午後四時開議
○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
六十二番小磯善彦君。
〔六十二番小磯善彦君登壇〕
○六十二番(小磯善彦君) 都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、知事並びに関係局長に質問いたします。
二○一六年オリンピック・パラリンピック開催都市決定まで、あと四カ月。四月には、IOC評価委員会による視察も行われ、いよいよ重要な局面を迎えようとしています。
東京が今、世界に、あるいはライバル都市に誇れるのは大きく四点。すなわち環境、財政、文化芸術、都市の安全性であり、これらはいずれも、都議会公明党が知事とともに先駆的な取り組みを進めてきた成果そのものであります。
オリンピック・パラリンピックの東京開催は、世界の平和と繁栄に貢献する新しい都市モデルを東京から世界へ向けて発信する絶好のチャンスでもあります。
また、機能的で魅力的な都市づくりを大きく進展させるものであり、招致が実現すれば、世界最高水準の環境技術の世界への発信、ユニバーサルデザインのまちづくり、外国人旅行者一千万人誘致など、観光、商業の振興、老朽化した都市機能の更新など、三兆円の経済波及効果にとどまらない、さまざまな効果も期待できます。
オリンピック・パラリンピックの開催招致に当たり、都民に、よりわかりやすく環境、福祉、産業、まちづくりなどを含めたトータルな東京の都市ビジョンを示し、そして、それを世界に発信していくべきであります。
いよいよ今月は、スイス・ローザンヌでプレゼンテーションが行われます。渾身の力を振り絞り、東京の総力を挙げて取り組むべきであります。知事の決意を伺います。
次に、補正予算について質問します。
都は、平成七年以来、十四年ぶりに第二回定例会に補正予算を提出しました。
都議会公明党は、都民生活にしっかりとした安心があってこそ、経済の活力が生まれてくると確信いたします。そのためには、今回、国が打ち出した経済危機対策を東京においても可及的速やかに具体化し、東京の実情に合った対策を迅速に実施することが喫緊の課題であります。
その点において、今回の補正予算の編成では、我が党がかねてから主張してきた小笠原村への海底光ファイバーケーブル敷設整備や道路、公園整備などの公共事業に加え、中小企業への緊急融資制度の充実や再就職を促進する民間委託訓練の拡充、さらには、安心こども基金の対象とならない一部の認証保育所の設置促進など、都民の暮らしを守る都独自の施策にも積極的に取り組んでいます。
いずれも極めて迅速かつ的確な対応であり、さらに、我が党が国へ強く働きかけた結果、都にも配分されることになった臨時交付金を有効に活用し、財政面において配慮している点でも評価されるべきものであります。
都民生活の安心確保という点において、極めて意味のある今回の補正予算を着実に実行させていくべきであります。知事の見解を伺います。
次に、東京の未来を切り開く成長産業の育成について質問します。
都議会公明党はこれまでも、食の安全に貢献し、付加価値の高い地場食材の活用につながる新たな都市農業の需給システムの構築や、省エネやユビキタス技術を積極的に組み込んだ都道、都営交通インフラ整備の推進、先端IT技術を活用したコミュニケーションバリアフリーの推進の必要性などを重ねて訴えてまいりました。
そして本年の四月、我が党は、東京発、日本を元気にと題した重点政策の中で、これまでの提言を総括する形で、各分野の学識経験者などによる東京成長力委員会の設置を提唱しました。この東京成長力委員会には、商工業界の代表だけでなく、若手農業者、障害者団体、観光事業者の代表や技術系の専門研究機関の代表など、幅広い分野の代表で構成すべきであります。そうした意味から、今こそ都は、総力を挙げて新たな成長産業の育成に取り組むべきと考えます。都の見解を求めます。
次に、雇用対策について質問します。
経済環境は厳しさを一層増しており、東京の有効求人倍率は一倍を大きく割り込むなど、雇用情勢に深刻な影響を与えています。非正規雇用で働く方々の雇いどめや新規学卒者の内定取り消しにとどまらず、正社員として働く方々にも雇用調整の波が及んでいます。
既に都は、国に先駆け、東京緊急雇用対策を打ち出し、厳しい雇用情勢に対応しており、こうした迅速な対応については大いに評価するものであります。
しかし、昨年来、矢継ぎ早に実施されているさまざまな対策は、個々の事業はすばらしいものであっても、全体としてどれだけの規模でどのような支援を行っていくのかがわかりにくく、そのため都民に、より安心を与えるメッセージが弱いことも否めない面があると考えます。
