二郎君
青少年・治安対策本部長倉田  潤君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長岡田  至君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長泉本 和秀君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長三橋  昇君
収用委員会事務局長野口  孝君

九月七日議事日程第一号
第一 第百三十一号議案
  東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第二 第百三十二号議案
  東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第三 第百三十三号議案
  東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第四 第百三十四号議案
  警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第五 第百三十五号議案
  警視庁本所警察署庁舎(二十一)改築工事請負契約
第六 第百三十六号議案
  東京都健康安全研究センター新館B棟(二十一)新築その他改修工事請負契約
第七 第百三十七号議案
  都立総合芸術高等学校(仮称)(二十一)改築及び改修工事請負契約
第八 第百三十八号議案
  都立武蔵野北高等学校(二十一)改修工事請負契約
第九 第百三十九号議案
  都営住宅二十一CH─一〇二東(葛飾区高砂四丁目・葛飾区施設)工事請負契約
第十 第百四十号議案
  環二地下トンネル(仮称)築造工事(二十一 一─環二新橋第二工区)請負契約
第十一 第百四十一号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
第十二 第百四十二号議案
  備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
第十三 第百四十三号議案
  折り畳み式簡易ベッドの買入れについて
第十四 第百四十四号議案
  個人防護具(ガウン等セット)外六点の買入れについて
第十五 第百四十五号議案
  東京都道路公社が行う第二多摩川原橋有料道路事業の変更に対する同意について
第十六 第百四十六号議案
  東京都道路公社解散に係る設立団体の同意について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(二一財主議第二七四号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(二一財主議第二七五号)

   午後一時開会・開議

○議長(田中良君) ただいまから平成二十一年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(田中良君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
     二番 加藤 雅之君 及び
   六十五番 山田 忠昭君
を指名いたします。

○議長(田中良君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 平成二十一年八月三十一日付東京都告示第千二百三十七号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案十六件の送付がありました。
 次に、平成二十一年第三回臨時会の会議において同意を得た監査委員の任命について発令したとの通知がありました。
 次に、今般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、通知がありました。
 次に、東京都債権管理条例に基づく私債権放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づき専決処分した訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告がありました。
 次に、教育委員会委員長より、平成二十一年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、平成二十年度分について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(田中良君) 次に、今般の人事異動に伴い異動のありました説明員をご紹介いたします。
