午後四時四十一分開議
○副議長(石井義修君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
十番西崎光子さん。
〔十番西崎光子君登壇〕
○十番(西崎光子君) アメリカの金融危機に始まった経済危機ですが、今やOECD諸国の中で日本が最も深刻な事態となっているのは周知のとおりです。
雇用崩壊という事態を避けるため、緊急の金融支援や就労支援は急がなければなりません。しかし、こうした事態だからこそ、短期的な施策とともに、中長期的な施策の検討が必要です。
オバマ新大統領の、代替エネルギーの供給を軸とするグリーン・ニューディール政策と同次元の実行を検討する必要があることはいうまでもありません。
太陽光の設置拡大や電気自動車、省エネ家電の促進策などの積極的な推進、そして環境技術の開発や基盤整備は、既にさまざまに提案され、技術的な政策メニューの種類については、日本はおくれをとっていません。
都は二十一年度予算において、環境対策に重点を置き、国をも先導する新たな施策を展開する意気込みは明確にうかがえますが、これを実現するためには、一人一人の都民の意識改革と参加が重要です。知事の見解を伺います。
低炭素で持続可能な社会を実現するためには、自然エネルギーや未利用資源の活用、保全を通じて地域社会を活性化し、地域の社会変革をもたらす事業型の環境NPOや社会的企業の活躍が必要不可欠です。
日本では、風力発電やグリーンファンドなど、環境を視点とする事業型の環境NPOや社会的企業の実践例がありますが、多くの環境NPOは、支援の仕組みがないために、資金不足で、事業の知見や事業展開に孤立しているケースもあります。
こうした状況を踏まえ、国においては来年度から、これら事業型NPOや社会的企業が資金調達手法及び経営ノウハウを取得できるよう、商工会等の経済団体、中小企業診断士、弁護士やNPO等のネットワークを構築し、支援者となる自治体、地域金融機関、コミュニティファンド等との意見交換の場の設定、ネットワーク化等を行う中間支援スキームに乗り出そうとしています。
このような取り組みが実施されるというのも、国自体が、環境NPOを低炭素で持続可能な社会に必要不可欠なセクターとして認めているからにほかなりません。
都においても、環境NPOを、環境施策を進める重要なパートナーとしてとらえ、連携をさらに強化していくことが求められます。見解を伺います。
東京都配偶者暴力対策基本計画改定の中間まとめにおいては、相談から自立まで、被害者の視点に立った支援体制の強化を計画の視点として取り上げていますが、被害者を早期に発見し、支援につなげていくことが特に大切です。
そのためには、被害者を発見しやすい医療機関や保健所などに対し、関係機関が連携して配偶者暴力に関する情報を適切に提供し、対応の徹底を図ることが必要だと考えますが、見解を伺います。
若年層においても、交際相手など親密な関係にある相手から暴力を受けるケースがふえており、都内の大学生約六百人に実施したアンケート調査では、二割が、友人など周りの人で恋人から暴力を受けていると答えています。昨年、テレビで放映された番組「ラスト・フレンズ」はデートDVの問題に焦点を当て、若い人の間に衝撃を与えました。
こうしたことから、若年層に対しても、相談機関の周知を初めとした啓発事業に取り組む必要があります。
また、学校の人権教育の中でデートDV防止教育を計画に位置づけている岡山県のような先進的な取り組みもあります。
子どもたちを将来、DV加害者や被害者にしないため、学校教育では、人権教育の推進によってお互いを尊重する社会づくりを進めていく必要があります。教育庁ではどのように考えているのか、伺います。
DV被害者は、三十代から四十代の女性が多く、小さなお子さんがおり、無職の人がほとんどです。DV被害者も含め、母子世帯に育つ子どもの生活水準は、ほかの子に比べ低く、OECD諸国のひとり親世帯の就労率と母子世帯の子どもの貧困率を比べると、日本のひとり親世帯の就労率は第四位と高い状況にありながら、貧困率は上から二番目に位置しています。
今回出された東京の子どもと家庭の基礎調査でも、母子世帯では年収二百万円未満の世帯の割合が最も多く、NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむの調査によれば、母子世帯の五人に一人は、複数の職をかけ持ちしています。生計を維持するため、長時間労働や複数の職のかけ持ちなどをすることにより、子どもと過ごすことが極端に減ったり、母親自身の健康を損なったりする状況にあります。
これまで母子世帯に対する公的支援は、さまざまなメニューが用意されてきており、昨年始まった低所得者対策の中にもひとり親家庭支援が盛り込まれていますが、真に自立を進めるためには、さらなる施策の充実が必要です。
一方、平成十四年の母子及び寡婦福祉法等の改正により、区市町村は、就業、自立に向けた総合的な施策を実施する重要な役割へと転換されました。身近な自治体である区市町村において、ひとり親家庭のそれぞれの状況に見合った支援が行われるよう、都としても区市町村を支援すべきだと考えますが、見解を伺います。