都議会公明党は、現在の雇用不安に対し、三年間で五万人の就労を目指すという明確な目標を掲げ、都の施策の前進を強力に図っていこうと考えております。
都は、離職者に対するスキルアップのための支援、さらには首都圏が一体となった合同面接会の開催など、緊急雇用対策による雇用創出に向けた取り組みの規模を明確にすべきであります。あわせて、それらの支援策を一目でわかりやすく都民に示す必要があると考えますが、見解を求めます。
次に、雇用対策に関連して、昨年の第二次補正予算に盛り込まれ、昨年度末から実施されている離職者支援策について質問します。
再就職を目指す離職者への緊急無利子貸付制度を、都はことし二月にスタートをさせました。この制度は、子どもの修学に必要な経費についても、子ども一人につき五十万円貸し付けるという画期的なものであります。
しかし、セーフティーネットとして大きな期待が寄せられているものの、制度が実施されて三カ月以上が経過しているにもかかわらず、貸付実施数は現在の雇用情勢を反映した数にはなっておらず、広報や相談体制の不十分さに加え、貸付条件の厳しさに大きな課題があると思われます。
対象要件に該当しないケースとして、離職後年数や連帯保証人の有無などが挙げられますが、こうした要件を早急に緩和するなどの見直しを図るべきです。都の見解を求めます。
次に、私立学校の修学困難者対策について質問します。
雇用情勢が悪化の一途をたどっている中、都内の私立学校に子どもを通わせている保護者においては、倒産やリストラに遭うことにより、家計が急変して学費が支払えなくなり、生徒の修学がより困難となっている状況もあると考えられます。
都には、現在、私立高等学校に通う生徒の家計が急変した場合の対応策として、授業料減免制度があります。
去る五月十五日開かれた助成審議会は、我が党の委員の意見を踏まえ、この授業料減免制度の補助率を現在の三分の二から五分の四にアップすることを答申しました。
このたびの改正は、まさに時宜を得たものであり、直ちに実行に移すべきであります。その際、特に、本制度をより積極的に活用してもらうため、すべての私立学校はもちろんのこと、保護者、生徒に対して周知徹底を図るべきであります。都の見解を求めます。
次に、子育て支援について伺います。
我が党は、子育てを社会全体で支えるという考えに立って、児童手当、乳幼児医療費助成、妊婦健診助成など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
そうした中、都議会公明党は、出産育児一時金については五十万円に引き上げることを目指しておりますが、先般報道された出産費用に関する実態調査でも、病院や診療所の出産費用の平均額は、都道府県によって最大で一・五倍の格差があり、最も高額な東京都においては、平均五十一万五千円となっていることが改めて明らかにされました。この十月からは国制度で四十二万円まで増額されますが、都独自で一時金の上乗せをし、五十万円に引き上げるよう強く求めるものであります。
なお、ことし十月から小中学生の医療費助成が、多摩地域においても大幅に拡充されます。これは、我が党と知事が連携して進めてきたものでありますが、共産党がまるで自分たちが推進したかのような選挙目当てのデマ宣伝を行っております。いつもながらの財政的裏づけに責任もとらず、予算に反対している共産党に対して、知事の見解を改めて伺います。
また、子育て支援において見逃してはならないのが、アレルギー疾患がある子どもたちへの支援であります。都議会公明党はこれまでも、増加傾向にあるアレルギー疾患がある子どもへの早急な対策を求めてきました。
まず、そこで、公立学校における今後の具体的な取り組みを明らかにしていただきたいと思います。また、その中で大事なことは、学校においてアレルギー疾患を持つ子どもへの無理解な言動やいじめ、児童生徒本人のストレスなど、潜在する課題にも同時に対策を実施すべきであるということであります。都の見解を求めます。
また一方、幼稚園、保育園などでは、食物アレルギー疾患がある幼児への対応がまちまちであり、園によっては、十分でないという実態があります。就学前の幼児は特に誤食や誤飲の事故が発生しやすく、すべての教員、保育者などが対応できる体制を講じていく必要があります。
そこで、公立、私立の幼稚園、保育園など、幼児に対応する施設については、都として共通のガイドラインや個別対応のカードなどを示し、子どもの安全を守り、保護者の不安を取り除くべく、学校同様、早急な対策と体制整備に取り組むべきです。都の見解を求めます。
次に、特別養護老人ホームについて質問します。