 青少年・治安対策本部長倉田潤君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(田中良君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(田中良君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意について二件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(田中良君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から九月二十五日までの十九日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十九日間と決定いたしました。

○議長(田中良君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十一年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 天皇陛下におかせられましては、本年、ご在位満二十年を迎えられました。首都東京の知事として、千三百万都民とともに、心よりお祝いを申し上げます。
 この喜びを都民とともに分かち合い、祝賀の意を広く表するために、都は、即位礼正殿の儀がとり行われた十一月十二日を中心に、記念事業を行うことといたしました。また、来る十二月二十五日に、各界を代表する方々とともに、天皇陛下御在位二十年東京都慶祝の集いを挙行いたします。
 このたび、名誉都民の候補者として、王貞治さんと加藤一冑さんの二名の方々を選定させていただきました。
 王貞治さんは、プロ野球選手として本塁打の世界記録を更新し、監督として、第一回ワールド・ベースボール・クラシックで日本代表を優勝に導くとともに、少年野球を通じた諸外国との友好親善や青少年の健全育成にも尽力をしてこられました。
 加藤一冑さんは、よろいかぶとの制作等を行う甲冑師として、約六十年にわたり、たくみのわざをきわめ、日本の伝統工芸の粋を今に伝えるとともに、後継者の育成や江戸節句人形の振興にも尽力してこられました。
 お二方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、今月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。
 さて、我が国は、戦後一貫して、経済的にも軍事的にもアメリカに大きく依存してまいりましたが、そのアメリカももはや衰退しつつあり、真の意味で自立することを模索していかなければならないと思います。国内に目を転じても、人口減少という社会構造の大きな変化が始まっておりまして、国が抱える天文学的な借金など、数々の難題も山積しております。
 しかし、我が国は、国の将来がかかった重要な時期であるにもかかわらず、国家の大計もないまま、内向きの議論に終始しております。このまま国家の根幹にかかわる設計図を抜本的に見直さなければ、日本もまた、衰退しか道はありません。まずもって政治は、文明工学上最も大きな力を託されたみずからの役割を改めて認識しなければならないと思います。
 もとより日本は、はかり知れない潜在力、可能性を持っております。急速な近代化をもたらし、欧米のキャッチアップを遂げさせたのは、歴史の中で培った高い知識水準や勤勉な国民性、すぐれた感受性、独自の文化でありまして、ふるさとを愛し、国を思う国民の強い意思でもありました。今日も、数多くの最先端的技術を有し、多くの人材を擁しております。
 こうした日本であればこそ、政治は今、大きな視点に立って、新しい目標を国民に明示しなければなりません。そして、その目標に向け、正当、冷静な議論によって世論を形成しながら、この国の潜在力と可能性を戦略的に束ね、新しい活力をつくり出さなければならないのであります。分権改革を断行し、地方の力でこの国を動かしていくことも不可欠であります。
 ゆえにも、日本の潜在力と可能性が集中、集積する首都東京から日本の活路を開くべく、今果たすべき政治の役割を十二分に踏まえて、都政運営を進めてまいりたいと思います。東京と日本の真の実力を解き放つ具体的な施策を展開して、国を先導し、日本再浮上の道筋をも示してまいりたいと思います。
 次に、都民、国民に対して夢と感動をもたらすとともに、この国の新しい目標である環境と調和した社会を実現するてこともなる、オリンピック・パラリンピック招致について申し上げます。