次に、住宅政策です。
いわゆる派遣切りで職を失った人たちが、同時に住むところも失い、昨年の暮れの日比谷公園の年越し派遣村には五百名を超す人々が集まりました。
住むところが定まらなければ新たな職にもつけず、負のスパイラルに陥っています。
住宅は、人が生きていくためには不可欠であり、一連の問題は、住宅イコール福祉であるということを浮き彫りにしました。
東京都住宅マスタープランでは、住宅に困窮する都民の居住の安定の確保として、都営住宅への優先入居の検討が挙げられています。しかし、今回の派遣労働者の緊急事態には全く対応されませんでした。
同じ問題として、これまでにも、DVや犯罪被害者に対する緊急対応としての住宅の確保を求めてきましたが、年四回しかない公募の中で、高い倍率の壁に阻まれ、とても緊急対策とはなっていません。
また、大災害等の緊急時においても、同様の事態が考えられます。
こうした緊急事態に対応していくには、例えば五十戸から百戸程度の住宅を常時確保した緊急シェルター的制度が必要です。
今回のように、働く意欲がありながら突然住まいを失った派遣の人たちに、速やかに居住の場を確保する必要があることから、福祉や雇用対策と連携して都営住宅の提供を行うべきと考えますが、見解を伺います。
東京都では、急激に悪化する雇用情勢を受けて、生活、雇用対策に関する庁内連絡会議が設置されました。こうした局の垣根を越えて、横断的な取り組みは大変期待するものです。しかしながら、今後さらに雇用情勢の一層の悪化が懸念されるところです。
ついては、今回、都が設置した庁内連絡会議を十分に活用し、対応していただきたいと考えますが、見解を伺います。
次に、障害者の人権についてです。
施設に入所している知的障害児の家族及び特別支援学校へ通学している児童の保護者から、相次いで同性介助に関する相談が寄せられました。当事者はいずれも男子で、異性の職員からトイレ介助などの身体介助を受けるのは恥ずかしいというものでした。
知的障害児施設における入所者は、児童福祉施設といっても、十八歳未満は三割程度で、三十歳以上の人もおり、男性が八割を超える施設もあります。
一方、こうした都有施設の指定管理者となっている社会福祉事業団の職員の男女比を見ると、三十五対六十五で女性が多く、特に二人体制になってしまう夜間などでは、異性介助になるのは避けられません。
年ごろの入所者にとって、女性の職員によるトイレ介助など、身体に触れられることを恥ずかしいという気持ちは当然のことであり、それが改善されないのは人権侵害です。
十九年度の福祉サービス第三者評価でも、さらなる改善点として、同性支援の確立に向けた継続的な取り組みが求められている施設があります。
民間社会福祉法人では、直接身体介助に当たる施設では、ほぼ男女同数の職員を確保して同性介助を進めていますが、都においてはなぜできないのでしょうか。
今、求められているのは、事業者や職員の立場からではなく、まず当事者である利用者の立場に立って改善を進めるべきです。同性介助を促進することについて、都の見解を伺います。
また、知的障害者の人権については、施設だけではなく、特別支援学校においても重要な課題です。特別支援学校の先生方は、子どもたちの障害についての深い理解や専門性があり、適切な指導や配慮を行っているとは思いますが、初任者や初めて特別支援学校に勤める先生が、障害のある子どもの人権や障害特性に配慮した指導を行えるよう、研修を充実させていくことが必要です。教育庁の見解を伺います。
障害のある人もない人も、地域でともに暮らす社会をつくり上げていくためには、意識改革こそ重要です。障害者差別禁止条例を制定した千葉県では、制定に際して、当事者の意見をさまざまな角度から時間をかけて聞くことから始めましたが、遠足に親の付き添いを求められて、断ったら学校に残された、家を借りるとき、不動産屋に、障害児がいることを大家が嫌がったら出て行くと一筆書かされたなど、はっきりと差別とわかる事例もあれば、同情や励ましの言葉や、当たらずさわらずの雰囲気にも傷つくという親たちの声など、複雑な内面の問題も出されました。こうした議論の積み重ねこそ条例制定の意義であると思います。
そこで、パラリンピックをも開こうという東京都として、人権に配慮した共生のまちづくりを進めるために、障害者差別禁止条例の制定に向けて、当事者参加で幅広い検討を始めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
中国製冷凍ギョーザの毒物混入事件からもう一年が過ぎました。この事件を契機に、都は、ふえ続ける調理済み冷凍食品について原料原産地表示を試行しました。しかし、当初から危惧されたように、ホームページなどの表示にとどまって、実際に容器、包装に表示されているのはほとんど見当たりません。本来、消費者が店頭で確認し、選択できるのが望ましいのです。