高齢化社会の進行に伴う最大の課題は、介護の問題であります。特に東京においては、特別養護老人ホームの入所希望者が三万八千人もいることが、都の調査で明らかになったことは見逃せません。
東京においては、二十三区の都市部において、土地の高騰により用地の確保が難しく、介護基盤の整備がなかなか進みませんでした。
そこで、特別養護老人ホームについては、都有地や区有地の活用や、定期借地権設定に伴う一時金について助成するという国の政策を活用し、ふえ続ける入所希望者に対応するためにも、三年間で必要な七千人分の特別養護老人ホームをふやすべきであります。
また、広域的な特別養護老人ホームの整備とともに、在宅のまま活用できる地域密着型サービスの充実も必要です。
都はこれまで、小規模多機能型居宅介護の整備促進のためにさまざまな助成制度を講じてきたことは評価しますが、必ずしも整備が進んでいないのが現状であります。
そこで我が党は、重点政策においてショートステイやデイケアなどの機能を持つ小規模多機能型居宅介護についても、今後三年間で二百カ所の整備を提唱したところであります。
都は、介護基盤の整備が一層進むように、国の対策を活用しながら、より一層の促進を図るべきです。あわせて見解を求めます。
なお、共産党は、この十年で普通会計決算の総額に占める老人福祉費の割合が全国最下位になったとし、石原知事が福祉を切り捨てたと批判していますが、この共産党の主張に対する見解を求めます。
財政再建団体への転落さえ危ぶまれる中で都知事に就任した石原知事は、歴史的、長期的な視野に立って、見直すべき事業は見直し、必要な施策には財源を集中投入して、全国一の東京の福祉の向上に尽力されてきたわけでありますが、こうした共産党の主張に対する知事の感想を伺います。
次に、新型インフルエンザ対策について質問します。
都議会公明党は、新型インフルエンザが世界的拡大の兆しを見せ始めた四月二十八日、新型インフルエンザ対策本部を設置し、都民の生命と生活の安全・安心を守る観点から対応策を検討してまいりました。それを踏まえて、今後の都の取り組みについて伺います。
今回発生した新型インフルエンザは、弱毒性で感染者の多くが軽症で治っており、また、都内では幸いにも集団発生が起こっておりません。しかし、いつ感染拡大が起きるかもしれない状況下では、これまでの都民の行動や関係機関の対応を検証し、万全な対策を講じていく必要があります。
まず一点目は、相談、検査体制の強化であります。
都は、新型インフルエンザ発生後、いち早く相談体制を立ち上げましたが、初期のころは、発熱、悪寒などの症状で感染の不安を覚えた都民が発熱相談センターを経由せず、直接一般医療機関を受診してしまうケースがあったようです。
適切な医療を提供するためには、相談体制について都民に周知徹底するとともに、感染の有無を判断する検査体制についても、迅速的確に行えるようにすべきと考えます。都の見解を求めます。
二点目は、集団感染への対応であります。
兵庫県や大阪府の新型インフルエンザ感染では、児童生徒など学校関係者が感染者の多数を占め、集団感染の様相を呈していることから、都内でも同様の事態が発生する可能性は否定できません。このため、学校など集団で生活する場での集団感染防止策や、感染が集団発生した場合の拡大防止策をきめ細かく点検し、今後想定される事態に備えた十分な対策を講じるべきと考えます。都の見解を求めます。
三点目は、医療体制の整備であります。
都内における新型インフルエンザの発生は、現時点では小康状態を保っているものの、季節性のインフルエンザが発生する秋から冬にかけて新型インフルエンザ感染者が多数発生する懸念も指摘されております。
このため、医療機関や関係機関が連携し、外来診療医療機関の確保や、重症者のための入院病床の確実な確保が必要と考えます。あわせて、医師、看護師などの二次感染を防ぐための十分な安全確保策も講じるべきと考えますが、都の見解を求めます。
さらに、混乱や誤解を避けるためには、正確な情報伝達と的確な広報体制も必要です。
こうした点も含め、新型インフルエンザに対する都民の安全・安心の確保について知事の認識と決意を伺います。
次に、女性特有のがん対策の推進について質問します。
公明党東京都本部は、本年三月、がん対策の充実を求める署名活動を全都的に行い、百二十七万二千六百三十七名の方にご賛同をいただき、三月二十七日、石原知事に提出しました。
また、同時に行った子宮頸がんアンケート調査にも十万名を超える方にご協力いただき、舛添厚生労働大臣にも検診率向上に向けた取り組み強化を申し入れしました。