 先般公表されたIOC評価委員会の報告書では、「日本だから、できる。あたらしいオリンピック・パラリンピック!」の開催理念や環境を重視したコンパクトな大会計画、東京のすぐれた開催能力などが高い評価を得たと思います。平和に寄与し、スポーツを通じて友情と連帯をはぐくみ、若者たちに心の財産を贈るだけでなく、世界初のカーボンマイナスオリンピックを実現することが、十二分にアピールできたからだと思います。
 人類にとっての最大の難問は、地球環境問題であります。この夏の我が国の集中豪雨や台湾における台風被害は、地球の未来を黙示録的に示していると思います。このままでは、気象の異変によって我々の生活は致命的に破壊されるかもしれないのに、しかし人間は、死が不可避であるにもかかわらず自分自身の死を信じないと同様に、地球環境問題を遠いかなたの問題ととらえがちであります。地球環境問題を世界じゅうの指導者に最優先課題と認識させ、全人類に危機感と解決の道筋を共有させなければなりません。それには、人種と国境の壁を取り払い、世界を一つに結ぶ平和の祭典オリンピック・パラリンピックにまさる機会はないのであります。
 東京は、二〇一六年大会を環境の世紀のモニュメントにする決意で、招致に名乗りを上げました。改めて申し上げるまでもなく、東京は、文明発展のあしき副産物ともいうべき大気汚染を、急速にかつ大幅に改善するなど、環境問題に果敢に挑み克服してまいりました。そして今、日本はもとより世界が目指すべき環境と調和した社会、いわば二十一世紀の範となる社会をつくり上げるために、都民、国民の力を凝縮しながら、大きく前に踏み出しております。
 ごみの埋立地が、都民の植樹によって森に変わりつつあります。地域の人々の協力の輪で校庭を芝生化し、緑の回廊を形成する街路樹の整備に当たっても、都民や企業などからの拠金によるマイ・ツリーに限っても、千五百本以上が寄せられております。また、都内の全小学校で本格的な環境教育を実施し、子どもたちの家族も巻き込んだCO2削減を推進しております。さらには、世界初の都市型キャップ・アンド・トレードを来年四月から開始するため、事業者の協力を得て、準備を加速させております。
 こうした具体的な行動を踏まえて、国内外の招致活動では、地球環境問題についてのメッセージを発信し続けてまいりました。立候補ファイルしかり、IOC評価委員会の来日調査しかり、ローザンヌでのプレゼンテーションまたしかりであります。先月には、世界陸上ベルリン大会に赴き、そこに集まるIOC委員たちに、東京の決意を言葉を尽くして説いてまいりました。
 来月二日、いよいよコペンハーゲンのIOC総会で開催都市が決まります。この地では十二月に、ポスト京都議定書の枠組みを決める国際会議、COP15が開催されます。これに先駆けて、都市としては世界で初めてICAPに加盟を果たした東京が、カーボンマイナスオリンピックの青写真と環境と調和した都市の姿を世界に訴えることは、地球環境問題に取り組む国際的な機運を高める大きなよすがになるに違いありません。それぞれの国で指導的立場にあり、社会的影響力もあるIOC委員は、先駆的行動に裏打ちされた東京のメッセージに共感し、賢明な判断を下してくれるものと期待しております。
 招致実現を確かなものにするべく、最後の最後まで全力で招致活動を戦い抜いてまいります。都議会の皆様、都民、国民の皆様の力をぜひとも決戦に結集していただきますよう、よろしくお願いいたします。新しい政府にも、万全の態勢でIOC総会に臨むように求めてまいります。
 東京は、環境問題にとどまらず、数多くの課題を克服しながら、今日、都市として世界に類を見ない高度な集中、集積を遂げてまいりました。東京には千三百万の人々が住み、三百万を超す人々が毎日、学び、働くために近隣から集まり、また、国家にも匹敵する経済規模を構えております。これだけの巨大都市が清潔で機能的に維持され、諸外国の大都市と比較してもはるかに良好な治安を保ち、多彩な食文化を初めとする魅力にあふれる姿は、世界を引きつけております。
 イギリスの有名な都市専門誌「モノクル」が調査した世界の住みやすい都市のランキングでも、東京は二年連続で三位となりました。東京より上位に選ばれた都市はコペンハーゲンやミュンヘン、これは人口や経済規模においてははるかに小さく、「モノクル」の編集長の言では、東京は実質的に世界一位であるとのことであります。
 こうした東京をより高い次元で成熟させ、二十一世紀の都市モデルへと飛躍させるために、都は、福祉や医療、産業、都市づくりなどさまざまな分野で、「十年後の東京」計画を羅針盤としながら歩みを進めております。目指す未来に向け、都民、国民の英知と力を結集して計画を着実に実現し、この国が進むべき進路に灯をともしてまいります。