ことし六月の本格実施に向けて、都はどのように取り組んでいくのか、伺います。
科学技術の進歩とともに、新たな食の不安も生まれます。その一つがクローン技術です。体細胞クローン牛は、日本でも昨年末までに五百五十七頭も生まれており、研究に供されてきました。
今回、国の食品安全委員会の専門調査会が、体細胞クローン牛及び豚について安全性の評価を行い、従来の繁殖技術によるものと同等の安全性を有するとの報告を取りまとめました。
今後、国民から意見を募った上で最終的な評価結果を厚労省に報告するとしていますが、このことに不安を覚える消費者も少なくありません。
一方、既に受精卵クローン牛については、平成十三年から独自のガイドラインで販売時の表示マークが定められていますが、義務化されていないので、流通しているかどうかわかりません。遺伝子組みかえと違って、クローンでは、表示がない限りチェックすることは困難です。
都内における受精卵クローン牛の流通実態はどうなっているのか、お答えください。
最後に、産科医療についてです。
最近の産科医療の危機に対し、生活者ネットワークは、昨年秋、どこで子どもを産みますかという出産に関する調査を行い、約八百五十人から回答をいただきました。安心して子どもを産むために、母親たちの多くは一生懸命情報を集め、よりよい出産場所と出産方法を自分の意思で選択していることがわかりました。
その際、出された不安や疑問などを解決するために、三点質問いたします。
実際のお産では、助産師さんがとても頼りになったという回答が多く、医療を必要としない分娩については、助産師の活用がもっと図られるべきと考えます。
実際に助産師に伺って話を聞いた中では、リスクが予見される場合は速やかに病院に送るが、無事出産後は直ちに助産院に戻して産後ケアを行うことがお互いの長所を生かすことができるという例は、大変参考になるものでした。
また、医療機関においても、助産師が正常な経過の妊婦の健康診断や保健指導、助産を行う院内助産所や助産師外来を設置する取り組みもふえていると聞いています。
そこで、都は、助産師を活用するためにどのような取り組みを行っているのか、伺います。
さらに、妊婦健診、分娩、育児への支援はトータルに受けられることが望ましいですが、特に核家族の多い都市部にあっては、産前産後のケア体制が重要であることが明らかになりました。
都は、分娩退院後、家族等から産褥期のケアが受けられないなど、特に支援を必要とする母親と子どもに対する子育てスタート支援事業のモデル事業を開始しています。
私たちは世田谷区の産後ケアセンターを視察しましたが、非常に好評ということでした。すべての自治体が専用施設をつくるのは無理としても、産前産後のケアこそ、開業助産院の活用で進めていくことが適切ではないかと思います。今後の展開について伺います。
たくさん書き込まれた自由記述を読むと、人は出産や育児を通して社会とのかかわり合いがふえ、さまざまな要求が行政にも向けられていくということを実感します。
今回の調査では、実に多くの男性が出産や退院後の育児に積極的に参加している様子が見られました。保育の充実とあわせ、父親の産休、育休取得の推進などが求められていると思いますが、都の見解を伺いまして、質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕
○知事(石原慎太郎君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
まず、環境対策への取り組みについてでありますが、都はこれまでも、都民や事業者の協力を得て独自のディーゼル車規制を行うなど、我が国の環境対策をリードしてきました。
今後も、CO2排出総量削減義務など先駆的な取り組みを実施するとともに、家庭での節電といった具体的な行動を都民に働きかけ、ライフスタイルの転換を促すなど、さまざまな施策を複合的に展開し、世界で最も環境負荷の少ない都市の実現を目指していきたいと思っております。
しかし、ご指摘のように、大事なことは、この問題に対する都民の意識の構築でありまして、ある哲学者、ジャンケレビッチでしたか、人間の死についておもしろいことをいっておりましたが、死は人間にとっての最後の未来であり、最後の未知である、また一つ、人間は、だれも死ぬということを人間は知っているが、自分が死ぬということを信じている人間はほとんどいないということでしたが、私たちが当面しているこの異常気象というのは、本当に人間の存在を左右する非常に深刻な大きな問題が、実はもう歴然として進行しているわけでありまして、そういった大き過ぎてとらえにくい問題というものをいかにうまく説明し、都民の方々にこの問題に対する正確な意識を持っていただくこと、これが私はやっぱり大事なことだと思っております。
次いで、障害者差別禁止条例についてでありますが、どんなに障害が重くとも、障害者がみずからの人生のあり方を選択していくこと、それが人間としての尊厳を持って生活できる社会の一つの証左であると思いますし、東京が目指すのもそこであると思います。