我が党並びに多くの都民の期待にこたえ、国は、女性特有のがん検診に対する支援策を補正予算案に盛り込み、先週成立しました。これにより、子宮頸がんについては二十から四十歳まで、乳がんについては四十歳から六十歳までの五歳ごとの節目年齢の女性に、がん検診の無料クーポンと検診手帳が送付されることとなります。
子宮頸がん、乳がん検診に対する理解と意識が一層高まり、受診率の向上と継続的ながん検診受診につながることが期待されますが、東京都においても女性特有のがん検診受診率の向上に向け取り組みを強化すべきです。見解を求めます。
都は、去る五月二十七日、初めて実施したがん検診実態調査の結果を公表しました。その中で、子宮がん、乳がん検診を実施している事業所は約六割にとどまっているのみならず、マンモグラフィーによる検診が必ずしも実施されていない状況も明らかとなりました。
都は、早急に職域における乳がん検診体制の整備充実を図るべきであります。見解を求めます。
最後に、新銀行東京について質問いたします。
先週末に新銀行東京の平成二十一年三月期決算が発表され、当期純利益で二十一億円、純資産で三十八億円、再建計画より上回る結果となり、追加出資の四百億円は毀損されなかったことが明らかとなりました。厳しい経済状況の中、他の銀行が軒並み、決算における当期純利益を前年比で大幅に減少させているときに、再建計画を上回る数字を出したことは評価に値するものであります。
これに対して、民主党、共産党は、昨年の三月以来、追加出資の四百億円について、泡と消えたとか、どぶに捨てられたなどと、客観的な根拠もなく主張し続けてまいりました。こうした民主党、共産党による新銀行東京の風評被害について、知事の率直な思いを伺います。
また、新銀行東京に四百億円の追加出資を行ったことにより、この一年間、どれだけの中小企業が救済されたのか明らかにしていただきたいと思います。
今回の決算を受け、新銀行東京は、平成二十二年三月期の業績について、再建計画より純損益で十二億円、純資産で四十九億円上回ると見込んでおります。この業績見込みの根拠を都民に対しわかりやすく説明すべきであります。都の見解を求めます。
都議会公明党は、新銀行東京を再建計画より前倒ししてでも黒字化し、売却、または業務提携を行って、追加出資の四百億円を回収、または保全すべきであると改めて主張するとともに、新銀行東京が一刻も早く準備を整えて、旧経営陣に対して損害賠償請求の訴訟を提起すべきであると強く申し述べます。
今定例会は十七期最後の議会となりますが、我が党は十八期においても、世界に新しい都市モデルを提示し、創出し行く偉業に引き続き参画し、都民の負託にこたえるため、来る都議選には二十三名が断固完勝し行く決意を表明し、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 小磯善彦議員の代表質問にお答えいたします。
まず、オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、二○一六年東京大会の開催計画は、東京の目指すべき姿と、それに向けた都市戦略を示した「十年後の東京」計画という近未来図を踏まえて策定したものであります。
世界最大のスポーツの祭典でありますオリンピック・パラリンピック東京大会においても、このような二十一世紀の新たな都市モデルを世界に披瀝することは、お話のとおり、極めて意義のあることであると思います。
評価委員会に引き続き、今後も、ローザンヌでのIOC委員に対する説明会やベルリンでの世界陸上など、各種の国際スポーツ大会が予定されております。こうした機会を活用しまして、世界初のカーボンマイナスオリンピックの実現など、東京の先駆的な取り組みを広く発信するとともに、東京大会が環境と平和に寄与し、スポーツを通じて友情と連帯をはぐくんでいくことを訴えてまいりたいと思います。
いよいよ残り四カ月となりました。私自身、先頭に立ちまして、総力を挙げて招致実現に取り組んでまいります。都議会を初め都民、国民の皆様のなお一層のご支援、ご協力をお願いする次第であります。
次いで、補正予算についてでありますが、今回の補正予算は、国の経済危機対策を早期に実現するとともに、東京の都市づくりと都民生活の緊急課題などに迅速に対応するため、都として打つべき手だてを早急に講じることを基本に編成いたしました。そのため、今回の国の経済危機対策について、東京に活力をもたらす公共事業に実施可能なものから取り組んでまいります。
あわせて、一連の国の経済対策に関連して、これを一層有効なものとし、また、都の当初予算編成後に生じた緊急課題に迅速に対応するため、都みずからも中小企業・雇用対策や生活者対策を強化し、都民生活の安心確保に万全を期したつもりでございます。