 まず、この国の未来を大きく左右する少子高齢化に対する取り組みについて申し上げます。少子化は、個人の価値観の問題がその根底にあるものの、国家という単位で見た場合に、経済のパイを縮小させ、年金や医療、インフラの維持を困難にし、伝統、文化までも失わさせかねません。
 これまでも、都も国も、育児と仕事の両立を支援するなど、さまざまな対策を講じてはまいりました。しかし、子育てへの不安を解消する決定打とまではなっておらず、昨今の雇用環境の悪化なども加わって、都民、国民は、子どもを持つことにますます踏み切れなくなっております。
 このまま子育て世代で大きな割合を占める団塊ジュニアの出生数が伸びなければ、少子化はさらに加速いたします。今が少子化の傾向を反転させるラストチャンスといって過言ではありません。社会総がかりで、子どもを産み育てようとする家族を支える体制を組み、質、量ともに充実したサービスを選択可能にして、不安を一掃しなければならないと思います。
 少子化は国力に直結するがゆえに、対策は当然国の責務であります。一方で、現場ならではの発想を生かして東京から国の縦割りの壁を破り、新たなモデルビルディングを行ってこそ、より効果的な少子化対策が実現いたします。これまで力を注いできた保育や医療、教育の拡充はもとより、雇用の安定や住宅の確保など、重層的、複合的な施策を構築し、三カ年にわたり集中的に取り組んでまいります。
 少子化と並行して、世界でも類を見ない速度で高齢化が進んでおりまして、単身や夫婦のみの高齢者世帯が急増しております。核家族化が進み、地域のつながりも希薄化する中でも、都民が安全と安心に満たされて、明るい第二の人生を送ることを可能にしなければならないと思います。そのためにも、国の縦割りに縛られてきた住宅政策と福祉政策を、現場で融合させてまいりたいと思います。
 自宅で暮らす都民が、必要とする介護などの支援をより幅広く受けることができるように、従来の在宅と施設の両者の長所をあわせ持ったケアつき住まいの新しいモデルを、東京から年内に提起いたします。
 安全と安心が十二分に確保されてこそ、都民、国民は目指す未来に希望を持つことができるはずであります。そのためにも、現下の緊急課題に迅速に対処してまいります。
 新型インフルエンザは、それに対する免疫をほとんどの方が持っていないため、通常のインフルエンザがおさまる夏場にも感染が広がっております。今後、感染が爆発的に拡大し、多くの重症患者が出ることも懸念されることから、事態の推移を的確に把握しながら、十分な医療体制を整えなければなりません。
 東京都医師会の協力を得て、すべての一般医療機関で外来診療を行い、早期の診断、治療を可能にするとともに、感染により重篤な状態となった妊婦や透析患者、急増が懸念される小児の患者などの入院受け入れ体制を強化いたします。同時に、医療機関を通じて発生動向などを監視し、健康安全研究センターの検査体制も一層強化して、懸念されるウイルスの変異などを厳重に警戒いたします。
 感染拡大の起点になりやすい学校においては、児童生徒の健康状態を注意深く観察し、早期に感染を把握して適切に学級閉鎖等も行います。さらに、抗インフルエンザウイルス薬も、既に備蓄している四百万人分に加え新たに二百万人分積み増すなど、東京の総力を挙げて対処してまいります。
 一方で、感染を防ぐには、一人一人がみずからできる予防策が何にも増して重要であります。都民の皆様には、手洗い、せきエチケットとともに、体調に異変を感じた場合には、マスクを着用するなど、感染予防に留意した上で速やかに身近の医療機関での受診をお願いいたします。
 さて、先月の静岡沖を震源とする地震では、東名高速道路に崩落が起こり、大きな影響が生じました。東京においても、必ず来る大地震に備えるために、発災時に迅速な避難や消火活動、緊急物資の輸送などを担い、復興時の動脈となる緊急輸送道路の確保は最優先課題であります。
 そこで、今年度から、沿道建築物の耐震診断の補助割合を引き上げることとともに、建築の専門家による総合相談窓口を開設いたしました。緊急輸送道路沿道を含む建築物の耐震化全般について、既に六百件の相談に応じております。
 さらには、第一京浜など優先度のとりわけ高い路線の建物所有者に対し、耐震化を直接働きかけるローラー作戦を進めてまいります。地元自治体と連携して、旧耐震基準でつくられた、倒壊した場合には道路をふさぐおそれのある建物を個別に訪問することで、沿道建築物耐震化への取り組みを加速してまいりたいと思います。