その実現のためには、障害者への差別をなくすことが重要な課題であります。あらゆる機会をとらえて、障害のある方とない方との交流を広げ、障害への理解を深めるなど、都民とともに具体的で地道な施策を着実に積み上げていくことが必要であると思っております。
ご質問の差別禁止条例については、差別の定義をどのようにとらえるかなど多様な意見がありまして、運用の難しさが指摘されております。
また、国は、平成十九年九月に署名した障害者権利条約の批准に当たっては、障害者差別を禁止する理念が規定されている障害者基本法など、関連する法律の改正も予定しているようでありまして、したがって、まず、こうした動きを見守るべきと考えております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長大原正行君登壇〕
○教育長(大原正行君) 二点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、人権教育の推進についてでございますが、都教育委員会は、人権尊重の理念を広く社会に定着させ、あらゆる偏見や差別をなくすためには、教育の果たす役割が極めて重要であると認識をしております。
そのために、人権教育の実践的な手引である人権教育プログラムを公立学校の全教員に毎年配布をするほか、さまざまな人権課題への理解を深めるための研修会等を開催いたしまして人権教育を推進しております。
今後とも、教育活動全体を通じまして、人権尊重の理念についての正しい理解や実践する態度を育て、男女が互いの人格を尊重し、望ましい人間関係を築く教育を推進してまいります。
次に、障害のある子どもにかかわる教員の研修についてでございます。
子どもたち一人一人の人権や障害特性を踏まえた指導を行うことは、特別支援学校はもとより、幼稚園から高等学校まですべての学校において重要であると認識をしております。
こうしたことから、これまで都教育委員会では、すべての校種の教員を対象といたしまして、障害のある子どもたちの理解と指導に関する研修や講習会などを計画的に行ってきており、これに加えまして、特別支援学校の初任者や特別支援学校に初めて勤める教員には、障害の種別や程度に応じた指導内容や方法につきまして、専門性を高める研修を行っております。
また、特別支援学校では、授業観察や校内研修におきまして、指導主事が専門的な識見に基づく指導、助言を行いますとともに、職場研修を通じまして、ベテランの教員が経験の浅い教員に具体的な配慮や指導法について指導をしております。
今後とも、こうした取り組みを継続して行うことによりまして、障害のある子どもの人権や障害特性に配慮した指導の充実に努めてまいります。
〔環境局長有留武司君登壇〕
○環境局長(有留武司君) 環境保全に取り組むNPOとの連携についてお答えいたします。
都はこれまでも、環境学習などについて、先進的な企業やNPO等と連携して取り組みを進めてまいりました。
来年度からは、太陽エネルギーの飛躍的拡大を目指し、企業、NGO、行政等が一体となり、それぞれの役割に応じた取り組みを実施していくとともに、加工食品に環境配慮情報の表示を行う事業をNPOと協働して実施していく予定でございます。
今後とも、環境NPOを含む多くの主体との連携を推進してまいります。
〔生活文化スポーツ局長秋山俊行君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(秋山俊行君) 配偶者暴力対策についてでございますけれども、被害者の早期発見と迅速な支援のためには、関係者の適切な対応が必要であると認識をしております。
都はこれまでも、被害者の支援にかかわる関係者に対しまして研修を実施するほか、配偶者暴力被害者支援ハンドブックや医療機関向けのマニュアル等の作成、配布などの取り組みを行ってまいりました。
今後とも、庁内各局、区市町村、医師会等で構成する東京都配偶者暴力対策ネットワーク会議を活用し、相互の連携と協力のもとに、被害者の安全確保や支援のための情報の周知徹底を図ってまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
○福祉保健局長(安藤立美君) 六点についてお答えをいたします。
まず、ひとり親家庭への支援についてでありますが、ひとり親家庭の自立の促進のためには、区市町村が各家庭の状況に応じたきめ細かな支援を行っていくことが重要であります。
このため、都は、包括補助事業により、自立支援プログラム策定の推進や職業訓練中の育児サービス提供などの事業のほか、創意工夫を凝らした区市町村の取り組みを支援しております。
今後は、こうした包括補助事業を活用した独自の実施例を紹介することで新たな取り組みを促すなど、区市町村への支援を充実してまいります。
次に、都立障害児者施設における同性介助についてでありますが、東京都社会福祉事業団においては、利用者の人権、権利を擁護するため、個人情報保護、苦情解決の仕組みづくりなど、さまざまな取り組みを行っております。