また、今回の補正の財源については、可能な限り、国の交付金等を有効に用いることとし、都の基金の活用は最小限にとどめております。
今回、補正予算を編成することにより、都民の暮らしに安心をもたらし、経済に活力を呼び起こすため、一層積極的に取り組みを行ってまいります。
次いで、小中学生の医療費助成についてでありますが、中学三年生までの医療費助成の拡大は、私が公約し、途中で見直し、改正し、実施するものであります。この公約の実現に向けては、都議会公明党や自民党などからの提言も踏まえ、市町村財政に支障を来すことのないよう必要な措置を講じました。
こうした経過を経て実現したものでありまして、共産党がみずからの実績であると公言していることは極めて遺憾であるし……(発言する者あり)まあ、よくやる手ですな。
福祉の見直しについてでありますが、少子高齢化の急速な進展により、福祉サービスの利用者が増加するのに比べ、社会全体の負担力が伸びないために、旧態依然とした福祉施策を続けていたのでは、早晩行き詰まることは明らかでもあります。
将来にわたって安心できる社会を実現するため、時代にそぐわない事業は見直し、真に必要とする人へ効果的な福祉サービスが行き渡るよう福祉改革を進めてきました。
共産党も、都合のいい数値のみを取り上げて、根拠のない批判を繰り返すばかりでなく、こうした歴史的、長期的視野に立った政策を理解すべきであります。
次いで、新型インフルエンザ対策でありますが、都はこれまで、強毒性の鳥インフルエンザが変異した新型インフルエンザの発生に備え、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を初め、重層的な対策を講じてきました。こうした備えがあったからこそ、今回の新型インフルエンザ発生後、直ちに患者を診察する医療体制を確保することができました。
今回のウイルスは弱毒性でありまして、タミフル、リレンザが有効だといわれておりますが、今必要なのは、感染力、病原性、治療方針など、この病に関する正確な情報を共有し、科学的な知見のもとに冷静に対応していくことであります。
都としては、今後とも医師会や医療機関などと連携し、地域における医療体制を確保していくとともに、感染力のさらなる強まりや強毒性の流行に備え、都独自の対策を怠ることなく進めてまいります。
また、都民の皆さんには正確なわかりやすい情報を迅速に提供するので、引き続き冷静な行動をお願いしたいと思います。
次いで、新銀行東京についてでありますが、新銀行東京の平成二十年度決算が先日発表されましたが、現経営陣のもとで着実に再建が進んでおります。
追加出資の四百億が毀損されたかのような主張は全く事実無根でありまして、これは、歯を食いしばって頑張っている現経営陣の方々に非常に失礼な話だと思います。
新銀行東京は、約一万社に及ぶ中小零細企業の支援を継続しておりまして、そのうち赤字、債務超過先は約五千社、その従業員と家族は約十五万人にも及んでおります。
こうした事実に目を向けることなく、四百億円が既に失われたかのような主張は、新銀行東京の融資先や預金者を不安に陥れるとともに、銀行業務にとって最も重要な信用を傷つけかねない行為であることを十分に認識すべきであると思います。
他の質問については、教育長、関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、アレルギー疾患がある公立小中学校の児童生徒への今後の具体的な取り組みについてでございます。
アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送ることができるようにするためには、文部科学省監修の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインで示されました学校生活管理指導表を活用して、教職員が児童生徒の実態を十分把握した上で、適切な対応方法を身につけることが必要でございます。
このために、都教育委員会は、昨年十二月、都独自にガイドライン活用策を取りまとめ、区市町村教育委員会に配布いたしますとともに、説明会を実施し、各学校における取り組みが円滑に進むよう周知徹底を図ってまいりました。
さらに、各学校での取り組みを確実に進めるためには、教職員のアレルギー疾患に対する理解と対応能力を高める必要がございまして、この七月以降、順次ガイドラインで示されました食物アレルギー疾患などに係る基礎知識習得のための研修を実施してまいります。