 我々が目指す未来をより活力にあふれたものにするためには、現下の経済危機を乗り切るとともに、その先をも見据えた経済、雇用面での方策を講じなければなりません。
 在庫調整の一巡などにより景気に持ち直しの動きが見られるものの、日本の力の源泉である小零細企業は、資金繰りの悪化や受注の減少など、依然として厳しい経営状況に置かれております。
 高い技術力やすぐれたビジネスプランを持ちながらも、資金繰りに悩む小零細企業を支援するため、地域の金融機関の目きき力を最大限に活用した都独自の新しい融資制度を、今月を目途に立ち上げてまいります。
 こうした資金面と並行し、経営力の向上も図ってまいります。都と商工会議所、商工会などが連携して企業を訪問し経営診断を行うとともに、その結果を活用しながら企業間の商談を仲介するなどして、小零細企業の優秀な技術、サービスに新たな販路を開拓していきたいと思います。
 今後の高い成長が期待される分野に対する新規参入なども強く後押ししてまいります。本年十一月に東京ビッグサイトで開催する産業交流展二〇〇九では、新エネルギーやロボットに関するすぐれた技術、製品を持つ企業を全国から集めるほか、東京国際航空宇宙産業展も同時に開催いたします。また、多摩地域では、産学公に金融機関も加えたネットワークを構築し、半導体や計測機器の分野での新事業創出を支援してまいります。
 失業率や有効求人倍率は依然厳しい状況が続いております。昨年来、切れ目なく雇用の場の創出に努めており、これを引き続き進めながら、雇用のミスマッチ解消にも取り組まなければなりません。
 このため、しごとセンターにおいて、就職支援アドバイザーを増員して相談体制を強化するなど、雇用就業支援を進めてまいります。
 また、多くの若者が仕事を通じて技能と経験を身につけることができずにおり、本人にとって不幸なばかりか、将来、深刻な人材不足として社会全体にはね返ってまいります。就職氷河期世代に対して正社員への採用と定着を粘り強く支援するほか、就職先が決まっていない学生向けの合同面接会を十一月にも実施いたします。さらに、すぐれた技術を継承しつつ雇用の場を確保するため、企業の現場で企業ニーズに即した訓練を行ってまいります。
 首都東京における都市インフラの整備は、都民、国民の暮らしを一段と便利で快適にするだけでなく、国際競争力の強化にもつながります。長期的な視点に立った国を挙げた取り組みが必要不可欠であります。
 これまで都は国に対して、日本を牽引する首都東京への重点投資を求めてまいりました。一昨年、国が法人事業税の税収の一部を東京から奪った際にも、これを逆手にとって国との協議の場を設置させました。この協議を通じて、羽田空港のさらなる国際化や外環道の事業着手など、首都東京の真の実力と豊かな可能性を解き放つ施策を国に認めさせました。
 また、都は、従来の自治体の枠組みを超えて、羽田空港の再拡張に当たって一千億円を超える無利子貸し付けを国に行うとともに、中央環状品川線においては、みずからも事業者となって整備を進めております。
 こうした国をも突き動かす不断の努力によって、東京の弱点克服と国家的経済ロスの解消に向け、一歩一歩着実に前進をしております。
 東京から全国に伸びる高速道路をつなぐハブの役割を担う環状道路では、外環道において、いよいよ大泉ジャンクション部などで事業に着手し、また、中央環状新宿線の新宿―渋谷間は来年三月にも開通いたします。多摩においても、その骨格をなす南北方向の道路や連続立体交差事業を重点的に実施しておりまして、十二月にはJR中央線三鷹―国分寺間の高架化を完了して、十三カ所の踏切をすべて除却いたします。
 今後も粘り強く都市インフラを整備し、次世代に残してまいります。新政権にも、首都東京の都市インフラが担う国家的役割を十分認識し、必要な財源を安定的に確保して確実に配分することを強く求めてまいります。
 いつの時代も、国家の活力の源は意欲にあふれた人材、特に若い力であります。しかし、戦後の我が国の教育制度は、結果の平等を重視し、大きく伸びるはずの才能の芽をつぶしてきました。
 一人一人の可能性を十全に発揮させる教育の先駆けとして、進学指導重点校や基礎的学力の習得と体験学習に力を入れたエンカレッジスクールなど、多様な要望にこたえる都立高校を整備してまいりました。学区制を廃止し、学校長のリーダーシップを高め、各学校が個性と特色を打ち出すことで魅力を競わせてきました。
 今年七月には、世界の高校生が競う国際物理学研究論文コンテストにおいて都立高校生四名が入選する快挙をなし遂げ、進学指導重点校では難関大学への進学実績が大幅に向上しております。