お話の同性介助についても、利用者本位の介助、支援という考えのもと、各施設において、勤務ローテーションの工夫、入浴や排せつの介助時における職員応援体制の確立などにより取り組んでいるところであります。
次に、調理冷凍食品の原料原産地表示についてでありますが、都は、事業者向け、消費者向けのリーフレットをそれぞれ作成するとともに、ホームページに制度の解説やQアンドAを掲載するなど、広く制度の周知に努めてまいりました。
また、事業者に対しては、制度に関する説明会や具体的な表示方法に関する個別相談を行っております。
今後とも、業界団体や事業者の取り組み状況を把握しながら、本年六月の本格実施に向け、表示の徹底に取り組んでまいります。
次に、受精卵クローン牛についてでありますが、我が国では、農林水産省が受精卵クローン牛の出生や出荷などの状況を把握しており、毎月、その情報を公開しております。
そのデータによりますと、平成二年八月から平成二十年九月までの十八年間で、七百十八頭の受精卵クローン牛が四十三の研究機関等で生まれております。そのうち食肉として出荷されたのは、平成五年以降三百十九頭であり、この間に国内でと畜された牛、約二千万頭に占める割合は、極めてわずかであります。
また、平成二十年の一年間を見ても、食肉としてと畜された牛は、広島、島根、栃木の五頭のみであり、いずれも受精卵クローン牛として出荷をされております。
こうしたことから、現在、表示がなく都内で流通している受精卵クローンの牛肉はないというふうに認識をしております。
次に、助産師を活用する取り組みについてでありますが、都は今年度から、医師勤務環境改善事業により、医療機関における院内助産所や助産師外来の設置を促進するため、施設整備に対する補助を行っております。
来年度は、周産期連携病院をこの対象に加えることにより、院内助産所等の一層の開設促進を図ることとしております。
さらに、開設のノウハウなどに関する研修についても拡充する予定であります。
最後に、子育てスタート支援事業についてでありますが、本事業は、出産後、家族等からケアが受けられないなど、特に支援を要する母親と子どもに対して一定期間の宿泊ケアやデイケアを行い、心身ともに不安定になりがちな産褥期の子育てを支援するものであります。
現在、世田谷区では専用施設で、また多摩市及び府中市においては助産院や産科医院でモデル事業として実施をしております。
今後は、対象者の範囲やケアプログラムの内容、事業効果等について検証してまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕
○都市整備局長(只腰憲久君) 住まいを失った離職者に対する都営住宅の活用についてでございますが、都営住宅は応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないことに加え、高齢者、障害者等の入居希望者も多数おられます。離職者というだけの理由で、居住の場の確保のために都営住宅を活用することは、極めて困難でございます。
離職者に対しましては、介護職などへの就労支援事業が予定されておりますが、こうした事業に応募して対象となった方の一時住宅として、民間住宅にあわせ、都営住宅などの公的住宅についても、本来の入居対象者の入居に支障を及ぼさないことなどを条件に適切に対応してまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕
○産業労働局長(佐藤広君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、生活、雇用対策に関する局横断的な取り組みについてであります。
都は、急激に悪化する雇用情勢に対しまして、各局で実施する生活、雇用対策を総合的かつ効果的に実施するため、副知事を座長とする庁内の連絡会議を本年一月に設置いたしました。
今後、雇用情勢のさらなる悪化により、生活、雇用に関する新たな課題が発生することも考えられますが、そうした場合にも、この会議を通じて局間の連携を図り、全庁的な取り組みを進めてまいります。
次に、父親の育児休業取得等の推進についてでありますが、都が平成十七年度に実施いたしました男女雇用平等参画状況調査では、男性が育児休業を取得しにくい環境があるとの結果が出ております。
都は今年度、仕事と家庭の両立や働き方の見直しに向け、すぐれた取り組みを行う中小企業を東京ワークライフバランス企業として認定する制度を創設いたしました。
この第一回認定企業の取り組みの中には、配偶者出産休暇制度や、乳幼児を持つ男性社員を十六時に退社させるパパの日制度など、男性の育児参加を促す例があり、今後は、こうしたすぐれた取り組みを広く企業へ普及してまいります。
また、平成十九年度から開始いたしました両立支援推進助成金におきまして、今年度から、男性が一月以上の育児休業を取得した場合には、その助成対象としております。
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