また、あわせて、アドレナリン自己注射を処方された児童生徒につきましては、アナフィラキシーを発症した場合には緊急対応が必要となりますことから、四月に実施した該当児童生徒の全数調査結果を踏まえまして、児童生徒が在籍する学校の校長、養護教諭、担任等を対象に、アドレナリン自己注射に関する特別研修を実施いたします。
都教育委員会といたしましては、これらの研修の実施や区市町村教育委員会との連携の強化により、この秋までに各学校におけるアレルギー疾患のある児童生徒への対応体制が整うよう努めてまいります。
次に、アレルギー疾患のある児童生徒を取り巻く課題への対策についてでございます。
都教育委員会は、先ほど申し上げましたこの七月以降実施をする研修を通じまして、教職員に対し、アレルギー疾患のある児童生徒をいじめなどから守り、また、ストレスを取り除くための具体的な配慮事項についても認識を深めさせてまいります。
その上で、受講した教職員の指導により、児童生徒にアレルギー疾患について正しい理解と思いやりの心を持たせてまいります。
こういった取り組みを通じまして、アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、各学校及び区市町村教育委員会を支援してまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
まず、成長産業の育成に向けた取り組みについてであります。
将来にわたって東京の産業を活性化していくためには、環境や健康、安全・安心など、成長が期待される分野の産業を強力に後押しすることが重要であると認識をしております。
このため、都はこれまで、重点戦略プロジェクト支援事業などによりまして、新産業の創出に向けて、都内中小企業等が取り組む新製品、新技術の開発等を支援してまいりました。
また、新事業の創出に弾みをつけるため、今年度新たに実証データの取得費用の助成や専門家による継続的な助言を実施することといたしまして、早期事業化に向け、来月には申請受け付けを開始いたします。
加えて、首都大学東京と都立産業技術研究センターが連携をいたしまして、環境、省エネ技術の開発などの重点課題の解決に向けた共同研究に踏み出したところでございます。
今後、ご提案の趣旨も踏まえ、外部有識者等の意見を十分お聞きするとともに、庁内各局のみならず、都内中小企業支援機関等との連携を強化し、成長産業の育成に努めてまいります。
次に、緊急の雇用対策の規模等についてでございます。
都は、雇用情勢の悪化に対応するため、就業相談や職業訓練、雇用創出など、さまざまな事業を展開しております。
今年度は、まず、離職者向け委託訓練を大幅に増加させますとともに、新たに新規学卒者を対象とする合同就職面接会を実施いたします。また、中高年向け就職面接会も毎月実施するほか、緊急雇用創出事業などにも取り組んでまいります。
これらの緊急に実施する対策等におきまして、今年度は二万人を超える規模を予定しております。雇用情勢を踏まえまして、今後も各種の就業支援策の実施に努めてまいります。
また、求職者の個々の状況に応じた都や国の支援策が簡単にわかるパンフレットを作成いたしまして、労働相談情報センター等の都の窓口で配布するとともに、問い合わせや相談に対応しております。
今後ともこれらの対策によりまして、厳しい雇用情勢のもと、急増している離職者の方々の就業を支援してまいります。
次に、新銀行東京の中小零細企業への支援についてであります。
新銀行東京は、昨年の四百億円の追加出資によりまして、既存の取引先への支援を継続することができたことに加えまして、再建計画の初年度である平成二十年度におきましては、中小零細企業向け融資を約七百件、二百十億円実施いたしました。
これらを含めて、平成二十一年三月末現在で、新銀行東京は約一万社の中小零細企業と取引をしており、他行からの支援が難しい赤字、または債務超過先約五千社との取引を継続しております。
新銀行東京は、平成二十一年度においては、中小零細企業向け融資を伸ばしていくということとしており、未曾有の厳しい経営環境のもとで血のにじむような努力を続けている中小零細企業に対する支援が継続できますのも、四百億円の追加出資があればこそ可能となったものであると認識しております。
最後に、新銀行東京の今期の業績見込みについてでありますが、新銀行東京は、再建計画の初年度である平成二十年度に、店舗の集約化や執行体制の効率化等を図り、営業経費を計画比十七億円圧縮をいたしまして、低コスト構造への転換を前倒しして実施いたしました。
こうした取り組みによりまして、再建計画を上回る業績を上げ、計画を達成いたしました。同時に、貸し倒れに対して十分な引当金を計上し、将来に対する備えも手厚くしております。