 スポーツの分野でも、例えば野球でも、本年夏の東東京大会で決勝にこまを進め、西東京大会ではベストフォーに二校が食い込んでおります。
 ものづくり教育の分野でも、近年、全国規模の技術コンテストで科学技術高校生が活躍しております。
 これらの象徴的な事例を初めとして、都立高校改革は着々と成果を上げつつあると思います。全日制高校の中退率がこの十年間で三分の二に低下したこともまた、その証左であると思います。
 来春には、八王子などに設置する中高一貫教育校四校を初め、音楽科、美術科に加えて、舞台表現科を新たに備える芸術高校など計七校を開設いたします。これにより、都立高校の改革推進計画をおおむね達成いたします。今後もカリキュラムの拡充や教員の資質向上を進め、引き続き一人一人を鍛えて伸ばす教育を充実してまいります。
 科学者たちの分析によれば、今という一瞬、この一秒の間にも、北極の氷はテニスコート九面、二千五百平方メートルずつ解けていき、アマゾンからは駐車スペース六十六台分、九百八十四平方メートルの森が失われております。一秒一秒の堆積が子どもや孫たちの時代を決定していることを我々は片時も忘れてはなりません。政治は、未来への想像力を働かせ、歴史認識と文明観に立脚して、眼前の課題に決断を下さなければならないのであります。
 近年、国は、この国の将来にかかわる重要な決断を先送りしてまいりました。それに対して都政は、都議会の皆様とともに、東京が倒れれば日本が倒れるとの危機感を踏まえて、日本の頭脳部、心臓部である首都東京という現場に根差した真剣な議論を尽くしてまいりました。そして、東京を再生し、この国を変える先進的施策を積み重ねてきたのであります。こうした都政の蓄積こそ、政治本来のありようを示していると思います。
 今後も、都議会の皆様とは、これまでの蓄積を踏まえた建設的で質の高い議論を交わして、ひとり東京のためだけではなく、この国を牽引し、未来を切り開く施策を生み出してまいりたいと思います。都議会の皆様の一層のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
 なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案四件、契約案六件など合わせて十六件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(田中良君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一及び第二を先議することに決定いたしました。

○議長(田中良君) 追加日程第一及び第二、東京都名誉都民の選定の同意について二件を一括して議題といたします。
   〔鈴木議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について二件

二一財主議第二七四号
平成二十一年九月七日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 田中  良殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     王  貞治

      略歴
現住所 東京都目黒区
王  貞治
昭和十五年五月二十日生
昭和十五年  東京市本所区(現東京都墨田区)生まれ
昭和三十四年 読売ジャイアンツ入団
昭和五十二年 国民栄誉賞受賞
昭和五十五年 プロ野球選手現役引退
昭和五十六年 読売ジャイアンツ助監督
昭和五十九年 読売ジャイアンツ監督
昭和六十三年 読売ジャイアンツ監督辞任
平成四年   財団法人世界少年野球推進財団設立、専務理事
平成六年   野球殿堂入り
平成七年   福岡ダイエーホークス監督
平成十三年  財団法人世界少年野球推進財団理事長
平成十七年  福岡ソフトバンクホークス監督兼取締役副社長、ゼネラルマネジャー
平成十八年  第一回ワールド・ベースボール・クラシック日本代表監督を務め、優勝
平成二十年  福岡ソフトバンクホークス監督引退
平成二十一年 福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長
同年     外務省野球特別大使

      事績
王  貞治
昭和十五年五月二十日生
 昭和十五年五月二十日、東京市本所区(現東京都墨田区)に生まれる。
 昭和三十二年、第二十九回選抜高等学校野球大会で早稲田実業学校の主戦投手として三十四イニング無失点を記録して優勝、夏の選手権では寝屋川高等学校を相手にノーヒットノーランを達成する。