平成二十一年度は、これまでの経営改善に向けた取り組みをさらに強化することに加えまして、より一層の与信管理体制の強化による信用コストの圧縮などにより、全体として純利益、純資産とも再建計画を上回る業績を見込んでおります。
都といたしましては、新銀行東京の再建が着実に進んでいることを都民に説明いたしますとともに、今後とも計画の達成に向け、引き続き適切な監視と支援に努めてまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 九点についてお答えを申し上げます。
まず、再就職支援貸付事業についてであります。
この事業は、再就職を目指す離職者の生活の安定を図る上で有効な支援策の一つであり、都は現在、国の制度をもとに独自に無利子での貸し付けや子育て世帯への貸付額の上乗せ等を実施しております。
今後は、ご指摘や国の制度変更の見通しを踏まえ、原則連帯保証人を必要としつつ、連帯保証人を確保できない方にも貸し付けを行うなどの要件緩和を早期に実施するよう検討してまいります。
あわせて、就職情報誌等を活用し、より一層事業の周知を進めるとともに、就職、生活支援にかかわる各種窓口との連携や相談員の資質向上のための研修を実施するなど、相談支援体制のさらなる充実を図り、利用しやすい貸付制度にしてまいります。
次いで、子どもの食物アレルギーへの対応についてであります。
食物アレルギーは、生命に危険のあるアナフィラキシー症状を起こすこともあり、家庭だけでなく、保育所や幼稚園等においても子どもの生活管理を行い、症状が起きたときには、すべての職員が迅速かつ適切に対応できる体制をつくることが必要であります。
都は、これまでも保育士等を対象に研修を行ってきており、今年度は、保護者や医師と連携した日常の生活管理や、アナフィラキシー発症時の対応等をまとめたガイドブックを都内すべての保育所、幼稚園に配布いたします。さらに、生活管理指導表やアドレナリン自己注射の使い方等、ガイドブックを活用した実践的な研修も関係各局と連携して実施するなど、食物アレルギー対策を積極的に推進してまいります。
次いで、介護基盤の整備についてでありますが、都は、介護保険事業支援計画に基づき、計画的な整備に努めております。特別養護老人ホームにつきましては、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない地域の補助単価を最高一・五倍に加算するなど、着実な整備に取り組んでおります。
また、区市町村が主体的に整備を進める小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスにつきましても、国の交付金に加え都独自の補助を実施しております。
さらに、今回の国の経済危機対策では、交付金の拡充や定期借地権を利用した整備の促進など、都市部の実情を考慮したさまざまな対策が盛り込まれました。今後、都としては、こうした国の対策を踏まえ、区市町村と連携協力を進め、介護基盤整備の一層の促進に努めてまいります。
次に、決算額に占める老人福祉費の割合と福祉の水準についてでありますが、各都道府県の歳出規模は、行財政制度や大都市としての特性などの違いに加えまして、その時々の行政需要や税収、財政運営上の判断により大きく変動するものであります。したがいまして、決算総額に占める老人福祉費の割合を比較することや、その割合によって都道府県の順位づけを行い、福祉水準を論ずることに全く意味はないと考えております。
都の政策は、予算編成の過程を通じて具現化されるため、当初予算の内容こそが重要であります。本年度の一般歳出ベースの福祉保健費は七千八百二十九億円、福祉と保健の予算割合も一八・七%と、いずれも過去最高となっております。
また、高齢者分野では、都独自の補助制度による認知症高齢者グループホームの大幅増設や、包括補助制度による区市町村が行う高齢者の見守り事業や、安心コールセンター事業への支援などさまざまな施策を展開しており、福祉の切り捨てという主張は全く当たらないと考えております。
次いで、新型インフルエンザ対策についてでありますが、まず都民への情報提供と検査体制についてお答えを申し上げます。
都は今回、海外における新型インフルエンザ発生確認後、直ちに都民からの相談に二十四時間こたえる発熱相談センターを立ち上げるとともに、ホームページや広報紙、報道機関等を通じて、医療機関への受診方法や正しい予防法など、正確な情報を提供するよう努めてまいりました。