 昭和三十四年、読売ジャイアンツに入団、野手に転向する。
 同年、国鉄スワローズ(現東京ヤクルトスワローズ)との開幕戦でデビュー、初安打は同年四月二十六日、対国鉄六回戦で二十七打席目のホームランであった。
 昭和三十七年、荒川博打撃コーチと二人三脚の猛練習と試行錯誤の末、一本足打法を完成させ、この年三十八本塁打、八十五打点で本塁打王、打点王の二冠に輝く。
 昭和三十九年、シーズン五十五本塁打の日本新記録を樹立する。
 昭和四十八年、打率三割五分五厘、五十一本塁打、百十四打点で自身初の三冠王に輝く。
 昭和四十九年、打率三割三分二厘、四十九本塁打、百七打点で二年連続の三冠王となる。
 昭和五十一年、対阪神タイガース戦で、ベーブ・ルース(ジョージ・ハーマン・ルース)の通算記録を抜く七百十五本塁打を放つ。
 昭和五十二年、通算七百五十六本塁打をマークし、ハンク・アーロン(ヘンリー・ルイス・アーロン)のもつ世界記録を更新し”世界の王“と呼ばれた。同年、歴代初の国民栄誉賞受賞。正力松太郎賞受賞。
 昭和五十五年、対ヤクルトスワローズ最終戦で八百六十八号を放ち、二十二年間のプロ野球選手としての現役生活にピリオドを打つ。選手としての記録・表彰として最優秀選手九回、ベストナイン十八回、ダイヤモンドグラブ賞(現三井ゴールデン・グラブ賞)九回、三冠王二回、首位打者五回、本塁打王十五回、打点王十三回等を誇る。
 昭和五十六年、読売ジャイアンツ助監督に就任する。
 昭和五十九年、読売ジャイアンツ監督に就任する。
 昭和六十二年、セントラル・リーグで優勝する。
 昭和六十三年、読売ジャイアンツ監督を辞任する。
 平成二年、ハンク・アーロン氏とともにアメリカ・ロサンゼルス市で第一回世界少年野球大会を開催する。
 平成四年、財団法人世界少年野球推進財団を設立し、専務理事に就任する。
 平成六年、野球殿堂入り。
 平成七年、福岡ダイエーホークス監督に就任する。
 平成十一年、パシフィック・リーグ優勝、日本選手権シリーズ優勝。二度目の正力松太郎賞を受賞し、選手と監督で受賞するのは初めてとなる。
 平成十二年、パシフィック・リーグ二連覇。日本選手権シリーズで長嶋茂雄が率いる読売ジャイアンツと夢のON対決を実現する。
 平成十三年、財団法人世界少年野球推進財団理事長に就任する。
 平成十五年、パシフィック・リーグ優勝、日本選手権シリーズ優勝。三度目の正力松太郎賞を受賞する。
 平成十七年、球団はダイエーからソフトバンクとなり、監督兼取締役副社長、ゼネラルマネジャー(GM)に就任する。
 平成十八年、野球の国別対抗戦である第一回ワールド・ベースボール・クラシックにて日本代表監督を務め、決勝戦でキューバ共和国を破り、日本を初代王者へと導く。四度目の正力松太郎賞を受賞する。
 平成二十年、福岡ソフトバンクホークスの監督を勇退する。
 平成二十一年、福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長に就任する。同年、外務省より野球特別大使に委嘱される。
 氏は、プロ野球選手として、本塁打の世界記録を更新し初代の国民栄誉賞受賞者となるなど、多くの輝かしい記録を打ち立てた。八百六十八本の通算本塁打数世界記録を樹立して選手生活を終えた後も、監督として活躍し、ワールド・ベースボール・クラシック第一回大会において日本代表チームを世界一に導いた。
 また、世界少年野球大会の開催を提唱し、財団法人世界少年野球推進財団を設立するなど、野球の普及・発展のみならず、野球を通じた諸外国との友好親善促進や青少年の健全育成にも尽力されている。以上のような功績は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二一財主議第二七五号
平成二十一年九月七日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 田中  良殿
   東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     加藤 一冑
     (本名 加藤  博)

      略歴
現住所 東京都西東京市
加藤 一冑
(本名 加藤  博)
昭和八年一月四日生
昭和八年   東京市滝野川区(現東京都北区)生まれ
昭和二十五年 初代加藤一冑工房に就職
昭和四十四年 二代加藤一冑として工房代表
昭和五十一年 社団法人日本甲冑武具研究保存会指定甲冑師認定
昭和六十三年 東京都伝統工芸士認定
同年     社団法人日本甲冑武具研究保存会監事
平成四年   東京都功労者(労働精励)表彰
平成九年   東京都雛人形工業協同組合監事
平成十年   東京都優秀技能者認定
平成十二年  東京都雛人形工業協同組合理事
平成十四年  文京区技能名匠者認定
平成十五年  社団法人日本甲冑武具研究保存会常務理事
平成十八年  東京都雛人形工業協同組合副理事長
平成十九年  東京都雛人形工業協同組合江戸節句人形協力会会長
平成二十年  経済産業大臣指定伝統的工芸品伝統工芸士認定
同年     社団法人日本甲冑武具研究保存会参与

      事績
加藤 一冑
(本名 加藤  博)
昭和八年一月四日生
 昭和八年一月四日、東京市滝野川区(現東京都北区)に生まれる。
 昭和二十五年、初代加藤一冑工房に就職する。
 昭和四十四年、二代加藤一冑として工房代表となる。
 昭和四十八年、日光東照宮伝来の千人行列着用甲冑を修理する。
 昭和五十一年、社団法人日本甲冑武具研究保存会指定甲冑師に認定される。
 昭和六十年、藍革威二枚胴具足(東京都立立川高等学校所蔵)を修理する。
 昭和六十三年、東京都伝統工芸士に認定される。同年、社団法人日本甲冑武具研究保存会監事に就任する。
 平成元年、天皇即位式典儀仗武官の圭甲(鎧)二十両の製作に係わる。
 平成二年、武蔵御嶽神社伝来の「赤絲威大鎧」(国宝)を模造する(千葉県立中央博物館大多喜城分館所蔵)。
 平成四年、東京都功労者(労働精励)表彰を受ける。同年、武蔵御嶽神社伝来の「赤絲威大鎧」(国宝)を模造する(東京都江戸東京博物館所蔵)。
 平成五年、京都時代祭のため、楠木正成公役着用大鎧を製作する。
 平成七年、甘南備寺伝来の「黄櫨匂威大鎧」(重要文化財)を復元模造する(今井美術館所蔵)。
 平成九年、東京都雛人形工業協同組合監事に就任する。
 平成十年、東京都優秀技能者に認定され、知事表彰を受ける。
 平成十一年、屯ヶ岡八幡宮伝来の「縹絲威胴丸」(宮城県指定有形文化財)を復元模造する(東北歴史博物館所蔵)。
 平成十二年、東京都雛人形工業協同組合理事に就任する。
 平成十四年、文京区技能名匠者に認定される。同年、全国節句人形コンクールにおいて、台東区長賞を受賞する。
 平成十五年、社団法人日本甲冑武具研究保存会常務理事に就任する。同年、全国節句人形コンクールにおいて、東京都雛人形卸商協同組合理事長賞を受賞する。
 平成十六年、同コンクールにおいて、台東区長賞を受賞する。
 平成十七年、同コンクールにおいて、経済産業省関東経済産業局長賞を受賞する。
 平成十八年、東京都雛人形工業協同組合副理事長に就任する。同年、全国節句人形コンクールにおいて、東京都雛人形工業協同組合理事長賞を受賞する。
 平成十九年、東京都雛人形工業協同組合江戸節句人形協力会会長に就任する。
 平成二十年、経済産業大臣指定伝統的工芸品伝統工芸士に認定される。同年、社団法人日本甲冑武具研究保存会参与に就任する。
 氏は、鎧兜の製作・復元・修理を行う甲冑師として約六十年の長きにわたり匠の業に取り組まれてきた。各地の社寺や博物館に展示されている国宝級古甲冑の復元模造は、確かな時代考証と卓越した技法により、日本の伝統工芸の粋を伝えている。
 また、後継者育成にも力を注ぐとともに、子供たちに江戸甲冑の製作技法、節句の由来等の講義を行うなど、文化資産・地域産業としての江戸節句人形の振興に尽力されている。
 その道一筋に精魂を傾け、「職人は、生涯、勉強が必要。」と弛まぬ研鑽を積まれる姿は、広く、都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

○七十四番(松下玲子君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明八日から十三日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(田中良君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(田中良君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明八日から十三日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月十四日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時三十分散会

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