また、国内での感染拡大を踏まえまして、五月二十三日からは、都内すべての保健所での相談時間を平日、休日を問わず夜九時まで延長し、相談体制の強化を図りました。さらに、ウイルスの遺伝子検査につきましても、昨年度整備をいたしました最新の機器を用いて、二十四時間体制で実施をしております。引き続き区市町村や医師会等と連携しながら、相談、受診の仕組みについて周知を図るとともに、的確かつ迅速な検査の実施に努めてまいります。
次いで、集団での感染防止に向けた対策についてでありますが、学校など集団での新型インフルエンザの感染拡大を防止するためには、手洗いやせきエチケットなど一人一人ができる予防法を徹底するとともに、感染者を早期に発見し、さらなる感染を防止することが重要でございます。
このため、都はこれまで、家庭でできる予防法などを紹介したリーフレットを都内すべての学校に通う児童生徒に配布するなど、普及啓発に努めてまいりました。また、国内患者の発生後には、乳幼児、児童生徒が三名以上インフルエンザ様症状で学校等を欠席した場合にも遺伝子検査を実施するなど、都独自に検査対象を拡大いたしまして、学校や医療機関等での発生監視体制を強化しております。
今後とも、集団での発生や感染力のさらなる強まりに備えまして、感染者の早期発見と感染拡大の防止に努めてまいります。
次いで、医療体制の整備についてでありますが、新型インフルエンザの蔓延期には、感染症指定医療機関等に設置をいたしました六十七カ所の発熱外来のみで外来診療を行うことは困難でありまして、できる限り多くの医療機関を確保することが重要であります。
このため、都は現在、東京都医師会や地区医師会等と連携をしながら、各保健所ごとに一般の医療機関における発熱外来の設置に向けた準備を進めております。
また、重症者のための入院病床を確保するために、新たに緊急対応の病床を都立駒込病院に六十四床、公社の荏原、豊島両病院に合わせて百二十床整備する予定であります。
さらに、民間の入院医療機関や発熱外来に対しましても、都独自に創設する補助制度により、入院病床の整備や、医療従事者のための個人防護具等の備蓄を支援してまいります。
次に、女性特有のがん検診受診率の向上に向けた取り組みについてであります。
都は、若年層を含めた都民に対し、がん検診の重要性を伝えるため、ピンクリボン運動やがん検診支援サイト等を通じて、普及啓発や情報提供等を広く実施してまいりました。今年度は、区市町村包括補助事業を活用し、個別通知による受診勧奨などの取り組みを支援するとともに、がん検診の実施状況や課題等を検討する場を設けまして、区市町村における受診率の向上を図ってまいります。
お話の無料クーポン券など女性特有のがん検診に対します支援策については、受診の動機づけとして期待できるものであり、今後、国より提示される具体的内容を速やかに区市町村へ情報提供し、都としても、がんの早期発見の取り組みを積極的に進めてまいります。
最後に、職域における乳がん検診体制の整備等についてであります。乳がん検診につきましては、マンモグラフィーと視触診をあわせて実施することが死亡率減少に有効であるとされており、職域においてもこの方法で検診を実施することが望ましいものであります。
都はこれまで、マンモグラフィー検診に従事する医師等の養成研修や検診車の整備費補助を行うなど、乳がん検診の実施体制の整備を行ってまいりました。今年度は、さらに職域を含めた検診体制について、マンモグラフィー検診機器二十台分の整備費補助を行うなど一層の充実を図ってまいります。
〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 私立学校に対する授業料減免制度についてでございますが、都は、私立学校が家計状況の急変等により生徒の授業料を減免した場合に、減免額の三分の二を学校に対して補助する授業料減免補助を行ってまいりました。
この補助制度は、私立学校に対する基幹的補助でございます経常費補助の中で実施しているものでございまして、経常費補助金の配分方針につきましては、毎年度、東京都私立学校助成審議会に諮問しておりますが、先月開催されました審議会におきまして、家計状況の急変における授業料減免の補助率については、現在の社会経済情勢を勘案すると五分の四に引き上げることが望ましいとの答申を得たところでございます。
都といたしましては、この答申とともに、お話の授業料減免補助に関するご意見を踏まえまして、今年度から直ちに経常費補助に反映してまいります。
また、私学団体主催の各種会議や補助金説明会など、さまざまな機会をとらえて制度改正の趣旨や内容の説明を行い、制度の活用や学校を通じた保護者、生徒への周知を積極的に働きかけてまいります。
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